以下、この発明によるVoIP電話端末(以下、IP電話機という)の実施形態を、ビジネスホンシステムであるVoIP電話システムに用いた場合を例に、図を参照しながら説明する。なお、この実施形態では、VoIP電話端末と接続される外部のファイル格納部の例としては、USB(Universal Serial Bus)メモリが用いられ、接続手段としては、USB端子およびUSBインターフェースを用いるものである。
図1において、10Aおよび10Bは、実施形態のVoIP電話システムを示し、同じ構成を備えるので、図1では、VoIP電話システム10Aについて、詳細構成例を示している。なお、図1では、VoIP電話システムは、10A,10Bの2個のみを示したが、2個以上の多数個が存在するようにすることができることは言うまでもない。
VoIP電話システム10A,10Bのそれぞれは、主装置11と、複数個のIP電話機12と、保留サーバ14とを備えている。なお、IP電話機12は、1個でも良いことは言うまでもない。
主装置11は、VoIP電話システム10A、10BのIP電話機12からの発呼や他のネットワークからのIP電話機に対する着呼などの呼制御、および着呼時の複数個のIP電話機12の一斉呼び出し制御やその応答制御、また、複数個のIP電話機12の使用状態表示などのランプ制御、ファイル転送処理制御などを行うもので、前記制御を含む種々の制御をソフトウエア処理として実行するためのマイクロコンピュータを搭載して構成されている。
複数個のIP電話機12は、LAN13を通じて互いに接続されており、LAN13は給電ハブ15を通じて主装置11に接続されている。主装置11は、LAN13に接続されているIP電話機12のそれぞれのLAN13上のアドレス(IPアドレス)を記憶して管理する。
IP電話機12は、この例では、保留キーを備えており、当該IP電話機12で通話中にこの保留キーを押下すると、その押下操作は保留操作(保留要求操作)となって、後述するようにして通話中回線は、保留状態になる。そして、保留状態で、保留キーを押下すると、その押下操作は、保留解除要求操作となる。
保留サーバ14は、ハブ16を通じて主装置11に接続されている。IP電話機12で通話中の呼について保留操作がなされると、当該呼が、保留操作されたIP電話機から保留サーバ14に転送されて、保留状態になる。そして、保留状態においては、保留サーバ14は、相手方端末に保留音を送って保留中であることを通知する。
いずれかのIP電話機12で保留解除操作がなされると、保留中の呼は、保留サーバから当該保留解除操作がなされたIP電話機12に転送されて、通話状態に復帰する。
そして、この例では、主装置11は、IP(Internet Protocol)網20に接続されており、VoIP電話システム10Aおよび10Bの複数のIP電話機12は、それぞれの主装置11を通じて、電話通信が可能となる。また、VoIP電話システム10Aおよび10Bの複数のIP電話機12のそれぞれは、主装置11を通じて、IP網20に接続されているIP電話機21との間で電話通信を行なうことも可能となる。
[IP電話機12のハードウエア構成例]
図2に、この実施形態のIP電話機12の概観構成例を示す。また、図3に、この実施の形態のVoIP電話機12の電気的ハードウエア構成例を示す。この実施の形態のIP電話機12は、図2および図3に示すように、IP電話機本体TEと、ハンドセットHSとからなる。ハンドセットHSは、図示を省略したが、送話器を構成するマイクロホンと、送話アンプと、受話器を構成するスピーカと、受話アンプとを備えている。
IP電話機本体TEは、図2に示すように、操作キー群として、電話番号入力用のテンキー31、回線ボタンキーやワンタッチダイヤルキーなどからなるキー群32のほか、この例では、後述するファイルデータ送信キー33、項目選択用の上方向キー34、下方向キー35、決定キー36、メニューキー37などを備える。
また、IP電話機本体TEは、ディスプレイ画面38を備える。さらに、この実施形態のIP電話機本体TEは、外部のファイル格納部の例としてのUSBメモリ40が接続されるUSB端子39を備えている。
また、IP電話機本体TEは、電気的構成としては、図3に示すように、マイクロコンピュータにより構成されており、CPU(Central Processing Unit)101に対して、システムバス100を介して、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、ディスプレイコントローラ104と、LEDドライブ部105と、操作入力インターフェース(図ではインターフェースはI/Fと記載する。以下同じ)106と、LANインターフェース107と、パケット処理部108と、音声データ入出力インターフェース109と、USBインターフェース110と、ファイル一覧表示制御部111と、送信ファイル記憶部112と、送信ファイル履歴管理メモリ116と、受信ファイル履歴管理メモリ117とが接続されている。
ROM102には、IP電話機12としての発信時や着信時の処理シーケンスを実行するプログラムや後述するUSBメモリに格納されているファイルを相手方端末に転送し、また、相手方から転送されてくるファイルを受信するための処理プログラムなどが記憶されている。
RAM103は、主としてROM102のプログラムがCPU101によって実行される際にワークエリアとして使用される。
ディスプレイコントローラ104には、図2のディスプレイ画面38を備えるディスプレイ113が接続されており、このディスプレイ113のディスプレイ画面38には、CPU101の制御にしたがった表示が行われる。
また、操作入力インターフェース106には、テンキー31、回線ボタンキーやワンタッチダイヤルキーなどからなるキー群32、ファイルデータ送信キー33、上方向キー34、下方向キー35、決定キー36、メニューキー37などの操作キーを含む操作入力部115が接続されている。CPU101は、操作入力インターフェース106を介して操作入力部115を通じて使用者がいずれのキーを操作したかを認識し、その認識結果に基づいて、キー入力操作に応じた処理を、ROM102のプログラムに従って実行する。
LEDドライブ部105には、回線キーやその他のボタンキーなどに関連した表示を行うための複数個のLEDからなるLED群114が接続されている。
LANインターフェース107は、IPネットワークを構成するLAN13を通じて送られてくるパケット化データを取り込み、また、LAN13にパケット化データを送出するための機能を備える。
パケット処理部108は、LANインターフェース107により取り込んだパケット化データを分解して、制御データや音声データを得る機能と、送信する制御データや音声データをパケット化して送出するパケット化データを生成する機能を有する。このパケット処理部108は、パケット化データを分解したり、生成したりするためのバッファメモリを備える。
なお、このパケット処理部108のパケット分解処理機能や生成処理機能は、CPU101が、ROM102に記憶されているプログラムに従って、RAM103をワークエリアとして用いて実行するソフトウエア処理として実現することもできる。
音声データ入出力インターフェース109は、パケット分解されて得られた音声データをアナログ音声信号に変換してハンドセットHSに供給し、また、ハンドセットHSから入力されるアナログ音声信号をデジタル信号に変換して取り込む機能を備える。
USBインターフェース110には、USB端子39が接続される。このUSB端子39にUSBメモリ40が挿入接続されると、プラグアンドプレイ機能により、USBインターフェース110を通じて、USBメモリ40が接続されたことをCPU101は検知する。そして、CPU101は、USBメモリ40に対して、USBインターフェース110を介して、ファイルの読み書きが可能となる。
ただし、この実施形態では、IP電話機12がUSBメモリ40に対して読み出しアクセスできる専用フォルダ名が定義されており、USBメモリ40に格納されているファイルのうち、当該専用フォルダ名に対してのみ、IP電話機12は読み出しアクセスが可能とされている。
すなわち、例えばUSBメモリ40に、図4に示すような複数個のフォルダが格納されているとき、この図4の例では、電話専用フォルダFTeに格納されているファイルのみが読み出し可能である。
そして、この実施形態では、後述するように、通話中に、電話専用フォルダFTeが格納されているUSBメモリ40がUSB端子39に挿入接続されると、CPU101は、当該電話専用フォルダFTeに含まれる1または複数のファイルの属性情報の中から、ファイルを識別することが可能な属性情報、例えばファイル名を読み出して、それを送信可能ファイルの一覧の情報として、通話中の相手方(ファイルの受け手側)のIP電話機に送信するようにする。送信可能ファイルを送出するIP電話機は、送り手側IP電話機となる。
IP電話機12は、ファイルの送り手側のIP電話機から送られてくる、この送信可能ファイルの一覧の情報を受け取り、ディスプレイ113の表示画面38に、前記送信可能ファイル一覧を表示する機能を備える。すなわち、ファイル一覧表示制御部111は、そのための機能部であり、この例では、ファイルの送り手側のIP電話機から受け取った送信可能ファイルの一覧の情報から、送信可能ファイル一覧表示データを生成して、ディスプレイコントローラ104に転送して、ディスプレイ113に送信可能ファイル一覧を表示させるようにする。
この送信可能ファイル一覧の表示例を図5に示す。図5に示すように、この例では、それぞれの送信可能ファイルのファイル名と、当該ファイルがUSBメモリに格納された年月日とが表示されている。ファイル名は、図5の例では、番号が表示されているが、ファイル内容の詳細を記述したテキスト文字情報であってももちろん良い。なお、ファイルの一覧表示において、送信可能ファイルを識別するための表示情報としては、ファイル名に限られるものではなく、例えば、使用者が設定した特定のマークや記号であってもよい。
後述するように、この送信可能ファイル一覧表示においては、使用者が、送信を要求するファイルを選択することができるようにされており、その選択操作のために、IP電話機12には、前述したように、上方向キー34、下方向キー35、および決定キー36が設けられる。
すなわち、ファイル一覧表示制御部111により、送信可能ファイル一覧は、この例では、各ファイルが1行として、画面38の縦方向に、ファイル数だけ表示されたものとなっており、また、カーソル51の位置が、上方向キー34、下方向キー35の操作により、上方向、下方向に変わるように構成されている。
そして、この例では、使用者が決定キー36を操作すると、IP電話機12は、その操作時にカーソルが位置して指し示しているファイルが選択されたことを示す選択ファイル情報を、送り手側のIP電話機に、通話路を通じて送るようにする。このとき送られる選択ファイル情報は、送信を要求するファイルを識別するための情報であり、この例では、ファイル名が用いられている。送信を要求するファイルを識別するための情報としては、ファイル名ではなく、選択指定されたファイルを識別することができるものであればどのようなものでも良い。
IP電話機12では、この選択ファイル情報を、通話路を通じて受け取ると、それを送信ファイル記憶112に記憶しておくようにする。この送信ファイル記憶部112に記憶されている選択ファイル情報で示されるファイルのファイルデータは、送信キー33が押下操作されたときに、受け手側IP電話機に送られる。ファイル転送が終了すると、IP電話機12は、この送信ファイル記憶部112の記憶内容を消去する。
なお、送信可能ファイルの一覧の表示情報は、送り手側で生成して、受け手側に送るようにしても良いし、上記のように、送り手側では、送信可能ファイルのファイル名の情報のみを送り、受け手側で送信可能ファイルの一覧の表示情報を生成するように構成しても良い。
なお、ファイル一覧表示制御部111は、ROM102のプログラムに従ったCPU101のソフトウエア処理の構成とすることができるものである。また、送信ファイル記憶部112は、ワークエリア用のRAM103の一部の記憶エリアを用いることができるものである。
そして、この実施形態では、CPU101は、ファイルデータの送信を行ったときには、その送信完了を待って、当該送信したファイルデータについての送信履歴を、送信ファイル履歴管理メモリ116に書き込むようにする。
図6に、この実施形態において、送信ファイル履歴管理メモリ116に書き込まれる送信履歴情報の一例を示す。すなわち、この実施形態では、一つのファイルについての送信履歴情報として、送信完了日時、ファイル属性情報、相手側情報、USBメモリID(IDentifier)、返却情報が記録される。
送信完了日時としては、ファイル送信が完了した年月日および時刻が記録される。
ファイル属性情報としては、この例では、ファイル名、ファイルサイズ(データサイズ)、ファイル作成日が記録される。
また、相手側情報としては、ファイルを送信する相手の顧客名、電話番号、IPアドレスが記録される。顧客名は、例えば電話帳情報として、電話番号に顧客名が登録されているときに記録され、登録されていないときには、NULLデータとされる。
USBメモリIDは、送信ファイルデータが格納されていたUSBメモリの識別情報である。
返却情報としては、返却期限および返却状況が記録される。返却期限は、返却が必要であるかの返却の要否の情報と、返却期限の年月日とが記録される。返却期限は、返却が「要」である場合にのみ記録される。また、返却状況は、返却が「否」である場合には記録されず、返却が「要」である場合には、初期値として「未」が記録される。そして、後述するように、ファイルデータの返却があったときには、返却状況は「済」に書き換えられる。
返却が「要」とされるのは、例えばNDA情報として相手側に提供するファイルデータであり、当該NDA情報であるファイルについては、USBメモリ40に、当該ファイルデータが格納されるときに、返却が「要」であることを示す情報が、ファイル属性情報として含められて格納されている。
したがって、CPU101は、ファイル属性情報を参照することにより、返却情報を、送信ファイル履歴情報中に記録することができる。ただし、返却期限は、この例では、CPU101が、送信完了日から1ヶ月などの所定の期間を自動的に設定するように構成されている。
相手方に送信されるファイルデータにもファイル属性情報が含まれているので、返却情報は、相手方へも通知される。ただし、返却期限は、この例では、相手方のIP電話機のCPU101が、送信側に合わせて、受信完了日から1ヶ月などの所定の期間を自動的に設定するように構成されている。
使用者が、返却期限を設定するように構成しても良いが、その場合には、予め、設定した返却期限をUSBメモリの当該ファイルのファイル属性として記録しておくようにする。この場合には、返却期限も、相手側に、ファイル属性情報に含められて送られる。
また、この実施形態では、CPU101は、ファイルデータの受信を行ったときには、その受信およびUSBメモリへのファイルデータ保存完了を待って、当該受信したファイルデータについての受信履歴を、受信ファイル履歴管理メモリ117に書き込むようにする。
図7に、この実施形態において、受信ファイル履歴管理メモリ117に書き込まれる受信履歴情報の一例を示す。すなわち、この実施形態では、一つのファイルについての受信履歴情報として、受信完了日時、ファイル属性情報、相手側情報、USBメモリID、返却情報が記録される。
受信完了日時としては、受信したファイルの保存が完了した年月日および時刻が記録される。
ファイル属性情報としては、この例では、ファイル名、ファイルサイズ(データサイズ)、ファイル作成日が記録される。
また、相手側情報としては、ファイルを送信してくる送信元名、電話番号、IPアドレスが記録される。送信元名は、例えば電話帳情報として、電話番号に送信元名が登録されているときに記録され、登録されていないときには、NULLデータとされる。
USBメモリIDは、受信ファイルデータが格納されたUSBメモリの識別情報である。
返却情報としては、返却期限および返却状況が記録される。返却期限は、返却が必要であるかの返却の要否の情報と、返却期限の年月日とが記録される。返却期限は、返却が「要」である場合にのみ記録される。また、返却状況は、返却が「否」である場合には記録されず、返却が「要」である場合には、初期値として「未」が記録される。そして、後述するように、ファイルデータの返却があったときには、返却状況は「済」に書き換えられる。
返却が「要」とされるのは、例えばNDA情報として相手側から提供されたファイルデータである。返却情報は、前述したように、受信したファイルデータのファイル属性情報に含められている。
したがって、CPU101は、受信したファイルデータのファイル属性情報を参照することにより、返却情報を、受信ファイル履歴情報中に記録することができる。ただし、返却期限は、この例では、上述したように、CPU101が、受信完了日から1ヶ月などの所定の期間を自動的に設定するように構成されている。
なお、この実施形態では、メニューキー37を操作すると、当該IP電話機12が備える種々の機能項目の一覧がディスプレイ113の画面に表示されるように構成されているが、その機能項目の一つとして、送信履歴および/または受信履歴の印刷機能が設けられている。すなわち、USB端子39にプリンタを接続した状態で、メニューキー37により履歴印刷機能が選択されると、当該プリンタにより、図6および図7に示したような、送信履歴および/または受信履歴を印刷することができる。
なお、送信ファイル履歴管理メモリ116および受信ファイル履歴管理メモリ117の記憶内容は、使用者により強制的に消去されない限り、全て、逐次蓄積されるものであることは言うまでもない。
[通話路を通じたファイル転送のシーケンス]
図8は、例えばVoIP電話システム10BのIP電話機12(以下、VoIP電話システム10BのIP電話機12をIP電話機12Bという)から、VoIP電話システム10Aに着信があって、VoIP電話システム10Aの任意のIP電話機12(以下、VoIP電話システム10AのIP電話機12をIP電話機12Aという)が、その着信に応答した場合であって、VoIP電話システム10BのIP電話機12Bから、VoIP電話システム10AのIP電話機12Aに、ファイルを転送する場合のシーケンスである。
なお、このシーケンス例においては、通話音声のパケットの伝送は、UDP(User Datagram Protocol)でなされ、ファイル転送および当該ファイル転送のためのファイル一覧情報や選択ファイル情報などの伝送は、TCP(Transmission Control Protocol)でなされるものである。
したがって、通話路が形成されているときには、音声による通話をしながら、ファイル転送およびそのための情報の通信をすることが可能である。
図8に示すように、先ず、VoIP電話システム10BのIP電話機12BからVoIP電話システムへの発信がなされると、呼出メッセージが、VoIP電話システム10Aの主装置11(以下、VoIP電話システム10Aの主装置11を主装置11Aという)に着信する。
なお、この例では、受け手側のIP電話機12Bには、発信前に、使用者が、空きの、あるいは空きが充分にあるUSBメモリ40B(ここでは、受け手側のUSBメモリには参照番号40Bを付与することとする)を、USB端子39に予め挿入接続しておくようにするものである。
主装置11Aは、LAN13に接続されている複数のIP電話機12Aに対して、一斉呼出を行い、複数のIP電話機12Aに対して着信通知をする。
この一斉呼出に対して、図8に示すように、VoIP電話システム10Aの任意のIP電話機12Aが応答したとする。すると、IP電話機12Aは、応答メッセージを主装置11Aに返す。主装置11Aは、その応答メッセージをVoIP電話システム10BのIP電話機12Bに対して送る。これにより、IP電話機12BとIP電話機12Aとの間に通話路が形成され、通話状態になる。
この実施形態では、この通話状態において、IP電話機12Bの使用者が、IP電話機12Aの使用者に対して、ファイル転送のためのUSBメモリ40A(ここでは、送り手側のUSBメモリには参照番号40Aを付与することとする)の、IP電話機12Aに対する装着を、通話において口頭で依頼する。
この依頼に対して、IP電話機12Aの使用者がUSBメモリ40Aを、USB端子39に挿入接続すると、IP電話機12AのCPU101は、プラグアンドプレイ機能により、USB端子39へのUSBメモリ40の接続を自動的に検知する。
そして、IP電話機12AのCPU101は、USBメモリ40Aが挿入接続されたことを検知すると、USBメモリ40A内に、IP電話機で送信することができる専用フォルダFTeがあるかどうか判別し、当該専用フォルダFTeがあると判別したときには、当該専用フォルダFTeに格納されているファイル名を読み出して、そのファイル名の情報をファイル一覧情報として、通話路を通じてファイルの受け手側となるIP電話機12Bに送る。
受け手側のIP電話機12BのCPU101は、このファイル一覧情報を受信して、その表示データを生成し、図5に示したような、送り手側から送信可能なファイルの一覧を、ディスプレイ113の画面38に表示して、IP電話機12Bの使用者に報知する。IP電話機12Bの使用者は、この送信可能ファイルの一覧表示を観て、送信を希望するファイルの存在を確認することができ、また、送信可能ファイルの一覧表示の中から送信してもらいたいファイルの選択ができる。
なお、このとき、送り手側のIP電話機12Aで、USBメモリ40Aが既にUSB端子39に接続されていたときには、CPU101は、通話路生成後のUSBメモリ40Aの挿入接続を検知しないので、CPU101は、USBメモリ40Aへはそのままではアクセスしない。
このような場合には、送り手側の使用者は、IP電話機12Aに挿入接続されていたUSBメモリ40AをUSB端子39から一旦外す。そして、例えば受け手側から指示されたUSBメモリ40A(同じUSBメモリでも別のUSBメモリでもよい)を、USB端子39に挿入接続するようにする。すると、送り手側のIP電話機12AのCPU101は、通話路生成後のUSBメモリ40Aの挿入接続を検知し、上述した専用フォルダの検索および専用フォルダを検出したときにはファイル一覧情報の送出を行う。
なお、通話状態において挿入接続されたと検知されたUSBメモリ40A内に、専用フォルダFTeがないとき、また、専用フォルダFTe内にファイルが無いときには、送り手側IP電話機12Aは、送信可能ファイルが存在しない旨のメッセージをディスプレイ113の画面38に表示したり、警告音を報知したりする。
このメッセージ表示や警告音の報知を受けた送り手側IP電話機12Aの使用者は、異なるUSBメモリ4OAを再度、挿入接続するようにする。なお、このとき、同時に、送信可能ファイルが存在しない旨のメッセージ情報を、通話路を通じて受け手側IP電話機12Bに対して、送出するようにし、受け手側IP電話機12Bでも当該メッセージを表示するようにしてもよい。
そして、送信可能ファイルの一覧をディスプレイ113の画面38に表示した受け手側IP電話機12Bでは、前述したように、この例では、上方向キー34、下方向キー35および決定キー36を用いた送信可能ファイルの選択操作を受け付ける。そして、送信可能ファイルが選択され、決定キー36が操作されると、この例では当該選択されたファイル名を含む選択ファイル情報が、受け手側IP電話機12Bから送り手側IP電話機12Aに通話路を通じて送られる。受け手側IP電話機12Bでは、複数個の送信可能ファイルの選択が可能であり、送信可能ファイルが選択され、決定キー36が操作される毎に、選択ファイル情報が、通話路を通じて、受け手側IP電話機12Bから送り手側IP電話機12Aに送られる。
送り手側IP電話機12AのCPU101は、この選択ファイル情報を受信すると、送信ファイル記憶部112に、それを記憶する。この例では、前述したように、選択されたファイルの識別情報として、ファイル名を記憶するようにする。
そして、この実施形態においては、受け手側IP電話機12Bの使用者は、送信を要求するファイルの選択を終了したときには、その旨を、通話音声により口頭で、送り手側IP電話機12Aの使用者に通知して、選択したファイルの送信を促すようにする。
受け手側IP電話機12Bの使用者からの口頭での選択完了の連絡を受けた、送り手側IP電話機12Aの使用者は、送信キー33を押下操作して、ファイル送信(ファイル転送)を起動する。すると、IP電話機12AのCPU101は、送信ファイル記憶部112に記憶されていたファイル名を参照し、当該ファイル名のファイルデータ(ファイル全体のデータ)を、USB40Aから読み出して、受け手側IP電話機12Bに送る。
受け手側IP電話機12Bでは、前述したように、USB端子39に、空きの記憶領域が充分にあり、かつ、この例では、専用フォルダFTeが作られているUSBメモリ40Bが、予め、挿入接続されている。なお、USBメモリ40Bには、予めフォルダFTeを設けておくのではなく、転送されてきたファイルデータを、当該USBメモリ40Bに格納する際に、IP電話機12Bが、自動的に電話専用フォルダFTeを作成し、その電話専用フォルダFTe内に転送されてきたファイルデータを格納するようにしても良い。
そして、受け手側IP電話機12BのCPU101は、IP電話機12Aから送られてきたファイルデータを、USBインターフェース110を通じてUSBメモリ40Bの専用フォルダFTe内のファイルとして格納するようにする。
なお、受け手側のUSBメモリ40BのIP電話機12Bへの挿入接続タイミングは、通話路の成立前が好ましい。通話路成立後であると、受け手側IP電話機12BへのUSBメモリ40Bの挿入接続により、前述した専用フォルダFTeの検索およびファイル一覧情報の送信処理を行うことになるからである。
しかし、相手側から送信可能ファイルの一覧情報が送られてきたときには、自端末を受け手側IP電話機と認識し、通話路成立後にUSBメモリ40Bの挿入接続を検知しても、相手方へ送信可能ファイルの一覧情報を送る処理を行わないように構成しても良い。その場合には、当該USBメモリ40BのIP電話機12Bへの挿入接続は、送り手側IP電話機12Aで送信キー33が押下操作される前であれば、どのタイミングでもよい。
なお、この実施形態では、通話路が形成されている間は、ファイルデータの転送中であっても、IP電話機12AとIP電話機12Bとの間で音声通話を行うことができることはいうまでもない。
そして、この実施形態では、使用者により、通話の終話操作、つまりハンドセットのオンフック操作がなされても、ファイル転送が完了していない間は、通話路は切断されず、ファイル転送およびUSBメモリ40Bへの保存が完了した後に、通話路の切断が可能となる。また、ファイル転送およびUSBメモリ40Bへの保存が完了した後に、未だ、使用者が、通話の終話操作、つまりハンドセットのオンフック操作をしていなければ、通話を継続することができる。
また、上記のファイル転送の後に、通話路を維持しておき、ファイル転送の終了したUSBメモリ40Aを一旦外し、別のUSBメモリ40Aを挿入接続すると、当該新規のUSBメモリ40Aについてのファイル転送が可能となる。
図8の例は、送信キー33を押下して、ファイル転送操作をした後に、即座に、オンフックして終話操作した場合である。このときには、IP電話機12AおよびIP電話機12B間の通話路は、前記オンフックに拘わらず維持される。
そして、受け手側IP電話機12Bは、USBメモリ40Bへの、選択指定した全てのファイルの保存格納を完了すると、保存完了メッセージを、送り手側IP電話機12Aに送る。
そして、受け手側IP電話機12Bは、受信したファイルデータについての受信履歴情報を、受信ファイル履歴メモリ117に書き込み、当該メモリ117の受信ファイル履歴の更新を行う。
なお、受信したファイルデータが、自端末が相手側に提供したファイルデータであるときには、CPU101は、受け取ったファイルデータを返却ファイルデータとして判断し、送信ファイル履歴メモリ116の、当該ファイルデータについての返却状況の情報として、返却「済」を記録するようにする。
また、返却の場合には、受信したファイルデータを、提供元のUSBメモリに格納する必要は無いので、この例では、CPU101は、受信したファイルデータは、USBメモリに格納せずに、破棄するようにする。
なお、CPU101における、受信したファイルデータが返却ファイルデータであるかどうかの判断は、受信したファイルデータのファイル属性のファイル名と同じファイル名が、送信ファイル履歴メモリ116に記録されている送信履歴情報中のファイル名中にあるか否かにより、行うことができる。USBメモリIDをも、さらに参照して返却ファイルかどうかを判断するようにすれば、より確実な判断となる。
一方、保存完了メッセージを受け取った送り手側IP電話機12Aは、終話操作が既になされていることを確認したときには、切断メッセージを主装置11Aに送る。主装置11Aは、この切断メッセージを受け手側IP電話機12Bに送る。
この切断メッセージを受け取った受け手側IP電話機12Bは、切断完了メッセージを主装置11Aに送る。主装置11Aは、切断完了メッセージを送り手側IP電話機12Aに送る。以上で、通話路が切断されて、通話およびファイル転送の終了となる。
また、保存完了メッセージを受け取った送り手側IP電話機12Aは、送信したファイルデータについての送信履歴情報を、送信ファイル履歴メモリ116に書き込み、当該メモリ116の送信ファイル履歴の更新を行う。
また、CPU101は、送信したファイルデータのファイル属性のファイル名と同じファイル名が、受信ファイル履歴メモリ117に記録されている送信履歴情報中のファイル名中にあるか否かにより、送信したファイルデータが返却ファイルデータであるかどうかを判断する。USBメモリIDをも、さらに参照して返却ファイルかどうかを判断するようにすれば、より確実な判断となる。
そして、送信したファイルデータのファイル属性のファイル名と同じファイル名が、受信ファイル履歴メモリ117に記録されている受信履歴情報中のファイル名中にあると判断したときには、送信したファイルデータは、返却ファイルであるとして、受信ファイル履歴メモリ117の当該ファイル名のファイルデータの受信履歴の返却状況の情報として、返却「済」を記録するようにする。
さらに、CPU101は、ファイルデータの返却を完全にするために、送信したファイルデータを、USBメモリから消去するようにする。なお、ファイルデータを消去しても、送信履歴および受信履歴は、それぞれ残ることは言うまでもない。
上述のように、この実施形態においては、ファイル転送は、通話中において、通話により相手方を確認した後に行われるので、相手方の成りすましなどにも対処して、より安全に、ファイルデータの転送ができる。
そして、送信ファイル履歴および受信ファイル履歴が、送信側および受信側の双方で記録されて管理されるので、転送されたファイルデータが、個人情報ファイルであっても、その管理を確実に行うことができる。
また、この実施形態においては、転送されたファイルデータがNDA情報であっても、当該ファイルデータの返却管理もすることができるという顕著な効果を奏する。
なお、図8は、発信側が、転送されてくるファイルの受け手となり、着信側がファイルの送り手となる場合であるが、逆に、発信側がファイルの送り手となり、着信側がファイルの受け手となる場合にも、上述と同様にして、ファイル転送が可能である。すなわち、通話中に、送信可能なファイルを格納するUSBメモリを挿入接続したIP電話機が送り手となり、その相手側が受け手となるものである。
[IP電話機でのファイル転送処理のフローチャート]
図9〜図12は、この実施形態のIP電話機12におけるファイル転送処理のための処理動作例を示すフローチャートである。この図9〜図12のフローチャートの各ステップの処理は、CPU101が、ROM102のプログラムにしたがって、RAM103をワークエリアとして用いて実行するものである。そして、このフローチャートにおいては、ファイル一覧表示制御部111の機能も、CPU101が、ソフトウエア処理により実行するものとしている。
すなわち、図9に示すように、CPU101は、通話路が成立している状態において(ステップS101)、USBメモリ40がUSB端子39への通話路成立後の挿入接続を判別する(ステップS102)。そして、USBメモリ40が通話路成立後に挿入接続されたと判別したときには、CPU101は、挿入接続されたUSBメモリ40に、電話専用フォルダFTeが存在しているか否か判別する(ステップS103)。
ステップS103で、挿入接続されたUSBメモリ40に、電話専用フォルダFTeが存在していないと判別したときには、CPU101は、電話専用フォルダがUSBメモリ40内に存在しない旨を、ディスプレイ113の画面38に表示し、また、警告音の放音をして、使用者に報知する(ステップS104)。
そして、CPU101は、終話となったか否か判別し(ステップS105)、終話となったと判別したときには、通話路を切断して(ステップS106)、この処理ルーチンを終了する。また、ステップS105で、終話となっていないと判別したときには、CPU101は、ステップS102に戻り、このステップS102以降の処理を繰り返す。
そして、ステップS103で、挿入接続されたUSBメモリ40内に電話専用フォルダが存在すると判別したときには、図10および図11に示すような送り手側IP電話機としての処理を実行する。
すなわち、CPU101は、挿入接続されたUSBメモリ40内に電話専用フォルダが存在すると判別すると、USBメモリ40から、電話専用フォルダ内に格納されているファイルのファイル名を取得して、この例では、それらのファイル名の情報を、送信可能ファイルの情報として、受け手側IP電話機に送るようにする(図8のステップS111)。
前述したように、この送信可能ファイルの情報を受け取った受け手側IP電話機では、その使用者が送信を要求するファイル名を選択決定したことに基づく選択ファイル情報を送ってくるので、CPU101は、この選択ファイル情報の受信を待つ(ステップS112)。
そして、ステップS112で、選択ファイル情報を受信したと判別したときには、CPU101は、受信した選択ファイル情報を送信ファイル記憶部112に記憶する(ステップS113)。この例では、選択ファイル情報は、ファイル識別情報としてファイル名であるので、送信ファイル記憶部112には、選択された(送信要求された)ファイルのファイル名が記憶される。
そして、CPU101は、送信キー33の押下によるファイル送信開始操作がなされたか否か判別し(ステップS114)、ファイル送信開始操作が未だなされていないと判別したときには、ステップS112に戻って、次の選択ファイル情報の受信を待ち、このステップS112以降の処理を繰り返す。
ステップS112で、選択ファイル情報を受信してはいないと判別したときには、CPU101は、例えばファイル転送を断念した使用者による終話操作による終話となったか否か、あるいは自端末の使用者による通話路の切断要求による終話となったか否か判別し(ステップS115)、終話となったと判別したときには、通話路を切断し(ステップS116)、この処理ルーチンを終了する。ステップS115で、終話とはなっていないと判別したときには、ステップS114に進み、ファイル送信開始操作を待つ。
ステップS114で、送信キー33の押下操作によるファイル送信開始操作がなされたと判別したときには、CPU101は、送信ファイル記憶部112に記憶されていたファイル名のファイルデータを、USBメモリ40から読み出して、通話路を通じて相手方に送信(ファイル転送)を開始する(ステップS117)。
次に、CPU101は、相手方から送られてくる送信ファイルの保存完了メッセージの受信を待ち(ステップS118)、送信ファイルの保存完了メッセージを受信したときには、送信ファイルデータの送信を終了する(ステップS119)。
次に、CPU101は、受信ファイル履歴管理メモリ117の履歴情報の記録を参照し、送信した送信ファイルの中に、受信ファイル履歴管理メモリ117の履歴情報として記録されているファイル名と同一のもの、つまり、返却ファイルがあるか否かを判別し(図11のステップS121)、返却ファイルがあると判別したときには、当該返却ファイルのファイルデータを、USBメモリ40から消去する(ステップS122)。
そして、CPU101は、さらに、受信ファイル履歴管理メモリ117の、返却ファイルとして判別したファイルの受信履歴情報の返却情報として、返却「済」を記録する(ステップS123)。
次に、送信ファイル履歴管理メモリ117に、送信ファイルについての送信履歴情報を書き込んで、当該送信ファイル履歴管理メモリ117の送信履歴を更新する(ステップS124)。このとき、USBメモリ40から消去した返却ファイルと判断されたファイルデータについても、送信履歴情報を記録するのはもちろんである。
次に、CPU101は、使用者により既にオンフック操作(終話操作)されているか否か判別し(ステップS125)、オンフックされていると判別したときには、通話路を切断し(ステップS126)、この処理ルーチンを終了する。
つまり、CPU101は、ファイル送信を行っている間は、使用者によりオンフックされていたとしても、この実施形態では、通話路を切断することはせず、送信ファイルの保存完了を受け手側のIP電話機から受け取った後に、通話路を切断するようにする。
また、ステップS125で、オンフックされてはいないと判別したときには、CPU101は、図9のステップS105に進み、通話状態を継続しながら、終話となるのを待つ。
また、ステップS121で、送信した送信ファイルの中に、返却ファイルは無いと判別したときには、CPU101は、ステップS124に飛んで、送信ファイル履歴管理メモリ116に送信ファイルについての送信履歴情報を書き込んで、送信履歴情報を更新するようにし、その後、このステップS124以降の処理を繰り返す。
また、図9のステップS102で、USBメモリ40が通話路成立後には挿入接続されてはいないと判別したときには、CPU101は、ファイル名の一覧情報を受信したか否か判別し(ステップS107)、ファイル名の一覧情報は受信してはいないと判別したときには、ステップS105に進み、このステップS105以降の処理を繰り返す。
ステップS107で、ファイル名の一覧情報を受信したと判別したときには、CPU101は、受信したファイル名の一覧を、例えば図5に示したように、ディスプレイ113の画面38に表示する(ステップS108)。そして、図12に示すような、受け手側IP電話機としての処理を実行する。
すなわち、CPU101は、表示された送信可能ファイルのファイル名の一覧を通じて使用者による送信要求するファイルの選択を受け付けたか否か判別する(図12のステップS131)。この例では、このステップS131は、決定キー36が押下されたか否かの判断となる。このステップS131で、送信要求するファイルの選択を受け付けたと判別したときには、CPU101は、選択されたファイル名を選択ファイル情報として送り手側IP電話機に送信する(ステップS132)。
次に、CPU101は、送り手側IP電話機から、選択して要求したファイル名のファイルデータを受信したか否か判別し(ステップS133)、受信してはいないと判別したときには、ステップS131に戻って、送信要求するファイルの選択の受付を継続する。
そして、ステップS133で、送信要求するファイルの選択の受付をしていないと判別したときには、CPU101は、例えばファイル転送を断念した使用者による終話操作による終話となったか否か、あるいは相手方による通話路の切断要求による終話となったか否か判別し(ステップS134)、終話となったと判別したときには、通話路を切断し(ステップS135)、この処理ルーチンを終了する。ステップS134で、終話とはなっていないと判別したときには、ステップS133に進み、ファイルデータの受信をしたか否か判別し、このステップS133以降の処理を繰り返す。
次に、CPU101は、ステップS133で、選択して要求したファイル名のファイルデータを受信したと判別したときには、送信ファイル履歴管理メモリ116の送信履歴情報を参照し、当該送信履歴情報の中に、受信したファイルデータのファイル名と同じファイル名の送信記録があるかどうかにより、受信したファイルは、返却ファイルであるか否かを判別する(ステップS136)。
このステップS136で、送信ファイル履歴管理メモリ116の送信履歴情報の中に、受信したファイルデータのファイル名と同じファイル名の送信記録は無い、つまり、受信したファイルデータは返却ファイルではないと判別したときには、受信したファイルデータをUSBメモリ40に保存する(ステップS137)。
また、このステップS136で、送信ファイル履歴管理メモリ116の送信履歴情報の中に、受信したファイルデータのファイル名と同じファイル名の送信記録がある、つまり、受信したファイルデータは返却ファイルであると判別したときには、受信したファイルデータを破棄して、USBメモリ40には保存しない(ステップS138)。
そして、ステップS137またはステップS138の次には、CPU101は、選択して要求した全てのファイル名のファイルデータを受信し、USBメモリ40への必要なファイルの保存を完了したか否か判別し(ステップS139)、完了していないと判別したときには、ステップS136に戻り、前述したこのステップS136以降の処理を繰り返す。
そして、ステップS139で、選択して要求した全てのファイル名のファイルデータを受信し、USBメモリ40への必要なファイルの保存を完了したと判別したときには、CPU101は、送信ファイルの保存完了を、送り手側IP電話機に送信する(ステップS140)。
次に、CPU101は、使用者により既にオンフック操作されているか否か判別し(ステップS141)、オンフックされていると判別したときには、通話路を切断し(ステップS142)、この処理ルーチンを終了する。つまり、ファイルデータの受信を行っている間は、使用者によりオンフックされていたとしても、この実施形態では、通話路を切断することはせず、送信ファイルの保存完了を送り手側のIP電話機から受け取った後に、通話路を切断するようにする。
また、ステップS141で、オンフックされてはいないと判別したときには、CPU101は、図9のステップS105に進み、通話状態を継続しながら、終話となるのを待つ。
[受け手側IP電話機での期限管理]
この実施形態では、ファイルデータの受け手側IP電話機は、例えばNDA情報とされて、返却期限が付与されて送信されてきたファイルデータについては、その返却期限の管理を、次のようにして行う。
図13は、この返却期限の管理のための処理ルーチンを示すフローチャートである。この図13の処理ルーチンは、例えば一定時間毎の割り込みにより実行される。
すなわち、この処理ルーチンを割り込みによりスタートさせると、CPU101は、受信ファイル履歴管理メモリ117に記録されている受信履歴の返却期限をチェックし(ステップS151)、返却期限が到来しているものがあるか否か判別する(ステップS152)。そして、返却期限が到来しているものがあれば、当該返却期限が到来しているファイルのファイル名を、USBメモリIDおよび返却期限と共に、ディスプレイ113の画面38に表示して使用者に報知する(ステップS153)。このとき、ステップS153では、併せて警告音を放音するようにしても良い。
この返却期限の報知を受けた使用者は、返却期限が来たファイルを知ることができるので、返却先である相手先に電話を掛け、返却するファイル名を相手方に告げる。そして、返却しなければならないUSBメモリを、USB端子39に挿入接続し、相手方に、返却するファイルを選択してもらうことで、ファイルの返却ができる。
この返却の際には、返却先の相手側(受け手側)IP電話機には、USBメモリを挿入装着する必要は無い。返却されたファイルデータは、前述したようにUSBメモリに格納せずに廃棄されるからである。
[他の実施形態および変形例]
上述の実施形態の説明では、USBメモリには、電話専用フォルダを設けて、当該電話専用フォルダのみをIP電話機からアクセスすることができるようにしたが、このようなフォルダ管理をしなくてもよい。ただし、このような電話専用フォルダを定義設定するようにする管理方法を採用した場合には、USBメモリ内に、他人に見られたくない他のファイルが格納されていたとしても、IP電話機では、当該他のファイルにはアクセスすることができないので、セキュリティ管理ができて便利である。
また、上述の例では、受け手側のIP電話機12においては、上キー34、下キー35および決定キー36を用いて、送信要求するファイルを選択するようにしたが、ファイル名の前に付与されている一覧リスト上のナンバーを、テンキーで指定することにより、送信要求するファイルを選択するようにしても良い。その他、送信要求するファイルの選択方法としては、種々の例が採用可能である。
また、上述の実施形態では、送信要求するファイルの選択が完了した旨を、通話により口頭で送り手側に通知するようにしたが、通話による口頭ではなく、例えば決定キー36を2度押しする、あるいは、長押しする、別個に選択完了キーを設けてその選択完了キーを操作する、などの特定のキー操作により送信要求するファイルの選択の完了を通知するようにすることもできる。
また、上述の実施形態では、送信要求するファイルが複数個であることを想定して、送信要求するファイルの選択が完了した旨を送り手側に通知するようにしたが、送信要求をすることができるファイルを1個に限定した場合には、選択ファイル情報の送信が選択完了を意味することになるので、選択完了の通知は、別途送る必要はない。その場合、1個のファイル名を確認した使用者が、ファイル転送要求を、送り手側の使用者に通話における口頭で伝え、送り手側の使用者に送信キー33を操作することを促すようにすることも得きる。
また、上述の例では、IP電話機の外部のファイル格納部は、IP電話機に挿脱されるUSBメモリである場合であったが、IP電話機に挿脱されるファイル格納部は、USBメモリに限られるのではないことは言うまでも無い。例えば、カード型メモリなどの半導体メモリであってもよい。
また、IP電話機の外部のファイル格納部は、IP電話機に挿脱されるものではなく、例えばLAN13とは別のネットワークに接続されているサーバなどの端末であってもよい。ただし、その場合には、IP電話機12には、前記サーバに対して接続アクセスするための操作キーが設けられると共に、通話中に当該操作キーが操作されることにより、前記サーバが接続アクセスされて、IP電話機に接続されたことを検知する検知手段を備える。そして、当該検知手段で、サーバが接続されたことを検知したときに、IP電話機は、当該サーバから送信可能なファイル名の情報を取得して、相手方に送信可能ファイルの一覧情報として送信するようにする機能を備えるものである。この場合の受け手側のIP電話機としては、上述の実施形態と同様にUSBメモリやカード型メモリを挿入接続するものを用いることができる。
また、IP電話機の外部のファイル格納部は、IP電話機に挿脱されるものではなく、例えば、IP電話機に設けられた接続キーを押下することにより接続アクセスされて、無線接続される、例えばBluetooth(登録商標)などを用いたものであってもよい。
また、上述の実施形態の説明は、異なるVoIP電話システムのIP電話機の間での電話通信にこの発明を適用した場合であるが、単独電話機であるIP電話機21に、上述したIP電話機12のファイル転送機能を設けることにより、単独のIP電話機同士でも、上述したファイル転送が可能である。また、単独のIP電話機と、VoIP電話システムのIP電話機との間においても、上述したファイル転送が可能である。
なお、この発明において、ファイル転送対象となるファイルは、例えば、テキストファイル、画像ファイル、音楽ファイルなど、どのような内容データのファイルでもよいことは言うまでもない。
そして、ファイル転送対象のファイルが、画像ファイルであるときには、送信ファイルの一覧情報としては、ファイル名ではなく、各ファイルの代表画像のサムネイルを送り手側から送り、受け手側で、当該サムネイルをファイル一覧情報として表示するようにすることもできる。
また、上述の実施形態では、送り手側は、通話路を形成した後に、接続手段を通じて外部のファイル格納部を接続するようにしたが、予め、接続手段を通じて接続されている外部のファイル格納部からのファイルのファイル転送を行う場合にも、この発明は適用可能である。
また、送信履歴および受信履歴として記録する項目は、上述の実施形態の場合に限られるものではなく、必要に応じて、追加、あるいは削除するようにしても良い。例えば、上述の実施形態では、通話をした後に、ファイル送受信を行うので、ファイル送受信の前に、通話をしている使用者の識別子を入力してもらい、その使用者の識別子を送信履歴および受信履歴に記録するようにする。
この場合には、予めファイル転送ができる使用者の識別子をIP電話機に登録しておき、その登録した識別子が入力されたときに初めて上述したファイル転送ができるように構成することもできる。
また、
なお、この発明のVoIP電話端末は、例えばパーソナルコンピュータをIPネットワークに接続すると共に、当該パーソナルコンピュータにVoIP電話端末の機能をソフトウエアプログラムにより搭載することにより構成されるものを含むものである。
12、21…IP電話機、13…LAN、40…USBメモリ、111…ファイル一覧表示制御部、112…送信ファイル記憶部、116…送信ファイル履歴管理メモリ、117…受信ファイル履歴管理メモリ