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JP5125196B2 - 含フッ素ポリマー液状組成物 - Google Patents

含フッ素ポリマー液状組成物 Download PDF

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JP5125196B2 JP2007108160A JP2007108160A JP5125196B2 JP 5125196 B2 JP5125196 B2 JP 5125196B2 JP 2007108160 A JP2007108160 A JP 2007108160A JP 2007108160 A JP2007108160 A JP 2007108160A JP 5125196 B2 JP5125196 B2 JP 5125196B2
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Description

本発明は、含フッ素ポリマー液状組成物に関する。
スルホン酸基やカルボキシル基を有する含フッ素ポリマーは、化学的に安定でありイオン伝導性にも優れているので、従来より、燃料電池やイオン交換膜の電解質膜として利用されている。この電解質膜は、例えば、上記含フッ素ポリマーの液状分散体をキャスト製膜することにより作成することができる。
しかしながら、上述の含フッ素ポリマーは、分散媒への分散性が低いので、キャスト製膜により電解質膜を作成する場合、稠密な膜を得ることが難しく、膜欠陥を生じることがある。特に、含フッ素ポリマーが側鎖末端にアルカリ金属又はアルカリ土類金属をカウンターカチオンとして有する場合、酸型の電解質ポリマーよりガラス転移温度が高いので製膜温度を高くする必要があるが、製膜温度が高いと、得られる膜中に発泡、ピンホール等の欠陥が生じ易い。
固体高分子型燃料電池において電解質膜に欠陥があると、燃料ガスや酸化剤ガスのクロスリークが生じ、水酸基ラジカル等の活性種が電極部分に発生することがある。この活性種は、電解質膜を構成するポリマーを分解し、電解質膜の劣化を早める原因となる。
固体高分子型燃料電池では、更に、起動停止のサイクルに伴い、電解質膜の収縮と膨潤とを繰り返し行われることとなるので、この力学的なストレスに起因して劣化しないよう、力学的な強度に優れた電解質膜が求められている。
ピンホール等の欠陥が少なく均一な膜を作成するため、パーフルオロスルホン酸ポリマーの液状分散体について、適当な組成を選択することが提案されている。
このような液状分散体として、例えば、水及び特定のアルコール、エーテル、ジオキサンやアセトニトリルの混合物とポリマーとを含有する液体組成物(例えば、特許文献1及び2参照。)、ポリエチレングリコールを造膜補助剤として含有する液体組成物(例えば、特許文献3参照。)、炭素数1〜3のアルコールを製膜補助剤として含有する液体組成物(例えば、特許文献4参照。)、リン酸エステルや環状アミドを製膜補助剤として含有する液体組成物(例えば、特許文献5参照。)が挙げられる。
特開昭57−192464号明細書 特開平1−217042号明細書 国際公開第2001/60876号パンフレット 国際公開第2004/018527号パンフレット 国際公開第2004/078842号パンフレット
本発明の目的は、上記現状に鑑み、ピンホール等の欠陥が少なく強度に優れ均一且つ稠密な膜を得ることができる含フッ素ポリマー液状組成物を提供することにある。
本発明は、下記式
Figure 0005125196
(式中、nは0〜3の整数を、mは1〜8の整数を表す。Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を表す。Lは、Mの価数を表す。上記n及びmは、各構成単位間で同一であってもよいし異なっていてもよい。)で表される構成単位とテトラフルオロエチレン単位とからなるパーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマーと、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとを含むことを特徴とする含フッ素ポリマー液状組成物である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の含フッ素ポリマー液状組成物は、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを含むので、稠密でピンホール等の欠陥が少なく均一な膜を得ることが可能である。上記含フッ素ポリマー液状組成物は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属をカウンターカチオンとするスルホン酸塩を側鎖末端に有し、製膜すると膜欠陥が生じ易いと考えられるパーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマーを含有するにもかかわらず、上記効果を奏することができる。
このような優れた効果を奏する機構としては、明らかでないが、
(i)1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンは、上記パーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマーとの親和性が高いことから、上記含フッ素ポリマー液状組成物中、上記ポリマー粒子は、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンに吸着され膨潤した状態で分散するので、製膜工程において上記ポリマー同士が溶着した膜が形成され易いこと、
(ii)1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンは、沸点が高く、製膜工程において蒸発しにくいことから、製膜後期においても上記パーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマーが可塑化しているので、製膜時にピンホールや気泡等の欠陥が生じにくく、均一な膜が形成され易いこと
が考えられる。
本発明の含フッ素ポリマー液状組成物におけるパーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマーの形状は、製膜前の液状では目視により観察できないが、得られる膜について後述の走査電子顕微鏡〔SEM〕写真を撮ると、上記含フッ素ポリマー液状組成物から得られる膜に上記ポリマー粒子間の溶着が認められので(図1)、液の状態において含フッ素ポリマーが膨潤していると考えられる。更に、エチレングリコールと含フッ素ポリマーとを含む含フッ素ポリマー分散液から得られた膜にはこのような溶着が認められないことから(図2)、本発明の含フッ素ポリマー液状組成物においてパーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマーが1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの作用を受けていると考えられる。
本発明の含フッ素ポリマー液状組成物は、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを5〜99質量%含むことが好ましい。
上記含有量は、5質量%未満であると上述の効果を充分に発揮できないことがあり、99質量%を超えると、製膜時における液状組成物の粘度の増加が大きくなり生産性が低下することがある。
上記含有量は、より好ましい下限が10質量%であり、より好ましい上限が60質量%である。
上記パーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマーは、上記式で表される構成単位とテトラフルオロエチレン単位とからなるものである。上記パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーは、上記式(1)で表されるように、パーフルオロカーボン骨格を有するので強度が高く、スルホン酸基を有するのでイオン伝導性が高い。
上記式で表される構成単位とは、パーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマーの分子構造の一部分であって、
Figure 0005125196
(式中、nは0〜3の整数を、mは1〜8の整数を表す。Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を表す。Lは、Mの価数を表す。)で表されるパーフルオロビニルエーテル単位である。
上記式において、分散性や機械的強度の点で、上記nは0であることが好ましく、上記mは1〜2の整数であることが好ましい。
上記n及びmは、各構成単位間で同一であってもよいし異なっていてもよい。
上記Mで表されるアルカリ金属としては、例えば、Li、Na、K、Csが挙げられる。上記アルカリ土類金属としては、Mg、Ca等が挙げられる。上記−SO 1/Lは、含フッ素ポリマー液状組成物の液性等により電離したものであってもよい。
上記金属元素としては、調製し易い点で、アルカリ金属が好ましく、安価である点で、Naが更に好ましい。
上記テトラフルオロエチレン単位とは、パーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマーの分子構造の一部分であって、テトラフルオロエチレン〔TFE〕に由来する構造(−CF−CF−)を意味する。
上記パーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマーは、上記パーフルオロビニルエーテル単位の含有率が、全モノマー単位あたり10〜20モル%であることが好ましい。10モル%未満であると、得られる含フッ素ポリマー液状組成物から形成される膜のイオン伝導性が低下することがあり、20モル%を超えると、上記膜の機械的強度が不充分になることがある。
上記「パーフルオロビニルエーテル単位の含有率」とは、パーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマー分子における全モノマー単位が由来するモノマーのモル数に占める、上記パーフルオロビニルエーテル単位が由来するモノマーのモル数の割合である。上記「全モノマー単位」は、上記パーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマーの分子構造上、モノマーに由来する部分の全てである。上記パーフルオロビニルエーテル単位の含有率は、赤外吸収スペクトル分析〔IR〕、又は、300℃における溶融NMRを用いて得られる値である。
本発明の含フッ素ポリマー液状組成物において、上記パーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマーは、球形微粒子として分散していることが好ましい。
本明細書において、上記「球形微粒子」とは、完全に球状の粒子のみを意味するものでなく、実質的に球形の粒子をも含む概念である。上記「実質的に球形である」とは、アスペクト比が3以下であることを意味する。一般に、アスペクト比が1に近づくほど球形に近くなる。上記パーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマーは、アスペクト比が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましくは、1.5であることが更に好ましい。
パーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマーの水性分散体は、一般に、上記パーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマーの粒子形状が異方性であると、高粘度になりやすく、成膜に適したポリマー濃度に調整することが困難となる問題や、製膜するとピンホール等の膜欠陥が生じ易い問題がある。
上記球形微粒子は、平均粒子径が10nm以上であってもよい。このような平均粒子径が大きい含フッ素ポリマーは、一般に造膜性に劣る傾向があるが、上記含フッ素ポリマー液状組成物は、平均粒子径10nm以上の球形微粒子が分散するものであっても、欠陥がなく強度に優れ均一な膜を得ることができる。
上記パーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマーは、平均粒子径10nm以上、300nm以下の球形微粒子として水系分散媒に分散されていることが好ましい。10nm未満であると、上記含フッ素ポリマー液状組成物を電極材料として良好な電池特性が得られないことがあり、300nmを超えると、分散安定性が低いことがある。
上記平均粒子径は、より好ましい下限が30nmであり、より好ましい上限が160nmである。
本明細書において、上記アスペクト比と平均粒子径とは、測定対象である液状組成物を100℃の温度で1時間加熱して得られる厚み50μmの含フッ素ポリマー膜について、走査電子顕微鏡〔SEM〕で観察を行い、得られた画像上の20個以上のポリマー微粒子について長軸及び短軸の長さの比(長軸/短軸)を上記アスペクト比として求め、長軸及び短軸の長さの平均値を平均粒子径として求めたものである。
本発明の含フッ素ポリマー液状組成物は、パーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマーを1〜50質量%含むことが好ましい。上記含有量が、1質量%未満であると、製膜工程において一回の塗布で得られる膜厚が小さく、目的の膜厚を得るまでに複数回の塗布を要する等、生産性やコストの点で問題となることがある。50質量%を超えると、含フッ素ポリマー液状組成物が流動性を失い、均一な膜を得られ難いことがある。上記含有量は、より好ましい下限が5質量%であり、より好ましい上限が15質量%である。
本発明の含フッ素ポリマー液状組成物は、更に、炭素数1〜4のモノアルコール及び炭素数1〜4のジオール類よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。
上記含フッ素ポリマー液状組成物において、上記化合物は、上記1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンと同様にポリマー粒子界面のポリマー鎖と接しポリマー粒子を分散させるので、製膜工程においてポリマー同士を互いに溶着し易くすることに加え、製膜工程において上記液状組成物の粘度上昇を抑制し、均一な膜の形成を容易にする。ゆえに、上記含フッ素ポリマー液状組成物は、上記化合物を含むことにより、より強度に優れ均一な膜を形成することができる。
上記炭素数1〜4のモノアルコールとしては、特に限定されず、例えば直鎖状又は分岐状のフッ素原子により置換されていてもよいアルカノールが挙げられる。上記アルカノールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、テトラフルオロプロパノールが挙げられる。上記テトラフルオロプロパノールとしては、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールが挙げられる。
上記炭素数1〜4のジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールが挙げられる。中でも、エチレングリコールが好ましい。
本発明の含フッ素ポリマー液状組成物は、炭素数1〜4のモノアルコール及び炭素数1〜4のジオール類よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物としてエチレングリコールを含むことが好ましい。上記化合物としてエチレングリコールを含むと、製膜工程における粘度上昇を効率良く抑制し、より強度に優れた膜を容易に形成することができる。
本発明の含フッ素ポリマー液状組成物は、上述の化合物を0.1〜10質量%含むことが好ましい。上記含有量が、上記範囲未満であると、本化合物の効果を充分に発揮できないことがあり、上記範囲を超えると、製膜時に発泡が生じることや、得られる膜中に上記化合物が残存することがある。
上記化合物の含有量は、より好ましい下限が0.5質量%であり、より好ましい上限が5質量%である。
上記含有量は、上記液状組成物が上述の化合物を2種以上含むものである場合、各化合物の合計量を表す。
本発明の含フッ素ポリマー液状組成物は、上述のパーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマー、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及び上述のモノアルコールやジオールから選択される化合物に加え、水を含んでもよいし、更に本発明の効果を損なわない範囲で、製膜補助剤等の従来公知の添加剤を含んでもよい。
上記製膜補助剤としては、例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等のリン酸エステル;2−メチルピロリドン等の環状アミド;環状アミド誘導体;ジメチルスルホキシド〔DMSO〕;ジメチルホルムアミド〔DMF〕;が挙げられる。
上記添加剤としては、更に、シリカ、チタニア等の無機化合物;ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕、TFE/ヘキサフルオロプロピレン共重合体〔FEP〕等の樹脂が挙げられる。上記無機化合物や樹脂は水系分散体として添加することが好ましい。上記無機化合物の水系分散体はコロイドであってもよい。
本発明の含フッ素ポリマー液状組成物は、例えば、上述の含フッ素ポリマー微粒子が水系分散媒に分散している含フッ素ポリマー水性分散体に、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、並びに、必要に応じ添加する上述の化合物や添加剤を上述の含有量となるよう配合することにより調製することができる。
本明細書において、上記含フッ素ポリマー水性分散体とは、パーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマーの球形微粒子が水系分散媒に分散している分散体であって、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンや製膜補助剤を含まないものを意味する。
上記含フッ素ポリマー水性分散体は、上記パーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマーの含有量が2〜60質量%であることが好ましい。本含有量は、より好ましい上限が30質量%である。
上記含フッ素ポリマー水性分散体における水性分散媒としては、水、及び、水と水溶性有機溶剤との混合液が挙げられる。
上記含フッ素ポリマーは、例えば、下記式(2)
CF=CF−(OCFC(CF)F)−O−(CF−SOX(2)
(式中、n及びmは、上述の式と同じ定義である。Xは、ハロゲン原子を表す。)で表されるパーフルオロビニルエーテル誘導体とTFEとを乳化重合した後、得られた乳化重合体分散液に加水分解処理を行うことより得ることができる。
上記乳化重合は、従来公知の方法で行うことができ、目的に応じて、シード重合体やコア/シェル構造の重合体を得るよう適宜条件を設定して行ってもよい。上記乳化重合は、2種以上のパーフルオロビニルエーテル誘導体を乳化重合するものであってもよい。
上記加水分解処理は、例えば、上記乳化重合体分散液にアルカリを添加することにより行うことができる。上記加水分解処理で用いるアルカリとしては特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムが挙げられる。
上記含フッ素ポリマー水性分散体の調製において、上述の加水分解処理を行った後、更に、必要に応じて、酸処理を行ってもよい。上記酸処理で用いる酸としては特に限定されず、例えば塩酸、硫酸等が挙げられる。
上記加水分解処理及び酸処理における各反応条件は、特に限定されず、処理対象であるポリマーの組成や量等に応じて適宜調整することができる。
上記含フッ素ポリマー水性分散体は、上述の加水分解処理や、必要に応じて行う酸処理に加え、残存するモノマー等の不純物の除去処理を経て得られるものであってもよい。この除去処理は、遠心分離法、電気泳導法、限外濾過法等により行うことができる。上記除去処理は、上記加水分解処理の後に行ってもよいし、上記加水分解処理の後に更に酸処理を行う場合、上記酸処理の後に行ってもよい。
本発明の含フッ素ポリマー液状組成物は、例えばキャスト製膜、含浸、コーティングを行うことにより膜とすることができる。上記含フッ素ポリマー液状組成物を製膜する方法としては、特にキャスト製膜が好ましい。
上記キャスト製膜は、例えば、上記含フッ素ポリマー液状組成物を基材の表面に塗布して、150〜300℃程度の温度で加熱し、必要に応じて、水中に浸漬し、基材の表面から剥離することにより行うことができる。
上記キャスト製膜に用いる基材としては特に限定されず、例えば、ガラス、ステンレスが挙げられる。上記塗布の方法としては特に限定されず、例えば、含浸塗布、吹きつけ塗布が挙げられる。上記キャスト製膜により得られた膜は、更に加熱することにより、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンや上述のモノアルコール等の化合物を完全に除去することができる。
上述のキャスト製膜により得られた膜の膜厚は、10〜200μmであることが好ましい。10μm未満であると、膜の機械的強度が不充分となることがあり、200μmを超えると、例えば固体高分子電解質型燃料電池に用いる場合、燃料電池としての性能が低下することがある。
本発明の含フッ素ポリマー液状組成物から得られる膜は、イオン伝導性に優れた上述のパーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマーから構成されるものであり、機械的強度に優れ、膜欠陥が少なく、均一且つ稠密な構造を有する。特に、固体高分子電解質型燃料電池を構成する高分子電解質膜として上記膜を用いた場合、イオン伝導性が高く、寿命が長い燃料電池を得ることができる。
本発明の含フッ素ポリマー液状組成物は、上述の構成よりなることから、機械的強度に優れ、膜欠陥が少なく、均一且つ稠密な構造の膜とすることができる。上記膜は、例えば、固体高分子電解質型燃料電池を構成する高分子電解質膜として好適に使用することができる。
本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例によって限定されるものではない。
実施例1
(1)テトラフルオロエチレン〔TFE〕及びCF=CF−OCFCF(CF)−O−(CF−SOFで表されるパーフルオロビニルエーテル化合物とをモノマーとして、過硫酸アンモニウム〔APS〕を重合開始剤として用いて乳化重合を行うことにより、含フッ素ポリマーの分散体を得た。得られた分散体は、固形分含有量が16質量%であり、含フッ素ポリマーにおける上記パーフルオロビニルエーテル化合物単位の含有率は16モル%であった。
(2)上記分散体600gを3Lの4つ口フラスコに入れ、純水400gを加えて80℃に加温し、これをスリーワンモータ(アズワン社製)で攪拌しながら10質量%の水酸化ナトリウム水溶液200gを徐々に滴下した。滴下終了後、液温を80℃に20時間保って、加水分解反応を行った。
加水分解反応終了後、得られた水性分散液を20gサンプリングし、シャーレ上で1昼夜乾燥して、純水でよく洗浄して、白色のポリマー粉末1.5gを得た。
これを150℃の温度でヒートプレスすることによって、厚み50μmの膜を作成した。得られた膜について、PERKIN ELMER社製、FT−IR Spectrometer 1760Xを用いて赤外分光分析〔IR分析〕を行い、1460cm−1の位置に現れる−SOF基に由来するピークの消失を確認して、加水分解反応が完了していることを確認した。
(3)上記(2)の工程で得られた水性分散液を、ミリポア製ペリコンステンレスホルダーにペリコン2カセット限外ろ過モジュール Biomax−10Aをセットした限外ろ過ユニットにミリポア社製送液ポンプeasy−Load Master−Flex1/PTMを用いて、オリゴマーや未反応のモノマー等の分子量約1000未満の低分子量物を含む廃液は系外に排出し、エマルションはビーカーに戻す操作を行い、精製を行った。廃液として系外に排出された分と同量の純水をビーカーに足していくことにより、精製を継続した。精製度合いの確認は廃液のイオン伝導度を測定して行い、廃液のイオン伝導度が1μS/cm以下になったことを確認して精製終了とした。上記精製により得られた含フッ素ポリマー水性分散体は、含フッ素ポリマー濃度が30質量%であった。
(4)上記(3)の工程から得られた含フッ素ポリマー水性分散体20質量部に対し、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン〔DMEU〕10質量部混合し、含フッ素ポリマー液状組成物Aを得た。
得られた含フッ素ポリマー液状組成物A20gを直径12cmのステンレスシャーレ上に入れ、アズワン社製PMCデジタルホットプレート720A−1を用いて80℃で30分、更に230℃で30分加熱して、溶媒を蒸発させることにより、均質なスルホン酸塩型電解質膜A(厚み52μm)を得た。
(5)上記(4)で得られたスルホン酸塩型電解質膜Aを、点間距離20mm、サンプル幅5mmダンベル状に打ち抜き、島津製作所製オートグラフAGS−J 5kNを用いて、JIS K 7127に準拠して破断点応力を測定したところ、42.5N/mmであった。
実施例2
実施例1(4)において、含フッ素ポリマー水性分散体20質量部に対し、DMEU10質量部とエチレングリコール〔EG〕1質量部を混合する以外は、実施例1と同様の方法で、含フッ素ポリマー液状組成物Bを得た。
含フッ素ポリマー液状組成物Bについて、実施例1(4)、(5)と同様の方法によりスルホン酸塩型電解質膜B(厚み60μm)を作成し、破断点応力を測定したところ、54.8N/mmであった。
比較例1
実施例1(4)において、DMEUを添加せず、含フッ素ポリマー水性分散体20質量部に対し、リン酸トリエチル〔TEP〕10質量部を混合する以外は、実施例1と同様の方法で、液状組成物Cを作成した。
上記液状組成物Cについて、実施例1(4)、(5)と同様の方法によりスルホン酸塩型電解質膜C(厚み55μm)を作成し、破断点応力を測定したところ、39.5N/mmであった。
比較例2
実施例1(4)において、DMEUを添加せず、含フッ素ポリマー水性分散体20質量部に対し、EG10質量部を混合する以外は、実施例1と同様の方法で、液状組成物Dを作成した。
液状組成物Dについて、実施例1(4)、(5)と同様の方法によりスルホン酸塩型電解質膜D(厚み56μm)を作成し、破断点応力を測定したところ、29.6N/mmであった。
比較例3
Nafion NRE212膜(DuPont社、サイズ5cm×5cm)を、飽和食塩水を満たしたビーカー中で30分間攪拌し、側鎖のスルホニル基をスルホン酸塩型に変換した。得られた膜を110℃に設定したオーブンで1時間乾燥させた後、実施例1(5)に示した方法により破断点応力を測定したところ、35.2N/mmであった。
本発明の含フッ素ポリマー液状組成物は、上述の構成よりなることから、機械的強度に優れ、膜欠陥が少なく、均一且つ稠密な構造の膜とすることができる。上記膜は、例えば、固体高分子電解質型燃料電池を構成する高分子電解質膜として好適に使用することができる。
実施例1で得られたスルホン酸塩型電解質膜A(厚み52μm)を電界放射型走査電子顕微鏡S−4000(日立製作所社製)を用いて、加速電圧2.0kV、撮影倍率5万倍で撮影したものである。 比較例2で得られたスルホン酸塩型電解質膜D(厚み56μm)を電界放射型走査電子顕微鏡S−4000(日立製作所社製)を用いて、加速電圧2.0kV、撮影倍率5万倍で撮影したものである。

Claims (6)

  1. 下記式
    Figure 0005125196
    (式中、nは0〜3の整数を、mは1〜8の整数を表す。Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を表す。Lは、Mの価数を表す。前記n及びmは、各構成単位間で同一であってもよいし異なっていてもよい。)で表される構成単位とテトラフルオロエチレン単位とからなるパーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマーと、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンと、水系分散媒とを含み、
    パーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマーは、平均粒子径10nm以上、300nm以下の球形微粒子として水系分散媒に分散されているものである
    ことを特徴とする含フッ素ポリマー液状組成物。
  2. 1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを5〜99質量%含む請求項1に記載の含フッ素ポリマー液状組成物。
  3. パーフルオロカーボンスルホン酸塩ポリマーを1〜50質量%含む請求項1又は2に記載の含フッ素ポリマー液状組成物。
  4. 更に、炭素数1〜4のモノアルコール及び炭素数1〜4のジオール類よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を0.1〜10質量%含む請求項1、2又は3に記載の含フッ素ポリマー液状組成物。
  5. 炭素数が1〜4のモノアルコール及び炭素数1〜4のジオール類よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物としてエチレングリコールを含む請求項4に記載の含フッ素ポリマー液状組成物。
  6. 1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを5〜60質量%含む請求項1、2、3、4又は5に記載の含フッ素ポリマー液状組成物。
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