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JP4900890B2 - 光学フィルム、光学フィルムの作製方法、偏光板、及びそれを用いた画像表示装置 - Google Patents

光学フィルム、光学フィルムの作製方法、偏光板、及びそれを用いた画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は光学フイルム、特に反射防止フイルム、偏光板及び画像表示装置に関する。
微粒子とバインダーを配合して、接着剤、外装塗料、ハードコート、反射防止膜などの用途に用いる場合に、耐擦傷性、硬化物の強度、接しあう他の素材との密着性などを向上させることが検討されている。
微粒子とバインダーを配合する際には、微粒子が無機材料が不要な凝集を起こさないことが必要である。一般に行われる方法の1つは、微粒子をバインダーに親和性のある溶媒
中に分散した後にバインダーと混合して皮膜を形成する方法である。安定した性能を得るためには、微粒子が溶媒中に安定して分散されていることが重要である。具体的には、微粒子表面の親疎水性や立体障害性の制御が重要であり、無機酸化物微粒子においては、アルコキシシランを用いて表面処理することが知られている。例えば、非特許文献1にはシランカップリング剤を用い無機粒子を有機溶媒に分散する方法についての記載がある。
微粒子とバインダーを含有するコーティング組成物が安定に調製できた後は、その組成物を支持体上に塗設し、所望の性能を達成するのが目的である。塗膜中での微粒子の状態が制御できないと目的の耐擦傷性、硬化物の強度、接触した他の素材との密着などの性能が変動してしまう。特に粒子サイズが1ミクロン以下の微粒子を含むコーティング組成物は比表面積が大きいため、有機溶媒の乾燥過程で微粒子間の相互作用が大きく凝集が起こりやすい。その結果塗膜中で凝集や相分離を起こして、塗膜性能に悪影響を及ぼすことがある。
一方、反射防止フイルムは一般に、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のようなディスプレイ装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減するようにディスプレイの最表面に配置される。
このような反射防止フイルムは、最表面に適切な膜厚の低屈折率層、場合により支持体との間に適宜高屈折率層、中屈折率層、ハードコート層などを形成することにより作製できる。低い反射率を実現するために低屈折率層にはできるだけ屈折率の低い材料が望まれる。また反射防止フイルムは最表面に用いられることからディスプレイ装置の保護膜としての機能が期待される。汚れやほこりが付着しにくいことや、耐擦傷性が強いことが求められる。厚さ100nm前後の薄膜において高い耐擦傷性を実現するためには、皮膜自体の強度、および下層への密着性が必要である。
材料の屈折率を下げるには、フッ素原子を導入する、密度を下げる(空隙を導入する)という手段があるがいずれも皮膜強度および密着性が損なわれ耐擦傷性が低下する方向であり、低い屈折率と高い耐傷性の両立は困難な課題であった。
特にフッ素原子を含有するバインダーは、バインダーが負に帯電し易く、ディスプレイ表面に使用した場合には環境中の埃が付着し易いという問題があった。
防塵性付与の技術としては、カチオン系やアニオン系の材料を添加することが記載されている。しかしながらこの材料を用いた場合には、塗布液中で分離してしまったり、塗布時にムラが生じたり、膜の耐擦傷性が悪化するなどの問題を有していた。
また、非特許文献2には、導電性の粒子を含有する所謂帯電防止層を設けることが知られている。この方法は、新たに層を設けることが必要であり製造時の設備や時間の負荷が大きいという問題を有している。
一方、特許文献1には含フッ素ポリマーを利用した低屈折率層素材にシランカップリング剤を添加することにより耐傷性が大幅に改良されることが記載されている。しかしながら沸点が低いシランカップリング剤は塗布乾燥工程で揮散する問題があり、揮散分を考慮した過剰量の添加を必要とし、安定した性能を得るのが難しいという問題があった。
一方、非特許文献2、特許文献2には防汚性付与のためには、防汚層をオーバーコートすることが記載されている。しかしながら、これらの防汚性付与化合物は、オルガノシラン系化合物の加水分解縮合物を主バインダーとする層の上には塗設できるものの、一般に広く用いられる熱や電離放射線硬化型バインダーの上でははじき易かったり、ムラを生じ易いなどの課題を有している。
本発明に係る先行技術は、以下の通りである。
特開2003−222704号公報 特開2002−277604号公報 顔料分散技術、表面処理と分散剤の使い方および分散性評価、(技術情報協会編1999年発行 反射防止膜の特性と最適設計・膜作製技術、(技術情報協会編2001年発行)
本発明の目的は、反射率が低く、耐擦傷性・防塵性に優れた光学フイルムを提供することにある。更には、防汚性に優れた光学フイルムを提供することにある。また、更にはそのような反射防止フイルムを用いた偏光板やディスプレイ装置を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、以下の手段により本発明の効果が得られることを見出した。
(1)支持体上に微粒子とバインダーを含有する組成物が塗設されて薄膜層が形成されてなる光学フィルムであって、
該薄膜層全層中の平均粒子充填率(A)に対する、支持体と反対側の上層側30%膜厚中の平均粒子充填率(B)の比率であるSP値[(B/A)×100]]が105%以上333%以下であり、
前記微粒子が中空シリカ粒子であり、
前記微粒子の表面が該微粒子と共有結合を形成する一般式(II)で表される化合物及び一般式(IV)で表される化合物で処理されており、
前記バインダーが少なくとも1種の光重合性化合物であり、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルである2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを含有する
ことを特徴とする光学フィルム。
一般式(II)
Figure 0004900890
一般式(II)において、Rは、水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子または塩素原子を表す。Yは、単結合、エステル基、アミド基、エーテル基またはウレア基を表す。Lは、2価の連結鎖を表す。R10は、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは、水酸基または加水分解可能な基を表す。nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
一般式(IV) C n 2n+1― (CH 2 m― Si(R) 3
上記式中、nは1〜10の整数、mは1〜5の整数を表す。Rは炭素数1〜5のアルコキシ基またはハロゲン原子を表す。
(2)(1)に記載の光学フィルム上に、防汚層を塗設してなることを特徴とする光学フィルム。
)支持体が透明支持体であり、かつ少なくともハードコート層と低屈折率層が該支持体上に積層されて成る多層反射防止フィルムであることを特徴とする(1)または(2)に記載の光学フィルムであって、光学フィルム。
)上記(1)〜()のいずれか一項に記載の光学フィルムの作製において、微粒子とバインダーを含有するコーティング組成物中に少なくとも2種類の揮発性溶媒を含有させて塗設することを特徴とする光学フィルムの作製方法。
)上記(1)〜()のいずれか一項に記載の光学フィルムを有することを特徴とする偏光板。
)上記(1)〜()のいずれか一項に記載の光学フィルムを有することを特徴とする画像表示装置。
本発明は、上記(1)〜()に関するものであるが、その他の事項についても参考のために記載した。
本発明の光学フイルムは、反射率が低く、耐擦傷性・防塵性、更には防汚性に優れる。
更に、本発明の光学フィルム、あるいは本発明の光学フィルムを用いた偏光板を備えたディスプレイ装置は、外光の映り込みや背景の映りこみが少なく、極めて視認性が高い。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
[層内の粒子の分布]
本発明の光学フイルムは、支持体上に微粒子とバインダーを含有する組成物が塗設されて薄膜層が形成されており、該薄膜層全層中の平均粒子充填率(A)に対して、支持体と反対側の上層側30%膜厚中の平均粒子充填率(B)の比率で表されるSP値[(B/A)×100]が90%以上333%以下であるを特徴とする。本発明における平均粒子充填率(A)は、以下の方法で決定した。光学フイルムを50nmの厚さの切片として、その断面を透過型電子顕微鏡を用いて15万倍の写真を5視野撮影した。層厚に対して50倍の長さの幅にわたり粒子数をカウントし、平均粒子充填率(A)は断面写真上で薄膜層中の単位面積当たりの粒子の個数を算出した。また、支持体と反対側の上層側30%膜厚中の平均粒子充填率(B)も平均粒子充填率(A)と同様にして算出した。また、例えば、薄膜中の上層側30%膜中に部分的に粒子が含有される場合には、断面写真上で該領域に含まれる粒子の面積の割合を乗じて粒子数を算出した。すなわちある粒子がその面積の70%が上層側の30%膜厚中に含有される場合には0.7個にカウントするものとした。また、厚さ50nmの切片の断面写真において粒子が重なって観察される場合には、重なった分もカウントするものとした。この場合、粒子の層内分布は層面方向で方向性を有しておらず、切片として選択された特定の断面の粒子の計数に基づいて平均粒子充填率を求めることができる。
本発明のSP値の範囲は防塵性の観点で、好ましくは90〜333%であり、更に好ましくは100〜333%であり、最も好ましくは150〜280%である。薄膜層内での代表的な分布の断面模式図を図1〜図3に示す。
本発明において微粒子とバインダーを含有する薄膜層においては、微粒子と全固形分との質量の比率は、2〜85%が好ましく、更に好ましくは5〜80%、最も好ましくは20〜75%である。この比率が高くなりすぎると膜が脆くなり、少なすぎると本来の微粒子を入れる目的が発揮できない。本発明の薄膜層の上に更に防汚層を設ける場合においては、微粒子と全固形分との質量の比率は、好ましくは5〜80%、最も好ましくは25%〜75%である。
本発明において該薄膜層の厚みは、10〜5000nmが好ましく、更に好ましくは10〜500nm、最も好ましくは20〜300nmである。好ましい層は低屈折率層であり、バインダーが少なくともフルオロカーボン又はジメチルシロキサン部を含有する化合物を含有することが好ましい。例えば、屈折率の低いバインダーと低屈折率微粒子を含有した塗布組成物を塗布し、低屈折率微粒子を塗設直後の塗膜内の粒子流動性によって上部に偏析させることで、本来別層として2層必要な塗布を1回の塗布で行うことも特に好ましい。
次に、薄膜層内の微粒子の分散性改良処理について述べる。本発明において、微粒子は、無機微粒子であることが好ましく、とくに無機酸化物微粒子であることが好ましい。
無機酸化物微粒子は、無機酸化物微粒子が下記一般式(I)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物により分散性の改良処理がなされており、無機酸化物微粒子の分散性の改良処理の際に、酸触媒および下記の金属キレート化合物のいずれか、あるいは両者が使用されることが好ましい。
上記分散性の改良処理は、オルガノシランと無機酸化物微粒子と必要に応じて水とを、加水分解機能を有する触媒および縮合機能を有する金属キレート化合物の少なくともいずれかの存在下に、接触させることにより行われる。オルガノシランは、一部加水分解されていても良いし、部分縮合していても良い。オルガノシランは、加水分解に引き続いて部分縮合し、これが無機酸化物微粒子の表面を修飾して、分散性が向上し、安定した無機酸化物微粒子の分散液が得られる。
一般式(I)
(R10m―Si(X)4-m
(式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す。)
金属キレート化合物
一般式R3OH(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す。)で表されるアルコールと一般式R4COCH2COR5(式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基を、R4は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す。)で表される化合物とを配位子とした、Zr、TiおよびAlから選ばれる金属を中心金属とする少なくとも1種の金属キレート化合物。
[オルガノシラン化合物]
本発明に用いるオルガノシラン化合物について詳細に説明する。
一般式(I)
(R10m−Si(X)4-m
一般式(I)においてR10は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。
アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヘキシル基、t-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、デシル基、ヘキサデシル基等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。
アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表す。加水分解可能な基としては、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、およびR2COO基(R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO基、C25COO基等が挙げられる)が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは1〜3の整数を表す。R10もしくはXが複数存在するとき、複数のR10もしくはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。mとして好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル基、エチ基、i-プロピル基、プロピル基、t-ブチル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、芳香族ヘテロ環基(フリル基、ピラゾリル基、ピリジル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i-プロポキシ基、ヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アルケニル基(ビニル基、1-プロペニル基)、アシルオキシ基(アセトキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル基等)、カルバモイル基(カルバモイル基、N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N-メチル-N-オクチルカルバモイル基等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アクリルアミノ基、メタクリルアミノ基等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。なお、本明細書においては、水素原子を置換するものが単一の原子であっても、便宜上置換基として取り扱う。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが、置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。中でも該置換アルキル基もしくは置換アリール基がさらにビニル重合性基を有することが好ましく、この場合、一般式(I)で表される化合物は、下記一般式(II)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物として表すことができる。
一般式(II)
Figure 0004900890
一般式(II)においてR1は、水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子または塩素原子を表す。上記アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。R1としては、水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは、単結合、エステル基、アミド基、エーテル基またはウレア基を表す。単結合、エステル基およびアミド基が好ましく、単結合およびエステル基が更に好ましく、エステル基が特に好ましい。
Lは、2価の連結鎖であり、具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル基、エステル基、アミド基)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、または内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基であり、なかでも、置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基、内部に連結基を有する炭素数3〜10のアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテル連結基又はエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテル連結基又はエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは0である。
10は、一般式(I)のR10と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは、一般式(I)のXと同義であり、ハロゲン、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
本発明に用いるオルガノシラン化合物として、下記一般式(III)で表されるものも好ましい。
一般式(III) (Rf―L1n―Si(R11 )n-4
上記式中、Rfは炭素数1〜20の直鎖、分岐、環状の含フッ素アルキル基、または炭素数6〜14の含フッ素芳香族基を表す。Rfは、炭素数3〜10の直鎖、分岐、環状のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数4〜8の直鎖のフルオロアルキル基が更に好ましい。L1は炭素数10以下の2価の連結基を表し、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基、更に好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基を表す。アルキレン基は、直鎖もしくは分岐の、置換もしくは無置換の、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミド)を有していてもよいアルキレン基である。アルキレン基は置換基を有していてもよく、その場合の好ましい置換基は、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。R11は水酸基または加水分解可能な基を表し、炭素数1〜5のアルコキシ基またはハロゲン原子が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、及び塩素原子が更に好ましい。nは1〜3の整数を表す。
次に一般式(III)で表される含フッ素シランカップリング剤の中でも、下記一般式(IV)で表される含フッ素シランカップリング剤が好ましい。
一般式(IV) Cn2n+1―(CH2m―Si(R)3
上記式中、nは1〜10の整数、mは1〜5の整数を表す。Rは炭素数1〜5のアルコキシ基またはハロゲン原子を表す。nは4〜10が好ましく、mは1〜3が好ましく、Rはメトキシ基、エトキシ基、及び塩素原子が好ましい。
一般式(I)の化合物は2種類以上を併用しても良い。
以下に一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004900890
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Figure 0004900890
Figure 0004900890
Figure 0004900890
Figure 0004900890
Figure 0004900890
Figure 0004900890
Figure 0004900890
これらの具体例の中で、(M-1)、(M-2)、(M-56)、(M-57)等が特に好ましい。また、特許第3474330号の参考例に記載のA,B,Cの化合物も分散安定性に優れ好ましい。本発明においては、一般式(I)で表されるオルガノシラン化合物の使用量は、特に制限はないが、無機酸化物微粒子当たり1質量%〜300質量%が好ましく、更に好ましくは3質量%〜100質量%、最も好ましくは5質量%〜50質量%である。無機酸化物の表面の水酸基基準の規定度濃度(Formol)当たりでは1〜300モル%が好ましく、更に好ましくは5〜300モル%、最も好ましくは10〜200モル%である。
オルガノシラン化合物の使用量が上記範囲であると、分散液の安定化効果が充分得られ、塗膜形成時に膜強度も上昇する。複数種のオルガノシラン化合物を併用することも好ましく、複数種の化合物を同時に添加することも、添加時間をずらして反応させることもできる。また、複数種の化合物を予め部分縮合物にしてから添加すると反応制御が容易であり好ましい。
本発明においては、上記オルガノシランを加水分解物および/またはその部分縮合物を無機酸化物微粒子表面と作用させて無機酸化物微粒子の分散性を改善する。
加水分解縮合反応は、加水分解性基(X)1モルに対して0.3〜2.0モル、好ましくは0.5〜1.0モルの水を添加し、本発明に用いられる酸触媒または、金属キレート化合物の存在下、15〜100℃で、撹拌することにより行われることが好ましい。
[分散性改良処理用の溶媒]
オルガノシランの加水分解物および/または縮合反応物による分散性の改良処理は、無溶媒でも、溶媒中でも行うことができる。溶媒を用いる場合はオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物の濃度を適宜に定めることができる。溶媒としては成分を均一に混合するために有機溶媒を用いることが好ましく、例えばアルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好適である。
溶媒は、オルガノシランの加水分解物および/または縮合反応物と触媒を溶解させるものが好ましい。また、有機溶媒が塗布液あるいは塗布液の一部として用いられることが工程上好ましく、含フッ素ポリマーなどのその他の素材と混合した場合に、溶解性あるいは分散性を損なわないものが好ましい。
このうち、アルコール類としては、例えば1価アルコールまたは2価アルコールを挙げることができ、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽和脂肪族アルコールが好ましい。これらのアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、i-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec -ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどを、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。
これらの有機溶媒は、1種単独であるいは2種以上を併用して使用することもできる。該処理における溶媒に対するオルガノシラン化合物の濃度は特に限定されるものではないが通常0.1質量%〜70質量%の範囲であり、好ましくは1質量%〜50質量%の範囲である。
本発明においては、アルコール系溶媒で無機酸化物微粒子を分散した後に、分散性改良処理を行い、それに引き続いて分散溶媒を芳香族炭化水素溶媒やケトン系溶媒に置換することが好ましい。塗設時に併用するバインダーとの親和性や分散物自身の安定性の向上の点から、ケトン系溶媒への置換が好ましい。
[分散性の改良処理の触媒]
オルガノシランの加水分解物および/または縮合反応物による分散性の改良処理は、触媒の存在下で行われることが好ましい。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類等が挙げられるが、無機酸化物微粒子液の製造安定性や保存安定性の点から、本発明においては、酸触媒(無機酸類、有機酸類)及び/又は金属キレート化合物が用いられる。無機酸では塩酸、硫酸など、有機酸では水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、塩酸、硫酸及び水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸がより好ましく、塩酸、硫酸及び水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
オルガノシランの加水分解性基がアルコキシ基で酸触媒が有機酸の場合には、有機酸のカルボキシル基やスルホ基がプロトンを供給するために、水の添加量を減らすことができる。オルガノシランのアルコキシド基1モルに対する水の添加量は、0〜2モル、好ましくは0〜1.5モル、より好ましくは、0〜1モル、特に好ましくは、0〜0.5モルである。また、アルコールを溶媒に用いた場合には、実質的に水を添加しない場合も好適である。
酸触媒の使用量は、酸触媒が無機酸の場合には加水分解性基に対して0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%であり、酸触媒が有機酸の場合には、水の添加量によって最適な使用量が異なるが、水を添加する場合には加水分解性基に対して0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%であり、実質的に水を添加しない場合には、加水分解性基に対して1〜500モル%、好ましくは10〜200モル%であり、より好ましくは20〜200モル%であり、更に好ましくは50〜150モル%であり、特に好ましくは50〜120モル%である。
処理は15〜100℃で撹拌することにより行われるがオルガノシランの反応性により調節されることが好ましい。
[金属キレート化合物]
金属キレート化合物は、一般式R3OH(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す。)で表されるアルコール及び/又は一般式R4COCH2COR5(式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基を、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す。)で表される化合物とを配位子とした、Zr、TiまたはAlから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる金属キレート化合物は、一般式
Zr(OR3)p1(R4COCHCOR5)p2
Ti(OR3)q1(R4COCHCOR5)q2、および
Al(OR3)r1(R4COCHCOR5)r2
で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、これらは前記オルガノシラン化合物の縮合反応を促進する作用を及ぼしている。
上記金属キレート化合物中のR3およびR4は、同一または異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、R5は、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。また、金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q22、r1およびr2は、4あるいは6座配位となるように決定される整数を表す。
これらの金属キレート化合物の具体例としては、トリ-n-ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ-n-ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n-ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n-プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ-n-ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
本発明の金属キレート化合物は、縮合反応の速度および塗膜にした場合の膜強度の観点から、オルガノシランに対し、好ましくは、0.01〜50質量%、より好ましくは、0.1〜50質量%、さらに好ましくは、0.5〜10質量%の割合で用いられる。
[分散液の安定化添加剤]
本発明に用いられる分散液またはコーティング組成物には、上記オルガノシラン、酸触媒及び/又はキレート化合物に加えて、下記(c)成分が添加されることが好ましい。
以下に、(c)成分をさらに説明する。本発明で使用される(c)成分は、一般式R4COCH2COR5で表されるβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物であり、本発明に用いられる分散液またはコーティング組成物の安定性向上剤として作用するものである。すなわち、前記金属キレート化合物(ジルコニウム、チタニウムおよび/またはアルミニウム化合物)中の金属原子に配位することにより、これらの金属キレート化合物によるオルガノシランと金属キレート成分の縮合反応を促進する作用を抑制し、得られる組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。(c)成分を構成するR4およびR5は、前記金属キレート化合物を構成するR4およびR5と同様である。
この(c)成分のβ-ジケトン化合物および/またはβ-ケトエステル化合物の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸-n-プロピル、アセト酢酸-i-プロピル、アセト酢酸-n-ブチル、アセト酢酸-sec-ブチル、アセト酢酸-t-ブチル、2,4-ヘキサン-ジオン、2,4-ヘプタン-ジオン、3,5-ヘプタン-ジオン、2,4-オクタン-ジオン、2,4-ノナン-ジオン、5-メチル-ヘキサン-ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ-ジケトン化合物および/またはβ-ケトエステル化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。本発明において(c)成分のβ-ジケトン化合物および/またはβ-ケトエステル化合物は、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。2モル未満では得られる組成物の保存安定性に劣るおそれがあり好ましいものではない。
[無機酸化物微粒子]
続いて本発明に用いることのできる無機酸化物微粒子について説明する。
無機酸化物粒子は、得られる硬化性組成物の硬化被膜の無色性の観点から、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモンおよびセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物粒子であることが好ましい。
これらの無機酸化物粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウム等の粒子を挙げることができる。中でも、高硬度の観点から、シリカ、アルミナ、ジルコニアおよび酸化アンチモンの粒子が好ましい。これらは、単独でまたは2種以上を組合わせて用いることができる。さらには、無機酸化物粒子は、有機溶媒分散物として用いるのが好ましい。有機溶媒分散物として用いる場合、他の成分との相溶性、分散性の観点から、分散媒は、有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンが好ましい。
酸化物粒子の数平均粒子径は、1nm〜2000nmが好ましく、3nm〜200nmがさらに好ましく、5nm〜100nmが特に好ましい。数平均粒子径が2000μmを超えると、硬化物としたときの透明性が低下したり、被膜としたときの表面状態が悪化する傾向がある。また、粒子の分散性を改良するために各種の界面活性剤やアミン類を添加してもよい。
ケイ素酸化物粒子分散液(例えば、シリカ粒子)として市販されている商品としては、例えば、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製メタノ−ルシリカゾル、MA−ST−MS、IPA−ST、IPA−ST−MS、IPA−ST−L、IPA−ST−ZL、IPA−ST−UP、EG−ST、NPC−ST−30、MEK−ST、MEK−ST−L、MIBK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等、触媒化成工業(株)製中空シリカCS60-IPA等を挙げることができる。また粉体シリカとしては、日本アエロジル(株)製アエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50、旭硝子(株)製シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製E220A、E220、富士シリシア(株)製SYLYSIA470、日本板硝子(株)製SGフレ−ク等を挙げることができる。
また、アルミナの水分散品としては、日産化学工業(株)製アルミナゾル−100、−200、−520;アルミナのイソプロパノール分散品としては、住友大阪セメント(株)製AS−150I;アルミナのトルエン分散品としては、住友大阪セメント(株)製AS−150T;ジルコニアのトルエン分散品としては、住友大阪セメント(株)製HXU−110JC;アンチモン酸亜鉛粉末の水分散品としては、日産化学工業(株)製セルナックス;アルミナ、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛等の粉末および溶剤分散品としては、シーアイ
化成(株)製ナノテック;アンチモンドープ酸化スズの水分散ゾルとしては、石原産業(株)製SN−100D;ITO粉末としては、三菱マテリアル(株)製の製品;酸化セリウム水分散液としては、多木化学(株)製ニードラール等を挙げることができる。
酸化物粒子の形状は、球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、または不定形状であり、好ましくは、球状または中空状である。中空状のシリカ粒子については後述する。酸化物粒子の比表面積(窒素を用いたBET比表面積測定法による)は、好ましくは、10〜1000m/gであり、さらに好ましくは、20〜500m/gであり、最も好ましくは50〜300m/gである。これら無機酸化物粒子は、乾燥状態の粉末を有機溶媒に分散することもできるが、例えば上記の酸化物の溶剤分散ゾルとして当業界に知られている微粒子状の酸化物粒子の分散液を直接用いることができる。
[分散方法]
本発明において無機酸化物微粒子を粉体から溶媒中に分散して調製するには、分散剤を用いることもできる。本発明においては、アニオン性基を有する分散剤を用いることが好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(スルホ)、リン酸基(ホスホノ)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基またはその塩が好ましく、カルボキシル基、リン酸基が特に好ましい。分散性をさらに改良する目的でアニオン性基は複数個が含有されていてもよい。平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
分散剤は、さらに架橋又は重合性官能基を含有することもできる。架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
本発明においては、無機酸化物粒子を粉砕するのに分散機を用いることができる。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルが含まれる。サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。
[塗布液の溶媒]
以上説明した本発明に係る無機酸化物微粒子の有機溶媒分散液を用いて微粒子成分とし、バインダーと組み合わせてコーティング組成物となし、この組成物から光学フィルムの各層を形成することができる。コーティング組成物の溶媒に制限は無いが、少なくとも2種類の揮発性溶媒を含有することが好ましい。例えば、アルコールとその誘導体類、エーテル類、ケトン類、炭化水素類、エステル類、の中から選ばれる少なくとも2種を組み合わせて用いることが好ましい。バインダー成分の溶解度、無機微粒子の安定性、コーティング液の粘度調節などの観点から溶媒を選択することができる。溶媒を2種以上組み合わせて用いることで、本発明のSP値やSA値になるよう制御して微粒子を膜内に配置することができる。本発明に用いられる溶媒の好ましい沸点は、50℃以上250℃以下が好ましく、更に好ましくは65℃以上200℃以下である。また、好ましい誘電率は20℃において、1以上50以下が好ましく、5以上30以下が更に好ましい。誘電率が10以上の溶媒を無機微粒子に対して10質量%以上含むと分散安定性上好ましい。
以下に本発明に用いることのできる溶媒を挙げるが、これらに限定されるものではない。
・アルコールとその誘導体類(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、第二アミルアルコール、3−ペンタノール、第三アミルアルコール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、ノナノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールイソアミルエーテル、メトキシメトキシエタノール、メトキシプロパノール、ブトキシエタノール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル)
・エーテル類(イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル)
・ケトン類(アセトン、メチルアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチル、メチルイソブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン)
・炭化水素類(n−へキサン、イソへキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、アミルベンゼン)
・エステル類(ギ酸プロピル、ギ酸−n−ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第二ブチル、酢酸−n−アミル、酢酸イソアミル、酢酸メチルイソアミル、酢酸メトキシブチル、酢酸第二へキシル、酢酸−2−エチルブチル、酢酸−2−エチルヘキシル、酢酸シクロへキシル、酢酸メチルシクロへキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸−n−ブチル、酪酸イソアミル、オキシイソ酪酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、イソ吉草酸イソアミル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸−n−ブチル、乳酸イソブチル、乳酸−n−アミル、乳酸イソアミル、安息香酸メチル、シュウ酸ジエチル)
特に好ましい組み合わせはアルコールとその誘導体類、ケトン類、エステル類の中から少なくとも2種類、更に好ましくは3種類用いることである。好ましい例としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−メトキシプロパノール、2−ブトキシエタノール、イソプロピルアルコール、トルエンの中から2種又は3種を併用して用いることができる。
本発明において、無機微粒子を層内に制御して配置するには、バインダーが重量平均分子量5000以上の少なくとも1種の重合性組成物と重量平均分子量5000未満の少なくとも1種の重合性化合物から構成されることが好ましい。重量平均分子量5000を超える組成物の具体例としては、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する共重合体や、フルオロカーボン又はジメチルシロキサンを含有する高分子量化合物が好ましい。また、重量平均分子量が5000未満の化合物としては、多官能のアクリレートモノマーや(メタ)アクリロイル基を有する一般式(II)の化合物の部分縮合物などが好ましい。詳細な化合物は、皮膜形成バインダー及び低屈折率用材料の項で述べる。
[光学フィルムの層構成]
本発明の光学フィルムは、透明な基材上に、必要に応じて後述のハードコート層を有し、その上に光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層されている。低反射積層体は、最も単純な構成では、基材上に低屈折率層のみを塗設した構成である。更に反射率を低下させるには、反射防止層を、基材よりも屈折率の高い高屈折率層と、基材よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成することが好ましい。構成例としては、基材側から高屈折率層/低屈折率層の2層のものや、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(基材またはハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、更に多くの反射防止層を積層するものも提案されている。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性等から、ハードコート層を有する基材上に、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の順に塗布することが好ましい。
本発明の低反射積層体の好ましい層構成の例を下記に示す。下記構成において基材フィルムは、フィルムで構成された支持体を指している。
・基材フィルム/低屈折率層、
・基材フィルム/帯電防止層/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/帯電防止層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層/帯電防止層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/防眩層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/帯電防止層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・帯電防止層/基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/帯電防止層/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層。
層構成の形態は、光学干渉により反射率を低減できるものであれば、特にこれらの層構成のみに限定されるものではない。高屈折率層は防眩性のない光拡散性層であってもよい。
また、帯電防止層は導電性ポリマー粒子または金属酸化物微粒子(例えば、ATO、ITO)を含む層であることが好ましく、塗布または大気圧プラズマ処理等によって設けることができる。防汚層を設ける場合は、上記構成の最上層に設けることができる。
[皮膜形成バインダー]
本発明において、皮膜形成組成物の主たる皮膜形成バインダー成分として、エチレン性不飽和基を有する化合物を用いることが、皮膜強度、塗布液の安定性、塗膜の生産性、などの点で好ましい。主たる皮膜形成バインダーとは、無機粒子を除く皮膜形成成分のうち10質量%以上をしめるものをいう。好ましくは、20質量%以上100質量%以下、更に好ましくは30質量%以上95%以下である。
飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むことが好ましい。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。上記モノマーは2種以上併用してもよい。尚、本明細書においては、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を表す。
高屈折率モノマーの具体例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4'−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
本発明においては、膜強度向上、他層との結合性強化、防汚層塗布時の面状改良の点から、オルガノシラン系化合物、オルガノシラン系化合物の加水分解物および/またはその部分縮合物を添加することが好ましい。好ましいオルガノシラン系化合物としては、前記無機化合物の表面処理の頁で述べた化合物を挙げることができる。これら化合物の使用量は、被膜形成バインダーに対して好ましくは0.5〜500質量%、更に好ましくは1〜300質量%、最も好ましくは5〜100質量%である。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ-ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ-ジメチル-p-イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3’、4、4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
活性エステル類の例には1、2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)- 2-(o-ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
具体的には特開2000-80068号公報に記載の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
ボレート塩の例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
活性ハロゲン類の例にはS-トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(p-スチリルフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(3-Br-4-ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-トリハロメチル-5-(p-メトキシフェニル)-1,3,4-オキサジアゾールが含まれる。具体的には特開昭58-15503号公報のp14〜p30、特開昭55-77742号公報のp6〜p10、特公昭60-27673号公報のp287記載のNo.1〜No.8、特開昭60-239736号公報のp443〜p444のNo.1〜No.17、US-4701399号公報のNo.1〜19などの化合物が特に好ましい。
無機錯体の例にはビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6−ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウムが挙げられる。
クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
重合開始材は、「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており、本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,819、907、1870(CGI-403/Irg184=7/3混合開始剤、500,369,1173,2959,4265,4263など)、OXE01)等、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX-S,BP-100,BDMK,CTX,BMS,2-EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトンおよびチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
本発明においてはポリエーテルを主鎖として有するポリマーを使用することもできる。多官能エポシキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポシキ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりにまたはそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
[低屈折率層用材料]
低屈折率層に用いることのできるバインダーとしては、前述の被膜形成バインダーの頁で述べたものを使用することができるが、バインダー自身の屈折率の低い含フッ素ポリマー、あるいは含フッ素ゾルゲル素材などを用いることが好ましい。含フッ素ポリマーあるいは含フッ素ゾルゲルとしては、熱または電離放射線により架橋し、形成される低屈折率層表面の動摩擦係数0.03〜0.15であり、水に対する接触角90〜120°となる素材が好ましい。
[含フッ素ポリマー]
低屈折率層に用いられる含フッ素ポリマーとしてはパーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン)の加水分解、脱水縮合物の他、含フッ素モノマー単位と架橋反応性付与のための構成単位を構成成分とする含フッ素共重合体が挙げられる。
含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
架橋反応性付与のための構成単位としては主として以下の(A)、(B)、(C)で示される単位が挙げられる。
(A):グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位、(B):カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等)の重合によって得られる構成単位、
(C):分子内に上記(A)、(B)の官能基と反応する基とそれとは別に架橋性官能基を有する化合物を、上記(A)、(B)の構成単位と反応させて得られる構成単位、(例えばヒドロキシル基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で合成できる構成単位)、
が挙げられる。
上記(C)の構成単位は、特に本発明においては、該架橋性官能基が光重合性基であることが好ましい。ここに、光重合性基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、シンナモイル基、シンナミリデンアセチル基、ベンザルアセトフェノン基、スチリルピリジン基、α−フェニルマレイミド基、フェニルアジド基、スルフォニルアジド基、カルボニルアジド基、ジアゾ基、o−キノンジアジド基、フリルアクリロイル基、クマリン基、ピロン基、アントラセン基、ベンゾフェノン基、スチルベン基、ジチオカルバメート基、キサンテート基、1,2,3−チアジアゾール基、シクロプロペン基、アザジオキサビシクロ基などを挙げることができ、これらは1種のみでなく2種以上であってもよい。これらのうち、(メタ)アクリロイル基およびシンナモイル基が好ましく、特に好ましくは(メタ)アクリロイル基である。
光重合性基含有共重合体を調製するための具体的な方法としては、下記の方法を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
(1)水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸クロリドを反応させてエステル化する方法、
(2)水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、イソシアネート基を含有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させてウレタン化する方法、
(3)エポキシ基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸を反応させてエステル化する方法、
(4)カルボキシル基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、エポキシ基を含有する含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させてエステル化する方法。
尚、上記光重合性基の導入量は任意に調節することができ、塗膜面状安定性・無機微粒子共存時の面状故障低下・膜強度向上などの点からカルボキシル基やヒドロキシル基等を一定量残すことも好ましい。
また上記含フッ素モノマー単位、架橋反応性付与のための構成単位以外に溶剤への溶解性、皮膜の透明性等の観点から適宜フッ素原子を含有しないモノマーを共重合することもできる。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルア
ミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができる。
本発明で特に有用な含フッ素ポリマーは、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類またはビニルエステル類のランダム共重合体である。特に単独で架橋反応可能な基((メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等)を有していることが好ましい。これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60mol%の場合である。好ましいポリマーについては、特開2002−243907号、特開2002−372601号、特開2003−26732号、特開2003−222702号、特開2003−294911号、特開2003−329804号、特開2004−4444、特開2004−45462号の各公報に記載のものを挙げることができる。
また本発明の含フッ素ポリマーには防汚性を付与する目的で、ポリシロキサン構造が導入されていることが好ましい。ポリシロキサン構造の導入方法に制限はないが例えば特開平11−189621号、同11−228631号、特開2000−313709号の各公報に記載のごとく、シリコーンマクロアゾ開始剤を用いてポリシロキサンブロック共重合成分を導入する方法、特開平2−251555号、同2−308806号の各公報に記載のごとくシリコーンマクロマーを用いてポリシロキサングラフト共重合成分を導入する方法が好ましい。これらのポリシロキサン成分はポリマー中の0.5〜10質量%であることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%である。
防汚性付与に対しては上記以外にも反応性基含有ポリシロキサン(例えばKF-100T,X-22-169AS,KF-102,X-22-3701IE,X-22-164B,X-22-5002,X-22-173B,X-22-174D,X-22-167B,X-22-161AS(以上商品名、信越化学工業社製)、AK-5,AK-30,AK-32(以上商品名、東亜合成社製)、サイラプレーンFM0275,サイラプレーンFM0721(以上チッソ社製)等)を添加する手段も好ましい。また、特開2003−112383の表2、表3に記載のシリコーン系化合物も好ましく使用できる。この際これらのポリシロキサンは低屈折率層全固形分の0.5〜10質量%の範囲で添加されることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%の場合である。
本発明に好ましく用いることのできるポリマーの好ましい分子量は、質量平均分子量が5000以上、好ましくは10000〜500000、最も好ましくは15000〜200000である。平均分子量の異なるポリマーを併用することで塗膜面状の改良や耐傷性の改良を行うことができる。
上記のポリマーに対しては特開平10−25388号および特開平10−147739号の各公報に記載のごとく適宜硬化剤を併用してもよい。特開2000−17028号、特開2002−145952号の各公報に記載のごとく含フッ素の多官能の重合性不飽和基を有する化合物との併用も好ましい。好ましい例としては、前記ハードコート層で述べた多官能モノマーを挙げることができる。
[含フッ素シラン系化合物]
本発明の中空シリカを用いる低屈折率層には、シリカとの親和性の高いオルガノシラン系化合物の加水分解物及び/又はその縮合物をバインダーとして用いることもできる。バインダーの具体的例としては、特開2002−79616号、特開2002−265866号、特開2002−317152号等の各公報に記載のものを挙げることができる。
[防汚層]
本発明においては、光学フイルムの最上層に防汚層を設けることが好ましい。防汚層の素材としては、含シリコーン系化合物や含フッ素系化合物を用いることができるが、末端にフルオロアルキル基を有するオルガノシラン系化合物が好ましい。好ましい化合物の具体例、合成法については、特開平4−338901号、特公平6−29332号、特開平7−16940号、特開平9−61605号、特開平10−279900号、特開2002−277604号の各公報、又は[非特許文献2]反射防止膜の特性と最適設計・膜作製技術(技術情報協会編2001年発行)に記載されている。
防汚層を設ける表面を鹸化処理しておくことも、面状や防汚耐久性向上の点で好ましい。
本発明において、反射防止膜の低屈折率層に好ましく用いることのできる無機粒子について説明する。
無機微粒子の塗設量は、1mg/m〜100mg/mが好ましく、より好ましくは5mg/m〜80mg/m、更に好ましくは10mg/m〜60mg/mである。少なすぎると、耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する。該無機微粒子は、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが望ましい。
具体的には、前記した有機溶媒分散液中の分散している分散性の改良処理がなされている無機酸化物粒子または中空無機酸化物粒子であって、低屈折率のものが好ましく用いられる。
次に本発明の低屈折率層中に用いることのできる中空シリカ粒子について、以下に記載する。
中空のシリカ微粒子は屈折率が1.15〜1.40が好ましく、更に好ましくは1.17〜1.35、最もに好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、中空シリカ粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、下記数式(VIII)で表される空隙率xは
(数式VIII)
x=(4πa/3)/(4πb/3)×100
好ましくは10〜60%、更に好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。中空のシリカ粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.15未満の低屈折率の粒子は好ましくない。
中空シリカの製造方法は、例えば特開2001−233611号や特開2002−79616号の各公報に記載されている。特にシェルの内部に空洞を有している粒子で、そのシェルの細孔が閉塞されている粒子が特に好ましい。なお、これら中空シリカ粒子の屈折率は特開2002−79616号公報に記載の方法で算出することができる。
中空シリカの平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、中空シリカの粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上100nm以下、更に好ましくは、40nm以上65nm以下である。
シリカ微粒子の粒径が小さすぎると、空腔部の割合が減り屈折率の低下が見込めず、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する。シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子が好ましい。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
また、中空シリカは粒子平均粒子サイズの異なるものを2種以上併用して用いることができる。ここで、中空シリカの平均粒径は電子顕微鏡写真から求めることができる。
本発明において中空シリカの比表面積は、20〜300m/gが好ましく、更に好ましくは30〜120m/g、最も好ましくは40〜90m/gである。表面積は窒素を用いBET法で求めることが出来る。
本発明においては、中空シリカと併用して空腔のないシリカ粒子を用いることができる。空腔のないシリカの好ましい粒子サイズは、30nm以上150nm以下、更に好ましくは35nm以上100nm以下、最も好ましくは40nm以上80nm以下である。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満であるシリカ微粒子(「小サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)の少なくとも1種を上記の粒径のシリカ微粒子(「大サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)と併用することもできる。
小サイズ粒径のシリカ微粒子は、大サイズ粒径のシリカ微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径のシリカ微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ粒径のシリカ微粒子の平均粒径は、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このようなシリカ微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
シリカ微粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。好ましい表面処理の方法については、前述の無機微粒子の表面処理に記載されている方法に準じて行われる。
[高屈折率層用材料]
本発明には高屈折率層を設けることが好ましい。高屈折率層は、バインダー、防眩性を付与するためのマット粒子、および高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラーから形成されることができる。
高屈折率層には、防眩性付与の目的で、フィラー粒子より大きく、平均粒径が0.1〜5.0μm、好ましくは1.5〜3.5μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子または樹脂粒子が含有させることができる。マット粒子とバインダー間の屈折率差は大きすぎるとフィルムが白濁し、小さすぎると十分な光拡散効果をえることができないため、0.02〜0.20であることが好ましく、0.04〜0.10であることが特に好ましい。マット粒子のバインダーに対する添加量も屈折率同様、大きすぎるとフィルムが白濁し、小さすぎると十分な光拡散効果をえることができないため、3〜30質量パーセントであることが好ましく、5〜20質量パーセントであることが特に好ましい。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO2粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。
マット粒子の形状は、真球あるいは不定形のいずれも使用できる。
異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。2種類以上のマット粒子を用いる場合には両者の混合による屈折率制御を効果的に発揮するために屈折率の差が0.0
2以上、0.10以下であることが好ましく、0.03以上、0.07以下であることが特に好ましい。またより大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに光学フィルムを貼り付けた場合に、ギラツキと呼ばれる光学性能上の不具合のないことが要求される。ギラツキは、フィルム表面に存在する凹凸(防眩性に寄与)により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与するマット粒子より小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なるマット粒子を併用することにより大きく改善することができる。
さらに、上記マット粒子の粒子径分布としては単分散であることが最も好ましく、各粒子の粒子径は、それぞれ同一に近ければ近いほど良い。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合には、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは
0.01%以下である。このような粒子径分布を持つマット粒子は通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布のマット剤を得ることができる。
上記マット粒子は、形成されたハードコート層中のマット粒子量が好ましくは10〜1000mg/m、より好ましくは100〜700mg/mとなるようにハードコート層に含有される。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
ハードコート層には、層の屈折率を高めるため、および硬化収縮を低減するために、上記のマット粒子に加えて、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機フィラーが含有されることが好ましい。
また、マット粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率マット粒子を用いたハードコート層では層の屈折率を低目に保つためにケイ素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は前述の無機フィラーと同じである。
ハードコート層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO、ZrO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITOとSiO等が挙げられる。TiOおよびZrOが高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーの添加量は、ハードコート層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜70%である。
なお、このようなフィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
本発明のハードコート層のバインダーおよび無機フィラーの混合物のバルクの屈折率は、1.48〜2.00であることが好ましく、より好ましくは1.50〜1.80である。屈折率を上記範囲とするには、バインダー及び無機フィラーの種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
このようにして形成された本発明の光学フィルムは、ヘイズ値が3〜70%、好ましくは4〜60%の範囲にあり、そして450nmから650nmの平均反射率が3.0%以下、好ましくは2.5%以下である。
本発明の光学フィルムが上記範囲のヘイズ値及び平均反射率であることにより、透過画像の劣化を伴なわずに良好な防眩性および反射防止性が得られる。
[支持体]
本発明の光学フィルムの透明支持体としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースエステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、代表的には富士写真フイルム社製TAC−TD80U,TD80UFなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、が好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。また、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないセルロースアシレートフィルムおよびその製造法については発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、以下公開技報2001−1745号と略す)に記載されており、ここに記載されたセルロースアシレートも本発明に好ましく用いることができる。
[鹸化処理]
本発明の光学フィルムを液晶表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置する。該透明支持体がトリアセチルセルロースの場合は偏光板の偏光層を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、本発明の光学フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコストの上では好ましい。
本発明の光学フィルムは、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置したり、そのまま偏光板用保護フィルムとして使用される場合には、十分に接着させるためには透明支持体上に含フッ素ポリマーを主体とする最外層を形成した後、鹸化処理を実施することが好ましい。鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に該フィルムを適切な時間浸漬して実施される。アルカリ液に浸漬した後は、該フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面が親水化される。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏向膜との接着性を改良するのに特に有効である。また、親水化された表面は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏向膜と接着させる際に偏向膜と光学フィルムの間に塵埃が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは20゜以下である。
アルカリ鹸化処理の具体的手段としては、以下の(1)及び(2)の2つの手段から選択することができる。汎用のトリアセチルセルロースフィルムと同一の工程で処理できる点で(1)が優れているが、反射防止膜面まで鹸化処理されるため、表面がアルカリ加水分解されて膜が劣化する点、鹸化処理液が残ると汚れになる点が問題になり得る。その場合には、特別な工程となるが、(2)が優れる。
(1)透明支持体上に反射防止層を形成後に、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、該フィルムの裏面を鹸化処理する。
(2)透明支持体上に反射防止層を形成する前または後に、アルカリ液を該光学フィルムの光学フィルムを形成する面とは反対側の面に塗布し、加熱、水洗および/または中和することで、該フィルムの裏面だけを鹸化処理する。
[塗膜形成方法]
本発明の光学フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。塗布液を、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書参照)により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥する。これらの塗布方式のうち、グラビアコート法で塗布すると反射防止膜の各層のような塗布量の少ない塗布液を膜厚均一性高く塗布することができ、好ましい。グラビアコート法の中でもマイクログラビア法は膜厚均一性が高く、より好ましい。
また、ダイコート法を用いても塗布量の少ない塗布液を膜厚均一性高く塗布することができ、さらにダイコート法は前計量方式のため膜厚制御が比較的容易であり、さらに塗布部における溶剤の蒸散が少ないため、好ましい。二層以上を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
[偏光板]
偏光板は、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムで主に構成される。本発明の光学フィルムは、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。本発明の光学フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の光学フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
偏光膜としては公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作成される。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70度傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45度傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落0020〜0030に詳しい記載がある。
本発明の光学フィルムは、偏光膜の表面保護フィルムの片側として用いた場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
VAモードの液晶セル用には、2軸延伸したトリアセチルセルロースフィルムを本発明の光学フィルムと組み合わせて作成した偏光板が好ましく用いられる。2軸延伸したトリアセチルセルロースフィルムの作製方法については、例えば特開2001−249223号公報、特開2003−170492号公報などに記載の方法を用いることが好ましい。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置であり、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(OpticallyCompensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
ECBモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向しており、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ」東レリサーチセンター発行(2001)などに記載されている。
特にTNモードやIPSモードの液晶表示装置に対しては、特開2001−100043号公報等に記載されているように、視野角拡大効果を有する光学補償フィルムを偏光膜の裏表2枚の保護フィルムの内の本発明の光学フィルムとは反対側の面に用いることにより、1枚の偏光板の厚みで反射防止効果と視野角拡大効果を有する偏光板を得ることができ、特に好ましい。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
また、試料No.102、103、108、111、509及び510は「参考例」と読み替えるものとする。
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM―5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は測定誤差の範囲内で100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。固形分の濃度が29%になるようにメチルエチルケトンで調節してゾル液aとした。
(シリカ分散液Aの調製)
中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、平均粒子径40nm、シェル厚み6nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.30、特開2002−79616の調製例4に準じサイズを変更して作成)500部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)8部、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製)2部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5部加え混合した後に、イオン交換水を9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加した。
この分散液500gにほぼシリカの含量一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力20kPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し、22質量%にしたときの粘度は25℃で9mPa・sであった。得られた分散液Aのイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.0%であった。
(ハードコート層用塗料(HC-1)の調製)
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物PETA(日本化薬(株)製)50.0質量部に、重合開始剤イルガキュア184(日本チバガイギー(株)製)2.0質量部、下記のフッ素系面状改良剤(FP−1)0.30質量部、オルガノシラン化合物KBM−5103(信越化学工業(株)製)10.0質量部、トルエン38.5質量部を添加して撹拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.51であった。
Figure 0004900890
さらにこの溶液にポリトロン分散機にて10000rpmで分散した平均粒径3.5μmの架橋ポリスチレン粒子SX−350(屈折率1.60、綜研化学(株)製)の30質量%トルエン分散液1.7質量部、及びポリトロン分散機にて10000rpmで分散した平均粒径3.5μmの架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.55、綜研化学(株)製)の30質量%トルエン分散液13.3質量部を添加して撹拌した。次いで孔径30μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して防眩性ハードコート層用塗料(HC−1)を調製した。この塗料による塗膜の屈折率は1.51であった。得られた防眩性ハードコート層用塗料(HC-1)の表面張力は32mN/mであった。
(低屈折率層用塗布液(Ln−1)の調製)
メチルエチルケトン200質量部に対して、特開2004−45462号公報に記載の含フッ素共重合体P−3(重量平均分子量50000)93.0質量部、末端メタクリレート基含有シリコーンRMS‐033(Gelest(株)製)4質量部、光ラジカル発生剤イルガキュアOXE01(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)3質量部を溶解した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%となり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が20対80になるようにシクロヘキサノンとメチルエチルケトンで希釈して塗布液(Ln−1)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(Ln−2)の調製)
メチルエチルケトン200質量部に対して、特開2004−45462号公報に記載の含フッ素共重合体P−3(重量平均分子量50000)54.0質量部、末端メタクリレート基含有シリコーンRMS‐033(Gelest(株)製)4質量部、光ラジカル発生剤イルガキュアOXE01(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)2質量部を溶解した。更にシリカ分散液Aを136.4質量部(中空シリカ+表面処理剤の固形分として33質量部)とゾル液aを34.5質量部(固形分として10質量部)を加えて溶解した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%となり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が20対80になるようにシクロヘキサノンとメチルエチルケトンで希釈して塗布液(Ln−2)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(Ln−3)の調製)
低屈折率層用塗布液(Ln−2)の調製において、シリカ分散液Aの替わりにMEK−ST−L(シリカゾル、MEK−STの粒子サイズ違い、平均粒径45nm、固形分濃度30%、溶媒MEK,日産化学(株)製)を106.7質量部(シリカ固形分として33質量部)添加したこと以外は同様にして塗布液(Ln−3)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(Ln−4)の調製)
メチルエチルケトン200質量部に対して、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA)93.0質量部、末端メタクリレート基含有シリコーンRMS‐033(Gelest(株)製)4質量部、光ラジカル発生剤イルガキュアOXE01(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)3質量部を溶解した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%となり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が20対80になるようにシクロヘキサノンとメチルエチルケトンで希釈して塗布液(Ln−4)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(Ln−5)の調製)
メチルエチルケトン200質量部に対して、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA)29.0質量部、末端メタクリレート基含有シリコーンRMS‐033(Gelest(株)製)4質量部、光ラジカル発生剤イルガキュアOXE01(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)2質量部を溶解した。更にシリカ分散液Aを250質量部(中空シリカ+表面処理剤の固形分として55質量部)とゾル液aを34.5質量部(固形分として10質量部)を加えて溶解した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%となり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が20対80になるようにシクロヘキサノンとメチルエチルケトンで希釈して塗布液(Ln−5)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(Ln−6)の調製)
メチルエチルケトン200質量部に対して、特開2004−45462号公報に記載の含フッ素共重合体P−3(重量平均分子量50000)82.0質量部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA)15.0質量部、末端メタクリレート基含有シリコーンRMS‐033(Gelest(株)製)4質量部、光ラジカル発生剤イルガキュアOXE01(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)3質量部を溶解した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%となり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が20対80になるようにシクロヘキサノンとメチルエチルケトンで希釈して塗布液(Ln−6)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(Ln−7)の調製)
メチルエチルケトン200質量部に対して、特開2004−45462号公報に記載の含フッ素共重合体P−3(重量平均分子量50000)46.0質量部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA)8.0質量部、末端メタクリレート基含有シリコーンRMS‐033(Gelest(株)製)4質量部、光ラジカル発生剤イルガキュアOXE01(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)2質量部を溶解した。更にシリカ分散液Aを136.4質量部(中空シリカ+表面処理剤の固形分として33質量部)とゾル液aを34.5質量部(固形分として10質量部)を加えて溶解した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%となり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が20対80になるようにシクロヘキサノンとメチルエチルケトンで希釈して塗布液(Ln−7)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(Ln−8)の調製)
低屈折率層用塗布液(Ln−7)の調製において、シリカ分散液Aの替わりにMEK−ST−L(シリカゾル、MEK−STの粒子サイズ違い、平均粒径45nm、固形分濃度30%、溶媒MEK,日産化学(株)製)を106.7質量部(シリカ固形分として33質量部)添加したこと以外は同様にして塗布液(Ln−8)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(Ln−9)の調製)
低屈折率層用塗布液(Ln−6)の調製において、含フッ素共重合体P−3の替わりに、特開平2004−45462号公報に記載の含フッ素共重合体P−3(重量平均分子量51000)を同質量部使用した以外は同様にして、塗布液(Ln−9)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(Ln−10)の調製)
低屈折率層用塗布液(Ln−7)の調製において、含フッ素共重合体P−3の替わりに、特開平2004−45462号公報に記載の含フッ素共重合体P−3(重量平均分子量51000)を同質量部使用した以外は同様にして、塗布液(Ln−10)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(Ln−11)の調製)
低屈折率層用塗布液(Ln−10)の調製において、シリカ分散液Aの替わりにMEK−ST−L(シリカゾル、MEK−STの粒子サイズ違い、平均粒径45nm、固形分濃度30%、溶媒MEK,日産化学(株)製)を106.7質量部(シリカ固形分として33質量部)添加したこと以外は同様にして塗布液(Ln−11)を調製した。
(反射防止フィルム(101)の作製)
膜厚80μm、幅1340mmのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士写真フイルム(株)製}上に、ハードコート層用塗料(HC-1)をマイクログラビア塗工方式で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.5%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、放射照度400mW/cm、照射エネルギー量120mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、膜厚6μmの防眩性を有するハードコート層を作製した。
このようにして得られたハードコート層の上に、上記低屈折率層用塗布液(Ln−1)を用いて低屈折率層膜厚が90nmになるように調節して試料101を作製した。低屈折率層の乾燥条件は90℃、150秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、放射照度120mW/cm2、照射エネルギー量240mJ/cm2の照射量とした。硬化後の低屈折率層の屈折率は1.44であった。
このようにして得られた試料101に対して、低屈折率層の塗布液を(Ln−2)〜(Ln−11)に変更した以外は試料101と同様にして試料102〜111を作製した。
(反射防止フイルムの評価)
得られたフイルムについて、以下の項目の評価を行った。
(評価1)平均反射率
反射防止フイルムの裏面を粗面化処理した後、黒色のインクで光吸収処理(380〜780nmにおける透過率が10%未満)を行った。分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの平均反射率を用いた。
(評価2)膜中粒子充填率の偏り(SP値)
各試料の50nmの厚さの切片を作製し透過型電子顕微鏡で15万倍で観察し、写真を撮影した。低屈折率層の全層中の平均粒子含有率(A)に対して、支持体と反対側の上層30%膜厚中の平均粒子充填率(B)の比率SP値[(B/A)×100]を算出した。前記のように上層30%膜厚中の粒子含有率の算出において、粒子の一部が上層30%膜中に含まれる場合には断面写真上の面積の割合で含有率を算出した。
(評価3)防塵性評価
反射防止フィルムをモニターに張り付け、モニター表面に塵埃(布団、衣服の繊維屑)を振りかけた。クリーニングクロスで塵埃を拭き取り、塵埃の除去性を調べ、下記4段階で評価した。
○ ;3回以内の拭き取りで塵埃が完全に取り除けたもの。
○△;塵埃が完全に取り除けるが、4回以上6回以下の拭き取りが必要。
△ ;6回の拭き取りでは塵埃が若干残ったもの。
× ;塵埃がかなり残ったもの。
(評価4)耐擦傷性評価
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストを行った。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)にスチールウール((株)日本スチールウール製、No.0000)を巻いて、動かないようバンド固定し
た。その上で下記条件の往復こすり運動を与えた。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、
荷重:500g/cm、先端部接触面積:1cm×1cm、
こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
○:非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○△:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
△:弱い傷が見える。
△×:中程度の傷が見える。
×:一目見ただけで分かる傷がある。
評価結果を第1表に示す。
Figure 0004900890
第1表に示される結果より、以下のことが明らかである。
微粒子を含有し、そのSP値が本発明の範囲のものは、防塵性及びスチールウール耐傷性に優れる。さらに、中空シリカを使用することで反射率の低下が認められることが分かる。また、平均分子量が5000以下の化合物(DPHA,ゾル液a)と平均分子量が5000以上のバインダー(P3、P25)を組み合わせて用いた試料ではこれら性能が一層改良されることが判る。
以下に示す多層の反射防止膜を作製した。
(ハードコート層用塗布液(HC−2)の調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌してハードコート層塗布液とした。
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、日本化薬(株)製)750.0質量部に、重量平均分子量15000のポリ(グリシジルメタクリレート)270.0質量部、メチルエチルケトン730.0質量部、シクロヘキサノン500.0質量部、光カチオン重合開始剤(ロードシル2074)25.0質量部及び光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)50.0質量部を添加して攪拌した。
孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液(HC−2)を調製した。
(二酸化チタン微粒子分散液の調製)
二酸化チタン微粒子としては、コバルトを含有し、かつ水酸化アルミニウムと水酸化ジルコニウムを用いて表面処理を施した二酸化チタン微粒子(MPT−129C、石原産業(株)製、TiO:Co4:Al:ZrO=90.5:3.0:4.0:0.5質量比)を使用した。
この粒子257.1質量部に、下記分散剤41.1質量部、およびシクロヘキサノン701.8質量部を添加してダイノミルにより分散し、質量平均径70nmの二酸化チタン分散液を調製した。
Figure 0004900890
(中屈折率層用塗布液の調製)
上記の二酸化チタン分散液99.1質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA)68.0質量部、光重合開始剤(イルガキュア907)3.6質量部、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.2質量部、メチルエチルケトン279.6質量部およびシクロヘキサノン1049.0質量部を添加して攪拌した。十分に攪拌ののち、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層用塗布液を調製した。
(高屈折率層用塗布液の調製)
上記の二酸化チタン分散液469.8質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)40.0質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)3.3質量部、光増感剤(カヤキュア−DETX、日本化薬(株)製)1.1質量部、メチルエチルケトン526.2質量部、およびシクロヘキサノン459.6質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用の塗布液を調製した。
(反射防止フィルム(201)の作製)
膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD80UF、富士写真フイルム(株)製)上に、上記ハードコート層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、放射照度400mW/cm、照射エネルギー量300mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ8μmのハードコート層を形成した。
ハードコート層の上に、中屈折率層用塗布液、高屈折率層用塗布液、低屈折率層用塗布液Ln−1を3つの塗布ステーションを有するグラビアコーターを用いて連続して塗布した。
中屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら180W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、放射照度400mW/cm、照射エネルギー量400mJ/cmの照射量とした。硬化後の中屈折率層は屈折率1.630、膜厚67nmであった。
高屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、放射照度600mW/cm、照射エネルギー量400mJ/cmの照射量とした。
硬化後の高屈折率層は屈折率1.905、膜厚107nmであった。
低屈折率層の乾燥条件は90℃、15秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が0.03体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、放射照度600mW/cm、照射エネルギー量600mJ/cmの照射量とした。
硬化後の低屈折率層は屈折率1.44、膜厚85nmであった。
このようにして得られた試料201に対して、低屈折率層の塗布液を(Ln−2)〜(Ln−11)に変更した以外は試料201と同様にして試料202〜211を作製した。
実施例1に準じた評価を行った結果、中屈折率層と高屈折率層を設けることでどの試料も反射率が大きく低下した。無機微粒子を含んだ低屈折率層は本発明で規定した範囲のSP値を示し、本発明に従えば、低反射で防塵性・耐擦傷性に優れる反射防止フイルムが得られることが判った。
(ハードコート層用塗布液(HC−3)の調製)
デソライトZ7404(ジルコニア微粒子含有ハードコート組成液、JSR(株)製)100質量部、DPHA(UV硬化性樹脂、日本化薬(株)製)31質量部、KBM−5103(シランカップリング剤、信越化学工業(株)製)10質量部、KE−P150(1.5μmシリカ粒子、日本触媒(株)製)8.9質量部、MXS−300(3μm架橋PMMA粒子、綜研化学(株)製)3.4質量部、MEK29質量部及びMIBK13質量部をミキシングタンクに投入し、攪拌してハードコート層塗布液を調製した。
(反射防止フィルムの作製)
支持体としてトリアセチルセルロースフィルム(TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、上記のハードコート層用塗布液を線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度10m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、放射照度400mW/cm、照射エネルギー量250mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、ハードコート層を形成し、巻き取った。硬化後のハードコート層の厚さが4.0μmとなるようにグラビアロール回転数を調整してハードコート301を作製した。このようにして得られたハードコート層301の表面粗さはRa=0.02μm、RMS=0.03μm、Rz=0.25μmであった(Ra(中心線平均あらさ)、RMS(自乗平均面あらさ)、Rz(n点平均あらさ)は、走査型プローブ顕微鏡システムSPI3800、セイコーインスツルメンツ(株)製にて測定した)。
ハードコート301上に実施例1の低屈折率層の塗布液(Ln−1)〜(Ln−11)を塗布・硬化し試料301〜311を作製した。下記鹸化処理を行い偏光板加工をした反射防止フィルム試料を作成した。これらの試料を実施例1に準じた評価を行った結果、本発明に従えば低反射で、防塵性・耐擦傷性に優れる反射防止フイルムが得られることが判った。
(反射防止フィルムの鹸化処理)
1.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.005mol/lNの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。作製した反射防止フィルムを上記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
このようにして、鹸化処理済み反射防止フィルムを作製した。
(反射防止フィルム付き偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。鹸化処理済みの反射防止フィルムに、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、反射防止フィルムの支持体側(トリアセチルセルロース)が偏光膜側となるように偏光膜の片側に貼り付けた。また、ディスコティック構造単位の円盤面が透明支持体面に対して傾いており、且つ該ディスコティック構造単位の円盤面と透明支持体面とのなす角度が、光学異方層の深さ方向において変化している光学補償層を有する視野角拡大フィルム(ワイドビューフィルムSA、富士写真フイルム(株)製)を鹸化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜のもう一方の側に貼り付けた。このようにして反射防止された偏光板を作製した。
(ハードコート層用塗布液(HC−4)の調製)
MEK90質量部に対して、シクロヘキサノン10質量部、部分カプロラクトン変性の多官能アクリレート(DPCA−20、日本化薬(株)製)85質量部、KBM−5103(シランカップリング剤:信越化学工業(株)製)10質量部、光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)5質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液(HC−4)を調製した。
(反射防止フィルムの作製・評価)
支持体としてトリアセチルセルロースフィルム上に、ハードコート層用塗布液HC−4を実施例3に準じて塗布硬化した。その際硬化後のハードコート層の厚さが4.5μmとなるようにグラビアロール回転数を調整してハードコート401を作製した。
ハードコート401上に実施例1の塗布液(Ln−1)〜(Ln−11)を塗布・硬化し試料401〜411を作製した。これら試料に対して実施例3に記載の鹸化処理を行い偏光板加工をした試料を作成した。これら偏光板試料を実施例1に準じた評価を行った結果、本発明に従えば低反射で、防塵性・耐擦傷性に優れる反射防止膜が得られることが分かった。
(反射防止フイルム(501)の作製)
実施例1の試料104の上に、防汚層用塗布液(C−(OC24−O−(CF−C−O−CHSi(OCHからなるパーフルオロポリエーテル基含有シランカップリング剤をパーフルオロへキサンで0.5質量%に希釈)を塗布した。120℃で1分乾燥して塗膜を形成した。均一に塗布された想定で乾燥後の理論塗布量が5nmになるように塗布量を設定した。
(反射防止フイルム(502)の作製)
実施例1の試料104に対して実施例3に記載した鹸化処理を行った。鹸化処理後の試料の上に、上記反射防止フイルム(501)と同様に防汚層用塗布液を塗布・乾燥させて、反射防止フイルム(502)を作製した。
(反射防止フイルム(503)〜(510)の作製)
実施例1の試料105、109,110、111に対して、鹸化処理をおこなわない試料と行った試料を作製した。それぞれの上に反射防止フイルム501と同様に防汚層用塗布液を塗布・乾燥させて、反射防止フイルム(503)〜(510)を作製した。
各反射防止フイルムは、下記の評価を行った。
(評価5)塗布面状評価
反射防止フイルムの裏面を粗面化処理した後、黒色のインクで光吸収処理(380〜780nmにおける透過率が10%未満)を行った。防汚層の塗布前後の試料で塗布面状を下記の基準で評価した。
○ :防汚層塗布前後で差が全く認められない。
△ :防汚層塗布前後で僅かに差が認められるが、実用上は問題ない。
△×:防汚層塗布前後で差が認められる。
× :防汚層塗布前後で差が認められ、白味が増加している。
(評価6)防汚性評価
マジックインキ No.700(M700―T1 黒)極細を用い試料の上に直径1cmの円を描いて塗りつぶした。24時間放置後にベンコット(旭化成(株)製)で擦り、マジックがふき取れるか以下の基準で評価した。
○:非常に注意深く見ても、全くマジック跡が見えない。
△:僅かにマジックの跡が見える。
×:消えない跡が検出される。
評価環境条件:25℃、60%RH
防汚層を塗布しない試料の結果も合わせて結果を表2に示す。
Figure 0004900890
第2表に示される結果より、無機微粒子を含み本発明で規定した範囲のSP値を満たす試料の上に防汚層を設けた試料は、塗布面状と防汚性に優れることが分かる。また、防汚層の塗布前に鹸化処理を塗布面状の改良効果が認められる(試料509と510の比較)。
本発明の光学フイルムの薄膜層の一例である。 本発明の光学フイルムの薄膜層の一例である。 比較用光学フイルムの薄膜層の一例である。
符号の説明
1 微粒子

Claims (6)

  1. 支持体上に微粒子とバインダーを含有する組成物が塗設されて薄膜層が形成されてなる光学フィルムであって、
    該薄膜層全層中の平均粒子充填率(A)に対する、支持体と反対側の上層側30%膜厚中の平均粒子充填率(B)の比率であるSP値[(B/A)×100]]が105%以上333%以下であり、
    前記微粒子が中空シリカ粒子であり、
    前記微粒子の表面が該微粒子と共有結合を形成する一般式(II)で表される化合物及び一般式(IV)で表される化合物で処理されており、
    前記バインダーが少なくとも1種の光重合性化合物であり、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルである2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを含有する
    ことを特徴とする光学フィルム。
    一般式(II)
    Figure 0004900890
    一般式(II)において、Rは、水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子または塩素原子を表す。Yは、単結合、エステル基、アミド基、エーテル基またはウレア基を表す。Lは、2価の連結鎖を表す。R10は、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは、水酸基または加水分解可能な基を表す。nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
    一般式(IV) C n 2n+1― (CH 2 m― Si(R) 3
    上記式中、nは1〜10の整数、mは1〜5の整数を表す。Rは炭素数1〜5のアルコキシ基またはハロゲン原子を表す。
  2. 請求項1に記載の光学フィルム上に、防汚層を塗設してなることを特徴とする光学フィルム。
  3. 請求項1または2に記載の光学フィルムであって、支持体が透明支持体であり、かつ少なくともハードコート層と低屈折率層が該支持体上に積層されて成ることを特徴とする光学フィルム。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載の光学フィルムの作製において、微粒子とバインダーを含有するコーティング組成物中に少なくとも2種類の揮発性溶媒を含有させて塗設することを特徴とする光学フィルムの作製方法。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の光学フィルムを有することを特徴とする偏光板。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の光学フィルムを有することを特徴とする画像表示装置。
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