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JP4819809B2 - 血管幹細胞及びその使用 - Google Patents

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Description

[発明の分野]
本発明は、血管幹細胞が濃縮された細胞集団を得るための方法及び本方法から得られた血管幹細胞に関する。これらの血管幹細胞は、様々な目的に使用することができ、特に末梢性虚血(peripheral ischemia)及び心筋梗塞を含む虚血性疾患の治療のための細胞療法に使用することができる。
[発明の背景]
虚血は、身体の任意の部位への血液供給が不十分であることに関する。心筋における虚血に最も共通する原因は、冠状動脈疾患によるものであり、これは酸素が豊富な血液が心臓に達することを阻止する動脈の閉塞(blockage)である。心臓における血流が中断された場合、心臓発作が発生する。
進行した冠動脈疾患を有する患者は、アンギナ、呼吸の喪失、疲労、発汗および 悪心などの弱い症状を有する。重篤な虚血を伴った冠動脈疾患を有する患者において、幾つかのタイプの介入(intervention)をこれら患者の生命が維持されるために実施しなければならない。
心臓の他に、虚血は、様々な動脈への外傷性傷害(traumatic injuries)によって骨格筋にも発生する可能性があり、これは末梢性虚血として一般的に知られている。このケースにおいて、重篤な虚血が適切に治療されていない場合、手足を切断する可能性がある。
虚血を治療するための外科的な処置は、公知の実施された方法である。例えば、虚血性心疾患を冠動脈バイパス術または血管形成術で治療することによって、大抵のケースにおいて、本疾患の症状を減少させること及びこれらの患者の生命を長引かせることができる。
外科的な介入の代替として、自然の血管形成技術が探索されてきた。これらの技術は、新たな血管をFGF-1;VEGFおよびIGFなどの成長因子で血管形成(angiogenesis)を惹起することによって産生する身体の能力に依存する。加えて、心筋梗塞のケースにおいては、虚血傷害された心筋層に移植された自家の骨格筋筋芽細胞を用いる研究が行われている。
上記技術に伴う問題は、小さい末梢血管に広がった虚血が存在することによる、不完全な血管再生がしばしば生じることである。さらにまた、血管再生が発生する場合、しばしばプロセスが遅すぎて器官機能を完全に回復することができない。
傷害され、虚血性で、再生している器官の急速な血管再生が、器官機能を回復するために必須である。従って、今日、多くの科学的な努力が、虚血(同様に他の疾患)を治療するために、血管前駆細胞(vascular progenitor cells)を送達して、器官の血管再生の回復を促進することに注がれている。幾つかの研究は、骨髄由来細胞または末梢血を循環している細胞が、傷の治癒および手足の虚血および心筋梗塞後の血管新生(neoangiogenesis)に機能的に寄与することを示した〔例えば、Rafii, S., Lynden, D., Nat. Med. 6, 702-712, 2003を参照されたい〕。
血管形成を増強させる造血幹細胞から由来した内皮細胞前駆体の使用は、米国特許5,980,887号などに記載されている。
これらの先駆的な臨床試験に関する熱意にもかかわらず、無作為化臨床試験において次の事項を決定することが残っている;その事項とは、これらの治療戦略が、血管再生を長期的に改善し、何らかの長期間での毒性を呈することなく、疾病率(morbidity)および死亡率(mortality)を減少させるかどうかである。遅発性の毒性は、異なる組織特異性の幹、前駆、および造血細胞を含む骨髄単核細胞の全集団の使用の結果として明らかとなるだろう。これは決定的に重要である。というのも、非必須細胞を器官に導入することは、毒性の増加に関連しえるからである。造血細胞は、例えば、原線維性(profibrotic)で過剰な量の血管形成因子を産生することができるので、これらの細胞を哺乳類に不必要に導入することによって、浮腫および遅延性に出血する傾向の血管(hemorrhage-prone vessels)の形成が誘導されえる。さらに、再生している心筋層に導入された場合、これらの非必須細胞は、非心臓性(noncardiac)または非血管性(nonvascular)の組織の産生および生命を脅かす不整脈を生じるだろう。従って、血管幹細胞および/または前駆細胞の純粋な集団を取得するための、より複雑な単離手段が、将来の合併症および潜在的な臨床上の後退(これによって将来の試験が中止され、血管幹細胞治療の真の価値が軽減されうる)を避けるために必要である。
米国特許出願第20030194802号は、胚性幹細胞から血管前駆細胞を単離するための方法を提供する。しかしながら、臨床適用の観点において、胚性幹細胞を使用することによって、細胞の供給に関して、様々な倫理的な及び免疫学的な問題が提起される。
従って、当該技術において、成体細胞から血管幹細胞が濃縮された細胞集団を単離する方法を提供する必要性が依然として存在する。
従って、本発明の課題は、血管幹細胞が濃縮された細胞集団を取得する方法を提供することであり、該方法によって、当該技術分野で公知のものよりも純粋な血管幹細胞が提供される。
本発明の別の課題は、血管幹細胞が濃縮された細胞集団を提供することである。
本発明のさらに別の課題は、濃縮した血管幹細胞を係る治療を必要とする哺乳類に投与することによって、血管再生を誘導する方法を提供することである。
濃縮した血管幹細胞を、虚血に関連する疾患を治療するための細胞治療製品の調製に使用することも、本発明の課題である。
本発明の細胞およびバイオマトリックスを含んでいるキット、同様に、本発明の血管幹細胞および生理学的に許容される担体を含んでいる組成物も、本発明の課題である。
これらの及び他の課題が、発明の概要、好適な態様の記載、及び特許請求の範囲からも明らかなように、本発明によって達成される。
[発明の概要]
本発明は、哺乳類の動脈から単離された動脈細胞の2つの集団、即ち:亜集団細胞(SP)および主集団(MP)細胞に関する。SP細胞は、本明細書中で血管幹細胞が濃縮された細胞集団をも意味する。
本発明は、血管幹細胞が濃縮された細胞集団を取得するための方法を提供し、該方法は:
(a)哺乳類の動脈から単離された細胞を提供することと;
(b)工程(a)で提供された前記細胞を、ATP-結合カセットトランスポーターに対する標識された生体(vital)の及び/又は親油性の基質と、前記細胞による前記基質の取り込みに適切な条件下で混合(combining)させることと;
(c)各細胞に存在する標識された基質の量を決定することと;および
(d)最低量の基質を含有する有核細胞(nucleated cells)の集団を単離することとを備え、これによって血管幹細胞が濃縮された前記細胞集団を取得する。
別の側面において、本発明は血管幹細胞が濃縮された細胞集団を取得する方法を提供し、該方法は哺乳類の動脈から分離された細胞を提供すること;およびBcrp1トランスポーターを発現している細胞を選択することを備える。
なお別の側面において、本発明は血管組織を調製するための方法に関し、該方法は本発明による血管幹細胞が濃縮された細胞集団を、少なくとも1つの血管性(vasculogenic)および/または血管形成性(angiogenic)の成長因子の存在下で、血管組織分化を誘導するために適切な条件下で培養することを備え、これによって血管組織を取得する。
なお別の側面において、本発明は、血管化し再生した哺乳類の組織を調製するための方法を提供し、該方法は:
本発明による血管幹細胞が濃縮された細胞集団を提供することと;および
前記細胞集団を、単離された哺乳類の組織と、血管幹細胞の血管細胞への分化に適切な条件下で接触させることを備え、これによって血管化し再生した哺乳類の組織を取得する。
細胞療法製品を取得するための方法も開示される。この方法は、本発明による血管幹細胞が濃縮された集団細胞;本発明にしたがって調製される血管組織;および本発明にしたがって調製される血管化し再生した組織(a vascularized regenerated tissue);からなる群から選択される細胞組成物を提供することと、前記細胞組成物の効果的な量を哺乳類でのインビボ投与のための適切なビヒクルと混合させることを備え、これによって細胞療法製品を得る。
血管形成性の又は抗-血管形成性の化合物を有している化合物をスクリーニングするためのインビトロ法も、本発明の血管幹細胞が濃縮された細胞集団を含んでいる組成物およびキットと同様に開示される。
[発明の好適な態様の記載]
本明細書中に使用される「哺乳類(mammal)」および「哺乳類の(mammalian)」の用語は、単孔類、有袋類、有胎盤類(placentals)を含む、彼等の幼年者に授乳する及び生きている幼年者を誕生させる(真獣類または胎盤性の哺乳類)または産卵する(後獣類または非胎盤性の哺乳類)、任意の脊椎動物を意味する。哺乳類の種の例には、ヒトおよび他の霊長類(例えば、サル, チンパンジー), 齧歯類(例えば、ラット, マウス, モルモット)および反芻動物(例えば、ウシ, ブタ, ウマ)が含まれる。
本明細書中に使用される「血管再生(revascularization)」の用語は、幹細胞からの現存の血管の成長および/または新しい血管の成長を意味する。
本明細書中に使用される、「血管幹細胞が濃縮された(enriched in vascular stem cells)」の用語は、前記血管幹細胞が他の細胞と比較して豊富であることを意味する。
本明細書中に使用される、「治療(treat)」の用語は、医療をそれを必要とする患者に提供すること又は疾患またはコンディションを管理(manage)することを包含する。
本明細書中に使用される「Brcp1トランスポーター(Brcp1トランスポーター)」の用語には、ABCG2トランスポーターまたはMXRトランスポーターまたはABCPトランスポーターが含まれる。これらのトランスポーターの全ては、本発明に包含される。というのも、彼等は、科学論文で同じトランスポーターであるとされているからである。
本発明の方法において、動脈の一部が哺乳類から最初に摘出され、細胞はそれに由来する。任意の哺乳類の動脈を本発明の方法に使用することができ、これには大動脈(aortic)、大腿(femoral)、胸部(thoracic)、腹腔(abdominal)、中手(metacarpal)、頚部(jugular)、橈骨(radial)のものが含まれるが、これらに限定されない。
一側面において、前記哺乳類はマウス(murine)であり、前記動脈は大動脈である。別の側面において、前記哺乳類はヒトであり、除去される前記動脈は橈骨動脈である。なお別の側面において、前記哺乳類は、末梢性の虚血性疾患を被っているか又は心筋梗塞を経験したヒト患者である。前記動脈は、例えば、Reyes等〔Reyes et al., Ann Thorac Surg 59:118-26 (1995)〕に記載されたような当該技術分野において既知の方法にしたがって除去される。
除去された動脈は次のように切開することができる、即ち:周囲をとりまく脂肪および外膜を前記動脈から穏かに除去し;残存している中膜および内膜を注意深くミンスする。例えば、患者の橈骨動脈の2〜20cmを除去することができる。一側面において、およそ10cmが患者から除去される。
本明細書中に使用される「外膜(adventitia)」の用語は、動脈の外部の膜(層)を意味する。「中膜(media)」の用語は、動脈の中央の膜(層)を意味する。「内膜(intima)」の用語は、動脈の内部の膜(層)を意味する。
ミンスは、優れたハサミで手動で実施することができる。
ミンスしたサンプルは、次に酵素消化を、恒温器中で回転させるなどの条件で行われる。本明細書中に使用される「酵素消化を行う(to undergo enzymatic digestion)」は、血管細胞を解離するために動脈組織(細胞外基質)を解離することができる1若しくは複数の酵素の存在下に置かれることを意味する。
本発明の方法に単独で又は組合せて使用するために適切な消化酵素は、II型コラゲナーゼである。他の酵素は、次の酵素の中から選択されて使用される、つまり:全てのコラゲナーゼ、トリプシン、ディスパーゼまたはプロテアーゼ、プロナーゼ、エラスターゼ;および/または、ヒアルロニダーゼである。
本発明の方法に使用される酵素量は、血管細胞を遊離させる目的で、動脈組織の細胞外基質を消化するのに十分な量である。酵素量および消化時間は、使用される特定の酵素または酵素の組み合わせに及び除去された動脈の特性に依存して変動する。
マウスに関する例として、430単位付近のコラゲナーゼII型を1mLに希釈したものによって、マウスの大動脈の適切な消化が可能であり、4時間、37゜Cでインキュベーションされる。ヒトにおいて、インキュベーション時間および/または酵素濃度を増加させてもよい。
消化された細胞は、次に適切な培地(例えば、適切な培養培地)に再懸濁され、そして、前記方法の工程(b)にしたがって、ABC(ATP-結合カセット)トランスポーターに関する標識された基質と混合される。適切な培地の例は、細胞の培養培地DMEMである。
本明細書中に使用される「ABC(ATP-結合カセット)トランスポーターに関する基質〔substrate for ABC (ATP-Binding Cassette) transporters〕」の用語は、ABC(ATP-結合カセット)トランスポーターによって血管細胞から除去される物質を意味する。本発明によると、ABCトランスポーターに対する基質は、ベラパミルなどのABCトランスポーターのインヒビターの存在下で前記細胞から除去されない化合物である。
前記基質は、一般には親油性の基質である。ABCトランスポーターの基質は、次の化合物のなかから選択することができる、即ち:トポイソメラーゼインヒビター, および、例えば、アントラサイクリン及びそのアナログ(ミトキサントロン), ドキソルビシン, ダウノマイシン(daunomycine)〔エピルビシン(epirubicine), イダルビシン(idarubicine)〕, エピポドフィロトキシン(エトポシドVP-16), カンプトセシン(トポテカン, イリノテカン, SN-38, エキサテカン)およびインドロカルバゾール(indolocarbazoles)(NB-506, J-107088), カルケアミシン(calcheamicine), ポルフィリン及びポルフィリンのアナログ(フェオホルビド, プロトポルフィリンXI), PhIP, ビオフラボノイド, フラボピリドール(flavopiridol), 抗-HIVヌクレオシドアナログ(ラミブジン(=3TC), ジドブジン(=AZT)), ヘキスト33342, ローダミン123 等々である。
前記方法の特定の態様において、ABCトランスポーターの基質はヘキスト33342およびローダミン123のなかから選択される。
ABCトランスポーターのインヒビターには、ベラパミルおよびフミトレモルギンC(fumitremorgin C)(およびアナログKo143)が含まれる。ABCトランスポーターの他のインヒビターは、Bcrp1のインヒビターのなかから選択することができ、これにはバナジン酸, シクロスポリン, レセルピン, GF120918, およびチロシン-キナーゼのインヒビター、例えば、CI1033, ゲフィチニブ, イマチニブ、同様にモノクローン性5D3などの抗-ABCG2ブロッキング抗体 等々が含まれる。
本発明の目的に関して、前記基質は標識されている。本明細書中に使用される「標識された(labelled)」の用語は、前記基質が容易に検出することができる及び適切な装置を用いて定量することができることを意味する。適切な標識化には、放射標識、酵素性、化学発光性の標識化または蛍光性の標識化が含まれる。
本発明の別の側面において、ATP-結合カセットトランスポーターに対する標識された前記基質は、生体の親油性の蛍光色素(例えば、ヘキスト33242)である。係る態様において、本発明の方法の工程c)は、前記細胞を前記色素の蛍光を生じる励起波長に暴露させること及び各細胞の蛍光発光を決定することによって実施される。
本発明の方法に使用される標識された基質の量は、細胞における前記基質の存在を検出するために十分な量である。標識された基質の量は、利用される基質に及び前記細胞の供給源に依存して変動する。別の側面において、使用された蛍光色素の量は、約0.1μg/ml〜8μg/mlの間である。
標識された基質での染色時間(即ち、細胞が色素に暴露される時間の長さ)は、染色が生じる温度に及び使用された色素濃度に依存して変動する。別の側面において、蛍光色素での染色時間は、約60〜120分間の間(例えば、90分間)である。
前記色素での染色を実施することができる温度は、一般に約35゜C〜約40゜Cであるが、約37゜C変動しえる。
前記方法の別の側面において、前記細胞集団は、5μg/mlのヘキスト33342と60〜120分間(例えば、90分間)、37゜Cで混合される。
結果的な組み合わせは、色素の蛍光を生じる励起波長に暴露され、発光波長で観察される。発光波長で分解される、各細胞タイプに含有される色素の量が決定される。以下で報告されるとおり、次の事項が見出された;その事項とは、発光波長で最低量の色素を含有する有核細胞の集団が、有核細胞の他の集団と比較して、血管幹細胞が濃縮された前記細胞集団であることである。従って、発光波長で最低量の色素を含有する有核細胞の集団が、有核細胞の他の集団と比較されて、単離される。
別の側面において、ヘキスト33342色素を用いる場合に、各細胞型に依存して、前記励起波長は約351nmであり、前記発光波長は400〜700nmから選択される。
標識された基質の最低量を含有する細胞集団は、選択的なソーティング処置を実施するための当該技術において利用可能な様々な方法を用いて単離される。例として、クローニングによる、フローサイト蛍光測定法(flow cytofluorimetry)による、特異的な抗体を用いる免疫親和性又は免疫磁気カラム等々によるソーティングの技術を使用することができる。
本発明の方法に使用することができるソーティング処置は、FACSソーティング処置である。該処理は、ヘキスト33342(Sigma Aldrich Chimie SARL, Saint Quentin Fallavier, France)などの蛍光標識基質を用いた場合に、実施することができる。
動脈サンプルにおける有核の血管細胞集団の蛍光強度(即ち、有核の血管細胞の集団に存在する標識された基質の量に対応する)は、前記動脈サンプル中の有核の血管細胞の他の集団と比較して、各細胞集団間の蛍光強度を比較することによって決定される。この情報を使用して、血管幹細胞が存在するソーティングプロファイル中の領域が規定される。
このようにFACSソーティングは、発光波長で最低量の色素を含有する有核細胞の集団を、有核細胞の他の集団と比較して、決定する及び単離する便利な方法であり、これによって血管幹細胞が濃縮された細胞集団が得られる。
なお別の側面において、蛍光の生体色素の染色プロファイルに影響しないが、死細胞の排除を許容する色素(例えば、プロピジウムヨウ化物)が蛍光の生体色素に加えて添加される。
典型的に、ネガティブコントロールとして、哺乳類の動脈から単離された血管細胞が、ABCトランスポーターのインヒビター(例えば、ベラパミル, Sigma Aldrich)の存在下で蛍光の生体色素で染色される。同時に、検査サンプルとして、血管細胞の第2のサンプルが、前記インヒビターの非存在下で蛍光の生体色素で染色される。染色されたサンプル(ネガティブコントロールおよび検査サンプル)は、色素の蛍光を生じる励起波長に暴露され、発光波長で決定される。ネガティブコントロールにおいて観察される細胞集団は、検査サンプルにおいて観察される細胞集団と比較される。血管幹細胞は、検査サンプルにおいて認識されるが、ネガティブコントロールにおいて認識されない。このアプローチを使用して、本発明の方法を用いた血管幹細胞の単離に関して位置(ゲートのセット)を規定することができる。
蛍光強度は、1つの発光波長で決定することができる。或いは、蛍光強度は、2つの発光波長で決定することができる。適切な発光波長は、本発明の方法に使用された色素の蛍光を測定するものであり、生きた血管細胞の個別の集団が蛍光の強度における差異の結果として分離される。例えば、ヘキスト33342発光は、約450nm〜約700nm(および一側面において、約670nm)の波長の範囲で検出することができる。また、ヘキスト33342発光は、約424nmおよび約670nmの同時波長(simultaneous wavelengths)で検出することができる。ヘキスト33342発光は、424nmのロングパスフィルターで検出される。プロピジウムヨウ化物の蛍光は、670nmのロングパスフィルターで検出することができる。
前記組成物は、血管幹細胞に関してポジティブ選択によって又は既知の幹細胞に特異的なマーカーに関して及び/又は系統特異的なマーカーに関してネガティブ選択、又は濾過を用いたサイズ選択によって更に濃縮しえる。
本発明による血管幹細胞が濃縮された細胞集団に特異的な1つのマーカーは、Bcrp1トランスポーターである。このように、本発明は、哺乳類の動脈細胞からの血管幹細胞を検出する及び/又は精製するための、Bcrp1トランスポーターに特異的に結合する化合物の使用に関する。別の側面において、Bcrp1トランスポーターに特異的に結合する化合物は、Bcrp1に対して作出された抗体のなかから選択される。Bcrp1トランスポーターに関して作出されたポリクローナルまたはモノクローナル抗体は、例えば、Sambrook等〔Sambrook et al, Molecular Cloning, A Laboratory Manual (January 2001)、本明細書に参照によって援用される〕に例示された処置にしたがうことによって、当該技術において周知の方法にしたがって取得することができる。
このように本発明は、血管幹細胞が濃縮された細胞集団を取得するための方法を提供し、該方法は以下を備える:
a)哺乳類の動脈から分離された血管幹細胞を提供することと;
b)Bcrp1トランスポーターを発現する血管幹細胞を選択すること。
一側面において、工程b)は、FACSソーティングによって実施される。以前に開示したとおり、特定の細胞タイプの細胞集団を濃縮(enriching)する又は枯渇(depleting)させるための工程を、さらに実施することができる。
多様な技術を、ポジティブ選択を実施するために用いてもよい。モノクローナル抗体は、特定の細胞系統および/または分化段階に関連するマーカーを同定するために特に有用である。ポジティブ選択または分離に関する技術には、抗体被覆磁気ビーズを用いる磁気分離、アフィニティークロマトグラフィーおよび固形マトリックス(例えば、プレート)に付着させた抗体でのパニング、エルトリエーションが含まれるが、これらに限定されない。
本発明の細胞集団は、幹細胞又はその子孫における、遺伝的欠陥を修復するため又は天然で欠失している遺伝的な能力を提供するために、適切な遺伝子の導入、組換えによって修飾しえる。例えば、前記細胞は、遺伝的に操作されて、遺伝子のベクターとして使用することができる。
このように本発明は、これまで説明した本発明の方法によって取得可能な血管幹細胞が濃縮された細胞集団を提供する。本発明は、特に血管幹細胞が濃縮され及び哺乳類細胞から単離され、83.6%〜91.6%のSca-1+細胞、49%〜49.8%のc-kit+細胞、53%〜57.6%のFlk-1+細胞、8.2%〜9.4%のCD34+細胞および67.4%および78.8%のLin-細胞を具備する細胞集団に関する。
また、本発明は、血管幹細胞が濃縮された細胞集団であって、哺乳類の動脈から単離されること及びBcrp1トランスポーターを発現することを特徴とする細胞集団に関する。
一側面において、本発明による血管幹細胞が濃縮された細胞集団は、ヒト細胞集団である。
本発明によるマウス細胞集団の特性決定は、彼等が、動脈壁組織を構成する2つの主な細胞タイプである内皮および平滑筋細胞の双方における馴化培地でインビトロで分化させることができることを明らかとした。以下に記載のとおり、驚くべきことに、本発明の細胞集団が血管様構造(特に、インビトロで3Dマトリックス支持体上で培養された場合に)を形成することができることが見出された。
従って、本発明は、血管組織を調製するための方法を提供する。前記方法は、本発明による血管幹細胞が濃縮された細胞集団を、少なくとも1つの血管性の及び/又は血管形成性の成長因子の存在下で、血管組織分化を誘導するために適切な条件下で培養すること〔自由選択で1以上の増幅段階(expansion phases)が続く〕によって実施される。
一側面において、血管組織は、前記細胞を半固体の血管化促進培地(semi-solid vascularization-promoting medium)において培養することによって調製される。係る培地は、細胞外マトリックス成分〔例えば、Matrigel TM 基底膜マトリックス(Discovery Labware, Beckton Dickinson)〕又は任意の便利なポリマー性の3Dの足場を典型的に含む。適切な成長因子は、任意の既知の内皮細胞マイトジェンであってもよい。係る内皮細胞マイトジェンには、例えば、酸性および塩基性の線維芽細胞成長因子(aFGFおよびbFGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、アンギオポエチン(Ang)、エフリン(Eph;ephrin)、胎盤成長因子(PlGF)、上皮成長因子(EGF)、トランスフォーミング成長因子αおよびβ(TGF-αおよびTGF-β)、血小板由来内皮成長因子(PDEGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、肝細胞成長因子(HGF)、インシュリン成長因子(IGF)、エリスロポエチン、コロニー刺激性因子(CSF)、マクロファージ-CSF(M-CSF)、顆粒球/マクロファージ CSF(GM-CSF)および一酸化窒素シンターゼ(NOS)が含まれる。
ラミニン、コラーゲンIVおよびエンタクチンを含んでいるマトリックスにおいて使用することができる成長因子の例には、EGF、bFGF、NGF、PDGF、IGF-1およびTGF-βが含まれる。例えば、前記マトリックスは、ラミニン(56%)、コラーゲンIV(31%)およびエンタクチン(8%)、EGF(0.5〜1.3ng/ml)、bFGF (<0.1〜0.2pg/ml)、NGF(<0.2ng/ml)、PDGF(5〜48pg/ml)、IGF-1(11〜24ng/ml)、およびTGF-β(1.7〜4.7ng/ml)を含む。
別の側面において、成長および血管組織への分化に使用される培地は、ウシ胎児血清、ヒドロコルチゾン、hFGF-B、VEGF、R3-IGF-1、アスコルビン酸、hEGF、GA-1000およびヘパリンを含んでいる培地であり、例えば、EGM TM-2-内皮細胞培地2(Cambrex Bioscienceによって商業化されている)である。
再び、前記方法は、工程(a)で提供される細胞集団に存在する細胞タイプなかの1もしくは複数の特定の細胞タイプの成長を、枯渇させる又は選択する又は阻害する工程を備えてもよい。
本発明の細胞集団の上記の適用に加えて、血管幹細胞が濃縮された細胞集団を使用して、非血管の又は先天的(inherently)に血管化が乏しい組織の血管化(vascularization)を提供することができる、特に移植に関してインビトロで操作された血管化を提供することができる。このように、本発明は、血管化され再生された哺乳類組織を調製するための方法を提供する。前記方法は、以下によって実施される:
(a)本発明による血管幹細胞が濃縮された細胞集団を提供することと、
(b)前記細胞を、単離された哺乳類の組織と、血管幹細胞の血管細胞への分化に適切な条件下で接触させること。
本明細書に記載される「単離された哺乳類組織(isolated mammalian tissue)」は、哺乳類から除去された組織又は移植のために調製されたインビトロ細胞培養に由来する操作された組織の何れかを意味する。係る操作された組織の例は、移植のために調製された、肝細胞、上皮性および真皮性の細胞、膵臓性、骨格筋性の組織、平滑筋組織、例えば、膀胱の平滑筋組織、心筋組織(myocardiac tissue)、脂肪性、軟骨性および骨性の組織のなかから選択されるインビトロ調製細胞の塊(masses)である。哺乳類組織を前記細胞と接触させることは、半固体マトリックスまたは多孔性足場(a porous scaffold)での共培養によって実施することができる。
血管幹細胞が濃縮された細胞集団、生存している血管組織、または本発明の方法によって調製される血管化され再生された組織は、細胞療法のために及び/又は非血管組織の新血管新生(neovascularization)ために使用することができる。
本明細書中に使用される「細胞療法(cell therapy)」の用語は、傷害された組織を再構成するため又は組織内で失った又は損傷した生物学的な機能を回復させるための方法であって、エクスビボで調製された細胞を病気の組織に移植することを備える方法を意味する。
このように本発明は、細胞療法製品を取得するための方法を提供し、該方法は以下を備える:
a)以下の群から選択される細胞組成物を提供することと:
a;本発明による血管幹細胞が濃縮された細胞集団;
b;本発明により調製される血管組織;および
c;本発明により調製される血管化され再生された組織、
b)前記細胞組成物の効果的な量を、哺乳類でのインビボ投与のための適切なビヒクルと混合させることと、
これによって細胞療法製品を得ること。
「細胞組成物の効果的な量(efficient amount of cell composition)」は、本明細書中で次のとおり規定される細胞組成物の量である;つまり、哺乳類に投与された場合に、治療の有効性が十分である量である(例えば、臨床上の改善を生じる)(例えば、所望の疾患に関連した症状および/または徴候を治療する又は排除するために十分な量である)。
例えば、末梢性の動脈疾患又は心筋梗塞を有する哺乳類のケースにおいて、血管幹細胞が濃縮された細胞集団の効果的な量は、前記哺乳類に投与された場合に、虚血組織を血管再生することができる細胞の量である。約104〜1010細胞が、移植のために患者に投与されえる。
細胞療法製品は、哺乳類における、虚血または循環器病を治療するために使用することができる。上記の方法によって取得された細胞療法製品を使用して、虚血組織における血管形成を増強させることができる。係る組織には、例えば、筋肉、脳、腎臓、および肺が含まれえる。虚血性疾患には、例えば、脳血管虚血, 腎臓虚血, 肺虚血, 肢虚血(limb ischemia), 虚血性心筋症(ischemic cardiomyopathy)および心筋虚血が含まれる。
別の側面において、前記細胞療法製品は、末梢性の血管虚血(peripheral vascular ischemia)の治療に使用される。
幾つかの患者集団(典型的には、高齢者の患者)は、限定数の内皮前駆細胞または限定数の機能的な内皮前駆細胞を有してもよい。従って、血管形成を促進すること〔例えば、強力な血管形成プロモーター(例えば、VEGF)を用いることによって血管化を刺激すること〕を望む場合、本発明による細胞療法製品を前記血管形成治療と組み合わせて提供することが有利である。従って、本発明の他の側面によれば、細胞療法製品は、強力な血管形成プロモーター(例えば、VEGF)と組み合わせて、患者を血管形成に関して賦活させるために使用される。
更に、本発明は、本発明による細胞組成物の、虚血または循環器病の治療を意図する細胞療法製品の調製のための使用に関する。
例えば、哺乳類が虚血後の心不全(cardiac failure)または循環器病(cardiovascular disease)に罹患しているヒトである場合、血管幹細胞が濃縮された細胞集団は虚血後の心不全または循環器病に罹患しているヒトの動脈から単離される。
本発明の細胞療法製品は、血管化が不十分な又は欠陥のある胚性の、成長している又は成体の生物体(organism)に、糖尿病の微小血管の病理において又は虚血ダメージを有している又はそのリスクがある組織におけるものとして、虚血性心疾患および大脳血管病(cerebral-vascular disease)におけるものとして、移植することができる。同様に、本発明の血管幹細胞が濃縮された細胞集団または血管組織は、外科的なバイパス、血管変性、例えば、アテローム性動脈硬化症および自己免疫疾患のケースにおける、組織補充療法に対して大きい直径の血管を提供することができる。
さらに、脱血管化(devascularized)した骨格筋による血管外傷からの傷害も、本発明の細胞療法製品で治療して、肢切断術を回避することができる。
全体を通して記載される細胞療法製品は、直ちに使用する又は液体窒素中で凍結し、長い期間保存することができ、融解され、再使用される能力がある。前記細胞は、典型的には10%DMSOで長期間保存される。
更に、本発明は、本発明による効果的な量のドナー細胞の細胞療法製品を、このような治療を必要とする哺乳類(レシピエントまたはレシピエント哺乳類とも称される)に移植するための方法に関する。
本明細書中に使用される「ドナー(donor)」の用語は、本発明の細胞集団の天然の供給源である哺乳類を意味する。特定の態様において、前記ドナーおよび前記レシピエントは、免疫適合性が適合する。好ましくは、前記ドナーおよびレシピエントは、主要組織適合複合体(MHC)(ヒト白血球抗原(HLA))-クラスI(例えば、遺伝子座A,B,C)および-クラスII(例えば、遺伝子座DR,DQ,DRW)抗原に関して適合性である。ドナーおよびレシピエントの間の免疫適合性は、当該技術において一般的に知られた方法にしたがって決定される〔例えば、Charron D.J., Curr. Opin. Hematol., 3:416-22 (1996); Goldman J., Curr. Opin. Hematol., 5:417-18 (1998)を参照されたい〕。
別の側面において、前記レシピエントはヒト患者である。細胞療法製品は、患者の健常な動脈の細胞から調製することができる。そして、単離され、増殖させた後に、同じ患者のそれぞれ骨格筋に又は末梢の虚血性疾患を呈する若しくは梗塞を経験した心筋に戻される。
哺乳類に投与されるドナー細胞療法製品の量(投与の頻度も含まれる)は、様々な因子に依存して変動し、この因子には投与のモードおよび経路;レシピエントのサイズ、年齢、性、健康、体重および食餌;治療される疾患または障害;治療される疾患または障害の症状の性質(nature)および程度(extent);併用される治療の種類、治療の頻度、および所望の効果が含まれる。
本発明の別の側面において、血管形成性または抗-血管形成性の化合物のインビトロスクリーニングのための、本発明による血管幹細胞が濃縮された細胞集団または血管組織の使用に関する。
より具体的には、本発明は、血管形成性または抗-血管形成性の化合物を有している化合物のスクリーニングのためのインビトロ法を提供し、該方法は以下を備える:
a)本発明による血管幹細胞または血管組織が濃縮された細胞集団を提供すること;
b)前記細胞集団または前記血管組織を候補化合物と混合すること;
c)前記細胞集団または前記血管組織を成長および血管細胞への分化に適切な条件下で培養すること;
d)血管幹細胞の血管細胞への分化が増強されるか又は阻害されるかを決定すること、これによって前記候補化合物がそれぞれ血管形成性または抗-血管形成性の化合物であることを指摘すること。
なお別の側面において、本発明は、以下を含んでいる組成物を提供する:
a)本発明の濃縮された血管幹細胞;および
b)生理学的に許容される担体。
濃縮された血管幹細胞に適合する任意の生理学的に許容された担体は、本発明の組成物に使用することができ、塩類溶液(saline)などが含まれるが限定されない。例えば、生理的に許容される担体は、ヒト投与に適切なリン酸緩衝塩類溶液、NaCl 0.9%、自己の血清、および細胞培養培地からなる群のなかから選択することができる。
この組成物を使用して、虚血性の又は傷害された筋肉細胞(骨格および心筋の双方)を血管再生することができる。
なお別の側面において、本発明は、血管幹細胞の濃縮された集団、彼等の培養に必要な試薬、自由選択で支持マトリックスを含んでいるキットを提供する。
本発明とその効果とを更に説明するために、以下に特定の例が記載される。この例は説明を意図しており、限定されない。
[例]
例1〜6では、以下の方法を使用した。
マウスの系統
5〜8週齡のC57Bl/6雌性マウスを、SP隔離および特徴づけに使用した。全てのC57Bl/6マウスは、Charles River France Laboratories(Les Oncins,France)およびCentre d'Elevage Roger Janvier(Le-Genest-Saint-Isle, France)から購入した。
全ての動物は、試験機関のガイドラインにしたがって、Necker Medical Schoolの動物施設で維持された。
血管細胞の単離
麻酔したC57Bl/6マウスを、HBSS1X、2%SVF、10mM Hepesの溶液で灌流した。胸部および腹部の大動脈を、摘出し、以下のとおり切開した。周囲をとりまく脂肪および外膜を、Leica MZ6実体顕微鏡(Leica Microsystems SA, Rueil-Malmaison, France)の観察下で穏やかに除去し、残存している中膜および内膜を注意深くミンスし、インキュベーター中(5% CO2, 37゜C)で回転させた条件下にII型コラゲナーゼ(Worthington Biochemical Corporation, Lakewood, NJ, USA)で4時間酵素消化した。430酵素単位を、1つのマウス大動脈を消化させるために、1mlのD-MEMに溶解した。消化物(digestate)を、100μmのナイロンフィルターを通し、新鮮な培地に再懸濁させて酵素反応を停止させた。
FACS分析のためのヘキスト、ベラパミルおよび抗体染色
ヘキスト染色は、以下のように行った。細胞を、ダルベッコ修正イーグル培地(D-MEM)中に高グルコース(Invitrogen, Cergy Pontoise, France)を添加したものの中に、1x106細胞/mlの濃度で再懸濁し、ヘキスト33342(5μg/ml;Sigma Aldrich Chimie SARL, Saint Quentin Fallavier, France) に100μM ベラパミル(シグマアルドリッチ)の有り無しの条件で37゜Cで90minインキュベートした。次に免疫染色を、フルオレッセイン イソチオシアネート(FITC)またはフィコエリトリン(PE)(Pharmingen, Beckton Dickinson Biosciences, Le Pont de Claix, France)を結合させたSca-1、リネージカクテル(Lineage Cocktail)、CD45、c-kit、Flk-1またはCD34に反応する抗体を用いることによって、4゜Cで行った。フローサイトメトリー分析を、BDTM LSR (Immunocytometry Systems, Beckton Dickinson Biosciences)および添付されたCELLQuest(登録商標)ソフトウェア(San Jose, CA, USA)で行った。ヘキスト色素を、UVレーザーで351nmで励起させ、その蛍光を424/44(Hoechst Blue)および670/LP(Hoechst Red)フィルターを用いて2波長で検出した。FITCおよびPEを、アルゴンレーザーで488nmで励起させ、その蛍光をそれぞれFL-1(530/40)またはFL-2(580/30)フィルターで検出した。死細胞および破片(debris)を、プロピジウムヨウ化物(PI)染色(2μg/ml;シグマアルドリッチ)に基づいたプロットから除外した。
造血コロニーアッセイ
単離後、血管細胞をヘキストおよびPIで染色した。血管幹細胞が濃縮された細胞集団を、BDTM FACSVantage(Beckton Dickinson)を用いてソーティングし、96ウェルプレート中でMethocult M3434培地(StemCell Technologies, Meylan, France)で即座に培養した。造血コロニー形成および細胞形態を、Leica DM IL顕微鏡およびLeica DC300Fデジタルカメラでモニターした。
VSP細胞のBcrp1免疫染色
Bcrp1免疫染色を、ソーティングし、スライドグラス上にサイトスピンを用いて集めた細胞で、Bcrp1ウサギポリクローナル抗体(1:100; Kamiya Biomedical, Seattle, WA USA)に続いてHRP-抱合型ヤギ抗-ウサギIg抗体(1:100; P0448; DAKOCytomation, Trappes, France)を用いることによって行った。免疫染色は、液体のジアミノベンチジン(DAB)で行った(DAKOCytomation)。染色前に、内在性ペルオキシダーゼ活性をペルオキシダーゼブロッキング試薬(DAKOCytomation)で中和し、バックグランド染色をブロッキング溶液としてPBS1X中に10%ヤギ血清を有するものでインキュベーションすることによって避けた。
SMCおよびEC分化アッセイ
細胞を、FACSソートし、サイトスピンに即座に供試するか又は内皮分化アッセイのためのEGMTM-2-内皮細胞培地-2(CAMBREX Bioscience Paris SARL, Emerainville, France) 若しくはD-MEM高グルコース中で96ウェルプレートで培養する。10日間の培養またはサイトスピンへと継続させた後、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、0.2%TritonX100で透化化(permeabilized)し、マウス抗-a-sma(1:50 ;クローン1A4; OncogeneTM Research Products, San Diego, CA, USA)またはラット抗-CD31(1:50; クローン MEC13.3; Pharmingen) 抗体で免疫染色した。細胞を、次にビオチン化ウサギ抗-マウスIg(1:100; E0354; DAKOCytomation)またはビオチン化ウサギ抗-ラットIg(1:50; E0468; DAKOCytomation)の何れかとインキュベートし、最終的にAlexaFluor 546-結合ストレプトアビジン(1:200 ;Molecular Probes Europe BV, Leiden, The Netherlands)またはAlexaFluor 488-結合ストレプトアビジン(1:100; Molecular Probes)の何れかとインキュベートした。染色前に、内在性のビオチンをビオチンブロッキングシステム(DAKOCytomation)で中和し、バックグランド染色を、ブロッキング溶液として10%ヤギ血清をPBS1Xに含有するものでインキュベーションすることで阻止した。3つの独立の実験を行った。免疫蛍光を、Leica DM IL顕微鏡にLeica DC300Fデジタルカメラを備えた装置およびLeica IM50 Image Manager V1.20ソフトウェアで観察した。
線維芽細胞分化アッセイ
C57Bl/6マウスからの全体の大動脈を、以下のとおり切開した。外膜を、マウス大動脈から除去し、2mm2切片にカットし、線維芽細胞をえるために96-ウェルのポリ-D-リジン-被覆プレート(Discovery Labware, Beckton Dickinson)中でD-MEM高グルコースに20%ウシ胎児血清(FCS)(Invitrogen)を添加したもので培養した。約3000のFACS-ソートしたGFP+SP細胞を、7日の外膜外植片培養(adventitia explant cultures)に由来する細胞と共培養した。共培養を、Methocult M3434中で3日間維持し、同じ培地75%に25%のD-MEM高グルコースを添加したもので付加的に8日間維持した。共培養の11日後、免疫染色を、4%パラホルムアルデヒド固定細胞で行った。マウス抗-ビメンチン(1:50; クローン RV202; Pharmingen) 抗体でのインキュベーションを、最初に行い、次にビオチン化ウサギ抗-マウスIg(1:50; DAKOCytomation)で、そして最終的にAlexaFluor 546-結合ストレプトアビジン(1:200; Molecular Probes)で行った。共培養後にGFP+SP細胞の線維芽細胞への分化を、GFPを共発現しているビメンチン陽性細胞を明確にすることで評価した。バックグランド染色を、上記のとおりブロックした。3つの独立した実験を行った。免疫蛍光を、上記のとおり行った。
3D Matrigel培養
7000のFACS-ソートしたVSPまたはVMP細胞を、96ウェルプレートの単一ウェル中に、未希釈のMatrigelTM基底膜マトリックス(Discovery Labware, Beckton Dickinson)をEGMTM-2-内皮細胞培地-2(CAMBREX Bioscience)に含むもので培養した。3Dの血管様構造の発生を、3週間モニターした。
例1
成体の血管壁中での血管亜集団細胞(VSP細胞)および血管主集団細胞(VMP細胞)の同定(図1)
骨髄のSP細胞は最もその特性が研究されているので、以前にGoodell等〔Goodell M.A. et al, J. Exp. Med., 183:1797-1806 (1996)〕が記載した骨髄亜集団における結果を最初に再現した。骨髄細胞を、C57Bl/6マウスの大腿骨および脛骨から採取し、ヘキストで染色した。類似するヘキスト染色パターンを観察した。蛍光パターンがSP細胞のヘキスト染色に特異的であることを確認するために、細胞懸濁物をベラパミル(これは周知のカルシウムチャネルインヒビターの他に、ABCトランスポーターのインヒビターである)でインキュベーションした。ベラパミルの添加によって、SP細胞によるヘキスト流出の阻害、主および亜集団におけるヘキスト蓄積の類似性、およびSP細胞のヘキスト低プロファイルの消失への誘導が実際に導かれ、他方でMP細胞は未影響のままであった。
第二に、成体の大動脈壁中での局在を同定する目的で血管幹細胞の存在を、調査した。この目的のため、C57Bl/6マウス大動脈からの外膜を、注意深く除去し、外膜および残存している中膜および内膜の両方を、コラゲナーゼで消化し、生じた細胞懸濁物をヘキストで染色した。外膜からの非常に少数の細胞は色素を排出することが観察されたが、中膜および内膜生細胞の6%はヘキスト染色に対しSPプロファイルを呈示した。これらの結果は、動脈からの細胞集団の同定を指摘するものであった(本明細書中で血管SP細胞と称される)。
例2
VSP細胞およびVMP細胞のフローサイトメトリー特性(図2)
SP細胞をさらに特性を調査するために、フローサイトメトリーで示される免疫染色実験で、幹または前駆細胞の同定に通常使用される幾つかの細胞表面マーカーの発現を、評価した。免疫表現型は、次の事項を明らかとした、その事項とは:SP細胞の中に、83.6%〜91.6%間のSca-1+細胞、49%〜49.8%間のc-kit+細胞、53%〜57.6%間のFlk-1+細胞、8.2%〜9.4%間のCD34+細胞、67.4%〜78.8%間のLin-細胞、および39.2%〜43.6%間のCD45-細胞が存在することである。これらの結果は、次の事項を示した;その事項とは、大抵のVSP細胞が幾つかの幹細胞マーカーを所有し、他方で幾つかはCD34を発現することである(さらに下流の前駆細胞)。興味深いことに、少なくとも40%のVSP細胞は、骨髄細胞由来の細胞マーカーであるCD45を発現しなかった。SP細胞と比較して、MP細胞はこれらの表面マーカーを若干異なる発現パターンで呈示した。FACS分析の結果を以下の表1に示す。
Figure 0004819809
例3
VSP細胞は不均一な形態を共有するが、全てABC-トランスポーターBcrp1を発現する(図3)
上記で記載した表面マーカーは特異的にVSP細胞を同定することに明らかに関連していないように思われたので、正確なマーカーの発見が着手された。Zhou等は、次の事項を示した;その事項とは、幾つかのABCトランスポーターがSP細胞で発現する場合、ABCトランスポーターBcrp1のみがSP表現型に必要なヘキスト流出特性と関連していることである。そのうえ、ベラパミルがSP細胞のヘキスト放出を首尾よく阻害することを考慮すると、大動脈のSP細胞がBcrp1トランスポーターを発現するとの仮説がたてられる。従って、FACSソーティングで単離された培養VSPおよびVMP細胞で、その発現が評価された。免疫細胞化学実験は次の事項を明らかとした;その事項とは、大動脈壁から直接的に抽出した場合(即ち、培養を行わずに)、全てのVSP細胞はBcrp1を発現することである。しかしながら、これらの細胞は不均一の形態を呈示し、サイズ:小さい及び大きな細胞が亜集団を構成している。培地に播種後、小さい細胞は丸いままであったが確かに付着していた、他方で大きな細胞は培養皿上に広がった。Bcrp1染色がVMP細胞表面に見出されなかったことによって、血管細胞の残りにおけるトランスポーターの非存在が明らかとなった。それ故、Bcrp1は、VSP細胞を同定する適切なマーカーであった。
例4
VSP細胞は造血ポテンシャルを呈示しない(図4)
VSP細胞がインビトロで造血細胞へと分化できるかどうかを解明するために、これらの細胞を、ミエロイド型の造血細胞の成長を可能にする幹細胞因子、幾つかのインターロイキン、およびエリスロポエチンを含有しているメチルセルロース培地で培養した。3週の培養後、コロニーは検出されなかった。この結果は、成体の大動脈からのSP細胞がミエロイド系統の造血の潜在性を呈示しないことを指摘している。そのうえ、興味深いことにVSP細胞は、コンフルエントまで成長させた場合に、上記の不均一な表現型から、むしろ上皮様の表現型へと移行した。
例5
VSP細胞は内皮および平滑筋細胞へと分化することができる(図5)
大動脈から新たに抽出したVSP細胞上での血管マーカーの発現を、最初に評価した。それらの発現パターンを修飾するだろう任意のアーテファクトを導入しないために、細胞は染色前に播種しなかった。動脈の酵素消化後に直接的に染色された場合、VSP細胞はCD31およびα-smaに関して陰性であった。VSP細胞の分化した内皮細胞および平滑筋細胞を生じる能力を評価するために、VSP細胞をそれぞれ適切な培地で培養した。培養の10日後、VSP細胞の一部はα-smaおよびCD31を発現することができた。結論として、VSP細胞は、内皮および平滑筋細胞へと分化する能力があった。
例6
VSP細胞は3Dの血管様構造をMatrigel中で形成する(図6および7)
VSP細胞の能力をさらに調査するために、これらの細胞をmatrigel上で培養した。この初期の目的は、VSP細胞が内皮に分化する潜在性を有することを確認することであった。驚くことに、VSP細胞は、非常に複雑な構造を作っていた。VMP細胞は、如何なる構造も生じなかった。24時間から4日以内に、VSP細胞は最初に凝集して球体(spheroids)を形成する。急速に、最初のセットの細胞が、管のフレームワークに類似している球体構築管状構造(the spheroids building tubular structures)から発芽(sprouting out)し始めた。それから、第二のセットの細胞が、前から存在している管様構造上の球体から長軸方向に移動した。この出芽は、全ての球体から同時に発生した(球体の幾つかは彼等の個々の管のジャンクションを介して彼等の間に連結を樹立している)。互いに連結した後に、幾つかの球体はむしろ閉鎖され、最終的には共に融合したことにも注目すべきである。そのうえ、球体から出現した多くの発生期の管は、その端で2つの類似する管へと分けられ(その管は自身を、その端で2つに分けて、2つの他の管を形成する)、全体のプロセスで各球体から放射状に広がる、緻密で大きな樹状の構造を生じる。3週で、7000のVSP細胞が血管形成に類似しているプロセスによって、裏打ちしているmatrigelを全体的に侵襲すること及び彼等が播種された96ウェルプレートのウェルの全表面に広がることが可能な複合体および広範な樹状構造を構築することに成功した。
本発明は様々な好適な態様に関して記載されているが、当業者は様々な修飾、置換、省略(omission)、および変更がその範囲から逸脱することなくなされえることを理解する。従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載した請求項とその均等物の範囲によってのみ限定されることが意図される。
A. 血管亜集団細胞(VSP)の同定と骨髄細胞との比較。大動脈細胞(左)および骨髄細胞(右)をベラパミル(V)の非存在下(上部)および存在下(底部)で、ヘキスト33342およびPI染色した放射パターン。ベラパミルは、SP細胞からのヘキスト排除を選択的に阻止した。PI陽性死細胞は、プロット上で遠く右方面に出現している。赤血球および細片染色は、DNAが非存在のためプロットの底部で染色が陰性である。B. 何れかの層からの大動脈の切開後に単離された血管細胞のヘキスト33342およびPI染色によって、次の事項が示唆される;その事項とは、VSP細胞が中膜または内膜層(左)に局在するが、外膜(右)には局在しないことである。 図2は、血管SP細胞の表面表現型を示す図である。ヘキスト33342色素および幾つかの幹細胞および前駆細胞のマーカーに対するモノクローナル抗体で二重標識された血管細胞のフローサイトメトリー分析。これらのマーカーの発現レベルは、ゲートされたSP細胞(左)およびMP細胞(右)に関して決定され、灰色で示される。コントロールサンプル(一次抗体が省略されるか又は無関係のIgGによって置換される)は黒の実線で示される。 図3は、血管のSPおよびMP細胞の形態およびBcrp1発現を示す図である。A; SPおよびMP細胞は、培養前の顕微鏡検査で不均一な形態を示していた。B; Bcrp1に関して陽性に免疫染色された血管SP細胞のサイトスピン調製物(a,b)、他方でMP細胞(c)は前記マーカーに対して染色性を示さなかった。C; 血管のSPおよびMP細胞は、FACS-ソーティング後に3日間培養され、Bcrp1に関して免疫染色された。VSP細胞は、不均一な形態とより対照的なBcrp1発現を示した。VMP細胞は、Bcrp1に関して非染色のままだった。 図4は、血管SP細胞の造血コロニーアッセイを示す図である。血管SP細胞が造血潜在性(haematopoietic potential)を有するかどうかを決定するために、彼等をMethocult M3434で21日間培養した。培養の2および15日後のアッセイの写真は、彼等がインビトロで造血コロニーを形成する能力を有さないことを示している。右のパネル写真は、左のパネルを拡大したものを示している。 図5は、血管の分化アッセイを示す図である。A. VSP細胞サイトスピン調製物のCD31およびα-sma免疫染色は、動脈組織から即座に抽出した際に、これらの血管マーカーを発現しないVSP細胞を示している。B. 様々な分化条件中で播種し、培養した後に、類似する免疫染色が行われ、これによって次の事項が説明された;その事項とは、幾つかのVSP細胞が2つの最初のマーカーに関して非染色のまま残存する場合(a,c)、他のVSP細胞は、分化し、内皮細胞マーカーCD31(b)または平滑筋細胞マーカーα-sma(d)を発現する能力を呈示することである。ヘキストは、核染色に使用された。 図6は、血管のSPおよびMP細胞のMatrigel培養を示す図である。A. Matrigel上で培養されたSPおよびMP細胞の行動を、3週間モニターした。2つの集団間の比較の概要を、時間経過の最も関連性のあるポイントで示した。SP細胞は広範な樹状の血管様構造を形成するが、MP細胞は係る機能的な特性を呈示しない(h=時間; d=日)。B. matrigel上で培養された血管SP細胞の動的な進展の詳細。C. VSP細胞は、最初に凝集して、播種後5日で明瞭に区別可能で(a)共に融合する能力を有する(b)球体を形成する。黒色および白色*シンボルは、小さな融合している球体が、同一色の大きなシンボルでデザインされたユニークな大きな球体の形成を生じたことを指摘している。それから、細胞は、これらの球体から出芽を開始して管様構造を形成し(d)、これらの構造は互いに連結する能力をも有している(c)。 図7は、血管SP細胞のMatrigel培養を示す図である。
図7は、血管SP細胞のmatrigel培養を示している写真である。

Claims (31)

  1. 血管幹細胞が濃縮された細胞集団を取得するためのインビトロ方法であって、以下を備える方法:
    a)哺乳類の動脈の中膜および内膜からなるサンプルを酵素的に消化して血管細胞を遊離させること;
    b)工程(a)で得られた血管細胞を、ATP-結合カセットトランスポーターに対する標識された生体(vital)の及び/又は親油性の基質と、前記細胞による前記基質の取り込みに適切な条件下で混合(combining)させることと;
    c)各細胞に存在する標識された基質の量を決定すること;および
    d)他の標識された有核血管細胞と比較して最低量の基質を含有する有核細胞の集団を単離すること、これによって血管幹細胞が濃縮された細胞集団を取得すること。
  2. 請求項1に記載の方法であって、前記のATP-結合カセットトランスポーターに対する標識された基質が蛍光標識された基質である方法。
  3. 請求項2に記載の方法であって、前記工程c)は、前記細胞を前記基質の蛍光を生じる励起波長に暴露させること及び各細胞の蛍光発光を決定することによって実施される方法。
  4. 請求項3に記載の方法であって、前記基質がヘキスト33342色素であり、前記励起波長が351nmであり、400〜700nmの発光波長が各細胞に関して決定される方法。
  5. 請求項2〜4の何れか1項に記載の方法であって、前記工程c)およびd)がFACS装置を用いて実施される方法。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の方法であって、死細胞を特異的に標識する色素が前記標識された基質に加えて添加される方法。
  7. 請求項6に記載の方法であって、前記死細胞を特異的に標識する色素がプロピジウムヨウ化物である方法。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載の方法であって、前記哺乳類の動脈がヒト動脈である方法。
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載の方法であって、前記サンプルがII型コラゲナーゼで酵素的に消化される方法。
  10. 哺乳類の動脈の中膜および内膜からなるサンプルから血管幹細胞を検出する及び/又は精製するための、Bcrp1/ABCG2に対して作出された抗体のインビトロでの使用。
  11. 請求項10に記載の使用であって、前記抗体がBcrp1/ABCG2トランスポーターに対して作出されたポリクローナル抗体である使用。
  12. 請求項10に記載の使用であって、前記抗体がBcrp1/ABCG2トランスポーターに対して作出されたモノクローナル抗体である使用。
  13. 血管幹細胞が濃縮された細胞集団を取得するためのインビトロ方法であって、以下を備える方法:
    a)哺乳類の動脈の中膜および内膜からなるサンプルを酵素的に消化して血管細胞を遊離させること;および
    b)Bcrp1/ABCG2トランスポーターを発現する工程 a)から得られた血管細胞を選択すること。
  14. 請求項13に記載の方法であって、工程b)がFACSソーティングで実施される方法。
  15. 請求項1〜9の何れか1項に記載の方法によって取得可能な、血管幹細胞が濃縮された細胞集団。
  16. 請求項15に記載の細胞集団であって、血管幹細胞が濃縮されたヒト細胞集団。
  17. 血管幹細胞が濃縮された細胞集団であって、哺乳類の動脈の中膜および内膜からなる酵素的に消化されたサンプルから単離されること及びBcrp1/ABCG2トランスポーターを発現することを特徴とする細胞集団。
  18. 血管組織を調製するための方法であって、請求項15〜17の何れか1項に記載の血管幹細胞が濃縮された細胞集団を、少なくとも1つの血管性および/または血管形成性の成長因子の存在下で、血管組織分化を誘導するために適切な条件下で培養することを備え、これによって血管組織を取得する方法。
  19. 請求項18に記載の方法であって、前記血管組織の分化の後に1以上の増幅段階をさらに備える方法。
  20. 請求項18に記載の方法であって、前記培養工程が、細胞外マトリックス成分を含んでいる、半固体の血管化促進培地で実施される方法。
  21. 請求項20に記載の方法であって、前記細胞外マトリックス成分がMatrigel基底膜またはコラーゲンゲルである方法。
  22. 請求項20または21に記載の方法であって、前記培地がVEGFおよびウシ胎児血清、ヒドロコルチゾン、hFGF-B、R3-IGF-1、アスコルビン酸、hEGF、GA-1000およびヘパリンの群のなかから選択される1以上の化合物を具備する方法。
  23. 細胞療法製品を取得するための方法であって、以下を備える方法:
    a)以下の群から選択される細胞組成物を提供することと:
    i. 請求項15〜17の何れか1項による、血管幹細胞が濃縮された集団細胞、および
    ii. 請求項18〜22の何れか1項により調製される血管組織
    b)前記細胞組成物の効果的な量を、哺乳類でのインビボ投与のための適切なビヒクルと混合させることと、
    これによって細胞療法製品を得ること。
  24. 請求項15〜17の何れか1項に記載の血管幹細胞が濃縮された細胞集団の、血管形成性または抗-血管形成性の化合物のインビトロスクリーニングのための使用。
  25. 血管形成性または抗-血管形成性の化合物を有している化合物のスクリーニングのためのインビトロ方法であって、以下を備える方法:
    a)請求項15〜17の何れか一項による、血管幹細胞が濃縮された細胞集団を提供すること;
    b)前記細胞集団を候補化合物と混合すること;
    c)前記細胞集団を成長および血管細胞への分化に適切な条件下で培養すること;および
    d)血管幹細胞の血管細胞への分化が増強されるか又は阻害されるかを決定すること、これによって前記候補化合物がそれぞれ血管形成性または抗-血管形成性の化合物であることを指摘すること。
  26. 以下を具備している組成物:
    a)請求項15〜17の何れか一項による、血管幹細胞が濃縮された細胞集団;および
    b)生理学的に許容される担体。
  27. 以下を具備しているキット:
    a)請求項15〜17の何れか一項による、血管幹細胞が濃縮された細胞集団;および
    b)前記血管幹細胞の培養に必要な試薬。
  28. 請求項27に記載のキットであって、細胞外マトリックスを更に具備しているキット。
  29. 請求項28に記載のキットであって、前記細胞外マトリックスがMatrigel基底膜またはコラーゲンゲルであるキット。
  30. 請求項1または2に記載の方法であって、前記標識された基質は、工程 (b)で以下の条件で混合される方法:
    (1) 約 0.1μg/ml〜8μg/mlの間の量;
    (2) 60〜120 分の間の染色時間;および
    (3) 35〜40℃の染色温度。
  31. 請求項1または2に記載の方法であって、前記標識された基質は、Bcrp1/ABCG2トランスポーターに対する基質である方法。
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