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JP5165398B2 - 低露点高圧ガス清浄用のフィルタ素材及びフィルタ - Google Patents

低露点高圧ガス清浄用のフィルタ素材及びフィルタ Download PDF

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Description

本発明は、半導体や液晶を製造する工程において使用される圧縮空気や不活性ガス等の、低露点の高圧ガスに不純物として含まれるアンモニア等の塩基性化合物を除去するためのフィルタ素材及びそれを有するフィルタに関する。
半導体や液晶を製造する工程においては、露光工程や製膜工程等で、圧縮空気や圧縮不活性ガス等、水分濃度の低いすなわち低露点のガスが、主に圧力0.4MPa以上のガスラインで供給されて使用される。半導体業界の技術ロードマップ「ITRS2006update」によれば、露光工程用パージガスの水分濃度は露点換算で、クリーンドライエアで−70℃以下、窒素で−80℃以下、ヘリウムで−68℃以下がそれぞれ要求されている。
これら圧縮空気や不活性ガス等の低露点ガスは、水分のみならず、それに含まれる水分以外の不純物ガスが製造工程に悪影響を及ぼし歩留まり低下の要因となるため、低露点ガス中の不純物ガス濃度を一定の水準以下に保つ必要がある。前述のロードマップITRS2006updateによれば、露光工程用パージガスの無機の酸性ガス及び塩基性ガスの要求水準は、クリーンドライエアの場合、酸0.1ppb未満、塩基1ppb未満であり、また、窒素及びヘリウムの場合、酸0.025ppb未満、塩基0.15ppb未満である。
一般大気中のアンモニアを除去する方法としては、強酸性陽イオン交換樹脂、或いは無機酸を添着した活性炭等をそれぞれ素材としたフィルタを用いる方法が一般的である。
しかし、これらの従来の素材を低露点雰囲気中で用いると、以下の問題点がある。すなわち、これら従来の素材のアンモニア除去機構は、空気中の水分と素材成分の反応により解離生成した水素イオンと、アンモニアとの中和反応に依っているため、低露点空気中では、通常空気に比べて有効な除去容量が低下する。特に、強酸性陽イオン交換樹脂はそれが著しく、ほとんど除去性能を示さない。
また、酸添着活性炭は、蒸気圧の低い硫酸やリン酸を活性炭に添着したものが一般的であるが、これらの酸により、活性炭に不純物として含まれる塩化物成分が揮発性の塩化水素となって脱離することがあり、低露点ガスを二次汚染するという問題点がある。したがって、低露点雰囲気においては、除去容量は劣るが、活性炭がフィルタ素材として主に用いられている。
フィルタ素材は通気使用により次第に除去容量を消耗するため、いずれ新しいものと交換する必要がある。交換作業は、人手を必要とするし、場合によっては、製造装置への低露点高圧ガスの供給を停止し、前記の製造工程を中断して行う作業となるため、交換頻度は極力低くすることが望ましい。しかし、従来の物理吸着型のフィルタ素材では、交換頻度を低減するようフィルタの除去容量を大きくすると、フィルタが大型かつ重量化する問題があり好まれなかった。
或いは、交換作業をなくす方法として、フィルタを取り外すことなくその場でフィルタケーシング内の素材を再生(インラインで再生)する要求もある。しかし、除去容量の小さい活性炭フィルタ素材を頻繁に再生することは、これもまた製造工程の中断に繋がる恐れがあり、しかも、再生用加熱エネルギーの観点からも合理的でない。
また、酸添着活性炭において、二次汚染の問題を解決したとしても、これの再生には、薬液処理と乾燥の工程が必要なため、煩雑である上に、低露点維持と汚染混入防止の観点から、低露点高圧ガスの浄化におけるインライン再生は、現時点において現実性に乏しい。
したがって、従来よりも除去容量が大きく長期に渡り性能を維持し、フィルタ素材自体からの二次汚染の問題がなく、インライン再生の要求にも対応可能なフィルタ素材が望まれていた。
アンモニアのような塩基性化合物の不純物を空気中から除去する方法やインライン再生に対応可能な方法としては、例えば三次元網状構造体に粘土鉱物系吸着剤を担持してなる脱臭フィルタを用いる方法(例えば、特許文献1参照。)、半導体製造雰囲気の空気を調整するために空気循環経路内に吸着材を配置し、ガス状汚染物質の吸着と吸着材の加熱による再生とを連続的に行う方法であって、吸着材に固体酸性物質を含む方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)、及び親水性ゼオライトを吸着材として用いるドライガスの浄化方法(例えば、特許文献3参照。)が知られている。
しかしながら、低露点高圧ガスの浄化には前述したような高い浄化能力が求められており、前記の方法では低露点高圧ガスの浄化能力の観点から検討の余地が残されている。
特開2002−28484号公報 特開2004−176978号公報 特開2000−334242号公報
本発明は、低露点高圧ガス中に不純物として含まれるアンモニア等の塩基性化合物除去用の高圧ガスライン用フィルタで、フィルタ素材からのアウトガスによる二次汚染の問題がなく、塩基性化合物の除去能力に優れ、インラインでも除去性能の再生可能なフィルタを提供する。
本発明は、固体酸性多孔物質が塩基性化合物を化学吸着する性質に着目し、低露点高圧ガス中に不純物として含まれるアンモニア等の塩基性化合物の除去用フィルタの素材として固体酸性多孔物質を利用することにより、前記課題を解決するものである。
本発明は、露点−20℃以下、圧力0.4MPa以上の低露点高圧ガスから、このガス中に不純物として含まれる塩基性化合物を除去するためのフィルタに用いられるフィルタ素材であって、固体酸性多孔物質を含有するフィルタ素材を提供する。
また本発明は、前記固体酸性多孔物質が、H−Y型ゼオライト、H−モルデナイト、H−フェリライト、H−ZSM−5 、H−ベータ、Al−シリケート、Ga−シリケート、Fe−シリケート、B−シリケート、Al−MCM−41、及びGa−MCM−41の群から選ばれる一以上である前記フィルタ素材を提供する。
さらに本発明は、露点−20℃以下、圧力0.4MPa以上の低露点高圧ガスが供給されるケーシングと、このケーシングに収容され、ケーシングに供給された低露点高圧ガスから、低露点高圧ガス中に不純物として含まれる塩基性化合物を除去する塩基除去性フィルタ素材とを有するフィルタであって、前記塩基除去性フィルタ素材が前記のフィルタ素材であるフィルタを提供する。
また本発明は、前記塩基除去性フィルタ素材を100℃以上に加熱可能な装置をさらに有する前記フィルタを提供する。
また本発明は、前記ケーシングに収容される、前記低露点高圧ガス中に不純物として含まれる酸性化合物を除去するための酸除去性フィルタ素材をさらに有し、前記酸除去性フィルタ素材が、前記低露点高圧ガスの流れ方向において前記塩基除去性フィルタ素材よりも上流側に配置されている前記フィルタを提供する。
また本発明は、不純物として塩基性化合物を含有する、露点−20℃以下、圧力0.4MPa以上の低露点高圧ガスを、前記のフィルタ素材に通気させて、塩基性化合物が除去された低露点高圧ガスを得る、清浄な低露点高圧ガスの製造方法を提供する。
また本発明は、前記低露点高圧ガスにおける露点が−80℃以下である、前記の清浄な低露点高圧ガスの製造方法を提供する。
また本発明は、前記フィルタ素材にガスを通気させながら前記フィルタ素材を100〜600℃に加熱する工程を断続的に含む、前記の清浄な低露点高圧ガスの製造方法を提供する。
本発明のフィルタは、半導体や液晶を製造する工程における、露光工程や製膜工程等で用いられるパージ用圧縮空気や不活性ガス等の低露点高圧ガス中に不純物として含まれるアンモニア等の塩基性化合物を、フィルタ自体からのアウトガスによる二次汚染の問題を生ずることなく高い除去率で低露点高圧ガスから除去することができる。本発明によれば、半導体製造分野で推奨される条件を満たす清浄な低露点高圧ガスを得ることができる。
また、本発明のフィルタに加熱機構を備えることにより、インラインでフィルタ素材の除去容量を再生できるため、フィルタの交換作業が不要となる。定期メンテナンス時や、フィルタ交換以外のメンテナンスの機会にフィルタの加熱再生を行うことにより、フィルタ交換のために従来設けていた、浄化された低露点高圧ガス雰囲気で製造される製品の製造における製造工程の中断を省くことができ、前記製品の生産性の向上に繋がる。
さらに本発明のフィルタにおいて、本発明における塩基除去性フィルタ素材の上流側に酸除去性フィルタ素材を併設すると、酸及び塩基の両方について高度に浄化された、より一層清浄な低露点高圧ガスを得ることができる。
本発明のフィルタ素材は、固体酸性多孔物質を含む。一般に、金属酸化物の多孔性物質の中には固体酸性を示す物質があり、それらの物質は、多くの工業用有機化学反応プロセス(クラッキング、水素化分解、アルカン、アルケンの異性化、芳香族化合物の部分酸化、プロパン、ブタンの芳香族化等)の有用な固体酸触媒として一般的に利用されている。本発明における固体酸性多孔物質はそのような物質から選ばれる。前記固体酸性多孔物質は一種でも二種以上でもよい。
前記固体酸性多孔物質が有する固体酸性としては、例えば文献「表面化学 Vol.24,No.10,p.635−641,2003」に記載されているように、多孔物質骨格内の酸性OH基(ブレンステッド酸点)による酸性と、多孔物質の骨格内外に分散したAl等のカチオン(ルイス酸点)による酸性とが挙げられる。これらの酸点は、いずれもアンモニア等の塩基性分子を化学吸着することができる。この化学吸着における吸着熱は
、アンモニアやピリジンで約75kJ/mol〜約200kJ/molであるので、前記固体酸性多孔物質に化学吸着した塩基性化合物は、100℃〜600℃に加熱することによって脱離させることができる。
前記固体酸性は、前記文献「表面化学」に記載されているように、固体酸触媒の研究/開発分野において、酸点の量と酸強度を測定評価するための標準的な手法となっている、固体酸触媒にアンモニアを吸着させたのちに加熱したときに脱離するアンモニアの量を測定する方法(アンモニア昇温脱離法)によって調べることができる。前記固体酸性多孔物質の固体酸性は、前記アンモニア昇温脱離法において、酸点の量が0.5mol/kg〜5mol/kgであることが好ましい。アンモニア昇温脱離法については、文献「吸着の化学と応用 p.101−109,講談社,2003」や「ゼオライトの科学と工学 p.71−73,講談社,2000」にも開示されている。
前記固体酸性多孔物質は、低露点高圧ガス中の前記塩基性化合物が十分に固体酸性多孔物質の表面と接触する多孔性を有することが好ましい。固体酸性多孔物質の多孔性は、例えば窒素吸着法によって測定することができ、これによって測定されるBET比表面積が250m2/g〜1,000m2/gであることが好ましい。
前記固体酸性多孔物質としては、例えば固体酸型ゼオライト及びメソポーラス固体酸物質が挙げられ、前記固体酸型ゼオライトとしては、例えばH型ゼオライト及びメタロシリケートが挙げられる。
前記H型ゼオライトとしては、例えば骨格内のNaを水素で置換したゼオライトが挙げられ、このような水素置換ゼオライトとしては、例えばH−Y型ゼオライト、H−モルデナイト、H−フェリライト、H−ZSM−5、及びH−ベータが挙げられる。前記水素置換ゼオライトは、Y型ゼオライトのNa+をNH4 +とイオン交換後350℃以上で焼成することでH型化するか、或いはY型ゼオライト、モルデナイト、フェリライト、ZMS−5、ベータに、水熱処理或いは酸処理等の疎水化処理を施すことによりH型化するか、のいずれかで得られる。
前記メタロシリケートとしては、例えばFe−シリケート、Ga−シリケート、及びB−シリケートが挙げられる。これらのメタロシリケートは、MFI構造を持つアルミノシリケートにおいて、骨格内Alの一部を、Fe、或いはGa、或いはBで置換することによって得られる。Alの置換は、低露点高圧ガスから不純物としての塩基性化合物を化学吸着するのに十分な固体酸性が得られる程度であればよく、全Al中の10モル%以上が上記元素で置換されていることが好ましい。
前記メソポーラス固体酸物質としては、例えばAl−MCM−41、及びGa−MCM−41が挙げられる。これらのメソポーラス固体酸物質は、細孔径3〜5nmのメソ孔を持つヘキサゴナル構造のメソポーラスモラキュラシーブMCM−41に、Al、或いはGaを導入することによって得られる。Al又はGaの導入は、低露点高圧ガスから不純物としての塩基性化合物を化学吸着するのに十分な固体酸性が得られる程度であればよく、MCM−41中のNaに対して10モル%以上のAl又はGaが導入されていることが好ましい。
前記固体酸性多孔物質の化学組成は、例えばエネルギー分散型X線分析(EDX)によって確認することができる。なお、前記H型ゼオライトの場合、固体酸性は主にブレンステッド酸点に由来し、また、メタロシリケート及びメソポーラス固体酸物質の場合、固体酸性は主にルイス酸点に由来することが知られている。
前記フィルタ素材は、前記固体酸性多孔物質のみから形成されていてもよいし、フィルタ素材を形成するための他の物質をさらに含んでいてもよい。フィルタ素材における固体酸性多孔物質の含有量は、フィルタ素材の形態に応じて決めることができ、例えばフィルタ素材の形態がハニカム構造体である場合には、低露点高圧ガスからの不純物としての塩基性化合物の除去を可能にする観点から、フィルタ素材に対して5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、例えばフィルタ素材の形態がペレットである場合には、フィルタ素材に対して50質量%以上であることが好ましい。
前記フィルタ素材の形態は、ガス中の不純物の除去に通常用いられる形態を利用することができる。このようなフィルタ素材の形態としては、例えばケーシングに充填されるペレットの形態、及びケーシングに収容される通気性構造体の形態が挙げられる。前記通気性構造体としては、例えば三次元網目構造体、及び特許文献3に開示されているような、平行な複数の通気路が束状に形成されているハニカム構造体が挙げられる。
固体酸性多孔物質を構成成分として含むハニカム構造体の形態のフィルタ素材は、固体酸性多孔物質粉末を金属酸化物微粒子コロイド溶液と混合したスラリーとなし、このスラリーをハニカム形状に成型したセラミックペーパに含浸したのち、350℃以上で焼成することにより成すか、或いは、固体酸性多孔物質粉末とバインダ金属酸化物微粒子コロイドの粘土状混合物をハニカム状に押し出し成型し、350℃以上で焼成することで形成することができる。
また、固体酸性多孔物質を構成成分として含む三次元網状構造体の形態のフィルタ素材は、固体酸性多孔物質粉末を金属酸化物微粒子コロイド溶液と混合したスラリーとなし、このスラリーをウレタン等の樹脂製或いはセラミック製の三次元網状構造体に含浸或いは網線表面に付着させたのち、350℃以上で焼成することにより形成することができる。
また、固体酸性多孔物質を構成成分として含むペレットの形態のフィルタ素材は、固体酸性多孔物質粉末とバインダ金属酸化物微粒子コロイドの粘土状混合物を粒状に押し出し成型し、350℃以上で焼成することにより得ることができる。
また、市販の固体酸性多孔物質ペレットを用いることもできる。このような固体酸性多孔物質のペレットの市販品としては、例えば日揮ユニバーサル株式会社製LZY−84が挙げられる。
また、前記フィルタ素材は、前記固体酸性多孔物質の前駆物質で所望の形態を形成した後に、この前駆物質を固体酸性多孔物質とする適当な処理を施すことによって形成することができる。
例えば、固体酸性多孔物質を構成成分として含むハニカム構造体の形態のフィルタ素材は、Y型ゼオライト、モルデナイト、フェリライト、ZMS−5、ベータのうち少なくとも1種類以上の粉末と金属酸化物微粒子コロイド溶液とを混合したスラリーとなし、このスラリーをハニカム形状に成型したセラミックペーパに含浸、350℃以上で焼成したのち、H型化処理を施すことによって形成することができる。
或いは、固体酸性多孔物質を構成成分として含むハニカム構造体の形態のフィルタ素材は、固体酸性多孔物質粉末とバインダ金属酸化物微粒子コロイドの粘土状混合物をハニカム状に押し出し成型し、350℃以上で焼成したのち、H型化処理を施すことによって形成することができる。
また、固体酸性多孔物質を構成成分として含む三次元網状構造体の形態のフィルタ素材
は、Y型ゼオライト、モルデナイト、フェリライト、ZMS−5、ベータのうち少なくとも1種類以上の粉末と金属酸化物微粒子コロイド溶液とを混合したスラリーとなし、このスラリーをウレタン等の樹脂製或いはセラミック製の三次元網状構造体に含浸或いは網線表面に付着させ350℃以上で焼成したのち、H型化処理を施すことによって形成することができる。
また、固体酸性多孔物質を構成成分として含むペレットの形態のフィルタ素材は、Y型ゼオライト、モルデナイト、フェリライト、ZMS−5、ベータのうち少なくとも1種類以上の粉末と金属酸化物微粒子コロイドの粘土状混合物を粒状に押し出し成型し、350℃以上で焼成したのち、H型化処理を施すことによっても得ることができる。
また、市販のY型ゼオライト、モルデナイト、フェリライト、ZMS−5、ベータのいずれかのペレットを、H型化処理を施したものを1種類単独或いは2種類以上を混合してペレットの形態の前記フィルタ素材として用いることもできる。このような前記前駆物質のペレットの市販品としては、例えば日揮ユニバーサル株式会社製LZY−54が挙げられる。
前記フィルタ素材は、露点−20℃以下、圧力0.4MPa以上の低露点高圧ガスから、このガス中に不純物として含まれる塩基性化合物を除去するためのフィルタに用いられる。前記低露点高圧ガスにおけるガスの種類は、特に限定されず、また一種でも二種以上でもよい。このようなガスの種類としては、例えば空気、窒素、例えば不活性ガス等が挙げられる。なお、露点とは、高圧ガスのその圧力における露点(圧力露点)を意味する。
前記低露点高圧ガスの露点は、より高度な清浄ガスを要する半導体製造工程への利用を可能とする観点から、−80℃以下であることが好ましい。また低露点高圧ガスの圧力は、通常の耐圧設備の利用を可能にする観点から、0.4〜1MPaであることが好ましい。
前記塩基性化合物は一種でも二種以上でもよい。塩基性化合物としては、例えばアンモニアが挙げられる。前記低露点高圧ガス中における塩基性化合物の濃度は、前記低露点高圧ガスから前記固体酸性多孔物質によって塩基性化合物を除去することができる(例えば処理後の清浄な低露点高圧ガス中における塩基性化合物の濃度が好ましくは1ppb以下、より好ましくは0.15ppb以下になる)濃度であればよいが、10ppb未満であることが好ましく、5ppb未満であることがより好ましい。
本発明のフィルタは、ケーシングと、このケーシングに収容される前記フィルタ素材とを有する。前記フィルタにおいて、前記フィルタ素材は、低露点高圧ガスから塩基化合物を十分に除去する観点から、SV値(フィルタ素材の体積に対する低露点高圧ガスの流量の比)で1,000〜100,000毎時となるように、又は圧力損失が0.1MPa以下となるように形成され、又は充填されることが好ましい。
前記ケーシングには、前記フィルタ素材を収容し、低露点高圧ガスの通気路中にフィルタ素材を保持することができる部材が用いられる。このようなケーシングとしては、金属酸化物を吸着材とする公知のフィルタであって、低露点高圧ガスの供給に耐え得る十分な耐圧性を有する公知のケーシングを用いることができる。前記ケーシングは、ステンレス、鉄、或いは銅等の融点が好ましくは1,000℃以上の金属で形成されていることが、フィルタ素材を加熱により再生する際の耐熱性と前記耐圧性との両方を有する観点から好ましい。
本発明のフィルタは、前記ケーシング及びフィルタ素材以外の他の構成要素をさらに有
していてもよい。このような他の構成要素としては、例えばフィルタ素材再生用の加熱装置及び酸除去性フィルタ素材が挙げられる。
前記加熱装置は、前記フィルタ素材の除去容量を再生するための装置であり、フィルタ素材を通気しながら100℃以上に加熱することができる装置である。加熱装置は一種でも二種以上でもよい。加熱装置は、フィルタ素材を、除去容量を十分に再生する観点から100℃以上に加熱する装置であることが好ましく、他の部材の熱劣化の防止や経済性の観点から600℃以下で加熱する装置であることが好ましく、これら両方の観点から350〜600℃に加熱することができる装置であることがより好ましい。
前記加熱装置としては、フィルタ素材を加熱する装置や、フィルタ素材に供給されるガスを加熱する装置が挙げられ、例えば前記ケーシングの外面に設けられケーシングごとフィルタ素材を加熱するリングヒータ等の電気ヒータ、フィルタ素材の芯部に挿入設置してフィルタ素材を加熱するシーズヒータ、及びフィルタ素材上流部のガス流路にヒータを設置してフィルタへの通気ガスを加熱するガス加熱装置等が挙げられる。前記加熱装置は、フィルタ素材を加熱しながら低露点空気をフィルタへ少量供給し、通過したガスをフィルタから系外に排気することで、フィルタを設置場所から取り外すことなくインラインで再生することを可能にする。
前記酸除去性フィルタ素材には、低露点高圧ガスに不純物として含まれる酸性化合物を吸着によって除去することができる公知のフィルタ素材を用いることができる。酸除去性フィルタ素材の形態は、多数のペレット等のケーシングに充填される形態であってもよいし、ハニカム構造体等の通気性の担体に担持されてケーシングに収容される形態であってもよい。酸除去性フィルタ素材としては、例えば酸除去性薬剤を表面に有する吸着剤を含むペレットが挙げられ、前記酸除去性薬剤には例えば炭酸ナトリウム及び炭酸カリウム等のアルカリ金属塩が挙げられ、前記吸着剤には例えば活性炭が挙げられる。
なお、前記酸性化合物は一種でも二種以上でもよい。酸性化合物としては、例えば二酸化硫黄が挙げられる。前記低露点高圧ガス中における酸性化合物の濃度は、前記低露点高圧ガスから前記酸除去性フィルタ素材によって酸性化合物を除去することができる濃度であればよいが、10ppb未満であることが好ましく、5ppb未満であることがより好ましい。
酸除去性フィルタ素材は、低露点高圧ガスのアウトガスによる汚染を防止する観点から、前記ケーシングにおいて、前述の本発明のフィルタ素材の上流側に収容されることが好ましい。酸除去性フィルタ素材は、低露点高圧ガスに不純物として酸性化合物が含まれる場合に酸性化合物を低露点高圧ガスから除去することを可能とし、さらに清浄な低露点高圧ガスを得ることができる。
塩基性化合物が除去された清浄な低露点高圧ガスは、不純物として塩基性化合物を含有する、露点−20℃以下、圧力0.4MPa以上の低露点高圧ガスを本発明の前記フィルタ素材に通すことによって得られる。このような清浄な低露点高圧ガスの製造には、前記フィルタ素材は前述したフィルタの形態で用いることができる。
清浄な低露点高圧ガスの製造において、前記フィルタ素材の除去容量は、フィルタ素材にガスを通気させながらフィルタ素材を100〜600℃に加熱することによって回復させることができる。フィルタ素材の再生は、前述した加熱装置を用いて行ってもよいし、フィルタ素材を100〜600℃の温度に加熱することができる高温(例えば100〜600℃)のガスを前記フィルタへ供給することによって行ってもよい。フィルタ素材の再生時にフィルタ素材に通されるガスは、低露点高圧ガスでもよいし、他のガスであっても
よい。このときの通気量は、清浄な低露点高圧ガス製造時のSV値の10〜100%程度であることが好ましい。フィルタ素材の再生は、所定の間隔で行われてもよいし、フィルタ素材の除去能力の低下に応じて行われてもよい。
本発明のフィルタは、例えば図1に示されるように、ケーシング1と、ケーシング1に収容されるフィルタ素材2とを有する。
ケーシング1は開閉自在な耐圧容器であり、一端に開口端を有する容器3と、容器3の開口端縁の外側に形成されているフランジ部4と、フランジ部4と同径のフランジ部4’を有しフランジ部4及び4’の密着によって容器3の開口部を塞ぐ蓋5と、容器3の他端及び蓋5のそれぞれに設けられ、配管と接続自在なノズル6と、ケーシング1内の両端に配置され、ケーシング1に収容されたフィルタ素材2の移動を規制するための規制部材7とを有している。蓋5は、フランジ部4及び4’に係合するクランプユニオン継手によって開閉自在に容器3の開口部を塞ぐ。
フィルタ素材2は、固体酸性多孔物質を担持するハニカム構造体である。このハニカム構造体は、前述したように、例えば固体酸性多孔物質の粉末と金属酸化物の微粒子のコロイド溶液とを混合したスラリーに、セラミックペーパをハニカム形状に成型してなるハニカム構造体を浸漬し、得られたハニカム構造体を350℃以上で焼成することにより得られる。
ノズル6を低露点高圧ガスが通じる配管に接続し、前記フィルタに低露点高圧ガスを通気することで、低露点高圧ガス中に不純物として含まれるアンモニア等の塩基性化合物はフィルタ素材2に吸着され除去される。低露点高圧ガス中の塩基性化合物は、主にフィルタ素材2による化学吸着によって低露点高圧ガス中から除去される。酸性化合物等の低露点高圧ガス中の他の不純物は、塩基性化合物程除去されないが、主にフィルタ素材2による物理吸着によって、一部が低露点高圧ガス中から除去される。
塩基性化合物を吸着除去するにしたがい前記フィルタの除去能力はやがて消耗するが、フィルタ素材2を100℃〜600℃で加熱しながら通気することで除去能力を回復再生することができる。フィルタ素材2の再生は、例えば不図示のリングヒータ等の電気ヒータを容器3の外周面に設置し、設置した電気ヒータを断熱材で覆い、フィルタ素材2に微量のガスを供給し、フィルタからの排気を前記配管の外へ排出しながら、電気ヒータによってケーシング1ごとフィルタ素材2を100〜600℃の温度に1〜12時間加熱することによって行われる。
図1で示されるフィルタに低露点高圧ガスを通気させることにより、低露点高圧ガスから塩基性化合物が除去された清浄な低露点高圧ガスを得ることができる。この清浄な低露点高圧ガスの製造において、塩基性化合物の除去に伴うアウトガスは発生しない。またフィルタ素材2の塩基性化合物の除去容量は、ケーシング1ごとフィルタ素材2を加熱することによって、フィルタを前記配管から外すことなく回復させることができる。
また本発明のフィルタは、例えば図2に示されるように、ケーシング11と、ケーシング11内の通気方向の下流側に収容される塩基除去性フィルタ素材12と、ケーシング11内の通気方向の上流側に収容される酸除去性フィルタ素材22とを有する。
ケーシング11は開閉自在な耐圧容器であり、一端に開口端を有する容器13と、容器13の開口端縁の外側に形成されているフランジ部14と、フランジ部14と同径のフランジ部14’を有しフランジ部14及び14’の密着によって容器13の開口部を塞ぐ蓋15と、容器13の他端及び蓋15のそれぞれに設けられ、配管と接続自在なノズル16
と、ケーシング11内の両端に配置され、ケーシング11に収容されたフィルタ素材2の移動を規制するための規制部材17とを有している。蓋15は、フランジ部14及び14’に係合するクランプユニオン継手によって開閉自在に容器13の開口部を塞ぐ。
塩基除去性フィルタ素材12は、固体酸性多孔物質を担持するハニカム構造体である。このハニカム構造体は、前述したように、例えば固体酸性多孔物質の粉末と金属酸化物の微粒子のコロイド溶液とを混合したスラリーに、セラミックペーパをハニカム形状に成型してなるハニカム構造体を浸漬し、得られたハニカム構造体を350℃以上で焼成することにより得られる。
酸除去性フィルタ素材22は、塩基性薬剤が添着された活性炭のペレットである。このペレットには、例えば日本エンバイロケミカルズ株式会社製GA3XやGTSXを用いることができる。
ノズル16を低露点高圧ガスが通じる配管に接続し、前記フィルタに低露点高圧ガスを通気することで、低露点高圧ガス中に不純物として含まれる酸性化合物がフィルタ素材22によって吸着除去され、アンモニア等の塩基性化合物がフィルタ素材12によって吸着除去される。低露点高圧ガス中の酸性化合物は、主にフィルタ素材22による化学吸着によって低露点高圧ガスから除去される。低露点高圧ガス中の塩基性化合物は、主にフィルタ素材12による化学吸着によって低露点高圧ガスから除去される。その他の化合物の中には、フィルタ素材22及び12による物理吸着によって低露点高圧ガスから除去されるものもある。
フィルタ素材12は、例えば不図示のリングヒータ等の電気ヒータを容器13の他端側外周面に設置し、図1のフィルタにおける再生と同様に再生することができる。又はフィルタ素材12は、例えばフィルタ素材12に予め挿入されている不図示のシーズヒータによってフィルタ素材12を所望の温度まで加熱することによって再生することができる。
なお、フィルタ素材12の再生時におけるフィルタ素材22への熱の伝導を防ぐ観点から、フィルタ素材12とフィルタ素材22との間に、金属酸化物によるペレットを充填し、又はセラミックペーパによるハニカム構造体や金属酸化物による三次元網目構造体等の多孔質体を介在させてもよい。
またフィルタ素材22が金属酸化物による部材であるような、加熱によって再生できる場合は、例えばケーシング11全体を加熱することによって、フィルタ素材12及び22を同時に再生してもよい。
図2で示されるフィルタは、図1のフィルタと同様に、不純物として低露点高圧ガスに含まれる酸性化合物及び塩基性化合物を、これらの不純物の除去に伴うアウトガスを発生せずに低露点高圧ガスから除去することができる。また前記フィルタは、フィルタ素材12の塩基性化合物の除去容量を、フィルタを前記配管から外すことなく回復させることができる。さらに前記フィルタは、フィルタ素材12及び22の収容容積比に応じて、それぞれのフィルタ素材の除去対象不純物の除去容量の比を調整することができる。
本発明のフィルタ素材と従来のフィルタ素材4種類の、計5種類のフィルタ素材について、通気雰囲気の露点とアンモニア除去容量の関係を調べた結果を以下に記す。本発明のフィルタ素材には、H−Y型ゼオライト粉末としてUOP社製HISIV6000、バインダとしてシリカゾルを用い、これらの粘土状混合物を粒状に押し出し成型し、350℃以上で焼成して得られた、H−Y型ゼオライトを80重量%で含む直径約4mmの球状ペ
レット(かさ密度0.55g/mL)を用いた。従来のフィルタ素材には、強酸性陽イオン交換樹脂フィルタ素材(ダンタクマ社製CS−C、かさ密度0.23g/mL)と、酸添着活性炭の直径約4mmの球状ペレット(酸添着ヤシ殻活性炭、ヤシ殻活性炭45質量%以上、リン酸10質量%未満、硫酸10質量%未満、水30〜35質量%、かさ密度0.70g/mL)と、活性炭の直径約4mmの球状ペレット(日本エンバイロケミカルズ株式会社製G2X、かさ密度0.51g/mL)、及びY型ゼオライトの直径約1.5mm、長さ約6mmの円柱状ペレット(UOP社製HISIV1000、かさ密度約0.55g/mL)をそれぞれ用いた。
前記本発明及び従来のフィルタ素材をそれぞれ、内寸15mm×15mmのステンレス製角管内に20mmの長さで、体積4.5cm3となるように充填した。各フィルタ素材を充填したそれぞれの前記角管に、所定の露点に調整した精製空気にアンモニア標準ガスを添加し、アンモニア濃度を900ppbに調整した雰囲気を5L/minで通気し、前記角管の下流側のアンモニア濃度の経時変化を測定した。なお、アンモニア濃度の測定は、乾式アンモニア濃度計(日本サーモエレクトロン社Model17C)で行った。通気開始から下流側アンモニア濃度が上流側と同じ900ppbとなる期間について、上下流側でのアンモニア濃度差の時間積分値と通気流量の積を算出し、これを各フィルタ素材のアンモニア除去容量とした。異なる露点条件で測定した各フィルタ素材のアンモニア除去容量の測定結果を表1に示す。なお、除去容量には、フィルタ素材の体積1L当たりに換算した値を示す。
Figure 0005165398
固体酸性多孔物質は露点が低くなるほど除去容量が大きく、一方、イオン交換樹脂と酸添着活性炭は、露点が低くなると除去容量が小さくなる傾向がある。高露点雰囲気で固体酸性多孔物質の除去容量が小さくなるのは、水分子の酸点への吸着力はアンモニア分子に比べて小さいけれども、高濃度の水分子はアンモニア分子の酸点への吸着の競合因子として無視できなくなるためであると考えられる。また、イオン交換樹脂と酸添着活性炭の除去容量が低露点で小さくなるのは、これらの素材のアンモニア除去機構は、主に、空気中の水分と素材成分の反応により解離生成した水素イオンとアンモニアとの中和反応に依っているため、水分濃度の低い低露点雰囲気では解離生成する水素イオンが減少し、それに伴いアンモニアとの中和反応も減少するためである。
露点−20℃以下の低露点雰囲気におけるアンモニア除去容量は、固体酸性多孔物質と酸添着活性炭が約400mmol/Lで同程度で最も大きく、Y型ゼオライトは固体酸性多孔物質のアンモニア除去容量の1/14程度、活性炭は1/20程度と小さく、また、
イオン交換樹脂は露点−20℃以下の低露点雰囲気では、ほとんど除去性能がないことがわかった。
次に、低露点で除去容量の大きかった固体酸性多孔物質と酸添着活性炭について、水溶性アウトガス成分を測定した結果を記す。各フィルタ素材を、内寸15mm×15mmのステンレス製角管内に50mmの長さとなるように充填した。充填した各フィルタ素材に、露点−80℃の精製空気をそれぞれ2L/min(流量/フィルタ体積=SV値:10,667/h)で通気し、前記角管の上下流側での雰囲気を、超純水を吸収液とするインピンジャにそれぞれ24時間バブリングすることにより、各雰囲気中の水溶性アウトガス成分をそれぞれの吸収液に捕集した。なお、インピンジャ入口側には、粒子除去フィルタを設置し、吸収液中に粒子に由来するイオン成分が混入しない条件でバブリングを行った。
回収した吸収液をイオンクロマトグラフ(ダイオネクス社DX−500)にて分析し、捕集された水溶性アウトガス成分濃度を測定した。濃度と吸収液量の積から求めた水溶性アウトガス成分の捕集量をバブリング採気量で除して、各クリーンドライエア中の水溶性アウトガス成分の濃度を算出した。下流側の濃度から上流側濃度を差し引いた下流側濃度の増加分を各フィルタ素材のアウトガス成分の濃度とした。各素材の水溶性アウトガス成分の測定結果を表2に示す。
Figure 0005165398
固体酸性多孔物質は、すべての成分についてアウトガスが認められなかったが、酸添着活性炭は、塩化物イオンが気中濃度換算で0.5ppb検出された。この塩化物イオンは、粒子除去フィルタで除去されないことから、揮発性ガスである塩化水素に由来すると考えられる。一般的にフィルタ素材は、SV値が数千/h〜数万/hの通気条件で用いられるため、SV値約1万/hの条件で観測されたアウトガス濃度0.5ppbという結果は、ITRS2006updateによる露光工程用パージガスの無機酸性ガスの要求水準である0.1ppb未満(クリーンドライエア)や0.025ppb未満(窒素及びヘリ
ウム)を、上記一般的通気条件では上回る場合があり、要求を満足できないことを意味する。このことから、酸添着活性炭は、露光工程用パージガスに用いられる低露点高圧ガスの不純物除去用の用途としては、塩化水素アウトガスによる二次汚染の問題があるため、フィルタ素材としては好ましくないことがわかった。
以上の除去容量とアウトガスの測定結果から、露光工程用パージガス等の低露点高圧ガス中に不純物として含まれるアンモニア等の塩基性化合物除去用のフィルタ素材としては、低露点雰囲気で除去容量が大きく、かつアウトガスによる二次汚染の問題のない固体酸性多孔物質が最も適していると言える。
次に、固体酸性多孔物質の除去容量の再生について調べた結果を記す。上記と同様の方法によって除去容量を測定し、アンモニアを容量の飽和まで吸着したH−Y型ゼオライトの2つのサンプルを、ステンレス角管に充填したまま電気炉内に設置し、ステンレスチューブを接続し0.2L/minでクリーンドライエアを通気しながら100℃、350℃或いは600℃で3時間加熱(加熱パージ)し容量の再生を行った。同処理後のサンプルを用いて、再び除去容量の測定を前記と同様の方法で行い、再生された容量を求めた。
その結果、除去容量は、100℃再生サンプルは約8mmol/L、350℃再生サンプルは約105mmol/L、600℃再生サンプルは415mmol/Lであり、それぞれ初期除去容量420mmol/Lに対し、約2%と約25%と約99%の除去容量が再生できたことを確認した。なお、固体酸性多孔物質の種類が変わっても、前述のように、塩基性化合物の酸点への化学吸着による除去機構は共通しており、吸着力すなわち吸着熱は特定の範囲にあるため、100℃〜600℃の間で、いずれの種類の固体酸性多孔物質も加熱再生可能であることは明白である。
また、再生する容量の量や割合は、上記実験のごとく再生条件(加熱パージの温度、時間、流量)で制御可能であり、このことは従来の吸着/再生操作のプロセスと同様である。したがって、フィルタの諸条件(固体酸性多孔物質の種類と量、フィルタ素材の構造、大きさ等)、処理条件(処理ガス流量、塩基性化合物濃度、使用頻度)、及び再生条件の相互関係は、従来の吸着/再生操作の設計技術を適用すれば、容易に設計することができる。
次に、半導体製造工程のパージガスラインに、当フィルタ素材を収容したフィルタを適用し、パージガス中に一般大気中の濃度レベルでアンモニアが不純物として混入した場合を想定して、当フィルタでパージガスを浄化可能かどうか、アンモニアの初期除去性能を確認した例について以下に記す。
H−Y型ゼオライト粉末(UOP社製HISIV6000)をシリカゾルコロイド溶液と混合してスラリーとなし、このスラリーをハニカム形状に成型したセラミックペーパに含浸したのち、350℃以上で焼成することにより、H−Y型ゼオライトを30重量%で含む直径40mm×流路方向長さ50mm、1cm2当たり34個の流路を持つ円筒状のハニカム状のフィルタ素材を作製した。このフィルタ素材を、内径40mm×長さ100mmで両端に配管接続孔(ノズル)を持つステンレス製のフィルタケーシングに収容してフィルタを構成し、このフィルタを前記配管接続孔で配管と接続した。一方で半導体製造工程のパージガスにアンモニア標準ガスを添加することにより、アンモニアを濃度10ppbで含む0.4MPaの圧縮空気を生成し、この圧縮空気を50L(N)/minで前記配管に供給した。なお、前記圧縮空気における露点は−20℃と−80℃の条件とした。
フィルタの上下流側の配管の雰囲気を、超純水を吸収液とするインピンジャにそれぞれ
24時間バブリングすることにより、各雰囲気中のアンモニアを吸収液に捕集した。回収したそれぞれの吸収液をイオンクロマトグラフ(ダイオネクス社DX−500)にて分析し、捕集されたアンモニアの濃度を測定した。濃度と吸収液量の積から求めたアンモニア捕集量をバブリング採気量で除して、フィルタ上下流雰囲気のアンモニア濃度を算出した。測定結果を表3に示す。
Figure 0005165398
いずれの露点の条件においても、フィルタ下流側のアンモニアの濃度は0.1ppb以下で、アンモニアの除去率は99%以上であることを確認した。このことから、露光工程用パージガスに、一般大気中の濃度レベルである10ppb程度でアンモニアが不純物として混入した場合でも、当フィルタを用いれば、ITRS2006updateの塩基の要求水準である1ppb未満(クリーンドライエア)や、0.15ppb未満(窒素及びヘリウム)を満足する濃度レベルまでパージガスを浄化可能であることが示された。
本発明のフィルタの一実施の形態を示す要部断面図である。 本発明のフィルタの他の実施の形態を示す要部断面図である。
符号の説明
1、11 ケーシング
2、12、22 フィルタ素材
3、13 容器
4、4’、14、14’ フランジ部
5、15 蓋
6、16 ノズル
7、17 規制部材

Claims (7)

  1. 露点−20℃以下、圧力0.4MPa以上の低露点高圧ガスから、このガス中に不純物として含まれる塩基性化合物を除去するためのフィルタに用いられるフィルタ素材であって、H−Y型ゼオライトある固体酸性多孔物質を含有するフィルタ素材。
  2. 露点−20℃以下、圧力0.4MPa以上の低露点高圧ガスが供給されるケーシングと、このケーシングに収容され、ケーシングに供給された低露点高圧ガスから、低露点高圧ガス中に不純物として含まれる塩基性化合物を除去する塩基除去性フィルタ素材とを有するフィルタであって、
    前記塩基除去性フィルタ素材は請求項1に記載のフィルタ素材であることを特徴とするフィルタ。
  3. 前記塩基除去性フィルタ素材を100℃以上に加熱可能な装置をさらに有することを特徴とする請求項2に記載のフィルタ。
  4. 前記ケーシングに収容される、前記低露点高圧ガス中に不純物として含まれる酸性化合物を除去するための酸除去性フィルタ素材をさらに有し、
    前記酸除去性フィルタ素材は、前記低露点高圧ガスの流れ方向において前記塩基除去性フィルタ素材よりも上流側に配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のフィルタ。
  5. 不純物として塩基性化合物を含有する、露点−20℃以下、圧力0.4MPa以上の低露点高圧ガスを、請求項1のフィルタ素材に通気させて、塩基性化合物が除去された低露点高圧ガスを得る、清浄な低露点高圧ガスの製造方法。
  6. 前記低露点高圧ガスにおける露点が−80℃以下であることを特徴とする請求項5に記載の清浄な低露点高圧ガスの製造方法。
  7. 前記フィルタ素材にガスを通気させながら前記フィルタ素材を100〜600℃に加熱する工程を断続的に含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の清浄な低露点高圧ガスの製造方法。
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