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JP5147006B2 - エマルジョン燃料、エマルジョン燃料の製造方法、エマルジョン燃料の製造装置及びエマルジョン燃料の供給装置 - Google Patents

エマルジョン燃料、エマルジョン燃料の製造方法、エマルジョン燃料の製造装置及びエマルジョン燃料の供給装置 Download PDF

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JP5147006B2 JP2008181292A JP2008181292A JP5147006B2 JP 5147006 B2 JP5147006 B2 JP 5147006B2 JP 2008181292 A JP2008181292 A JP 2008181292A JP 2008181292 A JP2008181292 A JP 2008181292A JP 5147006 B2 JP5147006 B2 JP 5147006B2
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Description

本発明は、エマルジョン燃料、エマルジョン燃料の製造方法、エマルジョン燃料の製造装置及びエマルジョン燃料の供給装置に関する。
水と燃料を乳化混合して得られる油中水滴型のエマルジョン燃料は、燃焼時にNOxや粒子状物質(PM)等の発生が少ないため、大気汚染の防止に有効な燃料として注目されている。このようなエマルジョン燃料の製造方法としては、例えば、特開2006−329438号公報(特許文献1)や特開平10−185183号公報(特許文献2)に、燃料油と水とをミキサーで乳化混合する方法が開示されている。しかしながら、特許文献1〜2に記載のような従来のエマルジョン燃料の製造方法を採用して得られるエマルジョン燃料は燃焼性が十分なものではなかった。
特開2006−329438号公報 特開平10−185183号
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、十分に高度な燃焼性を有し、NOxやCOの発生を十分に抑制することが可能なエマルジョン燃料を効率よく且つ確実に製造することが可能なエマルジョン燃料の製造方法、その製造方法により得られるエマルジョン燃料、そのエマルジョン燃料を製造することが可能なエマルジョン燃料の製造装置、並びに、そのエマルジョン燃料を燃焼器内に供給可能なエマルジョン燃料の供給装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、油中水滴型エマルジョンの水相中にCOを溶解するか或いは炭酸水と燃料油とを乳化混合することにより、十分に高度な燃焼性を有し、NOxやCOの発生を十分に抑制することが可能なエマルジョン燃料を効率よく且つ確実に製造することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第一のエマルジョン燃料の製造方法は、水相と燃料油からなる油相とを有する油中水滴型エマルジョンの前記水相中にCOを溶解させて、COが溶解した水相を有する油中水滴型エマルジョン燃料を得ることを特徴とする方法である。
また、本発明の第二のエマルジョン燃料の製造方法は、炭酸水と燃料油とを混合して乳化することにより、COが溶解した水相と前記燃料油からなる油相とを有する油中水滴型エマルジョン燃料を得ることを特徴とする方法である。
さらに、上記本発明の第一及び第二のエマルジョン燃料の製造方法においては、前記油中水滴型エマルジョン燃料の水相中に常温常圧における大気中のCOの飽和溶解量を超える量のCOが溶解していることが好ましい。
また、本発明のエマルジョン燃料は、水相と燃料油からなる油相とを有する油中水滴型エマルジョン燃料であって、前記水相中に常温常圧における大気中のCOの飽和溶解量を超える量のCOが溶解していることを特徴とするものである。
本発明の第一のエマルジョン燃料の製造装置は、燃料油と水とを乳化混合して油中水滴型エマルジョンを製造するための混合装置と、前記混合装置から供給される油中水滴型エマルジョンの水相中にCOを溶解させて油中水滴型エマルジョン燃料を得るためのCO溶解装置とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の第二のエマルジョン燃料の製造装置は、燃料油と炭酸水とを乳化混合して油中水滴型エマルジョン燃料を製造するための混合装置を備えることを特徴とするものである。
さらに、本発明のエマルジョン燃料の供給装置は、上記本発明の第一又は第二のエマルジョン燃料製造装置と、前記エマルジョン燃料製造装置から供給されるエマルジョン燃料を燃焼器内に噴霧するための噴霧装置とを備えることを特徴とするものである。
なお、本発明のエマルジョン燃料によって、十分に高度な燃焼性を有し、NOxやCOの発生を十分に抑制することが可能となる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。ここで、先ず、図1及び図2を参照しながら、燃焼器内における一般の油中水滴型エマルジョン燃料の噴霧燃焼の過程について説明する。なお、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。このような油中水滴型エマルジョン燃料の噴霧燃焼の過程においては、先ず、油中水滴型エマルジョン燃料が燃焼器内に噴霧されると、燃料油1と水2とを含有する油中水滴型エマルジョン燃料の噴霧滴10が燃焼器内に拡散される。次に、燃焼器内において、前記噴霧滴10の表面に着火される(図1(b))。このようにして噴霧滴の表面に着火されると、噴霧滴10中の水2が突沸してミクロ爆発が起こり、燃料1がより微細な二次微粒子となって燃焼器中に拡散される(図1(c))。このようにして燃焼器中に燃料油1が二次微粒化されて微細な粒子となって拡散されると、燃料油1の燃焼性を向上させることが可能となる。ここで、前述のミクロ爆発は、図2に示すように噴霧滴10中の水2中において気泡核4が発生し、この気泡核4が急激に成長することにより発生する。なお、このようなミクロ爆発は全ての噴霧滴10において起こるとは限らず、従来の油中水滴型エマルジョン燃料においては、その効率が十分なものではなかった。
そこで、本発明においては、エマルジョン燃料中の水相にCOを溶解させている。このようにして水相中にCOを溶解させることにより水相において気泡核の発生エネルギーが低下し、気泡核を効率よく発生させることが可能となる。そのため、本発明で得られるエマルジョン燃料においては、二次微粒化の発生頻度と強度とが飛躍的に向上する。また、本発明においては、二次微粒化が効率よく進行するため、燃料油の燃焼時において燃料滴の表面積をより十分に増大させることが可能となり、燃焼効率を飛躍的に向上させることが可能となる。したがって、本発明のエマルジョン燃料においては、燃料油を十分に燃焼させることが可能であり、燃焼時にNOx、CO、煤塵の発生を十分に抑制することが可能となるものと本発明者らは推察する。
本発明によれば、十分に高度な燃焼性を有し、NOxやCOの発生を十分に抑制することが可能なエマルジョン燃料を効率よく且つ確実に製造することが可能なエマルジョン燃料の製造方法、その製造方法により得られるエマルジョン燃料、そのエマルジョン燃料を製造することが可能なエマルジョン燃料の製造装置、並びに、そのエマルジョン燃料を燃焼器内に供給可能なエマルジョン燃料の供給装置を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
[第一のエマルジョン燃料の製造方法]
先ず、本発明の第一のエマルジョン燃料の製造方法について説明する。本発明の第一のエマルジョン燃料の製造方法は、水相と燃料油からなる油相とを有する油中水滴型エマルジョンの前記水相中にCOを溶解させて、COが溶解した水相を有する油中水滴型エマルジョン燃料を得ることを特徴とする方法である。
このような燃料油としては、エマルジョン燃料に用いることが可能な燃料油であればよく特に制限されず、軽油、重油、灯油などを適宜用いることができる。また、前記水相を形成させる水としては特に制限されるものではなく、地下水、水道水、井戸水等の通常の水を適宜用いることができる。また、このような油中水滴型エマルジョンにおける水と燃料油の混合割合は特に制限されず、目的とする用途等に応じて適宜調整することが可能である。また、このような油中水滴型エマルジョンにおいては、乳化剤等のエマルジョン燃料に用いることが可能な公知の成分を適宜含有させてもよい。更に、前記油中水滴型エマルジョンの調製方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。
また、前記油中水滴型エマルジョンの水相中にCOを溶解させる方法としては、前記水相中にCOを溶解させることが可能な方法であればよく特に制限されず、例えば、油中水滴型エマルジョンにドライアイスを溶解させることにより水相中にCOを溶解させる方法、油中水滴型エマルジョンにCOをバブリングすることにより水相中にCOを溶解させる方法、密封容器内に油中水滴型エマルジョンを配置し、前記密封容器内を脱気した後、前記密封容器内にCOガスを充填して圧力変化がなくなるまで静置することで水相中にCOを溶解させる方法等を適宜採用することができる。このような水相中にCOを溶解させる工程において水相中に所望の量のCOが溶解させる方法は、目的とするエマルジョン燃料の設計に応じて、前述ドライアイスの使用量やバブリングの時間等の諸条件を適宜調整することにより達成することができる。なお、所望の量のCOを溶解させるために、ドライアイスの使用量等の条件と油中水滴型エマルジョン燃料の水相中に溶解されるCOの溶解量との関係等を予め調べておき、その関係に従ってCOを溶解させるための条件を適宜選択して所望の量のCOを溶解させてもよい。
また、このようなCOを溶解させる工程において、水相に溶解させるCOの量は特に制限されないが、常温常圧における大気中のCOの飽和溶解量(大気圧下および液体温度が20度の場合で大気中に380ppmのCOが含まれる場合には0.69mg/L)を超える量であることが好ましく、噴霧滴の二次微粒化の発生頻度と強度をより十分に向上させるために、得られる油中水滴型エマルジョン燃料の水相中にエマルジョン燃料を使用する際の雰囲気圧力及びエマルジョン燃料温度における飽和溶解量以上の量のCOを溶解させることがより好ましい。ここで、エマルジョン燃料を使用する雰囲気圧力及び温度における飽和溶解量以上の量のCOを溶解されている状態は、例えば、燃焼器内の雰囲気中のCOの分圧よりも高圧のCOを用いて、燃焼器内に噴霧する前のエマルジョン燃料の水相中にCOを溶解させることで実現可能となる。例えば、10kg/cmの高圧COを使用してエマルジョン燃料の水相中に水1リットルあたり21.08kg/L(COの圧力10kg/cm、液体温度15℃における水へのCOの飽和溶解量)の量のCOを溶解させてエマルジョン燃料を製造し、その後、燃料噴霧ノズルに10kg/cmの圧力を印加して燃焼器内にエマルジョン燃料を噴霧する場合が挙げられる。この場合、燃焼器内のCO分圧は燃料噴霧ノズルにかける圧力よりも低く、一時的に雰囲気圧力における飽和溶解量以上のCOが溶解したエマルジョン燃料が噴霧される。これにより相当の効果を期待できるエマルジョン燃料が得られることが予想される。
また、前記水相に常温常圧における大気中のCOの飽和溶解量を超える量のCOをより確実に溶解させる方法としては、用いる油中水滴型エマルジョンの種類等によっても異なるものであり一概には言えないが、例えば、大気圧下において10vol%の水相を有する油中水滴型エマルジョン1Lに対して3〜5g程度のドライアイスを溶解させる方法を採用してもよい。また、エマルジョン燃料の使用時の雰囲気圧力及び温度における飽和溶解量以上の量のCOを水相に溶解させる方法としては、例えば、使用時の雰囲気圧力及び温度よりも高圧及び/又は低温の条件下において水相にCOを飽和溶解量となるように溶解させる方法を採用することができる。なお、本発明においては、前記水相にCOを溶解させる際に採用する条件により、その条件下で水相中に溶解したとみなせる水1LあたりのCOの量をエマルジョン燃料の水相中に溶解している水1LあたりのCOの量(mg/L)とみなしてもよい(例えば、溶解させる際に採用した条件が飽和溶解量までCOが溶解したとみなせるような条件である場合にはエマルジョン燃料の水相中に飽和溶解量のCOが溶解したものとみなしてもよい)。
また、本発明の第一のエマルジョン燃料の製造方法によれば、後述する本発明のエマルジョン燃料を効率よく製造することができる。なお、このような本発明のエマルジョン燃料については後述する。
[第二のエマルジョン燃料の製造方法]
次に、本発明の第二のエマルジョン燃料の製造方法について説明する。すなわち、本発明の第二のエマルジョン燃料の製造方法は、炭酸水と燃料油とを混合して乳化することにより、COが溶解した水相と燃料油からなる油相とを有する油中水滴型エマルジョン燃料を得ることを特徴とする方法である。
本発明にかかる燃料油は、上記本発明の第一のエマルジョン燃料の製造方法において説明したものと同様のものである。
本発明にかかる炭酸水としては、エマルジョン燃料を使用する際の雰囲気圧力及び温度における飽和溶解量以上の量のCOが溶解している水であることが好ましい。このような炭酸水中のCOの溶解量が、エマルジョン燃料を使用する際の雰囲気圧力及び温度におけるCOの飽和溶解量未満では、水相における気泡核の発生エネルギーの低下度合いも減少する傾向にある。また、このような炭酸水の製造方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。また、前記炭酸水としては市販のものを用いてもよい。
本発明においては、前記炭酸水中のCOの溶解量(mg/L)は以下に示す測定方法により求められる値とする。なお、このようなCOの溶解量の測定に際しては、図3に示すような測定装置を用いる。このような図3に示すCOの溶解量の測定装置は、密封容器20(容量:550mL)と、前記密封容器20にガス流通管21を介して接続された流量計22とを備えるものである。以下、このような測定装置を用いたCOの溶解量の測定方法について説明する。すなわち、先ず、大気圧下において、容器20内に炭酸水23を500mL導入する。なお、容器20内に導入する前の炭酸水21の温度は15℃とする。次に、前記容器20内の炭酸水23に対して超音波(出力:25W、周波数:34kHz)を5時間印加する。次いで、容器内に発生したCOを、ガス流通管22を介して流量計23(シナガワ精機社製の商品名「乾式ガスメーター Model DC―2」)に流通させ、溶解しているCOの量を測定する。そして、測定されたCOの量を前記炭酸水中の水1Lあたりの溶解量に換算することで水1LあたりのCOの溶解量が求められる。本発明においては、このようにして求められた水1LあたりのCOの溶解量(mg/L)の値を炭酸水中のCOの溶解量とする。
また、前記炭酸水と前記燃料油とを混合して乳化する方法としては特に制限されず、公知の油中水滴型エマルジョン燃料を製造する方法において採用される乳化方法等を適宜採用できる。また、このような乳化に際しては、乳化剤等の油中水滴型エマルジョン燃料に添加することが可能な公知の成分を適宜含有させてもよい。
また、本発明により得られる油中水滴型エマルジョン燃料としては、水相中に、常温常圧における大気中のCOの飽和溶解量を超える量のCOが溶解していることが好ましい。また、本発明の第二のエマルジョン燃料の製造方法によれば、後述する本発明のエマルジョン燃料を効率よく製造することができる。なお、このような本発明のエマルジョン燃料については後述する。
[エマルジョン燃料]
次に、本発明のエマルジョン燃料について説明する。本発明のエマルジョン燃料は、水相と燃料油からなる油相とを有する油中水滴型エマルジョン燃料であって、前記油中水滴型エマルジョン燃料の水相中に、常温常圧における大気中のCOの飽和溶解量を超える量のCOが溶解していることを特徴とするものである。このようなエマルジョン燃料は、水相中に、常温常圧における大気中のCOの飽和溶解量を超える量のCOが溶解しているため、水相における気泡核の発生エネルギーを低下させることができ、燃焼の際にミクロ爆発(水蒸気爆発)を効率よく発生させることが可能なものである。そのため、本発明のエマルジョン燃料は、従来の油中水滴型エマルジョンと比較して噴霧滴の二次微粒化の発生頻度と強度が飛躍的に向上したものとなる。ここで、「水相中に常温常圧における大気中のCOの飽和溶解量を超える量のCOが溶解している」とは、例えば、大気圧下、液体温度が20度で且つ大気中にCOが380ppm存在する場合では、その条件下における水へのCO飽和溶解量の0.69mg/Lを超える量のCOが水相中に溶解していることをいう。なお、ここにいうCOの溶解量は、水1Lに対して溶解しているCOの量(mg/L)を基準とする。
また、前記燃料油及び水相中の水は、上記本発明の第一のエマルジョン燃料の製造方法において説明したものと同様のものである。更に、このようなエマルジョン燃料は、上記本発明の第一及び第二のエマルジョン燃料の製造方法を採用することにより得ることができる。
また、このようなエマルジョン燃料の水相中のCOの溶解量としては、噴霧滴の二次微粒化の発生頻度と強度をより十分に向上させるために、エマルジョン燃料を使用する際の雰囲気圧力及び温度におけるCO飽和溶解量以上の量であることが最も好ましい。このようなCOの溶解量とすることにより、使用時に噴霧滴のミクロ爆発(水蒸気爆発)をより効率よく発生させることが可能となる。
[第一のエマルジョン燃料製造装置]
本発明の第一のエマルジョン燃料の製造装置は、燃料油と水とを乳化混合して油中水滴型エマルジョンを製造するための混合装置と、前記混合装置から供給される油中水滴型エマルジョンの水相中にCOを溶解させて油中水滴型エマルジョン燃料を得るためのCO溶解装置とを備えることを特徴とするものである。以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図4は、本発明のエマルジョン燃料の製造装置の好適な一実施形態が燃焼器に接続された状態を示す模式図である。図4に示す第一のエマルジョン燃料製造装置は、基本的に、燃料貯蔵器11と、水貯蔵器12と、燃料貯蔵器11及び水貯蔵器12に配管を介して接続された混合装置13と、混合装置13に配管を介して接続されたCO溶解装置14とを備えるものである。また、本実施形態の製造装置において、CO溶解装置14は配管を介して燃焼器15に接続されている。なお、各配管には図示を省略したポンプがそれぞれ設置されており、燃料油や水等を混合装置等に供給することが可能となっている。また、図中の矢印は配管内において燃料油等が流れる方向を概念的に示したものである。
このような燃料貯蔵器11は、混合装置13に供給するための燃料油を貯蔵できるものであればよく特に制限されず、公知のエマルジョン燃料製造装置に用いられる燃料の貯蔵器(例えば燃料タンク)を適宜用いることができる。また、水貯蔵器12は、混合装置13に供給するための水を貯蔵できるものであればよく特に制限されず、公知のエマルジョン燃料製造装置に用いられる水の貯蔵器(例えば水タンク)を適宜用いることができる。更に、混合装置13は、燃料油と水とを乳化混合することが可能な装置であればよく、公知のエマルジョン燃料製造装置に用いられる混合装置(例えばミキサー、超音波ホモジナイザー等)を適宜用いることができる。
また、CO溶解装置14は、油中水滴型エマルジョンの水相中にCOを溶解させることが可能な装置である。本実施形態におけるCO溶解装置14としては、密封容器と、前記密封容器中に配置され且つ油中水滴型エマルジョンを貯蔵及び撹拌することが可能な貯蔵槽と、前記密封容器と接続され且つ前記密封容器内を脱気することが可能な真空ポンプと、前記密封容器内にCOを供給することが可能なCOガスボンベと、前記密封容器内の内圧を測定することが可能な圧力測定装置とを備える装置を利用している。また、このような密封容器は配管により外部から貯蔵槽に油中水滴型エマルジョンを供給することが可能で、且つ、前記油中水滴型エマルジョンの水相中にCOを溶解させて油中水滴型エマルジョン燃料を製造した後に配管により外部に油中水滴型エマルジョン燃料を供給することが可能な構成となっている。また、このような実施形態のCO溶解装置14が備える密封容器、貯蔵槽、真空ポンプ、COガスボンベ及び圧力測定装置は特に制限されず、公知のものを適宜用いることができる。また、このような実施形態のCO溶解装置14は、前記貯蔵槽に一定量の油中水滴型エマルジョンを供給した後に油中水滴型エマルジョンの供給を停止し、前記密封容器内を密封状態として脱気した後、COガスボンベを用いて前記密封容器内にCOを供給して前記密封容器内を高圧のCO雰囲気とし、前記密封容器内の圧力の変化がなくなるまで油中水滴型エマルジョンを撹拌することにより油中水滴型エマルジョンの水相中にCOを溶解させてエマルジョン燃料を得ることを可能とする装置である。なお、本実施形態においては前記圧力測定装置やガスボンベ等は図示を省略したコンピュータに接続され、コンピュータに入力される圧力に関するデータに基づいてCOの供給量等を制御している。
また、前記燃焼器15としてはエマルジョン燃料を燃焼させるための装置であればよく、例えば、ディーゼルエンジン、ボイラー、バーナ等が挙げられる。
このような図4に示す第一のエマルジョン燃料製造装置においては、先ず、燃料貯蔵器11及び水貯蔵器12から配管を介して混合装置13に燃料油及び水が供給される。次いで、混合装置13において燃料油と水とを乳化混合することで油中水滴型エマルジョンが得られる。次に、得られた油中水滴型エマルジョンはCO溶解装置14に供給される。そして、CO溶解装置14において油中水滴型エマルジョンの水相にCOを溶解させて油中水滴型エマルジョン燃料が得られる。その後、得られた油中水滴型エマルジョン燃料は燃焼器に接続された配管内に供給される。そのため、このような実施形態のエマルジョン燃料製造装置を用いた場合には燃焼器に供給される直前の油中水滴型エマルジョン燃料の水相中にCOを溶解させることが可能となる。
以上、本発明の第一のエマルジョン燃料製造装置の好適な実施形態について説明したが、本発明の第一のエマルジョン燃料製造装置は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては上述のような構成の装置を用いているが、本発明の第一のエマルジョン燃料製造装置は、燃料油と水とを乳化混合して油中水滴型エマルジョンを製造するための混合装置と、前記混合装置から供給される油中水滴型エマルジョンの水相中にCOを溶解させて油中水滴型エマルジョン燃料を得るためのCO溶解装置とを備えていればよく他の構成は特に制限されない。また、本発明の第一のエマルジョン燃料製造装置は、乳化剤の供給装置等のエマルジョン燃料の製造に用いることが可能な公知の装置を更に備えていてもよい。また、上記実施形態においては、上述のような構成のCO溶解装置14を用いているが、本発明においては、CO溶解装置14の構成は特に制限されず、COを油中水滴型エマルジョンにバブリングすることを可能とするような構成の装置等を用いてもよい。また、上記実施形態においては、上述のようなCO溶解装置14を用いてバッチ式で水相中にCOを溶解させているが、本発明においては、例えばCOをバブリングすることが可能なCO溶解装置14を用いて流通式で水相中にCOを溶解させてもよい。
[第二のエマルジョン燃料製造装置]
本発明の第二のエマルジョン燃料製造装置は、燃料油と炭酸水とを乳化混合して油中水滴型エマルジョン燃料を製造するための混合装置を備えることを特徴とするものである。以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図5は、本発明のエマルジョン燃料の製造装置の好適な一実施形態が燃焼器に接続された状態を示す模式図である。図5に示す第二のエマルジョン燃料の製造装置は、基本的に、燃料貯蔵器11と、炭酸水貯蔵器16と、燃料貯蔵器11及び炭酸水貯蔵器16に配管を介して接続された混合装置17とを備えるものである。また、混合装置17は配管を介して燃焼器15に接続されている。
このような燃料貯蔵器11は上記本発明の第一のエマルジョン燃料の製造装置において説明したものと同様のものである。また、炭酸水貯蔵器16としては炭酸水を貯蔵することが可能なものであればよい。このような炭酸水貯蔵器16としては公知の水タンク等を用いてもよい。また、混合装置17は、燃料油と炭酸水とを乳化混合することが可能な装置であればよく、公知のエマルジョン燃料製造装置に用いられる混合装置(例えばミキサー等)を適宜用いることができる。
このような図5に示す第一のエマルジョン燃料製造装置においては、先ず、燃料貯蔵器11及び炭酸水貯蔵器16から配管を介して混合装置17に燃料油及び炭酸水を供給される。次いで、混合装置17において燃料油と炭酸水とを乳化混合して油中水滴型エマルジョン燃料が得られる。その後、得られた油中水滴型エマルジョン燃料は燃焼器に接続された配管内に供給される。そのため、このような実施形態のエマルジョン燃料製造装置を用いた場合には燃焼器内に供給される直前の油中水滴型エマルジョン燃料の水相中にCOを溶解させることが可能となる。
以上、本発明の第二のエマルジョン燃料製造装置の好適な実施形態について説明したが、本発明の第二のエマルジョン燃料製造装置は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第二のエマルジョン燃料製造装置においては、燃料油と炭酸水とを乳化混合して油中水滴型エマルジョン燃料を製造するための混合装置を備えていればよく、それ以外の構成は特に制限されない。また、乳化剤を供給するための装置等のエマルジョン燃料の製造に用いることが可能な公知の装置を更に備えていてもよい。
[エマルジョン燃料の供給装置]
本発明のエマルジョン燃料の供給装置は、上記本発明の第一又は第二のエマルジョン燃料製造装置と、前記エマルジョン燃料製造装置から供給されるエマルジョン燃料を燃焼器内に噴霧するための噴霧装置とを備えることを特徴とするものである。
このような噴霧装置としては、燃焼器内にエマルジョン燃料を噴霧することが可能なものであればよく特に制限されず、公知の噴霧装置を適宜用いることができる。すなわち、このような噴霧装置としては、二流体ノズル等の公知のノズルを適宜用いることができる。このようなノズルを噴霧装置として用いる場合の本発明のエマルジョン燃料の供給装置の好適な実施形態としては、例えば、ノズルと、前記ノズルに接続され且つ前記ノズルにエマルジョン燃料を供給するための配管と、前記配管の他端に接続された上記本発明の第一又は第二のエマルジョン燃料製造装置とを備える装置が挙げられる。
このような本発明のエマルジョン燃料の供給装置によれば、ノズル等の噴霧装置から噴射する直前のエマルジョン燃料の水相中にCOを溶解させることが可能となり、これにより燃料の燃焼効率を十分に向上させることが可能となる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図6に示すCO溶解装置を用いて、本発明のエマルジョン燃料を製造した。なお、図6に示すCO溶解装置は、デシケータ30と、ガス流通管31と、COガスのシリンダ32と、真空ポンプ33とを備えるものである。また、デシケータ30内にはマグネチックスターラー34が配置されている。また、デシケータ30とCOガスのシリンダ32及び真空ポンプ33とはガス流通管31により接続されている。更に、図中の34aはローターを表す。このような溶解装置を用いたエマルジョン燃料の製造においては、先ず、灯油に水15vol%とソルビタンモノオレート(界面活性剤:花王株式会社製の商品名「エマゾール O−10V」)0.75vol%とを加え、回転数20000rpmのホモジナイザー(株式会社ヤマト科学製の商品名「ULTRA−DISPERSER MODEL LK−21」)で10分間攪拌混合して油中水滴型エマルジョンを調製した。次に、油中水滴の凝集防止のためマグネチックスターラー(450rpm)で撹拌しながらデシケータ30内部に配置された貯蔵槽に前記油中水滴型エマルジョンを導入した。このときの油中水滴型エマルジョンの温度は15℃とした。そして、デシケータ30内部を4kPaまで脱気し、2時間程脱気処理を行うことで油中水滴型エマルジョン中の溶存空気を脱気した。その後、デシケータ内部が98kPaになるまでCO(純度99.5%)を充填し、デシケータ内部の圧力の変化が一定(圧力変化率が0.3kPa/hr以下)となるまで油中水滴型エマルジョンを撹拌した。なお、デシケータ内部の圧力の変化が一定となるまでの時間はCO充填後2時間かかった。このようにして前記油中水滴型エマルジョンの水相中に、温度15℃、COの圧力98kPaにおける飽和溶解量とみなせる量のCOを溶解させて、本発明のエマルジョン燃料を得た。なお、このようにして得られたエマルジョン燃料の水相中に溶解するCOの飽和溶解量(温度15℃、COの圧力98kPa)は1900mg/Lである。また、大気圧中のCO量を380ppm、液体温度を20℃とした場合における水へのCO飽和溶解量は0.69mg/Lである。
(比較例1)
デシケータ30の内部にCOガスを充填する工程を行わなかった以外は実施例1と同様にして、脱気処理のみを行った前記油中水滴型エマルジョンを、比較のためのエマルジョン燃料とした。
[実施例1及び比較例1で得られたエマルジョン燃料の特性の評価]
〈加熱時のエマルジョン燃料の挙動の観測(1)〉
実施例1及び比較例1で得られたエマルジョン燃料をそれぞれ用い、各エマルジョン燃料の加熱時の挙動を以下のようにして観測した。なお、このような観測には、図7に示すような装置を用いた。図7に示す装置は、電熱炉40と、電熱炉40内に配置された石英管41と、石英管の空間内に懸垂線状にして配置されている熱電対42とを備える。また、電熱炉40にはバックライトを照射するための照明用窓40aと、ハイスピードカメラによりエマルジョン滴43を観察するための観察用窓40bが形成されている。なお、熱電対42は図示を省略したデータ自動記録装置に接続され、温度のデータを記録可能としている。
このような加熱時の挙動の観測の際には、先ず、懸垂線状の熱電対42にエマルジョン燃料を付着させ、電熱対42の先端にエマルジョン滴43を形成させた。次に、電気炉壁面温度を800℃に設定した電気炉40の内部において、エマルジョン滴を加熱し、その挙動の違いを、観察用窓40bを通してハイスピードカメラで観察した。このときのエマルジョン滴の昇温速度は最大で150℃/secであった。このようなハイスピードカメラでの観察により、初期の直径が0.9mmの実施例1で得られたエマルジョン燃料の液滴は、消滅までの時間が1.7秒であり、初期の直径が0.8mmの実施例1で得られたエマルジョン燃料の液滴は、消滅までの時間が1.5秒であり、初期の直径が0.9mmの比較例1で得られたエマルジョン燃料の液滴は、消滅までの時間が2.0秒であることが確認された。
また、初期の直径が0.9mmの実施例1で得られたエマルジョン燃料(コロイド液滴)の加熱直前(0sec)、0.371秒加熱後、0.656秒加熱後、0.766秒加熱後のそれぞれの様子を図8A〜Dに示す。また、初期の直径が0.8mmの実施例1で得られたエマルジョン燃料(コロイド液滴)の1.320秒加熱後、1.321秒加熱後、1.322秒加熱後、1.323秒加熱後、1.500秒加熱後、1.501秒加熱後、1.502秒加熱後、1.503秒加熱後のそれぞれの様子を図9A〜Hに示す。更に、初期の直径が0.9mmの比較例1で得られたエマルジョン燃料(コロイド液滴)の加熱直前(0sec)、0.499秒加熱後、0.450秒加熱後、0.451秒加熱後、0.544秒加熱後、0.845秒加熱後のそれぞれの様子を図10A〜Fに示す。
図8A〜D、図9A〜H及び図10A〜Fからも明らかなように、本発明のエマルジョン燃料(実施例1)においては、その水相中にCOが十分に溶解されているため、CO溶解処理が行われていない比較のためのエマルジョン燃料と比較して二次微粒化の発生頻度及び強度が十分に高度なものとなっていることが確認された。また、本発明のエマルジョン燃料(実施例1)においては、効率よく二次微粒化が発生するため、液滴が消滅するまでの時間も20%程度短縮されていることが確認された。このような結果から、本発明のエマルジョン燃料は十分に燃焼効率が高いものとなることが分かった。
(実施例2)
容量4Lの容器に市販の炭酸水(株式会社ふくれん 甘木工場製の商品名「ただの炭酸水」)450mLと灯油2527.5mLとソルビタンモノオレート(界面活性剤:花王株式会社製の商品名「エマゾール O−10V」)22.5mlとを添加し、得られた混合物(水の体積分率15vol.%)を超音波ホモジナイザー(出力0.75W,周波数23000Hz)を使用して十分に撹拌し、本発明のエマルジョン燃料を製造した。なお、前記炭酸水中のCOの溶解量は、前述の炭酸水中のCOの溶解量の測定方法を採用して測定したところ5696mg/Lであった。
(実施例3)
先ず、容量4Lの容器に市販の炭酸水(株式会社ふくれん 甘木工場製の商品名「ただの炭酸水」)450mLと灯油2527.5mLとソルビタンモノオレート(界面活性剤:花王株式会社製の商品名「エマゾール O−10V」)22.5mlとを添加し、得られた混合物(水の体積分率15vol.%)を超音波ホモジナイザー(出力0.75W,周波数23000Hz)を使用して十分に撹拌し、油中水滴型エマルジョンを調製した。その後、前記油中水滴型エマルジョン中にドライアイス20gを導入して溶解させることで、油中水滴型エマルジョンの水相中にCOを溶解させて、本発明のエマルジョン燃料を製造した。
(比較例2)
容量4Lの容器に水道水450mLと灯油2527.5mLとソルビタンモノオレート(界面活性剤:花王株式会社製の商品名「エマゾール O−10V」)22.5mlとを添加し、得られた混合物(水の体積分率15vol.%)を超音波ホモジナイザー(出力0.75W,周波数23000Hz)を使用して十分に撹拌し、本発明のエマルジョン燃料を製造した。
[実施例2〜3及び比較例2で得られたエマルジョン燃料の特性の評価]
〈加熱時のエマルジョン燃料の挙動の観測(2)〉
前述の加熱時のエマルジョン燃料の挙動の観測(1)と同様の方法を採用して、実施例3及び比較例2で得られたエマルジョン燃料の加熱時の挙動を観測した。なお、このような観測は、エマルジョン燃料ごとに5回(5滴)ずつ行った。
このような観測の結果、本発明のエマルジョン燃料(実施例3)においては、各回の観測の際に液滴で二次微粒化の発生が観測された(5液滴中5滴)のに対して、比較のためのエマルジョン燃料(比較例2)においては、5液滴中3滴にしか二次微粒化が発生しなかった。このような結果から、本発明のエマルジョン燃料においては、二次微粒化が効率よく発生することが確認された。
〈噴霧燃焼後の排ガスの測定〉
実施例2〜3及び比較例2で得られたエマルジョン燃料をそれぞれ用い、各エマルジョン燃料を燃焼器内に二流体ノズルで噴霧して燃焼させる噴霧燃焼実験を行い、燃焼器から排出されるガス中の成分の測定を行った。すなわち、先ず、前記エマルジョン燃料を燃料タンクに導入した。その後、ポンプを用いて前記燃料タンクから二流体ノズルに前記エマルジョン燃料を供給した。なお、二流体ノズルに前記エマルジョン燃料を供給する際に、一部のエマルジョン燃料が燃料タンクに戻されるようにして、前記燃料タンク内で前記エマルジョン燃料を常時循環させて水相が凝集することを防止した。次に、前記燃焼器の内部に、二流体ノズルを用いて前記エマルジョン燃料を0.1L/minの流量で噴霧した。また、同時に前記燃焼器内において空気比が1.20の条件となるように空気を導入した。次に、燃焼器内で前記エマルジョン燃料の噴霧滴に着火し、前記エマルジョン燃料を燃焼させた。このような操作を連続して行い、燃焼器から排出されるガス温度の変化が±5K/hourとなったとき、燃焼状態が定常状態になったとみなし、その排ガスを水冷サンプリングプローブにより採取した。その後、このようにして採取した排ガスをフィルターに通し、その排ガス中に含まれる煤及び水蒸気を除去して試料ガスを得た。そして、このようにして得られた試料ガス中のO濃度、CO濃度及びNO濃度を、ポータブルガス分析計(堀場製作所製の商品名「PG−240」)を用いて分析した。なお、このようなガス分析計ではO濃度をガルバニ電極法、CO濃度を非分散系赤外線分析法、NO濃度を化学発光法でそれぞれ定量した。結果を表1に示す。
表1に示した結果から明らかなように、本発明のエマルジョン燃料(実施例2〜3)においては、比較のためのエマルジョン燃料(比較例2)よりも排ガス中のCO及びNOの量が少なかった。また、実施例3で得られたエマルジョン燃料においては比較例2で得られたエマルジョン燃料と比較してCOの排出量が40%程度減少していることが確認された。このような結果から、本発明のエマルジョン燃料(実施例2〜3)においては、燃焼効率が十分に高く、NOxやCOの発生を十分に抑制できることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、十分に高度な燃焼性を有し、NOxやCOの発生を十分に抑制することが可能なエマルジョン燃料を効率よく且つ確実に製造することが可能なエマルジョン燃料の製造方法、その製造方法により得られるエマルジョン燃料、そのエマルジョン燃料を製造することが可能なエマルジョン燃料の製造装置、並びに、そのエマルジョン燃料を燃焼器内に供給可能なエマルジョン燃料の供給装置を提供することが可能となる。
したがって、本発明のエマルジョン燃料の製造方法は、ディーゼルエンジンやボイラー等の用途に用いられるエマルジョン燃料を製造するための方法として特に有用である。
燃焼器内において噴霧された油中水滴型エマルジョン燃料の噴霧燃焼過程を概念的に示す模式図である。 図2は油中水滴型エマルジョン燃料中の水相のみを示す模式図である。 炭酸水中のCOの溶解量を測定するための装置を示す模式図である。 本発明の第一のエマルジョン燃料の製造装置の好適な一実施形態を示す模式図である。 本発明の第二のエマルジョン燃料の製造装置の好適な一実施形態を示す模式図である。 実施例1で用いたCO溶解装置の一実施形態を示す概略縦断面図である。 加熱時のエマルジョン燃料の挙動の観測を行うための装置を示す概略縦断面図である。 初期の直径が0.9mmの実施例1で得られたエマルジョン燃料(コロイド液滴)の加熱直前(0sec)の様子を示す写真である。 初期の直径が0.9mmの実施例1で得られたエマルジョン燃料(コロイド液滴)の0.371秒加熱後の様子を示す写真である。 初期の直径が0.9mmの実施例1で得られたエマルジョン燃料(コロイド液滴)の0.656秒加熱後の様子を示す写真である。 初期の直径が0.9mmの実施例1で得られたエマルジョン燃料(コロイド液滴)の0.766秒加熱後の様子を示す写真である。 初期の直径が0.8mmの実施例1で得られたエマルジョン燃料(コロイド液滴)の1.320秒加熱後の様子を示す写真である。 初期の直径が0.8mmの実施例1で得られたエマルジョン燃料(コロイド液滴)の1.321秒加熱後の様子を示す写真である。 初期の直径が0.8mmの実施例1で得られたエマルジョン燃料(コロイド液滴)の1.322秒加熱後の様子を示す写真である。 初期の直径が0.8mmの実施例1で得られたエマルジョン燃料(コロイド液滴)の1.323秒加熱後の様子を示す写真である。 初期の直径が0.8mmの実施例1で得られたエマルジョン燃料(コロイド液滴)の1.500秒加熱後の様子を示す写真である。 初期の直径が0.8mmの実施例1で得られたエマルジョン燃料(コロイド液滴)の1.501秒加熱後の様子を示す写真である。 初期の直径が0.8mmの実施例1で得られたエマルジョン燃料(コロイド液滴)の1.502秒加熱後の様子を示す写真である。 初期の直径が0.8mmの実施例1で得られたエマルジョン燃料(コロイド液滴)の1.503秒加熱後の様子を示す写真である。 初期の直径が0.9mmの比較例1で得られたエマルジョン燃料(コロイド液滴)の加熱直前(0sec)の様子を示す写真である。 初期の直径が0.9mmの比較例1で得られたエマルジョン燃料(コロイド液滴)の0.499秒加熱後の様子を示す写真である。 初期の直径が0.9mmの比較例1で得られたエマルジョン燃料(コロイド液滴)の0.450秒加熱後の様子を示す写真である。 初期の直径が0.9mmの比較例1で得られたエマルジョン燃料(コロイド液滴)の0.451秒加熱後の様子を示す写真である。 初期の直径が0.9mmの比較例1で得られたエマルジョン燃料(コロイド液滴)の0.544秒加熱後の様子を示す写真である。 初期の直径が0.9mmの比較例1で得られたエマルジョン燃料(コロイド液滴)の0.845秒加熱後の様子を示す写真である。
符号の説明
1…燃料油、2…水、3…着火された炎、4…気泡核、10…噴霧滴、11…燃料貯蔵器、12…水貯蔵器、13…混合装置、14…CO溶解装置、15…燃焼器、16…炭酸水貯蔵器、17…混合装置、20…密封容器、21…ガス流通管、22…流量計、23…炭酸水、30…デシケータ、31…ガス流通管、32…COガスのシリンダ、33…真空ポンプ、34…マグネッチクスターラー、34a…ローター、35…油中水滴型エマルジョン、40…電熱炉、40a…照明用窓、40b…観察用窓、41…石英管、42…熱電対。

Claims (7)

  1. 水相と燃料油からなる油相とを有する油中水滴型エマルジョンの前記水相中にCOを溶解させて、COが溶解した水相を有する油中水滴型エマルジョン燃料を得ることを特徴とするエマルジョン燃料の製造方法。
  2. 炭酸水と燃料油とを混合して乳化することにより、COが溶解した水相と前記燃料油からなる油相とを有する油中水滴型エマルジョン燃料を得ることを特徴とするエマルジョン燃料の製造方法。
  3. 前記油中水滴型エマルジョン燃料の水相中に常温常圧における大気中のCOの飽和溶解量を超える量のCOが溶解していることを特徴とする請求項1又は2に記載のエマルジョン燃料の製造方法。
  4. 水相と燃料油からなる油相とを有する油中水滴型エマルジョン燃料であって、前記水相中に常温常圧における大気中のCOの飽和溶解量を超える量のCOが溶解していることを特徴とするエマルジョン燃料。
  5. 燃料油と水とを乳化混合して油中水滴型エマルジョンを製造するための混合装置と、前記混合装置から供給される油中水滴型エマルジョンの水相中にCOを溶解させて油中水滴型エマルジョン燃料を得るためのCO溶解装置とを備えることを特徴とするエマルジョン燃料の製造装置。
  6. 燃料油と炭酸水とを乳化混合して油中水滴型エマルジョン燃料を製造するための混合装置を備えることを特徴とするエマルジョン燃料の製造装置。
  7. 請求項5又は6に記載のエマルジョン燃料の製造装置と、
    前記エマルジョン燃料製造装置から供給されるエマルジョン燃料を燃焼器内に噴霧するための噴霧装置と、
    を備えることを特徴とするエマルジョン燃料の供給装置。
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