ところで、インテグレータロッドの光射出面と電気光学変調装置の画像形成領域とは共役の関係となるため、インテグレータロッドの光射出面の形状と画像形成領域の平面形状とは略相似の関係となる。通常、画像形成領域における照明光軸に直交する縦方向の寸法と照明光軸に直交する横方向の寸法とは異なる(例えば、縦横比が3:4又は9:16である。)ことから、インテグレータロッドの光射出面も同様に縦方向の寸法と横方向の寸法とが異なることとなる。これにより、従来の照明装置においては、以下のような問題があった。
図8は、従来の照明装置における問題点を説明するために示す図である。図8(a)は従来の照明装置におけるインテグレータロッド940を上から見た図であり、図8(b)はインテグレータロッド940を横から見た図であり、図8(c)はインテグレータロッド940の光射出面940oを示す図である。
なお、ここでは、従来の照明装置を、画像形成領域の縦横比が3:4の平面視長方形状である電気光学変調装置を有するプロジェクタに用いる場合について例示して説明しているため、インテグレータロッド940の光射出面940oは、縦横比が3:4の平面視長方形状からなる形状を有している(図8(c)参照。)。また、インテグレータロッド940の光入射面940iも、光射出面940oと同様の形状を有している。
従来の照明装置においては、図8に示すように、インテグレータロッド940の光射出面940oにおける縦方向の寸法(DA)と横方向の寸法(DB)とが異なるため、図8(a)に示す方向から入射する照明光束と、図8(b)に示す方向から入射する照明光束とでは、内面反射回数に違いが生じてしまう。すなわち、インテグレータロッド940の光入射面940iに対して縦方向から入射する照明光束(図8(b)に示す照明光束)よりも、インテグレータロッド940の光入射面940iに対して横方向から入射する照明光束(図8(a)に示す照明光束)の方が、内面反射回数が少なくなり、光均一化効果が弱められてしまう。このため、所定の光均一化効果を得るためには、インテグレータロッドの長さを長くする必要が生じてしまうという問題があった。また、その結果、照明装置を小型化するのが容易ではないという問題があった。
そこで、本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、照明装置の小型化を図りつつ、照明装置から射出される照明光束をより均一な面内光強度分布を有する照明光束にすることが可能な照明装置を提供することを目的とする。また、そのような優れた照明装置を備え、プロジェクタの小型化を図りつつ、投写面に投写される画像の明るさをより均一にすることが可能なプロジェクタを提供することを目的とする。
本発明の発明者は、上記目的を達成するために鋭意努力を重ねた結果、第1の方向に沿った寸法が第2の方向に沿った寸法よりも短く設定された形状を有する光射出面からなるインテグレータロッドを備える照明装置においては、インテグレータロッドの光入射面に対して第2の方向から入射する照明光束の入射角を、インテグレータロッドの光入射面に対して第1の方向から入射する照明光束の入射角に比べて大きくすることによって、照明装置の小型化を図りつつ、照明装置から射出される照明光束をより均一な面内光強度分布を有する照明光束にすることが可能となることに想到し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の照明装置は、被照明領域側に集束性の照明光束を射出する光源装置と、前記光源装置からの照明光束をより均一な面内光強度分布を有する照明光束に変換するインテグレータロッドとを備える照明装置であって、前記インテグレータロッドにおける光射出面は、照明光軸に直交する第1の方向に平行な2辺と照明光軸及び前記第1の方向に直交する第2の方向に平行な2辺とを有し、かつ、前記第1の方向に沿った寸法が前記第2の方向に沿った寸法よりも短く設定された形状を有し、前記光源装置と前記インテグレータロッドとの間に配置され、前記第2の方向の屈折力が前記第1の方向の屈折力よりも大きなアナモフィックレンズをさらに備えることを特徴とする。
このため、本発明の照明装置によれば、第1の方向に沿った寸法が第2の方向に沿った寸法よりも短く設定された形状を有する光射出面からなるインテグレータロッドの光路前段に、第2の方向の屈折力が第1の方向の屈折力よりも大きなアナモフィックレンズが配置されているため、第2の方向から入射する照明光束の入射角を第1の方向から入射する照明光束の入射角に比べて大きくすることができる。このため、第2の方向から入射する照明光束は、より深い角度で(第1の方向から入射する照明光束の反射角度よりも小さな反射角度で)全反射しながらインテグレータロッド中を進行することとなるため、内面反射回数が第1の方向から入射する照明光束に比べて少なくなってしまうのが抑制され、インテグレータロッドにおける光均一化効果が弱められてしまうことが抑制される。また、上記したアナモフィックレンズの機能によって、インテグレータロッドの光入射面における照射スポットの大きさを、第2の方向に沿って大きくすることができる。
その結果、照明装置から射出される照明光束をより均一な面内光強度分布を有する照明光束にすることができる。
また、本発明の照明装置によれば、インテグレータロッドの長さを長くしなくても、照明装置から射出される照明光束をより均一な面内光強度分布を有する照明光束にすることができるため、照明装置の小型化を図るのが容易になる。
このため、本発明の照明装置は、照明装置の小型化を図りつつ、照明装置から射出される照明光束をより均一な面内光強度分布を有する照明光束にすることが可能な照明装置となる。
本発明の照明装置においては、前記アナモフィックレンズとして、例えば、前記第2の方向に正の屈折力を有し前記第1の方向に屈折力を有しないシリンドリカルレンズや、前記第2の方向の屈折力が前記第1の方向の屈折力よりも大きなトーリックレンズ(トロイダルレンズ)などを好適に用いることができる。
ところで、光源装置及びインテグレータロッドに加えて、インテグレータロッドから射出される偏光方向の揃っていない照明光束を略1種類の直線偏光に揃える偏光変換素子をさらに備える照明装置が知られている(例えば、特開2002−268008号公報参照。)。
このような偏光変換素子をさらに備える照明装置においても、従来の照明装置の場合と同様に、インテグレータロッドに入射する照明光束の入射方向によって内面反射回数に違いが生じるため、入射方向によっては内面反射回数が少なくなってしまい、光均一化効果が弱められてしまうことがある。このため、偏光変換素子をさらに備える照明装置においても、従来の照明装置の場合と同様に、所定の光均一化効果を得るためには、インテグレータロッドの長さを長くする必要が生じてしまうという問題があった。また、その結果、照明装置を小型化するのが容易ではないという問題があった。
本発明の発明者は、上記のような偏光変換素子をさらに備える照明装置に対しても、本発明の照明装置の考え方を適用することによって、上記した問題を解決することができることを見出し、本発明の他の照明装置を完成させるに至った。
すなわち、本発明の他の照明装置は、被照明領域側に集束性の照明光束を射出する光源装置と、前記光源装置からの照明光束をより均一な面内光強度分布を有する照明光束に変換するインテグレータロッドと、前記インテグレータロッドからの照明光束のうち一方の直線偏光成分に係る照明光束を透過し他方の直線偏光成分に係る照明光束を反射する偏光分離層と、前記偏光分離層からの他方の直線偏光成分に係る照明光束を照明光軸に平行な方向に向けて反射する反射層と、前記偏光分離層を透過した一方の直線偏光成分に係る照明光束が通過する部分又は前記反射層で反射された他方の直線偏光成分に係る照明光束が通過する部分のいずれかに配置されるλ/2板とを有する偏光変換素子とを備える照明装置であって、前記インテグレータロッドにおける光射出面は、照明光軸に直交する第1の方向に平行な2辺と照明光軸及び前記第1の方向に直交する第2の方向に平行な2辺とを有し、かつ、前記第1の方向に沿った寸法が前記第2の方向に沿った寸法よりも長く設定された形状を有し、前記光源装置と前記インテグレータロッドとの間に配置され、前記第1の方向の屈折力が前記第2の方向の屈折力よりも大きなアナモフィックレンズをさらに備えることを特徴とする。
このため、本発明の他の照明装置によれば、第1の方向に沿った寸法が第2の方向に沿った寸法よりも長く設定された形状を有する光射出面からなるインテグレータロッドの光路前段に、第1の方向の屈折力が第2の方向の屈折力よりも大きなアナモフィックレンズが配置されているため、第1の方向から入射する照明光束の入射角を第2の方向から入射する照明光束の入射角に比べて大きくすることができる。このため、第1の方向から入射する照明光束は、より深い角度で(第2の方向から入射する照明光束の反射角度よりも小さな反射角度で)全反射しながらインテグレータロッド中を進行することとなるため、内面反射回数が第2の方向から入射する照明光束に比べて少なくなってしまうのが抑制され、インテグレータロッドにおける光均一化効果が弱められてしまうことが抑制される。また、上記したアナモフィックレンズの機能によって、インテグレータロッドの光入射面における照射スポットの大きさを、第1の方向に沿って大きくすることができる。
その結果、照明装置から射出される照明光束をより均一な面内光強度分布を有する照明光束にすることができる。
また、本発明の他の照明装置によれば、インテグレータロッドの長さを長くしなくても、照明装置から射出される照明光束をより均一な面内光強度分布を有する照明光束にすることができるため、照明装置の小型化を図るのが容易になる。
このため、本発明の他の照明装置は、上記した本発明の照明装置と同様に、照明装置の小型化を図りつつ、照明装置から射出される照明光束をより均一な面内光強度分布を有する照明光束にすることが可能な照明装置となる。
本発明の他の照明装置においては、前記アナモフィックレンズとして、例えば、前記第1の方向に正の屈折力を有し前記第2の方向に屈折力を有しないシリンドリカルレンズや、前記第1の方向の屈折力が前記第2の方向の屈折力よりも大きなトーリックレンズ(トロイダルレンズ)などを好適に用いることができる。
本発明の他の照明装置においては、前記インテグレータロッドの光射出面における前記第1の方向に沿った寸法は、前記偏光変換素子における前記第1の方向に沿った寸法と略同一であり、前記インテグレータロッドの光射出面における前記第2の方向に沿った寸法は、前記偏光変換素子における前記第2の方向に沿った寸法の略半分であることが好ましい。
このように構成することにより、インテグレータロッドからの照明光束が効率よく偏光変換素子の偏光分離層に入射され、光利用効率を低下させることが極力抑制される。
本発明の他の照明装置においては、前記インテグレータロッドの光射出面と前記偏光変換素子の光入射面とは、接着されていることが好ましい。
このように構成することにより、インテグレータロッドと偏光変換素子との間における望ましくない多重反射が抑制され、光利用効率が低下したり迷光レベルが上昇したりすることがなくなる。また、インテグレータロッドと偏光変換素子とを容易に一体化することができる。また、インテグレータロッドと偏光変換素子との間において、装置組み立て後における位置ずれの発生を未然に防止することができる。
この場合、インテグレータロッド及び偏光変換素子とほぼ同じ屈折率を有する接着剤を用いることがより好ましい。
本発明の他の照明装置においては、前記偏光変換素子の光路後段に配置され、前記偏光変換素子からの照明光束の面内光強度分布を均一化する機能を有する導光部材をさらに備えることが好ましい。
このように構成することにより、偏光変換素子から射出される照明光束の面内光強度分布をより均一なものとすることができる。
本発明の他の照明装置においては、前記導光部材は、中空の導光部材であってもよいし、中実の導光部材であってもよい。
中空の導光部材としては、例えば4枚の反射ミラーにおける反射面を内側に向けて貼り合わせた筒状のライトトンネルなどを好適に用いることができる。また、中実の導光部材としては、例えば内面全反射タイプの中実の光学ブロックなどを好適に用いることができる。
ここで、前記導光部材として中実の導光部材を用いる場合には、前記偏光変換素子の光射出面と前記導光部材の光入射面とは、接着されていることが好ましい。
このように構成することにより、偏光変換素子と導光部材との間における望ましくない多重反射が抑制され、光利用効率が低下したり迷光レベルが上昇したりすることがなくなる。また、偏光変換素子と導光部材とを容易に一体化することができる。また、偏光変換素子と導光部材との間において、装置組み立て後における位置ずれの発生を未然に防止することができる。
この場合、偏光変換素子及び導光部材とほぼ同じ屈折率を有する接着剤を用いることがより好ましい。
本発明の照明装置又は本発明の他の照明装置においては、前記アナモフィックレンズと前記インテグレータロッドとは、離隔して配置されていることが好ましい。
このように構成することにより、アナモフィックレンズとインテグレータロッドとの位置調整を容易に行うことができるようになる。また、アナモフィックレンズとインテグレータロッドとは離隔して配置されているため、熱的影響を小さくすることができる。
この場合、アナモフィックレンズの光入射面及び光射出面並びにインテグレータロッドの光入射面には、減反射膜がコーティングされていることが好ましい。
これにより、アナモフィックレンズの光入射面及びインテグレータロッドの光入射面に入射する照明光束並びにアナモフィックレンズの光射出面から射出される照明光束における不要な反射の発生を抑制することができる。
本発明の照明装置又は本発明の他の照明装置においては、前記アナモフィックレンズの光射出面と前記インテグレータロッドの光入射面とは、接着されていることが好ましい。
このように構成することにより、アナモフィックレンズとインテグレータロッドとの間における望ましくない多重反射が抑制され、光利用効率が低下したり迷光レベルが上昇したりすることがなくなる。また、アナモフィックレンズとインテグレータロッドとを容易に一体化することができる。また、アナモフィックレンズとインテグレータロッドとの間において、装置組み立て後における位置ずれの発生を未然に防止することができる。さらにまた、インテグレータロッドとして、通常のインテグレータロッドを用いることができるため、製造コストを低減することができるようになる。
この場合、アナモフィックレンズ及びインテグレータロッドとほぼ同じ屈折率を有する接着剤を用いることがより好ましい。
本発明の照明装置又は本発明の他の照明装置においては、前記アナモフィックレンズと前記インテグレータロッドとは、一体成形されていることが好ましい。
このように構成することにより、アナモフィックレンズとインテグレータロッドとの間における望ましくない多重反射が抑制され、光利用効率が低下したり迷光レベルが上昇したりすることがなくなる。また、アナモフィックレンズとインテグレータロッドとは一体成形されているため、アナモフィックレンズとインテグレータロッドとの間において、装置組み立て後における位置ずれが発生することもない。
この場合、アナモフィックレンズ及びインテグレータロッドは、棒状の部材の一方の端部をレンズ加工した後に、他の5面を平面研削・研磨することにより製造することもできるし、直方体形状のロッドの一方の端部をレンズ加工することにより製造することもできる。
本発明のプロジェクタは、本発明の照明装置又は本発明の他の照明装置と、前記照明装置からの照明光束を画像情報に応じて変調する電気光学変調装置と、前記電気光学変調装置によって変調された光を投写する投写光学系とを備えることを特徴とする。
このため、本発明のプロジェクタは、上記のように優れた照明装置を備えているため、プロジェクタの小型化を図りつつ、投写面に投写される画像の明るさをより均一にすることが可能なプロジェクタとなる。
この場合、前記電気光学変調装置としては、透過型の液晶装置であってもよいし、反射型の液晶装置であってもよいし、マイクロミラー型光変調装置であってもよい。
本発明のプロジェクタにおいては、前記照明装置と前記電気光学変調装置との間に、前記照明装置からの照明光束を複数の色光に分離して被照明領域に導光する色分離導光光学系をさらに備え、前記電気光学変調装置として、前記色分離導光光学系から射出される複数の色光をそれぞれの色光に対応する画像情報に応じて変調する複数の電気光学変調装置が設けられていることが好ましい。
このように構成することにより、投写面に投写される画像の明るさをより均一にすることができ、かつ、小型化の容易なプロジェクタを、画像品質の優れた(例えば3板式の)フルカラープロジェクタとすることができるようになる。
以下、本発明の照明装置及びプロジェクタについて、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
[実施形態1]
まず、実施形態1に係る照明装置100及びプロジェクタ1000の構成について、図1を用いて説明する。
図1は、実施形態1に係る照明装置100及びプロジェクタ1000を説明するために示す図である。図1(a)はプロジェクタ1000の光学系を上から見た図であり、図1(b)はプロジェクタ1000の光学系を横から見た図であり、図1(c)はアナモフィックレンズ120Aの斜視図であり、図1(d)はカラーホイール130の正面図である。
なお、以下の説明においては、互いに直交する3つの方向をそれぞれz軸方向(図1(a)における照明光軸100ax方向)、x軸方向(図1(a)における紙面に平行かつz軸に直交する方向)及びy軸方向(図1(a)における紙面に垂直かつz軸に直交する方向)とする。
実施形態1に係るプロジェクタ1000は、図1(a)及び図1(b)に示すように、照明光束を射出する照明装置100と、照明装置100からの光を被照明領域に導くリレー光学系300と、リレー光学系300からの光を画像情報に応じて変調する電気光学変調装置としてのマイクロミラー型光変調装置400と、マイクロミラー型光変調装置400によって変調された光をスクリーンSCR等の投写面に投写する投写光学系600とを備えるプロジェクタである。
実施形態1に係る照明装置100は、照明光束を射出する光源装置110と、光源装置110からの照明光束をより均一な面内光強度分布を有する照明光束に変換するインテグレータロッド140Aとを備える照明装置である。また、照明装置100は、光源装置110とインテグレータロッド140Aとの間に配置されるアナモフィックレンズ120A及びカラーホイール130をさらに備えている。
光源装置110は、楕円面リフレクタ114と、楕円面リフレクタ114の第1焦点近傍に発光中心を有する発光管112と、発光管112に設けられ、発光管112から被照明領域側に射出される光を楕円面リフレクタ114に向けて反射する反射手段としての補助ミラー116とを有している。光源装置110は、照明光軸100axを中心軸とする照明光束を射出する。
発光管112は、管球部と、管球部の両側に延びる一対の封止部とを有している。
楕円面リフレクタ114は、発光管112の一方の封止部に挿通・固着される筒状の首状部と、発光管112から放射された光を第2焦点位置に向けて反射する反射凹面とを有している。
補助ミラー116は、発光管112を挟んで楕円面リフレクタ114と対向して設けられ、発光管112から放射された光のうち楕円面リフレクタ114に向かわない光を発光管112に戻し楕円面リフレクタ114に入射させる。
カラーホイール130は、図1(d)に示すように、回転方向に沿って区切られた4つの扇形の領域に3つの透過型のカラーフィルタ132R,132G,132Bが形成された円板状部材である。カラーホイール130の中心部分には、カラーホイール130を回転させるためのモータ134が配設されている。
カラーフィルタ132Rは、光源装置110からの照明光束のうち、赤の波長領域の光を透過し、他の波長領域の光を反射又は吸収することにより、赤色光成分のみを透過するものである。同様に、カラーフィルタ132G,132Bは、それぞれ、光源装置110からの照明光束のうち、緑又は青の波長領域の光を透過し、他の波長領域の光を反射又は吸収することにより、緑色光成分又は青色光成分のみを透過するものである。カラーフィルタ132R,132G,132Bは、例えば、誘電体多層膜や、塗料を用いて形成されたフィルタ板などを好適に用いることができる。4つの扇形の領域において、カラーフィルタ132R,132G,132B以外の部分は、透光領域132Wとなっており、光源装置110からの照明光束がそのまま通過できるようになっている。この透光領域132Wにより、投写画像中の輝度を上げることができ、投写画像の明るさを確保することができる。
なお、カラーホイール130は省略することも可能であり、この場合における投写画像はモノクロ画像となる。
インテグレータロッド140Aは、楕円面リフレクタ114の第2焦点近傍に光入射面140Aiを有し、インテグレータロッド140Aの内面で多重反射させることにより、カラーホイール130からの照明光束をより均一な面内光強度分布を有する照明光束に変換する機能を有する光学部材である。インテグレータロッド140Aとしては、例えば、中実のガラスロッドを好適に用いることができる。
なお、アナモフィックレンズ120Aについては、詳細に後述する。
リレー光学系300は、リレーレンズ310と、反射ミラー320と、集光レンズ330とを有し、照明装置100からの照明光束をマイクロミラー型光変調装置400の画像形成領域に導く機能を有している。
リレーレンズ310は、集光レンズ330とともに、インテグレータロッド140Aからの照明光束を発散させずにマイクロミラー型光変調装置400の画像形成領域上に結像させる機能を有している。なお、図1(a)及び図1(b)に示すリレーレンズ310は1枚のレンズで構成されているが、複数のレンズを組み合わせた複合レンズで構成されていてもよい。
反射ミラー320は、照明光軸100axに対して傾斜して配置され、リレーレンズ310からの照明光束を曲折し、マイクロミラー型光変調装置400へと導光する。これにより、プロジェクタをコンパクトにすることができる。
集光レンズ330は、リレーレンズ310及び反射ミラー320からの照明光束をマイクロミラー型光変調装置400の画像形成領域上にほぼ重畳させ、かつ、マイクロミラー型光変調装置400によって変調された光を投写光学系600とともに拡大投写するものである。
マイクロミラー型光変調装置400は、リレー光学系300からの光を画像情報に応じて各画素に対応するマイクロミラーで反射することにより、画像を表す画像光を投写光学系600へと射出する機能を有する反射方向制御型光変調装置である。マイクロミラー型光変調装置400としては、例えば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)(TI社の商標)を用いることができる。
また、マイクロミラー型光変調装置400としては、「y軸方向に沿った縦寸法:x軸方向に沿った横寸法=3:4の長方形」の平面形状を有する画像形成領域を有するマイクロミラー型光変調装置を用いている。
マイクロミラー型光変調装置400から射出される画像光は、投写光学系600によって拡大投写され、スクリーンSCR上で大画面画像を形成する。
マイクロミラー型光変調装置400と投写光学系600とは、それぞれの中心軸が一致するように配置されている。なお、実施形態1に係るプロジェクタ1000をあおり投写の構成を有するプロジェクタとする場合には、マイクロミラー型光変調装置400の中心軸に対して投写光学系600の投写光軸600axがあおり方向にずれるように構成することが好ましい。
実施形態1に係る照明装置100は、インテグレータロッド140Aの光射出面140Ao(及び光入射面140Ai)の形状並びにアナモフィックレンズ120Aを備えることを特徴としている。以下、詳細に説明する。
図2は、実施形態1に係る照明装置100を説明するために示す図である。図2(a)は照明装置100を上から見たときの照明光束を模式的に示す図であり、図2(b)は照明装置100を横から見たときの照明光束を模式的に示す図であり、図2(c)はインテグレータロッド140Aの光入射面140Aiにおける面内光強度分布を示す図であり、図2(d)はインテグレータロッド140Aの光射出面140Aoにおける面内光強度分布を示す図である。
図3は、実施形態1の比較例に係る照明装置100aを説明するために示す図である。図3(a)は照明装置100aを上から見たときの照明光束を模式的に示す図であり、図3(b)は照明装置100aを横から見たときの照明光束を模式的に示す図であり、図3(c)はインテグレータロッド140Aの光入射面140Aiにおける面内光強度分布を示す図であり、図3(d)はインテグレータロッド140Aの光射出面140Aoにおける面内光強度分布を示す図である。
実施形態1の比較例に係る照明装置100aは、基本的には実施形態1に係る照明装置100と同様の構成を有しているが、光源装置110とインテグレータロッド140Aとの間にアナモフィックレンズ120Aが配置されていない点で、実施形態1に係る照明装置100と異なっている。
インテグレータロッド140Aの光射出面140Aoとマイクロミラー型光変調装置400の画像形成領域とは共役の関係となるため、インテグレータロッド140Aの光射出面140Aoの形状と画像形成領域の平面形状とは略相似の関係となる。また、上記したように、マイクロミラー型光変調装置400における画像形成領域の縦横比は3:4である。このため、インテグレータロッド140Aの光射出面140Ao(及び光入射面140Ai)の縦横比も3:4となる。
すなわち、インテグレータロッド140Aの光射出面140Ao(及び光入射面140Ai)は、照明光軸100axに直交する第1の方向(以下、y軸方向ということもある。)に平行な2辺と照明光軸100ax及び第1の方向(y軸方向)に直交する第2の方向(以下、x軸方向ということもある。)に平行な2辺とを有し、かつ、y軸方向に沿った寸法がx軸方向に沿った寸法よりも短く設定された形状を有している。
アナモフィックレンズ120Aが配置されていない比較例に係る照明装置100aによれば、インテグレータロッド140Aの光射出面140Aoにおけるy軸方向に沿った寸法とx軸方向に沿った寸法とが異なるため、図3(a)に示す方向から入射する照明光束と、図3(b)に示す方向から入射する照明光束とでは、内面反射回数に違いが生じてしまう。すなわち、インテグレータロッド140Aの光入射面140Aiに対して縦方向から入射する照明光束(図3(b)に示す照明光束)よりも、インテグレータロッド140Aの光入射面140Aiに対して横方向から入射する照明光束(図3(a)に示す照明光束)の方が、内面反射回数が少なくなり、結果としてインテグレータロッド140Aにおける光均一化効果が弱められてしまう(図3(d)参照。)。このため、所定の光均一化効果を得るためには、インテグレータロッドの長さを長くする必要が生じてしまう。その結果、照明装置を小型化するのが容易ではなくなる。
これに対し、実施形態1に係る照明装置100は、図2(a)及び図2(b)に示すように、x軸方向の屈折力がy軸方向の屈折力よりも大きなアナモフィックレンズ120Aを備えることを特徴としている。具体的には、実施形態1に係る照明装置100においては、アナモフィックレンズ120Aとして、x軸方向に正の屈折力を有しy軸方向に屈折力を有しないシリンドリカルレンズを用いている(図1(c)参照。)。
このため、実施形態1に係る照明装置100によれば、図2に示すように、y軸方向に沿った寸法がx軸方向に沿った寸法よりも短く設定された形状を有する光射出面140Aoからなるインテグレータロッド140Aの光路前段に、x軸方向の屈折力がy軸方向の屈折力よりも大きなアナモフィックレンズ120Aが配置されているため、x軸方向から入射する照明光束(図2(a)に示す照明光束)の入射角をy軸方向から入射する照明光束(図2(b)に示す照明光束)の入射角に比べて大きくすることができる。このため、x軸方向から入射する照明光束(図2(a)に示す照明光束)は、より深い角度で(y軸方向から入射する照明光束の反射角度よりも小さな反射角度で)全反射しながらインテグレータロッド140A中を進行することとなるため、内面反射回数がy軸方向から入射する照明光束に比べて少なくなってしまうのが抑制され、インテグレータロッド140Aにおける光均一化効果が弱められてしまうことが抑制される。また、上記したアナモフィックレンズ120Aの機能によって、図2(c)に示すように、インテグレータロッド140Aの光入射面140Aiにおける照射スポットの大きさを、x軸方向に沿って大きくすることができる。
その結果、図2(d)に示すように、照明装置100から射出される照明光束をより均一な面内光強度分布を有する照明光束にすることができる。
また、実施形態1に係る照明装置100によれば、インテグレータロッド140Aの長さを長くしなくても、照明装置100から射出される照明光束をより均一な面内光強度分布を有する照明光束にすることができるため、照明装置100の小型化を図るのが容易になる。
このため、実施形態1に係る照明装置100は、照明装置100の小型化を図りつつ、照明装置100から射出される照明光束をより均一な面内光強度分布を有する照明光束にすることが可能な照明装置となる。
実施形態1に係る照明装置100においては、アナモフィックレンズ120Aとインテグレータロッド140Aとは、離隔して配置されているため、アナモフィックレンズ120Aとインテグレータロッド140Aとの位置調整を容易に行うことができるようになる。また、アナモフィックレンズ120Aとインテグレータロッド140Aとは離隔して配置されているため、熱的影響を小さくすることができる。
実施形態1に係る照明装置100においては、アナモフィックレンズ120Aの光入射面120Ai及び光射出面120Ao並びにインテグレータロッド140Aの光入射面140Aiには、減反射膜がコーティングされているため、アナモフィックレンズ120Aの光入射面120Ai及びインテグレータロッド140Aの光入射面140Aiに入射する照明光束並びにアナモフィックレンズ120Aの光射出面120Aoから射出される照明光束における不要な反射の発生を抑制することができる。
また、実施形態1に係るプロジェクタ1000は、上記した照明装置100と、照明装置100からの照明光束を画像情報に応じて変調するマイクロミラー型光変調装置400と、マイクロミラー型光変調装置400によって変調された光を投写する投写光学系600とを備えることを特徴としている。
このため、実施形態1に係るプロジェクタ1000は、上記のように優れた照明装置100を備えているため、プロジェクタ1000の小型化を図りつつ、スクリーンSCRに投写される画像の明るさをより均一にすることが可能なプロジェクタとなる。
[実施形態2]
実施形態2に係る照明装置102及びプロジェクタ1002の特徴を説明するにあたり、まず、照明装置102及びプロジェクタ1002の構成について、図4及び図5を用いて説明する。
図4は、実施形態2に係る照明装置102及びプロジェクタ1002を説明するために示す図である。図4(a)はプロジェクタ1002の光学系を上から見た図であり、図4(b)はプロジェクタ1002の光学系を横から見た図であり、図4(c)はアナモフィックレンズ120Bの斜視図である。なお、図4(b)においては、リレーレンズ340よりも光路後段に配置されている光学系についての図示を省略している。
図5は、実施形態2に係る照明装置102を説明するために示す図である。図5(a)は照明装置102を構成するインテグレータロッド140B、偏光変換素子150A及び導光部材160Aの斜視図であり、図5(b)は偏光変換素子150A及び導光部材160Aの機能を説明するために示す図であり、図5(c)はインテグレータロッド140Bの光入射面140Biにおける面内光強度分布を示す図であり、図5(d)は導光部材160Aの光射出面160Aoにおける面内光強度分布を示す図である。
実施形態2に係るプロジェクタ1002は、図4(a)及び図4(b)に示すように、照明光束を射出する照明装置102と、照明装置102からの光を被照明領域に導くリレーレンズ340と、リレーレンズ340からの光を3つの色光に分離して被照明領域に導光する色分離導光光学系200と、色分離導光光学系200で分離された3つの色光のそれぞれを画像情報に応じて変調する電気光学変調装置としての3つの透過型の液晶装置410R,410G,410Bと、液晶装置410R,410G,410Bによって変調された色光を合成する色合成光学系としてのクロスダイクロイックプリズム500と、クロスダイクロイックプリズム500によって合成された光をスクリーンSCR等の投写面に投写する投写光学系610とを備えるプロジェクタである。
実施形態2に係る照明装置102は、照明光束を射出する光源装置110と、光源装置110からの照明光束をより均一な面内光強度分布を有する照明光束に変換するインテグレータロッド140Bと、インテグレータロッド140Bから射出される偏光方向の揃っていない照明光束を略1種類の直線偏光に揃える偏光変換素子150Aとを備える照明装置である。また、照明装置102は、光源装置110とインテグレータロッド140Bとの間に配置されるアナモフィックレンズ120Bと、偏光変換素子150Aの光路後段に配置される導光部材160Aとをさらに備えている。
光源装置110については、実施形態1で説明したものと同様であるので説明を省略する。
インテグレータロッド140Bは、楕円面リフレクタ114の第2焦点近傍に光入射面140Biを有し、インテグレータロッド140Bの内面で多重反射させることにより、光源装置110からの照明光束をより均一な面内光強度分布を有する照明光束に変換する機能を有する光学部材である。インテグレータロッド140Bとしては、例えば、中実のガラスロッドを好適に用いることができる。
偏光変換素子150Aは、インテグレータロッド140Bからの照明光束の偏光方向を、偏光方向の揃った略1種類の直線偏光光として射出する偏光変換素子である。
偏光変換素子150Aは、図5(b)に示すように、光源装置110からの照明光束に含まれる偏光成分のうち一方の直線偏光成分(P偏光成分)をそのまま透過し、他方の直線偏光成分(S偏光成分)を照明光軸100axに垂直な方向に反射する偏光分離層152Aと、偏光分離層152Aで反射された他方の直線偏光成分(S偏光成分)を照明光軸100axに平行な方向に反射する反射層154Aと、偏光分離層152Aを透過した一方の直線偏光成分(P偏光成分)を他方の直線偏光成分(S偏光成分)に変換するλ/2板156Aとを有している。
導光部材160Aは、偏光変換素子150Aからの照明光束における面内光強度分布を均一化する機能を有する光学素子である。導光部材160Aは、中実の導光部材であり、例えば内面全反射タイプの中実の光学ブロックなどを好適に用いることができる。
なお、アナモフィックレンズ120Bについては、詳細に後述する。
リレーレンズ340は、後述する集光レンズ280R,280G,280Bとともに、照明装置102からの照明光束を発散させずに液晶装置410R,410G,410Bの画像形成領域上に結像させる機能を有している。なお、図4(a)及び図4(b)に示すリレーレンズ340は1枚のレンズで構成されているが、複数のレンズを組み合わせた複合レンズで構成されていてもよい。
色分離導光光学系200は、第1ダイクロイックミラー210及び第2ダイクロイックミラー220と、反射ミラー230,240,250と、入射側レンズ260と、リレーレンズ270とを有している。色分離導光光学系200は、リレーレンズ340から射出される照明光束を、赤色光、緑色光及び青色光の3つの色光に分離して、それぞれの色光を照明対象となる3つの液晶装置410R,410G,410Bに導く機能を有している。
第1ダイクロイックミラー210及び第2ダイクロイックミラー220は、基板上に所定の波長領域の光束を反射し、他の波長領域の光束を透過する波長選択膜が形成された光学素子である。第1ダイクロイックミラー210は、赤色光成分を反射し、その他の色光成分を透過するミラーである。第2ダイクロイックミラー220は、青色光成分を透過し、緑色光成分を反射するミラーである。
第1ダイクロイックミラー210で反射された赤色光成分は、反射ミラー230により曲折され、集光レンズ280Rを介して赤色光用の液晶装置410Rの画像形成領域に入射する。
集光レンズ280Rは、リレーレンズ340からの照明光束を液晶装置410Rの画像形成領域上にほぼ重畳させるものである。他の液晶装置410G,410Bの光路前段に配設される集光レンズ280G,280Bも、集光レンズ280Rと同様に構成されている。
第1ダイクロイックミラー210を通過した緑色光成分及び青色光成分のうち緑色光成分は、第2ダイクロイックミラー220によって反射され、集光レンズ280Gを通過して緑色光用の液晶装置410Gの画像形成領域を照明する。一方、青色光成分は、第2ダイクロイックミラー220を透過し、入射側レンズ260、入射側の反射ミラー240、リレーレンズ270、射出側の反射ミラー250及び集光レンズ280Bを通過して青色光用の液晶装置410Bの画像形成領域を照明する。入射側レンズ260、リレーレンズ270及び反射ミラー240,250は、第2ダイクロイックミラー220を透過した青色光成分を液晶装置410Bまで導く機能を有している。
なお、青色光の光路にこのような入射側レンズ260、リレーレンズ270及び反射ミラー240,250が設けられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。実施形態2に係るプロジェクタ1002においては、青色光の光路の長さが長いのでこのような構成とされているが、赤色光の光路の長さを長くして、入射側レンズ260、リレーレンズ270及び反射ミラー240,250を赤色光の光路に用いる構成も考えられる。
液晶装置410R,410G,410Bは、照明光束を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものであり、光源装置110の照明対象となる。なお、図示を省略したが、集光レンズ280R,280G,280Bと各液晶装置410R,410G,410Bとの間には、それぞれ入射側偏光板が介在配置され、各液晶装置410R,410G,410Bとクロスダイクロイックプリズム500との間には、それぞれ射出側偏光板が介在配置されている。これら入射側偏光板、液晶装置410R,410G,410B及び射出側偏光板によって、入射する各色光の光変調が行われる。
液晶装置410R,410G,410Bは、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶を密閉封入したものである。例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として、与えられた画像情報に応じて、入射側偏光板から射出された1種類の直線偏光の偏光方向を変調する。
液晶410R,410G,410Bとしては、「y軸方向に沿った縦寸法:x軸方向に沿った横寸法=3:4の長方形」の平面形状を有する画像形成領域を有する液晶装置を用いている。
色合成光学系としてのクロスダイクロイックプリズム500は、射出側偏光板から射出された各色光毎に変調された光学像を合成して、カラー画像を形成する光学素子である。このクロスダイクロイックプリズム500は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた略X字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。略X字状の一方の界面に形成された誘電体多層膜は、赤色光を反射するものであり、他方の界面に形成された誘電体多層膜は、青色光を反射するものであり、これらの誘電体多層膜によって赤色光及び青色光は曲折され、緑色光の進行方向と揃えられることにより、3つの色光が合成される。
クロスダイクロイックプリズム500から射出されたカラー画像は、投写光学系610によって拡大投写され、スクリーンSCR上で大画面画像を形成する。
実施形態2に係る照明装置102は、インテグレータロッド140Bの光射出面140Bo(及び光入射面140Bi)の形状並びにアナモフィックレンズ120Bを備えることを特徴としている。以下、詳細に説明する。
導光部材160Aの光射出面160Aoと各液晶装置410R,410G,410Bの画像形成領域とは共役の関係となるため、導光部材160Aの光射出面160Aoの形状と画像形成領域の平面形状とは略相似の関係となる。また、上記したように、各液晶装置410R,410G,410Bにおける画像形成領域の縦横比は3:4である。このため、導光部材160Aの光射出面160Aoの縦横比も3:4となる(図5(d)参照。)。
ここで、実施形態2に係る照明装置102においては、図5(a)及び図5(b)からもわかるように、インテグレータロッド140Bの光射出面140Boにおけるy軸方向に沿った寸法は、偏光変換素子150Aにおけるy軸方向に沿った寸法と略同一であり、インテグレータロッド140Bの光射出面140Boにおけるx軸方向に沿った寸法は、偏光変換素子150Aにおけるx軸方向に沿った寸法の略半分である。また、偏光変換素子150Aにおけるy軸方向に沿った寸法は、導光部材160Aにおけるy軸方向に沿った寸法と略同一であり、偏光変換素子150Aにおけるx軸方向に沿った寸法は、導光部材160Aにおけるx軸方向に沿った寸法と略同一である。つまり、インテグレータロッド140Bの光射出面140Boにおけるy軸方向に沿った寸法は、偏光変換素子150A及び導光部材160Aにおけるy軸方向に沿った寸法と略同一である。また、インテグレータロッド140Bの光射出面140Boにおけるx軸方向に沿った寸法は、偏光変換素子150A及び導光部材160Aにおけるx軸方向に沿った寸法の略半分である。このため、インテグレータロッド140Bの光射出面140Bo(及び光入射面140Bi)の縦横比は3:2となる。
すなわち、インテグレータロッド140Bにおける光射出面140Bo(及び光入射面140Bi)は、図5(a)及び図5(c)に示すように、y軸方向に平行な2辺とx軸方向に平行な2辺とを有し、かつ、y軸方向に沿った寸法がx軸方向に沿った寸法よりも長く設定された形状を有している。
このため、実施形態2に係る照明装置102によれば、図5に示すように、y軸方向に沿った寸法がx軸方向に沿った寸法よりも長く設定された形状を有する光射出面140Boからなるインテグレータロッド140Bの光路前段に、y軸方向の屈折力がx軸方向の屈折力よりも大きなアナモフィックレンズ120B(アナモフィックレンズ120Bとしては、y軸方向に正の屈折力を有しx軸方向に屈折力を有しないシリンドリカルレンズを用いている(図4(c)参照。)。)が配置されているため、y軸方向から入射する照明光束(図4(b)に示す照明光束)の入射角をx軸方向から入射する照明光束(図4(a)に示す照明光束)の入射角に比べて大きくすることができる。このため、y軸方向から入射する照明光束(図4(b)に示す照明光束)は、より深い角度で(x軸方向から入射する照明光束の反射角度よりも小さな反射角度で)全反射しながらインテグレータロッド140B中を進行することとなるため、内面反射回数がx軸方向から入射する照明光束に比べて少なくなってしまうのが抑制され、インテグレータロッド140Bにおける光均一化効果が弱められてしまうことが抑制される。また、上記したアナモフィックレンズ120Bの機能によって、図5(c)に示すように、インテグレータロッド140Bの光入射面140Biにおける照射スポットの大きさを、y軸方向に沿って大きくすることができる。
その結果、図5(d)に示すように、照明装置102から射出される照明光束をより均一な面内光強度分布を有する照明光束にすることができる。
また、実施形態2に係る照明装置102によれば、インテグレータロッド140Bの長さを長くしなくても、照明装置102から射出される照明光束をより均一な面内光強度分布を有する照明光束にすることができるため、照明装置102の小型化を図るのが容易になる。
このため、実施形態2に係る照明装置102は、実施形態1に係る照明装置100の場合と同様に、照明装置102の小型化を図りつつ、照明装置100から射出される照明光束をより均一な面内光強度分布を有する照明光束にすることが可能な照明装置となる。
また、実施形態2に係るプロジェクタ1002は、上記した照明装置102と、照明装置102からの照明光束を画像情報に応じて変調する液晶装置410R,410G,410Bと、液晶装置410R,410G,410Bによって変調された光を投写する投写光学系610とを備えることを特徴としている。
このため、実施形態2に係るプロジェクタ1002は、上記のように優れた照明装置102を備えているため、実施形態1に係るプロジェクタ1000の場合と同様に、プロジェクタ1002の小型化を図りつつ、スクリーンSCRに投写される画像の明るさをより均一にすることが可能なプロジェクタとなる。
以上、実施形態2に係る照明装置102におけるインテグレータロッド140Bの光射出面140Bo(及び光入射面140Bi)の形状並びにアナモフィックレンズ120Bについて詳細に説明したが、実施形態2に係る照明装置102においては以下のような特徴も有している。
実施形態2に係る照明装置102においては、インテグレータロッド140Bの光射出面140Boにおけるy軸方向に沿った寸法は、偏光変換素子150Aにおけるy軸方向に沿った寸法と略同一であり、インテグレータロッド140Bの光射出面140Boにおけるx軸方向に沿った寸法は、偏光変換素子150Aにおけるx軸方向に沿った寸法の略半分であるため、インテグレータロッド140Bからの照明光束が効率よく偏光変換素子150Aの偏光分離層152に入射され、光利用効率を低下させることが極力抑制される。
実施形態2に係る照明装置102においては、インテグレータロッド140Bの光射出面140Boと偏光変換素子150Aの光入射面150Ai及び偏光変換素子150Aの光射出面150Aoと導光部材160Aの光入射面160Aiは、それぞれ接着剤Cを介して接着されているため、インテグレータロッド140Bと偏光変換素子150Aと導光部材160Aとの間における望ましくない多重反射が抑制され、光利用効率が低下したり迷光レベルが上昇したりすることがなくなる。また、インテグレータロッド140Bと偏光変換素子150Aと導光部材160Aとを容易に一体化することができる。また、インテグレータロッド140Bと偏光変換素子150Aと導光部材160Aとの間において、装置組み立て後における位置ずれの発生を未然に防止することができる。
なお、接着剤Cとしては、インテグレータロッド140B、偏光変換素子150A及び導光部材160Aとほぼ同じ屈折率を有する接着剤を用いている。
実施形態2に係る照明装置102においては、偏光変換素子150Aの光路後段に配置され、偏光変換素子150Aからの照明光束の面内光強度分布を均一化する機能を有する導光部材160Aをさらに備えているため、偏光変換素子150Aから射出される照明光束の面内光強度分布をより均一なものとすることができる。
なお、実施形態2に係る照明装置102においては、導光部材として、中実の導光部材160Aを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、次のような変形も可能である。
[変形例1]
図6は、実施形態2の変形例1に係る照明装置102bを説明するために示す図である。なお、図6において、図5(b)と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
実施形態2の変形例1に係る照明装置102b(図示せず。)は、図6に示すように、導光部材として、中空の導光部材160Bを用いている。
導光部材160Bは、偏光変換素子150Aからの照明光束における面内光強度分布を均一化する機能を有する光学素子である。導光部材160Bとしては、例えば4枚の反射ミラーにおける反射面を内側に向けて貼り合わせた筒状のライトトンネルなどを好適に用いることができる。この場合には、導光部材160Bの光射出面160Boと各液晶装置410R,410G,410Bの画像形成領域とは、共役の関係となる。
なお、導光部材160B以外の構成については実施形態2に係る照明装置102と同じであるため、詳細な説明は省略する。
このように、実施形態2の変形例1に係る照明装置102bは、実施形態2に係る照明装置102とは、導光部材として、中空の導光部材160Bを用いている点が異なっているが、実施形態2に係る照明装置102の場合と同様に、偏光変換素子150Aから射出される照明光束の面内光強度分布をより均一なものとすることができる。
また、実施形態2に係る照明装置102においては、偏光変換素子150Aは、内部に偏光分離層152Aが配置された直方体プリズムと、内部に反射層154Aが配置された直方体プリズムとを貼り合わせたものから構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、次のような変形も可能である。
[変形例2]
図7は、実施形態2の変形例2に係る照明装置102cを説明するために示す図である。なお、図7において、図5(b)と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
実施形態2の変形例2に係る照明装置102c(図示せず。)は、図7に示すように、偏光変換素子150Bは、内部に偏光分離層152Bが配置された直方体プリズムと、外面の1つに全反射膜154Bが配置された三角柱プリズムとを貼り合わせたものから構成されている。
なお、偏光変換素子150B以外の構成については実施形態2に係る照明装置102と同じであるため、詳細な説明は省略する。
このように、実施形態2の変形例2に係る照明装置102cは、実施形態2に係る照明装置102とは、偏光変換素子の構成が異なっているが、実施形態2に係る照明装置102の場合と同様に、インテグレータロッド140Bからの照明光束の偏光方向を、偏光方向の揃った略1種類の直線偏光光として射出することができる。
以上、本発明の照明装置及びプロジェクタを上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
(1)上記実施形態1に係る照明装置100においては、x軸方向の屈折力がy軸方向の屈折力よりも大きなアナモフィックレンズ120Aとして、x軸方向に正の屈折力を有しy軸方向に屈折力を有しないシリンドリカルレンズを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、x軸方向の屈折力がy軸方向の屈折力よりも大きなトーリックレンズ(トロイダルレンズ)などを用いてもよい。
また、上記実施形態2に係る照明装置102においては、y軸方向の屈折力がx軸方向の屈折力よりも大きなアナモフィックレンズ120Bとして、y軸方向に正の屈折力を有しx軸方向に屈折力を有しないシリンドリカルレンズを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、y軸方向の屈折力がx軸方向の屈折力よりも大きなトーリックレンズ(トロイダルレンズ)などを用いてもよい。
(2)上記各実施形態の照明装置100,102においては、アナモフィックレンズ120A,120Bとインテグレータロッド140A,140Bとは、離隔して配置されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、アナモフィックレンズとインテグレータロッドとが一体成形されていてもよいし、アナモフィックレンズの光射出面とインテグレータロッドの光入射面とが接着されていてもよい。アナモフィックレンズの光射出面とインテグレータロッドの光入射面とが接着されている場合には、アナモフィックレンズ及びインテグレータロッドとほぼ同じ屈折率を有する接着剤を用いることが好ましい。
(3)上記実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、電気光学変調装置として、「y軸方向に沿った縦寸法:x軸方向に沿った横寸法=3:4の長方形」の平面形状を有する画像形成領域を有するマイクロミラー型光変調装置400を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、「y軸方向に沿った縦寸法:x軸方向に沿った横寸法=9:16の長方形」の平面形状を有する画像形成領域を有するマイクロミラー型光変調装置を用いてもよい。この場合、インテグレータロッドの光射出面(光入射面)の形状は、画像形成領域の平面形状と略相似であることが好ましい。すなわち、インテグレータロッドの光射出面(光入射面)の縦横比が9:16であることが好ましい。
(4)上記実施形態2に係るプロジェクタ1002においては、電気光学変調装置として、「y軸方向に沿った縦寸法:x軸方向に沿った横寸法=3:4の長方形」の平面形状を有する画像形成領域を有する液晶装置410R,410G,410Bを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、「y軸方向に沿った縦寸法:x軸方向に沿った横寸法=9:16の長方形」の平面形状を有する画像形成領域を有する液晶装置を用いてもよい。この場合、インテグレータロッドの光射出面(光入射面)の形状は、「画像形成領域の平面形状と略相似である導光部材の光射出面の形状に対して、y軸方向に沿った寸法が略同一でありx軸方向に沿った寸法が略半分である長方形」であることが好ましい。すなわち、インテグレータロッドの光射出面(光入射面)の縦横比が9:8であることが好ましい。
(5)上記各実施形態の照明装置100,102においては、インテグレータロッド140A,140Bとして、内面全反射タイプの中実のガラスロッドを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、4枚の反射ミラーにおける反射面を内側に向けて貼り合わせた筒状のライトトンネルなどの中空のロッドを用いてもよい。
(6)上記実施形態2に係るプロジェクタ1002は透過型のプロジェクタであるが、これに限定されるものではない。本発明は反射型のプロジェクタにも適用することが可能である。ここで、「透過型」とは、透過型の液晶装置等のように光変調手段としての電気光学変調装置が光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、反射型の液晶装置のように光変調手段としての電気光学変調装置が光を反射するタイプであることを意味している。反射型のプロジェクタにこの発明を適用した場合にも、透過型のプロジェクタと同様の効果を得ることができる。
(7)上記実施形態1に係るプロジェクタ1000は、1枚のマイクロミラー型光変調装置を備えるいわゆる単板式のプロジェクタであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、2枚又はそれ以上のマイクロミラー型光変調装置を備えるプロジェクタに本発明を適用することも可能である。また、上記実施形態2に係るプロジェクタ1002は、3つの液晶装置410R,410G,410Bを備えるいわゆる3板式のプロジェクタであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つ、2つ又は4つ以上の液晶装置を備えるプロジェクタに本発明を適用することも可能である。
(8)上記各実施形態の照明装置100,102においては、発光管112に反射手段としての補助ミラー116が配設された照明装置を例示して説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、補助ミラーが配設されていない照明装置に本発明を適用することも可能である。
(9)上記実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、インテグレータロッド140Aの光入射側にカラーホイール130が配置されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、インテグレータロッドの光射出側にカラーホイールが配置されていてもよい。
(10)この他、本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクタにも、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクタにも適用できることはいうまでもない。
100,100a,102…照明装置、100ax…照明光軸、110…光源装置、112…発光管、114…楕円面リフレクタ、116…補助ミラー、120A,120B…アナモフィックレンズ、130…カラーホイール、132R,132G,132B…カラーフィルタ、132W…透光領域、134…モータ、140A,140B,940…インテグレータロッド、140Ai,140Bi,940i…(インテグレータロッドの)光入射面、140Ao,140Bo,940o…(インテグレータロッドの)光射出面、150A,150B…偏光変換素子、150Ai,150Bi…(偏光変換素子の)光入射面、150Ao,150Bo…(偏光変換素子の)光射出面、152A,152B…偏光分離層、154A…反射層、154B…全反射膜、156A,156B…λ/2板、160A,160B…導光部材、160Ai,160Bi…(導光部材の)光入射面、160Ao,160Bo…(導光部材の)光射出面、200…色分離導光光学系、210…第1ダイクロイックミラー、220…第2ダイクロイックミラー、230,240,250,320…反射ミラー、260…入射側レンズ、270,310,340…リレーレンズ、280R,280G,280B,330…集光レンズ、300…リレー光学系、400…マイクロミラー型光変調装置、410R,410G,410B…液晶装置、500…クロスダイクロイックプリズム、600,610…投写光学系、600ax…投写光軸、1000,1002…プロジェクタ、BS…カラーホイールの照射スポット、C…接着剤、P…P偏光成分、S…S偏光成分、SCR…スクリーン