JP4820228B2 - Snめっきの耐熱剥離性に優れるCu−Zn−Sn系合金条及びそのSnめっき条 - Google Patents
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Description
近年、固溶強化型合金に替わり、析出強化型銅合金の使用量が増加している。析出強化型合金は、合金元素をCu母地中に微細化合物粒子として析出させることを特徴とする。合金元素が析出する際に、強度が上昇し、同時に導電率も上昇する。したがって、析出強化型合金では、固溶強化型合金に対し、同じ強度でより高い導電率が得られる。析出強化型銅合金としては、Cu−Ni−Si系合金、Cu−Be系合金、Cu−Ti系合金、Cu−Zr系合金等がある。
一方、固溶強化型合金を改良することにより、必要充分な導電率と強度を有する、低廉な銅合金の開発が進められている。黄銅に代表されるCu−Zn系合金は、製造が容易であり、Znが安価なことも相まって、特に低コストで製造できる合金である。本発明者らは、Cu−Zn系合金のZn量を調整した上で少量のSnを添加し、さらに金属組織を調整することにより、必要十分な導電率、強度及び曲げ加工性を有する合金を開発した。必要十分な導電率、強度及び曲げ加工性とは、以下のとおりである。
この導電率は析出強化型合金であるCu−Ni−Si系合金(コルソン合金)の導電率に匹敵する。なお、黄銅(C2600)の導電率は28%IACS、りん青銅(C5210)の導電率は13%IACSである。
(B)引張強さ:410MPa以上。
この引張強さは、JIS規格(JISH3100)により規定された黄銅(C2600)の質別Hの引張強さに相当する。
(C)曲げ加工性:Good Way及びBad Wayの180度密着曲げが可能なこと。
この曲げ試験において割れや大きな肌荒れが発生しなければ、コネクタに施される最も厳しいレベルの曲げ加工が可能となる。
本発明者らが開発したCu−Zn−Sn系合金は、黄銅の強度、コルソン合金の導電率、黄銅やコルソン合金と同等以上の曲げ加工性を併せ持つものであり、小型化が進行する電子機器部品の素材として好適な銅合金である。
Cu−Zn−Sn系合金のSnめっき条は、連続めっきラインにおいて、脱脂及び酸洗の後、電気めっき法により下地めっき層を形成し、次に電気めっき法によりSnめっき層を形成し、最後にリフロー処理を施しSnめっき層を溶融させる工程で製造される。
銅合金のリフローSnめっき条を高温で長時間保持すると、めっき層が母材より剥離する現象(以下、熱剥離)が生じる。銅合金にZnを添加すると、熱剥離特性は向上する。したがって、Cu−Zn−Sn系合金の耐熱剥離性は比較的良好である。
本発明の目的は、Snめっきの耐熱剥離性を改善したCu−Zn−Sn系合金条及びそのSnめっき条を提供することである。
(1)2〜12質量%のZn、0.1〜1.0質量%のSnを含有し、Snの質量%濃度([%Sn])とZnの質量%濃度([%Zn])との関係が、
0.5≦[%Sn]+0.16[%Zn]≦2.0
の範囲に調整され、さらにP、As、Sb及びBi濃度の合計が100質量ppm以下、Ca及びMg濃度の合計が100質量ppm以下であり、O濃度が30質量ppm以下、S濃度が30質量ppm以下であり、残部がCu及び不可避的不純物より構成されることを特徴とするSnめっきの耐熱剥離性に優れるCu−Zn−Sn系合金条
(2)2〜12質量%のZn、0.1〜1.0質量%のSnを含有し、Snの質量%濃度([%Sn])とZnの質量%濃度([%Zn])との関係が、
0.6≦[%Sn]+0.16[%Zn]≦2.0
の範囲に調整され、さらにP、As、Sb及びBi濃度の合計が100質量ppm以下、Ca及びMg濃度の合計が100質量ppm以下であり、O濃度が30質量ppm以下、S濃度が30質量ppm以下であり、残部がCu及び不可避的不純物より構成されることを特徴とするSnめっきの耐熱剥離性に優れるCu−Zn−Sn系合金条
(3)Ni、Fe、Mn、Co、Ti、Cr、Zr、Al及びAgのなかの一種以上を0.005〜0.5質量%の範囲で含有することを特徴とする上記(1)または(2)のCu−Zn−Sn系
(4)上記(1)〜(3)のCu−Zn−Sn系合金条を母材とし、表面から母材にかけて、Sn相、Sn−Cu合金相、Cu相の各層でめっき皮膜が構成され、Sn相の厚みが0.1〜1.5μm、Sn−Cu合金相の厚みが0.1〜1.5μm、Cu相の厚みが0〜0.8μmであることを特徴とする、耐熱剥離性に優れるCu−Zn−Sn系合金Snめっき条
(5)上記(1)〜(3)のCu−Zn−Sn系合金条を母材とし、表面から母材にかけて、Sn相、Sn−Cu合金相、Ni相の各層でめっき皮膜が構成され、Sn相の厚みが0.1〜1.5μm、Sn−Cu合金相の厚みが0.1〜1.5μm、Ni相の厚みが0.1〜0.8μmであることを特徴とする、耐熱剥離性に優れるCu−Zn−Sn系合金Snめっき条
を提供する。
(イ)Zn及びSn濃度
本発明の銅合金は、ZnとSnを基本成分とし、両元素の作用により機械的特性と導電性を作りこむ。Zn濃度及びSn濃度の範囲は、それぞれ2〜12質量%及び0.1〜1.0質量%とする。Znが2質量%を下回ると、Snめっきの耐熱剥離性改善に対するZnの効果が失われる。Znが12質量%を超えると、Sn濃度を調整しても35%IACS以上の導電率が得られなくなる。Snは圧延の際の加工硬化を促進する作用を持ち、Snが0.1%を下回ると強度が不足する。一方、Snが1.0%を超えると、Snめっきの耐熱剥離性が劣化する。
SnとZnの合計濃度(T)は、次のように調整する。
0.5 ≦T ≦2.0
T=[%Sn]+0.16[%Zn]
ここで、[%Sn]及び[%Zn]はそれぞれSn及びZnの質量%濃度である。Tを2.0以下にすれば35%IACS以上の導電率が得られる。また、Tを0.5以上にすれば、金属組織を適切に調整することにより、410MPa以上の引張強さが得られる。そこで、Tを0.5〜2.0に規定するが、好ましくは0.6〜2.0である。
さらに、より好ましいTの範囲は1.0〜1.7であり、この範囲に調整することにより、35%IACS以上の導電率と410MPa以上の引張強さがより安定して得られる。
本発明合金には、合金の強度、耐熱性、耐応力緩和性等を改善する目的で、Ni、Fe、Mn、Co、Ti、Cr、Zr、Al及びAgの中の一種以上を合計で0.005〜0.5質量%添加することができる。ただし、合金元素の追加は、導電率の低下、製造性の低下、原料コストの増加等を招くことがあるので、この点への配慮は必要である。
上記元素の合計量が0.005質量%を下回ると、特性向上の効果が発現しない。一方、上記元素の合計量が0.5質量%を超えると、導電率低下が著しくなる。そこで、合計量を0.005〜0.5質量%に規定する。
5B族のP、As、Sb及びBiは、めっきと母材との界面に濃化することにより、熱剥離を促進する元素である。そこで、これらの濃度を合計で100質量ppm以下に規制する。より好ましい濃度は5質量ppm以下である。
Pは銅合金の脱酸剤や合金元素として良く用いられる元素であり、例えば特開昭60−86230に見られるように、特性改善のためCu−Zn−Sn系合金にPを添加することもある。P濃度を低く抑えるためには、脱酸剤や合金元素としてPを添加しないことはもちろん、Pを含有する銅合金スクラップを原料として用いないことなども必要である。
P、As、Sb及びBiの合計濃度の下限値は特に規制されるものではないが、1質量ppm未満に下げようとすると多大な精錬コストが必要となるため、1質量ppm以上にするのが通常である。
次に、めっきと母材の界面に濃化することにより熱剥離を促進する元素として、P、As、Sb、Bi以外に、MgとCaがある。そこで、MgとCaの濃度を合計で100質量ppm以下に規制する。より好ましい濃度は5質量ppm以下である。
Mgは銅合金の脱酸剤や合金元素として良く用いられる元素であり、特に応力緩和特性に対するMgの効果は顕著である。Mgを低く抑えるためには、脱酸剤や合金元素としてMgを添加しないことはもちろん、Mgを含有する銅合金スクラップを原料として用いないことなども必要である。
従来のCu−Zn−Sn系合金のSnめっき条では、不純物の精密な制御は行われていなかった。例えば、特許文献4では2000質量ppmの不純物の含有が許容されている。
Mg及びCaの合計濃度の下限値は特に規制されるものではないが、0.5質量ppm未満に下げようとすると多大な精錬コストが必要となるため、0.5質量ppm以上にするのが通常である。
O及びSの各濃度は、30質量ppm以下に規制する。いずれかの濃度が30質量ppmを超えると、Snめっきの耐熱剥離性が劣化する。
(ニ−1)Cu下地めっきの場合(請求項3)
Cu−Zn−Sn系合金母材上に、電気めっきによりCuめっき層及びSnめっき層を順次形成し、その後リフロー処理を行う。このリフロー処理により、Cuめっき層とSnめっき層が反応してSn−Cu合金相が形成され、めっき層構造は、表面側よりSn相、Sn−Cu合金相、Cu相となる。
リフロー後のこれら各相の厚みは、
・Sn相:0.1〜1.5μm
・Sn−Cu合金相:0.1〜1.5μm
・Cu相:0〜0.8μm
の範囲に調整する。
Sn相が0.1μm未満になると半田濡れ性が低下し、1.5μmを超えると加熱した際にめっき層内部に発生する熱応力が高くなり、めっき剥離が促進される。より好ましい範囲は0.2〜1.0μmである。
Cu−Zn−Sn系合金ではCu下地めっきを行うことにより、半田濡れ性が向上する。したがって、電着時に0.1μm以上のCu下地めっきを施す必要がある。このCu下地めっきは、リフロー時にSn−Cu合金相形成に消費され消失しても良い。すなわち、リフロー後のCu相厚みの下限値は規制されず、厚みがゼロになってもよい。
電気めっき時の各めっきの厚みを、Snめっきは0.5〜1.8μmの範囲、Cuめっきは0.1〜1.2μmの範囲で適宜調整し、230〜600℃、3〜30秒間の範囲の中の適当な条件でリフロー処理を行うことにより、上記めっき構造が得られる。
Cu−Zn−Sn系合金母材上に、電気めっきによりNiめっき層、Cuめっき層及びSnめっき層を順次形成し、その後リフロー処理を行う。このリフロー処理により、CuめっきはSnと反応してSn−Cu合金相となり、Cu相は消失する。一方Ni層は、ほぼ電気めっき上がりの状態で残留する。その結果、めっき層の構造は、表面側よりSn相、Sn−Cu合金相、Ni相となる。
リフロー後のこれら各相の厚みは、
・Sn相:0.1〜1.5μm
・Sn−Cu合金相:0.1〜1.5μm
・Ni相:0.1〜0.8μm
の範囲に調整する。
Sn相が0.1μm未満になると半田濡れ性が低下し、1.5μmを超えると加熱した際にめっき層内部に発生する熱応力が高くなり、めっき剥離が促進される。より好ましい範囲は0.2〜1.0μmである。
Sn−Cu合金相は硬質なため、0.1μm以上の厚さで存在すると挿入力の低減に寄与する。一方、Sn−Cu合金相の厚さが1.5μmを超えると、加熱した際にめっき層内部に発生する熱応力が高くなり、めっき剥離が促進される。より好ましい厚みは0.5〜1.2μmである。
電気めっき時の各めっきの厚みを、Snめっきは0.5〜1.8μmの範囲、Cuめっきは0.1〜0.4μm、Niめっきは0.1〜0.8μmの範囲で適宜調整し、230〜600℃、3〜30秒間の範囲の中の適当な条件でリフロー処理を行うことにより、上記めっき構造が得られる。
高周波誘導炉用い、内径60mm、深さ200mmの黒鉛るつぼ中で2kgの高純度銅を溶解した。溶湯表面を木炭片で覆った後、所定量のZn及びSnを添加し、溶湯温度を1200℃に調整した。次に、P、As、Sb、Bi、Ca、Mg及びSを添加して不純物濃度を調整した。O濃度が高い試料を作製する場合は、溶湯表面の一部を被覆した木炭から露出させた。
その後、溶湯を金型に鋳込み、幅60mm、厚み30mmのインゴットを製造し、以下の工程で、Cu下地リフローSnめっき材及びCu/Ni下地リフローSnめっき材に加工した。
(工程2)熱間圧延板表面の酸化スケールをグラインダーで研削、除去する。
(工程3)板厚1.5mmまで冷間圧延する。
(工程4)再結晶焼鈍として400℃で30分間加熱する。
(工程5)10質量%硫酸−1質量%過酸化水素溶液による酸洗及び#1200エメリー紙による機械研磨を順次行い、表面酸化膜を除去する。
(工程6)板厚0.43mmまで圧延する。
(工程7)再結晶焼鈍として400℃で30分間加熱する。
(工程8)10質量%硫酸−1質量%過酸化水素溶液による酸洗を行い、表面酸化膜を除去する。
(工程9)板厚0.3mmまで冷間圧延する。
(工程10)アルカリ水溶液中で試料をカソードとして電解脱脂を行う。
(工程11)10質量%硫酸水溶液を用いて酸洗する。
(工程12)次の条件でNi下地めっきを施す(Cu/Ni下地の場合のみ)。
・めっき浴組成:硫酸ニッケル250g/L、塩化ニッケル45g/L、ホウ酸30g/L。
・めっき浴温度:50℃。
・電流密度:5A/dm2。
・Niめっき厚みは、電着時間により調整。
(工程13)次の条件でCu下地めっきを施す。
・めっき浴組成:硫酸銅200g/L、硫酸60g/L。
・めっき浴温度:25℃。
・電流密度:5A/dm2。
・Cuめっき厚みは、電着時間により調整。
(工程14)次の条件でSnめっきを施す。
・めっき浴組成:酸化第1錫41g/L、フェノールスルホン酸268g/L、界面活性剤5g/L。
・めっき浴温度:50℃。
・電流密度:9A/dm2。
・Snめっき厚みは、電着時間により調整。
(工程15)リフロー処理として、温度を400℃、雰囲気ガスを窒素(酸素1vol%以下)に調整した加熱炉中に、試料を10秒間挿入し水冷する。
(a)母材の成分分析
機械研磨と化学エッチングによりめっき層を完全に除去した後、Zn及びSn濃度をICP−発光分光法で、P、As、Sb、Bi、Ca、Mg及びS濃度をICP−質量分析法で、O濃度を不活性ガス溶融−赤外線吸収法で測定した。
(b)母材の導電率測定
機械研磨と化学エッチングによりめっき層を完全に除去した後、4端子法により導電率を測定した。
(c)強度
引張り方向が圧延方向と平行になる方向に、JIS−Z2201(2003年)に規定された13B号試験片を採取した。この試験片を用いてJIS−Z2241(2003年)に従って引張試験を行い、引張強さを求めた。この測定はめっき付のまま行った。
(d)曲げ加工性
幅10mmの短冊形試料を用い、JIS Z 2248に準拠し、Good Way(曲げ軸が圧延方向と直行する方向)及びBad Way(曲げ軸が圧延方向と平行な方向)に、180度密着曲げ試験を行った。曲げ後の試料につき、曲げ部の表面及び断面から、割れの有無を観察し、割れが発生しなかった場合を180度密着曲げ可能と判定した。
(e)電解式膜厚計によるめっき厚測定
リフロー後の試料に対しSn相及びSn−Cu合金相の厚みを測定した。なお、この方法ではCu相及びNi相の厚みを測ることはできない。
リフロー後の試料をアセトン中で超音波脱脂した後、GDS(グロー放電発光分光分析装置)により、Sn、Cu、Niの深さ方向の濃度プロファイルを求めた。測定条件は次の通りである。
・装置:JOBIN YBON社製 JY5000RF−PSS型
・Current Method Program:CNBinteel−12aa−0。
・Mode:Constant Electric Power=40W。
・Ar−Presser:775Pa。
・Current Value:40mA(700V)。
・Flush Time:20sec。
・Preburne Time:2sec。
・Determination Time:Analysis Time=30sec、Sampling Time=0.020sec/point。
幅10mmの短冊試験片を採取し、105℃または150℃の温度で、大気中3000時間まで加熱した。その間、100時間毎に試料を加熱炉から取り出し、曲げ半径0.5mmの90°曲げと曲げ戻し(90°曲げを往復一回)を行った。そして、曲げ内周部表面を光学顕微鏡(倍率50倍)で観察し、めっき剥離の有無を調べた。
(実施例1)
Cu下地めっき材については、Cuの厚みを0.3μm、Snの厚みを0.8μmとして電気めっきを行ったところ、試料によらず、400℃で10秒間リフローした後のSn相の厚みは約0.4μm、Cu−Sn合金相の厚みは約1μmとなり、Cu相は消失していた。
Cu/Ni下地めっき材については、Niの厚みを0.2μm、Cuの厚みを0.3μm、Snの厚みを0.8μmとして電気めっきを行ったところ、400℃で10秒間リフローした後のSn相の厚みは約0.4μm、Cu−Sn合金相の厚みは約1μmとなり、Cu相は消失し、Ni相は電着時の厚み(0.2μm)のまま残留していた。
なお、表1及び表2のいずれの合金でも、Good Way及びBad Wayの180度密着曲げが可能であった。
本発明合金である発明例1〜34については、35%IACSの導電率及び410MPa以上の耐力を有しており、Cu下地、Cu/Ni下地にかかわらず、105℃、150℃とも3000時間加熱してもめっき剥離が生じていない。
比較例10ではSnが0.1質量%を下回った。比較例10では3000時間加熱してもめっき剥離が生じなかったものの、引張強さが410MPaに満たなかった。
比較例11ではZnとSnの合計添加量が多すぎたためTが2を超えた。比較例12ではZnが12質量%を超えたためTが2を超えた。比較例11,12では3000時間加熱してもめっき剥離が生じなかったものの、導電率が35%IACSに満たなかった。
(実施例2)
表3はCu下地めっきでのデータである。本発明合金である発明例1〜8については、105℃、150℃とも3000時間加熱してもめっき剥離が生じていない。
発明例1〜4及び比較例3では、Snの電着厚みを0.9μmとし、Cu下地の厚みを変化させている。リフロー後のCu下地厚みが0.8μmを超えた比較例3では105℃、150℃とも、剥離時間が3000時間を下回っている。
発明例1〜3及び比較例3では、Snの電着厚みを0.9μm、Cuの電着厚みを0.2μmとし、Ni下地の厚みを変化させている。リフロー後のNi相の厚みが0.8μmを超えた比較例3では105℃、150℃とも、剥離時間が3000時間を下回っている。
Snの電着厚みを2.0μm、Cuの電着厚みを0.6μmとし、リフロー時間を他の実施例より延ばした比較例2では、Sn−Cu合金相厚みが1.5μmを超え、105℃、150℃とも、剥離時間が3000時間を下回っている。
Claims (5)
- 2〜12質量%のZn、0.1〜1.0質量%のSnを含有し、Snの質量%濃度([%Sn])とZnの質量%濃度([%Zn])との関係が、
0.5≦[%Sn]+0.16[%Zn]≦2.0
の範囲に調整され、さらにP、As、Sb及びBi濃度の合計が100質量ppm以下、Ca及びMg濃度の合計が100質量ppm以下であり、O濃度が30質量ppm以下、S濃度が30質量ppm以下であり、残部がCu及び不可避的不純物より構成されることを特徴とするSnめっきの耐熱剥離性に優れるCu−Zn−Sn系合金条。 - 2〜12質量%のZn、0.1〜1.0質量%のSnを含有し、Snの質量%濃度([%Sn])とZnの質量%濃度([%Zn])との関係が、
0.6≦[%Sn]+0.16[%Zn]≦2.0
の範囲に調整され、さらにP、As、Sb及びBi濃度の合計が100質量ppm以下、Ca及びMg濃度の合計が100質量ppm以下であり、O濃度が30質量ppm以下、S濃度が30質量ppm以下であり、残部がCu及び不可避的不純物より構成されることを特徴とするSnめっきの耐熱剥離性に優れるCu−Zn−Sn系合金条。 - Ni、Fe、Mn、Co、Ti、Cr、Zr、Al及びAgの中の一種以上を0.005〜0.5質量%の範囲で含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のCu−Zn−Sn系合金条。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のCu−Zn−Sn系合金条を母材とし、表面から母材にかけて、Sn相、Sn−Cu合金相、Cu相の各層でめっき皮膜が構成され、Sn相の厚みが0.1〜1.5μm、Sn−Cu合金相の厚みが0.1〜1.5μm、Cu相の厚みが0〜0.8μmであることを特徴とする、耐熱剥離性に優れるCu−Zn−Sn系合金Snめっき条。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のCu−Zn−Sn系合金条を母材とし、表面から母材にかけて、Sn相、Sn−Cu合金相、Ni相の各層でめっき皮膜が構成され、Sn相の厚みが0.1〜1.5μm、Sn−Cu合金相の厚みが0.1〜1.5μm、Ni相の厚みが0.1〜0.8μmであることを特徴とする、耐熱剥離性に優れるCu−Zn−Sn系合金Snめっき条。
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