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JP4902819B1 - フタロシアニン誘導体 - Google Patents

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JP4902819B1
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Abstract

本発明は、エーテル系溶媒への溶解性が高く、かつ、耐熱性が向上した下記式(1)で表されるフタロシアニン誘導体を提供する。
Figure 0004902819
(式(1)中、Mは、金属等を表わし、Z〜Zは、それぞれ独立して、下記式(2)〜(5)であり、
Figure 0004902819
式(2)〜(5)中、p〜sは、0〜6の整数であり、R〜Rは、下記式(6)、(6’)、(6’’)等で表される置換基(ア)またはハロゲン原子であり、
Figure 0004902819
式(6)、(6’)、および(6’’)中、Rは、アルコキシ基またはハロゲン原子であり、Rは、アルキレン基であり、Rは、アルキル基であり、tは、0〜4の整数であり、uは、0〜4の整数であり、t’は、0〜6の整数である。
この際、R〜Rとして導入されるすべての基のうち、0.05個以上3個未満は、水素原子であり、3〜6個は、置換基(ア)であり、かつ、残部はハロゲン原子である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、フタロシアニン誘導体および当該化合物を含むフラットパネルディスプレイ用フィルターに関するものである。
近年、フタロシアニン系化合物は、光、熱、温度等に対して安定であり堅牢性に優れているため、半導体レーザーを光源として用いるコンパクトディスク、レーザーディスク、光メモリーディスク、光カード等の光記録媒体に使用される近赤外吸収色素として、使用されている。また、近年、薄型で大画面に適用できるPDP(Plasma Display Panel)が注目されているが、PDPはプラズマ放電の際に近赤外線光が発生し、この近赤外線が家電用テレビ、クーラー、ビデオデッキ等の電気機器の誤動作を誘発することが問題となっている。
このような課題を解決することを目的として、可視光線透過率が高く、近赤外線光のカット効率が高く、かつ近赤外域の選択吸収能に優れ、かつ耐熱性、耐光性、耐候性にも優れる特徴を有するフタロシアニン化合物に関する開発が行なわれてきた。
このように従来様々なフタロシアニン化合物が検討・開発されてきたが、従来のフタロシアニン化合物は、メタノール、エタノールやプロパノール等のアルコール、エチルセロソルブ等のセロソルブ、モノエチレングリコールやジエチレングリコール等のグリコール、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン、クロロホルム、トルエンなどの有機溶媒には可溶性であることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来のフタロシアニン化合物は、エーテル系溶媒への溶解性が十分ではなかった。このためエーテル系溶媒を使用することが適切である用途であっても、フタロシアニン化合物を十分量配合することができず、使用する溶媒や配合する樹脂の種類の選択が制限されるという問題があった。
特に、カラートナー、インクジェット用インク、家庭用インクジェット用インク、偽造防止用インク、特に改ざん偽造防止用バーコード用インクや偽造防止用オフセットインク、ゴーグルのレンズや遮蔽板、プラスチックリサイクルの際の仕分け用の染色剤、光記録媒体、レーザー治療用感光性色素、ならびにPETボトルの成形加工時のプレヒーティング助剤、感熱転写、感熱孔版等の光熱交換剤、感熱式のリライタブル記録の光熱交換剤、IDカードの偽造防止、プラスチックのレーザー透過溶着法(LTW:Laser Transmission Welding)用の光熱交換剤、熱線遮蔽剤、ならびに近赤外吸収フィルターなどに使用しようとする際の溶媒の選択が限定されおり、適用できる用途に限界があった。したがって、エーテル系溶媒への溶解性が高く、従来適用できない用途にも有用性のあるフタロシアニン化合物に対する高い要求があった。また、耐熱性に関する高い要求があった。
特開平6−107663号公報
したがって、本発明の目的は、エーテル系溶媒への溶解性が高く、かつ、耐熱性が向上したフタロシアニン誘導体を提供することである。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、特定の構造を有するフタロシアニン誘導体が、耐熱性が高くエーテル系溶媒への溶解性が高いことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記目的は、下記式(1):
Figure 0004902819
上記式(1)中、
Mは、無金属、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わし、
〜Zは、それぞれ独立して、下記式(2)〜(5):
Figure 0004902819
であり、
上記式(2)〜(5)中、
pは、0〜4の整数であり、
qは、0〜3の整数であり、
rは、0〜2の整数であり、
sは、0〜6の整数であり、
〜Rは、それぞれ独立して、ニトロ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基(a)、置換基(b)、−S−(RO)10、−S−L−A、および置換基(c)からなる群から選択される置換基(ア)またはハロゲン原子であり、
は、炭素数1〜3のアルキレン基であり、R10は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、または置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基であり、xは、1〜4の整数であり、
Lは、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキレン基であり、Aは、それぞれ独立して、COOJ、OJ、CONJまたはNJであり、この際、Jは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアシル基、置換基を有していてもよいアルコシキカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、または、−(R11O)12であり、R11は、炭素数1〜3のアルキレン基であり、R12は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、または置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基であり、yは、1〜4の整数であり、
前記置換基(a)は、下記式(6)、(6’)または(6’’):
Figure 0004902819
上記式(6)、(6’)および(6’’)中、Rは、炭素数1〜8のアルコキシ基またはハロゲン原子であり、Rは、炭素数1〜3のアルキレン基であり、Rは、炭素数1〜8のアルキル基であり、tは、0〜4の整数であり、uは、0〜4の整数であり、t’は、0〜6の整数、で表わされ、
前記置換基(b)は、下記式(7):
Figure 0004902819
上記式(7)中、Xは、酸素原子または硫黄原子であり、ArはRで置換されていてもよいフェニル基またはナフチル基であり、この際、Rは、それぞれ独立して、シアノ基、ニトロ基、COOY、OY、ハロゲン原子、アリール基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基であり、この際、Yは、炭素数1〜8のアルキル基であり、で表わされ、
前記置換基(c)は、下記式(8):
Figure 0004902819
上記式(8)中、R13は、それぞれ独立して、COOJ’、OJ’、CON(J’)、N(J’)またはハロゲン原子であり、この際、J’は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルコシキカルバモイル基、置換基を有していてもよいアルコシキカルボニル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルコキシ基または−(R14O)15であり、wは、0〜5の整数であり、R14は、炭素数1〜3のアルキレン基であり、R15は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であり、zは、1〜4の整数である、で表わされ、
この際、R〜Rとして導入されるすべての基のうち、0.05個以上3個未満は、水素原子であり、1〜6個は、置換基(ア)であり、かつ、残部はハロゲン原子である、で示されるフタロシアニン誘導体によって達成される。
本発明によれば、エーテル系溶媒への溶解性が高く、かつ、耐熱性が向上したフタロシアニン誘導体を提供することができる。
本発明のフタロシアニン誘導体は、エーテル系溶媒に溶解することができる。したがって、エーテル系溶媒に比較的選択的に溶解する樹脂であっても用いることができる。また、エーテル系溶媒以外の溶媒を用いると溶解する可能性があるプラスチック上にフタロシアニン色素を適用する用途などにも用いることができる。
また、本発明のフタロシアニン誘導体は、耐熱性が向上している。そのため、外部環境への適応性が有意に高く、様々な用途で用いることができる。
<本発明の第1>
本発明の第1は、下記式(1):
Figure 0004902819
上記式(1)中、
Mは、無金属、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わし、
〜Zは、それぞれ独立して、下記式(2)〜(5):
Figure 0004902819
であり、
上記式(2)〜(5)中、
pは、0〜4の整数であり、
qは、0〜3の整数であり、
rは、0〜2の整数であり、
sは、0〜6の整数であり、
〜Rは、それぞれ独立して、ニトロ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基(a)、置換基(b)、−S−(RO)10、−S−L−A、および置換基(c)からなる群から選択される置換基(ア)またはハロゲン原子であり、
は、炭素数1〜3のアルキレン基であり、R10は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、または置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基であり、xは、1〜4の整数であり、
Lは、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキレン基であり、Aは、それぞれ独立して、COOJ、OJ、CONJまたはNJであり、この際、Jは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアシル基、置換基を有していてもよいアルコシキカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、または、−(R11O)12であり、R11は、炭素数1〜3のアルキレン基であり、R12は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、または置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基であり、yは、1〜4の整数であり、
前記置換基(a)は、下記式(6)、(6’)または(6’’):
Figure 0004902819
上記式(6)、(6’)および(6’’)中、Rは、炭素数1〜8のアルコキシ基またはハロゲン原子であり、Rは、炭素数1〜3のアルキレン基であり、Rは、炭素数1〜8のアルキル基であり、tは、0〜4の整数であり、uは、0〜4の整数であり、t’は、0〜6の整数、で表わされ、
前記置換基(b)は、下記式(7):
Figure 0004902819
上記式(7)中、Xは、酸素原子または硫黄原子であり、ArはRで置換されていてもよいフェニル基またはナフチル基であり、この際、Rは、それぞれ独立して、シアノ基、ニトロ基、COOY、OY、ハロゲン原子、アリール基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基であり、この際、Yは、炭素数1〜8のアルキル基であり、で表わされ、
前記置換基(c)は、下記式(8):
Figure 0004902819
上記式(8)中、R13は、それぞれ独立して、COOJ’、OJ’、CON(J’)、N(J’)またはハロゲン原子であり、この際、J’は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルコシキカルバモイル基、置換基を有していてもよいアルコシキカルボニル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルコキシ基または−(R14O)15であり、wは、0〜5の整数であり、R14は、炭素数1〜3のアルキレン基であり、R15は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であり、zは、1〜4の整数である、で表わされ、
この際、R〜Rとして導入されるすべての基のうち、0.05個以上3個未満は、水素原子であり、1〜6個は、置換基(ア)であり、かつ、残部はハロゲン原子である、で示されるフタロシアニン誘導体に関するものである。
以下、上記式(1)で示されるフタロシアニン誘導体を、単に「フタロシアニン誘導体」あるいは「本発明のフタロシアニン誘導体」とも称する。なお、上記「0.1個」のように小数でありうるのは以下の理由による。すなわち、本発明の「フタロシアニン誘導体」を製造するためには、「フタロシアニン誘導体」を製造するための原料(フタロニトリル誘導体)を所望の割合において混合する。この際、製造された「フタロシアニン誘導体」は、様々な構造を有する混合物のような形態となっている。つまり、「水素原子」の数も小数でありうるし、残部のハロゲン原子も小数でありうる。
本発明のフタロシアニン誘導体は、上記のような構造を有するため、以下のような利点がある。
(i)エーテル系溶媒への溶解性が向上できる。
本発明のフタロシアニン誘導体においては、置換基(ア)やハロゲン原子が導入されていない特定数の水素原子が存在する。よって、フタロシアニン誘導体の構造が全体的に不規則となり(ランダムな構造となり)、結晶性が悪くなる。そうすると、エーテル系溶媒への溶解性が向上できる。また、高いエーテル系溶媒への溶解性のおかげで、エーテル系溶媒への溶解性が高い樹脂と色素とを組み合わせて用いることができ、また、エーテル系溶媒以外の溶媒には溶けてしまうプラスチックを用いる場合であっても、該プラスチック上に色素を塗布することができる。
(ii)近赤外領域の中でも640〜750nmの波長領域に最大吸収波長(λmax)を有する。短波長域での最大吸収波長(λmax)のおかげで、フラットパネルディスプレイ、特にPDPやLCDが放つ無用の近赤外域(700〜750nm)の光や、いわゆる深紅と呼ばれる不純な赤色の波長(640〜700nm)の光をカットし、例えば光通信システムの誤作動誘発を防止し、また同時に鮮明な赤色を再現する効果を発揮できる。また、特にPDPは710nm付近に余分な大きな発光が見られるので、710nmの光を吸収し、かつ520nmなどの可視光の透過率が高い色素が有用である。上記に加えて、個々のフタロシアニン誘導体は、波長の移動度が低く、最大吸収波長におけるピークが比較的シャープなスペクトルが得られる。このため、本発明のフタロシアニン誘導体は、混合物の形態であっても、所望の波長に収まりやすい。なお、本発明のフタロシアニン誘導体は、置換基(a)または(b)として、酸素原子を含む置換基(−OE)あるいは硫黄原子を含む置換基(−SE)がフタロシアニン骨格に導入されることが好ましい。ここで、フタロシアニン誘導体の特性は、一般的に、置換基の種類、導入箇所および導入個数などにより変化する。例えば、置換基の種類としては、酸素原子を含む置換基(−OE)、硫黄原子を含む置換基(−SE)、窒素原子を含む置換基(−NE)の順に、フタロシアニン誘導体の吸収波長をより短波長側にシフトさせることができる。本発明のフタロシアニン誘導体において、酸素原子を含む置換基(−OE)あるいは硫黄原子を含む置換基(−SE)が導入される場合、640〜750nmの近赤外線波長域での選択吸収能が高くなる。なお、「E」は、任意の置換基を意味する。
(iii)耐熱性が高い。
〜Rとして導入されるすべての基のうち、水素原子、置換基(ア)以外である残部はハロゲン原子である。このように残部にハロゲン原子を配置することによって、耐熱性を向上できる。
以下、本発明の第1の態様における好ましい実施の形態を説明する。
本発明の第1において、下記式(1):
Figure 0004902819
上記式(1)中、Mは、無金属、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わす。
上記式(1)において、Mは、無金属、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わすものである。ここで、無金属とは、金属以外の原子、例えば、2個の水素原子であることを意味する。また、金属としては、鉄、マグネシウム、ニッケル、コバルト、銅、パラジウム、亜鉛、バナジウム、チタン、インジウム、錫等が挙げられる。金属酸化物としては、チタニル、バナジル等が挙げられる。金属ハロゲン化物としては、塩化アルミニウム、塩化インジウム、塩化ゲルマニウム、塩化錫(II)、塩化錫(IV)、塩化珪素等が挙げられる。好ましくは、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物であり、より好ましくは銅、バナジル及び亜鉛であり、さらに好ましくは亜鉛、銅である。中心金属が亜鉛、銅であると、耐熱性が高いため、特に好ましい。
上記式(1)中、Z〜Zは、それぞれ独立して、下記式(2)〜(5):
Figure 0004902819
である。なお、本発明において、Z〜Zのすべてに上記式(2)が導入される場合、一般的に称される「フタロシアニン化合物」である。
pは、0〜4の整数である。Rが導入される部位にも特に制限はなく、1位、2位、3位、4位のいずれの位置であってもよいが、好ましく2位、3位である。無論、複数導入されていてもよい。複数導入される場合、例えば、1位,2位や、2位,3位や、1位,3位の組み合わせで導入されていることが好ましい。
qは、0〜3の整数である。Rが導入される部位にも特に制限はなく、2位、3位、4位のいずれの位置であってもよいが、好ましく2位、3位である。無論、複数導入されていてもよい。複数導入される場合、例えば、2位,3位や、2位,4位の組み合わせで導入されていることが好ましい。
rは、0〜2の整数である。Rが導入される部位にも特に制限はなく、2位、3位のいずれの位置であってもよい。無論、複数導入されていてもよい。
sは、0〜6の整数である。Rが導入される部位にも特に制限はなく、1〜6位のいずれの位置であってもよいが、好ましく3位、4位である。無論、複数導入されていてもよい。複数導入される場合、例えば、3,4位、1,3位や、1,4位の組み合わせで導入されていることが好ましい。
なお、p、q、r、sがそれぞれ0である場合は、R〜Rが導入されているのではなく、水素原子が導入されていることを意味する。
また、Z〜Zとして、上記式(2)〜(4)が導入される場合、1位、4位をα位(α位の置換基)とも称する場合があり、2位、3位をβ位(β位の置換基)とも称する場合がある。
〜Rは、それぞれ独立して、ニトロ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基(a)、置換基(b)、−S−(RO)10、−S−L−A、および置換基(c)からなる群から選択される置換基(ア)またはハロゲン原子である。中でも、耐熱性や溶媒溶解性などを考慮すると、少なくとも置換基(a)および置換基(b)の少なくとも一方の置換基が導入されていることが好ましく、少なくとも置換基(a)が導入されていることがより好ましい。また、耐熱性や溶媒溶解性など、特に耐熱性を考慮すると、少なくともハロゲン原子が導入されていることも好ましい。
(ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1〜8のアルキル基)
ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1〜8のアルキル基としては、特に制限されず、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基が挙げられる。より具体的には、炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が挙げられる。これらのうち、耐熱性や溶媒溶解性などの上記特性、特に溶媒溶解性を考慮すると、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、特に炭素数1〜3の直鎖または分岐のアルキル基が好ましく、特には、tert−ブチル基が好ましい。tert−ブチル基のような嵩高い置換基を有すると得られるフタロシアニン誘導体の構造が全体的に不規則となり(ランダムな構造となり)結晶性が悪くなるため、エーテル系溶媒への溶解性が向上するという効果もあって好ましい。また、ハロゲン原子は、本明細書中に開示されている説明事項が同様に妥当する。
また、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。これらのうち、耐熱性や溶媒溶解性などを考慮すると、塩素原子、フッ素原子、臭素原子が好ましい。
(置換基(a))
また、置換基(a)は、下記式(6)、(6’)または(6’’)で表わされる。
Figure 0004902819
上記式(6)、(6’)および(6’’)中、Rは、炭素数1〜8のアルコキシ基またはハロゲン原子であり、tは、0〜4の整数であり、t’は、0〜6の整数である。
ここで、炭素数1〜8のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基等の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基が挙げられる。これらのうち、耐熱性や溶媒溶解性などの上記特性、特に溶媒溶解性を考慮すると、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基、特に炭素数1〜3の直鎖または分岐のアルコキシ基が好ましい。
また、ハロゲン原子としては、上記の具体例が同様に妥当し、これらのうち、耐熱性や溶媒溶解性などを考慮すると、塩素原子または臭素原子が好ましい。
さらに、上記式中、tおよびt’は、アルコキシ基またはハロゲン原子(R)がフェノキシ基に結合する数を表わし、tは、0〜4の整数であり、t’は、0〜6の整数である。tとしては、分子量の観点から、好ましくは、0〜3の整数である。また、t’としては、分子量の観点から、好ましくは、0〜3の整数である。
なお、上記式から明らかなように、置換基(a)は、1個の置換基「−COO(RO)」および必要であれば1個以上の炭素数1〜8アルコキシ基またはハロゲン原子(−R)を有するフェノキシ基(式(6))である。または、置換基(a)は、1個の置換基「−COO(RO)」および必要であれば1個以上の炭素数1〜8アルコキシ基またはハロゲン原子(−R)を有するナフトキシ基(式(6’))である。または、置換基(a)は、1個の置換基「−SO(RO)」および必要であれば1個以上の炭素数1〜8アルコキシ基またはハロゲン原子(−R)を有するフェノキシ基(式(6’’))である。
なお、上記式(6’)において、−R、酸素原子(−O−)及び置換基「−COO(RO)」は、ナフタレン環のいずれの水素原子と置換されてもよい。すなわち、上記式(6’)では、置換基「−COO(RO)」が、2個のベンゼン環のうち、酸素原子が存在する側のベンゼン環に存在しているが、この置換基は当該位置に存在することを意味するものではなく、他方のベンゼン環に存在してもよい。すなわち、上記式(6’)の置換基(a)は、下記置換基(a)及び(a)双方を包含する。−Rも同様に、いずれのベンゼン環に存在してもよい(ただし、下記の置換基(a)及び(a)には表わしていない)。
Figure 0004902819
上記式(6)、(6’)および(6’’)中、Rは、炭素数1〜3のアルキレン基であり、uは、0〜4の整数である。
ここで、炭素数1〜3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基がある。これらのうち、耐熱性や溶媒溶解性などの上記特性、特に溶媒溶解性を考慮すると、Rは、エチレン基またはプロピレン基であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。
また、上記式中、uは、オキシアルキレン基(RO)の繰り返し単位数を表わし、0〜4の整数である。耐熱性や溶媒溶解性などの上記特性、特に溶媒溶解性を考慮すると、好ましくは、uは、0〜3、特に好ましくは0〜2である。
上記式(6)、(6’)および(6’’)中、Rは、炭素数1〜8のアルキル基である。
ここで、炭素数1〜8のアルキル基としては、特に制限されず、上記と同様のものが挙げられる。これらのうち、耐熱性や溶媒溶解性などの上記特性、特に溶媒溶解性を考慮すると、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、特に炭素数1〜3の直鎖または分岐のアルキル基が好ましく、特に好ましくはメチル基が好ましい。
上記式(6)の置換基(a)において、置換基−COO(RO)Rのベンゼン環への結合位置は、特に制限されない。例えば、tが0である場合には、置換基(a)は、1個の置換基「−COO(RO)」がフェノキシ基に結合した構造を有する。ここで、置換基「−COO(RO)」は、フェノキシ基の、オルト位(2位)、メタ位(3位)またはパラ位(4位)のいずれかの位置に配置される。これらのうち、2位および4位が好ましく、4位が特に好ましい。比較的嵩高い置換基−COO(RO)を4位に配置すると、得られるフタロシアニン誘導体は、710nmの光を吸収し、かつ520nmなどの可視光の透過率が高い、すなわち、吸光度比[=710nmの吸光度/520nmの吸光度;「Abs(λ710nm)/Abs(λ520nm)」とも称する]を大きくすることができる。また、比較的嵩高い置換基−COO(RO)を4位に配置すると、得られるフタロシアニン誘導体は、溶媒溶解性を向上できる。
また、上記式(6)中、tが1である場合には、置換基(a)は、1個の置換基「−COO(RO)」および1個の炭素数1〜8のアルコキシ基またはハロゲン原子(−R)がフェノキシ基に結合した構造を有する。ここで、置換基「−COO(RO)」及び「R」は、それぞれ、フェノキシ基のいずれの位置に導入されてもよい。この際、耐熱性、吸光度比や溶媒溶解性など上記特性、特に溶媒溶解性を考慮すると、溶媒溶解性や吸光度比などを考慮すると、2,4位、2,5位、2,6位、3,4位などが好ましく、2,4位、2,6位がより好ましい。
また、上記式(6)中、tが2である場合には、置換基(a)は、1個の置換基「−COO(RO)」および2個の炭素数1〜8のアルコキシ基またはハロゲン原子(−R)がフェノキシ基に結合した構造を有する。ここで、置換基「−COO(RO)」及び「R」は、それぞれ、フェノキシ基のいずれの位置に導入されてもよい。この際、耐熱性、吸光度比や溶媒溶解性など上記特性、特に溶媒溶解性を考慮すると、溶媒溶解性や吸光度比などを考慮すると、2,4,5位、2,4,6位、3,4,5位、などが好ましく、2,4,6位、3,4,5位がより好ましい。
また、上記式(6’)の置換基(a)において、酸素原子(−O−)のナフタレン環への結合位置は、特に制限されず、1−ナフトールまたは2−ナフトール由来のいずれでもよい。好ましくは、置換基(a)は、1−ナフトール由来である。同様にして、置換基−COO(RO)のナフタレン環への結合位置もまた、特に制限されない。例えば、t’が0である場合には、置換基(a)は、1個の置換基「−COO(RO)」がナフトキシ基に結合した構造を有する。t’が1である場合には、置換基(a)は、1個の置換基「−COO(RO)」および1個の炭素数1〜8のアルコキシ基またはハロゲン原子(−R)がナフトキシ基に結合した構造を有する。このため、置換基(a)が1−ナフトール由来である場合には、置換基:−COO(RO)Rのナフタレン環への結合位置は、2位、3位、4位、5位、6位、7位または8位のいずれでもよいが、吸光度比や溶媒溶解性などを考慮すると、好ましくは2位、3位、4位が好ましく、2位がより好ましい。また、置換基(a)が2−ナフトール由来である場合には、置換基:−COO(RO)Rのナフタレン環への結合位置は、1位、3位、4位、5位、6位、7位または8位のいずれでもよいが、吸光度比や溶媒溶解性などを考慮すると、3位、6位が好ましい。
上記式(6’’)の置換基(a)において、置換基−SO(RO)Rのベンゼン環への結合位置は、特に制限されない。例えば、tが0である場合には、置換基(a)は、1個の置換基「−SO(RO)」がフェノキシ基に結合した構造を有する。ここで、置換基「−SO(RO)」は、フェノキシ基の、オルト位(2位)、メタ位(3位)またはパラ位(4位)のいずれかの位置に配置される。これらのうち、2位および4位が好ましく、4位が特に好ましい。比較的嵩高い置換基−SO(RO)を4位に配置すると、得られるフタロシアニン誘導体は、710nmの光を吸収し、かつ520nmなどの可視光の透過率が高い、すなわち、吸光度比[=710nmの吸光度/520nmの吸光度;「Abs(λ710nm)/Abs(λ520nm)」とも称する]を大きくすることができる。また、比較的嵩高い置換基−SO(RO)を4位に配置すると、得られるフタロシアニン誘導体は、溶媒溶解性を向上できる。
また、上記式(6’’)中、tが1である場合には、置換基(a)は、1個の置換基「−SO(RO)」および1個の炭素数1〜8のアルコキシ基またはハロゲン原子(−R)がフェノキシ基に結合した構造を有する。ここで、置換基「−SO(RO)」及び「R」は、それぞれ、フェノキシ基のいずれの位置に導入されてもよい。この際、耐熱性、吸光度比や溶媒溶解性など上記特性、特に溶媒溶解性を考慮すると、溶媒溶解性や吸光度比などを考慮すると、2,4位、2,5位、2,6位、3,4位などが好ましく、2,4位、2,6位がより好ましい。
すなわち、置換基(a)は、下記の構造を有するものが特に好ましい。
Figure 0004902819
かかる直近の構造のうち、本発明の所期の目的を考慮すると、Rは、メトキシ基またはハロゲン原子であることが好ましく、Rは、メチレン基またはエチレン基であることが好ましく、uが0、1または2であることが好ましく、Rはメチル基またはエチル基であることが好ましい。特に、Rは、エチレン基であることが好ましく、uが0または1であることが好ましく、Rはメチル基であることが好ましい。
(置換基(b))
また、置換基(b)は、下記式(7)で表わされる。
Figure 0004902819
上記式(7)中、Xは、酸素原子(−O−)または硫黄原子(−S−)であり、ArはRで置換されていてもよいフェニル基またはナフチル基である。
上記式(7)中、Rは、それぞれ独立して、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO)、COOY、OY、ハロゲン原子、アリール基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基であり、この際、Yは、炭素数1〜8のアルキル基である。Rが複数個存在する(つまり、Rが2〜7個存在する)場合には、これらの複数のRは、同一であっても異なるものであってもよい。
がCOOYまたはOYである場合の、Yは、炭素数1〜8のアルキル基である。ここで、炭素数1〜8のアルキル基としては、特に制限されず、上記と同様のものが挙げられ、具体的には、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、より好ましくはエチル基またはメチル基である。これらのうち、耐熱性や溶媒溶解性、吸光度比などの上記特性、特に溶媒溶解性を考慮すると、ハロゲン原子、COOY、OYが好ましく、耐熱性を考慮するとシアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、吸光度比を考慮するとアリール基が好ましい。なお、RがCOOYの場合、置換基(a)と重複する場合があるが、その場合は、置換基(a)を優先するものとする。すなわち、「置換基(b)」においては、「置換基(a)」と重複する部分を除く。
上記Rがハロゲン原子である場合の、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。これらのうち、耐熱性や溶媒溶解性などを考慮すると、塩素原子、フッ素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。また、Rが塩素原子、フッ素原子、特にフッ素原子である場合には、色素の分子量が小さくなり、グラムあたりの吸光度が高くなりうる。
また、上記Rがアリール基である場合の、アリール基としては、フェニル基、p−メトキシフェニル基、p−t−ブチルフェニル基、p−クロロフェニル基、等のアリール基が挙げられる。中でも、色素の分子量が小さくなり、グラムあたりの吸光度が高くなるため、フェニル基が好ましい。
また、上記Rがハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基である場合の、置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基としては、特に制限されず、上記に記載した具体例が挙げられる。これらのうち、耐熱性や溶媒溶解性などの上記特性、特に溶媒溶解性を考慮すると、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基が好ましい。また、場合によっては存在する、アルキル基の置換基であるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。これらの中でも、フッ素原子または塩素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。アルキル基の置換基であるハロゲン原子は複数個存在していてもよく、複数個存在する場合には同一若しくは異なっていてもよい。アルキル基の置換基の数は特に限定されるものではないが、1〜3個であることが好ましい。例えば、ハロゲン原子が2個または3個のように複数置換されていることによって、耐熱性の向上という効果を奏する。Rは0〜7個の範囲であれば特に制限されないが、分子量削減の観点においては、0〜5個が好ましく、0〜3個がより好ましく、0〜2個が特に好ましい。
上記式(7)の置換基(b)において、置換基Rのベンゼン環への結合位置は、特に制限されない。好ましくはオルト位(2位)、メタ位(3位)またはパラ位(4位)のいずれでもよい。
置換基Rがこれらに配置されると、得られるフタロシアニン誘導体は、710nmの光を吸収し、かつ520nmなどの可視光の透過率が高い、すなわち、吸光度比[=710nmの吸光度/520nmの吸光度;「Abs(λ710nm)/Abs(λ520nm)」とも称する]を大きくすることができる。また、置換基Rが2位、3位または4位に配置されると、得られるフタロシアニン誘導体は、溶媒溶解性を向上できる。
また、Rが2個である場合には、ベンゼン環のいずれの位置に導入されてもよい。この際、耐熱性、吸光度比や溶媒溶解性など上記特性、特に溶媒溶解性を考慮すると、溶媒溶解性や吸光度比などを考慮すると、2,4位、2,5位、2,6位、3,4位などが好ましく、2,4位、2,5位、2,6位がより好ましく、2,6位がさらに好ましい。
が3個である場合には、ベンゼン環のいずれの位置に導入されてもよい。この際、耐熱性、吸光度比や溶媒溶解性など上記特性、特に溶媒溶解性を考慮すると、溶媒溶解性や吸光度比などを考慮すると、2,4,6位、2,5,6位などが好ましく、2,4,6位がより好ましい。
上記のうち、本発明の所期の目的を考慮すると、Xは、酸素原子(−O−)または硫黄原子(−S−)であり、Rがハロゲン原子(特に、塩素原子または臭素原子)、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基(特に、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基)、アリール基(特にフェニル基またはナフチル基)が好ましく、COOY(Yが特に、炭素数1〜3のアルキル基)、OY(Yが特に、炭素数1〜3のアルキル基)であり、Rが0〜2個であり、Rが1個の場合は、2位、3位または4位であり、Rが2個の場合は、2,6位の位置であると好ましい。
また、上記式(7)の置換基(b)において、ArがRで置換されてもよいナフチル基である場合に、Ar中のRの置換数もまた、Ar中のRの置換数は、特に制限されず、所望の効果(グラム吸光係数、溶剤溶解性、耐熱性、710nmの光吸収性、520nmの可視光透過性など)によって適宜選択できる。例えば、ArがRで置換されてもよいナフチル基である場合に、Ar中のRの置換数は、0〜5個、好ましくは0〜3個であり、より好ましくは0〜2個であり、特に好ましくは0個または1個である。また、置換基Rのナフタレン環への結合位置は、特に制限されず、所望の効果(グラム吸光係数、溶剤溶解性、耐熱性、710nmの光吸収性、520nmの可視光透過性など)によって適宜選択できる。例えば、Rが1個で、Arが1−ナフチル基である場合には、Rのナフタレン環への結合位置は、2位、3位、4位、5位、6位、7位または8位のいずれでもよいが、耐熱性や溶媒溶解性などを考慮すると、好ましくは2位、3位、4位が好ましく、2位がより好ましい。また、置換基(a)が2−ナフトール由来である場合には、置換基(b)のナフタレン環への結合位置は、1位、3位、4位、5位、6位、7位または8位のいずれでもよいが、好ましくは1位、3位、6位が好ましく、耐熱性や溶媒溶解性などを考慮すると、3位、6位がより好ましい。
(−S−(RO)10
〜Rは、それぞれ独立して、−S−(RO)10であると好ましい。
は、炭素数1〜3のアルキレン基である。かかるアルキレン基は、直鎖状であっても、分枝状であってもよい。ここで、炭素数1〜3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基がある。ここで、溶媒溶解性の観点から好ましくはエチレン基、イソプロピレン基である。
また、R10は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、または置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基である。
炭素数1〜8のアルキル基としては、上記と同様のものが挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、2−エチルヘキシル基である。
炭素数1〜8のアシル基は、−COR16で表わされるものであり、ここで、R16としては、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基である。炭素数1〜8のアルキル基としては上記と同様のものが挙げられる。よって、溶媒溶解性の観点から、R16は、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、n−ブチル基などが好ましい。
置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基は、−CON(R17で表わされるものであり、ここで、R17としては、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基などである。かかる置換基としては、メトキシ基等が好ましい。炭素数1〜8のアルキル基としては、溶媒溶解性の観点から、エチル基、イソプロピル基などが好ましい。よって、R17としては、それぞれ独立して、エチル基、イソプロピル基、メトキシエチル基などが好ましい。
また、xは、1〜4の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。
「−S−(RO)10」をまとめると下記の具体例が好適である。
Figure 0004902819
(−S−L−A)
〜Rは、それぞれ独立して、−S−L−Aであると好ましい。
「−S−L−A」のうち、Sは硫黄原子である。
「−S−L−A」のうち、Lは、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキレン基である。ここで、置換基の数は特に制限されず、例えば1つ、または2つなどである。炭素数1〜3のアルキレン基は、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基がある。中でも、耐熱性や溶媒溶解性などの上記特性、特に溶媒溶解性を考慮すると、特に好ましくは、メチレン基またはエチレン基である。
ここで、置換基は、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基などが挙げられる。
アルコシキカルボニル基は、−COOR18という構造を有するものであり、ここで、R18は、置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基であり、炭素数1〜8のアルキル基は上記と同様の具体例が妥当し、置換基も上記と同様の具体例が同様に妥当し、R18は、具体的には、例えば、エチル基、メトキシエチル基などが好ましい。
置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基は、−CON(R17で表わされるものであり、ここで、R17としては、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基などである。炭素数1〜8のアルキル基としては、上記と同様のものが挙げられ、置換基も上記と同様の具体例が同様に妥当し、具体的にはR17は、それぞれ独立して、水素原子、メトキシプロピル基などが好ましい。
また、炭素数1〜12のアルキル基としては、特に制限されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、n−デシル基、ウンデシル基、ドデシル基及び2−エチルヘキシル基などがある。
また、炭素数1〜8のアシル基は、−COR16で表わされるものであり、ここで、R16としては、置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基であり、置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基としては上記と同様のものが挙げられ、溶媒溶解性の観点から、tert−ブチル基、メチル基などが好ましい。
よって、置換基を有している炭素数1〜3のアルキレンの具体的は、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エトキシカルボニルエチレン基、メトキシエトキシカルボニルエチレン基、メトキシプロピルカルバモイルメチレン基、メチル基とアセチル基とが置換されているメチレン基、t−ブチルカルボニルメチレン基、エトキシカルボニル基とメチル基とが置換されているメチレン基、n−ヘキシルメチレン基、n−ブチルメチレン基、n−デシルメチレン基、メチルエチレン基などが好ましい。
「−S−L−A」のうち、Aは、それぞれ独立して、COOJ、OJ、CONJまたはNJである。中でも、溶媒溶解性の観点からCOOJが好ましい。
Jは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアシル基、置換基を有していてもよいアルコシキカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、または、−(R11O)12である。R11は、炭素数1〜3のアルキレン基である。R12は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、または置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基である。yは、1〜4の整数である。
中でもJは、溶媒溶解性の観点から、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアシル基、−(R11O)12が好ましく、より好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基である。
ここで、炭素数1〜8のアルキル基は上記と同様のものが挙げられ、具体的には、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、イソプロピル基、メチル基、n−ヘキシル基などが好ましく、中でも、溶媒溶解性の観点からn−ブチル基が特に好ましい。そして、置換基としても特に制限はないが、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルコシキカルボニル基などが好ましく、具体的には、メトキシ基、メトキシカルボニル基、メトキシエトキシ基、エトキシ基などが好ましい。
より具体的には、メトキシn−ブチル基、2−メトキシブチル基、3−メトキシブチル基、エチル基、n−プロピル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、2−エチルヘキシル基、イソプロピル基、メトキシイソプロピル基、イソプロポキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、メトキシエトキシエチル基、メトキシn−プロピル基、n−ヘキシル基などが好ましい。
また、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアシル基における炭素数1〜8のアシル基は、−COR16で表わされるものであり、ここで、R16としては、置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基であり、置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基としては上記と同様のものが挙げられ、溶媒溶解性の観点から、R16としては、エチルペンチル基、エチル基、メトキシカルボニル基を有するエチルメチル基などが好ましい。
11は、炭素数1〜3のアルキレン基である。炭素数1〜3のアルキレン基としては特に制限されないが、上記と同様のものが挙げられ、特には、エチレン基などが好ましい。
12は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、または置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基である。これらの具体例は、上記と同様のようなものが挙げられる。中でも、好ましくは、水素原子、エチル基である。
yは、1〜4の整数であり、好ましくは2〜3である。
「−S−L−A」をまとめると下記の具体例が好適である。
Figure 0004902819
Figure 0004902819
(置換基(c))
置換基(c)は、下記式(8):
Figure 0004902819
で示される。
上記式(8)中、R13は、それぞれ独立して、COOJ’、OJ’、CON(J’)、N(J’)またはハロゲン原子である。なお、式(8)の「−S−」の代わりに、「−SO−」という形態であってもよい。
J’は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルコシキカルバモイル基、置換基を有していてもよいアルコシキカルボニル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルコキシ基または−(R14O)15である。
ここで、置換基を有してよい場合の置換基は、特に制限はないが、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基等が挙げられ、これらの説明は上記と同様であり、具体例としては、エトキシ基、メトキシ基、メチル基などが挙げられる。また、置換基の数にも特に制限はなく、1〜5個の整数が好ましく、1〜3の整数が好ましい。
ここで、置換基を有していてもよいアルコシキカルバモイル基としては、−CON(R19のような構造を有する。ここで、R19としては、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基、または、水素原子が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基は上記と同様の具体例が妥当し、具体的には、例えば、エチル基などが好ましい。よって、R19としては、それぞれ独立して、メトキシエチル基または水素が好ましい。
また、置換基を有していてもよいアルコシキカルボニル基は、−COOR18という構造を有するものであり、ここで、R18は、置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基であり、炭素数1〜8のアルキル基は上記と同様の具体例が妥当し、具体的には、例えば、イソプロピル基などが好ましい。また、この際の置換基も特に制限はないが、炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましく、この具体例に関しては上記に述べた内容が同様に妥当し、具体的には、メトキシ基が好ましい。よって、R18は、メトキシイソプロピル基などが好ましい。
また、置換基を有していてもよいフェニル基としては、例えば、トリメチルフェニル基などが挙げられる。
また、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基としては上記で述べたものが同様に妥当する。これらの具体例は特に制限はないが、例えばエトキシエチル基、メトキシエチル基、メチル基、メトキシイソプロピル基、エチル基が好ましい。
また、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルコキシ基としては、上記で述べたものが同様に妥当する。これらの具体例は特に制限はないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、メトキシプロポキシ基である。
また、R14は、炭素数1〜3のアルキレン基である。炭素数1〜3のアルキレン基としても、上記で述べた説明が同様に妥当し、具体例としては、エチレン基、メチレン基、プロピレン基などが好ましい。
15は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基である。炭素数1〜8のアルキル基としては、上記で述べた説明が同様に妥当し、具体例としては、メチル基、エチル基等が好ましい。
zは、1〜4の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。
wは、0〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。
よって、「置換基(c)」をまとめると下記の具体例が好適である。なお、「置換基(c)」のうち、「置換基(b)」と重複する部分においては、「置換基(b)」を優先するものとする。すなわち、「置換基(c)」においては、「置換基(b)」と重複する部分を除く。
Figure 0004902819
は、耐熱性や溶媒溶解性などの上記特性を考慮すると、ニトロ基、アミノ基、水酸基、炭素数1〜8のアルキル基(特に、t−Bu基)、−S−(RO)10、−S−L−A、置換基(a)、置換基(b)および置換基(c)からなる群から選択される置換基(ア)またはハロゲン原子であることが好ましい。R〜Rのうち、すくなくとも1つはRで表わされる骨格が導入されていると、エーテル系溶媒への溶解性の向上という効果があり好ましい。
においては、耐熱性や溶媒溶解性などの上記特性を考慮すると、qがより好ましくは0である骨格(すなわち、ピリジン骨格)が導入されると好ましい。
においては、耐熱性や溶媒溶解性などの上記特性を考慮すると、qがより好ましくは0である骨格(すなわち、ピラジン骨格)が導入されると好ましい。
においては、耐熱性や溶媒溶解性などの上記特性を考慮すると、sがより好ましくは0である骨格(すなわち、ナフタレン骨格)が導入されると好ましい。また、sがより好ましくは2であり、ハロゲン原子である骨格(すなわち、ジハロナフタレン骨格)が導入されると好ましい。この場合、ハロゲン原子は特に好ましく臭素原子である。
上記を纏めると、上記式(1)中、Z〜Zの好ましい具体例は、それぞれ、独立して、
Figure 0004902819
Figure 0004902819
Figure 0004902819
Figure 0004902819
である。
上記式中、pは、1〜4の整数でありうる。sは、1〜6の整数でありうる。上記式中、vは、0〜5の整数でありうる。また、上記式中、aは、0.25以上4未満が好ましい。bは、0以上3.75未満が好ましい。また、下記:
Figure 0004902819
のように、エステル基を含む基である場合、bは、0.2以上4未満が好ましい。ただし、導入されるハロゲン原子(つまり、例えば、塩素原子、臭素原子)の数(「4−a−b」あるいは「4−a」)は、0超であり、より好ましくは2以上である。
この際、上記のように、本発明のフタロシアニン誘導体においては、R〜Rとして導入されるすべての基のうち、0.05個以上3個未満は、水素原子であり、1〜6個は、置換基(ア)であり、かつ、残部はハロゲン原子であるように、Z〜Zが選択される。
このように、本発明で特定されるような様々な置換基が混在することは、種々の溶媒への溶解性、波長制御、耐久性(耐光性、耐熱性)、グラム吸光係数のバランスを図る点で好ましい。なお、本発明の所期の目的が達成されるメカニズムは不明であるが、置換基(ア)が適当数存在することで、エーテル系溶媒への溶解性が向上し、また、ハロゲン原子が適当数存在することで、吸収波長が長波長化でき、耐久性(耐光性、耐熱性)が向上し、水素原子が適当数存在することで、グラム吸光係数が向上し、全体的な骨格が不均一となり、結晶性が悪化し、溶媒溶解性が向上すると考えられる。
〜Rとして導入されるすべての基のうち、水素原子は0.1個以上3個未満であるが、好ましくは0.05〜2であり、より好ましくは0.05〜1である。かかる範囲であると、溶剤溶解性、耐熱性という観点で特に好ましい。このように本発明のフタロシアニン誘導体が水素原子を適当数有することによって、置換基(ア)やハロゲン原子のみで構成される化合物と比較して、グラムあたりの吸光度が高くなる。このため、少量の配合でフタロシアニン誘導体の効果を発揮させることができる。また、本発明のフタロシアニン誘導体において、置換基(ア)やハロゲン原子ではない、水素原子が適当数存在することで、フタロシアニン誘導体としての構造が、不均一(ランダム)となり、結晶性が悪くなる。そのことによって、種々の溶媒への溶解性が向上する。つまり、0.1個未満であると、グラムあたりの吸光度が高くなる。
〜Rとして導入されるすべての基のうち、1〜6個は、置換基(ア)であるが、溶媒溶解性の向上という観点においては、特に好ましくは1.05〜5.8個であり、グラム吸光係数の向上という観点においては、特に好ましくは1.1〜5.6個である。ここで、置換基(ア)が1個未満であると、溶媒溶解性が低下するため好ましくない。また、置換基(a)が6個を超えると、分子量が大きくなり、グラム吸光係数が小さくなる。
また、上記述べたとおり、R〜Rとして導入されるすべての基のうち、少なくとも1つは置換基(a)、置換基(b)であることが好ましく、より好ましくは少なくとも1つが置換基(a)であることが好ましい。その場合の置換基の数にも、本発明の所定の範囲内であれば特に制限はないが、置換基(a)が1〜6個であることが好ましく、より好ましくは1〜5個であり、1〜4個であることがさらに好ましい。置換基(a)の数がかかる範囲であると、耐熱性や溶媒溶解性、520nmでの高透過性らを併せ持つ所期の目的を奏する。
〜Rとして導入されるすべての基のうち、水素原子、置換基(ア)以外である残部はハロゲン原子である。このように残部にハロゲン原子を配置することによって、耐熱性を向上できる。上記で述べたがR〜Rとして導入されるすべての基のうち、耐熱性や溶媒溶解性など、特に耐熱性を考慮すると、少なくともハロゲン原子が導入されていることも好ましい。その場合のハロゲン原子の数も、本発明の所定の範囲内であれば特に制限はないが、9〜15個であることが好ましく、9〜14個であることがより好ましい。かかる範囲であると、分子同士の過度なスタッキングを防止することで、溶解性が保たれるため、高溶解性と耐熱性を併せ持つ所期の目的を奏する。ただし、かかるメカニズムは本発明者らの推測に過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定されないのは言うまでもない。
本発明のフタロシアニン誘導体の吸収波長としては、近赤外領域の中でも640〜750nmの波長領域に最大吸収波長(λmax)を有することが好ましい。なお、本明細書において、最大吸収波長は、下記実施例で測定の方法で測定された値を採用する。本発明のフタロシアニン誘導体は、640〜750nm付近に最大吸収波長を示すため、フラットパネルディスプレイ、特にPDPやLCDが放つ無用の近赤外域(700〜750nm)の光や、いわゆる深紅と呼ばれる不純な赤色の波長(640〜700nm)の光をカットし、例えば光通信システムの誤作動誘発を防止し、また同時に鮮明な赤色を再現する効果を発揮できる。また、本発明のフタロシアニン誘導体は、710nmの光を吸収し、かつ520nmなどの可視光の透過率が高い、すなわち、高い吸光度比を有する。特にPDPは710nm付近に余分な大きな発光が見られるので、本発明のフタロシアニン誘導体は、710nmの光を吸収し、かつ520nmなどの可視光の透過率が高い色素として、PDP、特にフラットパネルディスプレイ用フィルターとして有用である。
上記のように、本発明のフタロシアニン誘導体は、特にエーテル系溶媒への溶解性が高い。フタロシアニン誘導体を適用する際、デバイスで用いる基板が溶媒により溶解しないこと、また樹脂への溶解性も必要とされることから、フタロシアニン誘導体の溶媒への溶解性は重要である。そして、置換基の種類、数、中心金属の選択により、種々の吸収波長のフタロシアニン誘導体を得ることができる。エーテル系溶媒としては、分岐もしくは直鎖状エーテル、及び環状エーテルが有効に用いられる。具体的には、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。フラットパネルディスプレイ用途においては、PGMEAが用いられることが多い。本発明のフタロシアニン誘導体は、エーテル系溶媒であるPGMEAへの溶解度が、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。溶解度の上限は特に限定されるものではないが、通常は50質量%以下程度である。
本発明のフタロシアニン誘導体の製造方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を適当に利用することができるが、好ましくは溶融状態または有機溶媒中で、フタロニトリル誘導体と金属塩とを環化反応する方法が特に好ましく使用できる。以下、本発明のフタロシアニン誘導体について、製造方法の特に好ましい実施形態を記載する。しかしながら、本発明は、下記好ましい実施形態に制限されるものではない。
すなわち、下記式(2’):
Figure 0004902819
で示されるフタロニトリル誘導体(1)、下記式(3’):
Figure 0004902819
で示されるフタロニトリル誘導体(6)、下記式(4’):
Figure 0004902819
で示されるフタロニトリル誘導体(3)、および下記式(5’):
Figure 0004902819
で示されるフタロニトリル誘導体(4)からなる群から選択される少なくとも1種を、金属、金属酸化物、金属カルボニル、金属ハロゲン化物及び有機酸金属(本明細書中では、一括して「金属化合物」とも称する)からなる群から選ばれる一種と環化反応させることによって、本発明のフタロシアニン誘導体が製造できる。中でも、所期の目的を達成する観点で、フタロニトリル誘導体(1)のみを金属化合物と環化反応させることも好ましい。また、フタロニトリル誘導体(1)とフタロニトリル誘導体(2)とを金属化合物と環化反応させることも好ましい。また、フタロニトリル誘導体(1)とフタロニトリル誘導体(3)とを金属化合物と環化反応させることも好ましい。また、フタロニトリル誘導体(1)とフタロニトリル誘導体(4)とを金属化合物と環化反応させることも好ましい。また、フタロニトリル誘導体(1)とフタロニトリル誘導体(2)とフタロニトリル誘導体(4)とを金属化合物と環化反応させることも好ましい。
上記反応において、式(1)のフタロシアニン誘導体の構造に合わせて、フタロニトリル誘導体(1)〜(4)を記載したが、目的とするフタロシアニン誘導体の構造によっては、フタロニトリル誘導体が1〜4種類となることもある。例えば、上記のようにフタロニトリル誘導体(1)のみを金属化合物と環化反応させることによって、本発明のフタロシアニン誘導体が製造でき、この場合、フタロニトリル誘導体(1)で示される構造はRやpの数によって様々構造を採用することができる。よって、0.05個以上3個未満は、水素原子であり、1〜6個は、置換基(ア)であり、かつ、残部はハロゲン原子であるという特定の範囲内で、目的とするフタロシアニン誘導体の構造となるように、適宜、従来公知の知見を組み合わせることによって、環化反応をすればよい。
本発明においては、「この際、R〜Rとして導入されるすべての基のうち、0.05個以上3個未満は、水素原子であり、1〜6個は、置換基(ア)であり、かつ、残部はハロゲン原子である」という技術的思想に想到したということが特徴の1つである。そのためそれが決まれば、後は、従来公知の知見を適宜参照し、また、実施例を参照し、あるいは組み合わせることによって、目的とするフタロシアニン誘導体を製造することができる。
なお、上記式(2’)〜(5’)は、所望のフタロシアニン誘導体の構造によって規定される。具体的には、上記式(2’)〜(5’)中、それぞれ、上記式(2)〜(5)中のR〜Rの定義と同様であるため、ここでは説明を省略する。
上記態様において、出発原料である式(2’)〜(5’)のフタロニトリル誘導体(フタロニトリル誘導体(1)〜(4))は、従来既知の方法により合成でき、また、市販品を用いることもできる。
以下、特に、置換基(a)および/または置換基(b)が導入された式(2’)で示されるフタロニトリル誘導体(1)を合成する方法を説明する。
例えば、下記式(V):
Figure 0004902819
で示されるフタロニトリル誘導体(V)を、下記式(6a)、(6’a)もしくは(6’’a):
Figure 0004902819
で表される置換基(a)含有前駆体(本明細書中では、単に「置換基(a)含有前駆体」とも称する)、および/または下記式(7a):
Figure 0004902819
で表される置換基(b)含有前駆体(本明細書中では、単に「置換基(b)含有前駆体」とも称する)と反応させることによって得られる。なお、下記において、置換基(a)含有前駆体および置換基(b)含有前駆体を一括して「前駆体」とも称する。
なお、上記式(6a)、(6’a)および(6’’a)中、R、RおよびR、ならびにt、t’およびuは、それぞれ、上記式(6)、(6’)および(6’’a)中のR、RおよびR、ならびにt、t’およびuの定義と同様であるため、ここでは説明を省略する。同様にして、上記式(7a)中、X、Arは、それぞれ、上記式(7)中のX、Arの定義と同様であるため、ここでは説明を省略する。
上記反応では、フタロニトリル誘導体(V)を、出発原料として使用する。上記式(V)中、X、X、X及びXは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子またはニトロ基を表わす。ここで、X、X、X及びXは、同一であってもあるいは異なるものであってもよい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。これらのうち、フッ素原子または塩素原子を表わすことが好ましい。特にテトラクロロフタロニトリル(TCPN)またはテトラフルオロフタロニトリル(TFPN)を出発原料として使用する場合には、置換基(a)含有前駆体または置換基(b)含有前駆体が、当該テトラクロロフタロニトリルまたはテトラフルオロフタロニトリルの3〜6位の塩素原子またはフッ素原子とランダムに反応する。このため、テトラクロロフタロニトリルまたはテトラフルオロフタロニトリルを出発原料として使用することにより、置換基(a)、(b)が、フタロシアニン骨格のα位及びβ位にランダムに導入できる。このため、テトラクロロフタロニトリルまたはテトラフルオロフタロニトリルをフタロニトリル誘導体として使用する場合には、フタロニトリル誘導体は、テトラクロロフタロニトリルの4個の塩素原子またはテトラフルオロフタロニトリルの4個のフッ素原子が任意に前駆体で置換された混合物の形態で得られる。また、3−ニトロフタロニトリルまたは4−ニトロフタロニトリルを出発原料として使用することも好ましい。
また、上記フタロニトリル誘導体と置換基(a)含有前駆体/置換基(b)含有前駆体との反応において、前記前駆体の割合は、目的とするフタロニトリル誘導体の構造によって適宜選択される。例えば、置換基(a)含有前駆体のみを導入する場合の使用量は、これらの反応が進行して所望のフタロニトリル誘導体を製造できる量であれば特に制限されない。好ましくは、フタロニトリル誘導体に、0.25〜3個、より好ましくは0.5〜2個の置換基(a)含有前駆体が導入されるような量であることが好ましい。このような点を考慮すると、置換基(a)含有前駆体の使用量は、フタロニトリル誘導体1モルに対して、通常、0.25〜3モル、より好ましくは0.25〜2モル、特に好ましくは0.5〜2モルである。かような使用量は、合成したいものに応じて適宜変更が可能であるのは言うまでもない(他の使用量等の記載も同様である)。
また、置換基(a)含有前駆体および置換基(b)含有前駆体を導入する場合、この合計使用量は、これらの反応が進行して所望のフタロニトリル誘導体を製造できる量であれば特に制限されない。好ましくは、フタロニトリル誘導体に、0.25〜3個、より好ましくは0.5〜2個の置換基(a)含有前駆体/置換基(b)含有前駆体が導入されるような量であることが好ましい。このような点を考慮すると、前記置換基(a)含有前駆体/置換基(b)含有前駆体の合計使用量は、フタロニトリル誘導体1モルに対して、通常、0.25〜3モル、より好ましくは0.25〜2モル、特に好ましくは0.5〜2モルである。上記フタロニトリル誘導体と前駆体との反応は、無溶媒下であるいは有機溶媒中で行われてもよいが、好ましくは有機溶媒中で行なわれる。この際使用できる有機溶媒としては、アセトニトリル及びベンゾニトリル等のニトリル;アセトン及び2−ブタノン等の極性溶媒などが挙げられる。これらのうち、好ましくは、アセトニトリル、ベンゾニトリル及びアセトンである。溶媒を使用する際の有機溶媒の使用量は、フタロニトリル誘導体の濃度が、通常、2〜40質量%、好ましくは5〜30質量%となるような量である。
また、このフタロニトリル誘導体と前駆体との反応は、反応中に発生するハロゲン化水素(例えば、塩化水素やフッ化水素)等を除去するために、これらのトラップ剤を使用することが好ましい。トラップ剤を使用する際の具体的なトラップ剤の例としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、塩化マグネシウム及び炭酸マグネシウムなどが挙げられ、これらのうち、炭酸カリウム、炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムが好ましい。また、トラップ剤を使用する際のトラップ剤の使用量は、反応中に発生するハロゲン化水素等を効率良く除去できる量であれば特に制限されないが、前駆体1モルに対して、通常1.0〜4.0モル、好ましくは1.0〜2モルである。
また、上記フタロニトリル誘導体と前駆体との反応条件は、両者の反応が進行して所望のフタロニトリル誘導体を得られる条件であれば特に制限されない。具体的には、反応温度は、通常、20〜150℃、好ましくは40〜120℃である。また、反応時間は、通常、0.5〜60時間、好ましくは1〜50時間である。
上記反応により、置換基(a)および/または置換基(b)が導入された式(2’)のフタロニトリル誘導体(1)が得られる。反応後は、従来公知の方法に従って、晶析、ろ過、洗浄、乾燥を行なってもよい。このような操作により、フタロニトリル誘導体を効率よく、しかも高純度で得ることができる。
環化反応は、式(2’)〜(5’)のフタロニトリル誘導体(1)〜(4)からなる群から選択される少なくとも1種と、金属、金属酸化物、金属カルボニル、金属ハロゲン化物及び有機酸金属からなる群から選ばれる一種を溶融状態または有機溶媒中で反応させることが好ましい。
この際使用できる金属、金属酸化物、金属カルボニル、金属ハロゲン化物及び有機酸金属としては、反応後に得られる式(1)のフタロシアニン誘導体のMに相当するものが得られるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、上記式(1)におけるMの項で列挙された鉄、銅、亜鉛、バナジウム、チタン、インジウム及びスズ等の金属、当該金属の、塩化物、臭化物、ヨウ化物等の金属ハロゲン化合物、酸化バナジウム、酸化チタニル及び酸化銅等の金属酸化物、酢酸塩等の有機酸金属、ならびにアセチルアセトナート等の錯体化合物及びカルボニル鉄等の金属カルボニル等が挙げられる。具体的には、鉄、銅、亜鉛、バナジウム、チタン、インジウム、マグネシウム及びスズ等の金属;当該金属の、塩化物、臭化物、ヨウ化物等の金属ハロゲン化合物、例えば、塩化バナジウム、塩化チタン、塩化銅、塩化亜鉛、塩化コバルト、塩化ニッケル、塩化鉄、塩化インジウム、塩化アルミニウム、塩化錫、塩化ガリウム、塩化ゲルマニウム、塩化マグネシウム、ヨウ化銅、ヨウ化亜鉛、ヨウ化コバルト、ヨウ化インジウム、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化ガリウム、臭化銅、臭化亜鉛、臭化コバルト、臭化アルミニウム、臭化ガリウム;一酸化バナジウム、三酸化バナジウム、四酸化バナジウム、五酸化バナジウム、二酸化チタン、一酸化鉄、三二酸化鉄、四三酸化鉄、酸化マンガン、一酸化ニッケル、一酸化コバルト、三二酸化コバルト、二酸化コバルト、酸化第一銅、酸化第二銅、三二酸化銅、酸化バラジウム、酸化亜鉛、一酸化ゲルマニウム、及び二酸化ゲルマニウム等の金属酸化物;酢酸銅、酢酸亜鉛、酢酸コバルト、安息香酸銅、安息香酸亜鉛等の有機酸金属;ならびにアセチルアセトナート等の錯体化合物及びコバルトカルボニル、鉄カルボニル、ニッケルカルボニル等の金属カルボニルなどが挙げられる。これらのうち、好ましくは金属、金属酸化物及び金属ハロゲン化物であり、より好ましくは金属ハロゲン化物であり、さらに好ましくは、ヨウ化バナジウム、ヨウ化銅およびヨウ化亜鉛であり、より好ましくは、ヨウ化銅およびヨウ化亜鉛であり、特に好ましくはヨウ化亜鉛である。ヨウ化亜鉛を用いる場合、中心金属は、亜鉛ということになる。金属ハロゲン化物のうち、ヨウ化物を用いることが好適な理由は、溶剤や樹脂に対する溶解性に優れ、得られるフタロシアニン誘導体のスペクトルがシャープであり、所望の波長に収まりやすいためである。環化反応の際にヨウ化物を用いた場合にスペクトルがシャープになる詳細なメカニズムは不明であるが、ヨウ化物を用いた場合、反応後にフタロシアニン誘導体中に残存するヨウ素が、フタロシアニン誘導体と何らかの相互作用を起こして、フタロシアニン誘導体の層間にヨウ素が存在するようになるためであると推定される。しかしながら、上記メカニズムに限定されるものではない。環化反応に金属ヨウ化物を用いた場合と同様の効果を得るために、得られたフタロシアニン誘導体をヨウ素で処理してもよい。
また、上記態様において、また、環化反応は、無溶媒中でも行なえるが、有機溶媒を使用して行なうのが好ましい。有機溶媒は、出発原料としてのフタロニトリル誘導体との反応性の低い、好ましくは反応性を示さない不活性な溶媒であればいずれでもよく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、モノクロロベンゼン、o−クロロトルエン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、1−クロロナフタレン、1−メチルナフタレン、エチレングリコール、およびベンゾニトリル等の不活性溶媒;メタノール、エタノール、1−プロパノ−ル、2−プロパノ−ル、1−ブタノール、1−ヘキサノール、1−ペンタノール、1−オクタノール等のアルコール;ならびにピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトフェノン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、1−クロロナフタレン、1−メチルナフタレン、1−オクタノール、ジクロロベンゼンおよびベンゾニトリルが、より好ましくは、1−オクタノール、ジクロロベンゼンおよびベンゾニトリルが使用される。これらの溶媒は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
上記態様における式(2’)〜(5’)のフタロニトリル誘導体(1)〜(4)からなる群から選択される少なくとも1種と金属化合物との反応条件は、当該反応が進行する条件であれば特に制限されるものではない。例えば、上記フタロニトリル誘導体(1)〜(4)からなる群から選択される少なくとも1種は、有機溶媒100質量部に対して、好ましくは1〜500質量部、より好ましくは10〜350質量部である。
また、金属化合物は、該フタロニトリル誘導体4モルに対して、好ましくは0.8〜2.0モル、より好ましくは0.8〜1.5モルの範囲で仕込まれる。
環化条件は、特に限定されるものではないが、好ましくは反応温度30〜250℃、より好ましくは80〜200℃の範囲で反応させる。反応時間は、特に限定されるものではないが、好ましくは3〜24時間である。
また、上記反応は、大気雰囲気中で行なってもよいが、不活性ガス雰囲気(例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの流通下)で、行なわれることが好ましい。
上記環化反応後は、従来公知の方法に従って、晶析、ろ過、洗浄、乾燥を行なってもよい。このような操作により、フタロシアニン誘導体を効率よく、しかも高純度で得ることができる。
上記のように、本発明においては、「この際、R〜Rとして導入されるすべての基のうち、0.05個以上3個未満は、水素原子であり、1〜6個は、置換基(ア)であり、かつ、残部はハロゲン原子である」という技術的思想に想到したということが特徴の1つである。そのため、それが決まれば、後は、従来公知の知見を適宜参照し、あるいは組み合わせることによって、目的とするフタロシアニン誘導体を製造することができるのである。
ゆえに、例えば、下記式:
Figure 0004902819
直近の式中、aは、0.25以上4未満が好ましく、「4−a」は、好ましくは2以上である、で表わされるフタロニトリル誘導体、下記式:
Figure 0004902819
直近の式中、aは、0.25以上4未満が好ましく、「4−a」は、好ましくは2以上である、で表わされるフタロニトリル誘導体、下記式:
Figure 0004902819
直近の式中、aは、0.25以上4未満が好ましく、「4−a」は、好ましくは2以上である、で表わされるフタロニトリル誘導体、下記式:
Figure 0004902819
直近の式中、aは、0.25以上4未満が好ましく、「4−a」は、好ましくは2以上である、で表わされるフタロニトリル誘導体、下記式:
Figure 0004902819
直近の式中、aは、0.25以上4未満が好ましく、bは、0.2以上4未満が好ましく、ただし、「4−a−b」は、0超であり、好ましくは2以上である、で表わされるフタロニトリル誘導体、下記式:
Figure 0004902819
直近の式中、aは、0.25以上4未満が好ましく、bは、0以上3.75未満が好ましく、ただし、「4−a−b」は、0超であり、好ましくは2以上であり、「c/(c+d)」および「d/(c+d)」は、塩素原子と臭素原子の任意の割合を示すためのものであり、cは好ましくは0〜3.9であり、dは好ましくは0〜4である、で表わされるフタロニトリル誘導体、下記式:
Figure 0004902819
直近の式中、aは、0.25以上4未満が好ましく、bは、0以上3.75未満が好ましく、また、エステル基を含む基である場合、bは、0.2以上4未満が好ましく、ただし、「4−a−b」および「4−a」はそれぞれ、0超であり、より好ましくは2以上である、で表わされるフタロニトリル誘導体と;
Figure 0004902819
式中、pは、0〜3の整数でありうり(つまり、少なくとも1つの「水素原子」が導入され)、sは、0〜5の整数でありうり(つまり、少なくとも1つの「水素原子」が導入されて)、で表わされるフタロニトリル誘導体の1種以上と;
金属化合物と;
を、「R〜Rとして導入されるすべての基のうち、0.05個以上3個未満は、水素原子であり、1〜6個は、置換基(ア)であり、かつ、残部はハロゲン原子である」となるように、環化反応させることによって、本発明のフタロシアニン誘導体を製造することができる。
本発明によれば、エーテル系溶媒への溶解性が高く、かつ、耐熱性が向上したフタロシアニン誘導体を提供することができる。本発明のフタロシアニン誘導体は、エーテル系溶媒に溶解することができる。したがって、エーテル系溶媒に比較的選択的に溶解する樹脂であっても用いることができる。また、エーテル系溶媒以外の溶媒を用いると溶解する可能性があるプラスチック上にフタロシアニン色素を適用する用途などにも用いることができる。また、本発明のフタロシアニン誘導体は、耐熱性が向上している。そのため、外部環境への適応性が有意に高く、様々な用途で用いることができる。また、本発明のフタロシアニン誘導体は、優れた樹脂との相溶性、耐熱性、耐光性、耐候性に加えて、高い可視光線透過率、高い近赤外線カット効率及び近赤外線の選択吸収を保持する。
<本発明の第2>
本発明の第2は、本発明のフタロシアニン誘導体を含む、フラットパネルディスプレイ用フィルターである。
本発明のフタロシアニン誘導体は、半透明ないし透明性を有しかつ熱線を遮蔽する目的の熱線遮蔽材、自動車用の熱線吸収合わせガラス、熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽樹脂ガラス、可視光線透過率が高くかつ近赤外線光のカット効率の高いプラズマディスプレー用フィルター、フラッシュ定着などの非接触定着トナー用の近赤外線吸収剤として、また、保温蓄熱繊維用の近赤外線吸収剤、赤外線による偵察に対し偽装性能(カモフラージュ性能)を有する繊維用の赤外吸収剤、半導体レーザーを使う光記録媒体、キセノンランプをバックライトとする液晶ディスプレイ用フィルター、光学文字読取機等における書き込みあるいは読み取りの為の近赤外線吸収色素、近赤外光増感剤、感熱転写・感熱孔版等の光熱交換剤、レーザービームを使用して樹脂を熱融着させるレーザー融着用の光熱交換剤、近赤外線吸収フィルター、眼精疲労防止剤あるいは光導電材料等、さらに組織透過性の良い長波長域の光に吸収を持つ腫瘍治療用感光性色素、カラーブラウン管選択吸収フィルター、カラートナー、インクジェット用インク、改ざん偽造防止用インク、改ざん偽造防止用バーコード用インク、近赤外吸収インク、写真やフィルムの位置決め用マーキング剤、およびゴーグルのレンズや遮蔽板、プラスチックリサイクルの際の仕分け用の染色剤、ならびにPETボトルの成形加工時のプレヒーティング助剤などに用いる際に優れた効果を発揮するものである。特に上記した特性を考慮すると、本発明のフタロシアニン誘導体は、熱線遮蔽材、フラットディスプレー用フィルター及び近赤外吸収材に好適に使用できる。
上記したような特定の構造を有するフタロシアニン誘導体は、640〜750nmという特定の波長域で最大吸収波長を示すため、これらの領域の光を選択的にカットすることが可能である。このため、本発明のフタロシアニン誘導体は、フラットパネルディスプレイに使用されると、例えば、PDPやLCDが放つ無用の近赤外域(700〜750nm)の光や、いわゆる深紅と呼ばれる不純な赤色の波長(640〜700nm)の光をカットし、例えば光通信システムの誤作動誘発を防止し、また同時に鮮明な赤色を再現するといった効果を発揮できるといった効果が期待される。また、特にPDPは710nm付近に余分な大きな発光が見られるので、710nmの光を吸収し、かつ520nmなどの可視光の透過率が高い本発明のフタロシアニン誘導体は有用である。
したがって、本発明は、本発明のフタロシアニン誘導体を含む、フラットパネルディスプレイ用フィルターにも関する。フラットパネルディスプレイ用フィルターの用途としては、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイに用いられることが好適であり、特にプラズマディスプレイに用いることが好適である。
本発明のフィルターは、本発明のフタロシアニン誘導体を含有することが必須であるが、他の最大吸収波長を有する色素をさらに含んでもよい。
このような場合に使用できる他の色素としては、用途によって所望される最大吸収波長によって適宜選択されるが、例えば、800〜1000nmの近赤外吸収色素や570〜600nmのオレンジ色のネオン光を吸収する色素などが挙げられる。これらのうち、800〜1000nmの近赤外吸収色素としては、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、ニッケル錯体系色素、ジイモニウム系色素などが挙げられる。これらのうち、フタロシアニン系色素としては、特開平2001−106689号公報に記載のフタロシアニン系色素、特に特開平2001−106689号公報の実施例8で製造されるフタロシアニン[CuPc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)](λmax:807nm)、同公報の実施例7で製造されるフタロシアニン[VOPc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)](λmax:870nm)、同公報の実施例9で製造されるフタロシアニン[VOPc(PhS){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)](λmax:912nm);特開平2004−18561号公報に記載のフタロシアニン系色素、特に特開平2004−18561号公報の実施例8で製造されるフタロシアニン[VOPc(PhS){2,6−(CHPhO}{CHCHO(CHNH}](λmax:928nm)、同公報の実施例17で製造されるフタロシアニン[VOPc(4−(CHO)PhS){2,6−(CHPhO}{CH(CHCH(C)CHNH}](λmax:962nm);下記式:
Figure 0004902819
で示される、フタロシアニン化合物[以下、{CuPc(3−メトキシカルボニルフェノキシ)(2−クロロベンジルアミノ)F}とも称する](λmax:916nm)、下記式:
Figure 0004902819
で示される、フタロシアニン化合物[以下、{CuPc(3−メトキシカルボニルフェノキシ)(2−エチルヘキシルアミノ)}とも称する](λmax:963nm)などが好ましく使用される。この場合では、耐久性、耐候性を考慮すると、800〜1000nmのフタロシアニン系色素は、フタロシアニン骨格の中心金属は銅であることが特に好ましい。また、特開平10−78509号公報の実施例に記載のあるフタロシアニン化合物も使用できる。ジイモニウム系色素としては、(N,N,N’,N’−テトラキス(p−ジエチルアミノフェニル)−p−ベンゾキノン−ビス(イモニウム)・ヘキサフルオロアンチモン酸塩、N,N,N’,N’−テトラキス(p−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジアミン−ビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸)イモニウム塩(日本カーリット(株)製、商標:CIR−1085)、N,N,N’,N’−テトラキス(p−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジアミン−ビス(六弗化アンチモン酸)イモニウム塩(日本カーリット(株)製、商標:CIR−1081)、ジイモニウムカチオンとビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドアニオンとからなるジイモニウム色素(日本カーリット(株)製、商標:CIR−RL)などが好ましく使用される。ニッケル錯体系色素としては、Bis(1,2−diphenylethene−1,2−dithiol)nickelなどが好ましく使用される。さらに、シアニン系色素としては、安定化シアニン色素が使用できる。ここで、安定化シアニン色素とは、シアニン系カチオンとクエンチャーアニオンとからなる塩化合物である。このうち、シアニン系カチオンとしては、例えば、以下に示す、カチオンNo.1、No.2などが、また、クエンチャーアニオンとしては、例えば、以下に示す、アニオンNo.11、No.22の化合物が好ましく使用でき、これらを適宜組合わせた塩化合物が安定化シアニン色素として好ましく使用される。
Figure 0004902819
Figure 0004902819
また、570〜600nmのオレンジ色のネオン光を吸収する色素としては、テトラアザポルフィリン系色素、シアニン系色素、スクアリリウム系色素、アントラキノン系色素、サブフタロシアニン系色素、フタロシアニン系色素、ポリメチル系色素、ポリアゾ系色素などが挙げられる。これらのうち、テトラアザポルフィリン系色素としては、テトラ−t−ブチル−テトラアザポルフィリン・銅錯体、テトラ−t−ブチル−テトラアザポルフィリン・バナジウム錯体などが好ましく使用される。また、シアニン系色素、スクアリリウム系色素としては、特開2002−189422号公報に記載のシアニン系色素、スクアリリウム系色素などが好ましく使用される。サブフタロシアニン系色素としては、特開平2006−124593号公報に記載のサブフタロシアニン系色素などが好ましく使用される。570〜600nmのフタロシアニン系色素は、耐久性、耐候性を考慮すると、フタロシアニン骨格の中心金属は銅であることが特に好ましい。
また、フタロシアニン化合物以外に、600〜750nmに最大吸収波長を有する色素を含んでいてもよい。このような色素としては、具体的には、下記式で示されるような1−エチル−2−[3−クロロ−5−(1−エチル−2(1H)−キノリニリデン)−1,3−ペンタジエニル]キノリウムブロミド(106倍;λmax:694.4nm)、1,3,3−トリメチル−2−[5−(1,3,3−トリメチル−2(1H)−ベンズ[e]インドリニリデン)−1,3−ペンタジエニル]−3H−ベンズ[e]インドリニウムパークロレート(119倍;λmax:675.6nm)、3−エチル−2−[5−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−1,3−ペンタジエニル]ベンゾチアゾリウムヨージド(475倍;λmax:651.6nm)等のシアニン系色素などが挙げられる。なお、上記において、括弧内の倍率は、460nmの吸光度に対する最大吸収波長における吸光度の倍率であり、また、括弧内に、最大吸収波長(λmax)を示す。なお、上記他の色素は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
本発明のフラットパネルディスプレイ用フィルターは、フラットパネルディスプレイ用フィルターにおいて使用することのできる色素/フタロシアニン色素(以下、単に「色素/フタロシアニン色素」とも称する)を基材に含有してなるもので、本発明でいう基材に含有するとは、基材の内部に含有されることはもちろんのこと、基材の表面に塗布した状態、基材と基材の間に挟まれた状態などを意味する。基材としては、透明樹脂板、透明フィルム、透明ガラス等が挙げられる。上記フタロシアニン誘導体を用いて、本発明のフラットパネルディスプレイ用フィルターを作製する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の3つの方法が利用できる。
すなわち、(1)樹脂に色素/フタロシアニン色素を混練し、加熱成形して樹脂板あるいはフィルムを作製する方法;(6)色素/フタロシアニン色素を含有する塗料(液状ないしペースト状物)を作製し、透明樹脂板、透明フィルムあるいは透明ガラス板上にコーティングする方法;(3)色素/フタロシアニン色素を接着剤に含有させて、合わせ樹脂板、合わせ樹脂フィルム、合わせガラス等を作製する方法;および(4)色素/フタロシアニン色素を接着剤に含有させて、これを反射防止処理を施したフィルムなどに塗布し、PDPパネルやPDP前面フィルタガラスに貼り付ける方法等である。
本発明において、ディスプレーからでる近赤外線光をカットするためにディスプレーの前面に設置するため、可視光線の透過率が低いと、画像の鮮明さが低下するため、フィルターの可視光線の透過率は高いほど良く、少なくとも40%、好ましくは60%以上必要である。また、近赤外線光のカット領域は、750〜1100nm、好ましくは800〜1000nmであり、その領域の平均光線透過率が20%以下、好ましくは15%以下になるように設計する。このために必要であれば、色素/フタロシアニン色素を2種以上組み合わせてもよい。また、フィルターの色調を変えるために、可視領域に吸収を持つ他の色素を加えることも好ましい。また、色調用色素のみを含有するフィルターを作製し、後で貼り合わせることもできる。特にスパッタリングなどの電磁波カット層を設けた場合、元のフィルター色に比べて色合いが大きく異なる場合があるため、色調は重要である。
上記の方法で得たフィルターをさらに実用的にするためには、フラットパネルディスプレーから出る電磁波を遮断する電磁波カット層、反射防止(AR)層、ノングレア(AG)層を設けることもできる。それらの作製方法は、特に制限を受けない。例えば、電磁波カット層は、金属酸化物等のスパッタリング方法が利用できるが、通常はSnを添加したIn(ITO)が、一般的であるが、誘電体層と金属層を基材上に交互にスパッタリングなどで積層させることで、近赤外線、遠赤外線から電磁波まで1100nm以上の光をカットすることもでききる。誘電体層としては、酸化インジウム、酸化亜鉛などの透明な金属酸化物であり、金属層としては、銀あるいは銀−パラジウム合金が一般的であり、通常、誘電体層よりはじまり3層、5層、7層あるいは11層程度積層する。この場合、ディスプレーより出る熱も同時にカットできるが、色素/フタロシアニン色素は、熱線遮蔽効果に優れるため、より耐熱効果を向上できる。基材としては、色素/フタロシアニン色素を含有するフィルターをそのまま利用しても良いし、樹脂フィルムあるいはガラス上にスパッタリングした後に該色素/フタロシアニン色素を含有するフィルターとはり合わせてもよい。また、電磁波カットを実際に行う場合は、アース用の電極を設置する必要がある。反射防止層は、表面の反射を抑えてフィルターの透過率を向上させるために、金属酸化物、フッ化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、硫化物等の無機物を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法等で単層あるいは多層に積層させる方法、アクリル樹脂、フッ素樹脂等の屈折率の異なる樹脂を単層あるいは多層に積層させる方法等がある。また、反射防止処理を施したフィルムを該フィルター上に貼り付けることもできる。また、必要であれば、ノングレアー(AG)層を設けることもできる。ノングレアー(AG)層は、フィルターの視野角を広げる目的で、透過光を散乱させるために、シリカ、メラミン、アクリルなどの微粉体をインキ化して、表面にコーティングする方法等を用いることができる。インキの硬化は、熱硬化あるいは光硬化等を用いることができる。また、ノングレアー処理をしたフィルムを該フィルター上にはり付けることもできる。さらに必要であれば、ハードコート層を設けることもできる。
フラットパネルディスプレー用のフィルターの構成は、必要に応じて変えることができる。通常、近赤外線吸収化合物を含有するフィルター上に反射防止層を設けたり、さらに必要であれば、反射防止層の反対側にノングレア層を設ける。また、電磁波カット層を組み合わせる場合は、近赤外線吸収化合物を含有するフィルターを基材として、その上に電磁波カット層を設けるか、あるいは近赤外線吸収化合物を含有するフィルターと電磁波カット能を有するフィルターを貼り合わせて作製できる。その場合、さらに、両面に反射防止層を作製するか、必要であれば、片面に反射防止層を作製し、その反対面にノングレア層を作製することもできる。また、色補正するために、可視領域に吸収を有する色素を加える場合は、その方法については制限を受けない。
以下、実施例および比較例を説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記化合物の名称において、Pcはフタロシアニン核を、PNはフタロニトリルを表す。また、下記化合物の名称において、「α−(置換基A),β−(置換基A)x−aPN(0<a<x)」あるいは「α−(置換基A),β−(置換基A)x−aPc(0<a<x)」と、記載されるのは、得られるフタロニトリル化合物あるいはフタロシアニン誘導体は、α位に平均a個およびβ位に平均x−a個の置換基Aが導入されていることを意味し、即ち、α位及びβ位に合計x個の置換基Aが導入されていることを意味する。
<合成例1>
フタロニトリル化合物[α−{(4−COOCOCH)CO},β−{(4−COOCOCH)CO}1−aClPN](0≦a<1)(中間体1)の合成
150mlフラスコに、テトラクロロフタロニトリル(以下、TCPNと略す)7.98g(0.030モル)とp−ヒドロキシ安息香酸メチルセルソルブ5.95g(0.030モル)、アセトニトリル31.91gを投入し、マグネチックスターラーを用いて、内温が40℃に安定するまで約30分攪拌した後、炭酸カリウム4.56g(0.033モル)を投入して約3時間反応させた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液を約110℃×1時間の条件にてエバポレーション処理により溶剤を溜去した。さらに、約110℃で一晩真空乾燥し、約13.1g(TCPNに対する収率102.4モル%)が得られた。
<合成例2>
フタロニトリル化合物[α−{(4−COOCOCH)CO},α−{(2,6−Cl)CS}b,β−{(4−COOCOCH)CO}0.8−a,β−{(2,6−Cl)CS}0.2−bClPN](0≦a<0.8,0≦b<0.2)(中間体2)の合成
150mlフラスコに、TCPN5.32g(0.020モル)とp−ヒドロキシ安息香酸メチルセルソルブ3.14g(0.016モル)、アセトニトリル21.27gを投入しマグネチックスターラーを用いて、内温が40℃に安定するまで約30分攪拌した後、炭酸カリウム3.04g(0.022モル)を投入して約2時間反応させた。反応後、フラスコに2,6−ジクロロチオフェノール0.72g(0.004モル)を投入して、さらに約4時間反応をさせた。冷却後、合成例1と同じ工程にて処理を行い、約8.3g(TCPNに対する収率98.8モル%)が得られた。
<合成例3>
フタロニトリル化合物[α−{(4−COOCOCH)CO},β−{(4−COOCOCH)CO}1−aPN](0≦a<1)(中間体3)の合成
150mlフラスコに、テトラフルオロフタロニトリル(以下、TFPNと略す)8.00g(0.040モル)とp−ヒドロキシ安息香酸メチルセルソルブ7.93g(0.040モル)、アセトニトリル32.01gを投入し、マグネチックスターラーを用いて、内温が40℃に安定するまで約30分攪拌した後、炭酸カリウム6.08g(0.044モル)を投入して約4時間反応させた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液を約110℃×1時間の条件にてエバポレーション処理により溶剤を溜去した。さらに、約110℃で一晩真空乾燥し、約15.4g(TFPNに対する収率107.3モル%)が得られた。
<合成例4>
フタロニトリル化合物[α−{(CHCH(OCH)COOC)CS}HPN](中間体4)の合成
150mlフラスコに、3−ニトロフタロニトリル10g(0.0578モル)と3−メルカプトプロピオン酸3−メトキシブチル11.11g(0.0578モル)、アセトニトリル40gを投入し、マグネチックスターラーを用いて内温が60℃に安定するまで約30分攪拌した後、炭酸カリウム8.79g(0.0636モル)を投入して約6時間反応させた。冷却後、合成例1と同じ工程にて処理を行い、約18.3g(3−ニトロフタロニトリルに対する収率99.4モル%)が得られた。
<合成例5>
フタロニトリル化合物[α−{(4−SOOCH)CO},β−{(4−SOOCH)CO}1−aClPN](0≦a<1)(中間体5)の合成
150mlフラスコに、TCPN13.30g(0.050モル)とp−フェノールスルホン酸メチルセルソルブ12.10g(0.050モル)、アセトニトリル53.18gを投入し、マグネチックスターラーを用いて、内温が75℃に安定するまで約30分攪拌した後、炭酸カリウム7.60g(0.055モル)を投入して約8時間反応させた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液を約110℃×1時間の条件にてエバポレーション処理により溶剤を溜去した。さらに、約110℃で一晩真空乾燥し、約23.0g(TCPNに対する収率99.6モル%)が得られた。
<合成例6>
フタロニトリル化合物[α−{(4−COOCH)CO},β−{(4−COOCH)CO}1.5−aCl2.5PN](0≦a<1.5)(中間体6)の合成
150mlフラスコに、TCPN4.25g(0.016モル)とp−ヒドロキシ安息香酸メチル3.65g(0.024モル)、ベンゾニトリル(以下、BNと略す)13.19gを投入し、マグネチックスターラーを用いて、内温が80℃に安定するまで約30分攪拌した後、炭酸カリウム3.65g(0.026モル)を投入して約4時間反応させた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液を約110℃×1時間の条件にてエバポレーション処理により溶剤を溜去した。さらに、約110℃で一晩真空乾燥し、約6.5g(TCPNに対する収率98.6モル%)が得られた。
<合成例7>
フタロニトリル化合物[α−{(4−COOCOCH)CO},β−{(4−COOCOCH)CO}0.6−aCl3.4PN](0≦a<0.6)(中間体7)の合成
150mlフラスコに、TCPN4.25g(0.016モル)とp−ヒドロキシ安息香酸メチルセルソルブ1.88g(0.010モル)、BN13.19gを投入し、マグネチックスターラーを用いて、内温が80℃に安定するまで約30分攪拌した後、炭酸カリウム1.46g(0.011モル)を投入して約4時間反応させた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液を約110℃×1時間の条件にてエバポレーション処理により溶剤を溜去した。さらに、約110℃で一晩真空乾燥し、約5.7g(TCPNに対する収率98.3モル%)が得られた。
<合成例8>
フタロニトリル化合物[α−{(4−COOCOCH)CO},β−{(4−COOCOCH)CO}0.3−aCl3.7PN](0≦a<0.3)(中間体8)の合成
150mlフラスコに、TCPN4.25g(0.016モル)とp−ヒドロキシ安息香酸メチルセルソルブ0.94g(0.005モル)、BN13.19gを投入し、マグネチックスターラーを用いて、内温が80℃に安定するまで約30分攪拌した後、炭酸カリウム0.73g(0.005モル)を投入して約4時間反応させた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液を約110℃×1時間の条件にてエバポレーション処理により溶剤を溜去した。さらに、約110℃で一晩真空乾燥し、約4.9g(TCPNに対する収率98.0モル%)が得られた。
<合成例9>
フタロニトリル化合物[α−{(4−COOCOCH)CO},α−{(2−OCH−4−COOCOCH)CO},β−{(4−COOCOCH)CO}0.8−a,β−{(2−OCH−4−COOCOCH)CO}0.2−bClPN](0≦a<0.8、0≦b<0.2)(中間体9)の合成
150mlフラスコに、TCPN6.65g(0.025モル)とp−ヒドロキシ安息香酸メチルセルソルブ3.92g(0.020モル)、バニリン酸メチルセルソルブ1.13g(0.005モル)、アセトニトリル26.59gを投入し、マグネチックスターラーを用いて、内温が40℃に安定するまで約30分攪拌した後、炭酸カリウム3.80g(0.028モル)を投入して約4時間反応させた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液を約110℃×1時間の条件にてエバポレーション処理により溶剤を溜去した。さらに、約110℃で一晩真空乾燥し、約10.7g(TCPNに対する収率99.5モル%)が得られた。
<合成例10>
フタロニトリル化合物[α−{(2−COOCOCH)C10−6−O},β−{(2−COOCOCH)C10−6−O}1−aClPN](0≦a<1)(中間体10)の合成
150mlフラスコに、TCPN3.46g(0.013モル)と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルセルソルブ3.20g(0.013モル)、BN10.72gを投入し、マグネチックスターラーを用いて、内温が80℃に安定するまで約30分攪拌した後、炭酸カリウム1.98g(0.014モル)を投入して約4時間反応させた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液を約110℃×1時間の条件にてエバポレーション処理により溶剤を溜去した。さらに、約110℃で一晩真空乾燥し、約6.1g(TCPNに対する収率98.4モル%)が得られた。
<合成例11>
フタロニトリル化合物[α−{(4−CN)CO}HPN](中間体11)の合成
150mlフラスコに、3ニトロフタロニトリル25.10g(0.145モル)と4−シアノフェノール17.79g(0.149モル)、アセトニトリル100.42gを投入し、マグネチックスターラーを用いて、内温が85℃に安定するまで約30分攪拌した後、炭酸カリウム22.04g(0.160モル)を投入して約4時間反応させた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液に蒸留水100.42gを滴下して結晶を析出させた。吸引ろ過後、取り出した結晶を約60℃で一晩真空乾燥し、約34.05g(3ニトロフタロニトリルに対する収率95.8モル%)が得られた。
<合成例12>
フタロニトリル化合物[α−{(2−NO)CO}HPN](中間体12)の合成
150mlフラスコに、3ニトロフタロニトリル25.10g(0.145モル)と2−ニトロフェノール24.21g(0.174モル)、アセトニトリル100.42gを投入し、マグネチックスターラーを用いて、内温が85℃に安定するまで約30分攪拌した後、炭酸カリウム24.05g(0.174モル)を投入して約24時間反応させた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液に蒸留水200gを滴下して結晶を析出させた。吸引ろ過後、取り出した結晶を約60℃で一晩真空乾燥し、約36.1g(3ニトロフタロニトリルに対する収率93.9モル%)が得られた。
<合成例13>
フタロニトリル化合物[α−{(4−COOCOCH)CO},α−{(2−C)CO},β−{(4−COOCOCH)CO}0.9−a,β−{(2−C)CO}0.1−bClPN](0≦a<0.9、0≦b<0.1)(中間体13)の合成
150mlフラスコに、TCPN4.25g(0.016モル)とp−ヒドロキシ安息香酸メチルセルソルブ2.83g(0.014モル)、o−フェニルフェノール0.27g(0.002モル)、BN13.19gを投入し、マグネチックスターラーを用いて、内温が80℃に安定するまで約30分攪拌した後、炭酸カリウム2.43g(0.018モル)を投入して約4時間反応させた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液を約110℃×1時間の条件にてエバポレーション処理により溶剤を溜去した。さらに、約110℃で一晩真空乾燥し、約6.7g(TCPNに対する収率98.5モル%)が得られた。
<合成例14>
フタロニトリル化合物[α−{(4−COOCOCH)CO},α−{(2−COOCH)CS},β−{(4−COOCOCH)CO}0.8−a,β−{(2−COOCH)CS}0.2−bClPN](0≦a<0.8、0≦b<0.2)(中間体14)の合成
150mlフラスコに、TCPN4.25g(0.016モル)とp−ヒドロキシ安息香酸メチルセルソルブ2.51g(0.013モル)、チオサリチル酸メチル0.54g(0.003モル)、BN13.19gを投入し、マグネチックスターラーを用いて、内温が80℃に安定するまで約30分攪拌した後、炭酸カリウム2.43g(0.018モル)を投入して約4時間反応させた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液を約110℃×1時間の条件にてエバポレーション処理により溶剤を溜去した。さらに、約110℃で一晩真空乾燥し、約6.6g(TCPNに対する収率98.5モル%)が得られた。
<合成例15>
フタロニトリル化合物[α−{(4−COOCOCH)CO},α−{(4−OCH)CO},β−{(4−COOCOCH)CO}0.9−a,β−{(4−OCH)CO}0.1−bClPN](0≦a<0.9、0≦b<0.1)(中間体15)の合成
150mlフラスコに、TCPN4.25g(0.016モル)とp−ヒドロキシ安息香酸メチルセルソルブ2.83g(0.014モル)、4−メトキシフェノール0.20g(0.002モル)、BN13.19gを投入し、マグネチックスターラーを用いて、内温が80℃に安定するまで約30分攪拌した後、炭酸カリウム2.43g(0.018モル)を投入して約4時間反応させた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液を約110℃×1時間の条件にてエバポレーション処理により溶剤を溜去した。さらに、約110℃で一晩真空乾燥し、約6.6g(TCPNに対する収率98.5モル%)が得られた。
<合成例16>
フタロニトリル化合物[α−{(4−COOCOCH)CO},α−{(2−C(CH)CO},β−{(4−COOCOCH)CO}0.9−a,β−{(2−C(CH)CO}0.1−bClPN](0≦a<0.9、0≦b<0.1)(中間体16)の合成
150mlフラスコに、TCPN4.25g(0.016モル)とp−ヒドロキシ安息香酸メチルセルソルブ2.83g(0.014モル)、2−tert−ブチルフェノール0.24g(0.002モル)、BN13.19gを投入し、マグネチックスターラーを用いて、内温が80℃に安定するまで約30分攪拌した後、炭酸カリウム2.43g(0.018モル)を投入して約4時間反応させた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液を約110℃×1時間の条件にてエバポレーション処理により溶剤を溜去した。さらに、約110℃で一晩真空乾燥し、約6.6g(TCPNに対する収率98.5モル%)が得られた。
<合成例17>
フタロニトリル化合物[α−{(4−COOCOCH)CO},α−{(3−COOC)CO},β−{(4−COOCOCH)CO}0.7−a,β−{(3−COOC)CO}0.3−bClPN](0≦a<0.7、0≦b<0.3)(中間体17)の合成
150mlフラスコに、TCPN4.25g(0.016モル)とp−ヒドロキシ安息香酸メチルセルソルブ2.20g(0.011モル)、3−ヒドロキシ安息香酸エチル0.8g(0.005モル)、BN13.19gを投入し、マグネチックスターラーを用いて、内温が80℃に安定するまで約30分攪拌した後、炭酸カリウム2.43g(0.018モル)を投入して約4時間反応させた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液を約110℃×1時間の条件にてエバポレーション処理により溶剤を溜去した。さらに、約110℃で一晩真空乾燥し、約6.5g(TCPNに対する収率97.0モル%)が得られた。
<合成例18>
フタロニトリル化合物[α−{(4−COOCOCH)CO},α−{CO},β−{(4−COOCOCH)CO}0.8−a,β−{CO}0.2−bClPN](0≦a<0.8、0≦b<0.2)(中間体18)の合成
150mlフラスコに、TCPN13.30g(0.050モル)とp−ヒドロキシ安息香酸メチルセルソルブ7.85g(0.040モル)、ペンタフルオロフェノール1.84g(0.010モル)、アセトニトリル53.18gを投入し、マグネチックスターラーを用いて、内温が40℃に安定するまで約30分攪拌した後、炭酸カリウム7.60g(0.055モル)を投入して約5時間反応させた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液を約110℃×1時間の条件にてエバポレーション処理により溶剤を溜去した。さらに、約110℃で一晩真空乾燥し、約21.3g(TCPNに対する収率100.4モル%)が得られた。
<合成例19>
フタロニトリル化合物[α−{(4−COOCOCH)CO},α−{(3,5−Br−4−COOCOCH)CO},β−{(4−COOCOCH)CO}0.8−a,β−{(3,5−Br−4−COOCOCH)CO}0.2−bClPN](0≦a<0.8、0≦b<0.2)(中間体19)の合成
150mlフラスコに、TCPN13.30g(0.050モル)とp−ヒドロキシ安息香酸メチルセルソルブ7.85g(0.040モル)、3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸メチルセルソルブ3.54g(0.010モル)、アセトニトリル53.18gを投入し、マグネチックスターラーを用いて、内温が40℃に安定するまで約30分攪拌した後、炭酸カリウム7.60g(0.055モル)を投入して約3時間反応させた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液を約110℃×1時間の条件にてエバポレーション処理により溶剤を溜去した。さらに、約110℃で一晩真空乾燥し、約23.0g(TCPNに対する収率100.6モル%)が得られた。
<合成例20>
フタロニトリル化合物[α−{(4−COOCOCH)CO},α−{(4−CF)CO},β−{(4−COOCOCH)CO}0.9−a,β−{(4−CF)CO}0.1−bClPN](0≦a<0.9、0≦b<0.1)(中間体20)の合成
150mlフラスコに、TCPN4.25g(0.016モル)とp−ヒドロキシ安息香酸メチルセルソルブ2.83g(0.014モル)、4−ヒドロキシベンゾトリフルオリド0.26g(0.002モル)、BN13.19gを投入し、マグネチックスターラーを用いて、内温が80℃に安定するまで約30分攪拌した後、炭酸カリウム2.43g(0.018モル)を投入して約4時間反応させた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液を約110℃×1時間の条件にてエバポレーション処理により溶剤を溜去した。さらに、約110℃で一晩真空乾燥し、約6.7g(TCPNに対する収率98.5モル%)が得られた。
<合成例21>
(前駆体合成例1)
フタロニトリル前駆体[Br0.33Cl3.67PN]の合成(前駆体1)
150mlフラスコに、TCPN16.15g(0.060モル)、N-メチルピロリドン64.46gを投入し、マグネチックスターラーを用いて、内温が80℃に安定するまで約30分攪拌した後、臭素化カリウム7.22g(0.060モル)を投入して約72時間反応させた。冷却後、吸引ろ過により無機塩を除去して得られたろ液をエバポレーション処理し茶色固体を得た。この固体にメタノール30g、水50gを加え、1時間攪拌洗浄した後、ろ過して白色固体15.11g(TCPNに対する収率89.8モル%)を得た。また、得られた白色固体は、ガスクロマトグラフィーによる組成分析より、TCPN(70mol%)、ブロモトリクロロフタロニトリル(27mol%)、ジブロモジクロロフタロニトリル(3mol%)の混合物であった。
フタロニトリル化合物[α−{(4−COOCOCH)CO},α−{CO},β−{(4−COOCOCH)CO}0.5−a,β−{CO}0.2−bClPN](0≦a<0.5、0≦b<0.2)(中間体21)の合成
150mlフラスコに、前駆体合成例1で得られた前駆体1、4.21g(0.015モル)とp−ヒドロキシ安息香酸メチルセルソルブ1.49g(0.008モル)、フェノール0.30g(0.003モル)、BN17.33gを投入し、マグネチックスターラーを用いて、内温が80℃に安定するまで約30分攪拌した後、炭酸カリウム1.85g(0.14モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液を約110℃×1時間の条件にてエバポレーション処理により溶剤を溜去した。さらに、約110℃で一晩真空乾燥し、約5.6g(前駆体1に対する収率100.3モル%)が得られた。
<合成例22>
フタロニトリル化合物[β−{(2−COOCH)CO}PN](中間体22)の合成
150mlフラスコに、4−ニトロフタロニトリル25.10g(0.145モル)とサリチル酸メチル30.89g(0.203モル)、炭酸カリウム22.04g(0.16モル)、n−テトラブチルアンモニウムブロマイド0.93g(0.003モル)、アセトニトリル100.42gを投入し、内温80℃、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら約40時間反応させた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液にメタノール50gと水150gの混合溶液を滴下して結晶を析出させた。得られた結晶を吸引ろ過した後、再びメタノール200gと水200gの混合溶液を加えて攪拌洗浄することで洗浄および精製を行った。吸引ろ過後、取り出した結晶を約60℃で一晩真空乾燥し、約34.8g(4−ニトロフタロニトリルに対する収率86.3モル%)が得られた。
<実施例1>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{β−(4−COOCOCH)CO}3.8−x0.8Cl11.4](0≦x<3.8)の合成
150mlフラスコに、合成例1で得られた中間体1、10.21g(0.024モル)、フタロニトリル0.16g(0.001モル)、BN3.46gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛2.22g(0.007モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、反応溶液を140℃×1hrの条件にてエバポレーション処理して溶媒を溜去した後、得られた固形物に、フタロシアニン化反応に使用した中間体1およびフタロニトリル重量の和(10.37g)からBNの重量(3.46g)を差し引いた重量に相当するメチルセルソルブ(6.9g)を加え、攪拌・溶解することで晶析溶液を調製した。次に、調製した晶析溶液をフタロシアニン化反応に使用した中間体1およびフタロニトリル重量の和の10倍量に相当するメタノール(103.8g)中に滴下し、30分攪拌した。その後、中間体重量の和の7倍量に相当する蒸留水(72.6g)を30分かけて滴下し、滴下終了後、さらに30分攪拌して結晶を析出させた。得られた結晶を吸引ろ過した後、再び晶析時の1/2倍量のメタノール(51.9g)を加えて30分攪拌した後、晶析時の1/2倍量の蒸留水(36.3g)を30分かけて滴下し、滴下終了後、さらに30分攪拌することで洗浄および精製を行った。吸引ろ過後、取り出した結晶を約60℃で一晩真空乾燥し、約10.7g(中間体1およびフタロニトリルに対する収率99.2モル%)が得られた。
(最大吸収波長およびグラム吸光係数の測定)
得られたフタロシアニン誘導体を分光光度計(日立製作所(株)社製:U−2910)を用いてメチルセルソルブ0.8wt%含有メタノール溶液中で最大吸収波長(λmax)およびグラム吸光係数を測定した。測定手法は以下の通り行なった。
50mlメスフラスコに得られたフタロシアニン誘導体0.04gをメチルセルソルブ20gにて溶解し、溶液のメニスカスが50mlメスフラスコの標線と一致するようにメタノールを添加して調製した。次いで、調製した溶液をピペットを用いて1ml分取し、分取した溶液を全て50mlメスフラスコに投入してメタノールにて希釈し、溶液のメニスカスが50mlメスフラスコの標線と一致するように調製した。このようにして調製した溶液を1cm角のパイレックス製セルに入れ、分光光度計を用いて透過スペクトルを測定した。また、測定した吸光度をAとしたとき、グラム吸光係数を以下の式で計算した。
グラム吸光係数=(A×5000)/(0.08×1000)このようにして測定した結果を表4にまとめる。
(耐熱性の評価)
得られたフタロシアニン誘導体0.125gに(株)日本触媒社製マレイミド系バインダーポリマー38.7wt%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと略す)溶液0.42gおよびPGMEA1.22g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート0.112g、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製(IRGACURE369)0.01gを加え、溶解、混合して、樹脂塗料液を調製した。得られた樹脂塗料液をバーコーターを使用して、ガラス板に乾燥膜中の色素濃度30wt%、乾燥膜厚が2μmとなるよう塗布し、80℃にて30分間乾燥させた。このようにして得られたコーティングガラス板の吸収スペクトルを分光光度計(日立製作所(株)社製:U−2910)にて測定し、これを加熱前スペクトルとした。次に、加熱前スペクトルを測定した塗膜ガラス板を220℃にて20分間、加熱処理した。この加熱処理したコーティングガラス板の吸収スペクトルを分光光度計にて測定し、これを加熱後スペクトルとした。このように測定した加熱前、加熱後の各スペクトルにおいて380nm〜900nmまでの吸光度を積分し、加熱前と加熱後でその吸光度の差を測定した。また、加熱前スペクトルをE、加熱後スペクトルをE、測定した吸光度の差をΔEとしたとき、ΔEを以下の式で計算した。
Figure 0004902819
このようにして測定した結果を以下の表4にまとめる。
(溶解性の評価)
得られたフタロシアニン誘導体0.1gにPGMEA0.9gを加え、色素が10wt%含有した調製液を作製した。調製液をマグネチックスターラーにより1時間攪拌した後、全量を注射器にて採取し、メンブレンフィルター(φ=0.45μm)を用いてろ過した。調製液がメンブレンフィルターにより目詰まりせず通過できる場合、調製液に色素が溶解していると判断するろ過テストを実施し、全て問題なくろ過できた場合を○、ろ過できたが一部溶け残りが見られた場合を△、フィルターの目詰まりを起こした場合を×として溶解性の評価とした。
<実施例2>
[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{α−(2,6−Cl)CS},{β−(4−COOCOCH)CO}2.88−x{β−(2,6−Cl)CS}0.72−y,H1.6Cl10.8](0≦x<2.88,0≦y<0.72)の合成
150mlフラスコに、合成例2で得られた中間体2、12.67g(0.030モル)、フタロニトリル0.43g(0.003モル)、BN4.36gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛2.93g(0.009モル)を投入して約10時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約13.2g(中間体2およびフタロニトリルに対する収率96.8モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例3>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{β−(4−COOCOCH)CO}3.8−x,(β−NO0.20.6Cl11.4](0≦x<3.8)の合成
150mlフラスコに、合成例1で得られた中間体1、10.64g(0.025モル)、4−ニトロフタロニトリル0.23g(0.001モル)、BN3.62gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛2.31g(0.007モル)を投入して約9時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約10.95g(中間体1および4−ニトロフタロニトリルに対する収率96.9モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例4>
亜鉛フタロシアニン誘導体[Zn(C328.2)−{α−(4−COOCOCH)CO},{β−(4−COOCOCH)CO}3.8−x0.6Cl11.4] (0≦x<3.8)の合成
150mlフラスコに、合成例1で得られた中間体1、10.64g(0.025モル)、ピリジン−2,3−ジカルボニトリル0.17g(0.001モル)、BN3.60gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛2.31g(0.007モル)を投入して約9時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約11.2g(中間体1およびピリジン−2,3−ジカルボニトリルに対する収率99.6モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例5>
亜鉛フタロシアニン誘導体[Zn(C32.8)−{α−(4−COOCOCH)CO},{β−(4−COOCOCH)CO}3.8−x1.2Cl11.4] (0≦x<3.8)の合成
150mlフラスコに、合成例1で得られた中間体1、10.64g(0.025モル)、2,3−ジシアノナフタレン0.23g(0.001モル)、BN3.62gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛2.31g(0.003モル)を投入して約9時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約11.0g(中間体1および2,3−ジシアノナフタレンに対する収率97.3モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例6>
亜鉛フタロシアニン誘導体[Zn(C32.8)−{α−(4−COOCOCH)CO},{β−(4−COOCOCH)CO}3.8−x0.8Cl11.4Br0.4] (0≦x<3.8)の合成
150mlフラスコに、合成例1で得られた中間体1、10.64g(0.025モル)、2,3−ジブロモ−6,7−ジシアノナフタレン0.44g(0.001モル)、BN3.69gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛2.31g(0.007モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約10.95g(中間体1および2,3−ジブロモ−6,7−ジシアノナフタレンに対する収率95.1モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例7>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{β−(4−COOCOCH)CO}3.8−x,(β−NH0.20.6Cl11.4](0≦x<3.8)の合成
150mlフラスコに、合成例1で得られた中間体1、10.64g(0.025モル)、4−アミノフタロニトリル0.19g(0.001モル)、BN3.61gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛2.31g(0.007モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約11.3g(中間体1および4−アミノフタロニトリルに対する収率100.4モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例8>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{β−(4−COOCOCH)CO}3.8−x,(β−OH)0.20.6Cl11.4](0≦x<3.8)の合成
150mlフラスコに、合成例1で得られた中間体1、10.64g(0.025モル)、4−ヒドロキシフタロニトリル0.19g(0.001モル)、BN3.61gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛2.31g(0.007モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約11.3g(中間体1および4−ヒドロキシフタロニトリルに対する収率100.4モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例9>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{β−(4−COOCOCH)CO}3.8−x,(β−C(CH0.20.6Cl11.4](0≦x<3.8)の合成
150mlフラスコに、合成例1で得られた中間体1、10.64g(0.025モル)、4−tert−ブチルフタロニトリル0.24g(0.001モル)、BN3.63gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛2.31g(0.007モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約11.0g(中間体1および4−tert−ブチルフタロニトリルに対する収率97.2モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例10>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{β−(4−COOCOCH)CO}3.8−x0.4Cl11.8](0≦x<3.8)の合成
150mlフラスコに、合成例1で得られた中間体1、10.64g(0.025モル)、4,5−ジクロロフタロニトリル0.26g(0.001モル)、BN3.63gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛2.31g(0.007モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約11.2g(中間体1および4,5−ジクロロフタロニトリルに対する収率98.9モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例11>
亜鉛フタロシアニン誘導体[Zn(C328.08)−{α−(4−COOCOCH)CO},{β−(4−COOCOCH)CO}3.96−x0.08Cl11.88] (0≦x<3.96)の合成
150mlフラスコに、合成例1で得られた中間体1、10.64g(0.025モル)、2,3−ジシアノピラジン0.03g(0.0003モル)、BN3.56gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛2.22g(0.007モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約10.45g(中間体1および2,3−ジシアノピラジンに対する収率94.3モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例12>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{β−(4−COOCOCH)CO}3.8−x0.811.4](0≦x<3.8)の合成
150mlフラスコに、合成例3で得られた中間体3、8.99g(0.025モル)、フタロニトリル0.17g(0.001モル)、BN3.05gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛2.31g(0.007モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約8.95g(中間体3およびフタロニトリルに対する収率93.3モル%)が得られた。
<実施例13>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−α−{(CHCH(OCH)COOC)CS}0.2,{α−(4−COOCOCH)CO},{β−(4−COOCOCH)CO}3.8−x0.6Cl11.4](0≦x<3.8)の合成
150mlフラスコに、合成例1で得られた中間体1、10.21g(0.024モル)、合成例4で得られた中間体4、0.40g(0.001モル)、BN3.54gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛2.22g(0.007モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約10.0g(中間体1および中間体4に対する収率90.7モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例14>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−SOOCH)CO},{β−(4−SOOCH)CO}3.8−x0.8Cl11.4](0≦x<3.8)の合成
150mlフラスコに、合成例5で得られた中間体5、11.08g(0.024モル)、フタロニトリル0.16g(0.001モル)、BN3.75gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛2.22g(0.007モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約10.55g(中間体5およびフタロニトリルに対する収率90.5モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
なお、上記、実施例1〜14の構造を表1に纏める。また、各合成例で調製された中間体と、各実施例において混合されたフタロニトリル誘導体の関係を表2に示す。
Figure 0004902819
Figure 0004902819
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Figure 0004902819
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本発明においては、R〜Rとして導入されるすべての基のうち、0.05個以上3個未満は、水素原子であり、1〜6個は、置換基(ア)であり、かつ、残部はハロゲン原子であることを特徴としている。
ここで、水素原子、置換基(ア)、ハロゲン原子の個数の数え方の方法を以下に示す。
例えば、実施例1を例に挙げれば、(i)中間体1と、(ii)フタロニトリルとが混合されている。
(i)中間体1は、テトラクロロフタロニトリル(TCPN)とp−ヒドロキシ安息香酸メチルセルソルブとを混合することを含むことによって調製される。テトラクロロフタロニトリル(TCPN)は、塩素原子を4つ有しているが、そのうちの1つが、表2の「置換基数」の項目から分かるように、p−ヒドロキシ安息香酸メチルセルソルブに由来する置換基(ア)に置換されている。残りの3つは塩素原子のままである。よって、結果として、中間体1の1ユニットは、ベンゼン環に、3.0個の塩素原子と、1.0個のp−ヒドロキシ安息香酸メチルセルソルブに由来する置換基(ア)と、2.0個のシアノ基が導入されている形態となっている。
(ii)フタロニトリルは、ベンゼン環に、4.0個の水素原子と、2.0個のシアノ基が導入されている形態である。
フタロシアニン誘導体を製造するためには、(i)中間体1も、(ii)フタロニトリルもそれぞれ4つのユニットが必要であり、さらに、表2のブレンド比で混合されるため、結果として、置換基(ア)の個数は、1.0(置換基数)×4(ユニット)×0.95(ブレンド比)で算出され、3.8個となる。水素原子の個数は、4.0×4(ユニット)×0.05(ブレンド比)で算出され、0.8個となる。ハロゲン原子は、3.0(置換基数)×4(ユニット)×0.95(ブレンド比)で算出され、11.4個となる。
<実施例15>
実施例2で得られたフタロシアニン誘導体を、耐熱性の評価を以下の耐熱性評価方法(2)の方法で実施した以外は、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<耐熱性評価方法(2)>
得られたフタロシアニン誘導体0.125gに(株)日本触媒社製マレイミド系バインダーポリマー38.7wt%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと略す)溶液0.42gおよびPGMEA20.0g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート0.112g、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製(IRGACURE369)0.01gを加え、溶解、混合して、樹脂塗料液を調製した。得られた樹脂塗料液をバーコーターを使用して、ガラス板に乾燥膜中の色素濃度30wt%、乾燥膜厚が0.1μmとなるよう塗布し、80℃にて30分間乾燥させた。このようにして得られたコーティングガラス板の吸収スペクトルを分光光度計(日立製作所(株)社製:U−2910)にて測定し、これを加熱前スペクトルとした。次に、加熱前スペクトルを測定した塗膜ガラス板を220℃にて20分間、加熱処理した。この加熱処理したコーティングガラス板の吸収スペクトルを分光光度計にて測定し、これを加熱後スペクトルとした。このように測定した加熱前、加熱後の各スペクトルにおいて380nm〜900nmまでの吸光度を積分し、加熱前と加熱後でその吸光度の差を測定した。また、加熱前スペクトルをE、加熱後スペクトルをE、測定した吸光度の差をΔEとしたとき、ΔEを以下の式で計算した。
Figure 0004902819
このようにして測定した結果を以下の表4にまとめる。なお、膜の厚みと対応する実施例の関係を示す表を表3としてまとめる。
<実施例16>
実施例15において、実施例2で得られたフタロシアニン誘導体を、実施例3で得られたフタロシアニン誘導体に置き換えた以外は、実施例15と全く同様に操作し最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例17>
実施例15において、実施例2で得られたフタロシアニン誘導体を、実施例4で得られたフタロシアニン誘導体に置き換えた以外は、実施例15と全く同様に操作し最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例18>
実施例15において、実施例2で得られたフタロシアニン誘導体を、実施例5で得られたフタロシアニン誘導体に置き換えた以外は、実施例15と全く同様に操作し最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例19>
実施例15において、実施例2で得られたフタロシアニン誘導体を、実施例6で得られたフタロシアニン誘導体に置き換えた以外は、実施例15と全く同様に操作し最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例20>
実施例15において、実施例2で得られたフタロシアニン誘導体を、実施例7で得られたフタロシアニン誘導体に置き換えた以外は、実施例15と全く同様に操作し最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例21>
実施例15において、実施例2で得られたフタロシアニン誘導体を、実施例8で得られたフタロシアニン誘導体に置き換えた以外は、実施例15と全く同様に操作し最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例22>
実施例15において、実施例2で得られたフタロシアニン化合物を、実施例9で得られたフタロシアニン化合物に置き換えた以外は、実施例15と全く同様に操作し最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例23>
実施例15において、実施例2で得られたフタロシアニン誘導体を、実施例10で得られたフタロシアニン誘導体に置き換えた以外は、実施例15と全く同様に操作し最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例24>
実施例15において、実施例2で得られたフタロシアニン誘導体を、実施例11で得られたフタロシアニン誘導体に置き換えた以外は、実施例15と全く同様に操作し最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例25>
実施例15において、実施例2で得られたフタロシアニン誘導体を、実施例12で得られたフタロシアニン誘導体に置き換えた以外は、実施例15と全く同様に操作し最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例26>
実施例15において、実施例2で得られたフタロシアニン誘導体を、実施例13で得られたフタロシアニン誘導体に置き換えた以外は、実施例15と全く同様に操作し最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例27>
実施例15において、実施例2で得られたフタロシアニン誘導体を、実施例14で得られたフタロシアニン誘導体に置き換えた以外は、実施例15と全く同様に操作し最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
なお、下記に実施例15〜27と、実施例2〜14の対応を以下に纏める。
<実施例28>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCH)CO},{β−(4−COOCH)CO}5.7−x0.8Cl9.5](0≦x<5.7)の合成
150mlフラスコに、合成例6で得られた中間体6、6.59g(0.015モル)、フタロニトリル0.10g(0.001モル)、BN6.69gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛1.39g(0.004モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約5.7g(中間体6およびフタロニトリルに対する収率82.0モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例29>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{β−(4−COOCOCH)CO}2.28−x0.8Cl12.92](0≦x<2.28)の合成
150mlフラスコに、合成例7で得られた中間体7、5.43g(0.015モル)、フタロニトリル0.10g(0.001モル)、BN5.53gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛1.39g(0.004モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約5.3g(中間体7およびフタロニトリルに対する収率91.6モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例30>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{β−(4−COOCOCH)CO}1.14−x0.8Cl14.06](0≦x<1.14)の合成
150mlフラスコに、合成例8で得られた中間体8、4.71g(0.015モル)、フタロニトリル0.10g(0.001モル)、BN4.81gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛1.39g(0.004モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約3.9g(中間体8およびフタロニトリルに対する収率77.0モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例31>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{α−(2−OCH−4−COOCOCH)CO},{β−(4−COOCOCH)CO}2.72−x,{β−(2−OCH−4−COOCOCH)CO}0.68−y2.4Cl10.2](0≦x<2.72,0≦y<0.68)の合成
150mlフラスコに、合成例9で得られた中間体9、11.22g(0.026モル)、フタロニトリル0.59g(0.005モル)、BN3.94gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛2.69g(0.008モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約12.25g(中間体9およびフタロニトリルに対する収率99.5モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例32>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(2−COOCOCH)C10−6−O},{β−(2−COOCOCH)C10−6−O}3.8−x0.8Cl11.4](0≦x<3.8)の合成
150mlフラスコに、合成例10で得られた中間体10、5.47g(0.012モル)、フタロニトリル0.08g(0.001モル)、BN5.55gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛1.06g(0.003モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約4.5g(中間体10およびフタロニトリルに対する収率78.3モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例33>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{α−(4−CN)CO}0.96,{β−(4−COOCOCH)CO}3.04−x2.88Cl9.12](0≦x<3.04)の合成
150mlフラスコに、合成例1で得られた中間体1、6.38g(0.015モル)、合成例11で得られた中間体11、1.16g(0.005モル)、BN7.55gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛1.73g(0.005モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約7.85g(中間体1および中間体11に対する収率99.8モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例34>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{α−(4−NO)CO}0.68,{β−(4−COOCOCH)CO}3.32−x2.04Cl9.96](0≦x<3.32)の合成
150mlフラスコに、合成例1で得られた中間体1、6.38g(0.015モル)、合成例12で得られた中間体12、0.81g(0.003モル)、BN7.20gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛1.59g(0.005モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約7.45g(中間体1および中間体12に対する収率99.4モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例35>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{α−(2−C)CO},{β−(4−COOCOCH)CO}3.42−x,{β−(2−C)CO}0.38−y0.8Cl11.4](0≦x<3.42,0≦y<0.38)の合成
150mlフラスコに、合成例13で得られた中間体13、6.35g(0.015モル)、フタロニトリル0.10g(0.001モル)、BN6.45gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛1.39g(0.004モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約6.45g(中間体13およびフタロニトリルに対する収率96.2モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例36>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{α−(2−COOCH)CS},{β−(4−COOCOCH)CO}3.04−x,{β−(2−COOCH)CS}0.76−y0.8Cl11.4](0≦x<3.04,0≦y<0.76)の合成
150mlフラスコに、合成例14で得られた中間体14、6.30g(0.015モル)、フタロニトリル0.10g(0.001モル)、BN6.40gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛1.39g(0.004モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約6.35g(中間体14およびフタロニトリルに対する収率95.4モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例37>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{α−(4−OCH)CO},{β−(4−COOCOCH)CO}3.42−x,{β−(4−OCH)CO}0.38−y0.8Cl11.4](0≦x<3.42,0≦y<0.38)の合成
150mlフラスコに、合成例15で得られた中間体15、6.28g(0.015モル)、フタロニトリル0.10g(0.001モル)、BN6.38gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛1.39g(0.004モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約6.1g(中間体15およびフタロニトリルに対する収率91.9モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例38>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{α−(2−C(CH)CO},{β−(4−COOCOCH)CO}3.42−x,{β−(2−C(CH)CO}0.38−y0.8Cl11.4](0≦x<3.42,0≦y<0.38)の合成
150mlフラスコに、合成例16で得られた中間体16、6.32g(0.015モル)、フタロニトリル0.10g(0.001モル)、BN6.42gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛1.39g(0.004モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約6.65g(中間体16およびフタロニトリルに対する収率99.6モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例39>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{α−(3−COOC)CO},{β−(4−COOCOCH)CO}2.66−x,{β−(3−COOC)CO}1.14−y0.8Cl11.4](0≦x<2.66,0≦y<1.14)の合成
150mlフラスコに、合成例17で得られた中間体17、6.25g(0.015モル)、フタロニトリル0.10g(0.001モル)、BN6.35gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛1.39g(0.004モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約6.56g(中間体17およびフタロニトリルに対する収率99.3モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例40>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{α−CO},{β−(4−COOCOCH)CO}2.72−x,{β−CO}0.68−y2.4Cl10.2](0≦x<2.72,0≦y<0.68)の合成
150mlフラスコに、合成例18で得られた中間体18、11.00g(0.026モル)、フタロニトリル0.59g(0.005モル)、BN3.86gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛2.69g(0.008モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約12.05g(中間体18およびフタロニトリルに対する収率99.7モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例41>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{α−(3,5−Br−4−COOCOCH)CO},{β−(4−COOCOCH)CO}2.72−x,{β−(3,5−Br−4−COOCOCH)CO}0.68−y2.4Cl10.2](0≦x<2.72,0≦y<0.68)の合成
150mlフラスコに、合成例19で得られた中間体19、10.97g(0.024モル)、フタロニトリル0.54g(0.004モル)、BN3.84gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛2.48g(0.008モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約11.5g(中間体19およびフタロニトリルに対する収率96.0モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例42>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{α−(4−CF)CO},{β−(4−COOCOCH)CO}3.42−x,{β−(4−CF)CO}0.38−y0.8Cl11.4](0≦x<3.42,0≦y<0.38)の合成
150mlフラスコに、合成例20で得られた中間体20、6.33g(0.015モル)、フタロニトリル0.10g(0.001モル)、BN6.43gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛1.39g(0.004モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約6.57g(中間体20およびフタロニトリルに対する収率98.2モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例43>
フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{α−C5O},{β−(4−COOCOCH)CO}1.9−x{β−C5O}0.76−y0.8Br1.22Cl11.32](0≦x<1.9,0≦y<0.76)の合成
150mlフラスコに、合成例21で得られた中間体21、5.58g(0.015モル)、フタロニトリル0.10g(0.001モル)、BN5.68gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛1.32g(0.004モル)を投入して約12時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約5.52g(中間体21およびフタロニトリルに対する収率97.2モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例44>
実施例15において、実施例2で得られたフタロシアニン誘導体を、実施例28で得られたフタロシアニン誘導体に置き換えた以外は、実施例15と全く同様に操作し最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例45>
実施例15において、実施例2で得られたフタロシアニン誘導体を、実施例30で得られたフタロシアニン誘導体に置き換えた以外は、実施例15と全く同様に操作し最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例46>
実施例15において、実施例2で得られたフタロシアニン誘導体を、実施例31で得られたフタロシアニン誘導体に置き換えた以外は、実施例15と全く同様に操作し最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例47>
実施例15において、実施例2で得られたフタロシアニン誘導体を、実施例32で得られたフタロシアニン誘導体に置き換えた以外は、実施例15と全く同様に操作し最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例48>
実施例15において、実施例2で得られたフタロシアニン誘導体を、実施例33で得られたフタロシアニン誘導体に置き換えた以外は、実施例15と全く同様に操作し最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例49>
実施例15において、実施例2で得られたフタロシアニン誘導体を、実施例35で得られたフタロシアニン誘導体に置き換えた以外は、実施例15と全く同様に操作し最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例50>
実施例15において、実施例2で得られたフタロシアニン誘導体を、実施例36で得られたフタロシアニン誘導体に置き換えた以外は、実施例15と全く同様に操作し最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例51>
実施例15において、実施例2で得られたフタロシアニン誘導体を、実施例38で得られたフタロシアニン誘導体に置き換えた以外は、実施例15と全く同様に操作し最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例52>
実施例15において、実施例2で得られたフタロシアニン誘導体を、実施例41で得られたフタロシアニン誘導体に置き換えた以外は、実施例15と全く同様に操作し最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<実施例53>
実施例15において、実施例2で得られたフタロシアニン誘導体を、実施例42で得られたフタロシアニン誘導体に置き換えた以外は、実施例15と全く同様に操作し最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
Figure 0004902819
<比較例1>
フタロシアニン化合物[ZnPc−{β−(2−COOCH)CO}12]の合成
150mlフラスコに、合成例22で得られた中間体22、4.17g(0.015モル)、ヨウ化亜鉛1.32g(0.004モル)、ベンゾニトリル30.94gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、内温185℃、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら約5時間反応させた。冷却後、実施例1と全く同様の操作を行い約3.8g(中間体6に対する収率84.9モル%)が得られた。
このようにして得られたフタロシアニン誘導体を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
<比較例2>
特開2008−50599号公報の実施例18に記載のあるフタロシアニン化合物{ZnPc(3−COOCHPhO)(3−COOHPhO)}を、実施例1と全く同じ操作により最大吸収波長、グラム吸光係数、吸光度比および耐熱性を測定し、その結果を表4にまとめた。
Figure 0004902819
Figure 0004902819
実施例1〜14、28〜43で合成したフタロシアニン誘導体は、比較例1で合成したβ位4置換フタロシアニン誘導体,比較例2で合成したβ位8置換フタロシアニン誘導体と比べてグラム吸光係数(εg)に優位性はみられないものの、耐熱性については、比較例1で合成した高耐熱性を有するβ位4置換フタロシアニン誘導体に比べて2倍以上向上した。また、比較例1,2に比べ、実施例1〜14、28〜43のフタロシアニン誘導体は格段に優れた溶剤溶解性を示した。
また、PDPの余分な発光が見られる710nmと代表的な可視光の波長である520nmの吸光度の比においても、本願のフタロシアニン誘導体を使用すると、比較例1、2に比べ、吸光度の比が2倍以上大きく、効率よく710nmの光をカットすることができる効果を示した。
さらに、実施例15〜27、44〜53における耐熱性は、比較例1に比べて2倍以上向上し、710nmと520nmの吸光度の比においても、比較例1,2に比べて2倍以上向上した。このため、乾燥膜厚が0.1μmのような薄膜の場合でも、本願のフタロシアニン誘導体は優れた耐熱性を示し、かつ効率よく710nmの光をカットできることが示された。
なお、本出願は、2010年2月26日に出願された日本国特許出願第2010−043405号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。

Claims (3)

  1. 下記式(1):
    Figure 0004902819
    上記式(1)中、
    Mは、亜鉛または銅を表わし、
    〜Zは、それぞれ独立して、下記式(2)〜(5):
    Figure 0004902819
    であり、
    上記式(2)〜(5)中、
    pは、0〜4の整数であり、
    qは、0〜3の整数であり、
    rは、0〜2の整数であり、
    sは、0〜6の整数であり、
    〜Rは、それぞれ独立して、ニトロ基、アミノ基、水酸基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のハロゲン原子で置換されたアルキル基、置換基(a)、置換基(b)および−S−L−Aからなる群から選択される置換基(ア)またはハロゲン原子であり、
    Lは、炭素数1〜3のアルキレン基であり、Aは、COOJであり、この際、Jは、炭素数1〜8のアルコキシ基を有する炭素数1〜8のアルキル基であり、
    前記置換基(a)は、下記式(6)、(6’)または(6’’):
    Figure 0004902819
    上記式(6)、(6’)および(6’’)中、Rは、炭素数1〜8のアルコキシ基またはハロゲン原子であり、Rは、炭素数1〜3のアルキレン基であり、Rは、炭素数1〜8のアルキル基であり、tは、0〜4の整数であり、uは、0〜4の整数であり、t’は、0〜6の整数で表わされ、
    前記置換基(b)は、下記式(7):
    Figure 0004902819
    上記式(7)中、Xは、酸素原子または硫黄原子であり、ArはRで置換されフェニル基またはナフチル基であり、この際、Rは、それぞれ独立して、水素原子、シアノ基、ニトロ基、COOY、OY、ハロゲン原子、アリール基ハロゲン原子で置換され炭素数1〜8のアルキル基または炭素数1〜8のアルキル基であり、この際、Yは、炭素数1〜8のアルキル基、で表わされ、
    この際、R〜Rとして導入されるすべての基のうち、0.05個以上3個未満は、水素原子であり、1〜6個は、置換基(ア)であり、かつ、残部はハロゲン原子であり、前記置換基(ア)のうち、1〜6個は、前記置換基(a)である、
    で示されるフタロシアニン誘導体。
  2. 前記置換基(ア)のうち、1〜4個は、前記置換基(a)である、請求項に記載のフタロシアニン誘導体。
  3. 請求項1または2に記載のフタロシアニン誘導体を含む、フラットパネルディスプレイ用フィルター。
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