JP4890670B2 - 液体分注装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、分析化学等に好適に用いることを可能ならしめた液体分注装置に関するものであり、 特に、分注の液漏れ防止の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
分析化学等に用いる液体分注装置、たとえば、臨床用生化学分析装置に使用される分注装置として、以下の図8〜10に示すものを適用することができる。図8はピペッタと称されるものの、図9はデスペンサと称されるものの、また図10はシッパと称されるものの、それぞれの例である。
【0003】
ここに、図8に示すごとく、試料である血清を試料容器1から反応容器2へ試薬(希釈液)7と共に移し取るピペッタ、図9に示すごとく、定量の試薬7を反応容器2へ添加するデスペンサ、図10に示すごとく、反応終了後の反応液を検知器流通セル9に吸入するシッパ、の3種の機能を有する。
なお、図中、3はシリンジ、4はマイクロシリンジ、5は弁(図中、A状態、B状態のごとくに切り換えられる切換え弁)、6はチューブ、8はノズルを示し、また、10はシリンジ3の本体(シリンダ)中を矢印のごとくに上昇、下降するピストン、21はマイクロシリンジ4の本体(シリンダ)中を矢印のごとくに上昇、下降するプランジャである。
【0004】
これらの動作について説明すれば、次のようである。
図8に示したピペッタでは、シリンジ3、マイクロリンジ4は、ピストン10およびフプランジャ20が上昇して液を吐出した状態から、 また弁5は図示したAの状態から動作を開始する。チューブ6内には試薬7が満たされている。
ノズル8が試料容器1の中に挿入され、シリンジ3内のピストン10、 およびマイクロシリンジ4内のプランジャ20が下降すると、ノズル8の先端部に、試料がマイクロシリンジ4のプランジャ20の変位に伴う体積変化に相当する量だけ吸入され、一方、試薬7はシリンジ3の中に吸入される。
【0005】
次に、ノズル8は反応容器2の真上または中に挿入され(図中破線状態参照)、弁5を、図中近傍にその切り換わり状態を付記したBの状態に切換える。 最後に、シリンジ3内のピストン10、およびマイクロシリンジ4内のプランジャ20が上昇することによって、ノズル8の先端部に吸入された微量の試料血清は、シリンジ3の中に吸入された試薬7と共に反応溶器2の中に吐き出されピペッティング動作を終了する。
上記のようにして液体を分注することができる。
【0006】
図9に示されるデスペンサは、基本的に図8の場合と同様であるが、ノズル8の移動を必ずしも必要とせず、反応容器2をノズル8の直下に輸送することによって、試薬7の分注が可能である。図9において、弁5は、図8の場合と同様、図9に示したAの切り換わり状態でシリンジ3のピストン10が摺動下降して試薬7を吸入し、次に、弁5が図中近傍にその切り換わり状態を付記したBの切り換わり状態で、シリンジ3のピストン10が摺動上昇して試薬7を反応容器2内へ吐出分注する。
このようにして、本分注装置では定量の試薬7を反応容器2へ添加することができる。
【0007】
図10に示されるシッパにあっては、反応容器2の中で反応が終了した液を、流通セル9の中に気泡を導入することなく、かつ、前試料液の汚染のないように流通セル9内を反応液で共洗いし、正確な吸光度測定を行うべく吸入しなければならないことが要請される。同図において、ノズル8が反応容器2の中に挿人され、弁5が図示したAの状態でシリンジ3のピストン10が摺動下降し、 反応液を流通セル9内に導入する(吸引時)。流通セル内の内容積は0.3ml程度であり、通常、約10倍の3mlが吸引され、前記の正確な比色測定が実現される。
本分注装置では、上記のごとくに、反応終了後の反応液を検知器流通セル9に吸入することができる。
【0008】
なお、前試料液との間に空気層が介在していると、共洗いの効果が大きく汚染が少ない。導入された反応液の比色測定が行われている間に、弁5が、図中近傍にその切り換わり状態を付記したBの状態になり、シリンジ3内のピストン10が摺動上昇してシリンジ3内の前試料液や共洗い液を吐出廃棄する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
(イ)上述のいずれの分注装置にも共通に要求される事項は、摺動部分の液漏れ防止機能とその耐久性である。液漏れや、気泡の混入は、 分析装置にとって直接分析装置に影響する事項であり致命的である。また、分注装置周辺の構成部品の耐薬品性的配慮からも液漏れは許容できないものである。
摺動部分の液漏れ防止構造は、 従来から苦心している個所であり、特に、液体分注装置の摺動部分は、たとえばピストンの上昇時に液漏れ、下降時に気泡の浸入するおそれがあり、液体と大気の分子量の違いから、気泡浸入がより発生しやすい。
【0010】
(ロ)さらには、本発明者による考察に基づけば、液漏れ防止構造には、 使用する液体に対して錆、変形などを発生させない、液体の温度変化および使用環境の温度変化に対してもシール圧力が変化しにくい、 さらに長期的な使用に耐えられる耐久性が要求され、殊に、耐久性は、被摺動体側のシリンダと上下動する摺動体(ピストン)が互いに接触して摺動するために、摺動部が時間経過とともに磨耗し、シール性能が低下する傾向がある。
一方、これらの現象はまた、保守点検すべき保守点検間隔の短期化にもつながり、頻繁な保守点検の必要性をももたらすことともなる。
【0011】
(ハ)しかして、従来、前述のような自動分析装置における液体分注装置の機能、および使用条件を考慮して、多数の液漏れ防止の構造が考えられ、実用化されているが、特に、シリンジ3とピストン10の、従来の液漏れ防止構造として以下に述べるものにあっては、それぞれ次のような点が指摘できる。
図11に示したものは、使い捨てを目的としたシリンジ3であるが、ピストン10の摺動部分(本体シリンダ内面と接し、分注する使用液体と接するピストンヘッド)の材質がゴムなので、 たとえば使用試薬が限定される。図12に示したものは、図11のピストンヘッドの材質を耐薬品性の良い四弗化エチレン(たとえばテフロン)で構成した例である。 かかる場合は、酸性からアルカリ性までの全ての試薬に対して安定であるが、ピストンヘッドの外径が温度変化によって変化し、低温側で液漏れしやすく、高温側で負荷(摺動)抵抗が大きくなる傾向がある。
しかもまた、いずれの場合も、分注動作を繰り返すに従いピストン10の摺動部分は磨耗するが、その磨耗量を補足する手段がなく、この点でも耐久性にも乏しいという欠点がある。
【0012】
(ニ)よって、望ましいのは、前述したような欠点、不利等を除去でき、シリンダとピストンで液体を分注する場合において、上述のごとき耐久性の要求や、磨耗に伴うシール性能の低下の軽減ないし抑制あるいは保守点検間隔の点に対しても、適切に対応可能で、シリンダのシール圧力を高めることができ、長期間の繰返し使用においても液漏れが発生しない液体分注装置を実現できることであり、望ましいのはまた、分注液体を押し出す時(たとえば図8〜10のピストン上昇時)にシリンダ内の圧力を有効に活用し得て、シール圧力を高めるのに効果的に機能させることができ、シリンダの耐久性を飛躍的に高められて、保守点検間隔も長くなり、長期的に安定した分析装置の稼働が可能になることである。
【0013】
(ホ)より望ましいのは、さらに加えて、吸引時(たとえば図8〜10のピストン下降時)にも高いシール圧を得るのに効果を発揮させ得て、吸引時に空気を引き込まないようにしつつ、上記(ニ)のことを達成することができる装置を実現できることである。
【0014】
本発明は、したがって、上述のような考察に基づき,また後記する考察にも基づき、液体分注装置における液漏れ防止の改良、改善を図り、耐久性等に対してもこれに適切に対応可能でシール圧力を高めることができるようにしようというものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明によって、下記の液体分注装置が提供される。
すなわち、本発明は、
シリンダとピストンで液体を分注する装置であって、前記ピストンがシリンダ内面と接するピストン外周部とピストン中心部との間に、一方を開口にしたくり貫き形状の凹部を設け、該凹部の開口は、分注する液体側に位置させてなり、前記開口は、前記ピストンの摺動方向を含む断面でみたときに、前記凹部の内壁から直線状に連続するように構成したことを特徴とするものである(請求項1)。
【0016】
さらにまた、前記凹部を有するピストンに加えて、凹部をもたないピストンを一体的に構成したことを特徴とするものである(請求項2)。
さらにまた、前記くり貫き形状の凹部の内壁を、垂直形状に構成したことを特徴とするものである(請求項3)。
さらにまた、前記くり貫き形状の凹部の内壁を、斜面形状に構成したことを特徴とするものである(請求項4)。
【0017】
【発明の効果】
本発明においては、長期間の繰返し使用においても液漏れが発生しないかこれを良好に防止ないし抑制できる液体分注装置を提供することができる。
請求項1では、該請求項記載の構成のごとくの液体分注装置を得ることができ、よって、本発明によれば、シリンダのシール圧力を高めることができる。特に、開口部を分注液体側に設置することにより、ピストンが上昇する時、すなわち分注液体を押し出す時にシリンダ内の圧力が凹部形状の開口部内に作用して、ピストン外径部をシリンダ内面璧に押す圧力を発生させ、ピストンの形状・材質で決定される押圧力に液体を押し出す時の圧力の作用で発生する押圧力を加算した押圧力が得られ、結果、分注時に液体を押出す圧力が、シリンダとピストンのシール効果を高めるように作用し、シリンダのシール効果を飛躍的に改善させることになる。かくして当該シール圧力を高めるのに効果的に機能させることができ、さらにシリンダの耐久性を飛躍的に高めることができることから、保守点検間隔も長くなり、長期的に安定した分析装置の稼働が可能になる。
【0018】
さらに、請求項1の構成に加え、請求項2記載のごとくの構成すると、吸引時にも高いシール圧を得るのに効果を発揮させ得て、吸引時に空気を引き込まないようにしつつ、上記のことを達成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1〜図7は、本発明に実施例を示すもので、図1は、本発明に従う液体分注装置の一実施例の説明に供する図、図2は、他の実施例の説明に供する図、図3〜図7は、それぞれ、さらに他の実施例の説明に供する図である。
ここに、いずれも、たとえば図8〜10の液体分注装置におけるシリンジ3に適用した場合の構成の例として示してある。
【0020】
〔第1実施例〕:
図1において、シリンジ3は、シリンダ3aとピストン10とを有し、そのピストン10の図中下端部の中央部分には、たとえばロッド先端部を螺合(または螺合と接着材による接着の併用)により取り付けたロッド部11を備えて、これによりピストン10をシリンダ3a内で上下動させて、対象とする液体(適用液体)の分注を行うことができる。
【0021】
上記のごとくシリンダ3aとピストン10で液体を分注する構成において、シール圧力を強化すべく、本発明に従って、ピストン10に開口部を設け、開口部を分注する液体側に位置させる。
これがため、具体的には、図示のごとくに、ピストン10がシリンダ3a内面と接するピストン外周部とピストン中心部との間に一方を開口にしたくり貫き形状をなす凹部12を設けるものとし、さらにその開口を、分注する液体7側に位置させるようになす。
【0022】
したがって、図1に示す実施例では、ピストン10の外径部13とピストン中心部の間に円柱状の凹部12(くり貫き)があり、開口部を分注液体7側に位置させてある。
図示の状態は、ピストン10の図中上側部分のシリンダ3a内部に液体7が吸入されているとともに、該吸入液7が、図示のごとくあらかじめ設定された所定厚のピストン外筒部を残して該ピストン内部に至るまで開口端側から十分な深さにわたって形成された、かかる凹部12部分内にも吸入されて、当該凹部部分をも満たしている状態を示してある。
ここに、こうした形状を有するピストン10の材質、製作等については、好適には、たとえば耐薬品性の良い四弗化エチレンを材料としたモールド成型などによって得ることができる。
【0023】
上記のように、本実施例では、分注に用いるシリンジ3として、ピストン10がシリンダ3a内面と接する垂直壁状のピストン外周部が形成されるようピストン中心部に一方を開口にした凹部12を設け、さらにその凹部12の開口を分注する液体7側に位置させるように構成したシリンジ3とすることができ、本シリンジ3は、これを、たとえば前記した図8のような液体分注装置におけるシリンジとして適用する場合を例とするなら、本シリンジ3での分注動作や作用、機能等については、以下のようなものとすることができる。
【0024】
すなわち、上記構成のシリンダ3aとピストン10で液体7(ここでは、試薬7)を分注する場合、該ピストン10を下降させると、試薬7はシリンジ3の中に吸入され、この場合、既に述べたように、上記凹部12部分内にも試薬7は吸入されて、図1図示のように該凹部12部分内部をも満たす。
しかして、吐出時には、該ピストン10が上昇することによって、試薬7が吐き出される。
【0025】
このようにして分注動作を行わせることができるが、ここに、本実施例では、外周部がシリンダ3a内面と接する当該ピストン10では、一方を開口にした凹部12を設けて該凹部開口を分注する試薬7側に位置せしめることから、その円柱状の凹部12(くり貫き形状)を設けることによって、ピストン外筒部の半径方向の弾性範囲が広がり、シリンダ3a内径に対するピストン外筒寸法の設定許容範囲が広がる。さらに、ピストン外筒がシリンダ3a内面を押圧する弾性の作用範囲が広がる。このことは、分注動作を繰り返し行ってピストンの外筒部が摩耗しても、弾性が作用することによってピストン外筒がシリンダ3a内面を押圧する圧力変化も小さくなり、長期的に適切なシール圧力が確保することができることに有効に機能する。
【0026】
さらにまた、上記凹部12(くり貫き)の開口部を分注液体7側に設置することにより、ピストン10が図1中上昇する時、すなわち分注液体7を押し出す時にシリンダ3a内の圧力(=陽圧)が上記凹部12(くり貫き形状)内に作用して、ピストン外径部13をシリンダ3a内面壁に押す圧力を発生させる。
このことは、ピストン10の形状・材質で決定される押圧力に液体7を押し出す時の圧力の作用で発生する押圧力を加算した押圧力が得られることになることを意味する。言い換えると、分注時に液体7を押し出す圧力が、シリンダ3aとピストン10のシール効果を高めるように作用しシリンダ3aのシール効果を飛躍的に改善させることになる。
【0027】
かくして、本実施例によれば、シリンダ3aのシール圧力を高めることができ、特に、上記凹部12の開口部を分注液体側に設置することで、ピストン上昇時(分注液体7を押し出す時)にシリンダ内の圧力が上記凹部12形状内に作用して、ピストン外径部をシリンダ内面壁に押す圧力を発生させ得て、ピストンの形状・材質で決定される押圧力に液体を押し出す時の圧力の作用で発生する押圧力を加算した押圧力が得られ、分注時に液体を押出す圧力が、シリンダとピストンのシール効果を高めるように作用し、結果、シリンダのシール効果を飛躍的に改善させ得て、当該シール圧力を高めることに効果的に機能し、さらにシリンダの耐久性を飛躍的に高めることができることから、保守点検間隔も長くなり、長期的に安定した分析装置の稼働を可能になる。
【0028】
ここに、たとえば特開平51−111389号公報(文献1)によるものと対比しても、該文献では上記のような作用、効果、機能につき記載がないのに対して、本構成に従えば、効果的にシール圧力を強化が図れ、長期的使用によるピストンなどの磨耗によるシール効果の低下とそれに伴なう液漏れの発生、また使用環境、使用液体の温度変化などによるピストンとシリンダの線膨張係数の差によって生じるシール効果の低下とそれに伴なう液漏れ発生などに対して効果を発揮しシリンダの寿命を著しく延期することができ、明細書冒頭で述べた事項、特に(イ)および(ロ)〜(ニ)の考察事項からの良好な解決策となり、既述したような欠点を除去し得る液体分注装置を実現することができる。
【0029】
次に、以下に例をもって示すものは、上記構成をさらに拡張、発展させたものである。
基本的な構成についは図1の場合と同様であってよく、したがって、図1と同様の部分、要素には同一の符号を付し、以下、各例の要部について説明する。
【0030】
〔第2実施例〕:
図2は、実用的なピストン形状に本発明を適応した例である。
同図に示すように、本実施例では、ピストン外筒部に図示のごとくのたとえば断面三角形の切込み14を入れることで、シリンダ3a内面と接する複数の三角形状の部分(14,14・・・)の個々が独立的に弾性対応できる。
また、三角形状の切込み部14がピストン10の摩耗片を貯めることができ(該切り込み部が、「摩耗片(ゴミ)よけ」として作用する)、摩耗片がピストン10とシリンダ3a内面に介在してシールを損ねる等の悪影響を軽微にすることができる。
【0031】
本実施例においても、前記第1実施例で述べたのと同様の作用効果を奏するほか、これに加えて、さらに上記のごとく切込み14によって得れる作用効果を奏することができる。
【0032】
本発明の実施に際しては、ピストン10の凹部12形状(内部のくり貫き形状)は、液体7を押し出す圧力、ピストン10の材質、適用液体、耐久性などによって最適な形状を選択することになる。したがって、本発明思想に従い、そのようにして実施することができる。
以下に示すのはそのような場合の例でもある。
【0033】
〔第3実施例〕:
図3の実施例は、図1の場合の上記凹部12内面(ピストン中心軸方向と平行な内面形状)とは異なり、凹部12(くり貫き形状)内面を連続的に変化させた例であり、この場合において、くり貫き形状(凹部内壁斜面形状)の変化方向は任意である。
尚、図3に示すようなくり貫き形状を形成した場合は凹部の低部に行くにつれて太い部材で形成しているので、凹部部材の低部付近を材料的に補強する効果を有する。
本実施例は、図2の第2実施例の変形例でもあり、また、図1の第1実施例の変形例でもあると捉えることもできる。
本実施例においても、前記第1実施例で述べたのと同様の作用効果を奏するとともに、前記第2実施例で述べたのと同様の作用効果を奏することができる。
【0034】
〔第4実施例〕:
また、図4の実施例は、ピストン10の凹部12(くり貫き形状)に凹部部分(肉薄部分)15を設けるなどの部分的に形状変化をさせたものである。
このような構成をも加味すると、摩耗によって内側のピストンヘッドの外径とシリンダ3aの内径が近くなったときに上部のピストンヘッドの可動部分を増す(凹部12の根元部分に、より可撓性をもたらすことができる)。
本実施例も、図2の第2実施例の変形例でもあり、また、図1の第1実施例の変形例でもあると捉えることもできるものである。
【0035】
本実施例においても、前記第1実施例で述べたのと同様の作用効果を奏し、かつまた、前記第2実施例で述べたのと同様の作用効果を奏するほか、これらに加えて、さらに上記のごとくの凹部部分15によって得れる作用効果を奏することができる。
【0036】
〔第5実施例〕:
さらに、図5、図6に示す実施例のものは、ピストン10を輪切り状に断面にして見た図であり、これらの図に符号12a,12b,12c,12dを付して示すように、凹部12(くり貫き形状)は部分的に凹部(くり貫き)12a,12b,12c,12dが形成されてもその効果は得られる。
ここに、連結部分16は、これを弾性体とし、あるいは図6に示すごとくに連結部分16を形成して構造を弾性的にする構成を採用することができる。
【0037】
本実施例も、図2の第2実施例の変形例とも、また、図1の第1実施例の変形例でもあるとも捉えることができるものである。
本実施例においても、前記第1実施例で述べたのと同様の作用効果を奏するとともに、前記第2実施例で述べたのと同様の作用効果を奏することができ、図1〜図4の態様のほか、こうした態様で本発明は実施してもよい。
【0038】
これらの凹部12形状(くり貫き形状)は、ピストン外径部13がシリンダ3a内面を押圧する圧力分布をコントロールし、シール圧力、耐久性の特性を決める要素となる。よって、本発明に従い、液体7を押し出す圧力、ピストン10の材質、適用液体、耐久性などによって最適な形状を選択することができ、種々の変形、組み合わせが可能である。
【0039】
〔第6実施例〕:
上記で説明してきた各実施例は、シリンダ3aとピストン10で液体7を分注する装置において、ピストン10に開口部を設け、開口部を分注する液体7側に位置させシール圧力を強化するものの例であったが、次に示すものは、さらに前記ピストン形状において、凹部12(くり貫き形状)を具備させたピストンに加えて凹部(くり貫き形状)を有しないピストン部分を一体的に形成しようというものである。
【0040】
図7は、かかる態様の一実施例であって、図示のごとくに、凹部12(くり貫き形状)をもつピストン10に加えて、かかる凹部(くり貫き形状)をもたないピストン10′を一体的に構成した例である。
なお、本実施例は、ピストン10′が付加されている点で図1の第1実施例の変形例でもあり、また、図2〜図4の第2〜第4の各実施例における特徴部分、要素がそれぞれ組み合わされてもいる点で、それぞれの変形例と捉えることもできる。
【0041】
本実施例においては、図7図示のごとくのピストン10′部分は、吸引時(液吸引の場合に、ピストン10の図中上側部分のシリンダ3a内部、すなわち液側は負圧傾向になる)に空気を引き込まないようにせきをつくる機能を果たすものとなる。
この場合、くり貰き形状をなす凹部12をもたないピストン10′部は、ピストン10部分に比べると、弾性範囲の許容範囲が狭く、ピストン形状寸法、材質の選定等が難しくはなるものの、特に、吸引時の高いシール圧を向上させるための効果が大きい。 したがって、かかるピストン10部分とピストン10′部分のとの併用は、有利である。
【0042】
以上、図1〜図7に例をもって示したように、本発明の各実施例によれば、長期的使用によるピストン10などの磨耗によるシール効果の低下とそれに伴なう液漏れの発生、また使用環境、使用液体の温度変化などによるピストン10とシリンダ3aの線膨張係数の差によって生じるシール効果の低下とそれに伴なう液漏れ発生などに対して効果を発揮し、シリンダ3aの寿命を著しく延期することができ、シリンダ3aのシール圧力を高めることができ、さらにシリンダの耐久性を飛躍的に高めることができることから、保守点検間隔も長くなり、長期的に安定した分析装置の稼働を可能になる。
かつまた、これに加えて、吸引時の高いシール圧を向上させることのできる図7の第6実施例の場合は、明細書冒頭で述べた、特に(ホ)の考察事項からの良好な解決策ともなり、ピストンによる液吐出時のシール効果を高めるのみならず、吸引時にも高いシール圧を得るのに効果を発揮させ得て、吸引時に空気を引き込まないようにしつつ、上記のことを達成することのできる装置を得ることができる。
【0043】
なお、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものではない。
たとえば、図1〜図7に例示の構成に限らず、以下の組み合わせ、すなわち、
(1)第1実施例(図1)と第3実施例の要部(図3)との組み合わせ、
(2)第1実施例(図1)と第4実施例の要部(図4)との組み合わせ、
(3)第1実施例(図1)と第5実施例の要部(図5,6)との組み合わせ、
(4)第1実施例(図1)と第6実施例の要部(図7)との組み合わせ、
も可能であり、あるいはまた、たとえば、
(5)第4実施例の要部(図4)と第6実施例の要部(図7)との組み合わせ
など、種々の変形、変更例も本発明に従って可能である。
【0044】
また、たとえば、本発明は、図8〜10で説明した臨床用生化学分析装置に使用される分注装置(ピペッタ、デスペンサ、シッパ)におけるシリンジに適用できることは勿論のこと、これ以外の分析化学等に用いる液体分注装置その他の液体分注装置に広く適用可能で、シリンダとピストンで液体を分注する装置において、ピストンに開口部を設け、開口部を分注する液体側に位置させ、シール圧力を強化した液体分注装置とすることができる。
【0045】
また、以上に記載してきた内容は、以下の発明として捉えることもできる。
【0046】
〔付記項1〕 シリンダとピストンで液体を分注する装置において、ピストンがシリンダ内面と接するピストン外径部とピストン中心部との間に一方を開口にしたくり貫き形状をなし、さらにそのくり貫き形状の開口を分注する液体側に位置させたことを特徴とする液体分注装置。
【0047】
〔付記項2〕 前記ピストン形状において、くり貫き形状を持つピストンに加えてくり貫き形状を持たないピストン部分を一体的に構成したことを特徴とする液体分注装置。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液体分注装置の一実施例の説明に供する図で、シリンジに適用した場合の構成を示す図ある。
【図2】 同じく、他の実施例の説明に供する構成図である。
【図3】 同じく、さらに他の実施例の説明に供する構成図である。
【図4】 同じく、さらに他の実施例の説明に供する構成図である。
【図5】 同じく、さらに他の実施例の説明に供する構成図である。
【図6】 同じく、さらに他の実施例の説明に供する構成図であって、図5の変形例を示す図でもある。
【図7】 本発明の液体分注装置のさらに他の実施例の説明に供する図で、同様にシリンジに適用した場合の構成を示す図ある。
【図8】 ピペッタと称される液体分注装置の例を示す図である。
【図9】 デスペンサと称される液体分注装置の例を示す図である。
【図10】 シッパと称される液体分注装置の例を示す図である。
【図11】 液漏れ防止構造の従来例を示す図である。
【図12】 同じく、他の例を示す図である。
【符号の説明】
1 試料容器
2 反応容器
3 シリンジ
3a シリンダ
4 マイクロシリンジ
5 弁
6 チューブ
7 試薬(液体)
8 ノズル
9 検知器流通セル
10 ピストン
10′ ピストン(凹部を設けないピストン部分)
11 ロッド部(ピストンロッド)
12 凹部
12a,12b,12c,12d 凹部
13 外径部(ピストン外径部)
14 切込み(ピストン外筒部切り込み部)
15 凹部部分(肉薄部分)
16 連結部分
20 プランジャ
Claims (4)
- シリンダとピストンで液体を分注する装置であって、前記ピストンがシリンダ内面と接するピストン外周部とピストン中心部との間に、一方を開口にしたくり貫き形状の凹部を設け、該凹部の開口は、分注する液体側に位置させてなり、前記開口は、前記ピストンの摺動方向を含む断面でみたときに、前記凹部の内壁から直線状に連続するように構成したことを特徴とする液体分注装置。
- 請求項1において、前記凹部を有するピストンに加えて、凹部をもたないピストンを一体的に構成したことを特徴とする液体分注装置。
- 請求項1または2において、前記くり貫き形状の凹部の内壁を、垂直形状に構成したことを特徴とする液体分注装置。
- 請求項1または2において、前記くり貫き形状の凹部の内壁を、斜面形状に構成したことを特徴とする液体分注装置。
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