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JP4945906B2 - 二次電池用負極及びそれを用いた二次電池 - Google Patents

二次電池用負極及びそれを用いた二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、二次電池用負極及び二次電池に関し、さらに詳しくは、集電性に優れた二次電池用負極及びサイクル特性に優れた二次電池に関するものである。
携帯電話やノートパソコン等のモバイル端末の普及により、その電力源となる二次電池の役割が重要視されている。二次電池には、小型・軽量化、高容量化、高エネルギー密度化及び長寿命化等が求められている。このような要求を満たすため、特に二次電池の負極を構成する負極活物質の研究が行われている。
負極活物質として金属リチウムやリチウム合金を用いた二次電池(金属リチウム二次電池ともいう。)は、小型・軽量でエネルギー密度が高いという特徴を有するが、充放電を繰り返すことにより負極の表面に針状結晶(デンドライト)が析出することがある。この針状結晶は、正極と負極との間に設けられているセパレータを貫通して内部短絡を起こす原因となることがあるため、金属リチウム二次電池は、電池寿命及び安全性の面から問題点を有している。これに対し、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な黒鉛やハードカーボン等の炭素材料を負極活物質として用いた二次電池は、充放電を良好に繰り返すことはできるが、金属リチウム二次電池と比較して容量が小さいという欠点を有している。
ところで、最近、ケイ素を負極活物質として用いる二次電池が報告されている(例えば非特許文献1参照)。この二次電池は、負極活物質の単位体積当たりのリチウムイオンの吸蔵放出量が多いため高容量であるという特徴を有するものの、不可逆容量(初回の充電容量と放電容量の差をいう。)が大きく、充放電サイクル寿命が短いという問題点がある。このような問題点の要因としては、二次電池の充放電時、すなわちリチウムイオンが負極活物質に吸蔵される際又はリチウムイオンが負極活物質から放出される際に、負極活物質自体が膨脹収縮して微粉化することが挙げられる。こうした負極活物質の微粉化により活物質間または活物質と集電体との集電性がとれなくなり、負極の不可逆容量が大きくなる。さらに、二次電池の充放電を繰り返すとともに負極活物質の微粉化が進行して徐々に負極活物質のリチウムイオンの吸蔵放出量が減少するので、二次電池の充放電サイクル寿命が短くなる。
こうした負極活物質の微粉化を防ぐ方法として、負極活物質としてケイ素酸化物を用いることが提案されている(特許文献1参照)。また、負極活物質としてケイ素酸化物を用い、さらに負極の導電率を高めるためにTiやFe等の金属粉末を加えることが提案されている(特許文献2又は特許文献3参照)。
特許第2997741号公報(請求項1参照) 特許第3010226号公報(請求項1参照) 特許第3212018号公報(請求項1参照) ホング・リー(Hong Li)他著、「ア ハイ キャパシティ ナノ−シリコン コンポジット アノード マテリアル フォー リチウム リチャージャブル バッテリーズ(A High Capacity Nano-Si Composite Anode Material for Lithium Rechargeable Batteries)」、エレクトロケミカル アンド ソリッドステイト レターズ(Electrochemical and Solid-State Letters)、第2巻、第11号、p547−549
しかしながら、上記の特許文献1に記載の方法では、負極活物質の微粉化を防ぐことはできたが、負極活物質であるケイ素酸化物の導電率が低いため、負極の集電性が十分でないおそれがある。また、上記の特許文献2及び特許文献3に記載の方法では、負極の導電率は高くなるものの、二次電池の充放電を繰り返すことにより、ケイ素酸化物や金属粉末等の粒子間の接触性又はケイ素酸化物や金属粉末等の粒子と集電体との接触性が悪くなるため、二次電池のサイクル特性が悪化するという問題点を有している。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、その第一の目的は、集電性に優れた二次電池用負極を提供することにある。また、本発明の第二の目的は、サイクル特性に優れた二次電池を提供することにある。
本発明は、負極活物質としてのケイ素酸化物と、リチウムを吸蔵・放出しない金属Mと、を含有する無機複合物を含む活物質層が集電体上に形成されてなり、前記金属Mを構成する金属原子のうち、0価の金属原子が80原子%以上であり、前記ケイ素酸化物を構成するSi原子のうち、2価のSi原子が13原子%以下であることを特徴とする二次電池用負極である。
また、本発明は、負極活物質としてのケイ素酸化物と、リチウムを吸蔵・放出しない金属Mとを含有する無機複合物と、リチウム原子とを含む活物質層が集電体上に形成されてなり、
前記金属Mを構成する金属原子のうち、0価の金属原子が80原子%以上であり、前記ケイ素酸化物を構成するSi原子のうち、2価のSi原子が13原子%以下であることを特徴とする二次電池用負極である。
また、本発明は、正極と、上記の負極と、非水電解液と、を有することを特徴とする非水電解液二次電池である。
本発明の構成を有する二次電池用負極によれば、負極活物質内の導電性は高まると同時に導電性は均一なものとなるため、集電性が向上する。したがって、高い充電レートでの充放電が可能であり、導電性の低い部分でのLiイオンのトラップが少ないことから充放電効率を高めることができる。また、負極活物質内の電荷集中を防ぐことができ、充放電時に負極活物質が膨張・収縮を繰り返しても微粉化が起きにくく、この負極を使用した二次電池とすることで、良好なサイクル特性が得られる。
次に、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態を示す二次電池用負極の断面図である。
本発明の二次電池用負極は、無機複合物1aを構成要素として含む活物質層が集電体上に形成されてなるものである。無機複合物1aは、負極活物質としてのケイ素酸化物2aおよびリチウムを吸蔵・放出しない金属M3aを含有するものであり、これらが複合化したものである。図1は、集電体4a上に、ケイ素酸化物2aが金属M3aの粒子を内包している無機複合物1aが膜状構造をとりつつ、活物質層を形成している例を示す。
ケイ素酸化物2aは、リチウムイオンを吸蔵放出する負極活物質である。ケイ素酸化物2aは、例えば、SiOz(0<z≦2)で表されるケイ素酸化物を使用できる。SiOz(0.5≦z≦2)で表されるケイ素酸化物が好ましく、SiOz(0.8≦z≦2)で表されるケイ素の酸化物がより好ましく、SiOZ(0.9≦z<1.8)で表されるケイ素の酸化物がさらに好ましい。
また、ケイ素酸化物2aとしては、上記のSiOz(0<z≦2)で表されるケイ素酸化物以外にリチウムケイ酸塩を用いることもできる。リチウムケイ酸塩は、x(Li2O)+y(SiO2)で表されるものである。その組成は化学量論的でも非化学量論的組成でも良い。好ましくは、Lix'SiOy'(0<x’、0<y’≦4)で表されるものである。
ケイ素酸化物2aは、1種でも良く、2種以上を併用することもできる。
金属M3aは、リチウムを吸蔵・放出しない金属であり、二次電池用負極の導電性を向上させる作用を有する。例えば、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、及びLaから成る群より選ばれる1種又は2種以上の元素からなる金属又は合金を使用できる。好ましい合金としては、例えば、FepCoq、CopNiq及びFepCuq等が挙げられる。取り扱いや入手のし易さを考慮すると、Fe、Cu、Zn、Ru、Rh、Ag、Os、Ir、Auからなる群より選ばれる1種以上を含む金属又は合金が好ましく、Fe、Cu、Zn、Ru、Rh、Ag、Os、Ir、Auからなる群より選ばれる金属がより好ましい。
無機複合物1aには、上記の他、金属リチウムやLi−Si合金を含んでいても良い。
本発明の二次電池用負極では、活物質層がリチウム原子を含むことが好ましい。活物質層がリチウム原子を含むことで、充放電効率やサイクル特性が向上する。その含有量は、前記ケイ素酸化物を構成するSiの原子数を1としたとき、0.1〜8とすることが好ましい。特に、無機複合物1aがリチウム原子を含むことが好ましい。なお、無機複合物1aがリチウム原子を含む実施形態としては、ケイ素酸化物としてリチウムケイ酸塩を用いる方法、金属リチウムやLi−Si合金を別途用いる方法等が挙げられ、なかでもケイ素酸化物としてリチウムケイ酸塩を用いる方法が好ましい。
無機複合物1aは、リチウム原子を含むことが好ましい。無機複合物1aがリチウム原子を含むことで、充放電効率やサイクル特性が向上する。その含有量は、前記ケイ素酸化物を構成するSiの原子数を1としたとき、0.1〜8とすることが好ましい。なお、無機複合物1aがリチウム原子を含む実施形態としては、ケイ素酸化物としてリチウムケイ酸塩を用いる方法、金属リチウムやLi−Si合金を別途用いる方法等が挙げられ、なかでもケイ素酸化物としてリチウムケイ酸塩を用いる方法が好ましい。
無機複合物1aは、少なくともケイ素酸化物2aと金属M3aとを含有する複合物であり、(i)図1に示すように、ケイ素酸化物2aが金属M3aの粒子を内包している膜状構造、(ii)金属M3aがケイ素酸化物2aの粒子を内包している膜状構造(不図示)、(iii)ケイ素酸化物2aと金属M3aとがそれぞれ膜状になっている膜状構造(不図示)、(iv)図2に示すように、金属M3aの粒子がケイ素酸化物2aで被覆されてケイ素酸化物2aのマトリックス中に金属M3aの粒子が存在する粒子状構造、(v)図3に示すように、金属M3aの粒子がケイ素酸化物2aで被覆されて金属M3aの粒子の表面にケイ素酸化物2aの層を有する粒子状構造、(vi)ケイ素酸化物2aの粒子が金属M3aで被覆されて金属M3aのマトリックス中にケイ素酸化物2aの粒子が存在する粒子状構造(不図示)、(vii)ケイ素酸化物2aの粒子が金属M3aで被覆されてケイ素酸化物2aの粒子の表面に金属M3aの層を有する粒子状構造(不図示)、(viii)図4に示すように、ケイ素酸化物2aの粒子と金属M3aの粒子とが部分的に融着した粒子状構造のいずれもとることができる。なお、本発明において、ケイ素酸化物の粒子と金属Mの粒子とが融着していなく単に混合している形態は、無機複合物には分類されないものとする。
無機複合物1a中にはケイ素酸化物2a及び金属M3aは、均一に分布することが望ましい。また、無機複合物1aは、結晶構造又はアモルファス構造をとることができ、特に一部あるいは全てがアモルファス構造であることが好ましい。
ケイ素酸化物2aまたは金属M3aが粒子状で存在する場合、その粒径は小さければ小さい程好ましい。無機複合物1aが図2の構造をとる場合、金属M3aの平均粒径の上限は、好ましくは1ミクロン以下であり、より好ましくは500nm以下であり、さらに好ましくは100nm以下であり、特に好ましくは50nm以下である。無機複合物1aが図3の構造をとる場合、ケイ素酸化物2aの平均粒径の上限は、好ましくは1ミクロン以下であり、より好ましくは500nm以下であり、さらに好ましくは100nm以下であり、特に好ましくは50nm以下である。ケイ素酸化物2aまたは金属M3aが粒子状で存在する場合、その粒径をできるだけ小さくすることで、無機複合物1a中の導電性を高めると同時に、活物質であるケイ素酸化物2aの充放電時の膨張・収縮による応力ひずみを最小限にすることができ、活物質の微粉化を防ぐことができる。
無機複合物1a中のケイ素酸化物2aまたは金属M3aの平均粒径は、無機複合物1aの透過電子顕微鏡(TEM)による観察またはX線回折測定により確認することができる。
無機複合物1a中のケイ素酸化物2aまたは金属M3aの平均粒径測定に透過電子顕微鏡を用いた場合には、負極の断面観察によりケイ素酸化物2aまたは金属M3aの粒径を検出することができる。TEM断面像よりケイ素酸化物2aまたは金属M3aの平均粒径を算出する方法は以下に示す。
(1)ケイ素酸化物2aまたは金属M3a粒子を30個以上含んだ負極断面写真を透過電子顕微鏡により撮影する。上記負極断面写真に含まれるケイ素酸化物2aまたは金属M3a粒子は30個以上50個以下であることが望ましい。
(2)得られた画像に存在する任意の5個のケイ素酸化物2aまたは金属M3a粒子について、それぞれの粒子の外接円を描く。外接円の直径を算出し、30個の平均をとったものをケイ素酸化物2aまたは金属M3a粒子の平均粒径とする。
無機複合物1a中のケイ素酸化物2aまたは金属M3aの平均粒径測定にX線回折を用いた場合、ケイ素酸化物2aまたは金属M3aが含有する要素に帰属できる回折ピークにシェーラーの式を適用して粒径を算出することができる。ケイ素酸化物2aではSi(111)に帰属される回折ピークを用いるのが好ましい。
無機複合物1aは、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法等の真空成膜法、またはめっき法によって作製することもできる。また、これらの方法を組み合わせて無機複合物1aを作製してもよい。
真空成膜法では、ケイ素酸化物2aと金属M3aを同時にターゲットとする、または交互にターゲットを切り替えることにより無機複合物1aを形成することができる。
めっき法を用いた場合には、他の方法と組み合わせることにより無機複合物1aを形成することができる。例えば、めっき法で金属Mを成膜し、その後にCVD法、真空蒸着法、スパッタ法によりケイ素酸化物2aを成膜する方法により、無機複合物1aを形成することができる。この処理は繰り返し行うことが好ましい。
無機複合物1aは、圧接法によって作製することもできる。圧接法とは、機械的に圧力を加えて接合する方法をいう。メカニカルミリングやメカノフュージョン等を用いて圧接する方法である。メカニカルミリングとは、粉砕装置等を用いて機械的に粉砕や圧接を繰り返す方法であり、粉砕装置としては、ボールミル、ジェットミル及び乳鉢等が挙げられ、これらの粉砕装置は、ケイ素酸化物2aと金属M3aを粉砕して微粒子を作製しながら混合し圧接して複合化することができる。メカノフュージョンとは、粒子に剪断力を与えその際のエネルギーを利用する方法である。さらに、圧接法を行った後に、熱処理を施してもよい。
なかでも、無機複合物は、真空蒸着法、スパッタ法、及び圧接法のいずれかの方法を用いて作製されたものであることが好ましい。
以上のプロセスを適切な条件で行うことにより、作製した無機複合物1a中の金属M3aを構成する金属原子のうち80原子%以上を、0価とすることが可能となり、無機複合物1a中の導電性を高めることができる。0価とは、酸化されていない状態の金属原子(金属状態)を意味する。例えば、金属M3aにNiを用いた場合に、X線光電子分光にてNi2p2/3軌道を測定すると、0価の金属原子として852.5eV〜853.0eVのピークが観察される。Niが酸化されている場合には、Ni2+、Ni3+等のピークがあり、これらのピークは853.5eV〜858.0eVに存在する。Ni2p2/3軌道のうち、ピーク強度から求まる0価の金属原子の存在比が80原子%以上である場合に本発明の条件を満たすことになる。X線光電子分光以外では、X線吸収分光法も金属Mを構成する金属原子のうち0価の金属原子の割合の評価に利用することができる。金属M3aの種類によってはNMR、ESR、メスバウアー法も利用できる。
また、前記ケイ素酸化物2aを構成するSi原子のうち、2価のSi原子が10原子%以下とすることが好ましい。このように化学的に不安定な2価の存在比を10%以下とすることで、電解液その他と負極活物質との反応性を減らすことができ、不可逆容量をより低減することが可能であり、安定したサイクル特性を有するようになる。例えば、X線光電子分光にてSi2p軌道を測定すると、得られたピークは0価〜4価までの5つの酸化状態にガウス分布のカーブフィッティング等を用いてピークフィットできる。0価は99eV付近、1価は100eV付近、2価は101eV付近、3価は102eV付近、4価は103eV付近の位置にローレンツ分布やガウシアン分布等を用いてフィットさせる。
本発明では、無機複合物に含まれるケイ素原子の数を1としたとき、無機複合物に含まれる金属原子の数が0.05以上とすることが好ましい。無機複合物に含まれる金属原子の数が0.1以上であることがより好ましく、また、無機複合物に含まれる金属原子の数が0.5以下であることが好ましい。
本発明の二次電池用負極は、図1に示すように無機複合物1aが集電体4a上に膜状に形成され、無機複合物がそのまま活物質層となる構造をとることができる。上記膜状構造を形成する場合には、上述の真空成膜法または真空成膜法とCVDやめっき法を組み合わせた方法をとることが好ましい。
本発明の二次電池用負極は、例えば図2〜図4に示すように、粒子状の無機複合物1aを用いて形成することもできる。粒子状の無機複合物1aを得る際には、上述の真空成膜法または真空成膜法とCVDやめっき法を組み合わせた方法にて膜又はブロックを作製し、これを例えば上述の粉砕装置で粉砕して無機複合物1aを作製することもできる。また、上述の圧接法によって作製することもできる。このようにして作製した粒子状の無機複合物1aと、導電付与剤と、結着剤とを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の溶剤と分散混練したものを集電体4a上に塗布することにより、負極を形成できる。また、粒子状の無機複合物1aと、導電付与剤と、結着剤とに、さらに負極活物質として炭素を加えた上で、上述の方法にて負極を形成することができる。
導電付与剤は、構成された電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば特に制限なく使用できる。例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛等)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、金属粉、金属繊維、ポリフェニレン誘導体、ポリアセチレン等の導電性材料から選ばれる1種又は2種以上の導電性材料を用いることができる。導電付与剤の含有量は、上述した粒子状の無機複合物と負極活物質として任意に添加可能な炭素の合計量に対し、0.01〜50質量%程度が好ましく、より好ましくは0.4〜10質量%程度である。
結着剤としては、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、澱粉、ジアセチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スルホン化エチレンプロピレンゴム(スルホン化EPDM)、フッ素ゴム、ポリブタジエン及びポリエチレンオキシドを挙げることができ、この中でポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)が好ましい。結着剤は、1種または2種以上を用いることができる。
集電体4aは、充放電の際、電流を電池の外部に取り出す、あるいは外部から電池内に電流を取り込む電極である。この集電体4aは導電性の金属であれば特に制限はなく、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、金、タングステン、モリブデン等の単体金属またはそれらの合金が挙げられる。また、この集電体4aの厚みは、強度を保てるような厚みとすることが好ましいことから4〜100μmであることが好ましく、エネルギー密度を高める観点から5〜30μmであることがさらに好ましい。また、活物質層1aとの密着性を上げるために、集電体4aの中心線平均粗さ(Ra)は、集電体4aの厚みの1/10以上であることが好ましく、1/5以上であることがさらに好ましい。
以上説明したように、本発明の二次電池用負極は、無機複合物1a中の導電性が高いため、集電性に優れている。また本発明の負極を用いた場合、活物質であるケイ素酸化物2aの粒径が小さいことから充放電時の膨張・収縮における応力ひずみを抑制できるため、活物質の微粉化が発生し難く、サイクル特性に優れた二次電池を提供できる。
本発明の二次電池は、正極と、上述した二次電池用負極とを、セパレータを介して乾燥空気又は不活性気体雰囲気において積層する、又は積層したものを捲回した後に、容器に封入し、この容器に電解液を注入して作製される。
正極は、電気化学的にリチウムイオンを取り出せるリチウム含有化合物を含むものである。こうしたリチウム含有化合物としては、LimMOy(ただしMは、少なくとも1つの遷移金属を表す。)である複合酸化物、例えば、LimCoO2、LimNiO2、LimMn24、LimMnO3及びLimNinCo1-n2等が挙げられる。こうしたリチウム含有化合物と、カーボンブラック等の導電性物質と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の結着剤とを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の溶剤に分散混練したものをアルミニウム箔等の集電体上に塗布したものを用いることができる。
電解液は、リチウムイオン導電性の非水系電解液であり、有機溶媒にリチウム塩を溶解させたものを使用する。有機溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)およびその誘導体、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類;エチルエーテル、1,2−エトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフランおよびその誘導体、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル類;ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソランおよびその誘導体、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−プロパンサルトン、アニソール、N−メチルピロリドン等の非プロトン性有機溶媒、から選ばれる1種又は2種以上の有機溶媒を混合して使用することができる。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiAsF6、LiAlCl4、LiClO4、LiBF4、LiSbF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、Li(CF3SO22、LiN(CF3SO22、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウム、LiBr、LiI、LiSCN、LiCl及びイミド類等が挙げられる。また、電解液に代えてポリマー電解質を用いてもよい。
セパレータとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、又はフッ素樹脂等の多孔性フィルムを用いることができる。
容器の形状としては、例えば、有底円筒形、有底角筒形及び袋状を挙げることができる。容器の材質は、例えば、金属缶及びフィルム材等を挙げることができる。金属缶は、アルミニウム、鉄、ステンレス又はニッケル等からなる金属板から形成される。フィルム材としては、金属フィルム、熱可塑性樹脂等の樹脂製フィルム、金属層と樹脂層を含む複合フィルムが挙げられる。金属フィルムは、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス又はニッケル等から形成することができる。
金属層と樹脂層を含む複合フィルムとしては、例えば、可撓性を有する金属層の片面又は両面を樹脂で被覆した構成であるラミネートフィルム等を挙げることができる。このラミネートフィルムは、軽量で強度が高く且つ外部からの水分の侵入を防止することができるため好適に用いられる。樹脂層は、1種又は2種以上の樹脂から形成される。複合フィルムを用いて作製された容器の封止する際には、ヒートシール等によりなされることが多いため、樹脂層は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン等が挙げられ、熱可塑性樹脂の融点は、120℃以上、更に望ましくは140℃〜250℃の範囲にあるものが好ましい。特に、融点が150℃以上のポリプロピレンを用いるのが、ヒートシールの封止強度が高くなるため好ましい。複合フィルムを構成する金属層は、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス及びニッケル等から選ばれる1種又は2種以上の金属から形成することができる。中でも、二次電池内部への水の侵入を防ぐことのできるアルミニウムが好ましい。
容器を形成するフィルム材又は金属板の厚みは、0.05mm以上0.5mm以下にすることが好ましい。容器を形成するフィルム材又は金属板の厚みが0.05mm未満であると容器の強度が低くなることがあり、フィルム材及び金属板の厚みが0.5mmを超えると二次電池の容積・質量が大きくなるのでエネルギー密度の向上が阻害されるおそれがある。これにより、容器の強度を確保しつつ、電池の薄型化・軽量化を実現することができる。
本発明の二次電池は、負極活物質を構成する無機複合物中の導電性が優れている上、微粉化し難いため、充放電を繰り返しても負極の高い集電性が維持される。その結果、本発明の二次電池は優れたサイクル特性を有する。
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明を詳細に説明する。
(実施例1)
ケイ素酸化物としてSiOを用い、また金属MとしてNiを用いた。集電体として厚さ25μmで中心線平均粗さ(Ra)が2.5μmの電解銅箔を用いた。蒸着法にて、SiO、Niの二つの蒸着源を用いてSiO、Niを同時に集電体上に蒸着することで、これらを含有する無機複合物を形成しつつ、厚さ5μmの活物質層を形成し、負極とした。蒸着の際には、集電体を金属ドラムに密着させて、金属ドラムを水冷しながら蒸着を行い、集電体表面の温度を100℃以下に保った。活物質層内に含まれる無機複合物中のNi/Siの原子数比は0.2となるように調整した。
得られた負極の活物質層についてX線回折測定を行ったところ、NiとSiに関する結晶性の回折ピークは得られなかったが、アモルファス状態を表すブロードなピークを観測し、NiとSiはいずれもアモルファス状態であることを確認した。また、得られた負極のX線光電子分光測定を行った。負極表面から200nm程度をアルゴンでエッチングした後、Ni2p軌道、Si2p軌道について測定を行った。Ni2p軌道のスペクトルでは、Ni0価のピークのみが観測され、酸化状態のNiは確認されなかったことから、Niはほぼ100原子%が0価であることを確認した。また、Si2p軌道のスペクトルから2価のSiの存在比を見積もったところ1原子%であった。
正極活物質としては、平均粒径10μmのLiCoO2の粉末を用いた。LiCoO2粉末:黒鉛:PVDF=90:6:4の質量比となるよう混合し、スラリーを形成した。このとき溶媒にはN−メチルピロリドン溶液を用いた。このスラリーを十分に混錬後、乾燥厚さ20μmとなるようにAl箔上に塗布した。これを120℃で1時間乾燥後、ローラープレスにより電極を加圧成型し、正極とした。
上述の負極および正極の間にセパレータを挟み込み捲回した後、電解液を含浸させ、角型ラミネートセル(二次電池)を作製してその特性を評価した。電解液には、エチレンカーボネイト(EC)とジエチルカーボネイト(DEC)との3:7(体積混合比)の混合溶媒に1mol/lのLiPF6を溶解したものを用いた。
この電池を充電電流0.5A,充電終止電圧4.2Vで充電し、放電電流0.5A,放電終止電圧3.0Vで放電させる充放電サイクル試験を実施した。また、100サイクル後に交流インピーダンス法にてインピーダンス測定を行い、界面抵抗を見積もった。
(実施例2〜23)
用いるケイ素酸化物及び金属Mをそれぞれ表1に示すものとし、活物質層の作製方法、及び活物質層内に含まれる無機複合物の金属M/Siの原子数比を表1に記載のようにした以外は、実施例1と同様にして負極を作製した。なお、活物質層の作製方法については、具体的には以下のように行った。
[二元同時蒸着法](実施例7、9、11、18、19、21、22)
実施例1と同様にして活物質層を形成した。
[三元同時蒸着法](実施例2、3、8)
表1に記載のケイ素酸化物及び金属Mの三つの蒸着源を用いて、そのケイ素酸化物及び金属Mを同時に集電体上に蒸着することで、これらを含有する無機複合物を形成しつつ、厚さ5μmの活物質層を形成した。
[二元同時スパッタリング法](実施例4〜6、14〜17、20、23)
表1に記載のケイ素酸化物及び金属Mの二つのスパッタ源を用いて、そのケイ素酸化物及び金属Mを同時に集電体上にスパッタリングすることで、これらを含有する無機複合物を形成しつつ、厚さ5μmの活物質層を形成した。
[三元同時スパッタリング法](実施例10)
表1に記載のケイ素酸化物及び金属Mの三つのスパッタ源を用いて、そのケイ素酸化物及び金属Mを同時に集電体上にスパッタリングすることで、これらを含有する無機複合物を形成しつつ、厚さ5μmの活物質層を形成した。
[メッキ法+蒸着法](実施例12)
集電体上に、SiO1.5の蒸着源を用いて、厚さ0.5μmの層を形成した後、電解めっき法により厚さ0.5μmのCuの層を形成した。この工程を5サイクル繰り返すことで、これらを含有する無機複合物を形成しつつ、厚さ5μmの活物質層を形成した。
[CVD法+スパッタリング法](実施例13)
集電体上に、Mo及びLi4SiO4の二つのスパッタ源を用いて、厚さ0.5μmの層を形成した後、CVD法により厚さ0.5μmのSiの層を形成した。この工程を5サイクル繰り返すことで、これらを含有する無機複合物を形成しつつ、厚さ5μmの活物質層を形成した。
得られた負極を用いて、実施例1と同様の方法で、無機複合物の評価、二次電池の作製及びその評価を行った。
(比較例1)
比較例1として、実施例1で用いた負極に代えて、以下に示す方法で作製した負極を用いた。SiO粒子とNiO粒子とをNi/Siの原子数比が0.15となるように混合し、導電付与材、PVDFを加えた上で溶媒を加えて攪拌し、スラリーを形成した。(SiO+NiO):(導電付与材):(PVDF)=90:3:7の質量比とした。溶媒にはN−メチルピロリドンを用いた。このスラリーを十分に混錬後、厚さ20μmの圧延銅箔に塗布した。これを120℃で1時間乾燥後、ローラープレスにより電極を加圧成型し、負極とした。
得られた負極を用いて、実施例1と同様の方法で、無機複合物の評価、二次電池の作製及びその評価を行った。
実施例1〜23及び比較例1で得られたサイクル試験及びインピーダンス測定の結果を表1に示す。このとき、100サイクル後の容量維持率は、(100サイクル後における放電容量)/(1サイクル後における放電容量)の計算式にて算出した。また、インピーダンス測定の結果は、100サイクル後の電荷移動抵抗値を比較例1の電荷移動抵抗値の値で除した値で示す。電荷移動抵抗値はインピーダンス測定から得られるcolecoleプロットから算出した。実施例1〜23の二次電池では、それぞれの電荷移動抵抗値を比較例1の電荷移動抵抗値で除した値が0.20〜0.44となり、比較例1の二次電池と比較して低い値を示した。また、実施例1〜23の二次電池は、比較例1と比較して100サイクル後の容量維持率が比較例1と比べ48%以上高く、実施例1〜23の構成とすることでサイクル特性の良い電池を提供できることが証明できた。
Figure 0004945906
※界面抵抗:比較例1の界面抵抗を1としたときの相対値
※容量維持率:(100サイクル試験後の容量)/(1サイクル試験後の容量)
(実施例24)
ケイ素酸化物として平均粒径1μmのSiO1.1を、金属Mとして平均粒径1μmのFe粒子を用い、Fe/Siの原子数比が0.25となるようにSiO1.1粒子とFe粒子を配合し、遊星型ボールミル装置を用いて複合化処理を100時間行った。遊星型ボールミル装置中のボールミル容器及びその中に投入した直径2mmのボールはジルコニア製を用いた。ケイ素酸化物と金属Mの配合処理及び複合化処理はAr雰囲気で行った。次に、Ar雰囲気中、1100℃で1時間、熱処理を施し、平均粒径1μmの無機複合物を得た。
得られた無機複合物について、X線回折測定を行ったところ、Feの回折ピークが確認された。得られた回折ピークにシェーラーの式を適用したところ、Feは100nm程度の粒径を持つことを確認した。またX線光電子分光法にてFe2p軌道、Si2p軌道のスペクトルを測定したところ、Fe0価のピークのみが観測され、酸化状態のFeは確認されなかったことから、Feはほぼ100原子%が0価であることを確認した。また、Si2p軌道のスペクトルからは2価のSiの存在比が5原子%であることを確認した。
上記で得られた無機複合物、炭素粒子、導電付与剤、N−メチルピロリドンにポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶かしたものを、無機複合物:炭素粒子:ポリフッ化ビニリデン(PVDF):導電付与剤=65:20:10:5の質量比で混錬してスラリーを形成した。このとき、炭素粒子として平均粒径10μmの塊状人造黒鉛を用い、導電付与剤としてケッチェンブラックを用いた。このスラリーを厚さ10μmのCu箔からなる集電体上に塗布して活物質層を形成した。
次に、集電体上に塗布された活物質層を、120℃で1時間乾燥した後、ローラープレスにより活物質層の体積充填率が60%となるまで加圧して成型し、厚さ5μmの活物質層を有する二次電池用負極を得た。なお、活物質層の体積充填率は、液浸法により測定した。
次に、リチウム含有化合物、導電付与剤、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)をN−メチルピロリドンに溶かしたものを、リチウム含有化合物:導電付与剤:ポリフッ化ビニリデン(PVDF)=90:6:4の質量比となるよう混合し、スラリーを形成した。リチウム含有化合物としては平均粒径10μmのLiCoO2の粉末を用い、導電付与剤としては黒鉛を用いた。このスラリーを十分に混錬後、厚さ20μmのAl箔に塗布し、これを120℃で1時間乾燥後、ローラープレスにより加圧成型し、正極を作製した。
このようにして作製した二次電池用負極及び正極の間にセパレータを挟み込み捲回した後、電解液を含浸させ、ラミネート製の容器に封入して二次電池を作製した。電解液は、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との3:7(体積混合比)の混合溶媒に、1mol/lとなるようにLiPF6を溶解したものを用いた。
次に、この二次電池を充電電流1A、充電終止電圧4.2Vで充電し、放電電流1A、放電終止電圧2.5Vで放電させる充放電サイクル試験を実施して、この二次電池の特性を評価した。また、100サイクル後に交流インピーダンス法にてインピーダンス測定を行った。
(実施例25)
ケイ素酸化物として平均粒径5μmのSiO1.1を、金属Mとして平均粒径2μmのCo粒子を用い、Co/Siの原子数比は0.30となるようにSiO1.1粒子とCo粒子を配合し、これを遊星型ボールミル装置を用いて、圧接することにより複合化処理を行った。この処理の間、無機複合物を適宜取り出し、X線回折測定を行った。得られたX線回折ピークにて金属Mの粒径を確認し、金属Mの粒径が500nmになるまで複合化処理を繰り返した。得られた無機複合物にて、X線光電子分光法によりCo2p軌道、Si2p軌道のスペクトルを測定したところ、Coは80原子%が0価であることが確認できた。また、Si2p軌道のスペクトルからは2価のSiの存在比が10原子%であることを確認した。
その後、得られた無機複合物を用いた以外は、実施例24と同様の方法で二次電池用負極を作製した。また、実施例24と同様の方法にて、二次電池の作製、サイクル試験及びインピーダンス測定を行った。
(実施例26)
ケイ素酸化物として平均粒径8μmのSiO1.3を、金属Mとして平均粒径3μmのTi粒子を用い、Ti/Siの原子数比が0.35となるようにSiO1.3粒子とTi粒子を配合し、遊星型ボールミル装置を用いて混合物に複合化処理を行った。この処理の間、無機複合物は適宜取り出し、断面TEM観察を行った。得られたTEM画像にて金属Mの粒径を確認し、金属Mの粒径が50nmになるまで複合化処理を繰り返した。得られた無機複合物にてX線光電子分光法によりTi2p軌道、Si2p軌道のスペクトルを測定したところ、Tiは90原子%が0価であることが確認できた。また、Si2p軌道のスペクトルからは2価のSiの存在比が5原子%であることを確認した。
その後、得られた無機複合物を用いた以外は、実施例24と同様の方法で二次電池用負極を作製した。また、実施例24と同様の方法にて、二次電池の作製、サイクル試験及びインピーダンス測定を行った。
(実施例27)
ケイ素酸化物として平均粒径8μmのSiO1.3を、金属Mとして平均粒径3μmのMo粒子を用い、Mo/Siの原子数比は0.35となるようにSiO1.3粒子とMo粒子を配合し、遊星型ボールミル装置を用いて混合物に複合化処理を行った。この処理の間、無機複合物は適宜取り出し、X線回折測定を行った。得られたX線回折ピークにて金属Mの粒径を確認し、金属Mの粒径が600nmになるまで複合化処理を繰り返した。得られた無機複合物中のMoは90原子%が0価であることをX線光電子分光法にて確認した。また、得られた複合物中のSiの価数を確認したところ、2価Siの存在比は8原子%であることをX線光電子分光法にて確認した。
その後、得られた無機複合物を用いた以外は、実施例24と同様の方法で二次電池用負極を作製した。また、実施例24と同様の方法にて、二次電池の作製、サイクル試験及びインピーダンス測定を行った。
(実施例28)
ケイ素酸化物として平均粒径8μmのSiO1.3を、金属Mとして平均粒径3μmのCu粒子を用い、Cu/Siの原子数比は0.30となるようにSiO1.3粒子とCu粒子を配合し、遊星型ボールミル装置を用いて混合物に複合化処理を行った。この処理の間、無機複合物は適宜取り出し、X線回折測定を行った。得られたX線回折ピークにて金属Mの粒径を確認し、金属Mの粒径が1μmになるまで複合化処理を繰り返した。得られた無機複合物のCuはほぼ100原子%が0価であることをX線光電子分光法にて確認した。また、得られた無機複合物のSiの価数を確認したところ、2価Siの存在比は13原子%であることをX線光電子分光法にて確認した。
その後、得られた無機複合物を用いた以外は、実施例24と同様の方法で二次電池用負極を作製した。また、実施例24と同様の方法にて、二次電池の作製、サイクル試験及びインピーダンス測定を行った。
(比較例2)
ケイ素酸化物として平均粒径8μmのSiO1.3粒子と、平均粒径3μmのFe23粒子とを用い、SiOx粒子中のSiと、Fe23粒子中のFeとの原子数比のFe/Siが0.20となるように配合し、これに遊星型ボールミル装置を用いて、複合化処理を行った。この処理の間、複合粒子は適宜取り出し、X線回折測定を行った。得られたX線回折ピークにてFe23由来の鉄化合物の粒径を確認し、粒径が300nmになるまで複合化処理を繰り返した。上記鉄化合物中のFeは全て酸化状態(0価のFeの割合は0原子%)であることをX線光電子分光法にて確認した。また、得られた複合物中のSiの価数を確認したところ、2価Siの存在比は20原子%であることをX線光電子分光法にて確認した。
その後、上記複合化した粒子を用いた以外は、実施例24と同様の方法で二次電池用負極を作製した。また、実施例24と同様の方法にて、二次電池の作製、サイクル試験及びインピーダンス測定を行った。
実施例24〜28及び比較例2のサイクル試験及びインピーダンス測定の結果を表2に示す。このとき、100サイクル後の容量維持率は、(100サイクル後における放電容量)/(1サイクル後における放電容量)の計算式にて算出した。また、インピーダンス測定の結果は、100サイクル後の電荷移動抵抗を比較例1の電荷移動抵抗の値で除した値で示す。電荷移動抵抗値はインピーダンス測定から得られるcolecoleプロットから算出した。
実施例24〜28の二次電池では、電荷移動抵抗の値を比較例1の電荷移動抵抗の値で除した値が0.31〜0.9となり、比較例2の二次電池(1.1)と比較して低い値を示した。また、実施例24〜28の二次電池は、金属Mの平均粒径がより小さい方が好ましい傾向にあるが、全体として比較例2と比較して100サイクル後の容量維持率が29%以上高く、この構成とすることでサイクル特性の良い電池を提供できることが証明できた。
Figure 0004945906
※界面抵抗:比較例1の界面抵抗を1としたときの相対値
※容量維持率:(100サイクル試験後の容量)/(1サイクル試験後の容量)
本発明の二次電池用負極の一例を示す部分断面図である。 本発明の二次電池用負極を構成する無機複合物1aの一例を示す拡大断面図である。 本発明の二次電池用負極を構成する無機複合物1aの一例を示す拡大断面図である。 本発明の二次電池用負極を構成する無機複合物1aの一例を示す拡大断面図である。
符号の説明
1a・・・無機複合物
2a・・・ケイ素酸化物
3a・・・金属M
4a・・・集電体

Claims (14)

  1. 負極活物質としてのケイ素酸化物と、リチウムを吸蔵・放出しない金属Mと、を含有する無機複合物を含む活物質層が集電体上に形成されてなり、
    前記金属Mを構成する金属原子のうち、0価の金属原子が80原子%以上であり、前記ケイ素酸化物を構成するSi原子のうち、2価のSi原子が13原子%以下であることを特徴とする二次電池用負極。
  2. 前記ケイ素酸化物を構成するSi原子のうち、2価のSi原子が10原子%以下であることを特徴とする請求項1に記載の二次電池用負極。
  3. 前記金属Mを構成する金属原子として、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、及びLaから成る群より選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の二次電池用負極。
  4. 前記ケイ素酸化物を構成するSiの原子数を1としたとき、前記金属Mを構成する金属原子の原子数が0.05以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二次電池用負極。
  5. 前記ケイ素酸化物を構成するSiとOとの原子数の比を1:zで表したとき、0.5≦z≦2であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二次電池用負極。
  6. 負極活物質としてのケイ素酸化物と、リチウムを吸蔵・放出しない金属Mとを含有する無機複合物と、リチウム原子とを含む活物質層が集電体上に形成されてなり、
    前記金属Mを構成する金属原子のうち、0価の金属原子が80原子%以上であり、前記ケイ素酸化物を構成するSi原子のうち、2価のSi原子が13原子%以下であることを特徴とする二次電池用負極。
  7. 前記無機複合物がリチウム原子を含む請求項6に記載の二次電池用負極。
  8. 前記ケイ素酸化物としてリチウムケイ酸塩を含む請求項7に記載の二次電池用負極。
  9. 前記無機複合物の一部または全てがアモルファス構造をとることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の二次電池用負極。
  10. 前記無機複合物が膜状構造をとることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の二次電池用負極。
  11. 前記無機複合物が粒子状構造をとることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の二次電池用負極。
  12. 前記無機複合物中に粒子状の金属Mが存在し、該粒子状の金属Mの平均粒径が500nm以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の二次電池用負極。
  13. 前記無機複合物が、真空蒸着法、スパッタ法、及び圧接法のいずれかの方法を用いて作製されたことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の二次電池用負極。
  14. 正極と、請求項1〜13のいずれかに記載の二次電池用負極と、非水電解液と、を有することを特徴とする非水電解液二次電池。
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