以下、発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、各図面において共通の部分は同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
図1は本発明に係る表示パネルの構成を示す上面図であり、絶縁表面を有する基板100上に画素102をマトリクス上に配列させた画素部101、走査線側入力端子103、信号線側入力端子104が形成されている。画素数は種々の規格に従って設ければ良く、XGAであれば1024×768×3(RGB)、UXGAであれば1600×1200×3(RGB)、フルスペックハイビジョンに対応させるのであれば1920×1080×3(RGB)とすれば良い。
本発明に係る表示パネルがEL表示パネルである場合、画素102は、走査線側入力端子103から延在する走査線と、信号線側入力端子104から延在する信号線とが交差することで、マトリクス状に配設される。画素102のそれぞれには、信号線との接続状態を制御するトランジスタ(以下「スイッチング用トランジスタ」、トランジスタとしてTFTを用いる場合には「スイッチング用TFT」ともいう。)と、発光素子へ流れる電流を制御するトランジスタ(以下「駆動用トランジスタ」、トランジスタとしてTFTを用いる場合には「駆動用TFT」ともいう。)とが備えられ、駆動用トランジスタが発光素子と直列に接続されている。
本発明に係る表示パネルが液晶表示パネルである場合、画素102は、走査線側入力端子103から延在する走査線と、信号線側入力端子104から延在する信号線とが交差することで、マトリクス状に配設される。画素102のそれぞれには、スイッチング素子とそれに接続する画素電極が備えられている。スイッチング素子の代表的な一例はTFTであり、TFTのゲート電極側が走査線と、ソース若しくはドレイン側が信号線と接続されることにより、個々の画素を外部から入力する信号によって独立して制御可能としている。
TFTは、その主要な構成要素として、半導体層、ゲート絶縁層及びゲート電極層が挙げられ、半導体層に形成されるソース及びドレイン領域に接続する配線層がそれに付随する。構造的には基板側から半導体層、ゲート絶縁層及びゲート電極層を配設したトップゲート型と、基板側からゲート電極層、ゲート絶縁層及び半導体層を配設したボトムゲート型などが代表的に知られているが、本発明においてはそれらの構造のどのようなものを用いても良い。
半導体層を形成する材料は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製されるアモルファス半導体(以下「AS」ともいう。)、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、或いはセミアモルファス(微結晶若しくはマイクロクリスタルとも呼ばれる。以下「SAS」ともいう。)半導体などを用いることができる。
SASは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質の領域を含んでいる。少なくともSAS膜中の一部の領域には、0.5〜20nmの結晶領域を観測することが出来、珪素を主成分とする場合にはSi−Si結合に由来するラマンスペクトルが520cm-1よりも低波数側にシフトしている。X線回折では珪素結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。未結合手(ダングリングボンド)の終端剤として水素またはハロゲンを1原子%またはそれ以上含ませている。SASは、珪化物気体をグロー放電分解(プラズマCVD)して形成することができる。珪化物気体としては、SiH4、その他にもSi2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることが可能である。またGeF4を混合させても良い。この珪化物気体をH2とHe、Ar、Kr、Neから選ばれた一種または複数種の元素で希釈しても良い。希釈率は2〜1000倍の範囲、圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲、電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHz、基板加熱温度は300℃以下でよい。膜中の不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分の不純物は1×1020/cm3以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019/cm3以下、好ましくは1×1019/cm3以下とする。
図1は、走査線及び信号線へ入力する信号を、外付けの駆動回路により制御する表示パネルの構成を示しているが、図2に示すように、COG(Chip On Glass)によりドライバIC105、106を基板100上に実装しても良い。ドライバIC105、106は単結晶半導体基板に形成されたものでも良いし、ガラス基板上にTFTで形成したものであっても良い。
また、画素に設けるTFTをSASで形成する場合には、図3に示すように走査線側駆動回路107を基板100上に形成し一体化することも出来る。
パターンの形成に用いる液滴吐出装置の一態様は図27に示されている。液滴吐出手段1403の個々のヘッド1405、1412は制御手段1407に接続され、それがコンピュータ1410で制御することにより予めプログラミングされたパターンを描画することができる。描画する場所は、例えば、基板1400上に形成されたマーカー1411を基準に決定すれば良い。或いは、基板1400の縁を基準にして基準点を確定させても良い。これを電荷結合素子(CCD)や相補型金属酸化物半導体(CMOS)を利用したイメージセンサなどの撮像手段1404で検出し、画像処理手段1409にてデジタル信号に変換したものをコンピュータ1410で認識して制御信号を発生させて制御手段1407に送る。基板1400上に形成されるべきパターンの情報は記憶媒体1408に格納されたものであり、この情報を基にして制御手段1407に制御信号を送り、液滴吐出手段1403の個々のヘッド1405、1412を個別に制御することができる。吐出する材料は、材料供給源1413、1414より配管を通してヘッド1405、1412に供給される。現在、EL層の形成時に一つのインクジェットヘッドでRGBをそれぞれ吐出するように、一つのヘッドでメタル、有機、無機を別々に吐出できるような装置を検討している。また、層間絶縁層などを吐出する場合、スループット向上のため、同じ材料を使って、細い線を多重に吐出しても良い。図27では、液滴吐出手段1403の個々のヘッド1405、1412の並んだ距離が基板の幅と一致しているが、液滴吐出手段1403の個々のヘッド1405、1412の並んだ距離より大きな幅を持つ大型基板にも繰り返し走査することでパターンの形成が可能である。その場合、ヘッド1405、1412は、基板上を矢印の方向に自在に走査し、描画する領域を自由に設定することができ、同じパターンを一枚の基板に複数描画することができる。
次に、本発明の発光装置の作製工程について、以下に説明する。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態として、チャネル保護型のボトムゲートTFTの作製方法について説明する。
図4(A)は、基板100上にゲート電極層と、ゲート電極層と接続するゲート配線層及び容量配線層を液滴吐出法で形成する工程を示している。なお、図4(A)は縦断面構造を模式的に示し、A−B及びC−Dに対応する平面構造を図12に示すので同時に参照することが出来る。
基板100は、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス若しくはアルミノシリケートガラスなど、フュージョン法やフロート法で作製される無アルカリガラス基板、セラミック基板の他、本作製工程の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板等を用いることができる。また、単結晶シリコンなどの半導体基板、ステンレスなどの金属基板の表面に絶縁層を設けた基板を適用しても良い。また、基板100として、320mm×400mm、370mm×470mm、550mm×650mm、600mm×720mm、680mm×880mm、1000mm×1200mm、1100mm×1250mm、1150mm×1300mmのような大面積基板を用いることができる。
基板100上には、スパッタリング法や蒸着法などの方法により、Ti(チタン)、W(タングステン)、Cr(クロム)、Ta(タンタル)、Ni(ニッケル)、Mo(モリブデン)などの金属材料若しくはその酸化物で形成される下地層201を形成することが好ましい。下地層201は0.01〜10μmの厚さで形成すれば良いが、極薄く形成すれば良いので、必ずしも層構造を持っていなくても良い。なお、この下地層201は、ゲート電極層を密着性良く形成するために設けるものであり、十分な密着性が得られるのであれば、これを省略して基板100上にゲート電極層を液滴吐出法により直接形成しても良い。その他、密着性良く形成するために大気圧プラズマ処理などを行っても良い。また、ゲート電極層を形成する場合に限らず、有機層、無機層、メタル層などの層上に、液滴吐出法により導電性層を形成する場合若しくは液滴吐出法により形成された導電性層上に有機層、無機層、メタル層などを形成する場合にも、下層との密着性向上のために同様の処理を行うと良い。
下地層201上に、導電性材料を含む組成物を液滴吐出法により吐出して、ゲート配線層202、ゲート電極層203、容量配線層204、ゲート電極層205を形成する。これらの層を形成する導電性材料としては、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Ba等の金属又はその合金、若しくはその金属窒化物、ハロゲン化銀の微粒子等、又は分散性ナノ粒子を用いることができる。または、透明導電材料として用いられるITO(酸化インジウム酸化スズ合金)、酸化ケイ素を組成物として有するITO、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛(ZnO)、窒化チタン(TiN:Titanium Nitride)等の材料を適宜用いることができる。ゲート配線層は、低抵抗化することが好ましのいで、比抵抗値を考慮して、金、銀、銅のいずれかの材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いることが好適であり、より好適には、低抵抗な銀、銅を用いるとよい。但し、銀、銅を用いる場合には、不純物対策のため、合わせてバリア膜を設けるとよい。銅を配線として用いる場合のバリア膜としては、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化タンタル(TaN:Tantalum Nitride)など窒素を含む絶縁性又は導電性の物質を用いると良く、これらを液滴吐出法で形成しても良い。溶媒は、酢酸ブチル等のエステル類、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン等の有機溶剤等を用いることができる。表面張力と粘度は、溶媒の濃度を調整したり、界面活性剤等を加えたりして適宜調整する。
なお、液滴吐出法に用いる組成物の粘度は5〜20mPa・sが好適であり、これは、乾燥が起こることを防止し、吐出口から組成物を円滑に吐出できるようにするためである。また、表面張力は40N/m以下が好ましい。なお、用いる溶媒や用途に合わせて、組成物の粘度等は適宜調整するとよい。例えば、ITO、酸化ケイ素を組成物として有するITO、有機インジウム、有機スズを溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜20mPa・s、銀を溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜20mPa・s、金を溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は10〜20mPa・sである。
各ノズルの径や所望のパターン形状などに依存するが、ノズルの目詰まり防止や高精細なパターンの作製のため、導電体の粒子の径はなるべく小さい方が好ましく、好適には粒径0.1μm以下が好ましい。組成物は、電解法、アトマイズ法又は湿式還元法等の公知の方法で形成され、その粒子サイズは、一般的に約0.5〜10μmになる。一方で、ガス中蒸発法で形成すると、分散剤で保護されたナノ粒子は約7nmと微細であり、またこのナノ粒子は、被覆剤を用いて各粒子の表面を覆うと、溶剤中に凝集がなく、室温で安定に分散し、液体とほぼ同じ挙動を示す。したがって、被覆剤を用いることが好ましい。
組成物を吐出する工程は、減圧下で行っても良い。これは、組成物を吐出して被処理物に着弾するまでの間に、該組成物の溶媒が揮発し、後の乾燥と焼成の工程を省略又は短くすることができるためである。溶液の吐出後は、溶液の材料により、常圧下又は減圧下で、レーザ光の照射や瞬間ランプ加熱、加熱炉での処理等により、乾燥と焼成の一方又は両方の工程を行う。乾燥と焼成の工程は、両工程とも加熱処理の工程であるが、例えば、乾燥は100度で3分間、焼成は200〜350度で15分間〜120分間で行うもので、その目的、温度と時間が異なるものである。乾燥と焼成の工程を良好に行うためには、基板を加熱しておいてもよく、そのときの温度は、基板等の材質に依存するが、100〜800度(好ましくは200〜350度)である。本加熱工程により、溶液中の溶媒の揮発、又は化学的に分散剤を除去するとともに、周囲の樹脂が硬化収縮することで、ナノ粒子間を接触させ、融合と融着を加速する。雰囲気は、酸素雰囲気、窒素雰囲気又は空気で行う。但し、金属元素を分解又は分散している溶媒が除去されやすい酸素雰囲気下で行うことが好適である。
レーザ光の照射は、連続発振またはパルス発振の気体レーザ又は固体レーザを用いれば良い。前者の気体レーザとしては、エキシマレーザが挙げられ、後者の固体レーザとしては、Cr、Nd等がドーピングされたYAG、YVO4、GdVO4、等の結晶を使ったレーザ等が挙げられる。なお、レーザ光の吸収率の関係から、連続発振のレーザを用いることが好ましい。また、パルス発振と連続発振を組み合わせた所謂ハイブリッドのレーザ照射方法を用いてもよい。但し、基板の耐熱性に依っては、レーザ光の照射による加熱処理は、数マイクロ秒から数十秒の間で瞬間に行うとよい。瞬間ランプ加熱(RTA)は、不活性ガスの雰囲気下で、紫外光乃至赤外光を照射する赤外ランプやハロゲンランプなどを用いて、急激に温度を上昇させ、数マイクロ秒から数分の間で瞬間的に熱を加えて行う。この処理は瞬間的に行うために、実質的に最表面の薄膜のみを加熱することができ、下層の膜には影響を与えないという利点がある。
本実施の形態は、ゲート配線層202及び容量配線層204を液滴吐出法により形成したが、プラズマCVD法やスパッタリング法を用いても良い。
次に、図4(B)に示すように、ゲート配線層202、ゲート電極層203、容量配線層204、ゲート電極層205上にレジストマスクの材料である感光性樹脂206を吐出又は塗布する。塗布の場合、スピンコータやスリットコータなどを用いても良い。感光性樹脂206は、紫外光から赤外光に感光するネガ型感光性樹脂又はポジ型感光性樹脂を用いる。本実施の形態では、ネガ型感光性樹脂を用いる。
次に、感光性樹脂206にレーザビーム描画装置207を用いてレーザビーム208を照射し、基板又はレーザを移動させながら、パターンを描画する。
ここで、レーザビーム描画装置について、図33を用いて説明する。図33に示すように、レーザビーム描画装置2001は、レーザビームを照射する際の各種制御を実行するパーソナルコンピュータ(以下、PCと示す。)2002と、レーザビームを出力するレーザ発振器2003と、レーザ発振器2003の電源2004と、レーザビームを減衰させるための光学系(NDフィルタ)2005と、レーザビームの強度を変調するための音響光学変調器(AOM)2006と、レーザビームの断面の拡大又は縮小をするためのレンズ、光路の変更をするためのミラー等で構成される光学系2007、Xステージ及びYステージを有する基板移動機構2009と、PCから出力される制御データをデジタルーアナログ変換するD/A変換部2010と、D/A変換部から出力されるアナログ電圧に応じて音響光学変調器2006を制御するドライバ2011と、基板移動機構2009を駆動するための駆動信号を出力するドライバ2012とを備えている。
レーザ発振器2003としては、紫外光、可視光、又は赤外光を発振することが可能なレーザ発振器を用いることができる。レーザ発振器としては、KrF、ArF、KrF、XeCl、Xe等のエキシマレーザ発振器、He、He−Cd、Ar、He−Ne、HF等の気体レーザ発振器、YAG、GdVO4、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶にCr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti又はTmをドープした結晶を使った固体レーザ発振器、GaN、GaAs、GaAlAs、InGaAsP等の半導体レーザ発振器を用いることができる。なお、固体レーザ発振器においては、基本波の第2高調波〜第5高調波を適用するのが好ましい。
次に、レーザビーム直接描画装置を用いた感光材料の感光方法について述べる。基板2008が基板移動機構2009に装着されると、PC2002はカメラ(図示せず)によって、基板に付されているマーカの位置を検出する。次いで、PC2002は、検出したマーカの位置データと、予め入力されている描画パターンデータとに基づいて、基板移動機構2009を移動させるための移動データを生成する。レーザ発振器2003から出力されたレーザビームは、光学系2005によって減衰された後、PC2002が、ドライバ2011を介して音響光学変調器2006の出力光量を制御することにより、音響光学変調器2006によって所定の光量になるように光量が制御される。その後、音響光学変調器2006から出力されたレーザビームは、光学系2007で光路及びビーム形を変化させ、レンズで集光した後、基板上に塗布された感光材料に照射され、感光材料を感光する。このとき、PC2002が生成した移動データに従い、基板移動機構2009をX方向及びY方向に移動制御する。この結果、所定の場所にレーザビームが照射され、感光材料の露光が行われる。
感光後、現像することで、図5(A)に示すように、レーザビームが照射された領域がレジストマスク209になる。ここでは、感光性樹脂としてネガ型を用いているため、レーザビームが照射された領域がレジストマスクとなる。レーザ光のエネルギーの一部は、レジストで熱に変換され、レジストの一部を反応させるため、レジストマスクの幅は、レーザビームの幅より若干大きくなる。また、短波長のレーザ光のほど、ビーム径を小さく集光することが可能であるため、微細な幅のレジストマスクを形成するためには、短波長のレーザビームを照射することが好ましい。
また、レーザビームの感光性樹脂表面でのスポット形状は、点状、円形、楕円形、矩形、または線状(厳密には細長い長方形状)となるように光学系で加工されている。なお、スポット形状は円形であっても構わないが、線状にした方が、幅が均一なレジストマスクを形成することができるので好ましい。
また、ここでは、基板の表面側からレーザ光を照射して露光する例を示したが、光学系2007や基板移動機構2009を適宜変更し、基板の裏面側からレーザ光を照射して露光するレーザビーム描画装置としてもよい。
基板を移動して選択的にレーザビームを照射するだけでなく、レーザビームをX−Y軸方向に走査してレーザビームを照射することもできる。後者の場合、光学系2007にポリゴンミラーやガルバノミラー、音響光学偏向器(Acoust-Optic Deflector: AOD)を用いることが好ましい。また、レーザビームをX軸又はY軸の一方向に走査し、基板をX軸又はY軸の他方向に移動して、基板の所定の場所にレーザビームを照射してもよい。
次に、レジストマスク209をマスクとして、ゲート電極層203、ゲート電極層205をドライエッチング、ウエットエッチング等の公知の手法によりエッチングする(図5(B))。続いて、レジストマスクを除去する。この結果、図5(C)に示すように、幅の狭いゲート電極層203、205を形成することができる。
次に、表面に露出している下地層201の処理として、下記の2つの工程のうちどちらかの工程を行うことが望ましい。
第一の方法としては、ゲート配線層202、ゲート電極層203、205、容量配線層204と重ならない部分の下地層201を絶縁化して、絶縁体層210を形成する工程である(図5(C)参照。)。つまり、ゲート配線層202、ゲート電極層203、ゲート電極層205、容量配線層204と重ならない下地層201を酸化して絶縁化する。このように、下地層201を酸化して絶縁化する場合には、当該下地層201を0.01〜10μmの厚さで形成しておくことが好適であり、そうすると容易に酸化させることができる。なお、酸化する方法としては、酸素雰囲気下に晒す方法を用いてもよいし、熱処理を行う方法を用いてもよい。
第2の方法としては、ゲート配線層202、ゲート電極層203、205、容量配線層204をマスクとして、下地層201をエッチングして除去する工程である。この工程を用いる場合には下地層201の厚さに制約はない。
次に、プラズマCVD法やスパッタリング法を用いて、ゲート絶縁層211を単層又は積層構造で形成する(図6(A)参照。)。特に好ましい形態としては、窒化珪素からなる絶縁体層212、酸化珪素からなる絶縁体層213、窒化珪素からなる絶縁体層214の3層の積層体をゲート絶縁層211として構成させる。なお、低い成膜温度でゲートリーク電流の少ない緻密な絶縁層を形成するには、アルゴンなどの希ガス元素を反応ガスに含ませ、形成される絶縁層中に混入させると良い。ゲート配線層202、ゲート電極層203、205、容量配線層204に接する絶縁体層を窒化珪素若しくは窒化酸化珪素で形成することで、酸化による劣化を防止することができる。また、ゲート配線層202、ゲート電極層203、205、容量配線層204に接する絶縁体層にNiB(ニッケルボロン)を用いることで表面を滑らかにすることもできる。
次に、半導体層215を形成する。半導体層215は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製されるAS、或いはSASで形成する。気相成長法としては、プラズマCVD法や熱CVD法を用いることができる。
プラズマCVD法を用いる場合、ASは半導体材料ガスであるSiH4若しくはSiH4とH2の混合気体を用いて形成する。SASは、SiH4をH2で3倍〜1000倍に希釈した混合気体を用いるか、若しくはSi2H6とGeF4のガス流量比をSi2H6対GeF4を20〜40対0.9で希釈すると、Siの組成比が80%以上であるSASを得ることができる。特に、後者の場合は下地との界面から結晶性を半導体層215に持たせることが出来るため好ましい。
半導体層215上には、絶縁体層216をプラズマCVD法やスパッタリング法で形成する。この絶縁体層216は、後の工程で示すように、ゲート電極層203、205上の半導体層215上に残存させて、チャネル保護層とするものであるので、界面の清浄性を確保して、有機物や金属物、水蒸気などの不純物で半導体層215が汚染されることを防ぐ効果を得るために、緻密な膜で形成することが好ましい。グロー放電分解法において、珪化物気体をアルゴンなどで100倍〜500倍に希釈した窒化珪素膜を形成すると、100℃以下の成膜温度でも緻密な窒化珪素膜を形成可能であり好ましい。さらに必要があれば絶縁膜を積層して形成してもよい。
これまでの工程において、以上、ゲート絶縁層211から絶縁体層216までは大気に触れさせることなく連続して形成することが可能である。すなわち、大気成分や大気中に浮遊する汚染不純物元素に汚染されることなく各積層界面を形成することができるので、TFTの特性のばらつきを低減することができる。
次に、絶縁体層216上であって、ゲート電極層203及びゲート電極層205上に、組成物を選択的に吐出して、マスク層217を形成する(図6(A)参照。)。マスク層217は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いて形成される。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フレア、透光性を有するポリイミドなどの有機材料、シロキサン系ポリマー等よってできた化合物材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いて液滴吐出法で形成する。或いは、感光剤を含む市販のレジスト材料を用いてもよく、例えば、代表的なポジ型レジストである、ノボラック樹脂と感光剤であるナフトキノンジアジド化合物、ネガ型レジストであるベース樹脂、ジフェニルシランジオール及び酸発生剤などを用いてもよい。いずれの材料を用いるとしても、その表面張力と粘度は、溶媒の濃度を調整したり、界面活性剤等を加えたりして適宜調整する。
マスク層217を利用して、絶縁体層216をエッチングして、チャネル保護層として機能する絶縁体層218を形成する。マスク層217を除去して、半導体層215及び絶縁体層218上にn型の半導体層219を形成する。n型の半導体層219は、シランガスとフォスフィンガスを用いて形成すれば良く、AS若しくはSASで形成することができる。
次に、n型の半導体層219上に、マスク層220を液滴吐出法で形成する(図6(B)参照)。このマスク層220を利用して、n型の半導体層219及び半導体層215をエッチングして半導体層221とn型の半導体層222を形成する(図6(C)参照。)。この場合に、マスク層220を、感光性樹脂をレーザ光により露光して微細に形成することで、TFTの微細化を行うことができる。なお、図6(C)は縦断面構造を模式的に示し、A−B、C−D、及びE−Fに対応する平面構造を図13に示すので同時に参照することができる。
続いて、マスク層220を除去する。
次いで、エッチング加工によりゲート絶縁層211の一部に貫通孔223を形成して、その下層側に配置されているゲート電極層205の一部を露出させる(図7(A)参照。)。エッチング加工は、上記と同じ液滴吐出法で形成したマスク層を用いて行えば良い。エッチング加工はプラズマエッチング又はウエットエッチングのどちらを採用しても良いが、大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF4、NF3、Cl2、BCl3、などのフッ素系又は塩素系のガスを用い、HeやArなどを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層を形成する必要はない。
続いて、撥液表面を形成する溶液を吐出又は塗布する。撥液性表面を形成する溶液の組成物の一例としては、Rn−Si−X(4−n)(n=1、2、3)の化学式で表されるシランカップリング剤がある。ここで、Rは、アルキル基などの比較的不活性な基を含む物である。また、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基又はアセトキシ基など、基質表面の水酸基あるいは吸着水との縮合により結合可能な加水分解基からなる。
また、シランカップリング剤として、Rにフルオロアルキル基を有するフッ素系シランカップリング剤(フルオロアルキルシラン(以下、FASという。))を用いることにより、より撥液性を高めることができる。FASのRは、(CF3)(CF2)x(CH2)y(x:0以上10以下の整数、y:0以上4以下の整数)で表される構造を持ち、複数個のR又はXがSiに結合している場合には、R又はXはそれぞれすべて同じでも良いし、異なっていてもよい。代表的なFASとしては、ヘプタデフルオロテトラヒドロデシルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロテトラヒドロデシルトリクロロシラン、トリデカフルオロテトラヒドロオクチルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシランが挙げられる。
撥液表面を形成する溶液の溶媒としては、nーペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの炭化水素系溶媒又はテトラヒドロフランなどを用いる。
また、撥液表面を形成する溶液の組成物の一例として、フッ素炭素鎖を有する材料(フッ素系樹脂)を用いることができる。フッ素系樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;四フッ化エチレン樹脂)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA;四フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)、パーフルオロエチレンプロペンコーポリマー(PFEP;四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE;四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF;フッ化ビニリデン樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE;三フッ化塩化エチレン樹脂)、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE;三フッ化塩化エチレン−エチレン共重合樹脂)、ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソールコポリマー(TFE/PDD)、ポリビニルフルオライド(PVF;フッ化ビニル樹脂)等を用いることができる。
続いて、撥液表面を形成する溶液が付着した表面をエタノール洗浄すると、極めて薄い撥液表面を形成する層224を形成することができる(図7(B)参照)。
次に、基板の裏側から紫外線等のレーザを照射する。この時、ゲート配線層202、ゲート電極層203、容量配線層204、ゲート電極層205はレーザ光を遮断するので、その上方の撥液表面を形成する層224は照射されない。結果として、ゲート配線層202、ゲート電極層203、容量配線層204、ゲート電極層205の上方のみが、撥液表面のまま残り、その他の領域は親液表面となる(図7(C)参照。)。その後、容量配線層204上に基板表面からレーザを照射し、この領域を親液表面とする。ここでは、必要な場所のみ後で親液表面とする例を示したが、レジストを用いて撥液表面を選択的に形成してもよい。
次に、導電性材料を含む組成物を選択的に吐出して、ソース及びドレイン配線層225〜229を液滴吐出法で形成する(図8(A)参照。)。この時、ゲート電極層203、ゲート電極層205の上方には、撥液効果のある極めて薄い膜260が存在しているので、自己整合的にソース及びドレイン配線の間隔230を微細に制御できる。
また、撥液効果のある極めて薄い膜260はその後除去しても、しなくても良い。本実施の形態の場合、以下の工程であるn型の半導体層219をエッチングする際に撥液効果のある極めて薄い膜260は除去されてしまう。
図8(A)〜図8(C)は図14又は図15に示す平面構造のうち、A−B、C−D及びE−Fに対応する縦断面構造を模式的に示したものである。図14で示すように、基板100の一端から延びる信号配線層250をソース及びドレイン配線層225,226と同時に形成し、ソース及びドレイン配線層225と信号配線層250を電気的に接続するように配設する。また、ゲート絶縁層211に形成した貫通孔223において、ソース及びドレイン配線層226とゲート電極層205とを電気的に接続させる。この配線層を形成する導電性材料としては、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用いることができる。また、透光性を有するインジウム錫酸化物(ITO)、インジウム錫酸化物と酸化珪素からなるITSO、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、窒化チタンなどを組み合わせても良い。
次に、ソース及びドレイン配線層225〜229をマスクとして、絶縁体層218上のn型の半導体層219をエッチングして、ソース及びドレイン領域を形成するn型の半導体層231、232を形成する(図8(B)参照。)
ソース及びドレイン配線層229と電気的に接続するように、導電性材料を含む組成物を選択的に吐出して、画素電極に相当する第1電極233を形成する(図8(C)参照)。なお、図8(C)は、図15の平面構造に示すA−B、C−D、及びE−Fの縦断面構造を模式的に示したものであるので、図15を同時に参照することができる。以上までの工程により、スイッチング用TFT234、駆動用TFT235、容量部236が形成される。
この第1電極233は、液滴吐出法を用いて下方出射型のEL表示パネルを作製する場合には、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)などを含む組成物により所定のパターンを形成し、焼成によって形成しても良い。
また、好ましくは、スパッタリング法によりインジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物、酸化亜鉛(ZnO)などで形成する。より好ましくは、ITOに酸化珪素が2〜10重量%含まれたターゲットを用いてスパッタリング法で酸化珪素を含む酸化インジウムスズを用いる。この他、酸化珪素を含み酸化インジウムに2〜20重量%の酸化亜鉛(ZnO)を混合した酸化物導電性材料を用いても良い。スパッタリング法で第1電極233を形成した後は、液滴吐出法を用いてマスク層を形成し、該マスク層を用いてエッチングにより、ソース及びドレイン配線層229と接続する第1電極233を形成すれば良い。
本実施の形態の好ましい構成として、酸化珪素を含む酸化インジウムスズで形成される第1電極233は、ゲート絶縁層211に含まれる窒化珪素からなる絶縁体層214と密接して形成され、それによりEL層で発光した光が外部に放射される割合を高めることが出来るという効果を発現させることができる。
また、発光した光を基板100側とは反対側に放射させる構造とする、すなわち上面出射型のEL表示パネルを作製する場合には、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を第1電極233の材料として用いることができる。他の方法としては、スパッタリング法により透明導電膜若しくは光反射性の導電膜を形成して、液滴吐出法によりマスクパターンを形成し、エッチング加工を組み合わせて第1電極を形成しても良い。
さらに全面に窒化珪素若しくは窒化酸化珪素の保護層247と、絶縁体層248を形成する。絶縁体層248は、次に、スピンコート法やディップ法により全面に絶縁層を形成した後、エッチング加工によって図8(C)に示すように開孔を形成する。このエッチングは、絶縁体層248の下層にある保護層247やゲート絶縁層211を同時に行うことで、第1電極233と、ゲート配線層202が露出するように加工する。また、液滴吐出法により絶縁体層248を形成すれば、エッチング加工は必ずしも必要ない。また、開孔部分を撥液表面にしておけば、自己整合的に開孔を形成することができる。
絶縁体層248は、第1電極233の位置に合わせた開口部を備えて形成される。この絶縁体層248は、酸化珪素、窒化珪素、窒素を含む酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒素を含む酸化アルミニウムその他の無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン系材料を出発材料として形成された珪素、酸素、水素からなる化合物のうちSi−O−Si結合を含む無機シロキサン、珪素上の水素がメチルやフェニルのような有機基によって置換された有機シロキサン系の絶縁材料で形成することができる。アクリル、ポリイミド等の感光性、非感光性の材料を用いて形成すると、その側面は曲率半径が連続的に変化する形状となり、上層の薄膜が段切れせずに形成されるため好ましい。
以上の工程により、基板100上にボトムゲート型(逆スタガ型ともいう。)のTFTと第1電極層が接続されたEL表示パネル用のTFT基板200が完成する。
EL層237を形成する前に、大気圧中で200℃の熱処理を行い絶縁体層248中若しくはその表面に吸着している水分を除去する。また、減圧下で200〜400℃、好ましくは250〜350℃に熱処理を行い、そのまま大気に晒さずにEL層237を真空蒸着法や、減圧下の液滴吐出法で形成することが好ましい。
また、第1電極233の表面を酸素プラズマに晒したり、紫外線光を照射して、表面処理を加えても良い。第2電極238をEL層237上に形成して発光素子239が形成される。この発光素子239は駆動用TFT235と接続された構造となる。
続いて、シール材240を形成し、封止基板241を用いて封止する。その後、ゲート配線層202にフレキシブル配線基板251を接続しても良い。これは、信号配線層250も同様である(図9参照。)。
以上の工程により、ボトムゲートで、チャネル保護型の薄膜トランジスタを有する発光装置を製造できる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態として、チャネルエッチ型のTFTの作製方法について図10参照して説明する。
基板100上に、導電性材料を含む組成物を液滴吐出法により吐出して、ゲート配線層202、ゲート電極層203、容量配線層204、ゲート電極層205を形成する。次に、感光性樹脂を吐出又は塗布し、レーザビームを照射し、レジストマスクを形成する。そのマスクを利用してゲート電極層203、ゲート電極層205をエッチングし、微細加工し、その後、レジストマスクを除去する。次に、プラズマCVD法やスパッタリング法を用いて、ゲート絶縁層211を単層又は積層構造で形成する。特に好ましい形態としては、窒化珪素からなる絶縁体層、酸化珪素からなる絶縁体層、窒化珪素からなる絶縁体層の3層の積層体をゲート絶縁層212とする。さらに、活性層として機能する半導体層215を形成する。以上の工程は第1の実施の形態と同様である。
半導体層215上に、n型の半導体層219を形成する(図10(A)参照。)。次に、n型の半導体層219上に、組成物を選択的に吐出してマスク層302を形成する。続いて、マスク層302を利用して、半導体層215とn型の半導体層219を同時にエッチングして、島状に分離形成する。この場合に、マスク層302の材料として、感光性樹脂を使用し、レーザ光により露光してマスク層302を微細に形成することで、TFTの微細化を行うことができる。
続いて、マスク層302を除去する。
続いて、撥液表面を形成する溶液を吐出又は塗布し、エタノール洗浄を行う。次に、ゲート配線層202、ゲート電極層203、容量配線層204、ゲート電極層205をマスクとして利用するために、基板の裏面から露光を行い、n型の半導体層219の撥液表面のレーザ照射された部分を親液表面とする。
次に、導電性材料を含む組成物を選択的に吐出して、ソース及びドレイン配線層225、226,228,229を液滴吐出法で形成する(図10(B)参照。)。この時、ゲート電極層203、ゲート電極層205の上方のn型半導体層219には、微細な撥液表面が存在しているので、自己整合的にソース及びドレイン配線の間隔230を微細に制御できる。次に、ソース及びドレイン配線層225、226,228,229をマスクとして、n型の半導体層219をエッチングして、n型の半導体層231、232を形成する。エッチングは、n型の半導体層219と半導体層215とを選択的に加工するのが比較的困難なので、チャネルを形成する半導体層215の一部303もエッチングされることとなる。また、このエッチング加工の前に、第1の実施の形態と同様に、エッチング加工によりゲート絶縁層211の一部に貫通孔223を形成して、その下層側に配置されているゲート電極層205の一部を露出させる工程を行うことで、ソース及びドレイン配線層226とゲート電極層205との接続構造を形成することができる(図10(C)参照。)。
続いて、ソース及びドレイン配線層229と電気的に接続するように、導電性材料を含む組成物を吐出して、第1電極233を形成する(図10(C)参照。)。
その後、第1の実施の形態と同様に、保護層247、絶縁体層248、EL層237、第2電極238を形成し、さらに、シール材240を形成し、封止基板241を用いて封止する。その後、ゲート配線層202にフレキシブル配線基板251を接続しても良い。
以上の工程により、ボトムゲートで、チャネルエッチ型の薄膜トランジスタを有する発光装置を製造できる。
なお、本発明において、撥液性および親液性の違いは、ぬれ性の違いで表せる。このぬれ性の違いは両領域の相対的な関係であり、撥液効果のある極めて薄い膜の形成領域と、その周囲の非形成領域とで導電性材料を含む組成物に対するぬれ性の程度に差を有していればよい。また、ぬれ性の程度に差を有しているとは、導電性材料を含む組成物の接触角が異なることであり、導電性材料を含む組成物の接触角が大きい領域はよりぬれ性が低い領域となり、接触角が小さい領域はぬれ性の高い領域となる。接触角が大きいと、流動性を有する液状の組成物は、領域表面上で広がらず、組成物をはじくので、表面をぬらさないが、接触角が小さいと、表面上で流動性を有する組成物は広がり、よく表面をぬらすからである。よって、ぬれ性が異なる領域は、表面エネルギーも異なる。ぬれ性が低い領域における表面の、表面エネルギーは小さく、ぬれ性の高い領域表面における表面エネルギーは大きい。本発明においては、このぬれ性の異なる領域の接触角の差は30度以上、好ましくは40度以上であるとよい。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態として、チャネル保護型のTFTの作製方法について説明する。
図47(A)は、基板3100上にゲート電極層と、ゲート電極層と接続するゲート配線層を液滴吐出法で形成する工程を示している。なお、図47(A)は縦断面構造を模式的に示し、A−B及びC−Dに対応する平面構造を図56に示すので同時に参照することが出来る。
基板3100は、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス若しくはアルミノシリケートガラスなど、フュージョン法やフロート法で作製される無アルカリガラス基板、セラミック基板の他、本作製工程の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板等を用いることができる。また、単結晶シリコンなどの半導体基板、ステンレスなどの金属基板の表面に絶縁層を設けた基板を適用しても良い。また、基板3100として、320mm×400mm、370mm×470mm、550mm×650mm、600mm×720mm、680mm×880mm、1000mm×1200mm、1100mm×1250mm、1150mm×1300mmのような大面積基板を用いることができる。
基板3100上には、スパッタリング法や蒸着法などの方法により、Ti(チタン)、W(タングステン)、Cr(クロム)、Ta(タンタル)、Ni(ニッケル)、Mo(モリブデン)などの金属材料若しくはその酸化物で形成される下地層3201を形成することが好ましい。下地層3201は0.01〜10μmの厚さで形成すれば良いが、極薄く形成すれば良いので、必ずしも層構造を持っていなくても良い。なお、この下地層3201は、ゲート電極層を密着性良く形成するために設けるものであり、十分な密着性が得られるのであれば、これを省略して基板3100上にゲート電極層を液滴吐出法により直接形成しても良い。その他、大気圧プラズマ処理などを行っても良い。また、ゲート電極層の形成前に限らず、有機層、無機層、メタル層などの層上に、液滴吐出法により導電性層を形成する場合若しくは液滴吐出法により形成された導電性層上に有機層、無機層、メタル層などを形成する場合には、下層との密着性向上のために同様の処理を行うと良い。
下地層3201上に、導電性材料を含む組成物を液滴吐出法により吐出して、ゲート配線層3202、ゲート電極層3203、容量配線層3204を形成する。これらの層を形成する導電性材料としては、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Ba等の金属若しくは合金、ハロゲン化銀の微粒子等、又は分散性ナノ粒子を用いることができる。または、透明導電膜として用いられるITO(酸化インジウム酸化スズ合金)、酸化ケイ素を組成物として有するITO、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛(ZnO)、窒化チタン等の材料を適宜用いることができる。特に、ゲート配線層は、低抵抗化することが好ましのいで、比抵抗値を考慮して、金、銀、銅のいずれかの材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いることが好適であり、より好適には、低抵抗な銀、銅を用いるとよい。但し、銀、銅を用いる場合には、不純物対策のため、合わせてバリア膜を設けるとよい。銅を配線として用いる場合のバリア膜としては、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化タンタルなど窒素を含む絶縁性又は導電性の物質を用いると良く、これらを液滴吐出法で形成しても良い。溶媒は、酢酸ブチル等のエステル類、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン等の有機溶剤等を用いることができる。表面張力と粘度は、溶媒の濃度を調整したり、界面活性剤等を加えたりして適宜調整する。
なお、液滴吐出法に用いる組成物の粘度は5〜20mPa・sが好適であり、これは、乾燥が起こることを防止し、吐出口から組成物を円滑に吐出できるようにするためである。また、表面張力は40N/m以下が好ましい。なお、用いる溶媒や用途に合わせて、組成物の粘度等は適宜調整するとよい。例えば、ITO、酸化ケイ素を組成物として有するITO、有機インジウム、有機スズを溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜20mPa・s、銀を溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜20mPa・s、金を溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は10〜20mPa・sである。
各ノズルの径や所望のパターン形状などに依存するが、ノズルの目詰まり防止や高精細なパターンの作製のため、導電体の粒子の径はなるべく小さい方が好ましく、好適には粒径0.1μm以下が好ましい。組成物は、電解法、アトマイズ法又は湿式還元法等の公知の方法で形成されるものであり、その粒子サイズは、一般的に約0.5〜10μmである。ただし、ガス中蒸発法で形成すると、分散剤で保護されたナノ粒子は約7nmと微細であり、またこのナノ粒子は、被覆剤を用いて各粒子の表面を覆うと、溶剤中に凝集がなく、室温で安定に分散し、液体とほぼ同じ挙動を示す。したがって、被覆剤を用いることが好ましい。
組成物を吐出する工程は、減圧下で行っても良い。これは、組成物を吐出して被処理物に着弾するまでの間に、該組成物の溶媒が揮発し、後の乾燥と焼成の工程を省略又は短くすることができるためである。溶液の吐出後は、溶液の材料により、常圧下又は減圧下で、レーザ光の照射や瞬間ランプ加熱、加熱炉等により、乾燥と焼成の一方又は両方の工程を行う。乾燥と焼成の工程は、両工程とも加熱処理の工程であるが、例えば、乾燥は100度で3分間、焼成は200〜350度で15分間〜120分間で行うもので、その目的、温度と時間が異なるものである。乾燥と焼成の工程を良好に行うためには、基板を加熱しておいてもよく、そのときの温度は、基板等の材質に依存するが、100〜800度(好ましくは200〜350度)とする。本加熱工程により、溶液中の溶媒の揮発、又は化学的に分散剤を除去するとともに、周囲の樹脂が硬化収縮することで、ナノ粒子間を接触させ、融合と融着を加速する。雰囲気は、酸素、窒素又は空気で行う。但し、金属元素を分解又は分散している溶媒が除去されやすい酸素雰囲気下で行うことが好適である。
レーザ光の照射は、連続発振またはパルス発振の気体レーザ又は固体レーザを用いれば良い。前者の気体レーザとしては、エキシマレーザ、YAGレーザ等が挙げられ、後者の固体レーザとしては、Cr、Nd等がドーピングされたYAG、YVO4、GdVO4、等の結晶を使ったレーザ等が挙げられる。なお、レーザ光の吸収率の関係から、連続発振のレーザを用いることが好ましい。また、パルス発振と連続発振を組み合わせた所謂ハイブリッドのレーザ照射方法を用いてもよい。但し、基板の耐熱性に依っては、レーザ光の照射による加熱処理は、数マイクロ秒から数十秒の間で瞬間に行うとよい。瞬間ランプ加熱(RTA)は、不活性ガスの雰囲気下で、紫外光乃至赤外光を照射する赤外ランプやハロゲンランプなどを用いて、急激に温度を上昇させ、数マイクロ秒から数分の間で瞬間的に熱を加えて行う。この処理は瞬間的に行うために、実質的に最表面の薄膜のみを加熱することができ、下層の膜には影響を与えないという利点がある。
本実施の形態は、ゲート配線層及び容量配線層を液滴吐出法により形成したが、プラズマCVD法やスパッタリング法を用いても良い。
次に、図47(B)に示すように、ゲート配線層3202、ゲート電極層3203、容量配線層3204上に感光性樹脂3205を吐出又は塗布する。塗布の場合、スピンコータやスリットコータなどを用いても良い。感光性樹脂は、紫外光から赤外光に感光するネガ型感光性樹脂又はポジ型感光性樹脂を用いる。本実施の形態では、ネガ型感光性樹脂を用いる。
次に、感光性樹脂3205にレーザビーム直接描画装置3206を用いてレーザビーム3207を照射し、基板又はレーザを移動させながら、パターンを描画する(図47(C))。
この結果、所定の場所にレーザビームが照射され、感光性樹脂の露光が行われ、その後現像を行うことにより、図48(A)に示すように、レーザビームが照射された領域にレジストマスク3208が形成される。ここでは、感光性樹脂としてネガ型を用いているため、レーザビームが照射された領域がレジストマスクとなる。レーザ光のエネルギーの一部は、レジストで熱に変換され、レジストの一部を反応させるため、レジストマスクの幅は、レーザビームの幅より若干大きくなる。また、短波長のレーザ光のほど、ビーム径を短く集光することが可能であるため、微細な幅のレジストマスクを形成するためには、短波長のレーザビームを照射することが好ましい。
また、レーザビームの感光性樹脂3205表面でのスポット形状は、点状、円形、楕円形、矩形、または線状(厳密には細長い長方形状)となるように光学系で加工されている。なお、スポット形状は円形であっても構わないが、線状にした方が、幅が均一なレジストマスクを形成することができる。
次に、レジストマスク3208をマスクとして、ゲート電極層3203をドライエッチング、ウエットエッチング等の公知の手法によりエッチングする(図48(B))。続いて、レジストマスクを除去する。この結果、図48(C)に示すように、幅の狭いゲート電極層3203を形成することができる。
次に、表面に露出している下地層3201の処理として、下記の2つの工程のうちどちらかの工程を行うことが望ましい。
第一の方法としては、ゲート配線層3202、ゲート電極層3203、容量配線層3204と重ならない下地層3201を絶縁化して、絶縁体層3209を形成する工程である(図48(C)参照。)。つまり、ゲート配線層3202、ゲート電極層3203、容量配線層3204と重ならない下地層3201を酸化して絶縁化する。このように、下地層3201を酸化して絶縁化する場合には、当該下地層3201を0.01〜10μmの厚さで形成しておくことが好適であり、そうすると容易に酸化させることができる。なお、酸化する方法としては、酸素雰囲気下に晒す方法を用いてもよいし、熱処理を行う方法を用いてもよい。
第2の方法としては、ゲート配線層3202、ゲート電極層3203、容量配線層3204をマスクとして、下地層3201をエッチングして除去する工程である。この工程を用いる場合には下地層3201の厚さに制約はない。
次に、プラズマCVD法やスパッタリング法を用いて、ゲート絶縁層3210を単層又は積層構造で形成する(図49(A)参照。)。特に好ましい形態としては、窒化珪素からなる絶縁体層3211、酸化珪素からなる絶縁体層3212、窒化珪素からなる絶縁体層3213の3層の積層体をゲート絶縁層3210として構成させる。なお、低い成膜温度でゲートリーク電流に少ない緻密な絶縁層を形成するには、アルゴンなどの希ガス元素を反応ガスに含ませ、形成される絶縁層中に混入させると良い。ゲート配線層3202、ゲート電極層3203、容量配線層3204に接する絶縁体層3211を窒化珪素若しくは酸素を含む窒化珪素で形成することで、酸化による劣化を防止することができる。また、ゲート配線層3202、ゲート電極層3203、容量配線層3204に接する絶縁体層3211にNiB(ニッケルボロン)を用いることで表面を滑らかにすることもできる。
次に、半導体層3214を形成する。半導体層3214は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製されるAS、或いはSASで形成する。気相成長法としては、プラズマCVD法や熱CVD法を用いることができる。
プラズマCVD法を用いる場合、ASは半導体材料ガスであるSiH4若しくはSiH4とH2の混合気体を用いて形成する。SiH4をH2で3倍〜1000倍に希釈
して混合気体を用いて形成するか、若しくはSi2H6とGeF4のガス流量比をSi2H6対GeF4を20〜40対0.9で希釈すると、Siの組成比が80%以上であるSASを得ることができる。特に、後者の場合は下地との界面から結晶性を半導体層3214に持たせることが出来るため好ましい。
半導体層3214上には、絶縁体層3215をプラズマCVD法やスパッタリング法で形成する。この絶縁体層3215は、後の工程で示すように、ゲート電極層上の半導体層3214上に残存させて、チャネル保護層とするものであるので、界面の清浄性を確保して、有機物や金属物、水蒸気などの不純物で半導体層3214が汚染されることを防ぐ効果を得るために、緻密な膜で形成することが好ましい。グロー放電分解法において、珪化物気体をアルゴンなどので100倍〜500倍に希釈したガスを用いて形成された窒化珪素膜は、100℃以下の成膜温度でも緻密な膜であり好ましい。さらに必要があれば絶縁膜を積層して形成してもよい。
これまでの工程において、以上、ゲート絶縁層3210から絶縁体層3215までは大気に触れさせることなく連続して形成することが可能である。この場合、大気成分や大気中に浮遊する汚染不純物元素に汚染されることなく各積層界面を形成することができるので、TFTの特性のばらつきを低減することができる。
次に、絶縁体層3215上であって、ゲート電極層3203上に、組成物を選択的に吐出して、マスク層3216を形成する(図49(A)参照。)。マスク層3216は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フレア、透光性を有するポリイミドなどの有機材料、シロキサン系ポリマー等の重合によってできた化合物材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いて液滴吐出法で形成する。或いは、感光剤を含む市販のレジスト材料を用いてもよく、例えば、代表的なポジ型レジストである、ノボラック樹脂と感光剤であるナフトキノンジアジド化合物、ネガ型レジストであるベース樹脂、ジフェニルシランジオール及び酸発生剤などを用いてもよい。いずれの材料を用いるとしても、その表面張力と粘度は、溶媒の濃度を調整したり、界面活性剤等を加えたりして適宜調整する。
マスク層3216を利用して、絶縁体層3215をエッチングして、チャネル保護層として機能する絶縁体層3217を形成する。マスク層3216を除去して、半導体層3214及び絶縁体層3217上にn型の半導体層3218を形成する(図49(B)参照。)。n型の半導体層3218は、シランガスとフォスフィンガスを用いて形成すれば良く、AS若しくはSASで形成することができる。
次に、n型の半導体層3218上に、マスク層3219を液滴吐出法で形成する。このマスク層3219を利用して、n型の半導体層3218及び半導体層3214をエッチングして半導体層3220とn型の半導体層3221を形成する(図49(C)参照)。この場合に、マスク層3219を、感光性樹脂をレーザ光により露光して微細に形成することで、TFTの微細化を行うことができる。なお、図49(C)は縦断面構造を模式的に示し、A−B及びC−Dに対応する平面構造を図57に示すので同時に参照することができる。
続いて、マスク層3219を除去する。
続いて、撥液表面を形成する溶液を吐出又は塗布する(図50(A)参照。)。撥液性表面を形成する溶液の組成物としては、Rn−Si−X(4−n)(n=1、2、3)の化学式で表されるシランカップリング剤を用いる。ここで、Rは、アルキル基などの比較的不活性な基を含む物である。また、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基又はアセトキシ基など、基質表面の水酸基あるいは吸着水との縮合により結合可能な加水分解基からなる。
また、シランカップリング剤として、Rにフルオロアルキル基を有するフッ素系シランカップリング剤(フルオロアルキルシラン(FAS))を用いることにより、より撥液性を高めることができる。FASのRは、(CF3)(CF2)x(CH2)y(x:0以上10以下の整数、y:0以上4以下の整数)で表される構造を持ち、複数個のR又はXがSiに結合している場合には、R又はXはそれぞれすべて同じでも良いし、異なっていてもよい。代表的なFASとしては、ヘプタデフルオロテトラヒドロデシルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロテトラヒドロデシルトリクロロシラン、トリデカフルオロテトラヒドロオクチルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
撥液表面を形成する溶液の溶媒としては、nーペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの炭化水素系溶媒又はテトラヒドロフランなどを用いる。
また、撥液表面を形成する性質を有する溶液の組成物として、フッ素炭素鎖を有する材料(フッ素系樹脂)を用いることができる。フッ素系樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;四フッ化エチレン樹脂)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA;四フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)、パーフルオロエチレンプロペンコーポリマー(PFEP;四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE;四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF;フッ化ビニリデン樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE;三フッ化塩化エチレン樹脂)、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE;三フッ化塩化エチレン−エチレン共重合樹脂)、ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソールコポリマー(TFE/PDD)、ポリビニルフルオライド(PVF;フッ化ビニル樹脂)等を用いることができる。
続いて、撥液表面を形成する溶液が付着した表面をエタノール洗浄すると、極めて薄い撥液表面を形成する層3222を形成することができる。
次に、基板の裏側から紫外線等のレーザを照射する。この時、ゲート配線層3202、ゲート電極層3203、容量配線層3204はレーザ光を遮断するので、その上方の撥液表面を形成する層3222は照射されない。結果として、ゲート配線層3202、ゲート電極層3203、容量配線層3204の上方のn型の半導体層3218のみが撥液表面を保ち、その他の領域は親液表面となる(図50(B)参照。)。
次に、導電性材料を含む組成物を選択的に吐出して、ソース及びドレイン配線層3225、3226を液滴吐出法で形成する(図50(C)参照。)。この時、ゲート電極層3203の上方には、撥液効果のある極めて薄い膜3223が存在しているので、自己整合的にソース及びドレイン配線の間隔3224を微細に制御できる。
その後、撥液効果のある極めて薄い膜3223は除去しても、しなくても良い。本実施の形態の場合、以下の工程であるn型の半導体層3218をエッチングする際に除去されてしまう。
図51(A)は縦断面構造を模式的に示し、A−B及びC−Dに対応する平面構造を図58に示す。図58で示すように、基板3100の一端から延びる信号配線層3250をソース及びドレイン配線層3225、3226と同時に形成する。これはソース及びドレイン配線層3225と電気的に接続するように配設する。この配線層を形成する導電性材料としては、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用いることができる。また、透光性を有するインジウム錫酸化物(ITO)、インジウム錫酸化物と酸化珪素からなる有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、窒化チタンなどを組み合わせても良い。
次に、ソース及びドレイン配線層3225、3226をマスクとして、絶縁体層3217上のn型の半導体層3221をエッチングして、ソース及びドレイン領域を形成するn型の半導体層3227、3228を形成する(図51(A)参照。)
ソース及びドレイン配線層3226と電気的に接続するように、導電性材料を含む組成物を選択的に吐出して、画素電極層3229を形成する。(図51(B)参照。)。画素電極層3229は、透過型の液晶表示パネルを作製する場合には、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)などを含む組成物により所定のパターンを形成し、焼成によって画素電極を形成しても良い。また、反射型の液晶表示パネルを作製する場合には、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅))、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用いることができる。他の方法としては、スパッタリング法により透明導電膜若しくは光反射性の導電膜を形成して、液滴吐出法によりマスクパターンを形成し、エッチング加工を組み合わせて画素電極層を形成しても良い。なお、図51(B)は縦断面構造を模式的に示し、A−B及びC−Dに対応する平面構造を図59に示すので同時に参照することができる。
以上の工程により、基板3100上にボトムゲート型(逆スタガ型ともいう。)のTFTと画素電極が接続された液晶表示パネル用のTFT基板3200が完成する。
次に、画素電極層3229を覆うように、印刷法やスピンコート法により、配向膜と呼ばれる絶縁体層3230を形成する。なお、絶縁体層3230は、スクリーン印刷法やオフセット印刷法を用いれば、図示するように選択的に形成することができる。その後、ラビングを行う。続いて、シール材3231を液滴吐出法により画素を形成した周辺の領域に形成する(図51(C)参照。)。
その後、配向膜として機能する絶縁体層3232、対向電極として機能する導電体層3233が設けられた対向基板3234とTFT基板3200とをスペーサを介して貼り合わせ、その空隙に液晶層3350を設けることにより液晶表示パネルを作製することができる(図52(A)参照。)。シール材3231にはフィラーが混入されていても良く、さらに対向基板3234には、カラーフィルタや遮蔽膜(ブラックマトリクス)などが形成されていても良い。なお、液晶層3350を形成する方法として、ディスペンサ式(滴下式)や、対向基板3234を貼り合わせてから毛細管現象を用いて液晶を注入するディップ式(汲み上げ式)を用いることができる。
ディスペンサ方式を採用した液晶滴下注入法は、シール材3231で閉ループを形成し、その中に液晶を1回若しくは複数回滴下する。続いて、真空中で基板を貼り合わせ、その後紫外線硬化を行って、液晶が充填された状態とする。
次に、大気圧又は大気圧近傍下で、酸素ガスを用いたアッシング処理により領域3235に示す絶縁体層3211〜3213を除去する(図52(B)参照。)。この処理は、酸素ガスと、水素、CF4、NF3、H2O、CHF3から選択された一つ又は複数とを用いて行う。本工程では、静電気による損傷や破壊を防止するために、対向基板を用いて封止した後に、アッシング処理を行っているが、静電気による影響が少ない場合には、どのタイミングで行っても構わない。
続いて、異方性導電体層を介して、ゲート配線層3202が電気的に接続するように、接続用の接続端子3236を設ける。接続端子3236は、外部からの信号や電位を伝達する役目を担う。上記工程を経て、チャネル保護型のスイッチング用TFT3237と容量素子3238を含む液晶表示パネルが完成する。容量素子3238は、容量配線層3204とゲート絶縁層3210と画素電極層3229とで形成される。
以上の工程により、ボトムゲートで、チャネル保護型の薄膜トランジスタを有する液晶表示装置を製造できる。
(第4の実施の形態)
第3の実施の形態では、画素電極層3229とソース及びドレイン配線層3226とが直接コンタクトを形成する構成について示したが、他の形態として、この両者の間に絶縁層を介在させる例を示す。
図51(A)までの工程を第3の実施の形態と同様に行ったのち、保護膜として機能する絶縁体層3239を形成する(図53(A)参照。)。この保護膜は、窒化珪素や酸化珪素の被膜をスパッタリング法やプラズマCVD法で形成したものを適用すれば良い。絶縁体層3239に開口部3240を形成することにより、該開口部3240を介して、ソース及びドレイン配線層3226と画素電極層3229を電気的に接続させる(図53(B)参照。)。なお、開口部3240の形成時には、後に接続端子を貼り付けるために必要な開口部3241も同時に形成するとよい。
開口部3240、3241の形成方法は特に限定されないが、例えば、大気圧のプラズマエッチングにより、選択的に開孔を開けることもできるし、液滴吐出法によりマスクを形成した後、ウエットエッチング処理を行っても良い。また、液滴吐出法により無機シロキサン若しくは有機シロキサン系の被膜を形成して絶縁体層3239とすれば、開孔を形成する工程は省略可能である。また、開孔部分を撥液表面にしておけば、自己整合的に開孔を形成することができる。
後の工程は第3の実施の形態と同様にすることで、ボトムゲートチャネル保護型のスイッチング用TFT3237と容量阻止3238を含む図53に示す液晶表示パネルが完成する。
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態として、チャネルエッチ型のTFTの作製方法について図54(A)〜(C)、図55を参照して、説明する。
基板3100上に、導電性材料を含む組成物を液滴吐出法により吐出して、ゲート配線層3202、ゲート電極層3203、容量配線層3204を形成する。次に、感光性樹脂を吐出又は塗布し、レーザビームを照射することで露光し、その後現像してレジストマスクを形成する。そのレジストマスクを利用してゲート電極層3203をエッチングし、微細加工し、その後、レジストマスクを除去する。次に、プラズマCVD法やスパッタリング法を用いて、ゲート絶縁層3210を単層又は積層構造で形成する。特に好ましい形態としては、窒化珪素からなる絶縁体層3211、酸化珪素からなる絶縁体層3212、窒化珪素からなる絶縁体層3213の3層の積層体がゲート絶縁層に相当する。さらに、活性層として機能する半導体層3214を形成する。以上の工程は第1の実施の形態と同様である。
半導体層3214上に、n型の半導体層3218を形成する(図54(A)参照。)。次に、n型の半導体層3218上に、組成物を選択的に吐出してマスク層3302を形成する。続いて、マスク層3302を利用して、半導体層3214とn型の半導体層3218を同時にエッチングして、島状に分離形成する。この場合に、マスク層3302を、感光性樹脂をレーザ光により露光して微細に形成することで、TFTの微細化を行うことができる。その後、マスク層3302を除去する。
続いて、撥液表面を形成する溶液を吐出又は塗布し、エタノール洗浄を行う。次に、ゲート配線層3202、ゲート電極層3203、容量配線層3204をマスクとして利用するために、基板の裏面から光を照射し、撥液表面の一部と親液表面にする。
次に、導電性材料を含む組成物を選択的に吐出して、ソース及びドレイン配線層3225、3226を液滴吐出法で形成する(図54(B)参照。)。この時、ゲート電極層3203の上方には、撥液効果のある極めて薄い膜が存在しているので、自己整合的にソース及びドレイン配線の間隔3224を微細に制御できる。次に、この配線層をマスクとして、n型の半導体層3218をエッチングして、n型の半導体層3227、3228を形成する。エッチングは、n型の半導体層3221と半導体層3220とを選択的に加工するのが比較的困難なので、チャネルを形成する半導体層3220の一部3303もエッチングされることとなる。続いて、ソース及びドレイン配線層3226と電気的に接続するように、導電性材料を含む組成物を吐出して、画素電極層3229を形成する(図54(C)参照。)。
次に、配向膜として機能する絶縁体層3230を形成する。続いて、シール材3231を形成し、該シール材3231を用いて、基板3100と、対向電極として機能する導電体層3233と配向膜として機能する絶縁体層3232が形成された対向基板3234を貼り合わせる。その後、基板3100と対向基板3234の間に液晶層3350を形成する。次に、接続端子を貼り付ける領域を大気圧又は大気圧近傍下でエッチングして露出させ、該接続端子にフレキシブル配線基板3236を貼り付けたら、表示機能を有する液晶表示パネルを作製することができる(図55参照。)。
(第6の実施の形態)
第6の実施の形態として、第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態、第4の実施の形態、第5の実施の形態によって作製されるEL表示パネル及び液晶表示パネルにおいて、半導体層をSASで形成することによって、図3で説明したように、走査線側の駆動回路を基板100上に形成する場合を説明する。
図24は、1〜15cm2/V・secの電界効果移動度が得られるSASを使ったnチャネル型のTFTで構成する走査線側駆動回路のブロック図を示している。
図24において示すブロックが1段分のサンプリングパルスを出力するパルス出力回路800に相当し、シフトレジスタはn個のパルス出力回路により構成される。バッファ回路801の先に画素802(図3の画素102に相当する。)が接続さる。
図25は、パルス出力回路800の具体的な構成を示したものであり、nチャネル型のTFT601〜613で回路が構成されている。このとき、SASを使ったnチャネル型のTFTの動作特性を考慮して、TFTのサイズを決定すれば良い。例えば、チャネル長を8μmとすると、チャネル幅は10〜80μmの範囲で設定することができる。
また、バッファ回路801の具体的な構成を図26に示す。バッファ回路も同様にnチャネル型のTFT620〜635で構成されている。このとき、SASを使ったnチャネル型のTFTの動作特性を考慮して、TFTのサイズを決定すれば良い。例えば、チャネル長を10μmとすると、チャネル幅は10〜1800μmの範囲で設定することとなる。
表示パネルがEL表示パネルである場合、このような回路を実現するには、TFT相互を配線によって接続する必要があり、その場合における配線の構成例を図16に示す。図16では、第1の実施の形態と同様に、ゲート電極層203、ゲート絶縁層211(窒化珪素からなる絶縁体層212、酸化珪素からなる絶縁体層213、窒化珪素からなる絶縁体層214の3層の積層体)、SASで形成される半導体層215、ソース及びドレインを形成するn型の半導体層231、232、ソース及びドレイン配線層225、226が形成された状態を示している。この場合、基板100上には、ゲート電極層203と同じ工程で接続配線層270、271、272を形成しておく。そして、接続配線層270、271、272が露出するようにゲート絶縁層の一部をエッチング加工して、ソース及びドレイン配線層225、226及びそれと同じ工程で形成する接続配線層273により適宜TFTを接続することにより様々な回路を実現することができる。
また、液晶表示パネルにおいて、このような回路を実現するには、TFT相互を配線によって接続する必要があり、その場合における配線の構成例を図11に示す。図11では、第3の実施の形態と同様に、ゲート電極層3203、ゲート絶縁層3210(窒化珪素からなる絶縁体層3211、酸化珪素からなる絶縁体層3212、窒化珪素からなる絶縁体層3213の3層の積層体)、SASで形成される半導体層3214、ソース及びドレインを形成するn型の半導体層3227、3228、ソース及びドレイン配線層3225、3226が形成された状態を示している。この場合、基板3100上には、ゲート電極層3203と同じ工程で接続配線層3270、3271、3272を形成しておく。そして、接続配線層3270、3271、3272が露出するようにゲート絶縁層の一部をエッチング加工して、ソース及びドレイン配線層3225、3226及びそれと同じ工程で形成する接続配線層3273により適宜TFTを接続することにより様々な回路を実現することができる。
(第7の実施の形態)
第7の実施の形態として、トップゲート型のTFTについて、図28、図34(A)〜図36(B)を参照して説明する。
基板100上に、スパッタリング法や蒸着法などの方法により下地層201を形成する。下地層201上に、撥液表面を形成する溶液を吐出又は塗布する(図34(A)参照。)。続いて、撥液表面を形成する溶液が付着した表面をエタノール洗浄すると、撥液効果のある極めて薄い膜120を形成することができる。
次に、レーザビーム直接描画装置207を用いてレーザビーム208を照射し、基板又はレーザを移動させることで、撥液表面121の一部と親液表面にしていく(図34(B)参照)。また、本実施の形態とは反対に、親液表面を形成後にレーザ光を部分的に照射することで、照射された領域が撥液表面となるような方法を用いてもよい。
次に、前記撥液表面121を挟むように、導電性材料を含む組成物を選択的に吐出して、ソース及びドレイン配線層122〜125を液滴吐出法で形成する(図35(A)参照。)。この時、撥液表面121が存在するため、自己整合的にソース及びドレイン配線の間隔230を微細に制御できる。続いて、下地層201を絶縁化する。この時、撥液効果のある極めて薄い膜120は除去しても、しなくても良い。また、撥液効果のある極めて薄い膜120は、下地層の絶縁化と同時に除去することが可能である。
次に、プラズマドーピング法を用いて、ソース及びドレイン配線層122〜125の表面のみ選択的にリンがドープされた領域126〜129を形成する(図35(B)参照。)。
なお、リンがドープされた領域は、後に形成される半導体層の一部と反応して、図36(A)に示すような、n型の半導体層126a〜129aが形成される。
プラズマドーピング法とは、P−CVDなどの装置を用いて、フォスフィンガスを流しながら、RFグロー放電により、ソース及びドレイン配線層表面のみ選択的にドーピングを行うものである。
次に、AS若しくはSASをプラズマCVD法等の気相成長法若しくはスパッタリング法で形成する。プラズマCVD法を用いる場合、ASは半導体材料ガスであるSiH4若しくはSiH4とH2の混合気体を用いて形成する。SASは、SiH4をH2で3倍〜1000倍に希釈して混合気体で形成する。このガス種でSASを形成する場合には、半導体層の表面側の方が結晶性が良好であり、ゲート電極を半導体層の上層に形成するトップゲート型のTFTとの組み合わせに適している。
半導体層130は、液滴吐出法により形成したマスク層を使って、ソース及びドレイン配線層122〜125に対応する位置に形成する。すなわち、ソース及びドレイン配線層122と123(若しくは124と125)とを跨ぐように半導体層130形成する(図36(A)参照。)。
次に、図28で示すように、プラズマCVD法やスパッタリング法を用いて、ゲート絶縁層211を形成する。特に好ましい形態としては、窒化珪素からなる絶縁体層、酸化珪素からなる絶縁体層、窒化珪素からなる絶縁体層214の3層の積層体をゲート絶縁層211として構成させる。次に、ゲート絶縁層211に貫通孔223を形成し、ソース及びドレイン配線層122、125の一部を露出させた後、ゲート電極層279を液滴吐出法で形成する(図28参照。)。ゲート電極層279を形成する導電性材料としては、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用いることができる。
n型の半導体層を介してソース及びドレイン配線層125と電気的に接続するように、導電性材料を含む組成物を選択的に吐出して、画素電極に相当する第1電極233を形成する。以上までの工程により、スイッチング用TFT291、駆動用TFT292、容量部293が形成されたTFT基板を得ることができる(図28参照。)。
また、図36の(B)で示すように、ゲート絶縁層211を形成する前に、画素電極に相当する第1電極233を形成すれば、ソース及びドレイン配線層125を露出させる必要はなくなる。
この第1電極233は、液滴吐出法を用いて透過型のEL表示パネルを作製する場合には、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)などを含む組成物により所定のパターンを形成し、焼成によって形成しても良い。
また、好ましくは、スパッタリング法によりインジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物、酸化亜鉛(ZnO)などで形成する。より好ましくは、ITOに酸化珪素が2〜10重量%含まれたターゲットを用いてスパッタリング法で酸化珪素を含む酸化インジウムスズを用いても良い。
本実施の形態の好ましい構成として、酸化珪素を含む酸化インジウムスズで形成される第1電極233は、ゲート絶縁層211に含まれる窒化珪素からなる絶縁体層214と密接して形成され、それによりEL層で発光した光が外部に放射される割合を高めることが出来るという効果を発現させることができる
さらに全面に絶縁体層248を形成する。スピンコート法やディップ法により全面に絶縁層を形成した後、エッチング加工によって図28に示すように開孔を形成する。このエッチングは、絶縁体層248の下層にある基板端部のゲート絶縁層211を同時に行うことで、第1電極233と、基板端部の接続配線層271が露出するように加工する。また、液滴吐出法により選択的に絶縁体層248を形成すれば、エッチング加工は必ずしも必要ない。また、開孔領域に撥液表面を形成すれば、自己整合的に開孔形成することができる。
絶縁体層248は、第1電極233上の発光領域が形成される位置に合わせて貫通孔の開口部を備えて形成される。この絶縁体層248は、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アミニウムその他の無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン系材料を出発材料として形成された珪素、酸素、水素からなる化合物のうちSi−O−Si結合を含む無機シロキサン、珪素上の水素がメチルやフェニルのような有機基によって置換された有機シロキサン系の絶縁材料で形成することができる。アクリル、ポリイミド等の感光性、非感光性の材料を用いて形成すると、その側面は曲率半径が連続的に変化する形状となり、上層の薄膜が段切れせずに形成されるため好ましい。
以上の工程により、基板100上にトップゲート型(順スタガ型ともいう。)のTFTと第1電極233が接続されたEL表示パネル用のTFT基板が完成する。
EL層237を形成する前に、大気圧中で200℃の熱処理を行い絶縁体層248中若しくはその表面に吸着している水分を除去する。また、減圧下で200〜400℃、好ましくは250〜350℃で熱処理を行い、そのまま大気に晒さずにEL層237を真空蒸着法や、減圧下の液滴吐出法で形成することが好ましい。
さらに、第2電極238をEL層277上に形成して発光素子239が形成される。この発光素子239は駆動用TFT292と接続された構造となる。
続いて、シール材240を形成し、封止基板241を用いて封止する。その後、接続配線層271にフレキシブル配線基板251を接続しても良い。これは、信号配線層250も同様である。
以上の工程により、トップゲート型の薄膜トランジスタを有する発光装置を製造できる。
(第8の実施の形態)
第8の実施の形態として、レジストマスクに撥液処理を行う方法について、図28、図37〜図40を参照して説明する。
図37(A)に示すように、基板100上の下地膜201上に、レジスト材料となる感光性樹脂206を吐出又は塗布する。塗布の場合、スピンコータやスリットコータなどを用いても良い。感光性樹脂206は、紫外光から赤外光に感光する材料ネガ型感光性樹脂又はポジ型感光性樹脂を用いる。本実施の形態では、ネガ型感光性樹脂を用いる。
次に、感光性樹脂206にレーザビーム直接描画装置207を用いてレーザビーム208を照射し、基板又はレーザを移動させながら、パターンを描画する。
その後の現像により、図38(A)に示すように、レーザビームが照射された領域にレジストマスク133が形成される。ここでは、感光性樹脂としてネガ型を用いているため、レーザビームが照射された領域がレジストマスクとなる。
次に、レジストマスク133にフッ素プラズマ等の処理を行い、レジストマスク133自体に撥液効果を持たせる(図38(B)参照。)。
次に、レジストマスク133を挟むように、導電性材料を含む組成物を選択的に吐出して、ソース及びドレイン配線層135〜138を液滴吐出法で形成する(図39(A)参照。)。この時、レジストマスク133の撥液効果で、自己整合的にソース及びドレイン配線の間隔230を微細に制御できる。続いて、下地層201を絶縁化する。この時、レジストマスク133は除去しても、しなくても良い。また、撥液効果のある極めて薄い膜134は、下地層の絶縁化と同時に除去することも可能である。
以降の工程は第7の実施の形態と同様に、リンがドープされた領域126〜129、n型の半導体層126a〜129a、第1の電極233、半導体層132、及びゲート絶縁層211を形成する。
(第9の実施の形態)
第9の実施の形態として、ボトムゲート型のTFTについて、図41〜図46を参照して説明する。
図41(A)に示すように、基板100上に、ゲート電極層203をプラズマCVD法やスパッタリング法により形成する。液滴吐出法により、選択的に形成しても良い。
次に、感光性樹脂206を吐出又は塗布する。塗布の場合、スピンコータやスリットコータなどを用いても良い。感光性樹脂は、紫外光から赤外光に感光するネガ型感光性樹脂又はポジ型感光性樹脂を用いる。本実施の形態では、ネガ型感光性樹脂を用いる。
次に、図41(B)に示すように、感光性樹脂206にレーザビーム直接描画装置207を用いてレーザビーム208を照射し、基板又はレーザを移動させながら、パターンを描画する。
その後現像を行うことにより、図42(A)に示すように、レーザビームが照射された領域にレジストマスク209が形成される。ここでは、感光性樹脂としてネガ型を用いているため、レーザビームが照射された領域がレジストマスクとなる。
次に、レジストマスク209をマスクとして、ゲート電極層203を、ドライエッチング、ウエットエッチング等の公知の手法によりエッチングする。続いて、レジストマスクを除去する。この結果、図43(A)に示すように、微細なゲート電極層203を形成することができる。
次に、プラズマCVD法やスパッタリング法を用いて、ゲート絶縁層211を単層又は積層構造で形成する(図43(A)参照。)。特に好ましい形態としては、窒化珪素からなる絶縁体層、酸化珪素からなる絶縁体層、窒化珪素からなる絶縁体層の3層の積層体をゲート絶縁層として構成させる。
次に、撥液表面を形成する溶液を吐出又は塗布する。
続いて、撥液表面を形成する溶液が付着した表面をエタノール洗浄すると、撥液効果のある極めて薄い膜224を形成することができる。
次に、基板の裏側から紫外線等のレーザ光を照射する。この時、ゲート電極層203はレーザを遮断するので、その上方の撥液効果のある極めて薄い膜224にはレーザ光が照射されない。結果として、ゲート電極層203の上方のみが、撥液表面として残り、その他の領域は親液表面となる(図43(B)参照。)。
次に、導電性材料を含む組成物を選択的に吐出して、ソース及びドレイン配線層135〜138を液滴吐出法で形成する(図44(A)参照。)。この時、ゲート電極層203の上方には、微細な撥液効果のある極めて薄い膜224が存在しているので、自己整合的にソース及びドレイン配線の間隔230を微細に制御できる。
次に、プラズマドーピング法を用いて、ソース及びドレイン配線層135〜138の表面のみ選択的にリンがドープされた領域139を形成する(図44(B)参照。)。
なお、リンがドープされた領域139は、後に形成される半導体層の一部と反応して、図45に示すような、n型の半導体層139aが形成される。
また、リンがドープされた領域139の形成時に、プラズマドーピングの条件により、極めて薄い撥液表面224を除去することが可能である。
次に、半導体層215を形成する。半導体層215は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製されるAS、或いはSASで形成する。気相成長法としては、プラズマCVD法や熱CVD法を用いることができる。
次に、図45(B)に示すように、ネガ型感光性樹脂140を吐出又は塗布し、レーザビーム直接描画装置207を用いてレーザビーム208を照射し、露光、現像を行いレジストマスク141を形成する。このとき、レジストマスクを微細に形成する必要が無ければ、液滴吐出装置で吐出して形成してもよい。
次に、レジストマスク141をマスクとして、半導体層215エッチングし、パターニングを行う。その後、画素電極に相当する第1電極233を形成した後、保護膜247を形成する。
以降の工程は第1の実施の形態又は、第3の実施の形態と同様である。
(第10の実施の形態)
第1の実施の形態乃至第9の実施の形態において適用可能な発光素子の形態を、図19と図20参照して説明する。
図19(A)は第1電極11を透光性の酸化物導電性材料で形成した例であり、酸化珪素を1〜15原子%の濃度で含む酸化物導電性材料で形成している。その上に正孔注入層若しくは正孔輸送層41、発光層42、電子輸送層若しくは電子注入層43を積層したEL層16を設けている。第2電極17は、LiFやMgAgなどアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む第1の電極層33とアルミニウムなどの金属材料で形成する第2の電極層34で形成している。この構造の画素は、図中に矢印で示したように第1電極11側から光を放射することが可能となる。
図19(B)は第2電極17から光を放射する例を示し、第1電極11はアルミニウム、チタンなどの金属、又は該金属と化学量論的組成比以下の濃度で窒素を含む金属材料で形成する第3の電極層35と、酸化珪素を1〜15原子%の濃度で含む酸化物導電性材料で形成する第4の電極層32で形成している。その上に正孔注入層若しくは正孔輸送層41、発光層42、電子輸送層若しくは電子注入層43を積層したEL層16を設けている。第2電極17は、LiFやCaFなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む第1の電極層33とアルミニウムなどの金属材料で形成する第2の電極層34で形成するが、いずれの層も100nm以下の厚さとして光を透過可能な状態としておくことで、第2の電極17から光を放射することが可能となる。
図20(A)は第1電極11から光を放射する例を示し、かつ、EL層を電子輸送層若しくは電子注入層43、発光層42、正孔注入層若しくは正孔輸送層41の順に積層した構成を示している。第2電極17は、EL層16側から酸化珪素を1〜15原子%の濃度で含む酸化物導電性材料で形成する第4の電極層32、アルミニウム、チタンなどの金属、又は該金属と化学量論的組成比以下の濃度で窒素を含む金属材料で形成する第3の電極層35で形成している。第1電極11は、LiFやCaFなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む第1の電極層33とアルミニウムなどの金属材料で形成する第2の電極層34で形成するが、いずれの層も100nm以下の厚さとして光を透過可能な状態としておくことで、第1の電極11から光を放射することが可能となる。
図20(B)は第2電極17から光を放射する例を示し、かつ、EL層を電子輸送層若しくは電子注入層43、発光層42、正孔注入層若しくは正孔輸送層41の順に積層した構成を示している。第1電極11は図20(A)と同様な構成とし、膜厚はEL層で発光した光を反射可能な程度に厚く形成している。第2電極17は、酸化珪素を1〜15原子%の濃度で含む酸化物導電性材料で構成している。この構造において、正孔注入層若しくは正孔輸送層41を無機物である金属酸化物(代表的には酸化モリブデン若しくは酸化バナジウム)で形成することにより、第2の電極17を形成する際に導入される酸素が供給されて正孔注入性が向上し、駆動電圧を低下させることができる。
第1電極を透光性の酸化物導電性材料で形成し、第2電極を光を透過可能な状態としておく若しくは透光性の酸化物導電性材料で形成することにより、前記第1電極、前記第2電極どちらからも光を放射することが可能となる。
また、EL層は、有機化合物又は無機化合物を含む電荷注入輸送物質及び発光材料で形成し、その分子数から低分子系有機化合物、中分子系有機化合物(昇華性を有さず、且つ分子数が20以下、又は連鎖する分子の長さが10μm以下の有機化合物を指していう)、高分子系有機化合物から選ばれた一種又は複数種の層を含み、電子注入輸送性又は正孔注入輸送性の無機化合物と組み合わせても良い。
電荷注入輸送物質のうち、特に電子輸送性の高い物質としては、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等が挙げられる。また正孔輸送性の高い物質としては、例えば4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:α−NPD)や4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:TPD)や4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(略称:MTDATA)などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物が挙げられる。
また、電荷注入輸送物質のうち、特に電子注入性の高い物質としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物が挙げられる。また、この他、Alq3のような電子輸送性の高い物質とマグネシウム(Mg)のようなアルカリ土類金属との混合物であってもよい。
電荷注入輸送物質のうち、正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物(MoOx)やバナジウム酸化物(VOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、タングステン酸化物(WOx)、マンガン酸化物(MnOx)等の金属酸化物が挙げられる。また、この他、フタロシアニン(略称:H2Pc)や銅フタロシアニン(CuPC)等のフタロシアニン系の化合物が挙げられる。
EL層は、発光波長帯の異なるEL層を画素毎に形成して、カラー表示を行う構成としても良い。典型的には、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応したEL層を形成する。この場合にも、画素の光放射側にその発光波長帯の光を透過するフィルター(着色層)を設けた構成とすることで、色純度の向上や、画素部の鏡面化(映り込み)の防止を図ることができる。フィルター(着色層)を設けることで、従来必要であるとされていた円偏光板などを省略することが可能となり、EL層から放射される光の損失を無くすことができる。さらに、斜方から画素部(表示画面)を見た場合に起こる色調の変化を低減すことができる。
発光材料には様々な材料がある。低分子系有機発光材料では、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル) −4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル) −4H−ピラン(略称:DPA)、ペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)ベンゼン、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6、クマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)や9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)等を用いることができる。また、この他の物質でもよい。
高分子系有機発光材料は低分子系に比べて物理的強度が高く、発光素子の耐久性が高い。また塗布により成膜することが可能であるので、発光素子の作製が比較的容易である。高分子系有機発光材料を用いた発光素子の構造は、低分子系有機発光材料を用いたときと基本的には同じであり、基板側から、陽極、有機EL層、陰極が順次積層された構造となる。しかし、高分子系有機発光材料を用いたEL層を形成する際には、低分子系有機発光材料を用いたときのような積層構造を形成させることは難しく、多くの場合2層構造となる。具体的には、基板側から、陽極、正孔輸送層、EL層、陰極の順に積層された構造である。
発光色は、EL層を形成する材料で決まるため、これらを適宜選択することで所望の発光を示す発光素子を形成することができる。EL層の形成に用いることができる高分子系の電界発光材料は、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリパラフェニレン系、ポリチオフェン系、ポリフルオレン系が挙げられる。
ポリパラフェニレンビニレン系には、ポリ(パラフェニレンビニレン) [PPV] の誘導体、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレンビニレン) [RO−PPV]、ポリ(2−(2’−エチル−ヘキソキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン)[MEH−PPV]、ポリ(2−(ジアルコキシフェニル)−1,4−フェニレンビニレン)[ROPh−PPV]等が挙げられる。ポリパラフェニレン系には、ポリパラフェニレン[PPP]の誘導体、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレン)[RO−PPP]、ポリ(2,5−ジヘキソキシ−1,4−フェニレン)等が挙げられる。ポリチオフェン系には、ポリチオフェン[PT]の誘導体、ポリ(3−アルキルチオフェン)[PAT]、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)[PHT]、ポリ(3−シクロヘキシルチオフェン)[PCHT]、ポリ(3−シクロヘキシル−4−メチルチオフェン)[PCHMT]、ポリ(3,4−ジシクロヘキシルチオフェン)[PDCHT]、ポリ[3−(4−オクチルフェニル)−チオフェン][POPT]、ポリ[3−(4−オクチルフェニル)−2,2ビチオフェン][PTOPT]等が挙げられる。ポリフルオレン系には、ポリフルオレン[PF]の誘導体、ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)[PDAF]、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)[PDOF]等が挙げられる。
なお、正孔輸送性の高分子系有機発光材料を、陽極と発光性の高分子系有機発光材料の間に挟んで形成すると、陽極からの正孔注入性を向上させることができる。一般にアクセプター材料と共に水に溶解させたものをスピンコート法などで塗布する。また、有機溶媒には不溶であるため、上述した発光性の有機発光材料との積層が可能である。正孔輸送性の高分子系有機発光材料としては、PEDOTとアクセプター材料としてのショウノウスルホン酸(CSA)の混合物、ポリアニリン[PANI]とアクセプター材料としてのポリスチレンスルホン酸[PSS]の混合物等が挙げられる。
また、EL層は単色又は白色の発光を呈する構成とすることができる。白色発光材料を用いる場合には、画素の光放射側に特定の波長の光を透過するフィルター(着色層)を設けた構成としてカラー表示を可能にすることができる。
白色に発光するEL層を形成するには、例えば、Alq3、部分的に赤色発光色素であるナイルレッドをドープしたAlq3、Alq3、p−EtTAZ、TPD(芳香族ジアミン)を蒸着法により順次積層することで白色を得ることができる。また、スピンコートを用いた塗布法によりEL層を形成する場合には、塗布した後、真空加熱で焼成することが好ましい。例えば、正孔注入層として作用するポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)水溶液(PEDOT/PSS)を全面に塗布、焼成し、その後、EL層として作用する発光中心色素(1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン(TPB)、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノ−スチリル)−4H−ピラン(DCM1)、ナイルレッド、クマリン6など)ドープしたポリビニルカルバゾール(PVK)溶液を全面に塗布、焼成すればよい。
EL層は単層で形成することもでき、ホール輸送性のポリビニルカルバゾール(PVK)に電子輸送性の1,3,4−オキサジアゾール誘導体(PBD)を分散させてもよい。また、30wt%のPBDを電子輸送剤として分散し、4種類の色素(TPB、クマリン6、DCM1、ナイルレッド)を適当量分散することで白色発光が得られる。ここで示した白色発光が得られる発光素子の他にも、EL層の材料を適宜選択することによって、赤色発光、緑色発光、または青色発光が得られる発光素子を作製することができる。
さらに、EL層は、一重項励起発光材料の他、金属錯体などを含む三重項励起材料を用いても良い。例えば、赤色の発光性の画素、緑色の発光性の画素及び青色の発光性の画素のうち、輝度半減時間が比較的短い赤色の発光性の画素を三重項励起発光材料で形成し、他を一重項励起発光材料で形成する。三重項励起発光材料は発光効率が良いので、同じ輝度を得るのに消費電力が少なくて済むという特徴がある。すなわち、赤色画素に適用した場合、発光素子に流す電流量が少なくて済むので、信頼性を向上させることができる。低消費電力化として、赤色の発光性の画素と緑色の発光性の画素とを三重項励起発光材料で形成し、青色の発光性の画素を一重項励起発光材料で形成しても良い。人間の視感度が高い緑色の発光素子も三重項励起発光材料で形成することで、より低消費電力化を図ることができる。
三重項励起発光材料の一例としては、金属錯体をドーパントとして用いたものがあり、第三遷移系列元素である白金を中心金属とする金属錯体、イリジウムを中心金属とする金属錯体などが知られている。三重項励起発光材料としては、これらの化合物に限られることはなく、上記構造を有し、且つ中心金属に周期表の8〜10属に属する元素を有する化合物を用いることも可能である。
以上に掲げるEL層を形成する物質は一例であり、正孔注入輸送層、正孔輸送層、電子注入輸送層、電子輸送層、発光層、電子ブロック層、正孔ブロック層などの機能性の各層を適宜積層することで発光素子を形成することができる。また、これらの各層を合わせた混合層又は混合接合を形成しても良い。EL層の層構造は変化しうるものであり、特定の電子注入領域や発光領域を備えていない代わりに、もっぱらこの目的用の電極を備えたり、発光性の材料を分散させて備えたりする変形は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において許容されうるものである。
上記のような材料で形成した発光素子は、順方向にバイアスすることで発光する。発光素子を用いて形成する表示装置の画素は、単純マトリクス方式、若しくは実施例2で示すようなアクティブマトリクス方式で駆動することができる。いずれにしても、個々の画素は、ある特定のタイミングで順方向バイアスを印加して発光させることとなるが、ある一定期間は非発光状態となっている。この非発光時間に逆方向のバイアスを印加することで発光素子の信頼性を向上させることができる。発光素子では、一定駆動条件下で発光強度が低下する劣化モードや、画素内で非発光領域が拡大して見かけ上輝度が低下する劣化モードがあるが、順方向及び逆方向にバイアスを印加する交流的な駆動を行うことで、劣化の進行を遅くすることができ、発光装置の信頼性を向上させることができる。
(第11の実施の形態)
次に、第1の実施の形態乃至第6の実施の形態によって作製される表示パネルに駆動用のドライバ回路を実装する態様について、図21と図22を参照して説明する。
まず、COG方式を採用した表示装置について、図21(A)、(B)を用いて説明する。基板1001上には、文字や画像などの情報を表示する画素部1002、走査側の駆動回路1003、1004が設けられる。複数の駆動回路が設けられた基板1005、1008は、矩形状に分断され、分断後の駆動回路(以下ドライバICと表記)は、基板1001上に実装される。図21(A)は複数のドライバIC1007、該ドライバIC1007の先にテープ1006を実装する形態を示す。図21(B)はドライバIC1010、該ドライバIC1010の先にテープ1009を実装する形態を示す。
次に、TAB方式を採用した表示装置について、図22を用いて説明する。基板1001上には、画素部1002、走査側の駆動回路1003、1004が設けられる。図22(A)は基板1001上に複数のテープ1006を貼り付けて、該テープ1006にドライバIC1007を実装する形態を示す。図22(B)は基板1001上にテープ1009を貼り付けて、該テープ1009にドライバIC1010を実装する形態を示す。後者を採用する場合には、強度の問題から、ドライバIC1010を固定する金属片等を一緒に貼り付けるとよい。
これらの表示パネルに実装されるドライバICは、生産性を向上させる観点から、一辺が300mm以上の矩形状の基板1005、1008上に複数個作り込むとよい。
つまり、基板1005、1008上に駆動回路部と入出力端子を一つのユニットとする回路パターンを複数個形成し、最後に分割して取り出せばよい。ドライバICの長辺の長さは、画素部の一辺の長さや画素ピッチを考慮して、図21(A)、図22(A)に示すように、長辺が15〜80mm、短辺が1〜6mmの矩形状に形成してもよいし、図21(B)、図22(B)に示すように、画素部1002の一辺と各駆動回路1003、1004の一辺とを足した長さに形成してもよいし、画素部1002の一辺としてもよい。
ドライバICのICチップに対する外形寸法の優位性は長辺の長さにあり、長辺が15〜80mmで形成されたドライバICを用いると、画素部1002に対応して実装するのに必要な数がICチップを用いる場合よりも少なくて済み、製造上の歩留まりを向上させることができる。また、ガラス基板上にドライバICを形成すると、母体として用いる基板の形状に限定されないので生産性を損なうことがない。これは、円形のシリコンウエハからICチップを取り出す場合と比較すると、大きな優位点である。
図21(A)及び(B)、図22(A)及び(B)において、画素部1002の外側の領域には、駆動回路が形成されたドライバIC1007、又は1009が実装される。これらのドライバIC1007、1010は、信号線側の駆動回路である。RGBフルカラーに対応した画素領域を形成するためには、XGAクラスで信号線の本数が3072本必要であり、UXGAクラスでは4800本が必要となる。このような本数で形成された信号線は、画素部1002の端部で数ブロック毎に区分して引出線を形成し、ドライバIC1007、1010の出力端子のピッチに合わせて集められる。
ドライバICは、基板上の結晶質半導体を用いて形成されることが好適であり、該結晶質半導体は連続発光のレーザ光を照射することで形成されることが好適である。従って、当該レーザ光を発生させる発振器としては、連続発光の固体レーザ又は気体レーザを用いる。連続発光のレーザを用いると、結晶欠陥が少なく、大粒径の多結晶半導体層を用いて、トランジスタを作成することが可能となる。また、多結晶半導体層は移動度や応答速度が良好なために高速駆動が可能で、従来よりも素子の動作周波数を向上させることができ、特性バラツキが少ないために高い信頼性を得ることができる。なお、さらなる動作周波数の向上を目的として、トランジスタのチャネル長方向とレーザ光の走査方向と一致させるとよい。これは、連続発光レーザによるレーザ結晶化工程では、トランジスタのチャネル長方向とレーザ光の基板に対する走査方向とが概ね並行(好ましくは−30°〜30°)であるときに、最も高い移動度が得られるためである。なおチャネル長方向とは、チャネル形成領域において、電流が流れる方向、換言すると電荷が移動する方向と一致する。このように作製したトランジスタは、結晶粒がチャネル方向に延在する多結晶半導体層によって構成される活性層を有し、このことは結晶粒界が概ねチャネル方向に沿って形成されていることを意味する。
レーザ結晶化を行うには、レーザ光の大幅な絞り込みを行うことが好ましく、そのビームスポットの幅は、ドライバICの短辺と同じ幅の1〜3mm程度とすることがよい。また、被照射体に対して、十分に且つ効率的なエネルギー密度を確保するために、レーザ光のビームスポットは、線状であることが好ましい。但し、ここでいう線状とは、厳密な意味で線を意味しているのではなく、アスペクト比の大きい長方形もしくは長楕円形を意味する。例えば、アスペクト比が2以上(好ましくは10〜10000)のものを指す。このように、レーザ光のビームスポットの幅をドライバICの短辺と同じ長さとすることで、生産性を向上させた表示装置の作製方法を提供することができる。
図21、図22では、走査線駆動回路は画素部と共に一体形成し、信号線駆動回路としてドライバICを実装した形態を示した。しかしながら、本発明はこの形態に限定されず、走査線駆動回路及び信号線駆動回路の両方として、ドライバICを実装してもよい。その場合には、走査線側と信号線側で用いるドライバICの仕様を異なるものにするとよい。
画素部1002は、信号線と走査線が交差してマトリクスを形成し、各交差部にトランジスタが配置される。本発明は、画素部1002に配置されるトランジスタとして、非晶質半導体又はセミアモルファス半導体をチャネル部としたTFTを用いることを特徴とする。非晶質半導体は、プラズマCVD法やスパッタリング法等の方法により形成する。セミアモルファス半導体は、プラズマCVD法で300℃以下の温度で形成することが可能であり、例えば、外寸550×650mmの無アルカリガラス基板であっても、トランジスタを形成するのに必要な膜厚を短時間で形成することができるという特徴を有する。このような製造技術の特徴は、大画面の表示装置を作製する上で有効である。また、セミアモルファスTFTは、SASでチャネル形成領域を構成することにより2〜10cm2/V・secの電界効果移動度を得ることができる。従って、このTFTを画素のスイッチング用素子や、走査線側の駆動回路を構成する素子として用いることができる。従って、システムオンパネル化を実現した表示パネルを作製することができる。
なお、図21、図22では、第6の実施の形態に従い、半導体層をSASで形成したTFTを用いることにより、走査線側駆動回路も基板上に一体形成することを前提として示している。半導体層をASで形成したTFTを用いる場合には、走査線側駆動回路及び信号線側駆動回路の両方にドライバICを実装してもよい。
その場合には、走査線側と信号線側で用いるドライバICの仕様を異なるものにすることが好適である。例えば、走査線側のドライバICを構成するトランジスタには30V程度の耐圧が要求されるものの、駆動周波数は100kHz以下であり、比較的高速動作は要求されない。従って、走査線側のドライバを構成するトランジスタのチャネル長(L)は十分大きく設定することが好適である。一方、信号線側のドライバICのトランジスタには、12V程度の耐圧があれば十分であるが、駆動周波数は3Vにて65MHz程度であり、高速動作が要求される。そのため、ドライバを構成するトランジスタのチャネル長などはミクロンルールで設定することが好適である。
以上のようにして、表示パネルに駆動回路を実装することができる。
(第12の実施の形態)
次に、第3の実施の形態乃至第5の実施の形態によって作製される表示パネルに駆動用のドライバ回路を実装する態様について、図60を参照して説明する。
図60(A)、(B)はドライバICをCOGで実装する構成を示し、図2で示す表示パネルの場合に相当する場合を示している。図60(A)はTFT基板3200に、ドライバIC3106が異方性導電材を用いて実装された構造を示す。TFT基板3200上には画素部3101、信号線側入力端子3104(走査線入力端子であっても同様である。)を有している。対向基板4229はシール材4226でTFT基板3200と接着されており、その間に液晶層4230が形成されている。
信号線側入力端子3104には、FPC3812が異方性導電材で接着されている。異方性導電材は樹脂3815と表面にAuなどがメッキされた数十〜数百μm径の導電性粒子3814から成り、導電性粒子3814により信号線側入力端子3104とFPC3812に形成された配線3813とが電気的に接続される。ドライバIC3106も、異方性導電材でTFT基板3200に接着され、樹脂3811中に混入された導電性粒子3810により、ドライバIC3106に設けられた入出力端子3809と信号線側入力端子3104と電気的に接続される。
また、図60(B)で示すように、TFT基板3200にドライバIC3106を接着材3816で固定して、Auワイヤ3817によりドライバICの入出力端子と引出線または接続配線とを接続しても良い。そして封止樹脂3818で封止する。なお、ドライバICの実装方法は、特に限定されるものではなく、公知のCOG方法やワイヤボンディング方法、或いはTAB方法を用いることができる。
ドライバICの厚さは、対向基板と同じ厚さとすることで、両者の間の高さはほぼ同じものとなり、表示装置全体としての薄型化に寄与する。また、それぞれの基板を同じ材質のもので作製することにより、この表示装置に温度変化が生じても熱応力が発生することなく、TFTで作製された回路の特性を損なうことはない。その他にも、本実施形態で示すようにICチップよりも長尺のドライバICで駆動回路を実装することにより、1つの画素領域に対して、実装されるドライバICの個数を減らすことができる。
以上のようにして、表示パネルに駆動回路を組み入れることができる。
(第13の実施の形態)
本実施の形態で示す表示パネルの画素の構成について、図23(A)〜(F)に示す等価回路図を参照して説明する。
図23(A)に示す画素は、列方向に信号線410及び電源線411〜413、行方向に走査線414が配置される。また、スイッチング用TFT401、駆動用TFT403、電流制御用TFT404、容量素子402及び発光素子405を有する。
図23(C)に示す画素は、駆動用TFT403のゲート電極が、行方向に配置された電源線413に接続される点が異なっており、それ以外は図23(A)に示す画素と同じ構成である。つまり、図23(A)(C)に示す両画素は、同じ等価回路図を示す。しかしながら、列方向に電源線413が配置される場合(図23(A))と、行方向に電源線413が配置される場合(図23(C))では、各電源線は異なるレイヤーの導電体層で形成される。ここでは、駆動用TFT403のゲート電極が接続される配線に注目し、これらを作製するレイヤーが異なることを表すために、図23(A)(C)として分けて記載する。
図23(A)(C)に示す画素の特徴として、画素内に駆動用TFT403、電流制御用TFT404が直列に接続されており、駆動用TFT403のチャネル長L3、チャネル幅W3、電流制御用TFT404のチャネル長L4、チャネル幅W4は、L3/W3:L4/W4=5〜6000:1を満たすように設定される点が挙げられる。5〜6000:1を満たす場合の一例としては、L3が500μm、W3が3μm、L4が3μm、W4が100μmの場合がある。
なお、駆動用TFT403は、飽和領域で動作し発光素子405に流れる電流値を制御する役目を有し、電流制御用TFT404は線形領域で動作し発光素子405に対する電流の供給を制御する役目を有する。両TFTは同じ導電型を有していると作製工程上好ましい。また駆動用TFT403には、エンハンスメント型だけでなく、ディプリーション型のTFTを用いてもよい。上記構成を有する本発明は、電流制御用TFT404が線形領域で動作するために、電流制御用TFT404のVGSの僅かな変動は発光素子405の電流値に影響を及ぼさない。つまり、発光素子405の電流値は、飽和領域で動作する駆動用TFT403により決定される。上記構成を有する本発明は、TFTの特性バラツキに起因した発光素子の輝度ムラを改善して画質を向上させた表示装置を提供することができる。
図23(A)〜(D)に示す画素において、スイッチング用TFT401は、画素に対するビデオ信号の入力を制御するものであり、スイッチング用TFT401がオンして、画素内にビデオ信号が入力されると、容量素子402にそのビデオ信号が保持される。なお図23(A)(C)には、容量素子402を設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、ビデオ信号を保持する容量がゲート容量などでまかなうことが可能な場合には、明示的に容量素子402を設けなくてもよい。
発光素子405は、2つの電極間に電界発光層が挟まれた構造を有し、順バイアス方向の電圧が印加されるように、画素電極と対向電極の間(陽極と陰極の間)に電位差が設けられる。電界発光層は有機材料や無機材料等の広汎に渡る材料により構成され、この電界発光層におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と、三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)とが含まれる。
図23(B)に示す画素は、TFT406と走査線413を追加している以外は、図23(A)に示す画素構成と同じである。同様に、図23(D)に示す画素は、TFT406と走査線415を追加している以外は、図23(C)に示す画素構成と同じである。
TFT406は、新たに配置された走査線415によりオン又はオフが制御される。TFT406がオンになると、容量素子402に保持された電荷は放電し、TFT406がオフする。つまり、TFT406の配置により、強制的に発光素子405に電流が流れない状態を作ることができる。従って、図23(B)(D)の構成は、全ての画素に対する信号の書き込みを待つことなく、書き込み期間の開始と同時又は直後に点灯期間を開始することができるため、デューティ比を向上することが可能となる。
図23(E)に示す画素は、列方向に信号線450、電源線451、452、行方向に走査線453が配置される。また、スイッチング用TFT441、駆動用TFT443、容量素子442及び発光素子444を有する。図23(F)に示す画素は、TFT445と走査線454を追加している以外は、図23(E)に示す画素構成と同じである。なお、図23(F)の構成も、TFT445の配置により、デューティ比を向上することが可能となる。
(第14の実施の形態)
走査線側入力端子部と信号線側入力端子部とに保護ダイオードを設けた一態様について図17を参照して説明する。図17において画素102にはTFT501、502が設けられている。このTFTは第1の実施の形態と同様な構成を有している。
信号線側入力端子部には、保護ダイオード561と562が設けられている。この保護ダイオードは、TFT501若しくは502と同様な工程で作製され、ゲートとドレイン若しくはソースの一方とを接続することによりダイオードとして動作させている。図17で示す上面図の等価回路図を図18に示している。
保護ダイオード561は、ゲート電極層550、半導体層551、チャネル保護用の絶縁層552、配線層553から成っている。保護ダイオード562も同様な構造である。この保護ダイオードと接続する共通電位線554、555はゲート電極層と同じ層で形成している。従って、配線層553と電気的に接続するには、ゲート絶縁層にコンタクトホールを形成する必要がある。
ゲート絶縁層へのコンタクトホールは、液滴吐出法によりマスク層を形成し、エッチング加工すれば良い。この場合、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層を形成する必要はない。
信号配線層250はTFT501におけるソース及びドレイン配線層225と同じ層で形成され、信号配線層250とソース及びドレイン配線層225のソース又はドレイン側が接続する構造となっている。
走査線側の入力端子部も同様な構成である。このように、本発明によれば、入力段に設けられる保護ダイオードを同時に形成することができる。なお、保護ダイオードを挿入する位置は、本実施の形態のみに限定されず、駆動回路と画素との間に設けることもできる。
(第15の実施の形態)
図29及び図30は、液滴吐出法により作製されるTFT基板200を用いたEL表示モジュールの例を示している。両図面において、TFT基板200上には、画素102により構成された画素部101が形成されている。
図29では、画素部101の外側であって、駆動回路703と画素102(a)〜(c)との間に、画素に形成されたものと同様なTFT又はそのTFTのゲートとソース若しくはドレインの一方とを接続してダイオードと同様に動作させる保護回路部701が備えられている。駆動回路703は、単結晶半導体で形成されたドライバIC、ガラス基板上に多結晶半導体膜で形成されたスティックドライバIC、若しくはSASで形成された駆動回路などが適用されている。
図29のTFT基板200は、絶縁体層248上に液滴吐出法で形成されたスペーサ710を介して封止基板241と固着されている。スペーサ710は、基板の厚さが薄く、また画素部の面積が大型化した場合にも、2枚の基板の間隔を一定に保つために設けておくことが好ましい。発光素子239上であって、TFT基板200と封止基板241との間にある空隙には透光性の樹脂材料を充填して固体化しても良いし、無水化した窒素若しくは不活性気体を充填させても良い。
図29では発光素子239をトップエミッション型の構成とした場合を示し、図中に示す矢印の方向に光を放射する構成としている。各画素102a〜cを、それぞれ赤色、緑色、青色として発光色を異ならせておくことで、多色表示を行うことができる。また、このとき封止基板241側に各色に対応した着色層709a、709b、709cを形成しておくことで、外部に放射される発光の色純度を高めることができる。また、画素102a、102b、102cを白色発光素子として着色層709a、709b、709cと組み合わせても良い。
外部回路705は、TFT基板200の一端に設けられた走査線若しくは信号線接続端子と、配線基板704で接続される。また、TFT基板200に接して若しくは近接させて、ヒートパイプ706と放熱板707を設け、放熱効果を高める構成としても良い。
なお、図29では、トップエミッションのELモジュールとしたが、発光素子の構成や外部回路基板の配置を変えて図30のようなボトムエミッション構造としても良い。
図30は、TFT基板200において、画素部が形成された側にシール材240や接着性の樹脂702を用いて樹脂フィルム708を貼り付けて封止構造を形成した一例を示している。樹脂フィルム708の表面には水蒸気の透過を防止するガスバリア膜を設けておくと良い。図30では、発光素子の光が基板を通して放射されるボトムエミッションの構成を示しているが、樹脂フィルム708や接着性の樹脂702を透光性とすることにより、トップエミッション構造とすることもできる。いずれにしても、フィルム封止構造とすることで、さらなる薄型化及び軽量化を図ることができる。
(第16の実施の形態)
第15の実施の形態により作製される表示モジュール、又は第11の実施の形態及び第12の実施の形態により作製される表示パネルによって、テレビ受像機を完成させることができる。図31はテレビ受像機の主要な構成を示すブロック図を示している。表示パネルには、図1で示すような構成として画素部101のみが形成されて走査線側駆動回路903と信号線側駆動回路902とがTAB方式により実装される場合と、図2に示すような構成として画素部101とその周辺に走査線側駆動回路903と信号線側駆動回路902とがCOG方式により実装される場合と、図3に示すようにSASでTFTを形成し、画素部101と走査線側駆動回路903を基板上に一体形成し信号線側駆動回路902を別途ドライバICとして実装する場合などがあるが、どのような形態としても良い。
その他の外部回路の構成として、映像信号の入力側では、チューナ904で受信した信号のうち、映像信号を増幅する映像信号増幅回路905と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路906と、その映像信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路907などからなっている。コントロール回路907は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路908を設け、入力デジタル信号をm個に分割して供給する構成としても良い。
チューナ904で受信した信号のうち、音声信号は、音声信号増幅回路909に送られ、その出力は音声信号処理回路910を経てスピーカ913に供給される。制御回路911は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部912から受け、チューナ904や音声信号処理回路910に信号を送出する。
このような外部回路を組みこんで、図29、図30で説明したようなELモジュールを、図32に示すように、筐体920に組みこんで、テレビ受像機を完成させることができる。EL表示モジュールにより表示画面921が形成され、その他付属設備としてスピーカ922、操作スイッチ924などが備えられている。このように、本発明によりテレビ受像機を完成させることができる。
勿論、本発明はテレビ受像機に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など特に大面積の表示媒体として様々な用途に適用することができる。
(第17の実施の形態)
第17の実施の形態として、トップゲート型のTFTについて、図64、図36を参照して説明する。
第7の実施の形態と同様に図36(A)に示す構造を作製する。
次に、図36(B)に示すように、半導体層130及び画素電極142を覆ってゲート絶縁層131を形成し、さらにゲート絶縁層131上に半導体層132を形成して、TFTを作製する。
図64に、本実施の形態により作製した液晶表示パネルの断面図を示す。図64では、図36(B)と異なり、ゲート絶縁層を半導体層及び画素電極の前に形成している。ここで、ゲート絶縁層3210は、プラズマCVD法やスパッタリング法を用いて形成する。特に好ましい形態としては、窒化珪素からなる絶縁体層、酸化珪素からなる絶縁体層、窒化珪素からなる絶縁体層の3層の積層体をゲート絶縁層3210として構成させる。次に、ゲート絶縁層3210に貫通孔3242を形成し、ソース及びドレイン配線3275の一部を露出せた後、n型の半導体層を介してソース及びドレイン配線層3275と電気的に接続するように、導電性材料を含む組成物を選択的に吐出して、画素電極層3229を形成する。図36(B)に示すように、ゲート絶縁層を形成する前に、画素電極層を形成すれば、ソース及びドレイン配線を露出させる必要はなくなる。
ゲート電極層3279を液滴吐出法で形成する。この層を形成する導電性材料としては、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用いることができる。
シール材3231を形成し、該シール材3231を用いて、基板3100と、対向電極として機能する導電体層3233と配向膜として機能する絶縁体層3232が形成された対向基板3234を貼り合わせる。その後、基板3100と対向基板3234の間に液晶層3350を形成する。次に、接続端子3236を貼り付ける領域を大気圧又は大気圧近傍下でエッチングして露出させ、該接続端子3236を貼り付けたら、表示機能を有する液晶表示パネルを作製することができる(図64参照。)。
(第18の実施の形態)
第18の実施の形態として、トップゲート型のTFTについて、図64、図37〜図40を参照して説明する。
図37(A)に示すように、基板100上に、スパッタリング法や蒸着法等の方法により下地層201を形成する。下地層201上に、感光性樹脂206を吐出又は塗布する。塗布の場合、スピンコータやスリットコータなどを用いても良い。感光性樹脂206は、紫外光から赤外光に感光する材料ネガ型感光性樹脂又はポジ型感光性樹脂を用いる。本実施の形態では、ネガ型感光性樹脂を用いる。
次に、感光性樹脂206にレーザビーム直接描画装置207を用いてレーザビーム208を照射し、基板又はレーザを移動させながら、パターンを描画する(図37(B)参照)。
この結果、図38(A)に示すように、レーザビームが照射された領域にレジストマスク133が形成される。ここでは、感光性樹脂としてネガ型を用いているため、レーザビームが照射された領域がレジストマスクとなる。
次に、レジストマスク133にフッ素プラズマ等の処理を行い、レジストマスク133自体に撥液効果を持たせる(図38(B)参照。)。
次に、前記撥液表面134を挟むように、導電性材料を含む組成物を選択的に吐出して、ソース及びドレイン配線層135〜138を液滴吐出法で形成する(図39(A)参照。)。この時、レジストマスク133の撥液効果で、自己整合的にソース及びドレイン配線の間隔230を微細に制御できる。続いて、下地層201を絶縁化する。この時、レジストマスク133は除去してもしなくても良い。
以降の工程は第17の実施の形態と同様である。
(第19の実施の形態)
走査線側入力端子部と信号線側入力端子部とに保護ダイオードを設けた一態様について図62を参照して説明する。図62において画素3102にはTFT3260が設けられている。このTFTは第3の実施の形態と同様な構成を有している。
信号線側入力端子部には、保護ダイオード3261と3262が設けられている。この保護ダイオードは、TFT3260と同様な工程で作製され、ゲートとドレイン若しくはソースの一方とを接続することによりダイオードとして動作させている。図62で示す上面図の等価回路図を図63に示している。
保護ダイオード3261は、ゲート電極層3250、半導体層3251、チャネル保護用の絶縁層3252、配線層3253から成っている。保護ダイオード3262も同様な構造である。この保護ダイオード3261、3262と接続する共通電位線3254、3255はゲート電極層と同じ層で形成している。従って、配線層3253と電気的に接続するには、ゲート絶縁層にコンタクトホールを形成する必要がある。
ゲート絶縁層へのコンタクトホールは、液滴吐出法によりマスク層を形成し、エッチング加工すれば良い。この場合、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層を形成する必要はない。
保護ダイオード3261若しくは3262は、TFT3260におけるソース及びドレイン配線層3225、3226と同じ層で形成され、それに接続している信号配線層3256とソース又はドレイン側が接続する構造となっている。
走査信号線側の入力端子部も同様な構成である。このように、本発明によれば、入力段に設けられる保護ダイオード3261,3262を同時に形成することができる。なお、保護ダイオード3261,3262を挿入する位置は、本実施の形態のみに限定されず、駆動回路と画素との間に設けることもできる。
(第20の実施の形態)
第12の実施の形態により作製される表示パネルによって、テレビ受像機を完成させることができる。図31はテレビ受像機の主要な構成を示すブロック図を示している。テレビ受像機の主要な構成は、第16の実施の形態と同様である。
図61は表示モジュールの一例であり、TFT基板4200と対向基板4229がシール材4231により固着され、その間に画素部4101と液晶層4230が設けられた表示領域を形成している。着色層4250はカラー表示を行う場合に必要であり、RGB方式の場合は、赤、緑、青の各色に対応した着色層が各画素に対応して設けられている。TFT基板4200と対向基板4229の外側には偏光板4251、4252が配設されている。偏光板4251の上には、保護層4280がある。光源は冷陰極管4258と導光板4259により構成され、回路基板4257は、フレキシブル配線基板4256によりTFT基板4200と接続され、コントロール回路や電源回路などの外部回路が組みこまれている。
図32は、この表示モジュールを筐体920に組みこんでテレビ受像機を完成させた状態を示している。表示モジュールにより表示画面921が形成され、その他付属設備としてスピーカ922、操作スイッチ924などが備えられている。このように、本発明によりテレビ受像機を完成させることができる。
勿論、本発明はテレビ受像機に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など特に大面積の表示媒体として様々な用途に適用することができる。