JP4803943B2 - 肝細胞増殖因子活性化因子阻害因子−1に対する抗体とその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、肝細胞増殖因子活性化因子阻害因子−1(HAI−1)に対する定量測定用抗体またはモノクローナル抗体、その使用方法および測定キットに関する。またHAI−1を指標にした疾患状態の患者、特に臓器炎症、腎炎、癌、肝疾患、血液疾患、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞または血栓症に関する検出および測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
肝細胞増殖因子活性化因子阻害因子−1(以下「HAI−1」と略す)は、肝細胞増殖因子活性化因子の制御因子として、またクニッツ型セリンプロテアーゼインヒビターの一種として知られている(下村ら、J.Biol.Chem.,272:6370-6376(1997))。HAI−1は、細胞膜貫通部分を有する蛋白質とされており、分子量は約66000(電気泳動法)と報告されている(下村ら、J.Biol.Chem.,126:821-828(1999))。HAI−1は、MKN45等のHAI−1を産生する培養細胞の培養上清中に、細胞膜貫通部分が無い状態で存在することが知られている。これらの可溶性のHAI−1には、還元条件下でのSDS−PAGE法で分子量約58000の分子と約48000の分子と約40000の分子と約39000の分子が報告されており、「solubule forms of HAI」(本発明においてはこれらを「可溶性HAI−1」と呼ぶ)と呼ばれている(下村ら、J.Biochem.,126:821-828(1999))。
【0003】
HAI−1については、肝細胞増殖因子活性化因子〔肝細胞増殖因子(Hepatocyte Growth Factor;以下「HGF」と略す)(仲ら、J.Biol.Chem.,267:20114-20119(1992))に作用して、これを特異的に限定分解して活性化する因子(下村ら、Cytotechnology, 8:219-229(1992)):以下「HGFA」と略す〕の活性を阻害する作用等のプロテアーゼインヒビター作用が知られている。 HAI−1に対する抗体としては、マウスモノクローナル抗体C76−18と1N7(下村ら、特開平11−295309:C76−18、片岡ら、J. Histochem. Cytochem., 47:673-682(1999):1N7)が知られているが、この抗体を用いた組織染色では、正常人の膵臓、肝臓、小腸、子宮でHAI−1が発現していることが判明している。また、肝臓癌の患者でも前記抗体を用いた組織染色が行われており、HAI−1が発現していることが調べられている(片岡ら、Cancer research, 60, 6148-6159, 2000)。しかしながら、ヒトの病態におけるHAI−1の役割、機能に関しては解っていなかった。更に、血液等の生体成分中の可溶性HAI−1濃度と病態の関連に関しては判っていなかった。
【0004】
可溶性HAI−1の血中濃度等の生体成分中濃度と病態の関連を解析するには、ヒト組織、体液、尿または血液中などの生体成分中に存在する可溶性HAI−1を定量的に測定する必要がある。そして、可溶性HAI−1を定量的に測定するためには、可溶性HAI−1を認識する高親和性抗体、特に望ましくは高親和性モノクローナル抗体の取得が不可欠である。
【0005】
HAI−1に対する抗体としては、マウスモノクローナル抗体C76−18と1N7(下村ら、特開平11−295309:C76−18、片岡ら、J. Histochem. Cytochem., 47:673-682(1999):1N7)が知られている。しかしながら、可溶性HAI−1を定量的に測定するのに適した性質を有する抗可溶性HAI−1抗体は知られておらず、さらにはヒト血液などの生体成分中に存在する可溶性HAI−1を検出、又は定量測定する方法や、そのためのキットは存在しない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、可溶性HAI−1を認識する高親和性抗体を用いて可溶性HAI−1を検出する方法、定量測定する方法、並びに可溶性HAI−1が関与する疾病の検出および定量測定方法及びキットを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述のHAI−1に対するマウスモノクローナル抗体C76−18と1N7(下村ら、特開平11−295309:C76−18、片岡ら、J. Histochem. Cytochem., 47:673-682(1999):1N7)は、生体成分中の可溶性HAI−1を定量測定するには適していない。実際にこれらの既存抗体を入手し、可溶性HAI−1の測定系を構築しようとしても、血液中の可溶性HAI−1濃度を測定できる系は構築できなかった。この理由としては、以下の事が考えられる。既存の抗体は細胞表面上のHAI−1は認識できるが、血液や尿などの生体成分中に存在しているような可溶性HAI−1を認識できない、もしくは既存の抗体はHAI−1に対する親和性が低く生体成分中の可溶性HAI−1と十分に結合できない等が考えられる。実際に既存抗体のHAI−1に対する解離定数を測定すると、それぞれC76−18:Kd=1.48×10-9M、1N7:Kd=1.68×10-8Mであり、ヒトの生体成分中の可溶性HAI−1濃度測定するには不十分な親和性しか有していなかった。
【0008】
一方、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、可溶性HAI−1に対する高親和性のマウスモノクローナル抗体を得ることに成功した。本発明者らの可溶性HAI−1に対する高親和性のマウスモノクローナル抗体:HAI−1A−1−1−3−4は抗原抗体反応の解離定数がKd=2.67×10-10Mと従来の物より親和性が格段に高く、ヒトの生体成分中の可溶性HAI−1濃度を測定するには十分な親和性を有しており、同抗体を用いることにより定量系の構築に成功した。さらに、本発明の抗体はヒト病態における可溶性HAI−1濃度と各種ヒト疾患との関連を解析するにたる親和性を有していることもわかった。
【0009】
そこで本発明者らは、ヒト病態における可溶性HAI−1血中濃度と各種ヒト疾患との関連を解析するため、高親和性抗体HAI−1A−1−1−3−4を用いることにより、ヒト血中におけるHAI−1の高感度定量系の構築を試みた。可溶性HAI−1に対するマウスモノクローナル抗体:HAI−1A−1−1−3−4とウサギポリクローナル抗体を用い、2抗体サンドイッチ法を用いた酵素標識抗体測定系(enzyme-linked immunosorbent assay;以下「ELISA測定系」と略す)を構築し、健常人や臓器疾患をはじめとする種々の疾患患者の血液(血漿または血清)に対して、可溶性HAI−1濃度の測定をした。
【0010】
その結果、本発明の可溶性HAI−1特異的高感度測定方法およびそのキットを使用することにより、可溶性HAI−1の健常人の血中濃度域をはじめて明らかにし、糸球体腎炎をはじめとする臓器障害の患者や癌患者、血栓症患者の血液中に存在する可溶性HAI−1量が著しく増加することをはじめて見いだした。
本発明は、上記知見からなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
【0011】
(1)可溶性の肝細胞増殖因子活性化因子阻害因子−1(可溶性HAI−1)を認識し、定量的に結合する抗体。
(2)前記可溶性HAI−1は、還元条件下におけるSDS−PAGE法により測定される分子量が約約39000〜58000ダルトンである(1)に記載の抗体。
(3)可溶性HAI−1に対する解離定数が、2×10-9M以下である(1)1又は(2)に記載の抗体。
(4)モノクローナル抗体である(1)〜(3)のいずれかに記載の抗体。
(5)受託番号FERM BP−8022であるハイブリドーマにより産生される(4)に記載のモノクローナル抗体。
(6)(4)に記載のモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞系。
(7)受託番号FERM BP−8022である(6)に記載のハイブリドーマ細胞系。
(8)(1)〜(5)のいずれかに記載の抗体の1種又は複数種を用いて、可溶性HAI−1を免疫学的方法により測定することを特徴とする、可溶性HAI−1の定量測定法。
(9)可溶性HAI−1を測定する検体が、疾患の疑いのある被検者または被検動物から採取された生体成分である(8)に記載の方法。
(10)前記疾患が、臓器炎症、腎炎、癌、肝疾患、血液疾患、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞または血栓症である(9)に記載の方法。
(11)前記疾患が、肝細胞癌又は膵臓癌である(9)に記載の方法。
(12)疾患の疑いのある被検者から採取された生体成分中の可溶性HAI−1を検出または測定することを特徴とする疾患の検出方法。
(13)前記疾患が、臓器炎症、腎炎、癌、肝疾患、血液疾患、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞または血栓症である(12)に記載の方法。
(14)前記疾患が、肝細胞癌又は膵臓癌である(12)の方法。
(15)前記生体成分が血液又はその分画物もしくは処理物であることを特徴とする(9)又は(12)に記載の方法。
(16)前記生体成分が血漿または血清である(9)又は(12)に記載の方法。
(17)前記生体成分が尿である(9)又は(12)に記載の方法。
(18)(1)に記載の抗体の1種又は複数種を含み、可溶性HAI−1を検出または定量的に測定するためのキット。
(19)臓器炎症、腎炎、癌、肝疾患、血液疾患、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞または血栓症の診断に用いられる(18)に記載のキット。
(20)疾患の疑いのある患者から採取された生体成分中の可溶性HAI−1を測定することを特徴とする(18)に記載のキット。
(21)可溶性HAI−1の検出または測定を、免疫染色によって行うことを特徴とする(18)に記載のキット。
【0012】
本明細書において、可溶性HAI−1を認識するモノクローナル抗体を、「可溶性HAI−1特異的高親和性モノクローナル抗体」、可溶性HAI−1を認識するポリクローナル抗体を、「可溶性HAI−1特異的ポリクローナル抗体」ということがある。さらに、これらを総称して、「可溶性HAI−1特異的高親和性抗体」ということがある。また、「可溶性HAI−1を認識する」とは、抗原抗体反応により可溶性HAI−1に結合することをいう。尚、本発明の可溶性HAI−1特異的高親和性抗体が、全長HAI−1に結合すると否とは問わない。
【0013】
また、「定量的に結合する」とは、本発明の可溶性HAI−1特異的高親和性抗体と可溶性HAI−1との結合を、可溶性HAI−1の濃度に相関して検出することが可能であることをいい、具体的には、可溶性HAI−1を酵素イムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ、蛍光イムノアッセイ、化学発光イムノアッセイ、イムノブロッティング法、イムノクロマト法、ラテックス凝集法などの免疫学的方法により定量することが可能な程度の結合が可能であることをいう。例えば、10ng/ml以上、好ましくは1ng/ml以上、より好ましくは0.5ng/ml以上の可溶性HAI−1の定量が可能が抗体は、本発明の可溶性HAI−1特異的高親和性抗体である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0015】
<1>可溶性HAI−1特異的高親和性抗体作製用の免疫抗原およびスクリーニング抗原
免疫抗原に使用するHAI−1は、HAI−1全長でもよく、可溶性HAI−1すなわちHAI−1の細胞外ドメイン又はその一部のペプチドであってもよい。可溶性HAI−1特異的高親和性抗体を効率よく取得するためには、可溶性HAI−1又はその一部のペプチドを用いることが好ましい。尚、免疫抗原とモノクローナル抗体のスクリーニング等に使用するHAI−1の少なくとも一方は、可溶性HAI−1又はその一部のペプチドであることが好ましい。
【0016】
可溶性HAI−1としては、例えば、下村らの方法(J.Biol.Chem.,272:6370-6376(1997)) に従い、HAI−1を産生する培養細胞、例えばMKN45の培養上清を精製したものを使用することが可能である。また特開平9-95497(米国特許第6,225,081)に記載されているHAI−1 cDNAを使用して大腸菌などの微生物、昆虫細胞、酵母、動物細胞および動物を使用した組換え蛋白質であるHAI−1も利用可能である。さらにはHAI−1の部分配列を化学合成により作製したペプチドも利用することが可能である。
【0017】
特に、HAI−1特異的高親和性抗体を取得するためには、高純度のHAI−1を調製することが好ましい。このような目的から、ここで使用するHAI−1としては、HAI−1 cDNAを使用した組換え蛋白質が望ましい。例えば、特開平9-95497に記載されているHAI−1をコードするHAI−1 cDNAを使用し、その全長または一部を適当な発現ベクターに挿入し、これを大腸菌などの微生物、昆虫細胞、酵母、動物細胞または動物に導入し、さらにHAI−1を発現しているこれらの遺伝子導入細胞の培養上清または細胞内画分、組織、体液より精製操作を実施して、組換え蛋白質であるHAI−1を得ることが可能である。上記cDNAを発現させる宿主として適切な動物細胞、例えばCHO細胞を用いた場合は、可溶性HAI−1が培養上清中に遊離する。また、宿主として微生物細胞を用いる場合は、HAI−1 cDNAのうち細胞外ドメインをコードする領域を発現させてもよい。さらに、必要に応じて適当な分泌シグナルを用いてもよい。
【0018】
また細胞系を使用することなく、Rapid Translation System RTS500(Roshe Diagnostics社)などを使用した試験管内での転写・翻訳システムを用いて、目的とするHAI−1を作製することも可能である。
【0019】
具体的な例としては、特開平9-95497に記載されているHAI−1cDNAを動物細胞発現ベクターのプロモーター下流に挿入した発現ベクターを用い、これらの発現ベクターを動物細胞に導入後、そのHAI−1 cDNAを発現している細胞を選択して、その培養上清から精製することにより組換え蛋白質である可溶性HAI−1を得ることが可能である。可溶性HAI−1の精製は、HPLCを使用したゲル濾過またはアフィニティークロマトグラフィー等、通常の蛋白質の精製法にしたがって行うことができる。
【0020】
精製純度の高い可溶性HAI−1は、免疫原として重要であるだけでなく、可溶性HAI−1特異的ポリクローナル抗体をアフィニテイー精製により選別したり、可溶性HAI−1特異的高親和性モノクローナル抗体をスクリーニングする際に、極めて重要な材料となる。また、定量測定時の標準品可溶性HAI−1としても重要である。
【0021】
<2>可溶性HAI−1特異的高親和性モノクローナル抗体の作製
HAI−1特異的高親和性モノクローナル抗体を取得するには、免疫用抗原として、前述したHAI−1、好ましくは可溶性HAI−1を用い、通常行われる免疫学的方法を実施すればよい。
【0022】
免疫に使用する動物は特に限定されないが、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、マウス、ラット、モルモット、ニワトリ等はいずれも使用できる。免疫用抗原の動物への接種は、皮下、筋肉内、腹腔内に完全フロイントアジュバントや不完全フロイトアジュバントと免疫用抗原をよく混和して行う。接種は、2週間から5週間ごとに実施し、接種した抗原に対する免疫動物の抗体価が充分に上昇し(高親和性抗体の場合はELISA法にて好ましくは100万倍希釈以上の力価がある事)、かつ一定期間以上(高親和性抗体の場合は好ましくは2ヶ月以上)続ける。この後、十分に抗体価が上昇した免疫動物に対して抗原のみの静脈注射を行い、その3日後に抗体産生細胞を含むと考えられる脾臓もしくはリンパ節を採取し、この脾臓細胞またはリンパ細胞を腫瘍細胞と細胞融合させる。この後、細胞融合して不死化した抗体産生細胞(ハイブリドーマ)を単離する。ここで使用する腫瘍細胞は、一般的に免疫を行った動物から調製される脾臓細胞もしくはリンパ細胞と同一種であることが望ましいが、異種動物間のものでも可能である。
【0023】
腫瘍細胞の例として、p3(p3/x63-Ag8), P3U1, NS-1, MPC-11, SP2/0, FO, x63.6.5.3, S194, R210等の骨髄腫細胞が使用される。細胞融合は一般に行われている方法、例えば「単クローン抗体実験マニュアル」(講談社サイエンティフィック 1987年出版)に従って実施すればよい。細胞融合は、融合させる細胞を懸濁した融合培地に細胞融合促進剤を加えることに実施することができる。細胞融合促進剤としては、センダイウイルスや平均分子量1000-6000のポリエチレングリコールなどが挙げられる。この際、更に融合効率を高めるために、ジメチルスルホキシド等の補助剤やIL−6等のサイトカインを融合培地に添加することも出来る。免疫を行った脾臓細胞もしくはリンパ細胞に対する腫瘍細胞の混合比は、例えば腫瘍細胞に対し、脾臓細胞もしくはリンパ細胞を約1倍から10倍程度用いればよい。
【0024】
上記の融合培地としてはERDF培地、RPMI-1640培地、MEM培地等の通常の各種培地を使用することが出来、融合時は通常、牛胎児血清(FBS)等の血清を培地から抜いておくのがよい。融合は、上記の免疫を行った脾臓細胞もしくはリンパ細胞と腫瘍細胞との所定量を上記の培地内でよく混合し、予め37℃程度に加温しておいたポリエチレングリコール溶液を20%から50%程度加え、好ましくは30℃から37℃で1分から10分程度反応させることによって実施する。以降、適当な培地を逐次添加して遠心し、上清を除去する操作を繰り返す。
【0025】
目的とするハイブリドーマは、通常の選択培地、例えばHAT培地(ヒポキチンサン、アミノプテリン及びチミジンを含む培地)で培養する。このHAT培地での培養は、目的とするハイブリドーマ以外の細胞(未融合細胞等)が死滅するのに充分な時間、通常では数日から数週間行えばよい。可溶性HAI−1特異的高親和性モノクローナル抗体を取得する際、技術的に重要な点がそのスクリーニングである。可溶性HAI−1特異的高親和性モノクローナル抗体を産生しているハイブリドーマのスクリーニングは、前述した方法により得た可溶性HAI−1などの材料を用い、種々の免疫化学的方法で解析することにより可能となる。例えば可溶性HAI−1をスクリーニング用抗原として用い、これらのスクリーニング用抗原とハイブリドーマ培養上清中に分泌されるモノクローナル抗体との結合を、ELISA法などの酵素免疫測法、またはウエスタンブロッティング法などで解析して、目的とするハイブリドーマを選択することが出来る。
【0026】
具体的には、可溶性HAI−1をスクリーニングプレートなどに付着させ、BSA等でブロッキングしたものに対して、上記ハイブリドーマの培養上清を添加して、可溶性HAI−1を認識する抗体を分泌しているハイブリドーマを選別する。例えば、選択するハイブリドーマの培養上清を可溶性HAI−1が付着したELISA法用のプレートに添加して反応させ、十分な洗浄操作後、標識抗マウスIgGポリクローナル抗体を添加してさらに反応させる。洗浄操作後に標識の検出を行い、可溶性HAI−1を付着したプレートに反応性がある培養上清を有するハイブリドーマを選択する。標識としては、後述する各種酵素、蛍光物質、化学発光物質、ラジオアイソトープ、ビオチンまたはアビジン等が用いられる。
【0027】
上記のスクリーニングにより、可溶性HAI−1を認識するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマが得られる。一方、この様なハイブリドーマをスクリーニングする際、前述した部分配列ペプチドと反応することを指標としても良い。この様な方法で選択されたハイブリドーマが産生する抗体に関しては、さらに可溶性HAI−1に反応することを確認すると良い。
【0028】
尚、可溶性HAI−1としては、分子量約58000の分子と約48000の分子と約40000の分子と、約39000の分子が報告されているが、本発明のHAI−1特異的高親和性モノクローナル抗体は、分子量に関わらず細胞膜膜貫通部分を持たない可溶性HAI−1に対して高親和性を有する抗体であれば特に制限されない。しかし、前記のいずれの分子量の可溶性HAI−1にも結合することが好ましい。
【0029】
本発明の可溶性HAI−1特異的高親和性モノクローナル抗体は、可溶性HAI−1に対する解離定数が2×10-9M以下、好ましくは1×10-9M以下、より好ましくは5×10-10M以下であることが望ましい。
上記のような可溶性HAI−1特異的高親和性モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマクローンとして具体的には、実施例に記載するHAI−1A−1−1−3−4が挙げられる。HAI−1A−1−1−3−4以外にも、本発明の可溶性HAI−1特異的高親和性モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、本明細書の記載、及び当業者によく知られた方法を用いることによって、容易に取得することができる。
【0030】
得られたハイブブリドーマは、限界希釈法によりクローニングすることにより、単一のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマクローンを得ることが出来る。このハイブリドーマクローンは、あらかじめFBS中に含まれるウシ抗体(IgG)を除いたFBSを1〜5%程度加えた培地または無血清用培地を用いて培養を行い、得られた培養上清を目的のモノクローナル抗体を精製する原料とする。一方、得られたハイブリドーマクローンをあらかじめプリステンを投与したBalb/CマウスまたはBalb/c(nu/nu)マウスの腹腔内に移植し、10日から14日後にモノクローナル抗体を高濃度に含む腹水を採取し、目的のモノクローナル抗体を精製する原料としてもよい。モノクローナル抗体を精製する方法は、通常の免疫グロブリン精製法を用いれば良く、例えば、硫安分画法、ポリエチレン分画法、エタノール分画法、陰イオン交換クロマトグラフィー、プロテインAまたはプロテインGが結合したアフィニティークロマトグラフィー等により実施することが出来る。
【0031】
<3>可溶性HAI−1特異的ポリクローナル抗体の作製
可溶性HAI−1特異的ポリクローナル抗体は、HAI−1、好ましくは可溶性HAI−1又はその一部のペプチドを免疫用抗原として用い、得られた免疫動物由来のポリクローナル抗体に対し、可溶性HAI−1を認識する抗体を精製する操作を実施すれば取得することが可能である。また、ポリクローナル抗体を取得する免疫用抗原として、前述したHAI−1の部分配列ペプチドとキャリアーの融合体も使用可能である。
【0032】
免疫に使用する動物は特に限定されないが、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、マウス、ラット、モルモット、ニワトリ等はいずれも使用できる。免疫用抗原の動物への接種は皮下、筋肉内、腹腔内に完全フロイントアジュバントや不完全フロイトアジュバントとよく混和して行う。接種は2週間から5週間ごとに実施し、接種した抗原に対する免疫動物の抗体価が充分に上昇するまで続ける。この後、免疫動物に対して抗原のみの静脈注射を行い、その3日後から5日後に抗血清を取得する。
【0033】
取得した抗血清からポリクローナル抗体を精製する方法は、通常の免疫グロブリン精製法を用いれば良く、例えば、硫安分画法、ポリエチレン分画法、エタノール分画法、陰イオン交換クロマトグラフィー、プロテインAまたはプロテインGが結合したアフィニティークロマトグラフィー等により実施することが出来る。
【0034】
可溶性HAI−1特異的ポリクローナル抗体を取得するための精製操作とは、可溶性HAI−1を認識するポリクローナル抗体を分画または精製可能な方法であればいずれでも良く、例えばイオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、分子ふるいクロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル電気遊動法、免疫電気遊動法等が挙げられる。具体的な方法の一つとして、可溶性HAI−1を固定化した樹脂を用いたアフィニティーカラムクロマトグラフィーが挙げられる。例えば、前述の方法で得られたポリクローナル抗体を材料にして、可溶性HAI−1を固定化した樹脂を用いたアフィニティークロマトグラフィーを実施する。この方法により、可溶性HAI−1に結合した吸着画分に存在するポリクローナル抗体を回収する。
【0035】
これらの方法により、可溶性HAI−1特異的ポリクローナル抗体を得ることが出来る。また、このアフィニティークロマトグラフィーの方法として、可溶性HAI−1の部分配列ペプチドを利用することも可能である。ペプチドを固定化した樹脂は、可溶性HAI−1特異的ポリクローナル抗体を精製するアフィニティークロマトグラフィー用の固定化用担体として使用することが出来る。
【0036】
ポリクローナル抗体においては、厳密な意味での解離定数は存在しないが、モノクローナル抗体と同様の手法、例えば後記実施例4に示した方法で、可溶性HAI−1に対する解離定数に類似した数値を得ることができる。本発明の可溶性HAI−1特異的ポリクローナル抗体は、そのようにして測定される値が、2×10-9M以下、好ましくは1×10-9M以下、より好ましくは5×10-10M以下であることが望ましい。
【0037】
<4>可溶性HAI−1を特異的に定量測定する方法
本方法は、可溶性本発明のHAI−1特異的高親和性抗体を使用して、可溶性HAI−1を定量的に測定する方法である。本方法は、生体試料中のHAI−1を定量する様々な診断方法、測定方法、アッセイ方法に用いることが可能である。その方法としては、可溶性HAI−1を定量する目的であれば特に限定されない。例えば、可溶性HAI−1を特異的に検出する組織染色法法や免疫沈降法、可溶性HAI−1を特異的に測定する競合的結合アッセイ方法、または直接的または間接的サンドイッチアッセイ法、2抗体サンドイッチアッセイ法などが挙げられる。また検出方法としては、酵素イムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ、蛍光イムノアッセイ、化学発光イムノアッセイ、イムノブロッティング法、イムノクロマト法、ラテックス凝集法などが挙げられる。
【0038】
イムノブロッティングの応用例としては、可溶性HAI−1特異的高親和性抗体をマイクロアレイやチップに添加もしくは固定したものも含まれる。また可溶性HAI−1特異的高抗体を蛍光ラベル化し、蛍光偏向解消法、蛍光相関分散法を用いて可溶性HAI−1との相互作用を検出することも可能である。表面プラズモン共鳴装置を利用して可溶性HAI−1特異的高親和性抗体と、可溶性HAI−1との相互作用を測定することも可能である。例えば、この抗体をセンサーチップ上に結合させた後、このチップをとりつけた表面プラズモン共鳴装置に可溶性HAI−1を含む生体試料を流し、応答シグナルの時間変化を追跡することにより、生体成分中の可溶性HAI−1を定量することが可能である。
【0039】
可溶性HAI−1を特異的に測定する方法で使用される抗体、例えばHAI−1特異的高親和性抗体は、そのまま用いてもよいし、定法であるパパイン処理によって得られるFabもしくはペプシン処理によって得られるF(ab')2またはF(ab')の形態を持った抗体を用いても良い。また可溶性HAI−1特異的高親和性抗体の断片も、本発明に含まれる。例えば、可溶性HAI−1特異的高親和性抗体のH鎖とL鎖の両可変ドメイン内の相補性決定領域(CDR)または超可変領域などを含む断片がこれに含まれる。
【0040】
生体成分中の可溶性HAI−1を定量する2抗体サンドイッチアッセイ法とは、例えば、可溶性HAI−1を特異的に測定する方法であって、(1)可溶性HAI−1特異的高親和性抗体の一種または複数を含むものからなる試薬を、検体中の可溶性HAI−1と反応させ、免疫反応物を生成させる工程、(2)免疫反応物を分離した後、免疫反応物中の可溶性HAI−1を認識する標識抗体と反応させる工程、及び(3)免疫反応物に結合した標識抗体を測定する工程を含む方法、または、
可溶性HAI−1を特異的に測定する方法であって、(1)可溶性HAI−1と可溶性HAI−1特異的高親和性抗体の一種または複数を第一次抗体として含むものからなる試薬を、検体中の可溶性HAI−1と反応させ、免疫反応物を生成させる工程、(2)免疫反応物を分離した後、免疫反応物中の可溶性HAI−1を認識する第二次抗体と反応させ、免疫反応物を生成させる工程、(3)免疫反応物を分離した後、免疫反応物中の第二次抗体を認識する標識抗体を反応させる工程、及び(4)免疫反応物に結合した標識抗体を測定する工程を含む方法、が挙げられる。
【0041】
具体的には、マイクロタイターウェルやマイクロ磁気ビーズなどの固相に対して可溶性HAI−1特異的ポリクローナル抗体又は可溶性HAI−1特異的高親和性モノクローナル抗体を、定法により一次抗体として固相化する。次に、この固相表面の過剰な蛋白質結合部位を、ウシ血清アルブミン、スキムミルクまたはゼラチン等でブロッキングする。この後、可溶性HAI−1を含む生体成分を添加して固相上で免疫反応物を形成させた後に洗浄する。次に可溶性HAI−1を認識する標識ポリクローナル抗体または標識モノクローナル抗体を二次抗体として添加して反応させる。この際、一次抗体としてモノクローナル抗体を用いた場合は、一次抗体とエピトープが異なる可溶性HAI−1特異的高親和性モノクローナル抗体を標識したものを二次抗体として使用しても良い。さらに洗浄後、標識抗体量を測定することにより、生体成分中の可溶性HAI−1量を測定することが出来る。
【0042】
ここで使用するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体の標識とは、アルカリホスファターゼ、西洋わさびペルオキシターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼなどの酵素でもよいし、フルオレッセイン誘導体やローダミン誘導体などの蛍光物質でもよい。またユーロピウムもしくはユーロピウム錯体などの時間分解蛍光測定が可能な希土類もしくは希土類錯体であってもよい。さらに、アクリジニウムエステル等の化学発光物質であってもよいし、125I、3H、14C、32Pなどのラジオアイソトープでもよい。すなわち、発色、蛍光、時間分解蛍光、化学発光、電気化学発光、放射活性を測定する方法を用いて生体成分中の可溶性HAI−1量を定量することが本発明に含まれる。また、二次抗体をビオチン化標識し、アビジンと複合体を形成しているアルカリホスファターゼ、西洋わさびペルオキシターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼ、フルオレッセイン誘導体、ローダミン誘導体、希土類錯体、アクリジニウムエステル等の化学発光物質、125I、3H、14C、32Pなどのラジオアイソトープを検出することも本発明に含まれる。
【0043】
<5>可溶性HAI−1を特異的に定量測定または染色するキット
可溶性HAI−1特異的測定キットまたは可溶性HAI−1特異的染色キットとは、可溶性HAI−1を測定または検出することを特徴とする、疾患の診断キットである。可溶性HAI−1を測定することにより、疾患状態にある患者、例えば糸球体腎炎、腎炎、肝炎、膵臓炎、肺炎、腸炎、胃炎をはじめとする臓器障害の患者、癌患者、肝疾患の患者、血液疾患の患者、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などをはじめとする血栓症の患者の診断が可能であることが本発明により初めて判明した。したがって、可溶性HAI−1を測定または検出することにより、前記のような各種疾患を検出することができる。本発明においては、疾患を診断する目的の可溶性HAI−1特異的測定キットであるならば、そのキットを構成する材料、方法には限定されない。
【0044】
具体的には、例えば、電気遊動法、HPLC法、各種カラムクロマトグラフィー法、各種アレー、チップ、表面プラズモン共鳴装置等を用い、可溶性HAI−1を測定または検出することにより、疾患を診断するキットなどが挙げられる。より具体的には、抗体を用いた免疫学的方法により可溶性HAI−1を測定または検出するキットが挙げられる。抗体としては、前記の可溶性HAI−1を認識する抗体の少なくとも一つ以上が用いられる。
【0045】
例えば、本発明のキットが2抗体サンドイッチアッセイ法によるものである場合には、
可溶性HAI−1を特異的に測定するキットであって、(1)可溶性HAI−1と可溶性HAI−1特異的高親和性抗体の一種または複数を含むものからなる試薬を検体中の可溶性HAI−1と反応させ、免疫反応物を生成させる工程、(2)免疫反応物を分離した後、免疫反応物中の可溶性HAI−1を認識する標識抗体と反応させる工程、及び(3)免疫反応物に結合した標識抗体を測定する工程を含んだキット、または、
可溶性HAI−1を特異的に測定するキットであって、(1)可溶性HAI−1と可溶性HAI−1特異的高親和性抗体の一種または複数を第一次抗体として含むものからなる試薬を検体中の可溶性HAI−1と反応させ、免疫反応物を生成させる工程、(2)免疫反応物を分離した後、免疫反応物中の可溶性HAI−1を認識する第二次抗体と反応させ、免疫反応物を生成させる工程、(3)免疫反応物を分離した後、免疫反応物中の第二次抗体を認識する標識抗体を反応させる工程、及び(4)免疫反応物に結合した標識抗体を測定する工程を含んだキット、が挙げられる。
【0046】
このキットは、少なくとも可溶性HAI−1特異的高親和性モノクローナル抗体又は可溶性HAI−1特異的ポリクローナル抗体を含み、さらに、可溶性HAI−1を検出または測定する操作に必要な構成要素が含まれていてもよい。その構成要素の例として、標準蛋白質としての可溶性HAI−1、酵素および基質等が挙げられる。キットに含まれるモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体は、酵素などの標識物質が結合した状態でもよいし、これらの抗体を認識する標識抗体が含まれていてもよい。また適切な各種緩衝液、抗原希釈液、反応希釈液、基質溶液、反応停止液等が含まれていてもよい。本キットにはラベルが付き、可溶性HAI−1検出および定量に必要な材料が封入された容器が含まれていてもよい。適した容器としては、例えばガラス、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ナイロン、テフロン(du Pont社の登録商標)などの各種プラスチックを材質とした容器が挙げられる。キットには、好ましくは、上述した可溶性HAI−1を検出または測定するのに必要な材料、容器とともに、可溶性HAI−1を検出または測定する方法が記載された説明書が含まれる。
【0047】
<6>ヒト疾患に関する可溶性HAI−1特異的高親和性抗体とその使用法
本発明による可溶性HAI−1特異的高親和性抗体を使用した方法、キットを用いることにより、疾患状態にある患者から採取された生体成分中の可溶性HAI−1を検出することが出来、また定量することも可能である。可溶性HAI−1を検出する生体材料は特に限定されず、組織、血清、血漿、尿、漿液、髄液、組織の抽出液等、いずれの生体材料も適切な前処理を行うことによって適応可能である。疾患状態にある患者の生体材料中に存在する可溶性HAI−1を検出または定量することにより、その疾患の診断、予知、経過を判断することが可能である。疾患の例として、糸球体腎炎、腎炎、肝炎、膵臓炎、肺炎、腸炎、胃炎などをはじめとする臓器炎症、癌、肝疾患、血液疾患、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞などをはじめとする血栓症などが挙げられる。
【0048】
特に腎炎の例としては、メサンギウム増殖性腎症、IgA腎症、膜性増殖性腎炎、膜性腎症、巣状糸球体硬化症、急性腎不全、溶連菌感染後急性糸球体腎炎、慢性・急性間質性腎炎、ネフローゼ症候群などが挙げられる。また狭心症、心筋梗塞の例としては安定労作時狭心症、不安定狭心症、急性心筋梗塞、陳旧性心筋梗塞、安定狭心症が挙げられ、冠動脈インターベンション施行患者、経食道心エコー施行患者、下肢動脈バイパス手術施行患者、大動脈バルーンパンピング施行患者、急性大動脈解離患者などの疾患状況、予後を知ることも可能である。また、癌の例としては肝細胞癌又は膵臓癌などが挙げられる。
【0049】
また可溶性HAI−1特異的高親和性抗体は、可溶性HAI−1の活性を特異的に抑制する効果が期待できるため、可溶性HAI−1により引き起こされる疾患の治療薬として使用することが期待される。
【0050】
例えば、可溶性HAI−1は不活性型HGFAに作用してこれを活性化するのを阻害する性質を有している。このため可溶性HAI−1の阻害活性を抑制する抗体は、生体中で出現する活性型HGFA量を増加し、さらには活性型HGFの増加を引き起こす、活性型HGFは血管新生因子の一種であるので(HGFの分子医学(1998年出版)メディカルレビュー社)、動脈硬化などの血管障害の治療薬、予防薬として使用することが可能である。この目的で使用する抗体は、遺伝子工学的手法を使用してヒト化しておくと良い。抗体のヒト化は、例えば特表平11-506327などに記載されている当業者によく知られた方法によって実施することができる。
また、患者の生体成分中の可溶性HAI−1を測定することにより、投薬の効果判定を行い、治療方針を決めることも可能である。ある疾患に対して効果があるとされている薬剤でも、効果に個人差があり、患者によっては効果がなかったり、また副作用が出たりする事がある。従って、薬剤の投与前及び投与後に可溶性HAI-1を測定することにより、個々の患者に対する薬剤の効果及び副作用を確認することが出来、今後もその薬剤を投与して治療すべきか否かの指針とすることができる。
【0051】
【実施例】
以下に実施例を挙げ本発明を具体的に説明するが, 本発明はこれらに限定されるものではない。
【0052】
【実施例1】
可溶性HAI−1特異的高親和性モノクローナル抗体の作製
免疫抗原、スクリーニング抗原、及び可溶性HAI−1測定系における標準可溶性HAI−1として用いた可溶性HAI−1は、HAI−1のcDNAを利用した組み換えCHO細胞により発現、分泌させ、カラムクロマトグラフィー操作により精製することによって、取得した。
【0053】
可溶性HAI−1 100μgを含む溶液を、同容量のフロイント完全アジュバントもしくはフロイント不完全アジュバントとともに、Balb/cマウスの皮内および皮下に4週間間隔で3回投与した。マウスの血清中に可溶性HAI−1特異的高親和性抗体が産生していることを確認後、30μgの可溶性HAI−1を含む溶液を尾静脈内に投与した。3日後に脾臓を取り出し、「単クローン抗体実験マニュアル」(講談社サイエンティフィック1987年出版)に従い、ポリエチエングリコール1500を使用して、脾臓細胞をミエローマ細胞P3U1と細胞融合させ、96ウェルプレートに注入後HAT培地を添加して14日間の培養を行った。
【0054】
この後、可溶性HAI−1に対して特異的なモノクローナル抗体を培地中に産生するハイブリドーマの選別を行った。すなわち可溶性HAI−1を固相化し、BSAでブロッキングをおこなった可溶性HAI−1特異的高親和性抗体スクリーニング用ELISAプレートに対して、選択するハイブリドーマの培養上清を添加し、培養上清に存在するモノクローナル抗体の反応性を解析した。スクリーニング用ELISAプレートに対し、選択するハイブリドーマの培養上清を100μl/ウェルにて添加した後1時間以上反応させた。
【0055】
この後、0.05% Tween20を含むPBS(-)液(以下「PBST液」と略す)を用いて十分な洗浄を行ない、HRP(西洋わさびペルオキシターゼ)標識ヤギ抗マウスIgG・Fcポリクローナル抗体(ICN社)1μg/mlおよび1% BSAを含むPBS(-)を100μlずつウェルに添加し、さらに室温で1時間反応させた。PBST液で充分に洗浄操作を行った後、0.4mg/mlオルトフェニレンジアミン(OPD、Sigma社 P-9029)および0.015〜0.03%過酸化水素溶液を含むクエン酸−リン酸緩衝液(pH5.0)を添加して室温にて反応させ、発色を行なった。この後1N H2SO4溶液を添加して反応を止め、測定波長490nm、リファレンス波長650nmにて測定を行なった。
【0056】
次に、得られた可溶性HAI−1に対して反応する各ハイブリドーマは、限界希釈法による3回のクローニング操作後、培養上製を回収してプロテインAが結合したアフィニティークロマトグラフィー(アマシャムファルマシアバイオテク製)により、モノクローナル抗体の精製を行った。
【0057】
上記のようにしてクローニングしたハイブリドーマクローンの一株を、HAI−1A−1−1−3−4と命名した。HAI−1A−1−1−3−4は、平成13年10月19日より、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305-8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に受託番号FERM P−18565の受託番号で寄託され、2002年4月17日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、受託番号FERM BP−8022が付与されている。
【0058】
【実施例2】
可溶性HAI−1に対するポリクローナル抗体およびその標識体の作製
可溶性HAI−1に対するポリクローナル抗体は、以下のようにして調製した。可溶性HAI−1 100μgを含む溶液と、同容量のフロイント完全アジュバントもしくはフロイント不完全アジュバントを等量ずつ混合したものを抗原として、ウサギ皮下へ2週間間隔で7回投与した。血清中に抗体が産生していることを確認後、さらに10μgの抗原を脈内に投与し、5日後に抗血清を取得た。さらに硫安沈殿操作後、プロテインAカラムを使用した精製操作により、抗可溶性HAI−1ポリクローナル抗体を取得した。この後、得られた抗可溶性HAI−1ポリクローナル抗体をビオチン標識することにより、ビオチン標識抗可溶性HAI−1ポリクローナル抗体を調製した。
【0059】
【実施例3】
可溶性HAI−1定量測定系の構築
実施例1で作製したハイブリドーマクローンHAI−1A−1−1−3−4のモノクローナル抗体と既存のノクローナル抗体C76−18と1N7を一次抗体として使用した。各モノクローナル抗体を20μg/mlの濃度になるように0.05M炭酸−重炭酸緩衝液(pH9.6)に溶解し、50μl/ウェルにて96ウェルプレートへ添加し、4℃にて一昼夜(12時間程度以上)または37℃にて2時間以上おいた。この一次抗体付着プレートより一次抗体溶液を除いた後、1% BSAを含むPBS(-)を250〜300μl/ウェルずつ添加し、4℃にて一昼夜(12時間程度)または37℃にて2時間以上おくことによりブロッキング操作を行った。このプレートからブロッキング溶液を除き、0.15M NaCl, 0.05% Tween20, 1% BSA, 20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)に溶解された種々の濃度(0、 0.625、1.25、2.50、5.00、10.0、 20.0、40.0 ng/ml)の可溶性HAI−1を50μlずつ添加し、室温にて1時間反応させた。
【0060】
この後、500mM NaCl, 0.05% Tween 20, 20mM Tris-HCl pH7.5を組成とする洗浄液を使用して十分な洗浄を行なった後、実施例3で作製したビオチン標識抗可溶性HAI−1ポリクローナル抗体10μg/mlおよび1%BSAを含むPBS(-)を100μlずつウェルに添加し、室温にて1時間反応させた。
【0061】
次に上記の洗浄液を使用して十分な洗浄を行ない、HRP標識ストレプトアビジン(アマシャムファルマシアバイオテク、コードRPN1231)を2000倍希釈した1% BSAを含むPBS(-)を100μlずつウェルに添加し、さらに室温で1時間反応させた。洗浄液液で充分に洗浄操作を行った後、0.4mg/mlオルトフェニレンジアミン(OPD、Sigma社 P-9029)および0.015〜0.03%過酸化水素溶液を含むクエン酸−リン酸緩衝液(pH5.0)を100μl/ウェルずつ添加して室温にて反応させ、発色を行なった。
【0062】
この後、1N H2SO4溶液を100μl/ウェルずつ添加して反応を止め、測定波長490nm、リファレンス波長650nmにて測定を行なった。この結果を図1に示す。図1Aは可溶性HAI−1の濃度、0〜40ng/mlの範囲で記載した。図1Bは図1Aに記した可溶性HAI−1の濃度のうち、0〜2.5ng/mlの範囲を拡大して示した。本発明で得られたハイブリドーマクローンHAI−1A−1−1−3−4のみ、反応曲線が濃度依存的に得られ、他の既存抗体C76−18と1N7では反応性がみられなかった。
【0063】
【実施例4】
HAI−1特異的高親和性モノクローナル抗体の解離定数測定実施例1にて作製・精製された可溶性HAI−1特異的高親和性モノクローナル抗体のうち、ハイブリドーマクローンHAI−1A−1−1−3−4由来のモノクローナル抗体と既存の抗体C76−18と1N7について解離定数を測定した。可溶性HAI−1を固相化し、BSAでブロッキングをおこなった可溶性HAI−1固相化プレートに対して各抗体それぞれ、濃度を変えて添加し、反応を平衡状態に達するまで十分にさせた(2時間以上)。
【0064】
この後、0.05% Tween20を含むPBS(-)液(以下「PBST液」と略す)を用いて十分な洗浄を行ない、HRP(西洋わさびペルオキシターゼ)標識ヤギ抗マウスIgG・Fcポリクローナル抗体(ICN社)1μg/mlおよび1% BSAを含むPBS(-)を100μlずつウェルに添加し、さらに室温で1時間反応させた。PBST液で充分に洗浄操作を行った後、0.4mg/mlオルトフェニレンジアミン(OPD、Sigma社 P-9029)および0.015〜0.03%過酸化水素溶液を含むクエン酸−リン酸緩衝液(pH5.0)を添加して室温にて反応させ、発色を行なった。
【0065】
この後、1N H2SO4溶液を添加して反応を止め、測定波長490nm、リファレンス波長650nmにて測定を行なった。測定結果よりスキャチャードプロットを行い、解離定数を求めた。結果を表1に示す。本発明で得られたモノクローナル抗体が最も解離定数の小さい、すなわち親和性が高い結果が得られた。
【0066】
【表1】
【0067】
【実施例5】
健常人血液中おけるHAI−1量の測定
実施例3で作製した可溶性HAI−1特異的高感度測定系を用いて、健常人56人の血清中の可溶性HAI−1を測定した。健常人血清は採取後に凍結して保存され、本実験の直前に解凍して使用した。まず実施例3で作製した一次抗体付着後にブロッキング操作を行った96ウェルプレートに対し、あらかじめ0.15M NaCl, 0.05% Tween20, 1% BSA, 20mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.5を50μlずつウェルに添加し、さらに健常人の血清または標準可溶性HAI−1(0、 0.625、2.5、10、 40 ng/ml)を50μlずつ添加した。この後、室温にて1時間反応させ、500mM NaCl, 0.05% Tween 20, 20mM Tris-HCl(pH7.5)を組成とする洗浄液を使用して十分な洗浄を行なった後、実施例3で作製したビオチン標識抗可溶性HAI−1ポリクローナル抗体10μg/mlおよび1%BSAを含むPBS(-)を100μlずつウェルに添加し、室温にて1時間反応させた。次に上記の洗浄液を使用して十分な洗浄を行ない、HRP標識ストレプトアビジン(アマシャムファルマシアバイオテク、コードRPN1231)を2000倍希釈した1% BSAを含むPBS(-)を100μlずつウェルに添加し、さらに室温で1時間反応させた。
【0068】
洗浄液液で充分に洗浄操作を行った後、0.4mg/mlオルトフェニレンジアミン(OPD、Sigma社 P-9029)および0.015〜0.03%過酸化水素溶液を含むクエン酸−リン酸緩衝液(pH5.0)を100μl/ウェルずつ添加して室温にて反応させ、発色を行なった。この後1N H2SO4溶液を100μl/ウェルずつ添加して反応を止め、測定波長490nm、リファレンス波長650nmにて測定を行なった。この後、標準可溶性HAI−1濃度とその発色量による検量線を作製し、健常人血清中の濃度を算出した。この結果を図2に示す。健常人血清(検体数56)においては、0ng/mlから13.5ng/mlまでの範囲を示し、平均は7.5ng/mlであった。
【0069】
【実施例6】
各種ヒト疾患患者血液中におけるHAI−1量の測定
実施例3で作製したHAI−1特異的測定系を用い、実施例5の方法に従って各種ヒト疾患患者血清中の可溶性HAI−1を測定した。患者数は、各疾患毎に5例とした。各血清は採取後に凍結して保存され、本実験の直前に解凍して使用した。その結果を表2に示す。腎炎、肝炎、膵炎、肺癌、肝臓癌、心筋梗塞、脳梗塞、肝細胞癌、膵臓癌の患者血液中には、健常人(検体数56、平均値7.5ng/ml)と比較して可溶性HAI−1の濃度が高値であることが判った。
【0070】
【表2】
【0071】
【発明の効果】
本発明により、可溶性HAI−1に特異的に結合するモノクローナル及びポリクローナル抗体が提供される。本発明の抗体は、可溶性HAI−1の特異的かつ高感度な測定、検出に用いることができる。
【0072】
本発明の可溶性HAI−1の測定法は、可溶性HAI−1の血中濃度に反映される各種疾患の診断に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 HAI−1測定系における標準HAI−1と各モノクローナル抗体との反応性を示した図である。AはHAI−1の濃度、0〜40ng/mlの範囲で記載、BはAに記したHAI−1の濃度のうち、0〜2.5ng /mlの範囲を拡大して示した。◆はHAI−1A−1−1−3−4、□はC76−18、三角は1N7を示す。
【図2】 健常人血清中におけるHAI−1量のヒストグラムを示した図である。
Claims (3)
- 生体成分中に存在する可溶性の肝細胞増殖因子活性化因子阻害因子−1(可溶性HAI−1)を認識し、受託番号FERM BP−8022であるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体を用いて、肝細胞癌又は膵臓癌の疑いのある被検者又は被検動物から採取された血液又はその分画物もしくは処理物あるいは血漿又は血清中の可溶性HAI−1を免疫学的方法により測定することを特徴とする、可溶性HAI−1の定量測定法。
- 生体成分中に存在する可溶性HAI−1を認識し、受託番号FERM BP−8022であるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体を含み、肝細胞癌又は膵臓癌の疑いのある被検者又は被検動物から採取された血液又はその分画物もしくは処理物あるいは血漿又は血清中の可溶性HAI−1を検出または定量的に測定するためのキット。
- 可溶性HAI−1の検出または測定を、免疫染色によって行うことを特徴とする請求項2に記載のキット。
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