JP4804266B2 - 電気電子機器用Cu−Zn−Sn合金及びその製造方法 - Google Patents
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Description
近年、固溶強化型合金に替わり、析出強化型銅合金の使用量が増加している。析出強化型合金は、合金元素をCu母地中に微細化合物粒子として析出させることを特徴とする。合金元素が析出する際に、強度が上昇し、同時に導電率も上昇する。したがって、析出硬化合金では、固溶強化型合金に対し、同じ強度でより高い導電率が得られる。析出強化型銅合金としては、Cu−Ni−Si系合金、Cu−Be系合金、Cu−Ti系合金、Cu−Zr系合金等がある。
しかし、析出強化型合金では、合金元素をCu中に一旦固溶させるための高温・短時間の熱処理(溶体化処理)及び合金元素を析出させるための低温・長時間の熱処理(時効処理)が必要であり、その製造プロセスは複雑である。また、合金元素として、Si、Ti、Zr、Be等の活性元素を含有しているため、インゴット品質の作りこみが難しい。したがって、析出強化型合金の製造コストは、固溶強化型合金の製造コストと比べ非常に高い。
(A)導電率:35%IACS以上。この導電率は析出強化型合金であるCu−Ni−Si系合金(コルソン合金)の導電率に匹敵する。なお、黄銅(C2600)の導電率は28%IACS、りん青銅(C5210)の導電率は13%IACSである。
(B)引張強さ:410MPa以上。この引張強さは、JIS規格(JISH3100)により規定された黄銅(C2600)の質別Hの引張強さに相当する。
(C)曲げ性:曲げ半径R/板厚t=0.1の条件で、Good Way(曲げ軸が圧延方向と直行する方向)及びBad Way(曲げ軸が圧延方向と平行な方向)ともに、W曲げが可能なこと。この曲げ試験において割れが発生しなければ、コネクタに施される最も厳しいレベルの曲げ加工が可能となる。
本発明の目的は、プレス打ち抜き加工性を改善したCu−Zn−Sn系合金条を提供することである。
(1) 2〜12質量%のZn、0.1〜1.0質量%Snを含有し、Snの質量%濃度([%Sn])とZnの質量%濃度([%Zn])との関係が、
0.5≦[%Sn]+0.16[%Zn]≦2.0
の範囲に調整され残部が銅及びその不可避的不純物から構成される銅合金であり、圧延面に平行な断面において、直径0.1μm以上5μm以下の化合物粒子の頻度が500〜50000個/mm2であり、直径5μm超の化合物粒子の頻度が10個/mm2以下であることを特徴とする電気電子機器用銅合金、
(2) 2〜12質量%のZn、0.1〜1.0質量%のSnを含有し、Snの質量%濃度([%Sn])とZnの質量%濃度([%Zn])との関係が、
0.5≦[%Sn]+0.16[%Zn]≦2.0
の範囲に調整され、
更に、Ni、Fe、Mn、Mg、Co、Ti、Cr、Zr、Al、P、Si及びAgの群から選ばれた少なくとも一種を0.005〜0.5質量%の範囲で含有し、残部が銅及びその不可避的不純物から構成される銅合金であり、
圧延面に平行な断面において、直径0.1μm以上5μm以下の化合物粒子の頻度が500〜50000個/mm2であり、直径5μm超の化合物粒子の頻度が10個/mm2以下であることを特徴とする電気電子機器用銅合金、
(3)S及びOを合計で15〜60質量ppm含有することを特徴とする上記(1)又は(2)の電気電子機器用銅合金、
(4)溶解鋳造によりインゴットを製造し、このインゴットを熱間圧延し、その後、冷間圧延と再結晶焼鈍を繰り返し、最後に冷間圧延で所定の製品厚み仕上げる工程で製造する工程において、熱間圧延を次の条件で行うことを特徴とする上記(1)〜(3)の電気電子機器用銅合金の製造方法、
(イ)インゴットを800〜900℃で1〜5時間加熱する。
(ロ)熱間圧延終了時の材料温度を600〜700℃とする。
(ハ)熱間圧延中に、加工度が30%以上の通板を2回以上行う。
に関するものである。
本発明の銅合金は、ZnとSnを基本成分とし、両元素の作用により機械的特性と導電率を作りこむ。Zn濃度の範囲は2〜12質量%、好ましくは5〜10重量%、Sn濃度の範囲は0.1〜1.0質量%、好ましくは0.1〜0.5重量%とする。Znが2質量%未満であると、強度が不足するとともに、Cu−Zn合金の特徴である良好な製造性が失われる。Znが12質量%を超えると、Sn濃度を調整しても35%IACS以上の導電率が得られなくなる。Snは圧延の際の加工硬化を促進する作用を持ち、Snが0.1質量%未満であると強度が不足する。一方、Snが1.0質量%を超えると、合金の製造性が低下する。
SnとZnの合計濃度(T)は、次のように調整する。
0.5≦T≦2.0
T=[%Sn]+0.16[%Zn]
ここで、[%Sn]及び[%Zn]はそれぞれSn及びZnの質量%濃度である。Tを2.0以下にすれば35%IACS以上の導電率が得られる。また、Tを0.5以上にすれば、金属組織を適切に調整することにより、410MPa以上の引張強さが得られる。そこで、Tを0.5〜2.0、好ましくは0.6〜1.7に規定する。この範囲に調整することにより、35%IACS以上の導電率と410MPa以上の引張強さがより安定して得られる。
本発明の合金には、合金の強度、耐熱性、耐応力緩和性等を改善する目的で、Ni、Fe、Mn、Mg、Co、Ti、Cr、Zr、Al、P、Si及びAgの群から選ばれた少なくとも一種を合計で0.005〜0.5質量%添加することができる。ただし、合金元素の追加は、導電率の低下、製造性の低下、原料コストの増加等を招くことがあるので、この点への配慮は必要である。
上記元素の合計量が0.005質量%未満であると、特性向上の効果が発現しない。一方、上記元素の合計量が0.5質量%を超えると、導電率低下が著しくなる。そこで、合計量を0.005〜0.5質量%に規定する。
直径0.1μm以上5μm以下の化合物粒子(以下、微細粒子とする)を、圧延面に平行な断面において500個/mm2以上の頻度で含有すると、プレス打ち抜き加工後のバリが小さくなる。一方、微細粒子の化合物粒子の頻度が、50000個/mm2を超えると曲げ加工性が低下する。そこで、微細粒子の化合物粒子の頻度を、500〜50000個/mm2に規定する。より好ましい頻度は1000〜10000個/mm2であり、良好な打ち抜き加工性と曲げ加工性が、より安定して両立する。上記化合物粒子の構成成分については下記(ニ)に記載する。
直径5μm超の化合物粒子(以下、粗大粒子とする)は、曲げ加工性を顕著に劣化させる。そこで、粗大粒子の頻度を、圧延面に平行な断面において10個/mm2以下に規定する。10個/mm2以下であれば、曲げ加工性への影響は無視できる。
なお、直径が0.1μm未満である化合物粒子は、打ち抜き加工性や曲げ加工性に影響を及ぼさない。そこで、直径が0.1μm未満である化合物粒子の頻度については特に規定しない。
Cu−Zn−Sn系合金における化合物粒子としては、ZnO、ZnS、Cu2S、CaO、CaS、MgS、MgO、SiO2等がある。Zn及びCuの化合物は合金成分に由来するものであり、Ca、Mg及びSiの化合物は溶解炉の炉材成分等に由来するものである。
化合物粒子成分は酸化物及び硫化物が多いので、S濃度及びO濃度を調整することにより、化合物粒子の頻度を調整することができる。
S及びOは、好ましくは合計で15〜60質量ppmに調整する。S及びOの合計が15質量ppm未満であると、微細粒子の頻度を500個/mm2以上に調整することが困難になる。一方、S及びOの合計が60質量ppmを超えると、微細粒子が50000個/mm2を超えたり、粗大粒子の頻度が10個/mm2を超えることがある。
本発明のCu−Zn−Sn系合金の製造では、まず溶解鋳造によりインゴットを製造し、このインゴットを熱間圧延し、その後、冷間圧延と再結晶焼鈍を繰り返し、最後に冷間圧延で所定の製品厚みに仕上げる。ばね限界値、応力腐食割れ感受性、耐応力緩和性等を改善する目的で、仕上冷間圧延の後に歪取焼鈍を行なうこともある。また、製品の表面に、リフローすずめっき等のめっきを施すこともある。これら一連の工程において、化合物粒子調整のために重要な工程は、熱間圧延(以下、熱延)である。
インゴットの金属組織は樹枝状晶より構成されており、樹枝状晶の間隙に硫化物や酸化物等の化合物が分布する。インゴット中の化合物は粗大であり、このままの形態では打ち抜き加工性向上への効果が少ない。そこで、熱延において粗大な化合物を一旦母地に溶解し、微細な化合物粒子として再析出させること、及び熱延中に粗大な化合物を破砕し微細化すること、が必要である。
化合物を母地に溶解するために、インゴットを800〜950℃の温度で1〜5時間加熱する。温度が800℃未満である場合は、化合物の溶解が不充分になる。一方、温度が950℃を超えると熱延で割れが発生する。インゴットの加熱時間が1時間未満の場合は、化合物の溶解が不充分になる。一方、5時間を超える加熱を行っても、化合物が更に溶解することは無く、コストが増加し不経済である。
一旦母地に溶解した化合物粒子を再析出させるために、熱延終了時の材料温度を600〜700℃とする。化合物の母地への溶解度は低温ほど少ないので、材料温度が熱延開始温度(800〜950℃)から600〜700℃に低下する間に、化合物粒子が再析出する。熱延終了時の材料温度が700℃を超えると化合物粒子の再析出が不充分となる。熱延終了時の材料温度が600℃未満であると加工性が低下し熱延割れが発生する。
熱延の圧延加工では、材料を複数回、圧延機に通板し、所定の厚みに仕上げる。粗大な化合物を効果的に破砕するには、加工度を30%以上に調整した通板を、熱延中に合計で2回以上行う必要がある。ここで、加工度Rは次式で定義する。
R=(t0−t)/t0(t0:圧延前の厚み、t:圧延後の厚み)
(工程1)熱間圧延(熱延)により厚さを6mmにする。
(工程2)熱間圧延板の表面の酸化スケールをグラインダーで研削、除去する。
(工程3)板厚1.5mmまで冷間圧延(素圧延)する。
(工程4)再結晶焼鈍(中間焼鈍)として、大気中、400℃で30分間加熱し、結晶粒径を約3μmに調整する。
(工程5)10質量%硫酸−1質量%過酸化水素溶液による酸洗及び#1200エメリー紙による機械研磨を順次行ない、焼鈍で生成した表面酸化膜を除去する。
(工程6)冷間圧延(中間圧延)により、厚み0.43mmまで加工度71%で圧延する。
(工程7)再結晶焼鈍(最終焼鈍)として、大気中、400℃で30分間加熱し、結晶粒径を約3μmに調整する。
(工程8)10質量%硫酸−1質量%過酸化水素溶液による酸洗及び#1200エメリー紙による機械研磨を順次行ない、焼鈍で生成した表面酸化膜を除去する。
(工程9)冷間圧延(仕上圧延)で0.3mmまで加工度30%で圧延する。
得られた試料につき、以下の評価を行った。
圧延面を機械研磨と電解研磨により鏡面に仕上げた。電解研磨では、電解液として燐酸125mL、蒸留水250mL、エタノール125mL、プロパノール25mL、尿酸2.5gを混合した溶液を用い、試料をアノードとして通電を行った。
電解研磨後の表面をFE−SEM(電界放出型走査電子顕微鏡)を用いて観察し、化合物粒子の個数を測定した。直径0.1μm以上5μm以下の化合物粒子については、一万倍の倍率で0.01mm2の面積を観察し、得られた粒子個数を1mm2あたりの個数に換算した。直径5μm超の化合物粒子については、千倍の倍率で1mm2の面積を観察し、粒子個数を測定した。
なお、化合物粒子の形が楕円状、棒状、線状などの場合には、図1に示すように、短軸(L1)と長軸(L2)の平均値を直径とした。また、圧延方向に連なった粒子から構成される粒子群(例えば、JISG0555におけるB系介在物)については、粒子群の直径及び個数を測定するのではなく、粒子群を構成する個々の粒子の直径と個数を測定した。
プレス打ち抜き加工により、試料に丸孔を形成した。ポンチは直径9.96mmの円筒形状とし、ダイス側の孔径は10.00mmとした(クリアランス0.02mm)。打ち抜き速度は10mm/minとし、材料押さえは行わなかった。
丸孔の破面を断面から観察し、図2に示すバリの高さを測定した。測定位置は、圧延方向に平行な破面部位とした。各試料につき10回の測定を行い、その平均値を求めた。バリ高さが10μm以下の場合に良好な打ち抜き加工性が得られたと判断した。
幅10mmの短冊形試料を用い、JISH3110に規定されたW曲げ試験を実施した。曲げ方向はGood Way及びBad Wayとし、曲げ半径は0.03mm(曲げ半径R/板厚t=0.1)とした。
曲げ後の試料につき、曲げ部の表面及び断面から、割れの有無を観察し、Good Way及びBad Wayともに割れが発生しなかった場合を○、Good Way及びBad Wayの両方又は片方で割れが発生した場合を×と評価した。なお、深さが10μmを超える亀裂を割れとみなした。
JIS H 0505に準拠し、4端子法で測定した。
引張強さ:
引張方向が圧延方向と平行になるように、プレス機を用いてJIS13B号試験片を作製した。JIS−Z2241に従ってこの試験片の引張試験を行い、引張強さを求めた。
表2に示す成分のCu−Zn−Sn系合金インゴットを製造し、上記標準工程に従い厚み0.3mmまで加工した。いずれの試料においても、熱間圧延では、インゴットを850℃で3時間加熱した。その後、熱間圧延での加工パターンを示す表1中のパターンAに従って加工度が30%以上の通板を2回行い、厚みを6mmに仕上げた。熱間圧延を終えた直後の材料温度(熱間圧延終了温度)は、約630℃であった。
Zn濃度及びSn濃度並びに化合物粒子がプレス打ち抜き性に及ぼす影響を表2に示す。
発明例1〜21では、SとOの合計濃度を15〜60質量ppmに調整した結果、微細粒子の頻度が500〜50000個/mm2に収まり、粗大粒子は10個/mm2以下となった。このため、バリ高さは10μm以下であり、R/t=0.1のW曲げで割れが発生しなかった。また、合金成分の濃度を適正範囲に調整したため、35%IACS以上の導電率及び410MPa以上の引張強さが得られた。
発明例1〜5、比較例22〜24では、Cu−8質量%Zn−0.3質量%Sn合金に対し、SとOの合計濃度を変化させている。SとOの合計濃度が増えるに従い、微細粒子が増え、バリが小さくなることが分かる。これらのうち比較例22では、SとOの合計濃度が15質量ppmに満たないため、微細粒子が規定範囲未満であり、10μmを超えるバリが発生した。比較例23、24では、SとOの合計濃度が60質量ppmを超えた。このため比較例23では微細粒子が規定範囲を超え、R/t=0.1のW曲げで割れが発生した。同様に、比較例24では微細粒子及び粗大粒子が規定範囲を超え、R/t=0.1のW曲げで割れが発生した。
比較例25〜28は、合金成分の濃度が不適切であったため、バリは小さくW曲げが可能であったものの、目標とする導電率又は引張強さが得られなかった例である。比較例25はZn濃度が低いため、比較例26はSn濃度が低いため、引張強さが410MPaに満たなかった。比較例27はZnとSn濃度が高いため、比較例28はAlとSi濃度が高いため、導電率が35%IACSに満たなかった。
比較例29は、Ni濃度が高すぎるため導電率が低く、W曲げで割れが発生した。更にSとOの合計濃度が15質量ppmに満たなかったため、バリ高さが10μmを超えた。
熱間圧延条件が化合物粒子及びプレス打ち抜き性に及ぼす影響を表3に示す。
Zn濃度が8質量%、Sn濃度が0.3質量%、([%Sn]+0.16[%Zn])が1.58、S濃度が15質量ppm、O濃度が20質量ppmのインゴットを上記標準工程に従い板厚0.3mmまで加工した。熱間圧延では、インゴットの加熱温度と時間を変化させ、また加工パターンを表1のA〜Fの7種類で変化させた。更に、各通板間で材料を空冷するなどし、熱間圧延終了温度を変化させた。
発明例30〜46では、本発明の条件で熱間圧延が行われた結果、微細粒子の頻度が500〜50000個/mm2に収まり、粗大粒子は10個/mm2以下となった。このため、バリ高さは10μm以下であり、R/t=0.1のW曲げで割れが発生しなかった。
発明例30〜33、比較例47〜49では、インゴットの加熱時間を3時間、加工パターンをB(加工度30%以上の通板2回)、熱延終了温度を約650℃とし、インゴットの加熱温度を変化させている。加熱温度が高いほど、粗大粒子が減って微細粒子が増え、バリが小さくなることが分かる。これらのうち比較例47は加熱温度が800℃より低かっため、粗大粒子が10個/mm2を超え、W曲げで割れが発生した。比較例48は加熱温度が更に低かったため、粗大粒子が10個/mm2を超えるとともに微細粒子が500個/mm2未満であり、W曲げで割れが発生し10μmを超えるバリが発生した。比較例49は、インゴットの加熱温度が900℃を超えたため、熱延中に割れが発生し、板厚0.3mmまで加工できなかった。
発明例31、34〜38、比較例50では、インゴットの加熱温度を830℃、加工パターンをB(加工度30%以上の通板2回)、熱延終了温度を約650℃とし、インゴットの加熱時間を変化させている。加熱時間が長いほど、粗大粒子が減って微細粒子が増え、バリが小さくなることが分かる。比較例50は、加熱時間が1時間より短いため、粗大粒子が10個/mm2を超え、W曲げで割れが発生した。発明例38の加熱時間は6時間と、加熱時間5hの発明例37より長いにもかかわらず、微細粒子及び粗大粒子の数は発明例34と同等であり、加熱時間を長くした効果は認められない。
発明例35、39〜42、比較例51〜53では、インゴットの加熱温度を830℃、加熱時間を2時間、加工パターンをB(加工度30%以上の通板2回)とし、熱延終了時の材料温度を変化させている。熱間圧延終了時の材料温度が低いほど微細粒子が増え、バリが小さくなることが分かる。比較例52、53は熱延終了温度が700℃を超えたために、微細粒子の再析出が不充分であり、微細粒子の個数が500個/mm2未満であり、バリ高さが10μmを超えた。比較例51は、熱延後半において600℃未満である温度で加工を行った際に材料に割れが発生し、0.3mmまで加工できなかった。
発明例40、43〜46、比較例54〜56では、インゴットの加熱温度を830℃、加熱時間を2時間、熱延終了温度を約650℃とし、熱延での加工パターンを変化させている。加工度30%以上の通板回数を多くすることで、粗大化合物の破砕が進んで粗大粒子の個数が減り、微細粒子の個数が増えることが分かる。比較例54〜56は、加工度30%以上の通板が2回未満のため、粗大粒子の個数が10個/mm2を超え、W曲げで割れが発生した。
Claims (4)
- 2〜12質量%のZn、0.1〜1.0質量%のSnを含有し、Snの質量%濃度([%Sn])とZnの質量%濃度([%Zn])との関係が、
0.5≦[%Sn]+0.16[%Zn]≦2.0
の範囲に調整され残部が銅及びその不可避的不純物から構成される銅合金であり、圧延面に平行な断面において、直径0.1μm以上5μm以下の化合物粒子の頻度が500〜50000個/mm2であり、直径5μm超の化合物粒子の頻度が10個/mm2以下であることを特徴とする電気電子機器用銅合金。 - 2〜12質量%のZn、0.1〜1.0質量%のSnを含有し、Snの質量%濃度([%Sn])とZnの質量%濃度([%Zn])との関係が、
0.5≦[%Sn]+0.16[%Zn]≦2.0
の範囲に調整され、
更に、Ni、Fe、Mn、Mg、Co、Ti、Cr、Zr、Al、P、Si及びAgの群から選ばれた少なくとも一種を0.005〜0.5質量%の範囲で含有し、残部が銅及びその不可避的不純物から構成される銅合金であり、
圧延面に平行な断面において、直径0.1μm以上5μm以下の化合物粒子の頻度が500〜50000個/mm2であり、直径5μm超の化合物粒子の頻度が10個/mm2以下であることを特徴とする電気電子機器用銅合金。 - 更に、S及びOを合計で15〜60質量ppm含有することを特徴とする請求項1又は2の電気電子機器用銅合金。
- 溶解鋳造によりインゴットを製造し、このインゴットを熱間圧延し、その後、冷間圧延と再結晶焼鈍を繰り返し、最後に冷間圧延で所定の製品厚みに仕上げる工程で製造する工程において、熱間圧延を次の条件で行うことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の電気電子機器用銅合金の製造方法:
(1)インゴットを800〜900℃で1〜5時間加熱する。
(2)熱間圧延終了時の材料温度を600〜700℃とする。
(3)熱間圧延中に、加工度が30%以上の通板を2回以上行う。
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