JP5054537B2 - コーヒーメーカーおよびポーションカプセルからなるシステム - Google Patents

Description

本発明は、コーヒーメーカーおよびポーションカプセル（一人分または一回分用の小分けカプセル）を有するシステムに関する。

特許文献１は、個々のコーヒーポーション（コーヒー１杯分または２杯分）を淹れるのに使用できるコーヒーメーカーを開示している。このメーカーは、共通の円周に沿って互いに接続されたフィルターペーパー２層の間に、挽いたコーヒーが置かれている組立て済みコーヒーポーションとともに用いられる。

組立て済みコーヒーポーションは、エスプレッソメーカーでエスプレッソを淹れるのにも用いられる。

特許文献２にはポーションカプセルが記載されている。このポーションカプセルは、カプセル蓋とカプセル底を有し、供給される状態で全面が閉じられ、水により抽出できる微粒状コーヒー物質を含有している。この場合、カプセル蓋とコーヒー物質との間に分配装置が配置されており、コーヒー物質とカプセル底との間に収集装置が配置されている。分配装置と収集装置は各々、液体流路を形成するための多数の開口およびエンボス（型押し模様）を有している。このポーションカプセルはコーヒーメーカーに用いられ、カプセル蓋とカプセル底は穴あけされている。温水がカプセル蓋の開口から分配装置へ通り、この装置により本質的に均一に分配されるので、ポーションカプセル内のコーヒー物質はほぼ均一に抽出される。出来上がった飲料は、収集装置によりカプセル底の開口まで導かれ、この開口からポーションカプセルの外部へ排出され、容器（例えばカップ）に貯えることができる。

欧州特許第０９０４７１７号明細書 欧州特許出願公開第１３４４７２２号明細書

従来知られていた手段は、特定の１種類だけのコーヒー飲料を淹れる、例えば、泡が一層のコーヒーを淹れる、またはエスプレッソを淹れる、ことを本質的に意図していた。

本発明の目的は、少量の飲料（特に、少量のコーヒー、特にコーヒー１杯または数杯）を淹れるようになっており、飲料選択の点で極めて融通が利き、さらに経済的である手段を提供することである。

上記の目的は、請求項１の構成を持つコーヒーメーカーおよびポーションカプセルを有するシステムにより、また、請求項１９の構成を持つコーヒーメーカーにより達成される。本発明の有利な形態は、従属請求項から推量できる。

本発明に係るシステムは、コーヒーメーカーとポーションカプセルを含有している。コーヒーメーカーは、カプセル蓋とカプセル底を有するポーションカプセルにより熱い飲料、特にホットコーヒー飲料を淹れるものであり、加圧水装置、ポーションカプセルホルダー、制御手段を備えている。ポーションカプセルホルダーは、２個の貫通手段を備えており、これらの貫通手段は互いに移動可能であり、ポーションカプセルをポーションカプセルホルダーに挿入する操作中または操作後、これらの貫通手段によりカプセル蓋とカプセル底が貫通できる。したがって、温水がカプセル蓋からポーションカプセルの内部に入ることができ、飲料がカプセル底からポーションカプセルの外へ出ることができる。コーヒーメーカーの制御手段は、加圧水に少なくとも３種類の圧力を与えるようになっている。より正確には、エスプレッソ、クリーム入りコーヒー、フィルターコーヒー（フィルターで淹れたコーヒー）を淹れることを想定した３種類の圧力を与えることが好ましい。ここで、特に適した圧力は、ほぼ１３〜１８バール（エスプレッソ）、ほぼ９〜１３バール（クリーム入りコーヒー）、ほぼ３〜９バール（フィルターコーヒー）の範囲である。

このポーションカプセルは、カプセル蓋とカプセル底を有し、供給される状態で全面が閉じられ、水により抽出できる微粒状飲料物質、好ましくはコーヒー物質、を含有している。カプセル蓋と飲料物質との間に分配装置が配置されており、および／または飲料物質とカプセル底との間に収集装置が配置されている。分配装置および／または収集装置は、液体流路を形成するための多数の開口を備え、好ましくは多数のエンボスも備えている。このようなポーションカプセルは、原則として特許文献２から知られている。

比較的単純で経済的なデザインにも係らず、本発明に係るシステムのコーヒーメーカーは、とりわけ、多種多様のコーヒー飲料を淹れる、特に、エスプレッソ、クリーム入りコーヒー、またはフィルターコーヒーを淹れることが出来る。これは、加圧水装置（例えば、制御可能なポンプおよびボイラー）により達成され、この加圧水装置は、制御手段を介して、それぞれのコーヒー飲料に最適の様々な圧力または圧力範囲を提供できる。ここで、「コーヒー飲料」とは、ごく一般的にはコーヒー含有飲料を指すものと理解すべきである。

ここで述べた圧力は、コーヒーメーカーの操作中、カプセル蓋上方にゆきわたる圧力である。すなわち、温水と飲料抽出物がポーションカプセルを流通する際、ポーションカプセルの長さ方向に沿って降下する圧力を本質的に指す。この圧力値は直接測定でき、制御手段に利用可能となる。この場合、制御手段は、例えば賦活化可能なバルブを利用して圧力を調整できる。しかしながら、好ましい実施形態においては、圧力の直接測定はない。その代わり、制御可能なポンプにより送られる抽出水の体積流量が流量計を利用して測定され、制御手段によりポンプ能力の調整に用いられる。これにより、ポンプの特性曲線とシステム中の流れ抵抗とからなる圧力がカプセル蓋の上方に生成される。流れ抵抗は、ポーションカプセルにおける流れ抵抗に決定的に依存する。すなわち、例えば、ポーションカプセルに置かれたコーヒー物質の粉砕度、充填度、および分配装置の特性と収集装置の特性に依存する。所定の、または典型的なポーションカプセルにとり、制御手段に決定的なパラメータは、工場で検量測定により測定でき、制御電子機器に記憶できる。

ポーションカプセル内の飲料物質は、好ましくはエスプレッソ、クリーム入りコーヒー、またはフィルターコーヒーを淹れることを想定している。さらに、砂糖、甘味料またはミルク粉末のような物質がポーションカプセルに含有される可能性もある。適当な種類のポーションカプセルを選択することにより、極めて異なった種類のコーヒー飲料や、その他の温かい飲料に１種類の同一のコーヒーメーカーが容易に利用できる。さらに、ポーションカプセルの分配装置および／または収集装置を、ポーションカプセルに含有される飲料物質にとり最適化してもよい。したがって、分配装置および／または収集装置の形状が中圧力範囲でのポーションカプセル内の温水の乱流に適しておれば、例えばクリーム入りコーヒー内の泡の形成が分配装置および／または収集装置の形状により改善される可能性がある。さらに、ポーションカプセルは、特にポーションカプセルの壁が香りの漏れない準酸素不透過性の材料から構成されていれば、ポーションカプセル内の飲料物質またはコーヒー物質が長期間新鮮に保たれる、という利点がある。さらに、コーヒーメーカーでは取り扱いが極めて単純である。何故なら、例えば始めにカプセル蓋をポーションカプセルから苦労して引き抜く代わりに、ポーションカプセル全体をポーションカプセルホルダーに挿入し、この過程で、またはその後に、貫通手段により貫通し、これにより、飲料を淹れるのに必要な開口が形成されるからである。

既に示したように、ポーションカプセル内の飲料物質は他の温かい飲料を調製する場合にも適していると思われ、この目的には、ポーションカプセルは例えば茶、チョコレート、インスタントスープまたはミルク粉末を含有する。ここで、砂糖または甘味料等の添加物をポーションカプセルに含有することも可能である。さらに、以下に説明するように、液体ミルクを入れたポーションカプセルは、カプチーノ上の泡立ちミルクの頭部を調製するのに実用的である。本発明に係るシステムのメーカーをコーヒーを含有しない飲料の調製専用に用いるならば、“コーヒーメーカー”という呼称は厳密に言えば不正確であるが、単純化のため、この用語を使い続ける。

好ましい実施形態において、２つの貫通手段の少なくとも１つは、少なくとも１つの開口を備えた先端部を持つ中空スパイクを有する。２つの貫通手段の各々がちょうど１つのスパイクを持つことが好ましく、それぞれがポーションカプセルのカプセル蓋およびカプセル底に対し中央に配置されてよい。ちょうど１つのスパイクを持つ実施形態は技術的には単純なので、有利である。ポーションカプセルの内部では、分配装置と収集装置により、温水が飲料物質に均一に分配され、カプセル底にあてがわれたスパイクに飲料が導かれることが保証される。

コーヒーメーカーは当接面を持つのが好ましく、この面に対しポーションカプセルホルダーが移動でき、カプセル蓋にあてがわれた貫通手段がこの面から突出するのが好ましい。この形状の場合、ポーションカプセルホルダーは、ポーションカプセルを挿入するために当接面から離れる方向に移動できる。その後、ポーションカプセルホルダーは当接面に移動され、この場合、カプセル蓋にあてがわれた貫通手段（すなわち、例えば中央スパイク）はカプセル蓋を貫通する。

有利な形状の場合、ポーションカプセルホルダーは取外し可能である。ここで、コーヒーメーカーは、移動可能な保持装置を持つことができる。この保持装置は、ポーションカプセルホルダーを収容するものであり、保持装置により、ポーションカプセルホルダーは当接面に向かう方向と当接面から離れる方向に移動できる。この形状の場合、ポーションカプセルホルダーは極めて容易に手が届き、必要であれば別個に洗浄できる。

コーヒーメーカーは、ポーションカプセルが挿入されると、カプセル蓋の周囲に位置できる全周シールを持つのが好ましい。このシールは、例えば当接面上に配置してよく、淹れる操作中にカプセル蓋上方に溜まる可能性のある温水がポーションカプセルから外部に流れ出すのを防ぎ、この過程で新たに淹れられた飲料を薄めるのを防ぐ。このシールは、加圧水装置により提供された圧力がポーションカプセルの内部に及ぶことも保証する。

好ましい実施形態では、ポーションカプセルホルダーは、ポーションカプセルを収容するための挿入部品であって、取付台において、カプセル底にあてがわれた貫通手段の方向に少なくとも１つのばねの圧力に逆らって変位できるように取付けられる挿入部品を有する。この貫通手段は取付台上に固着される。挿入部品は、貫通手段（すなわち、例えば中央スパイク）を包囲するのが好ましい。この場合、挿入部品が貫通手段上に変位される前に、ユーザーが貫通手段により傷つけられないようになる。ポーションカプセルがそのようなポーションカプセルホルダーに挿入され、その後、ポーションカプセルホルダーが例えば当接面に向かって移動される場合、取付台は少なくとも１つのばねの圧力に逆らって下方に変位される。この場合、貫通手段はカプセル底を貫通するか、またはカプセル底に初期の切り込みを作る。

カプセル底が、ポーションカプセルを挿入する際にすぐ貫通されるのでなく、ポーションカプセルが挿入されてポーションカプセル内で圧力が高まったときにのみ貫通されるのが好都合であろう。これは特に、エスプレッソを淹れるとき当てはまる。加圧された水がポーションカプセルの内部に通ると、圧力が高まる。ここで、おそらく切り立てのカプセル底は、貫通手段により貫通されるまで外側に湾曲すると思われる。したがって、貫通手段の長さは、所定の圧力範囲で予測されるカプセル底の曲率と整合しなければならない。この形状は飲料が排出される際に減速されるので、加圧水がより長時間飲料物質に作用することになり、香りの向上につながる。ポーションカプセルが挿入され、ポーションカプセルホルダーが上述の当接面に押し付けられる際、カプセル底はやや切れ目を入れられるのが好ましい。この場合、ポーションカプセル内の増大した圧力は、貫通手段がカプセル底に穴あけできるのに充分である。

ポーションカプセルホルダーは、ポーションカプセルから流れ出る飲料の収集室を有し、収集室は飲料流出部と接続しているのが好ましい。ここで、コーヒーメーカーは、流出する飲料を収容するために、カップまたはポット等の容器が飲料流出部の下方に位置づけできるような形状になっているのが有利である。

加圧水が、特にエスプレッソを淹れるための高い圧力を持っている場合、カプセル底の曲率は、特許文献２から知られたポーションカプセルの場合のように、カプセル底にあてがわれた貫通手段がカプセル底を穿孔できるほど既に充分顕著である。対照的に、フィルターコーヒーを淹れる場合、関係するポーションカプセルがカプセル底に所定の弱い箇所、例えば、カプセル底の中央領域の開口上に接着または密封によりカプセル底の内側または外側で取付けられたシート材料片であって、カプセル底の残部より薄い材料（例えば、アルミ箔またはプラスチックフィルム）からなるシート材料片、を持っておれば、有利である。この場合、所定の弱い箇所は、ポーションカプセルが挿入され、および／またはポーションカプセルホルダーが拘束される際、貫通手段により穴あけされる。この場合、フィルターコーヒーを淹れる際には、ポーションカプセルに圧力の望ましくない増大は起こらない。クリーム入りコーヒーを淹れるときにも、同様である。

本発明を例示のための実施形態を参考にして以下により詳細に説明する。図において、
図１は、本発明に係るシステムのコーヒーメーカーの概略図を示し（水の流れ図とともに）、図２は、本発明に係るシステムのポーションカプセルの模式的縦断面図を示し、図３は、開始位置に置かれた、ポーションカプセルを挿入した状態のコーヒーメーカーのポーションカプセルホルダーの一実施形態の縦断面図を示し、図４は、図３の状態と類似した縦断面図を示しているが、淹れる位置にポーションカプセルホルダーを移動させた状態を示している。

図１は、コーヒーメーカー１の極めて簡略な図示であり、コーヒーメーカー１の機能を水の流れ図を参考にして説明してある。

コーヒーメーカー１はポーションカプセルホルダー２（または５０、図３，４を参照）を有し、これに飲料物質（例示の形態ではコーヒー物質）を入れたポーションカプセル（図２参照）が挿入できる。以下に説明するように、ポーションカプセルには開口が設けられ、この場合、温水がポーションカプセルに流入でき、抽出された飲料が流出できる。

コーヒーメーカー１の操作中、水がポンプ６により水供給部４から取り出され、流量計５を介してボイラ８に運ばれる。例示の実施形態では、ポンプ６は比較的高い圧力（例えば１４〜１６バール）を作ることが出来るピストンポンプである。

ボイラ８はフローヒータの形状をしており、温度の大きな変動を避けるため、比較的大きな収容容積（例えば１００ｍｌ）を持つ。ボイラ８の出口、かつポーションカプセルホルダー２の上方にバルブ９が位置し、バルブ９は比較的低い圧力（例えば、ポンプ６で生まれる圧力より低い２バール）で開き、ポンプ６が操作されていない時には滴下を防ぐ。

コーヒーメーカー１を制御するため制御手段１０が使用される。この制御手段１０は、信号ラインおよび制御ラインを介し流量計５、ポンプ６、ボイラ８に接続されている。

ユーザーは、温かいコーヒー飲料を淹れる操作モードにおいて望ましい圧力を予め選択する。これは、ポンプ６の能力を予め選択することでなされる。例えば、エスプレッソを淹れるには約１４〜１６バールの圧力が適しており、クリーム入りコーヒーを淹れるには約１０〜１２バールの圧力が適しており、フィルターコーヒーを淹れるには約５〜７バールの圧力が適している。それぞれのコーヒー飲料に適したポーションカプセルをポーションカプセルホルダー２に挿入する。

例示の実施形態では、導入部でも説明したように、加圧水の体積流量を調整するのに流量計５の信号が用いられる。その理由は、フィルターコーヒーは小さい体積流量で淹れなければならず、さもなければ、泡だってしまうからである。一方、クリーム入りコーヒーには、泡立て作用こそ望ましいので、この場合には大きな体積流量が用いられる。エスプレッソには最も大きな体積流量が要求される。しかしながら、例示の形態においては、エスプレッソには体積流量の調整はない。その代わり、ポーションカプセルはポンプ６の全圧力に付され、これにより、ポーションカプセル内の流れ抵抗に依存する体積流量が得られ、これは、コーヒー物質が挽かれた程度に本質的に依存する。

加圧された温水はポーションカプセルを通して流れ、ポーションカプセルから出た後、新たに淹れられたコーヒー飲料がポーションカプセルホルダー２の下方に位置する容器、例えばカップ１１、に流入する。

各種の温かいコーヒー飲料を淹れるのに役立ち、１００℃未満の水温がボイラ８で生成される上述の操作モードに加え、コーヒーメーカー１はいっそうの操作モードも可能とする。この場合、ポンプ６は緩徐に働き、低い余分の圧力だけを生成する。ボイラ８は１００℃より高い温度にまで加熱され、その結果、蒸気が生まれ、この蒸気は蒸気バルブ１２を介して、筒状部品の末端に位置するノズル１４から外部に出ることができる。作動装置１６は蒸気を制御する役割を持つ。ノズル１４が例えばミルクを入れた容器内に保持された場合、ミルクは泡立ち、例えば淹れ立てのコーヒー飲料の泡の頭部として使用できる。

ミルクを含有し、ポーションカプセルホルダー２に挿入されたポーションカプセルを利用して、泡立ちミルクを造ることも考えられる。この場合、温水または蒸気をバルブ９を介して導く。

コーヒーメーカー１内の加圧水装置により生成された過剰圧力を制限するため、安全弁１８が設けられている。

図２は、原則的に特許文献２から知られたような、ポーションカプセル２０の概略的縦断面図を示す。

例示の実施形態において横断面が円形のポーションカプセル２０は、カプセル蓋２２、カプセル底２４、全周に及んでいる側壁２６を有する。例示の実施形態では、ポーションカプセル２０はその内部に、淹れる予定のコーヒー飲料に適したコーヒー物質２８を含んでいる。コーヒー物質２８は、例えばエスプレッソ、クリーム入りコーヒー、またはフィルターコーヒーを淹れるのに適当な挽いたコーヒーを含有している。

凹部３１を持つ分配装置３０はカプセル蓋２２の下方に配置され、凸部３３を持つ収集装置３２がカプセル底２４の上方に配置されている。コーヒー物質２８は分配装置３０と収集装置３２との間に置かれている。分配装置３０と収集装置３２の各々は、液体流路を形成する多数の開口およびエンボス（型押し模様）を有している。したがって、分配装置３０は、中央を通りポーションカプセル２０（以下を参照）の内部に入る温水がポーションカプセル２０内でほとんど均一に分配されることを可能とする。この場合、コーヒー物質２８は本質的に均一に抽出される。新たに淹れられたコーヒー飲料は収集装置３２上に集まり、収集装置３２によりカプセル底２４の中央開口（以下参照）を通って外部に導かれる。分配装置３０および／または収集装置３２は、淹れられるコーヒー飲料のタイプに合った形状でよく、例えばクリーム入りコーヒーの場合、泡の形成を改善するための形状でよい。

図２に係るポーションカプセル２０の特定の形状においては、カプセル底２４は中央開口３４を備え、この中央開口３４は封止により内側に結合されたシート材料片３６で覆われている。シート材料片３６はカプセル底２４の残部と比べ、弱い箇所を形成しているので、貫通手段により、より容易に穿孔できる。同様に、シート材料片３６が封止または接着によりカプセル底２４の外側に接着されるか取付けられることも考えられる。カプセル底２４に弱い箇所を持つポーションカプセル２０は、特にフィルターコーヒーまたはクリーム入りコーヒーを淹れるのに適している。

ポーションカプセル２０およびシート材料片３６は、例えばプラスチックフィルムまたはアルミニウム箔から作ってよい。

例示の実施形態においてポーションカプセル２０にコーヒー物質２８が充填される場合、他の飲料物質、例えば茶、チョコレート、インスタントスープ、ミルク粉末、または既に述べたように、液体ミルク、を用いることも考えられる。

図３および４は、ポーションカプセルホルダー２の一実施形態（この場合５０で示してある）の詳細な縦断面図を示す。コーヒーメーカー１上に置かれ、下方から接触可能な当接面４０も図示されている。ポーションカプセルホルダー５０は、当接面４０に対し上方または下方に変位でき、この変位には、移動可能な保持装置（図中に示さず）を利用する。図３は開始位置を示し、この開始位置ではポーションカプセルホルダー５０が当接面４０に突き合わされておらず、いぜんとして当接面４０から離されている。図４は淹れている状態を示し、この時、ポーションカプセルホルダー５０は当接面４０に突き合わされている。

例示の実施形態では、ポーションカプセル（ここでは２０'で示す）が挿入されるか、除去されるか、またはポーションカプセルホルダー５０が必要であれば洗浄されるために、開始位置にあるポーションカプセルホルダー５０を上述の保持装置から除去することが可能である。淹れる状態では、保持装置をレバーを利用して拘束する。

当接面４０は、全周シール４２を配置した環状溝を備えている。このシール４２は、淹れる状態におけるカプセル蓋２２の周囲に突き合わされる（図４参照）。シール４２の中央で、先端４５を持つ固体スパイク４４が当接面４０から下方に突出している。スパイクの傍らに水流入部４６が位置し、この水流入部４６はバルブ９を介してボイラ８に接続している。

ポーションカプセルホルダー５０は、取っ手５３付きの取付台５２を有している。複数の開口５６を持つ、先端５５付きの中空スパイク５４が取付台５２の底部から上方に突出している。中空スパイク５４は収集室５８に開口しており、収集室５８は淹れられたコーヒー飲料を外部に、例えば、飲料流出部６０を介してポーションカプセルホルダー５０の下方に置かれたカップに排出できる。

取付台５２は挿入部６２を導き、挿入部６２は取付台５２上で上方および下方に移動できる。挿入部６２の底部は、中空スパイク５４に適合させた開口６４を備えている。挿入部６２の周囲はコイルばね６６を介して取付台５２に支持されている。したがって、図３に係る開始位置では、挿入部６２は取り付け台５２に対し上方に変位され、ユーザーが中空スパイク５４により傷つけられないようになっている。

ポーションカプセルホルダー５０を淹れる位置に移動すると、当接面４０が挿入部６２を下方に押す（図４参照）。ここで、スパイク４４が、挿入部６２に挿入されたポーションカプセル２０'のカプセル蓋２２を突き破り、一方、挿入部６２が下方に移動すると、中空スパイク５４はカプセル底２４を貫通する（図４参照）。これは、カプセル底２４に所定の弱い箇所を持つポーションカプセル（例えば、フィルターコーヒーまたはクリーム入りコーヒー用のポーションカプセル）にも当てはまる。所定の弱い箇所のないカプセル底２４（例えばエスプレッソ用）は、この段階では中空スパイク５４により初期切り口が与えられるだけである（以下参照）。

バルブ９が淹れる位置にいったん開くと、加圧された温水が水流入部４６、およびスパイク４４によりカプセル蓋２２に作られた開口を通過し、ポーションカプセル２０'の内部に入り、分配装置３０によりコーヒー物質２８内に分配される。調製されたコーヒー飲料は収集装置３２により中空スパイク５４に導かれ、収集室５８および飲料流出部６０を介してコーヒーメーカー１の外へ排出される。

既に述べたように、ポーションカプセル２０'（フィルターコーヒーまたはクリーム入りコーヒー用）の場合、カプセル蓋２２とカプセル底２４の両方は、ポーションカプセルホルダー５０が図４に係る淹れる位置に達すると、穴あけされる。エスプレッソ用のポーションカプセルの場合、カプセル底は所定の弱い箇所を持たないので、ポーションカプセルホルダー５０の淹れる位置では、はじめに初期切り口が与えられるだけである。中空スパイク５４の先端５５がカプセル底を貫通できる程度にカプセル底が下方に湾曲するのは、温水の導入後、ポーションカプセルの内部で圧力が高まったときだけである。この形状の場合、温水はポーションカプセルの内部に比較的長い期間とどまり、この場所で圧力が高まり、抽出が改善され、香りに特有の利点が得られると思われる。

本発明に係るシステムのコーヒーメーカーの概略図である。 本発明に係るシステムのポーションカプセルの模式的縦断面図である。 開始位置に置かれた、ポーションカプセルを挿入した状態のコーヒーメーカーのポーションカプセルホルダーの一実施形態の縦断面図である。 淹れる位置にポーションカプセルホルダーを移動させた状態のコーヒーメーカーのポーションカプセルホルダーの一実施形態の縦断面図である。

符号の説明

１ コーヒーメーカー
２，５０ ポーションカプセルホルダー
４ 水供給部
５ 流量計
６ ポンプ
８ ボイラ
９ バルブ
１０ 制御手段
１１ カップ
１２ 蒸気バルブ
１４ ノズル
１６ 作動装置
１８ 安全弁
２０，２０' ポーションカプセル
２２ カプセル蓋
２４ カプセル底
２６ 側壁
２８ コーヒー物質
３０ 分配装置
３１ 凹部
３２ 収集装置
３３ 凸部
３４ 中央開口
３６ シート材料片
４０ 当接面
４２ 全周シール
４４ 固体スパイク
４５ 先端
４６ 水流入部
５２ 取付台
５３ 取っ手
５４ 中空スパイク
５５ 先端
５８ 収集室
６０ 飲料流出部
６２ 挿入部
６４ 開口
６６ コイルばね

Claims (31)

1. カプセル蓋（２２）とカプセル底（２４）を持つポーションカプセル（２０；２０’）により温かい飲料を淹れるようになっており、加圧水装置（４、５、６、８）、ポーションカプセルホルダー（２；５０）、および制御手段（１０）を備えたコーヒーメーカーであって、
   ポーションカプセルホルダー（２；５０）は２つの貫通手段（４４、５４）を備え、２つの貫通手段（４４、５４）は互いに移動可能であるとともに、ポーションカプセル（２０；２０’）をポーションカプセルホルダー（２；５０）に挿入する操作の途中、またはこの操作の後、２つの貫通手段（４４、５４）によりカプセル蓋（２２）とカプセル底（２４）が貫通でき、これにより、温水がカプセル蓋（２２）を通過してポーションカプセル（２０；２０’）の内部に入ることができ、飲料がカプセル底（２４）からポーションカプセル（２０；２０’）の外へ出ることができ、
   制御手段（１０）は加圧水用に少なくとも３種類の圧力を提供できるようになっている、コーヒーメーカーと、
   カプセル蓋（２２）とカプセル底（２４）を有し、供給された状態で全面が閉鎖され、水で抽出できる微粒状飲料物質を収容するポーションカプセル（２０；２０’）であって、
   カプセル蓋（２２）と飲料物質（２８）との間に分配装置（３０）が配置され、および／または飲料物質（２８）とカプセル底（２４）との間に収集装置（３２）が配置され、これらの装置の各々は、液体流路を形成するための多数の開口を有する、ポーションカプセル（２０；２０’）と、
   からなるシステム。
2. 前記分配装置（３０）および／または前記収集装置（３２）は、液体流路を形成するためのエンボスを有することを特徴とする請求項１記載のシステム。
3. 前記制御手段（１０）は、エスプレッソ、クリーム入りコーヒー、およびフィルターコーヒーを淹れることを想定した加圧水用の３種類の圧力を提供するように構成されていることを特徴とする請求項１または２記載のシステム。
4. 前記３種類の圧力は、それぞれ約１３〜１８バール、約９〜１３バール、約３〜９バールの範囲内であることを特徴とする請求項３記載のシステム。
5. 前記ポーションカプセル（２０；２０’）における前記飲料物質は、エスプレッソ、クリーム入りコーヒー、またはフィルターコーヒーを淹れることを想定したコーヒー物質（２８）からなることを特徴とする請求項３または４記載のシステム。
6. 前記ポーションカプセル（２０；２０’）内の前記飲料物質は、以下の物質：
   茶、チョコレート、インスタントスープ、ミルク粉末、液体ミルク
   のうち少なくとも１つを含むことを特徴とする請求項３または４記載のシステム。
7. 前記２つの貫通手段のうち少なくとも１つは、少なくとも１つの開口（５６）を備えた先端（５５）を持つ中空スパイク（５４）を備えていることを特徴とする請求項１乃至６のいずれか記載のシステム。
8. 前記２つの貫通手段の各々は丁度１つのスパイク（４４、５４）を持つことを特徴とする請求項１乃至７のいずれか記載のシステム。
9. 前記コーヒーメーカー（１）は当接面（４０）を持ち、この当接面（４０）に対し前記ポーションカプセルホルダー（５０）が移動可能であることを特徴とする請求項１乃至８のいずれか記載のシステム。
10. 前記カプセル蓋（２２）にあてがわれた前記貫通手段（４４）が前記当接面（４０）から突出することを特徴とする請求項９記載のシステム。
11. 前記ポーションカプセルホルダー（５０）は取外し可能であることを特徴とする請求項９または１０記載のシステム。
12. 前記コーヒーメーカー（１）は移動可能な保持装置を有し、前記保持装置は前記ポーションカプセルホルダー（５０）を収容するようになっており、前記保持装置により前記ポーションカプセルホルダー（５０）は前記当接面（４０）に近づく方向、および前記当接面（４０）から離れる方向に移動可能であることを特徴とする請求項１１記載のシステム。
13. 前記コーヒーメーカー（１）は全周シール（４２）を有し、前記ポーションカプセル（２０；２０’）を挿入すると、前記全周シール（４２）は前記カプセル蓋（２２）の周囲に位置づけできることを特徴とする請求項１乃至１２のいずれか記載のシステム。
14. 前記ポーションカプセルホルダー（５０）は挿入部（６２）を有し、前記挿入部（６２）はポーションカプセル（２０；２０’）を収容するようになっており、前記カプセル底（２４）にあてがわれた前記貫通手段（５４）の方向に少なくとも１つのばね（６６）の圧力に逆らって変位できるように取付台（５２）に取付けられ、前記貫通手段（５４）は前記取付台（５２）上に固着されることを特徴とする請求項１乃至１３のいずれか記載のシステム。
15. 前記ポーションカプセル（２０；２０’）が挿入されて、前記ポーションカプセル（２０；２０’）内で圧力が高まったときにのみ、前記カプセル底（２４）にあてがわれた前記貫通手段（５４）が前記カプセル底（２４）を貫通するように構成されていることを特徴とする請求項１乃至１４のいずれか記載のシステム。
16. 前記ポーションカプセルホルダー（５０）は前記ポーションカプセル（２０；２０’）から流れ出る飲料の収集室（５８）を有し、前記収集室は飲料流出部（６０）と接続していることを特徴とする請求項１乃至１５のいずれか記載のシステム。
17. 前記ポーションカプセル（２０）の前記カプセル底（２４）は所定の弱い箇所（３６）を持つことを特徴とする請求項１乃至１６のいずれか記載のシステム。
18. 前記所定の弱い箇所はフィルム材料片（３６）を有することを特徴とする請求項１７記載のシステム。
19. カプセル蓋（２２）とカプセル底（２４）を持つポーションカプセル（２０；２０’）により温かい飲料を淹れるように構成されており、加圧水装置（４、５、６、８）、ポーションカプセルホルダー（２；５０）、および制御手段（１０）を備えたコーヒーメーカーであって、
    前記ポーションカプセルホルダー（２；５０）は２つの貫通手段（４４、５４）を備え、前記２つの貫通手段（４４、５４）は互いに移動可能であるとともに、前記ポーションカプセル（２０；２０’）を前記ポーションカプセルホルダー（２；５０）に挿入する操作の途中、またはこの操作の後、前記２つの貫通手段（４４、５４）により前記カプセル蓋（２２）と前記カプセル底（２４）が貫通でき、これにより、温水が前記カプセル蓋（２２）を通過して前記ポーションカプセル（２０；２０’）の内部に入ることができ、飲料が前記カプセル底（２４）から前記ポーションカプセル（２０；２０’）の外へ出ることができ、
    前記制御手段（１０）は加圧水用に少なくとも３種類の圧力を提供できるように構成されていることを特徴とするコーヒーメーカー。
20. 前記制御手段（１０）が、エスプレッソ、クリーム入りコーヒー、およびフィルターコーヒーを淹れることを想定した加圧水用の３種類の圧力を提供するように構成されていることを特徴とする請求項１９記載のコーヒーメーカー。
21. 前記３種類の圧力は、それぞれ約１３〜１８バール、約９〜１３バール、約３〜９バールの範囲内であることを特徴とする請求項２０記載のコーヒーメーカー。
22. 前記２つの貫通手段のうち少なくとも１つは、少なくとも１つの開口（５６）を備えた先端（５５）を持つ中空スパイク（５４）を備えていることを特徴とする請求項１９乃至２１のいずれか記載のコーヒーメーカー。
23. 前記２つの貫通手段の各々は丁度１つのスパイク（４４、５４）を持つことを特徴とする請求項１９乃至２２のいずれか記載のコーヒーメーカー。
24. 前記コーヒーメーカー（１）は当接面（４０）を持ち、この当接面（４０）に対し前記ポーションカプセルホルダー（５０）が移動可能であることを特徴とする請求項１９乃至２３のいずれか記載のコーヒーメーカー。
25. 前記カプセル蓋（２２）にあてがわれた前記貫通手段（４４）が前記当接面（４０）から突出することを特徴とする請求項２４記載のコーヒーメーカー。
26. 前記ポーションカプセルホルダー（５０）は取外し可能であることを特徴とする請求項２４または２５記載のコーヒーメーカー。
27. 前記コーヒーメーカー（１）は移動可能な保持装置を有し、前記保持装置は前記ポーションカプセルホルダー（５０）を収容するようになっており、前記保持装置により前記ポーションカプセルホルダー（５０）は前記当接面（４０）に近づく方向、および前記当接面（４０）から離れる方向に移動可能であることを特徴とする請求項２６記載のコーヒーメーカー。
28. 前記コーヒーメーカー（１）は全周シール（４２）を有し、前記ポーションカプセル（２０；２０’）を挿入すると、前記全周シール（４２）は前記カプセル蓋（２２）の周囲に位置づけできることを特徴とする請求項１９乃至２７のいずれか記載のコーヒーメーカー。
29. 前記ポーションカプセルホルダー（５０）は挿入部（６２）を有し、前記挿入部（６２）はポーションカプセル（２０；２０’）を収容するようになっており、前記カプセル底（２４）にあてがわれた前記貫通手段（５４）の方向に少なくとも１つのばね（６５）の圧力に逆らって変位できるように取付台（５２）に取付けられ、前記貫通手段（５４）は前記取付台（５２）上に固着されることを特徴とする請求項１９乃至２８のいずれか記載のコーヒーメーカー。
30. 前記ポーションカプセル（２０；２０’）が挿入されて、前記ポーションカプセル（２０；２０’）内で圧力が高まったときにのみ、前記カプセル底（２４）にあてがわれた前記貫通手段（５４）が前記カプセル底（２４）を貫通するように構成されていることを特徴とする請求項１９乃至２９のいずれか記載のコーヒーメーカー。
31. 前記ポーションカプセルホルダー（５０）は前記ポーションカプセル（２０；２０’）から流れ出る飲料の収集室（５８）を有し、前記収集室は飲料流出部（６０）と接続していることを特徴とする請求項１９乃至３０のいずれか記載のコーヒーメーカー。

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