以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る製造計画作成システムの概略構成を示すブロック図である。図1において本発明の製造計画作成システム(「本システム」とも称する)は、大きくは、製造計画組込作成部250、製造計画詳細作成部260、及び、マスタデータ管理部270に分かれて構成されている。後でも説明するが、製造計画詳細作成部260と製造計画組込作成部250との間で計画作業データについてフィードバックループを構成する。また製造計画詳細作成部260と製造計画組込作成部250の両者にマスタデータ管理部270から必要なマスタデータを随時供給できるよう構成している。このような構成を有する製造計画作成システムについては、本出願人が先に出願した特願2006−337491(以下、先行発明という)に記載したものと同じである。そこで本題の説明に入る前に先行発明で説明した構成並びに動作を説明する。これは本題の発明と先行発明とが大部分で共通してからである。そして先行発明の説明が一段落したところで本題の発明について説明することにする。
図1において製造計画組込作成部250、製造計画詳細作成部260、及び、マスタデータ管理部270は相互に関連しており、相互間において処理の流れを実線で、データの流れを破線で示す。
処理の流れに沿って、まず製造計画組込作成部250を説明する。製造計画組込作成部250は、依頼データ取入部202、依頼・計画比較部203、製造負荷チェック部204、発番・変更情報作成部205、全件依頼データファイルT18、差分依頼データファイルT19、最新オーダデータファイルT16、オーダ差分データファイルT21でもって構成されている。
製造計画組込作成部250は、まずインターフェース201を経て、依頼元システム(後で説明する)、製造現場システム(後で説明する)、調達システム(後で説明する)とデータの遣り取りを行う。
インターフェース201は、依頼元システムなどが管理する外部仕様のデータ形式を内部仕様のデータ形式に変換し、又は内部仕様データ形式を外部仕様データ形式に変換してデータを依頼元システムなどに渡す。そのためインターフェース201はデータ形式の変換に必要な情報を定義する定義テーブル(図28参照)を備えている。
依頼データ取入部202は、依頼元システム(後で説明する)から取り込んだ全件依頼データを図2にそのデータ構造を示す全件依頼データファイルT18に格納し、また依頼データ取入部202は、依頼元システム(後で説明する)から取り込んだ差分依頼データを図3にそのデータ構造を示す差分依頼データファイルT19に格納する。図3に示すデータ構造から分かるように差分依頼データには、図2に示す全件依頼データのデータ構造には無い「変更区分」データ、「製造年月日(旧)」データおよび「製造年月日(新)」データを含む。そして依頼データ取入部202は、依頼元から直接送られてくる依頼データ(オーダ)を差分依頼データとして本システムが具有する入力機能(図示省略)を使って入力し、図3に示す差分依頼データ構造となるように差分依頼データを編集し、必要であれば追加、削除を行った後で差分依頼データを図2に示す全件依頼データファイルT18に格納する。これについては後で説明する。格納後、依頼データ取入部202は、全件依頼データ及び差分依頼データを全件依頼データファイルT18及び差分依頼データファイルT19から取込み、取込んだ依頼データを図4にそのデータ構造を示す最新オーダデータファイルT16に格納する。図4に示す最新オーダデータファイルT16は、図2に示す全件依頼データファイルT18及び図3に示す差分依頼データファイルT19に示したデータ項目に関するデータの外、仮計画確定部210により仮確定されたデータ、計画確定・結果報告部211により確定された製造計画データも格納される。
依頼・計画比較部203は、図4に示す最新オーダデータファイルT16に格納された図2及び図3に係る依頼データと図5にそのデータ構造を示す内部オーダテーブルT12に格納されている計画中データとを本システムが具有するワークメモリ(図示省略)に取り込んで本システムが具有する演算機能(図示省略)を使って比較し、その結果を本システムが具有する出力機能(図示省略)を使って画面表示(図11参照)する。そして依頼変更の有無および納期と製造実行日との差異を表示画面で確認する。差異や変更の有る箇所については画面上でその表示色を変えるので確認作業を容易に行うことができる。
製造負荷チェック部204は、取込んだ依頼データを自工場(自社)で製造することにしたときの製造負荷が自工場(自社)の製造能力を超えるかを本システムが具有する演算機能(図示省略)を使って比較・チェックし、製造負荷が製造能力を超えるようであれば、生産すべき数量や製造日を本格的な製造計画作成前にあらかじめ調整し、或いは、依頼データ(オーダ)の分割又は結合を行い、新規オーダの製造計画組込みを行う。これらの調整作業結果を図4に示す最新オーダデータファイルT16に反映させて格納する。なお製造能力は、能力計算期間内の対象設備の稼動可能時間(設備の保守点検等で設備が稼動できない時間を除いた)の合計で表され、また製造負荷は、同じ計算期間内のすべての依頼データ(オーダ)に係る全作業時間の和で表される。また全作業時間は製造時間(製造数量を単位時間内で製造できる数量で割算したもの)と前段取り時間と後段取り時間の和として表される。なお段取り時間は使用する設備毎に予め定義(図32にそのデータ構造が示される段取り替え時間表マスタ(切替時間マスタ)N5参照)されるものである。
発番・変更情報作成部205は、新規オーダに対して発番(番号付け)を行うとともに依頼・計画比較部203によって差異や変更の有るとされたオーダの変更(差分)についての変更情報を作成し、オーダ差分データファイルT21に格納する。オーダ差分データファイルT21については前回オーダとの差分に関する情報、すなわち依頼データの変更情報が付加されるだけで図4に示す最新オーダデータファイルT16と同様であるためそのデータ構造については図示省略する。このように上記した製造負荷チェック部204と発番・変更情報作成部205は、製造負荷チェックに基づいて取込んだ依頼データ(オーダ)に対してあらかじめ製造計画を作成する前に調整(すなわち予調整)を加えるものである。
次に製造計画詳細作成部260を説明する。製造計画詳細作成部260は、ライン割付部206、差分データ画面表示部207、割付対話修正部208、製造順番最適化部209、仮計画確定部210、計画確定・結果報告部211、バッチ計算部214、タンク割付部215、CIP割付部216、内部オーダファイルT12、内部作業データファイルT13、作業計画結果ファイルT17でもって構成されている。
ライン割付部206は、変更や発番の有った新規の依頼オーダに対してライン割付(工程上で繋がっているタンクやCIP(洗浄)の割付も含む)を行う。この場合、差分オーダに対してはオーダ差分データファイルT21に格納された前回オーダとの差分オーダを対象に差分データ画面表示部207に画面表示(後で説明する図8の表示画面例参照)を行い、また全件オーダに対しては、図4に示す最新オーダデータファイルT16に格納されている最新オーダ(全件データ)を取込むと共に割付けるラインを選択し、選択したラインの全件オーダを一旦解除後再割付(工程上で繋がっているタンクやCIP(洗浄)の割付も含む)を行う。これについては後で説明する。なお、割付方法はオペレータの設定で自動割付と手動割付を選択でき、そして自動割付は全ライン一括又は複数ライン選択を選ぶことができ、また手動割付は、差分データ画面表示部207により画面表示されたオーダを一件毎にオペレータが手動(ドラッグ&ドロップ)で割付ける。
割付対話修正部208は、ライン割付部206で行った割付に対しさらに詳細な割付を行うために対話修正(割付解除、オーダ分割又は結合、割付時間、使用設備の変更等)を行う。製造順番最適化部209は、前後の製造品目の切替え時による作業の段取り替え時間(図32参照)、切替えのための作業負荷(図33参照)などを考慮し、トータルの段取り時間及び作業負荷が最短/最小になるような、あるいは、先行製造品目が決まった後、後継製造品目との段取り時間及び作業負荷(図32、図33参照)が最短/最小になるような最適な製造順番を与える。これについては後で説明する。
仮計画確定部210は、製造計画作成画面(ガントチャート)上に表示された作業中間結果を図5にそのデータ構造を示す内部オーダファイルT12、図6にそのデータ構造を示す内部作業データファイルT13に保存し、計画作業の途中で製造負荷を画面で確認して再調整する必要が出てくることに対処して図4に示す最新オーダデータファイルT16にも作業中間結果を格納し、依頼・計画比較部203及び製造負荷チェック部204における再処理を可能とし、再処理がなされた場合にはライン割付部206で再び割付を行うとともに割付対話修正部208でその割付の対話修正を行えるようにする。このように、本発明の製造計画作成システムは、製造計画詳細作成部260と製造計画組込作成部250との間でフィードバックループを構成している。
計画確定・結果報告部211は、仮計画確定部210と同様な処理をした上で計画作業の結果を確定し、確定した計画結果を図5に示す内部オーダファイルT12に保存し、さらに確定した計画結果を依頼元システム(後で説明する)、製造現場システム(後で説明する)、調達システム(後で説明する)に回答・指示するために、図7にそのデータ構造を示す作業計画結果ファイルT17にも格納する。図7に示す作業計画結果ファイルT17に格納された確定した計画結果データはインターフェース201内の定義ファイルで定義されたデータ変換情報または内部仕様マスタの情報を用いて、外部で指定されるデータ構成及びフォーマットに加工して出力する。
バッチ計算部214は、後で説明するマスタデータ管理部270の内部仕様マスタT1に定義された情報、すなわち、品目マスタ(図30参照)からオーダデータ,1ケースあたりの本数や1本あたりの容器サイズ,固定欠減係数,変動欠減係数,希釈倍率;設備能力マスタ(図32参照)からバッチサイズ(1バッチの製造量)を取得して、割付けられたラインで製造可能な数量とするための上流設備(タンク)におけるバッチ数を計算する。通常、タンクには制約があり、その制約条件(最大製造許容量、最小製造許容量、標準製造1バッチ量など)を満たす最適な生産回数と各製造バッチでの製造数量を与える必要がある。したがって、外部から取り込んだオーダに対し、自工場でのラインの上流にある調合タンク等の能力(タンクサイズ)を考慮して、何バッチに分けて製造するかを計算し、その必要なバッチ数を上流の調合タンク等の生産計画に活用する。
タンク割付部215は、後で説明するマスタデータ管理部270の内部仕様マスタT1に定義された情報、すなわち、工程マスタ(図31参照)及び設備能力マスタ(図32参照)の定義情報により、下流工程から上流工程へと使用する設備(タンク)を特定して割付けを行う。図9は、上記工程マスタ及び設備能力マスタの定義情報により下流工程から上流工程へと使用する設備(タンク)を特定するロジックを説明する図である。図9において、(1)自工程91は交互運転を考慮した上で前工程92,92’を交互的に選定する。次いで(2)特定された工程コードを用いて、設備能力マスタ(図32参照)に定義された工程コード93より一致するものを探す。そして(3)設備能力マスタから一致している工程コード93に対応定義している設備コード94を検出する。(4)検出された設備コード94を前工程1(92)に対応付ける(選択設備となる)。また図9において、前工程1(92)から前々工程1,2(95,95’)への設備の特定について説明すると、設備の特定は上記同様なロジックで行う。すなわち、(5)上記(1)と同様に前工程1(92)は交互運転を考慮した上で前々工程(95,95’)を交互的に選定する。次いで(6)上記(2)と同様に特定された工程コードを用いて、設備能力マスタに定義された工程コード96より一致するものを探す。(7)上記(3)と同様に設備能力マスタから一致している工程コード96に対応定義している設備コード97を検出する。前工程1(92)から前々工程2(95’)への設備の特定についても同様に説明することができるが、その説明を省略する。一方、交互運転しない場合、設定された前工程を同時に対象として、上記の(2)〜(4)と同様な手順で上流工程での設備を特定する。このように工程マスタ(図31参照)及び設備能力マスタ(図32参照)の定義情報は、生産設備の能力情報および生産に係る業務手順(例えば、図34に示す工程間を繋ぐネットワーク)、製造レシピ(例えば、図34に示す原料Aを何パーセント、原料Bを何パーセント使うといった情報)、制約条件等の生産情報を提示するものでこれを考慮して生産設備の割付けを行う。なお実際のタンク割付については、割付対話修正部208の割付画面と関連付けて行うことになるがこれについては後で説明する。
CIP割付部216は、ラインの製造計画に合わせて、製造前又は製造後に指定される方法でラインの配管を洗浄する作業(CIP;clean-in-place:洗浄)の計画(設備毎の開始・終了時刻、CIP種類)を与え、また、調合タンク等の製造計画に合わせて、製造前又は製造後に指定される方法でタンクを洗浄する作業(CIP;clean-in-place)の計画(設備毎の開始・終了時刻、CIP種類)を与える。そして割付けに当たっては割付対話修正部208の計画対話修正画面でオペレータがマウスのドラッグ操作で指定された作業の前段取作業の前に、又は後段取作業の後にCIPオペレーションを割付ける。
最後にマスタデータ管理部270を説明する。マスタデータ管理部270は、外部マスタデータ変換部212、マスタメンテナンス部213、内部仕様マスタT1および外部仕様マスタT32でもって構成している。
外部マスタデータ変換部212は、依頼元システム(後で説明する)にデータベース化されている外部仕様のマスタデータをインターフェース201内に設けられたテーブルの定義情報(図28参照)にしたがって、データ項目構造、項目形式(フォーマット)、値などをデータ変換し、本システムの外部仕様マスタT32に取込み、さらに取込んだ外部仕様のマスタデータを内部仕様のマスタデータに変換・加工して内部仕様マスタT1に格納する。これについては後で説明する。内部仕様に変換・加工したマスタデータはマスタの管理画面(図示せず)に適宜表示して内外共通のデータとして利用することができるようにする。これについては後で説明する。なお表示形式としてはマスタデータの種別に応じて、通常表示形式とマトリックス表示形式があり、これらの表示形式を選択して表示する。これについても後で説明する。
マスタメンテナンス部213は、システムの内部にある外部仕様マスタT32のマスタデータをメンテナンス(例.追加、変更、削除、編集)し、インターフェース201内に設けられたテーブルの定義情報にしたがって外部仕様データに変換した上で依頼元システム(例えば本社システム)に渡し、依頼元システムにおいてデータベース化されたマスタデータとの統一化を図る。
図10は、本発明の実施形態に係る製造計画作成システムの動作を説明するためのフローチャートである。図10に示す本発明の製造計画作成システムに係る動作フローを説明する前に、製造計画作成システムの全体的な処理の流れについて再度説明すると、依頼元システム100(図中左上参照)は顧客(図示省略)から受けた製造依頼を元にデータベース化してある製造計画データを参酌して製造計画作成システム200に依頼オーダ(製造依頼データ)を渡すとともに製造計画作成システム200で作成された製造計画結果の回答(図中左下参照)を受取る。製造計画作成システム200は、依頼元システム100から前記依頼オーダを受取り、前記依頼オーダに係る製品製造が自社の所有する資源や能力で納期までに製造可能になるよう調整して製造計画を作成し、製造現場システム300(図中右下参照)及び調達システム400(図中右下参照)に指示を行う。製造現場システム300は、製造計画作成システム200から受取った指示に基づいて実際に製造を行う。調達システム400は、製造計画作成システム200での製造計画結果に基づいて資材所要量の計画を行う。なお図10は、製造計画作成システム200の動作フローを中心に図示しており、破線枠で囲った部分は、依頼元システム100、製造計画作成システム200、製造現場システム300および調達システム400内でそれぞれが管理するデータファイルを図示している。
いま依頼元システム(例えば本社システム)100は顧客からの製造依頼に基づいて依頼オーダ(製造依頼データ)を製造計画作成システム200が起動される前にあらかじめ作成するものとする。なお依頼オーダを作成するにあたって、依頼元システム100は一般に広く用いられているファイル形式でデータベース(マスタデータ)化して既に受領した依頼オーダを管理しているので、新規依頼があればそのデータベースに納められている例えば向う3ヶ月分の製造計画データを参酌して依頼オーダを作成する。依頼オーダとしては、全件依頼オーダおよび差分依頼オーダの2形式がある。全件依頼オーダは、依頼元で管理する製造計画の全件データであり、品目、納期、数量などの項目についてデータが設定される。差分依頼オーダは、依頼元で管理する製造計画の差分データであり、製造変更区分(新規、変更、削除)、品目、旧納期、新納期、数量などの項目についてデータが設定される。
図10のステップ11においてまず製造計画作成システム200を立ち上げ、計画作業を開始する。図中、ステップをSと略記する。また製造計画作成システムを本システムと略称する。次いでステップ12では、全件取入かを判断する。全件取入ならば、ステップ13に進み、ステップ13において本システム200は依頼元システム100から全件依頼データ(オーダ)を取入れる。取入れた全件依頼データは図2に示す全件依頼データファイルT18に一時格納される。なお全件依頼データは依頼元システム100が管理する全件依頼データファイルに納められているものを取入れる。またステップ12で全件取入でなければ、ステップ14に進み、ステップ14において本システム200は依頼元システム100から差分依頼データを取入れる。取入れた差分依頼データは図3に示す差分依頼データファイルT19に一時格納される。なお差分依頼データは依頼元システム100が管理する差分依頼データファイルに納められているものを取入れる。顧客(依頼主)からメール、FAX、電話で依頼データが本システム200に送付された場合には、ステップ14で、本システムが具有する入力機能を使ってオペレータが差分依頼データを直接入力する。
ステップ15では、現状で本システム200に保存されている製造計画データを参酌して上記ステップまでで取入れた差分依頼データを編集し、データの追加、削除を行う。ステップ15で編集、追加、削除を行った差分依頼データは、図2に示す全件依頼データファイルT18に反映される。ステップ16では、ステップ15における差分依頼データの追加又は削除が完了したかを判断し、完了していなければ、ステップ15に戻って再度、ステップ15の処理を実行し、完了していればステップ17に進む。ステップ17では、追加・削除が完了した差分依頼データを本システム200の差分依頼データファイルT19に格納してデータを更新する。
ステップ18では、以上までのステップにおける処理によって本システム200の全件依頼データファイルT18又は差分依頼データファイルT19に格納された、全件依頼データ又は差分依頼データに基づいて処理すべき(新規の)オーダデータを取込む。取込んだオーダデータを図4に示す最新オーダデータファイルT16に(取込んだ)最新オーダデータとして格納する。ステップ19では、画面上で製造計画組込作成作業を実行するために、取込んだ依頼データおよび既に本システム内に在る計画中データを表示して、依頼変更の有無を確認すると共に納期と製造実行日との差異を確認し、さらに製造負荷をチェックし、製造負荷が製造能力を超えるようであれば、生産すべき数量や製造日を調整し、或いは、オーダの分割又は結合を行い、新規オーダの製造計画組込みを行う。この依頼変更の有無を確認すると共に納期と製造実行日との差異を確認する機能、製造負荷をチェックする機能、またオーダの分割又は結合の機能については後で説明する。なお製造能力は、計算期間内の対象設備の稼動可能時間の合計で表され、また製造負荷は、同じ計算期間内のすべてのオーダに係る全作業時間の和で表される。なお全作業時間は製造時間(製造数量を単位時間内で製造できる数量で割算したもの)と前段取り時間と後段取り時間の和として表される。なお段取り時間は使用する設備毎に予め定義(図32参照)されるものである。
次いでステップ20では、ステップ19における処理が完了、すなわち調整が完了して確定可能かを判断し、完了・確定可能でなければ、ステップ19に戻って再度、ステップ19の処理を実行し、完了・確定可能であればステップ21に進む。ステップ21では、新規オーダに対して発番(番号付け)を行うとともに変更(差分)についての変更情報を作成する。そしてこれらのデータを本システム200のオーダ差分データファイルT21(図1参照)に前回割付済みオーダとの差分として格納する。
次にステップ22では、割付作業を開始する。ステップ23ではその割付が差分オーダのみの作業かを判断する。差分のみの割付ならば、ステップ24に進み、ステップ24において、表示された差分オーダを対象に割付(工程上で繋がっているタンク(上流設備)やCIP(洗浄)の割付も含む)を行う。ステップ25においては、差分のみの割付の完了かを判断する。完了でなければステップ24に戻って再度、差分のみの割付を実行し、完了であれば、ステップ27に進む。一方、ステップ23において差分のみの割付でなければ、すなわち全件割付ならば、ステップ26に進み、ステップ26において、図4に示す最新オーダデータファイルT16に格納されている最新オーダ(全件データ)を取込むと共に割付ライン(ここでラインとは製造設備の下流にある設備であって上流の設備で製造された中間品・部品を用いて充填(フィラー)・包装工程を実施する)を選択し、選択されたラインの全件オーダを一旦解除後再割付(工程上で繋がっているタンク(上流設備)やCIP(洗浄)の割付も含む)を行う。ラインの割付機能およびライン工程で繋がっている上流工程(タンク)の割付機能は後で説明する。そしてステップ27に進む。
ステップ27では、上記のステップ24,26における割付に対する対話修正(割付解除、オーダ分割又は結合、割付時間、使用設備の変更、製造順番の最適化、CIP割付)を行う。製造順番の最適化機能については後で説明する。ステップ27における対話修正を行った後、ステップ28では仮確定するかを判断する。仮確定不可であれば、ステップ27に戻って再度、ステップ27を実行する。仮確定可であれば、ステップ29に進み、ステップ29において計画保存、仮計画確定を行う。ステップ29における計画保存、仮計画確定を行った場合には、図5に示す内部オーダファイルT12および図6に示す内部作業データファイルT13に計画保存、仮計画確定した内容を格納する。
次いでステップ30では、対話修正完了・確定が可能かを判断する。確定が可能でなければ、ステップ27〜29の処理を再び実行する。また確定可能であれば、ステップ31に進み、ステップ31において計画確定データの作成を行う。ステップ31における確定データ作成結果を図5に示す内部オーダファイルT12および図6に示す内部作業ファイルT13に送って上書きするとともに確定回答用オーダ計画結果を図7に示す作業計画結果ファイルT17に格納する。
ステップ32では、計画確定・結果報告部211が、図5に示す内部オーダファイルT12、図6に示す内部作業ファイルT13および図7に示す作業計画結果ファイルT17からデータを取り出し、作成済み製造計画を所定のファイル形式で指定場所の外部へ出力する。つまり、依頼元システム100に計画結果データを所定のファイル形式に変換して出力すると共に製造現場システム300に計画結果データを所定のファイル形式に変換して出力する。依頼元システム100では計画結果データを管理し、製造現場システム300では計画結果データを管理する。また計画確定・結果報告部211は、工程マスタ(図31参照)の定義情報を用いて、生産に必要な原料、生産資材の所要量を算出し、調達システム400に資材所要量計画データを出力する。調達システム400では計画結果に基づいた資材所要量計画データを管理する。そしてステップ33で製造計画作成作業を終了する。
図11(a)〜(c)は、本発明の実施形態に係る製造計画作成システム(図10のステップ19の説明)における、依頼変更の有無を確認すると共に納期と製造実行日との差異を確認する機能を説明する表示画面例を示す。図11(a)〜(c)に示す表示画面においては、新たなオーダの情報を表示する製造依頼データ表示部1101が左側に、現在計画中のオーダの情報を表示する製造計画表示部1102が右側に並んで表示される。対象設備表示部1103には、対象となる設備が表示される。製造依頼データ表示部1101は、新たなオーダの詳細を示す製造依頼(詳細)1104、製造品目ごとの製造数量等を示す製造依頼(サマリー)1105、任意の製造品目の詳細なオーダデータを示す製造依頼(品目毎詳細)1106を表示することができ、左切替ボタン1107をクリックすることにより、それらを切替えて表示することが出来る。
図11(a)の製造依頼データ表示部1101には新たなオーダの詳細を示す製造依頼(詳細)1104、図11(b)の製造依頼データ表示部1101には製造依頼(サマリー)1105、図11(c)の製造依頼データ表示部1101には製造依頼(品目毎詳細)1106がそれぞれ表示される。図11(a)〜(c)の製造計画表示部1102には、現在計画中のオーダの詳細が表示される。
図11(a)において、依頼・計画比較部203は、図4に示す最新オーダファイルT16に格納している最新のオーダと本システム内の図5に示す内部オーダファイルT12に在る計画中のオーダとを読み出し、それぞれ製造依頼データ表示部1101と製造計画表示部1102に表示する。図11(a)の製造依頼データ表示部1101には新たなオーダの詳細を示す製造依頼(詳細)1104が表示されており、製造依頼(詳細)1104の項目として、いままでの製造年月日を示す製造年月日、新たな製造年月日を示す依頼日、製造年月日と依頼日との差を示す差異、工場の在庫、全国の在庫、製造する製品の品目コード、製造数量があり、これらが対応付けて表示される。
図11(b)の製造依頼データのサマリーを示す画面1105において、選択した行1108のところで左切替ボタン1107を押すと、図11(b)の画面1105は、図11(c)の製造依頼データの品目毎詳細を示す画面1106(ここでは、一例として品目コード“YZYZ”)に切り替わる。そして、表示色又は模様が異なって表示された製造年月日が3月8日付けの依頼データは、保存中の製造計画データではその製造年月日が3月8日だったものが、2日早まって依頼日(製造予定日)が3月6日となり、その差−2が差異行に表示される。また表示色又は模様が異なって表示された製造年月日が3月29日付けの依頼データは、保存中の製造計画データではその製造年月日が3月29日だったものが、1日早まって依頼日(製造予定日)が3月28日となり、その差−1が差異行に表示される。そして左切替ボタン1107を押すと図11(c)の画面1106は図11(a)に示すように製造依頼データの詳細を示す画面1104に切替えられる。図11(a)に示すように製造依頼データの詳細を示す画面1104でも図11(c)と同様に変更がある依頼データは表示色又は模様が異なって表示されることになる。このように製造依頼データ表示部1101の表示は、左切替ボタン1107を押すことにより、上記3つの画面を循環的に表示させることができる。
図12は、本発明の実施形態に係る製造計画作成システム(図10のステップ19の説明)における、製造負荷をチェックする機能を説明する表示画面例を示す。図12に示す表示画面においては、新たなオーダの情報を表示する製造依頼データ表示部1201には製造依頼データの詳細を示す画面1204が左側に、所定の期間の設備の製造能力や負荷を示す製造負荷確認の情報を表示する画面1202が右側に並んで表示される。対象設備表示部1203には、対象となる設備が、図中で「Aライン」が表示される。図11で既に説明したように、左切替ボタン1206を押すことで製造依頼データ表示部1201は図12に示すように、製造依頼データの詳細を示す画面1204に切替えられ、変更がある依頼データは表示色又は模様が異なって表示されることになる。一方、図11では説明しなかったが、製造負荷確認ボタン1208を押すと図12に示すように画面右部は製造負荷確認画面1202が表示される。そして、製造負荷が負荷表示行に表示される。製造負荷確認画面1202において負荷表示行1205は負荷が製造能力を超える依頼オーダを表示色又は模様が異なって表示している。これにより製造負荷チェックを迅速に行うことができる。ここで製造能力と製造負荷について再び説明する。図10のステップ19で説明したように、製造能力は、計算期間内の対象設備の稼動可能時間の合計で表され、また製造負荷は、同じ計算期間内のすべてのオーダに係る全作業時間の和で表される。なお全作業時間は製造時間(製造数量を単位時間内で製造できる数量で割算したもの)と前段取り時間と後段取り時間の和として表される。前段取り時間と後段取り時間については後で説明する。これらの計算は、本システムが具有する演算機能を使って簡単に求めることができる。
図13及び図14は、本発明の実施形態に係る製造計画作成システム(図10のステップ19の説明)における、オーダの分割・結合の機能を説明する表示画面例を示す。そのうち図13はオーダの分割を説明する表示画面例であり、図13(a)において、図11(c)と同様に新たな製造依頼データの品目毎詳細1303(ここでは、一例として品目コード“XZYZ”)を画面左側に表示し、現在計画中のオーダの品目ごとの製造数量等を示す製造計画(サマリー)1304が画面右側に並んで表示する。また対象設備が「Aライン」であることも表示されている。図13(a)の製造依頼データの品目毎詳細1303を示す画面左部において、選択した行1305のところで画面下部の分割・結合ボタン1306を押すと、図13(a)の画面1301は、図13(b)の分割・結合画面1302に切り替わる。そして、図13(b)の分割・結合画面1302においてポジショナー1307の位置で分割比率を決定し(ここでは1/2)、分割・結合画面1302の上部に表示されたオーダコード、品目などの項目とともに数量項目に記載された数値が分割・結合画面1302の下部においてオーダコード、品目などの項目とともに分割された数値が数量項目に記入されることになる。分割・結合画面1302の下部に示すオーダ分割ボタン1308は分割・結合画面1302がオーダ分割であることを示している。
また図14はオーダの結合を説明する表示画面例であり、図14(a)において、図11(c)と同様に新たな製造依頼データの品目毎詳細1403(ここでは、一例として品目コード“ZZYY”)を画面左側に表示し、図12と同様に所定の期間の設備の製造能力や負荷を示す製造負荷確認の情報を表示する画面1404を右側に並んで表示する。また対象設備が「Aライン」であることも表示されている。図14(a)の製造依頼データの品目毎詳細1403において、選択した2つ行1405,1406のところで画面下部の分割・結合ボタン1407を押すと、図14(a)の画面1401は、図14(b)の分割・結合画面1402に切り替わる。そして、図14(b)の分割・結合画面1402においてポジショナー1408の位置が0に設定され、分割・結合画面1402の下部に表示されたオーダコード、品目などの項目とともに数量項目に記載された数値が分割・結合画面1402の上部においてオーダコード、品目などの項目とともに結合された数値が数量項目に記入されることになる。分割・結合画面1402の下部に示すオーダ結合ボタン1409は分割・結合画面1402がオーダ結合であることを示している。
図15は、本発明の実施形態に係る製造計画作成システム(図10のステップ24,26の説明)における、ラインの割付機能を説明する表示画面例を示す。図15に示す表示画面はガントチャート形式のもので、ライン割付を行うときに用いられる。ライン割付は図1に示したライン割付部206により実行される。そしてライン割付部206が手動割付を選択した場合には、図15のガントチャートとは異なる差分データ画面表示部207による差分オーダ表示画面がウィンドウとして使用可能にされ、そこにオーダ差分データファイルT21に格納された前回オーダとの差分オーダが図8に示すように表示される。
ここで図8の差分オーダ表示画面例801について説明する。図8にはオーダ差分データファイルT21に格納された前回オーダとの差分オーダが表示される結果、変更区分803、オーダコード804、品目コード805、製造量806、依頼日807、計画日つまり納期808の項目についてデータが記入されている。また設備表示部802によって対象設備が「Fライン」であることも例示されている。いま図8に示された差分オーダデータについて行809が選択されているとしてこれを割付ける場合には、本システムが具有する入力機能として周知のマウスを使ってドラッグして図15のガントチャートに示されるFラインの時間軸の年月日が計画日と一致する位置にドロップする。この際、ドロップした位置から時間の古い方向に遡って割付を行うこともできるし、時間の新しい方向へ割付けることもできる。
図15の計画作成編集画面(ガントバーチャート)は、縦軸にA,B,C,D,F,Gのライン(下流工程設備)と横軸に年月日、曜日、時間(分、秒単位まで)が表示される。図中では表示できる画面領域が広く取れないため一週間分の割付データが表示されている。割付に際しては設備能力情報マスタテーブル(図32参照)によってライン割付けするラインの製造能力があらかじめ定義されており、当該定義情報、並びに依頼オーダの数量、品目、納期などの情報を利用して、当該ラインでの製造計画を立ててラインへの割付を行うことになる。さらにいったん割付けた作業について図15に示したガントチャート画面上で図10のステップ29の説明に係る割付対話修正機能(図1の割付対話修正部208)により変更し、解除することができる。
図1に示したライン割付部206が自動割付を選択し、選択ラインでの割付が出来ない場合には、ダミーライン(設備)に割付けができなかったオーダを割付けることができる。ダミーライン(設備)は割付ラインと同等の設備能力を持つとしてあらかじめ設定しておくことができる。図15の表示画面例にはこのダミーライン(設備)は表示されていないが、Aラインが選択されたラインだとすればダミーライン(設備)はその直近のラインをAラインダミー(図中ではBラインに相当)として設定できる。他のラインについても同様である。なお自動の場合には、複数ラインを選択して一括して割付を行うことができる。
図16は、本発明の実施形態に係る製造計画作成システム(図10のステップ24,26の説明)における、ライン工程で繋がっている上流工程(タンク)の割付機能を説明する表示画面例を示す。具体的には、ラインとタンクが併存している場合の割付機能に係るもので、図16の画面1601はガントチャート形式のもので、縦軸に溶解タンクA(1602)、溶解タンクB(1603)、調合タンクA(1604)、包装ラインA(1605)、検査(1606)の項目が例として挙げられ、横軸に年月日、曜日、時間(分、秒単位まで)が表示され、画面上にてライン工程(図中では包装ラインA)で繋がっているタンク(調合タンクA及び溶解タンクB)割付を実施する。図16の表示画面例から分かるように、包装ラインA(1605)の割付、調合タンクA(1604)の割付、溶解タンクB(1603)の割付について異なる色又は模様で表示するとともに各割付の幅により作業に係る所要時間及び相互の時間的関係を読み取ることができる。
図17は、図16で示したガントチャートの表示内容を説明する図であり、割付は、下流から上流に向かって、まず下流工程の充填・包装ラインA(1701)の充填・包装開始時刻1702を調合タンクA(1703)の払い開始時刻1704に合致するように割付け、次いで、調合タンクA(1703)では調合時間1705、受け時間を考慮して調合タンクA(1703)の受け開始時刻1706を溶解タンクB(1707)の払い開始時刻1708に合致するように割付け、溶解タンクB(1707)では調合時間、受け時間を考慮して溶解タンクB(1707)の受け開始時刻1709を割付ける。図中では各工程の割付表示を異なる色又は模様で表示して、一目で割付状態が分かるようにしている。また図中では調合タンクA(1703)および溶解タンクB(1707)ではおのおの受け時間、調合時間、払い時間の時間区切りができるようになっているので、図示していないが、受け時間、調合時間、払い時間をそれぞれ異なる色又は模様で表示するようにしても良い。
また図17に示す例では、調合タンクA(1703)および溶解タンクB(1707)では調合時間を必要とする場合を示しているが、タンクがその容量の所定量を受入れた段階で調合を開始する場合もあり、調合のパターンには幾つかの種類がある。これについては図19で説明する。そして各工程の開始と終了に当たっては、作業に伴う前段取り時間、後段取り時間を考慮する必要である。なお、上記の説明では、調合タンクおよび溶解タンクがそれぞれ1基の場合を例に説明したが、調合タンクが複数で充填・包装ライン1基のラインに製品を受け渡す場合や、溶解タンクが複数で調合タンクが1基の調合タンクに製品を受け渡す場合や、溶解タンク及び調合タンクとも複数のタンクを持ち、複数バッチに分けて調合タンクに受け渡す場合があり、タンクの交互運転やずらし時間(これについては後で説明する)を考慮しながら、上記したのと同様に無駄のない割付を行う。
図18は、複数の調合タンクを持ち、複数バッチに分けて充填・包装ラインに製品を受け渡す場合における、タンクの交互運転及びずらし時間(図20参照)を考慮して無駄のない割付を行う例を示している。図18の上半は調合タンクA,Bの交互運転及びずらし時間がプラスの場合の割付例で、図18の下半は調合タンクA,Bの交互運転及びずらし時間がゼロの場合の割付例であり、両者とも充填・包装ライン1801に対して1バッチないし4バッチに分けて製品を供給するものである。
ここで、バッチに分ける(バッチを計算する)ことの意義について説明する。図1に示したバッチ計算部214は、外部から取り込んだオーダに対し、自工場での充填ラインの上流にある調合設備(タンク)の能力(タンクサイズ)、制約条件を考慮して、当該オーダに対処するにはバッチに分けて製造することになるか、どのような製造数量で分けて製造するのかを計算し、その必要なバッチ数を上流のタンク(溶解タンク)の生産計画に提供する。図中では、4バッチに分けて調合タンクA,Bの交互運転により製造することにし、調合タンクA(1802)では1バッチ,3バッチを担当し、調合タンクBでは2バッチ,4バッチを担当する。そして各バッチとも受け時間、調合時間、払い時間を要し、製品の製造開始には前段取り時間を要し、また製品の払い出し後に別製品を製造する際には後段取り時間を要する。
ここで、ずらし時間について説明する。まず、ずらし時間がゼロの例について説明する。図18の下半に示すように、ずらし時間がゼロということは、充填・包装ライン1801の受け開始時間1804を調合タンクA(1802)の払い開始時間1805に合致させることを意味している。一方、ずらし時間がプラスの例では図18の上半に示すように、ずらし時間がプラス“10分”ということは、充填・包装ライン1801の受け開始時間1804を、下半の1バッチ目のずらし時間がゼロの払い開始時間1805に対して上半の調合タンクA(1802)の1バッチ目の払い開始時間1806を10分早めた時間にすることを意味している。なお図18の図示例は「払い」についての「ずらし時間」を説明するものであるが、「ずらし時間」は「払い」に対するものだけでなく「受け」に対するものもある。これについては図20のテーブルを参照されたい。また上記では、下流から上流に向かって割付を行う例について説明したが、上流から下流に向かって割付を行うことも可能である。
図19は、本発明の実施形態に係る製造計画作成システムにおける、上流工程設備であるタンクの受け・払いパターンを説明する図である。図19に示すように、タンク工程では、前段取り時間に始まって、受け時間、保持時間(調合時間)、払い時間、後段取り時間についての時間合計がタンクの総占有(使用)時間と定義される。そして、図19(a)は、保持時間(調合時間)がプラスとなる第1のパターンを示しており、また図19(b)は、保持時間(調合時間)がゼロである第2のパターンを示しており、また図19(c)は、払い開始時間を前倒しするために保持時間(調合時間)を考慮せず、前段取り後に受けを前半に行い、所定量の受けの後に払いを開始し払いながら受けを行う第3のパターンを示している。保持時間がゼロや保持時間を考慮しないパターンではタンクの総占有(使用)時間は短縮されることになり、リードタイムが短くなるが、どのパターンでタンクを運用するかは製造計画でどのような品目を製造するかによってあらかじめテーブルで定義して使用することになる。
図20は、本発明の実施形態に係る製造計画作成システムにおける、タンク運用をテーブルで定義する場合のデータテーブル例を示す図である。この場合、設備コード2001は製品製造に使用するタンクのコードを表し、品目コード2002は当該タンクで製造する品目を表し、受け速度2003はタンクへの原料を注入するときの速度(リットル/分)で表し、調合時間(保持時間)2004はプラスの場合は第1のパターンであることを、またゼロの場合は、第2のパターンであることを、またマイナスの場合は第3のパターンであることを表している。また払い速度2005はタンクで製造した中間品などの製品を払い出すときの速度(リットル/分)で表し、受けずらし時間2006は例えば充填・包装ラインの受け開始時間に対してタンクの払い開始時間をどれくらい早めるかを時間で表し、払いずらし時間2008のマイナスは上記第3のパターンで説明したようにどれくらい前倒しするかの時間を表している。例えば、整備コード“M0002”、品目コード“Item0002”のタンク運用例2008は、受け速度が2000(リットル/分)で、調合時間が−100(分)で、払い速度が600(リットル/分)で、受けずらし時間が12(分)で、払いずらし時間が−6(分)であることをテーブルで定義しているので、第2のパターンと第3のパターンの複合であることが分かる。
なお、ライン工程で繋がっている上流工程(タンク)における製品の生産に当たっては、生産するオーダの数量、品目、納期等の情報を利用して、まず下流の充填・包装ラインでの生産計画を作成する。それと並行して設備能力情報マスタテーブル(図32参照)によって定義されている情報、例えば標準1バッチサイズ、1バッチ当たりの最大製造許容量、平均製造量、最小製造許容量などを元に上記データテーブルの受入速度/時間、払出速度/時間、調合速度/時間などを定義し、上流のタンクの生産計画を作成する。
図21及び図22は、本発明の実施形態に係る製造計画作成システムにおける、製造順番最適化部の動作を説明するためのフローチャートである。上述したように図1に示す製造順番適化部209は、前後の製造品目の切替えによる作業の段取り替え時間、切替えのための作業負荷などを考慮し、トータルの段取り時間及び作業負荷が最短/最小になるような、あるいは、先行製造品目が決まった後、後継製造品目との段取り時間及び作業負荷が最短/最小になるような最適な製造順番を与える。なお考慮すべき作業の段取り替え時間や作業負荷だけでなく、他の評価指標を導入することができる。たとえば、切替で発生する、作業工数費,設備減価償却費,消費電力・水力費などのコスト、切替で発生する在庫切りのリスクなどを評価指標とすることができる。これ以外でも、切替に関連する在庫ロスや設備の劣化度などを評価指標とすることができる。そしてこれらの評価指標に対する評価値をデータテーブルに設定しておき、製造順番適化部209を用いて既存の計画結果を調整するときには、上記データテーブルから評価値を取得し、更に、納期、又は製品を出荷する際に特別時期(キャンペーンなど)に合せて意図的に出荷日時を固定する作業を考慮した上で、上記評価指標の全部又は何れの1つについて、評価範囲内に発生する各切替で段取り替え時間又は負荷の合計最小、又は後継作業との切替で段取り替え時間又は負荷の順次最小となる最適な製造順番を洗い出して使う。なお他の評価指標を導入する場合には、評価範囲内に発生する各切替で発生する、コスト、リスク、在庫ロス、設備劣化などの評価値の合計最小又は後継作業との切替で発生する、コスト、リスク、在庫ロス、設備劣化などの評価値の順次最小となる製造順番を洗い出して使うことになる。
製造順番最適化を行う二つの手法を以下に示す。その一つは図21に示す「合計最小」と定義する手法で、計画された製造品目における選択した品目の中の組合せについて設備毎で切替時間の総時間が最も少ない製造順番、もしくは切替負荷が最も少ない製造順番を与えるものであり、もう一つは図22に示す「後継順次最小」と定義する手法で、計画された製造品目における選択した品目から先行品目を確定した後に残りの品目の中から先行品目との切替時間または切替負荷が最も少ない/小さい品目を割出して後継品目とする最短/最小となる製造順番を与えるものである。
まず図21における「合計最小」手法について説明する。図21においてステップ41では、直前作業を先頭作業とした上で、選択された作業の割付順番の組合せを割付のパターンとしてパターンリストを作成する(直前作業がない場合、先頭作業の後段取切替評価値を「0」とする)。なお「段取切替評価値」は、段取切替作業において評価すべき項目、例えば作業時間、作業負荷などを数値化して評価する値が高いものほど作業時間、作業負荷を要することになる。次いでステップ42では、パターンリスト中のパターンを指定し、このパターンの順で割付ける場合の各切替えの評価値(例.切替時間)の合計を算出し前回で見出したパターンでの評価値の合計と比較する。ステップ43では、今回算出した合計値が前回の合計値より大きいかを判定する。この判定で大きいと判定された場合にはステップ52に進み、今回のパターンを破棄する。しかし大きくないと判定された場合には、ステップ44に進み、ステップ44において今回合計値が前回の合計値に等しいかを判定する。ここで等しくないと判定された場合にはステップ48に進み、制約条件(例.納期違反)のチェックを行う。一方、等しいと判定された場合には、ステップ45に進み、ステップ45において今回パターンと前回パターンとで先頭から同じ番目の作業同士について本来のオーダでの順位を比較(納期順位、同じ納期の場合のデータ順位で比較)する。ステップ46では今回パターンの方が順位が高いかを判定する。この判定で順位が高くない場合にはステップ47に進み、ステップ47において、今回パターンと前回パターンと同じ順位かを判定する。同じ順位であればステップ45に戻って再度、ステップ45以降のステップを実行する。しかし同じ順位でなければステップ52に進み、今回のパターンを破棄する。
またステップ46の判定で順位が高い場合にはステップ48に進み、ステップ48において制約条件(例.納期違反)のチェックを行う。制約違反が無ければステップ51に進み、前回のパターンを破棄し、今回のパターンを最適順番の解として登録する。また制約違反が有ればステップ49に進み、ステップ49において各作業の完了時刻を計算する。この場合、後続作業の完了時刻は、先行作業の完了時刻に、先行作業の後段取り時間、後続作業の前段取り時間及び後続作業の製造時間を足したものとなる。なお製造時間は製造数量を製造速度で割ることで求める。そしてステップ50では製造完了時刻が納期より大の作業が有るかを判定する。納期より大の作業が有る場合にはステップ52に進み、ステップ52において今回のパターンを破棄するが、納期より大の作業が無い場合には、ステップ51で前回のパターンを破棄し、今回のパターンを最適順番の解として登録する。
ステップ53は、これまでの処理において全パターンの比較が完了したかを判断する。ここで完了していなければステップ42に戻り、ステップ42〜52の処理を再度実行する。完了していればステップ54に進み、最適順番の解を出力して処理を終了する。
次に図22における「後継順次最小」手法について説明する。図22においてステップ61では、直前作業を先行作業とし、切替段取り評価初期値を充分大きな値にセットする。なお、「切替段取り評価値」については図21で説明したのと同様であるのでここでは再説しない。次いでステップ62では、選択範囲内の作業の中から残りの作業を後続作業として1つ選択してその切替段取り評価値(例.切替時間)を取得する。ステップ63では、今回の評価値が前回の評価値より大きいかを判定する。この判定で大きいと判定された場合にはステップ70に進み、今回の作業を破棄する。しかし大きくないと判定された場合には、ステップ64に進み、ステップ64において今回の評価値が前回の評価値に等しいかを判定する。ここで等しくないと判定された場合には、ステップ67に進み、制約条件(例.納期違反)のチェックを行う。一方、等しいと判定された場合には、ステップ65に進み、ステップ65において今回選択作業と前回選択作業とを本来のオーダでの順位を比較(納期順位、同じ納期の場合のデータ順位で比較)する。ステップ66では、今回の作業が順位が高いかを判定する。この判定で順位が高くない場合にはステップ70に進み、今回の作業を破棄する。一方、順位が高い場合にはステップ67に進み、ステップ67において、制約条件(例.納期違反)のチェックを行う。制約違反が無ければステップ71に進み、前回の作業を破棄し、今回の作業を最適な後続作業として登録する。また制約違反が有ればステップ68に進み、ステップ68において各作業の完了時刻を計算する。この場合、後続作業の完了時刻は、先行作業の完了時刻に、先行作業の後段取り時間、後続作業の前段取り時間及び後続作業の製造時間を足したものとなる。なお製造時間は製造数量を製造速度で割ることで求める。そしてステップ69では製造完了時刻が納期より大の作業が有るかを判定する。納期より大の作業が有る場合にはステップ70に進み、ステップ70において今回の作業を破棄するが、一方、納期より大の作業が無い場合には、ステップ71で前回の作業を破棄し、今回の作業を最適な後続作業として登録する。
ステップ72は、これまでの処理において全作業順番決めが完了したかを判断する。ここで完了していなければステップ62に戻り、ステップ62〜71の処理を再度実行する。完了していればステップ73に進み、最適順番の解を出力して処理を終了する。
このように評価範囲内に発生する各切替で段取り替え時間又は負荷の合計最小、又は後継作業との切替で段取り替え時間又は負荷の順次最小となるようにして最適な製造順番を与えることができるのであるが、他の優先する条件が存在する場合、例えば選択範囲内にある某対象作業を固定にした、または、某作業の製造日をアンカー(できるだけその日に製造する)にした場合には、他の作業を直列的に入れるべきところに入れられないことが起きる。そのような事態をあらかじめ想定してそのような事態に至った場合には、その作業を一時退避用の特定な場所(ダミー設備またはシミュレーション設備とも呼ぶ)が事前に定義されていれば、割付けられない作業を定義されたダミー設備に割付けて明示的に表示し、計画作成者が後にGUI(Graphical User Interface)で調整する際に利用可能とする。GUIについては割付対話修正機能(図1の割付対話修正手段208)で説明したように、マウスのドラッグ&ドロップの機能を使用してガントチャート上の所定の位置(ここではダミー設備)にドロップし、手動により割付けを行う。もしダミー設備が事前に定義されていなければ、システムが新たにそれを作成した上でその上に対象作業を割付けることもできる。なおダミー設備については先記した図15の説明も併せて参考にされたい。また、全ての組合せで、制約条件に違反する場合、上記説明では今回の作業を破棄すると説明したが、実際には最適化する前の作業割付け状態にし、メッセージパネル画面に、「選択したオペレーションは、制約条件に違反するので最適化しませんでした」とメッセージを表示することで、先記したように、製造計画詳細作成部260から製造計画組込作成部250に処理を移して再び製造計画をやり直すことができる。
このように先行発明では、充填・包装工程での製品の製造順序を最適にする為に、充填・包装工程での段取り作業(充填・包装用冶具の取替え、フィラー及び配管の洗浄)によるロスを評価するものとなっている結果、充填・包装工程での生産順序は最適なものとなるものの、上流工程での製造品目の切替えの為に発生する段取り作業による切替えロスが逆に大きくなることもあり得た。
図23A〜図23Cは、本発明の実施形態に係る製造計画作成システムにおける、製造順番最適化部による第1の全体最適化の動作を説明するためのフローチャートである。ここでの製造順番最適化部の動作は、複数品目を生産する場合、生産品目を切替える前後の作業にかかる時間、作業員の負荷、切替え作業コスト、在庫切りのリスクなどの任意な概念を評価指標として指定し、納期、又は意図的に固定する作業(例.キャンペーン)等制約条件を考慮した上で、評価指標の全部又は何れの1つについて、評価範囲内に発生する各切替えでの合計最小、又は後継作業との切替えでの後継順次最小となるような最適な製造順番を与えるものである。
これに対し、図21及び図22で説明した製造順番最適化部における先行発明の最適化は、上述した図1に示す製造順番適化部209における、製造品目の切替えによる前後の作業にかかる時間、負荷を評価指標として考慮し、納期等制約条件のもと、評価期間内の充填・包装工程において生産品目を切替える場合の段取り作業時間または負荷を最短/最小になるような、あるいは、評価期間内で後続製造品目との段取り時間または負荷が最短/最小となるような製造順番を与えるものである。
図24は、切替ロスマスタテーブル(マトリクス)の例を示す図である。この切替ロスマスタテーブルは、製造順番の最適化では普通に考慮され、先行品目(P1,P2,・・,P9・・)を行に、後継品目(P1,P2,・・,P9・・)を列に配置し、マトリクスの交点に評価指標の値を記述し、製造品目の切替えによって前後の作業にかかる時間、負荷について当該評価指標の値を評価データとして使用するものである。
図23Aにおいてステップ101では、評価指標と評価方法を選択する。評価指標は、図23Aの左部に示される、評価指標の定義テーブルT51及び先行から後続に切替える時に発生する時間/負荷/コスト/在庫/サイズ・・などの評価表T52によって規定され、図1の製造順番適化部209の動作に先立って定義情報による評価指標の表示がメニューにリスト表示される。評価表T52には、先行から後続に切替えるときの段取り作業で発生する切替えロスを評価する評価指標を定義するために、切替段取り時間評価テーブルH1,切替段取り負荷評価テーブルH2,切替段取りコスト評価テーブルH3、切替段取り在庫評価テーブルH4,切替段取りサイズ評価テーブルH5,ユーザが任意に定義可能な他の切替段取り評価情報テーブルH6,・・,HNが設けられる。評価表T52の各評価テーブルに対応して評価指標名の定義テーブルT51(図23Aの左上部参照)で評価指標名を定義することで上記各評価テーブルのメニューをリスト表示することが可能となり、計画者が画面表示されたメニューリストで評価表T52の各評価テーブルを選択可能にしている。
また評価方法の選択は、図23B又は図23Cのいずれの処理かを決めることである。ステップ102では、選択された評価指標(時間、負荷、他)と評価方法(合計最小、後継順次最小)に従い処理スイッチフラグを設定する。そしてステップ103では、図28の左下端に示されるテーブルT32の設備情報N1、品目情報N2、作業情報N6の情報を参照して、対象設備、選択された作業及び選択範囲と前に接する作業(直前作業)を取得し、更に前記設備、作業を基にそれらと関連する品目をも取得する。
次いでステップ104では、先行作業→後続作業の組合せから先行→後続の組を任意指定し、指定された組の場合の先行作業の後段取り評価値、後続作業の前段取り評価値を取得する。そしてステップ105では、先行作業の後段取り評価値と後続作業の前段取り評価値との和を先行から後続へと切替える場合の評価値として算出する。ステップ106では、全ての先行→後続の組の算出は完了したかを判定する。完了していなければステップ104に戻る。また完了していればステップ107に進む。ステップ107では、選択範囲内にある各作業(品目ごと)及び、選択範囲直前の作業のみから構成される切替段取り評価情報表を作成しテーブルT53に格納すると共にコンパクト化された切替段取り評価データ(表)をテーブルT53から読み出して図23Bまたは図23Cの処理で利用できるようにする。
ここでコンパクト化された切替段取り評価データ(表)について説明する。上述したように評価表T52には、或る概念、すなわち製造品目切替えで発生する段取り作業を評価するための指標となりうる概念、での物理的な意味(例.時間、負荷、コストなど)を有する評価指標データを、切替段取り時間評価テーブルH1,切替段取り負荷評価テーブルH2,切替段取りコスト評価テーブルH3,切替段取り在庫評価テーブルH4,切替段取りサイズ評価テーブルH5,ユーザが任意に定義可能な他の切替段取り評価情報テーブルH6,・・,HN内に定義して保存している。そして上述した或る概念での評価指標データを使って実際に合計最小または後継順次最小を計算する場合には、生産製造の方針、方法、状況、慣習等の事情に応じて計画者が評価表T52の評価指標データを評価用指標データとして指定した後、選択された作業(品目)に紐付いている品目情報(図28のテーブルT32参照)がある場合には、その品目情報を元に切替ロスマスタ(図24参照)を検索し、ヒットした品目のみを抽出してテーブルT53中にコンパクト化したデータを格納する。
これについて詳しく説明すると、図25は、製造順番の第1の全体最適化に用いるコンパクト化されたテーブルの構成例を示す図である。すなわち、図25の(1)に示すようにガントチャート上で最適化したい作業範囲を選択する。図示するガントチャートは製品充填・包装ラインにおけるものである。いま図25(1)に示すように作業する品目がP1,P8,・・,P5であるとすると、選択された作業に品目情報がある、その品目情報をもとにマスタデータテーブル(図24参照)の対応する品目を探索する。その結果、図25(2)に示すように、選択範囲内にあってヒットした品目は網掛けで表示されたものになる。すなわち、マスタデータテーブル(図24参照)を逐一調べるのではなくヒットしたものを抽出して、図25(3)に示すようなテーブルに組み直す。これが、コンパクト化したテーブルT53に該当する。なお、テーブルT53における抽象化については後述する。このようにテーブルT53は、コンパクト化したテーブルであるから、マスタデータテーブル(図24参照)を逐一調べるよりも高速に製造順番の処理に必要なデータを抽出し、後述する処理に引継がせることができる。こうすることで或る概念で任意に設定した評価指標に対しても統一的な評価ロジックで評価できるようになる。なお、ステップ107の処理によってテーブルT53の内容は更新される。ステップ108では、評価指標値の合計最小にするかを判定する。そして、合計最小にする場合には、図23Bに引継がれ、また、合計最小にしない、すなわち、後継順次最小にする場合には、図23Cに引継がれる。
図23Bにおける「合計最小」において、ステップ111では、直前作業を先頭作業とした上で、選択された作業の割付順番の組合せを割付のパターンとしてパターンリストを作成する(直前作業がない場合、先頭作業の後段取切替評価値を「0」とする)。なお「段取切替評価値」は、段取切替作業において評価すべき項目、例えば作業時間、作業負荷などを数値化して評価する値が高いものほど作業時間、作業負荷を要することになる。次いでステップ112では、パターンリスト中のパターンを指定し、このパターンの順で割付ける場合の各切替えの評価値(例.切替時間)の合計を算出し前回で見出したパターンでの評価値の合計と比較する。ステップ113では、今回算出した合計値が前回の合計値より大きいかを判定する。この判定で大きいと判定された場合にはステップ122に進み、今回のパターンを破棄する。しかし大きくないと判定された場合には、ステップ114に進み、ステップ114において今回合計値が前回の合計値に等しいかを判定する。ここで等しくないと判定された場合にはステップ118に進み、制約条件(例.納期違反)のチェックを行う。一方、等しいと判定された場合には、ステップ115に進み、ステップ115において今回パターンと前回パターンとで先頭から同じ番目の作業同士について本来のオーダでの順位を比較(納期順位、同じ納期の場合のデータ順位で比較)する。ステップ116では今回パターンの方が順位が高いかを判定する。この判定で順位が高くない場合にはステップ117に進み、ステップ117において、今回パターンと前回パターンと同じ順位かを判定する。同じ順位であればステップ115に戻って再度、ステップ115以降のステップを実行する。しかし同じ順位でなければステップ122に進み、今回のパターンを破棄する。
またステップ116の判定で順位が高い場合にはステップ118に進み、ステップ118において制約条件(例.納期違反)のチェックを行う。制約違反が無ければステップ121に進み、前回のパターンを破棄し、今回のパターンを最適順番の解として登録する。また制約違反が有ればステップ119に進み、ステップ119において各作業の完了時刻を計算する。この場合、後続作業の完了時刻は、先行作業の完了時刻に、先行作業の後段取り時間、後続作業の前段取り時間及び後続作業の製造時間を足したものとなる。なお製造時間は製造数量を製造速度で割ることで求める。そしてステップ120では製造完了時刻が納期より大の作業が有るかを判定する。納期より大の作業が有る場合にはステップ122に進み、ステップ122において今回のパターンを破棄するが、納期より大の作業が無い場合には、ステップ121で前回のパターンを破棄し、今回のパターンを最適順番の解として登録する。
ステップ123は、これまでの処理において全パターンの比較が完了したかを判断する。ここで完了していなければステップ112に戻り、ステップ112〜122の処理を再度実行する。完了していればステップ124に進み、最適順番の解を出力して処理を終了する。
次に図23Cにおける「後継順次最小」において、ステップ131では、直前作業を先行作業とし、切替段取り評価初期値を充分大きな値にセットする。なお、「切替段取り評価値」については図23Bで説明したのと同様であるのでここでは再説しない。次いでステップ132では、選択範囲内の作業の中から残りの作業を後続作業として1つ選択してその切替段取り評価値(例.切替時間)を取得する。ステップ133では、今回の評価値が前回の評価値より大きいかを判定する。この判定で大きいと判定された場合にはステップ140に進み、今回の作業を破棄する。しかし大きくないと判定された場合には、ステップ134に進み、ステップ134において今回の評価値が前回の評価値に等しいかを判定する。ここで等しくないと判定された場合には、ステップ137に進み、制約条件(例.納期違反)のチェックを行う。一方、等しいと判定された場合には、ステップ135に進み、ステップ135において今回選択作業と前回選択作業とを本来のオーダでの順位を比較(納期順位、同じ納期の場合のデータ順位で比較)する。ステップ136では、今回の作業が順位が高いかを判定する。この判定で順位が高くない場合にはステップ140に進み、今回の作業を破棄する。一方、順位が高い場合にはステップ137に進み、ステップ137において、制約条件(例.納期違反)のチェックを行う。制約違反が無ければステップ141に進み、前回の作業を破棄し、今回の作業を最適な後続作業として登録する。また制約違反が有ればステップ138に進み、ステップ138において各作業の完了時刻を計算する。この場合、後続作業の完了時刻は、先行作業の完了時刻に、先行作業の後段取り時間、後続作業の前段取り時間及び後続作業の製造時間を足したものとなる。なお製造時間は製造数量を製造速度で割ることで求める。そしてステップ139では製造完了時刻が納期より大の作業が有るかを判定する。納期より大の作業が有る場合にはステップ140に進み、ステップ140において今回の作業を破棄するが、一方、納期より大の作業が無い場合には、ステップ141で前回の作業を破棄し、今回の作業を最適な後続作業として登録する。
ステップ142は、これまでの処理において全作業順番決めが完了したかを判断する。ここで完了していなければステップ132に戻り、ステップ132〜141の処理を再度実行する。完了していればステップ143に進み、最適順番の解を出力して処理を終了する。
図26は、本発明の実施形態に係る製造計画作成システムにおける、製造順番最適化部による第2の全体最適化における割付の様子を説明するための図である。ガントチャート表記による充填・包装工程における一般的なスケジューリング(割付)(図26上段2401参照)に代わって上述した先行発明における順番最適化によるスケジューリングでは、充填・包装工程での段取り作業(充填・包装用冶具の取替え、フィラー及び配管の洗浄)による切替えロスを評価して充填・包装工程での製品の製造順序の最適化で全体の最適化を図ろうとするものとなっている。その結果、充填・包装工程(図26中段2403)での生産順序は最適なものとなるものの、図26中段2404〜2405に示すように上流工程(原料蓄積タンク,中身調合タンク)での製造品目の切替えのために発生する段取り作業による切替えロスが逆に大きくなることもあり得た。また上流工程でのまとめ生産については、下流工程での製造は同一中身品目を続いて製造することが望ましく、充填・包装工程での切替え作業のみを考慮した生産順序の最適化(図26中段2402)は生産全体については全体最適な生産順序まで得られるという確証がない。
そこで本発明の実施形態に係る製造計画作成システムにおける、製造順番最適化部による第2の全体最適化における割付では、製造品目の切替えロス要素をパッケージ要素とコンテンツ要素に分解し、パッケージ要素は充填・包装工程で発生する段取り作業を評価する評価指標値(Pij)として規定し、コンテンツ要素は中身品目を製造する上流工程で発生する段取り作業を評価する評価指標値(Cij)として規定する。これらの評価指標値(Pij),(Cij)は、図23Aに示した評価表T52にパッケージ要素とコンテンツ要素に分解して定義し格納する。そのうえで、生産システム全体において、製造品目の切替えにより発生する段取り作業ロス(段取り作業時間または作業負荷)の評価指標値(αij)を以下の式1のように算出する。但し、Nは切替え段取りの総数を表す。
αij=Pij+Cij (製造順i→j; i ,j∈N ) (1)
一方、TC(Total Cost)を評価期間内での評価指標値(αij)の合計値とし、また、CC(Continue Cost)を後続製造品目のとの切替え段取りの評価指標値(αij)とすれば、上記TCおよびCCの最適化評価は以下の式2、及び式3のようにして求めることができる。ただし、制約条件式を省略するものとする。
TC=min{Σ(αij)} (製造順番i→j; i,j∈N ) (2)
CC=min{αij} (製造順番i→j; i,j∈N ) (3)
このように製造品目の切替えロス要素をパッケージ要素とコンテンツ要素に分解し、図23Aに示した評価表T52に格納して評価することにより、図26下段に示す充填・包装工程2407から中身製造工程(原料蓄積タンク,中身調合タンク)までの全体を考慮した全体最適な生産順序を得ることが可能となる(図26下段2406参照)。
更に、評価指標として、パッケージ要素及びコンテンツ要素について、それぞれ対応する切替え作業時間、負荷、費用を、パッケージ要素については Ptij、Plij、Peij に、コンテンツ要素については Ctij、Clij、Ceij にさらに分解し、パッケージ要素の評価指標値 Pij=Ptij×Plij×Peij及びコンテンツ要素の評価指標値 Cij=Ctij×Clij×Ceij にそれぞれ分解定義することで、或る概念で任意に設定した評価指標値に対しても統一的な評価ロジックで評価できるようになるとともにより詳細で明確な評価をすることが可能となる。
図27は、パッケージとコンテンツの両方を考慮した製造順番の第2の全体最適化に用いる抽象化されたテーブルの構成例を示す図である。図23Aの評価表T52における説明で明らかなように、図27(a)のパッケージ要素と図27(b)のコンテンツ要素の各テーブルにおけるデータは、時間、負荷、費用という風に、それぞれ物理的意味が持っているが、図27(a)のパッケージ要素におけるデータテーブル(マトリックス)の積算及び紐付け並びに図27(b)のコンテンツ要素における積算及び紐付け、さらには図27(a)のパッケージ要素及び図27(b)のコンテンツ要素の足算によりデータの分解・合成が行われて構成される、図27(c)のパッケージとコンテンツの両方考慮したテーブルは、物理的意味を持たない抽象化されたものとなる。そして図27(c)のパッケージとコンテンツの両方考慮したテーブルは、評価用のマトリックスとなり、図23Aのコンパクト化された切替段取り評価データ(表) T53に格納される。したがって、切替段取り評価データ(表) T53は、コンパクト化され、かつ抽象化された評価用のテーブルとなる。そして上述したようにコンパクト化、抽象化された切替段取り評価データ(表)をテーブルT53から読み出して図23Bまたは図23Cの処理で利用できるようにする。つまり、統合されたデータテーブル(マトリックス)を用いて最適解を探索する。その際には、組合せ最適化アルゴリズムを利用することができる。
なお、Pij及びCijの分解定義は、図23Aの左下部の評価表T52にある、切替段取り時間評価テーブルH1,切替段取り負荷評価テーブルH2,切替段取りコスト評価テーブルH3の各テーブル内を細分してPtij、Plij、Peij及び Ctij、Clij、Ceijを定義することで対応することができる。そして図1に示した製造順番最適化部209は、全体最適化にあたって切替段取り時間評価テーブルH1,切替段取り負荷評価テーブルH2,切替段取りコスト評価テーブルH3の各評価テーブルのデータを読み取り、それに基づいてスケジューリング(割付)を実行する。なお、このような分解定義がある評価テーブル情報についても図23Aに示すメニューリスト表示が可能で、計画者はメニューリストから必要なものを選択して利用することができる。
図28は、本発明の実施形態に係る製造計画作成システムにおける、外部マスタデータ取り込み時のデータ変換処理フローを説明する図で、図1に示したマスタデータ管理部270における外部マスタデータ変換部212の動作を説明するものである。図1で既に説明したように外部マスタデータ変換部212は、依頼元システム100にデータベース化されている外部仕様のマスタデータをインターフェース201内に設けられたテーブルの定義情報にしたがってデータ変換し、本システム200内のマスタデータとして外部仕様マスタT32に取込む。
図28のステップ81では、変換定義情報を取得する。変換定義情報は、インターフェース201に設けられている、入出力ファイル定義一覧IT1、ファイルのデータ項目定義IT3、変換ルール定義IT5の各テーブルから取得する。次にステップ82では、外部情報を取得する。外部情報は、例えば依頼元システム100に設けられた外部フォルダに置かれている情報のうち、例えば設備情報G1,品目情報G2,能力情報G4,切替情報G5等に関してのものである。ステップ83では、ステップ81で取得した変換定義情報に基づいてステップ82で取得した外部情報をデータ変換する。そしてステップ84では変換されたデータを格納する。格納されるデータとしては内部フォルダに置かれるメンテナンス用マスタ情報、すなわち図1で説明した外部仕様マスタT32のマスタデータとなるもので、設備に関する設備マスタN1,品目に関する品目マスタN2,工程に関する工程マスタN3,設備能力に関する設備能力マスタN4,その他のマスタ情報に関するその他のマスタN5として格納される。そして処理を終了する。
図29は、本発明の実施形態に係る製造計画作成システムにおける、マスタメンテナンス検索表示処理フローを説明する図であり、図1に示したマスタデータ管理部270におけるマスタメンテナンス部213によりマスタデータを検索しデータを取得し且つ表示してメンテナンスする動作を説明するものである。図1で既に説明したようにマスタメンテナンス部213は、システムの内部にある外部仕様マスタT32のマスタデータをシステムの内部にある内部仕様のマスタデータとして使用できるように編集(追加、削除、変更)する。マスタメンテナンス部213は、外部仕様マスタT32内にあるデータを検索してデータを取得し且つ表示してメンテナンスする。そのためにマスタメンテナンス部213はメンテナンス用マスタT32をメンテナンスして再びメンテナンス用マスタT32に格納するとともに、外部マスタデータ変換部212を経てメンテナンスした内部仕様のマスタデータを内部仕様マスタT1に送ることができる。そしてメンテナンスしてメンテナンス用マスタT32に格納したメンテナンスデータを適当な処理バッチでインターフェース201内に設けられたテーブルの定義情報にしたがって外部仕様データに変換した上で依頼元システム(例.本社システム)100に渡し、依頼元システム100においてデータベース化されたマスタデータとしてマスタデータの統一化が図れるようにする。
いま図29のステップ91では、メンテナンスすべきマスタを選択する。選択すべきマスタは本システム200内に置かれたファイルリスト、パス定義を格納するテーブルNT2にあらかじめ定義されている情報に基づいてマスタを選択する。次にステップ92では、マスタメンテナンス検索表示処理が通常モードかを判定する。Yesであれば、ステップ93に進み、ステップ93において通常モードでのマスタの検索条件で検索して、データの取得と表示を行う。この場合、本システム200内に置かれたファイルのデータ項目定義を格納するテーブルNT4およびメンテナンス用マスタT32として纏められている、設備マスタN1,品目マスタN2,工程マスタN3,設備能力マスタN4,切替時間マスタN5,切替負荷マスタN11等から必要な項目のデータを取得し表示する。図30に設備マスタN1,品目マスタN2のデータ構造を示し、図31に工程マスタN3のデータ構造を示し、図32に設備能力マスタN4,切替時間マスタN5のデータ構造を示し、図33に切替負荷マスタN11のテーブル構造を示す。そして処理を終了する。一方、ステップ92でNoであれば、ステップ94に進み、ステップ94においてマスタメンテナンス検索表示処理がマトリックスモードでのマスタの検索条件で検索して、データの取得を行う。この場合、本システム200内に置かれたファイルのデータ項目定義を格納するテーブルNT4およびメンテナンス用マスタT32として纏められている、設備マスタN1,品目マスタN2,工程マスタN3,設備能力マスタN4,切替時間マスタN5,切替負荷マスタN11等から必要な項目のデータを取得する。そしてステップ95に進み、ステップ95においてマトリック形式とするため行、列のデータ変換を行った上で表示する。そして処理を終了する。
なお、上記のマスタメンテナンス検索表示処理が通常モードによる検索条件で検索する場合に、設備、品目等のグループをキーにして表示・操作する対象を絞り込んで表示しかつ操作するので、表示・操作できるデータの表示可能範囲を拡張し、レスポンス(応答性)を改善し、製造計画立案に不可欠なマスタデータのメンテナンスを迅速に行うことができる。また、マスタメンテナンス検索表示処理をマトリックスモードによる検索条件で検索して切替時間マスタN5及び切替負荷マスタN11をメンテナンスする場合、修正対象データを通常表示すると同時に関連データをマトリクス形式で参照表示することができるようになるので、メンテナンスの効率性を良くし、ひいては製造計画立案に不可欠なマスタデータのメンテナンスを迅速に行うことができる。
ところでマスタデータには、設備、品目等のような単純な項目リストのようなデータ(図30参照)と、工程、設備能力、切替時間・負荷等のような幾つかの種別のマスタデータの組合せ関係で構成するかなり大きいサイズのデータ(図31〜図33参照)とが混在している。とりわけ図31〜図33に示す大きなサイズのマスタデータは図30に示す設備、品目等の項目リストから成るマスタデータの内容とリンクさせているため、項目リストから成るマスタデータと該項目リストから成る幾つかの種別のマスタデータの組合せで構成されたマスタデータ間には階層関係がある。たとえば、図31〜図33に示す工程、設備能力、切替時間・負荷等のマスタデータは、図30に示す設備、品目等の項目リストから成るマスタデータの下位階層となっており、上位階層の設備、品目、等のマスタデータをメンテナンスで編集・変更した場合には、編集・変更されたデータを下位階層へ自動的に反映するようにしている。こうすることで製造計画立案に不可欠なマスタデータのメンテナンスを迅速に行うことができる。
図34は、本発明の実施形態に係る製造計画作成システムにおける、資材の所要量を算出するための計算処理フローを示す図である。図34では工程マスタ(図31参照)に事前に定義された工程データ、および、品目マスタ(図30参照)のデータを用いて、下位工程から上位工程に遡って必要な資材の所要量を算出する。つまり、工程マスタ(図31参照)に定義された工程情報(各工程での出力(成果物)と入力(原料、材料)及びそれらとの比率関係、つまり製造レシピ)を用いて、最終製品を始点として、工程の下流から上流へ遡って、使用する原料・材料まで辿っていき、各製品に使用するそれぞれの原料・材料の数量を算出し、図7に示す作業計画結果ファイルT17に格納する。図34において製品(図中で製品1,2)を始点として、工程マスタによる紐付きで定義された工程ネットワーク(図34に示される工程1〜5に係る紐付き形態、つまり業務手順)を工程3,5の下流から工程1の上流へと遡って、対象製品に繋がる全ての原料・材料(品目マスタ(図30参照)で定義される品目)を検出する。検出された個々の原料・材料について、前記対象製品から工程ネットワークを遡って当原料・材料に辿るまでのネットワーク上にある全ての繋がっている工程での入力枝の数量比を取得する。そして取得された前記入力枝の数量比データの全てを掛算して、対象製品を製造するのに必要となる所定の原料・材料についての「通算」数量比を得る。
いま工程mでの関連入力枝の数量比をSm(m=1,・・・)とし、工程k(経過工程数がk個の場合)において、製品Sに係わる原料・材料Mと繋がる入力枝の数量比をA(s_m)ek (k=1,・・・,k)とし、原料・材料Mが製品Sに対しての「通算」数量比を A(s_m) とすると、「通算」数量比は下記の式(4)で計算される。
A(s_m)=A(s_m)e1×A(s_m)e2×A(s_m)e3×A(s_m)e4×・・・×A(s_m)ek (4)
前記で得られる「通算」数量比に更に対象製品 S の製造数量 Ns を掛算して、対象製品を製造するのに必要となる製品Sに係わる原料・材料 M の必要量 Nsm を次の式(5)より得る。
Nsm = Ns × A (s_m) (5)
前記した式(4),(5)の計算を全ての原料・材料について同様に行い、対象製品を製造するのに必要となる全ての原料・材料の必要量を得る。
対象製品の品目定義に希釈倍率(ここで sK と記する)が1でない場合、上記式(4)で得る「通算」数量比(ここでは_A(s_m)と記述する)を更に品目マスタ(図30参照)で定義される対象品目の希釈倍率で割り算して得た新しい「通算」数量比を、上記式(4)での「通算」数量比(A(s_m))とする。
A(s_m) = _A(s_m)/sK (6)
さらに、対象製品の品目定義に欠減(固定欠減、変動欠減)がNullでない(欠減を考慮する)場合、上記式(4)で得る「通算」数量比を更に品目マスタ(図30参照)で定義される対象品目の変動欠減係数と固定欠減係数で下記の式(7)で計算して得た新しい「通算」数量比を上記式(4)での「通算」数量比とする。(なお製品(つまり対象品目)Sの変動欠減係数と固定欠減係数をそれぞれ sHK,sKT とする。)
A(s_m) = _A(s_m) × ((1+sHK+sKT)/Ns ) (7)
上記での欠減の考慮の上、更に上記での希釈の考慮を必要とする場合、上記式(7)で得る「通算」数量比を更に上記式(6)により求めるのと同様に品目マスタ(図30参照)で定義される対象品目の希釈倍率で割り算して得た新しい「通算」数量比を上記式(7)での「通算」数量比として上記式(5)の計算に用いる。
なお上記した希釈倍率とは、上流、調合工程で原液を製造し、充填前それに対して希釈を行う倍率であり、また上記した欠減(固定欠減、変動欠減)係数とは、次工程に移動する際に、次工程に投入する原料、中間品の一部を固定的割合或いは変動的割合で破棄することである。さらに図示していないが、充填・包装工程の製造計画を完了した後、充填・包装に必要な缶、ペットポトル、ダンボールなどの資材の必要量は、対象品目の製造数量、及びその対象品目対応の資材使用量原単位マスタデータ(図示せず)を基に、製品毎の各種包装用資材の使用量を算出し、図7に示す作業計画結果ファイルT17に格納する。