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JP5026974B2 - 酸素同位体の濃縮方法 - Google Patents

酸素同位体の濃縮方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸素同位体の濃縮方法に関する。詳しくは、レーザ光によるオゾンの光解離反応を利用したレーザ同位体分離と、蒸留分離とを組み合わせることによって、存在比が極めて小さな酸素の安定同位体である17Oを効率的に高濃度に濃縮する方法および17Oと18Oを同時に高濃度に濃縮する方法に関する。
本願は、2005年8月17日に日本国に出願された特願2005−236499号に基づく優先権を主張し、その内容をここに援用する。
酸素安定同位体16O、17Oおよび18Oの中で、17Oは唯一核スピンを持つことから、17Oを用いて標識した化合物は、核磁気共鳴による構造解析等の研究に用いられており、化学および医学等の分野においてトレーサとして利用されている。また、腫瘍等の検査に用いられるポジトロン断層撮影診断(PET)のための診断薬18FDG(フルオロデオキシグルコースをポジトロン放出核種のフッ素18放射性同位体で標識したPET用造影剤)の原料として、医療分野での利用が期待されている。
すなわち、17O及び18Oは産業上有用な同位体であるが、しかし、天然における存在比が極めて小さいため、これを用いるにあたっては、酸素原子を含む化合物から17O及び/もしくは18Oを濃縮する必要がある。
従来の17Oの濃縮方法としては、例えば、次のようなものが知られている。
すなわち、水を原料としてこれを蒸留することにより17Oを25atom%まで濃縮し、さらに、熱拡散によって90atom%まで濃縮する方法(非特許文献1参照)、一酸化窒素(NO)を原料として、これを蒸留することにより17Oを濃縮し、さらに、熱拡散によって高濃度(例えば40atom%)まで濃縮する方法(非特許文献4)、酸素を原料としてこれを蒸留することにより、17Oを10atom%まで濃縮する方法(特許文献1参照)、ホルムアルデヒドにNeイオンレーザを照射することで前期解離させて濃縮する方法(非特許文献2、特許文献5および6参照)、オゾンに可視光及び紫外光を照射する方法(非特許文献3参照)、および半導体レーザを用いて、特定の17Oを含むオゾンを光解離させることにより、17Oを酸素中に濃縮する方法(特許文献2、3および4参照)等が知られている。
国際公開WO00/27509号公報 特開2004−261776号公報 特開2005−040668号公報 国際公開WO2004/078325号公報 米国特許第4,029,559号明細書 米国特許第4,029,558号明細書 I.Dostrovsky;"The production of stable isotopes of oxygen" Analytical Chemistry Symposium Series pp693−702(1982) Jack Marling:"isotope separation of oxygen−17,oxygen−18,carbon−13 and deuterium by ion laser induced formaldehyde photopredissociation", The Journal of Chemical Physics,vol.66,no.9, p.4200−4225(1977) J. Wen and Mark H. Thiemens:"Experimental and theoretical study of isotope effects on ozone decomposition", J.Geophysical Research, vol.96, no.D6, p.10911−10921(1991) McInteer,B.B.;Potter,Robert M.:"Nitric oxid distillation plant for isotope separation",Ind.Eng.Chem.,Process Design Develop.,4(1),35−42(1965)
しかし、非特許文献1に記載の方法では、得られる17Oは、収率を考慮すれば実用的には数atom%程度が上限であるという問題点があり、非特許文献4に記載の方法でも、この濃縮法により濃縮された17Oが、HOあるいはOとして市販されているが、その濃縮量は不十分であるという問題点がある。
また、非特許文献2、特許文献5および6に記載の方法も、濃縮率が不十分であり、工業的スケールで行う技術確立がいまだなされていないという問題点がある。
さらに、非特許文献3に記載の方法では、残ったオゾン中に17Oおよび18Oが濃縮され、オゾン分解の同位体効果は確認できるが、同位体分離に利用できるほどの濃縮率ではない。また、工業的スケールで行う技術確立もいまだなされていない。
一方、特許文献2、3および4に記載の方法は、工業的に有望な方法ではあるが、各オゾン同位体分子ごとのレーザ光の吸収波長範囲が互いに重なり合う部分があるため、特に17Oを含むオゾン分子の存在比が小さい場合には、レーザ光により17Oを含むオゾン分子のみを選択的に解離させようとしても、16などの、より存在比が大きいオゾン同位体分子も同時に解離してしまう。そのため、効率的に17Oを高濃度にするのは困難であるという問題点がある。
特許文献1に記載の方法については、本発明との関連から、以下に詳しく説明する。
16O、17Oおよび18Oを含む同位体分子はすべて、その蒸気圧(沸点)が非常に近く、17Oを含む同位体分子が16Oを含む同位体分子と18Oを含む同位体分子の中間成分であり(蒸気圧あるいは沸点が16Oと18Oの間にある)、17Oの天然存在比は約370atomppmと、18Oの2000atomppmに比べて小さい。したがって、特許文献1で開示されているような、蒸留による17Oの濃縮方法では、高濃度(例えば5atom%以上)の17Oを効率的に得ることは困難であるという問題点がある。これを、以下の例により具体的に説明する。
図22は、酸素原子を含む化合物(例えば、HO、NO、O等)を蒸留し、17Oあるいは18Oの同位体濃度を高めるために用いる蒸留塔1の概略図である。実際には、蒸留塔の高さ(理論段数)を非常に大きくすることを要求されることが多いため、実際の装置としては、複数の蒸留塔をカスケードにつないだものを用いて、一連の蒸留操作を行うことが一般的だが、ここでは簡略化して一本の蒸留塔で示す。
酸素の同位体存在率が、表1に示すような天然存在比である原料F(例えば、HO、NO、O等)を、蒸留塔1に塔頂近くの中間部から供給し、塔底部から17Oあるいは18Oが濃縮された製品P1を採取する。また、製品P1と合わせて、原料Fの供給位置よりも塔底側の塔中間部から、17Oあるいは18Oが濃縮した別の製品P2を採取する場合もある。原料Fに比べ17Oあるいは18Oが減損した排ガスWは、塔頂部から排気される。
この蒸留塔1の塔底部において17Oを濃縮し、塔底で製品P1を採取する場合、蒸留塔内の同位体濃度分布は概ね図23のようになる。図23の縦軸は、各酸素同位体の濃度(atom%)、横軸は蒸留塔の高さを示しており、これは以降の図においても同様である。製品P1の17O濃縮度は、蒸留塔の高さ(理論段数)にもよるが、概ね0.2〜5atom%の範囲となる。図23の例では、製品P1の17O濃縮度は約1atom%である。
一方、高濃縮度(例えば、5atom%以上)の17Oを得るためには、さらに高い(理論段数が多い)蒸留塔が必要となる。その場合、図24に示すように、17Oより高沸点成分である18Oが塔底部において高濃度に濃縮されてしまうため、塔底部における17O濃縮度は低下し、17Oの濃度は、塔の中間部に極大値を持つような分布になる。すなわち、蒸留塔1内部は、17Oの濃縮度が大きくなる、原料F供給位置から17O濃縮品P2採取位置までの区間Aと、18Oの濃縮度が大きくなる、17O濃縮品P2採取位置から18O濃縮品P1採取位置までの区間Bとに分けることができ、17O濃縮品P2採取位置における17O濃縮度を、より大きく(例えば、5atom%以上)するためには、区間Aおよび区間Bの高さをかなり大きくしなければならず、このような濃縮方法は、工業的に実現できるものではなくなってしまう。
さらに、蒸留プロセスは、その原理上、装置内に大量の液体ホールドアップが必要になるため、天然存在比が高々370ppm程度の17Oを高濃度(例えば、5atom%以上)に濃縮するためには、装置の起動時間に数年以上の長期間を要してしまうという問題点がある。
以上の理由により、蒸留のみにより17Oを高濃度(例えば、8atom%以上)に濃縮することは、工業的に実現困難であると言える。
そこで、本発明の目的は、存在比が極めて小さな酸素の安定同位体である17Oを、工業的スケールにおいて効率的かつ高濃度に濃縮できる、17O濃縮方法を提供することを課題とする。また、17Oを高濃度に濃縮すると同時に18Oも濃縮できる方法を提供する。
前記課題を解決するため、
請求項1に係る発明は、蒸留塔を用いて酸素同位体を濃縮する酸素の蒸留工程と、前記濃縮された酸素からオゾンを生成する工程と、前記オゾンのうち酸素同位体17Oを含むオゾンを選択的に分解し、その分解により生成した酸素を前記オゾンから分離することにより酸素同位体17Oを濃縮する工程と、前記オゾンのうち酸素同位体18Oを含むオゾンを選択的に分解し、その分解により生成した酸素を前記オゾンから分離することにより前記オゾンに含まれる酸素同位体18Oを減損する工程と、酸素同位体17Oおよび18Oを含むオゾンが分解された後のオゾンを、更に分解して得た酸素を、前記蒸留塔に戻す工程と、
を有することを特徴とする酸素同位体の濃縮方法である。
また、請求項2に係る発明は、同位体スクランブリングを行う工程を有することを特徴とする請求項1に記載の酸素同位体の濃縮方法である。
また、請求項3に係る発明は、酸素同位体を濃縮する酸素の蒸留工程、オゾンのうち酸素同位体 17 Oを含むオゾンを選択的に分解する工程、およびオゾンのうち酸素同位体 18 Oを含むオゾンを選択的に分解する工程のうち、少なくとも1つの工程を2回以上行うことを特徴とする請求項1に記載の酸素同位体の濃縮方法である。
また、請求項4に係る発明は、酸素同位体を濃縮する酸素の蒸留工程、オゾンのうち酸素同位体 17 Oを含むオゾンを選択的に分解する工程、オゾンのうち酸素同位体 18 Oを含むオゾンを選択的に分解する工程、および同位体スクランブリングを行う工程のうち、少なくとも1つの工程を2回以上行うことを特徴とする請求項2に記載の酸素同位体の濃縮方法である。
また、請求項5に係る発明は、前記オゾンのうち酸素同位体 17 Oを含むオゾンを選択的に分解してから、前記オゾンのうち酸素同位体 18 Oを含むオゾンを選択的に分解することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の酸素同位体の濃縮方法である。
また、請求項6に係る発明は、前記オゾンのうち酸素同位体 18 Oを含むオゾンを選択的に分解してから、前記オゾンのうち酸素同位体 17 Oを含むオゾンを選択的に分解することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の酸素同位体の濃縮方法である。
また、請求項7に係る発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の酸素同位体の濃縮方法で得られた 17 O濃縮酸素および/または 18 O濃縮酸素に水素を添加して、酸素同位体 17 Oおよび/または酸素同位体 18 Oが1atom%以上の濃度に濃縮された水を得る重酸素水の製造方法である。
本発明の酸素同位体の濃縮方法により、効率的に高濃度の17Oを得ることが出来る。また濃縮に際しては、従来よりも短い起動時間で済むため、低コストでかつ工業的スケールで高濃度の17Oを得ることができる。この時、オゾンから酸素への変換、あるいは酸素からオゾンへの変換を容易に行うことができるため、17Oの濃縮に際しては、種々のプロセスを組み合わせることが可能となり、所望の17O濃度および生産量にあわせたプロセスが選択できる。また、原料の酸素から高濃度の17Oを濃縮する際、17Oを濃縮する工程及び18Oを減損する工程において、原料の酸素から高濃度の18Oが分離・回収される。よって、高濃度の17Oとともに高濃度の18Oも得ることが出来る。
さらに、本発明の酸素同位体の濃縮方法により得られた17O濃縮酸素又は18O濃縮酸素を用いて、17O又は18Oが濃縮された重酸素水を、低コストでかつ工業的スケールで得ることができる。
本発明の第一の実施形態を示す概略図である。 本発明で用いるレーザ分離装置の一例を示す概略図である。 本発明の第一の実施形態における蒸留塔内での酸素同位体組成分布を示すグラフである。 本発明の第二の実施形態を示す概略図である。 本発明の第二の実施形態における蒸留塔内での酸素同位体組成分布を示すグラフである。 本発明の第三の実施形態を示す概略図である。 本発明の第三の実施形態で用いるレーザ分離装置の一例を示す概略図である。 本発明の第三の実施形態で用いるレーザ分離装置の一例を示す概略図である。 本発明の第三の実施形態における蒸留塔内での酸素同位体組成分布を示すグラフである。 本発明の第四の実施形態を示す概略図である。 本発明の第四の実施形態における蒸留塔内での酸素同位体組成分布を示すグラフである。 本発明の第五の実施形態を示す概略図である。 本発明の第五の実施形態における蒸留塔内での酸素同位体組成分布を示すグラフである。 本発明の第六の実施形態を示す概略図である。 本発明の第六の実施形態における蒸留塔内での酸素同位体組成分布を示すグラフである。 本発明の第七の実施形態を示す概略図である。 本発明の第七の実施形態における蒸留塔内での酸素同位体組成分布を示すグラフである。 本発明の第八の実施形態を示す概略図である。 本発明の第八の実施形態における蒸留塔内での酸素同位体組成分布を示すグラフである。 本発明の第九の実施形態を示す概略図である。 本発明の第九の実施形態における蒸留塔内での酸素同位体組成分布を示すグラフである。 従来の酸素同位体濃縮に用いる蒸留塔の一例を示す概略図である。 蒸留塔内の同位体濃度分布の一例を示すグラフである。 理論段数の多い蒸留塔内の同位体濃度分布の一例を示すグラフである。
符号の説明
1,6・・・蒸留塔、2・・・オゾン分離装置(タイプA)、3・・・同位体スクランブラ、4,5・・・オゾン分離装置(タイプB)
以下、本発明について、詳しく説明する。
本発明は、蒸留装置を用いる17O濃縮方法と、オゾンの光解離反応を利用したレーザ同位体分離装置(以下、レーザ分離装置と略記)を用いる17O濃縮方法の、それぞれの17O濃縮効果を最大限利用すべく設計したプロセスにより、17Oを高濃度(例えば、5atom%以上)に濃縮する方法である。
具体的には、低濃度域(例えば、370atomppm〜0.2atom%程度)までは、蒸留により17Oを濃縮し、蒸留により得られた該低濃縮度17Oを、さらにレーザ分離によって濃縮することで、高濃度(例えば、5atom%以上)の17Oを得る方法である。
また、蒸留により17Oを濃縮する上で障害となる18Oを、該蒸留塔に接続したレーザ分離装置により効率的に除去することで、該蒸留塔内における17O濃縮を促進させる方法である。また、これらの方法を組み合わせて、超高濃度、例えば70%以上の17Oを得る方法である。
本発明における、レーザ分離装置を用いた17O濃縮方法には、二通りの方法がある。
すなわち、オゾンガス中の16O、17Oおよび18Oを含むオゾン分子のうち、17Oを含むオゾン分子を選択的に分解して得た17O濃縮酸素を、前記各同位体を含むオゾンガスから分離して、17Oを濃縮する方法と、18Oを含むオゾン分子を選択的に分解して得た18O濃縮酸素を、前記各同位体を含むオゾンガスから除くことで、18Oを減損する方法である。
本発明においては、前記17Oを濃縮する工程および/または18Oを減損する工程を酸素を蒸留する工程と組み合わせることで、17Oの濃縮を効率的に行う。この時さらに、同位体スクランブリングを行う工程を付加することで、17Oの濃縮をより効率的に行うことができる。
また、17Oを濃縮する工程と18Oを減損する工程の双方を行う場合には、行う順番は特に限定されない。また、これらの工程は、酸素を蒸留する工程の前後いずれにおいても行うことができる。
さらに、酸素を蒸留する工程、17Oを濃縮する工程、18Oを減損する工程および同位体スクランブリングを行う工程のうち、少なくとも1つの工程を2回以上行うことで、17Oの濃縮をより効率的に行うことができる。
また、原料の酸素から高濃度の17Oを濃縮する際、17Oを濃縮する工程及び18Oを減損する工程において、原料の酸素から高濃度の18Oが分離・回収される。よって、高濃度の17Oとともに高濃度の18O(例えば、20atom%以上)も得ることが出来る。
本発明により得られた17O濃縮酸素(例えば、5atom%以上)又は18O濃縮酸素(例えば、20atom%以上)は、常法に従って、例えば、アルゴンで希釈した上で当該酸素量に応じた水素を添加し、白金触媒中を80℃以上の温度で反応させることにより、酸素同位体が1atom%以上の17O濃縮水あるいは18O濃縮水を製造することができる。
<第一の実施形態>
本発明の最も基本的な実施形態である、第一の実施形態の概略図を図1に示す。本実施形態は、酸素を蒸留して酸素同位体を分離するための蒸留塔1およびレーザ分離装置2を接続した装置を用いるものであり、その特徴は、17Oの低濃度域においては蒸留により第一段階の17Oの濃縮を行い、例えば、17Oが0.2atom%以上になってから、第二段階の17Oの濃縮としてレーザ分離を行うことにある。これにより、効率的に17Oを濃縮することができる。
原料Fには、超高純度酸素を用いるのが好適である。超高純度酸素としては、例えば、工業用酸素からアルゴン、炭化水素等を除去し、酸素の化学純度を大幅に高めたものが好ましい。また、酸素蒸留塔としては、蒸留塔1に代わり複数の蒸留塔をカスケードに接続したものも用いることができる。一方、蒸留塔内の充填物は、規則充填物および不規則充填物のどちらを用いても同様の効果が得られる。
原料、酸素蒸留塔および蒸留塔内の充填物に関しては、他の実施形態においても同様である。
本実施形態で用いるレーザ分離装置2(タイプA)は、例えば、特許文献2および3に開示されているものと同じ構成のものである。一例を図2に示す。
すなわち、蒸留塔1で第一段階の17Oの濃縮を行った後、酸素ガスFLISをオゾナイザ21に導入してオゾンを生成し、生じたオゾン−酸素混合ガスを、希釈ガス(Kr)および回収希釈ガスと混合した後、オゾン分離装置22を用いて、該混合ガスよりオゾンと酸素を分離する。分離された酸素は、蒸留塔1からの酸素ガスFLISと混合され、再度オゾン生成に用いるようにされている。一方、分離されたオゾンを、希釈ガスと共にレーザ分離装置23へ送り、特定の波長のレーザを照射して、17Oを含むオゾンを選択的に酸素に分解する。ここで得られた17Oが濃縮された酸素、未分解のオゾンおよび希釈ガスを、酸素回収装置24へ送り、17Oが濃縮された酸素ガスPLISを得る。残った未分解のオゾンおよび希釈ガスを、オゾン分解装置25へ送り、すべてのオゾンを酸素へ分解する。生じた酸素および希釈ガスは、希釈ガス回収装置26へ送って、17Oが減損され18Oが濃縮された酸素WLISを分離し、回収した希釈ガスは、オゾナイザ21で生成したオゾンおよび酸素の混合ガスに再度添加されるようになっている。
なお、本実施形態では、オゾンの希釈ガスとしてKrを用いているが、これは、本発明の効果を損なわずにオゾンを希釈できるものであれば、他のガスでも良い。
また、レーザ分離装置(LISユニット)については、オゾンの光解離反応を利用して、原料酸素を同位体濃縮酸素と同位体減損酸素に分離する機能を持ったものであれば、LISユニット内のプロセスの詳細は、特に制限されない。
以上は、他の実施形態においても同様である。
本実施形態は、具体的には以下の通りである。すなわち、蒸留により17O濃度を高めた酸素Dbot(図2におけるFLIS)を蒸留塔1の塔底部から抜き出し、レーザ分離装置2に送って、前記のように17Oを含むオゾンを選択的に分解することで、17Oが濃縮された酸素P(図2におけるPLIS)を得る。蒸留時に発生する排ガスW1は、蒸留塔1の塔頂部より廃棄し、レーザ分離時に発生する排ガスW2(図2におけるWLIS)は、レーザ分離装置2よりそれぞれ廃棄する。ただし、排ガスW2は、原料Fに比べて17Oおよび18Oがより濃縮されているので、別の17O濃縮プロセスまたは18O濃縮プロセスに供給することもできる。このような排ガスW2の再利用は、以下に示す全ての実施形態においても同様に行うことができる。
蒸留塔1として表3に示す仕様のものを、レーザ分離装置2として表4に示す仕様のものを、原料の超高純度酸素Fとして、表2に示す組成のものをそれぞれ用いて、コンピュータシミュレーションで得た装置各部における酸素の流量、同位体組成を表5に示す。さらに、蒸留塔1内における酸素の同位体組成分布を図3に示す。なお、表5に示す各同位体純度(atom%)は、シミュレーションで得られた各同位体を含む酸素ガスの量(mol%)の値を用いて、表5下に示す式に従って算出したものであり、これは、他の実施形態においても同様である。また、本シミュレーションに用いた蒸留計算プログラムの詳細は、WO00/27509号公報に詳しい。一方、表2の超高純度酸素Fの組成は、表1の天然存在比から算出したものである。
<第二の実施形態>
本実施形態は、第一の実施形態における蒸留塔1に、同位体スクランブラ3を接続したものである。その概略図を図4に示す。
なお、同位体スクランブラ3は、同位体スクランブリング、すなわち、複数種の同位体分子が存在する時に、各分子がその構成する相手の原子をランダムに変える現象、を促進する装置であり、その機能は、WO00/27509号公報に詳しい。
同位体スクランブラ3の接続位置は、蒸留塔の任意の場所で良く、蒸留塔1からガスの一部を抜き出し、抜き出したガスを同位体スクランブラ3に送って同位体スクランブリングを行い、蒸留塔に戻す。この時、蒸留塔1からのガスの抜き出しは、塔底部に近い位置また塔底部から行うことが好ましい。また、同位体スクランブリング後のガスを蒸留塔1内に戻す位置は特に限定されず、ガスを抜き出した位置の近くまたは同じ場所でもよい。
すなわち、本実施形態の特徴は、第一の実施形態での同位体濃縮効果に加え、さらに同位体スクランブラ3を用いて蒸留塔内の17Oおよび18Oの濃縮を促進し、製品Pの17O濃縮度を高めることができる点にある。
蒸留塔1として表3に示す仕様のものを、レーザ分離装置2として表6に示す仕様のものを、原料の超高純度酸素Fとして、表2に示す組成のものをそれぞれ用いて、コンピュータシミュレーションで得た装置各部における酸素の流量、同位体組成を表7および8に示す。さらに、蒸留塔1内における酸素の同位体組成分布を図5に示す。
なお、本シミュレーションにおいては、蒸留塔1内のガスは、1.0×10−3mol/sで塔底部から抜き出し、同位体スクランブラ3で処理した後、塔底部に戻す条件を採用している。
<第三の実施形態>
本実施形態は、第一の実施形態を発展させ、17Oの更なる濃縮および収率の向上を図ったものである。その概略図を図6に示す。
レーザ分離装置4(タイプB)は、レーザ分離を2段階で行う装置である。これは、第一の実施形態で用いたレーザ分離装置2(タイプA)を、図7に示すように、2基接続したものでも同じ機能を果たすが、例えば、図8に示す構成のものの方が、オゾナイザや希釈ガス回収装置を一つにできるので好ましい。
すなわち、蒸留塔1で第一段階の17Oの濃縮を行った後、酸素ガスFLISをオゾナイザ41に導入してオゾンを生成し、生じたオゾン−酸素混合ガスを、希釈ガス(Kr)および回収希釈ガスと混合した後、オゾン分離装置42を用いて、該混合ガスよりオゾンと酸素を分離する。分離された酸素は、蒸留塔1からの酸素ガスFLISと混合され、再度オゾン生成に用いるようにされている。一方、分離されたオゾンを、希釈ガスと共に第一レーザ分離装置43へ送り、特定の波長のレーザを照射して、17Oを含むオゾンを選択的に酸素に分解する。ここで得られた17Oを含む酸素、未分解のオゾンおよび希釈ガスを、第一酸素回収装置44へ送り、17O濃縮酸素ガスP1LISを得る。残った未分解のオゾンおよび希釈ガスは、第ニレーザ分離装置45へ送り、特定の波長のレーザを照射して、18Oを含むオゾンを選択的に酸素に分解する。ここで得られた18Oを含む酸素、未分解のオゾンおよび希釈ガスを、第二酸素回収装置46へ送り、18O濃縮酸素ガスP2LISを得る。残った未分解のオゾンおよび希釈ガスは、オゾン分解装置47へ送り、すべてのオゾンを酸素へ分解する。生じた酸素および希釈ガスは、希釈ガス回収装置48へ送って、17Oおよび18Oが減損された酸素ガスWLISを分離し、回収した希釈ガスは、オゾナイザ41で生成したオゾンおよび酸素の混合ガスに再度添加されるようになっている。
第一の実施形態では、蒸留塔1の塔底部から採取した酸素ガスをレーザ分離装置2に導入し、17Oを含むオゾン分子161617Oを選択的に分解することにより、17Oが濃縮された酸素ガスPを得て、残りの17O減損酸素ガスは、蒸留塔1内での18Oの濃縮による17O濃縮度低下を防ぐため、蒸留塔1内には戻さず、W2として廃棄していた。これは、18Oが濃縮されたW2を蒸留塔1に戻すと、蒸留塔1の塔底に18Oがさらに濃縮し、それに伴い蒸留塔1の塔底の17Oの濃縮度が低下してしまうからであった。
一方、本実施形態では、1段階目のレーザ分離で17Oが減損したオゾンから、2段階目のレーザ分離で18Oを含むオゾン分子161618Oを選択的に分解することにより18Oが濃縮された酸素ガスを除去し、その残りの酸素ガスR(図8におけるWLIS)をブロワ(図示略)などを介して蒸留塔中間部に戻す形態を採用している。これにより、蒸留塔1内での18O濃縮を防ぎつつ17O濃縮を促進し、17O収率を高めることができる。
蒸留塔1として表3に示す仕様のものを、レーザ分離装置4として表10に示す仕様のものを、原料の超高純度酸素Fとして、表2に示す組成のものをそれぞれ用いて、コンピュータシミュレーションで得た装置各部における酸素の流量、同位体組成を表9に示す。P1では17Oが、W2では18Oが濃縮されていることがわかる。
さらに、蒸留塔1内における酸素の同位体組成分布を図9に示す。
<第四の実施形態>
第三の実施形態では、1段目のレーザ分離で17Oの濃縮、2段目のレーザ分離で18Oの濃縮行ったが、この順番は逆にしても良い。18Oを含むオゾン分子を選択的に分解した後、17Oを含むオゾン分子を選択的に分解するよう設計されたレーザ分離装置5を用いた本実施形態の概略図を図10に示す。本実施形態でも、17O及び18Oの濃縮が可能であり、第一の実施形態より17Oの濃縮度および収率を向上させることができる。
蒸留塔1として表3に示す仕様のものを、レーザ分離装置5として表12に示す仕様のものを、原料の超高純度酸素Fとして、表2に示す組成のものをそれぞれ用いて、コンピュータシミュレーションで得た装置各部における酸素の流量、同位体組成を表11に示す。さらに、蒸留塔1内における酸素の同位体組成分布を図11に示す。17OはP1で濃縮され、18OはW2で濃縮されていることがわかる。
<第五の実施形態>
本実施形態は、第四の実施形態の蒸留塔1に、さらに同位体スクランブラ3を接続したものであり、本実施形態により、蒸留塔1内での17Oの濃縮がさらに促進され、17Oの濃縮度および収率を向上させることができる。本実施形態の概略図を図12に示す。
蒸留塔1として表3に示す仕様のものを、レーザ分離装置5として表15に示す仕様のものを、原料の超高純度酸素Fとして、表2に示す組成のものをそれぞれ用いて、コンピュータシミュレーションで得た装置各部における酸素の流量、同位体組成を表13および14に示す。17OはP1で濃縮され、18OはW2で濃縮されていることがわかる。さらに、蒸留塔1内における酸素の同位体組成分布を図13に示す。
<第六の実施形態>
本実施形態は、蒸留塔6に同位体スクランブラ3およびレーザ分離装置2を接続したものである。ここで、蒸留塔6は、蒸留塔1よりも高さのみを大きくしたものである。また、レーザ分離装置2の蒸留塔6への接続は、塔中間部にて行うものとする。一方、第二の実施形態同様、同位体スクランブラ3の接続位置は、蒸留塔6の任意の場所で良いが、塔底部に近い位置また塔底部であることが好ましい。また、ガスを蒸留塔6内に戻す位置は、特に限定されず、ガスを抜き出した位置の近くまたは同じ場所でよい。本実施形態の概略図を図14に示す。
本実施形態においては、蒸留塔6の塔底部に18Oが濃縮されて酸素P18となる。一方、中間成分の17Oは、主に1617Oまたは1718Oとして、蒸留塔6の塔中間部において濃度が最大となる。この塔中間部付近から酸素ガスDcutを抜き出す。
続いて、酸素ガスDcutをレーザ分離装置2に供給し、17Oを含むオゾン分子161617Oを選択的に分解することにより、17Oが濃縮された酸素P17を得て、残りの酸素ガスRは蒸留塔6に戻す。
本実施形態の特徴は、17O濃度が最大となる蒸留塔6の中間部から酸素ガスDcutを抜き出すことにより、効率的に17Oを分離でき、酸素P17への18Oの混入が最小限に抑えられるため、酸素P1818O収率低下を防ぐことができる点にある。
なお、酸素ガスDcut17O濃縮度は蒸留塔6の高さに依存する。例えば、P1818O濃縮度が同じ場合、蒸留塔6の高さが高いほど、酸素ガスDcut17O濃縮度は高くなる。よって、蒸留塔6の高さは少なくとも150m以上であることが好ましい。ただし、実用性の観点から、600m以下であることが好ましい。
蒸留塔6として表16に示す仕様のものを、レーザ分離装置2として表19に示す仕様のものを、原料の超高純度酸素Fとして、表2に示す組成のものをそれぞれ用いて、コンピュータシミュレーションで得た装置各部における酸素の流量、同位体組成を表17および18に示す。さらに、蒸留塔6内における酸素の同位体組成分布を図15に示す。なお、本条件における酸素ガスDcut17O濃度は、0.54atom%であった。
<第七の実施形態>
本実施形態は、図16に示すように、第六の実施形態において、レーザ分離を2段階で行うようにしたものであり、レーザ分離装置4(タイプB)は、第三の実施形態同様、レーザ分離装置2(タイプA)を2基接続した図7に示す構成のもの、あるいは図8に示す構成のもののいずれかを用いることが出来る。
例えば、1段階目のオゾン分解で、161618Oを選択的に分解することにより、18O濃度を高めた酸素R1を蒸留塔6に戻し、さらに2段階目のオゾン分解で、161617Oを選択的に分解することにより、17O濃度および収率をさらに高めることができる。
蒸留塔6として表16に示す仕様のものを、レーザ分離装置4として、図7に示す構成のもので表22に示す仕様のものを、原料の超高純度酸素Fとして、表2に示す組成のものをそれぞれ用いて、コンピュータシミュレーションで得た装置各部における酸素の流量、同位体組成を表20および21に示す。さらに、蒸留塔6内における酸素の同位体組成分布を図17に示す。
<第八の実施形態>
本実施形態は、天然存在比よりも17Oが高濃度に濃縮された酸素を原料とし、これをレーザ分離装置と蒸留塔を用いて、17Oを超高濃縮度(例えば、40atom%以上)に濃縮するものである。本実施形態の概略図を図18に示す。
先にも述べたように、蒸留では、最も高沸点成分で、且つ最も豊富に存在する18Oが、蒸留塔の塔底部に濃縮されやすい。そのため、17Oを効率的に超高濃度に濃縮するためには、例えば、蒸留塔から18Oを可能な限り排除することが好ましい。そこで本実施形態では、原料F中の酸素から、第一段階としてレーザ分離装置4を用いて18O濃縮酸素W1を分離し、続いて第二段階として17O濃縮酸素Dfeedを蒸留塔1へ送る。これにより、蒸留塔1内における18O濃縮を抑制することができる。
また蒸留では、17O濃度が超高濃度(例えば、40atom%以上)に近くなってくると、蒸留塔の高さの変化に対する、蒸留塔内における17O濃度の変化率が小さくなってくるため、より一層の17O濃縮が難しくなってくる。そこで本実施形態では、蒸留塔1の塔底部における17O濃度が40atom%を越えたところで、酸素ガスDbotをレーザ分離装置2に供給し、17を選択的に分解して、17O濃縮酸素Pを得る。
以上により、高濃度に濃縮された17Oを極めて効率的に得ることができる。
蒸留塔1として表3に示す仕様のものを、レーザ分離装置4として、図7に示す構成のもので表25に示す仕様のものを、レーザ分離装置2として表26に示す仕様のものを、原料の超高純度酸素Fとして、表2に示す組成のものをそれぞれ用いて、コンピュータシミュレーションで得た装置各部における酸素の流量、同位体組成を表23および24に示す。17OはPで濃縮されており、18OはW1で濃縮されていることがわかる。さらに、蒸留塔1内における酸素の同位体組成分布を図19に示す。
<第九の実施形態>
本実施形態は、図20に示すように、第八の実施形態をさらに発展させ、17Oの濃縮および収率の向上を図ったものであり、第八の実施形態との違いは、蒸留塔1の塔底部に接続したレーザ分離装置2aを用いて17O濃縮酸素Pを得るにあたって、レーザ分離装置2aからの排ガスR2を蒸留塔1に戻し、さらに蒸留塔1の中間部に接続したレーザ分離装置2bを用いて、選択的に18O濃縮酸素W4を分離する点にある。
これにより、蒸留塔1の塔底部における18O濃縮を抑制することができるため、さらに高濃度の17Oを得ることができる。
蒸留塔1として表3に示す仕様のものを、レーザ分離装置4として表25に示す仕様のものを、レーザ分離装置2aとして表30に示す仕様のものを、レーザ分離装置2bとして表31に示す仕様のものを、原料の超高純度酸素Fとして、表2に示す組成のものをそれぞれ用いて、コンピュータシミュレーションで得た装置各部における酸素の流量、同位体組成を表27〜29に示す。17OはPで濃縮されており、18OはW1で濃縮されている。さらに、蒸留塔1内における酸素の同位体組成分布を図21に示す。
(実施例1)
第一の実施形態における条件にて、17Oと18Oを濃縮するシミュレーションを行った結果、9.1atom%の17Oを含む酸素ガスと、25.2atom%の18Oを含む酸素ガスとが得られることがわかった。17Oの収率は5.8%、18Oの収率は69.8%であった。
例えば実施例1における17Oの収率は、表5の数値を用いて以下の式より求めた。
収率[%]=
(流量×同位体純度17)/(流量×同位体純度17)×100
18Oの収率も同様の計算式を用いて求めた。
(実施例2)
第二の実施形態における条件にて、17Oと18Oを濃縮するシミュレーションを行った結果、10.3atom%の17Oを含む酸素ガスと、25.2atom%の18Oを含む酸素ガスとが得られることがわかった。17Oの収率は7.8%、18Oの収率は73.1%となり、実施例1に比べて上昇した。
(実施例3)
第三の実施形態における条件にて、17Oと18Oを濃縮するシミュレーションを行った結果、9.7atom%の17Oを含む酸素ガスが得られた。17Oの収率は14.1%となり、実施例1と比べて上昇した。18Oの収率は69.8%となり、実施例1と同程度であるが、18Oの同位体純度は29.2atom%となり、実施例1より高純度の18Oを含む酸素ガスが得られることがわかった。
(実施例4)
第四の実施形態における条件にて、17Oと18Oを濃縮するシミュレーションを行った結果、10.8atom%の17Oを含む酸素ガスと、29.0atom%の18Oを含む酸素ガスとが得られることがわかった。17Oの収率は11.8%となり、実施例1に比べて上昇した。18Oの収率は70.9%であった。
(実施例5)
第五の実施形態における条件にて、17Oと18Oを濃縮するシミュレーションを行った結果、11.5atom%の17Oを含む酸素ガスと、28.9atom%の18Oを含む酸素ガスとが得られることがわかった。また、17Oの収率は14.0%、18Oの収率は72.8%であった。
(実施例6)
第八の実施形態における条件にて、17Oと18Oを濃縮するシミュレーションを行った結果、77.7atom%の17Oを含む酸素ガスと、22.2atom%の18Oを含む酸素ガスが得られることがわかった。
(実施例7)
第九の実施形態における条件にて、17Oと18Oを濃縮するシミュレーションを行った結果、87.4atom%の17Oを含む酸素ガスと、22.2atom%の18Oを含む酸素ガスとが得られることがわかった。
本発明の酸素同位体の濃縮方法により、存在比が極めて小さな酸素の安定同位体である17Oおよび18Oを、効率的に高濃度に濃縮できることが確認された。また濃縮に際しては、従来よりも短い起動時間で済むため、低コストでかつ工業的スケールで高濃度の17Oおよび18Oを得ることが確認された。
さらに、本発明の酸素同位体の濃縮方法により得られた17Oもしくは18O濃縮酸素を用いて、17Oもしくは18Oが濃縮された重酸素水を、低コストでかつ工業的スケールで得ることもできる。
本発明により、工業的スケールで安価に17Oもしくは18O濃縮酸素を提供できるため、17Oもしくは18O標識化合物をトレーサとして用いる化学あるいは医学等の分野において、本発明は有用なものである。

Claims (7)

  1. 蒸留塔を用いて酸素同位体を濃縮する酸素の蒸留工程と、
    前記濃縮された酸素からオゾンを生成する工程と、
    前記オゾンのうち酸素同位体17Oを含むオゾンを選択的に分解し、その分解により生成した酸素を前記オゾンから分離することにより酸素同位体17Oを濃縮する工程と、
    前記オゾンのうち酸素同位体18Oを含むオゾンを選択的に分解し、その分解により生成した酸素を前記オゾンから分離することにより前記オゾンに含まれる酸素同位体18Oを減損する工程と、
    酸素同位体17Oおよび18Oを含むオゾンが分解された後のオゾンを、更に分解して得た酸素を、前記蒸留塔に戻す工程と、
    を有することを特徴とする酸素同位体の濃縮方法。
  2. 同位体スクランブリングを行う工程を有することを特徴とする請求項1に記載の酸素同位体の濃縮方法。
  3. 酸素同位体を濃縮する酸素の蒸留工程、オゾンのうち酸素同位体17Oを含むオゾンを選択的に分解する工程、およびオゾンのうち酸素同位体18Oを含むオゾンを選択的に分解する工程のうち、少なくとも1つの工程を2回以上行うことを特徴とする請求項1に記載の酸素同位体の濃縮方法。
  4. 酸素同位体を濃縮する酸素の蒸留工程、オゾンのうち酸素同位体17Oを含むオゾンを選択的に分解する工程、オゾンのうち酸素同位体18Oを含むオゾンを選択的に分解する工程、および同位体スクランブリングを行う工程のうち、少なくとも1つの工程を2回以上行うことを特徴とする請求項2に記載の酸素同位体の濃縮方法。
  5. 前記オゾンのうち酸素同位体17Oを含むオゾンを選択的に分解してから、前記オゾンのうち酸素同位体18Oを含むオゾンを選択的に分解することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の酸素同位体の濃縮方法。
  6. 前記オゾンのうち酸素同位体18Oを含むオゾンを選択的に分解してから、前記オゾンのうち酸素同位体17Oを含むオゾンを選択的に分解することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の酸素同位体の濃縮方法。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の酸素同位体の濃縮方法で得られた17O濃縮酸素および/または18O濃縮酸素に水素を添加して、酸素同位体17Oおよび/または酸素同位体18Oが1atom%以上の濃度に濃縮された水を得る重酸素水の製造方法。
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