JP5109068B2 - 一方向凝固方法及び装置 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は鋳造技術分野に属し、多結晶粒から成る柱状デンドライト組織(DS材と称す)及び単一粒から成るデンドライト組織(Mono−crystalあるいはSX材と称す)を有する一方向凝固鋳物、及びエレクトロスラグ再溶融法(ESR)、真空アーク再溶融法(VAR)等の再溶融法によるインゴットの製造において主としてマクロ偏析欠陥を改善するための鋳造技術に係る。
【背景技術】
【0002】
〔一方向凝固鋳物〕
本発明の技術分野である一方向凝固鋳物の典型的な例として航空機用ジェットエンジン、発電用ガスタービン等に用いられるタービンブレード材が挙げられる。第1図(a)に現在用いられている典型的な一方向凝固装置の概要を示す。冷却チル底台上にセットされたセラミック鋳型(実際の鋳型は複雑な3次元形状)に溶融金属を鋳込んだ後、鋳型を高温保持された加熱炉から重力の方向に相対的に引抜き順次凝固させることにより多結晶柱状デンドライト組織(DS材と称す)あるいは単一デンドライト組織(SX材と称す)を有する鋳物が得られる。図には引抜き途中の液相、固液共存相(mushy zone)及び固相を示す。鋳込装置、真空容器等の実際の装置の詳細は示さない。タービンブレードは過酷な条件下で使用されるため、高温強度等耐熱性に優れたNi基超合金が主要な材料として用いられている。しかしながらこれらタービンブレードにはフレックルと呼ばれるチャンネル偏析、不整方位結晶粒(misoriented grain defects)、ミクロポロシティ等の鋳造欠陥を生じ製品歩留まりを低下させる要因となっている(例えば文献1のp.321参照)。
フレックルの成因に関して現在定性的に以下のごとく考えられている。Ni基超合金の特徴の一つは合金素地であるγ相に整合的に析出するγ’相(ガンマプライムと呼ばれるNi3(Al,Ti)を基本組成とする金属間化合物)を有することであり、一般にγ’の体積率が増すほど高温強度は上昇する。しかしながら、Niよりも軽いAl、Ti、W等を含む合金においては、凝固の進行につれてこれらの元素が濃化するデンドライト間液相の密度は小さくなる。従って、このような合金を重力の方向と逆向きに凝固させる場合、固液共存相底部すなわちデンドライト根元の液相の密度は固液共存相と液相の境界すなわちデンドライト先端の液相の密度に比べて相対的に小さくなる。[このような合金を本明細書では対流に対して‘溶質不安定’と呼ぶこととする。]一方、温度分布はデンドライトの根元の方が先端よりも低く従って密度も大きいので対流を引き起こさない。すなわち、‘熱的に安定’である。溶質不安定度が熱的安定度よりも大きい場合、密度逆転層が形成され固液共存相における液相はこの密度差に基因する上昇流を生じフレックル(freckle)と呼ばれるチャンネル偏析を生じやすい。また、デンドライト成長が破れ不整方位結晶を生じやすくなる。[このような合金を本明細書では‘浮上型合金’と呼ぶこととする。]Ni基超合金ブレードに生ずるフレックルはこのような密度差に基づく上昇流によって生ずるものと理解されている。
現在、これら鋳造欠陥を低減させるため加熱保持温度、引抜き速度、輻射冷却能等の鋳造条件の改善あるいはNiよりも重いTa等の元素を添加し成分調節を行う等多大な試行錯誤的改良努力が払われているが未だ不充分である。従ってこのような鋳造欠陥を解消する技術が強く要望されているのが現状である。
[再溶融法によるインゴット製造]
エレクトロスラグ再溶融法(ESR)、真空アーク再溶融法(VAR)等の再溶融法によるインゴット製造においては液相プール及び固液共存相の深さは比較的浅いという特徴を持っている。前記一方向凝固法においては側面からの凝固は抑制されているが、これら再溶融法では鋳型(通常水冷銅鋳型が用いられる)からの抜熱により側面からも凝固が進行する点が異なる。ESRあるいはVARによるNi基超合金の製造においてフレックル(チャンネル偏析)をはじめとするマクロ偏析が生ずることはよく知られている(例えば文献2参照)。これらの再溶融法においては前述の浮上型合金はもちろんその逆の沈降型合金(すなわち凝固の進行とともにデンドライト間溶質濃化液相の密度が大きくなる合金)においても上記偏析欠陥を生ずる。これらの鋳造欠陥を低減させるため、液相プール深さをできるだけ浅くするような(特に沈降型合金に対して有効)あるいは冷却速度を増すような冷却条件、溶解速度等の鋳造条件の設定あるいは化学成分調整を行っているが、インゴットの断面積が大きくなると上記偏析欠陥の生成は避けられない。このため、前記Ni基超合金タービンディスク、Fe基合金発電用タービンローター等に用いられるインゴットの製造においてできるだけ径が大きく偏析の少ないインゴットを安定して製造する技術が強く要望されている。
【発明の開示】
【0003】
本発明は一方向凝固鋳物及びESR、VAR等の再溶融法によるインゴットの鋳造プロセスにおいて、主として固液共存相内の液相の流動によって生ずるフレックル等のマクロ偏析欠陥のない高品質鋳造品を製造するための鋳造技術を提供しようとするものである。
本発明は前記鋳造プロセスにおいて、特に固液共存相における液相の流動現象に着目し、前記固液共存相全域に対して強磁場を印加することによって当該相内におけるデンドライト間極低速液相流れを抑制できることをはじめて明らかにし、これによってフレックル等のマクロ偏析を解消するものである。
【図面の簡単な説明】
【0004】
第1図は具体例1における一方向凝固法の概要を示す図であり、図(a)は従来の製法による概要を、図(b)は本発明に係る製法の概要を示す。
第2図はNi−10wt%Al合金及びIN718合金の凝固中における温度と固相体積率の関係である(IN718に関して文献10のFigure1参照)。
第3図はNi−10wt%Al合金の凝固中における液相溶質濃度変化を示す図である。
第4図はIN718合金の凝固中における液相溶質濃度変化を示す図である(文献10のFigure2参照)。
第5図はNi−10wt%Al合金及びIN718合金の凝固中における液相密度変化を示す図である。
第6図は具体例1におけるNi−10wt%Al合金丸一方向凝固インゴットのフレックル偏析に及ぼす軸方向印加磁場Bzの効果を示すAl濃度等高線図である。図(a)はBz=0、図(b)はBz=5(Tesla)、図(c)はBz=10(Tesla)の場合であり図(d)はこれらのインゴットのRR’断面(底面より91.9mm)におけるBzの効果を示す。
第7図は第6図と同じインゴットの凝固途中(18分後)の固相率分布を示す図である。図(a)は全断面を、図(b)は外周部の拡大図を示す。
第8図は第6図と同じインゴットの凝固途中(18分後)における液相流れを示す図である。図(a)はBz=0、図(b)はBz=10(Tesla)の場合である。
第9図は具体例2におけるNi−10wt%Al合金角一方向凝固インゴットのフレックル偏析を示すAl濃度等高線図である。図(a)は横断面(底面より86.6mm)及び図(b)は縦断面(Y方向端面)におけるフレックルを示す。
第10図は第9図と同じインゴットのY方向末端縦断面における20分後の(a)Alのフレックル偏析及び固相率分布、(b)固液共存相及び液相における流れ場及び固相率分布を示す。図中の等高線は固相率0.2、0.4、0.6及び0.8を表す。背景の上部灰色は液相、薄い灰色は固液共存相及び下部の濃い灰色は固相を表す。速度ベクトルはnormalizeされている。
第11図は具体例2におけるNi−10wt%Al合金角一方向凝固インゴットのフレックル偏析に及ぼす軸方向磁場Bzの効果を示すAl濃度等高線図である。図(a)はBz=0、図(b)はBz=3Tesla、図(c)はBz=5Teslaの場合を示す。図(d)はXX’断面(底面より91.9mm、Y方向端面)における偏析抑制効果を示す。
第12図は具体例2におけるNi−10wt%Al合金角一方向凝固インゴットのフレックル偏析に及ぼすY方向磁場(By=3Tesla)の効果を示すAl濃度等高線図である。図(a)はXX’横断面(底面より91.9mm)、及び図(b)はY方向端面における偏析を示す。
第13図は具体例3におけるNi−10wt%Al合金薄板一方向凝固鋳物のフレックル偏析に及ぼす縦方向磁場の効果を示すAl濃度等高線図である。図(a)はBz=0、図(b)はBz=1Tesla、図(c)はBz=2Teslaの場合である。それぞれの図において縦断面はY方向端面、横断面はXX’横断面(底面より91.9mm)を示す。
第14図は具体例4におけるIN718合金再溶融プロセスインゴットの中心部フレックル偏析に及ぼす軸方向磁場Bzの効果を示すNb濃度等高線図である。図(a)はBz=0、図(b)はBz=5Tesla、及び図(c)はBz=10Teslaの場合である。
第15図は第14図において磁場なしのときのRR’断面(底面より1068.8mm)における各合金元素の偏析分布を示す図である。
第16図は第14図RR’断面(底面より1068.8mm)におけるNbの偏析抑制効果を示す図である。
第17図は再溶融プロセスにおける本発明の適用例を示す図である。図(a)はESRプロセスへの適用例、及び図(b)はVARとスラグ精錬と静磁場を組合わせた適用例である。
第18図は本発明に係るDCコイル5のいくつかの例を示す図である。図(a)はソレノイド型、図(b)は1ユニットコイル、図(c)は2ユニットコイル(ヘルムホルツ型またはこれに順ずる型)を示す。図(d)は重力の方向に交差する方向に磁場を印加する場合のレーストラック型1ユニットコイル、及び図(e)はレーストラック型2ユニットコイルを示す。
第19図は具体例3におけるNi−10wt%Al合金薄板一方向凝固において磁場を印加しない場合のAl濃度分布を示す。図(a)はストレート、126mm長、図(b)はテーパー付き126mm長、図(c)はストレート、252mm長の場合である。
第20図は第19図(b)テーパー付き薄肉インゴットの引出し開始から1005sec後(底面より45mm)におけるmushy zone内の流れ場及び固相率(0.2から1.0まで0.2キザミ)分布を示す。右端のlegendは速度範囲を示す。
第21図は第19図(b)テーパー付き薄肉インゴット一方向凝固に対して軸方向磁場を印加したときのマクロ偏析抑制効果を示す。図(a)はBz=0.5Tesla、図(b)は3Tesla、図(c)は5Teslaの場合である。横断面は位置XX’における分布図である。
【符号の説明】
【0005】
1.エレクトロード(消耗電極)
2.溶融スラグ
3.断熱性耐火物スリーブ
4.ヒーター
5.軸方向静磁場または横方向静磁場を印加するためのDCコイル
6.水冷鋳型
7.インゴット
8.水冷底台
9.受台
10.真空または不活性ガス雰囲気
11.磁気シールド
A.マクロ偏析形成のメカニズムについて
フレッケル偏析をはじめとする種々のマクロ偏析は固液共存相における液相の流動に起因することはよく知られている。この流動を生ぜしめる駆動力として、凝固収縮、デンドライト間液相の密度差による対流、電磁力等外部からの力等があるが、本発明においては密度差による対流が特に重要である。先に定義した浮上型合金となるかまたは沈降型合金となるかあるいはこれらの混合型合金(液相密度が凝固の進行とともに減少し再び増加するあるいはその逆となる合金)となるかは合金成分によって決まり、鋳造プロセスによって特有のマクロ偏析を生ずる。
B.磁場による流動抑制効果
静磁場による流動抑制の原理について以下簡単に述べる。
電磁流体に関するオームの法則よりベクトル表記すると
σは導電性溶融金属の導電率(1/Ωm)、vは溶融金属の流速ベクトル(m/s)、Bは外部印加磁束密度ベクトル(Tesla)、Eは誘導電場の強さベクトル(V/m)及びJは誘導電流密度ベクトル(A/m2)である。電流場に関する連続条件より
電位をφ(V)とすると
JとBによって生ずる電磁力(Lorentz力)f(N/m3)は次式で与えられる。
上記の式はいずれもよく知られた式である。
(1)式及び(3)式を(2)式に代入すると(5)式が得られる。
(5)式を解いてφを求め、(1)及び(3)式よりJを求め、続いて(4)式よりLorentz力fすなわち電磁制動力を算出できる。ただしvは運動方程式を含む後述の数値解析により計算する必要があり、流れ場と電磁場は高度な連成関係を有している。
C.凝固解析手段
凝固現象を解析するために本発明者が開発した汎用凝固シミュレーションシステム(システム名CPRO)による数値解析方法の概要を以下に述べる。
凝固現象を記述するための物理変数は温度、凝固中液相及び固相中に再分配される元素の濃度(合金元素数分、n個とする)、温度と固相率の関係を与える液相温度、液相及び固液共存相における液相の流速(3つのベクトル成分)及び圧力によって与えられる。これらを本明細書では巨視的スケールにおける物理変数と呼ぶ。これらn+6個の物理変数に対応する支配方程式を表1に示す。
【表1】
固液共存相における流れはDarcyの式(6)によって記述されることが知られている(文献3のp.234参照)。Darcy流れ現象は表1の運動方程式中に流動抵抗項として含まれている。
ここに、ベクトルvはデンドライト間の液相流れ速度、μは液相の粘度、gLは液相の体積率、Kは透過率、Pは液相の圧力、Xは重力、遠心力等の物体力ベクトルである。なお、Xは本発明において導入される電磁制動力も含むことに留意されたい。Kはデンドライトの幾何学的構造によって決まりKozney−Carmanの式(文献4参照)より次式で与えられる。
Sbはデンドライト結晶の単位体積あたりの表面積(比表面積)であり、無次元定数fは多孔質媒体中の流動実験により5の値を持つことがわかっている。透過率Kはデンドライトの成長時における形態解析(本明細書において微視的スケールと呼ぶ)により求められる。凝固は液相及び固相における一種の拡散律速過程であることからデンドライトを円柱形の枝及び幹と半円球の先端部からなるモデル化を行い固相及び液相における溶質の拡散方程式を解いて求めた。なお、デンドライトの方向によるKの異方性はないものと仮定した。
以上、巨視的スケールにおける物理変数はすべて相互作用を有しており、さらに微視的スケールにおけるデンドライト成長とも深く関わっているので繰返し収束計算を行った。本数値解析法については本発明者出願の文献5:日本国特許第3747216号ならびにUS Patent 6241004B1において詳細に記述されている。さらに、前記磁場による電磁制動力の影響を当該数値解法に組み入れた。これにより電磁制動力の効果を考慮に入れた凝固現象を完全に記述することができる。ただし、固液共存相における固相は動かないものと仮定した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
A.具体例1:Ni−10wt%Al合金丸インゴットの一方向凝固におけるマクロ偏析
第1図(a)に一般的な一方向凝固装置の概略図を示す。誘導コイルによりサセプタを加熱し輻射熱によりセラミックモールドを加熱保温する一方、水冷チルでインゴットを冷却しながら鋳型を下方へ引出すことにより一方向凝固させる(あるいは鋳型を固定し、加熱炉を上昇させてもよい)。GiameiとKear(文献6参照)は浮上型Ni基超合金mono−crystal丸インゴットにおいて外周部にフレックル(freckle)と呼ばれるチャンネル偏析を生ずることを示し(同文献のFig.1〜4参照)、丸インゴットの径が大きくなるに従いフレックルが多く発生する、すなわちサイズ効果のあることを明らかにした(同文献のTableII参照)。さらに、同じく浮上型Ni−10wt%Al合金の1.5インチ(38.1mm)径mono−crystalインゴットにおいて外周部にフレックルを生ずることを示した。これらのデータを参考にして、計算に用いたインゴットのサイズ及び鋳造条件を表2に示すごとく設定した。また、化学成分及び物性値を表3に示す。なお、同文献に照らしてインゴット外周部にフレックルが生じるようデンドライト比表面積Sbの補正係数α=0.4に調整した。
【表2】
【表3】
第2図に非平衡凝固(固相中の拡散なし、液相中の完全拡散)の仮定の下にNi−10wt%Al合金の温度と固相体積率の関係を計算したグラフを示す。本合金は平衡状態図より1385℃で共晶を生ずる。Al元素は凝固の進行とともに固液界面から液相に排出されるのでデンドライト間Al液相濃度は上昇する。この様子を第3図に示す。
ここでデンドライト間液相密度は液相中の合金濃度C1L,C2L,・・・、及び温度Tの函数として表されることから(表3中のρL式参照)
【数1】
(8)式を用いて凝固中におけるNi−10wt%AlのρLを計算した結果を第5図に示す。同図より当該合金は“浮上型”であることがわかる。
計算に用いたインゴットの要素数は半径方向29x軸方向71=2059である。計算結果を第6〜8図に示す。第6図(a)〜(c)はマクロ偏析の分布状態を等高線表示した図であり、第6図(d)はRR’位置(底面より91.9mm)における半径方向分布を示す。第6図(a)より磁場を印加しない通常のインゴットにおいて外周部にフレックルを生じている。マクロ偏析の程度をC/Coにより評価する(Cは計算濃度(wt%)及びCoは初期濃度(wt%))。C/Co>1は正偏析、C/Co<1は負偏析を示す(Co=10wt%である)。フレックル部においてC/Co最大値=1.14の正偏析を生じている。また、フレックル近傍において濃度の減少が認められる(第6図(d)参照)。磁場は軸方向に一様な強度の磁場を印加した。これらの図より、Bz=3(Tesla)以下では偏析低減効果はなく、5(Tesla)でC/Co最大値=1.08と約半減し、10(Tesla)でC/Co最大値=1.015と実質的に偏析はなくなった。
上記磁場を印加しないインゴットに生ずるフレックルは固液共存相における液相の流動パターンに基因するものである。18分後の液相及び固液共存相(mushy zone)における流動パターンを第8図(a)に示す(凝固時間は29.2分)。外面からの抜熱によりmushy zoneの形が影響を受けていることがわかる。mushy zone中の流れは高固相率側(下側)の低密度液相の“浮力”の影響を受け全体として中心部から外周へ向かっており、外周において上昇流を生じている。すなわち、外周においては温度の低い高溶質濃度の液相が上側のより高温低溶質濃度部へ流動する結果、(たとえ再溶解までに至らなくとも)凝固が遅れ、液相が通りやすくなる(透過率Kが大きくなる。(7)式参照)。すなわち液相の通路、チャンネルが形成される。第7図の外周部において固相率が内側よりも低下しているのはこのためである。[チャンネル偏析形成のメカニズムに関しては前記文献3のp.249に詳しく書かれている]。このようなチャンネル部では一方向デンドライト組織はブレークダウンして等軸晶となり、内側よりも凝固が遅れるので凝固収縮によるポロシティを伴う。
軸方向磁場の強度を増していくと、半径方向の流れは抑制され外周部のチャンネル流れがなくなる結果、偏析は生じない。Bz=10(Tesla)の流動パターンを第8図(b)に示す。外周においてわずかに上昇流が認められるが流れは極めて弱く、半径方向の流れはほぼ完全に抑制され軸方向のみの流れ(凝固収縮流)となっている。このように、凝固収縮による液相補給を保持しつつ、チャンネル偏析を形成するような重力方向以外の流れ(対流あるいは局所的に乱れた流れ)のみが抑制されるという現象は興味深い。ここでは紙面の節約のため示さないが、この現象は重力の方向と直角な水平一方向凝固あるいは重力方向と同じ向きの一方向凝固(上から下への凝固)の場合においても認められた。また、液相において見られた顕著な対流が抑制される結果mushy zoneの幅が広がっている。静磁場印加によるこれらの特徴はDS材、そして特にSX材の製造に有利に働く。すなわち、デンドライト不整方位結晶欠陥の発生が抑えられる効果を生み安定成長を促進する。
B.具体例2:Ni−10wt%Al合金角インゴットの一方向凝固におけるマクロ偏析
フレックル生成に及ぼす印加磁場の方向の影響を調べるため角インゴットについて計算した。角断面の寸法は具体例1と等価な断面積を有する60mm角とした。他の鋳造パラメータはすべて丸インゴットの場合と同じである(表2参照)。計算は対称性を考慮し1/4断面について行った。インゴットの要素数はX方向18xY方向18xZ方向71=23004。
磁場を印加しない通常のインゴットのマクロ偏析を第9〜11図に示す。第9図(a)及び(b)に示すごとく、フレックルは外周部において縦方向に生じており、ほぼ等間隔に並んでいる。C/Co最大値は約1.18である。凝固途中の20分後における偏析形成状況を第10図(a)及び(b)に示す(凝固時間は28.5分)。具体例1と同様、mushy zoneにおいてフレックル近傍の液相が流入しチャンネルに沿って上昇し(第10図(b)参照)、凝固の遅れを生じている(同図中の等固相率線参照)。この上昇流によりフレックルを生じる(第10図(a)参照)。軸方向磁場による偏析抑制効果を第11図に示す。第11図(a)、(b)及び(c)はY方向端面における縦断面マクロ偏析を、第11図(d)は図(a)におけるXX’(底面から91.9mm)に沿うAl濃度分布を示す。これらの図からBz=1(Tesla)では効果は小さく、Bz=3(Tesla)以上で偏析は実質的になくなる。mushy zoneにおける流動パターンも具体例1と同様横方向の流れは抑制され、すべて軸方向下向きとなった(簡単のため図示せず)。
次にY方向(水平方向)に一様な磁場を印加した場合の一例を第12図に示す(By=3Tesla)。Bz=3(Tesla)と比べてわずかに効果的であるが実質的に同じと言ってよい。このことからmushy zone中の流動抑制挙動は磁場の方向に依らず実質的に同じであることがわかった。ただし、インゴットと鋳型境界の電気的境界条件は絶縁とした。
C.具体例3:Ni−10wt%Al薄板インゴットの一方向凝固におけるマクロ偏析
背景技術で述べたタービンブレードは薄肉部を有する複雑な形状をしている(例えば文献1のp.320、Fig.1及びp.321、Fig.5参照)。この点を考慮し、本具体例においては肉厚6mm、巾60mm及び長さ126mmの薄板一方向凝固について磁場の効果を検討した。鋳造条件を表2に示す。側面からの凝固を防止するため前記丸及び角インゴットに比べて側面からの抜熱速度を1/10に落とす以外同じ条件に設定した。
計算は対称性を考慮し1/4横断面について行った。インゴットの要素数はX方向18xY方向5xZ方向71=6390。第13図に計算結果を示す。磁場を印加しない通常のインゴットの場合、巾方向端面、特にコーナー部にフレックルを生じている(第13図(a)参照)。軸方向磁場を1、2及び3(Tesla)印加したところ、2(Tesla)で実質的に偏析はなくなった(第13図(b)、(c)参照)。図より、Bz=0のときC/Co最大値=1.13、1(Tesla)でC/Co最大値=1.022となり1(Tesla)で充分効果がある。
また、巾方向(X方向)及び肉厚方向(Y方向)にそれぞれ一様磁場を印加したところ軸方向印加とほとんど差は認められなかった(簡単のため示さず)。
次に、鋳造条件及びブレードの形状を変化させてこれらの影響について調べた。
鋳造条件については引出し速度を表2の5mm/minから1.667mm/minへ落し、凝固区間の温度勾配が約45℃/cm(ブレード長の中間位置)となるようサセプタ温度=1773K、ε(放射率)=0.05、輻射冷却領域のε(放射率)=0.02、底面のh(熱伝達率)=0.001cal/cm2sCに設定した(以上の鋳造条件は実際に行われている範囲に入っており、ここでは計算の便宜上設定したものである)。上記一定速度で引出した場合、温度勾配は凝固の前半で約50℃/cm、後半で約25℃/cmへ低下する。なお、SX材の製造に必要なセレクタ部などは省略している。
実際のブレードの横断面形状は曲面でありブレード肉厚内部に中子を含むなど、厚さも一様でないことを考慮し、横断面にテーパーを付けた(以降テーパー材と呼ぶ。テーパーなしはストレート材と呼ぶ)。ただし、ここでは肉厚変化の影響を概略検討することを目的として横断面中央部で厚さ6mm、両端で3mmとし、1/4対称断面を計算領域とした。従って実際のブレード断面形状とは異なる。中子は無視した。また、ブレード長さを2倍にした(252mm長)場合についても計算した。以上3種類のブレードについてストレート、126mm長ブレード(要素数6390)及びテーパー、126mm長ブレード(要素数5751)に対して上記鋳造条件を適用する一方、ストレート、252mm長ブレード(要素数12780)に対しては輻射冷却のε=0.01とする以外他の条件は同じ値に設定した。
計算結果を第19図〜第21図に示す。第19図に磁場を印加しない通常の一方向凝固における凝固完了後のAl濃度分布を示す。縦断面図は肉厚中央部、及び横断面図はXX’位置における分布図である。いずれのインゴットにおいても具体例1(丸インゴット、第6図参照)及び具体例2(角インゴット、第9図参照)に見られる外周部ではなくむしろインゴット内部にフレックルを生じている。これはサセプタからの加熱によりインゴットの表面と内部でほとんど温度差がなくなったためと考えられる(外周部がわずかに高い)。また具体例1及び2ではフレックルが上端まで長く伸びているのに比べて、かなり短くなっている。テーパー、126mmインゴットでは内部、特に肉厚の厚い部分により顕著にフレックルを生じている。引出し開始から1005sec後の縦断面中央部におけるmushy zoneの形状及び樹枝晶間流れを第20図に示す(mushy zone内の流動パターンのみ示す)。図中の横線は固相率0.2から1.0まで0.2間隔の等固相率線である。フレックル発生位置(底面より45mm)における流速は3x10−2cm/s、横方向流速は10−3cm/sのオーダーである。中心肉厚部から端面薄肉部に向ってmushy zoneが若干傾いており、樹枝晶間液相流れは端面から中心に向い、フレックルを生ずる部分で強い上昇流を生じているのが認められる。また、等固相率分布よりフレックル部では凝固が周囲より遅れることがわかる。ブレード長を2倍にしたストレート、252mmインゴットではフレックルはより顕著に現れる(第19図(c))。フレックルもより長くなる。
以上3種類のインゴットに対して軸方向にBz=0.5、1.0、3.0及び5.0(Tesla)の磁場を印加したところ、いずれのインゴットにおいても0.5(Tesla)でフレックルは消滅し、3(Tesla)で引けを生ずるインゴット上端及びセレクタあるいは種結晶につながる下端を除く製品部のマクロ偏析はAl=9.95〜10.04(wt%)へと実質的に問題ないレベルまで改善した。第21図にテーパー、126mmインゴットについてBz=0.5、3及び5Tの磁場を印加したときの効果を示す。いずれのインゴットにおいてもフレックルの生成はなく、薄肉側(右端)の負偏析が磁場の増加とともに減少しているのがわかる。これは第20図に示したような横方向極低速流れが抑制されるためである。
以上のごとく、フレックルの生成する場所及び形態は加熱・冷却条件、引出し速度等の鋳造条件、ブレードの形状などにより変化するがどのような場合であれ強磁場を印加することにより無くすことができる。
D.具体例4:IN718Ni基超合金の再溶融プロセスにおけるマクロ偏析
計算に用いた本合金の化学成分及び物性値を表3に示す。化学成分、及び多元系平衡状態における温度−液相及び固相濃度の関係については文献10のFig.1〜3より再生した。従って温度と固相率の関係(第2図参照)、凝固中の液相溶質濃度変化(第4図)の計算結果は同文献10と同じである。また前記(8)式による液相密度の変化を第5図に示す。第5図より当該合金は“沈降型”合金であることがわかる。
Van Den Avyleらは前記文献2においてIN718及びこれに似たAlloy 625 Ni基超合金の再溶融プロセスにおいてそれぞれ半径方向中間部にフレックル及び中心部に“中心”フレックル偏析を生ずることを報告している。これらの再溶融プロセスにおいては側面からの抜熱によりmushy zoneの形状が中心に向かって深くなるためIN718のような沈降型の場合でもチャンネル偏析を生ずる。本明細書で用いたIN718の化学成分は同文献2のIN718よりもむしろ、近似的にAlloy 625と見なされる。同文献2を参考に、インゴットのサイズ及び鋳造パラメータを表2に示すごとく設定した。鋳造方法は静置した鋳型に一定の溶解速度で鋳造する方式とした。実際の操業ではインゴットと水冷銅鋳型境界における熱移動はエアギャップの生成等により大きく影響されるので熱的境界条件を精度良く設定することは難しい。そこで、計算の便のため、インゴットの底面及び側面に仮想的なhot plate及びhot sleeveを設け(熱物性値はインゴットと同じと仮定する)、上記文献2を参考に液相プールの形状等実際の凝固状況に近づけるようこれら鋳型外面からの熱伝達係数を調整した。また、同文献2のフレックル発生状況を参考にしてデンドライト比表面積Sbの補正係数α=0.6に設定した。インゴットの要素数は半径方向40x軸方向120=4800である。
計算結果を第14〜16図に示す。第14及び16図はNbの濃度等高線を、第15図は磁場を印加しない場合の各元素の半径方向濃度分布を示す(底面より1068.8mmの位置)。第14図(a)に示すごとく、上記文献2のAlloy 620に発生する中心フレックルを生じている。なお、本具体例のIN718では半径方向中間における通常のフレックルは生じなかった。これらの結果は同文献2の見解とよく一致しており、本明細書で述べた数値解法の妥当性を示すものである。第15図より1より小さい平衡分配係数も持つAl、Ti、Nbと1より大きい分配係数のCr、Feではそれぞれ正及び負の偏析を生じる。軸方向磁場をBz=3〜10(Tesla)に変化させて計算した結果、Bz=10(Tesla)で問題ないレベルまで偏析を抑制できることがわかる(第14及び16図)。
以上の具体例1〜4においてマクロ偏析は固液共存相におけるデンドライト間液相流れによって生じるものであり、その流動パターンが最も重要であることを具体的に示した。さらに本発明者は固液共存相全体に対して強磁場を印加することによりマクロ偏析形成の原因となるデンドライト間極低速液相流動を抑制することができることを初めて示し、これによりフレックル等のマクロ偏析を抑制できることを明らかにした。このように溶融金属に対する電磁制動現象は古くから知られているがマクロ偏析を解消できることを示した例は本発明者の知る限り見当たらない。
以下、本発明による電磁ブレーキ効果の考察及び本発明の要点について述べる。
(1)今、重力の方向と直角な横方向(X方向とする)に一様な速度vで流れる電磁流体を考える。この状態にv及び重力方向に対して直角方向の磁場Bを印加したときの電磁制動力はfχ=−σB2νで与えられる。ただし、金属の場合電気伝導率σが大きいので前記(1)式中のE=0と見なした。このとき運動方程式は次式で表される。
【数2】
上式を積分して時刻t=0のとき初期速度v=v0とすると次式が得られる。
【数3】
ここに単位系はv(m/s)、σ(1/Qm)、B(Tesla)、ρ(Kg/m3)及びt(sec)である。(10)式よりvは時間tの経過とともにexponential曲線減衰し、σの大きい、ρの小さい合金程小さくなることがわかる。例として本明細書の10Al−Ni合金に対してσ=106、ρ=7300及びB=0.1とするとv/v0=exp(−0.14t)となる。
これからt=2.15秒後にv/v0=0.5、さらにt=4.3秒後にはv/v0=0.25まで減速する。また、Al合金に対してσ=5x106,ρ=2700,及びB=0.1とするとv/v0=exp(−1.9t)となり、t=0.15秒後にv/v0=0.5、さらに0.3秒後にv/v0=0.25まで減速する。以上の概算よりB=0.1(Tesla)程度の低い磁場でも液相プール内の流速を抑制させるに充分な効果のあることがわかる。
次に、(6)式においてXを電磁制動力fとし、Darcy流れ抵抗力vμgL/K((6)式の両辺をK/μgLで割って得られる)との比をπと定義すると、
【数4】
ここにπはmushy zone中のデンドライト間液相流れに対する制動効果を表す無次元数である。fは(1)及び(4)式よりf=σ(−▽φ+vxB)xBで与えられる。考察の便のため、上述の場合同様、mushy zone中の横方向一様流れに電磁制動力を印加する場合を考えると、(6)式は次式に帰着する。
【数5】
上式よりv>0の流れに対して電磁制動力(−σB2v)は流れと逆方向(圧力勾配により液相に働く体積力−∂P/∂χ(>0)と逆方向)に作用する、すなわち、制動力として働くことがわかる(v<0の場合も同様制動)。(12)式よりvについて解くと次式が得られる。
【数6】
上式よりBを印加しない場合の速度をv0としvとv0の比を取ると、(11)式で定義したπを用いて
【数7】
流速はπの増加とともに双曲線的に減衰する。実際の鋳造プロセスにおいてはK及びgLは場所及び時刻により変化するが前記具体例1〜4において大略平均的な値を用い、フレックル等の偏析が抑制されるときのBの値に対してπを計算した結果を表4に示す(σB2の単位換算;1T2/Ωm=10−3dyn・sec/cm4に注意)。
【表4】
具体例1の場合、π=0.05B2から、
Bz=5(Tesla)の場合π=1.25となりv/v0=0.44へ減速され、また
Bz=10(Tesla)の場合π=5.0となりv/v0=0.17へ減速される。
表4より偏析を抑制するπの値に開きがあり、また次項(2)で述べるごとく偏析の形態及びその程度は個々のケースによって異なるので偏析抑制に必要な無次元数πの値を決定することは困難であるが有意義な目安となるものである。1(Tesla)以下の磁場の場合π<<1となり、偏析抑制効果はほとんどないことが理解できる。
(2)実際の鋳造プロセスにおいてmushy zone内の液相のflow patternを決定する主たる要因は次の3つである。
I.mushy zone内の液相の密度差△ρLによる浮力(△ρLgr、grは重力の加速度)
II.mushy zoneの形(特に重力方向に対する勾配及び範囲)
III.デンドライトの形態により決定される透過率K((7)式参照)
△ρLgrはmushy zone内において対流を引き起こす駆動力であり合金成分により決まる。これには浮上型、沈降型あるいはこれらの混合型がある。要因II及びIIIは種々の鋳造プロセスにおいて冷却条件によって決まる。このように多種多様なケースが存在する。2、3の例を挙げると、浮上型合金のタービンブレード一方向凝固においてはフレックル発生の最重要因子は△ρLgrであり、△ρLあるいは△ρL/ρLがある値以上になると発生する。これに比べ要因II及びIIIの寄与は小さい。また、沈降型合金の再溶融法によるインゴット製造において、もしmushy zoneの形がフラットであれば(凹がない、)要因I及びIIIにかかわらず偏析は生じない。すなわち、具体例4の中心部の偏析はmushy zoneの形が重力方向に対して勾配を生じており要因I(△ρLによる沈降)が作用して生じたものである。この場合でもインゴットの径が小さくなりKが小さくなると偏析は生じない。[Kはデンドライトアームスペーシング(DAS)が小さいほど小さくなる。一般に冷却速度が大きくDASが小さくなると要因Iによる対流が生じなくなりフレックル等のチャンネル偏析は生じない。]
以上より、電磁制動力の効果を評価する別の無次元数として浮力に対する制動力の比を取るのは有意義である。すなわち
【数8】
平均的な概略値v及び所要磁場Bに対してφを算出した結果を表4に示す(σB2の単位換算に注意)。
上記項目(1)及び(2)の考察より、液相領域における高速流(再溶融プロセスにおいては一般的に約10cm/sのオーダー)を抑制するためには1Tesla以下(例えば0.1Tesla)の磁場で充分であるが、mushy zoneにおける極低速流(約10−2〜10−4cm/sのオーダー)を抑制するためには強磁場を必要とすることがわかる。この強磁場の強さを概略評価する目安として(14)式あるいは(15)式による無次元数πあるいはφが有意義である。すなわち、個々の合金系並びに凝固プロセスに即して経験的に偏析抑制に必要な限界値πCあるいはφCを知り、π≧πCあるいはφ≧φCを満足するようにBを決めればよい。πCあるいはφCはスケールダウンした小規模実験により決めるのがより経済的であり、本明細書で述べた数値解析法が極めて有力な道具となる。以上の具体例より薄肉部を有する比較的サイズの小さいタービンブレードの場合、約0.5(Tesla)以上の磁場でフレックル、不整方位結晶等の欠陥の低減に有効である。[凝固界面の形態はG/R(Gは界面における液相温度勾配、Rは界面の進行速度)の値が小さくなるにつれて平滑界面からセルへ、さらにデンドライトへと遷移することはよく知られており、SX材の場合ある値以下になると単一結晶成長が破れ、そこから異結晶すなわち不整方位結晶を生じると考えられている(例えば文献15参照)。一方、凝固中磁場を印加すると結晶粒が粗大化することが一般に知られている。すなわち、不整方位結晶が生じ難くなる。これは、磁場の印加により液相の流動が抑制され安定な単一結晶成長を促進するためと考えられる。]サイズの大きい再溶融プロセスインゴットの場合、少なくとも約1(Tesla)以上の磁場が必要であろう。ただし、これらの下限値は鋳造条件を最適化したうえでの大雑把な目安であり個々のケースにより変化するのはすでに述べた通りである。また、品質に対する要求度によって左右される。
(3)mushy zoneにおける液相流動抑制効果は磁場の方向に依存しない。従って、鋳造プロセスに最適の印加方法を採用すればよい。ただし、前記すべての具体例において電気的境界条件としてインゴットと鋳型は絶縁した。計算では一様磁場を適用したが、厳密に均一にする必要はない。
(4)一方向凝固に静磁場を印加する場合の概要図を第1図(b)に示す。典型的な一方向凝固装置は、背景技術の項で述べたごとく、チル冷却装置、鋳型加熱炉、引抜装置、真空装置等の基本要素から構成されるが、これら以外に様々なバリエーションがある。例えば一度凝固させたインゴットを最初に少量溶かし、この溶融帯を一方の端から他端に向けてゆっくりと移動させるzone melting法(例えば文献3のp.2参照)を応用するバリエーションが可能である。要するに本発明は鋳物あるいはインゴットにおいて固相、固液共存相及び液相領域を形成させこれらの領域を一方の端から他端へ向けて一方向制御凝固させる方法及び装置を対象とするものであり、これら全ての一方向凝固プロセスに適用されることは原理的に明らかである。実際の一方向凝固タービンブレードは複雑な形状を有する。文献11にはブレード部を単一デンドライト組織(SX)とし土台部を多結晶柱状デンドライト組織(DS)とする技術が述べられているが、本発明はこのような混合組織に対しても適用できる。また、重力の方向と直角な水平一方向凝固あるいは重力方向と同じ向きの一方向凝固(上から下への凝固)の場合に対しても、すでに述べたごとく、本発明は適用可能である。本発明に用いられるDCコイル5のいくつかの例を第18図に示す。固液共存相に対して垂直方向に磁場を発生させる場合、ソレノイド型(図a)、1ユニットコイル(図b)、2ユニットコイル(図c、ヘルムホルツ型またはこれに順ずる型)等がある。重力の方向に交差する方向に印加する場合はレーストラック型1ユニットコイル(図d)、レーストラック型2ユニットコイル(図e)等がある。これらのコイルには超電導コイルを用いることが推奨される。実際様々なコイル設計が可能であり、鋳物の形状、凝固の方向、所要磁場の強さ等に最適の設計を行えばよい。
(5)VAR(真空アーク再溶融法)、ESR(エレクトロスラグ再溶融法)等の再溶融プロセスでは一般にmushy zoneに強い電流が流れており、外部からの強印加磁場との相互作用により電磁力を発生するので好ましくない。従って、インゴットに通電しない方式を採用する必要がある。そのような方式の最も望ましい一つの例を第17図に示す。第17図(a)はESRプロセスに本発明による強磁場を適用した場合を示す。符号5は強磁場を発生させるためのDCコイルであり横方向あるいは縦方向に印加する構成とする。コイルの機構は前記(4)項で述べたとおりであり、超電導コイルを用いることが推奨される。エレクトロード1は磁場の影響を受けないようコイルから離して配置されている。エレクトロード間を流れる電流によるジュール熱により溶融スラグ相が加熱され、これによりエレクトロードが溶解される。溶融スラグ相は断熱性の耐火物スリーブ3の外周に配置したヒーター4により加熱保温される。エレクトロードから生ずる溶融液滴はスラグ相を通って水冷銅鋳型6に落下し凝固する。インゴット7は水冷銅鋳型でできた底台によって底面より冷却しつつ伸縮可能な受台9により下方へ引出される。鋳型6とインゴット7の境界には溶融スラグ3が介在し、通常エアギャップが生ずるので(図示せず)、側面からの冷却能は比較的小さい。第17図(b)はVARとスラグ精錬と本発明による強磁場を組合わせた最も望ましい一つの例を示す。空間10は真空または不活性ガス雰囲気とする。エレクトロード1は高電流アーク(通常DC)により溶解される。VAR及びスラグ精錬による両者のメリット(よく知られているので述べない)にさらに本発明による強磁場を加えることにより高清浄かつ偏析のない高品質インゴットの製造が可能となる。これらのプロセスでは、エレクトロード電極部近傍の電流場を磁場から隔離するため磁気シールド11を施す。第17図の例から明らかなごとく種々の組合せが可能である。
すなわち、
ESR+強磁場
VAR+強磁場
VAR+スラグ精錬+強磁場
等が可能である。
(6)合金の凝固中における固液界面の形状は組成的過冷理論に基づく前述のパラメータG/Rによって決まることはよく知られている(Gは界面における液相温度勾配、Rは界面の進行速度)。真の意味の単結晶(例えば半導体Si)の製造においては(Bridgeman法であれCzochralski法であれ)GとRをそれぞれ独立にコントロールしGを大きくRを小さく(すなわちG/Rを大きく)することにより平滑界面(安定界面)凝固を実現している。[一般にこれらの単結晶に含まれる合金量は極微量であり、固液共存相は存在せず(また生成させてはならない)、本明細書において定義した固液共存相を有するデンドライト組織(DS材あるいはSX材)とは根本的に異なる。]
単結晶の成長方向における合金濃度分布は平滑界面前方における液相の対流の状態によって大きく変化することが知られている(例えば文献3のp.42、Figure2−9参照)。文献12は半導体の単結晶育成過程において不可避的に存在する液相の対流の影響により単結晶の長手方向(育成方向)に生じる大きな溶質濃度変化を小さくするため、前もって組成を変えた原料を作成し、この原料を用いて一方向成長させることにより濃度変化を小さくしようとするものである。さらに一度成長凝固した結晶をもう一度逆方向に成長させる、あるいは磁場(0.2Tesla程度)を印加することにより対流を抑制し、より均一な組成の単結晶を製造しようとするものである。すなわち当該文献技術はmushy zoneの無い単結晶育成過程において平滑界面前方の液相の対流を抑制しようとするものであり本発明とは異なる。
文献13はBridgeman法による単結晶製造において、液相−固相変化に伴う融点での磁気帯磁率の変化量が正(すなわち固相の磁気帯磁率の方が液相のそれより大きい)の材料を用い、結晶成長中磁場を印加することにより、結晶核形成のエネルギー障壁を高くすることにより単結晶化率の向上を図り、できるだけ結晶の数の少ない良い単結晶を作ろうとする単結晶育成技術であり本発明技術とは異なる。
G/Rを小さくして行くと安定界面型成長は破れ界面から固相が突起し始めセル組織が形成される。さらにG/Rを小さくしていくとデンドライト組織が形成される。セル型成長の場合固液共存相はセル結晶と液相が共存するので本発明の原理が応用できる。すなわち強磁場を印加することによりセル間液相流れを抑制し偏析の無い安定したセル結晶組織を得ることができる。
(7)連続鋳造の分野において文献14はAl合金の連続鋳造の際、液相プールに対して最大で0.15Teslaの静磁場を印加することによりマクロ偏析を低減する技術を開示している。[連続鋳造においては液相プール内の流動速度は10〜100cm/sのオーダーであり、前記(1)及び(2)で述べたごとく、このような高速流に対しては0.1Tesla程度の低磁場で充分な制動効果があるが、mushy zoneにおける極低速流に対しては制動効果はない。]当該文献14ではマクロ偏析が低減されるメカニズムについては言及しておらず、また同文献の実施例においてはいずれも結晶粒微細化剤を添加している。この点は注目に値する。当該文献14の場合の偏析抑制効果に関し本発明者は以下のように推察する。静磁場による液相プール内の流動抑制効果により磁場のない場合に比べて微細化効果が増しより微細な粒状晶組織となり中心領域の偏析が小さくなったと考えられる。[一般に結晶微細化剤を添加する理由はより細かい粒状晶組織とすることにより偏析を小さくすることが目的の一つとなっている。しかしながら液相プール内の活発な対流により結晶粒微細化剤の凝集・合体・粗大化の頻度が増し微細化効果を低下させる。そこで磁場を印加すると液相プール内の対流が抑制され結晶粒微細化剤の凝集・合体の頻度が小さくなり微細化効果を阻害しなくなるのではないかと推察される。]すなわち、当該文献14の技術は結晶粒微細化剤を用いることが必須条件であり、磁場印加による微細化効果を増し、その結果として間接的に偏析を低減させる効果を生じたものと推察される。結晶微細化剤を添加しない場合に対して中途半端な強度の磁場を印加すると液相プールにおける流動が抑制される結果、粗大柱状晶が発達しやすくなり逆に中心領域の偏析が大きくなる可能性がある。
これに対し本発明の本質は一方向凝固(本来の目的から言って結晶微細化剤を使用してはならない)あるいは再溶融法プロセスにおいてmushy zone全体に対し、フレックル等のマクロ偏析の原因となるmushy zone内の極低速液相流動を抑制するに必要な強さの磁場を印加することにより前記マクロ偏析を抑制しようとするものであり、当該文献14とは着眼点を異にし、鋳造プロセス、磁場の印加領域及び磁場強度において異なるものである。
【産業上の利用可能性】
【0007】
以上の具体例1〜3から明らかなごとく、本発明による強磁場を印加することにより現在実用化されている浮上型Ni基超合金のDSあるいはSX鋳物に生成するフレッケル等の偏析を無くすことができる。さらに、より浮力(mushy相内における液相の密度差によるΔρLgr)が大きくなり鋳造不能となる合金に対しても本発明は有効である。このことは合金選択の自由度が増す、あるいはさらに高温強度の高い合金開発の可能性が開けることを意味する(例えばγ’体積率を極限まで増せる)。
具体例4の再溶融プロセスにおいて沈降型合金(IN718)に対して本発明が有効であることを示したが、一般の浮上型合金に対しても有効であることは具体例1〜3により明らかである。従って、本発明を適用することにより従来は鋳造不能であったより口径の大きい浮上型合金インゴットの再溶融プロセスによる製造が可能となる。
以上のごとく、本発明の効果をまとめると次のごとくなる。
Ni基超合金タービンブレード等の一方向凝固鋳物の製造に関し、
1.フレックル等のマクロ偏析を完全に無くすことができる。
2.対流によるデンドライトの溶断・分離をなくすことができ、これにより不整方位
結晶粒(misoriented grain defects)のない完全なmono−crystalを得ることができる。
3.フレックル等のマクロ偏析を完全に無くすことによりγ’の体積率を極限まで増加するための新合金開発が可能となる。
また、再溶融プロセスによるインゴットの製造に関し、沈降型合金はもちろん従来は鋳造不能であった浮上型合金(一般に沈降型よりも密度が小さい)の鋳造が可能となる。
このように本発明によれば高品質タービンブレード等の一方向凝固鋳物あるいは再溶融インゴットの製造を可能にし、実用化により重要部品の安全性及びガスタービンの効率向上による省エネルギーに大いに貢献するものである。超電導技術の最近の進歩により強磁場が比較的安価に手に入る状況を考えると本発明の実現を阻む要因は見当たらず、産業的価値は極めて高い。本明細書では二種類のNi基合金インゴットについて具体例を示したが、すべてのNi基合金はもちろん、今後発展が期待されるTiAl合金一方向凝固ブレード、低合金鋼等全ての合金製造に対しても同様の効果が得られることは原理的に明らかである。
文献
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Claims (5)
- 単一結晶組織(SX材と称す)または多結晶柱状デンドライト組織(DS材と称す)または、前記SXと前記DSの混合組織から成る結晶組織を有する鋳物またはインゴットを製造するための一方向凝固方法において、
固相、固液共存相(mushy zone)及び液相領域を形成させ、前記固液共存相を一方の端から他方の端へ向けて一方向凝固させるとともに、
当該一方向凝固に際して、少なくとも前記固液共存相の全体及び当該固液共存相と前記液相の境界近傍に対して、結晶の成長方向に実質的に平行な方向に、前記固液共存相における前記結晶成長方向に対して横方向のデンドライト間液相流れを抑制するに必要な強度の静磁場を印加し、
これにより前記結晶組織におけるマクロ偏析の形成を抑制することを特徴とする一方向凝固方法。 - 単一結晶組織(SX材と称す)または多結晶柱状デンドライト組織(DS材と称す)または、前記SXと前記DSの混合組織から成る結晶組織を有する鋳物またはインゴットを製造するための一方向凝固方法において、
固相、固液共存相(mushy zone)及び液相領域を形成させ、前記固液共存相を一方の端から他方の端へ向けて一方向凝固させるとともに、
当該一方向凝固に際して、少なくとも前記固液共存相の全体及び当該固液共存相と前記液相の境界近傍に対して、結晶の成長方向に実質的に平行な方向に、前記結晶成長方向に対して横方向の液相流れを抑制するに必要な強度の静磁場を印加し、
これにより前記結晶組織における不整方位欠陥の形成を抑制することを特徴とする一方向凝固方法。 - 前記結晶組織はセル組織を有することを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の一方向凝固方法。
- 単一結晶組織(SX材と称す)または多結晶柱状デンドライト組織(DS材と称す)または、前記SXと前記DSの混合組織から成る結晶組織を有する鋳物またはインゴットを製造するための一方向凝固装置において、
固相、固液共存相(mushy zone)及び液相領域を形成させ、前記固液共存相を一方の端から他方の端へ向けて一方向凝固させる一方向凝固手段と、
前記一方向凝固手段による一方向凝固に際して、少なくとも前記固液共存相の全体及び当該固液共存相と前記液相の境界近傍に対して、結晶の成長方向に実質的に平行な方向に、前記固液共存相における前記結晶成長方向に対して横方向のデンドライト間液相流れを抑制するに必要な強度の静磁場を印加する静磁場印加手段とを備え、
前記静磁場印加手段による静磁場印加により前記結晶組織におけるマクロ偏析の形成を抑制することを特徴とする一方向凝固装置。 - 単一結晶組織(SX材と称す)または多結晶柱状デンドライト組織(DS材と称す)または、前記SXと前記DSの混合組織から成る結晶組織を有する鋳物またはインゴットを製造するための一方向凝固装置において、
固相、固液共存相(mushy zone)及び液相領域を形成させ、前記固液共存相を一方の端から他方の端へ向けて一方向凝固させる一方向凝固手段と、
前記一方向凝固手段による一方向凝固に際して、少なくとも前記固液共存相の全体及び当該固液共存相と前記液相の境界近傍に対して、結晶の成長方向に実質的に平行な方向に、前記結晶成長方向に対して横方向の液相流れを抑制するに必要な強度の静磁場を印加する静磁場印加手段とを備え、
前記静磁場印加手段により前記結晶組織における不整方位結晶欠陥の形成を抑制することを特徴とする一方向凝固装置。
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