以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施例のインクカートリッジ1の外観を示した斜視図である。図2は、インクカートリッジ1を分解した正面図であり、図2(a)は、ケース200の正面図であり、図2(b)は、フレーム100の正面図であり、図2(c)は、キャップ300の正面図である。
図1に示すように、インクカートリッジ1は、インクを貯留可能なフレーム100(図2参照)の略全体を覆う筐体本体であるケース200と、そのケース200と溶着されると共にフレーム100が取り付けられる蓋体であるキャップ300とを備えている。そして、ケース200とキャップ300とによってインクカートリッジ1の筐体が構成されている。
図2(a)に示すように、ケース200は、正面視(図2(a)紙面垂直方向視)略四角形に形成されており、一端(図2(a)下側)がケース開口部210により開口されている(図3(d)参照)。そのケース開口部210との対向面(図2(a)上側)がケース天井壁220となり、そのケース天井壁220とケース開口部210との間がケース側壁230となる。ケース側壁230は、対向配置された略同形状の側壁が2対備えられ、その2対の側壁によりケース側壁230の4面が構成されている。2対の側壁のうち表面積が大きい方の側壁(図2(a)紙面垂直方向の対向する側壁)には、ケース200の外方(図2(a)紙面垂直方向)に湾曲したケース湾曲部240が形成されている。このケース湾曲部240は、インクが充満された状態のフレーム100を収納するためのスペースを形成すると共に、ケース200の強度を高めるようにも作用している。
図2(b)に示すように、フレーム100は、インク貯留体となるものであり、フレーム100の本体となるフレーム本体部110と、そのフレーム本体部110の中心部に形成され、インクを貯留する室となる空間であるインク貯留部120と、そのインク貯留部120にインクを分注(注入)する略筒状のインク分注部130と、インク貯留部120のインクをインクジェットプリンタ1710(図26参照)に供給する略筒状のインク供給部140と、インク供給部140と略平行に突出し、フレーム100がキャップ300に取り付けられた場合に、そのフレーム100の紙面垂直方向の移動を規制するフレーム規制部150とを備えている。なお、図2(b)のフレーム100は、インクが貯留される空間が形成されていない状態が図示してあり、後述するように、フィルム1430(図19参照)がフレーム本体部110に溶着されることでフィルム1430とインク貯留部120によりインク貯留室となる空間が画定される。また、フレーム100の各構成の詳細な説明については、後述する。
図2(c)に示すように、キャップ300は、インクカートリッジ1の底面を形成するキャップ底壁310と、そのキャップ底壁310の外縁から立設されるキャップ側壁320と、フレーム100のインク供給部140に対応する位置に形成されたキャップ貫通孔330(図5(d)参照)とを備えている。キャップ側壁320には、ケース200のケース湾曲部240に対応して、キャップ300の外方(図2(c)紙面垂直方向)に湾曲したキャップ湾曲部340が形成されている。なお、図1に示すように、キャップ300は、ケース200のケース側壁230の一部分(ケース開口部210側の端部)をキャップ側壁320が囲むように、ケース200に溶着されている。
次に、図3及び図4を参照して、ケース200について説明する。図3は、ケース200の六面図であり、図3(a)は、ケース200の正面と背面とを示した図であり、図3(b)は、ケース200の左側面と右側面とを示した図であり、図3(c)は、ケース200の平面を示した図であり、図3(d)は、ケース200の底面を示した図である。図4は、図3(d)のIV−IVにおける断面図である。なお、図3(a)は、図2(a)と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
図3(b)に示すように、ケース200は、そのケース天井壁220からケース開口部210に向かうほどケース200の横幅(図3(b)左右方向の幅)が広くなるよう構成されている。一方、ケース湾曲部240の横幅は、略一定に形成されている。また、ケース湾曲部240は、ケース側壁230の縦方向(図3(b)上下方向)において、ケース開口部210からケース側壁230の上端部(図3(b)上側の端部)を所定範囲空けて形成されている。そのケース湾曲部240が形成されていないケース側壁230の上端部は、ケース取手部250であり、インクカートリッジ1をインクジェットプリンタ1710(図26参照)に装着するときに、ユーザーが持つ取っ手して作用する。
図3(c)に示すように、ケース取手部250は、ケース200の内側(図3(c)上下方向)に湾曲して形成されている。よって、ケース取手部250は、ユーザーにとって掴みやすい形状となる。また、ケース取手部250を持ってケース200をインクジェットプリンタ1710(図26参照)の装着部に押し込む場合には、ケース湾曲部240にユーザーの手が当たるので、ケース200が手から滑ってしまうことを低減することができる。従って、ケース200の形状を略直方体に形成する場合と比較して、インクカートリッジ1のインクジェットプリンタ1710への装着性を向上することができる。
図3(d)に示すように、ケース200のケース天井壁220には、ケース200のケース開口部210方向に突起して形成されたケース突起部材260が配設されている。図4に示すように、ケース突起部材260は、ケース200のケース取手部250が形成された部分まで突起している。ケース突起部材260は、フレーム100がケース200内に収納された状態で、振動などによりフレーム100が揺動しないように固定するために、フレーム100のインク分注部130の一部を押圧するものであるが、その詳細な説明は後述する。
図4に示すように、ケース200のケース開口部210は、ケース200の外方向に位置する第1開口端面211と、その第1開口端面211のケース200内側に位置する第2開口端面212とを有している。図4の拡大図に示すように、第1開口端面211と第2開口端面212とは、ケース開口部210の端面を部分的に欠落させるように階段状に形成されており、ケース200がキャップ300に取り付けられる場合、第1開口端面211と第2開口端面212との段差にキャップ300のキャップ突起部材350(図6参照)が当接するように取り付けられる。よって、ケース200の内側にキャップ突起部材350が位置することになるので、ケース200とキャップ300との取り付け位置がずれることを低減することができる。
次に、図5及び図6を参照して、キャップ300について説明する。図5は、キャップ300の六面図であり、図5(a)は、キャップ300の正面と背面とを示した図であり、図5(b)は、キャップ300の左側面と右側面とを示した図であり、図5(c)は、キャップ300の内面を示した図であり、図5(d)は、キャップ300の底面を示した図である。図6は、キャップ300の断面を示した図であり、図6(a)は、図5(c)のVIa−VIa線における断面図であり、図6(b)は、図5(c)のVIb−VIb線における断面図である。なお、図6(a)及び図6(b)に示された破線は、フレーム100とケース200とがキャップ300に取り付けられた場合の位置を示す仮想線である。また、図5(a)は、図2(c)と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
図5(b)に示すように、キャップ300は、キャップ湾曲部340が側面視(図5(b)紙面垂直方向視)において、左右対称に形成されている。また、キャップ底壁310に対してキャップ側壁320が略垂直方向(図5(b)上下方向)に立設されている。
図5(c)に示すように、キャップ300の内面のキャップ側壁320の内側には、そのキャップ側壁320と一定間隔をおいてキャップ突起部材350が立設されている。図6(a)に示すように、キャップ突起部材350は、キャップ側壁320の縦方向(図6(a)上下方向)に対して極端に低く形成されている。このキャップ突起部材350は、ケース200がキャップ300に取り付けられる場合に、上述したケース開口部210の第1開口端面211と第2開口端面212とにより形成される段差に当接する。
図5(c)に示すように、キャップ300の内面のキャップ突起部材350の内側には、フレーム100のインク供給部140が接合される略円筒形状のキャップ接合部360(図5(c)左側)と、フレーム100のフレーム規制部150と当接してフレーム100の移動を規制する一対のキャップ規制部材370(図5(c)右側)とが立設されている。
キャップ接合部360は、図5(c)紙面垂直方向視において、略円形に形成されており、図6(a)に示すように、キャップ側壁320の高さと略同等となる位置まで延びて円筒状に形成されている。キャップ接合部360には、インク供給部140のフレーム緩挿部材141(図7参照)が緩挿される一対のキャップガイド溝361が、キャップ接合部360の上端面(図6(a)上側の端面)からキャップ底壁310方向(図6(a)下方向)に向かって形成されている。このキャップガイド溝361は、キャップ接合部360の軸心A(図5(c),図6(a)参照)を中心に対称配置されており、そのキャップガイド溝361の軸心A方向の深さは、キャップ接合部360の軸心A方向の高さの略半分となる。
図6(a)に示すように、キャップ接合部360には、インク供給部140のフレーム接合部材142(図7参照)と接合する一対のキャップ接合孔362が形成されている。このキャップ接合孔362は、キャップ接合部360の軸心Aを中心に対称配置されると共に、キャップガイド溝361を結ぶ直線に対して略直交する直線上に配置されている。そのキャップ接合孔362の軸心A方向における位置は、キャップガイド溝361の下端部とほぼ同じ位置である。
キャップ規制部材370は、一対の平板状の板部材で構成されており、キャップ底壁310の内面より立設されている。このキャップ規制部材370間は、キャップ接合部360の直径と略同等に構成されている。また、図6(b)に示すように、キャップ規制部材370の軸心A方向における高さは、キャップ側壁320の略半分に形成されている。このキャップ規制部材370の高さがあまりに低いと、フレーム100の移動を規制することができない一方、あまりに高すぎると、キャップ300へのフレーム100の取り付け時に邪魔となる。本第1実施例では、キャップ規制部材370の軸心A方向における高さを、キャップ側壁320の略半分に形成することで、フレーム100の移動を確実に規制できると共に、フレーム100の取り付けの作業効率が低下することを防止できる。
また、キャップ規制部材370は、フレーム100がキャップ300に取り付けられた場合におけるフレーム100のキャップ接合部360を中心としたキャップ300に対する回転移動を規制するものであるので、キャップ接合部360との距離が離れていた方が移動の規制を正確に行うことができる。本第1実施例では、図5(c)に示すように、キャップ300の両サイド(中心から互いに離れる側にずれた位置)にキャップ接合部360とキャップ規制部材370とが形成されているので、フレーム100の移動の規制を正確に行うことができる。なお、フレーム100の移動の規制を正確に行うために、キャップ接合部360とキャップ規制部材370との距離がさらに離れるよう(図5(c)左右方向へ離れるよう)構成しても良い。この構成では、キャップ接合部360とキャップ規制部370との位置に応じて、フレーム100のフレーム供給部140とフレーム規制部材150との位置が決められる。
上述したように、フレーム100とキャップ300との取り付けは、インク供給部140がキャップ接合部360のキャップガイド溝361にガイドされつつ行われると共に、キャップ規制部材370により移動が規制されるので、フレーム100のキャップ300に対する位置決めを容易に行うことができる。また、インク供給部140のフレーム接合部材142がキャップ接合部360のキャップ接合孔362に接合されることで、フレーム100とキャップ300との連結がなされるので、フレーム100とキャップ300とを溶着することなく簡略化された工程によりフレーム100とキャップ300との取り付けを行うことができる。
図5(d)に示すように、キャップ300のキャップ底壁310には、キャップ接合部360に対応する位置にキャップ貫通孔330が形成されている。キャップ貫通孔330の中心は、キャップ接合部360の軸心A上に位置している。このキャップ貫通孔330は、インクジェットプリンタ1710(図26参照)にインクカートリッジ1を装着する場合に、インクジェットプリンタ1710側に配置されたインク抽出管1720(図26参照)が挿通される孔である。なお、図6(a)に示すように、キャップ貫通孔330は、キャップ底壁310の外側の端面から内側に向かうほど直径が小さくなるテーパ状に形成されいる。よって、インク抽出管1720がキャップ貫通孔330に挿通される場合には、キャップ貫通孔330のテーパ状の傾斜面に誘導されつつ挿通されるので、インクカートリッジ1の装着をスムーズに行うことができる。
次に、図7〜図9を参照して、フレーム100について説明する。図7は、フレーム100を示した図であり、図7(a)は、フレーム100の正面を示した図であり、図7(b)は、フレーム100の背面を示した図である。図8は、フレーム100を示した図であり、図8(a)は、フレーム100の左側面を示した図であり、図8(b)は、フレーム100の右側面を示した図であり、図8(c)は、フレーム100の平面を示した図であり、図8(d)は、フレーム100の底面を示した図である。図9は、フレーム100のリブが強調されて示された図である。なお、以下の説明では、図7(a)の左右方向をフレーム100(又はフレーム本体部110)の横方向とし、図7(a)の上下方向をフレーム100(又はフレーム本体部110)の縦方向とする。
図7(a)に示すように、フレーム100のフレーム本体部110には、インク貯留部120となる貫通孔が形成されており、図7(a)及び図7(b)に示すように、インク貯留部120は、フレーム本体部110の両面にそれぞれ一対の開口125を有している。これらの開口125はそれぞれフレーム鍔部112に連接されている。フレーム鍔部112上には、開口125から僅かな距離をおいて形成され開口125に近接した位置で取り囲むように、正面側(図7(a)紙面垂直方向手前側)に突出した略円状のフレーム突起部材111が形成されている。このフレーム突起部材111は、フレーム本体部110にフィルム1430(図19参照)を溶着する際の溶着箇所(環状帯領域)となるものである。なお、フィルム1430の溶着工程については後述する。
図7(a)に示すように、インク貯留部120には、インク分注部130と連通するインク分注孔121と、インク供給部140と連通するインク供給孔122とが形成されている。また、インク貯留部120は、正面側と背面側とを連通する略円形のフレーム連通孔123が、そのインク貯留部120の幅方向(図7(a)の紙面に垂直な方向)における略中心部分に形成されている。さらに、インク貯留部120は、フレーム本体部110の表面側と裏面側の開口125からそれぞれフレーム連通孔123に向かって傾斜した一対のフレーム傾斜面124を備えている。これら一対のフレーム傾斜面124によってインク貯留部120の周壁が形成されている。なお、インク分注孔121はフレーム傾斜面124に形成されているので、インク分注孔121からインク貯留部120内に注入されたインクをフレーム傾斜面124に沿って流し込むことができ、これにより、インク貯留部120内に注入されたインクの泡立ちを抑えることが可能となっている。
ここで、インク供給部140について説明する。図7(a)に示すように、インク供給部140には、そのインク供給部140の外周の対向する位置(図7(a)左右)に、キャップ接合部360のキャップガイド溝361(図6(a)参照)に緩挿される一対のフレーム緩挿部材141が、外周から径方向外方に突起して形成されている。また、インク供給部140の外周には、上述したキャップ接合部360のキャップ接合孔362(図6(a)参照)に接合される一対のフレーム接合部材142が形成されている。これら一対のフレーム接合部材142は、一対のフレーム緩挿部材141を結ぶ直線に対して略直交する直線上に位置している。図8(a)又は図8(b)に示すように、フレーム接合部材142は、上部が水平方向(図8(a)左右方向)に突出する水平面を有しており、下部へ向かうほどインク供給部140の外周壁へ近づくように傾斜している。このフレーム接合部材142の傾斜によりキャップ接合部360への挿入がスムーズに行われ、フレーム接合部材142の上部の水平面によりフレーム100とキャップ300とが接合(ロック)される。
図7(b)に示すように、背面視(図7(b)紙面垂直方向視)におけるフレーム100は、フレーム突起部材111、フレーム連通孔123およびフレーム傾斜面124が、正面視(図7(a)紙面垂直方向視)におけるフレーム100と、同位置で且つ同形状に形成されている。インク供給孔122は、図7(a)に対して反転した位置に示されている。また、インク供給孔122は、フレーム傾斜面124のフレーム連通孔123側の先端部に形成されているので、インク貯留部120に貯留されたインクの使い切りを良くすることができる。これは、フレーム傾斜面124にインク供給孔が形成されていると、インク貯留部120のインクを使い切る前にフィルムがフレーム傾斜面124に密着してインク供給孔を塞いでしまうが、フレーム傾斜面124の先端部にインク供給孔122が形成されていると、インク貯留部120のインクを使い切るまでインク供給孔122がフィルム1430(図19参照)に塞がれることがないからである。
なお、フレーム100の正面視と背面視とで異なる部分は、インク分注部130と連通するインク分注孔121である。図7(b)に示すように、インク貯留部120には、インク分注孔121が形成されていない。即ち、インク分注孔121は、フレーム100の一端側(図7(a)正面視側)にのみ形成されているので、インクの分注は1箇所から行われる。
図7(a)及び図7(b)に示すように、フレーム本体部110は、紙面垂直方向視において、略四角形に形成されており、その4つの角部にフレーム鍔部112が形成されている。このフレーム鍔部112は、図8(a)に示されるように、フレーム100の表側と裏側において、インク貯留部120の2つの開口125に連接し、開口125を取り囲むフレーム突起部材111の外側まで延設されるフランジとして一対設けられており、その各々が板状に形成され、図8(c)及び(d)に示されるように、インク分注部130とインク供給部140とを挟むように構成されている。また、図8(c)及び(d)に示されるように、一対のフレーム鍔部112には、それぞれ上述したフレーム突起部材111が形成されている。一対のフレーム鍔部112は、フレーム突起部材111にフィルム1430を溶着する際のフィルム1430の受け面となるものである。また、フレーム規制部材150は、フレーム鍔部112と連接して一対設けられている。なお、フレーム鍔部112は、薄肉の板状に形成されると共に裏側のフレーム鍔部112との間に空間が形成されるので、そのフレーム鍔部112の強度が弱くなる。このフレーム鍔部112の強度を保つためにフレームリブ部材410,420,430,440,450,460,470,480,490が形成されている。以下に、フレームリブ部材410〜490について説明する。
図8(c)に示すように、一対のフレーム鍔部112の間には、一対のフレーム鍔部112を連結してこれらの強度を保つためのフレームリブ部材410,420,430,440(第1補強リブ)が形成されている。フレームリブ部材410は、図9に示すように、フレーム本体部110の横方向における一端付近に設けられ、図8(c)に示すように、平板状に形成されており、図8(a)に示すように、フレーム100の縦方向(図8(a)上下方向)において、フレーム本体部110の上端付近から中間位置まで延在するように形成されている。
フレームリブ部材420は、略円柱状に形成されたリブ円柱部421と、そのリブ円柱部421からフレーム鍔部112に向かって突出した一対のリブ突出部422とで構成されている。図9に示すように、フレームリブ部材420は、フレーム本体部110の上端側の外縁からインク貯留部120近傍まで縦方向に延びて形成されている。フレームリブ部材420は、フレーム本体部110の横方向(図9左右方向)において、フレームリブ部材410よりフレーム本体部110の中心側に形成されている。そのため、フレーム鍔部112の縦方向の距離が短くなり、その結果、フレームリブ部材420の長さも短くなる。
フレームリブ部材430は、フレーム本体部110の横方向における中心にフレームリブ部材410と同様に、平板状に形成されると共にフレーム本体部110の上端側の外縁から縦方向に延びており、その長さは、図9に示すように、フレームリブ部材420と同様に形成されている。
フレームリブ部材440は、図9に示すように、フレーム本体部110の横方向における他端付近に設けられ、フレームリブ部材420と同様に、略円柱状のリブ円柱部441と、そのリブ円柱部441からフレーム鍔部112に向かって突出した一対のリブ突出部442とで構成されている。図8(b)に示すように、フレームリブ部材440は、フレーム100の縦方向(図8(b)上下方向)において、フレーム本体部110の上端付近から中間位置まで延在するように形成されている。
また、図8(c)に示すように、フレーム本体部110の横方向において、インク分注部130は、フレームリブ部材430とフレームリブ部材440との間において縦方向に延在するように形成されている。そのインク分注部130は、その外周面の一部が一対のフレーム鍔部112に連接されているので、フレームリブ部材としての機能を有する。
図8(d)に示すように、フレーム鍔部112の間には、そのフレーム鍔部112の強度を保つためのフレームリブ部材450,460,470,480(第1補強リブ)が形成されている。フレームリブ部材450は、略円柱状に形成されたリブ円柱部451と、そのリブ円柱部451からフレーム鍔部112に向かって突出した一対のリブ突出部452とで構成されている。フレームリブ部材450は、図9に示すように、フレーム本体部110の横方向における一端付近に形成され、図8(a)に示すように、フレーム100の縦方向(図8(a)上下方向)において、フレーム本体部110の下端付近から中間位置まで延在するように形成されている。
フレームリブ部材460は、フレームリブ部材450と同様に、略円柱状のリブ円柱部461と、そのリブ円柱部461からフレーム鍔部112に向かって突出した一対のリブ突出部462とで構成されている。図9に示すように、フレームリブ部材460は、フレーム本体部110の下端側の外縁からインク貯留部120近傍まで縦方向に延びて形成されている。フレームリブ部材460は、フレーム本体部110の横方向において、フレーム本体部110の中心に形成されている。そのため、フレーム鍔部112の縦方向の距離が短くなり、その結果、フレームリブ部材460の長さも短くなる。
フレームリブ部材470は、平板状に形成されると共に縦方向に延びており、その長さは、図9に示すように、フレームリブ部材450よりも短く且つ、フレームリブ部材460よりも若干長く形成されている。フレームリブ部材480は、フレームリブ部材470と同様に平板状に形成されており、図9に示すように、フレーム本体部110の横方向における他端付近に設けられ、図8(b)に示すように、フレーム100の縦方向(図8(b)上下方向)において、フレーム本体部110の下端付近から中間位置まで延在するように形成されている。
また、図8(d)及び図9に示すように、フレーム本体部110の横方向において、筒状のインク供給部140は、フレームリブ部材450とフレームリブ部材460との間に縦方向に延在するように形成されている。そのインク供給部140は、その外周面の一部が一対のフレーム鍔部112と連結されているので、フレームリブ部材としての機能を有する。
また、図8(a)及び図8(b)に示すように、フレーム本体部110の縦方向の中間位置には、フレームリブ部材410とフレームリブ部材450又はフレームリブ部材440とフレームリブ部材480とをそれぞれ連接する一対のフレームリブ部材490(第2補強リブ)が形成されている。図9に示すように、一対のフレームリブ部材490は、同一直線上において、それぞれフレーム本体部110の側端側の外縁(フレーム本体部110の横方向における端部)からインク貯留部120まで横方向(フレームリブ部材410〜480)と直交する方向に延びて形成されている。
また、図7及び図8(d)に示されるように、一対のフレーム鍔部112からはそれぞれフレーム規制部150が突出し、フレーム規制部150は互いに平行に一対設けられている。一対のフレーム規制部150の間隔は、キャップ300に形成された一対のキャップ規制部材370の間に収まる間隔とされている。
ここで、フレーム本体部110は、樹脂材料により形成されており、その成形は金型成形により行われる。例えば、金型成形は、フレームリブ部材490を境界として、フレームリブ部材410〜440側とフレームリブ部材450〜480側とに対応した2つの金型を用意し、その2つの金型を合わせた状態で、金型内に液体状(又は半生状)の樹脂を流し込み、冷却することでフレーム本体部110が成型される。従って、一対のフレームリブ部材490は、2つの金型を合わせた状態でこれらの間に形成された隙間に流し込まれた樹脂により形成される。樹脂材料の硬化後、2つの金型を互いに離れる方向、すなわち縦方向(図8(b)上下方向)に移動させることで成型されたフレーム本体部110は金型から取り外されるが、フレームリブ部材410〜480、インク分注部130、及びインク供給部140はいずれも縦方向に延在しているので、金型の縦方向の移動を妨げることなくフレーム本体部110を容易に取り外すことができる。
このように、一対のフレームリブ部材490のみを横方向に延びるように形成し、他のフレームリブ部材410〜480と、インク分注部130及びインク供給部140が縦方向に延在するように配したので、一対のフレーム鍔部112を補強するための部材を多数設けたにもかかわらず、フレーム本体部110を2つの金型からなるシンプルな金型構造によって成型することが可能となっており、フレーム鍔部112の補強と金型コストの低減とが両立されている。
また、リブ円柱部421,441,451,461は、金型からフレーム本体部110が取り外される場合に、エジェクトピンに押される受け部としても機能する。
以上、説明したように、フレーム鍔部112は、平板状に形成されており、そのフレーム鍔部112の強度が弱くなるが、フレームリブ部材410〜490を備えることにより、フレーム鍔部112の強度を保つことができる。その結果、フレーム本体部110自体の強度が上がる。後述するが、フレーム本体部110へのフィルム1430(図19参照)の溶着は、フレーム本体部110のフレーム鍔部112にフィルム1430を押し当てて行われるので、フレーム鍔部112が撓むと、フィルム1430を正確な位置に溶着できない。さらに、フレーム本体部110が破損してしまう場合もある。しかし、図9に示すように、フレームリブ部材410〜490は、フレーム本体部110の略全体に延びて形成されているので、フレーム本体部110の破損を防止できると共に、フィルム1430の溶着時にフレーム鍔部112が撓むことを防止することができる。
また、図9に示すように、インク分注部130の中心軸線及びインク供給部140の中心軸線は、フレーム本体部110の横方向(図9左右方向)において、インク貯留部120(フレーム本体部110)の中心線(フレームリブ部材430とフレームリブ部材460を通る直線)と平行であって、その中心線からずれた(シフトした)位置に形成されている。インク分注部130及びインク供給部140が、インク貯留部120の中心線上に位置すると、インク貯留部120が略円形に形成されていることから、フレーム本体部110から外側に突出する距離が長くなる。そのため、フレーム本体部110の大きさが大きくなりインクカートリッジ1も大きくなってしまう。しかし、インク分注部130及びインク供給部140をインク貯留部120の中心線上からずれた位置に形成しているので、インクカートリッジ1を小規模化することができる。
なお、インク貯留部120が略楕円に形成されている場合も同様に小規模化することができる。
次に、図10を参照して、フレーム100の部品構成について説明する。図10は、フレーム100を分解した正面図である。
図10に示すように、フレーム100は、4つの部品に分解される。3つの部品は、主にインク貯留部120、インク分注部130、インク供給部140及びフレーム規制部材150を有するフレーム本体部110と、フレーム本体部110へ溶着されるフィルム1430(図19参照)と、インク分注部130内に内挿されるインク分注栓520と、インク供給部140内に内挿されるバルブ機構530である。そして、これら4つの部品のうち、主に、フレーム本体部110とフィルム1430とによってインク貯留体が構成される。また、フレーム本体部110の中心部にあたるインク貯留部120を形成する部分がインク貯留室形成部分となる。次に、バルブ機構530について、図11を参照して説明する。
図11は、バルブ機構530を分解した正面図である。図11に示すように、バルブ機構530は、インクジェットプリンタ1710のインク抽出管1720(図26参照)の挿入口を有すると共に、インク供給部140の外部に一部が露出するゴム等の弾性を有する樹脂材料から構成されたジョイント部材610と、そのジョイント部材610と底壁が当接したときにインクの流路を閉塞するバルブ部材620と、そのバルブ部材620内に収納され樹脂性の弾性材料で構成される第1スプリング部材630と、バルブ部材620の開放面を覆うと共にインク抽出管1720に押圧されたバルブ部材620の移動方向である1軸方向(図11矢印B方向、バルブ機構530の軸心B方向)に動作可能なスライダ部材640と、そのスライダ部材640内に収納され第1スプリング部材630と同材料で同形状に形成された第2スプリング部材650と、その第2スプリング部材650と当接すると共に逆止弁670を受ける弁座部材660と、その弁座部材660との間で逆止弁670を覆うカバー部材680とを備えている。バルブ機構530は、一体に組み付け可能であるので、インク供給部140への組み付け作業が容易になる。ジョイント部材610、バルブ部材620、第1及び第2スプリング部材630,650、スライダ部材640、弁座部材660、逆止弁670およびカバー部材680について、図12〜図18を参照して以下に説明する。なお、以下の説明では、バルブ機構530の軸心を軸心B(図11参照)として説明する。
図12は、ジョイント部材610を示した図であり、図12(a)は、ジョイント部材610の側面を示した図であり、図12(b)は、ジョイント部材610の平面を示した図であり、図12(c)は、ジョイント部材610の底面を示した図であり、図12(d)は、図12(b)のXIId−XIId線における断面図である。
図12(a)に示すように、ジョイント部材610は、側面視(図12(a)紙面垂直方向視)において3段に形成されている。最下段部(図12(a)下側)に示されている部分は、インク供給部140の外部に露出する部分であり、ジョイント部材610の外周部を形成するジョイント外周部710である。そのジョイント外周部710の上段に示された部分は、インク供給部140の内部に配設されると共に、ジョイント部材610の内周部を形成するジョイント内周部720であり、図12(a)には、ジョイント内周部720の上部が図示されている。さらに、ジョイント内周部720の上段に示された部分は、バルブ部材620と当接するジョイント当接部730である。図12(b)に示すように、ジョイント外周部710、ジョイント内周部720及びジョイント当接部730の軸心は、バルブ機構530の軸心Bと同一軸心上に位置している。また、ジョイント部材610は、樹脂ゴム等の弾性材料によって構成されている。
図12(d)に示すように、ジョイント外周部710とジョイント内周部720との間には、断面が凹状に形成されたジョイント溝部740が形成されている。このジョイント溝部740は、図12(b)に示すように、平面視で円状に形成されており、筒状に形成されたインク供給部140の外周壁の下端部が嵌合されて、ジョイント部材610がインク供給部140に対して固着される。また、図12(d)に示すように、ジョイント内周部720の上面731(バルブ部材620と接触する側の面)からは、ジョイント当接部730が突出している。ジョイント当接部730は、先端部734(図12(d)上側の端部)に向かうほど細く形成されており、その先端部734がバルブ部材620の底面に当接して、インクの流路を閉塞する。さらに、ジョイント内周部720には、その内周面から軸心Bに向かって突起したジョイント突起部750と、ジョイント内周部720の底面721(図12(d)下側)に形成されたインク抽出管1720(図26参照)の挿入口となる開口722と、開口722とジョイント突起部750との間に形成されたテーパ面723が形成されている。
また、図12(d)に示すように、ジョイント部材610には、ジョイント内周部720の底面721からジョイント当接部730の先端部734(図12(d)下側)まで貫通したインク流路760が形成されている。このインク流路760は、底面721に形成された開口722と、開口722に連設されたテーパ面723により画定されたテーパ部流路761と、テーパ面723に連接されたジョイント突起部750の内周面751により画定された突起部流路762と、ジョイント突起部750の内周面751に連設された段差面732とこの段差面732に連設されたジョイント当接部730の内周面733とによって画定された当接部流路763から構成されている。なお、ジョイント突起部750の内周面751は軸心Bと平行であり、段差面732は軸心Bと直交している。
テーパ部流路761は、開口722からジョイント突起部750の内周面751との連接点に向けて徐々に径が小さくなる略中空円錐状に形成されている。突起部流路762は、テーパ部流路761の最小内径と同じ内径を有する略中空円柱状に形成されている。この突起部流路762の内径は、インク抽出管(図26参照)の直径よりも若干小さく形成されている。当接部流路763は、突起部流路762よりも大きい内径を有する略中空円柱状に形成されており、その内径はインク抽出管の直径よりも十分に大きなものとなっている。そして、突起部流路762と当接部流路763の境界に段差面732が形成されていることにより、突起部流路762から当接部流路763に至る軸心方向Bにおける内径は急激に変化している。これにより、図12(d)に示すように、ジョイント当接部730は、その内周面733と段差面732とによって座繰状に切り欠かれた構造を有しており、その切り欠き部分の周囲にジョイント当接部730の先端部734が位置するようになっている。
開口から挿入されたインク抽出管1720は、テーパ部流路761のテーパ面723に案内されて突起部流路762に挿入される。このとき、突起部流路763の内径はインク抽出管1720の直径よりも若干小さいため、インク抽出管1720は、突起部流路763を形成するジョイント突起部750の内周面751に弾性的に密着して突起部流路763を押し広げるように圧入される。すなわち、ジョイント突起部750は、突起部流路763に圧入されたインク抽出管1720の周囲を封止するように作用する。なお、ジョイント部材610のインク抽出管1720の外周と弾性的に密着する部分の面積が多くなると、インクカートリッジ1のインクジェットプリンタ1710(図26参照)への装着時の抵抗が大きくなり、スムーズな装着ができなくなってしまう。しかし、本第1実施例では、ジョイント突起部750を設け、この内周面751においてのみインク抽出管1720と当接するようにしたので、インク抽出管1720との密着面を少なくすることで、インクジェットプリンタ1710への装着をスムーズに行うことができる。なお、インク流路760は、インク抽出管1720が挿通されるので、実際にインクが流れる流路は、インク抽出管1720の内部となる。また、当接流路763を座ぐり状に形成することで、インク抽出管1720が挿通された場合のジョイント部材610の軸心B方向への変位を少なくすることができるが、この説明については後述する。
図13は、バルブ部材620を示した図であり、図13(a)は、バルブ部材620の正面と背面とを示した図であり、図13(b)は、バルブ部材620の左側面と右側面とを示した図であり、図13(c)は、バルブ部材620の平面を示した図であり、図13(d)は、バルブ部材620の底面を示した図であり、図13(e)は、図13(c)のXIIIe−XIIIe線における断面図である。
図13(a)に示すように、バルブ部材620は、バルブ部材620の底面(図13(a)下側の面)を形成するバルブ底壁810と、そのバルブ底壁810から軸心B方向に立設されるバルブ外周壁820とを備えて構成されている。バルブ外周壁820には、スライダ部材640のスライダ緩挿部材1030(図15参照)が緩挿される一対のバルブガイド溝830が形成されている。図13(c)に示すように、一対のバルブガイド溝830は、バルブ機構510の軸心Bに対して対称形成されている。また、図13(a)に示すように、バルブガイド溝830は、軸心B方向において、バルブ外周壁820の全体に形成されている。バルブ外周壁820には、バルブ底壁810の反対方向に突出し、スライダ部材640の動作を規制する一対のバルブ規制部840が連接されている。バルブ規制部840の各々は、その先端(図13(a)上側)から軸心Bに向かって突出し、スライダ部材640と係合するバルブフック部850を備えている。
図13(b)に示すように、バルブ規制部840は、バルブ機構530の軸心B方向において、バルブ側壁820と比較して短く形成されている。バルブ規制部840は、バルブフック部850によりスライダ部材640を規制するために設けられているのに対して、バルブ側壁820は、バルブガイド溝830によりスライダ部材640の動作方向のずれを防止すると共に、第1スプリング部材630を収納するために設けられている。そのため、バルブ規制部840よりバルブ側壁820の方がバルブ機構530の軸心B方向において長く大きく形成されている。
図13(c)に示すように、バルブ機構530の軸心B方向(図13(c)紙面垂直方向)視において、バルブ底壁810には、バルブガイド溝830及びバルブ規制部840に対応した位置に、バルブ底壁810の上下方向(図13(c)紙面垂直方向)に連通する4つのインク流路860が形成されている。また、バルブ底壁810には、その底面から上方(図13(c)紙面垂直方向手前側)に突出し、第1スプリング部材630のスプリング上部920を受ける台座であるバルブ受け部870を備えている。バルブ受け部870は、底壁810上において略平行に配置された2つの板状部材からなる。また、図13(e)に示すように、バルブ受け部870の軸心B方向の高さは、バルブ外周部820に対して極端に低く形成されている。バルブ受け部870は、バルブ側壁820内の空間に第1スプリング部材630が配設されたときに、第1スプリング部材630をバルブ底壁810と当接させないために設けられている。これは、第1スプリング部材630がバルブ底壁810と当接してしまうと、インクの流路が塞がれてしまいインクが流れなくなるからである。よって、バルブ受け部870は、インクの流路を確保をするために設けられており、第1スプリング部材630がバルブ底壁810に当接しなければ良いので、必要最小限の高さに形成されている。
図14は、第1スプリング部材630を示した図であり、図14(a)は、第1スプリング部材630の側面を示した図であり、図14(b)は、第1スプリング部材630の平面を示した図であり、図14(c)は、第1スプリング部材630の底面を示した図であり、図14(d)は、図14(b)のXIVd−XIVd線における断面図である。
第1スプリング部材630は、略中空円錐形(又は略お椀型)に形成されており、第1スプリング部材630の底面(直径の大きい方の端部)を形成する輪状のスプリング底部910と、そのスプリング底部910の直径より小さな直径に形成されると共に、スプリング部材630の上面の頂部(直径の小さい方の端部)を形成する輪状のスプリング上部920と、そのスプリング上部920とスプリング底部910との間に連接されるとと共に、バルブ機構530の軸心B方向(インク抽出管1720に押圧されたバルブ部材620の移動方向であり、第1スプリング部材630及び第2スプリング部材650の付勢方向でもある)の荷重がかかった場合に屈曲変形する中空円錐状のスプリング可撓部930とを主に備えている。スプリング上部920は、バルブ部材620のバルブ受け部870に当接しており、バルブ部材620を押圧する押圧部となるものである。なお、スプリング底部910の直径がスプリング上部920の直径より大きく形成されているので、スプリング底部910がスプリング可撓部930が弾性変形する場合の基部となる。
図14(d)に示すように、第1スプリング部材630には、スプリング上部920の先端(図14(d)右側の端面)からスプリング底部910の底面(図14(d)左側の端面)まで連通したインク流路940が形成されている。このインク流路940は、スプリング上部920の内周面により画定される上部流路941と、スプリング可撓部930の内周面により画定される可撓部流路942と、スプリング底部910の内周面により画定される底部流路943とにより構成されている。このインク流路940の開口面積は、図14(d)に示されるように、スプリング上部920の先端からスプリング底部910の底面に向けて徐々に大きくなるようになっている。また、図14(b)及び図14(c)に示すように、スプリング上部920の上部流路941は、紙面垂直方向視において略四角形に形成されている。
この上部流路941は、開口面が略四角形に形成されているので、インクに含まれた気泡による影響を少なくすることができる。例えば、上部流路941が紙面垂直方向視において略円形に形成されていると、インクに含まれた気泡が球体であるために上部流路941の内径より大きく成長した気泡によって流路が塞がれてしまうことがある。略円形のインクの流路が球体状の気泡により塞がれると、インクの通り路がなくなり正常にインクをインクジェットプリンタ1710(図26参照)に送り込むことができない。その結果、インクジェットプリンタ1710による印刷の品質が低下してしまう。しかし、本第1実施例では、上部流路941の開口面を略四角形に形成することにより、上部流路941の開口面に大きく成長した気泡が停留してもその四隅は塞がれないので、インクの流路が塞がれることを防止して、印刷の品質が低下することを低減している。
なお、上部流路941の開口面は四角形に限られず六角形や星型等の多角形状に形成されていても良い。
図14(d)に示すように、スプリング上部920は、軸心B方向に延在する比較的厚肉の筒状に形成されており、軸心B方向(第1スプリング部材630の付勢方向)と垂直な断面形状が均一となるように形勢されている。同様に、スプリング底部910も軸心B方向に延在する比較的厚肉の筒状に形成されており、軸心B方向と垂直な断面形状が均一となっている。
また、図14(d)に示すように、スプリング可撓部930は、軸心B方向に対して所定の角度で傾斜した略円錐状に形成されており、これにより、スプリング底部910及びスプリング上部920に比べて軸心B方向における荷重に対する強度が弱くなっている。しかも、スプリング可撓部930の厚みは、スプリング底部910及びスプリング上部920に比べて薄く形成されているので、これによっても強度が弱くなっている。従って、第1スプリング部材930が弾性変形する場合には、スプリング可撓部930が撓んで変形する。
また、第2スプリング部材650は、第1スプリング部材630と同形状に形成されており、第2スプリング部材650の構成は、スプリング底部910、スプリング上部920、スプリング可撓部930とインク流路940とから構成される。
図15は、スライダ部材640を示した図であり、図15(a)は、スライダ部材640の正面と背面とを示した図であり、図15(b)は、スライダ部材640の左側面と右側面とを示した図であり、図15(c)は、スライダ部材640の平面を示した図であり、図15(d)は、スライダ部材640の底面を示した図であり、図15(e)は、図15(c)のXVe−XVe線における断面図である。
図15(a)及び図15(b)に示すように、スライダ部材640は、第1スプリング部材630及び第2スプリング部材650よりも高硬度の樹脂材料で形成されており、スライダ部材640の外周を形成するスライダ外周壁1010と、そのスライダ外周壁1010に沿ってバルブ機構530の軸心B方向に延在し、軸心Bに対して対称形成された2つのスライダ突起部1020と、そのスライダ突起部1020を結ぶ直線に対して略直交する直線上に配置されると共に軸心Bに対して対称に形成され、バルブ部材620のバルブガイド溝830(図13参照)に緩挿される一対のスライダ緩挿部材1030とを主に備えている。スライダ外周壁1010はスライダ突起部1020とともに略円筒形状をなしている。
スライダ突起部1020は、軸心B方向における高さがスライダ外周壁1010の高さと略同等に形成されている。これは、スライダ部材640の軸心B方向の両側の内部空間1060,1070に各スプリング部材630,650がそれぞれ配設されるからである。また、各スプリング部材630,650は、スライダ突起部1020とスライダ外周壁1010とにより、軸心Bと直交する方向への移動が規制される。
スライダ緩挿部材1030は、スライダ部材640の軸心B方向に延在するように形成されている(スライダ外周壁1010とスライダ突起部1020に亘って形成されている)。このスライダ緩挿部材1030とバルブガイド溝830(図13参照)によりスライダ部材640の軸心B方向の移動がスムーズに行われると共に、移動方向のずれを防止することができる。
図15(c)及び図15(d)に示すように、スライダ外周壁1010の内側には、各スプリング部材630,650のスプリング底部910と当接して各スプリング部材630,650が配設されるスライダ台座部1040が形成されている。このスライダ台座部1040によってスライダ部材640内において各スプリング部材630,650がそれぞれ収納される2つの空間1060,1070が仕切られている。そのスライダ台座部1040の中心には、貫通形成されたスライダ貫通孔1050が形成されており、このスライダ貫通孔1050がインクが流れる流路となる。図15(e)に示すように、スライダ台座部1040は、スライダ部材640の軸心B方向において、略中間位置に形成されている。
図16は、弁座部材660を示した図であり、図16(a)は、弁座部材660の側面を示した図であり、図16(b)は、弁座部材660の平面を示した図であり、図16(c)は、弁座部材660の底面を示した図であり、図16(d)は、図16(b)のXVId−XVId線における断面図である。
図16(a)に示すように、弁座部材660は、その弁座部材660の底面を形成すると共に、第2スプリング部材650のスプリング上部920と当接する弁座底部1110と、その弁座底部1110の外径より小さな外径で形成された弁座中段部1120と、その弁座中段部1120の上面(図16(a)上側)に配置された弁座受け部1130とを備えて構成されている。弁座受け部1130は、弁座部材660の中心へ向かうほど下降傾斜した弁座傾斜面1131を備えており、その弁座傾斜面1131により後述する逆止弁670が受けられる。
図16(b)に示すように、弁座受け部1130は、弁座部材660の周方向に所定の等間隔で6個形成されている。また、6個の弁座受け部1130のうち3個の弁座受け部1130には、弁座部材660の表裏を貫通する第1弁座貫通孔1140が形成されている。この第1弁座貫通孔1140は、弁座受け部1130の弁座傾斜面1131以外の部分(弁座受け部1130の水平部分)に形成されている。よって、逆止弁670を受ける部分とは異なる部分に第1弁座貫通孔1140が形成されているので、インクの流路が塞がれることを防止できる。
また、弁座部材660の弁座受け部1130の間には、弁座中段部1120及び弁座底部1110を貫通する第2弁座貫通孔1150が形成されている。第2弁座貫通孔1150は、弁座受け部1130の間に形成されているので、弁座部材660の周方向に6個形成されている。この第2弁座貫通孔1150は、インクの流れるインク流路となる。
図16(c)に示すように、弁座底部1110の底面には、各第2弁座貫通孔1150を連通する凹状の弁座連通溝1160が形成されている。この弁座連通溝1160は、軸心Bに対して対称形成された第2弁座貫通孔1150同士を略直線状に連通している。よって、弁座底部1110には、軸心Bにおいて交差する3本の弁座連通溝1160が形成される。
図16(d)に示すように、弁座受け部1130の弁座傾斜面1131と第2弁座貫通孔1150との間には、軸心B方向に隙間が形成されている。よって、逆止弁670が弁座傾斜面1131に支持された場合であっても、インクの流路が確保される。また、弁座連通溝1160は、第2スプリング部材650のスプリング上部920の端面が第2弁座貫通孔1150の内側に位置するので、第2スプリング部材650のスプリング上部920の端面が当接したとしても、弁座連通溝1160によりインク流路が確保される。
図17は、逆止弁670を示した図であり、図17(a)は、逆止弁670の側面を示した図であり、図17(b)は、逆止弁670の平面および底面を示した図であり、図17(c)は、図17(b)のXVIIc−XVIIc線における断面図である。
逆止弁670は、略皿形状に形成されており、逆止弁670の平面を形成する逆止弁平面部1210は、カバー部材680と当接することでインクの流路を塞ぐよう構成されている。また、逆止弁670の湾曲面を形成する逆止弁湾曲部1220は、弁座部材660の弁座受け部1130により受けられる。よって、逆止弁670の逆止弁湾曲部1220が弁座部材660の弁座受け部1130に受けられている状態では、インクの流路が開いた状態となり、逆止弁670の逆止弁平面部1210がカバー部材680と当接した状態では、インクの流路が塞がれる。
図18は、カバー部材680を示した図であり、図18(a)は、カバー部材680の側面を示した図であり、図18(b)は、カバー部材680の平面を示した図であり、図18(c)は、カバー部材680の底面を示した図であり、図18(d)は、図18(b)のXVIIId−XVIIId線における断面図である。
カバー部材680は、下面側が開口した略円筒状に形成されている。カバー部材680は、その外周を形成するカバー外周壁1310と、カバー部材680の上面(図18(a)上側)を形成するカバー上部1320とを備え、下面が開口している。カバー部材680は、下面(図18(a)下側)の開口に弁座部材660が嵌合され、弁座部材660とカバー部材680との間に逆止弁670が収納される。即ち、カバー部材680と弁座部材660とによって逆止弁670を収納するケースが構成されている。
図18(b)又は図18(c)に示すように、カバー上部1320には、カバー部材1320の表裏を貫通するカバー貫通孔1330が、周方向に6個形成されている。このカバー貫通孔1330がインクが流れる流路となり、逆止弁670がカバー上部1320に当接することで、カバー貫通孔1330が塞がれて、インク流路が塞がれる。
次に、図19を参照して、インクカートリッジ1が組み立てられた状態を説明する。図19は、インクカートリッジ1の断面図であり、図2のXIX−XIX線における断面図である。なお、図19のインクカートリッジ1の断面図は、フレーム100にインクIが貯留された状態を示している。
図19は、インクカートリッジ1は、ケース200とキャップ300とを溶着して組み立てられた状態である。この状態では、ジョイント部材610とキャップ300のキャップ底壁310とが当接していると共に、ジョイント部材610のジョイント溝部740にインク供給部140の外周壁が嵌合されている。さらに、キャップ接合部360の内周面にジョイント部材610(ジョイント外周部710(図12参照))の外周面が当接している。よって、ケース200とキャップ300とにより囲まれた内部空間1440は、ケース200及びキャップ300の外部と連通しておらず、略密閉された状態となる。
フレーム本体部110には、一対のフィルム1430が溶着されており、これらのフィルム1430により略密閉された空間(インク貯留部120)にインクIが貯留されている。なお、フィルム1430の溶着工程については、後述する。
ここで、フィルム1430について説明する。フィルム1430は、ナイロン製のフィルムとポリエチレン製のフィルムとからなる2層式のフィルム(以下「ナイロンポリエチレン」と称す)であり、フレーム本体部110と接する側がポリエチレン製のフィルム層となっている。このナイロンポリエチレンは、液体を完全に遮断するがガス遮断性が小さいので、フィルム1430により略密閉されたインク貯留部120と内部空間1440との間で、僅かに気体の行き来が可能になっている。よって、インク貯留部120内のインクI内に存在する気体が、徐々にフィルム1430を通り内部空間1440に移動するので、インクI内に気泡が発生することを低減することができる。従って、インクI内の気泡による印刷の品質低下の発生を防止することができる。なお、フィルム1430は、強度を保てると共にガス遮断性の小さいものであれば、如何なる材質で構成されるものとしても良い。例えば、ナイロン製のフィルムとポリプロピレン製のフィルムとを2層に形成したフィルムや、ナイロンとポリエチレン又はナイロンとポリプロピレンとを混合して成形したフィルムなどが挙げられる。
また、図19に示すように、フレーム100のインク供給孔122とカバー部材680との間には、インクの流路であり、カバー部材680からインク供給孔122に向かって開口量が縮小するすり鉢状、即ち中空円錐状の部分を有するインク流路1410が形成されている。また、インク流路1410のすり鉢状の部分からインク供給孔122側には、すり鉢状の部分の最小径側に連接された中空円筒状の部分が形成されており、インク流路1410のすり鉢状の部分からカバー部材680側には、すり鉢状部分の最大径側に連接された中空円筒状の部分が形成されている。インク流路1410には、インク貯留部120のインク内の埃や異物などを除去するために、フォーム状に構成されたフィルタ1420が配設されている。すなわち、インク流路1410は、フィルタ1420を収容するフィルタ収容室となっている。このフィルタ1420は、インク流路1410の最大径(シート部材680近傍におけるインク流路1410の径)と同じ径(同じ断面形状)を有する円柱形状に構成されており、インク供給部140側からインク流路1410内に向けてインクの流れる方向(上述したバルブ機構530の軸心B方向と平行な方向)挿入されることによって、圧縮された状態でインク流路1410内に配される。従って、挿入前よりも目の細かいフィルタを得ることができる。また、フィルタ1410の特性(異物の除去効率)は、その圧縮率において調整できるため、インク流路1410の開口量の縮小率(インク流路1410の傾斜面等の内面形状)を適宜設定することによって、フィルタ1420の材料を変更することなく所望のフィルタ特性を得ることができる。なお、本第1実施例では、フィルタ1420は、ウレタン素材により構成されているが、CFH40により構成するものとしても良い。バルブ機構530やインクジェットプリンタ1710(図26参照)のインクチューブ(図示せず)内に埃や異物が溜まってしまうと、インクが正確に供給されずに、印刷状態が悪化してしまうが、フィルタ1420を設けることにより埃や異物を取り除くことができるので、インク供給を正確に行うと共に印刷状態の悪化を防止することができる。
また、例えば、平板状の網目部材をインク供給孔122に取り付けたり、溶着したりする場合には、その取り付け工程を必要としたり、取り付け可能な構造にフレーム本体部110を製作するので、フレーム本体部110の構造が複雑になると共にインクカートリッジ1の製作時間が増加してしまう。しかし、インク流路1410内にフィルタ1420を押し込むだけでフィルタ1420の取り付けが完了するので、フレーム本体110の構造を単純化できると共に製作工程の簡略化を図ることができる。
また、インク流路1410に挿入されるフィルタ1420は、インク供給孔122によって挿入方向への移動が規制されることで挿入方向(上述したバルブ機構530の軸心B方向と平行な方向)に圧縮されるとともに、インク流路1410の中空円錐状の内面によって挿入方向と直交する面方向においても圧縮されるため、3次元方向に満遍なく圧縮されることとなる。従って、フィルタ1410は全体として均等に圧縮されることとなるため、安定したフィルタ特性を得ることができる。
なお、インク供給孔122は、インク流路1410中において最も内径が小さく、且つフィルタ1420の径よりも小さい内径であるために、イック流路内1410内に押し込まれたフィルタ1420の必要以上の進入が停止されて、インク貯留部120内への抜け落ちが防止されているが、さらに確実に抜け落ちを防止するため、インク供給孔122に抜け止めとなる部材を設けてもよい。
また、図19に示すように、インク流路1410のインク貯留部120の反対側(図19下側)には、そのインク流路1410に連続すると共に、弁座部材660及びカバー部材680からなるケースが嵌合される嵌合部1450が形成されている。嵌合部1450の内径は、インク流路1410の内径よりも十分大きく、カバー部材680の外径より若干小さく形成されており、この嵌合部1450に弁座部材660及びカバー部材680とが嵌合されて固着される。従って、嵌合部1450に固着された弁座部材660及びカバー部材680は、インク流路1410内に圧縮状態で押し込まれたフィルタ1420と当接して、フィルタ1420のインク流路1410からの抜け出しを防止するストッパとして作用する。
嵌合部1450のインク流路1410の反対側(図19下側)には、その嵌合部1450と連通すると共に、バルブ機構530が内挿されるバルブ機構内挿部1460(なお、バルブ機構内挿部1460には、嵌合部1450も含まれる)が形成されている。バルブ機構内挿部1460は、インクが流れる流路でもあり、上述したインク流路1410及び嵌合部1450の空間とバルブ機構内装部1460の空間とによって、インク供給部140内に、インクを外部に供給する際のインクの供給路となるインク流路室が構成されている。そして、このインク流路室は、図19に示されるように、円筒状に形成されたインク供給部140の内部に形成されるものである。なお、バルブ機構530の取り付けについては、後述する。また、図19に示すように、バルブ機構内挿部1460内にバルブ機構530が内挿された状態では、キャップ貫通孔330の傾斜角度とジョイント部材610の内周部流路761の傾斜角度が同一に形成されている。さらに、内周部流路761とキャップ貫通孔330との連接面が段差無く取り付けられている。よって、インク抽出管1720(図26参照)のジョイント部材610のインク流路760内への挿通がスムーズに行われる。
バルブ機構530は、キャップ底壁310にジョイント部材610の底面が当接するよう配置され、そのジョイント部材610のジョイント当接部730がバルブ部材620のバルブ底壁810と当接可能である。バルブ部材620の内部には、そのバルブ部材620のバルブ受け部870と第1スプリング部材630のスプリング上部920とが当接するように、第1スプリング部材630が収納されている。また、スライダ部材640のスライダ台座部1040で仕切られた2つの空間1060、1070には、それぞれ第1スプリング部材630と第2スプリング部材650が収納されている。これらが収納される状態について詳述すると、第1スプリング部材630は、スプリング底部910の底面911(図14参照)がスプリング台座部1040のバルブ部材620側の面1041(図15参照)に当接するとともに、スプリング底部910の外周側面912(図14参照)がスライダ外周壁1010の内壁1042(図15参照)に当接している。同様に、第2スプリング部材650は、スプリング底部910の底面911がスプリング台座部1040のバルブ部材620と反対側(逆止弁670側)の面1043(図15参照)に当接するとともに、スプリング底部910の外周側面912がスライダ突起部1020の内壁1021(図15参照)に当接している。このように、スプリング台座部1040は、第1スプリング部材630と第2スプリング部材650がそれぞれ係合する部分となっている。そして、図19に示されるように、スプリング台座部1040は、第1スプリング部材630と第2スプリング部材のスプリング底部910によって挟持された状態となっている。また、スプリング台座部1040の第2スプリング部材650のスプリング底部910の底面911が当接する面1043には、2つのスライダ突起部1020の間から入り込んだバルブ部材620のバルブフック部850が当接しており、これにより、スライダ部材640とバルブフック部850との係合がなされている。第2スプリング部材650のスプリング上部920は、弁座部材660の弁座底部1110と当接可能である。また、弁座部材660とカバー部材680との間には逆止弁670が収納されている。このバルブ機構530の各部材の配置およびその動作の詳細については、後述する。
次に、図20及び図21を参照して、フレーム100の製造工程について説明する。図20は、フレーム100の製造工程を説明する図であり、図20(a)から図20(d)へ製造工程が移行する。図21は、図20(c)の矢視C部分を拡大して示した断面図である。なお、図20及び図21は、各装置および部材を概略的に示してある。
まず、製造工程で用いられるフレーム製造装置1510について説明する。フレーム製造装置1510は、フレーム本体部110を設置して支持するベース部1520と、フィルム1430を吸引するバキューム装置1530と、フィルム1430をフレーム本体部110に対して押圧する押圧部1540と、フィルム1430をフレーム本体部110に溶着する溶着装置1550とを備えている。
ベース部1520には、フレーム本体部110を設置可能な凹状のベース保持部1521が形成されており、そのベース保持部1521は、フレーム本体部110の外形に対応して略四角形に形成されている。なお、図示しないが、ベース保持部1521は、インク分注部130及びインク供給部140に対応した凹部が形成されており、フレーム本体部110が設置された状態で位置決めがなされる。また、位置決めを行うために、フレーム本体部110を上方(図20(a)上側)又は側面(図20(a)左右方向)から固定するクランプ部材を備えるものとしても良い。
バキューム装置1530は、吸引してフィルム1430を保持するものであり、本第1実施例では、4つのバキューム装置1530(図20紙面垂直方向手前側の2つのバキューム装置1530は図示せず)で構成されている。そのバキューム装置1530は、フレーム本体部110の4隅に対応した位置に配置されており、フィルム1430に皺が生じないように保持している。
押圧部1540は、先端部(図20(a)下側)が弾性材からなる押圧弾性部1541を備えている。その押圧弾性部1541は、フレーム本体部110のインク貯留部120の形状に対応して先端が略球面状に形成されている。押圧弾性部1541の先端部には、押圧部1540がフィルム1430を押圧した状態で、フレーム本体部110のフレーム傾斜面124に当接するように、フレーム傾斜面124の傾斜角度α(図21参照)に対応した押圧傾斜面1542が形成されている。よって、フレーム本体部110のフレーム傾斜面124とフィルム1430との間には、押圧部1540によりフィルム1430が押圧された状態で隙間が形成されない。また、押圧部1540には、押圧部1540がフィルム1430を押圧した状態で、フィルム1430の浮きを抑制する浮き抑制部材1543が備えられている。この浮き抑制部材1543は、押圧弾性部1541の外周に取り付けられており、フレーム突起部材111周辺のフィルム1430の浮きを抑制する。
溶着装置1550は、フィルム1430をフレーム本体部110のフレーム突起部材111に溶着するための装置である。この溶着装置1550は、フレーム本体部110のフレーム突起部材111の全体を上方より覆うように、略円柱状に形成されている。また、溶着装置1550は、フィルム1430とフレーム突起部材111とを熱溶着により溶着するので、先端部(図20(a)下側の端部)が熱発生部となる。
次に、フレーム本体部110へのフィルム1430の溶着工程について説明する。
溶着工程は、フレーム本体部110をベース部1520のベース保持部1521内にセットし、フィルム1430をバキューム装置1530に吸引させる(図20(a)の状態)。この際、フィルム1430をフレーム本体部110の外形より大きくカットすることで、フィルム1430をフレーム本体部110に確実に溶着することができる。
図20(a)の状態で、例えば、溶着装置1510のスタートスイッチ(図示せず)を押すと、バキューム装置1530が下降する(図20(b)の状態)。図20(b)に示すように、バキューム装置1530が下降した状態では、フィルム1430とフレーム突起部材111とが当接している。
その後、押圧部1540がベース部1520方向(図20(c)下方)に下降し、押圧部1540の押圧傾斜面1542がフィルム1430を介してフレーム本体部110のフレーム傾斜面124と当接する(図20(c)の状態)。この際、押圧部1540がフィルム1430と当接するタイミング(実際に当接する前後を含む)でバキューム装置1530の吸引を停止してフィルム1430が移動可能となる。これにより、フィルム1430は、押圧部1540に押されて、フレーム本体部110のフレーム連通孔123の中心方向に移動する。
なお、図20(c)に示すように、フィルム1430の一部は、フレーム連通孔123と通過して押圧部1540と当接する側のフレーム傾斜面124(図20(c)上側のフレーム傾斜面124)とは反対側のフレーム傾斜面124側(図20(c)下側のフレーム傾斜面124)まで押圧されている。フィルム1430をフレーム連通孔123の中心部分を越えるところまで押圧することで、フィルム1430の中心部分に弛みが生じる。この弛みを持たせることにより、インクが使用されて少なくなった場合(インクエンプティの状態)に、上下一対のフィルム1430を密着させることができ、インクの使い切りを良くすることができる。また、フィルム1430は、配置される外部の影響により変形(例えば縮む)してしまうこともあるが、弛みを持たせることにより、フィルム1430が破損することを防止することができる。
また、フィルム1430は、押圧部1540により押圧されているので、フィルム1430自体の厚みに変化がない。例えば、フィルム1430全体に熱を与え、フィルム1430を延ばしながら溶着を行うと、フレーム傾斜面124に倣った形状にフィルム1430を溶着できるが、フィルム1430自体の厚みにバラツキが生じるので、フィルム1430の強度が弱くなってしまう。しかし、押圧部1540によりフィルム1430を押圧し、傾斜角度が略同一の押圧傾斜面1543とフレーム傾斜面124とによってフィルムを挟み込み、後述するように、押圧部1540の外側の溶着領域のみを加熱するようにしているので、フィルム1430の厚みを変化させ厚みにバラツキが生じることがない。よって、フィルム1430の強度が変化することを防止でき、フィルム1430の破損を防止することができる。
ここで、図21を参照して、浮き抑制部材1543の作用について説明する。浮き抑制部材1543は、フィルム1430の浮きを抑制するために設けられている。例えば、浮き抑制部材1543が設けられていないと、フィルム1430は、押圧部1540とフレーム傾斜面124とにより挟持されるので、フレーム傾斜面124の傾斜角度αに沿って立ち上がってしまう場合がある。これは、バキューム1530の吸引が停止されているためでもあるが、バキューム1530の吸引を停止しないと、フィルム1430がスムーズに移動できないという問題点もある。そのため、本第1実施例では、バキューム1530の吸引を停止すると共に、浮き抑制部材1543が設けられている。フレーム傾斜面124とフレーム突起部材111との間で、フィルム1430が立ち上がってしまうと、フィルム1430に弛みが生じたり、フィルム1430とフレーム突起部材111とが当接しないなどの弊害が生じて、正確にフィルム1430を溶着することができない。しかし、本第1実施例では、浮き抑制部材1543を備えることにより、フィルム1430が立ち上がることを抑制できるので、フィルム1430を正確に溶着することができる。
図20に戻って説明する。押圧部1430によりフィルム1430が押圧されると、溶着装置1550がフレーム本体部110のフレーム突起部材111方向(図20(d)下方)に向かって下降し、溶着装置1550の先端がフィルム1430を介してフレーム突起部材111の先端(環状帯領域)と当接する。そして、溶着装置1550から熱が伝わり、フレーム突起部材111が溶融すると共にフィルム1430のフレーム突起部材111と接触する領域(環状溶着領域)が溶融して、お互いが熱溶着される(図20(d)の状態)。上述したように、フィルム1430は、ナイロン製とポリエチレン製による2層に構成されており、ポリエチレン製のフィルムがフレーム突起部材111と当接するように配設される。また、フィルム1430とフレーム突起部材111とを溶着するために、フレーム本体部110がポリエチレン製のフィルムと同材料の樹脂材により構成されている。フィルム1430とフレーム本体部110とを同じ樹脂材に構成することにより、フィルム1430とフレーム突起部材111とを確実に溶着することができる。また、ナイロン製のフィルムは、ポリエチレン製のフィルムに比べると、強度の面で優れるものの溶融点が高いため溶着の作業性の面では劣っている。そこで、本実施形態においては、フィルム1430をナイロン製とポリエチレン製の2層構造にすることで、強度を確保するとともに、ポリエチレン製の層をフレーム本体部110との溶着層として、低い加熱温度での溶着を可能として溶着作業性を確保している。しかも、ナイロン製の層は溶着作業の際に溶融しないので、溶着部分近傍のフィルムの厚みの変化が少なくなり、溶着部分近傍のフィルムの強度も保つことができる。
熱溶着が終わると、バキューム装置1530、押圧部1540及び溶着装置1550が上昇して、図20(a)に示す位置まで戻る。その後、必要に応じてフィルム1430の不要な部分がカットされる。なお、この際、フィルム1430とフレーム突起部材111との溶着部を冷やす冷却工程を行うものとしても良い。
なお、以上の溶着工程においては、押圧部1540が下降させて押圧傾斜面1542がフレーム傾斜面124と当接した後に、バキューム装置1530の吸引を停止し、その後、溶着装置1550を下降させてフィルム1430とフレーム突起部材111とを熱溶着していたが、押圧傾斜面1542によるフィルム1430の押し込み量が少ない場合(インク貯留部120の容積が小さい場合)には、溶着装置1550を下降させて熱溶着を行った後にバキューム装置1530の吸引を停止することであっても良い。
ここで、フィルム1430とフレーム本体部110の形状との関係について説明する。本第1実施例のフレーム本体部110は、フレーム貯留部120の形状が略円形に形成されている(図7(a)参照)。例えば、フレーム貯留部120の形状が四角形に形成されていると、四角形の4つの頂点部分にフィルム1430の皺が生じてしまう。そのフィルム1430に皺が生じたまま溶着されると、皺部分にインクが残ってしまいインクの使い切りが悪くなる。しかし、本第1実施例では、フレーム貯留部が略円形に形成されているので、フィルム1430に皺が形成されにくく、例えフィルム1430に皺が形成されたとしても、その皺は小さい皺となる。よって、本第1実施例のインクカートリッジ1は、インクの使い切りを良くすることができる。なお、フレーム貯留部120は、略円形に形成することで、フィルム1430の皺の発生を特に低減することができるが、楕円形に形成するものとしても良いし、四角形であっても頂点部分を滑らかな曲線で形成すれば四角形であっても良い。即ち、フィルム1430が溶着された場合に皺の発生が低減できる形状であれば、その形状は限定されない。
また、フレーム本体部110へのフィルム1430の溶着は、フレーム本体部110の両面に行われるが(図20(a)下側へのフィルム1430の溶着)、その溶着工程は同様であるので、その説明は省略する。
次に、図22を参照して、フレーム100の製造方法について説明する。図22は、フレーム100の製造方法を説明するための図である。なお、図22に示すフレーム本体部110は、溶着工程によりフィルム1430が溶着されたものである。
まず、フレーム100の製造は、図22(a)に示すように、フレーム本体部110のインク供給部140(バルブ機構内挿部1460(図19参照))に、バルブ機構530を取り付ける。図22(a)では、バルブ機構530が既に組み付けられているが、本第1実施例では、ジョイント部材610を単体とし、バルブ部材620、第1スプリング部材630、スライダ部材640及び第2スプリング部材650を一体とし、弁座部材660、逆止弁670及びカバー部材680を一体として構成する。以下に、本第1実施例のバルブ機構530の組み付け工程について説明する。
まず、フィルタ1420をインク流路1410に圧入する(図19参照)。そして、カバー部材680、逆止弁670及び弁座部材660を一体に組み付けた逆流防止機構を嵌合部1450に圧入する(図19参照)。上述したように、インク供給部140内の嵌合部1450は、カバー部材680の外径より若干小さな内径に形成されているので、カバー部材680、逆止弁670及び弁座部材660は、嵌合部1450に固着される。その後、一体に組み付けられたバルブ部材620、第1スプリング部材630、スライダ部材640及び第2スプリング部材650からなるユニットをバルブ機構内挿部1460内に挿入して、最後にジョイント部材610のジョイント溝部740をインク供給部140に嵌合させてバルブ機構530の組み付けが完了する。よって、バルブ機構内挿部1460内に内挿される前に、バルブ部材620、第1スプリング部材630、スライダ部材640及び第2スプリング部材650が一体に構成されると共に、弁座部材660、逆止弁670及びカバー部材680が一体に構成されるので、バルブ機構530の取り付け工程を簡略化することができる。なお、上述したように、ジョイント部材610のジョイント溝部740の幅は、インク供給部140の外周壁の厚みより若干小さく形成されているので、バルブ機構530が取り付けられた状態で、バルブ機構530が自然に外れることがない。
図22(b)に示すように、バルブ機構530のインク供給部140への取り付けが終わると、インク分注部l30からインク分注針1610によりインクの分注が行われる。
なお、図22(b)の状態において、ジョイント部材610は、ジョイント溝部740をインク供給部140の端部を嵌合させることによってジョイント供給部140に固定されているため、バルブ機構530のバルブ部材620とともにインク供給部140のインク供給流路を完全に閉鎖している。従って、分注されたインクがインク供給部140から漏れ出すことのない状態となっている。その後、図22(c)に示すように、インク分注針1610によりインクの分注が行われるときには、インク分注栓520がインク分注部130内に圧入される。
図25(a)に示されるように、インク分注栓520は、弾性材料からなるものであって、インク分注部130の内面形状にならって圧入先端が先細った円錐状に形成されている。そして、インク分注栓520は、インク分注部130の奥まで圧入されず、後端面がインク分注部130の開口端面近傍に位置するところまで圧入される。
これにより、インク分注部130の奥部にインク分注孔121を通じてインク貯留部120と連通する空間Xが形成される。そしてこの状態において、インク分注針1610をその先端が空間Xに位置するようにインク分注栓520を貫通させて、インクの分注が行われる。
インクの分注が行われ、インク貯留部120の最大保持容量に相当する量のインクが注入されると、図19に示されるように、一対のフィルム1430は、フレーム本体部110のフレーム鍔部112の面よりも外方に向けて突出するように膨らんだ状態となる。しかし、上述したように、ケース200のケース側壁230には、外方に向けて湾曲するケース湾曲部240が形成されているので、外方に向けて膨らんだフィルム1430とケース200の内面とが接触しないようになっている。
なお、本実施例において、インク分注部130を設けてそこからインクを分注するようにしたのは、インク供給部140内に逆止弁670を有する逆流防止機構を装着したことにも起因している。逆流防止機構はインクカートリッジ1を記録装置に装着した状態において、一旦、記録装置に供給したインクがインクカートリッジ1に逆流しないように設けたものであるが、これによりインク供給部140からインクを分注することはできなくなっている。そこで、分注専用のインク分注部130を設け、そこからインクを分注しているのである。
次に、図23を参照して、インクカートリッジ1が製作されるまでの製作工程について説明する。図23は、インクカートリッジ1の製作工程を説明するための図である。
図23(a)に示すように、フレーム100のキャップ300への取り付けは、インク供給部140のフレーム緩挿部材141がキャップガイド溝361に緩挿されるように行われると共に、一対のフレーム規制部150が一対のキャップ規制部材370の間に位置して、これらに当接するように取り付けが行われる。フレーム100の取り付けは、フレーム接合部142がキャップ接合孔362と係合されることで取り付けが完了する。図6で説明したように、フレーム接合部142とキャップ接合孔362との接合により、フレーム100が簡単に外れてしまうことが防止できると共に、フレーム規制部150とキャップ規制部材370によりフレーム100の回転が規制されるので、フレーム100とキャップ300とをガタなく取り付けることができる。すなわち、フレーム100とキャップ300は接着剤や溶着などによる固着作業を省略し、フレーム接合部142とキャップ接合孔362との機械的な係合により連結されているため、フレーム100は、キャップ300に対して円筒状のキャップ接合部360を中心とした回転ずれを生じやすくなっているが、フレーム規制部150とキャップ規制部材370によりフレーム100の回転が規制されているので、組立作業を簡略化とフレーム100の回転ずれの防止がともに達成されているのである。
また、インク供給部140とキャップ300が、ジョイント部材610を間に介して連結されているので、キャップ300に伝わった外部振動が直接フレーム100に伝わらず、ジョイント部材610によって減衰されるようになっている。
なお、図23(b)に示すフレーム100がキャップ300に取り付けられた状態において、インク供給部140の先端部とキャップ300のキャップ底壁310との間にジョイント部材610が介在しており、これらによってジョイント部材610は挟持されている。すなわち、キャップ300がジョイント部材610をインク供給部140に押圧して固定する押え部材として作用しており、ジョイント部材610は、インク供給部140に対してより強固に固定された状態となっている。そこで、インクの分注は既に行われているが、分注後のインク供給部140からのインクの漏れ出しを確実に回避するために、フレーム100をキャップ300に取り付けてジョイント部材610をインク供給部に強固に固定した後に、図22(b)及び(c)に示したインクの分注作業を行うようにしてもよい。
図23(b)に示すように、フレーム100とキャップ300とが取り付けられた状態で、ケース200をフレーム100を覆うように取り付ける。この状態では、ケース200の第1開口端面211(図4参照)と第2開口端面212(図4参照)とにより形成される段差に、キャップ突起部材350が当接する(図24(a)参照)。
図23(c)に示すように、キャップ300とケース200とが取り付けられた状態で、キャップ300のキャップ底壁310側から、例えば、超音波溶着装置(図示せず)によりキャップ突起部材350とケース200(第1開口端面211と第2開口端面212とによる段差面)とが溶着される。図23(c)の点線は、キャップ突起部材350が形成された位置に対応しており、その点線で示した箇所が超音波溶着される。
ここで、図24を参照して、ケース200とキャップ300との溶着工程について説明する。図24は、ケース200とキャップ300との溶着部分を拡大して示した断面図であり、図24(a)は、溶着前の状態を示しており、図24(b)は、溶着後の状態を示している。
図24(a)は、キャップ300のキャップ突起部材350と、ケース200の第1開口端面211と第2開口端面212とにより端面の一部が欠落するように形成される段差とが当接した状態を示している。このときキャップ300のキャップ側壁320とケース側壁230との間には僅かな隙間が形成されている。この状態で、キャップ300のキャップ底壁310側から、キャップ突起部材350に対応した位置に対して局部的に超音波があてられる。超音波溶着は、公知の技術であるので詳細な説明は省略する。
図24(b)に示すように、超音波溶着によりケース200とキャップ300とが溶着されると、キャップ突起部材350とケース200のケース開口部210とが、互いに溶融して溶着する。すると、第1開口端面211と第2開口端面212とが溶融してなくなり、キャップ突起部材350と第1開口端面211及び第2開口端面212との溶融した一部分が溶融カスX(バリ)として、ケース側壁230とキャップ側壁320との隙間に溜まる。このように、キャップ側壁320とケース側壁230との間に、溶融カスXが溜まる隙間を設けたことにより、溶融カスXが外部に露出せず、インクカートリッジ1の美観を損なうことを防止することができる。
また、第1開口端面211と第2開口端面212とによって形成された段差とキャップ突起部材350によって、ケース200とキャップ300の位置決めがなされるので、キャップ側壁320とケース側壁230との間の隙間をキャップ300の全周囲にわたってほぼ均一とすることができ、溶融カスXを隙間内に確実に溜めることができる。
なお、ケース側壁230の段差の代わりに斜面を形成して、その斜面にキャップ突起部材350の隅部を当接させるようにしても良い。
ここで、図25を参照して、ケース200がキャップ300に取り付けられる際のインク分注栓520の動作について説明する。図25は、インク分注栓520が装着される場合の動作について説明するための図である。
図25(a)に示すように、インク分注部130はその内部がインク注入路となっており、インク注入路は分注内周部131によって画定されている。分注内周部131は、インク分注孔121より先端(図25(a)下側)側の奥部が中空円錐状に形成されている。これは、インク貯留部120がフレーム傾斜面124によって画定されるため、分注内周部131の奥部がフレーム傾斜面124に倣う形状となったためである。また、インク分注栓520は、この分注内周部131の形状と一致するように、先端が先細った円錐状に形成されている。そして、フレーム100が製作されてインクの分注まで完了した状態では、インク分注栓520の上部端面(図25(a)上側の端面)は、インク分注部130の外部端面(図25(a)上側の端面)と略同位置に配置されており、インク分注部130の奧まで圧入されていない。これは、上述したように、インク分注部130の奥部にインクを分注するためのインク分注孔121に連通する空間Xを確保するためである。(インク分注栓520がインク分注部130の奥部まで圧入されると、インク分注孔121に連通する空間Xが確保されないため、インク分注針1610によってインクを分注することはできない。)その結果、インクを分注すると、分注内周部131の奥部の中空円錐状の空間XにインクIが残留する場合がある。
図25(b)に示すように、ケース200がキャップ300に取り付けられる際に、ケース200がキャップ300方向に押されると(図23(b)の状態)、ケース突起部材260とインク分注栓520とが当接し、そのケース突起部材260によりインク分注栓520が押される。この際、分注内周部131内に残留するインクがインク分注栓520に押され、その結果、インク分注孔121からインク貯留部120(図19参照)内にインクが流れ込む。
図25(c)に示すように、ケース200とキャップ300とが溶着された状態では、インク分注栓520が分注内周部131内の奧部の空間Xを埋め尽くしている。よって、分注内周部131内には、インクが残っていないので、インクIを無駄なく分注することができる。また、ケース突起部材260によりインク分注栓520が押圧された状態となっている。このケース突起部材260によりインク分注栓520を押圧することにより、フレーム100がケース200内でガタ付くことを低減している。
また、フレーム100は、ケース200に対してインク供給部140とインク分注部130の2点において連結されてケース200内の空間に浮遊状態で支持されるが、インク供給部140側においては弾性材料からなるジョイント部材610を介して連結され、インク分注部130側においては同じく弾性材料からなるインク分注栓520を介して連結されているため、ケース200内の空間にダンピング状態で支持されている。従って、ケース200に衝撃が加えられたとしても、その振動は弾性材料にて減衰されてフレーム100に伝わるため、フレーム100に対する外部衝撃の影響を少なくすることができる。このように、ジョイント部材610とインク分注栓520は、ケース200に加えられた振動をフレーム100に伝えにくくするダンパーとしても機能しているため、専用のダンパー部材を設けた場合に比べて、部品点数が削減されている。また、ケース突起部材260がインク分注栓520を押圧しているため、インク分注栓520の抜け止めとしても作用している。なお、インク分注栓520は、ケース200とキャップ300を溶着したときにケース突起部材260によってインク分注部130の奥部まで押し込んでいたが、インクを分注した後に直ちにインク分注栓520をインク分注部130の奥部まで押し込んでも良い。
以上、説明したように、インクカートリッジ1の製作は、フレーム100のフレーム貯留部120にインクIを分注した後に、フレーム100にケース200を被せて、ケース200とキャップ300とを溶着することで行われる。従来のインクカートリッジには、フレームにケースを被せた後にケース外部からインクを分注するものもあった。この従来のインクカートリッジでは、インクの貯留量やインク色に応じて、それぞれフレームとケースとを用意する必要があった。しかし、本第1実施例では、フレーム100のフレーム貯留部120内にインクを分注した後にケースを被せるので、フレーム100を共通部品化することができる。即ち、ケースの形状が異なる場合であっても、フレーム100を共通化して使用することができる。その結果、インクカートリッジ1の製作コストを低減することができる。
また、以上の工程により完成したインクカートリッジ1は、インク分注部130とインク分注栓520がケース200によって外部から目視不可能であるように完全に隠蔽されているので、ユーザが誤ってインク分注栓520を取り外しインクを外部に飛び散らすといった不具合が生じにくくなっている。
次に、図26を参照して、インクカートリッジ1のインクジェットプリンタ1710への取り付けについて説明する。図26は、インクカートリッジ1をインクジェットプリンタ1710へ装着する工程を説明するための断面図であり、図26(a)は、インクカートリッジ1の装着前を示しており、図26(b)は、インクカートリッジ1の装着後を示している。なお、図26のインクカートリッジ1は、概略が示されており、そのため、ケース200とキャップ300とが実線で示されフレーム100が破線で示されている。
図26(a)に示すように、インクジェットプリンタ1710のインクカートリッジ1が装着される装着部には、キャップ貫通孔330からインクカートリッジ1内部のバルブ機構530のジョイント部材610(図19参照)内に挿通されると共に、インクIをインクカートリッジ1から抽出する中空状のインク抽出管1720が備えられている。インク抽出管1720は、図示しない流路を介してインクジェットプリンタ1710のヘッド(図示せず)と連通している。インク抽出管1720は、インクジェットプリンタ1710の装着部から突出(図26(a)上方に突出)して形成されており、その先端(図26(a)上側)に凹状のインク抽出溝1730が形成されている。このインク抽出溝1730により、インク抽出管1720がバルブ機構530のバルブ部材620(図19参照)の底面に当接したとしてもインクの流路が確保される。
また、図26(a)に示すように、インクジェットプリンタ1710の装着部には、インク抽出管1720を挟んで装着部から突出(図26(a)上方に突出)した一対のクランプ部材1740が備えられている。クランプ部材1740の先端(図26(a)上側の端部)には、互いに向き合った方向に突起し、キャップ側壁320と係合するクランプ係合部1750が形成されている。また、クランプ部材1740は、互いに離れる方向(図26の矢印D方向)への可撓性を有しており、インクカートリッジ1が装着される場合には、キャップ底壁310により矢印D方向に押されて可撓する。なお、インクカートリッジ1のインクジェットプリンタ1710への装着は、インク抽出管1720とキャップ貫通孔330との位置関係から方向性が定められる。
図26(b)に示すように、インクカートリッジ1がインクジェットプリンタ1710の装着部に装着されると、クランプ部材1740のクランプ係合部1750がキャップ300のキャップ側壁320の端部と係合して固着されている。インクカートリッジ1を脱着する場合には、いずれか一方のクランプ係合部1750とキャップ側壁320との係合を、クランプ部材1740を矢印D方向に揺動することで行うことができる。
上述したように、キャップ側壁320は、ケース200とキャップ300との溶着工程において発生する溶融カスX(図24参照)を、外部から視認不可とするために設けられている。さらに、キャップ側壁320は、インクカートリッジ1をインクジェットプリンタ1710に装着固定するための係合部としても作用する。よって、新たにクランプ部材1740と係合する係合部を必要としないので、インクカートリッジ1の構造が複雑化することを防止できると共にコスト削減を図ることができる。
次に、図27を参照して、インク抽出管1720がバルブ機構530内に挿通された場合のバルブ機構530の動作について説明する。図27は、バルブ機構530の動作を示した図である。なお、図27(a)は、インク抽出管1720が挿通される前の状態を示しており、図27(b)は、インク抽出管1720が挿通されている途中を示しており、図27(c)は、インク抽出管1720が挿通されてインクカートリッジ1がインクジェットプリンタ1710(図26参照)に装着完了された状態を示している。
図27(a)は、インクカートリッジ1がインクジェットプリンタ1710に装着される前の状態を示している。このとき、バルブ部材620は、第1スプリング部材630及び第2スプリング部材650によって、軸心Bと平行でジョイント部材610に当接する向きに付勢されている。図27(a)に示すように、バルブ部材620(及びスライダ部材640)内に収納されている第1スプリング部材630は、スプリング可撓部930が若干撓んでいる。一方、スライダ部材640の上部(図27(a)上側)に配置される第2スプリング部材650のスプリング可撓部930に撓みは生じていない。これは、スプリング部材630,650の撓む順序決めをするためである。即ち、スプリング可撓部930が撓んでいる第1スプリング部材630の方が第2スプリング部材650よりも撓みやすくなっているので、インク抽出管1720が挿通されると、第1スプリング部材630が先に撓み、その後、第2スプリング部材650が撓むように構成されている。
なお、第1スプリング部材630のスプリング可撓部930の撓みは、バルブ部材620のバルブフック部850がスライダ部材640のスプリング台座部1040の面1043に係合することにより形成される。バルブ部材620のバルブ底壁810の内側の端面からバルブフック部850のバルブ底壁810側の端面との間の距離a(図27(a)参照)が、スライダ部材640のスライダ台座部1040の厚み、第1スプリング部材930の上下方向の高さとバルブ突起部750の高さとの合計距離より短く形成されているので、スライダ部材640の面1043にバルブ部材620のバルブフック部850が係合すると、第1スプリング部材630のスプリング可撓部930に撓みが生じる。ここで、バルブ機構530の軸心B方向の高さは、各部品毎に生産時の寸法誤差があるので、部品点数が多くなるほど寸法誤差が生じやすくなる。しかし、スライダ部材640がバルブ部材610のバルブフック部850に当接されているので、少なくとも第1スプリング部材630の寸法の誤差が関係なくなる。よって、バルブ機構530の寸法誤差も少なくなり、バルブ機構530の伸縮動作が安定する。
また、図27(a)に示すように、バルブ部材620のバルブ側壁820の内径と、スライダ部材640のスライダ外周壁1010の外径とは略同等に形成されている。よって、スライダ部材640がバルブ機構530の軸心B方向に動作した場合に、移動方向のずれの発生を防止することができる。また、スライダ外周壁1010の内径と、各スプリング部材630,650のスプリング底部910の外径とが略同等に形成されている。よって、各スプリング部材630,650が、スライダ部材640のスライダ台座部1040に配設された状態で、軸心Bと直交する方向(図27(a)左右方向)へずれることを低減することができる。また、バルブ部材620のバルブ側壁820の外形は、インク供給部140の内径とほぼ等しく形成されている。よって、バルブ部材620が軸心B方向に動作した場合における移動方向のずれを防止することができる。従って、バルブ機構530の軸心B方向への伸縮動作が安定する。
図27(b)に示すように、インク抽出管1720がジョイント部材610内に挿通され、インク供給部140のバルブ機構内挿部1460内に侵入すると、バルブ部材620のバルブ底壁810と当接してバルブ部材620が弁座部材660方向(図27(b)上方)へ移動する。この移動に伴って、第1スプリング部材630が圧縮するように可撓変形するが、インク抽出管1720の侵入量が僅かであるときは、バルブ部材620の移動分だけ第1スプリング部材630のみが可撓変形するので、スライダ部材640は移動せず、バルブ部材620のバルブフック部850とスライダ部材640のスライダ台座部1040とが離れている。
インク抽出管1720がさらに侵入すると、バルブ部材620が弁座部材660方向へさらに移動する。これに伴って、スライダ部材640が弁座部材660方向(第1スプリング部材630及び第2スプリング部材650の付勢方向と反対方向)するとともに、第2スプリング部材650の可撓変形が開始される。
図27(c)に示すように、インクカートリッジ1がインクジェットプリンタ1720の装着部に装着された状態となると、第2スプリング部材650も弾性変形して、矢印Eで示すインク流路が形成される。矢印Eで示したインク流路は、インク貯留部120(図19参照)、インク供給孔122(図19参照)、インク流路1410内のフィルタ1420(図19参照)、カバー部材680のカバー貫通孔1330、第1弁座貫通孔1140及び第2弁座貫通孔1150、弁座連通溝1160、第2スプリング部材650のインク流路940、スライダ貫通孔1050、第1スプリング部材930のインク流路940、第1スプリング部材930とバルブ受け部870との間に形成される流路、バルブ部材620のインク流路860、インク抽出管1720のインク抽出溝1730とインク抽出管1720の内部を順番に通る流路であり、この流路がインクの大半が流れる主流流路となる。また、バルブ部材620のバルブ側壁820とバルブ機構内挿部1460の内周面と間の空間もインク流路となる。
主流流路の経路中において、第1スプリング部材630のスプリング上部920に形成された上部流路941と第2スプリング部材650のスプリング上部920に形成された上部流路941とが、流路の断面積が最も小さい部分となり、インクに含まれた気泡の停留によって最も流路が塞がれやすい箇所となっている。しかし、上述したように、上部流路941の開口は略四角形に形成されているので、このような不具合は回避されている。
ここで、図28を参照して、インク抽出管1720がジョイント部材610内に挿通された場合のジョイント部材610の動作について説明する。図28は、ジョイント部材610の動作を説明するための図であり、図28(a)は、インク抽出管1720の挿通前の状態を示しており、図28(b)は、インク抽出管1720が挿通された状態を示している。
図28(a)に示すように、インク抽出管1720が挿通される前の状態では、ジョイント突起部750は、略水平方向(軸心Bと直交する方向)に突出し、段差面732が略水平となっている。なお、ジョイント当接部730の先端部734の直径は、bで示されている。
図28(b)に示すように、インク抽出管1720が開口722からテーパ部流路761を経て突起部流路762内に圧入されると、ジョイント突起部750は、その内周面751とインク抽出管1720の外周面との摩擦によりインク抽出管1720に引きずられてインク抽出管1720の挿通方向(図28(b)上方)へ変位する(支持部流路762内に変位する)。このとき、ジョイント当接部730は、その内周面733と段差面732とによって座繰状に切り欠かれた構造となっているので、ジョイント突起部750のインク抽出管1720の挿通方向への変位は、直接ジョイント当接部730の先端734には伝わらない。よって、図28(b)に示されるように、ジョイント当接部730の先端部734は挿通方向へはほとんど変位せず、ジョイント当接部730の先端部734はインク抽出管1720から離れる方向(矢印F方向)に若干変位する。この状態のジョイント当接部730の直径は、b1で示され、図28(a)の直径bより若干大きくなっている。即ち、インク抽出管1720の挿通に伴うジョイント部材610の形状の変化は、ジョイント当接部730を矢印F方向へ変位させる形状変化となっている。仮に、ジョイント当接部730とジョイント突起部750との境目に段差面732がなく、ジョイント当接部730が、ジョイント突起部750の内周面751からジョイント当接部730の先端部734に向かってなだらかな斜面を有する形状であったとすると、インク抽出管1720の挿通にともなってジョイント突起部750がインク抽出管1720の挿通方向に変位するように変形したときに、ジョイント当接部730にはジョイント突起部750の変形が直接伝わって、ジョイント突起部750とともに挿通方向に変位してしまう。その結果、バルブ部材620(図27参照)とジョイント当接部730との間にインク流路を形成するためのインク抽出管1720の挿置ストロークが長くなる。そのため、インク抽出管1720を長く形成しなければならない。しかも、インク抽出管1720が長くなると、他の部材と接触して破損し易くなる。しかし、本第1実施例では、ジョイント当接部730がインク抽出管1720の挿通方向と略直交する方向(矢印F方向)へ変位するので、インク流路を形成するためのストロークを長くする必要がない。よって、インク抽出管1720が他の部材と接触することを低減して、破損を低減することができる。
ここで、図29を参照して、インクカートリッジ1の装着に伴うタクタイル感について説明する。図29は、インクカートリッジ1が装着される場合のタクタイル感を示したグラフである。図29の横軸は、インクカートリッジ1が装着される場合の移動距離(ストローク)であり、図29の縦軸は、インクカートリッジ1の装着時に生じる荷重である。
図29に示すように、インクカートリッジ1が装着開始されて、インク抽出管1720がバルブ部材620と当接すると、その荷重は急激に上昇する。その後、第1スプリング部材630のスプリング可撓部930が弾性変形を開始すると、その荷重が急激に下がる。この状態の変化が図29中のc点である(図27(a)と図27(b)との中間の状態)。
その後、インクカートリッジ1の装着を継続すると、第1スプリング部材630の弾性変形が終わり、第2スプリング部材650の弾性変形が開始される。この際、再度荷重が急激に上昇する。この状態が図29中のd点である。
このように、各スプリング部材630,650を備えることにより、2段階の荷重の変化がある。よって、インクカートリッジ1の装着者は、インクカートリッジ1の装着が正確に行われていることを体感することができる。この荷重が変化することをタクタイル感という。従って、インクカートリッジ1が正確に装着されているか否かを視認して確認することなく、タクタイル感により確認することができる。
なお、インクカートリッジ1の脱着時にも同様に荷重の変化があり、その変化は、図29に示す脱着時の曲線で示されている。インクカートリッジ1の脱着時は、脱着開始時は、各スプリング部材630,650が元の状態に戻る弾性力があるので、荷重が高くなっているが、インクカートリッジ1の脱着が継続されると、荷重の変化は滑らかになる。
次に、図30を参照して、フレーム本体部110のフレーム傾斜面124の傾斜角度α(図21参照)について説明する。図30は、フレーム傾斜面124の傾斜角度αとインク残量および収容容積との関係を示したグラフである。なお、図30の横軸(図30左右方向)は、フレーム傾斜面124の傾斜角度αを示しており、図30の縦軸(図30上下方向)は、インク残量(図30左側の縦軸)と収納容積(図30右側の縦軸)とを示している。また、図30の黒丸はインク残量を示しており、黒四角は収容容積を示している。
本第1実施例では、フレーム傾斜面124は、図19に示すように、断面視直線状に形成されている。これは、インク貯留部120内に残留するインク残りを少なくして、インクの使い切りを良くするためである。すなわち、フレーム傾斜面124が断面視曲線状に形成されていると、インクの収容量が少なくなったときにフィルム1430がフレーム傾斜面124に正確に倣って接することができないため、フレーム傾斜面124とフィルム1430との間に僅かな隙間が残り、そこにインクが残留してしまうためである。
また、フレーム傾斜面124のフレーム傾斜角度αは、インク収容量を多く確保し、且つインク残量を少なくするような角度に設定されており、本実施形態では30°となるように形成されている。インクカートリッジ1は、最低限必要となる収容容積が定められている。その収容容積は、23ミリリットル(以下「ml」と略す)であり、図30の破線で示された直線f1である。図30に示すように、最低限必要となる収容容積からフレーム傾斜面124の傾斜角度αは27°以上に形成することが好ましい。
また、インク残量は、最大残量の目標値が定められており、その目標値は1.5ml以下である。この目標値は、図30の破線で示された直線f2であり、インク残量からフレーム傾斜面124の傾斜角度αは34°以下に形成することが好ましい。
図30に示すように、収容容積は、傾斜角度αの角度が大きくなるほど比例して多くなっているが、インク残量は、傾斜角度αの値が30°より大きくなると急激に多くなっている。この実験結果から、フレーム傾斜面124の傾斜角度αは30°に設定することが最適であることがわかる。
なお、収容容積から傾斜角度αは27°以上であることが好ましいとしたが、インク残量を含めて考慮した場合、傾斜角度αは、28°〜34°の範囲eで形成することが好ましく、この範囲内であれば、如何なる傾斜角度αで形成するものとしても良い。
なお、本第1実施例では、フレーム100、ケース200とキャップ300とが樹脂材料により構成されるだけでなく、バルブ機構530も樹脂材料で構成されており、インクカートリッジ1の構成要素として金属材料は使われていない。よって、インクカートリッジ1を焼却することで、廃棄処分を行える。例えば、バルブ機構530の付勢部材(本第1実施例では、各スプリング部材630,650が該当する)が金属で構成されるインクカートリッジの場合は、廃棄処分の際に、インクカートリッジを分解して付勢部材を取り出さなければならない。そのため、廃棄処分のコストがかかってしまう。しかし、本第1実施例では、インクカートリッジ1の全ての構成要素が可燃性を有しているので、廃棄処分のコストを低減することができる。
次に、図31を参照して、第2実施例のインクカートリッジ2について説明する。第1実施例は、インク分注栓520(図19参照)の先端部形状が略円錐形に形成されていた。これに対して、第2実施例は、フレーム1810のインク分注部1820の分注内周部1830が略中空円柱状の溝で形成されると共に、その分注内周部1830内に圧入されるインク分注栓1840が略円柱状に形成されている。なお、第1実施例のインクカートリッジ1と同一の部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。
図31は、第2実施例のインクカートリッジ2の断面図である。図31に示すように、第2実施例のインクカートリッジ2は、フレーム1810のインク分注部1820の分注内周部1830の形状が略中空円柱状の溝に形成されている。インク分注孔121は、分注内周部1830の開口部(図31上側)に対向する奥側の端部(図31下側)と連通している。また、分注内周部1830内に圧入されるインク分注栓1840は、略円柱状に形成されている。よって、ケース200がキャップ300に取り付けられて、ケース突起部材260によりインク分注栓1840が押されると、インク分注栓1840の外面と分注内周部1830の内面とが隙間なく当接する。即ち、分注内周部1830とインク分注孔121との連通がインク分注栓1840により遮断される。
よって、第1実施例と同様に、ケース200をキャップ300に取り付ける際に、ケース突起部材260によりインク分注栓1840が押されるので、インクカートリッジ2の製作工程を簡略化することができる。また、ケース突起部材260によりインク分注栓1840を押圧することにより、フレーム1810のガタつきを低減することができる。また、第1実施例と同様に、ケース200に衝撃が加えられたとしても、フレーム1810には緩和されて伝わるため、フレーム1810を外部衝撃から保護することができる。さらに、ケース突起部材260がインク分注栓1840を押圧しているため、インク分注栓1840の抜け止めとしても作用している。
また、図31に示すように、インク分注栓1840は、ケース突起部材260と当接する部分が分注栓溝部1850となり、その分注栓溝部1850は凹状の溝であり、その溝の直径はケース突起部材260の直径と略同等に形成されている。ケース突起部材260により押圧される場合には、その分注栓溝部1850内にケース突起部材260の先端が嵌合するので、ケース突起部材260のインク分注栓1840との当接位置がずれて、フレーム1810が傾くことを低減することができる。フレーム1810が傾いた状態となると、ジョイント部材610にかかる荷重が変化してインク洩れを発生する場合があるが、分注栓溝部1850を備えることによりインク漏れの発生を防止することができる。
次に、図32を参照して、第3実施例のインクカートリッジ3について説明する。第1実施例は、第1スプリング部材630と第2スプリング部材650との弾性力によりバルブ部材620をジョイント部材610方向に付勢してインク流路を塞ぐよう構成した(図27(a)参照)。これに対して、第3実施例は、金属材料または樹脂材料からなるコイルスプリング部材1940の弾性力によりバルブ部材1930をジョイント部材610方向に付勢してインク流路を塞ぐよう構成している。なお、第1実施例のインクカートリッジ1と同一の部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。
図32は、第3実施例のインクカートリッジ3のインク供給部1910の一部分の断面を示した断面図であり、図32(a)は、インク抽出管1720(図26参照)の挿通前の状態を示しており、図32(b)は、インク抽出管1720の挿通後の状態を示している。
図32に示すように、第3実施例のバルブ機構1920は、嵌合部1450に嵌合された弁座部材660の弁座底部1110と、ジョイント部材610のジョイント当接部730と当接してインクの流路を塞ぐバルブ部材1930との間に、略円錐形状のコイルバネで構成されたコイルスプリング部材1940が配設されている。
バルブ部材1930は、略円形平板状に形成されており、その外周部近傍にインクの流路となるバルブ貫通孔1950が貫通形成されている。図示しないが、バルブ貫通孔1950は、バルブ部材1930の周方向に略均等に6個形成されている。また、バルブ部材1930の外径は、バルブ機構内挿部1960の内径と略同等に形成されているので、バルブ部材1930が上下方向に動作する場合に、バルブ部材1930が傾くことを低減することができる。特に、インクカートリッジ3をインクジェットプリンタ1710(図26参照)から脱着する場合にバルブ部材1930が傾くと、ジョイント部材610のジョイント当接部730との当接位置が変わってしまい、インク漏れが発生する場合がある。しかし、本第3実施例では、バルブ部材1930が傾いて動作することを低減できるので、インク洩れの発生を低減することができる。
コイルスプリング部材1940は、円錐状に巻回されたコイルバネであり、直径が大きい方(図32上側)が弁座部材660の弁座底部1110に当接し、直径が小さい方(図32下側)がバルブ部材1930に当接している。コイルスプリング部材1940は、伸縮方向(図32上下方向)において、ピッチ長gが略等間隔に形成されている。また、本第3実施例のコイルスプリング部材1940は、4巻きのコイルスプリングで構成されており、直径が大きい方から直径が小さい方へ1巻目〜4巻目として図示している。1巻目の内径は、2巻目の外径より大きく形成され、2巻目の内径は、3巻目の外径より大きく形成され、3巻目の内径は、4巻目の外径より大きく形成されている。即ち、n巻目の内径は、(n+1)巻目の外径より大きくなるコイルスプリングが用いられている。
なお、コイルスプリング部材1940は、バルブ部材1930をジョイント部材610方向(図32下方向)へ付勢すればよいので、直径が小さい方を弁座部材660の弁座底部1110に当接させ、直径が大きい方をバルブ部材1930に当接させるように配置しても良い。
図32(b)に示すように、インク抽出管1720がバルブ機構内挿部1960内に挿通されると、そのインク抽出管1720によりバルブ部材1930が弁座部材660方向(図32(b)上方向)に押され、コイルスプリング部材1940が圧縮される。図32(b)は、インクカートリッジ3がインクジェットプリンタ1710(図26参照)に装着された状態を示しており、n巻目の内径が(n+1)巻目の外径より大きく形成されていることから、1巻目の内側に2巻目〜4巻目が収納されている。すなわち、非圧縮時の円錐の傾斜角度は、圧縮時に1巻目〜4巻目の巻線が圧縮方向において干渉しないような傾斜角度に設定されている。これにより、バルブ機構内挿部1960内に挿通されたインク抽出管1720が、バルブ部材1930を弁座部材660方向に押し切ったとき、コイルスプリング部材1940はこの方向における厚みが、巻線の径とほぼ等しい程度となるようにコンパクトに圧縮される。よって、複数の部材からバルブ機構が形成される場合、若しくは、コイルスプリングが円柱状に形成される場合と比較して、インク供給部1910の長さを短くすることができ、インクカートリッジ1を小型化することができる。また、1つのコイルスプリング部材1940だけで、付勢部材として作用するので、バルブ機構1920の構造を簡略化することができる。
なお、インクカートリッジ3がインクジェットプリンタ1710に装着された状態のインク流路は、矢印Gで示されており、カバー部材680のカバー貫通孔1330、弁座部材660の第2弁座貫通孔1150、バルブ部材1930のバルブ貫通孔1950、インク抽出管1720の順番にインク流路が形成される。
次に、図33を参照して、第4実施例のインクカートリッジ4について説明する。第1実施例は、第1スプリング部材630と第2スプリング部材650との弾性力によりバルブ部材620をジョイント部材610方向に付勢してインク流路を塞ぐよう構成した。これに対して、第4実施例は、コイルスプリング部材2040の弾性力によりバルブ部材1930をジョイント部材610方向に付勢してインク流路を塞ぐよう構成している。なお、第1実施例のインクカートリッジ1と同一の部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。また、第4実施例のインクカートリッジ4に備えられるバルブ部材1930は、第3実施例のバルブ部材1930と同一であるので、その説明は省略する。
図33は、第4実施例のインクカートリッジ4のインク供給部2010の一部分の断面を示した断面図であり、図33(a)は、インク抽出管1720の挿通前の状態を示しており、図33(b)は、インク抽出管1720の挿通後の状態を示している。
図33に示すように、第4実施例のバルブ機構2020は、嵌合部1450に嵌合された弁座部材660の弁座底部1110と、ジョイント部材610のジョイント当接部730と当接してインクの流路を塞ぐバルブ部材1930との間に、略円柱形状の部分と略円錐形状の部分とからなるコイルスプリングバネで構成されたコイルスプリング部材2040が配設されている。
コイルスプリング部材2040は、巻線状のスプリングバネであり、コイルスプリング部材2040の伸縮方向(図33(a)上下方向)の両端部分がそれぞれ略円柱形状に形成され、中間部分が略円錐形状に形成されている。コイルスプリング部材2040は、直径が大きい方(図33(a)上側)が弁座部材660の弁座底部1110に当接し、直径が小さい方(図33(a)下側)がバルブ部材1930に当接している。コイルスプリング部材2040は、伸縮方向(図33上下方向)において、ピッチ長gが略等間隔に形成されている。また、本第4実施例のコイルスプリング部材2040は、5巻きのコイルスプリングで構成されており、直径が大きい方から直径が小さい方へ1巻目〜5巻目として図示している。1巻目と2巻目は、その直径が略同等の大きさに構成されており、1巻目と2巻目の内径は、3巻目の外径より大きく形成され、3巻目の内径は、4巻目の外径より大きく形成されている。また、4巻目と5巻目の直径は、略同等に構成されている。即ち、2巻目から4巻目までが略円錐形状に構成されており、その2巻目から4巻目までは、n巻目の内径が(n+1)巻目の外径より大きくなる。
なお、コイルスプリング部材2040は、バルブ部材1930をジョイント部材610方向(図33下方向)へ付勢すればよいので、直径が小さい方を弁座部材660の弁座底部1110に当接させ、直径が大きい方をバルブ部材1930に当接させるように配置しても良い。
図33(b)に示すように、インク抽出管1720がバルブ機構内挿部2060内に挿通されると、バルブ部材1930が弁座部材660方向(図33(b)上方向)に押される。図33(b)は、インクカートリッジ4がインクジェットプリンタ1710(図26参照)に装着された状態を示しており、2巻目から4巻目までは、n巻目の内径が(n+1)巻目の外径より大きくなるので、2巻目の内側に3巻目と4巻目が収納されている。これにより、バルブ機構内挿部2060内に挿通したインク抽出管1720が、バルブ部材1930を弁座部材660方向に押し切ったとき、コイルスプリング部材2040はこの方向における厚みが、巻線の径の3倍とほぼ等しくなるようにコンパクトに圧縮される。よって、複数の部材からバルブ機構が形成される場合、若しくは、コイルスプリング全体が円柱状に形成される場合と比較して、伸縮方向のインク供給部材2010の長さを短くすることができ、インクカートリッジ4を小型化することができる。また、1つのコイルスプリング部材2040だけで、付勢部材として作用するので、バルブ機構2020の構造を簡略化することができる。
なお、インクカートリッジ4がインクジェットプリンタ1710(図26参照)に装着された状態のインク流路は、矢印Hで示されており、カバー部材680のカバー貫通孔1330、弁座部材660の第2弁座貫通孔1150、バルブ部材1920のバルブ貫通孔1940、インク抽出管1720の順番にインク流路が形成される。
次に、図34を参照して、第5実施例のインクカートリッジ5について説明する。第3実施例は、弁座部材660とカバー部材680とが嵌合部1450内に嵌合される構成とした。これに対して、第5実施例は、コイルスプリング部材1940の一端がフィルタ1420の抜けを防止するフィルタストッパ部材2170に当接するよう構成している。なお、第3実施例のインクカートリッジ3と同一の部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。
図34は、第5実施例のインクカートリッジ5のインク供給部2110の一部分の断面を示した断面図である。
図34に示すように、第5実施例のバルブ機構2120は、バルブ部材1930と、コイルスプリング部材1940と、そのコイルスプリング部材1940の一端側と当接して、フィルタ1420方向(図34上方)に付勢されるフィルタストッパ部材2170とを備えている。
フィルタストッパ部材2170は、略円形平板状に形成されており、その外周部近傍にインクの流路となるストッパ貫通孔2180が形成されている。図示しないが、ストッパ貫通孔2180は、フィルタストッパ部材2170の周方向に略均等に6個形成されている。また、フィルタストッパ部材2170の外径は、バルブ機構内挿部2160の内径と略同等に形成されているので、フィルタストッパ部材2170の配設位置がずれることを防止している。なお、フィルタストッパ部材2170の外径をバルブ機構内挿部2160の内径より大きく形成して、フィルタストッパ部材2170が固着されるよう構成しても良い。
図34に示すように、フィルタストッパ部材2170は、コイルスプリング部材1940により常に付勢されているので、バルブ機構内挿部2160内にフィルタ1420が抜けてしまうことがない。よって、フィルタ1420により、埃や異物を正確に除去することができる。また、フィルタストッパ部材2170、コイルスプリング部材1940とバルブ部材1930とにより、バルブ機構2120が構成されるので、簡略化された構造のインクカートリッジ5を提供することができる。
次に、図35を参照して、第6実施例のインクカートリッジ6について説明する。第1実施例は、バルブ機構530を、ジョイント部材610、バルブ部材620、第1スプリング部材630、スライダ部材640、第2スプリング部材650、弁座部材660、逆止弁670とカバー部材680とで構成した。これに対して、第6実施例では、スライダ部材640を備えないと共に形状の異なるバルブ部材1930を備える構成としている。なお、第1実施例のインクカートリッジ1と同一の部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。また、第6実施例のインクカートリッジ6に備えられるバルブ部材1930は、第3実施例のバルブ部材1930と同一であるので、その説明は省略する。
図35は、第6実施例のインクカートリッジ6のインク供給部140の一部分の断面を示した断面図であり、図35(a)は、インク抽出管1720の挿通前の状態を示しており、図35(b)は、インク抽出管1720の挿通後の状態を示している。
図35(a)に示すように、第6実施例のバルブ機構2220は、嵌合部1450に嵌合された弁座部材660の弁座底部1110と、ジョイント部材610のジョイント当接部730と当接してインクの流路を塞ぐバルブ部材1930との間に、ゴム等の弾性を有する樹脂材料からなる第1スプリング部材2240と第2スプリング部材2250とが配設されている。
第1スプリング部材2240は、第1実施例の第1スプリング部材630と同材料で且つ同形状に形成されている。よって、第1スプリング部材2240の構成は、第1スプリング部材2240の底面(直径の大きい方の端部)を形成する輪状のスプリング底部910と、そのスプリング底部910の直径より小さな直径に形成されると共に、第1スプリング部材2240の上面(直径の小さい方の端部)を形成する輪状のスプリング上部920と、そのスプリング上部920とスプリング底部910との間に連接されるとと共に、荷重がかかった場合に撓み変形する中空円錐状のスプリング可撓部930とを主に備えている。また、スプリング上部920の内周面となる上部流路941と、スプリング可撓部930の内周面となる可撓部流路942と、スプリング底部910の内周面となる底部流路943とからなるインク流路940を備えている。
第2スプリング部材2250は、第1スプリング部材2240と同材料で且つ同形状(外形の大きさは異なる形状)に形成されており、スプリング底部910、スプリング上部920、スプリング可撓部930とスプリング流路940(上部流路941、可撓部流路942及び底部流路943)とで構成されている。第2スプリング部材2250は、第1スプリング部材2240を上下方向に反転して対称的に配置されている。
図35に示すように、第1スプリング部材2240と第2スプリング部材2250の各スプリング上部920同士が当接して配置されていると共に、各スプリング底部910が弁座部材660の弁座底部1110とバルブ部材1930とにそれぞれ当接するように配置されている。また、スプリング底部910の側面が、中空円筒状に形成されたインク供給部140の内壁に当接しており、直径方向の移動が規制されている。なお、各スプリング上部920同士の当接面を接着(溶着)するものとしても良い。また、スプリング底部910の外径は、バルブ機構内挿部1460の内径と略同等に形成されているので、各スプリング部材2240,2250の位置がずれることを低減している。
図35(b)に示すように、インク抽出管1720がバルブ機構内挿部1460内に挿通されると、バルブ部材1930が弁座部材660方向(図35(b)上方向)に押される。図35(b)は、インクカートリッジ6がインクジェットプリンタ1710(図26参照)に装着された状態を示しており、第1スプリング部材2240と第2スプリング部材2250のスプリング可撓部930がそれぞれ弾性変形した状態を示している。
このとき、弾性変形した第1スプリング部材2240と第2スプリング部材2250は、最も直径が大きいスプリング底部910の側面がインク供給部140の内壁に当接していることにより直径方向の移動が規制されている。これにより、弾性変形に伴って生じやすい軸ぶれが防止されている。
なお、インクカートリッジ6がインクジェットプリンタ1710に装着された状態のインク流路は、矢印Jで示されており、カバー部材680のカバー貫通孔1330、弁座部材660の第2弁座貫通孔1150、各スプリング部材2240,2250のインク流路940、バルブ部材1930のバルブ貫通孔1950、インク抽出管1720の順番にインク流路が形成される。
次に、図36を参照して、第7実施例のインクカートリッジ7について説明する。第1実施例は、第1スプリング部材630と第2スプリング部材650との弾性力によりバルブ部材620をジョイント部材610方向に付勢してインク流路を塞ぐよう構成した(図27(a)参照)。これに対して、第7実施例は、略円筒状に形成されたスプリング部材2340の弾性力によりバルブ部材1930をジョイント部材610方向に付勢してインク流路を塞ぐよう構成している。なお、第1実施例のインクカートリッジ1と同一の部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。また、第7実施例のインクカートリッジ7に備えられるバルブ部材1930は、第3実施例のバルブ部材1930と同一であるので、その説明は省略する。
図36は、第7実施例のインクカートリッジ7のインク供給部140の一部分の断面を示した断面図であり、図36(a)は、インク抽出管1720の挿通前の状態を示しており、図36(b)は、インク抽出管1720の挿通後の状態を示している。
図36に示すように、第7実施例のバルブ機構2320は、嵌合部1450に嵌合された弁座部材660の弁座底部1110と、ジョイント部材610のジョイント当接部730と当接してインクの流路を塞ぐバルブ部材1930との間に、ゴム等の弾性を有する樹脂材料からなり、略中空円筒状のスプリング部材2340が配設されている。
スプリング部材2340は、弁座部材660の弁座底部1110と当接するスプリング端部2350と、バルブ部材1930に当接するスプリング端部2350との2つのスプリング端部2350が両端(図36上側と下側)に形成されている。その2つのスプリング端部2350の間には、荷重がかかった場合に撓み変形するスプリング可撓部2360が形成されている。スプリング端部2350に対してスプリング可撓部2360が薄く形成されているので、スプリング可撓部2360の強度が弱くなり、スプリング部材2340が弾性変形する場合には、スプリング可撓部2360が撓み変形する。また、スプリング端部2350の外径がバルブ機構内挿部1460の内径と略同等に形成されているので、スプリング部材2340の位置がずれることを低減している。
図36(b)に示すように、インク抽出管1720がバルブ機構内挿部1460内に挿通すると、バルブ部材1930が弁座部材660方向(図36(b)上方向)に押される。図36(b)は、インクカートリッジ7がインクジェットプリンタ1710(図26参照)に装着された状態を示しており、スプリング可撓部2360が弾性変形した状態を示してある。スプリング可撓部2360は、伸縮方向(図36上下方向)と略直交する方向に交互に弾性変形している。
なお、インクカートリッジ7がインクジェットプリンタ1710に装着された状態のインク流路は、矢印Kで示されており、カバー部材680のカバー貫通孔1330、弁座部材660の第2弁座貫通孔1150、スプリング部材2340の中空状の内部、バルブ部材1930のバルブ貫通孔1950、インク抽出管1720の順番にインク流路が形成される。
次に、図37を参照して、第8実施例のインクカートリッジ8について説明する。第1実施例は、バルブ機構530を、ジョイント部材610、バルブ部材620、第1スプリング部材630、スライダ部材640、第2スプリング部材650、弁座部材660、逆止弁670とカバー部材680とで構成した。これに対して、第8実施例では、スライダ部材640を備えないと共に形状の異なるバルブ部材2430を備える構成としている。なお、第1実施例のインクカートリッジ1と同一の部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。
図37は、第8実施例のインクカートリッジ8のインク供給部140の一部分の断面を示した断面図であり、図37(a)は、インク抽出管1720の挿通前の状態を示しており、図37(b)は、インク抽出管1720の挿通後の状態を示している。
図37(a)に示すように、第8実施例のバルブ機構2320は、嵌合部1450に嵌合された弁座部材660の弁座底部1110と、ジョイント部材2470と当接してインクの流路を塞ぐバルブ部材2430との間に、ゴム等の弾性を有する樹脂材料からなる第1スプリング部材2440と第2スプリング部材2450とが配設されている。
ここで、図38を参照して、バルブ部材2430について説明する。図38は、バルブ部材2430を示した図であり、図38(a)は、バルブ部材2430の側面図であり、図38(b)は、バルブ部材2430の平面図であり、図38(c)は、バルブ部材2430の底面図であり、図38(d)は、図38(b)のXXXVIIId−XXXVIIId線における断面図である。
図38(a)に示すように、バルブ部材2430は、バルブ部材2430の底壁(図38(a)下側)を形成するバルブ底部2431と、バルブ部材2430の外周壁を形成するバルブ外周部2432と、そのバルブ外周部2432の上端面(図38(a)上側の端面)からバルブ底部2431に向かって形成され、インクの流路となるバルブ溝部2433と、バルブ底部2431からバルブ外周部2432と反対側(図38(a)下方向)に突起したバルブ突起部材2434とを備えて構成されている。
図38(b)に示すように、バルブ溝部2433は、バルブ外周部2432に4箇所形成されており、バルブ外周部2432の周方向に略等間隔を空けて形成されている。また、図38(c)に示すように、バルブ突起部2434は、バルブ底部2431の外縁部分に形成されており、このバルブ突起部2434とジョイント部材2470(図37参照)とが当接することで、インクの流路が塞がれる。
図38(b)に示すように、バルブ部材2430には、バルブ外周部2432からそのバルブ外周部2432の中心に向かって突出すると共に、バルブ部材2430の周方向において、バルブ溝部2433間の中間位置に形成され、第1スプリング部材2440を受けるバルブ受け部2435が形成されている。バルブ受け部2435は、第1スプリング部材2440のスプリング上部920と当接してこれを受けるものであり、スプリング上部920の側面と当接して第1スプリング部材2440のズレを抑制するバルブ抑制面2436と、スプリング上部920の上部流路941の開口面と当接してスプリング上部920を受けるバルブ受け面2437とで構成されている。
図38(d)に示すように、バルブ受け部2435は、バルブ抑制面2436がバルブ受け部2435の高さ方向(図38(d)上下方向)の略中間位置に形成されており、バルブ受け面2437がバルブ底部2431と略平行に形成されている。よって、第1スプリング部材2440をガタつくことなく受けることができる。
図37(a)に戻って説明する。ジョイント部材2470は、ジョイント部材2470の外周壁を形成すると共にインク供給部140の外部に露出するジョイント外周部2471と、インク供給部140の内部に収納されるジョイント内周部2472と、そのジョイント内周部2472とジョイント外周部2471との間に形成され、インク供給部140の外周壁が嵌合されるジョイント嵌合部2473と、ジョイント内周部2472に形成され、インク抽出管1720が挿通されるジョイント挿通部2474とで構成されている。ジョイント部材2470は、ゴム等の弾性材料で構成されており、ジョイント内周部2472とバルブ部材2430のバルブ突起部2434とが当接することでインクの流路が塞がれる。
なお、ジョイント内周部2472のバルブ突起部2434と当接する上面は平面となっている。
図37(a)に示すように、第8実施例のバルブ機構2420は、嵌合部1450に嵌合された弁座部材660の弁座底部1110と、ジョイント部材2470と当接してインクの流路を塞ぐバルブ部材2430との間に、第1スプリング部材2440と第2スプリング部材2450とが配設されている。
第1スプリング部材2440は、第1実施例の第1スプリング部材630と同形状(外形の大きさは異なる形状)に形成されている。よって、第1スプリング部材2440の構成は、第1スプリング部材2440の底面(直径の大きい方の端部)を形成する輪状のスプリング底部910と、そのスプリング底部910の直径より小さな直径に形成されると共に、第1スプリング部材2440の上面(直径の小さい方の端部)を形成する輪状のスプリング上部920と、そのスプリング上部920とスプリング底部910との間に連接されるとと共に、荷重がかかった場合に撓み変形する中空円錐状のスプリング可撓部930とを主に備えている。また、スプリング上部920の内周面となる上部流路941と、スプリング可撓部930の内周面となる可撓部流路942と、スプリング底部910の内周面となる底部流路943とからなるインク流路940を備えている。
第2スプリング部材2450は、第1スプリング部材2440と同形状に形成されており、スプリング底部910、スプリング上部920、スプリング可撓部930とスプリング流路940(上部流路941、可撓部流路942及び底部流路943)とで構成されている。第2スプリング部材2450は、第1スプリング部材2430を上下方向に反転して配置されている。図37(a)に示すように、第1スプリング部材2440と第2スプリング部材2450の各スプリング底部910同士が当接して配置されていると共に、各スプリング上部920が弁座部材660の弁座底部1110とバルブ部材2430のバルブ受け部2435とにそれぞれ当接するように配置されている。なお、各スプリング底部910同士の当接面を接着(溶着)するものとしても良い。また、各スプリング部材2440,2450のスプリング底部910の外径は、バルブ機構内挿部1460の内径と略同等に形成されているので、各スプリング部材2440,2450が変形したとしても、伸縮方向に直交する方向の位置がずれることを低減することができる。
図37(b)に示すように、インク抽出管1720がバルブ機構内挿部1460内に挿通されると、バルブ部材2430が弁座部材660方向(図37(b)上方向)に押される。図37(b)は、インクカートリッジ8がインクジェットプリンタ1710(図26参照)に装着された状態を示しており、第1スプリング部材2440と第2スプリング部材2450のスプリング可撓部930がそれぞれ弾性変形した状態が示してある。
なお、インクカートリッジ8がインクジェットプリンタ1710に装着された状態のインク流路は、矢印Lで示されており、カバー部材680のカバー貫通孔1330、弁座部材660の第2弁座貫通孔1150、スプリング部材2440,2450のインク流路940、バルブ部材2430のバルブ溝部2433、インク抽出管1720の順番にインク流路が形成される。
次に、図39を参照して、第9実施例のインクカートリッジ9について説明する。第8実施例は、逆止弁670を受ける弁座部材660とジョイント部材2470と当接してインクの流路を塞ぐバルブ部材2430との間に、第1スプリング部材2440と第2スプリング部材2450とを備える構成とした。これに対して、第9実施例では、弁座部材660とバルブ部材2430との間にスプリング部材2540を備えるよう構成している。なお、第8実施例のインクカートリッジ8と同一の部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。
図39は、第9実施例のインクカートリッジ9のインク供給部140の一部分の断面を示した断面図であり、図39(a)は、インク抽出管1720の挿通前の状態を示しており、図39(b)は、インク抽出管1720の挿通後の状態を示している。
図39(a)に示すように、第9実施例のバルブ機構2520は、嵌合部1450に嵌合された弁座部材660の弁座底部1110と、ジョイント部材2470と当接してインクの流路を塞ぐバルブ部材2430との間に、ゴム等の弾性を有する樹脂材料からなるスプリング部材2540が配設されている。
スプリング部材2540は、略円筒状に形成されたスプリング円筒部2550と、バルブ部材2430のバルブ支持部2435と当接するスプリング円筒部2550より小径のスプリング端部2560と、そのスプリング端部2560とスプリング円筒部2550との間を連結し、荷重がかかった場合に撓み変形する中空円錐状のスプリング可撓部2570とを備えて構成されている。スプリング円筒部2550は、バルブ機構内挿部1460の内周面と当接しているので、径方向外方への弾性変形が規制される。その結果、スプリング可撓部2570が弾性変形する。
図39(b)に示すように、インク抽出管1720がバルブ機構内挿部1460内に挿通されると、バルブ部材2430が弁座部材660方向(図36(b)上方向)に押される。図39(b)は、インクカートリッジ9がインクジェットプリンタ1710(図26参照)に装着された状態を示しており、スプリング可撓部2570が弾性変形した状態を示してある。
なお、インクカートリッジ9がインクジェットプリンタ1710に装着された状態のインク流路は、矢印Mで示されており、カバー部材680のカバー貫通孔1330、弁座部材660の第2弁座貫通孔1150、スプリング部材2540の中空状の内部、バルブ部材2430のバルブ溝部2433、インク抽出管1720の順番にインク流路が形成される。
次に、図40を参照して、第10実施例のインクカートリッジ10について説明する。第8実施例は、逆止弁670を支持する弁座部材660とジョイント部材2470と当接してインクの流路を塞ぐバルブ部材2430との間に、第1スプリング部材2440と第2スプリング部材2450とを備える構成とした。これに対して、第10実施例は、弁座部材660とバルブ部材2430との間に略中空半球状に形成されたゴム等の弾性を有する樹脂材料からなる第1スプリング部材2640及び第2スプリング部材2650を備えるよう構成している。なお、第8実施例のインクカートリッジ8と同一の部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。
図40は、第10実施例のインクカートリッジ10のインク供給部140の一部分の断面を示した断面図であり、図40(a)は、インク抽出管1720の挿通前の状態を示しており、図40(b)は、インク抽出管1720の挿通後の状態を示している。
図40(a)に示すように、第10実施例のバルブ機構2620は、嵌合部1450に嵌合された弁座部材660の弁座底部1110と、ジョイント部材2470と当接してインクの流路を塞ぐバルブ部材2430との間に、略中空半球状に形成された第1スプリング部材2640と第2スプリング部材2650とが配設されている。
第1スプリング部材2640は、バルブ部材2430のバルブ受け部2435に当接するスプリング端部2660と、そのスプリング端部2660から径方向に広がり略中空半球状に形成されたスプリング可撓部2670とを備えて構成されている。また、第2スプリング部材2650は、第1スプリング部材2640と同一形状に形成されており、スプリング端部2660とスプリング可撓部2670とを備えて構成されている。第1スプリング部材2640と第2スプリング部材2650とのスプリング可撓部2670の開口部は、それぞれ隙間無く当接している。なお、第1スプリング部材2640と第2スプリング部材2650とのスプリング可撓部2670の開口部同士を接着(溶着)して連結するものとしても良い。
図40(b)に示すように、インク抽出管1720がバルブ機構内挿部1460内に挿通されると、バルブ部材2430が弁座部材660方向(図36(b)上方向)に押される。図40(b)は、インクカートリッジ10がインクジェットプリンタ1710(図26参照)に装着された状態を示しており、各スプリング部材2640,2650のスプリング可撓部2670が弾性変形した状態を示してある。
なお、インクカートリッジ10がインクジェットプリンタ1710に装着された状態のインク流路は、矢印Nで示されており、カバー部材680のカバー貫通孔1330、弁座部材660の第2弁座貫通孔1150、各スプリング部材2640,2650の内部、バルブ部材2430のバルブ溝部2433、インク抽出管1720の順番にインク流路が形成される。
次に、図41を参照して、第11実施例のインクカートリッジ11について説明する。第8実施例は、逆止弁670を受ける弁座部材660とジョイント部材2470と当接してインクの流路を塞ぐバルブ部材2430との間に、第1スプリング部材2440と第2スプリング部材2450とを備える構成とした。これに対して、第11実施例では、弁座部材660とバルブ部材2430との間にスプリング部材2740とそのスプリング部材2740と連動して動作するスライダ部材2780とを備えるよう構成している。なお、第8実施例のインクカートリッジ8と同一の部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。
図41は、第11実施例のインクカートリッジ11のインク供給部140の一部分の断面を示した断面図であり、図41(a)は、インク抽出管1720の挿通前の状態を示しており、図41(b)は、インク抽出管1720の挿通後の状態を示している。
図41(a)に示すように、第11実施例のバルブ機構2720は、嵌合部1450に嵌合された弁座部材660の弁座底部1110と、ジョイント部材2470と当接してインクの流路を塞ぐバルブ部材2430との間に、ゴム等の弾性を有する樹脂材料からなるスプリング部材2740とそのスプリング部材2740に連結され、スプリング部材2740の伸縮方向(図41(a)上下方向)の移動を規制するスライダ部材2780とが配設されている。
スプリング部材2740は、略円筒状に形成されたスプリング円筒部2750と、バルブ部材2430のバルブ受け部2435と当接するスプリング端部2751と、そのスプリング端部2751とスプリング円筒部2750との間を連結し、荷重がかかった場合に撓み変形するスプリング可撓部2752と、スライダ部材2780と嵌合して固着するために凹状に形成されたスプリング溝部2753とを備えて構成されている。なお、図示しないが、スプリング溝部2753は、スプリング円筒部2750の外周面に亘って形成されている。また、スプリング円筒部2750は、スプリング可撓部2752より厚く形成されており、強度が強くなるので、スプリング可撓部2752が撓み変形する。
スライダ部材2780は、略円柱状に形成されており、その内周面に形成されスプリング部材2740が装着されるスライダ装着部2781と、そのスライダ装着部2781に凸状に形成され、スプリング溝部2753と嵌合するスライダ凸部2782とを備えている。なお、図示しないが、スライダ装着部2781及びスライダ凸部2782は、スプリング部材2740の内周面に亘って形成されている。よって、スライダ凸部2782とスプリング溝部2753とが互いに嵌合してスライダ部材2780とスプリング部材2740とがそれぞれ固着される。また、スライダ部材2780は、スプリング部材2740より高硬度の樹脂材料で構成されている。よって、インク抽出管1720が挿通された場合には、スライダ部材2780が変形することがなく、スプリング部材2740が撓み変形する。また、スライダ部材2780の外径は、バルブ機構内挿部1460の内径と略同等に形成されており、スライダ部材2780が移動方向からずれて移動することを防止している。
図41(b)に示すように、インク抽出管1720がバルブ機構内挿部1460内に挿通されると、バルブ部材2430が弁座部材660方向(図36(b)上方向)に押される。図41(b)は、インクカートリッジ11がインクジェットプリンタ1710(図26参照)に装着された状態を示しており、スプリング可撓部2752が弾性変形した状態を示してある。バルブ機構2720の動作は、まず、インク抽出管1720が挿通されると、スライダ部材2780が弁座部材660方向(図41(b)上方)に動作してスライダ部材2780と弁座部材660とが当接して、スライダ部材2780(スプリング部材2740)の移動が規制される。その後、さらに、インク抽出管1720が挿通されると、スプリング可撓部2752が弾性変形する。よって、スライダ部材2780を備えることにより、インク抽出管1720の挿通をスムーズに行うことができる。
なお、インクカートリッジ11がインクジェットプリンタ1710に装着された状態のインク流路は、矢印Oで示されており、カバー部材680のカバー貫通孔1330、弁座部材660の第2弁座貫通孔1150、スプリング部材2740の内部、バルブ部材2430のバルブ溝部2433、インク抽出管1720の順番にインク流路が形成される。
次に、図42を参照して、第12実施例のインクカートリッジ12について説明する。第8実施例は、逆止弁670を受ける弁座部材660とジョイント部材2470と当接してインクの流路を塞ぐバルブ部材2430との間に、ゴム等の弾性を有する樹脂材料からなる第1スプリング部材2440と第2スプリング部材2450とを備える構成とした。これに対して、第12実施例は、弁座部材660とバルブ部材2430との間に、第1スプリング部材2840及び第2スプリング部材2850とスプリング部材2840,2850に挟持され、これらと連動して動作するスライダ部材2880とを備えるよう構成している。なお、第8実施例のインクカートリッジ8と同一の部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。
図42は、第12実施例のインクカートリッジ12のインク供給部140の一部分の断面を示した断面図であり、図42(a)は、インク抽出管1720の挿通前の状態を示しており、図42(b)は、インク抽出管1720の挿通後の状態を示している。
図42(a)に示すように、第12実施例のバルブ機構2820は、嵌合部1450に嵌合された弁座部材660の弁座底部1110と、ジョイント部材2470と当接してインクの流路を塞ぐバルブ部材2430との間に、第1スプリング部材2840と、第2スプリング部材2850と、その第2スプリング部材2850と第1スプリング部材2840との間に配設され、各スプリング部材2840,2850の一部を収納すると共に、各スプリング部材2840,2850と連動して移動するスライダ部材2880とが配設されている。
第1スプリング部材2840は、第1実施例の第1スプリング部材630と同形状(外形の大きさが異なる形状)に形成されている。よって、第1スプリング部材2840の構成は、第1スプリング部材2840の底面(直径の大きい方の端部)を形成する輪状のスプリング底部910と、そのスプリング底部910の直径より小さな直径に形成されると共に、第1スプリング部材2840の上面(直径の小さい方の端部)を形成する輪状のスプリング上部920と、そのスプリング上部920とスプリング底部910との間に連接されるとと共に、荷重がかかった場合に撓み変形する中空円錐状のスプリング可撓部930とを主に備えている。また、スプリング上部920の内周面となる上部流路941と、スプリング可撓部930の内周面となる可撓部流路942と、スプリング底部910の内周面となる底部流路943とからなるインク流路940を備えている。
第2スプリング部材2850は、第1スプリング部材2840と同形状に形成されており、スプリング底部910、スプリング上部920、スプリング可撓部930とスプリング流路940(上部流路941、可撓部流路942及び底部流路943)とで構成されている。第2スプリング部材2850は、第1スプリング部材2840を上下方向に反転して配置されている。
スライダ部材2880は、スライダ部材2880の外壁を形成する円筒状のスライダ外周部2890と、そのスライダ外周部2890の移動方向(図42(a)上下方向)の中間位置に形成され、第1スプリング部材2840及び第2スプリング部材2850のスプリング底部910とそれぞれ当接するスライダ中間壁2891と、そのスライダ中間壁2891に貫通形成され、インクの流路となるスライダ貫通孔2892とを備えて構成されている。なお、スライダ外周部2890の内径と、各スプリング部材2840,2850のスプリング底部910の外径とが略同等になるので、各スプリング部材2840,2850の配設位置がずれることを防止できる。さらに、スライダ部材2880の外径は、バルブ機構内挿部1460の内径と略同等に形成されているので、スライダ部材2880が移動方向からずれて移動することを防止している。また、スライダ部材2880は、各スプリング部材2840,2850に比べて高硬度の樹脂材料で構成されているので、インク抽出管1720が挿通された場合には、スライダ部材2880が変形することなく、各スプリング部材2840,2850が撓み変形する。
図42(a)に示すように、第1スプリング部材2840と第2スプリング部材2850の各スプリング底部910は、スライダ中間壁2891にそれぞれ当接すると共に、各スプリング上部920が弁座部材660の弁座底部1110とバルブ部材2430のバルブ受け部2435とにそれぞれ当接するように配置されている。
図42(b)に示すように、インク抽出管1720がバルブ機構内挿部1460内に挿通されると、バルブ部材2430が弁座部材660方向(図36(b)上方向)に押される。図42(b)は、インクカートリッジ12がインクジェットプリンタ1710(図26参照)に装着された状態を示しており、スプリング可撓部930が弾性変形した状態を示してある。
バルブ機構2820の動作は、まず、インク抽出管1720が挿通されると、スライダ部材2880が弁座部材660方向(図42(b)上方)に動作してスライダ部材2880と弁座部材660とが当接して、スライダ部材2880の移動が規制される。なお、弁座部材660の替わりにインク供給部140の内壁の端面に当接させて、スライダ部材2880の移動を規制しても良い。その後、さらに、インク抽出管1720が挿通されると、スプリング部材2840,2850のスプリング可撓部930が弾性変形する。よって、スライダ部材2880を備えることにより、インク抽出管1720の挿通をスムーズに行うことができる。さらに、スライダ部材2880により移動が規制されるので、第2スプリング部材2850が極端に変形することを防止できる。従って、第2スプリング部材2850が極端に変形して、元の状態に戻らなくなることを防止でき、インク漏れの発生を防止することができる。
なお、インクカートリッジ12がインクジェットプリンタ1710に装着された状態のインク流路は、矢印Pで示されており、カバー部材680のカバー貫通孔1330、弁座部材660の第2弁座貫通孔1150、第2スプリング部材2850のインク流路940、スライダ部材2880のスライダ貫通孔2892、第1スプリング部材2840のインク流路940、バルブ部材2430のバルブ溝部2433、インク抽出管1720の順番にインク流路が形成される。
次に、図43を参照して、第13実施例のインクカートリッジ13について説明する。第1実施例は、ケース突起部材260によりインク分注栓520を押圧して、フレーム100をケース200に対してインク供給部140とインク分注部130の2点において支持し、フレーム100に伝わる外部振動が低減するよう構成した。これに対して、第13実施例は、ケース突起部材3220によりフレーム100のインク分注部130とは異なる部分を押圧して外部振動を抑制するよう構成している。なお、第1実施例のインクカートリッジ1と同一の部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。
図43は、第13実施例のインクカートリッジ13の断面を概略的に示した断面図である。なお、図43は、フレーム100が仮想線により示されており、ケース3210とキャップ300とが実線により示されている。
図43に示すように、第13実施例のケース3210は、ケース3210の天井壁よりキャップ300側(図43下側)に突起したケース突起部材3220を備えている。また、ケース突起部材3220は、ケース3210の天井壁の略中心部に形成されている。
ケース突起部材3220は、ケース3210とキャップ300とが溶着された状態で、フレーム100のインク分注部130とは異なる箇所と当接して、フレーム100をキャップ300側に押圧している。よって、フレーム100が振動などにより揺動してしまうことを低減することができる。
また、ケース突起部材3220がケース3210の天井壁の略中心部に形成されているので、フレーム100の横方向(図43左右方向)の中心位置を押圧している。よって、押圧された状態でフレーム100が安定し、フレーム100の揺動をさらに低減することができる。
なお、第13実施例のインクカートリッジ13は、フレーム100の製作時(図22(c)参照)に、インク分注部130に圧入されるインク分注栓520を、インクを分注した後に、インク分注部130の開口と対向する分注内周部131の奧側の端面に当接するまで押圧する。
次に、図44を参照して、第14実施例のインクカートリッジ14について説明する。第1実施例は、ケース突起部材260によりインク分注栓520を押圧して、フレーム100をケース200に対してインク供給部140とインク分注部130の2点において支持し、フレーム100に伝わる外部振動が低減するよう構成した。これに対して、第14実施例は、ケース3310に形成されたケース突起部材3320とが、インク分注部130の代りにフレーム3330に形成されたフレーム受部3340を押圧するようにフレーム3330に伝わる外部振動を低減するよう構成している。なお、第1実施例のインクカートリッジ1と同一の部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。
図44は、第14実施例のインクカートリッジ14の断面を概略的に示した断面図である。なお、図44は、フレーム100が仮想線により示されており、ケース3310とキャップ300とが実線により示されている。
図44に示すように、第14実施例のケース3310は、ケース3310の天井壁よりキャップ300側(図44下側)に突起すると共に、ケース3310の天井壁の略中心部に形成されたケース突起部材3320を備えている。ケース突起部材3320は、先端が尖形に形成されている。フレーム3330は、インク分注部130が形成される位置とは異なるケース突起部材3320に対応する位置に、弾性材から構成されるフレーム受部3340を備えている。ケース3310とキャップ300とが溶着されると、ケース突起部材3320は、フレーム受部3340に突き刺さった状態となり、フレーム3330をキャップ300側に押圧している。
よって、第1実施例と同様に、ケース3310に衝撃が加えられたとしても、フレーム3330には緩和されて伝わるため、フレーム3330を外部衝撃から保護することができる。また、ケース突起部材3320は、ケース3310の天井壁の略中心部に形成されている。従って、フレーム3330の横方向(図44左右方向)の中心位置に突き刺さり押圧しているので、押圧された状態でフレーム3330が安定する。
なお、第14実施例のインクカートリッジ13は、フレーム3330の製作時(図22(c)参照)に、インク分注部130に圧入されるインク分注栓520を、インクを分注した後に、インク分注部130の開口と対向する分注内周部131の奧側の端面に当接するまで押圧する。
次に、図45を参照して、第15実施例のインクカートリッジ15について説明する。第1実施例は、逆止弁670を略皿形状に構成するものとした。これに対して、第15実施例は、逆止弁3430が皿形状部と軸部とを備えて構成されている。なお、第1実施例のインクカートリッジ1と同一の部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。
図45は、第15実施例のインクカートリッジ15の断面を示した図である。
第15実施例のバルブ機構3420は、第1実施例と同一形状のジョイント部材610、バルブ部材620、第1スプリング部材640、スライダ部材650、第2スプリング部材650と弁座部材660とを備えている。さらに、バルブ機構3420は、逆止弁3430とカバー部材3450とを備えている。
逆止弁3430は、略皿形状に形成された逆止弁皿部3431と、略棒状に形成された逆止弁軸部3432と、その逆止弁軸部3432のカバー部材3450近傍に位置し、略球状に形成された逆止弁球部3433とを有している。
カバー部材3450は、カバー部材3450の外周壁を形成するカバー外周壁3451と、カバー部材3450の上部を形成するカバー上部3452と、そのカバー上部3452の外縁近傍に貫通形成され、インクの流路となる第1カバー貫通孔3453と、カバー上部3452の軸心位置に形成され、逆止弁軸部3432が挿通される第2カバー貫通孔3454とを有している。なお、第2カバー貫通孔3454の直径は、逆止弁軸部3432の直径より大きく、且つ逆止弁球部3433の直径より小さく形成されている。よって、逆止弁軸部3432が第2カバー貫通孔3454に通された後は、逆止弁3430がカバー部材3450から抜け落ちることがないので、バルブ機構3420の製作時に逆止弁3430を紛失してしまうことを低減することができる。
また、第15実施例のインクカートリッジ15は、逆止弁3430の逆止弁軸部3432がインク流路1410内に配設されているために、インク流路1410内にフィルタ1420が配設されていないが、フィルタ1420を配設するよう構成しても良い。
次に、図46を参照して、第16実施例のインクカートリッジ16について説明する。第1実施例のインクカートリッジ1は、インクジェットプリンタ1710(図26参照)との装着を一対のクランプ部材1740により行うものとした。これに対して、第16実施例のインクカートリッジ16は、1のクランプ部材3543により装着が行われると共に、クランプ解除部材3544によりインクカートリッジ16が脱着されるよう構成している。
図46は、第16実施例のインクカートリッジ16の装着部3530への装着工程を示した図である。
図46(a)に示すように、第16実施例のインクカートリッジ16は、ケース3510の対向する一対の側面に、インクカートリッジ16の装着方向(図46矢印R)における長さが異なると共に、その装着方向と略直交する方向において、キャップ300のキャップ側壁320と同位置まで突出したケース突起部3520,3521がそれぞれ形成されている。ケース突起部3520は、インクカートリッジ16の装着方向の長さが短い方であり(図46(a)上側)、ケース突起部3521は、インクカートリッジ16の装着方向の長さが長い方である(図46(a)下側)。なお、キャップ300は、第1実施例と同形状に形成されており、キャップ側壁320によりケース3510の一部が囲まれている。
ここで、インクカートリッジ16が装着される装着部3530について説明する。装着部3530は、インクカートリッジ16の側面(ケース3510の側面の一部とキャップ300のキャップ側壁320の一部)を下方から支持する側壁支持板3540と、キャップ300のキャップ底壁310を受ける底壁受け板3541と、その底壁支持板3541を装着方向の反対側(反矢印R方向)に付勢する付勢部材3542と、キャップ300のキャップ側壁320と係合してインクカートリッジ16を装着部3530にロックするクランプ部材3543と、そのクランプ部材3543の係合状態を解除するクランプ解除部材3544とを備えている。
なお、側壁支持板3540の内側(インクカートリッジ16の側面と当接する面側)は、キャップ側壁320の形状(湾曲)に対応して形成されており、インクカートリッジ16が装着される場合に、そのインクカートリッジ16を底壁支持板3541方向(図46(a)右方向)に誘導可能に構成されている。また、クランプ解除部材3544には、ケース突起部3520の形状に対応したスライド溝(図示せず)が形成されており、側壁支持板3540と同様に、インクカートリッジ16を底壁支持板3541方向(図46(a)右方向)に誘導可能に構成されている。よって、インクカートリッジ16の装着をスムーズに行うことができると共に、底壁支持板3541に対して傾いた状態で装着されることを防止できる。
底壁支持板3541には、インク抽出管3550を挿通可能な挿通孔3545が形成されており、底壁支持板3541が装着方向(矢印R方向)に動作した場合に、インク抽出管3550が挿通孔3545内に挿通され、インクカートリッジ16側に突起する。
クランプ部材3543には、装着方向(矢印R方向)に対して傾斜する傾斜面3546が形成されており、クランプ解除部材3544には、クランプ部材3543の傾斜面3546に対応した傾斜面3547が形成されており、互いの傾斜面(傾斜面3546と傾斜面3547)が略平行となるように、クランプ部材3543とクランプ解除部材3544とが配置されている。
図46(b)は、インクカートリッジ16が装着部3530に装着された状態を示している。インクカートリッジ16が装着部3530に装着される場合には、まず、ケース3510とキャップ側壁320とが側壁支持板3540に当接すると共に、ケース突起部3520がクランプ解除部材3543の図示しないスライド溝に当接し、インクカートリッジ16が側壁支持板3540に誘導される。インクカートリッジ16の装着動作が継続されると、キャップ300のキャップ底壁310が底壁受け板3545と当接して、底壁受け板3545が付勢部材3542の付勢力に反する方向(装着方向R)に押される。この際、キャップ底壁310が、クランプ部材3543の傾斜面3546に当接して、クランプ部材3543がキャップ側壁320から離れる方向(図46(b)上方)へ可撓する。さらに、インクカートリッジ16が押し込まれると、キャップ側壁320とクランプ部材3543の傾斜面3546との当接が解除され、クランプ部材3543が元の状態に戻りキャップ側壁320と係合して、インクカートリッジ16がロックされる。
図46(c)に示すように、インクカートリッジ16の脱着は、クランプ解除部材3544を装着方向(矢印R方向)に押すことで行われる。すると、クランプ解除部材3544の傾斜面3547により、クランプ部材3543の傾斜面3546がキャップ側壁320から離れる方向に可撓させられて、クランプ部材3543とキャップ側壁320との係合が解除される。この際、付勢部材3542の付勢力により、底壁受け板3545が反装着方向へ押され、キャップ底壁310がクランプ部材3543の傾斜面3546と当接しない位置まで移動される。
よって、インクカートリッジ16を装着する場合には、インクカートリッジ16を装着部3530に押し込む操作で行え、インクカートリッジ16を装着部3530から脱着する場合には、クランプ解除部材3544を押す操作で行える。従って、インクカートリッジ16の脱着を簡単な操作により行うことができる。
次に、図47を参照して、第17実施例のインクカートリッジ17について説明する。図47は、第17実施例のインクカートリッジ17のインクエンプティを検出するための構成を概略的に示した図である。
図47(a)に示すように、第17実施例のフレーム3610は、フレーム傾斜面3620,3621の傾斜角度が異なるよう構成されている。また、フレーム傾斜面3620側とフレーム傾斜面3621側とは、フレーム連通孔3624により連通されている。フレーム傾斜面3620,3621の傾斜角度が異なると、フレーム傾斜面3620側のフレーム開口部3622からフレーム連通孔3624までの距離と、フレーム傾斜面3621側のフレーム開口部3623からフレーム連通孔3624までの距離が異なる。よって、フレーム傾斜面3620側のフィルム3630とフレーム傾斜面3621側のフィルム3631の大きさが異なるので、フレーム傾斜面3620側に貯留されるインク容量と、フレーム傾斜面3621側に貯留されるインク容量とが異なる。
図47(a)に示すように、フィルム3630には、遮断板3640が取り付けられている。また、ケース200の一部には、インクカートリッジ17がインクジェットプリンタ(図示せず)に装着された場合に、外部と電気的に導通可能なコネクタ3650が設けられている。そのコネクタ3650には、信号線を解して検出センサ3660が接続されている。検出センサ3660は、インクカートリッジ17のインクエンプティを検出するためのセンサであり、発光部と受光部を有する透過型のフォトセンサである。よって、遮断板3640が検出センサ3660の発光部と受光部との間の光路を遮ると、検出センサ3660がオンとなり、インクエンプティが検出される。
図47(a)は、フレーム3610内にインクIが充分貯留された状態を示している。図47(a)に示すように、遮断板3640は、フレーム3610に対して略平行となっており、検出センサ3660の光路を遮っていない。
インクジェットプリンタにおいて、印刷が繰り返し行われると、インクIが減っていき、フィルム3630,3631がそれぞれのフレーム傾斜面3620,3621方向に撓んでいく。この際、フレーム傾斜面3621側に貯留されるインク容量が少ないので、フレーム傾斜面3621側のインクIが先に使い切られて、フィルム3631がフレーム傾斜面3621に当接する。
さらに、インクジェットプリンタにおいて、印刷が繰り返し行われると、フレーム傾斜面3620側のインクも使い切られて、フィルム3630がフレーム傾斜面3620に当接する。この際、遮断板3640もフレーム傾斜面3620にフィルム3630を介して当接する。この状態が図47(b)の状態であり、遮断板3640が検出センサ3660の光路を遮っているので、検出センサ3660によりインクエンプティが検出される。
以上、説明したように、フレーム傾斜面3620,3621の傾斜角度に差を設けることで、インクIが使用された場合のフィルム3630,3631の撓む順番が決められる。よって、インクIが貯留される容量の多い方のフィルム3630に遮断板3640を取り付けることで、インクエンプティを正確に検出することができる。
次に、図48を参照して、第18実施例のインクカートリッジ18について説明する。第17実施例は、フレーム傾斜面3620,3621の傾斜角度を異ならせることで、インクエンプティを正確に検出するよう構成した。これに対して、第18実施例では、フレーム開口部3770,3771の開口の大きさを異ならせることで、インクエンプティを正確に検出するよう構成している。なお、第17実施例のインクカートリッジ17と同一の部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。
図48は、第18実施例のインクカートリッジ18のインクエンプティを検出するための構成を概略的に示した図である。
図48(a)に示すように、第18実施例のフレーム3710は、フレーム傾斜面3720,3721の水平面(フレーム開口部3770の開口面)に対する傾斜角度が同一に形成されているが、各フレーム傾斜面3720,2721で構成されるフレーム開口部3770,3771の大きさが異なっている。即ち、フレーム開口部3770の開口の直径と、フレーム開口部3771の開口の直径とが異なっている。よって、フレーム傾斜面3720(フレーム開口部3770)側のフィルム3730と、フレーム傾斜面3721(フレーム開口部3771)側のフィルム3731との大きさが異なる。従って、フレーム傾斜面3720(フレーム開口部3770)側に貯留されるインク容量と、フレーム傾斜面3721(フレーム開口部3771)側に貯留されるインク容量とが異なる。
そのため、インクジェットプリンタにおいて、印刷が繰り返されフレーム3710内のインクIが減ると、フレーム傾斜面3721側に貯留されるインクIが先に無くなり、その後、フレーム傾斜面3720側のインクIがなくなる(図48(b)の状態)。遮断板3640は、インク容量が多いフレーム傾斜面3720側のフィルム3730に取り付けられているので、インクIが使い切られた状態で、検出センサ3660の光路を遮りインクエンプティが検出される。
以上、説明したように、フレーム開口部3770,3771の開口の大きさに差を設けることにより、フィルム3730,3731が撓む順番が決められるので、インクエンプティを正確に検出することができる。
次に、図49を参照して、第19実施例のインクカートリッジ19について説明する。第17実施例は、フレーム傾斜面3620,3621の傾斜角度を異ならせることで、インクエンプティを正確に検出するよう構成した。これに対して、第19実施例では、フィルム3830,3831の厚みを異ならせることで、インクエンプティを正確に検出するよう構成している。なお、第17実施例のインクカートリッジ17と同一の部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。
図49は、第19実施例のインクカートリッジ19のインクエンプティを検出するための構成を概略的に示した図である。
第19実施例のフレーム3810は、フレーム傾斜面3820,3821の傾斜角度が同一に形成され、フレーム開口部3870,3871の開口の直径の大きさも同一に形成されている。よって、フレーム傾斜面3820(フレーム開口部3870)側に貯留されるインク容量と、フレーム傾斜面3821(フレーム開口部3871)側に貯留されるインク容量とが略同一となる。しかし、第19実施例のフィルム3830,3831は、厚みが異なり、フィルム3830の方がフィルム3831より厚く形成されている。よって、フィルム3830は、フィルム3831より強度が強くなるので、インクIが減る場合には、フィルム3831が先にフレーム傾斜面3821と当接し、その後、フィルム3830がフレーム傾斜面3820に当接する。遮断板3640は、厚みのあるフィルム3830に取り付けられているので、インクIが使い切られた状態で、検出センサ3660の光路を遮りインクエンプティが検出される。
以上、説明したように、フィルム3830,3831の強度を異ならせることにより、インクが使用されフィルム3730,3731が撓む順番が決められるので、インクエンプティを正確に検出することができる。
なお、第17から第19実施例において、遮断板3640は、撓み変形するフィルム3630,3730,3830にそれぞれ取り付けられているので、フレーム傾斜面3620,3720,3820に各フィルムが当接した場合に、遮断板3640の移動方向がずれてしまい、検出センサ3660の光路から外れてしまうことも考えられる。この場合には、遮断板3640を検出センサ3660の光路へ誘導する誘導部材を備えるよう構成しても良い。例えば、誘導部材としては、遮断板3640を挟むように両側に配設され、検出センサ3660までの通路を形成するよう構成しても良いし、遮断板3640の一部をフレームに対して支持する支持部を設けて遮断板3640の移動方向を規制するよう構成しても良い。
また、第17から第19実施例において、図示しない制御装置によってインクの吐出量からインクエンプティを算出する方法と併用して、インクエンプティを検出するものとしても良い。この構成とれば、より正確なインクエンプティを検出することができる。
また、検出センサをインクジェットプリンタ側に備える構成としても良い。この構成では、インクカートリッジ1が装着された場合に、ケースの一部が検出センサの光路を遮るよう構成する。そのケースの一部は、透明または半透明に形成されており、検出センサの発光部から発光される光を通すよう構成する。遮断板3640は、インクIが無くなった場合に、そのケースの一部内に侵入して検出センサの光路を遮るよう取り付けられる。よって、インクジェットプリンタ側に検出センサを備える構成でも、インクエンプティを正確に検出することができる。また、ケース内に検出センサを備えなくてよいので、インクカートリッジ1のコストを低減することができる。
また、フィルムの大きさを変化させることで、それぞれの傾斜面側のインク容量を変化させることができるので、フィルムの溶着工程(図20参照)において、押圧部によりフィルムを押す量を変えるものとしても良い。この構成とすれば、フィルムの大きさが異なりインク容量が異なるので、正確なインクエンプティを検出することができる。
また、フィルムの撓む順番が決められれば良いので、フィルムの厚みが同一で材質が異なるフィルムを溶着するものとしても良い。この構成とすれば、フィルムの厚みが同一であっても材質が異なるので、フィルムの強度も異なる。よって、フィルムの撓む順番が決められるので、正確なインクエンプティを検出することができる。
次に、図50を参照して、第20実施例のインクカートリッジ20について説明する。第1実施例のキャップ突起部材350は、ケース200側の端面が平面に構成されていた。これに対して、第20実施例のキャップ突起部材3910は、先端が先細り形状に構成されている。なお、第1実施例のインクカートリッジ1と同一の部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。
図50は、第20実施例のインクカートリッジ20のケース200とキャップ300との溶着部分を拡大して示した断面図である。
図50(a)に示すように、第20実施例のインクカートリッジ20は、キャップ部材300のキャップ突起部材3910の先端が先細り形状に形成されている。よって、キャップ突起部材3910の先端が平面に形成されている場合と比較して、キャップ突起部材3910が早期に溶融すると共に、溶融カスXが下方に流れやすい状態となる。従って、キャップ300とケース200との溶着を早期に行うことができる。
なお、キャップ突起部材3910の傾斜面をキャップ側壁320方向に下降傾斜するよう形成すれば、キャップ突起部材3910が溶融された場合の溶融カスXは、キャップ側壁320とケース側壁230の間の隙間へ誘導される。よって、溶融カスXがインクカートリッジ内部に侵入することを低減することができる。
次に、図51を参照して、第21実施例のインクカートリッジ21について説明する。図51は、第21実施例のインクカートリッジ21のインク供給部4010の一部分の断面を示した図である。なお、第21実施例のインクカートリッジ21は、インク流路4020部分が第1実施例のインクカートリッジ1と異なるよう構成されている。よって、第1実施例のインクカートリッジ1と同一の部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。
図51に示すように、インク供給部4010のインク流路4020は、円錐台形状に形成された第1流路4030と、略円柱状に形成された第2流路4031とで構成され、第2流路4031の直径が第1流路4030の最小となる直径より小さく形成されている。よって、第1流路4030と第2流路4031との間に段差面4032が形成されている。この段差面4032は、フィルタ4040が圧入される方向と直交する方向に突設されている。
インクカートリッジ21を製作する際に、第1流路4030の最大径とほぼ同径の円柱状に形成されたフィルタ4040をインク流路4020内に圧入すると、フィルタ4040は、インク流路4020内の段差面4032に当接する。第2流路4031の直径が第1流路4030の直径より小さく形成されていることから、段差面4032がインク流路4020内に圧入されたフィルタ4040のそれ以上の進入を止める壁面として作用するため、フィルタ4040が第2インク流路4031内に押し出されることがない。よって、インク貯留部120内部にフィルタ4040が押し出されることを防止することができる。
次に、図52を参照して、第22実施例のインクカートリッジ22について説明する。図52は、第22実施例のインクカートリッジ22のインク供給4110の一部分の断面を示した図である。なお、第22実施例のインクカートリッジ21は、インク流路4120部分が第1実施例のインクカートリッジ1と異なるよう構成されている。よって、第1実施例のインクカートリッジ1と同一の部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。
図52に示すように、インク供給部4110のインク流路4120は、全体が中空円錐状に形成されており、インク流路4120のインク貯留部120側の一端に形成されたインク供給孔4121の開口がインク流路4120中おいて最も小さくなるように形成されている。よって、インクカートリッジ22を製作する際に、フィルタ4140がインク流路4120内に圧入されても、フィルタ4140がインク貯留部120内部に押し出されることを低減することができる。
以上、実施例に基づいて本発明を説明したが、本発明は、上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
そこで、図53を参照して、スライダ部材、弁座部材およびカバー部材の変形例について説明する。図53は、変形例のスライダ部材4210、弁座部材4220及びカバー部材4230の平面図である。なお、第1実施例のスライダ部材640、弁座部材660及びカバー部材680と同一の部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。
図53(a)に示すように、スライダ部材4210のスライダ貫通孔4211は、紙面垂直方向視において、略四角形に形成されている。また、図53(b)に示すように、弁座部材4220の第1弁座貫通孔4221と、第2弁座貫通孔4222は、紙面垂直方向視において、略四角形に形成されている。また、図53(c)に示すように、カバー部材4230のカバー貫通孔4231は、紙面垂直方向視において、略四角形に形成されている。
インクの流路となる各貫通孔(スライダ貫通孔4211、第1弁座貫通孔4221、第2弁座貫通孔4222及びカバー貫通孔4231)は、略四角形に形成することで、上述したように、インクの気泡による影響を少なくすることができる。よって、スライダ部材4210、弁座部材4220及びカバー部材4230のいずれか1つの部材を用いることにより、インクの気泡による影響を少なくして、印刷の品質低下の発生を低減することがでできる。
なお、各実施例のバルブ機構において、インクが流れる流路を四角形にすれば、インクの気泡による影響をさらに少なくすることができる。また、上記変形例では、孔形状を四角形に形成したが、略円形以外であれば、孔形状を多角形に構成するものとしても良い。
次に、図54を参照して、ジョイント部材の変形例について説明する。図54は、ジョイント部材3010の断面図である。
ジョイント部材3010は、ジョイント部材3010の外周壁を形成すると共に、インク供給部140の外部に露出するジョイント外周部3020と、そのジョイント外周部3020の内側に形成されると共にインク供給部140の内側に内挿されるジョイント内周部3030と、ジョイント内周部3030の上面3031からバルブ部材620(図19参照)側(図54(b)上側)に突起し、バルブ部材620と当接するジョイント当接部3040と、ジョイント外周部3020とジョイント内周部3030との間に形成され、インク供給部140の外周壁と嵌合される第1ジョイント溝部3050と、ジョイント内周部3030においてジョイント当接部3040の周囲に形成される第2ジョイント溝部3070とを備えて構成されている。第2ジョイント溝部3070は、ジョイント内周部3030の上面3031に開口し、深さ方向が軸心Bと平行であり、溝の底面が後述するテーパ部流路3061と封止部流路3062との連接点とほぼ同じ高さとなっている。
ジョイント部材3010には、ジョイント内周部3030の底面3032からジョイント当接部3040の先端部3041(図12(d)下側)まで貫通したインク流路3060が形成されている。
このインク流路3060は、底面3032に形成された開口3033と、開口3033に連設されたテーパ面3034により画定されたテーパ部流路3061と、テーパ面3034に連接された軸心Bと平行な内周面3035により画定され、インク抽出管1720を封止する略中空円柱状の封止部流路3062と、内周面3035に連設されたジョイント当接部3040の内周面3042によって画定された当接部流路3063から構成されている。
ジョイント部材3010のインク流路3060にインク抽出管1720が挿通されると、封止流路3062の内周面3035にインク抽出間1720の外周面が弾性的に当接する。すると、当接面での摩擦により内周面3035がインク抽出管1720に引きずられてその挿通方向に変位しようとし、これがジョイント当接部3040も伝わる。しかし、ジョイント当接部3040はその周囲に形成された第2ジョイント溝部3070によって、軸心Bから離れる方向に撓みやすくなっているので、ジョイント当接部3040は、第2ジョイント溝部3070方向(図54(b)矢印Q方向)に倒れるよう変位する。よって、ジョイント当接部3040は、バルブ部材620側にはほとんど持ち上げられないので、バルブ部材620とジョイント当接部3040とが早期に離れてインク流路が形成される。従って、インクカートリッジの装着時のストロークを短くすることができる。
次に、図55を参照して、バルブ部材の変形例について説明する。図55は、変形例のバルブ機構3110の断面を示した図である。
図55に示すように、バルブ機構3110は、第1実施例と同様に、第1スプリング部材630、スライダ部材640、第2スプリング部材650、弁座部材660、逆止弁670とカバー部材680とを備えている。さらに、バルブ機構3110は、ジョイント部材3120とバルブ部材3140とを備えている。
バルブ機構3110のジョイント部材3120は、ジョイント部材3120の外周壁を形成すると共にインク供給部140の外部に露出するジョイント外周部3130と、そのジョイント外周部3130の内周部を形成すると共にインク供給部140の内部に内挿されるジョイント内周部3131と、そのジョイント内周部3131とジョイント外周部3130との間に形成され、インク供給部140の外周壁が嵌合されるジョイント溝部3132と、ジョイント内周部3131の中央に形成されるインク流路3133とを備えている。
バルブ部材3140は、第1実施例と同様に、バルブ部材3140の底面を形成するバルブ底壁810と、バルブ部材3140の外周壁を形成するバルブ外周壁820と、スライダ緩挿部材1030が緩挿されるバルブガイド溝830と、スライダ部材640の移動を規制するバルブ規制部840と、スライダ部材640に係合するバルブフック部850とを備えている。さらに、バルブ底壁810には、ジョイント部材3120方向に突起したバルブ突起部3150が形成されている。このバルブ突起部3150は、ジョイント部材3120のインク流路3133を囲むように形成されており、ジョイント部材3120と当接することでインクの流路が塞がれる。
ジョイント部材3120にインク抽出管1720(図26参照)が挿通されると、バルブ部材3140が弁座部材660側(図54(a)上側)に持ち上げられる。よって、バルブ突起部3150とジョイント部材3120とが早期に離れてインク流路が形成される。従って、インクカートリッジの装着時のストロークを短くすることができる。
以上、図54と図55で説明したように、ジョイント部材とバルブ部材とが当接してインクの流路が塞がれると共に、インク抽出管1720が挿通された場合にジョイント部材とバルブ部材とが離れて早期にインク流路が形成される構成であれば、ジョイント部材側に突起が形成されている構成やバルブ部材側に突起が形成されている構成のどちらの構成とするものとしても良い。
ここで、その他の変形例について説明する。例えば、上記各実施例では、キャップ300にキャップ側壁320を備える構成としたが、キャップ側壁320を備えない構成としても良い。この構成では、インクジェットプリンタ1710(図26参照)の装着部に固着するための係合部をキャップ側壁320又はケース側壁230に形成するものとする。
また、上記第3から第7実施例のバルブ部材1930は、インクの流路をバルブ貫通孔1950としたが、そのバルブ貫通孔1950の形状を上面視四角形に形成するものとしても良い。また、上記第5実施例のフィルタストッパ部材2170のストッパ貫通孔2180を上面視四角形に形成するものとしても良い。この構成とすれば、インクの気泡によりインク流路が塞がれることを低減することができる。
また、上記第1から第4及び第6から22実施例では、嵌合部1450にカバー部材680と弁座部材660とを嵌合するよう構成したが、カバー部材680、逆止弁670と弁座部材660とを備えずに、第5実施例のフィルタストッパ部材2170を備える構成としても良い。
また、上記第3から第7及び第9、第11、第12実施例では、第1実施例と同一形状の弁座部材660を備えるものとしたが、各スプリング部材が弁座底部1110と当接したとしても第2弁座貫通孔1150の流路が塞がれないので、弁座連通溝1160が形成されない弁座部材としても良い。
また、キャップにキャップ側壁を備え、ケースとの溶融カスを外部から視認不可とする構成は、インクカートリッジ以外にも、キャップとケースとを備えてそのキャップとケースとを熱溶着するものに応用することができる。
なお、第1から第22実施例までのインクカートリッジ1からインクカートリッジ22及び変形例により各種構成を説明したが、その各種構成を組み合わせてインクカートリッジを構成するものとしても良い。
以下に、本発明のインクカートリッジ、インクカートリッジに内包されるフレーム及びインクカートリッジの製造方法の変形例および樹脂製筐体の変形例を示す。
インクを貯留するインク貯留室を有し、そのインク貯留室に貯留されたインクを記録ヘッドから吐出して記録を行うインクジェット記録装置に着脱自在に装着されるインクカートリッジにおいて、前記インクジェット記録装置に突設された中空状のインク抽出部材が挿入される挿入口と、その挿入口を開閉するための開閉バルブと、その開閉バルブを前記挿入口へ付勢する付勢部材とを備え、前記インクカートリッジが前記インクジェット記録装置に非装着の場合には、前記付勢部材により前記開閉バルブが前記挿入口へ付勢されて閉状態となり、前記インク貯留室からのインク漏れを防止する一方、前記インクカートリッジが前記インクジェット記録装置に装着された場合には、その装着に伴って前記インク抽出部材が前記挿入口から挿入されることにより前記開閉バルブが前記付勢部材の付勢力に抗して前記挿入口から離隔されて、前記インク貯留室と前記記録ヘッドとのインク供給路が連通し、インクを前記記録ヘッドへ供給可能な開状態となるものであり、前記付勢部材は可燃性の弾性材料により中空状に形成され、その中空部分が前記インク供給路の一部を構成するものであることを特徴とするインクカートリッジA1。
インクカートリッジA1において、前記インク貯留室となる空間を有するフレーム体と、そのフレーム体に設けられると共に前記インク貯留室と連通する筒体とを備え、その筒体は、一端に前記挿入口が設けられると共に、その内部に前記開閉バルブと前記付勢部材とを含む開閉バルブユニットが装着されていることを特徴とするインクカートリッジA2。
インクカートリッジA1又はA2において、前記付勢部材は、前記開閉バルブを押圧する押圧部と、その押圧部に連接された屈曲部と、その屈曲部に連接され前記付勢部材の付勢の起点となる基部とを有し、前記屈曲部は、前記押圧部および基部よりも低い強度で構成されていることを特徴とするインクカートリッジA3。
インクカートリッジA3において、前記付勢部材の屈曲部は、前記押圧部および基部に対して薄肉に形成されて、その押圧部および基部よりも低い強度に構成されていることを特徴とするインクカートリッジA4。
インクカートリッジA3又はA4において、前記付勢部材の押圧部および基部は、その付勢部材の付勢方向と平行に形成される一方、前記付勢部材の屈曲部は、その付勢部材の付勢方向に対して所定の角度を有して斜めに形成されることにより、その屈曲部は、前記押圧部および基部よりも低い強度に構成されていることを特徴とするインクカートリッジA5。
インクカートリッジA3からA5のいずれかにおいて、前記付勢部材は、前記押圧部から前記基部に向けて開口量が大きくなる中空状に形成されていることを特徴とするインクカートリッジA6。
インクカートリッジA3からA6のいずれかにおいて、前記付勢部材を2つ備えるとともに、これら2つの付勢部材は、互いに当接しつつ前記付勢部材の付勢方向に並ぶとともに、前記付勢方向と直交する方向に対して対称的に配設されていることを特徴とするインクカートリッジA7。
インクカートリッジA1からA7のいずれかにおいて、前記付勢部材が収容される収容室を有し、前記付勢部材の最大幅部分は、その収容室の内壁に当接していることを特徴とするインクカートリッジA8。
インクを貯留するインク貯留室を有し、そのインク貯留室に貯留されたインクを記録ヘッドから吐出して記録を行うインクジェット記録装置に着脱自在に装着されるインクカートリッジにおいて、前記インク貯留室と連通し、そのインク貯留室内のインクを外部へ供給する際のインクの流路となるインク流路室と、そのインク流路室のインクの出口であって、前記インクジェット記録装置に突設されたインクを抽出するための中空状のインク抽出部材が挿入される挿入口と、その挿入口を開閉するための開閉バルブと、その開閉バルブを前記挿入口へ向けて付勢する付勢部材とを備え、その付勢部材は、前記開閉バルブを押圧する押圧部と、その押圧部に連接された屈曲部と、その屈曲部に連接され前記付勢部材の付勢の起点となる基部とを有し、前記屈曲部は、前記押圧部および基部よりも低い強度で構成されており、その付勢部材の外周に設けられ、前記インク抽出部材が前記挿入口へ挿入され前記付勢部材の屈曲部が撓むと、その撓みに伴って前記インク流路室の内部を前記付勢部材の反付勢方向へ摺動するスライダとを備えていることを特徴とするインクカートリッジB1。
インクカートリッジB1において、前記インク流路室は、前記開閉バルブと前記付勢部材と前記スライダとを収容すると共に、前記スライダは、前記付勢部材の反付勢方向に所定の長さを有して形成され、前記インク流路室には、前記インク抽出部材が前記挿入口へ挿入され前記付勢部材の屈曲部が撓むことにより前記スライダが前記インク流路室の内部を前記付勢部材の反付勢方向へ摺動する場合に、所定量摺動したスライダが当接して、それ以降のスライダの摺動を規制する摺動量規制部が設けられていることを特徴とするインクカートリッジB2。
インクカートリッジB1又はB2において、前記付勢部材を2つ備えると共に、前記スライダの内側にこれら2つの付勢部材の底面部を互いに対向させるように配設し、前記スライダは、前記2つの付勢部材の外周に設けられた円筒部と、その内壁に形成された前記2つの付勢部材の底面部がそれぞれ係合する係合部とを有しており、その係合部が前記2つの付勢部材に挟持されて、その付勢部材の撓みに応じて前記インク流路室内を摺動するものであることを特徴とするインクカートリッジB3。
インクカートリッジB3において、前記2つの付勢部材の前記底面部の外周面は、前記スライダの前記円筒部の内壁に当接していることを特徴とするインクカートリッジB4。
インクカートリッジB1からB4のいずれかにおいて、前記開閉バルブが前記付勢部材により前記挿入口へ向けて付勢されてその挿入口を閉鎖している状態において、前記付勢部材の屈曲部の一部を、予め若干量撓ませる撓み形成部材を備えていることを特徴とするインクカートリッジB5。
インクカートリッジB5において、前記撓み形成部材は、前記開閉バルブが前記付勢部材により前記挿入口へ向けて付勢されてその挿入口を閉鎖している状態において、前記2つの付勢部材のうちの前記開閉バルブを押圧する一方の付勢部材を、予め若干量撓ませるものであることを特徴とするインクカートリッジB6。
インクカートリッジB6において、前記撓み形成部材は、前記開閉バルブに立設されると共に前記スライダの外側に配設される立壁と、その立壁に設けられたフック部とを有し、そのフック部は、前記開閉バルブが前記付勢部材により前記挿入口へ向けて付勢されてその挿入口を閉鎖している状態において、前記一方の付勢部材を撓ませた状態で前記スライダと係合するものであることを特徴とするインクカートリッジB7。
インクカートリッジB7において、前記フック部は、前記係合部の前記開閉バルブを押圧しない他方の付勢部材の底面部が当接する面に係合することを特徴とするインクカートリッジB8。
インクカートリッジB1からB8のいずれかにおいて、前記付勢部材は、その頂部及び底面部が開口した中空円錐台形状に形成され、その中空状の内部がインク流路とされていることを特徴とするインクカートリッジB9。
インクカートリッジB1からB9のいずれかにおいて、前記付勢部材は可燃性の弾性材料で形成されていることを特徴とするインクカートリッジB10。
インクカートリッジB1からB10のいずれかにおいて、前記インク貯留室となる空間を有するフレーム体を備え、前記インク流路室は、そのフレーム体に設けられると共に前記インク貯留室と連通する筒体として構成され、その筒体の内部には、前記開閉バルブと前記付勢部材と前記スライダとを含む開閉バルブユニットが装着されていることを特徴とするインクカートリッジB11。
インクを貯留するインク貯留室を有し、そのインク貯留室に貯留されたインクを記録ヘッドから吐出して記録を行うインクジェット記録装置に着脱自在に装着されるインクカートリッジにおいて、前記インク貯留室と連通し、そのインク貯留室内のインクを外部へ供給する際のインクの流路となるインク流路室と、そのインク流路室のインクの出口に装着され、前記インクジェット記録装置に突設されたインクを抽出するための中空状のインク抽出部材が挿入される挿入口を形成する挿入口形成部材と、その挿入口形成部材により形成される挿入口を開閉するための開閉バルブと、その開閉バルブを前記挿入口形成部材へ向けて付勢して前記挿入口を閉鎖する付勢部材とを備え、前記挿入口形成部材の挿入口は、前記開閉バルブ側へ向けて縮径されたテーパー部と、そのテーパー部の小径側に連設されると共に前記インク抽出部材の外径より小径に形成され、前記インク抽出部材の挿入時に、そのインク抽出部材の周囲に密着してその周囲を封止する封止部と、その封止部に連設され、前記インク抽出部材の外径より大径に形成された座繰部とを有して形成され、その座繰部の周囲には、前記インク抽出部材の未挿入時に、前記開閉バルブと密着して前記挿入口を閉鎖する突部が形成されていることを特徴とするインクカートリッジC1。
インクを貯留するインク貯留室を有し、そのインク貯留室に貯留されたインクを記録ヘッドから吐出して記録を行うインクジェット記録装置に着脱自在に装着されるインクカートリッジにおいて、前記インク貯留室と連通し、そのインク貯留室内のインクを外部へ供給する際のインクの流路となるインク流路室と、そのインク流路室のインクの出口に装着され、前記インクジェット記録装置に突設されたインクを抽出するための中空状のインク抽出部材が挿入される挿入口を形成する挿入口形成部材と、その挿入口形成部材により形成される挿入口を開閉するための開閉バルブと、その開閉バルブを前記挿入口形成部材へ向けて付勢して前記挿入口を閉鎖する付勢部材とを備え、前記挿入口形成部材の挿入口は、前記開閉バルブ側へ向けて縮径されたテーパー部と、そのテーパー部の小径側に連設されると共に前記インク抽出部材の外径より小径に形成され、前記インク抽出部材の挿入時に、そのインク抽出部材の周囲に密着してその周囲を封止する封止部とを有して形成され、その封止部の周囲には、前記インク抽出部材の未挿入時に、前記開閉バルブと密着して前記挿入口を閉鎖する突部が突設されると共に、その突部の外周には、その突部の可撓性を増加させる溝部が凹設されていることを特徴とするインクカートリッジC2。
インクカートリッジC1又はC2において、前記挿入口形成部材は、可燃性の弾性材料で構成されていることを特徴とするインクカートリッジC3。
インクを貯留するインク貯留室を有し、そのインク貯留室に貯留されたインクを記録ヘッドから吐出して記録を行うインクジェット記録装置に着脱自在に装着されるインクカートリッジにおいて、前記インク貯留室と連通し、そのインク貯留室内のインクを外部へ供給する際のインクの流路となるインク流路室と、そのインク流路室のインクの出口であって、前記インクジェット記録装置に突設されたインクを抽出するための中空状のインク抽出部材が挿入される挿入口とを備え、前記インク貯留室から前記インク流路室の挿入口へ至るインク流路の内、少なくとも断面積が最小の部分は多角形状に形成されていることを特徴とするインクカートリッジD1。
インクカートリッジD1において、前記インク流路室内には、前記挿入口を開閉するための開閉バルブと、その開閉バルブを前記挿入口を閉じる方向に付勢する付勢部材とが設けられていることを特徴とするインクカートリッジD2。
インクカートリッジD2において、前記インク流路室内には、前記付勢部材の一側であって前記開閉バルブの反体側に設けられ、前記インク抽出部材へ流入したインクが前記インク貯留室へ逆流すること防止するための逆止弁と、その逆止弁を収容すると共に、前記逆止弁によって開放又は閉鎖されるインク流路の一部を構成する孔が穿設された逆止弁ケースとが設けられ、その逆止弁ケースに穿設されたインク流路の内、少なくとも断面積が最小の部分は多角形状に形成されていることを特徴とするインクカートリッジD3。
インクカートリッジD1からD3のいずれかにおいて、前記付勢部材は、可燃性の弾性部材で構成され、前記インク流路室内に設けられると共に、その上端及び下端が開口した中空状に形成され、その中空状の内部がインク流路とされており、そのインク流路の断面積が最小の部分は多角形状に形成されていることを特徴とするインクカートリッジD4。
インクカートリッジD4において、前記付勢部材は、中空円錐形状またはお碗形状の2つの弾性部材を有し、それら弾性部材の底面を互いに対向させて組み合わせて構成され、これら弾性部材の頂部の開口は多角形状に形成されていることを特徴とするインクカートリッジD5。
インクカートリッジD4又はD5において、前記弾性部材は、前記開閉バルブを押圧する押圧部と、その押圧部に連接された屈曲部と、その屈曲部に連接され前記付勢部材の付勢の起点となる基部とを有し、前記屈曲部は、前記押圧部および基部よりも低い強度で構成されると共に、前記押圧部および基部に形成された開口のうち小さい方の開口は多角形状に形成されていることを特徴とするインクカートリッジD6。
インクカートリッジD6において、前記付勢部材の屈曲部は、前記押圧部および基部よりも薄肉に形成されていることを特徴とするインクカートリッジD7。
インクカートリッジD1からD7のいずれかにおいて、前記多角形状のインク流路は、四角形状に形成されていることを特徴とするインクカートリッジD8。
インクを貯留するインク貯留室を有し、そのインク貯留室に貯留されたインクを記録ヘッドから吐出して記録を行うインクジェット記録装置に着脱自在に装着されるインクカートリッジにおいて、前記インク貯留室と連通し、そのインク貯留室内のインクを外部へ供給する際のインクの流路となるインク流路室と、そのインク流路室のインクの出口であって、前記インクジェット記録装置に突設されたインクを抽出するための中空状のインク抽出部材が挿入される挿入口と、その挿入口と前記インク貯留室との間に配設され、そのインク貯留室内に貯留されたインクに混入したゴミや異物を除去するためのフィルタと、そのフィルタを収容すると共に、開口量が一方から他方へ向けて拡大した内壁を少なくとも一部に有するフィルタ収容室と備え、前記フィルタは、柱状体として形成されると共に、前記フィルタ収容室内へ押入されてそのフィルタ収容室内に装着されるものであることを特徴とするインクカートリッジE1。
インクカートリッジE1において、前記フィルタ収容室の内壁は、少なくともその一部がすり鉢状に形成され、そのすり鉢状部分の開口量は一方から他方へ向けて拡大していることを特徴とするインクカートリッジE2。
インクカートリッジE1において、前記フィルタ収容室の内壁は、開口量が一方から他方へ向けて拡大した中空円錐状部と、その中空円錐状部の最大径側に連設した中空円筒状部とにより構成され、前記フィルタ収容室へ押入される前のフィルタは、前記フィルタ収容室の前記中空円筒状部の断面形状と同じ断面形状を有する円柱状に形成されていることを特徴とするインクカートリッジE3。
インクカートリッジE1からE3のいずれかにおいて、前記フィルタ収容室は、一端が前記インク貯留室側に連通すると共にその一端が前記フィルタ収容室の中で最も小径に形成されており、前記フィルタは、前記挿入口側から前記フィルタ収容室内へ押入されて、そのフィルタ収容室内に装着されるものであることを特徴とするインクカートリッジE4。
インクカートリッジE1からE3のいずれかにおいて、前記フィルタ収容室の小径側の一端には、そのフィルタ収容室内へ押入されるフィルタのそれ以上の進入を止める進入停止部が形成されていることを特徴とするインクカートリッジE5。
インクカートリッジE5において、前記進入停止部は、前記フィルタの進入方向と交わる方向に突設された壁面であることを特徴とするインクカートリッジE6。
インクカートリッジE1からE6のいずれかにおいて、前記インク貯留室となる空間を有するフレーム体を備え、前記フィルタ収容室は、そのフレーム体の一部分に形成されていることを特徴とするインクカートリッジE7。
インクカートリッジE1からE7のいずれかにおいて、前記挿入口を開閉するための開閉バルブと、その開閉バルブを前記挿入口へ向けて付勢する付勢部材と、その付勢部材の一側であって前記開閉バルブの反体側に設けられ、前記インク抽出部材へ流入したインクが前記インク貯留室へ逆流すること防止するための逆止弁と、その逆止弁を収容または保持する逆止弁ケースとを備え、その逆止弁ケースは、前記フィルタが前記フィルタ収容室から抜け出ないように、前記フィルタの一端を前記フィルタ収容室内へ押圧するように構成されていることを特徴とするインクカートリッジE8。
インクカートリッジE1からE8のいずれかにおいて、前記フィルタは、フォーム状フィルタにより構成されていることを特徴とするインクカートリッジE9。
インクカートリッジE9において、前記フィルタのフォームの材質は、ウレタンで構成されていることを特徴とするインクカートリッジE10。
インクを貯留するインク貯留室を有し、そのインク貯留室に貯留されたインクを記録ヘッドから吐出して記録を行うインクジェット記録装置に着脱自在に装着されるインクカートリッジにおいて、前記インク貯留室と連通し、そのインク貯留室内のインクを外部へ供給する際のインク流路となるインク流路室と、そのインク流路室のインクの出口であって、前記インクジェット記録装置に突設されたインクを抽出するための中空状のインク抽出部材が挿入される挿入口と、その挿入口を開閉するための開閉バルブと、その開閉バルブを前記挿入口へ向けて付勢する付勢部材とを備え、その付勢部材は、コイルバネで構成され、その全部又は少なくとも一部分は、円錐状に巻回された円錐コイルバネとされていることを特徴とするインクカートリッジF1。
インクカートリッジF1において、前記円錐コイルバネは、圧縮時にコイルバネの線同士が干渉しないように、円錐の傾斜角度が設定されていることを特徴とするインクカートリッジF2。
インクカートリッジF1において、前記円錐コイルバネの径は、1ピッチ毎に、コイルバネの線材の幅以上に小径とされていることを特徴とするインクカートリッジF3。
インクカートリッジF1において、前記円錐コイルバネのn番目のピッチの内径は、それより小径の(n+1)番目のピッチの外径より大きく形成されていることを特徴とするインクカートリッジF4(なお、nは自然数である)。
インクカートリッジF1からF4のいずれかにおいて、前記円錐コイルバネの一端は前記インク流路室に係合し、その他端は前記開閉バルブに係合すると共に、その円錐コイルバネは前記開閉バルブ側が小径に形成されていることを特徴とするインクカートリッジF5。
インクを貯留するインク貯留室を有し、そのインク貯留室に貯留されたインクを記録ヘッドから吐出して記録を行うインクジェット記録装置に着脱自在に装着されるインクカートリッジにおいて、前記インク貯留室と連通し、そのインク貯留室内のインクを外部へ供給する際のインクの流路となるインク流路室と、そのインク流路室のインクの出口であって、前記インクジェット記録装置に突設されたインクを抽出するための中空状のインク抽出部材が挿入される挿入口とを備え、前記インク貯留室は、両面が開口したフレームと、そのフレームに溶着され、そのフレームの一対の開口面を閉鎖する一対のフィルムとにより形成され、前記フレームには、前記一対の開口面にそれぞれ連設されると共に前記一対のフィルムが前記フレームに溶着される際の受け面となる一対のフランジと、その一対のフランジ間に形成され、これら一対のフランジを連結する補強部材とが形成されていることを特徴とするインクカートリッジG1。
インクカートリッジG1において、前記フレームの開口面の周囲には、前記フィルムが溶着される溶着部が形成され、前記フランジは、その溶着部の外側に延設されていることを特徴とするインクカートリッジG2。
インクカートリッジG1又はG2において、前記インク流路室は、前記インク貯留室に連設された筒状体として形成され、その筒状体は、前記一対のフランジ間に形成されると共に、その一対のフランジに連設されて、前記補強部材として機能するものであることを特徴とするインクカートリッジG3。
インクカートリッジG3において、前記フレームは、樹脂材料による射出成形によって一体成形されるものであり、前記補強部材は、前記筒状体と同方向に延設された複数本の第1補強リブを備えていることを特徴とするインクカートリッジG4。
インクカートリッジG4において、前記補強部材は、前記筒状体及び前記第1補強リブと直交する方向に延設された第2補強リブを備えていることを特徴とするインクカートリッジG5。
インクカートリッジG5において、前記第2補強リブは、前記フレームの両側に1本ずつ形成されていることを特徴とするインクカートリッジG6。
インクカートリッジG5において、前記第2補強リブは、前記フレームの左右両側に1本ずつ形成され、前記第1補強リブは、前記フレームの上下両側に複数本ずつ形成されていることを特徴とするインクカートリッジG7。
インクカートリッジG4からG7のいずれかにおいて、前記第1補強リブには、成形後の前記フレームを金型から抜く際に、そのフレームを金型から押し出すためのイジェクトピンの受け部が形成されていることを特徴とするインクカートリッジG8。
インクカートリッジG1からG8のいずれかにおいて、前記インク貯留室を構成すると共に前記一対のフィルムが溶着されたフレームと前記インク流路室と前記付勢部材と前記開閉バルブとを収容する外ケースを備え、その外ケースと前記一対のフィルムが溶着されたフレームとの二重構造とされていることを特徴とするインクカートリッジG9。
インクジェット記録装置にインクを供給すると共にそのインクジェット記録装置に着脱自在に装着されるインクカートリッジに内包されるフレームにおいて、インクを貯留するインク貯留室の周壁を形成する周壁部と、その周壁部の内側に形成される貫通孔を表裏両面からそれぞれ閉鎖して前記周壁部と共にインク貯留室を形成するための一対のフィルムが溶着される一対の溶着部と、その一対の溶着部の外側にそれぞれ延設されると共に、前記一対のフィルムが溶着される際の受け面となる一対のフランジと、その一対のフランジ間に形成され、これら一対のフランジを連結する補強部材とを備えていることを特徴とするインクカートリッジに内包されるフレームG10。
インクを貯留するインク貯留体と、このインク貯留体を内包する筐体とを備えたインクカートリッジにおいて、前記インク貯留体は、第1の面に形成される第1の開口と、この第1の開口に連続して形成されたインクを貯留するインク貯留室となる第1の凹部と、この第1の凹部に連通し外部にインクを供給するインク供給部とを有するフレーム部材と、前記第1の開口を塞ぐ第1のフィルムとから構成され、前記第1のフィルムは、前記第1の面の前記第1の開口を取り囲む第1の環状帯領域に対して溶着される第1の環状溶着領域と、前記第1の環状溶着領域の内側の第1の変位領域とを有し、前記第1の変位領域においては圧延変形がなされていないことを特徴とするインクカートリッジH1。
インクカートリッジH1において、前記第1の開口から連続する前記第1の凹部の内面は、前記第1の開口の中心側に徐々に近接する第1の傾斜面とされていることを特徴とするインクカートリッジH2。
インクカートリッジH2において、前記第1の傾斜面は、直線的に傾斜していることを特徴とするインクカートリッジH3。
インクカートリッジH1からH3のいずれかにおいて、前記第1の開口は、円形に形成されていることを特徴とするインクカートリッジH4。
インクカートリッジH4において、前記第1の面と前記第1の傾斜面とがなす角度は、28度から34度の範囲内であることを特徴とするインクカートリッジH5。
インクカートリッジH4において、前記第1の面と前記第1の傾斜面とがなす角度は、約30度であることを特徴とするインクカートリッジH5。
インクカートリッジH1からH6のいずれかにおいて、前記第1のフィルムの前記変位領域は、前記インク貯留室にインクが注入される前の状態において前記第1の傾斜面に接するように位置していることを特徴とするインクカートリッジH7。
インクカートリッジH1からH7のいずれかにおいて、前記第1の環状帯領域は、前記第1の面の他の領域よりも突出する第1の突起部により形成されていることを特徴とするインクカートリッジH8。
インクカートリッジH8において、前記第1の突起部は、前記第1の開口から所定の距離をおいて形成されていることを特徴とするインクカートリッジH9。
インクカートリッジH1からH9のいずれかにおいて、前記インク貯留体は、前記フレーム部材が、前記第1の面と平行な第2の面に形成される第2の開口と、この第2の開口に連続して形成されたインクを貯留するインク貯留室となる第2の凹部と、前記第1の面と前記第2の面との間に形成され前記第1の凹部の底部と前記第2の凹部の底部とを連通させる連通孔を更に有するとともに、前記第2の開口を塞ぐ第2のフィルムを更に備えるものであり、前記第2のフィルムは、前記第2の面の前記第2の開口を取り囲む第2の環状帯領域に対して溶着される第2の環状溶着領域と、前記第2の環状溶着領域の内側の第2の変位領域とを有し、前記第2の変位領域においては圧延変形がなされていないことを特徴とするインクカートリッジH10。
インクカートリッジH10において、前記第2の開口から連続する前記第2の凹部の内面は、前記第2の開口の中心側に徐々に近接する第2の傾斜面とされていることを特徴とするインクカートリッジH11。
インクカートリッジH11において、前記第2の傾斜面は、直線的に傾斜していることを特徴とするインクカートリッジH12。
インクカートリッジH10からH12のいずれかにおいて、前記第2の開口は、円形に形成されていることを特徴とするインクカートリッジH13。
インクカートリッジH13において、前記第2の面と前記第2の傾斜面とがなす角度は、28度から34度の範囲内であることを特徴とするインクカートリッジH14。
インクカートリッジH13において、前記第2の面と前記第2の傾斜面とがなす角度は、約30度であることを特徴とするインクカートリッジH15。
インクカートリッジH10からH15のいずれかにおいて、前記第2フィルムの前記変位領域は、前記インク貯留室にインクが注入される前の状態において前記第2傾斜面に接するように位置していることを特徴とするインクカートリッジH16。
インクカートリッジH10からH16のいずれかにおいてて、前記第2の環状帯領域は、前記第2の面の他の領域よりも突出する第2の突起部により形成されていることを特徴とするインクカートリッジH17。
インクカートリッジH17において、前記第2の突起部は、前記第2の開口から所定の距離をおいて形成されていることを特徴とするインクカートリッジH18。
インクカートリッジH11からH18のいずれかにおいて、前記フレーム部材は、前記第1の面を有する板状に形成された第1の鍔部と前記第2の面を有する板状に形成された第2の鍔部と、前記第1及び第2の鍔部の間に形成されたインク注入路を有するインク注入部と、このインク注入路と前記インク貯留室とを連通する孔を備え、前記インク注入路の内部には、弾性を有する栓部材が圧入されていることを特徴とするインクカートリッジH19。
インクカートリッジH19において、前記第1及び第2の凹部は、それらの内面となる前記第1及び第2の傾斜面にほぼ沿って傾斜する第1及び第2の外面を有しており、前記インク注入路の内部空間は、前記第1及び第2の外面によって奥部が先細る形状を有しており、前記栓部材は、前記インク注入路の内部空間とほぼ一致するように、圧入方向における先端部が先細り形状を有していることを特徴とするインクカートリッジH20。
インクを貯留するインク貯留体と、このインク貯留体を内包する筐体とを備えたインクカートリッジの製造方法において、第1の面に形成される第1の開口と、この第1の開口に連続して形成され前記第1の開口の中心側に徐々に近接する第1の傾斜面を有する第1の凹部と、この第1の凹部に連通し外部からインクを注入するためのインク注入部とを有するフレーム部材を形成するフレーム部材形成工程と、薄膜状の第1のフィルムを前記第1の面上に設置する第1のフィルム設置工程と、前記第1の傾斜面の全域とほぼ一致する押圧傾斜面を有する凸状に形成された金型部材を前記第1のフィルムを挟んで前記第1の凹部に押圧する第1のフィルム押圧工程と、前記第1のフィルムを、前記第1の面の前記第1の開口を取り囲む第1の環状帯領域に対して溶着する第1のフィルム溶着工程と、
前記第1のフィルムと前記第1の凹部とによって形成された空間に前記インク注入部からインクを注入するインク注入工程とを備えていることを特徴とするインクカートリッジの製造方法H21。
インクを貯留するインク貯留体と、このインク貯留体を内包する筐体とを備えたインクカートリッジの製造方法において、第1の面に形成される第1の開口と、この第1の開口に連続して形成され前記第1の開口の中心側に徐々に近接する第1の傾斜面を有する第1の凹部と、前記第1の面と平行な第2の面に形成される第2の開口と、この第2の開口に連続して形成され前記第2の開口の中心側に徐々に近接する第2の傾斜面を有する第2の凹部と、前記第1の凹部の底部と前記第2の凹部の底部とを連通させる連通孔と、前記第1及び第2の凹部に連通し外部からインクを注入するためのインク注入部とを有するフレーム部材を形成するフレーム部材形成工程と、薄膜状の第1のフィルムを前記第1の面上に設置する第1のフィルム設置工程と、前記第1の傾斜面の全域とほぼ一致する押圧傾斜面を有する凸状に形成された金型部材を前記第1のフィルムを挟んで前記第1の凹部に押圧する第1のフィルム押圧工程と、前記第1のフィルムを、前記第1の面の前記第1の開口を取り囲む第1の環状帯領域に対して溶着する第1のフィルム溶着工程と、薄膜状の第2のフィルムを前記第2の面上に設置する第2のフィルム設置工程と、前記第2の傾斜面の全域とほぼ一致する押圧傾斜面を有する凸状に形成された金型部材を前記第2のフィルムを挟んで前記第2の凹部に押圧する第2のフィルム押圧工程と、前記第2のフィルムを、前記第2の面の前記第2の開口を取り囲む第2の環状帯領域に対して溶着する第2のフィルム溶着工程と、前記第1及び第2のフィルムと前記第1及び第2の凹部とによって形成された空間に前記インク注入部からインクを注入するインク注入工程とを備えていることを特徴とするインクカートリッジの製造方法H22。
インクカートリッジの製造方法H21又はH22において、前記第1のフィルム押圧工程において、前記第1のフィルムは、前記金型部材によって前記連通孔を通じて前記第2の凹部内に入り込むように押圧されることを特徴とするインクカートリッジの製造方法H23。
インクカートリッジの製造方法H22において、前記第2のフィルム押圧工程において、前記第2のフィルムは、前記金型部材によって前記連通孔を通じて前記第1の凹部内に入り込むように押圧されることを特徴とするインクカートリッジの製造方法H24。
一の壁部の周縁に側壁が立設され、前記一の壁面と反対側において前記側壁の端部によって画定された開口を有する筐体本体と、前記側壁の前記端部に超音波溶着により溶着されて前記開口を塞ぐ蓋体とを備え、記録装置に装着されたときに内部に貯留されたインクを記録装置に供給するインクカートリッジであって、前記側壁の端部は、部分的に欠落した欠落部を有し、前記蓋体は、前記開口よりも広い主壁部と、その主壁部の外周縁から立設し前記側壁の外側に位置する周壁部と、この周壁部より内側において前記主壁部から立設し前記欠落部に位置する突起部とを有し、前記側壁と前記周壁部との間には、前記端部が溶融されたときに流出するバリが流れ込む間隙が形成されていることを特徴とするインクカートリッジI1。
インクカートリッジI1において、前記側壁の端部には、外周側に形成された第1開口端面と内周側に形成された前記第1開口端面よりも低い第2開口端面とによって前記欠落部を構成する段差が形成されており、前記突起部は、その先端が前記第2開口端面に当接する先細り形状であることを特徴とするインクカートリッジI2。
インクカートリッジI1又はI2において、前記突起部は、前記開口に対応した輪状に形成されていることを特徴とするインクカートリッジI3。
インクカートリッジI1からI3のいずれかにおいて、前記記録装置は、装着された前記インクカートリッジと係合して前記インクカートリッジを装着位置に位置決めする係合手段を有しており、前記キャップの前記側壁の先端が前記固定手段に係合される被係合部となることを特徴とするインクカートリッジI4。
インクカートリッジI1からI4のいずれかにおいて、前記筐体本体及び前記蓋体は樹脂材料からなることを特徴とするインクカートリッジI5。
一の壁部の周縁に側壁が立設され、前記一の壁面と反対側において前記側壁の端部によって画定された開口を有する樹脂材料からなる筐体本体と、前記側壁の前記端部に超音波溶着により溶着されて前記開口を塞ぐ樹脂材料からなる蓋体とを備えた樹脂製収容ケースにおいて、前記筐体本体の前記側壁の端部は、部分的に欠落した欠落部を有し、前記蓋体は、前記開口よりも広い主壁部と、その主壁部の外周縁から立設し前記側壁の外側に位置する周壁部と、この周壁部より内側において前記主壁部から立設し前記欠落部に位置する突起部とを有し、前記側壁と前記周壁部との間には、前記端部が溶融されたときに流出するバリが流れ込む間隙が形成されていることを特徴とする樹脂製筐体。
筐体と、この筐体の内部に収納されるインク貯留体とを備え、記録装置に装着されたときにインク貯留体に貯留されたインクを記録装置に供給するインクカートリッジであって、前記インク貯留体は、インク貯留室を形成するインク貯留室形成部と、そのインク貯留室形成部から突出して形成されインクを供給するためのインク供給路を有するインク供給部を備え、前記筐体は、前記インク供給部を通じて供給されたインクを外部に流出するためのインク供給孔と、このインク供給孔と反対側の壁部から筐体内部に向けて突出する突起部材を備え、前記インク貯留体は、前記インク供給部が前記筐体の前記インク供給孔に対応する位置に結合されるとともに、前記インク供給部と反対側の部分が前記突起部材に接合されることによって、前記筐体の内部に浮遊状態で支持されることを特徴とするインクカートリッジJ1。
インクカートリッジJ1において、前記筐体は、内部に通じる開口を有する筐体本体と、前記開口を塞ぐものであって前記インク供給孔が形成された蓋体とから構成され、前記インク供給部は前記蓋体と結合されることを特徴とするインクカートリッジJ2。
インクカートリッジJ2において、前記インク供給部と前記蓋体は、弾性を有するとともにインクの流路となる貫通孔が形成されたシール部材を間に介して結合されていることを特徴とするインクカートリッジJ3。
インクカートリッジJ1からJ3のいずれかにおいて、前記インク貯留体は、前記インク供給部と反対側における前記突起部材と接合する部分が弾性を有するように構成されていることを特徴とするインクカートリッジJ4。
インクカートリッジJ1からJ3のいずれかにおいて、前記インク貯留体は、前記インク供給部と反対側に形成された凹部を備え、この凹部は少なくともその一部が弾性を有するように構成されており、前記突起部材は、前記凹部に侵入して前記凹部の弾性を有する部分にのみ当接することを特徴とするインクカートリッジJ5。
インクカートリッジJ1からJ3のいずれかにおいて、前記インク貯留体は、前記インク供給部と反対側に形成されたインク注入路を有するインク注入部を備え、このインク注入部には、前記流入流路を封止する弾性を有する栓部材が圧入されており、前記突起部材は、前記インク注入部の内部に侵入して前記栓部材にのみ当接することを特徴とするインクカートリッジJ6。
インクカートリッジJ6において、前記インク注入部は、前記インク貯留体の前記インク貯留室形成部から突出して形成されていることを特徴とするインクカートリッジJ7。
インク供給孔を有する第1壁部と、その第1壁部に対して所定間隔をおいて略平行に配置される第2壁部と、その第2壁部の周縁と前記第1壁部の周縁とを連結する側壁とを有し中空箱状に形成される筐体と、その筐体に収納されインクを貯留するインク貯留室を有するインク貯留体とを備え、前記記録装置に着脱自在に装着されるインクカートリッジにおいて、前記インク貯留体は、前記インク貯留室から前記インク供給孔に向かうインク供給路を形成するインク供給部を有し、前記インク貯留室は、所定の方向から見て円形または楕円形に形成されており、前記インク供給部は、前記所定の方向から見て、その中心軸線が前記インク貯留室の中心を通り前記第1壁部と直交する仮想中心線と重複しないように形成されていることを特徴とするインクカートリッジK1。
インクカートリッジK1において、前記インク供給路の中心軸線は、前記仮想中心線と平行であることを特徴とするインクカートリッジK2。
インクカートリッジK2において、前記インク貯留体は、前記インク貯留室から前記第2壁部に向かうインク注入路を形成するインク注入部を有し、前記インク注入路は、その中心軸線が前記仮想中心線と重複しないように形成されていることを特徴とするインクカートリッジK3。
インクカートリッジK3において、前記インク注入路の中心軸線は、前記仮想中心線と平行であることを特徴とするインクカートリッジK4。
インクカートリッジK4において、前記インク供給路の中心軸線と前記インク注入路の中心軸線とは、前記仮想中心線を挟んで相反する側に位置することを特徴とするインクカートリッジK5。
インクカートリッジK1からK5のいずれかにおいて、前記インク貯留体は、前記所定方向からみたときに円形又は楕円形である開口部とその開口部と連通する内部空間とを有する本体部と、前記本体部に固着されて前記開口部を塞ぐフィルムとを備えていることを特徴とするインクカートリッジK6。
インクカートリッジK1からK6のいずれかにおいて、前記所定方向は、前記第1壁部と略平行な方向であることを特徴とするインクカートリッジK7。
インクカートリッジK1からK7のいずれかにおいて、前記筐体は、直方体状に形成されることを特徴とするインクカートリッジK8。
開口を有する筐体と前記開口を閉鎖する蓋体とからなるカートリッジ筐体と、このカートリッジ筐体の内部に収納されるインク貯留体とを備え、記録装置に装着されたときにインク貯留体に貯留されたインクを記録装置に供給するインクカートリッジであって、前記インク貯留体は、インク貯留室を形成するインク貯留室形成部と、そのインク貯留室形成部から突出しインクを供給するインク供給路を形成するインク供給部と、前記インク貯留室形成部から前記インク供給部と同じ側に向けて前記インク供給部と略平行に突出する被規制部を有し、前記蓋体は、前記インク供給部を通じて供給されたインクを外部に流出するためのインク供給孔と、前記蓋体の内面の前記インク供給孔の周囲から立設され前記インク供給部と接合する接合部と、前記接合部と略平行であるように前記内面から立設する回転規制部とを有し、前記回転規制部は、前記被規制部と当接することによって、前記インク貯留体の前記蓋体に対する前記接合部を中心とした回転移動を規制することを特徴とするインクカートリッジL1。
インクカートリッジL1において、前記インク供給部及び前記接合部はそれぞれ筒状に形成され、前記インク供給部が前記接合部に内挿された状態で互いに係合することを特徴とするインクカートリッジL2。
インクカートリッジL2において、前記接合部の内部には、インクの流路となる貫通孔が形成された弾性を有するシール部材が内挿されており、このシール部材は、前記インク供給部と前記接合部が係合したときに、前記蓋体の前記内面と前記インク供給部の先端とによって挟持されることを特徴とするインクカートリッジL3。
インクカートリッジL1からL3のいずれかにおいて、前記回転規制部は、互いに略平行に立設する一対の回転規制部材からなり、前記被規制部は、前記一対の回転規制部材の間に位置することを特徴とするインクカートリッジL4。
インクカートリッジL4において、前記被規制部は、互いに略平行に立設する一対の被規制部材からなり、これら一対の被規制部材は、前記一対の回転規制部材の間に位置することを特徴とするインクカートリッジL5。
インクカートリッジL5において、前記インク供給孔及び前記接合部は、前記キャップの長手方向において中央部から一方の側に偏倚した位置に形成され、前記回転規制部は、前記長手方向において他方の側に偏倚した位置に形成されていることを特徴とするインクカートリッジL6。
記録装置に供給するインクを貯留するインク貯留室を有するインク貯留体と、そのインク貯留体を内包すると共に前記インクを記録装置に供給するためのインク供給孔を有する筐体とを備え、前記記録装置に着脱自在に装着されるインクカートリッジにおいて、前記インク貯留体は、前記インク貯留室と、前記インク貯留室から前記インク供給孔に向かうインク供給路を形成するためのインク供給部と、インク注入口と、そのインク注入口から前記インク貯留室に至るインク注入路を形成するインク注入部とを有し、前記インク供給路内に装着される前記インク供給孔を開閉するための開閉バルブ機構と、前記インク注入路内に圧入されて前記インク注入路を閉鎖する栓部材とを備え、前記インク注入部と前記インク注入路に圧入されている栓部材は、前記筐体によって外部から目視不能に隠蔽されていることを特徴とするインクカートリッジM1。
インクカートリッジM1において、前記インク貯留体は、前記インク貯留室と連通する開口部と、前記開口部を塞ぐ液体遮断性を有するフィルムとをさらに備えていることを特徴とするインクカートリッジM2。
インクカートリッジM1又はM2において、前記筐体は、前記インク貯留体を収容する空間に通じる開口を有する筐体本体と、その開口を塞ぐ蓋体とを備え、前記インク供給孔は前記蓋体に設けられていることを特徴とするインクカートリッジM3。
インクカートリッジM3において、前記筐体本体の前記開口は、前記インク貯留体が挿通可能な大きさとされていることを特徴とするインクカートリッジM4。
インクカートリッジM1からM4のいずれかにおインク貯留室と前記開閉バルブ機構との間には、前記インクいて、前記インク供給路内における前記供給孔から前記インク貯留室に向かうインクの逆流を防止する逆流防止機構が装着されていることを特徴とするインクカートリッジM5。
記録装置に供給するインクを貯留するインク貯留室を有するインク貯留体と、そのインク貯留体を内包すると共に前記インクを記録装置に供給するためのインク供給孔を有する筐体とを備え、前記記録装置に着脱自在に装着されるインクカートリッジの製造方法であって、前記インク貯留室と、前記インク貯留室から前記インク供給孔に向かうインク供給路を形成するためのインク供給部と、インク注入口と、そのインク注入口から前記インク貯留室に至るインク注入路を形成するインク注入部と、を有するインク貯留体を形成するインク貯留体形成工程と、前記インク供給路内に前記インク供給孔を開閉するための開閉バルブ機構を装着するとともに、前記インク供給路のインク供給出口を閉鎖するインク供給路閉鎖工程と、前記インク注入口から前記インク貯留室にインクを注入するインク注入工程と、前記インク注入路に栓部材を圧入して前記インク注入路を閉鎖するインク注入路閉鎖工程と、前記インク貯留室にインクが充填された前記インク貯留体を前記筐体内に装填するインク貯留体装填工程と、を備えたことを特徴とするインクカートリッジの製造方法M6。
インクカートリッジの製造方法M6において、前記インク貯留体形成工程は、前記インク貯留室、前記インク貯留室に連通する開口部、前記インク注入口、及び前記インク注入部を有する前記インク貯留体の本体部を形成する本体部形成工程と、液体遮断性を有するフィルムを前記本体部に固着して前記開口部を塞ぐ開口部閉鎖工程と、を含むことを特徴とする請求項6に記載のインクカートリッジの製造方法M7。
インクカートリッジの製造方法M6又はM7において、前記筐体は、前記インク貯留体を収容する空間に通じる開口を有する筐体本体と、その開口を塞ぐ蓋体とを有するものであり、前記インク供給路閉鎖工程は、前記インク供給路内に前記開閉バルブ機構を装着した後に、前記インク供給部に前記蓋体を連結する蓋体連結工程を含むものであることを特徴とするインクカートリッジの製造方法M8。
インクカートリッジの製造方法M8において、前記インク供給路閉鎖工程は、前記蓋体連結工程の前に、前記インク供給路内における前記インク貯留室と前記開閉バルブ機構との間の位置に、前記インク供給孔から前記インク貯留室に向かうインクの逆流を防止する逆流防止機構を装着する逆流防止機構装着工程を含むことを特徴とするインクカートリッジの製造方法M9。