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JP4941204B2 - プリント配線板用銅箔及びその表面処理方法 - Google Patents

プリント配線板用銅箔及びその表面処理方法 Download PDF

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JP4941204B2 JP2007251382A JP2007251382A JP4941204B2 JP 4941204 B2 JP4941204 B2 JP 4941204B2 JP 2007251382 A JP2007251382 A JP 2007251382A JP 2007251382 A JP2007251382 A JP 2007251382A JP 4941204 B2 JP4941204 B2 JP 4941204B2
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Description

本発明は、原箔に表面処理を施して光沢面を形成するプリント配線板用銅箔及びその表面処理方法に係り、特に、耐加熱変色性と酸溶解性に優れた皮膜を有し、環境保護を配慮したプリント配線板用銅箔及びその表面処理方法に関する。
プリント配線板は、一般に銅箔と合成樹脂などの基材とを加熱圧着して張り合わせて銅張積層板を形成し、その後目的とする回路を形成するためにフォトレジストによる回路を印刷した後、不要の銅部をエッチングにより除去して回路を形成することにより作製される。プリント配線板用銅箔は、基材との接着面となる粗化面と配線の表面になる光沢面とを有する。
粗化面においては基材との接着力を確保するための処理を行い、さらに基材との接着性における耐熱、耐薬品などの接着特性やエッチング特性などを安定化させることについて様々な表面処理が付与されている。
一方、反対側の面である光沢面においては耐加熱変色性、半田ぬれ性、レジスト密着性、酸溶解性などが要求されており粗化面側、光沢面側においてそれぞれ別の処理法が必要であり検討されている。
一般にプリント配線板に用いられる基材としては、リジッド材であるガラスエポキシ基材が用いられているが、近年、電子機器の小型、軽量化から、プリント配線板においては薄くて軽く、また折り曲げ性に優れたフレキシブル基板の需要が増えており、基材としてはポリイミド基材が主に用いられる。
リジッド基板用のガラスエポキシ基材と銅箔とを張り合わせる際には160〜170℃の温度で1〜2時間加熱圧着されるが、フレキシブル基板用のポリイミド基材に対しては高温の条件で張り合わされ、特に接着剤を介さない2層フレキ(ポリイミドワニスを直接銅箔上に塗布し、フレキシブル基板としたもので、ポリイミド層と銅箔層の2層構造となっているため、2層フレキと呼ぶ)においてはさらに高温で張り合わせるため、銅箔の光沢面側特性のうち耐加熱変色性はきわめて重要な特性の1つになっている。
また、最近では配線のファイン化にともない銅箔の薄厚化が必要になり、基材と銅箔とを張り合わせた後、銅箔を酸により溶解する処理を行うため、酸溶解性も重要な特性となっている。
耐加熱変色性においては、これまで200〜250℃で10分程度の処理で酸化されなければよかったが、先に述べた特に2層フレキに対しては300℃で30分の加熱処理でも酸化変色しない耐加熱変色性が求められる。一方、酸溶解性に対しては、銅用の酸溶解液を用いた表面処理層の溶解速度が銅と同等であることが必要になっている。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
特許第2517503号公報 特開平10−135594号公報 特開2006−319287号公報 特開2003−201585号公報 特開平9−87888号公報 特開2006−319286号公報 特開2005−240132号公報
一般に、光沢面側の処理においては、亜鉛めっきしてクロメート処理が施されるが、この処理においては、200〜250℃で10分程度の耐加熱変色性しか有さない。したがって、300℃、30分の高温処理でも変色せず、また酸溶解性が良好な表面処理が必要になる。
さらに、施すクロメート処理は6価クロムを用いた処理を行っており、近年規制の厳しくなった環境問題において使用しないことが好ましくなっている。
そこで、本発明の目的は、従来からの亜鉛めっきとクロメート処理に対して300℃、30分の高温処理でも変色を起こさないよう銅箔光沢面の耐加熱変色性を高め、また酸に対する溶解性が良好で、6価クロムを用いない環境にも配慮したプリント配線板用銅箔及びその表面処理方法を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、箔の表面に、ニッケルとコバルトからなる合金層を形成し、その上に亜鉛層と6価クロムを用いずに形成したクロメート層とからなる防錆層を形成することにより光沢面を形成するプリント配線板用銅箔において、前記合金層は、ニッケル付着量が0.5μg/cm2以上2.0μg/cm2以下であり、コバルト付着量が、ニッケル付着量とコバルト付着量の合計に対して40%以上80%以下の質量比とし、その上に前記防錆層を形成した結果、前記光沢面の300℃、30分の高温加熱処理に対する耐加熱変色性について(JIS Z 8729)に基づく色差が0.5より小さい耐加熱変色性を備え、かつ前記光沢面の酸溶解速度が銅箔単体の酸溶解速度と比べて略9割以上の値を有することを特徴とする、銅箔光沢面における高温の熱処理に対する耐加熱変色性と酸溶解性が優れたプリント配線板用銅箔である。
なお、上記の原箔とは、本願において何ら表面処理等を施していない状態の銅箔をいうものとする。
また、ここで上記の色差とは、銅箔を恒温槽を用いて300℃、30分加熱処理し、その処理前後の変色の度合いについて、色彩色度計を用いてL*(明るさ)、a*(赤―緑軸の色度)、b*(黄―青軸の色度)を測定し、(JIS Z 8729)に基づいて、各々の処理前後の測定値の差から色差として、ΔE*ab=[(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*2]1/2により求めた値(ΔE*ab)である。
また、上記の酸溶解速度とは、過酸化水素と硫酸とを主成分とするエッチング液にて溶解した場合の溶解前後の重量測定から求めたものであり、この速度が銅箔単体(めっき無し)を同エッチング液にてエッチングした場合の酸溶解速度との比較で略9割以上の値であるとの意味である。
請求項2の発明は、前記亜鉛層の亜鉛付着量が0.5μg/cm2以上2.0μg/cm2以下であり、前記6価クロムを用いずに形成したクロメート層のクロム付着量が0.3μg/cm2以上1.2μg/cm2以下である請求項1に記載の、銅箔光沢面における高温の熱処理に対する耐加熱変色性と酸溶解性が優れたプリント配線板用銅箔である。
請求項3の発明は、前記箔の裏面に粗化めっき層を形成した後、前記合金層、前記亜鉛層、および前記6価クロムを用いずに形成したクロメート層を順次、前記箔の表面の光沢面と同時に形成して粗化面を形成する請求項1または2に記載の、銅箔光沢面における高温の熱処理に対する耐加熱変色性と酸溶解性が優れたプリント配線板用銅箔である。
請求項4の発明は、箔の表面に、ニッケルとコバルトからなる合金層を形成し、その上に亜鉛層と6価クロムを用いずに形成したクロメート層とからなる防錆層を形成することにより光沢面を形成するプリント配線板用銅箔の表面処理方法において、前記合金層を、ニッケル付着量が0.5μg/cm2以上2.0μg/cm2以下、コバルト付着量が、ニッケル付着量とコバルト付着量の合計に対して40%以上80%以下の質量比とし、その上に前記防錆層を形成した結果、前記光沢面の300℃、30分の高温加熱処理に対する耐加熱変色性について(JIS Z 8729)に基づく色差が0.5より小さい耐加熱変色性を備え、かつ前記光沢面の酸溶解速度が銅箔単体の酸溶解速度と比べて略9割以上の値を有するように形成することを特徴とする、銅箔光沢面における高温の熱処理に対する耐加熱変色性と酸溶解性が優れたプリント配線板用銅箔の表面処理方法である。
請求項5の発明は、前記合金層と前記亜鉛層とは電気めっきにより形成し、前記6価クロムを用いずに形成したクロメート層は3価のクロメート処理液で浸漬処理して形成する請求項4に記載の、銅箔光沢面における高温の熱処理に対する耐加熱変色性と酸溶解性が優れたプリント配線板用銅箔の表面処理方法である。
請求項6の発明は、前記箔の裏面に粗化めっき層を形成した後、前記箔の表面と裏面とに、前記合金層、前記亜鉛層、および前記6価クロムを用いずに形成したクロメート層を順次同時に形成する請求項4または5に記載の、銅箔光沢面における高温の熱処理に対する耐加熱変色性と酸溶解性が優れたプリント配線板用銅箔の表面処理方法である。
本発明によれば、銅箔の光沢面において、プリント配線板作製時の高温の熱処理に対しても変色しない耐加熱変色性を有し、かつプリント配線板のファイン化にともなう銅箔の薄肉化のための酸処理に対して酸溶解性が良好であるプリント配線板用銅箔を実現できる。
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、本発明の好適な実施形態を示すプリント配線板用銅箔の断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るプリント配線板用銅箔1は、箔2の表面s1に、ニッケルとコバルトからなる合金層3を形成し、その上に亜鉛層4と6価クロムを用いずに形成したクロメート層5とからなる防錆層を形成して光沢面Sを形成するものであり、ニッケルとコバルトからなる合金層3は、ニッケル付着量が0.5μg/cm2以上2.0μg/cm2以下、望ましくは0.7μg/cm2以上2.0μg/cm2以下、さらに望ましくは1.2μg/cm2以上2.0μg/cm2以下であり、コバルト付着量が、ニッケル付着量とコバルト付着量の合計に対して40%以上80%以下、望ましくは60%以上80%以下、さらに望ましくは65%以上80%以下の質量比である。
これは、ニッケル付着量が0.5μg/cm2未満では、高温処理(例えば、300℃、30分の加熱処理)によって変色が生じ、耐加熱変色性が悪化し、2.0μg/cm2を超えると表面色が灰色状になり、半田濡れ性が悪化するためである。
また、コバルト付着量がニッケル付着量とコバルト付着量の合計に対して40%未満の質量比では酸溶解性が悪化し、80%を超える質量比では効果に変化が無く、不経済である。
ニッケルとコバルトからなる合金層3は、耐加熱変色性および耐湿変色性を向上させると同時に、良好な酸溶解性を有する。ニッケルおよびコバルトはそれぞれ単体のめっきでも耐加熱変色性、耐湿変色性を有するが、ニッケルとコバルトからなる合金とすることでその効果を高めることができる。また、このニッケルとコバルトからなる合金層3は、箔2の銅原子の拡散を防止するバリア層としても機能し、さらに箔2と亜鉛層4とが合金化することを防ぐ。また、コバルトはポリイミドの反応を活発にすると考えられており、基材(図示せず)としてポリイミドを用いる場合、粗化面Mにおいて基材との接着性を向上させる効果もある。
箔2としては、圧延銅箔もしくは電解銅箔(ただし、ここでいう銅箔は原箔と同義である。)を用いるとよい。
また、本実施形態に係るプリント配線板用銅箔1では、亜鉛層4の亜鉛付着量が0.5μg/cm2以上2.0μg/cm2以下であり、6価クロムを用いずに形成したクロメート層5のクロム付着量が0.3μg/cm2以上1.2μg/cm2以下であるとよい。
これは、亜鉛層4の亜鉛付着量が0.5μg/cm2未満であると防錆層としての役割を果たさず、さらにクロム付着量を制御することが困難となり、2.0μg/cm2を超えると、プリント配線板を形成する際にエッチングにより回路側面に露出した亜鉛が、製造工程中に塩酸や無電解スズめっき液によって溶出しやすくなるためである。無電解スズめっきは、プリント配線板の製造工程において、他のプリント配線板や電子部品との接続部分や半田接合する部分などに、防食性や半田濡れ性の向上を目的として施されることがある。
また、クロム付着量が0.3μg/cm2未満であると防錆能力が不足し、1.2μg/cm2を超えると6価クロムを用いずに形成したクロメート層5が厚く脆弱になり、剥離しやすくなる。
この6価クロムを用いずに形成したクロメート層5は、有害な6価クロムを含まない、3価のクロメート処理液で浸漬処理して形成するとよい。
亜鉛層4は、6価クロムを用いずに形成したクロメート層5の形成を補助すると共に防錆層として機能し、6価クロムを用いずに形成したクロメート層5は防錆層として機能すると共に耐食性を付与する。
また、本実施形態に係るプリント配線板用銅箔1では、箔2の裏面s2に粗化めっき層6を形成した後、ニッケルとコバルトからなる合金層33、亜鉛層34、および6価クロムを用いずに形成したクロメート層35を順次形成して粗化面Mを形成する。粗化めっき層6は、プリント配線板用銅箔1と図示しない基材とを接着する際に、接着性を高めるために形成される。
さらに、プリント配線板用銅箔1の粗化面Mにおいては、6価クロムを用いずに形成したクロメート層35の上にシランカップリング剤を塗布し、これを乾燥させてシランカップリング処理層7を形成する。シランカップリング剤としては、基材にポリイミドを用いる場合、アミノシランなどを用いるとよい。
次に、本実施形態に係るプリント配線板用銅箔の表面処理方法を説明する。
本実施形態に係るプリント配線板用銅箔の表面処理方法は、まず、箔2の表面を清浄化するため、前処理として水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ溶液で陰極電解脱脂した後、硫酸などの酸溶液に浸漬して酸処理を行うとよい。
前処理を行った後、箔2の粗化面に粗化めっき層6を形成する。
この粗化めっき層6は、例えば、ヤケめっきによって箔2の粗化面に粒状の銅を析出させる、または酸を用いて結晶粒界の選択エッチングを行うことで形成するとよい。
その後、箔2の表面と裏面とに、ニッケルとコバルトからなる合金層3、33を電気めっき(電解めっき)により同時に形成する。
このとき、図2のめっき装置20を用いて電気めっきする。
このめっき装置20は、被めっき対象である箔2の表面に電気めっき処理を行う装置であり、複数の不溶性陽極板22(図2では3つ)と、箔21を搬送する複数の搬送用ロール23(図2では3つ)とを備え、銅箔2を陰極とし、不溶性陽極板22を陽極として電気めっきを行うものである。
不溶性陽極板22としては、例えば、チタン、チタン合金、白金、白金合金、チタンに白金をめっきしたもの、およびチタンに酸化イリジウムを付着させたものなどを用いるとよい。
ニッケルとコバルトからなる合金層3、33を形成するためのめっき浴Aの浴組成および処理条件の一例を次に示す。
めっき浴A
硫酸ニッケル六水和物(NiSO4・6H2O):150〜200g/L
硫酸コバルト七水和物(CoSO4・7H2O):20〜30g/L
クエン酸一水和物(C687・H2O):10〜20g/L
液温:35〜45℃
pH:3.0〜4.0
電流密度Dk:0.5〜2.0A/dm2
処理時間:2〜5秒
めっき浴Aを用いてニッケルとコバルトからなる合金層3、33を形成した後、そのニッケルとコバルトからなる合金層3、33の上に亜鉛層4、34を電気めっきにより同時に形成する。
亜鉛層4、34を形成するためのめっき浴Bの浴組成および処理条件の一例を次に示す。
めっき浴B
硫酸亜鉛七水和物(ZnSO4・7H2O):80〜100g/L
クエン酸三ナトリウム(C65Na37):15〜25g/L
液温:15〜25℃
pH:3.0〜4.0
電流密度Dk:0.3〜2.0A/dm2
処理時間:2〜5秒
めっき浴Bを用いて亜鉛層4、34を形成した後、3価のクロメート処理液で浸漬処理して6価クロムを用いずに形成したクロメート層5、35を同時に形成する。
6価クロムを用いずに形成したクロメート層5、35を形成するためのクロメート処理液Cの浴組成および処理条件の一例を次に示す。
クロメート処理液C
硫酸クロム九水和物(Cr(SO43・9H2O):0.05〜0.25g/L
硝酸(HNO3):2〜20g/L
液温:20〜30℃
pH:3.0〜4.0
処理時間:2〜10秒
クロメート処理液Cを用いて6価クロムを用いずに形成したクロメート層5、35を形成した後、粗化面Mのクロメート層35の上にシランカップリング剤を塗布し、これを乾燥してシランカップリング処理層7を形成する。
以上により、本実施形態に係るプリント配線板用銅箔1が得られる。
本実施形態に係るプリント配線板用銅箔1を用いてプリント配線板を作製する際は、プリント配線板用銅箔1の粗化面Mを基材側として基材と加熱圧着する、もしくはプリント配線板用銅箔1の粗化面に直接ポリイミドワニスを塗布して基材とプリント配線板用銅箔1を接着する。その後、プリント配線板用銅箔1の光沢面Sにフォトレジストによる回路を印刷した後、不要の銅部をエッチングにより除去して回路を形成するとよい。また、配線のファイン化のため、プリント配線板用銅箔1を酸により溶解する処理を行ってもよい。
本実施形態の作用を説明する。
本実施形態に係るプリント配線板用銅箔1は、ニッケルとコバルトからなる合金層3のニッケル付着量が0.5μg/cm2以上2.0μg/cm2以下であり、コバルト付着量が、ニッケル付着量とコバルト付着量の合計に対して40%以上80%以下の質量比としている。
これにより、ニッケル付着量が不足して耐加熱変色性が低下するのを防ぐことができ、例えば、300℃、30分の高温処理によっても変色が生じないようにすることができる。
また、コバルト付着量が不足して酸溶解性が低下するのを防ぐことができるため、銅と同等の良好な酸溶解速度を得ることができる。
さらに、ニッケル付着量が多すぎて半田濡れ性が悪化すること、コバルト付着量が過大となり不経済となることを防ぐことができる。
また、本実施形態に係るプリント配線板用銅箔1では、亜鉛層4の亜鉛付着量が0.5μg/cm2以上2.0μg/cm2以下であり、6価クロムを用いずに形成したクロメート層5のクロム付着量が0.3μg/cm2以上1.2μg/cm2以下としている。
これにより、亜鉛付着量およびクロム付着量が不足して防錆層としての機能が低下するのを防ぐことができ、かつ亜鉛付着量が多すぎて亜鉛層4の亜鉛が溶出したり、クロム付着量が多すぎて6価クロムを用いずに形成したクロメート層5が剥離しやすくなるのを防ぐことができる。
また、本実施形態に係るプリント配線板用銅箔の表面処理方法では、6価クロムを用いずに形成したクロメート層5は3価のクロメート処理液で浸漬処理して形成している。
これにより、有害な6価クロムを用いないため、環境への負荷を低減できる。
さらに、本実施形態に係るプリント配線板用銅箔の表面処理方法は、箔2の裏面s2に粗化めっき層6を形成した後、ニッケルとコバルトからなる合金層3、33、亜鉛層4、34、および6価クロムを用いずに形成したクロメート層5、35を順次同時に形成している。
これにより、箔2の表面s1と裏面s2とに同時にめっき処理ができ、作業時間を短縮できる。
また、本実施形態に係るプリント配線板用銅箔の表面処理方法によれば、本実施形態に係るプリント配線板用銅箔1を容易に作製できる。
箔2には厚さ18μmの圧延銅箔を用いた。圧延銅箔表面を清浄化するために水酸化ナトリウム40g/L、炭酸ナトリウム20g/L、温度40℃のアルカリ溶液で電流密度5A/dm2、処理時間30秒にて陰極電解脱脂した後、硫酸10%、室温の溶液で30秒処理による前処理を施した。
この箔2に硫酸ニッケル六水和物175g/L、硫酸コバルト七水和物25g/L、クエン酸一水和物15g/L、温度40℃、pH3.3に調整しためっき浴Aを用いて電流密度0.8A/dm2で3.5秒間電解処理してニッケルとコバルトからなる合金層3、33を施した。
次いで、硫酸亜鉛七水和物95g/L、クエン酸三ナトリウム20g/L、温度25℃、pH3.2に調整しためっき浴Bを用いて電流密度0.5A/dm2で3.5秒間電解処理して亜鉛層4、34を施した。
次いで、硫酸クロム九水和物0.2g/L、硝酸10g/L、温度25℃、pH3.7に調整したクロメート処理液Cを用いて5秒間浸漬処理して3価クロメート処理を施した。
めっき付着量は、皮膜を酸に溶解した後、誘導プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)により測定を行った。その結果、ニッケル付着量が1.2μg/cm2、コバルト付着量が2.2μg/cm2、亜鉛付着量が1.2μg/cm2、クロム付着量が0.8μg/cm2であることを確認した(実施例1)。
実施例2〜8では、電流密度と浴組成とを調整することで、ニッケルとコバルトからなる合金層3、33のニッケル付着量、コバルト付着量、およびニッケルとコバルトの質量比を変えて実施例1と同様にプリント配線板用銅箔1を作製した。
得られたプリント配線板用銅箔1の光沢面Sの特性について下記の耐加熱変色性と酸溶解性の項目についてそれぞれ評価した。
(1)耐加熱変色性
耐加熱変色性は、恒温槽を用いて300℃、30分加熱処理し、変色の評価は色彩色差計を用いてL*(明るさ)、a*(赤−緑軸の色度)、b*(黄−青軸の色度)を測定し、(JIS Z 8729)に基づいて式(1)に示す色差△E*abにより評価した。
△E*ab=[(△L*2+(△a*2+(△b*21/2 (1)
色差は、△E*ab値により表1のように評価される。
Figure 0004941204
(2)酸溶解性
酸溶解性はプリント配線板用銅箔1を過酸化水素と硫酸とを主成分とした市販のエッチング液(CPE700、三菱瓦斯化学製)で溶解し、溶解前後の重量測定より溶解速度を測定した。銅単体での溶解速度を基準にして評価した。
比較例として、ニッケルとコバルトの合金層においてニッケル付着量が0.5μg/cm2未満の場合(比較例1)、ニッケルとコバルトからなる合金層が無い、亜鉛めっきとクロメート処理のみを施した場合(比較例2)、ニッケルとコバルトからなる合金層にかえてニッケル単体層にした場合(比較例3)、銅箔単体(=原箔)の場合(比較例4)の試料を作製し、実施例と同様の評価を行った。
試験結果をまとめて表2に示す。
Figure 0004941204
表2の試験結果より、本発明による実施例1〜8では耐加熱変色性、酸溶解性がともに良好であることがわかる。これに対して、ニッケル付着量が0.5μg/cm2未満の比較例1、亜鉛めっきとクロメート処理のみの比較例2では耐加熱変色性が悪く、ニッケル単体層のみでコバルトが含まれない比較例3では、酸溶解性が悪くなっている。さらに、実施例1〜8は銅箔単体(=原箔)である比較例4とほぼ同等の酸溶解速度であることがわかった。
したがって、箔表面に亜鉛めっきとクロメート処理の前にニッケルとコバルトからなる合金層をニッケル付着量が0.5μg/cm2以上2.0μg/cm2以下、コバルトの付着量がニッケル付着量とコバルト付着量の合計に対して40%以上80%以下の質量比で形成することにより、300℃、30分の耐加熱変色試験に対して変色せず、また酸溶解性においてはバリヤー金属として一般に知られるニッケル皮膜よりも優れた酸溶解性を示し、更に素材の銅と同等で良好な酸溶解性が得られることが確認できた。
発明の好適な実施形態を示すプリント配線板用銅箔の横断面図である。 本実施形態に係るプリント配線板用銅箔の表面処理方法に用いるめっき装置の概略図である。
1 プリント配線板用銅箔

3 合金層
4 亜鉛層
6価クロムを用いずに形成したクロメート層

Claims (6)

  1. 箔の表面に、ニッケルとコバルトからなる合金層を形成し、その上に亜鉛層と6価クロムを用いずに形成したクロメート層とからなる防錆層を形成することにより光沢面を形成するプリント配線板用銅箔において、前記合金層は、ニッケル付着量が0.5μg/cm2以上2.0μg/cm2以下であり、コバルト付着量が、ニッケル付着量とコバルト付着量の合計に対して40%以上80%以下の質量比とし、その上に前記防錆層を形成した結果、前記光沢面の300℃、30分の高温加熱処理に対する耐加熱変色性について(JIS Z 8729)に基づく色差が0.5より小さい耐加熱変色性を備え、かつ前記光沢面の酸溶解速度が原箔の酸溶解速度と比べて略9割以上の値を有することを特徴とする、銅箔光沢面における高温の熱処理に対する耐加熱変色性と酸溶解性が優れたプリント配線板用銅箔。
  2. 前記亜鉛層の亜鉛付着量が0.5μg/cm2以上2.0μg/cm2以下であり、前記6価クロムを用いずに形成したクロメート層のクロム付着量が0.3μg/cm2以上1.2μg/cm2以下である請求項1に記載の、銅箔光沢面における高温の熱処理に対する耐加熱変色性と酸溶解性が優れたプリント配線板用銅箔。
  3. 前記箔の裏面に粗化めっき層を形成した後、前記合金層、前記亜鉛層、および前記6価クロムを用いずに形成したクロメート層を順次、前記箔の表面の光沢面と同時に形成して粗化面を形成する請求項1または2に記載の、銅箔光沢面における高温の熱処理に対する耐加熱変色性と酸溶解性が優れたプリント配線板用銅箔。
  4. 箔の表面に、ニッケルとコバルトからなる合金層を形成し、その上に亜鉛層と6価クロムを用いずに形成したクロメート層とからなる防錆層を形成することにより光沢面を形成するプリント配線板用銅箔の表面処理方法において、前記合金層を、ニッケル付着量が0.5μg/cm2以上2.0μg/cm2以下、コバルト付着量が、ニッケル付着量とコバルト付着量の合計に対して40%以上80%以下の質量比とし、その上に前記防錆層を形成した結果、前記光沢面の300℃、30分の高温加熱処理に対する耐加熱変色性について(JIS Z 8729)に基づく色差が0.5より小さい耐加熱変色性を備え、かつ前記光沢面の酸溶解速度が原箔の酸溶解速度と比べて略9割以上の値を有するように形成することを特徴とする、銅箔光沢面における高温の熱処理に対する耐加熱変色性と酸溶解性が優れたプリント配線板用銅箔の表面処理方法。
  5. 前記合金層と前記亜鉛層とは電気めっきにより形成し、前記6価クロムを用いずに形成したクロメート層は3価のクロメート処理液で浸漬処理して形成する請求項4に記載の、銅箔光沢面における高温の熱処理に対する耐加熱変色性と酸溶解性が優れたプリント配線板用銅箔の表面処理方法。
  6. 前記箔の裏面に粗化めっき層を形成した後、前記箔の表面と裏面とに、前記合金層、前記亜鉛層、および前記6価クロムを用いずに形成したクロメート層を順次同時に形成する請求項4または5に記載の、銅箔光沢面における高温の熱処理に対する耐加熱変色性と酸溶解性が優れたプリント配線板用銅箔の表面処理方法。
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