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JP4940727B2 - ハブユニット及びハブユニットの製造方法 - Google Patents

ハブユニット及びハブユニットの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ハブユニット及びハブユニットの製造方法に関する。
車体側に非回転に取り付けられる外輪と、この外輪と同心に配置されるとともに外輪に複数列の転動体を介して軸心回りに回転自在に設けられるハブホイールとを備えるハブユニットがある。このハブユニットは、車体に取り付けられて、車輪を支持する。
ハブユニットの車体への取付けは、外輪の外周面からラジアル方向に突出形成された外輪フランジ部を車体側固定部材へ当接してボルトにて固定することにより行われている(例えば、特許文献1)。
特開2006−7820号公報
ところで、外輪フランジ部のボルトとの締結座面(車両アウタ側主表面)は、旋削加工が施されることが多い。外輪フランジ部の旋削目は、外輪の軸心を中心とした同心円の切削目とされ、このため外輪フランジ部の切削目とボルト締め付け方向が不一致となる。また、外輪フランジ部の面粗さの形状のためにボルト締め付けによりボルト座面のコーティング剥がれが発生する。これらの要因によりボルト座面と外輪フランジ部との摩擦係数が不安定となり規定の軸力が得られない問題が発生している。
本発明の課題は、車体側に固定するためのボルト挿通孔を有する外輪フランジ部のボルトとの締結座面を改良し、ボルト締結時の締め付け力を効果的に確保できるハブユニットとその製造方法を提供する。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記課題を解決するための本発明のハブユニットは、
車体側に非回転に取り付けられる外輪と、この外輪と同心に配置されるとともに外輪に転動体を介して軸心回りに回転自在に設けられ車両の車輪と一体回転するハブホイールとを備えるハブユニットであって、
外輪は、該外輪の外周面にラジアル方向に突出する外輪フランジ部が設けられ、
該外輪フランジ部は、車両インナ側主表面を車体の車体側固定部材に当接しボルトにて固定するためのボルト挿通孔がアキシャル方向に形成され、
ボルトの頭部座面と当接する外輪フランジ部の車両アウタ側主表面が、ワイパーチップによってラジアル方向にツールマークが配列する旋削加工面とされるとともに、該旋削加工面は、形成されたツールマークの隣接間隔が310μm以上600μm以下であり、ツールマークの隣接方向と平行に測定した粗さ曲線から求められるパラメータのうち、切断レベル50%における粗さ曲線の負荷長さ率Rmr(50%)が37%以上60%以下であり、十点平均粗さRzJISが1.5μm以上8μm以下であることを特徴とする。
また、本発明のハブユニットの製造方法は、上記本発明のハブユニットを製造するための方法であって、外輪フランジ部の車両アウタ側主表面の旋削加工を、ワイパーチップを用いて行なうことを特徴とする。
なお、本発明において使用する粗さパラメータは、負荷長さ率Rmr及びスキューネスRskがJIS:B0601(2001)、十点平均粗さRzJISがJIS:B0601(2001)、RpkがJIS:B0671−2(2002)に規定された方法により測定されたものを意味するものとする。また、基準長さlrは0.8mmに選定する。
すなわち、本発明においては、外輪フランジ部の車両アウタ側主表面を旋削加工面とする場合、該旋削加工面に形成されたツールマークの隣接間隔を310μm以上600μm以下とする。そして、外輪フランジ部の車両アウタ側主表面の切断レベル50%における粗さ曲線の負荷長さ率Rmr(50%)が37%以上、十点平均粗さRzJISを8μm以下とすることにより、外輪フランジ部の車両アウタ側主表面とボルトの頭部座面との間の摩擦が効果的に低減され、ボルト締結時に必要な締め付け力を確保することができる。
加工面の平坦性を示す指標としては従来十点平均粗さRzJISが多用され、この値が小さいほど摩擦低減に効果があることはよく知られている通りである。しかし、十点平均粗さRzJISを小さくするだけでボルト締結時の締め付け力の確保に十分な程度の摩擦低減効果を達成するには、該十点平均粗さRzJISの値を相当に小さくしなければならず、加工面を旋削後、砥石や砥粒を用いた研磨加工を行なう必要があり、非常にコストがかかる難点がある。そこで本発明では、外輪フランジ部の車両アウタ側主表面を、研磨を行なわないか、行なっても旋削加工上がりの状態でのプロファイルが引き継がれる軽い研磨に留めることを考慮して、そのRzJISの値は1.5μmよりも小さくしない(望ましくは2μmよりも小さくしない)ことを前提とする。
しかし、通常の旋削チップを用いた旋削加工面は、隣接するツールマーク間の山部が鋭く立ち上がった形状となりやすく、摩擦低減効果はほとんど得られない。そこで、本発明では、外輪フランジ部の車両アウタ側主表面をワイパーチップによる旋削加工面とすることで、この問題を解決する。ワイパーチップを用いた旋削加工面は、隣接するツールマーク間の山部をよりブロードな形状を有するものとして形成でき、RzJISの値がある程度大きい旋削加工面であるにも拘わらず旋削加工面の摩擦を効果的に低減でき、ボルト締結時の締め付け力を十分な確保することができる。
図4にワイパーチップ31の切れ刃32を拡大して示す。ワイパーチップ31は、チップノーズ部を形成する曲率半径Rの円弧状の主切れ刃32aに続き、これよりも大きな曲率半径r(あるいは傾斜平面状の)を有するさらえ刃32bが形成される形で切れ刃32が構成されている。ワイパーチップ31で旋削加工を行なうと、図5Aに示すように、旋削により形成されたツールマークはチップノーズ部の後方側において、大曲率半径のさらえ刃32bによるフォロー加工によりつぶされた形状となり、半値幅の大きいブロードな断面プロファイル形状が得られる。このような断面プロファイル形状は、図5Bのような、さらえ刃を有さない通常の旋削チップでは決して得ることができない。また、図5Aに示すように、さらえ刃32bの形成区間が存在することで、同じ切れ込み深さによりツールマークピーク間距離を大きくできるので、旋削の送り速度を大きくでき、旋削加工の能率も向上することができる。
本発明のハブユニットにおいては、ボルト締結時の締め付け力が問題となる外輪フランジ部の車両アウタ側主表面をワイパーチップによる旋削加工面とすることで、ツールマークの隣接間隔を、外輪フランジ部を構成する鋼系素材の旋削加工においては、非常に大きな送り速度に対応した310μm以上600μm以下の大きな値に設定できる(通常旋削チップでは310μm未満が常識である)。他方、ツールマークの隣接間隔を310μm未満とすることは、ワイパーチップでは切れ込み深さが相当小さくなることを意味し、その優れた旋削効率性能が十分に発揮されず加工能率の大幅な低下につながる。他方、600μmを超えると切れ込み深さが大きくなりすぎ、切削負荷が大きくなりすぎて旋削チップの寿命が著しく損なわれ、また、負担のかかる加工条件のため旋削加工面が却って荒れたりするなど、不具合につながる。ツールマークの隣接間隔は、より望ましくは350μm以上500μm以下とするのがよい。
さらえ刃によるフォロー加工により、ツールマークの断面プロファイルがブロードニングすることは、粗さ曲線の負荷長さ率Rmrの数値により定量化できる。粗さ曲線の負荷長さ率Rmr(c)は、粗さ曲線から基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分における最も高い凸部を通る直線(山頂線)に対して平行な切断レベルc(本発明では、この切断レベルcを50%に定めたRmr(50%)を採用する)切断したときに得られる切断長さの総和の基準長さに対する比を百分率で表したものである。断面プロファイルがブロードニングするほど、基準長さに対する切り取られる山区間比率が増大することは、その定義から自明である。つまり、Rmr(50%)の値が大きいほど、よりブロードなツールマークが形成されていることを意味する。
本発明のハブユニットでは、ボルト締結時の締め付け力が問題となる外輪フランジ部の車両アウタ側主表面をワイパーチップによる旋削加工面とすることで、負荷長さ率Rmr(50%)を37%以上60%以下の大きな値に設定でき、該旋削加工面の摩擦が低減される結果、ボルト締結時の締め付け力を極めて効果的に確保することができる。さらえ刃を有さない通常の旋削チップを用いると、負荷長さ率Rmr(50%)は必然的に37%未満となり、旋削加工面の摩擦低減効果は達成できない。また、負荷長さ率Rmr(50%)を60%超とすることは、ワイパーチップでは切れ込み深さが相当小さくなることを意味し、その優れた旋削効率性能が十分に発揮されず、加工能率の大幅な低下につながる。負荷長さ率Rmr(50%)の値は、より望ましくは40%以上57%以下とするのがよい。
なお、ワイパーチップの採用により、ツールマークの隣接間隔を310μm以上600μm以下の大きな値に設定できるということは、高さ極値を与えるツールマークのピーク間距離が大きくなり、任意抽出される十点高さの平均値として求められる十点平均高さRzJISの値も、さらえ刃を有さない旋削チップによる加工面(RzJISは通常10μm以上)よりは小さく留めること、具体的にはRzJISを8μm以下に留めることができる。これも、旋削加工面の摩擦低減、ひいてはボルト締結時の締め付け力を極めて効果的に確保することができる。RzJISの値は、より望ましくは5μm以下とするのがよい。
ワイパーチップの刃形状は、旋削送り方向において主切れ刃の形成区間よりもさらえ刃の形成区間の方を長く設定することで、ツールマークプロファイルのブロードニング効果(ひいては旋削加工面の摩擦低減効果)がより高められる。この場合、形成されるツールマークのプロファイルは、さらえ刃側の方が裾を引いた非対象形状となる。この場合、本発明のハブユニットは、外輪フランジ部の車両アウタ側主表面の旋削の送り方向におけるツールマークの断面形状がピーク位置に関して二区間に分けた一方の区間が他方の区間よりも長く、かつ該長くなる側の区間の方が緩勾配となるように左右非対称に形成することができる。この場合、副次的な効果として、一方の区間が他方の区間よりも長く、かつ該長くなる側の区間の方が緩勾配となるように形成することで、その緩勾配となる側の区間ですべりをより生じやすくすることも期待できる(この場合、ボルト締結時の締め付け力の確保効果がさらに高められることとなる)。
次に、上記の旋削加工面については、突出山部高さRpkが0.2μm以上2μm以下とさていることが望ましい。突出山部高さRpkは、JISの定義によると、粗さ曲線のコア部の外にはみ出る異常突出部の平均高さを意味し、この値が大きいほどツールマークの先端形状が鋭く、接触相手材に対する食いつきが大きくなること、つまり、摩擦による固着の生じやすい形状であることを意味する。さらえ刃を有さない通常の旋削チップを用いると、ツールマークの断面プロファイルが先鋭化する結果、このRpkの値は必然的に2μmを超える(ほとんどの場合3μm以上)ものとなる。しかし、本発明ではワイパーチップ採用によりツールマークの断面プロファイルがブロードニングする結果、Rpkを2μm以下の小さな値とすることが可能となり、旋削加工面の摩擦低減、ひいてはボルト締結時の締め付け力を極めて効果的に確保することができる。なお、突出山部高さRpkを0.2μm未満とすることは、ワイパーチップでは切れ込み深さが相当小さくなることを意味し、その優れた旋削効率性能が十分に発揮されず、加工能率の大幅な低下につながる。突出山部高さRpkの値は、より望ましくは0.3μm以上1.5μm以下とするのがよい。
また、上記の旋削加工面にいては、スキューネスRskが+0.1以下とされていることが望ましい。スキューネスRskは、粗さ曲線の平均線に対する振幅分布曲線の上下非対象度を反映したパラメータであり、JISによると次式により定義されている。
Figure 0004940727
Rqは、対象となる面の自乗平均平方根粗さ、nは、断面曲線中の試料点の数、Yiは、これら各試料点の平均線からの偏差、lrは基準長さ、Z(x)はxの位置における平均線からの偏差をそれぞれ示す。
簡単にいえば、スキューネスRskが正側に大きくなると表面の粗さの振幅が下に偏った形状となり、負側に大きくなると表面の粗さの振幅が上に偏った形状となることを意味する。さらえ刃を有さない通常の旋削チップを用いると、ツールマークの断面プロファイルはピーク付近での形状が鋭く、逆にチップノーズ形状の影響により谷底付近は丸みの大きい形状となるので、スキューネスRskは正の大きな値となる(通常+0.4以上)。こうした傾向は、ツールマークが接触相手材に対して食いつきやすく、摩擦による固着の生じやすいことを意味する。しかし、本発明ではワイパーチップ採用によりツールマークの断面プロファイルがブロードニングする結果、スキューネスRskの値を+0.1以下の小さな値とでき、旋削加工面の摩擦低減、ひいてはボルト締結時の締め付け力を極めて効果的に確保することができる。スキューネスRskの値は負であることがより望ましい。研磨しろが十点平均粗さの10%以上50%以下となるように研磨を施すことによりスキューネスRskを負にできる。
以下図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態におけるハブユニット1の断面図である。なお、図の左側は、車両アウタ側、右側は、車両インナ側である。図1に示すように、ハブユニット1は、外輪2と、この外輪2と同心に配置されるハブホイール3と、内輪21と、転動体5,6とを含んで構成される。
ハブホイール3は、軸部11と、車輪19やブレーキディスクロータ18を固定するハブフランジ12とを有している。軸部11の車両インナ側端部の外周面に内輪21が嵌着され、内輪21及びハブホイール3と、外輪2との間に複列に転動体5,6が配置されている。ハブフランジ12は、ハブホイール3の外周面の車両アウタ側の端部からラジアル方向に突出するように形成されている。
外輪2は、炭素鋼の熱間鍛造製であり、内周に複列に軌道面を有し、外周面に外輪フランジ部30がラジアル方向に突設形成され、アキシャル方向にボルト挿通孔41が形成されている。そして、ボルト挿通孔41にボルト42が挿通されて、外輪2がバックプレート51とエンドプレート52を挟んで車体側のナックル8に固定されている。外輪2がナックル8に固定されることにより、ハブユニット1が車体に固定される。
内輪21は、軸部11の車両アウタ端部の外周面に嵌着されている。ハブホイール3の車両インナ側端面11bよりも内輪21の車両インナ側端面21aがアキシャル方向において車両インナ側に形成されている。
ハブホイール3の軸部11は、アキシャル方向に貫通した軸孔11aを有し、車体アウタ側には、ラジアル方向外向きに延びるハブフランジ12を有する。軸孔11aには、車軸10が貫通する状態で挿入されている。ハブフランジ12の外面には、ブレーキ装置のブレーキディスクロータ18と車輪19とが、ハブフランジ11を貫通するボルト13とナット(図示せず)との締め付けにより取り付けられる。
車軸10は、等速ジョイント14を介して、図外の差動装置の出力回転を伝達する伝動軸15に連動するもので、軸方向中途部にスプライン部10aを有し、車体アウタ側にねじ部10bが形成され、ハブ装着部となるスプライン部10aの後方側となる車両インナ側に、スプライン部10aよりも外径が大きい大径部10cが段差をもって形成され、その大径部10cからさらに車両インナ側に、等速ジョイント14の外輪14aが径方向外方に膨出した形で形成されている。等速ジョイント14は、内輪14b、図示されない玉、保持器を有している。
車軸10のねじ部10bには、軸孔11aの車体アウタ側において、ナット16が取り付けられ、ナット16は、軸孔11aの車両インナ側で、等速ジョイント14の外輪14aからなる大径部10cが内輪21の車両インナ側端面21aに圧接するまで、締め付けられる。これにより、車軸10は、軸部11の軸孔11a内に軸方向不動に結合される。
図2に外輪2の正面図を示す。外輪2は、放射状に複数の外輪フランジ部30が形成されている。それぞれの外輪フランジ部30には、ボルト挿通孔41が形成されている。外輪フランジ部30の車両アウタ側主表面30sは、図1に示すように、ボルト42の頭部座面42sとの当接面(締結座面)とされ、図2に示すように、ラジアル方向外側へ向けて旋削加工が施された旋削加工面とされている。
外輪フランジ部30の車両アウタ側主表面30sは、図3に示すように、ワイパーチップ31による旋削加工面(場合により、ラップ加工等による軽い研磨加工を追加)とされており、隣接ツールマークの間隔は310μm以上600μm以下である。また、切断レベル50%における粗さ曲線の負荷長さ率Rmr(50%)は37%以上60%以下であり、十点平均粗さRzJISは1.5μm以上8μm以下である。
図4にワイパーチップ31の切れ刃32を拡大して示す。ワイパーチップ31は、円弧状の主切れ刃32aと、直線状のさらえ刃32bとにより切れ刃32が構成されている。ワイパーチップ31は、その主切れ刃32aが、一般的なワイパーなしチップ31’の主切れ刃32’よりも曲率半径が大きく形成され、その主切れ刃32aに連なって直線状のさらえ刃32bが形成されている。
図5Aに示すように、ワイパーチップ31によって旋削を行うと、主切れ刃32aとさらえ刃32bによって、送りを大きくして被削物を旋削することができ、図5Bに示す一般的なさらえ刃のない旋削チップ31’による旋削よりも良好な被削面を得ることができる。
図6にワイパーチップ31と、一般的なワイパーなしチップ31’との被削面の測定結果を示す。図6(a)は、ワイパーチップ31による被削面の測定結果、図6(b)は、ワイパーなしチップ31’による被削面の測定結果である。また表1は、ワイパーチップ31とワイパーなしチップ31’による被削面の測定データの一覧である。
Figure 0004940727
表1に示した各パラメータは、JIS B:0601(2001)で定義されたものであり、Raは、粗さ曲線の算術平均粗さ、Rqは、粗さ曲線の二乗平均平方根粗さ、RzJISは、粗さ曲線の最大高さ粗さ、Rpは、粗さ曲線の最大山高さ、Rvは、粗さ曲線の最大谷深さ、Rcは、粗さ曲線の平均高さ、RzJISは、十点平均粗さ、Rtは、粗さ曲線の最大断面高さ、RSmは、粗さ曲線要素の平均の長さ、Rskは、粗さ曲線のスキューネス、Rkuは、粗さ曲線のクルトシス、Rmr(c)は、切断レベルc(%)における粗さ曲線の負荷長さ率である。またRpkは、JIS B:0671−2(2002)で定義された突出山部高さである。
図6(a)に示すようにワイパーチップ31による旋削のピーク間距離、つまりワイパーチップ31による旋削の送りは、約400μm、図6(b)に示すようにワイパーなしチップ31’によるピーク間距離、つまりワイパーなしチップ31’による旋削の送りは、約300μmである。図6(a)に示すように、ワイパーチップ31によって旋削された外輪フランジ部30の車両アウタ側主表面30sの旋削の送り方向におけるツールマークの断面形状は、ピーク位置に関して二区間に分けた一方の区間が他方の区間よりも長く、かつ該長くなる側の区間の方が緩勾配となるように左右非対称に形成されている。これに対して図6(b)に示すように、ワイパーなしチップ31’によって旋削された外輪フランジ部30の車両アウタ側主表面30sの旋削の送り方向におけるツールマークの断面形状は、一方の区間と他方の区間がほぼ同じ長さで、かつその勾配がほぼ左右対称に形成されている。ワイパーチップ31によって旋削された場合は、一方の区間が他方の区間よりも長く、かつ該長くなる側の区間の方が緩勾配となるため、この長い緩勾配によって、外輪フランジ部30の車両アウタ側主表面30sは、ボルト42の頭部座面42sとすべりを生じやすくなり、ボルト締結時の締め付け力を確保することができる。
また、ワイパーチップ31による被削面の十点平均粗さRzJISは、約3.7μmであるのに対し、ワイパーなしチップ31’による被削面のRzJISは、約11.1μmである。したがって、ワイパーチップ31による被削面は、一般的なワイパーなしチップ31’による被削面に比べ、その平坦性が上がっていることが分かる。
さらにワイパーチップ31による被削面のスキューネスRskは、0.017、ワイパーなしチップ31’による被削面のスキューネスRskは、0.453である。スキューネスRskとは、対象となる面の粗さ曲線の平均線に対する振幅分布曲線の上下非対象性を示す量であり、表面の粗さの振幅が平均線から上に偏っている場合は、Rskが負となる。また表面の粗さの振幅が平均線から下に偏っている場合は、Rskが正となる。
ワイパーチップ31による被削面は、Rskが負、又は0.1以下となり、表面の粗さの振幅が平均線に対して上に偏っているか、または、上下にほぼ同等に分布する。つまり、ワイパーチップ31による被削面は、Rskが0近傍、又は0以下であり、一般のワイパーなしチップ31’による被削面に比べ、凸部が潰れ、凹部が尖っているような形状であり、平坦面が広くなった形状とされている。
ワイパーチップ31による被削面の切断レベル50%における粗さ曲線の負荷長さ率Rmr(50%)は、48.50%であるのに対し、ワイパーなしチップ31’による被削面のRmr(50%)は、34.97%である。粗さ曲線の負荷長さ率Rmr(c)は、粗さ曲線から基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分における最も高い凸部を通る直線(山頂線)に対して平行な切断レベルcで切断したときに得られる切断長さの総和の基準長さに対する比を百分率で表したものである。切断レベル50%において(つまり高さ方向の真中において)、ワイパーチップ31による被削面の方が、凹部が少なく、平坦性が向上していると言える。
突出山部高さRpkは、粗さ曲線のコア部の上にある突出山部の平均高さを示す。ワイパーチップ31による被削面の突出山部高さRpkは、約0.4μmであるのに対し、ワイパーなしチップ31’による被削面のRpkは、約3.0μmである。したがって、ワイパーチップ31による被削面は、ワイパーなしチップ31’よりも粗さ曲線のコア部の上にある突出山部の平均高さが低くなっている。言い換えると、ワイパーチップ31による被削面は、平坦性が向上している。
このように外輪フランジ部30の車両アウタ側主表面30sを旋削して、車両アウタ側主表面30sの平坦性を向上させることにより、車両アウタ側主表面30sとボルト42の頭部座面42sとの摩擦が低減し、ボルト締結時の締め付け力を極めて効果的に確保することができる。
本発明のハブユニットの一実施例を示す図。 外輪の正面図。 ワイパーチップによる旋削部を示す図。 ワイパーチップの切れ刃を示す図。 ワイパーチップによる旋削を示す模式図。 ワイパーなしチップによる旋削を示す模式図。 ワイパーチップとワイパーなしチップによる被削面の測定データ。
符号の説明
1 ハブユニット
2 外輪
3 ハブホイール
10 車軸10
10a スプライン部(ハブ装着部)
10b ねじ部
10c 大径部
10d ハブ受け面(端面)
11 軸部
11a 軸孔
12 ハブフランジ
14 等速ジョイント
14a 外輪
21 内輪
21a 車両インナ側端面
30 外輪フランジ部
30s 車両アウタ側主表面
31 ワイパーチップ
31’ ワイパーなしチップ
32 切れ刃
32a 主切れ刃
32b さらえ刃
41 ボルト挿通孔
42 ボルト
42s ボルトの頭部座面

Claims (7)

  1. 車体側に非回転に取り付けられる外輪と、この外輪と同心に配置されるとともに外輪に転動体を介して軸心回りに回転自在に設けられ車両の車輪と一体回転するハブホイールとを備えるハブユニットであって、
    前記外輪は、該外輪の外周面にラジアル方向に突出する外輪フランジ部が設けられ、
    該外輪フランジ部は、車両インナ側主表面を前記車体の車体側固定部材に当接しボルトにて固定するためのボルト挿通孔がアキシャル方向に形成され、
    前記ボルトの頭部座面と当接する前記外輪フランジ部の車両アウタ側主表面が、ワイパーチップによってラジアル方向にツールマークが配列する旋削加工面とされるとともに、該旋削加工面は、形成された前記ツールマークの隣接間隔が310μm以上600μm以下であり、前記ツールマークの隣接方向と平行に測定した粗さ曲線から求められるパラメータのうち、切断レベル50%における粗さ曲線の負荷長さ率Rmr(50%)が37%以上60%以下であり、十点平均粗さRzJISが1.5μm以上8μm以下であることを特徴とするハブユニット。
  2. 前記旋削加工面の十点平均粗さRzJISが5μm以下とされた請求項1に記載のハブユニット。
  3. 前記旋削加工面の旋削送り方向における前記ツールマークの断面形状をピーク位置に関して二区間に分けた一方の区間が他方の区間よりも長く、かつ該長くなる側の区間の方が緩勾配となるように左右非対称に形成された請求項1又は請求項2に記載のハブユニット。
  4. 前記旋削加工面の突出山部高さRpkが0.2μm以上2μm以下とされた請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のハブユニット。
  5. 前記旋削加工面のスキューネスRskが+0.1以下とされた請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のハブユニット。
  6. 前記旋削加工面のスキューネスRskが負である請求項5に記載のハブユニット。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のハブユニットを製造するための方法であって、前記外輪フランジ部の車両アウタ側主表面の旋削加工を、前記ワイパーチップを用いて行なうことを特徴とするハブユニットの製造方法。
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