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JP4829508B2 - 光半導体装置の製造方法 - Google Patents

光半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光半導体装置の製造方法に関する。
量子ドットレーザは、高温でもアンクールド(非冷却)動作が可能で、量子井戸レーザと比較して低消費電力であるという利点を有しており、現在様々な研究がなされている。
図1は、その量子ドットレーザの要部拡大断面図である。
この量子ドットレーザは、InPよりなる半導体基板1の上に、下地層2、InAs量子ドット3、及びバリア層4を順に形成してなり、バリア層4からInAs量子ドット3に電子を注入することにより、InAs量子ドット3からレーザ光が出力される。
図2は、この量子ドットレーザのエネルギバンド図である。
図2において、InAs量子ドット3におけるエネルギギャップΔEdは、量子ドット3の材料であるInAsによってのみ定まる。これに対し、価電子帯の底から頂上までのエネルギ差ΔE1や、伝導帯の頂上から底までのエネルギ差ΔE2は、量子ドット3を構成するInAsの他に、InAs量子ドット3の上下に形成される下地層2とバリア層4のそれぞれの材料によっても定まる。
なお、バリア層4の名称である「バリア」とは、バリア層4のバンドギャップΔEbが量子ドット3のそれよりも広いため、量子ドット3内に閉じ込められる電子9が量子ドット3の外に漏れ出すのをバリアする機能をバリア層4が有していることに由来する。
このような量子ドットレーザでは、InAs量子ドット3内に電子9を閉じ込め易いほど閾値電流値が安定するが、その電子の閉じ込め易さを表す指標にバンドオフセットがある。バンドオフセットとは、上記したΔE1とΔE2とを用いて、ΔE2/(ΔE1+ΔE2)で定義される値である。この値が大きいほど、InAs量子ドット3における伝導帯の頂上から底部までの深さが深くなり、InAs量子ドット3に電子9を閉じ込め易いということになる。
下記の特許文献1、3には、下地層2とバリア層4のそれぞれを、InGaAsP層やInP層で構成する構造が開示されている。
しかしながら、下地層2及びバリア層4としてInGaAsP層やInP層を形成すると、上記したバンドオフセットが小さくなるので、InAs量子ドット3内に電子を安定的に閉じ込めることができず、レーザを発振するための閾値電流が増大すると共に、高温での閾値電流値も不安定となる。
このバンドオフセットを大きくする構造として、非特許文献2には、アルミ系の化合物半導体、例えばInAlGaAs層を下地層2やバリア層4に使用する構造が提案されている。
Weon et al., Appl. Phys. Lett. 78, 1171 (2001) Journal of Crystal Growth 245 (2002) pp31-36 K.Kawaguch et al., Appl. Phy. Lett., 85, 4331(2004)
ところで、量子ドット3を構成するInAsは、高温で加熱すると容易に蒸発して形状が崩れる性質を有している。そのため、特許文献2のように、バリア層4となるInAlGaAs層をInAs量子ドット3上に形成する際には、InAs量子ドット3が蒸発して消失するのを防ぐために、例えば500℃以下の温度でInAlGaAs層を形成する必要がある。
しかしながら、このように低温でInAlGaAsバリア層4を形成すると、リアクタ内や配管内に残留する酸素等の不純物がバリア層4に取り込まれ、バリア層4の膜質が劣化する。このようにバリア層4の膜質が劣化すると、量子ドットレーザの動作電流が上昇するといった不都合が新たに発生するので、好ましくない。
本発明の目的は、量子ドットを埋め込むバリア層の膜質を高めることが可能な光半導体装置の製造方法を提供することにある。
本発明の一観点によれば、半導体基板の上にIn x Al y Ga 1-x-y As(0<x, y<1)よりなる下地層を形成する工程と、第1の基板温度において、前記下地層の上に、少なくともInとAs(砒素)とIII族元素とを含む混晶よりなる量子ドットを形成する工程と、第2の基板温度において、前記量子ドットの上に、InpGa1-pAsqP1-q(0<p, q<1)よりなる第1バリア層を形成する工程と、前記第2の基板温度よりも高い第3の基板温度において、前記第1バリア層上に、InrAlsGa1-r-sAs(0<r, s<1)よりなる第2バリア層を形成する工程と、を有し、前記第1の基板温度と前記第2の基板温度は、450℃以上500℃以下であり、前記第3の基板温度は、600℃以上であることを特徴とする光半導体装置の製造方法が提供される。
本発明によれば、例えば450℃以上500℃以下の第2の基板温度において、量子ドットの上に第1バリア層を形成するので、高い基板温度に起因して量子ドットが蒸発したり、その形状が崩れるのが防がれる。
更に、その第1バリア層で量子ドットを埋め込んだ後に、上記の第2の基板温度よりも高い第3の基板温度において、第1バリア層上に、InAlGaAsよりなる第2バリア層を形成する。InAlGaAs層は、低温で形成されると酸素等の不純物が膜中に取り込まれ易いが、本発明では第2の基板温度よりも高い第3の基板温度において第2バリア層を形成するので、第2バリア層への不純物の取り込みが抑制され、第2バリア層の膜質が向上する。
しかも、第2バリア層をInAlGaAsで構成するので、量子ドットと第2バリア層のそれぞれの伝導帯のエネルギ差が大きくなる。そのため、量子ドットから電子が逃げるのを第2バリア層によって防止するのが容易となるので、量子ドット内に電子が閉じ込め易くなる。その結果、レーザ構造にした場合に閾値電流を下げることが可能になると共に、光増幅器構造にした場合には、光信号の出力を高めることができる。
本発明によれば、量子ドットを形成する際の450℃以上500℃以下の温度で第1バリア層を形成するので、第1バリア層を形成する際の基板温度によって量子ドットが蒸発したりその形状が崩れるのを防ぐことができる。また、この第1バリア層をInGaAsPから構成するので、このように第1バリア層を低温で形成しても、第1バリア層の膜中に不純物が取り込まれ難く、第1バリア層の膜質が劣化するのを防ぐことができる。
更に、第1バリア層の形成時よりも高い基板温度で第2バリア層を形成するので、第2バリア層の膜質を高めることができる。そして、その第2バリア層をInAlGaAsで構成するので、量子ドットと第2バリア層の伝導帯のエネルギ差が大きくなり、量子ドットに電子をとじこめ易くなる。
次に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
(1)第1実施形態
図3〜図6は、本発明の第1実施形態に係る量子ドットレーザの製造途中の断面図である。
最初に、図3(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、表面の面方位が(100)のn型InP基板(半導体基板)10を不図示のリアクタ内に入れ、基板温度を630℃に安定させる。そして、トリメチルインジウム(TMI)、ホスフィン(PH3)、及びシラン(SiH4)をリアクタ内に供給して、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により、n型不純物としてシリコンが5.0×1017cm-3の濃度でドープされたInP層をn型InP基板10上に厚さ約1.0μm形成し、それを下部クラッド層12とする。
次いで、図3(b)に示すように、下部クラッド層12と同じ反応ガスをリアクタ内に供給して、基板温度を630℃とする条件下で、MOCVD法により組成波長が1.10μmのInAlGaAs層を厚さ約50nmに形成し、それを下地層13とする。
なお、下地層13を構成するIn、Al、Ga、及びAsの組成比は特に限定されず、xとyが共に0以上1以下となるInxAlyGa1-x-yAs層を下地層13として形成してよい。
ところで、次の図3(c)に示す工程では、下地層13の上にInAs量子ドット14を形成するのであるが、InAs量子ドット14を構成するIn(インジウム)は蒸気圧が高く低温でも蒸発し易いため、上記の下地層13の形成温度である630℃に基板温度が保持されていると、下地層13の上に量子ドット14を形成するのが困難となる。
そこで、下地層13を形成した後は、InAs量子ドットが蒸発し難くなる温度である450℃以上500℃以下の温度、より好ましくは480℃程度にまで基板温度(第1の基板温度)を下げる。
この後に、トリメチルインジウムとアルシンとをリアクタ内に供給すると、1〜1.5ML(Mono Layer:原子層)程度の厚さのInAsウエッティングレイヤーがInAlGaAs下地層13の上に形成された後、InAsとInAlGaAsとの格子定数の差に起因する歪を緩和するように、InAsウエッティングレイヤーの上にInAs量子ドット14が形成される。このようなInAs量子ドット14の形成モードはS-K(Stranski-Krastanov)モードと呼ばれる。また、この量子ドット14は、レーザの活性領域となるものであり、InとAsとの混晶で構成されると共に、典型的には約2ML程度の厚さとなる。
なお、量子ドット14には、下地層13を構成するInAlGaAs層からIII族元素(Al、Ga)が拡散する場合もある。その場合、量子ドット14は、InAsのみで構成されず、上記のIII族元素を含む混晶となる。
次に、図4(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、高い基板温度に起因してInAs量子ドット14が蒸発するのを防ぐために、上記のリアクタ内において、450℃以上500℃以下の第2の基板温度、より好ましくは480℃に基板温度を下げる。そして、リアクタ内に、トリメチルインジウム、トリエチルガリウム、アルシン、及びホスフィンの混合ガスを供給し、InGaAsPよりなる第1バリア層15の成長を開始する。そして、量子ドット14の頂上部が完全に埋め込まれる程度の厚さ、例えば約10nmの厚さにInGaAsP第1バリア層15が成長したところで、ホスフィン以外のガスの供給を停止し、第1バリア層15の成長を終了する。なお、この第1バリア層15の組成波長は、量子ドット14のそれよりも広ければ特に限定されず、本実施形態では約1.10μmとする。また、第1バリア層を構成するIn、Ga、As、及びPの組成比も特に限定されず、pとqが共に0以上1以下となるInpGa1-pAsqP1-q層を第1バリア層15としてよい。
このようにしてInAs量子ドット14がInGaAsP第1バリア層15によって完全に埋め込まれた状態では、基板温度を高めてもInAs量子ドット14が蒸発する恐れは無い。そこで、P元素の供給源であるホスフィンがリアクタ内に供給された状態で、InGaAsP第1バリア層15の形成温度である480℃以上の温度、例えば600℃以上、より好ましくは630℃〜640℃に基板温度を上昇させる。その後、ホスフィンの供給を停止し、代わりにトリメチルインジウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルガリウム、及びアルシンの混合ガスをリアクタに供給する。
そして、これらの混合ガスを使用するMOCVD法により、基板温度(第3の基板温度)を600℃以上、より好ましくは630℃以上640度以下とする条件下で、第1バリア層15の上に、組成波長が約1.10μmのInAlGaAs層を厚さ約50nmに形成し、それを第2バリア層16とする。但し、第2バリア層16を構成するIn、Al、Ga、及びAsの組成比は特に限定されず、rとsが共に0以上1以下となるInrAlsGa1-r-sAs層を第2バリア層12として形成してよい。
このように、第2バリア層16は、InAs量子ドット14の形成時よりも高い基板温度で形成されるが、基板温度をこのように高めることで、リアクタや配管内に残留する酸素等の不純物が第2バリア層16内に取り込まれ難くなる。その結果、不純物に起因する欠陥が第2バリア層16やその下方の量子ドット14に入り難くなり、第2バリア層16の膜質が向上して、最終的に得られる量子ドットレーザの動作電流の低下等を防止することが可能となる。
ここまでの工程により、InAs量子ドット14、InGaAsP第1バリア層15、及びInAlGaAs第2バリア層16で構成される積層体17がInAlGaAs下地層13の上に得られたことになる。
次に、図4(b)に示すように、上記した積層体17を更に二層形成して、基板10の上方に三つのInAs量子ドット14が形成された構造を得る。なお、InAs量子ドット14の積層数は三層に限定されず、任意の層数のInAs量子ドット14を形成してよい。
続いて、図5(a)に示すように、トリメチルインジウム、ホスフィン、及びジエチル亜鉛(DEZn)の混合ガスをリアクタ内に供給して、最上層のInAlGaAs第2バリア層16上に、Znが約5.0×1017cm-3の濃度でドープされたp型InP層を厚さ約300nmに形成し、それを上部クラッド層の下側層18aとする。
次に、CVD法により酸化シリコン(SiO2)層を厚さ約200nmに形成した後、フォトリソグラフィによりこの酸化シリコン層をパターニングし、共振器の軸方向に延在するストライプ状のマスク20とする。そのマスク20の幅は、例えば約1.5μmである。
続いて、図5(b)に示すように、塩素系ガスをエッチングガスとして使用するプラズマエッチングにより、下側層18a、積層体17、下地層13、及び下部クラッド層12を順次エッチングしていき、下部クラッド層12の途中の厚さでそのエッチングを止める。これにより、上記した各層において、マスク20で覆われている部分が、高さ約1.5μmのメサ22となる。そのメサ22の平面形状は、マスク20と同様にストライプ状である。
次に、図6(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、マスク20が形成された状態で、MOCVD法によりメサ22の両側に埋め込み層24としてp型InP層を形成し、この埋め込み層24でメサ22の側面を完全に覆う。このMOCVD法で使用される反応ガスは特に限定されないが、本実施形態ではトリメチルインジウムとホスフィンとがそれぞれInとPの供給源と使用され、p型にドープするためのドーパント用のガスとしてジエチル亜鉛(DEZn)が使用される。
その後、これらのガスのうち、トリメチルインジウムとホスフィンとの供給を続けながら、ドーパント用のガスをモノシラン(SiH4)に変えることにより、埋め込み層24の上に電流ブロック層25としてn型InP層を厚さ約500nmに形成する。
なお、上記した埋め込み層24と電流ブロック層25とを形成するMOCVD法では、酸化シリコンよりなるマスク20の上には膜は成長しない。マスク20は、各層24、25の成長が終了した後に、HF溶液をエッチング液とするウエットエッチングによって除去される。
次に、図6(b)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、上部クラッド層の下側層18aと同じ反応ガスを使用するMOCVD法により、その下側層18aと電流ブロック層25のそれぞれの上面に、Znが約1.0×1018cm-3の濃度でドープされたp型InP層を厚さ約2000nmに形成し、それを上部クラッド層18の上側層18bとする。
更に、上側層18bの上に、コンタクト層26としてp型InGaAs層をMOCVD法により厚さ約500nmに形成する。このコンタクト層26を形成する際の反応ガスとしては、例えば、トリメチルインジウム、トリエチルガリウム、及びホスフィンの混合ガスが使用され、p型にドープするためのドーパント用のガスとしては例えばジエチル亜鉛(DEZn)が使用される。
次いで、コンタクト層26の上面に金層、亜鉛層、及び金層をこの順に積層してなる金属積層膜を蒸着法により厚さ約300nmに形成してそれをp側電極層28とし、更に、n型InP基板10の裏面に金層、ゲルマニウム層、及び金層をこの順に積層してなる金属積層膜を蒸着法により形成してそれをn側電極層29とする。
図7は、この後に行われる工程を終了後の断面図であり、レーザの共振器の軸方向に沿う断面図である。
図7に示す工程では、レーザ光39の射出端面に低反射率膜30を形成すると共に、射出端面の反対側の端面に高反射率膜31を形成する。これらの低反射率膜30と高反射率膜31は共振器を構成するものであり、InAs量子ドット14で発生した光は、各膜30、31によって反射を繰り返し、それによりInAs量子ドット14内においてレーザ光の新たな誘導放出が行われることになる。なお、これら低反射率膜30と高反射率膜31は、誘電体膜であれば特に限定されず、その成膜方法も蒸着法やCVD法等の任意の方法を採用し得る。
以上により、本実施形態に係る量子ドットレーザの基本構造が完成したことになる。
図8は、この量子ドット14とその周囲におけるエネルギバンドの様子を示す図である。
本実施形態では、下地層13を構成する半導体層として、特許文献1、3に開示されるようなInP層やInGaAsP層ではなく、InAlGaAs層を形成した。このInAlGaAs層で構成される下地層13とInAs量子ドット14のそれぞれの導電帯のエネルギ差ΔE3は、特許文献1、3のInP層やInGaAsP層で下地層13を構成する場合と比較して大きくなるので、導電帯の電子40はInAs量子ドット14に閉じ込められやすくなり、高温でも電子40が量子ドット14から逃げ難くなって、高温での量子ドットレーザ14の閾値電流が安定する。
更に、本実施形態では、図4(a)に示したように、450℃以上500℃以下の温度でInGaAsP層を第1バリア層15として形成し、その第1バリア層15でInAs量子ドット14を完全に埋め込むようにした。このように低温で第1バリア層15を形成することにより、高い基板温度に起因してInAs量子ドット14が蒸発したりその形状が崩れるのを防ぐことが可能になる。
更に、第1バリア層15を構成するInGaAsP層は、450℃以上500℃以下の温度で形成しても、膜中に酸素等の不純物が取り込まれにくい。そのため、低温で形成すると酸素が混入し易いAlGaInAs層で量子ドットを埋め込む従来例と比較して、本実施形態では、取り込まれた不純物に起因して第1バリア層15やInAs量子ドット14に発生する欠陥等が減少し、第1バリア層15の膜質が向上して、量子ドットレーザの動作電流の上昇を抑えることが可能となる。
ところで、図8に示すように、上記したInGaAsP第1バリア層15とInAs量子ドット14のそれぞれの伝導帯のエネルギ差ΔE4は、AlGaInAs第2バリア層16とInAs量子ドット14のそれぞれの導電帯のエネルギ差ΔE5と比較して小さい。従って、AlGaInAs第2バリア層16を形成せずに、InGaAsP第1バリア層15を単独でバリア層とすると、InAs量子ドット14にトラップされている電子40が、小さなエネルギ差ΔE4を乗り越えて第1バリア層15側に逃げやすくなってしまう。
そこで、本実施形態では、InGaAsP第1バリア層15の上に、InAs量子ドット14の導電帯とのエネルギ差ΔE5が大きくなるAlGaInAs第2バリア層16を形成するようにした。このようにすると、量子ドット14にトラップされている電子40は、上記した大きなエネルギ差ΔE5によって、第2バリア層16の上側に逃げるのが困難となり、量子ドット14内に留まろうとする。これにより、量子ドット14から電子40が逃げることに起因して閾値電流が不安定になるのが防止され、高温でも発振強度が安定した高品位な量子ドットレーザを提供することが可能になる。
但し、上記したInGaAsP第1バリア層15を厚く形成し過ぎると、量子ドット14内の電子のうち、エネルギ差ΔE4の小さな第1バリア層15に移動する電子の数が増え、これにより量子ドット14内の電子数が減る恐れがある。この点が懸念される場合は、InGaAsP第1バリア層15の厚さを、量子ドット14を埋め込むための必要最低限の厚さ、つまり量子ドット14と同じ厚さに留め、第1バリア層15に移動してくる電子の数を少なくし、第2バリア層16の上方に逃げる電子の数を低減するのが好ましい。
(2)第2実施形態
上記した第1実施形態では量子ドットレーザを作製したが、本実施形態では量子ドット光増幅器を作成する。但し、その製造プロセスは、第1実施形態で説明した量子ドットレーザと同じなので、その説明は省略する。
図9は、この量子ドット光増幅器の共振器の軸方向に沿った断面図である。なお、図9において、第1実施形態で説明した要素には第1実施形態と同じ符号を付してある。
この量子ドット光増幅器は、図7で説明した量子ドットレーザにおける低反射率膜30と高反射率膜31のそれぞれを、これらよりも反射率の小さな第1、第2無反射膜35、36に置き換えることにより得られる。そして、第1無反射膜35からの入力光51は、活性領域として機能する量子ドット14において誘導放出を引き起こし、それにより入射光が増幅され、増幅された光が第2無反射膜36から外部に出力光52として放出される。
このような量子ドット光増幅器では、第1実施形態と同様に、450℃以上500℃以下の基板温度でInGaAsP層(第1バリア層)を形成しても膜中への不純物の取り込みは少ない。これにより、不純物によって動作電流が増大するのが防がれ、消費電力の小さな量子ドット光増幅器を提供することが可能となる。
また、InGaAsP第1バリア層15の上にAlGaInAs第2バリア層16を形成するので、図8に示したように、InAs量子ドット14とAlGaInAs第2バリア層16のそれぞれの導電帯のエネルギ差ΔE5が大きくなる。その結果、電子がInAs量子ドット14に閉じ込められ易くなるので、InAs量子ドット14において光子の誘導放出が効果的に行われ、高出力の量子ドット光増幅器を実現することができる。
以下に、本発明の特徴を付記する。
(付記1) 半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された下地層と、
前記下地層上に形成され、少なくともAs(砒素)とIII族元素とを含む混晶よりなる量子ドットと、
前記量子ドットの上に形成されたInpGa1-pAsqP1-q(0≦p, q≦1)よりなる第1バリア層と、
前記第1バリア層上に形成されたInrAlsGa1-r-sAs(0≦r, s≦1)よりなる第2バリア層と、
を有することを特徴とする光半導体装置。
(付記2) 前記第1バリア層は、前記量子ドットの頂上を覆う厚さに形成されたことを特徴とする付記1に記載の光半導体装置。
(付記3) 前記第1バリア層の厚さは、前記量子ドットの厚さと同じであることを特徴とする付記2に記載の光半導体装置。
(付記4) 前記下地層はInxAlyGa1-x-yAs(0≦x, y≦1)よりなることを特徴とする付記1乃至付記3のいずれかに記載の光半導体装置。
(付記5) 前記半導体基板と前記下地層との間に下部クラッド層が形成されると共に、
前記下地層、前記量子ドット、及び前記第2バリア層の積層体の断面形状がメサ状であり、該積層体の両側に形成された埋め込み層と、前記埋め込み層の上に形成された電流ブロック層と、該電流ブロック層と前記積層体のそれぞれの上に形成された上部クラッド層とを有することを特徴とする付記1乃至付記4のいずれかに記載の光半導体装置。
(付記6) 前記量子ドットは、半導体レーザと半導体光増幅器のいずれかの活性領域として機能することを特徴とする付記1乃至付記5のいずれかに記載の光半導体装置。
(付記7) 半導体基板の上に下地層を形成する工程と、
第1の基板温度において、前記下地層の上に、少なくともAs(砒素)とIII族元素とを含む混晶よりなる量子ドットを形成する工程と、
第2の基板温度において、前記量子ドットの上に、InpGa1-pAsqP1-q(0≦p, q≦1)よりなる第1バリア層を形成する工程と、
前記第2の基板温度よりも高い第3の基板温度において、前記第1バリア層上に、InrAlsGa1-r-sAs(0≦r, s≦1)よりなる第2バリア層を形成する工程と、
を有することを特徴とする光半導体装置の製造方法。
(付記8) 前記第1の基板温度と前記第2の基板温度は、450℃以上500℃以下であることを特徴とする付記7に記載の光半導体装置の製造方法。
(付記9) 前記第3の基板温度は600℃以上であることを特徴とする付記7又は付記8に記載の光半導体装置の製造方法。
(付記10) 前記下地層、前記量子ドット、前記第1バリア層、及び前記第2バリア層の少なくとも一つをMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法で形成することを特徴とする付記7乃至付記9のいずれかに記載の光半導体装置の製造方法。
(付記11) 前記第1バリア層を形成する工程において、前記量子ドットと同じ厚さに前記第1バリア層を形成することを特徴とする付記7乃至付記10のいずれかに記載の光半導体装置の製造方法。
(付記12) 前記下地層として、InxAlyGa1-x-yAs(0≦x, y≦1)層を形成することを特徴とする付記7乃至付記11のいずれかに記載の光半導体装置の製造方法。
図1は、従来例に係る量子ドットレーザの要部拡大断面図である。 図2は、図1に示した量子ドットレーザのエネルギバンド図である。 図3(a)〜(c)は、本発明の第1実施形態に係る量子ドットレーザの製造途中の断面図(その1)である。 図4(a)、(b)は、本発明の第1実施形態に係る量子ドットレーザの製造途中の断面図(その2)である。 図5(a)、(b)は、本発明の第1実施形態に係る量子ドットレーザの製造途中の断面図(その3)である。 図6(a)、(b)は、本発明の第1実施形態に係る量子ドットレーザの製造途中の断面図(その4)である。 図7は、本発明の第1実施形態に係る量子ドットレーザの共振器の軸方向に沿う断面図である。 図8は、本発明の第1実施形態に係る量子ドットレーザのエネルギバンドを示す図である。 図9は、本発明の第2実施形態に係る量子ドット光増幅器の共振器の軸方向に沿う断面図である。
符号の説明
1…半導体基板、2…下地層、3…InAs量子ドット、4…バリア層、10…InP基板、12…下部クラッド層、13…下地層、14…量子ドット、15…第1バリア層、16…第2バリア層、17…積層体、18…上部クラッド層、18a…上部クラッド層の下側層、18b…上部クラッド層の上側層、20…マスク、22…メサ、24…埋め込み層、25…電流ブロック層、26…コンタクト層、28…p側電極層、29…n側電極層、30…低反射率膜、31…高反射率膜、35…第1無反射膜、36…第2無反射膜、39…レーザ光、40…電子、51…入射光、52…出力光。

Claims (1)

  1. 半導体基板の上にIn x Al y Ga 1-x-y As(0<x, y<1)よりなる下地層を形成する工程と、
    第1の基板温度において、前記下地層の上に、少なくともInとAs(砒素)とIII族元素とを含む混晶よりなる量子ドットを形成する工程と、
    第2の基板温度において、前記量子ドットの上に、InpGa1-pAsqP1-q(0<p, q<1)よりなる第1バリア層を形成する工程と、
    前記第2の基板温度よりも高い第3の基板温度において、前記第1バリア層上に、InrAlsGa1-r-sAs(0<r, s<1)よりなる第2バリア層を形成する工程と、
    を有し、
    前記第1の基板温度と前記第2の基板温度は、450℃以上500℃以下であり、前記第3の基板温度は、600℃以上であることを特徴とする光半導体装置の製造方法。
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