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JP4874798B2 - NFκB作用抑制剤及び抗炎症剤並びにステロイド作用増強剤 - Google Patents

NFκB作用抑制剤及び抗炎症剤並びにステロイド作用増強剤 Download PDF

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Description

本発明は、NFκB作用抑制剤及び抗炎症剤並びにステロイド作用増強剤に関する。
炎症反応には種々のサイトカインや細胞接着分子の発現もかかわっていることが知られている。この炎症性サイトカインがそれぞれに対応した受容体と結合することによって細胞内で各種分子のリン酸化が生じる。このリン酸化のカスケードは最終的に、核内の転写因子であるNFκBを活性化し、各種炎症物質の転写が促進されると考えられている。
このように炎症反応は最終的にNFκBの活性化に集約されており、このNFκBの活性を効果的に抑制する薬剤として、ステロイド剤が用いられている。
ステロイド薬剤は、難治性の自己免疫性肝炎、劇症肝炎及び慢性肝炎とそれにより発症する肝硬変並びに肝癌の治療の特効薬として用いられているが、非常に強力な効果を有する一方で、ステロイド潰瘍や満月様顔貌、糖尿病、骨粗鬆症などの重篤な副作用を引き起こすことも知られている。その副作用は、多くの場合、その使用量に応じて引き起こされている。またステロイド剤は、抗炎症作用以外に細胞増殖や糖代謝に多彩な作用を発揮することも知られており、ステロイド薬剤の抗炎症作用の詳細は、完全に解明されていない。
一方、NFκBは、炎症性疾患(急性及び慢性肝炎や腎炎、関節炎など)に限らず、リウマチ、膠原病などの自己免疫疾患、喘息、花粉症などのアレルギー疾患といった種々の疾患の発症に関与していることも知られている。このため、NFκBの作用を抑制することによって、NFκBが関与する症状を緩和できることが予測される。
このため、ステロイド薬剤に代わる薬剤として、また各種の治療剤として、NFκBの作用を抑制する物質の開発が、天然抽出物や合成物質などを中心に進められている(例えば、特許文献1乃至3など)。
また、特許文献4には、NFκBの特にp65サブユニットに着目し、このp65サブユニットに結合するRe1A結合性阻害因子を用いることによって、NFκBの活性を阻害する技術が記載されている。
特開平8−319238号公報 特開平9−59151号公報 特開平11−279057号公報 特開2000−224993号公報
しかしながら、各種の天然抽出成分や合成物質では、複雑な細胞内機構やカスケードの一部に関与しているとしてもNFκBに対して直接作用するものではなく、またどのようにNFκBを抑制するかについて完全に解明されてはいない。このためNFκBを確実に抑制するという観点からは充分なものではない。
またRe1A結合性阻害因子を用いた技術では、実際のRe1A結合性阻害因子は、その分子量が4万のタンパク質(351アミノ酸)であるため、外部から細胞内に取り込ませることは難しい。
更に、ステロイド剤は、有用な薬剤であることには変わりない。その上、これまでの長い間にわたって広く使用されているので、薬効に関する情報が多く、使い勝手がよいという利点を有している。このため、ステロイド剤に種々の副作用があるとしても、使用量を調整することによって、副作用を抑制しつつ使用が継続されれば、より有効な治療を行うことが期待される。
従って、本発明の目的は、NFκBの作用を確実に且つ効果的に抑制することができるNFκB作用抑制剤を提供することである。
また、本発明の他の目的は、より効果的な抗炎症効果を有する抗炎症剤を提供することである。
本発明の更に他の目的は、ステロイドの作用を効果的に増強し、ステロイド剤の使用量を減らすことができるステロイド作用増強剤を提供することである。
また更に、本発明の目的は種々の用途を有する有用な薬学的組成物を提供することである。
本発明のNFκB作用抑制剤は、MTI−IIをコードする核酸又はそのペプチドを含むことを特徴としている。
ここで、前記MTI−IIが配列番号1の核酸又は配列番号2のペプチドであることが好ましく、配列番号3のペプチドを少なくとも含むものであることが特に好ましい。
また本発明の抗炎症剤は、MTI−IIをコードする核酸又はそのペプチドを含むことを特徴としている。
更に本発明のステロイド作用増強剤は、MTI−IIをコードする核酸又はそのペプチドを含むことを特徴としている
本発明によれば、NFκB作用抑制剤及び抗炎症剤のそれぞれに含まれるMTI−IIをコードする核酸又はそのペプチドが、NFκBの活性化機序に核内で直接的に抑制的に作用するため、効果的に且つ確実にNFκBの作用を抑制することができ、また抗炎症効果を効果的に発揮することができる。
また本発明によれば、MTI−IIをコードする核酸又はそのペプチドが、ステロイド受容体の転写活性を増大させてステロイド作用を効果的に増強するので、ステロイド剤の効果を増強させ、その結果、使用量を減らすことができる。
更に本発明によれば種々の用途を有する有用な薬学的組成物を提供することができる。
本発明の実施例にかかるMTI−IIによるTNFα誘導NFκB転写活性抑制効果を示すグラフである。 本発明の実施例にかかるMTI−IIによるコアクチベータ存在下でのTNFα誘導NFκB転写活性抑制効果を示すグラフである。 図3Aは、本発明の実施例にかかるMTI−IIの効果を調べるために作製された各種MTI−II変異体ベクターの概略図であり、図3Bは、図3Aに示される各種MTI−II変異体ベクターを用いたTNFα誘導NFκB転写活性抑制効果を示すグラフである。 本発明の実施例にかかるHisTag−TAT−MTI−IIの構造を示す図である。 本発明の実施例にかかるHisTag−TAT−MTI−IIによるTNFα誘導NFκB転写活性抑制効果を示すグラフである。
本発明のNFκB作用抑制剤は、MTI−IIをコードする核酸又はそのペプチドを含むことを特徴としている。
MTI−IIは、ラット肝臓にて見出されたステロイド受容体核結合阻害因子であり(Biochem. Biophys. Res. Commun., (1982), 108, 1655-1660)、そのアミノ酸配列を解析したところ、パラサイモシン(Proc. Natl. Acad. Sci., (1985), 82, 1050-1053)及び亜鉛結合タンパク質(J. Biol Chem., (1886), 261, 5892-5900)と同一であることが確認されている(Eur. J. Biochem., (2000), 267, 155-162)。本発明者らは、このMTI−IIが、ステロイド受容体と核内で結合して、NFκBの転写活性を制御するSRC−1やCBP/p300などのコアクチベータに作用し、NFκBの転写活性を効果的に抑制していることを見出した。
本発明にかかるMTI−IIは、配列番号1の核酸(Gene Bank Accession No. M24398: Human parathymosin mRNA, complete cds.)又はこれに基づくアミノ酸配列(配列番号2)を有するペプチドであることが好ましい。ただし、生体内では1番目のメチオニンが翻訳後修飾で外れ、2番目のセリンがアセチル化修飾されて、修飾型(アセチル化)MTI−IIペプチドとなる。本発明では、この修飾型MTI−IIペプチドを直接用いてもよい。
MTI−II自体は、102個のアミノ酸配列で構成された小さなポリペプチドであり、サイモシン類似領域(1−31番目)と、酸性アミノ酸領域(32−75番目:配列番号3、84−90番目:配列番号4)と、核移行シグナル領域(79−81番目:配列番号5、92−96番目:配列番号6)とを含んでいる。サイモシン類似領域とサイモシンのホモロジーはアミノ酸レベルで50%程度である。MTI−IIにおけるNFκB活性抑制作用を有する部位は、酸性アミノ酸領域(配列番号3及び4)であると思われ、従って、少なくとも配列番号3で示される酸性アミノ酸領域を含んでいればよいが、核内移行の観点から配列番号3及び4の双方(32−90番目の配列)と核移行シグナル領域(配列番号5及び6の少なくとも一方、好ましくは双方)とを含んでいることが好ましい。
本発明における上記MTI−IIは、MTI−IIの活性を損なわない付加、削除、変換を含むものであってもよい。
本発明のNFκB作用抑制剤に含まれるMTI−IIが核酸である場合には、適当な発現系によって機能的なMTI−IIペプチドを発現することができればよく、DNA、RNA又はこれらに類する核酸であってもよい。この場合、発現系としてMTI−IIをコードするcDNAを適当なベクター中の適当なプロモーターの下硫に挿入した発現ベクターを作製し、リポソーム等で細胞内に導入すればよい。この結果、細胞内に機能的なMTI−IIを発現させることができる。このために使用可能なベクター及びプロモーターは、後述するものをそのまま用いることができる。
本発明のNFκB作用抑制剤の投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、投与部位、処理時間等により異なるが、核酸分子或いはペプチドとして、通常、成人一人あたり、一回につき10μgから100mgの範囲で、一日一回から数回経口投与されるか、または成人一人あたり、一回につき1μgから100mgの範囲で、一日一回から数回非経口投与される。ただし、前記したように投与量は種々の条件により変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を超えて必要な場合もある。
本発明におけるMIT−IIは、天然物(生体又は培養物)から精製したものを使用してもよく、またその核酸配列又はアミノ酸配列に従って得られたものであってもよい。核酸配列又はアミノ酸配列に従って得る場合には、アミノ酸配列に従ってペプチド合成してもよく、核酸配列を用いた遺伝子組換え技術により生産してもよい。純度や工業的な観点から遺伝子組換え技術による生産が好ましい。
遺伝子組み換え技術を用いてペプチドを生産するための発現系(宿主−ベクター系)としては、例えば、細菌、酵母、昆虫細胞および哺乳動物細胞の発現系が挙げられる。
例えば、大腸菌で発現させる場合には、成熟タンパク部分またはプロフォームタンパク部分をコードするcDNAの5'末端に開始コドン(ATG)を付加し、得られたcDNAを、適当なプロモーターの下流に接続し、大腸菌内で機能するベクターに挿入して発現ベクターを作製する。
ここで用いられるプロモーターとしては、例えば、trpプロモーター、lacプロモーター、λPLプロモーター、T7プロモーターなどを挙げることができ、ベクターとしては、例えば、pBR322、pUC18、pUC19などを挙げることができる。
次に、この発現ベクターで形質転換した大腸菌を適当な培地で培養して、その菌体より目的とするポリペプチドを得ることができる。また、バクテリアのシグナルペプチドを利用すれば、ペリプラズム中に目的とするポリペプチドを分泌することもできる。更に、他のポリペプチドとのフュージョン・プロテイン(fusion protein)を生産することもできる。
ここで用いられる大腸菌としては、例えば、E. Coli DH5α、E. Coli JM109、E. Coli HB101株などをあげることができ、シグナルペプチドとしては、例えば、pelBのシグナルペプチドを挙げることができる。
また、哺乳動物細胞で発現させる場合には、例えば、配列番号1で示される塩基配列をコードするcDNAを適当なベクター中の適当なプロモーターの下流に挿入して発現ベクターを作製する。次に、得られた発現ベクターで適当な哺乳動物細胞を形質転換し、形質転換体を適当な培地で培養することによって、その培養液中に目的とするペプチドが分泌される。以上のようにして得られたペプチドは、一般的な生化学的方法によって単離精製することができる。
ここで用いられるベクターとしては、例えば、レトロウイルスベクター、パピローマウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、SV40系ベクターなどをあげることができ、その中の適当なプロモーターとしては、例えば、SV40プロモーター、SRαプロモーター、LTRプロモーター、メタロチオネインプロモーターなどを挙げることができる。また、ここで用いられる哺乳動物細胞としては、例えば、ヒト未分化好酸球白血病EOL細胞、HeLa細胞、CV−1細胞、COS−7細胞、CHO細胞、マウスL細胞などを挙げることができる。
本発明のNFκB作用抑制剤は、細胞内へのMTI−IIの導入を促進する導入手段を備えたものであることが好ましい。これにより、本発明の薬剤におけるMTI−IIの細胞内への導入が促進されて、NFκBの作用を効果的に抑制することができる。
このような細胞内導入手段としては、好ましくは、MTI−II分子に直接付加されたものであり、例えばタンパク質導入ドメインを挙げることができる。この場合、NFκB作用抑制剤は、MTI−II分子として、タンパク質導入ドメイン融合MTI−IIタンパク質を含む。
このようなタンパク質導入ドメイン(Protein Transduction Domain:PTD)としては、細胞膜透過性を付与することができるすべての物質を挙げることができ、好ましくは7〜11個のアミノ酸からなるペプチド、例えば、HIV−TAT(配列番号7)、HSV/VP22(配列番号8)、ANTENNAPEDIA(配列番号9)、ポリアルギニン等を挙げることができる。
PTDの融合箇所は、MTI−IIペプチドのN末端又はC末端のいずれであってもよいが、MTI−IIのNFκB作用抑制作用や抗炎症作用が中央部からC末端側にあると考えられ、またMTI−IIの核移行シグナルの1つがC末端側にあるので、これらの領域への影響が少ないN末端側に融合させることが好ましい。
また、PTDは、直接的な化学結合によって、又はリンカー分子を介して融合したものであってもよい。リンカー分子を用いる場合には、リンカー分子は2つのドメインを連結させることのできる2価の化学構造物であればよく、短いペプチド、例えば、1〜20個のアミノ酸残基、好ましくは1〜10個のアミノ酸残基を有するものが好ましい。
タンパク質導入ドメイン融合MTI−IIは、ペプチドを化学合成して作製してもよいが、遺伝子工学的に作製することが、純度よく、大量に且つ容易に得ることができるため、好ましい。このような融合タンパク質の製造は、前述した方法と同様の方法で、当業者は容易に実施することができる。
なお、他の細胞内導入手段としては、リポソームを挙げることができる。この場合、常法に従って、MTI−IIをリポソーム内に導入し、次いで細胞内に導入する。ここで用いられるリポソームとしては、細胞内に物質を導入することができればいずれのものであってもよいが、細胞膜への親和性が高い膜融合タンパク質をリポソーム表面に有する膜融合リポソームであることが好ましい。これにより、いっそう効果的に細胞内にMTI−IIを導入することができる。このような膜融合タンパク質としてはセンダイウィルス膜融合タンパク質などを挙げることができる。
また本発明のNFκB作用抑制剤は、MTI−IIに加えてステロイド剤を含むことができる。MTI−IIはステロイド剤と併用することによって協調的に作用し、より効果的にNFκBの作用を抑制することができる。
ここでステロイド剤を含むとは、同一の薬剤中に同時に存在する場合に限らず、ステロイド剤とMTI−IIとの二剤で構成されたものも含む。二剤で構成された場合には、個別に投与された後に、体内で同時に存在し、同一の薬剤として投与した場合と同様の効果を得ることができる。
ここで用いられるステロイド剤としては、通常、生体内でステロイド作用を発揮するもの、特にステロイド受容体に高い親和性で結合して、ステロイド作用を発揮するものといった、この分野でステロイド剤として認識されているものすべて(天然物および合成物の双方を含む)を挙げることができ、例えば、トリムシノロンアセトニド、デキサメサゾン、リン酸デキサメサゾンナトリウム、パルミチン酸デキサメサゾン、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム及び酢酸ベタメタゾンなどの合成ステロイドや、ヒドロコルチゾン、酢酸フルドコルチゾン、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウムなどの生理的ステロイドの合成化合物が挙げられるが、これらに限定されない。これらのステロイド剤は、市販のものをそのまま使用することができる。
本発明のNFκB作用抑制剤におけるステロイド剤の配合量は、各種ステロイド剤の最終濃度に応じて決定することができ、ステロイド剤の濃度は、各種ステロイド剤として通常使用される標準使用量から得られる濃度をそのまま適用することができる。その場合には、MTI−IIによってステロイド剤の効果が増強されているため、通常使用される標準使用量による効果よりも高い効果を期待することができる。また、通常使用される標準使用量による効果と同等の効果を得るためには、ステロイド剤の使用量を減らすことができる。この場合には、MTI−IIにより増強される効果の割合に応じて決定することができ、例えば、通常使用される標準使用量の1/2の量から1/10の量とすることができる。
本発明のNFκB作用抑制剤には、薬学的に許容可能な賦形剤及び/又は担体を更に含むことができる。このような賦形剤及び担体の種類及び量は、後述するNFκB作用抑制剤の剤形に応じて、当業界でこの用途に通常用いられる既知のものから適宜選択することができる。
NFκB作用抑制剤の剤形としては、経口投与のための固体組成物、液体組成物およびその他の組成物、非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤等が挙げられ、経口投与のための固体組成物としては、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、溶液剤等を挙げることができ、更にカプセルは、ソフトカプセルおよびハードカプセルであってもよい。これらの製造方法は、当業界で既知の方法に従って行うことができる。
また本発明のNFκB作用抑制剤は、簡便に適用部位への投与が可能な経皮吸収剤として用いることが好ましく、このような経皮吸収剤の製剤形態としては、従来外用剤として慣用されている剤型、例えばテープ剤、パッチ剤、パップ剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、液剤、ゲル製剤等の剤型の外用剤として使用できる。これらの剤型の外用剤は、通常の粘着剤、基剤等を用いて、通常の方法で製造することができる。
本発明のNFκB作用抑制剤は、ステロイド受容体の転写活性を上げてNFκBの作用を抑制する作用を奏するため、これに応じた種々の活性を有している。このような活性としては、抗炎症活性、抗アレルギー活性、抗自己免疫活性が挙げられる。
この抗炎症活性は、当業界で既知の方法に従ってその活性の有無を確認することができる。このような確認方法としては、例えば炎症性サイトカイン(TNFαなど)の刺激に対するNFκBの転写活性低下作用などを挙げることができる。
本発明の抗炎症剤は、MTI−IIをコードする核酸又はそのペプチドを含むものである。MTI−IIをコードする核酸又はそのペプチドを始めとして、本発明のNFκB作用抑制剤で記載した内容をそのまますべて、本発明の抗炎症剤に対しても適用することができる。特に、上述したステロイド剤を更に含む抗炎症剤では、ステロイド剤とMTI−IIを併用することになるため、MTI−IIのステロイド増強効果が発揮されて、より高い抗炎症効果を期待することができる。
本発明の抗炎症剤の作用は、上述したように各種炎症性サイトカインの刺激に対する緩和を指標として、評価することができる。
本発明のステロイド作用増強剤は、MTI−IIをコードする核酸又はそのペプチドを含むものである。MTI−IIをコードする核酸又はそのペプチドを始めとして、本発明のNFκB作用抑制剤で記載した内容をそのまますべて、本発明のステロイド作用増強剤に対しても適用することができる。
本発明のステロイド作用増強剤が増強するステロイドは、いわゆるステロイド剤(外因性ステロイド)であってもよく、生体内に存在するステロイド骨格を有する化合物(内因性ステロイド)であってもよい。ステロイド剤を対象とする場合には、本ステロイド作用増強剤が使用される前後或いは同時に、ステロイド剤を投与すればよい。また内因性ステロイドを対象とする場合には、対象となる内因性ステロイドが存在する環境下に、本ステロイド作用増強剤を投与すればよい。
本発明で用いられるMTI−IIは、ごく小さく簡単な構造を有しているので、簡便に投与することができると共に、NFκBに直接作用することができるため、効果的に使用することができる。このため、ステロイド剤を使用する場合のような多様な反応性を考慮する必要がない。従って、抗炎症剤として効果的に使用することができる。
また抗炎症剤に限らず、NFκBの作用抑制にかかる炎症性疾患(急性及び慢性肝炎や腎炎、関節炎など)、リウマチ、膠原病などの自己免疫疾患、喘息、花粉症などのアレルギー疾患といった種々の疾患においても、有効にその症状の緩和効果をもたらすことができるため、これらの症状に対する各種薬剤として使用することもできる。従って、MTI−IIをコードする核酸又はそのペプチドを含む本発明の薬学的組成物は、このような各種薬剤としての作用を有するものであり、広い用途に使用できるものである。
更に、MTI−IIは、心臓、肝臓、腎臓に多く発現していることから、本発明の各種薬剤及び薬学的組成物を、これらの組織に特異的に投与する又は送り込むことによって、より強い効果を期待することができる。また、組織間での発現量に相違があることから、MTI−IIの少ない組織にMTI−IIの作用を強く発揮させることによって、高い効果を期待することができる。
このMTI−IIのアンチセンス配列は、細胞中のMTI−IIタンパク質のレベルを制御するために使用することができる。この場合には、MTI−IIをコードする核酸の一部又は全部をアンチセンス方向に上記ベクターに挿入する方法や、U6プロモーターを5'上流に接続したDNA若しくは2本鎖RNAを細胞内に注入する方法等によって、アンチセンス配列を容易に作成し、細胞内で利用することができる。
以下に本発明の実施例について説明するが、これに限定されるものではない。また実施例中の%は、特に断らない限り、重量(質量)基準である。
MTI−IIのペプチド投与実験
配列番号1のMTI−II(Gene Bank Accession No. M24398)を文献(Eur. J. Biochem., (2000), 267, 155-162)の精製手法に従って、精製した。1.0mg/mlの濃度で生理的食塩水に溶解し、5週齢のICRマウス、雄5匹(平均体重28.4g)と雌5匹(平均体重25.0g)の腹腔内に10mg/kg体重となるように投与した。対照として同週齢の雄2匹と雌2匹に生理的食塩水を投与した。投与後、24時間(8時間毎、計3回)にわたり行動異常の有無を観察した。投与24時間目に屠殺、解剖し、肝臓、腎臓、脾臓、小腸、大腸、胸腺の腫脹および腹腔内の血管の腫脹を肉眼的に観察した。結果、すべての検体において行動異常および肝臓、腎臓、脾臓、小腸、大腸、胸腺、血管の腫脹は確認できなかった。
DNAコンストラクション
DNAトランスフェクションに使用したMTI−II発現ベクター(pTri−MTI)は、以下のようにして作製した。
MTI−II(配列番号1;Gene Bank Accession No. M24398)のcDNAを、RT−PCR法によって、HeLa細胞より摂取したmRNAから増幅した。増幅したMTI−IIのcDNAを、pTriEx−4ベクター(Novagen社、カタログ番号:70824-3)のNco I−Hind III部位に組み込んで、MTI−II発現ベクター(pTri−MTI)を構築した。ステロイド受容体(GR)発現ベクター(pTri−GR)は、ラットmRNAからRT−PCR法で増幅したGRのcDNA(Gene Bank Accession No. M14053)を、pTriEx−4ベクターのBgl II−Not I部位に組み込んで構築した。
コントロール用プラスミド(pTri−NC)は、pTriEx−4ベクターをXcm I、EcoR Iで切断除去した後にセルフライゲーションを行って構築した。NFκB依存性ルシフェラーゼ発現プラスミド(NFκB−Luc)はクローンテック社(カタログ番号:6053-1)、コントロール用ウミシイタケ・ルシフェラーゼ発現プラスミド(pRL−TK)はプロメガ社(カタログ番号:E2241)より購入した。
DNAトランスフェクション
各種DNAのトランスフェクションは、プロメガ社のTransFast(商品名、カタログ番号:E2431)トランスフェクションプロトコールに基本的に従って行った。以下にこれを簡単に説明する。
COS−7細胞を、6ウェルプレート(ファルコン社製、カタログ番号:35-3046)の1ウェルあたり3.5個〜3.8個×105細胞となるように播種し、56℃非動化10%FBS(ウシ胎児血清;ハイクローン社製、カタログ番号:SH30070.03)を添加したDMEM培地中で5%CO2及び37℃の条件下で培養した。18時間後に、チャコール・デキストラン処理(C/D処理)したFBS(C/D−FBS、ハイクローン社製、カタログ番号:SH30068.03)入りのDMEM培地に換えた。
実施例2で構築した各プラスミドを、表1に示されるように配合して、各サンプル4.12μgに調整し、それぞれをTransFast(商品名)試薬(12.3μl)と混合して、10〜15分間インキュベートした。
各ウェルの培地を交換した後に、表1に示される量に従って各種プラスミドDNAを各ウェルに添加して1時間インキュベートし、各DNAをCOS−7細胞にトランスフェクトした。導入効率は、34%であった。
Figure 0004874798
ルシフェラーゼアッセイ
上述のようにしてDNAをトランスフェクトした細胞に対して、24時間後に、終濃度1ng/mlとなるように炎症性サイトカイン(TNFα、シグマ社製)及び終濃度120nMとなるようにステロイド剤(トリアムシノロンアセトニド:TA、シグマ社製)を添加した。更に24時間後に細胞内のルシフェラーゼ活性を、デュアル・ルシフェラーゼ定量システム(プロメガ社製)を用い、ルミノメータ(Turner BioSystems TD-20/20、プロメガ社)で測定した。結果を図1に示す。図1では縦軸にNFκBの転写活性を示すルシフェラーゼ活性を示し、黒丸はTNFαのみ添加、黒三角はTNFα及びTA双方を添加、白三角はTAのみ添加、白丸はTNFα及びTA双方を添加せず、をそれぞれ示す。
図1に示されるように、MTI−IIが含まれていない状態(MTI−IIが0μg)では、TNFαのみを添加(黒丸)すると、TNFα未添加と比較して約10倍のルシフェラーゼ活性を示し、TNFαの添加によってNFκBの転写活性が高まることが示された。また、TNFαに加えてステロイド剤を添加すると、NFκB転写が抑制されることが示された。
これに対して、MTI−IIを発現させると量に依存してNFκBの転写活性が抑制されることが示された。特に、1μg以上の発現ベクターによるMTI−IIが存在するとNFκBの転写抑制は著しく顕著になり、約2μg以上の添加量になると、ステロイドによるNFκBの転写抑制効果よりも効果的であることが明らかとなった。
また、MTI−IIとステロイド剤とを併用することによって、NFκB作用をより一段と抑制することができた。このことは、MTI−IIによってステロイド剤の効果が増強されることを示している。
従って、MTI−IIには、効果的なNFκB作用抑制効果があることが明らかである。またステロイド剤と併用することによって、その抑制効果を高めることができることも明らかである。このため、MTI−IIを含む本発明のNFκB作用抑制剤及び抗炎症剤を用いれば、効果的に且つ確実にNFκBの作用を抑制し、また抗炎症効果をえることができる。更に、ステロイド剤の効果を増強することができるので、ステロイド剤の使用量を減らしても、同等の効果をもたらすことができる。
MTI−IIのコアクチベータ存在下でのNFκB作用抑制効果
次に、MTI−IIの作用部位を確認するために、NFκBの転写活性に作用するコアクチベータp300の発現時におけるMTI−IIの作用について調べた。
コアクチベータp300発現プラスミド(pCMVβ−p300)は、アップステート社より購入した。DNAトランスフェクションは、DNA量をそれぞれ2.0μgとし、pTri−NC又はpTri−MTIを1.0μgとした以外は実施例3と同様にして行い、NFκB転写活性測定は、実施例4と同様にして行った。結果を図2に示す。
図2に示されるように、p300の発現時ではTNFαを添加するとNFκBの転写活性は著しく高くなる(図3中央)。このとき、ステロイド剤を添加することによってNFκBの活性は約半分に抑制することができた(図3中央)。
これに対してp300と共にMTI−IIを発現させた場合及び更にステロイド剤を添加した場合では、それぞれMTI−IIを発現させなかった場合と比較して、NFκBの活性は約半分以上まで抑制された(図3右)。特に、ステロイド剤と併用した場合には、コアクチベータが発現している場合であってもコアクチベータ不存在時(図3左)の約半分までNFκBの活性を抑制することができた。
従って、MTI−IIは、コアクチベータ存在時であってもNFκBの転写活性を確実に且つ効果的に抑制することができた。
酸性アミノ酸領域のNFκB作用抑制効果
次に、MTI−IIによるNFκB作用抑制効果がMTI−IIアミノ酸のうちのどの領域によって行われているかを確認した。
図3Aに示されるように、MTI−IIのアミノ酸領域は、サイモシン類似領域と、酸性アミノ酸領域(配列番号3及び4)と、核移行シグナル領域(配列番号5及び6)とを含んでいる。このため、N末端側のサイモシン類似領域とC末端側の核移行シグナル(配列番号6)を含み、酸性アミノ酸領域を欠損した変異体[MTI(TH)]と、酸性アミノ酸領域(配列番号3及び4)を含み、N末端側のサイモシン類似領域を欠損した変異体[MTI(AR)]と、核移行シグナル(配列番号5及び6)を含み、N末端側のサイモシン類似領域及び中央部の酸性アミノ酸領域(配列番号3)を欠損した変異体[MTI(NLS)]をそれぞれ細胞内で発現するベクターを作製した。
それぞれの変異体のベクターDNA(3.0μg)とNFκB依存性ルシフェラーゼ発現プラスミド(1.0μg)とを、実施例3及び4と同様にして、COS−7細胞にトランスフェクトし、細胞内のルシフェラーゼ活性を測定した。結果を図3Bに示す。
図3Bに示されるように、TNFαのみを添加した場合及びステロイド剤を併用した場合の双方において、MTI(TH)及びMTI(NLS)の両方と比較して、MTI(AR)ではNFκB作用抑制効果が大きかった。従って、MTI−IIのうち、酸性アミノ酸領域がNFκB作用抑制効果に寄与していることが明らかとなった。
従って、MTI−IIを用いる場合には、サイモシン類似領域が含まれていなくてもNFκB作用抑制効果が得られることが明らかとなった。
TAT−MTI−II融合タンパク質の合成
HisTag−TAT−MTI−II融合タンパク質を、以下のようにして得た。
pTriEx-4ベクターのPst I−Hind IIIサイトにMTI−IIのcDNAをインサートして、HisTag−MTI−II発現ベクターを作成した。次にこの発現ベクターのXcm I−Pst IサイトにTAT cDNA配列を含む合成DNA(配列番号10:CTCTGGTCCCCCGGGGCAGCCGTCGTCGTCAACGTCGTAAAAAACGTGGTCTGCA)をインサートした。このHisTag−TAT−MTI−II発現ベクターを大腸菌(Rosetta2 pLacI cell, Novagen社)にトランスフェクトし、IPTG存在下でHisTag−TAT−MTI−IIタンパク質を大量発現させた。大腸菌を大腸菌発現タンパク質抽出試薬BugBuster(Novagen社)で溶解した後、HisTagに対するアフィニティーカラム(Clontech社)および陰イオン交換体(MonoQカラム、アマシャムバイオサイエンス社)と陽イオン交換体(MonoSカラム、アマシャムバイオサイエンス社)で、電気泳動的に単一にまで精製した。これによってHisTag−TAT融合MTI−IIタンパク質(HisTag−TAT−MTI−II)を得た(配列番号11、図4参照)。
TAT−MTI−IIタンパク質の細胞導入
HeLa細胞を6−wellプレートに1well当り2.0×105細胞になるように蒔いて、10%FBS(fetal bovine serum: 牛胎児血清)入りのDMEM(HyClone社製)培養液で18時間培養した。その後、培養液をチャコール・デキストラン処理(C/D処理)したFBS(C/D−FBS)入りの培養液に交換した。更に24時間後に、下記表2に示される量に従って配合した各種プラスミドDNAを各ウェルに添加して、このHeLa細胞にNFκB−Luc遺伝子をトランスフェクトした。
Figure 0004874798
トランスフェクション24時間後に、各ウェルのHeLa細胞に対して、実施例7で作成されたHisTag−TAT−MTI−II融合タンパク質を表3に示される量に従って添加し、その6時間後に炎症性サイトカイン(TNFα、シグマ社製)を1ng/mlの量で更に添加した。24時間後に、実施例4と同様にして、細胞内のルシフェラーゼ活性をデュアル・ルシフェラーゼ定量システム(プロメガ社製)により定量した。結果を図4に示す。
Figure 0004874798
図5に示されるように、TNFαと共にHisTag−TAT−MTI−IIを添加した場合には、TAT−MTI−IIの用量に依存して、NFκBの転写活性が抑制された。このことは、タンパク質導入ドメインとしてTATを融合させることによって、MTI−II分子は、細胞内に効果的に輸送されて、NFκB作用を抑制したことを示している。従って、タンパク質導入ドメインを融合したMTI−IIは、細胞内に効率よく取り込まれて本発明の作用を発揮できることが明らかとなった。
ウサギ(New Zealand White種)3羽に一次感作としてovalbumin (OVA) +完全フロイントアジュバント(Freund's complete adjuvant ;FCA)を背部に1回皮内投与した。2週間後に、二次感作としてOVA+FCAを背部に1回皮内投与した。さらに惹起投与として二次感作の5日後にOVAを右膝関節内に1回投与した。HisTag−TAT−MTI−II溶液(0.4mg/ml PBS溶液)をOVA惹起投与1日前より、1日おきに右膝関節内に投与した。ただし、OVA惹起投与翌日より5日間は毎日1回投与した。投与期間は14日間(投与回数:計10回)で、対照群にはPBSを右膝関節内に投与した。血液沈降速度測定と両膝関節の病理標本より抗炎症作用の検討を行った。これらの結果は、TAT−MTI−II溶液投与群における抗炎症効果を示唆している。
これらの実施例で示されるように、MTI−II、少なくともその酸性アミノ酸領域を用いることによって確実に且つ効果的にNFκBの作用を抑制することができた。この効果は、DNAと同様にペプチドを投与することによっても得ることができる。従って、MTI−IIを含む本発明のNFκB作用抑制剤及び抗炎症剤は、確実に且つ効果的にNFκBの作用を抑制することができ、また炎症反応を抑制し、NFκBに関連する他の状態を緩和することができる。
またステロイド剤との併用を行うことによって、ステロイド剤の作用を増強することから、使用するステロイド剤の量を減らして同等の効果を奏することができる。

Claims (17)

  1. MTI−IIをコードする核酸又はそのペプチドを有効成分として含むNFκB作用抑制剤。
  2. 前記MTI−IIが、配列番号1の核酸であることを特徴とする請求項1記載のNFκB作用抑制剤。
  3. 前記MTI−IIが、配列番号2のペプチドであることを特徴とする請求項1記載のNFκB作用抑制剤。
  4. 前記MTI−IIが、配列番号3のペプチドを少なくとも含むものであることを特徴とする請求項1記載のNFκB作用抑制剤。
  5. 前記MTI−IIが、タンパク質導入ドメイン融合MTI−IIであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のNFκB作用抑制剤。
  6. ステロイド剤を更に含む請求項1乃至5のいずれか1項記載のNFκB作用抑制剤。
  7. 前記MTI−IIが、配列番号5及び/又は配列番号6のペプチド、又はそれをコードする核酸を少なくとも含むものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のNFκB作用抑制剤。
  8. MTI−IIをコードする核酸又はそのペプチドを有効成分として含む抗炎症剤。
  9. 前記MTI−IIが、配列番号1の核酸であることを特徴とする請求項8記載の抗炎症剤。
  10. 前記MTI−IIが、配列番号2のペプチドであることを特徴とする請求項8記載の抗炎症剤。
  11. 前記MTI−IIが、タンパク質導入ドメイン融合MTI−IIであることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項記載の抗炎症剤。
  12. 更にステロイド剤を含む請求項8乃至11のいずれか1項記載の抗炎症剤。
  13. 前記MTI−IIが、配列番号5及び/又は配列番号6のペプチド、又はそれをコードする核酸を少なくとも含むものであることを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項記載の抗炎症剤。
  14. MTI−IIをコードする核酸又はそのペプチドを有効成分として含むステロイド作用増強剤であって、ここで、前記MTI−IIをコードする核酸又はそのペプチドが、MTI−IIの酸性アミノ酸領域をコードする核酸又はそのペプチドを含む当該ステロイド作用増強剤。
  15. 前記MTI−IIの酸性アミノ酸領域が、配列番号3のペプチドを少なくとも含むものであることを特徴とする請求項14記載のステロイド作用増強剤。
  16. 前記MTI−IIが、タンパク質導入ドメイン融合MTI−IIであることを特徴とする請求項14又は15記載のステロイド作用増強剤。
  17. 前記MTI−IIが、配列番号5及び/又は配列番号6のペプチド、又はそれをコードする核酸を少なくとも含むものであることを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1項記載のステロイド作用増強剤。
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