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JP5019092B2 - 重合性化合物及び重合性組成物 - Google Patents

重合性化合物及び重合性組成物 Download PDF

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Description

本発明は新規重合性化合物に関し、更に詳しくは、幅広い温度範囲において低電圧駆動が可能で電気光学特性に優れる光散乱型液晶デバイスの調光層形成材料に好適に使用できる重合性化合物に関する。
情報化社会の進展に伴い、情報通信材料の需要がますます高まっている。特に、光散乱型の液晶デバイスは、偏光板が不要なことや視野角依存性が少ないことから、広告板、装飾表示板、時計、コンピューター、プロジェクション、デジタルペーパー、携帯用情報端末、光シャッター、などに用いる液晶表示素子又は光学素子として大きく期待されている。
光散乱型液晶デバイスとして、ラジカル重合性組成物と液晶組成物とからなる調光層形成材料に光照射又は加熱して得られる、ポリマーマトリックスと液晶組成物とからなる調光層を有する液晶デバイスが知られている。
該デバイスには、使用する液晶化合物の種類には左右されず、幅広い温度範囲(例えば−20℃から70℃位の温度範囲)において駆動電圧の変化が小さいこと、且つ、駆動電圧の絶対値は20V以下であることが求められている。特に液晶駆動方式がTFT駆動の場合は10V以下の低電圧化が不可欠である。
これらの特性を満たすような、重合性化合物の開発が進められており、幾つかの側鎖型ラジカル重合性化合物の開示がある(引用文献1から3参照)。側鎖型ラジカル重合性化合物とは一例として次の一般式(E)で模式的に表されるような化合物を意味する。
Figure 0005019092
(式中、Mcは主鎖を表し、Sc1は側鎖1を表し、Sc2は側鎖2を表すが、Sc1>Sc2であり、Mc及びScは主に炭素原子により構成される。)当該構造は側鎖型ラジカル重合性化合物を模式的に示したものであり、全ての構造を網羅したものでは無い。しかしながら、当該基本骨格の範囲においても種々の化合物を包含することから主鎖、側鎖等の置換基を個別に検討することにより化合物の提案が行われてきた。しかも、その検討は主として、前述の式中の主鎖及び側鎖1について検討され側鎖2については多くの検討はなされていなかった。
例えば、特許文献1においては側鎖型ラジカル重合性化合物の主鎖構造(Mc)を改良することにより、駆動電圧の低減が図られており、主鎖にさらなる置換基を有する化合物も開示されている。しかし、当該化合物を構成部材とする液晶デバイスは、0から50℃の範囲において約7Vの駆動電圧を達成しているが、0℃以下の極低温域では駆動電圧が上昇する傾向にあった。又、当該引用文献記載の化合物においては式(E)における側鎖2については検討が行われておらず、次に記載するような芳香環を主鎖とし側鎖2にメチル基を有する化合物が記載されるのみであり、当該化合物を構成部材とするデバイスもまた0℃以下の極低温域では駆動電圧が上昇する傾向にあった。
Figure 0005019092
又、主鎖にカルボニル基を有する置換基をさらに設けた化合物についても開示されている(特許文献2参照)。しかしながら、当該化合物を構成部材とするデバイスにおいては低駆動電圧化には有利であるが、分子中の側鎖密度が高くなり過ぎてしまい、0℃以下の極低温域では印加した状態を保ってしまう現象がみられる問題があった。さらに、当該引用文献においても、その検討の範囲は大部分が主鎖上の置換基を対象としており、二種の側鎖相互間の関係については開示されていない。
一方、1分子中に、側鎖1として炭素原子数4から25の直鎖アルキル基及び炭素原子数4から26の分岐アルキル基の両方を有する多官能アクリレート系のラジカル重合性化合物の開示がある(特許文献3参照)。当該引用文献記載の化合物は、ポリマーマトリックス中に直鎖アルキル基と分岐アルキル基の両方を、ある一定の範囲の割合で組み込めることができ、駆動電圧5Vを達成することができ、モノマーが残存しにくいので、光、熱等による劣化を防ぐことができる特徴を有する。しかし、1分子に組み込める直鎖アルキル基と分岐アルキル基の比率が限られるので、ポリマーマトリックス中に組み込める直鎖アルキル基と分岐アルキル基の比率が限られ、駆動電圧の温度変化の調整に限界があった。又、側鎖として炭素原子数4から25の直鎖アルキル基と炭素原子数4から26の分岐アルキル基の両方を有する多官能(メタ)アクリレートの合成工程が多いために、製造コストが高いといった欠点があった。
特開平11−29527号公報 特開2000−72717号公報(16頁) 特開2002−293827号公報
本発明が解決しようとする課題は、−20℃から70℃の幅広い温度範囲においても低電圧駆動可能な、ポリマーマトリックス及び液晶組成物からなる調光層を有する光散乱型液晶デバイスの調光層形成材料として好適に使用できる、ポリマーマトリックスを形成する材料にアルキル側鎖を有する新規重合性化合物を提供することにある。
本願発明者らは種々の重合性化合物の検討を行った結果、特定の構造を有する重合性化合物を使用することで前述の課題を解決できることを見出し本願発明を関せするに至った。
本願発明は、一般式(1)
Figure 0005019092
(式中、Xは−O−CH−、−O−CH−CH−CO−O−CH−、−O−CH−CHOCO−、又は−O−CH−CH(CH)OCO−を表し、
は炭素数4から30のアルキル基を表すが、基中に存在する1個又は2個以上の炭素原子は、酸素原子が相互に直接に結合しないものとして酸素原子により置き換えられていても良く、基中に存在する1個又は2個以上の炭素間の単結合は、二重結合又は三重結合により置き換えられていても良く、基中に存在する水素原子はハロゲンによって置換されていても良く、
は水素又はメチル基を表し、
は炭素原子数1から5のアルキル基を表し、
及びXはそれぞれ独立して、−CHO−、−CHOCO−、−CHCO−O−、−COO−又は単結合を表し、
は、炭素数1から30のアルキレン基を表すが、基中に存在する少なくとも一つのメチレン基は一般式(2)
Figure 0005019092
(式中、R11及びR12はそれぞれ独立して、水素又は炭素数1から8のアルキル基を表すが、基中に存在する1個又は2個以上の炭素原子は、酸素原子が相互に直接に結合しないものとして酸素原子により置き換えられていても良く、基中に存在する1個又は2個以上の炭素間の単結合は、二重結合又は三重結合により置き換えられていても良く、基中に存在する水素原子はハロゲンによって置換されていても良いが、R11及びR12の少なくともどちらか一方はアルキル基を表し、mは1から10の整数を表す。)で表されるからからで表される置換基により置き換えられており、基中に存在する1個又は2個以上の炭素原子は、酸素原子が相互に直接に結合しないものとして酸素原子により置き換えられていても良く、基中に存在する1個又は2個以上の炭素間の単結合は、二重結合又は三重結合により置き換えられていても良く、基中に存在する水素原子はハロゲンによって置換されていても良い。)で表される重合性化合物を提供し、併せて当該化合物を含有する重合性組成物及び当該組成物を構成部材とする光散乱型液晶デバイスを提供する。
本発明の重合性化合物を使用することで、−20℃から70℃の幅広い温度範囲においても低電圧駆動可能な、ポリマーマトリックス及び液晶組成物からなる調光層を有する光散乱型液晶デバイスを得ることができる。
一般式(1)において、Xは−O−CH−又は−O−CH−CH−CO−O−CH−が好ましく、−O−CH−がより好ましい。
一般式(1)において、Rは炭素数6から20のアルキル基が好ましく、更に、アルキル基が直鎖アルキル基の場合は、炭素数7から14の直鎖アルキル基がより好ましい、アルキル鎖が分岐鎖の場合は、炭素数9から18の分岐アルキル基がより好ましい。
が炭素数6から20の直鎖アルキル基の場合、構成された液晶デバイスは低電圧駆動の点で有利である。又、Rが、2−n−ヘプチル−ノニル基等の分岐アルキル基である場合、駆動電圧の温度による変化の少ない点で有利となる。その他、具体的には、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ウンデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−オクタデシル基、2−n−ヘプチルノニル基、イソミリスチル基、2−エチルヘキシル基、ブトキシエチル基、ヘキシロキシエチル基、n−ブトキシエトキシメチル基、シクロヘキシル基、ポリエチレングリコールモノエーテル基、4−ノニルフェニレン基、4−オクチルシクロヘキシル基等があげられる。
一般式(1)において、Rは水素又はメチル基を表すが、反応性の高さから水素がより好ましい。
一般式(1)において、Rはエチル基、プロピル基又はブチル基が好ましく、エチル基又はプロピル基が特に好ましい。Rの炭素数が5よりも大きくなるとアクリル基の重合性を阻害する恐れがある。Rの部位に炭素数1から5のアルキル基を導入することにより、0℃以下の極低温でも前記一般式(1)における−X−Rで表される基の運動性を保つことができるので大変重要な基である。更に、Rを有することにより、前記Rが分岐アルキル基でも低駆動電圧化が図れる。従って、より低駆動電圧で、且つ、低温域における駆動電圧の上昇の少ない光散乱型液晶デバイスを得ることができる。
一般式(1)において、X及びXはそれぞれ独立して、−CHO−又は−CHOCO−が好ましい。
一般式(1)においてRは、炭素数10から25のアルキレン基が好ましく、12から22のアルキレン基がより好ましい。さらに、R中の少なくとも一つ存在する一般式(2)において、R11及びR12はそれぞれ独立して水素又は炭素数1から5のアルキル基が好ましく、水素又は炭素数1から3のアルキル基がさらに好ましいが、R11及びR12は同時に水素を表さないため、R11及びR12がそれぞれ独立して炭素数1から3のアルキル基であるか、R11が水素でありR12が炭素数1から3のアルキル基であるか、R12が水素でありR11が炭素数1から3のアルキル基であることが好ましい。mは1から5が好ましく、1から3がより好ましい。すなわち、主鎖であるR中に存在する分岐側鎖の数は、1から6好ましく、1から4がより好ましい。
本発明では一般式(E)で示した側鎖1、側鎖2及び分岐アルキル基を有する主鎖構造を共に有することが重要である。又、この様な置換基は一般式(1)においては、側鎖1が、−X−Rに相当し、側鎖2がRに相当し、主鎖が−X3−R1−X3−及びR1を構成する一般式(2)に相当する。このような長鎖および短鎖の側鎖基、且つ分岐アルキル基を有する主鎖構造のモノマーの硬化物は、従来の化合物および分岐鎖がない化合物と比較して分子の運動性が大幅に向上するため低Tgであり、且つ排除体積効果により液晶分子がポリマー表面に接近し難いため光散乱型液晶デバイスの調光層形成材料に好適である。
主鎖は具体的には、7,12−ジメチルオクタデシレン基、7−エチルヘキサデシレン基、2,2’−ジメチル−プロピレン基、繰り返し数が2から6のポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基や下記の基等が挙げられる。
Figure 0005019092
(これらの置換基の左右両末端はメチル基ではなく、他の炭素原子と結合していることを表す。)
本発明で表される重合性化合物のRからRおよびXからXは、1分子中に2つ存在するが、各々、同一な基あるいは結合である必要はなく、目的により適宜選択される。例えばRで表される基は、一方がデシル基であり、もう一方はウンデシル基であっても良い。
前記一般式(1)で表される重合性化合物は、例えばTetrahedoron Letters,Vol.23,No6,pp681−684及び、Journal of Polymer Science:PartA:Polymer Chemistry,Vol.34,pp217−225等に記載の方法で合成することができる。具体的には、オキセタン基を複数有する化合物と、オキセタン基と反応し得る脂肪酸塩化物や脂肪酸とを反応させ、更に、アクリル酸などの活性水素を有する重合性化合物とを反応させる方法や、オキセタン基を一つ有する化合物と、オキセタン基と反応し得る多価の脂肪酸塩化物や脂肪酸とを反応させ、更に、アクリル酸などの活性水素を有する重合性化合物とを反応させる方法等により得ることができる。前記活性水素を有する重合性化合物としては、アクリル酸以外に、例えば、メタクリル酸、アクリル酸ダイマー、メタクリル酸ダイマー、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート等を使用することができる。また、オキセタンと脂肪酸との反応の場合は、アクリル酸塩化物、メタクリル酸塩化物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等を使用することができる。
具体的に例えば、一般式(1)で表される重合性化合物が、下記化合物の場合は、
Figure 0005019092
ネオペンチルグリコールのp−トルエンスルホン酸ジエステルと3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンを水酸化ナトリウムの存在下で反応させることにより下記に示す3,3’−(2,2ジメチルプロパン−ジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)を得ることができる。
Figure 0005019092
更にこの2官能のジオキセタン化合物とn−ウンデカノイルクロリドとをヨウ化ナトリウム、アセトニトリルの存在下、0℃で反応させ炭素数10のメチレン鎖を有するヨード化合物を得る。次に、生成したヨード化合物とアクリル酸を1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデセン−7(以下DBUと略す)の存在下でジメチルスルホキシドを溶媒に用い、90℃で12時間反応させることにより目的物を得ることができる。
また、一般式(1)で表される重合性化合物が、下記化合物の場合は
Figure 0005019092
トリプロピレングリコールのp−トルエンスルホン酸ジエステルと3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンを水酸化ナトリウムの存在下で反応させることにより下記に示すトリプロピレングリコールジオキセタニルエチルエーテルを得ることができる。
Figure 0005019092
更にこの2官能のジオキセタン化合物とノルマルデカノイルクロリドとをヨウ化ナトリウム、アセトニトリルの存在下、0℃で反応させ炭素数9のメチレン鎖を有するヨード化合物を得る。次に、生成したヨード化合物とアクリル酸をDBUの存在下でジメチルスルホキシドを溶媒に用い、90℃、12時間反応させることにより目的物を得ることができる。
上記の方法以外に1.アルキルハロゲン化合物とオキセタン基を有するアルコールとの反応物にモノ(ジ)カルボン酸クロリドを反応させた後、重合性基を導入する方法、2.モノ(ジ)カルボン酸とオキセタン基を有するアルコールとの反応物に、モノ(ジ)カルボン酸クロリドを反応させた後、重合性基を導入する方法、3.アルコールとオキセタン基を有するアルコールのp−トルエンスルホン酸エステルとの反応物にモノ(ジ)カルボン酸クロリドを反応させた化合物に重合性基を導入する方法、4.アルコールとオキセタンを有するハロゲン化合物との反応物にモノ(ジ)カルボン酸クロリドを反応させた化合物に重合性基を導入する方法などが挙げられる。
また、オキセタンアルコールの合成方法としては、例えば特開平11−012261号公報、特開平9−71545号公報等の公知の方法で合成することができる。具体的には、トリメチロールアルカンとジメチルカーボネートとを反応させる方法等により得ることができる。
例えばオキセタンアルコールが下記化合物の場合は、
Figure 0005019092
t−ブチルメチルエーテル中にヘキサナールとパラホルムアルデヒドとを水酸化ナトリウムの存在下で反応させ、2−ブチル−2−ヒドロキシメチルプロパン−1,3−ジオールを合成する。更に、2−ブチル−2−ヒドロキシメチルプロパン−1,3−ジオールと炭酸ジメチルを炭酸カリウムの存在下で反応させ、副生するメタノールを除去してカーボネート化を行った後に、200℃に加熱して脱炭酸することにより合成することができる。
本発明の重合性組成物は、前記一般式(1)で表される重合性化合物を含有する以外は特に限定されず、公知慣用の重合性化合物や重合開始剤を含有することができる。
重合性化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、ポリテトラエチレングリコールジマレイミド等が挙げられる。これらの重合性化合物の配合率としては、一般式(1)の重合性化合物の合計量に対して、5から60%が好ましく、10から50%が最も好ましい。
重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤やイオン重合触媒を使用できる。ラジカル重合開始剤としては、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−イソプロピルチオキサントン等のラジカル光重合開始剤や、ベンゾイルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル熱重合開始剤が挙げられる。またイオン重合触媒としては、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム等のルイス酸、燐酸等のプロトン酸等のカチオン重合触媒、アルキルリチウム、グリニャール試薬等のアニオン重合触媒等が挙げられる。これらの重合開始剤の添加率は重合性組成物に対し0.01から10%が好ましく、1から5%がより好ましい。
その他、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、非反応性のオリゴマーや無機充填剤、有機充填剤、重合禁止剤、消泡剤、レベリング剤、可塑剤、シランカップリング剤等を適宜、添加しても良い。
また、一般式(1)で表される重合性化合物と液晶組成物との組成物は、光散乱型液晶デバイス用の調光層形成材料として特に有用である。
光散乱型液晶デバイスは、例えば、透明電極層を有し少なくとも片方が透明であり、該透明電極層を対向させた状態でスペーサー等を使用して一定間隔を保った2枚の基板間に、重合性化合物と液晶組成物との組成物を挟持させ、光照射又は加熱することで得ることができる。
前記液晶組成物は、通常この技術分野で液晶相と認識される相を示す組成物であり、中でも、液晶相としてネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶、カイラルネマチック液晶、カイラルスメクチック液晶を発現するものが好ましい。具体的には、以下に示した化合物群より構成される配合組成物であり、液晶材料の特性、即ち、等方性液体と液晶の相転移温度、融点、粘度、複屈折率、誘電異方性(Δε)の正負を考慮し、又は重合性組成物等との溶解性等を調節することを目的として適宜選択、配合して用いることができる。
液晶材料としては、安息香酸エステル系、シクロヘキサンカルボン酸エステル系、ビフェニル系、テルフェニル系、フェニルシクロヘキサン系、ピリミジン系、ピリジン系、ジオキサン系、シクロヘキシルシクロヘキサンエステル系、トラン系、アルケニル系、フルオロベンゼン系、シアノ系、ナフタレン系等の、一般式(5)
Figure 0005019092
(式中、A、B及びCは、それぞれ独立に、下記の環のいずれかを表し、
Figure 0005019092
nは0から2の整数、n’は1から4の整数を表し、Ya及びYbは、それぞれ独立に、単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−OCF2−、−CF2O−、−CO−O−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−(CH2O−、又は−CH2=CHCH2CH2を表し、Ycは、単結合、−CO−O−、又は−OCO−を表し、Ra及びRbはそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1から20のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、フルオロアルキル基、又はフルオロアルコキシ基を表す。)で表される液晶化合物を単独もしくは複数配合した組成物で用いることができる。
前記液晶組成物と重合性組成物との配合比は、所望の電気光学特性に応じて調整することができ、50:50から97:3の範囲が好ましく、60:40から85:15の範囲がより好ましい。
本発明の重合性化合物は、側鎖であるRおよびR構造を適宜変化させることで、液晶デバイスの用途や使用する液晶組成物の種類に応じ適応させることができる。例えば、反射型液晶ディスプレイやデジタルペーパーのような表示素子において、フッ素系液晶等の誘電率異方性が小さい液晶組成物を使用する場合は、Rが直鎖の側鎖基である重合性化合物を選択するのがより好ましい。例えば、Rがエチル基であり、Rが直鎖の炭素数10のノルマルデシル基であり、Rが7,12−ジメチルオクタデシレン基である一般式(1)で表される化合物を、調光層形成材料として使用した光散乱型液晶デバイスは、Rのエチル基、且つRのジメチル基の存在により、−20℃の極低温でもポリマーマトリックスの分子運動が抑制され難い。このため、−20℃の極低温域でも駆動電圧の上昇を抑制することが可能となった。
一方、液晶組成物として、シアノ系液晶、チオイソシアナート系液晶など誘電率異方性が大きい液晶組成物を使用する場合や、−20℃以下の低温域で動作させたい場合などは、Rが分岐の側鎖基である重合性化合物を選択するのが好ましい。
以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において「%」は特に断りのない限り「質量%」を表す。
本実施例において、液晶デバイスの飽和電圧及び飽和電圧の温度依存性は次のように定義する。
T0:電圧無印加時の光透過率(%)。
T100:印加電圧上昇に伴う光透過率変化が飽和に達し、光透過率が変化しなくなった時の光透過率(%)。
T90:T0+0.9×(T100−T0)で定義される光透過率(%)。
飽和電圧:Vr90(V)
高分子分散型液晶表示素子に対する印加電圧を無印加から上昇させていった時、T90の透過率における印加電圧(V)。
飽和電圧の温度依存性:ΔV(V/μm)
−20℃におけるVr90と70℃におけるVr90の差を表すが、飽和電圧はセル厚に依存するため測定したセル厚で除することにより、セル厚の1μmあたりVr90の変化量に換算した値で次式により算出。
ΔV=(Vr90(−20℃)−Vr90(70℃))/セル厚
(中間体の製造1) オキセタン誘導体(7)の製造
撹拌装置、及び温度計を備えた反応容器に、7,12−ジメチルオクタデカンジカルボン酸(商品名:IPS−22、岡村製油社製)44.5g(0.12モル)、ドータイトWSC(同仁化学社製)46g(0.24モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン 2.9g(0.024モル)、ジクロロメタン500mlを加える。フラスコ内を窒素雰囲気にして氷水バスで5℃以下に冷却して、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東亜合成社製:OXT−101)28g(0.24モル)をゆっくり滴下した。滴下終了後に反応容器を室温に戻し、更に5時間撹拌して反応を終了した。反応液に10%塩酸500mlを加えた後に純水、飽和食塩水の順で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機溶媒を減圧留去して、式(7)で表されるオキセタン誘導体を50g得た。
Figure 0005019092
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:4.45−4.36(dd,8H),3.56(s,4H),2.32(t、4H),1.62(m,4H),1.58(m,2H),1.38−1.26(m,24H),0.92−0.80(m,9H)
13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:173.4,165.7,73.4,71.5,64.0,63.7,43.4,40.6,34.1,31.8,29.3,29.2,29.1,26.0,24.9,23.0,22.6,14.1,7.3
(中間体の製造2) 化合物(6)の製造
撹拌装置、窒素導入管、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、ネオペンチルグリコール20.8g(0.2モル)、トリエチルアミン44.5g(0.44モル)、テトラメチルエチレンジアミン(0.04モル)4.6gおよびトルエン500mlを入れ、5℃以下になるように氷水バスで冷却しながら撹拌した。p−トルエンスルホニウムクロリド80g(0.42モル)を5回に分けて1時間添加した。添加終了後、室温で反応容器を3時間撹拌した後反応を終了した。生成する塩酸塩を濾過した後、反応液を1/10Nの塩酸溶液、純水、飽和食塩水の順で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機溶媒を減圧留去して、式(6)で表されるネオペンチルグリコールジトシレートを78g得た。
Figure 0005019092
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:7.79(d,4H),7.73(d,4H),3.81(s、4H),2.48(s,6H),0.98(s,6H)
13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:146.8,132.5,130.2,129.9,129.6,129.0,128.2,73.7,37.9,35.4,21.8,21.6,21.5,21.0
(中間体の製造3) オキセタン誘導体(8)の製造
撹拌装置、温度計、および滴下ロートを備えた反応容器に、パラホルムアルデヒド 54g(0.17モル)、t−ブチルメチルエーテル 100mlを加え、40℃で溶解させた後、n−ヘキサナール 45g(0.45モル)を1時間かけて、50%水酸化ナトリウム溶液 53.6gを1.5時間かけて同時に滴下した。発熱による温度上昇が見られるが55℃を越えないように反応容器を制御した。50%水酸化ナトリウムを滴下終了したら、反応容器を55℃に加熱して、更に30分かけて50%水酸化ナトリウム 24gを滴下する。滴下終了後、55℃で2時間撹拌し反応を終了させる。反応容器に酢酸エチルを300ml加え、水層を除去する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機溶媒を減圧留去した後、イソプロピルエーテルによる再結晶により2−ブチル−2−ヒドロキシメチルプロパン−1,3−ジオールを48g得た。
次いで、撹拌装置、温度計、窒素導入管、滴下ロートおよび蒸留塔を備えた反応容器に2−ブチル−2−ヒドロキシメチルプロパン−1,3−ジオール 48g(0.30モル)、炭酸ジメチル 27g(0.3モル)、炭酸カリウム 2.25gを加え、85℃に反応容器を加熱する。カーボネート化に伴うメタノールを除去しながら2時間撹拌した。更に炭酸ジメチル 10.8g(0.12モル)を30分かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を除々に100℃まで加熱して3時間反応させた。その後、減圧器を用いて反応容器内の余分な炭酸ジメチルなどを留去した。
次いで反応容器を200℃まで加熱して4時間加熱して、脱炭酸反応を進行させた。反応終了後、反応物を減圧蒸留して目的物の3−ブチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンを34g得た。
更に、中間体の製造2で合成した式(6)で表されるネオペンチルグリコールジトシレート33g(0.08モル)、テトラブチルアンモニウムブロミド2.6g、ジメチルスルホキシド 150ml、および上記反応より合成した3−ブチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン 34g(0.24モル)を加え、50℃で溶解させた後に、粒状の水酸化ナトリウム 12.8g(0.32モル)を5回に分けて1時間添加した。添加終了後に反応容器を80℃に加熱して3時間撹拌して反応を終了した。反応液に酢酸エチルを1L加えた後に5%炭酸ナトリウム、純水、飽和食塩水の順で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機溶媒を減圧留去して、式(8)で表されるオキセタン誘導体を16.8g得た。
Figure 0005019092
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:4.45−4.40(dd,8H),3.56(s,4H),3.40(t、4H),1.40−1.12(m,12H),0.95(s,6H),0.92(t,6H)
13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:73.7,71.5,37.9,33.9,29.5,26.8,26.3,25.9,23.1,21.0,20.5,14.0
(中間体の製造4) オキセタン誘導体(9)の製造
撹拌装置、及び温度計を備えた反応容器に、7,12−ジメチルオクタデカンジカルボン酸(商品名:IPS−22、岡村製油社製)44.5g(0.12モル)、ドータイトWSC(同仁化学社製)46g(0.24モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン 2.9g(0.024モル)、ジクロロメタン500mlを加える。フラスコ内を窒素雰囲気にして氷水バスで5℃以下に冷却して、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン 24.6g(0.24モル)をゆっくり滴下した。滴下終了後に反応容器を室温に戻し、更に5時間撹拌して反応を終了した。反応液に10%塩酸500mlを加えた後に純水、飽和食塩水の順で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機溶媒を減圧留去して、下記に示す式(9)で表されるオキセタン誘導体を48g得た。
Figure 0005019092
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:4.45−4.36(dd,8H),3.56(s,4H),2.32(t、4H),1.62(m,4H),1.58(m,2H),1.38−1.26(m,24H),0.92−0.80(m,12H)
13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:173.4,165.7,73.4,71.5,64.0,63.7,43.4,40.6,34.1,31.8,29.3,29.2,29.1,26.0,24.9,23.0,22.6,14.1,7.3
(実施例1) 重合性化合物「M−1」の製造
撹拌装置、窒素導入管、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、式(7)で表されるオキセタン誘導体36.3g(0.064モル)、ヨウ化ナトリウム22.9g(0.152モル)、およびアセトニトリルを300ml入れ、5℃以下になるように氷水バスで冷却しながら撹拌した。デカノイルクロリド25.6(0.134モル)を30分かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、5℃で1時間撹拌した後に、更に室温で3時間撹拌して反応を終了した。反応容器に少量の水を加えた後に酢酸エチルを加え、10%亜硫酸水素ナトリウムでヨウ素を分解した。更に純水、飽和食塩水の順で有機層を洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に、有機溶媒を減圧留去しジヨウ素体を65g合成した。
次いで、撹拌装置、温度計を備えた反応容器に、上記の方法で合成したジヨウ素体 62g(0.055モル)、アクリル酸15.7g(0.218モル)、p−メトキシフェノール 80mg、およびジメチルスルホキシド300gを入れ、室温で撹拌しながら1,8―ジアザビシクロ[5,4,0]7−ウンデセン(以下DBUと略す)を33.2g(0.218モル)を30分かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を90℃に加熱し、12時間撹拌して反応を終了した。反応容器に酢酸エチルを加え、1/10Nの塩酸溶液、5%水酸化ナトリウム溶液、純水、飽和食塩水の順で有機層を洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機層の溶媒を減圧留去した後、濃縮液をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、ノニル基を2個有する重合性化合物「M−1」(X:―CHOCO−、X:―CHOCO−、R=エチル基)を約35g得た。
Figure 0005019092
(物性値)
H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:6.42(d,2H),6.12(q,2H),5.84(d,2H),4.12(s,4H)4.04(s,8H),2.32(t,8H),1.62(m,8H),1.58(m,4H),1.38−1.25(m,48H),0.91−80(m,18H)
13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:173.5,165.7,131.1,127.9,64.0,63.7,40.6,34.2,31.8,29.7−29.0,26.8,24.9,23.0,22.6,14.0,10.7,7.3
赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):2925,2855,1733,1652−1622,1190,808.9
(実施例2) 重合性化合物「M−2」の製造
撹拌装置、温度計を備えた反応容器に、1−ブロモドデカン89g(0.36モル)、テトラブチルアンモニウムブロミド2.6g、ジメチルスルホキシド 150ml、および3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン 28g(0.24モル)を加え、50℃で溶解させた後に、粒状の水酸化ナトリウム 12.8g(0.32モル)を5回に分けて1時間添加した。添加終了後に反応容器を80℃に加熱して3時間撹拌して反応を終了した。反応液に酢酸エチルを1L加えた後に5%炭酸ナトリウム、純水、飽和食塩水の順で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機溶媒を減圧留去して、3−エチル−3−(ドデシルオキシメチル)オキセタンを40g得た。
実施例1と同様な反応容器に、上記中間体の3−エチル−3−(ドデシルオキシメチル)オキセタン 18.2g(0.064モル)、ヨウ化ナトリウム22.9g(0.152モル)、およびアセトニトリルを300ml入れ、5℃以下になるように氷水バスで冷却しながら撹拌した。7−エチルヘキサデカンジカルボン酸ジクロリド10.9g(0.032モル)を30分かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、5℃で1時間撹拌した後に、更に室温で3時間撹拌して反応を終了した。反応終了後は、実施例1と同様の操作を行いジヨウ素体を33g合成した。
次いで、実施例1と同様な反応容器に、上記の方法で合成したジヨウ素体 33g(0.029モル)、アクリル酸8.3g(0.116モル)、p−メトキシフェノール 40mg、およびジメチルスルホキシド300gを入れ、室温で撹拌しながらDBUを17.7g(0.116モル)を30分かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を90℃に加熱し、12時間撹拌して反応を終了した。反応終了後は、実施例1と同様な操作を行い、濃縮液をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、ドデシル基を2個有する重合性化合物「M−2」(X:―CHO−、X:―CHOCO−、R=エチル基)を約14.5g得た。
Figure 0005019092
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:6.42(d,2H),6.12(q,2H),5.84(d,2H),4.12(s,4H)4.05(s,4H),3.34(t,4H),3.29(s,4H),2.32(t,4H),1.62(m,4H),1.6−1.47(m,8H),1.25(m,64H),0.92−0.8(m,15H)
13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:173.6,165.9,130.6,128.3,71.6,70.4,64.7,64.4,41.5,34.3,32.7,31.9,29.6−29.2,26.9,26.1,25.0,23.0,22.6,14.0,7.4
赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):2925,2855,1733,1652−1622,1190,808.9
(実施例3) 重合性化合物「M−3」の製造
実施例1と同様な反応容器に、中間体の製造3で合成した式(8)で表されるオキセタン誘導体16g(0.045モル)、ヨウ化ナトリウム20.2g(0.135モル)、およびアセトニトリルを300ml入れ、5℃以下になるように氷水バスで冷却しながら撹拌した。n−ミリスチン酸クロリド20.2g(0.1モル)を30分かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、5℃で1時間撹拌した後に、更に室温で3時間撹拌して反応を終了した。反応終了後は、実施例1と同様の操作を行いジヨウ素体を44g合成した。
次いで、実施例1と同様な反応容器に、上記の方法で合成したジヨウ素体 44g(0.043モル)、アクリル酸12.4g(0.172モル)、p−メトキシフェノール 60mg、およびジメチルスルホキシド300gを入れ、室温で撹拌しながらDBUを26.2g(0.172モル)を30分かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を90℃に加熱し、12時間撹拌して反応を終了した。反応終了後は、実施例1と同様な操作を行い、濃縮液をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製しトリデシル基を有する重合性化合物「M−3」(X:―CHOCO−、X:―CHO−、R=ブチル基)を約18.6g得た。
Figure 0005019092
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:6.42(d,2H),6.12(q,2H),5.84(d,2H),4.10(s,4H)3.99(s,4H),3.34(s,4H),3.29(s,4H),2.29(t,4H),1.74(s,4H),1.6−1.25(m,52H),0.90−0.83(m,18H)
13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:173.7,165.9,130.6,128.3,71.5,70.4,65.4,64.7,50.3,41.5,34.3,31.9,29.6−29.1,25.9,24.9,23.0,22.6,14.0,7.4
赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):2925,2855,1733,1652−1622,1190,808.9
(実施例4) 重合性化合物「M−4」の製造
撹拌装置、窒素導入管、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、上記の中間体1の製造で合成した式(7)で表されるオキセタン誘導体36.3g(0.064モル)、ヨウ化ナトリウム22.9g(0.152モル)、およびアセトニトリルを300ml入れ、5℃以下になるように氷水バスで冷却しながら撹拌した。2−エチルヘキサノイルクロリド23.6(0.134モル)を30分かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、5℃で1時間撹拌した後に、更に室温で3時間撹拌して反応を終了した。反応容器に少量の水を加えた後に酢酸エチルを加え、10%亜硫酸水素ナトリウムでヨウ素を分解した。更に純水、飽和食塩水の順で有機層を洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に、有機溶媒を減圧留去しジヨウ素体を60g合成した。
次いで、撹拌装置、温度計を備えた反応容器に、上記の方法で合成したジヨウ素体 60.6g(0.055モル)、アクリル酸15.7g(0.218モル)、p−メトキシフェノール 80mg、およびジメチルスルホキシド300gを入れ、室温で撹拌しながら1,8―ジアザビシクロ[5,4,0]7−ウンデセン(以下DBUと略す)を33.2g(0.218モル)を30分かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を90℃に加熱し、12時間撹拌して反応を終了した。反応容器に酢酸エチルを加え、1/10Nの塩酸溶液、5%水酸化ナトリウム溶液、純水、飽和食塩水の順で有機層を洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機層の溶媒を減圧留去した後、濃縮液をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、2−エチルヘキシル基を2個有する重合性化合物「M−4」(X:―CHOCO−、X:―CHOCO−、R=エチル基)を約31g得た。
Figure 0005019092
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:6.42(d,2H),6.12(q,2H),5.84(d,2H),4.12(s,4H)4.04(s,8H),2.32(t,8H),1.62(m,6H),1.58(m,4H),1.38−1.25(m,44H),0.91−80(m,24H)
13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:173.5,165.7,131.1,127.9,64.0,63.7,40.6,34.2,31.8,29.7−29.0,26.8,24.9,23.0,22.6,14.0,10.7,7.6,7.3
赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):2925,2855,1733,1652−1622,1190,808.9
(実施例5) 重合性化合物「M−5」の製造
撹拌装置、窒素導入管、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、中間体の製造4で合成した式(9)で表されるオキセタン誘導体 34.5g(0.064モル)、ヨウ化ナトリウム22.9g(0.152モル)、およびアセトニトリルを300ml入れ、5℃以下になるように氷水バスで冷却しながら撹拌した。デカノイルクロリド25.6(0.134モル)を30分かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、5℃で1時間撹拌した後に、更に室温で3時間撹拌して反応を終了した。反応容器に少量の水を加えた後に酢酸エチルを加え、10%亜硫酸水素ナトリウムでヨウ素を分解した。更に純水、飽和食塩水の順で有機層を洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に、有機溶媒を減圧留去しジヨード体を61g合成した。
次いで、撹拌装置、温度計を備えた反応容器に、上記の方法で合成したジヨード体 60g(0.055モル)、アクリル酸15.7g(0.218モル)、p−メトキシフェノール 80mg、およびジメチルスルオキシド300gを入れ、室温で撹拌しながらDBUを33.2g(0.218モル)を30分かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を90℃に加熱し、12時間撹拌して反応を終了した。反応容器に酢酸エチルを加え、1/10Nの塩酸溶液、5%水酸化ナトリウム溶液、純水、飽和食塩水の順で有機層を洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機層の溶媒を減圧留去した後、濃縮液をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、ノニル基を2個有する重合性化合物「M−5」(X:―CHOCO−、X:―CHOCO−、R=メチル基)を約31g得た。
Figure 0005019092
(物性値)
H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:6.42(d,2H),6.12(q,2H),5.84(d,2H),4.12(s,4H)4.04(s,8H),2.32(t,8H),1.62(m,8H),1.58(m,2H),1.38−1.25(m,48H),0.91−80(m,18H)
13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:173.5,165.7,131.1,127.9,64.0,63.7,40.6,34.2,31.8,29.7−29.0,26.8,24.9,23.0,22.6,14.0,10.7,7.3
赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):2925,2855,1733,1652−1622,1190,808.9
(実施例6) 重合性組成物(MLC−1)の調製
下記構造のフッ素系液晶化合物からなる液晶組成物A(誘電率異方性:7.7)を70%と、実施例1で合成した化合物「M−1」29.4%、チバスペシャリティーケミカルズ社製の光重合開始剤「イルガキュアー651」0.6%を配合することにより調光層形成材料である重合性組成物(MLC−1)を得た。
Figure 0005019092
(実施例7) 光散乱型液晶デバイスの製造1
この重合性組成物(MLC−1)を、6.0μmのガラスファイバー製スペーサーが塗布された2枚のITO電極ガラス基板に挟み込み、均一な溶液状態に保つように基板全体を温度コントロールし、40mW/cmの紫外線を60秒照射し厚さ約6μmの光散乱型液晶デバイスを作製した。作製したデバイスの飽和電圧及び飽和電圧の温度依存性を評価し、結果を表1に示す。
(実施例8) 重合性組成物(MLC−2)の調製
実施例6における「M−1」に替えて実施例5で合成した化合物「M−5」29.4%を用いた以外実施例6と同様にして重合性組成物(MLC−2)を調製した。
(実施例9) 光散乱型液晶デバイスの製造2
実施例8にて調製した重合性組成物(MLC−2)を用いて、実施例7と同様にして光散乱型液晶デバイスを作製した。作製したデバイスの飽和電圧及び飽和電圧の温度依存性を評価し、結果を表1に示す。
(比較例1) 光散乱型液晶デバイスの製造3
下記構造を有する重合性化合物 29.4%、液晶組成物A 70%及び光重合開始剤「イルガキュアー651」0.6%からなる重合性組成物(MLC−3)を調製した。この重合性組成物(MLC−3)を調光層形成材料として、実施例7と同様にして光散乱型液晶デバイスを作製した。得られたデバイスの飽和電圧及び飽和電圧の温度依存性を評価し、結果を表1に示す。
Figure 0005019092
Figure 0005019092
表1に示すように、本願発明の液晶デバイスはΔVが0.2以下の優れた値を示し、−20℃から70℃の広い温度範囲において低電圧駆動が可能であった。これに対して、比較例の液晶デバイスでは飽和電圧が高く、その温度依存性も大きいものであった。
本発明の重合性化合物及び組成物は、屋外で使用するような建築物の窓やショーウィンドウ等の視野遮断のスクリーン、採光コントロールのカーテン、文字や図形を表示し高速応答性で電気的に表示を切り換える広告板や装飾表示板として有用な光散乱型液晶デバイス用の調光層形成材料として特に有用である。また、時計、コンピューター末端等の表示素子やデジタルペーパー、ICカードの情報表示、電子ブックやPDAなどの携帯情報端末やプロジェクション等の表示装置、光シャッターなどの光学素子用の材料としても有用である。

Claims (5)

  1. 一般式(1)で表されることを特徴とする重合性化合物。
    Figure 0005019092
    (式中、Xは−O−CH又は−O−CH −CH −CO−O−CH を表し、
    は炭素数4から30のアルキル基を表すが、基中に存在する1個又は2個以上の炭素原子は、酸素原子が相互に直接に結合しないものとして酸素原子により置き換えられていても良く
    は水素又はメチル基を表し、
    炭素原子数2から5のアルキル基を表し、
    及びXはそれぞれ独立して、−CHO−、−CHOCO−又は単結合を表し、
    は、炭素数1から30のアルキレン基を表すが、基中に存在する少なくとも一つのメチレン基は一般式(2)
    Figure 0005019092
    (式中、R11及びR12はそれぞれ独立して、水素又は炭素数1から8のアルキル基を表すが、基中に存在する1個又は2個以上の炭素原子は、酸素原子が相互に直接に結合しないものとして酸素原子により置き換えられていても良いが、11及びR12の少なくともどちらか一方はアルキル基を表し、mは1から10の整数を表す。)で表される置換基により置き換えられており、基中に存在する1個又は2個以上の炭素原子は、酸素原子が相互に直接に結合しないものとして酸素原子により置き換えられていても良い。
  2. 一般式(2)において、R11が炭素数1から2のアルキル基を表し、Rが炭素数4から30のアルキル基を表し、基中に存在する1個又は2個以上の炭素原子は、酸素原子が相互に直接に結合しないものとして酸素原子により置き換えられていても良い請求項1記載の重合性化合物。
  3. mが1又は2を表す請求項1記載の重合性化合物。
  4. 請求項1から3の何れかに記載の重合性化合物を含有することを特徴とする重合性組成物。
  5. 請求項4記載の重合性組成物を構成部材とする光散乱型液晶デバイス。
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