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JP5152193B2 - 固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼材および固体高分子型燃料電池 - Google Patents

固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼材および固体高分子型燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、固体高分子型燃料電池通電部品用材料として、接触電気抵抗が小さく、電池本体に組み込まれたときの耐食性に優れたステンレス鋼材およびそのステンレス鋼材により製造されたセパレータを用いた固体高分子型燃料電池に関する。
燃料電池は、水素および酸素を利用して直流電力を発電する電池であり、固体電解質型、溶融炭酸塩型、リン酸型および固体高分子型などの各種の燃料電池がある。これらの中で、現在、商用段階に達している燃料電池は、リン酸型燃料電池および溶融炭酸塩型燃料電池である。これらの燃料電池のおおよその運転温度は、固体電解質型燃料電池で1000℃、溶融炭酸塩型燃料電池で650℃ 、リン酸型燃料電池で200℃ であり、固体高分子型燃料電池では80℃ 前後である。
上記のように、固体高分子型燃料電池は運転温度が低く、しかも起動・停止が容易であり、またエネルギー効率も40% 程度が期待できる。従って、小規模事業所、電話局などの非常用分散電源、都市ガスを燃料とする家庭用小型分散電源、水素ガス、メタノールあるいはガソリンを燃料とする低公害電気自動車搭載用電源として、世界的に実用化が期待されている。
図1は、固体高分子型燃料電池(以下、単に「燃料電池」ともいう。)の構造を示す図で、図1(a)は、燃料電池を構成する単セルの分解図、図1(b)は多数の単セルを組み合わせて作られた燃料電池全体の斜視図である。
図1に示すように、燃料電池1 は単セルの集合体(スタック)である。単セルは、図1(a)に示すように固体高分子電解質膜2の一面にアノードとして作用するガス拡散電極層(燃料電極膜とも呼ばれ、以下、「アノード」という。)3が、他面にはカソードとして作用するガス拡散電極層(酸化剤電極膜と呼ばれ、以下、「カソード」という。)4がそれぞれ積層されており、その両面にセパレータ(バイポーラプレート)5a、5bが重ねられた構造になっている。
なお、上記の単セルと単セルとの間、または数個の単セルごとに冷却水の流通路を持つ水セパレータを配した水冷型の燃料電池もある。本発明はそのような水冷型燃料電池をも対象とする。
固体高分子電解質膜(以下、単に「電解質膜」という。)2としては、水素イオン(プロトン)交換基を有するフッ素系プロトン伝導膜が使われている。アノード3およびカソード4には、粒子状の白金触媒と黒鉛粉、および必要に応じて水素イオン(プロトン)交換基を有するフッ素樹脂からなる触媒層が設けられている場合もあり、この場合には、燃料ガスまたは酸化性ガスとこの触媒層とが接触して反応が促進される。
セパレータ5aに設けられている流路6aからは燃料ガス(水素または水素含有ガス)Aが流されて燃料電極膜3に水素が供給される。また、セパレータ5bに設けられている流路6bからは空気のような酸化性ガスB が流され、酸素が供給される。これらガスの供給により電気化学反応が生じて直流電力が発生する。
固体高分子型燃料電池のセパレータに求められる主な機能は次のようなものである。
(1)燃料ガス、酸化性ガスを電池面内に均一に供給する“流路”としての機能、
(2)カソード側で生成した水を、反応後の空気、酸素といったキャリアガスとともに燃料電池から効率的に系外に排出する“流路”としての機能、
(3)電極膜(アノード3、カソード4)と接触して電気の通り道となり、さらに単セル間の電気的“コネクタ”となる機能、
(4)隣り合うセル間で、一方のセルのアノード室と隣接するセルのカソード室との“隔壁”としての機能、および
(5)水冷型燃料電池では、冷却水流路と隣接するセルとの“隔壁”としての機能。
このような機能を果たすことが求められる固体高分子型燃料電池セパレータ(以下、単に「セパレータ」という。)用材料としては、優れた加工性、低い電気抵抗率、低い表面接触抵抗、高い強度、優れた耐食性などが同時に要求され、量産性も大きな問題である。このセパレータ用材料として、従来、カーボン系の材料が使用されていたが、カーボン系材料は強度上の問題を有する。またセパレータへの加工コストが嵩むという難点がある。具体的には、カーボン板材の場合には、表面の平坦化や流路形成のための機械加工が容易でなく、熱膨張性黒鉛の場合には、ガス透過性を低下させるために樹脂含浸と焼成とを繰り返し行う必要がある。
このような、従来のカーボン系材料に比較して、より軽量、コンパクトな燃料電池が設計可能となるプレス成形可能な金属系のセパレータ用材料開発が必要とされている。こうした要請に応えて、ステンレス鋼を使用することが検討されている。
ステンレス鋼はその表面に形成された酸化皮膜(不動態皮膜)により高い耐食性を実現しうる材料であり、固体高分子型燃料電池環境においても十分耐食性を維持することが期待される。しかしながら、その表面に形成された不動態皮膜により接触抵抗が上昇するため、セパレータのような通電部品としてステンレス鋼をそのまま適用すると、燃料電池としての実効的な発電効率がこの接触抵抗により低下してしまい、好ましくない。
そこで、セパレータ材料として特別に開発されたステンレス鋼も幾つか提案されている。例えば、特許文献1には、セパレータ基材の表面に、金などの貴金属からなる導電性接点層を、めっきなどによって膜厚0.0005〜0.01μm未満で形成する技術が開示されている。また、特許文献2には、ステンレス鋼表面に導電性を有する炭化物や硼化物の金属介在物を、不動態皮膜を突き破るようにして分散、露出させ、かつ表面粗度を所定の範囲にする技術が開示されている。このとき、この炭化物や硼化物系金属介在物は、“電気の通り道”として機能するため、接触電気抵抗が大きく低下し、接触電気抵抗は継時的に低く維持される。同様の発想に基づく技術として、特許文献3には、Fe2Mo型ラーベス相を導電性の析出物として活用する方法が記載されている。これらはいずれもCr、FeおよびMoを主体とした析出物である。
特開2004−158437号公報 特開2001−32056号公報 特開2004−124197号公報
しかしながら、特許文献1に開示されるような積層構造は、表面の導電層が薄く、かつ相対的に軟質であるため、燃料電池として組み立てる際に、セパレータが他の部品要素と接触して導電層が剥離することが懸念される。また、貴金属部分と基材との間で局部電池が形成され、基材側の耐食性が低下する可能性もある。
特許文献2や3に開示される技術は上記のような問題点が発生しない。しかしながら、耐食性を担う不動態皮膜を突き破るように所定の金属介在物を露出させるため、セパレータのうちでもカソードに対向する部分のように水分の多い雰囲気に曝されたときに、長期にわたって高い耐食性が維持されるかは不明である。
そこで、本発明は、セパレータとして動作するに十分な低い接触抵抗を持ち、しかもカソード対向部分においても長期にわたって耐食性を維持しうる、固体高分子型燃料電池通電部品用ステンレス鋼材、およびそれを用いたステンレス鋼製セパレータを備える固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明者が鋭意研究した結果、Niの含有量が50質量%以上であって導電性を有する析出物であるNi系析出物を、緻密なCrの酸化皮膜から露出するように分散させた構造を有するステンレス鋼は、優れた通電特性を有しつつ、高い耐食性を有するとの知見を得た。係る知見に基づき完成された本発明は次のとおりである。
(1)オーステナイト系ステンレス鋼材であって、Niの含有量が50質量%以上であって導電性を有する析出物が一種類以上表面に露出し、該析出物の表面露出率が3面積%以上であることを特徴とする固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼材。
(2)前記析出物が、NiX型の析出物(XはAl、Ti、V、Nb、Ta、およびZrからなる群から選ばれる一種または二種以上である。)を含むことを特徴とする上記(1)に記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼材。
(3)前記析出物がNiNb相を含むことを特徴とする上記(2)に記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼材。
(4)前記析出物がNiTi相を含むことを特徴とする上記(2)に記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼材。
(5)セパレータを構成するステンレス鋼材が、質量%で、C:0.001〜0.2%、Si:0.01〜1.5%、Mn:0.01〜2.5%、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Cr:15〜30%、Ni:20〜60%、Cu:2%以下、Al:3.1%以下、N:0.4%以下を含有するとともに、Mo:7%以下、W:4%以下、Ti:5%以下、Nb:6%以下、V:5%以下、Ta:10%以下およびZr:6%以下からなる群から選ばれる一種または二種以上を含有し、残部Feおよび不純物からなり、かつ、Al、Ti、V、Nb、TaおよびZrが下記式を満足する化学組成を有するオーステナイト系ステンレス鋼材であることを特徴とする上記(1)から(4)のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼材。
2%<8×Al+4×Ti+4×V+2×Nb+2×Zr+Ta<25%
ただし、式中の元素記号は各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
(6)固体高分子膜、電極およびセパレータを備える固体高分子型燃料電池であって、前記セパレータの素材として上記(1)から(5)のいずれかに記載される固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼を用いることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
本発明によれば、接触抵抗が低く、かつ耐食性に優れた固体高分子型燃料電池通電部品用ステンレス鋼材、およびそれを用いたステンレス製セパレータを備える固体高分子型燃料電池が得られる。
固体高分子型燃料電池の構造を概念的に示す図である。 析出物が露出したステンレス鋼材の表面と他の通電体面とを接触させた状態を概念的に示す図である。 本発明に係るステンレス鋼材の表面のSEMによる観察画像である。
本発明に係る固体高分子型燃料電池通電部品用ステンレス鋼材、その製造方法、およびそれを用いたステンレス製セパレータを備える固体高分子型燃料電池について、具体例をもって詳細に説明する。なお、本明細書において、鋼成分の含有量に関する「%」は「質量%」を意味する。
1.ステンレス鋼材の表面の構造
(1)Ni系析出物
本発明に係るステンレス鋼材は、Ni系析出物が一種類以上、鋼材表面に形成された緻密なCrの酸化皮膜(不動態皮膜)上に露出する構造を有する。
ここで、「Ni系析出物」とは、Niの含有量が50質量%以上であって導電性を有する析出物である。
このNi系析出物の化学組成は導電性を有する限り特に限定されない。金属間化合物であってもよいし、炭化物であってもよい。金属間化合物としては、NiX型、NiX型、NiX型など複数の構造(ここで、Xは、Al、Ti、V、Nb、Ta、Zrなどの元素の一種または二種以上である。)が例示される。
一般にステンレス鋼材は化学組成にCrを含有するため、Ni系析出物以外にCr系の析出物(Crの含有量が50質量%以上の析出物)が析出する場合もある。本発明に係るNi系析出物は、その表面に形成された酸化皮膜の厚さがCr系析出物の表面に形成された酸化皮膜より薄いため、Cr系析出物よりも低い接触抵抗を示す。しかも、相対的にCr系析出物の酸化皮膜よりは薄いものの、Ni系析出物の酸化皮膜は緻密であるから、固体高分子型燃料電池環境において十分な程度の耐食性を示す。したがって、この鋼材からなるセパレータがカーボンペーパなどからなる電極部材と接触するとその表面に露出したNi系析出物がこの電極部材に接触するため、このセパレータは良好な導電性を有する。また、このセパレータは、カソード側の水分を多く含む雰囲気に曝されても、高い耐食性を維持する。
図2は、Ni系析出物が表面に露出したステンレス鋼材の表面と他の通電体面とを接触させた状態を概念的に示す図である。本発明に係るステンレス鋼材10はその表面に酸化皮膜12を有するとともに上記のNi系析出物を有し、このNi系析出物の一部13はその内部に、別の一部14は酸化皮膜11を突き破るように表面に一部露出し、さらに別の一部15は酸化皮膜の直下に存在する。使用状態においてステンレス鋼材にはガス拡散機能も有する電極部材11が当接し、このとき、ステンレス鋼材10の表面に露出するNi系析出物14とこの電極部材11とが接触することで低接触抵抗での電気的接続が実現される。
Ni系析出物の形状は特に限定されないが、過剰に大きい場合には表面に露出したNi系析出物が脱落しやすくなり、過剰に小さい場合には表面に露出してもステンレス鋼材の母材の表面に形成された酸化皮膜(不動態皮膜)からNi系析出物が突出することができず、「電気の通り道」として機能することが困難となる。したがって、粒径が10nm〜1μm程度の大きさであることが好ましく、20〜100nmであれば特に好ましい。
Ni系析出物の形成方法も限定されない。溶製されたステンレス鋼が凝固するときに形成されたもの、鍛造や圧延などの一次加工の過程で形成されたもの、および一次加工品または二次加工品に対して熱処理することによって形成されたもののいずれであってもよい。析出物の化学組成および形状の制御しやすさの観点から、熱処理によって析出させることが好ましい。
(2)NiX型析出物
本発明に係るステンレス鋼材の表面に露出するNi系析出物は、Ni基合金の析出相であって、NiX型の構造を有するものを含むことが、導電性および耐食性の両立の観点から好ましい。ここで、Xとは、前述のように、Al、Ti、V、Nb、Ta、Zrなどの元素の一種または二種以上である。具体的には、NiX型析出物としてNi3Nb相、Ni3Ti相が例示される。また、この析出物は、NiX型構造におけるNiサイトの一部がNi以外の金属、例えばFeによって置換されていてもよい。このようなNiサイトの置換は、Xが複数の元素からなる場合に起りやすい。
(3)析出物の体積分布
本発明に係るステンレス鋼材におけるNi系析出物の組成がNiX(X:Al、Ti、V、Nb、TaおよびZrからなる群から選ばれる一種または二種以上)であって、鋼中のXの要素となる元素が全て析出物に取り込まれるとすると、この析出物のステンレス鋼材に占める体積%(以下「A」とする。)はおおよそ次式で表すことができる。
A(体積%)=8×Al+4×Ti+4×V+2×Nb+2×Zr+Ta
ただし、式中の元素記号は各元素の鋼中の含有量(質量%)を示す。
このAの範囲について、鋼材の表面を酸により溶削して、析出物を表面に分散露出させて電気の通り道として機能させるためには、Ni系析出物はある程度の析出量が必要である。このため、Ni系析出物の析出量の下限が規定され、詳細な検討の結果によると、下限Aminは2体積%であり、Aを10体積%以上とすることが好ましい。一方、上限は材料の加工性等の製造性により決定されるものであって、上限Amaxを25体積%とすることが好ましい。
(4)析出物の表面分布
上記のように、本発明に係るステンレス鋼材のNi系析出物は、表面に露出することで鋼材の表面抵抗を低下させる。この露出したNi系析出物の表面における存在比率(単位:面積%、本発明においてこの比率を「表面露出率」という。)は3%以上であればよく、概ね5%以上にすることが望ましい。電流は表面に露出した析出物を通って接触する部材(カーボンペーパー)に流れるので、表面露出率が高いほど、接触抵抗は低くなり、好ましい。表面の露出率が5%以上であれば十分である。5%より低くても、析出部分を経由して電流が流れる限りにおいて効果はあり、3%以上あれば一般的には最小限の導電性が確保される。従って、表面露出率は3%以上とする。特に好ましい表面露出率は12%以上である。一方、面積率の上限は接触抵抗の観点から規定されないが、加工性の観点から上限が規定される場合がある。この上限は組成や加工法に依存するため、これらの制約なく上限として特定の数値を設定することは困難である。一例として数値を挙げれば、好ましい表面露出率の上限は20面積%である。
表面露出率の計測方法は特に限定されないが、一例を挙げれば次のとおりである。すなわち、Ni系析出物の直径が一般的には数十〜数百nmの大きさであることを考慮すると、SEM、TEMなどの電子顕微鏡を用い、視野を500nm×500nm〜5μm×5μm、好ましくは500nm×500nm〜2μm×2μmとしてステンレス鋼材表面の析出物を観察する。EPMA,AESなどの元素分析手段によって観察視野内の析出物の化学組成を測定し、これらの中からNi系析出物を特定する。こうして特定された観察視野におけるNi系析出物の面積比率を画像処理手段を用いることによって算出する。
2.ステンレス鋼材の化学組成
上記の析出物を安定的に得ることが可能な本発明に係るステンレス鋼材はオーステナイト系ステンレス鋼からなる鋼材であり、その好ましい化学組成は次のとおりである。
C:0.001〜0.2%
加工性および耐食性に影響を及ぼす各種炭化物の析出を抑制するために、Cの含有量を0.001〜0.2%とすることが好ましい。
Si:0.01〜1.5%
鋼中のSiは、0.01〜1.5%の範囲で含有させることが好ましい。Siは、量産鋼においてはAlと同様に有効な脱酸元素である。0.01%未満では脱酸が不十分となることが懸念され、一方1.5%を超えると成形性が低下する傾向を示す。
Mn:0.01〜2.5%
Mnは0.01〜2.5%の範囲で含有させることが好ましい。Mnは有効なオーステナイト相安定化元素である。ただし2.5%以上含有させる必要はない。
P:0.04%以下
鋼中のP含有量は、0.04%以下とするのが好ましい。本発明に係る鋼材においては、PはSと並んで最も有害な不純物である。低ければ低い程望ましい。
S:0.01%以下
鋼中のS含有量は、0.01%以下とするのが好ましい。本発明に係る鋼材においてSはPと並んで最も有害な不純物であるから、S含有量は低ければ低いほど望ましい。鋼中共存元素および鋼中のS量に応じて、Mn系硫化物、Cr系硫化物、Fe系硫化物、あるいは、これらの複合硫化物および酸化物との複合非金属介在物としてほとんどが析出する。しかしながら、固体高分子型燃料電池のセパレータが置かれる環境においては、いずれの組成の非金属介在物も、程度の差はあるものの腐食の起点として作用し、不動態皮膜の維持、腐食溶出抑制に有害である。通常の量産鋼の鋼中S含有量は、0.005%超え0.008%以下であるが、上記の有害な影響を防止するためには0.004%以下に低減することが望ましい。より望ましい鋼中S含有量は0.002%以下であり、最も望ましい鋼中S含有量レベルは、0.001%未満であり、低ければ低い程よい。工業的量産レベルで0.001%未満とすることは、現状の精錬技術をもってすれば製造コストの上昇もわずかであり、全く問題ない。
Cr:15〜30%
Crは、母材の耐食性を確保する上で極めて重要な基本合金元素である。基本傾向としては、含有量が高いほど高い耐食性が得られる。15%未満のCr含有量では、その他の元素を変化させてもセパレータとして必要な耐食性の確保が困難になる場合がある。一方、30%を超えると、オーステナイト相がその他合金成分の調整によっても不安定性になる。したがって、Cr含有量は15〜30%とすることが好ましく、15〜20%とすることが特に好ましい。
Ni:20〜60%
Niは導電性を有するNi系介在物を形成するために必須の元素であるとともに、オーステナイト相を安定化させる機能を有する重要な元素である。特に、本発明に係る鋼材のようにNbやTiを多く含有する鋼においては、オーステナイト相の安定化のためにNiを20%以上含有させることが好ましい。一方、過剰に含有させると製造が困難となるため、含有量の上限は60%とすることが好ましい。特に好ましい範囲は25〜50%である。
Al:3.1%以下
Alは、一般には脱酸元素として溶鋼段階で添加する。一方、本発明に係る鋼材においてAlは電気の通り道となる導電性析出物の構成元素としても作用する。ただし、3.1%を超えて含有させると、加工性の低下による影響が顕著になる。したがって、Alの含有量は3.1%以下とすることが好ましい。特に好ましいAl含有量は1%以下である。
Cu:2%以下
Cuは、有効なオーステナイト相安定化元素であり、不動態保持に際して有効な働きをする。ただし、2%を超えて含有させると、熱間での加工性を減ずることとなり、量産性の確保が難しくなる。したがって、Cuの含有量を2%以下とすることが好ましい。
N:0.4%以下
Nはオ−ステナイト形成元素として、オーステナイト相バランス調整に有効な元素である。しかし、過剰に含有すると加工性を劣化させることが懸念される。したがって、N含有量の上限を0.4%とすることが好ましい。
Mo:7%以下、W:4%以下、Ti:5%以下、Nb:6%以下、V:5%以下、Ta:10%以下およびZr:6%以下からなる群から選ばれる一種または二種以上
MoはCrに比べ、少量で耐食性を改善する効果がある。7%以下の量で必要により含有させることが好ましい。7%を超えて含有させると、シグマ相等の金属間化合物の析出回避が困難となり、鋼の脆化の問題が顕在化し、生産が困難となる場合もある。したがって、Mo含有量の上限を7%とすることが好ましい。
Wは、Moと同様に耐食性を改善する効果があり、必要により含有させることができる。しかしながら、多量に含有させると加工性が劣化するので上限を4%とすることが好ましい。
上記の群におけるその他の元素は、Alと同様、電気の通り道となる導電性析出物の構成元素である。加工性を確保するため、Ti:5%以下、Nb:6%以下、V:5%以下、Ta:10%以下、およびZr:6%以下からなる群から選ばれる一種または二種以上を満たすように含有させることができる。
上記の元素以外は、Feおよび不純物である。
なお、上記のように、鋼に含まれるAl、Ti、V、Nb、TaおよびZrについては、析出物の体積の好適範囲の観点から、下記式を満たすことが好ましい。
2%<8×Al+4×Ti+4×V+2×Nb+2×Zr+Ta<25%
ただし、式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を示す。
3.ステンレス鋼材の製造方法
本発明に係るステンレス鋼材は、上記のようにNi系析出物の表面露出率が本発明に規定される範囲であって、好ましくは上記のような化学組成を有していれば、製造方法には特に限定されない。ただし、次のような製造方法を採用すれば、本発明に係るステンレス鋼材を、効率的にかつ安定的に得ることが実現される。
(1)鋼材の製造方法
本発明に係るステンレス鋼材は、Ni系析出物を析出させる前までは、通常のオーステナイト系ステンレス鋼材の製造方法にしたがって製造すればよい。一例を挙げれば次のとおりである。まず、金属原料を炉内で加熱溶解し、得られた溶鋼を連続鋳造によりスラブとし、これを熱間圧延し、焼鈍する。焼鈍により得られた鋼材を酸洗後、冷間圧延し、焼鈍することでステンレス鋼材が得られる。なお、連続鋳造を行わずに、溶鋼から造塊してインゴット得て、これを鍛造して熱間圧延に供してもよい。
(2)熱処理による析出物形成
本発明に係るステンレス鋼材はNiを主体(具体的には50質量%以上)とする導電性析出物、すなわちNi系析出物を有する。この析出方法は特には制限されないが、上記のような製造方法で得られたステンレス鋼材に対して熱処理を行うことによって析出物を析出させることが好ましい。なお、Ni系析出物の化学組成、形状および析出量はステンレス鋼材の化学組成のみならず熱処理条件にも依存するため、Ni系析出物が目的の表面露出率となるように熱処理条件は適宜設定される。一例を挙げれば、700℃〜800℃程度、数時間〜数十時間である。
この熱処理のタイミングは、セパレータ形状への成形加工(プレス成形、切削加工など)の前でも後でもよい。鋼材内に析出した析出物が加工性を損なう要因にはならないため、成形加工を行ってから析出熱処理を施すことが特に好ましい。
(3)溶削
こうして析出物を鋼材内に析出させたら、電気の通り道を表面に確保するために、鋼材の内部に一様に析出した析出物を表面に露出させる。そのために、一般的には、析出熱処理後に表面を酸洗する。母材は析出物よりも酸に対する溶解速度が大きいため、酸洗すると析出物よりも優先的に母材が溶解し、その結果、鋼材の表面に析出物の一部が露出する(頭出し)。
この頭出しのための酸洗に用いる処理液は、特には限定されないが、例えば硝酸を8〜15体積%およびフッ酸を3〜8体積%含む水系処理液が例示される。
処理液による処理条件は処理液組成によっても変動するため、Ni系析出物が目的の表面露出率となるように適宜設定すればよい。例えば、硝酸を8体積%およびフッ酸を3体積%有する水系処理液の場合には、液温60℃であれば処理時間は1〜5分程度でよい。
4.ステンレス鋼製セパレータおよび固体高分子型燃料電池
上記のような析出物を有する本発明に係るステンレス鋼材をセパレータの構造、およびその加工方法、ならびに得られたセパレータを用いる固体高分子型燃料電池の構造および組立方法については特に制限されない。
セパレータの構造の一例としては図1に示されるセパレータ5a,5bが挙げられ、固体高分子型燃料電池の構造としては図1に示される燃料電池1が挙げられる。
セパレータの製造方法は、ステンレス鋼材を切削加工などによって溝を形成する方法であっても、ステンレス鋼板をプレス加工によって凹凸を形成する方法であってもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
表1に示す化学組成を有する10種の合金を、高周波誘導加熱方式20kg真空溶解炉で、市販の金属原料を使用し鋼中の不純物を調整して溶解し、造塊してインゴットを得た。なお、表1に示される化学組成における残部はFeおよび不純物である。各インゴットから下記の工程により冷間圧延鋼板を製造した。
インゴット→鍛造→熱間圧延→焼鈍→酸洗→冷間圧延(中間焼鈍)→焼鈍→冷延鋼板
なお、一部の合金については、上記の工程における熱間圧延終了時の鋼板、すなわち熱間圧延鋼板を機械加工し、加工された部材を熱処理して評価対象とした。
各製造工程における詳細は以下のとおりである。
鍛造は、大気中加熱によって1100℃までインゴットを加熱してプレス方式にて行い、25〜30mm厚×110mm幅の鍛造後鋼材を得た。鍛造後の鋼材を大気中加熱によって1100℃まで加熱し、25〜30mm厚であったものを6mm厚まで熱間圧延した。熱間圧延後の鋼板に対する焼鈍は大気中加熱によって1050℃に加熱することで行った。引き続いて、焼鈍後の鋼材を酸洗後、6mm厚から0.5〜0.2mm厚まで冷間圧延した。冷間圧延後の鋼板を上記の条件と同じ条件で焼鈍して冷延鋼板を得た。
Figure 0005152193
上記の工程で仕上がった冷延鋼板について、析出物がNiX型であるとしたときの体積比率(体積%)の計算結果を表1に示した。
この冷延鋼板表面への析出物の分散・頭出しは、表2に示される条件での熱処理によって材料中に一様に析出物を分散析出させた後、表面を酸洗することにより実施した。酸洗に用いた処理液の組成は5%HCl溶液であり、60℃、10分の浸漬によって頭出しを行った。
表面への析出物の分散・頭出しを行った冷延鋼板について、任意の測定場所を複数選び、SEM観察によって得られた580nm×580nmの視野の観察画像における析出物の占める面積割合を算出した。なお、析出物の同定はSEM観察、X線観察、TEM観察(および付属のEDX)により行った。得られたSEM画像の一例を図3に示す。図3における円形または楕円形の白色〜灰色部分が析出物である(図3(a)で観察される析出物はNiTiであり、図3(a)の析出物はNiNbである。)。
また、表面への析出物の分散・頭出しを行った冷延鋼板について、カーボン部材との接触抵抗の測定を実施した。所定の処理を施した冷延鋼板から20mm×20mmの試験片を切り出した。2枚の試験片でカーボンペーパ(東レ製TGP-H120)を荷重5kg/cmで挟み、抵抗を測定した。測定値は試験片2面分の接触抵抗に由来するため、測定値の1/2の値に基づいて、試験片とカーボンペーパの接触面1面分の接触抵抗(単位:mΩcm)を算出した。また、こうして得られた接触抵抗初期値に加えて、試験片を75℃相対湿度95%の環境で200時間保持した後の接触抵抗を測定した。
析出物の頭出しを行った後の冷延鋼板の結果を表2に示す。
Figure 0005152193
No.3は、表1に示す合金aを、720℃×16hの熱処理の後、溶削により析出物を頭出しした材料(表面露出率16%)の評価結果である。初期の抵抗は8.8mΩcmと低い値を示した。一方、同じ合金aでもNo.1は、析出処理(熱処理)をしておらず、頭出しに相当する酸洗を行っても抵抗は低くはならなかった。No.2は析出処理(熱処理)により析出物は析出しているが、表面頭出しレベルの酸洗処理を施していないので、接触抵抗は高い結果となった。
以下、No.5、およびNo.7〜14は析出物の露出率がいずれも十数%以上であり、10mΩcm前後の低い接触抵抗値を示した。No.4、および6は析出処理(熱処理)を行っていないため析出物が析出しておらず、接触抵抗は高かった。No.15は比較としてSUS316Lに表面溶削と同等な処理を施した結果であり、接触抵抗が高いことがあらためて確認された。
表2に示すサンプルを75℃で相対湿度95%の雰囲気中に200時間放置した後、接触抵抗の測定を行ったところ、析出物が露出しているNo.3、5、およびNo.7〜14はほとんど抵抗の増加は見られなかった。これに対して、比較例は全て抵抗が2倍ほど増加した。
以上の結果は、本発明に係るステンレス鋼板が表面に有する析出物が電気の通り道として有効に作用するとともに、高温高湿環境下における劣化も小さいことを示している。
表1に示される合金a、b、gの熱延鋼板から切り出した板に切削加工により流路を施し、セパレータに加工した。ガス流路となる溝の幅は1.5mm、深さは1.0mmとした。このセパレータに720℃、16時間の熱処理を行い、さらに実施例1に示される処理と同様の酸洗処理を施し、析出物の表面頭出しを行った。高分子膜、電極、ガス拡散層が一体化した電極有効面積25cmの膜電極集合体(MEA)を上記セパレータではさみ、単セル燃料電池を作製した。カソード側に空気(利用率50%)、アノード側に純水素(利用率70%)を流し、電流密度0.5A/cmで、出力電圧をモニターし電池性
能を評価した。結果を表3に示す。100時間運転後の電圧降下率は3%未満であり、本発明鋼によるセパレータは電池に組み込んで十分機能することが確認された。
Figure 0005152193
表1に示される合金b、gの熱延鋼板を用いて、実施例2に係る燃料電池と同様な燃料電池を作製した。セパレータは機械加工の後、実施例2の場合と同様の熱処理・頭出し酸洗処理を行った。燃料はメタノール水溶液を使用し、電極有効面積は16cmであった。カソード側は大気に暴露し、アノード側には3%メタノール溶液を流した。電流密度を5mA/cmに保持し、出力電圧をモニターして電池性能を評価した。結果を表4に示す。
Figure 0005152193
100時間運転後の電圧降下率はやはり3%未満であり、本発明に係るステンレス鋼材によるセパレータはメタノールを燃料とする電池に組み込んでも十分機能することが確認された。

Claims (6)

  1. オーステナイト系ステンレス鋼材であって、Niの含有量が50質量%以上であって導電性を有する析出物が一種類以上表面に露出し、該析出物の表面露出率が3面積%以上であることを特徴とする固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼材。
  2. 前記析出物が、NiX型の析出物(XはAl、Ti、V、Nb、Ta、およびZrからなる群から選ばれる一種または二種以上である。)を含むことを特徴とする請求項1記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼材。
  3. 前記析出物がNiNb相を含むことを特徴とする請求項2に記載の固体高分子型燃料電池
    セパレータ用ステンレス鋼材。
  4. 前記析出物がNiTi相を含むことを特徴とする請求項2に記載の固体高分子型燃料電池
    セパレータ用ステンレス鋼材。
  5. セパレータを構成するステンレス鋼材が、質量%で、C:0.001〜0.2%、Si:0.01〜1.5%、Mn:0.01〜2.5%、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Cr:15〜30%、Ni:20〜60%、Cu:2%以下、Al:3.1%以下、N:0.4%以下を含有するとともに、Mo:7%以下、W:4%以下、Ti:5%以下、Nb:6%以下、V:5%以下、Ta:10%以下およびZr:6%以下からなる群から選ばれる一種または二種以上を含有し、残部Feおよび不純物からなり、かつ、Al、Ti、V、Nb、TaおよびZrが下記式を満足する化学組成を有するオーステナイト系ステンレス鋼材であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼材。
    2%<8×Al+4×Ti+4×V+2×Nb+2×Zr+Ta<25%
    ただし、式中の元素記号は各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
  6. 固体高分子膜、電極およびセパレータを備える固体高分子型燃料電池であって、前記セパレータの素材として請求項1から5のいずれかに記載される固体高分子型燃料電池セパレータ用ステンレス鋼を用いることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
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