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JP4872151B2 - 環状オレフィン系重合体組成物およびその製造方法 - Google Patents

環状オレフィン系重合体組成物およびその製造方法 Download PDF

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JP4872151B2 JP2000343496A JP2000343496A JP4872151B2 JP 4872151 B2 JP4872151 B2 JP 4872151B2 JP 2000343496 A JP2000343496 A JP 2000343496A JP 2000343496 A JP2000343496 A JP 2000343496A JP 4872151 B2 JP4872151 B2 JP 4872151B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オルガノシラン系化合物とアルコキシシリル基もしくはアリロキシシリル基またはこれらの加水分解残基を有する環状オレフィン系重合体を含む環状オレフィン系重合体組成物に関する。さらに詳しくは、優れた光学透明性、耐熱性、接着性を持ち、架橋が可能で耐溶剤性に優れた環状オレフィン系重合体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、軽量化、小型・高密度化の要求に伴い、従来、無機ガラスが用いられていた光学部品、液晶等表示素子部品の分野で光学透明な樹脂への代替化が進んでいる。しかし、光学透明性以外に耐熱性、耐吸湿性、耐液晶性、寸法安定性、接着・密着性などにおいて、樹脂材料のさらなる改良が求められている。
【0003】
これまで、透明性の優れた材料として、下記の環状オレフィン化合物の開環重合体の水素化物や付加重合体が提案されている。
(1)テトラシクロドデセン系化合物やノルボルネン系化合物の開環重合体の水素化物(特開昭60−26024号公報、特許第3050196号、特開平1−132625号公報、特開平1−132626号公報、特開平5−214079号公報など)
(2)エチレンとノルボルネン系化合物またはテトラシクロドデセン系化合物の付加共重合体〔特開昭61−292601号公報、Makromol.Chem.Macromol.Symp.Vol. 47, 83 (1991)など〕
(3)ノルボルネン系化合物の付加重合体(特開平4−63807号公報、特開平8−198919号公報、特表平9−508649号公報、特表平11−505880号公報など)
(4)アルコキシシリル基を含有するノルボルネン系化合物の付加(共)重合体〔A. D. Hennisら, Am. Chem. Soc. Polymer Preprints Vol. 40(2), 782(1999)、特開平7−196736号公報、国際特許公開WO98/20394号公報(EP特許公開906588号公報)など〕
【0004】
しかし、上記(1)、(2)の重合体は、そのガラス転移温度が200℃以下であることが多く、耐熱性の点で不充分である。そこで、開環重合体の不飽和結合にヒドロシリル化によって、アルコキシシリル基を導入し、水素化を行う方法が提案されている(特開平5−214079号公報)が、水素化を完全に行うことは困難で、高温下で酸素が存在すると重合体が着色・劣化することがしばしばある。
また、(3)の重合体は、耐熱性はあるがアルコキシシリル基を含まないため、架橋が困難であり、耐溶剤・耐薬品性に劣る。
また、(4)の重合体は、3次元架橋構造が無いため線膨張係数が大きい。また、無機成分が含まれないため、無機基材(ガラス)への密着性が乏しい場合がある。
【0005】
さらに、(4)の重合体は、A. D.Hennisらの報告では、エトキシシリル基を含むノルボルネンの単一重合体、およびその製法について記載されているが、その共重合体については言及してない。また、シリカなどの分散等無機成分との組み合わせについても言及していない。特開平7−196736号公報では、請求項への記載はあるが、なんら具体的に例示されてないし、その効果についても言及されてない。米国特許第5912313号明細書および国際特許公開WO98/20394号公報では、アルコキシシリル基を含むノルボルネン系共重合体およびその共重合体と酸発生の光開始剤からなる組成物が提案されているが、架橋体の効果の記載がなく、配線基盤の耐熱・透明性があるコーティング剤、絶縁剤を目的としているに過ぎない。上記特開平5−214079号公報では、ノルボルネン系モノマーの付加型ポリマーについてのヒドロシリル化、それに続く、水素化により反応性ケイ素基含有ノルボルネン系ポリマーが記載されている。しかし、実施例はない。このような付加重合体は、煩雑な工程を経て得られ、後述する本発明に用いられる重合体と構造単位が異なる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題に鑑みなされたもので、優れた耐熱性、透明性および接着・密着性を有する、オルガノシラン系化合物とシリル基含有環状オレフィン系重合体を含有することを特徴とする環状オレフィン系組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、互いに結合しあるいは結合していない下記(a)成分と(b)成分を含有することを特徴とする環状オレフィン系組成物に関する。
(a)成分は、下記一般式(1)
(R1pSi(OR24-p・・・・・(1)
(式中、R1は、2個存在するときは同一または異なり、炭素数1〜10の1価の有機基を示し、R2は、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示し、pは0〜2の整数である。)
で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物および該オルガノシランの縮合物の群から選ばれる少なくとも1種、であり、
(b)成分は、加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を有する環状オレフィン系重合体である。
ここで、上記(b)環状オレフィン系重合体は、下記一般式(2)で示される繰り返し単位(b−1)と下記一般式(3)で示される繰り返し単位(b−2)を含むものが好ましい。
【0008】
【化3】
Figure 0004872151
【0009】
〔式(2)中、A1〜A4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、または−(CH2kXで表される極性基を示す。ここで、Xは−C(O)OR3、−OC(O)R4であり、R3〜R4は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基およびこれらのハロゲン置換基、kは0〜3の整数を示す。また、A1〜A4には、A1とA2またはA3とA4で形成されるビニリデニル基、A1とA2、A1とA3またはA3とA4、A2とA4で形成されるイミド基も含まれる。lは0または1の整数である。〕
【0010】
【化4】
Figure 0004872151
【0011】
〔式(3)中、B1〜B4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、および−(CR67nSi(OR5m8 (3-m)、−(CR67)Si(R910)OSi(OR5m8 (3-m)、−C(O)O(CH2nSi(OR5m8 (3-m)で表されるアルコキシシリル基もしくはアリロキシシリル基またはこれらの加水分解残基を示し、B1〜B4の少なくとも一つは、アルコキシシリル基もしくはアリロキシシリル基またはこれらの加水分解残基を含む。ここで、R5は1〜10のアルキル基またはアリール基を示し、R6〜R10はそれぞれ独立して、水素原子、または炭素数1〜20の炭化水素基を示す。mは0〜3の整数、nは0〜5の整数、rは0または1である。〕
また、上記繰り返し単位(b−1)は、炭素数3〜8のアルキル基で置換されたノルボルネンを構造単位として有する繰り返し単位(b−1)を、(b)成分中のモノマー分率として1〜50モル%含むものが好ましい。
さらに、上記繰り返し単位(b−1)は、置換基A1〜A4の少なくとも一つがエステル基またはイミド基を含む繰り返し単位(b−1)を、(b)成分中のモノマー分率として0.1〜20モル%含むものが好ましい。
さらに、上記環状オレフィン系重合体は、上記一般式(2)で示される繰り返し単位(b−1)を70〜99.9モル%、上記一般式(3)で示される繰り返し単位(b−2)を(b)成分中のモノマー分率として30〜0.1モル%〔ただし、(b−1)+(b−2)=100モル%〕含むものが好ましい。
さらに、本発明の組成物における(a)〜(b)成分の割合は、(a)成分が1〜90重量部、(b)成分が10〜99重量部〔ただし、(a)+(b)=100重量部〕であることが好ましい。
本発明は、上記環状オレフィン系重合体組成物を用いた光学材料、光ディスク、液晶基板材料、光学材料用などの接着剤などに関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
(a)成分
本発明の組成物が含有する(a)成分は、上記一般式(1)で表されるオルガノシラン(以下「オルガノシラン(1)」という)、オルガノシラン(1)の加水分解物、およびオルガノシラン(1)の縮合物から選択された少なくとも1種である。すなわち、(a)成分は、これら3種のうちの1種だけでもよいし、任意の2種の混合物であってもよいし、3種類すべてを含んだ混合物であってもよい。
ここで、上記オルガノシラン(1)の加水分解物は、オルガノシラン(1)に含まれるR2がすべて加水分解されている必要はなく、例えば、1個だけが加水分解されているもの、2個以上が加水分解されているもの、あるいはこれらの混合物であってもよい。
また、上記オルガノシラン(1)の縮合物は、オルガノシラン(1)の加水分解物のシラノール基が縮合してSi−O−Si結合を形成したものであるが、本発明では、シラノール基がすべて縮合している必要はなく、僅かな一部のシラノール基が縮合したもの、縮合の程度が異なっているものの混合物などをも包含した概念である。
【0013】
一般式(1)において、R1の炭素数は1〜10、好ましくは1〜8である。R1の1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などのアルキル基や、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トリオイル基、カプロイル基などのアシル基、ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、グリシジル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアナート基などのほか、これらの基の置換誘導体などを挙げることができる。
【0014】
1の置換誘導体における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアナート基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基などを挙げることができる。ただし、これらの置換誘導体からなるR1の炭素数は、置換基中の炭素原子を含めて20以下である。
一般式(1)中に、R1が2個存在するときは、相互に同一でも異なってもよい。
【0015】
また、R2の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基などを挙げることができ、炭素数1〜6のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基などを挙げることができる。
【0016】
このようなオルガノシラン(1)の具体例としては、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのジアルコキシシラン類のほか、メチルトリアセチルオキシシラン、ジメチルジアセチルオキシシランなどを挙げることができる。
【0017】
これらのうち、テトラアルコキシシラン類としてはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましく、トリアルコキシシラン類としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが好ましく、さらに、ジアルコキシシラン類としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。
【0018】
本発明において、オルガノシラン(1)としては、特に、テトラアルコキシシランのみ、トリアルコキシシランのみ、あるいは、テトラアルコキシシラン10〜90モル%とトリアルコキシシラン10〜90モル%との組み合わせが好ましい。テトラアルコキシシラン、またはトリアルコキシシランを導入することより、得られる塗膜の架橋度を増加させ、また、密着性を向上させることができる。
【0019】
オルガノシラン(1)は、そのまま、あるいは加水分解物および/または縮合物として使用される。オルガノシラン(1)を加水分解物および/または縮合物として使用する場合は、予め加水分解・縮合させて(a)成分として使用することもできるが、後述するように、オルガノシラン(1)を残りの成分と混合して組成物を調製する際に、適量の水を添加することにより、オルガノシラン(1)を加水分解・縮合させて、(a)成分とすることが好ましい。
また、上記加水分解縮合物は、オルガノシラン(1)を加水分解・縮合して得られるのみならず、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシランなどのクロロシラン化合物を加水分解・縮合して得ることもできる。
(a)成分が縮合物として使用されるとき、該縮合物のポリスチレン換算重量平均分子量(以下「Mw」という)は、好ましくは、800〜100,000、さらに好ましくは、1,000〜50,000である。
【0020】
(a)成分の市販品には、三菱化学(株)製のMKCシリケート、コルコート社製のエチルシリケート、東レ・ダウコーニング社製のシリコンレジン、東芝シリコーン(株)製のシリコンレジン、信越化学工業(株)製のシリコンレジン、ダウコーニング・アジア(株)製のヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサン、日本ユニカ(株)製のシリコンオリゴマーなどがあり、これらをそのまま、または縮合させて使用してもよい。
本発明において、(a)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0021】
(b)成分
本発明の組成物に用いられる環状オレフィン系重合体は、加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を有する環状オレフィン系重合体であり、好ましくは、繰り返し単位(b−1)および繰り返し単位(b−2)を含む環状オレフィン系重合体である。
【0022】
ここで、繰り返し単位(b−1)は、上記一般式(2)に示される2,3付加構造単位を示すものであるが、下記一般式(4)に示す2,7付加構造単位が、少量含まれていてもよい。
【0023】
【化5】
Figure 0004872151
【0024】
〔式(4)中、A1〜A4およびlは、それぞれ上記一般式(2)に示すものと同一である。〕
【0025】
以下、本発明の環状オレフィン系重合体について、さらに具体的に説明する。
本発明の重合体に用いられる繰り返し単位(b−1)は、下記一般式(5)に示す環状オレフィン(以下、「特定の環状オレフィン(1)」という。)の付加重合により形成することができる。
【0026】
【化6】
Figure 0004872151
【0027】
〔式(5)中、A1〜A4およびlはそれぞれ上記一般式(2)に示すものと同一である。〕
【0028】
このような特定の環状オレフィン(1)の具体例としては、
2−ノルボルネン、
5−メチル−2−ノルボルネン、
5−エチル−2−ノルボルネン、
5−プロピル−2−ノルボルネン、
5−ブチル−2−ノルボルネン、
5−ペンチル−2−ノルボルネン、
5−ヘキシル−2−ノルボルネン、
5−ヘプチル−2−ノルボルネン、
5−オクチル−2−ノルボルネン、
5−デシル−2−ノルボルネン、
5−ドデシル−2−ノルボルネン、
5,6−ジメチル−2−ノルボルネン、
5−メチル,5−エチル−2−ノルボルネン、
5−フェニル−2−ノルボルネン、
5−ビニル−2−ノルボルネン、
5−アリル−2−ノルボルネン、
5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、
5−エチリデン−2−ノルボルネン、
5−シクロヘキシル−2−ノルボルネン、
5−フロロ−2−ノルボルネン、
5−クロロ−2−ノルボルネン、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチル、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチル、
2−メチル,5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、
2−メチル,5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチル、
2−メチル,5−ノルボルネン−2−カルボン酸プロピル、
2−メチル,5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチル、
2−メチル,5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリフロロエチル、
2−メチル,5−ノルボルネン−2−イル酢酸エチル、
5−ノルボルネン−2−スピロ−N−フェニルスクシンイミド
5−ノルボルネン−2−スピロ−N−シクロヘキシルスクシンイミド
5−ノルボルネン−2−スピロ−N−メチルスクシンイミド
5−ノルボルネン−2,3−N−フェニルジカルボキシイミド
5−ノルボルネン−2,3−N−シクロヘキシルジカルボキシイミド
アクリル酸2−メチル−5−ノルボルネン、
メタクリル酸2−メチル−5−ノルボルネン、
5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジメチル、
5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジエチル、
3−トリシクロ〔4.3.0.12,5〕デセン、
3,7−トリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカジエン(ジシクロペンタジエン)
3−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデセン、
8−メチル,3−テトラシクロ〔4.4.0.12,57,10〕ドデセン、
8−メチル,8−メトキシカルボニル,3−テトラシクロ〔4.4.0.12,57,10〕ドデセン、
8−メチル,8−エトキシカルボニル,3−テトラシクロ〔4.4.0.12,57,10〕ドデセン、
などを挙げることができる。
【0029】
上記繰り返し単位(b−1)を形成する上記一般式(5)に示す化合物は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
上記繰り返し単位(b−1)中の、炭素数3〜10、好ましくは3〜8のアルキル基で置換されたノルボルネンを構造単位として有する繰り返し単位の(b−1)の含有量は、好ましくは1〜50モル%、さらに好ましくは5〜50モル%、特に好ましくは10〜30モル%である。上記範囲内であると、本発明の組成物から得られるフィルム、シートが柔軟性のあるものとなり、それらの形成が容易となる。1モル%未満であるとフィルムが割れる場合があり、一方、50モル%を超えると耐熱性が低下する場合がある。
上記炭素数3〜10のアルキル基で置換されたノルボルネンを構造単位として有する繰り返し単位(b−1)は、上記特定の環状オレフィン(1)のうち、炭素数3〜10のアルキル基で置換されたノルボルネンの付加重合により形成することができる。
【0031】
上記繰り返し単位(b−1)中の、置換基A1〜A4の少なくとも一つがエステル基またはイミド基を含む繰り返し単位(b−1)の含有量は、好ましくは0.1〜20モル%、さらに好ましくは1〜17モル%、特に好ましくは5〜15モル%である。上記範囲内であると、接着性・密着性が良好なフィルム、シートが得られる。0.1モル%未満であると接着性、密着性の良いフィルム、シートが得にくくなる。一方、20モル%を超えると、フィルム、シートが吸湿性の高いものとなる。
また、繰り返し単位(b−1)が不飽和基を含まない方が、さらに重合体の耐熱性の点で好ましいものとなる。
上記置換基A1〜A4の少なくとも一つがエステル基またはイミド基を含む繰り返し単位(b−1)は、上記特定の環状オレフィン(1)のうち、置換基A1〜A4の少なくとも一つがエステル基またはイミド基を含む環状オレフィンの付加重合により形成することができる。
【0032】
繰り返し単位(b−1)の(b)成分中の割合は、好ましくは70〜99.9モル%、さらに好ましくは80〜99.5モル%、特に好ましくは90〜98モル%である。70モル%未満であると、重合体が加水分解しやすく、フィルム、シートの形成が困難となる場合がある。一方、99.9モル%を超えると、架橋体を得ることが困難となり、耐溶剤性が十分でない場合がある。
【0033】
繰り返し単位(b−2)は
(イ)下記一般式(6)に示す環状オレフィン(以下、「特定の環状オレフィン(2)」という。)を上記一般式(5)の特定の環状オレフィン(1)と付加共重合することにより、形成される。
(ロ)また、他の方法として、5−トリクロロシリル−2−ノルボルネン、5−ジクロロメチルシリル−2−ノルボルネン、5−ジクロロエチルシリル−2−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリクロロシリルプロピル、2−メチル,5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリクロロシリルプロピルなどのトリクロロシリル基、ジクロロアルキルシリル基を有する環状オレフィン(以下、「特定の環状オレフィン(3)」という。)と特定の環状オレフィン(1)とを付加共重合したのち、得られた共重合体中のトリクロロシリル基またはジクロロアルキルシリル基とアルカリ金属のアルコキシドまたはアルカリ金属のアリロキシドと反応させることにより、また他の方法としてアミン化合物の存在下、アルコールまたはフェノール類と反応させることにより、形成される。
【0034】
上記繰り返し単位(b−2)の全繰り返し単位中の割合は、好ましくは0.1〜30モル%、さらに好ましくは0.5〜20モル%、特に好ましくは2〜10モル%である。その含有量が0.1モル%未満では、架橋が不充分となる。一方、30モル%を超えると、環状オレフィン系重合体中に過剰に存在するアルコキシシリル基もしくはアリロキシシリル基またはこれらの加水分解・縮合残基により、重合体が加水分解しやすく、保存安定性が悪いものとなり、フィルム成形時、表面がべたついたり、過剰な架橋が起こり、成形品表面が滑らかなものとならない場合がある。
【0035】
【化7】
Figure 0004872151
【0036】
〔一般式(6)中、B1〜B4およびm、n、rは、上記一般式(3)に示すものと同一である。〕
【0037】
このような特定の環状オレフィン(2)の具体例としては
5−トリメトキシシリル−2−ノルボルネン、
5−ジメトキシ,クロロシリル−2−ノルボルネン、
5−メトキシ,クロロ,メチルシリル−2−ノルボルネン、
5−ジメトキシ,クロロシリル−2−ノルボルネン、
5−メトキシ,ヒドリド,メチルシリル−2−ノルボルネン、
5−ジメトキシ,ヒドリドシリル−2−ノルボルネン、
5−メトキシジメチルシリル−2−ノルボルネン、
5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、
5−ジエトキシ,クロロシリル−2−ノルボルネン、
5−エトキシ,クロロ,メチルシリル−2−ノルボルネン、
5−ジエトキシ,ヒドリドシリル−2−ノルボルネン、
5−エトキシジメチルシリル−2−ノルボルネン、
5−エトキシジエチルシリル−2−ノルボルネン、
5−プロポキシジメチルシリル−2−ノルボルネン、
5−トリフェノキシシリル−2−ノルボルネン、
5−ジフェノキシメチルシリル−2−ノルボルネン、
5−トリメトキシシリルメチル−2−ノルボルネン、
5−(2−トリメトキシシリル)エチル−2−ノルボルネン、
5−(2−ジメトキシ,クロロシリル)エチル−2−ノルボルネン、
5−(1−トリメトキシシリル)エチル−2−ノルボルネン、
5−(2−トリメトキシシリル)プロピル−2−ノルボルネン、
5−(1−トリメトキシシリル)プロピル−2−ノルボルネン、
5−トリエトキシシリルエチル−2−ノルボルネン、
5−ジメトキシメチルシリルメチル−2−ノルボルネン、
5−トリメトキシプロピルシリル−2−ノルボルネン、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリメトキシシリルプロピル、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリエトキシシリルプロピル、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸ジメトキシ,メチルシリルプロピル、
2−メチル,5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリメトキシシリルプロピル、
2−メチル,5−ノルボルネン−2−カルボン酸ジメトキシ,メチルプロピル、
2−メチル,5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリエトキシシリルプロピル、
などが挙げられる。
上記繰り返し単位(b−2)を形成する上記一般式(6)に示す化合物は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
本発明の特定の環状オレフィン(1)と環状オレフィン(2)または環状オレフィン(3)との共重合方法は、下記の方法によって行われる。
重合触媒としては、通常、周期律表8族のNi、Pd、Coなどのカチオン錯体またはカチオン錯体を形成する触媒が用いられる。代表的なものとして、
〔Pd(CH3CN)4〕〔BF42
〔Pd(PhCN)4〕〔SbF6〕、
ジ−μ−クロロ−ビス(6−メトキシビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン−エンド−5σ,2π)Pd(以下、「I」と略す。)、
Iとメチルアルモキサン(以下、MAOと略す)、
IとAgSbF6
IとAgBF4
〔(η3−アリール)PdCl〕2とAgSbF6
〔(η3−アリール)PdCl〕2とAgBF4、〔(η3−クロチル)Pd(シクロオクタジエン)〕〔PF6〕、
〔(1,5−シクロオクタジエン)Pd(CH3)(Cl)〕とPPh3とNaB〔3,5−(CF32634
〔(η3−クロチル)Ni(シクロオクタジエン)〕〔B((CF32644〕、
NiBr(NPMe3)〕4とMAO、
Ni(オクトエート)2とMAO、
Ni(オクトエート)2とB(C653とAlEt3
Ni(オクトエート)2とHSbF6の反応物とBF3・Et2OとAlEt3
Ni(オクトエート)2とHSbF6の反応物とBF3・Et2OとAlEt3の反応物、
Ni(オクトエート)2とHSbF6の反応物とAlEt2F、
Ni(オクトエート)2とHSbF6の反応物とAlEtF2
Ni(ナフトエート)2とHSbF6の反応物とBF3・Et2OとAlBu3
Ni(ナフトエート)2とHSbF6の反応物とB(C653とAlEt3の反応物、
Ni(オクトエート)2とPh3C・B(C653とAlEt3
Toluene・Ni(C652
Xylene・Ni(C652
Mesitylene・Ni(C652
Co(ネオデカノエート)とMAO、
などが挙げられる。
【0039】
溶媒としては、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコール、ジメチルエーテル、ニトロメタン、N−メチルピロリドン、ピリジン、N、N′−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルホルムアミド、アセトアミドなどの極性溶媒などから選ばれた溶媒が用いられる。
【0040】
重合の方法として、窒素またはアルゴン雰囲気下で、反応容器に溶媒と環状オレフィンからなるモノマーと分子量調節剤を仕込み、−20℃から100℃の範囲の温度に重合系を設定する。次に、上記触媒成分を添加して、−20℃から100℃の範囲で重合を行う。溶媒/モノマーの重量比は、1〜20の範囲で行われる。分子量の調節は、重合触媒の量とα−オレフィン、水素、ジフェニルジヒドロシランなどの分子量調節剤の添加量、重合体への転化率および重合温度によって、目的とする分子量に調節される。重合の停止は、水、アルコール、有機酸、炭酸ガスなどにより行われる。重合体溶液にマレイン酸、フマル酸、シュウ酸から選ばれた酸の水/アルコール混合物を添加して、触媒残さを重合体溶液から分離・除去する。重合体は、重合体溶液をメタノール、エタノール、イソプロパノールなどから選ばれたアルコール中に入れて、凝固し、減圧乾燥することにより得られる。この工程で、重合体溶液に残存する未反応モノマーも除去される。
【0041】
なお、本発明に用いられる環状オレフィン系重合体の分子量は、o−ジクロロベンゼンを溶媒とする ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算で、好ましくは数平均分子量が5,000〜1,000,000、重量平均分子量が10,000〜1,500,000、さらに好ましくは、数平均分子量が10,000から700,000、重量平均分子量が20,000〜1,000,000である。
数平均分子量が5,000以上、重量平均分子量が10,000以上あれば、本発明の組成物をフィルム、薄膜およびシートとしたときに十分な破壊強度を得やすい。一方、数平均分子量が1,000,000以内、重量平均分子量が1,500,000以内であれば、得られるシート、フィルムの成形加工性が低下することなく、キャストフィルムの製膜時の溶液粘度が過剰に高くならないので取り扱いが容易となる。。
【0042】
また、本発明に用いられる(b)環状オレフィン系重合体のガラス転移温度は、動的粘弾性で測定されるTanδの温度分散のピーク温度で求められる。(貯蔵弾性率E’、損失弾性率E”、(Tanδ=E”/E’)
本発明に用いられる環状オレフィン系重合体のガラス転移温度は、通常、220℃〜400℃、好ましくは250〜380℃、さらに好ましくは270〜370℃、特に好ましくは300〜350℃である。
そのガラス転移温度が220℃以上であれば、組成物から得られるフィルムまたはシート形状の光学透明材料を用いて液晶表示基板を形成する際に、耐熱性が良好であり、熱変形が少ない。一方、ガラス転移温度が400℃以内であれば、加工、架橋反応を行う際に重合体の熱分解が起こりにくいため、透明性の高いフィルム、シートを製造することができる。
【0043】
本発明の組成物
本発明の環状オレフィン系重合体組成物は、(a)成分と(b)成分を含有するものであり、通常、(a)成分と(b)成分と溶媒とからなる。(a)成分と(b)成分とは、一部結合していてもよい。本発明の組成物から溶媒を除去することにより、あるいは、除去しながら加熱することにより、結合は進行し、架橋が生じて、強度と耐熱性などが向上した透明樹脂材料となる。本発明の組成物には、架橋触媒、架橋剤を含有させることにより、架橋速度、架橋密度が大となるので好ましいが、架橋触媒、架橋剤が無くても、常温で長時間置くことにより、加熱することにより、紫外線、電子線等の放射線を照射することにより架橋させることができる。本発明の組成物には、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を含有させて、耐候性、耐久性を高めることもできる。その他、本発明の組成物には、通常の透明樹脂に使用される添加剤を、必要に応じて、含有させることができる。
本発明の組成物に用いられる溶媒は、本発明の組成物を製造する際に使用される(a)成分の溶媒、(b)成分の溶媒が、そのまま用いられるが、必要に応じて、(a)成分、(b)成分を混合後に、他の溶媒に置換することもできる。溶媒の使用量は、本発明の組成物が流動可能になる量以上であるが、キャスティングによる造膜が可能な程度にとどめるのが好ましい。
【0044】
本発明の組成物における上記(a)成分と(b)成分との割合は、(a)成分が1〜90重量部、好ましくは2〜80重量部、(b)成分が10〜99重量部、好ましくは20〜98重量部〔ただし、(a)+(b)=100重量部〕である。(a)成分が1重量部未満では、架橋度が低くなり耐溶剤性が十分でない場合や、密着性が十分に得られない場合があり、一方、90重量部を超えると、本発明の環状オレフィン系組成物から得られる硬化体の膜厚が厚い場合、塗膜に割れが発生する場合がある。
【0045】
(a)成分と(b)成分とをあらかじめ結合させる場合は、環状オレフィン系重合体が繰り返し単位(b−2)に適度の割合のアルコキシ基またはアリロキシル基を含むことを利用して、(c)成分の架橋(加水分解・縮合反応)触媒を使用して、環状オレフィン系重合体それ自体の架橋反応とともに、(a)成分と(b)成分との共縮合反応を行い、この環状オレフィン系重合体自体を架橋させるとともに、(a)成分と(b)成分との共縮合体を形成させて、本発明の組成物となすこともできる。
【0046】
本発明の環状オレフィン系重合体組成物の(a)成分と(b)成分の結合を形成することにより、(a)成分と(b)成分との間に架橋が形成されると共に、使用されるオルガノシラン成分の重縮合反応により生成されるポリシロキサン樹脂の分子量が大きくなり、(a)成分の高硬度、良好な無機質への密着性と、(b)成分の耐熱性、高透明性のような性質の長所を兼ね備え、より耐熱性に富み、耐液晶性と寸法安定性が改良された光学透明材料を得ることができる。
【0047】
(c)成分
このような(c)成分としては、酸性化合物、アルカリ性化合物、塩化合物、アミン化合物、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物(以下、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物をまとめて「有機金属化合物等」という)が好ましい。
【0048】
上記酸性化合物としては、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、アルキルチタン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸などを挙げることができ、好ましくは、酢酸である。
また、上記アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを挙げることができ、好ましくは、水酸化ナトリウムである。
また、上記塩化合物としては、例えば、ナフテン酸、オクチル酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸などのアルカリ金属塩などを挙げることができる。
【0049】
また、上記アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ピペリジン、ピペラジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、エタノールアミン、トリエチルアミン、3−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・メチル・ジメトキシシラン、3−アニリノプロピル・トリメトキシシランや、アルキルアミン塩類、四級アンモニウム塩類のほか、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種変性アミンなどを挙げることができ、好ましくは、3−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリメトキシシランである。
【0050】
また、上記有機金属化合物等としては、例えば、下記一般式(7)で表される化合物(以下「有機金属化合物(1)」という)、同一のスズ原子に結合した炭素数1〜10のアルキル基を1〜2個有する4価スズの有機金属化合物(以下「有機スズ化合物」という)、あるいは、これらの化合物の部分加水分解物などを挙げることができる。
【0051】
M(OR11r(R12COCHCOR13s・・・(7)
〔式中、Mはジルコニウム、チタンまたはアルミニウムを示し、R11およびR12は、同一または異なって、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基などの炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示し、R13は、R11およびR12と同様の炭素数1〜6の1価の炭化水素基のほか、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ラウリルオキシ基、ステアリルオキシ基などの炭素数1〜16のアルコキシル基を示し、rおよびsは0〜4の整数で、(r+s)=(Mの原子価)である。〕
【0052】
有機金属化合物(1)の具体例としては、
(イ)テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどの有機ジルコニウム化合物;
【0053】
(ロ)テトラ−i−プロポキシチタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどの有機チタン化合物;
(ハ)トリ−i−プロポキシアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどの有機アルミニウム化合物;
などを挙げることができる。
【0054】
これらの有機金属化合物(1)およびその部分加水分解物のうち、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、あるいは、これらの化合物の部分加水分解物が好ましい。
【0055】
また、有機スズ化合物の具体例としては、
(C492Sn(OCOC11232
(C492Sn(OCOCH=CHCOOCH32
(C492Sn(OCOCH=CHCOOC492
(C8172Sn(OCOC8172
(C8172Sn(OCOC11232、1
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOCH32
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOC492
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOC8172
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOC16332
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOC17352
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOC18372
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOC20412
【0056】
Figure 0004872151
などのカルボン酸型有機スズ化合物;
【0057】
(C492Sn(SCH2COOC8172
(C492Sn(SCH2CH2COOC8172
(C8172Sn(SCH2COOC8172
(C8172Sn(SCH2CH2COOC8172
(C8172Sn(SCH2COOC12252
(C8172Sn(SCH2CH2COOC12252
(C49)Sn(SCOCH=CHCOOC8173
(C817)Sn(SCOCH=CHCOOC8173
【0058】
Figure 0004872151
などのメルカプチド型有機スズ化合物;
【0059】
Figure 0004872151
などのスルフィド型有機スズ化合物;
【0060】
Figure 0004872151
などのクロライド型有機スズ化合物;
(C492SnO、(C8172SnOなどの有機スズオキサイドや、これらの有機スズオキサイドとシリケート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオクチルなどのエステル化合物との反応生成物;
などを挙げることができる。
【0061】
(c)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、また亜鉛化合物やその他の反応遅延剤と混合して使用することもできる。
【0062】
(c)成分は、組成物を調製する際に配合してもよく、また、塗膜を形成する段階で組成物に配合してもよく、さらには、組成物の調製と塗膜の形成との両方の段階で配合してもよい。
(c)成分の使用量は、有機金属化合物等以外の場合、上記(a)成分を構成するオルガノシラン(1)中に含まれるOR2 1モルに対して、通常、0〜10モル、好ましくは、0.001〜5モル、さらに好ましくは、0.001〜2モルであり、有機金属化合物等の場合、上記(a)成分を構成するオルガノシラン(1)中に含まれるOR2 1モルに対して、通常、0〜10モル、好ましくは、0.001〜7モル、さらに好ましくは、0.001〜5モルである。この場合、(c)成分の使用量が10モル以内であれば、組成物の保存安定性に優れるほか、塗膜強度に優れクラックが発生しにくくなる傾向がある。
【0063】
上記(c)成分は、(a)〜(b)成分の合計量100重量部に対して、通常、0.001〜30重量部、好ましくは0.005重量部〜20重量部、さらに好ましくは0.01〜10重量部である。
上記(1)、(2)の方法の架橋条件は、温度に関しては、通常、0〜300℃、好ましくは40〜250℃、さらに好ましくは70〜220℃である。また、時間に関しては、触媒の種類、量、反応温度により異なり、好ましくは10分〜3日、さらに好ましくは30分から2日である。
【0064】
(a)〜(b)成分に、上記(c)成分を添加する際に使用される溶媒としては、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテルなどの群から選ばれた少なくとも1種の溶媒、またはこれら溶媒と、重合体が析出しない程度に、アルコール、エーテル、エステル、アミン、アミド、ケトン、脂肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素などの群から選ばれた少なくとも1種の溶媒が混合された混合溶媒が挙げられる。
上記溶媒中で、(a)〜(b)成分に、上記(c)成分を添加し、キャストできる粘度となるまで架橋し、さらに、フィルム、シートに加工・成形したのち、必要に応じて、加熱して二次架橋をすることができる。
【0065】
また、上記(a)〜(b)成分には、過酸化物、イオウ、ジスルフィド、ポリスルフィド化合物、ジオキシム化合物、テトラスルフィドなどを含むシランカップリング剤などの架橋剤を(a)〜(b)成分の合計量100重量部に対して、0.05〜5重量部添加し、架橋体に変換することもでき、直接、光、電子線により架橋体に変換することもできる。
【0066】
さらに、本発明の組成物には、2,6−ジ−t−ブチル,4−メチルフェノール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、などのフェノール系、ヒドロキノン系酸化防止剤;さらにトリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系酸化防止剤を添加して、酸化安定性を向上させることができる。
【0067】
本発明の環状オレフィン系重合体組成物は、液状のまま光学材料用などの接着剤等の用途に用いることもできるが、キャスティング、蒸発工程、あるいは塗布等により、光学透明なフィルムおよびシートにすることもできる。
【0068】
また、本発明の組成物は、優れた光学透明性、耐熱性、接着性・密着性および耐吸湿性を有するため、従来、公知の開環重合体の水素化物であるノルボルネン系重合体や付加重合体〔例えば、特開昭61−29260号公報、特開昭60−16870号公報、特開昭60−26024号公報、特開平2−51511号公報、特開平1−132625号公報、特開平1−132626号公報、特開平4−202404号公報、特開平4−63807号公報、特開平8−198919号公報、特表平9−508649号公報、特表平11−505880号公報、特開昭61−292601号公報など記載の(共)重合体〕とブレンドして、優れた耐熱性、光学特性(透明性、低複屈折性等)、接着・密着性を付与することができる。
【0069】
このような組成物において、本発明の(b)環状オレフィン系重合体と他の重合体とのブレンド割合は、本発明の(b)重合体および他の重合体の種類、両者の相溶性、組成物の使用目的に応じて、適宜選択されるが、優れた耐熱性を有する組成物を得るためには、本発明の(b)重合体の割合が、好ましくは5〜95重量%、さらに好ましくは10〜90重量%、特に好ましくは20〜80重量%である。
【0070】
このような組成物は、上述の他の重合体を溶媒に溶かして、溶液ブレンドすることにより得られる。
このような組成物から、本発明の組成物における場合と同様にフィルム、シートおよび薄膜にすることができる。
【0071】
本発明の組成物から得られる光学透明材料は、ガラス代替品として液晶表示基板に好適に用いられる。液晶表示基板上へのTFT(薄膜トランジスター)形成での露光、現像、エッチングなどの工程で基板材料に要求される、耐熱性、耐洗浄液性、透明性、接着・密着性、寸法安定性やさらに液晶注入時の耐液晶性などを満足させることができる。
また、本発明の組成物から得られる光学透明材料は、優れた光学透明性、耐熱性、接着・密着性、耐吸湿性を有するので、表示パネル等用の導光板、偏光フィルム、位相差フィルム、透明導電性フィルム、OHPフィルム、光ディスク、光ファイバー、レンズなどの光・電子部品、医療用具、容器などのほか、封止材、塗料、表示素子用成形品、レンズ、光導波路(光ファイバー)、反射防止フィルム、接着剤(ガラス、レンズ、金属、ウエハー用等)、絶縁材料などにも用いられる。
【0072】
【実施例】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限を受けるものではない。なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り重量部および重量%である。
評価用試料は、特に記載した場合を除き、本発明組成物を三井・デュポンフロロケミカル株式会社製のポリテトラフルオロエチレンのシート上にキャストし、90℃で17時間、減圧下にして溶媒を除去し、厚さ100μmのフィルムとしたものを用いた(以下、「本評価用試料」という。)。分子量、ガラス転移温度、屈折率、ガラス転移温度、線膨張係数、吸水率、接着・密着性は、下記の方法で測定した。
(1)重量平均分子量、数平均分子量
ウォーターズ(WATERS)社製、150C型ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置で東ソ−(株)製Hタイプカラムを用い、o−ジクロロベンゼンを溶媒として、120℃で測定した。得られた分子量は、標準ポリスチレン換算値である。
(2)屈折率:
ASTM−D542に準拠し、25℃におけるD線(589nm)の屈折率n25 Dを測定した。
【0073】
(3)全光線透過率:
ASTM−D1003に準拠し、本評価用試料の全光線透過率を測定した。
(4)Tanδのピーク温度(ガラス転移温度):
本評価用試料の一部を用い、動的粘弾性のTanδ(貯蔵弾性率E’と損失弾性率E”との比E”/E’=Tanδ)のピーク温度で、ガラス転移温度を測定した。
動的粘弾性の測定は、レオバイブロンDDV−01FP〔オリエンテック(株)製〕を用い、測定周波数が10Hz、昇温速度が4℃/分、加振モードが単一波形、加振振幅が2.5μmのものを用いて得られるTanδの温度分散のピーク温度で求めた。
(5)吸水率:
10cm×10cmの本評価用試料を23℃の水中に24時間浸漬させた後の重量変化により、吸水率を測定した。
【0074】
(6)線膨張係数:
TMA(Thermal Mechanical Analysis)/SS6100〔セイコーインスツルメント(株)製〕を用いて、試料(膜厚約100μm、幅約3mm、長さ10cm以上)を、チャック間距離10mmで固定し、室温から200℃程度まで、一旦昇温して残留ひずみをとった後、室温から3℃/minで昇温し、チャック間距離の伸びから80℃の線膨張係数を求めた。
(7)接着性・密着性
本評価用試料上にアルミニウムを蒸着し、この蒸着膜に対して、カッターにより、1mm×1mmの碁盤目が10個×10個形成されるように、切り込みを入れ、セロハンテープによる剥離試験を行い、25ブロック中における剥離したブロックの数を測定した。
なお、石英ガラスに対する密着性評価においては、本発明組成物を石英ガラスに乾燥塗膜5〜10μmになるよう塗布し、90℃で乾燥・硬化した後に上記同様のセロハンテープによる剥離試験を行った。
(8)耐液晶性
縦横2cm×2cmの本評価用試料をTFT用液晶(メルクジャパン株式会社製、ZLI5081)中に浸漬し、100℃、1時間後の寸法変化、膨潤度合いを目視観察した。評価基準は下記のとおりである。
◎;形状変化なし。
○;やや膨潤する。
△;膨潤する。
×;溶解などで、形状くずれる。
【0075】
参考例1〔(b)成分の合成〕
単量体として5−n−ヘキシル−2−ノルボルネン93.75ミリモル、2−ノルボルネン500ミリモル、5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン31.25ミリモル、溶媒としてシクロヘキサン500g、分子量調節剤(1−ヘキセン)3.1ミリモルを、容量1リットルの反応器に窒素下で仕込んだ。反応系を10℃にして、オクタン酸ニッケル〔Ni(オクトエート)2〕を0.25ミリモル、トリチルテトラキス(ペンタフロロフェニル)ボレート〔Ph3C・B(C653〕を0.5ミリモル、トリエチルアルミニウム1.0ミリモルを仕込み、重合を行った。20℃で2時間重合を行い、メタノールで重合を停止した。共重合体への転化率は85%であった。共重合体溶液に乳酸6gを加えて、触媒成分と反応させた。共重合体溶液を4リットルのイソプロパノールに入れて共重合体を凝固し、未反応単量体と触媒残さを除去した。凝固した共重合体を乾燥し、(b)成分(以下、「共重合体P」という。)を得た。
共重合体の270MHz H−NMRによる(4ppmのエトキシリル基メチレン吸収、溶媒:D化トルエン、TMS基準)分析で、5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネンに由来する構造体の含有量は4.8モル%であった。5−n−ヘキシル−2−ノルボルネンに由来する構造体の含有量は、赤外分析の721cm-1の特性吸収による検量線から14.0モル%であった。また、共重合体Pのポリスチレン換算の数平均分子量は、220,000,重量平均分子量は350,000であった。
【0076】
参考例2
参考例1にて、5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネンを用いない以外は、参考例1と同様に行い共重合体(以下、「共重合体Q」という。)を得た。共重合体の5−n−ヘキシル−2−ノルボルネンに由来する構造体の含有量は、14.0モル%であった。また、ポリスチレン換算の数平均分子量は230,000,重量平均分子量は380,000であった。
【0077】
実施例1
撹拌機、環流冷却器を備えた反応器に、(b)成分として共重合体Pを65部、トルエン194部、テトラヒドロフラン194部を加えて、40℃で3時間攪拌し、溶解させた後に、(a)成分としてメチルトリメトキシシラン14部、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム1部をトルエン7部に溶解したものを加えて混合した。この混合溶液を撹拌しつつ50℃に昇温した後、これに、水3部とテトラヒドロフラン28部の混合溶液を30分間かけて滴下し、さらに、60℃で4時間反応させた。次いで、アセチルアセトン1部を加えて1時間撹拌した後に室温に冷却した後に、(c)成分としてジオクチルスズジマレートのイソブチルアルコール溶液(固形分濃度10%)25部を加えて攪拌し、キャストフィルムを作製して各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0078】
実施例2
(b)成分として共重合体Pを50部、トルエン283部を加えて、40℃で3時間攪拌し、溶解させ、室温に冷却した後に、(a)成分のシリケートオリゴマーと(c)の成分有機スズ化合物とのキシレン溶液(固形分濃度約15%、鐘淵科学製BT120S)37部を混合し、実施例と同様にキャストフィルムを作製して各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0079】
比較例1
(b)成分の共重合体P65部に、トルエン194部、テトラヒドロフラン194部を加えて、40℃で3時間攪拌して溶解させ、実施例1と同様にキャストフィルムを作製して各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0080】
比較例2
実施例1において、(b)成分の共重合体Pを用いる代わりに共重合体Qを用いる他は、実施例1と同様にキャストフィルムを作製して各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
Figure 0004872151
【0082】
【発明の効果】
本発明のオルガノシラン系化合物および環状オレフィン系重合体を含む環状オレフィン系重合体組成物から得られる光学透明材料は、光学透明性、耐熱性、接着性を持ち、架橋が可能で耐溶剤性の優れた光学材料であり、ガラス代替品として液晶表示基板に好適に用いられる。この場合、液晶表示基板上へのTFT(薄膜トランジスター)形成での露光、現像、エッチングなどの工程で基板材料に要求される、耐熱性、耐洗浄液性、透明性、接着・密着性、寸法安定性やさらに液晶注入時の耐液晶性などを満足させることができる。
また、本発明の組成物から得られる光学透明材料は、優れた光学透明性、耐熱性、接着・密着性、耐吸湿性を有するので、導光板、偏光フィルム、液晶パネル、位相差フィルム、透明導電性フィルム、OHPフィルム、光ディスク、光ファイバー、レンズなどの電子部品、医療容器、容器などのほか、封止材、塗料、表示素子用成形品、レンズ、光導波路(光ファイバー)、反射防止フィルム、絶縁材料などにも用いられる。
また、本発明の組成物は金属、ガラス、上記環状オレフィン系重合体、上記環状オレフィン系重合体以外の光学透明材料に対して良好な密着性を示すため、光学材料用などの接着剤としても用いることができる。

Claims (12)

  1. 下記(a)成分と(b)成分を含有することを特徴とする環状オレフィン系重合体組成物。
    (a)成分は、下記一般式(1)
    (R1pSi(OR24-p・・・・・(1)
    (式中、R1は、2個存在するときは同一または異なり、炭素数1〜10の1価の有機基を示し、R2は、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示し、pは0〜2の整数である。)
    で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物および該オルガノシランの縮合物の群から選ばれる少なくとも1種、であり、
    (b)成分は、加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を有する環状オレフィン系重合体である。
  2. (b)環状オレフィン系重合体が、下記一般式(2)で示される繰り返し単位(b−1)と下記一般式(3)で示される繰り返し単位(b−2)を含む請求項1記載の環状オレフィン系重合体組成物。
    Figure 0004872151
    〔式(2)中、A1〜A4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、または−(CH2kXで表される極性基を示す。ここで、Xは−C(O)OR3、−OC(O)R4であり、R3〜R4は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基およびこれらのハロゲン置換基、kは0〜3の整数を示す。また、A1〜A4には、A1とA2またはA3とA4で形成されるビニリデニル基、A1とA2、A1とA3またはA3とA4、A2とA4で形成されるイミド基も含まれる。lは0または1の整数である。〕
    Figure 0004872151
    〔式(3)中、B1〜B4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、および−(CR67nSi(OR5m8 (3-m)、−(CR67nSi(R910)OSi(OR5m8 (3-m)、−C(O)O(CH2nSi(OR5m8 (3-m)で表されるアルコキシシリル基もしくはアリロキシシリル基またはこれらの加水分解残基を示し、B1〜B4の少なくとも一つは、アルコキシシリル基もしくはアリロキシシリル基またはこれらの加水分解残基を含む。ここで、R5は1〜10のアルキル基またはアリール基を示し、R6〜R10はそれぞれ独立して、水素原子、または炭素数1〜20の炭化水素基を示す。mは0〜3の整数、nは0〜5の整数、rは0または1である。〕
  3. 炭素数3〜8のアルキル基で置換されたノルボルネンを構造単位として有する上記繰り返し単位(b−1)を、(b)成分中のモノマー分率として1〜50モル%含む請求項1〜2いずれか1項記載の環状オレフィン系重合体組成物。
  4. 置換基A1〜A4の少なくとも一つがエステル基またはイミド基である上記繰り返し単位(b−1)を、(b)成分中のモノマー分率として0.1〜20モル%含む請求項1〜3いずれか1項記載の環状オレフィン系重合体組成物。
  5. (b)成分中のモノマー分率として、上記繰り返し単位(b−1)を70〜99.9モル%、および上記繰り返し単位(b−2)を30〜0.1モル%〔ただし、(b−1)+(b−2)=100モル%〕含む請求項1〜4いずれか1項記載の環状オレフィン系重合体組成物。
  6. (a)成分が1〜90重量部、(b)成分が10〜99重量部〔ただし、(a)+(b)=100重量部〕である請求項1〜5いずれか1項記載の環状オレフィン系重合体組成物。
  7. 上記(a)成分、(b)成分と、さらに(c)成分として、酸性化合物、アルカリ性化合物、塩化合物、アミン化合物、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物の群から選ばれる1種または2種以上を含有する請求項1−6いずれかに記載の環状オレフィン系重合体組成物。
  8. 上記(a)成分、(b)成分および(c)成分に溶媒を加えて溶液状態で混合する工程を含む請求項7に記載の環状オレフィン系重合体組成物の製造方法。
  9. 上記(a)成分、(b)成分および(c)成分に溶媒を加えて溶液状態で混合する工程を含む製造方法により得られた請求項7に記載の環状オレフィン系重合体組成物。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項記載の環状オレフィン系重合体組成物を用いた光ディスク。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項記載の環状オレフィン系重合体組成物を用いた光学材料用接着剤。
  12. 請求項1〜7のいずれか1項記載の環状オレフィン系重合体組成物を用いた成形品。
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