JP4922330B2 - ドラム式洗濯乾燥機 - Google Patents

Description

本発明は、ヒーター式乾燥手段を備えたドラム式洗濯乾燥機に関する。

近年、洗濯乾燥機は、回転槽を横軸型のドラムとし、開口を筐体の前面側に設けて洗濯物の投入口とした、いわゆるドラム式洗濯乾燥機が商品化され普及しつつある。この種ドラム式洗濯乾燥機における洗濯のための水槽は円筒状をなし、外郭を形成する筐体の内部に、水平に対して前方が高くなるように支持装置を介して弾性的に支持されており、この水槽の内部には、間隙を形成してドラムを回転可能に設けている。

このドラムは、例えば、特許文献１に記載された構成である図４に示すように、水槽（55）の背面に取り付けられたモーター（56）により回転駆動される。そして、このモーター（56）部分を避けてほぼ逆Ｌ字状のダクトからなる除湿装置（67）が設けられ、水槽（55）の上部には、送風装置（68）と加熱装置（69）および注水装置などが設けられており、乾燥運転時には、ドラムを回転しながら送風装置（68）によりドラム内の空気を除湿装置（67）を通して循環させ、同時に、注水装置により除湿装置（67）内に注水することで除湿装置（67）を通る空気を冷却除湿し、この除湿した空気を加熱装置（69）により加熱してドラム内に環流させることでドラム内に収容された洗濯物を乾燥させるようにしている。

しかしながら、上記洗濯乾燥機における送風装置（68）や除湿装置（67）は、水槽（55）の垂直中心から偏った位置に取り付けられていることから、水槽（55）の重心は偏心しており、ドラムの回転運動による筐体振動が大きくなる不具合があった。

一方、図５で示す特許文献２には、外枠（72）内に支持された外槽（75）を、洗濯行程では縦の状態にし、乾燥行程では図のように横の状態でおこなうように傾斜回動させるようにした洗濯乾燥機において、乾燥装置である温風発生装置（87）を外枠（72）に固定させた構成が示されている。

特開２００６−１１０１４５号公報 特開平４−２７２７９２号公報

しかしながら、特許文献２に記載されている洗濯乾燥機は、洗濯槽を内部に設けた外槽（75）を洗濯行程時には縦にし、乾燥行程時には横の状態にするよう回動させるものであり、外枠（72）内で外槽（75）を縦から横に回動させるための複雑な傾斜回動装置を設ける必要があるとともに、前記傾斜回動装置や外槽（75）を回動させるためのスペースが必要となり、外枠（72）の大きさ、すなわち洗濯乾燥機自体の外形がきわめて大形化してしまう欠点を生じるものである。

本発明は上記の点を考慮してなされたものであり、内部にドラムを設けた水槽に対して、洗濯物を乾燥させるための除湿装置や送風装置、乾燥装置の機能を効果的に発揮させるとともに外枠内にコンパクトに配置し、同時に、偏心の原因となる乾燥ユニットを水槽から離すことにより、洗濯乾燥時の偏心回転を抑制して低振動化をはかることができるドラム式洗濯乾燥機を提供することを目的とする。

上記課題を解決するために本発明は、前側上部に補強枠を設け、後側上部に補強板を設けた筺体と、前記筺体内部に配置されその内部に洗濯物を洗濯するドラムを回転可能に設けた水槽と、前記ドラム内の空気を除湿する除湿装置と、前記ドラム内の空気を前記除湿装置を介して循環させるファンユニットからなる送風装置と、前記除湿装置からの空気を加熱する加熱装置とから構成した乾燥ユニットを備え、前記除湿装置で除湿され加熱装置で生成した温風をドラム内に導入して洗濯物を乾燥させるようにしたドラム式洗濯乾燥機において、前記乾燥ユニットの前部を筺体の前記補強枠に固定し前記乾燥ユニットの後部を筺体の前記補強板に固定することにより前記乾燥ユニットを筺体に固定し、前記乾燥ユニットの吸出し側に接続した蛇腹部を有する吸出しダクトを水槽側に形成した吸出し口に接続するとともに、前記乾燥ユニットの吹込み側に接続した蛇腹部を有する吹込みダクトを水槽側に形成した吹込み口に接続したことを特徴とする。

本発明のドラム式洗濯乾燥機によれば、乾燥装置の乾燥機能を向上させて水槽周囲の筐体内部にコンパクトに配置することができ、同時に、水槽の偏心回転を抑制して回転時の振動を低減することができる。

本発明の１実施形態を示すドラム式洗濯乾燥機の後方からの斜視図である。 図１の要部の拡大図である。 図２における乾燥フィルタの分解斜視図である。 従来のドラム式洗濯乾燥機の構成を示す後方からの斜視図である。 他の従来の洗濯乾燥機の乾燥機構を示す概略構成図である。

以下図面に基づき本発明の１実施形態を説明する。図１に外郭を取り除いた状態の後方からの製品全体の斜視図を示すドラム式洗濯乾燥機（１）は、薄鋼板からなる左右側板（２ａ）や前板（２ｂ）、天板（２ｃ）および背板（２ｄ）によって外郭である筐体（２）を形成している。筐体（２）の下面は、ポリプロピレン樹脂などで比較的厚肉に形成した皿状の台板（３）で支持している。

筐体（２）の内部には水槽（５）を配置している。水槽（５）は、背面を閉塞した横向き円筒状をなし、その底部を前記台板（３）の左右に設けた一対の弾性支持装置（４）によって支持するとともに、上部の複数箇所をコイルばねで吊り下げて筐体（２）内に弾性的に支持されている。

水槽（５）の内部には、特に図示しないが、周知の横軸周りに回転可能とした有底円筒状のドラムを配設している。このドラムは、水槽（５）に沿い前方に向かって若干上方への傾斜状態に支承されており、胴部周壁に多数の脱水孔と洗濯物掻き上げ用のバッフルを有して、洗いやすすぎ行程、乾燥行程における水槽（５）の共用槽として機能するものである。

前記ドラムおよび水槽（５）の背面は閉塞されており、この閉鎖された水槽（５）の背面には、洗いやすすぎ行程、乾燥行程に応じた回転速度に制御されるモーター（６）が軸支されており、ドラムはこのモーター（６）により回転する。モーター（６）は、例えば、アウターロータ形であって、内側のステータを水槽（５）側に固定し、外側のロータに直結した回転軸を水槽（５）の後壁に水密に貫通させるとともにドラム背面部の中心に連結させている。

筐体（２）の前面上部には、洗濯コースなどを選択し設定するための操作パネルを配置し、前面中央部には円形の投入口を設けて洗濯物を出し入れするするようにしており、投入口は透明ガラス窓を形成した扉により開閉される。

一方、水槽（５）の上部に位置する筐体（２）の内面側には、これも特に図示しないが、洗濯用水を前記水槽（５）内に供給する水道などの給水源に接続された給水弁や、洗剤を投入するための洗剤ケースや注水ケースなどを配置し、給水弁から給水される水とともに洗剤を水槽（５）内に供給するように設置するとともに、ドラム内に乾燥温風を吹き込み循環させることで洗濯物を乾燥させる乾燥ユニット（７）を設置している。

前記乾燥ユニット（７）は、本図１の要部の拡大図である図２に示すように、水槽（５）の上部前面に配置したリントの捕捉をおこなう乾燥フィルタ（８）と、この乾燥フィルタ（８）の後方に繋がり水槽（５）上部から背面の一側、図１、２では左側隅部に沿って上方から垂直に下降するように設けた筒状の循環ダクト（16）と、水槽（５）の底部近傍における前記循環ダクト（16）の下端部に連結しＵ字状を形成して水槽（５）の上部まで上昇させて設けた角筒形状の除湿装置としての熱交換ダクト（17）と、この熱交換ダクト（17）の上端開口に対向する水槽（５）上面の一側後部に配置され、熱交換ダクト（17）から空気を吸い込み吐出する循環送風装置として遠心ファンとファンケーシングからなるファンユニット（18）と、前記ファンユニット（18）の吹き出し側の水槽（５）上面の他側には、ファンユニット（18）から送風される空気を加熱するケース内にシーズヒーターを内蔵した加熱装置としてのヒーターユニット（19）とから形成されている。前記循環ダクト（16）と熱交換ダクト（17）の下端部は、固定されていない自由端となっている。

ヒーターユニット（19）の下流側の開口部には、加熱された温風を水槽（５）への吹込み口（５ａ）に導く蛇腹部を有して屈曲自在とした樹脂製管体からなる吹込みダクト（20）を連結しており、前記乾燥フィルタ（８）は、水槽（５）からの空気の吸出し口（５ｂ）に接続された吸出しダクト（21）に連結されている。

前記吸出しダクト（21）は、前記吹込みダクト（20）と同様に蛇腹部を有する樹脂製管体によって屈曲自在に形成され、その両端部を前記吸出し口（５ｂ）と乾燥フィルタ（８）のケース前面の開口にそれぞれ嵌着させているものであり、前記ファンユニット（18）とヒーターユニット（19）とは、それぞれのケーシングを一体に形成している。

上記構成のドラム式洗濯乾燥機（１）は、洗い〜乾燥の各機能行程を選択設定して自動的に実行するものであり、洗濯物をドラム内に投入しておこなう洗いおよびすすぎ行程では、ドラムを洗濯物の重力と釣り合う程度の低速で回転させ、すすぎ行程終了の際には、排水後ドラムを高速回転させて遠心力で脱水する。

前記すすぎ行程に続く乾燥行程時には、前記ファンユニット（18）におけるファンを駆動するとともに、モーター（６）の高速回転後は、前記ドラムの回転を５０ｒｐｍ程度の速度で正回転と逆回転とを所定時間毎に繰り返すように制御するものであり、ドラム内を循環して洗濯物を乾燥させ吸湿した空気は、吸出し口（５ｂ）から吸い出され、吸出しダクト（21）から乾燥ユニット（７）内に流入し、乾燥フィルタ（８）を通過することでリントを取り除く。

乾燥フィルタ（８）からの空気は、循環ダクト（16）に流入して下降し、下端部でＵターンして熱交換ダクト（17）内を上方に指向する。このとき、熱交換ダクト（17）の上方に設けられた前記給水弁に接続している図示しない注水器から滴下する水が、熱交換ダクト（17）内を上昇してくるドラム内を循環した後の空気流と接触することで冷却して吸湿し、循環する空気を除湿乾燥させるものであり、熱交換ダクト（17）を縦方向に立設させ、その内部に上方に向けて空気を吸い上げることにより、上昇する空気と上方から自然落下で滴下する水滴との接触が効果的におこなわれ除湿作用がより向上する。

そして、ファンユニット（18）に至った除湿された空気は、ヒーターユニット（19）で加熱されることで乾燥温風となり、吹込み口（５ａ）から水槽（５）内に吹き込まれ、ドラム内の洗濯後の衣類と接触してその水分を効果的に奪い乾燥させるように作用し、その後、湿気を含んだ空気としてドラムの脱水孔から流出し、水槽（５）の吸出し口（５ｂ）に流入して再び乾燥ユニット（７）に戻る温風の循環風路を構成する。

しかして、前記乾燥ユニット（７）を構成する乾燥フィルタ（８）、循環ダクト（16）と熱交換ダクト（17）、ファンユニット（18）、ヒーターユニット（19）の各部材は、本体の外郭を形成する筐体（２）側に固定されている。

前記乾燥フィルタ（８）は、詳細を図３の分解図で示すように、上面が開口した容器状の収納凹部（９ａ）とその後方に空気の流通路を形成して前記循環ダクト（16）に連結されるダクト部（９ｂ）を連続して一体に形成したケース本体（９）と、このケース本体（９）の前記ダクト部（９ｂ）の下方の開放部を閉塞するとともに前記循環ダクト（16）への接続口（10ａ）を後端下方に開口させた下部カバー（10）と、前記ケース本体（９）の収納凹部（９ａ）に上方から嵌入され、前面に設けた格子状の開口（11ａ）とその後方の前記ダクト部（９ｂ）への空気流出側にリントを捕捉するネット部（11ｂ）とを設けたリントフィルタ（11）とから形成されており、前記ケース本体（９）を、フック部材（13）による係合とネジ（14）止めにより、筐体（２）の天井部に設けた補強枠（12）に固定している。

前記補強枠（12）は両側板（２ａ）の上端縁間に架設されており、筐体（２）を補強する充分な強度により乾燥フィルタ（８）を安定して保持することができる。また、前記収納凹部（９ａ）からダクト部（９ｂ）への移行位置における下部カバー（10）との間には、固定フィルタ（15）を係合溝（10ｂ）に係合させて保持している。

前記乾燥フィルタ（８）のダクト部（９ｂ）後方に位置する水槽（５）背面に設けた循環ダクト（16）と、この循環ダクト（16）の下端部からＵターンして上方に向かう熱交換ダクト（17）とは実質的に一体成形されており、前記吹込みダクト（20）とともに前記モーター（６）部分を避けてその側方に配設している。

そして、この循環ダクト（16）の上部開口は、前記下部カバー（10）の接続口（10ａ）に嵌合してネジ（23）で固着することでケース本体（９）に結合されており、ケース本体（９）に設けた固定ボス（９ｃ）を側板（２ａ）の上縁部に前後方向に亙って形成した鍔部の裏面に係合させ、ネジ（24）で固定することで、筐体（２）側に固定している。

また、前記乾燥ユニット（７）を形成するファンユニット（18）は、前記乾燥フィルタ（８）のケース本体（９）の上面に設けた固定ボス（９ｄ）にネジ固定されており、このファンユニット（18）にそのケーシングを一部品として一体化させたヒーターユニット（19）を、本体の背面開口において前記背板（２ｄ）の上部に上部フレームとして両側板（２ａ）間に架設することで筐体（２）を補強している補強板（22）にネジ（25）で固着している。

上記により、前記乾燥フィルタ（８）、循環ダクト（16）と熱交換ダクト（17）、およびファンユニット（18）とヒーターユニット（19）の各部材から構成される乾燥ユニット（７）は、実質的に一体化された状態で、その前方部を補強枠（12）に固定し、後部は補強板（22）に、また側部は側板（２ａ）の鍔部に固定するようにして、筐体（２）側に保持されることになる。

したがって、水槽（５）自体はその重量が軽くなるので、振動が低減されるとともに、これまで重量物であった乾燥ユニット（７）を形成するほとんどの部材を水槽（５）ではなく、剛性の大きな筐体（２）に固定したので、水槽（５）の偏心荷重も減少し、前記弾性支持装置（４）への負荷が軽減して充分な制振効果を得ることができ、洗濯乾燥機本体の一層の低振動化をはかることができるものである。

そして、この乾燥ユニット（７）と、弾性支持装置（４）とコイルばねとによって支持されている水槽（５）とは、それぞれ蛇腹部を有する吹込みダクト（20）と吸出しダクト（21）とを介して連結されているので、その柔軟性によって洗濯時や脱水時における水槽（５）部からの振動が乾燥ユニット（７）に伝導することも抑制でき、さらに、前記水槽（５）の吸出し口（５ｂ）に連結している吸出しダクト（21）と乾燥フィルタ（18）との接続や、吹込み口（５ａ）に連結している吹込みダクト（20）とヒーターユニット（19）との嵌着接合時の位置決めが容易となり組立作業性を向上させることができる。

また、前記乾燥ユニット（７）および循環ダクト（16）とは、
水槽（５）の上面側において洗濯機本体の前後方向に亙って配設され、筐体（２）側に固定されているので、筐体（２）の前後方向における剛性が向上し、洗濯機本体としてのねじれ強度が高まって、洗濯物の偏りによる振動も抑制することができるものである。

１ ドラム式洗濯機 ２ 筐体 ２ａ 側板
２ｂ 前板 ２ｃ 天板 ２ｄ 背板
３ 台板 ４ 弾性支持装置 ５ 水槽
５ａ 吹込み口 ５ｂ 吸出し口 ６ モーター
７ 乾燥ユニット ８ 乾燥フィルタ ９ ケース本体
９ａ 収納凹部 ９ｂ ダクト部 ９ｃ、９ｄ 固定ボス
10 下部カバー 10ａ 接続口 10ｂ 係合溝
11 リントフィルタ 11ａ 開口 11ｂ ネット部
12 補強枠 13 フック部材 14 ネジ
15 固定フィルタ 16 循環ダクト 17 熱交換ダクト
18 ファンユニット 19 ヒーターユニット 20 吹込みダクト
21 吸出しダクト 22 補強板 23、24、25 ネジ

Claims (3)

1. 前側上部に補強枠を設け、後側上部に補強板を設けた筺体と、
   前記筺体内部に配置されその内部に洗濯物を洗濯するドラムを回転可能に設けた水槽と、
   前記ドラム内の空気を除湿する除湿装置と、前記ドラム内の空気を前記除湿装置を介して循環させるファンユニットからなる送風装置と、前記除湿装置からの空気を加熱する加熱装置とから構成した乾燥ユニットを備え、
   前記除湿装置で除湿され加熱装置で生成した温風をドラム内に導入して洗濯物を乾燥させるようにしたドラム式洗濯乾燥機において、
   前記乾燥ユニットの前部を前記補強枠に固定し前記乾燥ユニットの後部を前記補強板に固定することにより、前記乾燥ユニットを形成する除湿装置、送風装置、および加熱装置を前記筐体側に取り付けて固定し、前記乾燥ユニットの吸出し側に接続した蛇腹部を有する吸出しダクトを水槽側に形成した吸出し口に接続するとともに、前記乾燥ユニットの吹込み側に接続した蛇腹部を有する吹込みダクトを水槽側に形成した吹込み口に接続したことを特徴とするドラム式洗濯乾燥機。
2. 除湿装置を水槽の背面部に縦方向に配置し、送風装置と加熱装置を水槽上面に配置したことを特徴とする請求項１記載のドラム式洗濯乾燥機。
3. リントを捕捉する乾燥フィルタを水槽の上面に対応する筐体側に固定するとともに、送風装置と加熱装置のケーシングを一体に形成したことを特徴とする請求項１または２記載のドラム式洗濯乾燥機。

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