以下、添付図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1および図2は本発明に係る車両用エンジン1の概略構成を示す。エンジン1は4サイクル火花点火式エンジンであって、4つの気筒12A〜12D(図2参照)が設けられている。また、各気筒12A〜12Dの内部には、図略のコネクティングロッドによってクランクシャフト3に連結されたピストン13が嵌挿されることにより、当該ピストン13の上方に燃焼室14が形成されている。各気筒12A〜12Dに設けられたピストン13は、所定の位相差をもってクランクシャフト3の回転に伴い上下運動を行うように構成されている。ここで、4気筒4サイクルエンジンであるエンジン1では、各気筒12A〜12Dが所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっており、各サイクルが1番気筒(図示の例では気筒12A)、3番気筒(図示の例では気筒12C)、4番気筒(図示の例では気筒12D)、2番気筒(図示の例では気筒12B)の順にクランク角で180°(180°CA)の位相差をもって行われるように構成されている。
各気筒12A〜12Dの燃焼室14の頂部には、プラグ先端が燃焼室14内に臨むように点火プラグ15が設置されている。また、当該燃焼室14の側方には、燃焼室14内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁16が設けられている。この燃料噴射弁16は、図外のニードル弁およびソレノイドを内蔵し、エンジン制御ユニット100の燃焼制御部102(図4参照)から入力されたパルス信号のパルス幅に対応する時間だけ駆動されて開弁し、その開弁時間に応じた量の燃料を上記点火プラグ15の電極付近に向けて噴射するように構成されている。
また、各気筒12A〜12Dの上部には、燃焼室14に向かって開口する吸気ポート17および排気ポート18が設けられている。そして、これらのポート17、18と燃焼室14との連結部分には、吸気バルブ19および排気バルブ20がそれぞれ装備されている。この吸気ポート17および排気ポート18には、吸気通路21および排気通路22が接続されている。吸気ポート17に近い吸気通路21の下流側は、図2に示すように、各気筒12A〜12Dに対応して独立した分岐吸気通路21aに分岐しており、この各分岐吸気通路21aの上流端がそれぞれサージタンク21bに連通している。このサージタンク21bよりも上流側には共通吸気通路21cが設けられている。この共通吸気通路21cには、スロットルボディ24が設けられている。スロットルボディ24には、各気筒12A〜12Dに流入する空気量を調整可能なスロットル弁24aとこのスロットル弁24aを駆動するアクチュエータ24bと、アイドリング回転速度制御装置(ISC:Idling Speed Control device)24cとが設けられている。図示の実施形態において、ISC24cは、エンジン制御ユニット100の燃焼制御部102(図4参照)によって開弁量を変更可能な電磁駆動式のものである。スロットル弁24aの上流側および下流側には、それぞれ吸気流量を検出するエアフローセンサ25と、吸気圧Btを検出する吸気圧センサ26とが設置されている。
また、上記エンジン1には、図1に示すように、タイミングベルト等によりクランクシャフト3に連結されたオルタネータ28が付設されている。このオルタネータ28は、図略のフィールドコイルの電流を制御して出力電圧を調節することにより発電量を調整するレギュレータ回路28aを内蔵し、このレギュレータ回路28aに入力されるオルタネータ制御部110(図4参照)からの制御信号に基づき、車両の電気負荷やバッテリ電圧等に対応した発電量の制御が実行されるように構成されている。
またエンジン1には、エンジンを始動するためのスタータ36が設けられている。このスタータ36は、モータ36aとピニオンギア36dとを有している。ピニオンギア36dの回転軸は、モータ36aの出力軸と同軸で、その回転軸に沿って往復移動する。またクランクシャフト3には、図略のフライホイールと、このフライホイールに固定されたリングギア35が、回転中心に対して同心に設けられている。そして、このスタータ36を用いてエンジンを始動する場合には、ピニオンギア36dが所定の噛合位置に移動して、リングギア35に噛合することにより、クランクシャフト3が回転駆動されるようになっている(クランキング)。
またエンジン1には、クランクシャフト3の回転角を検出する2つのクランク角センサ30、31が設けられている。一方のクランク角センサ30から出力される検出信号(パルス信号)に基づいてエンジン回転速度Neが検出されるとともに、この両クランク角センサ30、31から出力される位相のずれた検出信号に基づいてクランクシャフト3の回転角度が検出されるようになっている。さらに、エンジン1には、吸気側カムシャフトの回転位置を検出するカム角センサ32と、冷却水温度を検出する水温センサ33と、運転者のアクセル操作量に対応したアクセル開度を検出するアクセル開度センサ34とが設けられている。
図3は、本実施形態に係る車両に搭載された手動変速機60と、これに含まれるクラッチ64の断続を行うクラッチペダル40の構成を示す概略構成図である。
手動変速機60は、エンジン1に連結されるケース61内にクラッチ64とギア列66とを備えている。クラッチ64は、エンジン1のクランクシャフト3とギア列66の入力軸62とを断続するもので、クラッチオンでクランクシャフト3から入力軸62への動力伝達がなされ、クラッチオフでその動力伝達が遮断される。ギア列66は、入力軸62からの動力を、複数の変速段(例えば前進6段、後退1段)から択一選択されるギアの組合せによって減速又は増速させたり逆回転させたりして出力軸68に出力する。ニュートラル(中立位置)が選択されると、何れの変速段も有効とならず、クラッチ64がオンであっても入力軸62からの動力が出力軸68に伝達されない。以下当明細書において、ニュートラルを除く変速段を走行段と称する。
リンク機構70はギア列66の変速位置を切換える機構であり、シフトレバー74と連動している。クラッチ64がオフのとき、運転者がシフトレバー74を手動操作することにより、リンク機構70によってギア列66の変速位置の切換えが行われるように構成されている。
リンク機構70の近傍にはギア位置センサ72が設けられている。ギア位置センサ72は、変速位置を検知するセンサである。ギア位置センサ72は、少なくとも変速位置がニュートラル位置にあるのか、走行段にあるのかを検知する。走行段にあるとき、さらにそれが第何速にあるのか、或いは後退段にあるのかをも検知するものでも良い。
クラッチペダル40は、運転者の足による操作によってクラッチ64を断続する機構であり、運転席の足元付近に配設されている。クラッチペダル40は、ダッシュロアパネル2に固定されたペダルブラケット41と、このペダルブラケット41に支軸42を介して上端部が片持ち状に軸支されるレバー43と、レバー43によって駆動されるマスターシリンダ44とを有している。
レバー43の自由端部(下端部)には、運転者の踏力を受けるペダルパッド45が一体形成されている。レバー43の中央部には、ペダルブラケット41との間に介装されたばね機構46が設けられており、このばね機構46によって、レバー43は、図において反時計回りに付勢されている。さらに、レバー43には、ピン47を介してマスターシリンダ44のロッド48が連結されている。これにより、ペダルパッド45から運転者によって入力されたレバー43の回動が往復運動に変換されてマスターシリンダ44に伝達され、その踏み込み量に応じた油圧によってクラッチ64が断続される。
レバー43の踏み込み状態を検出するために、マスターシリンダ44には、クラッチストロークセンサSW1が付設されている。図示の例において、クラッチストロークセンサSW1は、マスターシリンダ44のロッド48の変位量を検出することにより、レバー43の踏み込み量を検出する。ペダルブラケット41には、レバー43のクラッチストロークCSを規制するストッパ49、50が設けられている。ストッパ49には、レバー43がストッパ49から離れたときにオンとなるクラッチアッパスイッチSW2が、ストッパ50には、レバー43がストッパ50に当接したときにオンとなるクラッチロアスイッチSW3が、それぞれ取り付けられている。各スイッチSW2、SW3は、レバー43が回動するクラッチストロークCSの始端と終端に対応する位置にそれぞれ設けられている。
従って、運転者の踏込み操作がなされず、レバー43が自由状態(レバー43がストッパ49に当接している)にあるとき、すなわち、ばね機構46によってレバー43がマスターシリンダ44のロッド48を最も車室側に引いているとき、クラッチアッパスイッチSW2とクラッチロアスイッチSW3が共にオフとなる。また運転者がペダルパッド45を最大に踏込み、レバー43がストッパ50に当接しているとき、すなわちマスターシリンダ44のロッド48が最もエンジンルーム側に押されたとき、クラッチアッパスイッチSW2とクラッチロアスイッチSW3が共にオンとなる。そして、運転者がペダルパッド45を中程度に踏込み、レバー43がストッパ49にもストッパ50にも当接していないとき、クラッチアッパスイッチSW2がオン、クラッチロアスイッチSW3がオフとなる。
図4は、当該車両の制御ユニット100を中心とする制御ブロック図である。図4では、特に当実施形態の説明に必要な部分のみを抽出して示している。
制御ユニット100には、上述した各種のセンサやスイッチ類、すなわちエアフローセンサ25、吸気圧センサ26、クランク角センサ30,31、カム角センサ32、水温センサ33、アクセル開度センサ34、ギア位置センサ72、クラッチストロークセンサSW1、クラッチアッパスイッチSW2及びクラッチロアスイッチSW3からの信号が入力される。
制御ユニット100は、CPU、メモリ、カウンタタイマ群、インターフェース及びこれらを接続するバスを有するマイクロプロセッサで構成されており、その制御対象である燃料噴射弁16、スロットル弁24a、点火装置27、オルタネータ28及びスタータ36に対して制御信号を出力する。制御ユニット100は、燃焼制御部102、変速状態検出部104、停止・再始動条件判定部106、スタータ制御部108及びオルタネータ制御部110を機能的に含む。
燃焼制御部102は、エアフローセンサ25、吸気圧センサ26、クランク角センサ30,31、カム角センサ32、水温センサ33及びアクセル開度センサ34からのセンサ信号に基き、エンジン1の適正なスロットル開度K(吸気量)、燃料噴射量とその噴射タイミング、及び適正点火時期を設定し、その制御信号を燃料噴射弁16、スロットル弁24a(のアクチュエータ24b)、点火装置27に出力する。
変速状態検出部104(変速機状態検出手段)は、ギア位置センサ72、クラッチストロークセンサSW1、クラッチアッパスイッチSW2及びクラッチロアスイッチSW3からの信号に基いて、手動変速機60の動力の伝達状態を検出する。クラッチストロークセンサSW1、クラッチアッパスイッチSW2及びクラッチロアスイッチSW3からの信号に基き、クラッチ64がオン状態かオフ状態かが判定される。例えばクラッチアッパスイッチSW2及びクラッチロアスイッチSW3が共にオフのとき(運転者がクラッチ操作をしないとき)、クラッチ64がオン状態と判定される。またクラッチアッパスイッチSW2及びクラッチロアスイッチSW3が共にオンのとき(運転者がクラッチペダル40を最大に踏込んだとき)、クラッチ64がオフ状態と判定される。その中間位置においては、前の状態を継続するようにしても良いし、より高精度で判定するために、クラッチストロークセンサSW1からのセンサ信号に基き、クラッチミートポイント相当位置でオン/オフ切換えポイントを設定しても良い。
またギア位置センサ72からのセンサ信号に基き、ギア列66がニュートラル状態にあるのか、走行段に入っている(以下ギアインともいう)のかが判定される。そして、クラッチ64がオン状態、かつギア列66がギアイン状態のとき、変速状態検出部104は手動変速機60が動力伝達状態であると判定する。一方、それ以外のとき、すなわちクラッチ64がオフ状態であるか、又はギア列66がニュートラルであるとき、変速状態検出部104は手動変速機60が動力非伝達状態であると判定する。この判定は、後述するようにエンジン自動停止制御における再始動時の制御に利用される。
停止・再始動条件判定部106は、エンジン自動停止制御において、それを実行する条件である自動停止条件や、停止後あるいは停止動作途中からでも再始動を開始させる条件である再始動条件の成否を判定する。当実施形態の停止・再始動条件判定部106は、例えばクラッチ64がオン(クラッチペダル40が自由状態とされ、クラッチアッパスイッチSW2がオフ)、手動変速機60がニュートラル状態、車速が所定値以下、水温が所定温度(例えば80℃)以上等の条件が全て成立したときに自動停止条件が成立したと判定する。またその自動停止条件の成立後、例えばクラッチ64がオフ(クラッチペダル40が踏込まれ、クラッチロアスイッチSW3がオン)を含む、上記列挙した個別の自動停止条件のうち、何れかひとつでも不成立となったときに停止・再始動条件判定部106は再始動条件が成立したと判定する。なおクラッチオン/オフの判定に際し、上述のようにクラッチストロークセンサSW1によるクラッチミートポイントを切換えポイントとしても良い。
自動停止条件が成立して燃料噴射が停止されてからエンジン1が完全停止するまでの時間は短い(数秒以内)ので、殆どの場合エンジン1が完全に停止した後に再始動条件が成立する。しかしエンジン1が完全に停止する前に再始動条件が成立することも想定される。このような場合、当実施形態ではエンジン1が完全に停止する前であっても再始動を開始する(即始動)。
即始動を行わせるため、停止・再始動条件判定部106は再始動条件のうちの特別なものとして即始動条件を成立させる。即始動条件には2通りあり、手動変速機60が動力非伝達状態(クラッチオフ又はニュートラル状態)のときには「通常即始動条件」を成立させる。また手動変速機60が動力伝達状態(クラッチオン且つギアイン状態)のときには「特定即始動条件」を成立させる。
スタータ制御部108は必要に応じてスタータ36を駆動する。具体的には、キー始動時の他、燃焼再始動時において、燃焼エネルギーのみによる再始動が困難であると判定されたときに補助的にスタータ36を駆動させたり(スタータアシスト)、一旦燃焼による再始動を試みて失敗したときにスタータ36を駆動させたりする(スタータバックアップ)。
オルタネータ制御部110(発電制御手段)は、オルタネータ28の発電量を調節する。具体的には、車両各部の電気機器(電気負荷)での消費電力が多いときやバッテリ電圧が低下したとき(バッテリ残容量が少なくなったとき)にオルタネータ28の発電量を増大させる。
またオルタネータ制御部110は、エンジン自動停止制御において、次のようなオルタネータ制御を行う。オルタネータ制御は、エンジンの自動停止の過程で、エンジン回転速度Neの低下度合が、予め設定された目標の低下度合となるように、オルタネータ28の発電量を調節する制御である。オルタネータ28による発電はエンジン負荷として作用するので、発電量を調節することによりエンジン負荷を調節することができる(詳細は後述する)。さらにオルタネータ制御部110は、再始動時においては後述する発電抑制制御を実行する。
上記燃焼制御部102、変速状態検出部104、停止・再始動条件判定部106、スタータ制御部108及びオルタネータ制御部110を機能的に含む制御ユニット100は、それ全体として、所定の自動停止条件が成立したときにエンジン1を自動停止させ、停止後、上記再始動条件が成立したときに、少なくともエンジン停止時に膨張行程にある気筒12で燃焼を行わせてエンジン1を自動的に再始動させる自動停止制御を行うとともに、その自動停止制御におけるエンジン停止動作中に上記再始動条件が成立したとき、エンジン1が完全に停止する前であっても燃料供給と点火を復帰させて再始動を開始させる自動停止制御手段となっている。
次に、当実施形態のエンジンの始動装置の作動について説明する。まず、制御ユニット100によって自動停止制御が実行され、エンジンが完全に停止してから自動的に再始動される場合について説明する。
図5は、エンジン1における停止時圧縮行程気筒と停止時膨張行程気筒との関係を示す図である。停止時圧縮行程気筒とは、特定の気筒を指すものではなく、気筒12A〜12Dのうちの何れかの気筒であって、自動停止時に圧縮行程となる、又は圧縮行程になっている気筒のことである。同様に停止時膨張行程気筒とは自動停止時に膨張行程となる、又は膨張行程になっている気筒のことである。以下停止時排気行程気筒および停止時吸気行程気筒についても同様の意味で用いる。図5(a)は停止時圧縮行程気筒および停止時膨張行程気筒の各ピストン13の位置関係を示す図であり、図5(b)はピストン13の停止位置と各気筒内の空気量との関係を示す図である。
当実施形態のエンジンは4気筒4サイクルエンジンなので、図5(a)に示すように、停止時圧縮行程気筒と停止時膨張行程気筒とでは、それぞれ位相が180°CAだけずれており、ピストン13の位置および移動方向が逆位相となっている。すなわち白抜き矢印で示すように、停止時圧縮行程気筒においてピストン13がTDC(上死点)方向に移動するとき、停止時膨張行程気筒ではピストン13がBDC(下死点)方向に移動する。
この動作を利用して、当実施形態では、自動停止させたエンジンを再始動させる際、膨張行程気筒での燃焼に先立って、圧縮行程気筒で燃焼を行わせることにより、そのピストン13を一旦逆方向に、BDCを越えない程度に押し下げるようにしている(クランクシャフト3は一時的に逆方向に回転する)。これによって停止時膨張行程気筒のピストン13も一旦逆方向、つまりTDC方向に移動する。そうすると停止時膨張行程気筒内の空気(燃料噴射後は混合気となる)が圧縮される。そこで圧縮された混合気に点火して燃焼させることにより、強い力でピストン13を反転させてBDC方向に押し下げる。すなわちクランクシャフト3の回転方向を逆転から正転に向かわせる。このように、エンジン1を一旦逆転させてから停止時膨張行程気筒で燃焼させることにより、単に停止時膨張行程気筒で燃焼させるよりも強い正転方向の駆動トルクが得られ、エンジンの再始動性が向上される。
このように、気筒12内での燃焼エネルギーによってエンジンを再始動させる形態を、当明細書では燃焼再始動という(一旦逆転させない場合も含む)。燃焼再始動を行うことにより、スタータ36を用いずにエンジン1を再始動することができるので、常にスタータ36による再始動を行う従来技術に対してスタータ36の使用頻度を激減させ、その耐久性を向上することができる。
燃焼再始動において、上記停止時膨張行程気筒の混合気を燃焼させることにより得られる燃焼エネルギーは、全てがクランクシャフト3からの出力となるわけではなく、停止時膨張行程気筒に続いて圧縮上死点を迎える気筒(当実施形態では停止時圧縮行程気筒および停止時吸気行程気筒)が再始動後最初の圧縮行程の後期において圧縮反力に打ち勝って圧縮上死点を超えるためにも消費される。従って、その消費分を差し引いてもクランクシャフト3に正転方向の駆動力が残っていなければならない。そのため、初期状態(エンジン停止状態)の停止時膨張行程気筒に充分な空気量を確保しておく必要がある。一方、停止時圧縮行程気筒にも、最初にクランクシャフト3を逆転させて停止時膨張行程気筒内の空気を圧縮させるに足る空気量を確保しておく必要がある。
図5(b)は、横軸に停止時膨張行程気筒のピストン停止位置(ATDC°CA:上死点後のクランク角)、縦軸に停止時膨張行程気筒および停止時圧縮行程気筒の筒内空気量を示す。何れの気筒も停止後ある程度の時間が経過しており、筒内が略大気圧となった状態での空気量である。上述のように、停止時膨張行程気筒のピストン13と停止時圧縮行程気筒のピストン13とは逆位相なので、一方の空気量が増大する(ピストン13がBDC方向に移動する)と他方の空気量が減少する(ピストン13がTDC方向に移動する)。
そこで停止時圧縮行程気筒での燃焼エネルギーをある程度確保しつつ、停止時膨張行程気筒での大きな燃焼エネルギーを得るためには、停止時膨張行程気筒のピストン13を、行程中央よりもややBDC寄り、例えば100〜120ATDC°CAの範囲内(図5(b)に示す範囲R内)に停止させれば好適である。以下、この範囲を適正範囲Rと称する。
ピストン13を適正範囲R内に停止させる制御の具体的手法は種々あるが、当実施形態の制御ユニット100は、主に後述するスロットル開度Kの調節とオルタネータ制御とによって行う。
図6は、エンジン1を自動停止させる際のタイムチャートである。横軸に時間t(s)、縦軸にエンジン回転速度Ne(rpm)、スロットル開度K(%)、吸気圧Bt(mmHg)、および各気筒12A〜12Dにおける行程の推移をそれぞれ示す。なお、図6ではエンジン1の完全停止時(時点t4)に膨張行程となる停止時膨張行程気筒は気筒12Aとなっている。以下説明の都合上、気筒12Aを停止時膨張行程気筒12Aと想定して説明を進める。他の気筒も同様に停止時圧縮行程気筒12C、停止時吸気行程気筒12Dおよび停止時排気行程気筒12Bと称する。但し実際には何れの気筒が停止時膨張行程気筒となっても良い。また停止時膨張行程気筒が決まれば、他の停止時圧縮行程気筒等は点火順序から一義的に決まる。
図6を参照して制御ユニット100による自動停止制御(エンジン1の完全停止まで)の概要を説明する。この制御の主目的は、エンジンの自動停止条件成立時点t0の後、時点t1で燃料供給を停止(燃料カット)し、エンジン完全停止時点t4におけるピストン停止位置を適正範囲R内に導くことにある。
時点t0で自動停止条件が成立すると、制御ユニット100は、ピストン13を精度良く適正範囲R内に停止させるため、エンジン回転速度Neの目標値を目標回転速度N1(例えば860rpm)に設定するとともに、吸気圧Btを所定の目標値(例えば−400ないし―600mmHg)に設定する。制御ユニット100は、エンジン回転速度Neと吸気圧Btとが、共に目標値に収束するようにエンジン出力の調整を行う。具体的には、点火時期のリタード(遅角)を行い、そのリタード量をフィードバック制御する。
そして、エンジン回転速度Neと吸気圧Btとが各目標値に収束した時点t1で燃料供給を停止する。目標回転速度N1は、通常のアイドル回転速度(例えば700rpm)よりも高回転となっている。このように比較的高い目標回転速度N1で燃料供給停止を行うことにより、エンジン完全停止時点t4までのクランクシャフト3の総回転数を相対的に増やすことができる。従って既燃ガスの掃気を充分に行うことができる。またエンジン完全停止時点t4までの時間が相対的に長くなるので、エンジン停止時のピストン停止位置を適正範囲R内に導き易くなる。
時点t1で燃料噴射が停止されると、クランクシャフト3等が有する運動エネルギーが摩擦抵抗による機械的な損失や、各気筒12A〜12Dのポンプ仕事によって消費されることにより、クランクシャフト3は惰性で数回転し、4気筒4サイクルのエンジンでは10回前後の圧縮上死点を迎えた後に停止する(実線で示す特性Ne1)。特性Ne1に示すように、時点t1以降、エンジン回転速度Neは波打ちながら降下して行く。この波打ちの谷のタイミングが、気筒12A〜12Dのうちの何れかの気筒が圧縮上死点を超えるタイミングと一致している。
ピストン13の停止位置は、エンジン完全停止直前の停止時膨張行程気筒12A内の空気量と停止時圧縮行程気筒12C内の空気量とのバランスにより略決定されるとともに、エンジンの摩擦抵抗等の影響を受け、最後の圧縮上死点(最終TDC)を超えた時点t3におけるエンジンの回転慣性、つまり時点t3でのエンジン回転速度Neの高低によっても変化する。
したがって、ピストン13を適正範囲R内に停止させるためには、まず停止時膨張行程気筒12Aおよび停止時圧縮行程気筒12Cに充分な空気を供給しつつ、停止時膨張行程気筒12Aの空気量が停止時圧縮行程気筒12Cの空気量よりも多くなるように、両気筒12A,12Cに対する吸気流量を調節する必要がある。
このために、当実施形態では、燃料供給停止時点t1でスロットル開度Kを大きな値(例えば全開時の30%程度の開度)に設定することにより吸気圧Btを高め、停止時膨張行程気筒12Aおよび停止時圧縮行程気筒12Cの両方に所定量の空気を吸入させる吸気流量増大制御を行い、その後、エンジンの回転速度Neが予め設定された基準速度N2(例えば760rpm程度)以下に低下したことが確認された時点t2で、スロットル開度Kを低減することにより上記吸入空気量を調節するようにしている(実線で示す各特性K1、Bt1)。
ところで、エンジンの回転速度Neが目標回転速度N1となった時点t1で燃料噴射を停止し、その後の所定期間に亘りスロットル弁23を開弁状態に維持するようにして、惰性により回転するエンジンの各気筒12A〜12Dが圧縮上死点を通過する際の上死点回転速度ne(波打ちの谷におけるエンジン回転速度Ne)を計測するとともに、それらの値とピストン停止位置との関係を調べると、エンジンが完全に停止する前の6番目〜2番目における上死点回転速度neが、図7にハッチングで示すような所定の範囲内にあるとき、ピストン停止位置が適正範囲R内に入ることが実験的に確かめられている。
従って、最終的にピストン13を適正範囲R内に停止させるためには、エンジン1が停止状態となる前の6番目〜2番目における各上死点回転速度neが、図7にハッチングで示すような所定の範囲内に逐次入るようにエンジン回転速度Neを低下させて行けば良い。予め、そのような上死点回転速度neを辿るように上記目標エンジン回転速度N1、基準速度N2及び目標吸気圧Btが設定されているが、より精度良くピストン13を適正範囲R内に停止させるため、オルタネータ制御部110が次のようなオルタネータ制御を行う。オルタネータ制御は、エンジン1が停止状態となる前の各上死点回転速度neが、予め設定された所定範囲(図7にハッチングで示す)に入るようにオルタネータ28の発電量を調節する。
具体的には、ある回の上死点回転速度neが、例えば上記ハッチングの範囲を高い側に外れていた場合、オルタネータ制御部110はオルタネータ28の発電量を増大させる。こうするとクランクシャフト3の負荷が増大し、エンジン回転速度Neの低下度合が急速になるので、次回の上死点回転速度neは、発電量の増大を行わなかった場合よりもやや低目となる。すなわち次回のハッチングの範囲に入り易くなる。逆にある回の上死点回転速度neが、上記ハッチングの範囲を低い側に外れていた場合は、オルタネータ28の発電量を減少させれば良い。
このような制御を行いつつ、制御ユニット100は、上死点回転速度neが所定の最終TDC判定閾値N9(例えばN9=260rpm)より低くなった時点t3で、それが最終TDCを超えたタイミングであると判定する。すなわち時点t3以降は、各気筒12A〜12D内でピストン13は移動するが、上死点TDC或いは下死点BDCを越えて次の行程に移行することはない。
時点t3以降、制御ユニット100は、再びスロットル開度Kを増大させる。こうすることにより、吸気圧Btが上昇するので、停止時吸気行程気筒12Dでの吸気抵抗が低減され、クランク軸3の負荷が低減される。従って、停止時膨張行程気筒12Aや停止時圧縮行程気筒12Cにおけるピストン13の作動がより滑らかになり、狙いの適正範囲R内に停止させ易くなる。なお、時点t3以降は各気筒12A〜12Dにおける行程の推移はなく、停止時膨張行程気筒12Aや停止時圧縮行程気筒12Cで吸気弁19が開くことがない。従って、吸気圧Btが上昇しても、既に停止時膨張行程気筒12Aおよび停止時圧縮行程気筒12Cにバランス良く配分された空気量に変化はない。
なお、時点t3における上死点回転速度neや吸気圧Btの条件によっては、必ずしもクランクシャフト3の負荷を低減した方がピストン13を適正範囲R内に停止させ易いとは限らない場合がある。その場合には、時点t3以降のスロットル開度Kの増大を省略したり、増大量を調節したりする制御を行っても良い。
時点t3以降、ピストン13が同一行程内で何回か振動した後、時点t4において完全に停止する。その停止直前から停止までのピストン13の動作をクランク角センサ30,31で検出することにより、制御ユニット100がピストン13の停止位置を検出する。
図8は、ピストン停止位置の検出制御動作を示すフローチャートである。この検出制御がスタートすると、第1クランク角信号CA1(クランク角センサ30からの信号)および第2クランク角信号CA2(クランク角センサ31からの信号)に基づき、第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がLowであるか否か、または第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がHighであるか否かを判定する(ステップS1)。これにより、エンジン1の停止動作時における上記信号
CA1,CA2の位相の関係が、図9(a)のようになるか、それとも図9(b)のようになるかを判定してエンジンが正転状態にあるか逆転状態にあるかを判別する。
すなわち、エンジンの正転時には、図9(a)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相遅れをもって生じることにより、第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がLow、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がHighとなる。一方、エンジンの逆転時には、図9(b)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相の進みをもって生じることにより、エンジンの正転時とは逆に第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がHigh、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がLowとな
る。
そこで、ステップS1の判定がYESであれば、エンジンの正転方向のクランク角変化を計測するためのCAカウンタをアップし(ステップS2)、ステップS1の判定がNOの場合は、上記CAカウンタをダウンする(ステップS3)。そして、時点t4においてエンジンが完全に停止した後に上記CAカウンタの計測値を調べることでピストン停止位置を求める(ステップS4)。
次に、エンジンが完全に停止した状態からのエンジンの再始動時の制御について説明する。制御ユニット100は自動停止状態にあるエンジンについて、上記所定の再始動条件が成立し、且つピストン13が適正範囲R内で停止している場合には、上述したような燃焼再始動を行わせる。すなわち、まず停止時圧縮行程気筒12Cにおいて初回燃焼を実行してエンジン1(クランクシャフト3)を一旦逆転作動させることにより、停止時膨張行程気筒12Aの筒内圧力を高める。そして筒内圧力が高められた停止時膨張行程気筒12Aに対して燃料を噴射して点火し、燃焼を行わせる。これによりクランクシャフト3を正転に転じさせ、エンジン1を自動的に再始動させる。
このエンジンの再始動制御を図10および図11のタイムチャートに基づいて説明する。なお、エンジンの再始動制御はこれに限定するものではなく、その他の公知の再始動制御であってもよい。
まず再始動条件が成立すると、スロットル開度Kが増大されているときには吹き上がりを抑制するためこれを全閉とする。またオルタネータ28が作動しているときには、エンジンふかを安定的に軽減して円滑な始動を行わせるためにこれを停止させる(発電抑制制御)。発電抑制制御は、エンジン回転速度Neがアイドル回転速度N6(=700rpm)となるまで継続され、その完了後はオルタネータ28による通常の発電が復帰される。
発電抑制制御の開始後、図11に示すように、停止時圧縮行程気筒12C(第3気筒)において1回目の燃料噴射J2が行われ、それに対する点火によって燃焼(図10中の(1))が行われる。この燃焼(1)による燃焼圧(図11中のa部分)で、停止時圧縮行程気筒12Cのピストン13が下死点側に押し下げられてエンジンが逆転方向に駆動される。
上記エンジンの逆転作動に伴って停止時膨張行程気筒12A(第1気筒)のピストン13が上死点方向に動き始める。そして、停止時膨張行程気筒12Aのピストン13が上死点側(望ましくは行程中央より上死点寄り)に移動し、停止時膨張行程気筒12A内の空気が圧縮された時点で燃料噴射J1が行われる。この噴射燃料の気化潜熱によって圧縮圧力が低減し、ピストン13がより上死点に近づくので圧縮空気(混合気)の密度が増大する(図11中のb部分)。
停止時膨張行程気筒12Aのピストン13が上死点に充分に近づいた時点で当該気筒12Aに対する点火が行われて、上記噴射燃料(J1)が燃焼し(図10中の(2))、その燃焼圧(図11中のc部分)によりエンジン1が正転方向に駆動される。
また、停止時圧縮行程気筒12Cに対して適当なタイミングで可燃空燃比よりもリッチな燃料が噴射(J3)されることにより(図10中の(3))、この停止時圧縮行程気筒12Cでは燃焼させないものの、燃料噴射による気化潜熱によって当該気筒12Cの圧縮圧力が低減され(図11中のd部分)、これに応じて当該圧縮上死点(始動開始から最初の圧縮上死点)を超えるために消費される停止時膨張行程気筒12Aの最初の燃焼エネルギーが低減されることになる。
停止時圧縮行程気筒12Cが圧縮上死点を超えると、次は停止時吸気行程気筒12Dが圧縮行程となる。この停止時吸気行程気筒12Dが次に燃焼が行われる気筒である。制御ユニット100は、吸気行程気筒12Dにおける燃料噴射(J4)の時期を、燃料の気化潜熱によって気筒内の温度、および圧縮圧力を低下させる適正なタイミング(図10中の(4)に示すように、例えば圧縮行程の中期以降)に設定しているため、停止時吸気行程気筒12Dの圧縮行程で圧縮上死点前に自着火することが防止される。また、停止時吸気行程気筒12Dの点火時期が圧縮上死点以降に設定されていることも相俟って、圧縮上死点前での燃焼が防止される(図11中のe部分)。つまり燃料噴射(J4)による圧縮圧力の低減と圧縮上死点前の燃焼を行わないことにより、停止時膨張行程気筒12Aにおける初回燃焼のエネルギーが上記圧縮上死点(エンジン始動開始時点から2番目の圧縮上死点)を超えるために消費されるのを抑制することができる。
このようにして停止時膨張行程気筒12Aにおける初回燃焼(図10中の(2))のエネルギーにより、再始動開始後の最初の圧縮上死点(図10中の(3))と、2番目の圧縮上死点(図10中の(4))とを超えることが可能となり、円滑で確実な始動性を確保することができる。
その後、吹き上がりを抑制するために、燃焼制御部102は回転上昇抑制制御を実行する。当実施形態では、それは点火時期の遅角(点火リタード)によって行われる。遅角量Mは、エンジン回転速度Neによって決定される遅角量M1と、吸気圧Btによって決定される遅角量M2との合計とされる。
図19に、遅角量M1,M2の設定特性を示す。(a)はエンジン回転速度Neに対する遅角量M1の設定特性、(b)は吸気圧Btに対する遅角量M2の設定特性を示す。エンジン停止後の再始動の場合には、遅角量M1については設定201が適用される。また遅角量M2については設定211が適用される。その結果、遅角量Mは、エンジン回転速度Neの違いには依存せずに一定値以上が確保され、吸気圧Btが高いほど大きな遅角量となる。回転上昇抑制制御は所定期間、当実施形態ではエンジン回転速度Ne>N5(=500rpm)となるまで行われる。
次に、自動停止制御中に再始動条件が成立した場合の制御ユニット100の制御について説明する。
上述のように当実施形態では、エンジン1が完全に停止する前であっても、再始動条件が成立したら燃焼再始動を開始する。つまり即始動を行う。そのため、停止・再始動条件判定部106は自動停止条件が成立した後、再始動条件が成立したか否かを判定し、成立した場合にはさらに通常即始動条件または特定即始動条件が成立したか否かを判定する。そしてその判定結果に基いて4通りの再始動フラグFSを設定する(再始動フラグFS=0,1,2又は3)。
再始動条件が未成立のとき、停止・再始動条件判定部106は再始動フラグFS=0と設定する。また再始動条件が成立し、且つ通常即始動条件が成立したき、停止・再始動条件判定部106は再始動フラグFS=1と設定する。さらに再始動条件が成立し、且つ特定即始動条件が成立したき、停止・再始動条件判定部106は再始動フラグFS=2と設定する。そしてエンジンの完全停止前に再始動条件が成立せず、完全停止後に再始動条件が成立した場合、停止・再始動条件判定部106は再始動フラグFS=3と設定する。
図12は、停止・再始動条件判定部106が再始動フラグFSを決定するためのサブルーチンである。このサブルーチンは制御ユニット100の自動停止制御に含まれるもので、後述する自動停止制御のメインルーチン(図13〜図14に示す)と並行処理される。このサブルーチンでは、まず自動停止制御において燃料噴射停止中であるか否かが判定される(ステップS10)。ステップS10でYESの場合、再始動条件が成立したか否かの判定がなされる(ステップS11)。再始動条件が未成立(ステップS11でNO)なら再始動フラグFSに「0」が入力される(ステップS12)。次にエンジンが完全に停止したか否かの判定がなされ(ステップS13)、NOであれば以降ステップS11〜S13の処理がループされる。
ステップS13でYES、つまりエンジンが完全に停止した後は、再始動条件が成立するまでの待機状態となり、再始動条件が成立したら(ステップS14でYES)、再始動フラグFSに「3」が入力され(ステップS15)、リターンされる。
上記ステップS11〜S13のループ中、ステップS11でYES、つまりエンジン停止前に再始動条件が成立した場合、続いて手動変速機60がギアイン且つクラッチオン状態であるか、つまり動力伝達状態であるか否かが判定される(ステップS20)。ステップS20でNOであれば通常即始動条件が成立したとして再始動フラグFSに「1」が入力される(ステップS21)。再始動フラグFS=1となる代表的なケースは、燃料噴射停止直後に運転者が(発進の目的で)クラッチペダル40を踏み込み、クラッチオフとした場合である。
その後、エンジンが完全に停止する(ステップS22でYES)までステップS20〜S22の処理がループされる。通常は、このループ中に即始動(通常即始動)がなされるのでエンジン1が停止することはないが、何らかの要因でエンジン1が停止した場合にはそのままリターンされる(ステップS22でYES)。
上記ステップS20〜S22のループ中、ステップS20でYESと判定されたら、特定即始動条件が成立したとして再始動フラグFSに「2」が入力される。再始動フラグFS=2となる代表的なケースは、運転者がクラッチオフとした(ここで一旦再始動フラグFS=1となる)直後にシフトレバー74を操作して手動変速機60をギアイン状態とし、続いてクラッチペダル40を戻してクラッチオンとするようなクイック操作を行った場合である。上述のように、通常即始動条件(再始動フラグFS=1)が成立しても直ちに即始動を行わず、後述する吹き上がり抑制条件が成立するまで即始動の開始を遅延させる場合があり、その遅延中に再始動フラグFS=2が成立する場合がある。また通常即始動の開始後に特定即始動条件が成立する場合もある。
ステップS30の後、エンジンが完全に停止する(ステップS31でYES)まで待機状態となる。通常は、この待機中に即始動(特定即始動)がなされるのでエンジン1が停止することはないが、何らかの要因でエンジン1が停止した場合には、そのままリターンされる(ステップS31でYES)。
停止・再始動条件判定部106がこのサブルーチンで決定した再始動フラグFSの値は所定の記憶部に記憶され、逐次更新される。そしてその値は自動停止制御のメインルーチンや他のサブルーチンにおいて適宜参照される。
次に、再始動条件が成立し、且つ通常即始動条件(再始動フラグFS=1)または特定即始動条件(再始動フラグFS=2)が成立した場合に行われる即始動の制御の概要について図6を参照しつつ説明する。図6には、様々な状態から即始動を行った場合のエンジン回転速度Neの変化について、特性Ne2〜Ne6に破線で示す。但し特性Ne2は当実施形態とは異なる形態の即始動であり、当実施形態との対比のための参考特性として示すものである。
当実施形態では、即始動条件(通常または特定即始動条件)の成立時期に応じて即始動の形態を第1即始動、第2即始動および第3即始動に類別している。第1即始動は、燃料噴射の停止(時点t1)から最終TDC通過時点(時点t3)までの間に即始動条件が成立した場合の始動形態である(特性Ne3、Ne4に相当)。
第2即始動は、最終TDC通過時点(時点t3)から、初回の逆転が開始する時点(時点t9)までの間に即始動条件が成立した場合の始動形態である(特性Ne5、Ne6に相当)。また第3即始動は、初回の逆転が開始する時点(時点t9)より後に即始動条件が成立した場合の始動形態である。
第2即始動および第3即始動については後にフローチャートを参照して説明する。ここでは、特に第1即始動につい説明する。第1即始動で配慮すべきことは、エンジンの吹き上がり懸念とエンスト懸念とのバランスである。例えば図6において、時点t7で通常即始動条件が成立したと想定する。このとき、仮に単にエンジン1への燃料噴射と点火とを復帰させると、エンジン1は特性Ne2に示すような吹き上がりを起こす。これは、時点t7までにスロットル開度Kが増大されており、仮に時点t7でスロットル弁24aを閉じたとしても、それまでに吸気された大量の空気(及びそれに対応する燃料)によって過大なエンジントルクが発生するからである。当実施形態では、上述したように回転上昇抑制制御(点火リタード)が行われ、吹き上がりの抑制が図られているものの、これは基本的にエンジン停止状態からの再始動時を想定したものであって、エンジン停止動作途中、特にその初期に通常即始動を行うときにはその効果が不充分となる虞がある。
一方、時点t7では燃料カットはされているものの、エンジン回転速度Neはまだあまり低下しておらす、エンスト懸念は小さい。つまり相対的に吹き上がり懸念の方が大きい状態となっている。
そこで当実施形態では、そのような場合、吹き上がり懸念を低減するために、通常即始動条件が成立しても所定の吹き上がり抑制条件が成立するまでエンジンの燃焼復帰を遅延させる。吹き上がり抑制条件とは、その条件下でエンジン燃焼を復帰させても特性Ne2のような吹き上がりが起こらないような条件であって、当実施形態では「エンジン回転速度Ne<所定回転速度N3(例えばN3=300rpm)または吸気圧Bt<所定吸気圧Bt5(例えばBt5=−300〜−400mmHg)であること」としている。図6に示す例ではBt5=−400mmHgとしたものである。
このような即始動開始までの遅延を行うことにより、回転上昇抑制制御と相俟って、効果的に吹き上がり懸念を低減することができる。一方、上記遅延を行っても、即始動開始時に少なくともエンジン回転速度Ne=300rpm程度に相当する回転慣性が確保されているので、エンスト懸念はやや増大するものの、まだ充分低い。こうして吹き上がり懸念とエンスト懸念とのバランスをより適切にすることができる。
なお、通常即始動条件の成立時点で既に吹き上がり抑制条件が成立している場合には上記遅延は行われず、直ちに通常即始動が実行される。
次に、上記通常即始動条件と同じタイミング(時点t7)で特定即始動条件(再始動フラグFS=2)が成立した場合について説明する。手動変速機60が動力伝達状態とされると、エンジン1に車両側の慣性モーメントが加わるので、エンスト懸念が増大する。この場合、上記即始動の遅延はかえってエンスト懸念を助長する結果になりかねない。一方、慣性モーメントの増大によって吹き上がり懸念は減少する。そこでこの場合には、上記即始動の遅延を行わず、直ちに即始動を開始する(特性Ne4)。こうすることにより、増大したエンスト懸念の一部または全部を相殺し、エンスト懸念と吹き上がり懸念とのバランスをより適切なものとすることができる。
しかも、特定即始動条件が成立、つまり手動変速機60が動力伝達状態となっているということは、運転者が速やかな発進を要求していると想定される。そのような場合に上記遅延を解除するということは、より迅速な再始動が行われることになり、運転者の意図に沿った始動形態とすることができる。
なお、特定即始動条件の成立時には吹き上がり懸念が減少するものの、エンジン回転速度が鋭く立ち上がると運転者に違和感を与える虞があるので、上記回転上昇抑制制御が補正された形態で実行される。図19(a)、(b)に、特定即始動時に適用される遅角量M1,M2の設定特性をそれぞれ破線の設定202と設定212とで示す。これらが適用されることにより、遅角量Mは、エンジン回転速度Neが高いほど、また吸気圧Btが高いほど大きな遅角量となるが、全体として通常即始動時の遅角量よりも小さくなる。すなわち通常即始動時の遅角量に対して、吹き上がり抑制効果を低減する方向に補正されている。この補正により、ある程度の吹き上がり抑制効果を残しつつ、補正しない場合に比べてエンジン回転が上昇し易くなるのでエンスト懸念を低減することができる。
また特定即始動時には、上記吹き上がり抑制条件の解除や回転上昇抑制制御の補正により、比較的早期にエンジン回転速度がアイドル回転速度に達し、発電抑制制御が早期完了する場合がある。特定即始動時にはエンスト懸念が増大するにもかかわらず、その上さらにオルタネータ28による発電が早期再開すると、エンスト懸念の増大を助長しかねない。そこで当実施形態では、このような場合に発電抑制制御の完了時期を遅延させている。こうすることによりエンスト懸念の増大を抑制することができる。
図13〜図14は、上記第1即始動〜第3即始動を含む、自動停止制御の概略フローチャート(メインルーチン)である。このフローがスタートし、エンジン運転中に自動停止条件が成立すると(ステップS40でYES、図6の時点t0に相当)、燃焼制御部102はエンジン回転速度Ne及び吸気圧Btを目標値N1,Bt5に調整し、燃料噴射を停止(燃料カット)する(ステップS41、図6の時点t1に相当)。なお特に図示しないが、自動停止条件成立から燃料カットまでの間に再始動条件が成立した場合には、自動停止制御が直ちに中断され、燃料カットすることなく通常の燃焼制御に復帰される。
燃料カットの直後(又は略同時)にスロットル弁24aが開弁され(ステップS42)、オルタネータ制御によるエンジン負荷調節が実行される(ステップS43)。続いて再始動フラグFS決定ルーチン(図12)の再始動フラグFSが参照され、再始動フラグFS=0(再始動条件未成立)であるか否かの判定がなされる(ステップS44)。ここでNOと判定されれば、即始動条件が成立(再始動フラグFS=1又は2)であり、第1即始動ルーチンに移行する(ステップS64)。
一方、ステップS44でYESであれば、続いてエンジン回転速度Neが基準速度N2(=760rpm程度)より低下したか否かが判定される(ステップS45)。ここでNOと判定されれば、以降ステップS44とステップS45の処理がループされ、そのループ中にステップS44でNOと判定されればステップS64に移行する(例えば図6の時点t7に相当)。またそのループ中にステップS45でYESと判定されれば、ステップS46に移行してスロットル弁24aが閉じられる(図6の時点t2に相当)。
その後、再始動フラグFS=0(再始動条件未成立)であるか否かの判定がなされる(ステップS50)。ここでNOと判定されれば、即始動条件が成立(再始動フラグFS=1又は2)であり、第1即始動ルーチンに移行する(ステップS64)。
一方、ステップS50でYESであれば、続いて最終TDCを通過したか否かの判定が行われる(ステップS51)。ここでNOと判定されれば、以降ステップS50とステップS51の処理がループされ、そのループ中にステップS50でNOと判定されればステップS64の第1即始動ルーチンに移行する。またそのループ中にステップS51でYESと判定されれば(図6の時点t3に相当)、次のステップS52に移行する。なお特に図示しないが、上述したように時点t3でスロットル弁24aを開き、スロットル開度Kを増大させても良い。
ステップS52では、再始動フラグFS=0(再始動条件未成立)であるか否かの判定がなされる。ここでNOと判定されれば、即始動条件が成立(再始動フラグFS=1又は2)であり、第2即始動ルーチンに移行する(ステップS66)。
一方、ステップS52でYESであれば、続いて初回の逆回転開始(図6の時点t9)後であるか否かの判定が行われる(ステップS53)。ここでNOと判定されれば、以降ステップS52とステップS53の処理がループされ、そのループ中にステップS52でNOと判定されればステップS66の第2即始動ルーチンに移行する。またそのループ中にステップS53でYESと判定されれば、次のステップS60に移行する。
ステップS60では、再始動フラグFS=0(再始動条件未成立)であるか否かの判定がなされる。ここでNOと判定されれば、即始動条件が成立(再始動フラグFS=1又は2)であり、第3即始動ルーチンに移行する(ステップS68)。
一方、ステップS60でYESであれば、続いてエンジン1が完全に停止したか否かの判定が行われる(ステップS61)。ここでNOと判定されれば、以降ステップS60とステップS61の処理がループされ、そのループ中にステップS60でNOと判定されればステップS68の第3即始動ルーチンに移行する。またそのループ中にステップS61でYESと判定されれば、途中で再始動条件が成立することなくエンジン1が自動停止したことを意味する。そこでオルタネータ28を停止(オルタネータ制御を完了)させ(ステップS62)、リターンする。以降は、ピストン13の停止位置を記憶し、再始動条件が成立する(再始動フラグFS=3)まで待機する。再始動条件が成立したら、ピストン停止位置が適正範囲R内にある場合には図10〜図11を参照して説明した燃焼再始動を行う。ピストン停止位置が適正範囲R内にない場合には、例えばスタータ36を補助的に併用するスタータアシスト等、別途方法による再始動を行う。
図15〜図16は、図14のステップS64に対応する、第1即始動のサブルーチンである。このサブルーチンがスタートすると、まずオルタネータ28が停止される(ステップS70)。すなわちオルタネータ制御が中断され、発電抑制制御が開始される。そして再始動フラグFSが参照され、再始動フラグFS=1(ステップS71でYES)の場合、スロットル弁24aが閉じられる(ステップS72)。なお、既にエンジン回転速度Ne<N2であり、スロットル弁24aが閉じられている場合には、その状態を継続する。
次に吹き上がり抑制条件が成立しているか否かが判定される。即ちエンジン回転速度Ne<N3(=300rpm)であるか(ステップS73)、または吸気圧Bt<Bt5(=−300〜−400mmHg)であるか(ステップS74)の判定がなされ、何れかでYESと判定されれば吹き上がり抑制条件が成立していると判定され、ステップS78に移行する。そうでなければ、それが成立するまで(ステップS73またはステップS74でYESと判定されるまで)ステップS71〜ステップS74の処理がループされる(即始動の開始が遅延される)。
一方、ステップS71でNO、すなわち再始動フラグFS=2(特定即始動条件成立)と判定された場合には、そのときのスロットル弁24aの開度にかかわらず、手動変速機60が動力伝達状態のもとでエンジン回転速度Neをアイドル回転速度以上とするために必要な開度だけスロットル弁24aを開き(ステップS76)、ステップS78に移行する。なおステップS71〜S74のループ中にステップS71でNOと判定された(再始動フラグFSが1から2に切替わった)場合、吹き上がり抑制条件を解除し、直ちにステップS76に移行することとなる(即始動の開始)。
ステップS78で即始動が開始され、圧縮行程気筒への燃料噴射が行われる。ここで圧縮行程気筒に燃料噴射を行うのは、エンジン停止動作中に気筒内が受熱し、自己着火(温間ロック)が起こり易くなっているので、それを防止するためである。そして噴射された燃料に対する点火が行われて燃焼復帰がなされる(ステップS79)。これ以降の燃焼において、上述のように回転上昇抑制制御(点火リタード)がなされる。リタード量Mは、図19(a)、(b)の設定特性を参照し、点火時の再始動フラグFS=1(通常即始動)であれば特性201,211が選択され、再始動フラグFS=2(特定即始動)であれば特性202、212が選択されて設定される。
そしてエンジン回転速度Ne>N4(=400rpm)であるか否かの判定がなされ(ステップS83)、YESの場合には温間ロックの懸念が減少しているので吸気行程噴射に切替えられる(ステップS84)。一方、ステップS83でNOの場合は、YESとなるまで圧縮行程噴射による燃焼が継続される。
ステップS84の後、エンジン回転速度Ne>N5(=500rpm)であるか否かの判定がなされ(ステップS85)、YESの場合にはステップS86に移行して通常燃焼に復帰される(回転上昇抑制制御が停止される)。一方、ステップS85でNOの場合は、YESとなるまで回転上昇抑制制御が継続される。
さらに、エンジン回転速度Ne>N6(=700rpm:アイドル回転速度)となったら(ステップS87でYES)、再始動フラグFS=1(ステップS89でNO)の場合にはステップS94に移行してオルタネータ28の駆動を復帰させ(発電抑制制御の停止)、リターンして通常運転に移行する。一方、再始動フラグFS=2(ステップS89でYES)の場合には、所定時間(ステップS90でYESとなるまで。例えば数秒〜十数秒)、発電抑制制御の完了時期が遅延された後、ステップS94に移行される。
図17〜図18は、図14のステップS66及びS68に対応する、第2及び第3即始動の共通サブルーチンである。まず第2即始動について説明する。このサブルーチンでは、初期段階のステップS70,S71,S72及びS76が図15の第1即始動と同様である。そしてステップS98で第3即始動であるか否かの判定がなされる。第2即始動ではNOと判定されるからステップS100に移行し、即始動条件の成立した時点が、停止時膨張行程気筒12Aの最終TDCからの経過クランク角で所定値(例えば20〜30°CA)より小さいか、すなわちピストン13がまだ停止時膨張行程気筒12Aの上死点近くに位置しているか否かの判定がなされる。ステップS100でYESの場合、この停止時膨張行程気筒12Aに燃料を噴射し、その燃料の気化時間を考慮した所定時間後に点火して燃焼復帰させる(ステップS122、図6の特性Ne5に相当)。
一方、ステップS100でNO(停止時膨張行程気筒12Aにおいてピストン13がTDCから離れている)と判定された場合、単に停止時膨張行程気筒12Aで燃焼を行わせても空気(混合気)の圧縮度合が低く、充分な燃焼エネルギーを得難い。そこでさらに再始動フラグFS=1であるか否かの判定がなされ(ステップS101)、YES(通常即始動)であれば次のように一旦エンジンを逆転させ、それが正転に転じたときの慣性を利用して燃焼復帰させる。
具体的には、エンジン1が正転から逆転に転ずる時期(図6の時点t9)を待って(ステップS102でYES)、停止時膨張行程気筒12Aに燃料を噴射する(ステップS103)。そしてさらにエンジン1が逆転から正転に転ずる時期(図6の時点t10)を待って(ステップS104でYES)、停止時膨張行程気筒12Aに点火し、燃焼復帰させる(ステップS105、図6の特性Ne6に相当)。
遡って、ステップS101でNO、すなわち再始動フラグFS=2の場合は、一旦エンジン1を逆転させることができない。手動変速機60が動力伝達状態となっているからである。仮にエンジン1を逆転させると車両が後退することになるが、実際には大きな慣性のために車両は動かず、エンジン1の方が停止する。
そこで、そのような場合にはスタータ36を補助的に駆動させ(ステップS125)、その駆動力とステップS122での燃焼エネルギーとで即始動を行わせる(スタータアシスト)。
ステップS105またはステップS122の後、最初のTDCを越える前に停止時圧縮行程気筒12Cに燃料を噴射する。これにより、噴射燃料の気化潜熱によって停止時圧縮行程気筒12Cの温度が下がり、筒内圧が低減して圧縮反力が低減するので、最初のTDCを超え易くなる。そしてTDCを超えるのを待って(ステップS112でYES)、停止時圧縮行程気筒12C(TDCを超えて膨張行程に移行している)に点火し(ステップS113)、燃焼させる。以降は、圧縮行程噴射で燃焼制御を行う(ステップS114)。
そしてエンジン回転速度Neが所定値N4(=400rpm)を超えたとき(ステップS116でYES)、スタータ36が駆動されている場合にはこれを停止させる(ステップS118)。その後は図16に示す第1即始動のステップS84と同様の制御が実行される。なお、この第2即始動(及び次に説明する第3即始動)では回転上昇抑制制御を省略しているが、これを行っても良い。
次に同じく図17〜図18を参照して第3即始動について説明する。第3即始動は、燃焼エネルギーのみによる再始動が困難で、スタータアシストを行う場合の即始動である。このルーチンにおいて、ステップS98までは第2即始動と共通である。第3即始動ではステップS98でYESと判定されるので、ステップS125に移行する。すなわちスタータアシストが行われる。その後は、ステップS125を通る場合の第2即始動と同様である。
なお、エンジン停止後の再始動(再始動フラグFS=3)で、ピストン停止位置が適正範囲R内にない場合や、一旦燃焼再始動が試みられ、それが失敗したときの始動(スタータバックアップ)において、この第3即始動と同様の始動制御が行われる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定するものではなく、特許請求の範囲内で適宜変更が可能である。
例えば上記実施形態では、吹き上がり抑制条件として、エンジン回転速度Ne<N3又は吸気圧Bt<Bt5であること、としたが、何れか一方、例えばエンジン回転速度Ne<N3のみとしても良い。また他の条件、例えば「燃料噴射を停止した後の所定時間経過」としても良い。
上記実施形態では、特定即始動条件が成立したら吹き上がり抑制条件を解除するようにしたが、これを遅延時間が短縮される方向、例えば上記所定回転速度N3を高い側に補正したり、上記所定吸気圧Bt5を高い側に補正したりするようにしても良い。
上記実施形態では、回転上昇抑制制御として点火リタードを用いたが、それ以外の方法を用いても良い。例えば吸排気バルブの開閉時期を調節するようにしても良い。
上記実施形態では、特定即始動において、回転上昇抑制制御を補正(点火リタード量を低減)するようにしたが、最大の補正形態(例えば点火リタード量を0とする)として実質的に回転上昇抑制制御を解除するものであっても良い。
上記所定回転速度N3や吸気圧Bt5をはじめとする各設定値については実施形態の一例を示すものであって、これらに限定されるものではない。