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JP4805205B2 - 放電負荷用電源 - Google Patents

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JP4805205B2
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Description

本発明は、半導体デバイスなどの製造工程で薄膜を形成するスパッタ装置などのような放電負荷に、定格プラズマ電圧よりも高いトリガー電圧とその後に定格プラズマ放電電力を供給するのに適した放電負荷用電源に関する。
プラズマ放電エネルギーを利用する放電負荷として、半導体デバイスあるいは光ディスクなどの薄膜を形成するスパッタ装置、各種のレーザ、放電灯、ストロボ装置、放電加工装置、光ファイバの融着接続装置、あるいはプラズマアーク又はプラズマジェットを利用する溶接装置などがあり、非常に広い分野において放電負荷が使用されている。その放電は、真空中、又は不活性ガスのような特定のガス中、あるいは大気中などで発生されるが、放電の発生時には高い直流電圧、又は高周波電圧をイグニッション(点火又は着火)用電圧(以下ではトリガー電圧という。)として放電負荷の放電電極間に印加する必要がある。トリガー電力はグロー放電又はアーク放電などの定格プラズマ放電電力に比べて小さいが、トリガー電圧が直流電圧である場合には定格プラズマ放電状態の電圧に比べてかなり高くなければならず、例えば1〜1.5kVである。しかし一旦、放電電極間に定格プラズマ放電が発生すると、部分的なプラズマ放電(以下ではトリガー放電という。)を発生させるためのトリガー電圧に比べて低い電圧で定格プラズマ放電(以下では定格放電という。)が維持されるので、必要な大きさの放電電流を流すことができる電力を供給すればよい。
このような放電負荷に適した電力を供給する放電負荷用電源は既にいろいろ提案されている。例えば、トリガー放電発生時に高電圧のトリガー電圧を発生するトリガー用電源と定格放電電力に相当する電力を供給する主放電電源とからなる2電源方式のもの(例えば、特許文献1、2参照)、あるいは一つの電源でトリガー放電電力と定格放電電力とを供給する1電源方式のもの(例えば、特許文献3、4参照)が開示されている。前掲の特許文献1は、トリガー用電源と主放電電源を有する薄膜形成装置について開示しており、トリガー用電源からのトリガー電圧によって真空雰囲気でトリガー放電を発生させ、主放電電源が定格放電であるアーク放電を維持して薄膜を形成している。また、前掲の特許文献2は、プラズマアークを利用するプラズマ加工装置について開示しており、アーク発生時にはパイロットアーク用直流電源と直流高圧電源とを組み合わせてトリガー放電に相当するパイロットアークを発生させ、次いで主電源から電力を供給して定格放電に相当するプラズマアークを生成している。
前掲の特許文献3は、電源を簡素化するために単一の電源の構成としており、トランスの2次側に主2次巻線の他に補助巻線を設け、その補助巻線にトリガー電圧を発生するイグニッション回路を接続している。前掲の特許文献4は、特許文献3に開示された電源構成を更に簡素化したものであり、出力側の整流回路にコンデンサを付加するだけで高電圧のトリガー電圧を発生し得るものである。これらの他にも単一電源方式の放電用電源については多数開示されているが、前述した2電源方式の放電用電源と同様に、トリガー放電発生時にトリガー電圧を印加して真空槽内に部分的な放電路を形成すると共に、放電電力を供給して定格放電を生成し、その定格放電を維持している。
特開平09−165673号公報 特開平11−254144号公報 特開2001−095242公報 特開2005−033968公報 特開2006−202605公報
現在実用化されている放電負荷の定格放電電力量は1kW以上のものが圧倒的に多く、このように放電電力の大きなものの場合には、前掲の1電源方式又は2電源方式にかかわらず、いずれの放電用電源も容易に定格放電を生成し、維持できるようになっている。しかし、部品の進展に伴って加工条件に種々の厳しい要求が課されることがあり、その一つとして、例えば定格放電電力が従来よりも大幅に小さい、例えば10W〜100Wの小定格放電電力で所望の薄膜を形成するなどの加工が求められることがある。例えば、放電負荷がスパッタ装置の真空チャンバである場合、その真空状態やガス流量などによって真空チャンバ内の雰囲気が変化し、また、ターゲットの種類及び電力の注入量によってトリガー電圧やプラズマ維持電圧などが異なる。このような状態で、短いスパッタ時間でごく膜厚の薄い薄膜を均一に形成するには、それぞれの短いスパッタ時間でプラズマ状態が均一でかつ安定していなければ、高品質で、安定に均一な薄膜を形成することは難しい。前述のような真空チャンバの状態で、例えば数十W以下の小定格放電電力領域で安定に定格放電を生成し、維持するには、トリガー放電から定格放電へスムーズに移行させなければならないが、放電負荷によっては難しい。特に、トリガー電流を小さな値に制限した場合には難しい。
前掲の特許文献1〜特許文献4などは定格放電時の電力が1kW以上など大きな電力の放電負荷を対象にしており、数十W以下の定格放電電力の放電負荷について記述しておらず、前掲の特許文献1〜特許文献4などに開示されている放電負荷用電源あるいは加工方法と、前掲の特許文献5に開示されている起動時に電流を単に漸増させる電力供給方法を組み合わせても、数十W以下の定常放電電力の放電負荷によって所望の薄膜形成などを行うことは難しい。なお、特許文献5に開示されている電力供給方法はプラズマジェット用トーチがトリガー(点火)されるとき、電力を徐々に増やして供給して行くソフトスタート電力供給方法である。
本発明は、定格放電電力が数十W以下の低定格電力領域の放電負荷であっても、薄膜の形成などに悪影響を与えることなく、トリガー放電から確実かつ安定に定格放電に至らしめることができる放電負荷用電源を提供することを主目的としている。
第1の発明は、放電負荷に電力を供給する放電負荷用電源において、第1のインバータ回路と、この第1のインバータ回路の出力側に1次巻線が接続された第1のトランスと、その第1のトランスの2次巻線と前記放電負荷が接続される直流出力端子との間に接続された出力側整流回路と、その出力側整流回路の直流端子間に接続された出力コンデンサと、前記出力側整流回路の一方の出力端子と前記直流出力端子の一方との間に直列に接続された分離用ダイオードとからなる主電源と、第2のインバータ回路と、その第2のインバータ回路の出力側に接続された直流高電圧発生回路と、この直流高電圧発生回路の高電圧出力端子と前記直流出力端子との間に接続されて、前記放電負荷がトリガーされたときに前記直流高電圧発生回路から前記放電負荷に流れる電流を制限値以下に抑制する電流制限用インピーダンスとからなるトリガー用電源と、前記第1のインバータ回路及び前記第2のインバータ回路を制御する制御回路とを備え、前記主電源が起動されて前記分離用ダイオードが非導通である期間に前記出力側整流回路の出力電流により前記出力コンデンサに充電された電荷が、前記トリガー用電源の高電圧出力によって前記放電負荷がトリガーされるときに前記分離用ダイオードが順バイアスされて導通することにより放電され、その放電電流が前記出力側整流回路からの出力電流に重畳されて前記放電負荷に流れることを特徴とする放電負荷用電源を提供する。
第2発明は、前記第1の発明において、前記制御回路は、前記第2のインバータ回路を最初に起動し、次いで前記放電負荷がトリガーされたときに前記第1のインバータ回路を起動することを特徴とする放電負荷用電源を提供する。
第3の発明は、前記第1の発明又は前記第2の発明において、前記制御回路は、前記第1のインバータ回路を所定のパルス幅を有する初期制御信号で起動し、次にその初期制御信号よりも小さなパルス幅の制御信号で駆動した後に、その制御信号のパルス幅よりも小さな最小のパルス幅から次第に大きくなるパルス幅の制御信号で駆動することを特徴とする放電負荷用電源を提供する。
第4の発明は、前記第1の発明において、前記制御回路は、前記第2のインバータ回路を起動すると共に、前記放電負荷がトリガーされる前に前記第1のインバータ回路を起動し、前記放電負荷がトリガーされるまで前記出力コンデンサを設定電圧(プラズマ維持電圧以下の電圧以下の電圧)まで充電するように前記第1のインバータ回路を制御することを特徴とする放電負荷用電源を提供する。
第5の発明は、前記第4の発明において、前記制御回路は、前記第1のインバータ回路の起動時から定格放電状態に至るまで、ある最小のパルス幅から次第に大きくなるパルス幅を有する制御信号で前記第1のインバータ回路を起動することを特徴とする放電負荷用電源を提供する。
第6の発明は、前記第1の発明ないし前記第5の発明のいずれかにおいて、前記制御回路は、前記主電源の出力電力が設定電力の80%を超えるいずれかの時点で、前記トリガー用電源の給電を停止させることを特徴とする放電負荷用電源を提供する。
第7の発明は、前記第1の発明ないし前記第6の発明のいずれかにおいて、前記制御回路は、前記直流高電圧発生回路の低電位側の端子と前記出力側整流回路の接地される側の直流端子との間に接続された発光素子を備え、その発光素子の点灯によって前記放電負荷がトリガーされたことを検知することを特徴とする放電負荷用電源を提供する。
第8の発明は、前記第1の発明ないし前記第7の発明のいずれかにおいて、前記トリガー用電源は、前記電流制限用インピーダンスと直列に接続された逆流阻止用ダイオードを備えることを特徴とする放電負荷用電源を提供する。
第9の発明は、前記第1の発明ないし前記第8の発明のいずれかにおいて、前記電流制限用インピーダンスは、トリガー電流を定格放電電流の数%以下に制限する抵抗値を有することを特徴とする放電負荷用電源を提供する。
前記第1の発明によれば、主電源が起動されて分離用ダイオードが非導通である期間に出力コンデンサに充電された電荷が、トリガー用電源の高電圧出力によって放電負荷がトリガーされるときに分離用ダイオードが順バイアスされて導通することにより放電され、その放電電流が出力側整流回路からの出力電流に重畳して放電負荷に流れるので、低電力の放電負荷であっても薄膜の形成などに悪影響を与えることなく、確実かつ安定にトリガー放電を維持して定格放電に移行させることができ、小電力のプラズマ放電で品質の高い薄膜の形成などを実現することができる。また、この発明では、電流制限インピーダンスを大きな値に選定することにより、トリガー放電時に流れる突入電流を定格電流の数十分の一以下に制限できるので、このことが更に放電負荷に対する悪影響を小さくし、品質の高い薄膜などの生成を可能にし、トリガー用電源の小容量化も可能にしている。
前記第2の発明によれば、前記第1の発明が奏する効果の他に、放電負荷がトリガーされたときに第1のインバータ回路を起動するので、大きな抵抗値の電流制限抵抗を備えることなく、第1のインバータ回路の制御で突入電流を防ぐことができ、動作の切替えによる大きな動作遅れを生じることなく、主電源の電力損失を低減することができる。
前記第3の発明によれば、前記第2の発明が奏する効果の他に、主電源の第1のインバータ回路の起動初期にはあるパルス幅から次第に大きくなるパルス幅を有する制御信号で第1のインバータ回路を起動し、一定期間経過後にはその一定時間経過時の前記パルス幅よりも小さなパルス幅から次第に大きくなるパルス幅の制御信号で駆動しているので、簡単な制御方法でより確実かつ安定に定格放電に移行させることができ、小電力のプラズマ放電で均一な薄膜の形成などを可能にしている。
前記第4の発明及び前記第5の発明によれば、前記第1の発明が奏する効果の他に、トリガー用電源の高電圧出力によって放電負荷がトリガーされる前に主電源の第1のインバータ回路を起動し、放電負荷がトリガーされるまでは出力コンデンサを設定電圧(プラズマ維持電圧以下の電圧)まで充電するように第1のインバータ回路を制御し、放電負荷がトリガーされると同時に第1のインバータ回路を定電力制御しているので、薄膜の形成などに悪影響を与えることなく、簡単な制御方法でより確実かつ安定に定格放電に移行させることができ、小電力のプラズマ放電で高品質の薄膜の形成などを可能にする。また、トリガー放電の発生に悪影響を与えることなく、主電源の起動時に突入電流が流れるのを防ぐことができる。
前記第6の発明によれば、前記第1の発明〜前記第5の発明が奏する効果の他に、主電源の出力電力が設定電力の80%を超えるいずれかの時点でトリガー用電源を停止させているので、トリガー用電源の電力損失を低減することができる。
前記第7の発明によれば、前記第1〜第6の発明で得られる効果の他に、制御回路は直流高電圧発生回路の高電位側の端子と整流器の接地される直流端子との間に接続された発光素子を備え、その発光素子の点灯によって放電負荷がトリガーされたことを検知しているので、制御回路のトリガー検出部を簡素化でき、しかも高速で検知できる。
前記第8の発明によれば、前記第1〜第7の発明で得られる効果の他に、トリガー用電源の高電圧出力に大きなノイズが発生することがあっても、当該ダイオードが逆流を防ぐので、放電負荷及び主電源に悪影響を与えることがない。
前記第9の発明によれば、前記第1〜第8の発明で得られる効果の他に、前記電流制限用インピーダンスがトリガー電流を定格放電電流の数%以下に制限する抵抗値を有するように選定されているので、トリガー用電源の出力容量を小さくでき、トリガー用電源の小型・軽量化を実現できる。
[実施形態1]
先ず、図1によって本発明の実施形態1にかかる放電負荷用電源100について説明する。図1によって放電負荷用電源100を説明すると、直流入力端子1、2には、主電源MSとトリガー用電源TSとが接続されている。主電源MSは、主に前述したような放電負荷DLが着火又は点火、つまりトリガー(イグニッション)された後に、その放電負荷DLに定電力を供給するものであり、トリガー用電源TSは放電負荷をトリガーしてトリガー放電状態に至らしめるために高いトリガー電圧を供給するものである。
(主電源MS)
先ず主電源MSについて説明すると、直流入力端子1、2には第1のインバータ回路3が接続され、第1のインバータ回路3の出力側にはトランス4の1次巻線4Aが接続され、その2次巻線4Bには出力側整流回路5が接続されている。放電負荷用電源100は商用の三相交流電源又は単相交流電源に接続される場合がほとんどであり、この場合には商用三相交流電力又は単相交流電力を直流電力に変換する不図示の入力側整流回路及び平滑回路が直流入力端子1、2に接続される。第1のインバータ回路3はその直流電圧を20kHz以上、例えば40kHzの高周波交流電圧に変換する。
インバータ回路3は、MOSFET又はIGBTのようなスイッチング半導体素子を周知のフルブリッジ構成、又はハーフブリッジ構成にしたものなどであり、制御回路CCによってパルス幅制御(オン時間比率制御)されて、直流電力を単相の高周波電力に変換する。インバータ回路3の高周波スイッチング動作によって小型化されたトランス4は、インバータ回路3から1次巻線4Aに印加された高周波交流電圧を所定の変圧比で昇圧された高周波交流電圧を2次巻線4Bに生じる。2次巻線4Bの交流電圧は、4個又は並列接続された4組の整流素子をブリッジに接続してなる出力側整流回路5によって直流電圧に変換され、その直流電圧は出力コンデンサ6で平滑化される。なお、出力コンデンサ6は図示極性で充電される。
出力コンデンサ6と直流出力端子7、8との間には、主電源MSの出力電流を制限するための出力側抵抗9、トリガー用電源TSの高電圧出力から主電源MSを分離するための分離用ダイオード10、負荷電圧検出器を構成する電圧分割用抵抗器11と電圧検出用抵抗器12、主電源MSの出力電流を検出する小さい抵抗などのような電流検出用手段13が接続されている。抵抗器11と12は、分離用ダイオード10を介することなく直流出力端子7、8に跨って直接接続されているので、直流出力端子7、8の負荷電圧を検出する。なお、一方の直流出力端子8は接地されており、したがって、他方の直流出力端子7は負の電位となる。主電源MSは前記部材3ないし前記部材13によって構成されている。なお、直流出力端子7と8との間に接続される放電負荷DLは薄膜を形成するスパッタ装置の真空チャンバ、各種のレーザ装置、放電灯、ストロボ装置、放電加工装置、放電の熱によって光ファイバを融着接続する装置などであり、これらは通常、定電力制御、又は定電流制御された電力が供給される。
(トリガー用電源TS)
トリガー用電源TSの第2のインバータ回路21の入力は直流入力端子1、2に接続されており、その出力端子はトランス22の1次巻線22Aに接続されている。第2のインバータ回路21は、主電源MSの第1のインバータ回路3と同様な回路構成のものであり、高周波、例えば50kHzのパルス幅制御信号で駆動され、直流電力を高周波交流電力に変換する。その高周波交流電力はトランス22の2次巻線22Bを通して昇圧回路23によって直流高電圧に変換される。昇圧回路23は一般的なものであり、例えば簡単な構成の倍電圧整流回路などであり、その出力端子25に対して出力端子24が負となる直流高電圧、例えば−1200〜−1500Vの無負荷電圧を出力する。これらトランス22と昇圧回路23とは直流高電圧発生回路を構成するが、これは一例であり、図示しない高電圧トランスと高電圧整流素子とを組み合わせた他の回路構成でもよい。なお、これら出力端子24、25はいずれも接地されていない。
出力端子24と25との間には、昇圧回路23の出力電圧を検出するための電圧検出器を構成する高電圧分割用抵抗器26と電圧検出用抵抗器27とが接続されている。出力端子24は電流制限用インピーダンス28及び逆流阻止用ダイオード29を通して直流出力端子7に接続されている。この実施形態1で用いられる電流制限用インピーダンス28は、放電負荷DLがトリガー放電状態(初期の放電状態)に至るとき、その放電負荷DLが定格放電状態にあるときに流れる電流に比べて大幅に小さな電流に制限し得る大きな抵抗値を有する。このように抵抗値を選定することによって、トリガー用電源TSの電力容量を小さくすることができ、トリガー用電源TSを小型化することができることは勿論であるが、放電負荷DLのトリガー時における薄膜などの損傷を防ぐことができる。
つまり、スパッタ装置などにあっては放電負荷DLのトリガー時には通常、ターゲットの一部分の狭い点状の領域で放電破壊が起こり、その狭い点状の領域にトリガー電流が集中して流れるために、その電流密度が大きくなるので、トリガー電流を定格放電時の定格放電電流に比べて大幅に小さく制限する(例えば、定格放電電流の0.5〜3%の電流値)ことは放電負荷DLにとって有意義である。しかし、特に低電力の場合には、トリガー放電状態を維持して定格放電状態に移行させることは難しいが、後述するように、主電源MSの初期電流を適切に調整することにより、放電負荷DLに悪影響を与えることなく安定に定格放電状態に移行させることができる。なお、トリガー電流をこのように小さな値に制限する場合に、特に本発明が有効になる。
(制御回路CC)
主電源MSのインバータ回路3及びトリガー用電源TSのインバータ回路21の動作を駆動し、制御する制御回路CCは、インバータ回路3及びインバータ回路21を制御する制御部31、信号入力線32、33、34、35、及び信号出力線36、37などを有する。制御部31は、後で動作説明をするときに詳述するが、実施形態1では主電源MSのインバータ回路3をその起動時から定格放電状態に至るまでの期間、例えば電力制御モードで制御するが、最初に設定された比較的大きなパルス幅の初期制御信号で先ず起動し、次の短い期間、その初期制御信号のパルス幅よりも次第に狭くなるパルス幅の制御信号で駆動し、その後に設定最小幅から次第に大きくなるパルス幅の制御信号でスイッチング動作を行うように、主電源MSのインバータ回路3をパルス幅制御する回路部分などを有する。この制御を行うため、制御部31は図2に示す前述の制御に関連するパルス幅制御部分を備える。
図2により当該パルス幅制御部分の構成について説明すると、端子31aには図1の電圧検出点Aの負荷電圧検出信号Voと電流検出点Bの負荷電流検出信号Ioとを不図示の乗算回路で乗算した値に相当する電力検出信号Woが入力され、端子31bには予め設定された曲線又は一定の傾斜で変化する電力設定信号S3が入力される。端子31cには、主電源MSのインバータ回路3を起動時にスタート信号S4が入力され、端子31dからは図1に示す制御信号S1に対応するパルス幅制御信号S5が出力される。制御信号S1はインバータ回路3に入力される。破線で示されている制御増幅器31eは電力検出信号Woと電力設定信号S3とを演算して信号S6を出力する。スイッチ素子31fはスタート信号S4が印加されないときには閉じていて端子31bを接地しており、スタート信号S4が印加されるときに開いて、端子31bの電力設定信号S3が制御増幅器31eに入力されるように働く。
スイッチ素子31gもスイッチ素子31fと同様に、スタート信号S4が印加されないときには閉じており、スタート信号S4が印加されるときに開く。スタート信号S4が印加されるまでスイッチ素子31fとスイッチ素子31gが閉じているので、制御増幅器31eは動作しない。スタート信号S4が印加されてスイッチ素子31fとスイッチ素子31gが開くことにより、制御増幅器31eは動作を有効に行う。制御増幅器31eの出力側に備えられている抵抗器31hと31iは、それらの接続点Xに電圧Vxを分割した電圧信号Vaを生じる。抵抗器31iは初期値設定手段として作用し、その抵抗値は接続点Xの電圧信号Vaの初期値Va’を所定の値に設定するように選定されている。コンパレータ31jは、電圧信号Vaと予め決められた三角波信号S7とを比較して互いに交わった点と点との幅に等しいパルス幅の制御信号S5’を生じる。AND回路31kはスタート信号S4を受けているときだけ、制御信号S5’を通過させてパルス幅制御信号S5を端子31dに現出させる。
図1に戻って説明すると、信号入力線32は抵抗器11と12との間の電圧検出点Aに接続されており、直流出力端子7と8間の電圧に比例する負荷電圧検出信号Voを制御部31に入力する。信号入力線33は、出力側整流回路5の正の出力端子と電流検出用手段13との間の電流検出点Bに接続されており、主電源MSの出力電流に比例する電流検出信号I1を制御部31に入力する。入力信号線34は、互いに直列に接続されている高電圧分割用抵抗器26と電圧検出用抵抗器27との間の電圧検出点Cに接続され、昇圧回路23の出力端子24と25との間の直流高電圧に比例する電圧検出信号V2を制御部31に入力する。入力信号線35は昇圧回路23の端子25から前述の電流検出点Bに流れる電流、つまりトリガー電流に比例するトリガー放電電流検出信号I2を検出して制御部31に入力するものであり、入力信号線35には制御部31の一部分を構成する簡便な電流検出手段38が接続されている。この実施形態1では、トリガー検出手段38として市販のフォトカプラを用いており、フォトカプラの発光素子38Aが入力信号線35に接続され、発光素子38Aの発光を電気信号に変換する受光素子38Bが制御部31に接続されている。
この実施形態1では出力端子25を浮動電位の状態にしており、したがって、昇圧回路23の出力端子24と25との間のトリガー用の直流高電圧によって、放電負荷DLがトリガーされるとき、出力端子25から受光素子38Bを通して電流検出点Bに数ミリアンペア程度の電流が流れ、発光素子38Aを発光させ、この発光を受光素子38Bで受光して放電負荷DLがトリガーされたことを検出する。つまり、フォトカプラをトリガー用電源TSの出力端子25と主電源MSの電流検出点Bとの間に接続しただけの非常に簡単な回路構成で、放電負荷DLがトリガーされたか否かを検出することができる。
(動作説明)
次に、図1ないし図4を用いて実施形態1の放電負荷用電源100の動作について説明する。図3において、(A)、(B)はトリガー用電源TSの出力電圧を示す電圧検出信号V2、出力電流を示すトリガー放電電流の検出信号I2をそれぞれ示し、(C)、(D)は主電源MSの出力電圧を示す出力電圧検出信号V1、出力電流を示す出力電流検出信号I1をそれぞれ示し、(E)、(F)は放電負荷DLの負荷電圧、負荷電流をそれぞれ示す負荷電圧検出信号Vo、負荷電流検出信号Ioをそれぞれ示す。図4は、主電源MSのインバータ回路3に供給される制御信号S1のソフトスタート時におけるパルス幅を説明するための図である。
制御回路CCの制御部31は、先ず時刻t1でトリガー用電源TSのインバータ回路21を高周波、例えば50kHzのパルス幅制御信号S2で駆動する。この駆動は、出力電圧を一定に維持するよう制御する定電圧制御モードでパルス幅が次第に大きくなるソフトスタートで行われる。このソフトスタート方法は、図2で説明したものと同様であり、三角波信号と所定の傾斜をもつ信号とを比較して徐々にパルス幅が大きくなるパルス幅制御信号により制御されることが広く知られているので詳細は説明しない。したがって、トリガー用電源TSの出力電圧は図3(A)に示すように、ある傾斜で上昇する。そして、時刻t2でインバータ回路21の出力電圧が設定電圧に達すると、制御部31は設定パルス幅の制御信号S2でインバータ回路21を駆動するので、トリガー用電源TSの出力電圧は時刻t3までほぼ一定の高電圧にある。ここで前記設定電圧とは、例えば放電負荷DLがトリガーされてスパッタを行っている最中の電圧よりも低い予め選定された電圧を意味する。
インバータ回路21の高周波出力電圧はトランス22と昇圧回路23とからなる直流高電圧発生回路により高電圧の負の直流電圧に変換される。出力端子24の負の直流高電圧は電流制限用インピーダンス28及び逆流阻止用ダイオードを通して直流出力端子7に印加される。したがって、電流制限用インピーダンス28が大きな抵抗値(100kΩ以上、例えば120kΩ)を有しても、放電負荷DLがトリガーされる前には電流が流れないから、放電負荷DLにはトリガー用電源TSの直流高電圧(例えば−1200V)がそのまま印加され、放電負荷DLは時刻t3でトリガーされる。トリガー用電源TSは、放電負荷DLがトリガーされた後も、少なくとも定格放電が安定かつ確実に維持される時点までは動作して、電流を放電負荷DLに給電する。
時刻t3で放電負荷DLがトリガーされると、図3(B)に示すようなトリガー放電電流I2が直流出力端子8から放電負荷DL、直流出力端子7、逆流阻止用ダイオード29、電流制限用インピーダンス28、出力端子24、昇圧回路23、出力端子25、信号線35、フォトカプラの発光素子38A、電流検出点B、及び電流検出用手段13を通して流れる。したがって、発光素子38Aが発光し、受光素子38Bが電気信号に変換することにより、トリガー検出手段38は放電負荷DLがトリガーされたことを検知する。放電負荷DLがトリガーされると、放電負荷DLの両端の負荷電圧は急激に小さくなり、電流制限用インピーダンス28がその低下した電圧にほぼ等しい電圧を分担するので、電圧検出点Aの負極性の電圧も急激に上昇し、したがって、負荷電圧検出信号Voは設定値よりも上昇する。
制御回路CCは、トリガー検出手段38によりトリガー電流の通電が検出されると、高周波、例えば40kHzの制御信号S1を第1のインバータ回路3に供給して、出力電力を一定に維持しようと制御する定電力制御モードで起動する。この起動は、実際の回路にあっては動作遅れを発生するので、時刻t3から例えば数十〜100μs程度遅れた時刻t4で行われ、インバータ回路3は、時刻t4から図3(C)に示すように時刻t5まで上昇する出力電圧を出力する。時刻t5で、インバータ回路3の出力電圧が放電負荷DLの電圧を越えると、分離用ダイオード10が順バイアスされて導通し、主電源MSは図3(D)に示すような電流I1を放電負荷DLに供給する。ここで、時刻t4〜t5の期間では分離用ダイオード10が逆バイアスされて非導通であるから、インバータ回路3の出力電流は出力コンデンサ6に充電され、出力コンデンサ6の充電電荷は放電されない。そして、時刻t5が経過して分離用ダイオード10が順バイアスされて導通すると、出力コンデンサ6の充電電荷は出力側整流回路5の出力電流に重畳されて放電負荷DLに放電される。
この起動時について図2、図4を用いてさらに詳しく説明すると、放電負荷DLのトリガーが検知されるときに、図2における端子31cにスタート信号S4が与えられる。スタート信号S4が端子31cに印加されない状態では、スイッチ素子31fとスイッチ素子31gが閉じているので、制御増幅器31eは動作せず、その出力信号S6はゼロであるので、接続点Xの電圧信号Vaは図4(A)に示すように初期値Va’にある。この初期値Va’は比較的大きな値であるので、図4(C)に示すようにコンパレータ31jは比較的パルス幅の大きな制御信号S5’を生じる。この状態で、スタート信号S4が端子31cに印加されると同時に、AND回路31kの一方の入力端子にも入力されるので、AND回路31kは制御信号S5’を通過させてパルス幅制御信号S5を端子31dに生じる。これによって、制御回路CCは制御信号S1をインバータ回路3に供給して駆動する。
起動初期の制御信号S1は、図4(D)に示すように比較的大きな初期値Va’による比較的大きなパルス幅であり、そのパルス幅に相当する電流で出力コンデンサ6を充電する。負荷電圧検出信号Vo、負荷電流検出信号Ioがそれぞれの設定値よりも上昇し、かつ電力検出信号Woが電力設定信号S3よりも上昇するときに、制御増幅器31eはパルス幅を狭くする信号S6を出力する。これに伴って、図4に示すように、パルス幅制御信号S5に対応する制御信号S1のパルス幅は次第に狭くなる。前述したように、時刻t4〜t5の期間では分離用ダイオード10が逆バイアスされて非導通であるから、インバータ回路3の出力電流は出力コンデンサ6に充電され、出力コンデンサ6の充電電荷は放電されない。そして、時刻t5が経過して分離用ダイオード10が順バイアスされて導通すると、出力コンデンサ6の充電電荷は出力側整流回路5の出力電流に重畳されて放電負荷DLに放電される。出力コンデンサ6の充電電荷の放電に伴って、端子31aの電力検出信号Woが端子31bの電力設定信号S3よりも低下するので、制御増幅器31eは信号S6のパルス幅を次第に大きくして行く。したがって、時刻t5以降では、制御信号S1のパルス幅は次第に大きくなり、その状態は定格放電になる時刻t7まで続く。なお、図(B)は3角波信号S7を示している。そして、時刻t7でインバータ回路3は前述した電力制御モードから公知の定電力制御モードに切り替わり、定電力を放電負荷DLに供給する。
前述したように、放電負荷用電源100は小電力の放電負荷DL、例えば極薄かつ均一の薄膜を形成する10W〜数十Wの小電力のスパッタ装置などへの給電を主に対象にしており、このような小電力の加工にあっては形成される薄膜などに損傷を与えることなくトリガー時に放電雰囲気を安定に維持し、かつ安定に確実に定格放電に移行させることは難しい。したがって、制御回路CCは、インバータ回路3の起動時には図4に示すように、時刻t4から時刻t5まで所定の比較的大きなパルス幅を有する初期の制御信号S1で起動し、それから一旦制御信号S1のパルス幅を小さくし、分離用ダイオード10が導通して出力コンデンサ6の充電電荷を放電負荷DLに放電した後に、最小のパルス幅から次第に大きくなるパルス幅の制御信号S1でインバータ回路3を起動している。したがって、放電負荷DLがトリガーされた直後の短い期間に適切な大きさの電流を主電源MSが供給することができるので、トリガー放電雰囲気を安定に維持し、定格放電に安定かつ確実に移行させることができる。
そして、主電源MSの出力電力が設定値、例えば設定電力の80%を越えた時刻t6で、制御回路CCは第2のインバータ回路21の駆動を停止する。制御回路CCは、図示しない乗算回路によって電圧検出点Aの負荷電圧検出信号Voと電流検出点Bの負荷電流検出信号Ioとの乗算を行って検出電力値を求め、その電力検出信号Woが設定電力信号S3を越えた時点で、制御信号S2を第2のインバータ回路21に供給するのを止める。第2のインバータ回路21の停止は必ずしも必要でないが、トリガー用電源TSによる電力損失を低減することができる。そして、時刻t7で主電源MSの出力電力が定格電力に達すると、放電負荷DLで薄膜の形成などの工程が行われ、1回の工程が終了すると、制御回路CCは主電源MSも停止させ、再び前述の動作を繰り返す。
[実施形態2]
図5によって、実施形態2の放電負荷用電源200について説明する。図5において、図1で用いた記号と同じ記号は同じ名称の部材を示すものとする。動作波形は図3とほぼ同じであるので、図3を参照する。放電負荷用電源200が放電負荷用電源100と異なる主な点は、制御回路CC’がトリガー用電源TSの起動とほぼ同じ時刻に主電源MSを起動、又はトリガー用電源TSが起動された後、放電負荷DLがトリガーされる前に主電源MSを起動するようにした点と、分離用ダイオード10のカソード側に抵抗器11と抵抗器12とを備えて、起動時にトリガー用電源TSの高電圧出力に影響されることなく出力コンデンサ6の電圧に比例する電圧が電圧検出点Aで検出されるようにした点と、第1のインバータ回路3の起動時に最小のパルス幅から次第に大きくなるパルス幅の制御信号でソフトスタートを行い、放電負荷DLがトリガーされると同時に、第1のインバータ回路3を定電圧制御から定電力制御に切り替えることである。制御回路CC’の詳細な構成は別として、他の回路構成は実施形態1とほぼ同様であるので、これらについては説明を省略する。
制御回路CC’は、制御信号S1とS2とをほぼ同時に供給、又は先ず制御信号S2をトリガー用電源TSの第2のインバータ回路21に供給した後、放電負荷DLがトリガーされる前の予め決められた時間に制御信号S1を主電源MSの第1のインバータ回路3に供給する。ここで、制御回路CC’は予め決められた傾斜で増大する第1、第2の設定電圧信号を内蔵し、駆動初期には電圧検出信号V2が前記第1の設定電圧信号に等しくなるように制御する制御信号S2をトリガー用電源TSに、また、負荷電圧検出信号Voが前記第2の設定電圧信号と等しくなるように、制御信号S1を主電源MSの第1のインバータ回路3にそれぞれ供給して定電圧制御を行う。制御信号S1とS2は、最小のパルス幅から次第にパルス幅が大きくなるパルス幅制御信号である。したがって、制御回路CC’は図2における抵抗31h、31i及び電圧Vxを有しておらず、放電負荷DLがトリガーされると、実施形態1と同様に第1のインバータ回路3を定電圧制御から定電力制御モードに切り替える。放電負荷用電源100と同様に、制御信号S2により第2のインバータ回路2が起動され、トリガー用電源TSの負の高電圧が電流制限用インピーダンス28及び逆流阻止用ダイオード29を通して直流出力端子7に印加される。放電負荷DLがトリガーされる寸前までは電流が流れないので、トリガー用電源TSの負の高電圧がそのまま直流出力端子7に印加される。
この状態では、分離用ダイオードは逆バイアスされており、非導通である。この期間では、分離用ダイオードが非導通であるので、当然に主電源MSから放電負荷DLには電流が流れず、第1のインバータ回路3の出力で出力コンデンサ6が充電される。トリガー用電源TSの負の高電圧によって放電負荷DLがトリガー、つまり部分的な放電路が形成されると、トランス22と昇圧回路23とからなる直流高電圧発生回路の出力端子23、トリガー検出手段38、電流検出点B、電流検出用手段13、直流出力端子8、放電負荷DL、直流出力端子7、電流制限用インピーダンス28及び逆流阻止用ダイオード29を通してトリガー電流が前記直流高電圧発生回路の出力端子24に流れる。したがって、電流制限用インピーダンス28に大きな電圧がかかり、直流出力端子7の負の電圧は急激にゼロ方向に上昇し、直流出力端子7と8との間の電圧は急激に小さくなる。それと同時に、制御回路CC’はトリガー検出手段38によって放電負荷DLがトリガーされたことを検知し、第1のインバータ回路3を定電圧制御から定電力制御に切り替え、それ以後は実施形態1と同様に、第1のインバータ回路3を定電力制御する。
放電負荷DLがトリガーされると、分離用ダイオード10は順バイアスされて導通し、それまで出力コンデンサ6に充電されていた電荷は放電され、その放電電流は出力側整流回路5の直流出力電流に重畳されて放電負荷DLを流れる。出力コンデンサ6のその放電電流は、実施形態1で述べたように、薄膜の形成などに悪影響を与えることなく放電雰囲気を維持し、定格放電に安定かつ確実に移行させる働きを行う。放電負荷DLがトリガーされたときには、実施形態1と同様にトリガー用電源TSからのトリガー電流も重畳されるが、この実施形態2でもトリガー電流が定格放電電流に比べて大幅に小さな値に設定しており、トリガー用電源TSの小容量化、小型化を行っている。実施形態2では実施形態1に比べて、主電源MSが起動されてから放電負荷DLがトリガーされて出力コンデンサ6が放電されるまでの期間が長い、つまり出力コンデンサ6の充電時間が長いので、第1のインバータ回路3を制御信号S1のパルス幅が起動初期から順次大きくなるパルス幅信号でソフトスタートさせても、出力コンデンサ6に有効なエネルギーを蓄えることができる。したがって、実施形態2では起動時に順次パルス幅が大きくなる制御信号S1を用いている。
以上の実施形態に係る放電負荷用電源は、特に10W〜数十Wの定格放電電力で品質の薄膜を形成することができる場合について述べたが、本発明はそれよりも大きな定格電力を必要とする放電負荷用電源にも同様に適用することができる。また、以上の実施形態ではトリガー検出手段38として最も簡便なフォトカプラを用いた例を述べたが、一般的なカレントトランス、あるいは電流検出用抵抗、又は電流検出用ICなどを用いてもよい。なお、トリガー用電源TSを小型・軽量化するためには、第2のインバータ回路21を20kHz以上の高周波の制御信号S2で駆動し、電流制限用インピーダンス28の抵抗値を大きくすることによって、トリガー電流を定各放電電流の数%以下、好ましくは2%程度以下に制限する。このように条件を選定することにより、トリガー用電源TSの出力電力容量を十分に小さくすることができ、またトランス22の小型化を含めてトリガー用電源TS全体の小型・軽量化を行うことができる。
本発明の1実施形態である放電用電源装置100を示す図である。 放電用電源装置100に用いられる制御回路の働きを説明するための図である。 放電用電源装置100を説明するための電圧、電流の波形を示す図である。 放電用電源装置100の起動動作を説明するため制御信号などの波形の一例を示す図である。 本発明の別の1実施形態である放電用電源装置200を示す図である。
符号の説明
MS・・主電源
TS・・トリガー用電源
CC、CC’・・制御回路
DL・・放電負荷
1、2・・・直流入力端子
3・・・第1のインバータ回路
4・・・トランス
5・・・出力側整流回路
6・・・出力コンデンサ
7、8・・・直流出力端子
9・・・出力抵抗
10・・・分離用ダイオード
11・・・電圧分割用抵抗器
12・・・電圧検出用抵抗器
13・・・電流検出用手段
21・・・第2のインバータ回路
22・・・トランス
23・・・昇圧回路
24、25・・・出力端子
26・・・高電圧分割用抵抗器
27・・・電圧検出用抵抗器
28・・・電流制限用インピーダンス
29・・・逆流阻止用ダイオード
31・・・制御回路CCの制御部
31f、31g・・・スイッチ素子
31e・・・制御増幅器
31j・・・コンパレータ
31d・・・AND回路
32、33、34、35・・・信号入力線
36、37・・・信号出力線
38・・・トリガー検出手段
S1、S2・・・制御信号
S3・・・電力設定信号
S4・・・スタート信号
S5・・・パルス幅制御信号
S6・・・制御増幅器31eの出力信号
S7・・・3角波信号
Vo・・・負荷電圧検出信号
Io・・・負荷電流検出信号
V2・・・トリガー用電源TSの電圧検出信号
I2・・・トリガー放電電流検出信号
Wo・・・電力検出信号

Claims (9)

  1. 放電負荷に電力を供給する放電負荷用電源において、
    第1のインバータ回路と、該第1のインバータ回路の出力側に1次巻線が接続された第1のトランスと、該第1のトランスの2次巻線と前記放電負荷が接続される直流出力端子との間に接続された出力側整流回路と、該出力側整流回路の直流端子間に接続された出力コンデンサと、前記出力側整流回路の一方の出力端子と前記直流出力端子の一方との間に直列に接続された分離用ダイオードとからなる主電源と、
    第2のインバータ回路と、該第2のインバータ回路の出力側に接続された直流高電圧発生回路と、この直流高電圧発生回路の高電圧出力端子と前記直流出力端子との間に接続されて、前記放電負荷がトリガーされたときに前記直流高電圧発生回路から前記放電負荷に流れる電流を制限値以下に抑制する電流制限用インピーダンスとからなるトリガー用電源と、
    前記第1のインバータ回路を及び前記第2のインバータ回路を制御する制御回路と、
    を備え、
    前記主電源が起動されて前記分離用ダイオードが非導通である期間に前記出力側整流回路の出力電流により前記出力コンデンサに充電された電荷が、前記トリガー用電源の高電圧出力によって前記放電負荷がトリガーされるときに前記分離用ダイオードが順バイアスされて導通することにより放電され、その放電電流が前記出力側整流回路からの出力電流に重畳されて前記放電負荷に流れることを特徴とする放電負荷用電源。
  2. 請求項1において、
    前記制御回路は、前記第2のインバータ回路を最初に起動し、次いで前記放電負荷がトリガーされたときに前記第1のインバータ回路を起動することを特徴とする放電負荷用電源。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記制御回路は、前記第1のインバータ回路を所定のパルス幅を有する初期制御信号で起動し、次に該初期制御信号よりも小さなパルス幅の制御信号で駆動した後に、該制御信号のパルス幅よりも小さな最小のパルス幅から次第に大きくなるパルス幅の制御信号で駆動することを特徴とする放電負荷用電源。
  4. 請求項1において、
    前記制御回路は、前記第2のインバータ回路を起動すると共に、前記放電負荷がトリガーされる前に前記第1のインバータ回路を起動し、前記放電負荷がトリガーされるまで前記出力コンデンサを設定電圧まで充電するように前記第1のインバータ回路を制御することを特徴とする放電負荷用電源。
  5. 請求項1又は請求項4において、
    前記制御回路は、前記第1のインバータ回路の起動時から定格放電状態に至るまで、ある最小のパルス幅から次第に大きくなるパルス幅を有する制御信号で前記第1のインバータ回路を起動することを特徴とする放電負荷用電源。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかにおいて、
    前記制御回路は、前記主電源の出力電力が設定電力の80%を超えるいずれかの時点で、前記トリガー用電源の給電を停止させることを特徴とする放電負荷用電源。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれかにおいて、
    前記制御回路は、前記直流高電圧発生回路の低電位側の端子と前記出力側整流回路の接地される側の直流端子との間に接続された発光素子を備え、該発光素子の点灯によって前記放電負荷がトリガーされたことを検知することを特徴とする放電負荷用電源。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれかにおいて、
    前記トリガー用電源は、前記電流制限用インピーダンスと直列に接続された逆流阻止用ダイオードを備えることを特徴とする放電負荷用電源。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれかにおいて、
    前記電流制限用インピーダンスは、トリガー電流を定格放電電流の数%以下に制限する抵抗値を有することを特徴とする放電負荷用電源。
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