JP5176055B2 - 手術訓練用脳モデル - Google Patents
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Description
また、従来の外科手術の教育や訓練では、生体材料にとして中小動物が用いられているものの、動物実験に関する様々な問題があり、数多くの経験数が必要な教育・訓練用材料とはなり難い。特に、人体においては献体などによる実習も可能であるが、その術感の相違や献体数に限りがあるため、実際のところは、食用とする動物肉などにより外科医や学生などが手術練習を行っている。このため、実際の術部の構造までを再現できていないのが実状である。
このため、医学生や経験が浅い外科医などは、技術修得のためには熟練者の医師の傍らで実際の手術を観察することで技能スキルを向上させている。
この医療トレーニング用人体頭部模型は、実際の臓器との機械力学的特性が類似した人体頭部模型であるため、手術器具を用いたトレーニングに向いており、また、部分交換することで、破壊を伴うトレーニングでも破壊された部分を取り替えるだけで再利用できるほか、症例によって異なる内部構造に対応することが可能となるものである。
そこで、本発明は、手術など高度な技能が要求される医師の手術訓練用脳モデルとして、実際の人体の脳と力学的特性(硬さや弾性)が類似した手術訓練用脳モデルを提供することを目的とする。
かかる構成とすることで、脳組織の物理的構造(立体形状や表面形状)と物理的特性(硬さや粘弾性)を高精度に再現し、脳外科手術における全ての術部を再現可能とする。
また、加熱反応後に水で膨潤させるのは、脳の物理的特性(硬さや粘弾性)を高精度に再現するためである。
かかるモノマー溶液を用いて、型材に流し込み、加熱による重合反応後に水で膨潤させることで、実際の脳の質感に近似している脳モデルを作製することができる。実際の脳の質感に近似しているか否かの判定は、後述するように、実際に手術経験のある医師数名に本脳モデルの触感アンケートをとって判定したものである。
モノマー溶液濃度が10重量%の場合に、架橋剤としてのMBAの濃度を0.1〜0.9モル%の範囲のサンプルを作製し、その圧縮弾性率を測定するとともに、実際の脳の質感に近似しているか否かについて、実際に手術経験のある医師数名に本脳モデルの触感アンケートを実施して、最適値の知見を得たものである。
医師に対して本脳モデルの触感アンケートを実施した結果から、圧縮弾性率が5000〜15000Paである脳モデルが、実際の脳の質感に近似しているといった統計的データを得た。
ここで、硬化剤を所定の比率(PDMS:硬化剤=10〜60:1)で添加することとしたのは、PDMS:硬化剤=60:1より硬化剤の割合が少ないと、粘着成分が増加し実際の脳との触感が異なるものとなり、脳モデルとして適さないからである。反対に、PDMS:硬化剤=10:1より硬化剤の割合が多いと、硬くなりすぎ、実際の脳との触感が異なるものとなる。
脳組織のみならず脳血管の術感をも再現し、これらの配置を任意に制御可能とすることで、あらゆる術部を再現できる脳モデルを得るものである。
ここで、脳血管模型のチューブは、シリコンチューブ或いは、ウレタン薄膜を管状に成形したものであることが好ましい。
また、医者が患者に対して症状や手術方法等を説明するインフォームド・コンセント用模型や、医師間での術前における手術戦略用の模型としても活用できるといった効果がある。
実施例1の手術訓練用脳モデルは、次の(1)〜(3)の手順で作製する。図1に、本手術訓練用脳モデルの作製フローを示す。
(1)脳組織表面形状を再現した型材の作製
頭蓋骨から形状を採取し、CT画像データからの光造形モデルを用いて、脳組織表面形状を再現した型材を作製する。このとき、脳組織表面形状に表れる多数の溝(脳表面における溝の幅よりも、脳内部の溝の底部の幅が大きく、表面からなだらかに幅が大きくなるような構造をしている)を忠実に再現する。
先ず、アクリル酸(ナカライテスク株式会社製)を蒸留水に、モノマー溶液濃度が10重量%となるように溶解する。次に、架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBA,ナカライテスク株式会社製)をモノマーに対して0.75モル%加え、また、開始剤として過硫酸アンモニウム(APS,和光純薬工業株式会社製)を0.5モル%加える。
上記(1)で作製した型材に、上記(2)で調製したモノマー溶液を流し込み、70℃に保った恒温水槽中で4時間重合反応を行う。そして、重合反応により生成されたゲル状のものを取り出し、未反応モノマーおよび開始剤残渣を除去するため蒸留水で洗浄する。その後、生成されたゲル状のものを蒸留水中に浸漬し、平衡に達するまで膨潤させる。
生成されたゲル状のものを蒸留水中に浸漬し、平衡に達するまで膨潤させることにより作製した脳モデルを、図2に示す圧縮試験装置を用いて圧縮弾性率を測定した。
測定は、断面積7.07平方ミリメートルで鉛直方向に可動する円筒状ロッドを用い、圧縮速度0.996mm/秒で行った。ゲル状のものを圧縮する際の応力(τ)と圧縮に伴うゲル状のものの歪(α)から、下記数式を用いて圧縮弾性率(K)を算出している。
但し、歪(α)は、圧縮前のゲル状のものの厚さと、圧縮後のゲル状のものの厚さを積算したものである。
応力(τ)=K(α−α−2)
MBAの濃度が0.1,0.3,0.5,0.7および0.9モル%のときの脳モデルの触感について医師数名に対してアンケートを実施したところ、MBAの濃度が0.3モル%のときの圧縮弾性率が7000前後の脳モデルが、実際の脳の質感に近似しているといった知見が得られた。
次に、本脳モデルの一部の模式図について説明する。図4は、脳モデルの一部分について原案となった型の模式図を示している。この模式図は、一辺が100mmの立方体に溝がある状態を想定している。具体的には、脳表面から内部に40mmの深さのところに、直径5mmの空洞が広がっていると想定している。また、この空洞部分の内部に2本の血管が通っていると想定している。さらに、脳表面における溝の幅は、1mm以下であり、脳内部の直径5mmの空洞にかけて、なだらかに幅が大きくなる構造をしていると想定している。
また、ガラス管の内部には、血管模型としてシリコンチューブを導入している。
血管模型のシリコンチューブは、本脳モデルのゲル状のものの外部から針金を通して貫通穴を作製し、この貫通穴にシリコンチューブをゲル状外部から導入し、さらに留め具でゲル状内部に固定させている。
脳モデルは、モノマー溶液は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)に硬化剤を所定の比率(PDMS:硬化剤=10〜60:1)で添加したものを加熱反応させたもの
(1)脳組織表面形状を再現した型材の作製
実施例1と同様に、頭蓋骨から形状を採取し、CT画像データからの光造形モデルを用いて、脳組織表面形状を再現した型材を作製する。このとき、脳組織表面形状に表れる多数の溝(脳表面における溝の幅よりも、脳内部の溝の底部の幅が大きく、表面からなだらかに幅が大きくなるような構造をしている)を忠実に再現する。
モノマー溶液は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)に硬化剤を所定の比率(PDMS:硬化剤=60:1)で添加させる。
ここで、ポリジメチルシロキサン(PDMS)には、東レ・ダウコーニング(株)製のSILPOT184を用いた。
上記(1)で作製した型材に、上記(2)で調製したモノマー溶液を流し込み、150℃に保った恒温水槽中で1時間加熱反応を行う。その後、生成されたゲル状のものを蒸留水中に浸漬し、平衡に達するまで膨潤させる。
くも膜モデルとして、ポリビニルアルコール繊維で形成された不繊布に熱処理を行い更に防水加工を施したものを用いる。具体的には、くも膜モデルの材料として、ポリビニルアルコール(-(CH2-CHOH)-)の水溶液を10重量%用いる。これを、エレクトロスピニング装置(メック(株)製;NANON−01)とドラム式コレクター(横幅210mm、直径200mm、回転速度100rpm)を用いて、印可電圧12.5KV,溶液押し出し速度0.5ミリリットル/時の条件下で、ポリビニルアルコール繊維を得る。このポリビニルアルコール繊維を、シリンジ移動速度50ミリメートル/秒にて5時間集積して形成された不繊布に熱処理(150℃、15分間)を行い、更に市販の撥水スプレーを不繊布両面に吹きかけ防水加工を施す。以上のようにして、くも膜モデルを作製する。
作製されたくも膜モデルは、実際のくも膜の触感を再現するのみならず、水に対して不溶で、水透過性を抑制するといった効能がある。
また、脳血管模型として、市販医療用ドレッシング(薄いウレタン製フィルム)を管状に成形する。
2 シリコンチューブ
3 留め具
Claims (7)
- 合成高分子材料から成る脳モデルであって、脳組織表面形状を再現した型材にモノマー溶液を流し込み、加熱反応後に水で膨潤させたものであって、
前記モノマー溶液は、アクリル酸に、架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBA)を加え、開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)を加え、更に加熱により重合反応させたもの、
或いは、
前記モノマー溶液は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)に硬化剤を所定の比率(PDMS:硬化剤=10〜60:1)で添加したものを加熱反応させたものである、
ことを特徴とする手術訓練用脳モデル。 - 前記架橋剤としてのMBAの濃度は、前記モノマー溶液濃度が10重量%の場合に、0.3〜0.5モル%であることを特徴とする請求項1に記載の手術訓練用脳モデル。
- 圧縮弾性率が5000〜15000Paであることを特徴とする請求項1又は2に記載の手術訓練用脳モデル。
- 前記モノマー溶液に、更に着色剤を添加したことを特徴とする請求項1又は2に記載の手術訓練用脳モデル。
- 前記手術訓練用脳モデルに、くも膜モデルとして、ポリビニルアルコール繊維で形成された不繊布に熱処理を行い更に防水加工を施したものを、更に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の手術訓練用脳モデル。
- 前記膨潤させたものの表面に形成された溝の底部に、脳血管模型のチューブを埋入させたことを特徴とする請求項1に記載の手術訓練用脳モデル。
- 前記脳血管模型のチューブは、シリコンチューブ或いは、ウレタン薄膜を管状に成形したものであることを特徴とする請求項6に記載の手術訓練用脳モデル。
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