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JP5075718B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

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Description

本発明の属する利用分野は液晶表示装置である。
携帯型情報機器の通信速度の高速化、メモリ容量増大に伴い、より大容量の画像情報やよりコマ数の多い動画が取り扱われるようになる。インターフェイスである表示装置にも、今まで以上の高画質化と大画面化、更には画素数増大が要求される。その一方で、携帯型情報機器が成熟する中でデザインも見直されており、薄型のスマートなデザインが好まれる傾向にある。これに伴い、表示装置にも薄型化が要求されている。
IPS(In-Plane Switching)方式液晶表示装置は、同一基板上に形成した共通電極と画素電極の間に液晶面内に平行な成分を主とする横電界を形成し、これにより液晶層を駆動する。そのため、IPS方式液晶表示装置では電界印加に伴う液晶層の配向変化が液晶層内における回転が主になる。VA(Vertically Aligned)方式やECB(Electrically Controlled Birefringence)方式やOCB(Optically Compensated Birefringence)方式などでは、電界印加に伴う液晶層の配向変化はチルト角の変化が主であるが、IPS方式液晶表示装置ではチルト角の変化が少ない。このことにより、IPS方式液晶表示装置では電圧印加に伴うリタデーションの実効値の変化が少なく、広い視角範囲において階調再現性に優れた表示が得られる。そのため、IPS方式液晶表示装置では高画質化の要求をより満足できる。
また、中小型の液晶表示方式に用いられるVA方式ではマルチドメイン化により視角特性を向上するが、この時に透過率の低下を防ぐため液晶パネルと上下の偏光板との間に四分の一波長板を積層する。四分の一波長板はVA方式液晶表示装置の厚さ増大の一因になっている。しかし、IPS方式液晶表示装置では四分の一波長板を必要としないことから、薄型化の要求をより満足することができる。
IPS方式に限らず液晶表示装置は非発光型の表示装置なので、表示の明るさは光源の明るさの他に透過率で決定される。IPS方式の透過率向上を目的として液晶層の弾性定数に着目した例がある(例えば、特許文献1)。
特開2002−296611号公報
IPS方式の中でも画素電極と共通電極を電極絶縁層を介して積層し、一方の平面形状をベタ平面状にしたIPS−Pro(In-Plane Switching−Provectus)方式は、各種IPS方式の中でも高透過率である。これは、異なる層にある電極を結ぶようにア−チ状の電気力線が形成されて、電極の中央近傍にまで電界が分布するためである。このような異なる層にある電極を結ぶア−チ状の電界は、フリンジ電界と呼ばれている。
IPS方式の平面構造に着目すると、少なくとも画素中央ではストライプ状の電極とこれを隔てるスリットが規則正しく配列しているが、画素端部では導通を確保するため櫛歯状の電極が連結している。スリットが伸びて突き当たる2つの画素端に着目すると、このような連結部を少なくとも1つの画素端に配置しなければならない。連結部がない画素端部では、櫛歯先端のような平面構造が形成される。何れの場合にも画素端部において電極は閉じた構造になるため、フリンジ電界の方向は画素端部において180度回転するように分布する。
このため、画素端部では、画素中央において生じる回転とは逆向きの回転を液晶層に与えるようなフリンジ電界が必ず発生する。これに従い液晶層の厚さ方向の全体に渡って逆回転になる液晶配向が出現すれば、正常な回転を示す液晶層との境界で配向状態がほとんど変化しない部分が発生する。この部分の配向状態は電圧が印加されない時とほぼ同じなので、暗線として観測される。このような暗線部はドメインと呼ばれており、透過率低下の原因になる。
携帯型情報機器に搭載される液晶表示装置では高精細化が進展しており、これに伴い画素のサイズも縮小する傾向にある。画素サイズが縮小すると画素全体に対する画素端部の寄与が相対的に増加するので、IPS−Pro方式ではドメインによる透過率低下の影響が増大する。
本発明の目的は、画素端部に発生するドメインを抑制し、透過率を向上することのできる液晶表示装置を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明の液晶表示装置は、第一の基板と、第二の基板と、前記第一の基板と第二の基板間に挟持された液晶層からなる液晶パネルを有し、液晶パネルはその上下に第一の偏光板と第二の偏光板を有し、液晶パネルは独立制御可能な複数の画素を有し、各画素は第二の基板の液晶層に近接する面上の表示部に一対の画素電極と共通電極を有し、画素電極と共通電極は電極間絶縁層を介して積層し、画素電極と共通電極のうち液晶層からより離れた方の平面構造はベタ平面状であり、液晶面内に平行な成分を主とする電界を印加して液晶層を駆動する液晶表示装置において,
画素電極と共通電極のうち液晶層に近接する方の平面構造は連結部を片側のみに備えた櫛歯状であり、ドメインの成長を抑制するための先端部構造を有し、
先端部構造は、画素中央における櫛歯状構造に対してスリット方向が傾斜した構造であり、
前記櫛歯状構造のスリット幅は前記電極幅よりも広く、前記櫛歯状構造の幅とスリットの幅の和が3μm以上、8.5μm以下で、前記櫛歯状構造の幅をスリットの幅と櫛歯状構造の幅の和で割った値が0.3以上、0.45以下であり、
前記液晶層の配向は電極に近接する界面において櫛歯状構造の先端部から根元に向けて立ち上がるようなプレチルト角を有し、
前記液晶層のスプレー弾性定数をk11とすると、k11が10pN以上、15.5pN以下であることを特徴とする。
本発明によれば、IPS−Pro方式液晶表示装置において、画素端部に現れるドメインを抑制し、透過率を向上することができる。
以下、図面を参照しながら本発明に係るIPS−Pro方式液晶表示装置の各実施例について説明する。
本発明の液晶表示装置の一画素の断面を図2に模式的に示す。図2の切断面S1,S2,S3,S4は、平面図である図3に記載されている。本発明の液晶表示装置は、主に第一の基板と第二の基板と液晶層からなり、第一の基板と第二の基板は、液晶層を狭持している。また、この第一の基板と第二の基板は、液晶層に近接する面上に液晶層の配向状態を安定化するための配向膜を備えている。また、第二の基板の液晶層に近接する面上には、液晶層に電圧を印加するための手段が備えられている。
第一の基板は、厚さ約0.4mmのホウケイサンガラス製であり、画素に対応する部分に着目すると、液晶層に近接する側より第一の配向膜、平坦化膜、カラ−フィルタ、ブラックマトリクスが順次積層されている。第一の配向膜は、ポリイミド系の有機高分子膜であり、ラビング法で配向処理されており、近接する液晶層に約1.5度のプレチルト角を付与する水平配向膜である。平坦化膜は、アクリル系樹脂であり、透明性に優れ、下地の凹凸を平坦化すると共に溶液の浸透を防止する機能を有している。カラ−フィルタは、赤色、緑色、青色を呈する顔料を含むレジストから構成されている。
第二の基板は、第一の基板と同様にホウケイサンガラス製であり、液晶層に近接する側より順に、主に第二の配向膜、画素電極、電極間絶縁膜、共通電極、TFT(Thin Film Transistor)、走査配線、信号配線を備えている。第二の配向膜は、第一の配向膜と同様の水平配向膜である。画素電極と共通電極は、いずれもITO(Indium Tin Oxide)であり、透明性と導電性に優れており、層厚は80nmである。画素電極と共通電極は、窒化珪素(SiN)製の電極間絶縁膜によって隔たれており、電極間絶縁膜の層厚は、300nmである。画素電極の平面形状は、画素端部において結合された櫛歯状であるのに対し、共通電極は画素の透明部分においてベタ平面状である。
以上のように画素電極と共通電極を電極間絶縁膜で隔て、かつ電極間絶縁膜の膜厚を十分に薄くすることにより、画素電極と共通電極の間にア−チ状の電気力線が形成される。この時、電気力線は電極間絶縁膜を貫いて主に液晶層中に分布し、なおかつ主に基板平面に対して平行な成分を有する横電界を形成する。これにより、電圧印加時において液晶配向方向が主に層平面内で回転するように変化する、IPS方式に特有の配向変化を与える。
また、図2に示したように、画素電極と共通電極が重畳する部分が多数存在するが、この部分は、液晶層に対して並列に結合しているため、保持期間中に液晶層に印加される電圧値を一定に保つ透明保持容量として機能する。保持容量が透明でかつ保持容量上の液晶層も駆動できることから、高い開口率と保持特性を両立できる。
なお、図3に示したように画素電極のストライプは画素長辺方向に平行であり、スリット構造の方向は画素内において一様である。走査配線方向を0度とし、方位角を反時計回りに定義すると、各ストライプ構造の方向は、90度であり、液晶配向方向は、85度である。各ストライプは、図3の下側において結合されており、上側では各ストライプの先端が櫛歯の先端の様に並んでいる。各ストライプの先端において三角形状の構造が付加されており、後述するようにこの部分は画素端部ドメインの伸長を抑制する機能を有する。
図4は、これとは異なる画素電極の例であり、画素電極のストライプは、画素短辺により近い方向を向いている。スリット構造の方向の角度が5度である領域と、−5度である領域が一画素内に上下に分かれて存在し、面積比は、一対一である。これら2つの領域では、電圧印加時における液晶配向方向の回転方向が互いに異なり、すなわち、一方において時計回りであれば、他方において反時計回りである。各領域は、明表示が黄色い着色を示す視角方向と、水色の着色を示す視角方向とをそれぞれ有するが、両者が同時に観察されるため着色が相殺される。その結果、視角方向においてより無着色の表示が得られる。
図3に示した様に信号配線と走査配線は互いに交差しており、交差部の近傍にはそれぞれTFTを有し、画素電極と一対一に対応している。この画素電極には、TFTとコンタクトホ−ルを介して信号配線より画像信号に対応した電位が付与される。また、TFTの動作は走査配線の走査信号により制御される。TFTのチャネル部は、アモルファスシリコン層からなっている。あるいは、このTFTのチャネル部は、より移動度の高いポリシリコン層によって形成しても良い。このTFTのチャネル部は、チャネル部無機絶縁膜で被覆することによって動作を安定化し、かつチャネル部有機絶縁膜により凹凸を平坦化し、かつ寄生容量を低減する。各画素電極は、長方形状で互いに独立に制御され、かつ第二の基板上に格子状に配置されている。画素電極は、スル−ホ−ル部においてTFTに接続している。
液晶層には、室温を含む広い温度範囲でネマチック相を示し、誘電率異方性が正で高抵抗の液晶材料を用いる。画素書込みTFTがオフとなる保持期間中における電圧低下が十分に少なく、保持期間中に透過率を維持し、かつフリッカの発生を防ぐことができる。
第一の配向膜と第二の配向膜にラビング法で配向処理を施した後、第一の基板と第二の基板を組み立てる。第一の基板と第二の基板の間のギャップは、第一の基板側に配置したポストスペ−サによって均一に維持される。ポストスペ−サは、概略円柱状であり、画素間に分布している。第一の基板と第二の基板の間のギャップに液晶材料を真空封入して、前述の液晶層とする。液晶層は、ホモジニアス配向で、その配向方向は、走査配線に対して5度を成す。電圧印加時の電界方向と配向方向のなす角度が85度と充分に大きいため、電圧印加時に十分な液晶配向方向の回転が生じ、高透過率が得られる。
第一の基板と第二の基板の外側には、第一の偏光板と第二の偏光板を配置しており、第一の偏光板と第二の偏光板は、ヨウ素系色素を含み、その二色性により自然光を直線偏光に極めて近い部分偏光に変換する。第一の偏光板と第二の偏光板の吸収軸は、その平面法線方向から観察して互いに直交しており、かつ第一の偏光板の吸収軸は液晶配向方向に平行である。
本発明では、画素端部ドメインに着目し、これを抑制することでIPS−Pro方式の透過率を向上する。
そこで、まず始めに、画素端部ドメインの発生原因の解明を試みた。前述のように、IPS方式において電圧印加時に生じる液晶配向変化は層内における回転であり、ドメイン内部ではこの回転方向が逆向きになる。フリンジ電界が液晶層に誘起する配向変化は、フリンジ電界の方向と電圧無印加時の液晶配向方向の関係によって決まる。電圧印加時に生じる液晶配向変化は誘電緩和によって生じるので、右回りと左回りとがある回転方向のうち、より小さな回転で液晶配向方向がフリンジ電界に平行になる方が選択される。
IPS−Pro方式の画素電極は、連結部を画素端両側に有する構造と片側のみに有する構造に分類される。これ以降、前者をスリット構造、後者を櫛歯構造と呼ぶことにする。
図3と図4に示した画素電極は櫛歯構造であり、これらに対応するスリット構造の画素電極を図5(a)、(b)に示す。スリット構造と櫛歯構造のいずれの場合も、画素端部ではフリンジ電界の方向が180度回転するので、液晶層に逆回転を与える部分が必ず存在する。
図3、4、5は、いずれも加工精度が充分に高い場合の理想的な画素電極であり、画素電極の端部に鋭角が現れている。
図6(a)、(b)は、櫛歯構造とスリット構造の画素電極の拡大図であり、電圧印加時に生じる液晶配向の回転方向を示す。実線は、電圧無印加時の液晶配向方向であり、破線は、フリンジ電界の方向である。液晶配向の異なる部分をA〜Dの記号を付けて分類しており、逆回転を与える部分を円で囲って示した。Gは、櫛歯電極の外側に位置しており画素電極の内側の液晶配向状態に影響を及ぼさない。画素電極の内側に位置して逆回転を与える部分は、櫛歯構造では角の頂点のBとEのみである。スリット構造の場合にも、同様にして角の頂点のBのみである。このように、画素端部に鋭角を有する場合には、逆回転を与える部分は画素電極内側の角の頂点にしか存在しないはずである。
ところが実際には、加工精度に限界があるので、鋭角が消失して画素端部は丸みを帯びることになる。この時、電圧印加時に生じる液晶配向の回転方向を図7(a)、(b)に示す。画素端部の鋭角が消失したことにより、BとEは頂点の一点に限定されずに幅を持つことになる。鋭角を有する理想的な場合に比較して、液晶層に逆回転を与える部分が拡大する。
画素端部の透過率と配向状態をシンテック社製の三次元液晶配向計算プログラムであるLCDマスタ−で再現した結果を図8に模式的に示す。
図8(b)は、図6に示したS5,S6断面における液晶配向状態であり、図8(a)は、これに対応する透過率分布である。太線で囲った部分が逆捩れ配向であり、画素電極に近接する液晶界面に現れている。このように逆ねじれの液晶配向は、画素電極に近接する液晶界面には常に存在するものと思われる。しかし、周囲の正常配向部からの規制力が強ければこれ以上成長しない。この時の透過率分布は図8(a)に示したように、明確な極小点を示さない。逆捩れ配向が現れている部分と透過率分布の関連に着目しても逆捩れ配向の分布に関連した透過率分布は見られず、ドメインとして観察されない。
逆捩れ配向が周囲の正常配向部からの規制力に打ち勝って成長し、液晶層の厚さ方向全体に渡って成長する場合がある。画素端部の鋭角が消失した場合などがこれに相当し、この時の画素端部の電気光学計算結果を図9に示す。
図9(b)は、図7に示したS7,S8断面における液晶配向状態であり、図9(a)は、これに対応する透過率分布である。太線で囲った逆捩れ配向は、液晶層の厚さ方向全体に及ぶ範囲に成長しており、液晶層面内においても図8(b)に比較して広い領域に分布する。また、透過率分布にも逆捩れ配向の分布に関連した明確な極小点が現れている。すなわち、逆捩れ配向と正常配向部の境界は液晶配向変化が小さく、電圧無印加時とほぼ同じ配向状態である。この部分において透過率が極小になっており、これが暗線になりドメインとして観察される。このように画素電極の端部の鋭角が消失すると、画素電極において液晶層に逆回転を与える部分が拡大するため、逆捩れ配向が成長しやすく、ドメインがより出現しやすくなる傾向にある。即ち、設計時に想定した画素電極よりも、実際に形成される画素電極の方がドメインがより出現しやすいことになる。
画素端にある連結部は、液晶層に電圧が印加されないので無効領域となる。そのため、透過率向上には連結部が両端にあるスリット構造よりも片側のみにある櫛歯構造の方が有利である。櫛歯構造では、連結部のない櫛歯の先端部分にドメインが発生するが、櫛歯の先端部分にドメイン抑制構造を導入することによりその伸長を抑制できる。これまで示した画素電極は、ドメイン抑制構造を有しており、これらは三角構造、斜めスリット構造の2種類に分類される。図3及び図5(a)の画素電極が三角構造を有し、図4及び図5(b)の画素電極が斜めスリット構造を有する。ドメイン抑制構造は、いずれも正常な回転を与える部分が逆回転を与える部分により近接することにより、逆回転の液晶配向の成長を抑制する。
なお、本明細書では液晶層の配向状態を示すのに円筒型の模型と釘型の模型の両方を用いているが、特に平面図においてチルト角を明記する場合に後者を用いることにした。
櫛歯構造では連結部側にもドメインが発生するが、これについても連結部側にドメイン抑制構造を配置すれば抑制できる。しかしながら、この時透過率がスリット構造並みに低下してしまい、透過率向上の目的を達成できなくなる。すなわち、三角構造を連結部端に配置すると、液晶層に電圧印加されない無効領域が増大するためである。また、斜めスリット構造を連結部端に配置すると、電圧無印加時の液晶配向方向とフリンジ電界の成す角が小さくなり、電圧印加時における液晶配向の回転角が減少するためである。したがって、本発明では、櫛歯構造の連結部側の構造は変えずに、連結部端ドメインを抑制することにした。図3、4は連結部側の構造は変えずに、櫛歯先端部のみに斜めスリット構造を配置している。
そこでまず、連結部端ドメインを液晶配向計算で再現し、連結部端ドメイン内部の配向状態を観察した。
図10(a)は、画素電極と連結部端ドメインの分布状態を示しており、連結部端ドメインは、近接する画素電極とスリットの中央部を連結するように、横に倒したU字型に分布する。
図10(b)は、配向方向の方位角分布に注目して連結部端ドメイン内と正常部の配向状態を示した図であり、液晶層内においてフリンジ電界が最も強い層平面における液晶配向状態を示している。
図10(b)において電圧無印加時の液晶配向方向は、水平方向なので、連結部端ドメインの内部では正常部とは逆の捩れ配向が生じていることがわかる。
また、ドメイン内部の配向状態をチルト角まで含めて詳細に検討した結果を図10(d)に示す。ここで、図10(d)の右側に向けて立上るチルト角を正、左側に向けて立上るチルト角を負と定義する。
ドメイン内部には、チルト角が正の部分と負の部分があり、両者の境界(チルト角=0度)で回転角が最大になっていることを見出した。また、チルト角が正の部分と負の部分の面積は等しくなく、図10(d)では正の部分の面積がより大きいく、図9(b)では負の部分が大きいことを見出した。連結部が左側にある場合について同様の計算を行ったところ、図10(c)に示したように負の部分の面積がより大きいことを見出した。
以上をまとめると、ドメイン内部におけるチルト角分布には偏りがあり、連結部が左側にある場合と右側にある場合では、優勢なチルト角成分が逆である。
次に、連結部端ドメイン内部の配向状態が上記のような特徴となる原因について、図11に示したように考察した。
図11は、連結部端が左端にある画素電極の2ピッチ分の連結部を示しており、図11(a)、(b)、(c)は、それぞれスリット幅が画素電極幅より広い場合、両者が等しい場合、画素電極幅がスリット幅より広い場合である。
連結部端ドメイン内部の配向状態と画素電極構造の関連を観察したところ、正負のチルト角領域の境界は、図11中の破線のように画素電極とスリットの境界に位置していることを見出した。この部分はフリンジ電界が液晶層に逆回転を与える部分なので、回転角が最大になるものと思われる。また、前述のように連結部端ドメインの位置は、電極構造に関係しており、横に倒したU字型の直線部分は互いに近接する画素電極の中央部とスリットの中央部に位置する。画素電極の中央部とスリットの中央部は、透過率が極小になるため、連結部端ドメインほど明瞭でないものの、暗線として観察される。
連結部端ドメインは、互いに近接する画素電極の中央部からスリットの中央部に渡って分布し、正負のチルト角領域の境界は画素電極とスリットの境界に位置する。そのため、電極幅とスリット幅が同一でなければ、図11(a)、(c)に示したように連結部端ドメイン内部にチルト角分布の偏りが生じる。また、電極幅とスリット幅が同一であれば、図11(b)に示したように連結部端ドメイン内部にチルト角分布の偏りが生じない。
一方、IPS−Pro方式の透過率−印加電圧特性(B−V特性)は電極幅とスリット幅の比率に依存する。更には、これを2:3とすると低電圧域での透過率が向上し、かつ電極幅とスリット幅の比率の変動に対してB−V特性の変動が少なくなる。透過率向上のために、IPS−Pro方式では電極幅とスリット幅の比率を不均一して後者をより広くすべきであり、具体的には前記比率を2:3の近傍に設定すべきである。この時には前述の理由から、連結部端ドメイン内部にチルト角分布の偏りが生じることになる。
本発明では、以上のような連結部端ドメイン内部におけるチルト角分布の偏りを利用して、連結部端ドメインのサイズをプレチルト角で制御することを試みた。その原理について以下に説明する。
まず始めに、液晶変形の相互作用について、図12に示したように考察した。液晶層の変形には捩れ変形とスプレー変形があるが、注目する液晶層の上下端面のチルト角が0度であれば捩れ変形とスプレー変形は互いに独立である。図12では捩れ変形が生じた場合の例として、捩れ角が180度の場合を示した。
図12(a)、(b)に示したように、注目する液晶層の上下端面のチルト角が0度であれば、捩れ角が0度であっても180度であっても、捩れ角によらずスプレー変形は生じない。ところがチルト角が0度でなければ、捩れ変形とスプレー変形が互いに関係しあう。液晶層の上下端面でチルト角が同じ符号であれば、図12(c)、(d)に示したように捩れ角が増大するにつれてスプレー変形が増大する。液晶層の上下端面でチルト角が逆符号であれば、図12(e)、(f)に示したように捩れ角が増大するにつれてスプレー変形が減少する。
以上をもとに、連結部端ドメイン内部のチルト角と電極に近接する液晶層界面のプレチルト角の関係について、図13に示したように考察した。図13には、上下端面のチルト角がそれぞれ正と負の場合の4通りの組み合わせと、チルト角がいずれも0度の場合について記載してある。
この場合、注目する液晶層の上下端面は、それぞれフリンジ電界の最も強い部分と、電極に近接する液晶界面になる。特に、後者のチルト角はプレチルト角に相当する。電圧印加時には液晶層に捩れ変形とスプレー変形が同時に生じるが、通常k11は、k22より2倍以上大きいので、急峻なスプレー変形を緩和するように捩れ角に変化が生じる。
この時の捩れ角の変化の仕方は、プレチルト角の符号によって異なる。図13(c)に示した上下端面のチルト角が0度の場合を基準にすると、連結部端ドメイン内部のチルト角とプレチルト角が同符号の場合は、図13(a)、(e)に示したようにスプレー変形を緩和するために捩れ角が増大する。逆符号の場合には、図13(b)、(d)に示したように捩れ角が減少する。
更に、液晶層の配向方向は連続体のように変化するため、捩れ角の大きさに応じて連結部端ドメインの大きさが変化する。前述のようにドメイン内部の捩れ配向は逆捩れのため、周囲の正常な液晶配向との間に配向変化のない部分が形成される。この部分が暗線になり連結部端ドメインとして観察されるが、連結部端ドメイン内部の逆捩れ角が大きいほど配向変化のない部分が正常配向側に押しやられるので、その結果、連結部端ドメインが拡大する。前述のようにドメインの分布は横に倒したU字型であるが、連結部端ドメインが拡大するとU字の直線部分が伸長する。逆捩れ角が小さいと、U字の直線部分が短縮するようにして連結部端ドメインが縮小する。
連結部端ドメインが右側にある場合と左側にある場合について、プレチルト角による連結部端ドメインの大きさの変化を図14にまとめて示してある。図14中の符号は、フリンジ電界の最も強い部分におけるチルト角の符号である。連結部端ドメイン内には、チルト角が正の部分と負の部分があるが、両者の面積が同じならば伸長と収縮の効果が相殺して連結部端ドメインの大きさはプレチルト角に寄らず変化しない。
しかし、実際には透過率向上のため電極幅とスリット幅の比率を不均一に設定するので、何れか一方が優勢になる。この内の一方は、プレチルト角の符号と逆符号になって伸長し、他方は順符号になって縮小するが、連結部端ドメイン全体の大きさはおよそ両者の足し合わせになる。そのため、連結部端ドメインの全体の大きさは優勢な成分により決定される。
ラビング工程で配向処理するポリイミド系配向膜の場合には、近接する液晶層にプレチルト角が必然的に付与されるが、一方で黒表示時の視角特性向上には、プレチルト角の低減が有効である。このことを考慮してプレチルト角を1.5度程度に設定しているが、このような比較的小さいプレチルト角の場合にも、その符号の順逆により前述のようなドメインの大きさの変化が生じる。また、プレチルト角の絶対値がドメインの大きさに与える変化は少ないので、ドメイン制御のためには、フリンジ電界の最も強い部分におけるチルト角と、プレチルト角の符号の順逆に着目すべきである。
連結部が右側にある場合は、連結部端ドメインにおいてチルト角が正の部分が優勢になるので、プレチルト角が正になるようにラビング条件を設定すれば、図14(b)に示したように連結部端ドメインが縮小する。連結部が左側にある場合は、チルト角が負の部分が優勢になるので、プレチルト角が負になるようにラビング条件を設定すれば、図14(e)に示したように連結部端ドメインが縮小する。
以上の画素電極形状と液晶層チルト角の関係をまとめると、図1に示したようになる。図1は、図14(b)に相当し、即ち連結部が片側のみにある電極構造において、プレチルト角は画素電極の櫛歯先端から根元に向かって立上るように設定すれば、連結部端ドメインを抑制することができる。
連結部端ドメインは、高電圧の印加若しくは外部からの刺激により短時間残像の原因になる。すなわち、これらの刺激により画素端部ドメインが拡大して画素の中央部まで伸長して来る。伸長したドメインが刺激を除いた後に元の大きさに戻るのに時間を有するので短時間の残像として観察される。上記のようなプレチルト角の設定による連結部端ドメインの抑制は、これらのドメインが関係した残像現象の防止にも有効である。
なお、プレチルト角の符号は、暗表示時の視角特性を観察することにより評価可能である。第一の偏光板と第二の偏光板の吸収軸は法線方向から観察して直交するように配置しており、暗表示における透過率を低減している。ところが斜め方向から観察すると、T.Ishinabe、T.Miyashita、T.Uchda、Y.Fujimuraによる非特許文献Asia Display/IDW‘01 Proceedings 485頁〜488頁に記載されているように、二枚の偏光板の直交関係が変化するため透過率が増大する。特に、偏光板の吸収軸に対して45度を成す方位角方向において透過率増大が顕著である。すなわち、暗表示透過率の視角特性において、高透過率と低透過率の領域が方位角にして90度周期で分布することになる。
IPS方式液晶表示装置の暗表示時視角特性のプレチルト角依存性を図15に示す。図15において斜体字は極角を示し、正体字は方位角を示す。プレチルト角が0度であると図15(c)に示したように暗表示時の視角特性は対称になるが、プレチルト角が0度でないと図15(a)、(b)に示したように非対称になる。この時、透過率がより大きくなる方向がプレチルト角が立上る方向である。図15では、液晶層がホモジニアス配向でかつ水平方向を液晶配向方向としており、図15(a)、(b)は、それぞれプレチルト角が正の場合と負の場合である。暗表示時における視角方向での透過率を低減するため、前記非特許文献にあるように偏光板と液晶表示パネルの間に位相板を積層する場合があるが、この時にも図15に示した透過率分布の傾向は保たれる。
以上の考察をもとに、連結部が片側のみにある電極構造のIPS−Pro方式液晶表示装置を作成した。櫛歯先端は、斜めスリット構造にしてドメイン発生を抑制した。また、画素電極に近接する液晶層のプレチルト角を櫛歯先端から根元に向かって立上るように設定することにより、連結部端ドメインを抑制した。本実施例の場合に連結部は、右側なので、プレチルト角が正になるようにラビング条件を設定した。
以上の施策により画素両端のドメインを抑制し、画素両端に連結部を有する画素構造のIPS−Pro方式液晶表示装置に比較して5%以上の透過率向上を実現し、これと同時にドメインが関係した残像現象を防止することができた。
〔比較例1〕
連結部を両側に有するスリット構造の画素電極において、電極に近接する液晶層界面のプレチルト角をプラスとしたところ、右側画素端のドメインは、縮小したが、左側画素端のドメインは、拡大した。プレチルト角をマイナスとしたところ、左側画素端のドメインは、縮小したが、右側画素端のドメインは、拡大した。そのため、プレチルト角の符号を変えても透過率は変わらなかった。
このように、連結部を両側に有する画素構造では、電極に近接する液晶層界面のプレチルト角の符号に応じて、一方のドメインが縮小すれば他方が拡大するという挙動を示す。このことは、実施例1でも説明したように、左端と右端のドメインにおいて優勢なチルト角成分が逆であることにより生じる。
以上のように、プレチルト角の符号によるドメイン抑制は、連結部を片側のみに有する画素構造において有効である。また、本発明はIPS−Pro方式液晶表示装置の透過率向上を目的としているが、連結部を両側に有する画素構造は無効領域の面積が広いので、この点においても透過率向上には不利である。
〔比較例2〕
実施例1と同様に連結部を片側のみに有する画素構造において、画素電極の幅とスリットの幅を共に3μmにした。この時、電極に近接する液晶層界面のプレチルト角をプラスとしても、マイナスとしても、連結部端ドメインの大きさは変わらなかった。そのため、プレチルト角の符号を変えても透過率向上の効果は得られなかった。
このことは、画素電極の幅とスリットの幅が同じだと、実施例1において図11(b)を用いて説明したように、ドメインの内部においてプラスのチルト角成分とマイナスのチルト角成分が同じ面積になり、プラスのチルト角成分によるドメインの拡大縮小効果がドメイン内で相殺するためである。
以上のように、プレチルト角の符号によるドメイン抑制は、画素電極の幅とスリットの幅が等しくない画素構造において有効である。また、本発明は、IPS−Pro方式液晶表示装置の透過率向上を目的としているが、画素電極の幅とスリットの幅が等しい場合には液晶層に印加される電界が均一にならない。そのため、液晶層に印加される電界がスリット部では密となり、電極上では疎となる。特に電極上の液晶層の配向変化が小さいため、電極部分の透過率が減少する。この点においても画素電極の幅とスリットの幅が等しい画素構造はIPS−Pro方式液晶表示装置の透過率向上に不利である。
実施例1では、主に液晶層厚方向におけるチルト角の分布について考察し、フリンジ電界の最も強い部分のチルト角と、電極に近接する界面でのプレチルト角の関係に着目した。
本実施例では、液晶層に平行な面内における配向分布に着目しており、連結部端ドメインが発生した際の配向分布を図10(c)、(d)に模式的に示している。
図10(c)、(d)は、平面図であり、フリンジ電界による配向変化を最も受けやすい電極近傍における配向分布を示す。ドメイン内の捩れ方向はこれを取り巻く正常配向部とは逆であり、画素端に平行な方向でこれを観察すると、逆配向部と正常配向部が繰り返し分布している。逆配向部と正常配向部の間は、ドメインであり、配向変化が生じていない。ドメインを中心にしてその上下の液晶配向を観察すれば、上下で逆向きに傾いた配向になっているので、逆配向部と正常配向部の間にはスプレー変形が生じている。
逆配向部と正常配向部の繰り返しの周期は、電極幅とスリット幅の和で定義される櫛歯電極の1ピッチと同じである。電極幅とスリット幅をそれぞれ2μm、3μmとすると、1ピッチは5μmである。これは液晶層厚とほぼ同じであり、逆配向部と正常配向部の間で発生しているスプレー変形は、縦電界方式液晶表示装置において電圧印加時に液晶層厚方向に発生する配向変形と同じ程度の急峻性を有する。
したがって、連結部端ドメインは、液晶材料の弾性定数の影響を受け易く、弾性定数により抑制可能である。具体的には、スプレー変形に関連する弾性定数はk11なので、k11を増大すれば連結部端ドメインが出現した状態の配向エネルギ−が増大し、連結部端ドメインが出現しにくくなるはずである。
なお、一般に弾性定数は、ドメインの他にも液晶表示装置のB−V特性に影響を与えるので、注目する印加電圧における透過率が変化する可能性がある。仮に結合部側ドメインを低減したとしても、透過率が低下するならば本発明の目的を達成できないので、B−V特性にも留意すべきである。
IPS−Pro方式液晶表示装置の場合、電圧印加時に生じる配向変形は、主に捩れ変形なので、その透過率−電圧特性にはk22が主に関与する。k22が増大すれば、捩れ変形が生じにくくなるため、B−V特性が高電圧側にシフトする。最大透過率Tmaxを与える印加電圧値Vmaxよりも低電圧側における透過率に着目するならば、この時透過率が低減することになる。逆にk22が減少すれば捩れ変形が生じ易くなるためB−V特性が低電圧側にシフトし、透過率が増大する。これより、k22を一定にすればB−V特性のシフトもなく、透過率低減も生じない。
以上より、k11の増大は、結合部側ドメインを抑制し、k22の減少は、透過率−電圧特性を低電圧側にシフトして低電圧域の透過率を向上する。そのため、IPS−Pro方式液晶表示装置において結合部側ドメインを抑制して透過率を向上するには、k11/ k22が有効な指標であり、k11/ k22を増大すればよいことになる。
一方でk22の減少は、応答時間の増大を招くので、これを無闇に低減すべきではない。透過率のみならず応答時間も重要視すべき用途の場合には、リファレンスとする液晶材料とk22を一定にしながらk11を増大すべきであり、この場合にもk11/ k22は有効な指標となる。
実際には、k22の測定は、k11やk33に比較して困難なので、k11の値は、測定していても、k22については、未測定の液晶材料が多い。この場合、以下の方法にてリファレンスとする液晶材料とk22がほぼ同一であることを確認できる。印加電圧を増大した時にIPS方式の透過率が変化し始めるしきい値電圧EcでB−V特性を特徴付けると、M.Oh−e、M.Ohta、S.Aratani、K.Kondoによる非特許文献ASIA DISPLAY‘95 577頁〜580頁によれば、Ecは、以下の式で表される。
Ec=π{k22/(εΔε)}/d
この中で、平均誘電率εと誘電率異方性Δεは、比較的測定が容易なので、大部分の液晶材料で既知である。また、液晶層厚dも測定が容易である。そこで、εとΔεがリファレンスと等しい液晶材料については、B−V特性よりk22が概略等しいことを確認できる。すなわち、d及び電極幅、スリット幅、電極間絶縁膜厚等が等しいIPS−Pro方式液晶セルにてB−V特性を測定し、これがファレンスとする液晶材料のB−V特性にほぼ一致すれば、注目する液晶材料のk22は、リファレンスとする液晶材料と概略等しいことになる。
本発明の目的は、ドメイン抑制によるIPS−Pro方式液晶表示装置の透過率向上なので、本発明による効果を評価する上では、B−V特性に関与して、かつドメイン抑制に関与しない因子は、全て等しいということが前提条件になるが、上記によりk22が概略等しいことを確認できる。
その一方で、スプレー変形は、図13、14に図示したように連結部端ドメインの内部において捩れ変形を増大、減少する作用の原動力になる。k11を増大するほど捩れ変形を増大、減少する作用も強まるはずである。
本発明では、画素電極の平面形状を櫛歯型にして、櫛歯先端のドメインをドメイン抑制構造で抑制し、連結部端ドメインは、液晶層のチルト角の符号で抑制している。チルト角の符号は、連結部端ドメインに対しては縮小する効果を与えるが、櫛歯先端のドメインに対しては拡大する効果を与える。
櫛歯先端のドメインは専らドメイン抑制構造で抑制するが、k11を増大して行くとある値においてこれを抑制しきれなくなり、櫛歯先端のドメインが成長することにより透過率が減少に転じると予想される。このように、k11を増大すればするほど透過率が向上するわけではなく、k11の値には透過率向上のために最適な範囲が存在するものと予想される。
k11の値を変えて、櫛歯構造の画素電極に電圧印加した時の配向状態を計算した。連結部端ドメインは、k11を増大するにつれて縮小し、更には消滅した。しかし、櫛歯先端部のドメインは、これとは異なる挙動を示した。すなわち、k11の値が十分に小さい場合には、櫛歯先端部のドメインの大きさは、ほぼ一定であるが、k11の値がこれより更に増大すると櫛歯先端部のドメインは拡大し、ドメイン抑制構造の内側にまで分布を広げた。
次に、k11の値の異なる液晶材料を用意し、B−V特性において最大透過率を与える印加電圧よりも低電圧側において透過率を測定した。より具体的には、k11の値が異なり、かつIPS−Pro方式液晶セルで測定した際にほぼ同一のB−V特性を与える液晶材料を2種類用意し、その混合比を変えることによりk11の値をより細かい幅で変えた。
それぞれの液晶材料について印加電圧4.5Vにおける透過率を測定したところ、図16に示したような結果が得られた。k11の値が13.5pNの時に印加電圧4.5Vにおける透過率は、極大になった。それ以上のk11では、透過率が減少し、k11の値が15.5pNの時には、10pNにおける値とほぼ同じ透過率が得られた。
このようにIPS−Pro方式の透過率向上のためには、k11の値に最適な範囲が存在する。現状の液晶材料のk11は、10pNを前後とした範囲内にあるので、これと同等以上の透過率を得るためには、k11の値に最適な範囲は、10pN 以上、15.5pN以下である。また、現状の液晶材料のk22は、5pNを前後とした範囲内にあるので、B−V特性のシフトまで考慮した上でIPS−Pro方式の透過率向上のために有効な弾性定数の範囲を表すと、k11/ k22にして2以上、3.1以下になる。
本実施例では、実施例2に引き続き液晶層に平行な面内における配向分布に着目し、連結部端ドメイン抑制を試みる。実施例2において述べたように、逆配向部と正常配向部の間には、スプレー変形が生じており、逆配向部と正常配向部の繰り返し周期は、櫛歯電極ピッチと同じである。これより、櫛歯電極ピッチを低減するほどスプレー変形の急峻性が増大するため、連結部端ドメインが出現した状態の配向エネルギ−が増大することが予想される。連結部端ドメインを抑制するいま一つの手段として、櫛歯電極ピッチの低減が挙げられる。
実施例1において示した櫛歯型電極で電極幅とスリット幅の比率を2:3に保ち、かつプレチルト角を画素電極の櫛歯先端から根元に向かって立上るように設定した上で、櫛歯電極ピッチと配向角度を変えて連結部端ドメインを観察した結果が図17に示されている。
図17中に連結部端ドメインの出願状況を○、△、×で表した。×は、U字を横向きにした形状のドメインが明確に観察された場合を示す。△は、U字を横向きにした形状は明確に観察されなかったものの、画素端においてこれが縮減したと思われる低透過率の部分が観察された場合を示す。○は、ドメインが全く観察されなかった場合である。
表1に示すように、櫛歯電極ピッチが小さい方が連結部端ドメインが出にくい傾向にあることを確認することができる。また、配向角度が小さいと電圧印加時の配向変形が大きくなり透過率が増大するが、この時連結部端ドメインが出やすくなることが知られている。表1に示したように、櫛歯電極ピッチを小さくすると、連結部端ドメインが出る配向角度がより小さい方にシフトする傾向にあることを確認することができる。
しかし、櫛歯電極ピッチは製造工程により制約され、櫛歯電極ピッチを縮小するほどより高精細な加工精度が必要になる。電極幅とスリット幅の比率を2:3に保った上で櫛歯電極ピッチを縮小するには、現状では3μm程度の櫛歯電極ピッチが限界である。また、もし仮に電極間絶縁膜厚を一定に保ちながら櫛歯電極ピッチを縮小すると、画素電極と共通電極間に形成される電界のうち電極間絶縁膜内に印加される成分が増大し、フリンジ電界となって液晶層に印加される成分が減少する。このように、ただ単に櫛歯電極ピッチを低減しただけではIPS−Pro方式液晶表示装置の透過率を向上することはできない。
櫛歯電極ピッチを縮小した時に液晶層に十分な電圧を印加するためには、これと同時に電極間絶縁膜も薄くすべきである。より具体的には、櫛歯電極ピッチに比例するように電極間絶縁膜厚を薄くすべきであるが、ここで別の問題が発生する。
電極間絶縁膜の下層にある共通電極は完全に平坦ではなく、異物の混入等の原因により何らかの凹凸が存在する。そのため、電極間絶縁膜を薄くすれば、仮に凹凸の高さが一定であっても凹凸が電極間絶縁膜を貫通して共通電極と画素電極が短絡する可能性が増大する。そのため現状では電極間絶縁膜の厚さの下限は、約0.2μmになる。電極間絶縁膜の厚さが約0.2μmにおいて十分な透過率を得るために、櫛歯電極ピッチの下限は3μm程度と求められる。
これとは逆に、櫛歯電極ピッチを増大した場合には上記のような製造工程における問題は生じないが、別の原因により連結部端ドメインが出やすくなる。すなわち、櫛歯電極ピッチが増大すると、連結部端ドメインが出現した状態で生じるスプレー変形の急峻性が失われる。その結果、仮に液晶層の弾性定数その他の条件が一定であっても、連結部端ドメインが出現した状態の配向エネルギ−が低下するので連結部端ドメインが出現し易くなる。
図17に示すように、櫛歯電極ピッチが10μmの場合には配向角度に関わらず連結部端ドメインが出現するようになる。そのため、櫛歯電極ピッチはこれよりも小さい8.5μm以下にするべきである。
また、IPS−Pro方式液晶表示装置に特有のフリンジ電界の特徴により、櫛歯電極ピッチを増大した場合に透過率が低下する。IPS−Pro方式液晶表示装置の場合に液晶層に印加される電界は、電極間絶縁膜により隔てられた共通電極と画素電極間に形成されるフリンジ電界であり、画素電極とスリット部の境界に局在している。櫛歯電極ピッチが増大すると電極幅とスリット幅も増大するので、画素電極とスリット部の境界から隔たった部分、即ち電極中央とスリット中央において電界が疎になり、これらの部分の液晶層の配向変化が小さくなるためである。
以上より、連結部端ドメインを抑制しながらIPS−Pro方式液晶表示装置の透過率を向上するためには、櫛歯電極ピッチに最適な範囲が存在し、3μm以上、8.5μm以下の範囲が最適である。
IPS−Pro方式液晶表示装置の電極幅とスリット幅の比率は、結合部端ドメイン内のチルト角分布に関与する一方で、画素端部から十分離れ正常な捩れ方向を示す部分の透過率にも関与する。
本実施例では、このうち後者について検討した。櫛歯電極の一ピッチを5μmに固定し、電極幅とスリット幅の比率を変えてB−V特性を計算した結果を図18に示す。なお、本実施例では、電極幅とスリット幅の比率を{電極幅/(電極幅+スリット幅)}で定義される電極幅比で表すことにする。
図18では、電極幅比を0.1から0.9までの範囲で0.1ずつ変えており、図18中の数字は各B−V特性の電極幅比を示している。
電極幅比が0.4の時にB−V特性が最も低電圧側にシフトし、かつ最大透過率を与える印加電圧の低電圧側の電圧における透過率、例えば4.5Vにおける透過率もまた最大になる。電極幅比がこれよりずれるとB−V特性は全体的に高電圧側にシフトし、これに伴い4.5Vにおける透過率も減少する。低電圧域での透過率に、例えば4Vでの透過率に着目すれば、電極幅比が0.4の時に最大になる。
また、電極幅比が0.4の場合と0.5の場合を比較すると、後者のB−V特性は若干高電圧側にシフトしているものの、変化は比較的少ない。電極幅比が0.4の場合と0.3の場合にも同様にして変化は比較的少ない。しかし、電極幅比が0.6と0.7のB−V特性を比較すると、後者は高電圧側へ大きくシフトしていることが分かる。電極幅比が0.3と0.2のB−V特性を比較しても同様にして後者は高電圧側へ大きくシフトしている。
以上を定量化して示すため、印加電圧4.5Vにおける透過率の電極幅比依存性を図19(a)に示してある。この印加電圧4.5Vにおける透過率は、電極幅比0.4で最大であり、その周辺での変化は緩やかである。
また、図18のB−V特性を0.5Vmaxの電極幅比に直し図19(b)に示してある。ここで、0.5Vmaxは、各B−V特性の最大透過率の半分の値を与える印加電圧値である。図19(b)において、0.5Vmaxは電極幅比0.4にて最小になり、その周辺での変化は緩やかである。すなわち、図19(b)において、電極幅比0.4の近傍では、印加電圧4.5V程度の低電圧域で高透過率を与え、かつ電極幅比が揺らいでもB−V特性の変化は小さい。しかし、図19(b)において、電極幅比が0.4から大きくずれた場合には電極幅比が揺らいだ時のB−V特性の変化が大きくなる。
前述のようにIPS−Pro方式液晶表示装置で画素電極と共通電極間に電圧を印加した際に発生する電界は、いわゆるフリンジ電界であり、画素電極とスリット部の境界に局在する。フリンジ電界による液晶層の配向変化と透過率分布が図19〜21に示されている。
図20は、電極幅比が0.4の場合であり、櫛歯電極のピッチにして約2ピッチ分の断面を含む。図20(b)に示したように、配向変化の大きさは、スリット中央、櫛歯電極中央、スリット−櫛歯電極境界に依らず櫛歯電極の一ピッチ内において比較的一定である。これにより、図20(a)に示したように、透過率分布もまた櫛歯電極の一ピッチ内において比較的一定である。
図21は、電極幅比が0.2の場合であり、図21(b)に示したようにスリット中央の電界が疎になるため、スリット中央において液晶層の配向変化が小さくなる。また、透過率分布を実線で図21(a) に示した。図21(a)中の破線は、図20(a)に示した電極幅比が0.4の場合の透過率分布である。図21(a)に示したようにスリット中央において透過率が減少しており、これを破線と比較しても低透過率になっている。そのため、櫛歯電極の一ピッチ内で平均化した透過率もまた減少する。
図22は電極幅比が0.7の場合であり、図21とは逆に画素電極中央の電界が疎になる。図22(b)に示したように画素電極中央の液晶層の配向変化が小さいため、図22(a) に示したように画素電極中央において透過率が減少している。この場合にも、櫛歯電極の一ピッチ内で平均化した透過率もまた減少する。
IPS−Pro方式液晶表示装置では、下層の電極がベタ平面状であるが、本実施例では、共通電極が下層にある。共通電極は、スリット部において電極間絶縁膜を介して液晶層に近接するので、電気力線の湧き出し口は、スリット部になる。そのため、電極幅比0.5よりも若干小さい0.4においてフリンジ電界の分布が画素内で均一になる。
以上のようにして、電極幅比を0.4近傍の値に設定することにより、画素内における端部から離れた部分の透過率を増大できる。B−V特性のみを考慮するならば、図19より明らかなように電極幅比は、0.3から0.5が最適範囲である。しかし、電極幅比0.5では、比較例2に示したようにプレチルト角設定による結合部端ドメイン抑制効果が得られないので、電極幅比は、0.3から0.45が最適範囲である。この時、結合部端ドメイン内のチルト角分布が不均一になり、これを利用して電極に近接する液晶界面のプレチルト角を最適化することにより結合部端ドメインを抑制し、更なる透過率向上を実現できる。
実施例4に引き続き、画素内において画素端部から十分離れており、正常な捩れ方向を示す部分の透過率について検討した。透過率は、液晶配向方向にも依存し、櫛歯電極のストライプ方向と配向方向の成す角を配向角とすると、画素電極のストライプが無限に伸長した理想的な場合についてB−V特性の配向角依存性を計算した結果を図23に示してある。図23中の数字はB−V特性を計算したIPS−Pro方式液晶表示装置の配向角である。配向角が減少するほどB−V特性は急峻になり、かつ最大透過率が増大する。
B−V特性の急峻化は、電界により液晶層にかかるトルクが減少し、より高電圧で配向変化が生じるようになるために起こる。また、最大透過率の増大は、以下の理由により起こる。電圧印加時に液晶層は、フリンジ電界方向に対して平行に近づくように配向変化するが、液晶配向方向とフリンジ電界方向の成す角が90°に近づくので、電圧印加時に生じる配向方向変化が大きくなるためである。最大透過率を与える印加電圧よりも低電圧側における透過率に着目すると、配向角が減少するほど高透過率になる。
以上は画素電極のストライプが無限に伸長した理想的な場合であり、実際には画素端部の影響を考慮しなければならない。画素端部では、配向角が減少するほど連結部端ドメインが発生しやすくなる。その理由は、鋭角が消失した画素電極端部において、液晶層に逆捩れ配向を与える部分の面積が増大することが挙げられる。また、画素端部から十分離れた部分においても、正常なねじれと逆捩れの配向エネルギ−の差が小さくなるためである。
以上のような理由から、配向角減少による透過率増大はこれまで5度程度が限界であり、配向角を5度よりも小さくすると連結部端ドメインが著しく拡大して透過率が低下した。極端な場合には、明表示などより高電圧を印加した際に連結部端ドメインが画素中央にまで伸長し、階調を切り替えた際などには、縮小するのに時間を要し、残像となって観察される場合もある。
配向角減少時の連結部端ドメインも、k11/k22の増大とプレチルト角の符号最適化により抑制可能である。すなわち、配向角減少時においても連結部端ドメイン内の液晶配向状態は実施例1と同一の特徴を有する。そのため、実施例1において連結部端ドメイン抑制に有効であった施策は、配向角減少時においても有効である。これにより、これまで限界であった5度よりも小さな配向角が可能になり、透過率を向上できる。
例えば、プレチルト角を櫛歯先端から根元の方向に向かって立ち上るように設定し、k11/k22を約3に増大することにより、配向角を3度にしても連結部端ドメインの伸長を原因とする残像は観察されず、かつ配向角が5度の場合よりも透過率が向上した。
液晶層に逆捩れ配向を与える画素電極の部分は、画素端部の鋭角が消失して丸みを帯びるほど拡大する。画素端部の鋭角消失が大きいと逆捩れ配向が周囲の正常配向部からの配向規制力に打ち勝って液晶層厚方向に成長し、ドメインになりやすくなる。そこで、より高精細のプロセスを用いて画素電極を加工し、より鋭角の消失が少なく方形に近い形状の画素電極が得られた。
具体的には、レジストの露光に水銀灯のg線を用いるプロセスと、より短波長のi線を用いるプロセスがあるが、後者を用いてより高精細の加工を行った。結合部側には櫛歯構造の根元があるが、鋭角が消失すると丸みを帯びた形状となる。櫛歯電極形状を顕微鏡観察したところ、電極幅とスリット幅は、何れのプロセスでもそれぞれ約2μm、約3μmで加工されていた。更に、櫛歯構造の先端と根元の丸みを観察した。その結果を図24に示す。櫛歯構造の先端と根元の丸みを内接する円の半径で表すと、g線プロセスでは、図24(a)中に太線の円で示したように約1.5μmであり、i線プロセスでは、図24(b) 中に太線の円で示したように約1.0μmであった。
g線プロセス品では、配向角5度ではドメインの伸長を原因とする残像は観察されなかったが、配向角3度では観察された。これに対して、i線プロセス品では配向角3度でもドメインの伸長を原因とする残像は観察されなかった。
画素電極端部の鋭角消失を抑制したことにより、画素端部ドメインがより出やすい条件でもこれを抑制することができた。透過率向上の施策はしばしば画素端部ドメインとトレ−ドオフの関係にあり、配向角低減がこれに相当する。連結端側ドメインの成長を抑制したことにより配向角の低減が可能になり、より高透過率を実現できた。
図3に示した画素電極では、一画素内に電圧印加時における液晶配向の回転方向が互いに異なる2つの領域が存在しており、視角方向においてより無着色の表示が得られる。このように長方形の画素電極の内部に傾きの異なるスリットを一定の幅で形成すると、画素中央が二領域の境界部となり、液晶層に電圧印かできない無効領域が三角形状に形成される。
一画素内には、コンタクトホ−ル、TFT、走査配線などの不透明な構成要素が存在するが、この部分にこれらを配置することにより、無効領域を有効活用できる。
一方、画素端部でも電極幅が広くなり、液晶層にフリンジ電界が印加されない無効領域が生じる。このような無効領域は、図25に示したように画素電界の形状を台形にすれば除くことができる。画素電界の形状を台形にしたことにより、図25では近接する画素電極の境界がの鋸歯状になっているが、走査配線は、画素中央にある二領域の境界部の下層を通過するので、走査配線の形状は、直線である。
また、連結部端ドメインを抑制するためには画素電極構造を櫛歯構造にし、かつ全ての画素において連結部端を同一の側に揃える。具体的には、台形の頂辺側に連結部を配置した画素電極と、台形の底辺側に連結部を配置した画素電極を、図25に示したように交互に配置する。これにより全ての画素において連結部による無効領域を低減し、なおかつ実施例1と同様にして連結部端ドメインを抑制できる。
本発明の表示装置を携帯電話やデジタルカメラ等のモバイル機器のインタ−フェイスに用いれば、高輝度で屋外視認性に優れた画像表示が得られる。
櫛歯構造の画素電極において連結部端ドメインを抑制するのに好適なプレチルト角を示す透視図である。 実施例1の液晶表示装置の一画素の断面図である。 実施例1の液晶表示装置の一画素の各種電極、配線の分布を示す平面図である。 電圧印加時における液晶配向の回転方向が互いに異なる二つの領域を配置した画素電極を示す平面図である。 連結部を画素端両側に有する画素電極の平面図である。 画素端に鋭角のある理想的な画素電極において電圧印加時に生じる液晶配向の回転方向を示す平面図である。 鋭角が消失した画素電極において電圧印加時に生じる液晶配向の回転方向を示す平面図である。 連結部端ドメインの出ていない連結部側画素端部における透過率分布配向分布を示す断面図である。 連結部端ドメインの出ている連結部側画素端部における透過率分布配向分布を示す断面図である。 連結部端ドメイン内部における配向状態を示す平面図である。 連結部端ドメインと電極構造との関係を示す平面図である。 捩れ変形とスプレー変形の相互作用を説明する模式図である。 連結部端ドメイン内部のチルト角と電極に近接する液晶層界面のプレチルト角の関係によって生じる配向状態の変化を説明する模式図である。 プレチルト角によって生じる連結部端ドメインサイズの変化を説明する模式図である。 プレチルト角の符号と暗表示時の視角特性の関係を説明する模式図である。 透過率のk11依存性を示す図である。 各条件のIPS−Pro方式における連結部端ドメインの出現状況を示す図である。 B−V特性の電極幅とスリット幅の比率依存性を示す図である。 B−V特性の電極幅とスリット幅の比率依存性を示す図である。 透過率と液晶配向状態の画素内分布を示す断面図である。 透過率と液晶配向状態の画素内分布を示す断面図である。 透過率と液晶配向状態の画素内分布を示す断面図である。 B−V特性の配向角依存性を示す図である。 加工プロセスの違いによる画素電極の形状変化を示す平面図である。 電圧印加時における液晶配向の回転方向が互いに異なる二つの領域を配置した画素電極の配列例を示す平面図である。
符号の説明
LCL………………液晶層
PE…………………画素電極
AD…………………配向方向
RD…………………配向処理方向
PL1………………第一の偏光板
PL2………………第二の偏光板
SU1………………第一の基板
SU2………………第二の基板
LL…………………平坦化層
CF…………………カラ−フィルタ
AL1………………第一の配向膜
AL2………………第二の配向膜
GL…………………走査配線
SE…………………ソ−ス配線
CE…………………共通電極
CH…………………コンタクトホ−ル
BM…………………ブラックマトリクス
PCIL……………電極間絶縁膜
CEIL……………共通電極絶縁膜
GIL………………走査配線絶縁膜
SL…………………信号配線
TFT………………アクティブ素子
RT…………………逆捩れ配向部
DO…………………連結部端ドメイン
DL…………………暗線
EF…………………電気力線

Claims (3)

  1. 第一の基板と、第二の基板と、前記第一の基板と第二の基板間に挟持された液晶層からなる液晶パネルを有し、液晶パネルはその上下に第一の偏光板と第二の偏光板を有し、液晶パネルは独立制御可能な複数の画素を有し、各画素は第二の基板の液晶層に近接する面上の表示部に一対の画素電極と共通電極を有し、画素電極と共通電極は電極間絶縁層を介して積層し、画素電極と共通電極のうち液晶層からより離れた方の平面構造はベタ平面状であり、液晶面内に平行な成分を主とする電界を印加して液晶層を駆動する液晶表示装置において,
    画素電極と共通電極のうち液晶層に近接する方の平面構造は連結部を片側のみに備えた櫛歯状であり、ドメインの成長を抑制するための先端部構造を有し、
    先端部構造は、画素中央における櫛歯状構造に対してスリット方向が傾斜した構造であり、
    前記櫛歯状構造のスリット幅は前記電極幅よりも広く、前記櫛歯状構造の幅とスリットの幅の和が3μm以上、8.5μm以下で、前記櫛歯状構造の幅をスリットの幅と櫛歯状構造の幅の和で割った値が0.3以上、0.45以下であり、
    前記液晶層の配向は電極に近接する界面において櫛歯状構造の先端部から根元に向けて立ち上がるようなプレチルト角を有し、
    前記液晶層のスプレー弾性定数をk11とすると、k11が10pN以上、15.5pN以下である
    ことを特徴とする液晶表示装置。
  2. 第一の基板と、第二の基板と、前記第一の基板と第二の基板間に挟持された液晶層からなる液晶パネルを有し、液晶パネルはその上下に第一の偏光板と第二の偏光板を有し、液晶パネルは独立制御可能な複数の画素を有し、各画素は第二の基板の液晶層に近接する面上の表示部に一対の画素電極と共通電極を有し、画素電極と共通電極は電極間絶縁層を介して積層し、画素電極と共通電極のうち液晶層からより離れた方の平面構造はベタ平面状であり、液晶面内に平行な成分を主とする電界を印加して液晶層を駆動する液晶表示装置において,
    画素電極と共通電極のうち液晶層に近接する方の平面構造は連結部を片側のみに備えた櫛歯状であり、ドメインの成長を抑制するための先端部構造を有し、
    先端部構造は、櫛歯状構造の先端部に三角形を付加した構造であり、
    前記櫛歯状構造のスリット幅は前記電極幅よりも広く、前記櫛歯状構造の幅とスリットの幅の和が3μm以上、8.5μm以下で、前記櫛歯状構造の幅をスリットの幅と櫛歯状構造の幅の和で割った値が0.3以上、0.45以下であり、
    前記液晶層の配向は電極に近接する界面において櫛歯状構造の先端部から根元に向けて立ち上がるようなプレチルト角を有し、
    前記液晶層のスプレー弾性定数をk11とすると、k11が10pN以上、15.5pN以下である
    ことを特徴とする液晶表示装置。
  3. 画素電極と共通電極のうち液晶層に近接する方は台形に内接する平面構造を有し、かつ台形の底辺側に連結部を備えた構造と、台形の頂辺側に連結部を備えた構造があり、前期二種類の構造が交互に配置された請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
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