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JP4861029B2 - 摩擦伝動ベルト - Google Patents

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JP4861029B2
JP4861029B2 JP2006082841A JP2006082841A JP4861029B2 JP 4861029 B2 JP4861029 B2 JP 4861029B2 JP 2006082841 A JP2006082841 A JP 2006082841A JP 2006082841 A JP2006082841 A JP 2006082841A JP 4861029 B2 JP4861029 B2 JP 4861029B2
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Description

本発明は動力伝動に用いられる摩擦伝動ベルトに関する。
近年、ゴム工業分野、なかでも自動車用部品の高機能、高性能化が望まれている。そのような状況の中で、通常走行時に限らず、被水時においても高い伝達性能を有する動力伝動ベルトが求められている。また静粛化についても厳しい要求があり、特に駆動装置においてはエンジン音以外の音は異音とされるため、ベルト発音対策についても厳しい要請がある。
摩擦伝動ベルトにおける異音としては、回転変動の大きな条件や高負荷条件において発生するスリップ音や、圧縮ゴム層が粘着摩耗を起こし、その結果リブ間の溝底に付着した粘着ゴムにより発生する騒音がある。また雨天走行時などにおいてエンジンルーム内に水が入り、ベルトとプーリの間に水が付着した際に、スリップによる異音が生じることが知られている。なかでも、近年注目されているエチレン・α−オレフィンゴムで製造された摩擦伝動ベルトの場合、汎用的に用いられているクロロプレンゴムに比べると水濡れ性に劣ることから、被水時における伝達性能の低下や異音の発生が顕著に見られた。
このような被水時における発音対策としては、Vリブドベルトの少なくとも各リブ部に、綿短繊維と、各リブ部を構成する主体ゴムの弾性率及び綿短繊維の弾性率の中間の弾性率を有するナイロン短繊維とを含有させることによって、降雨等の注水によって発生する異音を小さくするようにする試みがなされている。前記の構成によると、Vリブドベルトの各リブ部に綿短繊維が含有されているため、注水時に低下した摩擦係数が回復するときに、この綿短繊維により水を吸収させて濡れた状態から乾燥した状態への移行に伴う摩擦係数の変化がスムーズに行われる。また、各リブ部には、綿短繊維の他に、綿短繊維とリブ部の主体ゴムとの間の弾性率を持つ中間短繊維が含有されており、各リブ部は、主体ゴムを含めて3種類以上の摩擦係数を有するものからなっているため、急激なスティックスリップ現象を抑制し、滑りと密着との繰り返しを防いで異音の発生を抑えることができるとある。(例えば特許文献1参照)
特開2003−202055号公報
しかしながら、前記Vリブドベルトの場合、走行がすすむにつれ、短繊維が脱落したり先端が摩滅したりするため、初期には発音抑制効果が高いものの、長期的にその効果が持続し難いという問題があった。また高い発音抑制効果を奏するためには、短繊維の配合量を増やす必要があるが、その弊害として短繊維の分散不良、そしてゴムシートの加工性や接着性の低下などの問題が知見された。具体的には、圧延工程においてゴムシートの裂けや穴あきが発生したり、ゴムシート間の接着不良によって積層体の作製が困難になるといった不具合があった。なかでも綿短繊維は分散が悪いため、この傾向が顕著であった。
上記問題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、本発明を提案するものであり、その目的とするところは、加工性に悪影響を与えることなく、走行時の耐発音性が高く、特に被水時における伝達性能の低下や異音の発生を長期的に抑制し、更に耐摩耗性、耐久性に優れた摩擦伝動ベルトを提供することにある。
即ち、本願請求項1記載の発明は、摩擦伝動ベルトであって、少なくとも摩擦伝動部の表層が、気泡率5〜20%の多孔性ゴム組成物で構成され、前記表層の表面が凹凸を形成していることを特徴とする。
本願請求項2記載の発明は、請求項1記載の摩擦伝動ベルトであって、多孔性ゴム組成物が、ゴム100重量部に対して補強性充填剤50〜150重量部の割合で含有することを特徴とする。
本願請求項3記載の発明は、請求項2記載の摩擦伝動ベルトであって、補強性充填剤が、カーボンブラックであることを特徴とする。
本願請求項4記載の発明は、請求項3記載の摩擦伝動ベルトであって、カーボンブラックが、窒素吸着比表面積が40〜120m/g、ジブチルフタレート吸油量が80〜130cm/100gのカーボンブラックであることを特徴とする。
本願請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の摩擦伝動ベルトであって、多孔性ゴム組成物が、滑剤を含有することを特徴とする。
本願請求項6記載の発明は、請求項5記載の摩擦伝動ベルトであって、滑剤が、ゴム100重量部に対して10〜50重量部の割合で含有されることを特徴とする。
本願請求項7記載の発明は、請求項5又は6記載の摩擦伝動ベルトであって、前記滑剤が、固体潤滑剤であることを特徴とする。
本願請求項8記載の発明は、請求項7記載の摩擦伝動ベルトであって、前記固体潤滑剤が、グラファイト及び/又は超高分子量ポリエチレンであることを特徴とする。
本願請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の摩擦伝動ベルトであって、ゴムがエチレン・α−オレフィンエラストマーを主成分とすることを特徴とする。
本願請求項10記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の摩擦伝動ベルトであって、摩擦伝動ベルトが、ベルト長手方向に延びるリブ部を配設したVリブドベルトであることを特徴とする。
本願請求項11記載の発明は、請求項10記載の摩擦伝動ベルトであって、少なくともリブ部表面の一部が、多孔性ゴム組成物で構成されることを特徴とする。
本願請求項12記載の発明は、請求項10又は11記載の摩擦伝動ベルトであって、少なくともベルト背面の一部が、多孔性ゴム組成物で構成されることを特徴とする。
本願請求項1記載の発明は、少なくとも摩擦伝動部の表層が、気泡率5〜20%の多孔性ゴム組成物で構成され、前記表層の表面が凹凸を形成していることで、走行時の耐発音性が高く、特に被水時における伝達性能の低下や異音の発生を長期的に抑制し、しかも耐久性に優れた摩擦伝動ベルトとすることができる。
本願請求項2記載の発明は、多孔性ゴム組成物が、ゴム100重量部に対して補強性充填剤50〜150重量部の割合で含有することで、より耐発音性が高く、耐摩耗性、耐久性に優れた摩擦伝動ベルトとすることができる。
本願請求項3記載の発明は、補強性充填剤が、カーボンブラックであることで、より補強性を高めることができる。
本願請求項4記載の発明は、カーボンブラックが、窒素吸着比表面積が40〜120m/g、ジブチルフタレート吸油量が80〜130cm/100gのカーボンブラックであることで、更に補強性を高めることができる。
本願請求項5記載の発明は、多孔性ゴム組成物が、滑剤を含有することで、より走行時の耐発音性を向上させることができる。
本願請求項6記載の発明は、滑剤が、ゴム100重量部に対して10〜50重量部の割合で含有されることで、耐発音性、耐久性に優れた摩擦伝動ベルトとすることができる。
本願請求項7記載の発明は、前記滑剤が、固体潤滑剤であることで、長期にわたりその効果を持続させることが可能であると共に、適度な摩擦係数を維持することができる。
本願請求項8記載の発明は、前記固体潤滑剤が、グラファイト及び/又は超高分子量ポリエチレンであることで、更に耐発音性、耐久性に優れた摩擦伝動ベルトとすることができる。
本願請求項9記載の発明は、ゴムがエチレン・α−オレフィンエラストマーを主成分とすることで、水濡れ性を良好なものとしつつ、優れた耐熱性、耐寒性、耐オゾン性を呈すると共に、脱ハロゲンを満たす摩擦伝動ベルトとすることができる。即ち、エチレン・α−オレフィンエラストマーを用いた場合、ゴム自身の水濡れ性の悪さから、被水時の性能低下が顕著に見られる傾向がある。しかし、本発明の構成によると、ゴムの主成分がエチレン・α−オレフィンであっても、被水時の伝達性能の改善や発音の抑制を実現することができると共に、エチレン・α−オレフィンエラストマーの優れた性質を具備することが可能となる。
本願請求項10記載の発明は、摩擦伝動ベルトが、ベルト長手方向に延びるリブ部を配設したVリブドベルトであって、走行時の異音が低く、特に被水時の動力伝達性や耐発音性などが向上した耐久性の高いVリブドベルトとすることができる。
本願請求項11記載の発明は、少なくともリブ部表面の一部が、多孔性ゴム組成物で構成されることで、リブ面の駆動において効果を奏することができる。
本願請求項12記載の発明は、少なくともベルト背面の一部が、多孔性ゴム組成物で構成されることで、背面の駆動において効果を奏することができる。
本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、摩擦伝動ベルトとして、ベルトの長手方向に延びるリブ部を有するVリブドベルトに本発明を適用したものである。
図1に示すようにVリブドベルト1は、背面8を形成する伸張層5と、この伸張層5の下層に配置される接着層2と、さらにその下層に配置される圧縮層4とを備えて構成されている。また、心線3は、ベルト長手方向に沿って本体内に埋設されるように配置されており、その一部が伸張層5に接し、残りの部分が接着層2に接した状態で埋設されている。そして、圧縮層4には、断面が略台形形状でベルト長手方向に延びる複数のリブ部7が設けられている。また、圧縮層4に含有される短繊維はリブ形状に沿った流動状態を呈し、表面近傍の短繊維はリブ形状に沿って配向している。一方、伸張層5に含有される短繊維はベルト幅方向に配向している。
ここで摩擦伝動面とは、摩擦伝動部の表面、即ちリブ部7表面(圧縮層4表面)を指し、Vリブドベルト1が背面駆動を行う場合は、更にベルト背面8(伸張層5表面)も指す。即ち、本発明では、少なくとも摩擦伝動面の一部を特定のゴム組成物で構成するものであり、具体的には、摩擦伝動ベルトが背面駆動を行うVリブドベルトである場合、少なくともリブ部表面及び/又はベルト背面を、気泡率5〜20%の多孔性ゴム組成物で構成し、前記リブ部表面及び/又はベルト背面が凹凸を形成しているものである。
具体的に例をあげると、摩擦伝動ベルト(Vリブドベルト1)において、摩擦伝動部(圧縮層4及び/又は伸張層5)の全てを多孔性ゴム組成物で構成することもできるし、摩擦伝動部(圧縮層4及び/又は伸張層5)の表層のみ多孔性ゴム組成物で構成することもできる。尚、摩擦伝動部の物性を考慮すると、表層のみ多孔性ゴム組成物で構成することが好ましい。この場合(表層のみ多孔性ゴム組成物で構成する場合)、表層の厚みは、ベルト寿命までの間に摩耗などによって損なわれる厚み以上であることが望ましく、具体的には0.5〜1.0mmとすることが好ましい。
ここで、気泡率とは、気泡以外のゴム部分の密度ρm、ゴム組成物全体の密度ρsとした場合、
気泡率=(ρm/ρs−1)×100 (%)
で表される量をいう。気泡構造は独立気泡、連続気泡など限定されるものではなく、両者が並存していてもよい。本発明では、少なくとも摩擦伝動面の一部を、気泡率5〜20%の多孔性ゴム組成物で構成することにより、表面に水膜除去効果を奏する凹凸を形成できるものであり、被水時においても異音を抑制可能な摩擦伝動ベルトとすることができる。尚、気泡率が5%未満であれば、水膜除去効果が極めて微小であり、被水時における伝達性能の低下や異音の発生の抑制効果が顕著ではなく、一方、20%を越えると摩擦伝動面の強度が急激に低下するといった不具合がある。
圧縮層4を構成する原料ゴムとしては、天然ゴム、ブチルゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレン、エチレン−・α−オレフィンゴム、水素化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩との混合ポリマー等のゴム材を単独で、またはこれらを混合して用いることが使用できる。なかでもエチレン・α−オレフィンゴムが、優れた耐オゾン性、耐熱性、耐寒性を有しているとともに比較的に安価で、脱ハロゲンという要求を満たすことから好ましく、ひいてはゴムの主成分としてエチレン・αーオレフィンゴムを用いられることが望ましい。また、エチレン・α−オレフィンゴムは他のゴムに比べて水濡れ性に乏しいことから、本発明の適用によって注水時の動力伝動性及び静音性の向上が顕著である。尚、主成分として用いられているゴムとは、複数の種類のゴム材料が含有されている場合においては、ゴムの組成において最も多く含有されている成分のゴムのことを指し、例えば、50%以上含有されているものであれば主成分となる。
エチレン・α−オレフィンゴムとしては、エチレンとα−オレフィン(プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテンなど)の共重合体、あるいは、エチレンと上記α−オレフィンと非共役ジエンの共重合体であり、具体的にはエチレン−プロピレンゴム(EPM)やエチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)などのゴムをいう。上記ジエン成分としては、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネンなどの炭素原子数5〜15の非共役ジエンが挙げられる。EPDMは耐熱性や耐寒性に優れるという特性を有しており、耐熱・耐寒性能の高い動力伝動ベルトを得ることができる。このEPDMはヨウ素価が3〜40のものが好ましく用いられる。ヨウ素価が3未満であると、ゴム組成物の加硫が十分でなく摩耗や粘着の問題が発生し、またヨウ素価が40を超えると、ゴム組成物のスコーチが短くなって扱い難くなり、耐熱性が悪くなるものである。
上記ゴムの架橋には、硫黄や有機過酸化物が使用される。有機過酸化物としては具体的には、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、1.1−t−ブチルペロキシ−3.3.5−トリメチルシクロヘキサン、2.5−ジ−メチル−2.5−ジ(t−ブチルペロキシ)ヘキサン、2.5−ジ−メチル−2.5−ジ(t−ブチルペロキシ)ヘキサン−3、ビス(t−ブチルペロキシジ−イソプロピル)ベンゼン、2.5−ジ−メチル−2.5−ジ(ベンゾイルペロキシ)ヘキサン、t−ブチルペロキシベンゾアート、t−ブチルペロキシ−2−エチル−ヘキシルカーボネートが挙げられる。この有機過酸化物は、単独もしくは混合物として、ゴム100重量部に対して1〜8重量部の範囲で好ましく使用される。
また加硫促進剤を配合しても良い。加硫促進剤としてはチアゾール系、チウラム系、スルフェンアミド系の加硫促進剤が例示でき、チアゾール系加硫促進剤としては、具体的に2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトチアゾリン、ジベンドチアジル・ジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩等があり、チウラム系加硫促進剤としては、具体的にテトラメチルチウラム・モノスルフィド、テトラメチルチウラム・ジスルフィド、テトラエチルチウラム・ジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラム・ジスルフィド等があり、またスルフェンアミド系加硫促進剤としては、具体的にN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N’−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等がある。また、他の加硫促進剤としては、ビスマレイミド、エチレンチオウレアなども使用できる。これら加硫促進剤は単独で使用してもよいし、2種以上の組み合わせで使用してもよい。
また、共架橋剤(co−agent)を配合することによって、架橋度を上げて粘着摩耗等の問題を防止することができる。共架橋剤として挙げられるものとしては、TAIC、TAC、1,2ポリブタジエン、不飽和カルボン酸の金属塩、p−ベンゾキノンジオキシム、p,p’−ジベンゾキノンジオキシム、テトラクロロベンゾキノンポリ(P−ジニトロベンゾキノン)、グアニジン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、N−N’−m−フェニレンビスマレイミド、硫黄など通常、有機過酸化物架橋に用いるものであるが、なかでもN,N’−m−フェニレンジマレイミド及び/又はキノンジオキシム類が好ましい。その配合量はゴム100重量部に対して、0.5〜10重量部が望ましく、0.5重量部未満では添加による効果が顕著でなく、10重量部を超えると引裂き力や接着力が低下するといった不具合がある。このとき、共架橋剤としてN,N’−m−フェニレンジマレイミドを選択した場合、架橋密度が高くなり、耐摩耗性が高く、また注水時と乾燥時の伝達性能の差が少ないといった特徴がある。またキノンジオキシム類を選択した場合は、繊維基材との接着性に優れるといった特徴がある。
尚、本実施形態においては、圧縮層4を構成するゴム組成物が、摩擦伝動面を構成するゴム組成物となるため、圧縮層4が気泡率5〜20%となるよう構成された多孔性ゴム組成物で構成される。多孔性ゴム組成物は、例えば、発泡剤を配合したゴム組成物を、発泡、架橋せしめることにより得られる発泡ゴム組成物を挙げることができる。発泡剤としては、重炭酸アンモニウムや重炭酸ナトリウムなどの無機系発泡剤や、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ヒドラゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート、アゾジカルボンアミドなどの有機系発泡剤を特に制約なく用いることができる。あわせて発泡助剤を配合することも可能であり、例えば尿素を用いることができる。上記の発泡剤の中で、特に好ましいのは安全性、分解ガス量や分解温度の制御が容易であることなどの点から、アゾジカルボンアミドと尿素の組み合わせである。
そして前記多孔性ゴム組成物は、気泡以外(短繊維を含有する場合は、気泡及び短繊維以外)のゴム部分の貯蔵弾性率を高位にすることにより、摩擦伝動ベルトの耐発音性や耐摩耗性を向上させることが可能となる。具体的には、気泡以外のゴム部分の貯蔵弾性率を40〜100MPaとなるよう調製することが望ましい。貯蔵弾性率が40MPa未満であれば、プーリに巻き付けられた時に圧縮層の変形が大きくなり、接触面積が急激に増大することで、ゴム表面とプーリ表面との凝着が大きくなる。この挙動により摩擦係数が大きくなり異音が発生しやすくなる恐れがある。更に他の物性、特に耐摩耗性が悪化するなどの不具合が生じる恐れがある。一方、貯蔵弾性率が100MPaを超えると、走行時にクラックが発生しやすくなり、ベルト寿命が短くなってしまう恐れがある。尚、貯蔵弾性率とは、動的粘弾性測定により測定される値であって、ここでは動歪み0.05%、周波数10Hz、温度100°Cの条件にて行う。
気泡(気泡及び短繊維)以外のゴム部分の貯蔵弾性率を高位にする具体的な構成としては、ゴム100重量部に対して補強性充填剤50〜150重量部、さらに好ましくは100〜150重量部の割合で含有させた多孔性ゴム組成物を用いることができる。補強性充填剤が50重量部未満では、耐発音性、耐摩耗性が充分ではなく、150重量部を超えると耐クラック性が低下する恐れがある。補強性充填剤としては、カーボンブラック、シリカなどをあげることができるが、カーボンブラックを選択することが補強性を高める上で望ましい。またカーボンブラックは限定されるものではないが、補強性を考慮すると、窒素吸着比表面積40〜120cm/g、ジブチルフタレート吸油量が80〜130cm/100gの特性を有するものを使用することが好ましい。ここで、窒素吸着比表面積(NSA)は、カーボンブラックの比表面積であって、JIS K 6217―2に従い測定される。またジブチルフタレート吸油量(DBP吸油量)は、ストラクチャーの指標であって、JIS K 6217―4に従い測定される。
また前記多孔性ゴム組成物で構成される摩擦伝動面は、気泡の存在によりプーリの接触面積が通常より小さくなっているが、更に滑剤を含有させることにより、摩擦伝動面の摩擦係数を低下せしめて耐発音性の向上を図ることができる。滑剤としては、液体潤滑剤、固体潤滑剤のどちらも用いることができるが、液体潤滑剤は摩擦係数の低下が極めて大なため、伝動効率の低下を招く恐れがあると共に、ブリードなどにより滑剤が散逸することによって長期的な摩擦低減効果を奏することが困難なことから、長期的にかつ適度に摩擦係数を下げることが可能な固体潤滑剤を用いることが望ましい。固体潤滑材としては、グラファイト、二硫化モリブデン、雲母、タルク、三酸化アンチモン、2セレン化モリブデン、二硫化タングステン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、そして超高分子量ポリエチレンなどを単独もしくは併用して用いることができる。なかでも好ましくはグラファイト及び/又は超高分子量ポリエチレンである。
滑剤は、ゴム100重量部に対して10〜50重量部含有させることが望ましい。10重量部未満では摩擦係数を低減させる効果に乏しく、50重量部を超えると、耐久性が低下する恐れがあると共に、発泡が充分に行えず所望する気泡率が得られない可能性がある。
前記多孔性ゴム組成物には、短繊維を含有させることができる。短繊維としては、ポリアミド、ポリエステル、綿、アラミド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールなどからなる短繊維を例示できる。アラミド繊維は分子構造中に芳香環をもつ、例えば商品名コーネックス、ノーメックス、ケブラー、テクノーラ、トワロン等を挙げることができる。前記短繊維は、繊維長が1〜20mmが好ましく、その添加量は、例えばゴム100重量部に対して5〜50重量部である。前記短繊維は必要に応じて接着処理を施すことができる。
そして、上記以外に必要に応じて、充填剤、可塑剤、安定剤、加工助剤、着色剤といった通常のゴム配合物に使用されるものを用いることができる。
接着層2,伸張層5は、圧縮層4と同様のゴム組成物を用いることができるが、別のゴム組成物で構成してもよい。例えば、接着層2には特に発泡は必要とされず、また接着性を考慮すると短繊維は混入しないほうが好ましい。
心線3は、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維、ポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維、ポリアミド繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、そしてアラミド繊維などから構成される撚糸コードが使用できる。
前記心線は接着処理を施されることが望ましく、例えば(1)未処理コードを、エポキシ化合物やイソシアネート化合物などから選ばれた配合剤を含有する処理液を入れたタンクに含浸してプレディップした後、(2)160〜200°Cに温度設定した乾燥炉に30〜600秒間通して乾燥し、(3)続いてRFL液からなる接着液を入れたタンクに浸漬し、(4)210〜260°Cに温度設定した延伸熱固定処理器に30〜600秒間通し−1〜3%延伸して延伸処理コードとする、ことができる。
この前処理液で使用するイソシアネート化合物としては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン2,4−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリアリールポリイソシアネート(例えば商品名としてPAPIがある)等がある。このイソシアネート化合物はトルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤に混合して使用される。
また、上記イソシアネート化合物にフェノール類、第3級アルコール類、第2級アルコール類等のブロック化剤を反応させてポリイソシアネートのイソシアネート基をブロック化したブロック化ポリイソシアネートも使用可能である。
エポキシ化合物としては、例えばエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールや、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコールとエピクロルヒドリンのようなハロゲン含有エポキシ化合物との反応生成物や、レゾルシン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルメタン、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂等の多価フェノール類やハロゲン含有エポキシ化合物との反応生成物などである。上記エポキシ化合物はトルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤に混合して使用される。
RFL処理液はレゾルシンとホルムアルデヒドの初期縮合物をゴムラテックスと混合したものであり、この場合レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比は1:2〜2:1にすることが接着力を高める上で好適である。モル比が1/2未満では、レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂の三次元化反応が進み過ぎてゲル化し、一方2/1を超えると、逆にレゾルシンとホルムアルデヒドの反応があまり進まないため、接着力が低下する。
ゴムラテックスとしては、スチレン・ブタジエン・ビニルピリジン三元共重合体、水素化ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴムなどがあげられる。
また、レゾルシン・ホルムアルデヒドの初期縮合物と上記ゴムラテックスの固形分質量比は1:2〜1:8が好ましく、この範囲を維持すれば接着力を高める上で好適である。上記の比が1/2未満の場合には、レゾルシン−ホルムアルデヒドの樹脂分が多くなり、RFL皮膜が固くなり動的な接着が悪くなり、他方1/8を超えると、レゾルシン・ホルムアルデヒドの樹脂分が少なくなるため、RFL皮膜が柔らかくなり、接着力が低下する。
更に、上記RFL液には加硫促進剤や加硫剤を添加してもよく、添加する加硫促進剤は、含硫黄加硫促進剤であり、具体的には2−メルカプトベンゾチアゾール(M)やその塩類(例えば、亜鉛塩、ナトリウム塩、シクロヘキシルアミン塩等)ジベンゾチアジルジスルフィド(DM)等のチアゾール類、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CZ)等のスルフェンアミド類、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TT)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(TRA)等のチウラム類、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸ナトリウム(TP)、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(PZ)ジエチルジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(EZ)等のジチオカルバミン酸塩類等がある。
また、加硫剤としては、硫黄、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉛)、有機過酸化物等があり、上記加硫促進剤と併用する。
尚、Vリブドベルトは、図1のような構成に限定されず、例えば接着層を配置しないVリブドベルトや、背面となる伸張層を帆布で構成したVリブドベルトなども本発明の技術範囲に属する。以下、これらの実施形態を図面をもとに説明する。
図2に示すVリブドベルト21は、背面28が帆布で形成された伸張層25と、該伸張層25の下層に接着層22が配設され、更にその下層に圧縮層24を配置した構成を有する。心線23は、ベルト長手方向に沿って本体内に埋設されてなり、接着層22に埋設されている。そして前記圧縮層24はベルト長手方向に伸びる断面略三角形の複数のリブ部27が設けられている。ここで、圧縮層24に含有される短繊維はベルト幅方向に配向している。
伸張層25を構成する帆布は、織物、編物、不織布などから選択される繊維基材である。構成する繊維素材としては、公知公用のものが使用できるが、例えば綿、麻等の天然繊維や、金属繊維、ガラス繊維等の無機繊維、そしてポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリフロルエチレン、ポリアクリル、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリエステル、アラミド等の有機繊維が挙げられる。織物の場合は、これらの糸を平織、綾織、朱子織等することにより製織される。
上記帆布は、公知技術に従ってRFL液に浸漬することが好ましい。またRFL液に浸漬後、未加硫ゴムを帆布に擦り込むフリクションを行ったり、ゴムを溶剤に溶かしたソーキング液に浸漬処理することができる。尚、RFL液には適宜カーボンブラック液を混合して処理反を黒染めしたり、公知の界面活性剤を0.1〜5.0質量%加えたりしてもよい。
図3に示すVリブドベルト31は、背面38を形成する伸張層35と、該伸張層35の下層に圧縮層34を配置した構成を有する。心線33は、ベルト長手方向に沿って本体内に埋設されてなり、その一部が伸張層35に接し、残部が圧縮層34に接した状態となっている。そして、前記圧縮層34にはベルト長手方向に伸びる断面略三角形の複数のリブ部37が設けられており、該リブ表面には植毛層が設けられている。ここで、伸張層25に含有される短繊維はランダム方向に配向している。
図1,3では、伸張層5,35を帆布で構成せず、短繊維を含有するゴム組成物で形成した構成を示したが、この際、背面駆動時の異音を抑制すべく、背表面に凹凸パターンを設けることができる。凹凸パターンとしては、編布パターン、織布パターン、スダレ織布パターンなどを挙げることができるが、最も好ましくは織物パターンである。
そして図3では伸張層35に含有される短繊維はランダム方向に配向しているが、図1のようにベルト幅方向に配向させるなど一方向に配向していてもかまわない。尚、ランダム方向に配向させた場合、多方向からの裂きや亀裂の発生を抑制できるといった特徴があるが、このとき短繊維として屈曲部を有する短繊維(例えばミルドファイバー)を選択すると、より多方向から作用する力に対して耐性ができるといった特徴がある。
また図3のように接着層を配置しない構成の場合、心線33は伸張層35と圧縮層34の境界領域でベルト本体に埋設されることになる。この時、心線33とベルト本体との接着性を考慮すると、伸張層35及び圧縮層34のどちらか一方のゴム層は、短繊維を含有しないゴム組成物で構成することが望ましい。
尚、図3では、圧縮層24を、短繊維を含有しないゴム組成物表面に植毛層を設けた構成としているが、短繊維を含有するゴム組成物表面に植毛層を設けた構成とすることも可能である。また図1では圧縮層24に含有される短繊維はリブ形状に沿った流動状態を呈しているが、図2のように短繊維が幅方向に配向した構成としてもかまわない。
尚、Vリブドベルトが背面伝動を行う場合は、伸張層の表面も摩擦伝動面となりうる。よって、伸張層を本発明のゴム組成物で構成してもかまわない。例えば、図1,3の場合は、背面、リブ部表面共にゴム組成物で形成されることから、少なくともどちらか一方を本発明のゴム組成物で形成すればよい。また図2の場合、背面は帆布で形成されることから、少なくともリブ部表面を本発明のゴム組成物で形成すればよい。
次に、これらVリブドベルトの製造方法を説明する。製造方法としては限定されるものではないが例えば以下のような方法がある。
第1の方法としては、まず、円筒状の成形ドラムの周面に伸張層を構成する部材と接着層を構成する接着ゴムシートとを巻き付けた後、この上にコードからなる心線を螺旋状にスピニングし、更に圧縮層を構成する圧縮ゴムシートを順次巻き付けて未加硫スリーブを形成した後、加硫して加硫スリーブを得る。次に、加硫スリーブを駆動ロールと従動ロールに掛架され所定の張力下で走行させ、更に回転させた研削ホイールを走行中の該加硫スリーブに当接するように移動してスリーブの圧縮層表面に3〜100個の複数の溝状部を一度に研磨して摩擦伝動面を形成する。このようにして得られたスリーブを駆動ロールと従動ロールから取り外し、該スリーブを他の駆動ロールと従動ロールに掛架して走行させ、カッターによって所定に幅に切断して個々のVリブドベルトに仕上げる。
第2の方法としては、周面にリブ刻印を設けた円筒状の成形ドラムに、圧縮層を構成する圧縮ゴムシート、接着層を構成する接着ゴムシートを巻き付けた後、心線をスピニングし、伸張層を構成する部材を巻き付けて未加硫スリーブを配置する。その後、該未加硫スリーブを成形ドラムに押圧しながら加硫することで、圧縮層にリブを型付けする。得られた加硫スリーブにはリブが形成されてなるが、必要に応じてリブ表面を研磨し、所定幅に切断して個々のVリブドベルトとする。
第3の方法としては、円筒状の成形ドラムに装着された可撓性ジャケットの上に伸張層を構成する部材、接着層を構成する接着ゴムシートを巻き、その上に心線をスピニングした後、さらに圧縮層を構成する圧縮ゴムシートを順次無端状に捲き付けて未加硫スリーブを形成する。そして、可撓性ジャケットを膨張させて、未加硫スリーブをリブ部に対応した刻印を有する外型に押圧して加硫成形する。得られた加硫スリーブにはリブが形成されてなるが、必要に応じてリブ表面を研磨し、所定幅に切断して個々のVリブドベルトとする。
第4の方法としては、円筒状の成形ドラムに装着された可撓性ジャケットの上に圧縮層を構成する圧縮ゴムシートを配置した第1未加硫スリーブを形成した後、可撓性ジャケットを膨張させて、該第1未加硫スリーブをリブ部に対応した刻印を有する外型に押圧して、リブ部を有する予備成型体を作製する。そして、前記予備成型体を密着させた外型から、内型を離間させ、次いで、内型に伸張層を構成する部材、接着層を構成する接着ゴムシートを配置し、心線をスピニングして第2未加硫スリーブを形成する。そして、可撓性ジャケットを膨張させて、前記予備成型体を密着させた外型に、該第2未加硫スリーブを内周側から押圧して予備成型体と一体的に加硫する。得られた加硫ベルトスリーブにはリブが形成されてなるが、必要に応じてリブ表面を研磨し、所定幅に切断して個々のVリブドベルトとする。
尚、Vリブドベルトの圧縮層を表層と内層の2層からなる構成とする場合、表層と内層の2層構成を有する圧縮ゴムシートを巻き付ける、もしくは表層用圧縮ゴムシートと内層用圧縮ゴムシートを順次巻き付けるなどにより、表層と内層の2層構成を有する圧縮層を配置した未加硫スリーブを形成する必要がある。このとき、第1の方法では研磨によりリブを形成するため、得られたVリブドベルトのリブ山には表層が存在するがリブ側面やリブ底には内層が露出することが考えられる。そのため、表層と内層の2層からなるVリブドベルトは、第2の方法、第3の方法、もしくは第4の方法で製造することが望ましい。
また図3のような接着層を配置しないVリブドベルトは、上記方法において接着ゴムシートを配置せずに製造することで得ることができる。更に、図1のように圧縮層4に含有される短繊維がリブ形状に沿った流動状態を呈しているVリブドベルトは、例えば第2の方法、第3の方法、もしくは第4の方法で製造することで得られる。そして、図2のように圧縮層24に含有される短繊維が幅方向に配向したVリブドベルトは、例えば第1の方法で製造することで得られる。
ここで、各層を構成するゴム組成物は以下のようにして調製することができる。具体的には、バンバリーミキサー、ニーダー等の混練機を用いて、各配合剤とゴムの混練を行う。そして、このようにして調製されたゴム組成物を圧延することにより、各層を構成するゴムシートを作製することができるものである。
尚、本実施形態は、Vリブドベルトに本発明を適用した一例であるが、Vリブドベルトに限らず、他の種類の摩擦伝動ベルト、例えばVベルトにも本発明を適用することが可能である。
以下、具体的な実施例を伴って説明する。
実施例1〜7、比較例1〜3
表1の配合に従いゴム組成物を調製し、バンバリーミキサーで混練後、カレンダーロールによって圧延して厚さ2.2mmの未加硫ゴムシートを作製した。ここで加工性の評価として、圧延後のゴムシートを目視で観察し、シーティング状態を確認した。○がゴムシートに裂けや穴あきなどの不具合が発生しない状態であり、△はゴムシートに裂けや穴あきが見られた状態であり、×はシーティングが不可能な状態をいう。また気泡率を既述の式に従い算出した。また表1の配合から短繊維を除いて調製したゴム組成物にて未加硫ゴムシートを作製し、発泡率0%の条件にて165°Cで30分間加硫して得られた加硫ゴムの貯蔵弾性率を、JIS K6394に準じ、動歪み0.05%、周波数10Hz、温度100°Cの条件で測定した。
Figure 0004861029
次にVリブドベルトを作製した。実施例1〜3、比較例1,2のVリブドベルトは、ベルト本体にポリエステル繊維のロープからなる心線を埋設し、背面(伸張層)を2プライのゴム付綿帆布で形成し、他方の面側に設けられた圧縮層に3個のリブ部をベルトの長手方向に配したものである。前記圧縮層には短繊維が含有されてなり、かつ短繊維はベルト幅方向に配向している。
ここで、圧縮層を表1の配合に従い調整したゴム組成物からなる未加硫ゴムシートを用いて形成した。ベルトの製造方法としては、以下のような公知の方法を用いた。まず、フラットな円筒状の成形モールドに2プライのゴム付綿帆布、接着ゴムシートを順次巻きつけ、心線をスピニングし、さらに、圧縮ゴムシートを巻きつけた後、該圧縮ゴムシートの上に加硫用ジャケットを挿入する。ついで、成形モールドを加硫缶内に入れて加硫した後、筒状の加硫スリーブを成形モールドから取り出す。そして、加硫スリーブの圧縮層をグラインダーにより研削して複数のリブ部を形成してから、カッターにより個々のベルトに切断して、Vリブドベルトを得た。そして、このVリブドベルトを用いて、このVリブドベルトを用いて、耐久性の評価として耐熱走行試験、耐発音性の評価として発音限界張力試験を行った。
実施例4〜7、比較例3のVリブドベルトは、ベルト本体にポリエステル繊維のロープからなる心線を埋設し、背面(伸張層)をゴム層で形成し、他方の面側に設けられた圧縮層に3個のリブ部をベルトの長手方向に配したものである。前記伸張層には短繊維が含有されてなり、かつ短繊維は幅方向に配向している。また圧縮層は表面にポリアミド短繊維が植毛されてなる。
ここで、圧縮層を表1の配合に従い調整したゴム組成物からなる未加硫ゴムシートを用いて形成した。この未加硫ゴムシート表面は静電植毛によりポリアミド短繊維が植毛されてなる。ベルトの製造方法としては、以下のような公知の方法を用いた。まず、円筒状の成形ドラムに装着された可撓性ジャケットの上に伸張ゴムシートを巻きつけ、心線をスピニングし、さらに、圧縮ゴムシートを植毛層が外周面となるよう巻きつけて未加硫ベルトスリーブを形成する。そして、可撓性ジャケットを膨張させて、未加硫スリーブをリブ部に対応した刻印を有する外型に押圧して加硫成形し、得られた加硫ベルトスリーブをカッターにより個々のベルトに切断して、Vリブドベルトを得た。そして、このVリブドベルトを用いて、耐久性の評価として耐熱走行試験、耐発音性の評価として発音限界張力試験を行った。
耐熱走行試験
走行試験機は、駆動プーリ(直径120mm)、アイドラープーリ(直径85mm)、従動プーリ(直径120mm)、テンションプーリ(直径45mm)とを順に配置して構成したものである。そして、試験機の各プーリにVリブドベルトを掛架し、Vリブドベルトのテンションプーリへの巻き付け角度を90°に、アイドラープーリへの巻きつけ角度を120度にして雰囲気温度120°C、駆動プーリの回転数4900rpm、ベルト張力559N/3リブの試験条件で駆動プーリに荷重を付与し、Vリブドベルトを500時間走行させた。このVリブドベルトを目視にて観察し、圧縮層に生じたクラック数を調べた。結果を表1に併記する。
発音限界張力試験
Vリブドベルトを直径135mmの駆動プーリ、直径112mmの第1従動プーリ、クラッチ機構を有する直径60mmの第2従動プーリの間に所定のベルト張力で懸架して、室温で駆動プーリを5,000rpmで回転させながら第2従動プーリを回転始動させた時に発生した鳴き音と、この時のベルトの最低張力である発音限界張力を測定した。また耐熱走行試験で用いた試験機にて、雰囲気温度85°Cの条件下で180時間走行させた後(慣らし走行後)のVリブドベルトについて、上記と同様に発音限界張力試験を実施した。尚、この発音限界張力試験では、水を60cc/min垂らした注水時での発音性の評価を行っている。この測定で得られる発音限界張力が低いほど異音抑制効果が高いことを示す。
結果、実施例は耐久性に不具合を与えることなく、被水時においても異音抑制効果が高く、またならし走行後もその効果が持続していることが判明した。また、滑剤を適量含有する実施例4〜6では、更に被水時の耐発音性が向上し、かつ耐久性にも優れていることが判った。しかし、適量未満の滑剤を含有する実施例7では、効果がはっきりとは現れないことが判明した。対して、比較例はベルト耐久性に劣り、比較例1,2では加工性が非常に悪く、実使用上問題があった。
本発明にかかる摩擦伝動ベルトは自動車用あるいは一般産業用の駆動装置などに装着できる。
本発明に係る摩擦伝動ベルトであるVリブドベルトの断面図である。 本発明に係る摩擦伝動ベルトである別のVリブドベルトの断面図である。 本発明に係る摩擦伝動ベルトである更に別のVリブドベルトの断面図である。
符号の説明
1,21,31 Vリブドベルト
2,22 接着層
3,23,33 心線
4,24,34 圧縮層
5,24,35 伸張層
7,27,37 リブ部
8,28,38 背面

Claims (12)

  1. 少なくとも摩擦伝動部の表層が、気泡率5〜20%の多孔性ゴム組成物で構成され、前記表層の表面が凹凸を形成していることを特徴とする摩擦伝動ベルト。
  2. 多孔性ゴム組成物が、ゴム100重量部に対して補強性充填剤50〜150重量部の割合で含有する請求項1記載の摩擦伝動ベルト。
  3. 補強性充填剤が、カーボンブラックである請求項2記載の摩擦伝動ベルト。
  4. カーボンブラックが、窒素吸着比表面積が40〜120m/g、ジブチルフタレート吸油量が80〜130cm/100gのカーボンブラックである請求項3記載の摩擦伝動ベルト。
  5. 多孔性ゴム組成物が、滑剤を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の摩擦伝動ベルト。
  6. 滑剤が、ゴム100重量部に対して10〜50重量部の割合で含有される請求項5記載の摩擦伝動ベルト。
  7. 前記滑剤が、固体潤滑剤である請求項5又は6記載の摩擦伝動ベルト。
  8. 前記固体潤滑剤が、グラファイト及び/又は超高分子量ポリエチレンである請求項7記載の摩擦伝動ベルト。
  9. ゴムがエチレン・α−オレフィンエラストマーを主成分とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の摩擦伝動ベルト。
  10. 摩擦伝動ベルトが、ベルト長手方向に延びるリブ部を配設したVリブドベルトである請求項1〜9のいずれか1項に記載の摩擦伝動ベルト。
  11. 少なくともリブ部表面の一部が、多孔性ゴム組成物で構成される請求項10記載の摩擦伝動ベルト。
  12. 少なくともベルト背面の一部が、多孔性ゴム組成物で構成される請求項10又は11記載の摩擦伝動ベルト。
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