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JP4792417B2 - 流体封入式防振装置 - Google Patents

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JP4792417B2
JP4792417B2 JP2007068623A JP2007068623A JP4792417B2 JP 4792417 B2 JP4792417 B2 JP 4792417B2 JP 2007068623 A JP2007068623 A JP 2007068623A JP 2007068623 A JP2007068623 A JP 2007068623A JP 4792417 B2 JP4792417 B2 JP 4792417B2
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Description

本発明は、例えば、自動車のエンジンマウント等として用いられる防振装置に係り、特に内部に封入された流体の流動作用に基づく防振効果を利用する流体封入式防振装置に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に装着される防振装置の一種として、内部に封入された流体の流動作用を利用して防振効果を得るようにした流体封入式防振装置が知られている。流体封入式防振装置は、例えば、振動伝達系を構成する一方の部材に取り付けられる第一の取付部材を、他方の部材に取り付けられて筒状部を備えた第二の取付部材の一方の開口部側に離隔配置して、それら第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、第二の取付部材で支持せしめた仕切部材を挟んだ両側に壁部の一部が本体ゴム弾性体で構成された受圧室と、壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室をオリフィス通路によって相互に連通せしめた構造とされている。そして、振動入力時には、受圧室と平衡室の間に惹起される相対的な圧力変動に基づいてオリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用等に基づいて防振効果を得られるようになっている。
ところで、このような流体封入式防振装置においては、オリフィス通路がチューニングされた周波数域で流体の流動作用に基づく防振効果が有効に発揮される一方で、その他の周波数域の振動入力時には、有効な防振効果が得られ難い。一方、防振装置に防振効果が要求される周波数域は、一般に、複数の乃至は広い周波数域に亘る。例えば、自動車用のエンジンマウントでは、走行時にエンジンシェイク等の低周波数域の振動に対する防振効果が要求される一方、停車時にアイドリング振動等の中乃至高周波数域の振動に対する防振効果が要求されることとなる。
そこで、複数の乃至は広い周波数域の振動に対して流体の流動作用に基づく防振効果を発揮せしめるために、特許文献1(特開2000−257665号公報)に示されているように、低周波数域にチューニングされた第一のオリフィス通路と、中周波数域にチューニングされた第二のオリフィス通路を形成すると共に、第二のオリフィス通路を開閉するための弁体と該弁体を開閉作動せしめるアクチュエータを設けた構造を有する切換型の流体封入式防振装置が提案されている。しかも、特許文献1に記載の流体封入式防振装置においては、第一,第二のオリフィス通路とは別の位置において受圧室と平衡室を隔てる可動部材を微小変位可能に配設した構造とされており、可動部材の変位による液圧吸収作用を利用して高周波数域の振動入力時にも有効な防振効果が発揮されるようになっている。これにより、例えば、エンジンシェイク等の低周波振動と、中周波アイドリング時振動等の中周波振動と、高周波アイドリング時振動やこもり音等の高周波振動の何れに対しても、防振効果を得ることが出来るようになっている。
しかしながら、本発明者の更なる検討と実験によって、特許文献1に記載の流体封入式防振装置においても、未だ改良の余地があることが明らかとなった。即ち、特許文献1に示された流体封入式防振装置では、低周波数域の振動が問題となり易い走行時等において、第一のオリフィス通路よりも高周波数域にチューニングされた第二のオリフィス通路を遮断することによって、低周波数域にチューニングされた第一のオリフィス通路を通じての流体流動量を有効に確保し、流体の流動作用に基づく防振効果を有利に発揮せしめるようになっている。ところが、特許文献1に記載の構造では、第一,第二のオリフィス通路とは異なる位置に設けられた可動部材が、微小変位を常時許容された状態で配設されていることから、アクチュエータを用いて第二のオリフィス通路を遮断しても、可動部材の微小変位によって受圧室内の液圧が平衡室側に逃される。それ故、第一のオリフィス通路を通じての流体流動量が減少して、目的とする防振効果が有効に発揮されないおそれがあった。
しかも、停車時等に第二のオリフィス通路が連通せしめられた状態においても、可動部材による液圧吸収作用によって、第二のオリフィス通路を通じての流体流動量を有効に得ることが出来ず、目的とする防振性能を実現出来ないおそれがあった。
特開2000−257665号公報
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、異なる周波数域の入力振動に対して何れも優れた防振効果を発揮し、特に、第一,第二のオリフィス通路を通じての流体流動に基づく防振効果を有効に得ることが出来る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供することを目的とする。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、本発明は、第一の取付部材を筒状部を備えた第二の取付部材の一方の開口部側に離隔配置せしめて、それら第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結せしめると共に、該第二の取付部材で仕切部材を支持せしめて、該仕切部材を挟んだ一方の側に壁部の一部が該本体ゴム弾性体で構成された受圧室を形成すると共に、該仕切部材を挟んだ他方の側に壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入し、更に、それら受圧室と平衡室を相互に連通する第一のオリフィス通路と、該第一のオリフィス通路よりも高周波数域にチューニングされた第二のオリフィス通路を設ける一方、該可撓性膜を挟んで該平衡室と反対側にアクチュエータを配設し、該アクチュエータを利用して該第二のオリフィス通路を連通状態と遮断状態に切換可能とした流体封入式防振装置において、前記仕切部材における前記平衡室側の端面の中央部分に凹所を形成して、該凹所の内周面から該仕切部材の外周側に向かって延びる連通孔と該連通孔から該仕切部材の厚さ方向に延びて該仕切部材の前記受圧室側の端面に開口する連通路とによって該受圧室と平衡室を相互に連通する主流路を形成すると共に、該主流路における該連通路の中間部分で分岐して該受圧室に連通する分岐流路を形成して、該主流路と該分岐流路を含んで前記第二のオリフィス通路を構成する一方、該分岐流路の流路上に微小変位可能とされた可動部材を配設し、該可動部材の一方の面に該分岐流路を通じて該受圧室内の圧力が作用せしめられるようにすると共に、他方の面に該主流路と該分岐流路を通じて該平衡室内の圧力が作用せしめられるようにし、更に、前記仕切部材の前記凹所の開口部分に対して、前記可撓性膜を前記アクチュエータにより押圧することにより前記第二のオリフィス通路を構成する前記主流路と前記分割流路とが同時に遮断されるようにしたことを特徴とする。
このような本発明に従う構造の流体封入式防振装置においては、第一,第二のオリフィス通路を通じて受圧室と平衡室の間で流動せしめられる流体の流動作用に基づく防振効果と、可動部材の微小変位による液圧吸収作用に基づく防振効果によって、複数の乃至は広い周波数域の入力振動に対して優れた防振効果を得ることが出来る。
しかも、本発明においては、第二のオリフィス通路が、主流路と、該主流路の流路長方向の中間部分で分岐する分岐流路を含んで構成されており、受圧室側では主流路と分岐流路が各別に受圧室に開口せしめられて連通されていると共に、平衡室側では同一の開口部で平衡室に連通されている。それ故、アクチュエータの作動によって第二のオリフィス通路の平衡室側の開口部を連通状態と閉塞状態に切換制御するという簡単な制御によって、第二のオリフィス通路の連通状態と遮断状態の切換えだけでなく、可動部材の変位許容状態と変位拘束状態の切換えも同時に行うことが出来る。
このような簡単な制御によって、第二のオリフィス通路の連通/遮断と可動部材の変位許容/変位拘束を同時に切り換えることが出来ることから、第一のオリフィス通路がチューニングされた周波数域の振動入力時には、アクチュエータを閉作動せしめて、第二のオリフィス通路を遮断状態とすると共に、可動部材の変位を拘束することにより、第一のオリフィス通路を通じての流体流動をより有利に生ぜしめることが出来て、目的とする防振効果を有効に発揮せしめることが出来る。また、第二のオリフィス通路や可動部材のチューニング周波数域の振動入力に際しては、アクチュエータを開作動せしめて、第二のオリフィス通路を連通状態とすると共に、可動部材の変位を許容することにより、第二のオリフィス通路を通じての流体流動や可動部材の微小変位による防振効果を有効に発揮せしめることが出来る。
また、本発明に係る流体封入式防振装置では、前記主流路を通じて前記受圧室と前記平衡室の間を流動せしめられる流体に及ぼされる流通抵抗が、前記分岐流路を通じて該受圧室と該平衡室の間を流動せしめられる流体に及ぼされる流通抵抗よりも大きいことが望ましい。
これによれば、第二のオリフィス通路の連通状態下において、可動部材の微小変位による液圧吸収作用に基づいた防振効果が有効に発揮される。それ故、可動部材のチューニング周波数域の振動入力に際して、目的とする防振効果を有利に得ることが出来る。
また、本発明に係る流体封入式防振装置では、前記可動部材がゴム弾性体で形成された可動ゴム板とされており、該可動ゴム板が前記分岐流路の流路方向に直交して広がるように配設されて該分岐流路の流路方向での微小変位を許容されていても良い。
このような可動ゴム板を可動部材として採用することにより、可動ゴム板の微小変位による液圧吸収作用と、弾性体で形成された可動ゴム板の微小変形による液圧吸収作用とによって、優れた防振効果を実現することが出来る。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1には、本発明に係る流体封入式防振装置の一実施形態として、自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と、第二の取付部材としての第二の取付金具14を本体ゴム弾性体16で相互に連結した構造を有している。そして、第一の取付金具12が図示しない自動車のパワーユニット等の防振連結すべき一方の部材に取り付けられると共に、第二の取付金具14が図示しない自動車のボデー等の防振連結すべき他方の部材に取り付けられることにより、パワーユニットが車両ボデーによって防振支持されるようになっている。
より詳細には、第一の取付金具12は、鉄やアルミニウム合金等の金属材で形成された高剛性の部材とされて、略逆円錐台形のブロック形状を有している。また、第一の取付金具12の大径側端面には、軸方向上方に突出するようにして取付ボルト18が一体形成されている。
また、第二の取付金具14は、第一の取付金具12と同様に鉄やアルミニウム合金等の金属材で形成されており、全体として大径の略円筒形状を有している。また、第二の取付金具14は、その軸方向上側端部において、環状凹溝としてのくびれ部20を備えている。このくびれ部20は、径方向内方に凹んで周方向に延びており、本実施形態では、第二の取付金具14の全周に亘って略一定の断面形状とされている。特に、第二の取付金具14の軸方向開口部分が開口部側に向かって次第に拡開するテーパ部22とされており、くびれ部20の深さが第二の取付金具14の上方開口側に行くに従って次第に浅くなっている。また、第二の取付金具14の軸方向上側の開口縁部であるくびれ部20の開口側端縁部には、径方向外方に向かって延び出すフランジ状部24が一体形成されている。
さらに、第二の取付金具14の軸方向中間部分には、軸方向下方に行くに従って次第に小径化する傾斜部26が形成されており、傾斜部26とくびれ部20の間が大径部28とされている一方、傾斜部26よりも軸方向下側が小径部30とされている。また、小径部30側の開口端縁部は、径方向内側に屈曲されたかしめ部とされている。
このような構造とされた第二の取付金具14には、その軸方向上方の開口部側に離隔して、第一の取付金具12が略同一中心軸上に配されている。そして、これら第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に本体ゴム弾性体16が配設されており、この本体ゴム弾性体16によって第一の取付金具12と第二の取付金具14が弾性的に連結されている。
本体ゴム弾性体16は、全体として円錐台形状を有しており、第一の取付金具12が小径側端面から挿し込まれるようにして本体ゴム弾性体16に加硫接着されている。また、本体ゴム弾性体16の大径側端部外周面には、第二の取付金具14の軸方向上側の開口部分が重ね合わされて加硫接着されている。特に本実施形態では、くびれ部20の全体が本体ゴム弾性体16の外周面上に位置せしめられていると共に、本体ゴム弾性体16と一体形成されたゴム弾性体がくびれ部20の外周側に充填固着されている。なお、本実施形態では、本体ゴム弾性体16が、第一の取付金具12と第二の取付金具14を備えた一体加硫成形品とされている。
また、このように第二の取付金具14の開口部が本体ゴム弾性体16の外周面に加硫接着されることにより、第二の取付金具14の軸方向上側の開口部が本体ゴム弾性体16によって流体密に閉塞されている。なお、本体ゴム弾性体16の大径側端面には、すり鉢状の大径凹所32が形成されて、軸方向下方に向かって第二の取付金具14の内周側に開口せしめられている。
更にまた、第二の取付金具14の内周面には、シールゴム層34が被着形成されている。このシールゴム層34は、本体ゴム弾性体16と一体形成されており、かかるシールゴム層34によって大径部28と傾斜部26の内周面が略全面に亘って覆われている。また、シールゴム層34が本体ゴム弾性体16の下端部に比して僅かに薄肉とされており、シールゴム層34が本体ゴム弾性体16の下端部の外周縁部から下方に向かって延び出していると共に、本体ゴム弾性体16における大径凹所32の開口周縁部には、段差が形成されている。
さらに、第二の取付金具14には、その軸方向下方の開口部を覆うように可撓性膜としてのダイヤフラム36が組み付けられている。ダイヤフラム36は、薄肉のゴム膜によって形成されており、波紋状の弛みをもった略円板形状を有していると共に、その外周縁部には円筒形状の支持金具38が加硫接着されている。そして、支持金具38が第二の取付金具14の下端部(小径部30)に嵌め入れられると共に、第二の取付金具14に八方絞り等の縮径加工が施されることにより、ダイヤフラム36が第二の取付金具14の軸方向下端部に固定されている。なお、第二の取付金具14の下端開口部は、かしめ加工されて支持金具38の下端部に係止されている。
このようにダイヤフラム36が第二の取付金具14に組み付けられることにより、第二の取付金具14の軸方向上側の開口部が本体ゴム弾性体16で流体密に閉塞されると共に、第二の取付金具14の軸方向下側の開口部がダイヤフラム36で流体密に閉塞される。これにより、第二の取付金具14の内周側において、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム36の軸方向間には、外部から密閉された流体封入領域40が形成されている。この流体封入領域40には、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等の非圧縮性流体が封入されている。なお、流体封入領域40への流体の封入は、第一の取付金具12と第二の取付金具14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対するダイヤフラム36や後述する仕切部材42の組付けを、非圧縮性流体中で行うこと等によって有利に為され得る。
また、流体封入領域40には、仕切部材42が収容配置される。本実施形態における仕切部材42は、全体として厚肉の円板形状を有しており、仕切部材本体44と蓋金具46を含んで構成されている。
仕切部材本体44は、鉄やアルミニウム合金等の金属材や硬質の合成樹脂材等で形成されており、厚肉の略円板形状を有している。また、本実施形態における仕切部材本体44は、上仕切金具48と下仕切金具50を含んで構成されている。
上仕切金具48は、厚肉小径の略円板形状を呈している。また、上仕切金具48の径方向略中央部分には、収容凹所52が形成されている。この収容凹所52は、浅底円形の凹所であって、上仕切金具48の中央を僅かに外れた部分において軸方向上方に向かって開口するように形成されている。
一方、下仕切金具50は、厚肉大径の略円板形状を有している。また、下仕切金具50は、外周縁部が中央部分に比して厚肉とされており、外周縁部が円筒形状を為して軸方向上方に向かって突出せしめられている。換言すれば、下仕切金具50の中央部分が、上方に向かって開口する円形の凹所状に凹んでいる。更に、厚肉とされた下仕切金具50の外周縁部には、略一定の断面形状で延びる上下の周溝54,56が、外周面に開口して周方向に所定の長さで形成されている。また、それら上下の周溝54,56は、周方向一方の端部が周方向で位置合わせされており、透孔58を通じて相互に連通せしめられている。これにより、仕切部材本体44の外周縁部には、外周面に開口して周方向に一周程度の所定長さで延びる外周凹溝60が形成されている。更に、下仕切金具50の径方向中間部分には、略一定の断面形状で周方向に延びる内周凹溝62が形成されている。この内周凹溝62は、比較的に薄肉とされた下仕切金具50の中央部分に形成されており、周方向に半周程度の長さで延びている。
そして、これら上仕切金具48と下仕切金具50が上下に重ね合わされて仕切部材本体44が構成されている。本実施形態では、上仕切金具48が下仕切金具50よりも小径とされていると共に、下仕切金具50の径方向中央部分が凹所状に凹んでおり、かかる下仕切金具50の凹所状の凹みに上仕切金具48が圧入されることにより、上下の仕切金具48,50が固定的に組み合わされるようになっている。なお、上仕切金具48が下仕切金具50に嵌め付けられた状態下において、上仕切金具48の上端面が下仕切金具50の外周縁部の上端面よりも軸方向下方に位置せしめられている。これにより、仕切部材本体44の上端面は、径方向中央部分が外周縁部よりも軸方向下方に位置する凹字形状となっている。
また、上下の仕切金具48,50の組付け状態下においては、下仕切金具50に形成された内周凹溝62の開口部が上仕切金具48で閉塞されている。これにより、内周凹溝62を利用して、仕切部材本体44の内部を周方向に延びる内周流路64が形成されている。
このような仕切部材本体44には、蓋金具46が重ね合わされて嵌め付けられている。蓋金具46は、仕切部材本体44に比して小径の薄肉円板形状を呈しており、本実施形態では、鉄やアルミニウム合金等の金属材で形成されている。そして、蓋金具46は、上仕切金具48に対して上方から重ね合わされて、下仕切金具50の中央部分の凹所に圧入固定されている。なお、本実施形態では、筒形状を為して上方に突出する下仕切金具50の外周縁部の内周面に段差が設けられており、該段差に蓋金具46の外周縁部が上方から重ね合わされるようになっている。
また、蓋金具46の仕切部材本体44への組付け状態下においては、収容凹所52の上方開口部が蓋金具46によって覆われている。これにより、収容凹所52を利用して外部から隔てられた収容領域66が形成されている。また、この収容領域66には、図1に示されているように、可動部材としての可動ゴム板68が収容配置されている。可動ゴム板68は、ゴム弾性体で形成されて小径の略円板形状を有している。また、可動ゴム板68の板厚寸法が収容領域66の軸方向での内法寸法に比して小さくなっており、収容領域66内において板厚方向であるマウント軸方向に微小変位可能に配設されている。特に本実施形態では、可動ゴム板68の径方向寸法が収容領域66の径方向での内法寸法よりも僅かに小さくされており、可動ゴム板68の軸方向での微小変位がスムーズに実現されるようになっている。これにより、仕切部材本体44と蓋金具46で構成されて、可動ゴム板68を備えた本実施形態における仕切部材42が構成されている。
このような可動ゴム板68を備えた仕切部材42は、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム36の軸方向間に形成された流体封入領域40内において、軸直角方向に広がるように収容配置されて、第二の取付金具14の軸方向中間部分に内嵌固定されている。特に本実施形態において、仕切部材42は、第二の取付金具14に内挿された後、第二の取付金具14に八方絞り等の縮径加工が施されることにより、第二の取付金具14に対して嵌着固定されている。また、かかる組付状態下において、仕切部材42と支持金具38は、相互に軸方向で重ね合わされて、本体ゴム弾性体16の下端部に設けられた段差と第二の取付金具14の下端に設けられたかしめ部との間で、軸方向に位置決めされている。更にまた、仕切部材42と第二の取付金具14の間には、第二の取付金具14の内周面に被着形成されたシールゴム層34が挟圧されており、仕切部材42がシールゴム層34を介して第二の取付金具14に対して流体密に組み付けられている。
このように仕切部材42が流体封入領域40内に配設されることにより、流体封入領域40が仕切部材42によって軸方向で二分されており、仕切部材42を挟んだ軸方向一方の側(図1中、上側)には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、振動入力時に内圧の変動が生ぜしめられる受圧室70が形成されていると共に、仕切部材42を挟んだ軸方向他方の側(図1中、下側)には、壁部の一部がダイヤフラム36で構成されて、容積変化が許容された平衡室72が形成されている。
また、仕切部材42の外周面がシールゴム層34を介して第二の取付金具14の内周面に流体密に重ね合わされることにより、仕切部材42の外周面に開口するように設けられた外周凹溝60の外側開口部が第二の取付金具14で流体密に覆蓋されて、周方向に延びるトンネル状の流路が形成されている。また、該トンネル状流路の一方の端部が下仕切金具50の外周縁部上端に形成された連通孔74を通じて受圧室70に連通されていると共に、他方の端部が下仕切金具50の外周縁部下端に形成された連通孔76を通じて平衡室72に連通されている。これにより、外周凹溝60を利用して、周方向に所定の長さで延びて、受圧室70と平衡室72を相互に連通する第一のオリフィス通路78が形成されている。
また、仕切部材本体44に形成された内周流路64は、周方向一方の端部が、上仕切金具48及び蓋金具46を軸方向に貫通して延びる連通孔80を通じて受圧室70に連通されている一方、周方向他方の端部が、下仕切金具50の上面に開口して仕切部材本体44の内部を径方向内方に向かって延びる連通孔82を通じて、下仕切金具50の下端中央部分において下方に向かって開口するように形成された凹所84に連通されていると共に、凹所84を通じて平衡室72に連通されている。これにより、内周流路64を利用して、周方向に所定の長さで延びて、受圧室70と平衡室72を相互に連通する主流路86が形成されている。なお、本実施形態においては、上仕切金具48の外周面に開口する溝が形成されており、該溝の外周側開口部が下仕切金具50の外周縁部で覆われると共に、該溝の上側開口部が蓋金具46に形成された貫通孔に連通されることにより、連通孔80が形成されている。
また、本実施形態では、仕切部材42に設けられた収容領域66が、蓋金具46に形成された通孔88を通じて受圧室70に連通せしめられていると共に、上仕切金具48に形成された連通路90と連通孔92を通じて主流路86の長さ方向中間部分に連通せしめられており、それら通孔88と収容領域66と連通路90と連通孔92によって受圧室70と主流路86を相互に連通する分岐流路93が構成されている。
より詳細には、通孔88は、収容領域66よりも小径の円形孔であって、蓋金具46の径方向略中央部分において蓋金具46を板厚方向で貫通するように形成されている。そして、蓋金具46の仕切部材本体44への組付け状態下において、収容領域66が通孔88を通じて蓋金具46を挟んだ反対側の領域(受圧室70)に連通せしめられている。
一方、連通路90は、上仕切金具48の内部を延びるように形成されたトンネル状の流路であって、収容領域66よりも小径の円形断面をもって延びている。また、連通路90は、その一方の端部が収容領域66の底壁部に開口せしめられて収容領域66に連通されていると共に、他方の端部が連通孔92に連通せしめられている。この連通孔92は、上仕切金具48を厚さ方向で貫通するように形成されており、上側の開口部が蓋金具46で閉塞されていると共に、下側の開口部が主流路86の連通孔82側の端部付近に連通されている。これによって、連通路90が連通孔92を通じて主流路86に連通せしめられており、もって、連通路90と連通孔92と主流路86の一部を通じて、収容領域66と平衡室72が相互に連通されるようになっている。なお、本実施形態においては、上仕切金具48の外周面に開口する凹溝が形成されており、該凹溝の外周側開口部が下仕切金具50の外周縁部で覆蓋されることにより、連通孔92が形成されている。
これにより、可動ゴム板68の上面に通孔88を通じて受圧室70内の圧力が及ぼされるようになっていると共に、可動ゴム板68の下面に連通路90と連通孔92と主流路86の一部を通じて平衡室72内の圧力が及ぼされるようになっている。そして、可動ゴム板68の軸方向での変位によって、受圧室70内の液圧が平衡室72に伝達されるようになっており、受圧室70と平衡室72が実質的に連通されている。
換言すれば、通孔88と収容領域66と連通路90で構成された分岐流路93が、主流路86の流路長方向の中間部分から分岐して受圧室70に連通するように設けられている。そして、分岐流路93の流路上において分岐流路93の流路長方向と略直交して広がるように配設された可動ゴム板68には、その上面に分岐流路93の一部を構成する通孔88を通じて受圧室70内の圧力が及ぼされるようになっていると共に、下面に分岐流路93の一部を構成する連通路90および連通孔92と主流路86の一部を通じて平衡室72内の圧力が及ぼされるようになっている。これにより、可動ゴム板68の微小変位による液圧伝達作用を利用して、分岐流路93と主流路86の一部を通じて受圧室70と平衡室72が実質的に連通状態とされている。なお、可動ゴム板68は、通孔88および連通路90よりも大径とされており、可動ゴム板68の外周部分が通孔88および連通路90の開口部付近に当接せしめられることにより、可動ゴム板68の板厚方向での変位が制限されるようになっている。
以上のように、主流路86と分岐流路93を通じて受圧室70と平衡室72が相互に連通されており、それら主流路86と分岐流路93によって本実施形態における第二のオリフィス通路94が形成されている。なお、本実施形態において、主流路86を通じて受圧室70と平衡室72の間で流動せしめられる流体に作用する流通抵抗は、主流路86を経由して分岐流路93を通じて受圧室70と平衡室72の間で流動せしめられる流体に作用する流通抵抗に比して大きくなっている。また、このような主流路86や分岐流路93の流通抵抗は、主流路86や分岐流路93の流路断面積や流路長を調節すること等により、適宜に設定することが出来る。
なお、本実施形態では、第一のオリフィス通路78は、エンジンシェイクに対して有効な防振効果が発揮されるように10Hz前後の低周波数域にチューニングされている一方、第二のオリフィス通路94は、アイドリング振動に対して有効な防振効果が発揮されるように20〜40Hz程度の中周波数域にチューニングされている。また、オリフィス通路78,94のチューニング周波数は、通路長と通路断面積の比を調節することにより設定することが出来る。
以上により、第一の取付金具12と第二の取付金具14を備えた本体ゴム弾性体16にダイヤフラム36と仕切部材42を組み付けてなるマウント本体95が構成されている。
また、ダイヤフラム36を挟んで平衡室72と反対側(軸方向下側)には、空気圧式アクチュエータ96が設けられている。この空気圧式アクチュエータ96は、筒状ブラケット98とゴム弾性壁100を含んで構成されている。
筒状ブラケット98は、鉄やアルミニウム合金等の金属材で形成された高剛性の部材であって、深底の略有底円筒形状を有している。また、筒状ブラケット98の開口端縁部が外周側に向かって屈曲せしめられることにより、外周側に向かって延び出す当接部102が全周に亘って一体形成されている。また、筒状ブラケット98には、軸方向下端部分において円環状の段差部104が設けられており、段差部104を挟んで軸方向上側が大径筒部106とされていると共に、軸方向下側が小径筒部108とされている。また、筒状ブラケット98の底壁部中央には、略逆カップ形状の中央突部110が一体形成されている。更に、中央突部110には、中央部分を外方(軸方向下方)に向かって突出して延びるポート112が挿し込まれて固定されている。また、筒状ブラケット98には、取付脚部114が外嵌固定されている。取付脚部114は、筒状の取付筒部116と取付筒部116の下端縁部から外方に向かって延び出すフランジ状のフランジ部118を備えている。更に、フランジ部118には、周状の複数箇所においてボルト挿通孔120が軸方向で貫通形成されている。
また、ゴム弾性壁100は、全体として円環板形状を有しており、その内周縁部が略逆カップ形状を有する出力部材としての押圧金具122の開口周縁部に加硫接着されている。押圧金具122は、筒状ブラケット98の径方向中央部分において筒状ブラケット98の底壁部に対して上方に離隔して配設されている。また、押圧金具122の表面には、その全体に亘って、ゴム弾性壁100と一体形成された被覆ゴム124が被着されている。また、ゴム弾性壁100の外周縁部は、略円環形状の嵌着金具としての嵌着リング126に加硫接着されている。嵌着リング126は、周壁部と底壁部を備えた略L字断面をもって周方向に延びる環状の金具であって、底壁部がゴム弾性壁100の外周縁部に埋設固着されると共に、周壁部の内周面に対してゴム弾性壁100の外周面が加硫接着されている。
そして、ゴム弾性壁100の外周縁部の固着された嵌着リング126が、筒状ブラケット98の小径筒部108に圧入されることにより、押圧金具122を備えたゴム弾性壁100が筒状ブラケット98に嵌着固定されている。これにより、押圧金具122と筒状ブラケット98の底壁部の対向面間には、外部空間から隔てられた作用空気室128が形成されている。なお、本実施形態では、嵌着リング126の底壁部と筒状ブラケット98の底壁部の間でゴム弾性壁100の外周縁部が挟み込まれることにより、嵌着リング126と筒状ブラケット98の間での流体密性が確保されるようになっている。
また、作用空気室128には、コイルスプリング129が収容配置されている。このコイルスプリング129は、径方向中央部分において筒状ブラケット98の底壁部と押圧金具122の上底壁部の対向面間に嵌め付けられており、押圧金具122がコイルスプリング129の付勢力によって上方に向かって常時付勢されている。なお、本実施形態におけるコイルスプリング129は、筒状ブラケット98の底壁部における中央突部110上に位置せしめられている。
このような空気圧式アクチュエータ96は、筒状ブラケット98が第二の取付金具14に対して固定されることにより、マウント本体95に組み付けられている。即ち、第二の取付金具14の大径部28が筒状ブラケット98の大径筒部106に対して軸方向上方から圧入されて、筒状ブラケット98が第二の取付金具14に外嵌固定されることにより、マウント本体95に対して空気圧式アクチュエータ96が組み付けられている。特に本実施形態では、筒状ブラケット98の上端部に設けられた当接部102が第二の取付金具14の上端部に設けられたフランジ状部24に対して軸方向下方から当接せしめられて、筒状ブラケット98が第二の取付金具14に対して軸方向で相対的に位置決めされるようになっている。
また、筒状ブラケット98の第二の取付金具14への嵌着状態下において、空気圧式アクチュエータ96における押圧金具122の上底部が、ダイヤフラム36を挟んで仕切部材42の底部中央に対して対向配置されている。そこにおいて、作用空気室128が大気中に接続せしめられた状態下では、図1に示されているように、押圧金具122がコイルスプリング129の付勢力で上方に向かって弾性的に突出せしめられており、かかる押圧金具122の上底部によって、ダイヤフラム36が凹所84の開口部に押し付けられている。
このようなエンジンマウント10は、第一の取付金具12が図示しない取付ブラケットに対して取付ボルト18で固定されると共に、該取付ブラケットが同じく図示しない自動車のパワーユニット側に取り付けられることにより、第一の取付金具12が自動車のパワーユニット側に取り付けられる。一方、第二の取付金具14に外嵌固定された筒状ブラケット98の取付脚部114に形成されたボルト挿通孔120に対して図示しない固定ボルトが挿通されて、該固定ボルトが自動車におけるサブフレーム等の図示しない車両ボデー側に螺着されることにより、筒状ブラケット98を介して第二の取付金具14が車両ボデー側に取り付けられる。これにより、エンジンマウント10が、防振連結すべき一方の部材である自動車のパワーユニットと防振連結すべき他方の部材である自動車のボデーに介装されて、パワーユニットを車両ボデーに対して防振支持せしめるようになっている。
なお、このようなエンジンマウント10の自動車への装着状態下では、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に、パワーユニットの分担支持荷重が略軸方向に及ぼされることにより、本体ゴム弾性体16が所定量だけ弾性変形せしめられて、第一の取付金具12と第二の取付金具14が軸方向で相互に接近方向に所定量だけ変位せしめられた状態とされる。
これにより、外力が及ぼされていない状態では、ダイヤフラム36が仕切部材42の下面から離隔した位置に保持されることとなるが、作用空気室128に大気圧が及ぼされた状態下では、押圧金具122がコイルスプリング129の付勢力に基づいて上方に向かって弾性的に突出せしめられるようになっており、かかる押圧金具122の上底部によって、ダイヤフラム36が凹所84の開口部に押し付けられて、第二のオリフィス通路94が遮断状態に維持されるようになっている。
また、エンジンマウント10の車両への装着状態下では、空気圧式アクチュエータ96を構成する筒状ブラケット98の底壁部に取り付けられたポート112に対して空気管路130が接続されており、かかる空気管路130を通じて、作用空気室128が大気中と負圧源132に選択的に接続されるようになっている。即ち、作用空気室128に接続された空気管路130上には、切換弁134が配設されており、かかる切換弁134が、制御装置136で作動制御されて、切換作動されることによって、作用空気室128が大気中と負圧源132に対して、択一的に切り替え接続されるようになっている。
そして、空気圧式アクチュエータ96の作用空気室128に外部から負圧が及ぼされると、押圧金具122は、作用空気室128側に吸引されて、コイルスプリング129の付勢力に抗して下方に変位せしめられる。それによって、コイルスプリング129の付勢力に基づくダイヤフラム36への押圧力が解除されて、第二のオリフィス通路94が連通状態に維持されるようになっている。なお、押圧金具122の上底部には、下方に突出する緩衝ストッパゴム138が形成されており、負圧吸引による押圧金具122の引き下げ時における押圧金具122の変位量が、緩衝ストッパゴム138のポート112への当接で緩衝的に制限されるようになっている。
このように、本実施形態におけるエンジンマウント10では、作用空気室128に大気圧と負圧を選択的に及ぼすことにより、第二のオリフィス通路94を連通/遮断制御せしめて、防振特性を切換変更することが出来るようになっている。特に本実施形態では、自動車の走行状態に応じて作用空気室128に及ぼされる大気圧と負圧を選択制御するようになっている。
すなわち、本実施形態において、エンジンシェイク等の低周波数域の振動が主に問題となる自動車の走行状態下では、図2のモデル図に示されているように、作用空気室128に大気圧を及ぼすことにより、空気圧式アクチュエータ96でダイヤフラム36を押圧して、ダイヤフラム36を第二のオリフィス通路94の平衡室72への開口部に押し付けることによって、第二のオリフィス通路94を遮断する。これにより、低周波数域の振動が入力された場合には、図2に白抜きの矢印で示されている方向に、第一のオリフィス通路78を通じて受圧室70と平衡室72の間での流体流動が有効に生ぜしめられる。従って、第一のオリフィス通路78を通じて両室70,72間を流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づいて、目的とする防振効果が有効に発揮される。
また、本実施形態において、自動車の走行時には、第二のオリフィス通路94の平衡室72側開口部が、空気圧式アクチュエータ96によって閉塞状態とされるように制御される。それ故、第一のオリフィス通路78に比して高周波数域にチューニングされて流動抵抗が小さい第二のオリフィス通路94を通じて、受圧室70と平衡室72の間で流体流動が生ぜしめられるのを防ぐことにより、第一のオリフィス通路78を通じての流体流動を有利に生ぜしめて、低周波数域にチューニングされた第一のオリフィス通路78を設けることによって発揮される防振効果を有効に得ることが出来る。
また、本実施形態において、アイドリング振動等の中乃至高周波数域の振動が問題となる自動車の停車時には、図3のモデル図に示されているように、作用空気室128に負圧を及ぼすことにより、空気圧式アクチュエータ96によるダイヤフラム36の拘束を解除して、ダイヤフラム36を第二のオリフィス通路94の平衡室72側への開口部から離隔せしめることによって、第二のオリフィス通路94を連通状態とする。これにより、中周波数域の振動が入力された場合には、図3に白抜きの矢印で示されている方向に、受圧室70と平衡室72の間で第二のオリフィス通路94を通じての流体流動が生ぜしめられて、流体の流動作用に基づく防振効果が、第二のオリフィス通路94のチューニング周波数である中周波数域において発揮される。
また、高周波数域の振動が入力された場合には、入力振動よりも低周波数域にチューニングされた主流路86を通じての流体流動が減少すると共に、図4に白抜きの矢印で示されている方向に、可動ゴム板68の微小変位による液圧吸収作用が、可動ゴム板68の共振も相俟って積極的に発揮せしめられる。これにより、高周波数域の振動入力に際しても有効な防振効果が発揮されるようになっている。なお、本実施形態では、中乃至高周波数域の振動入力に際して、入力振動よりも低周波数域にチューニングされた第一のオリフィス通路78は、反共振的な作用によって実質的に目詰まり状態となることから、常時連通状態とされる第一のオリフィス通路78を通じての液圧の逃げは中乃至高周波数域の振動に対する防振性能に殆ど影響しない。
このように、本実施形態に従う構造の自動車用エンジンマウント10においては、第一,第二のオリフィス通路78,94を通じて流動せしめられる流体の流動作用に基づく防振効果と、可動ゴム板68の微小変位による液圧吸収作用に基づく防振効果を、何れも有効に得ることが出来て、複数の乃至は広い周波数域の振動に対して優れた防振効果が発揮される。特に、第一,第二のオリフィス通路78,94を通じて流動せしめられる流体の流動作用に基づく防振効果が要求される場合には、可動ゴム板68の微小変位による液圧吸収作用によってそれらオリフィス通路78,94を通じての流体流動量が減少するのを防いで、目的とする防振効果を有利に発揮させることが出来る。
また、本実施形態において、高周波数域の振動に対する防振効果を発揮する可動ゴム板68が配設された分岐流路93は、第二のオリフィス通路94を構成する主流路86の中間部分に連通せしめられており、中周波数域の振動に対する防振効果を発揮する第二のオリフィス通路94と同じく凹所84を通じて平衡室72に連通せしめられている。それ故、低周波数域の振動入力に際しては、図2に示されているように、空気圧式アクチュエータ96でダイヤフラム36を仕切部材42に押し当てて凹所84を閉塞せしめることにより、中周波数域の防振デバイスである第二のオリフィス通路94の閉塞と、高周波数域の防振デバイスである可動ゴム板68の拘束を、簡単な制御で同時に行うことが出来る。これにより、低周波数域の防振デバイスである第一のオリフィス通路78を通じての流体流動を有利に惹起して、流体の流動作用に基づく防振効果を有効に発揮せしめることが出来る。
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、前記実施形態に示されたエンジンマウント10では、仕切部材42が上下の仕切金具48,50と蓋金具46を含んで構成されているが、仕切部材42は必ずしもこれらの部材が組み合わされて構成されていなくても良い。また、前記実施形態では、仕切部材42を構成する上下の仕切金具48,50と蓋金具46を金属材で形成した例を示したが、例えば、硬質の合成樹脂材等で形成することも出来る。
また、前記実施形態において示された第二のオリフィス通路94の具体的な構造は、あくまでも例示であって、主流路86と分岐流路93の各流路形状や分岐位置等は要求される防振特性等に応じて適宜に設計される。
また、前記実施形態では、可動部材として分岐流路93の流路長方向で微小変位可能に配設された可動ゴム板68を採用した例が示されているが、例えば、略円板形状を有するゴム弾性体の外周面を収容領域66の内周壁面に固着せしめた可動ゴム膜によって可動部材を構成することも出来る。これによれば、可動ゴム膜の弾性変形によって分岐流路93の流路長方向での微小変位が実現されるようになっており、前記実施形態と同様の液圧吸収効果が有効に発揮され得る。
また、前記実施形態では、第二のオリフィス通路94を連通状態と遮断状態で切換えるアクチュエータの例示として空気圧式アクチュエータ96が示されているが、アクチュエータとしては、例えば、通電制御によって駆動する電磁式アクチュエータ等、各種公知のアクチュエータを採用可能である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す縦断面図。 低周波数域の振動入力時における図1に示されたエンジンマウントを概略的なモデル図として示す説明図。 中周波数域の振動入力時における図1に示されたエンジンマウントを概略的なモデル図として示す説明図。 高周波数域の振動入力時における図1に示されたエンジンマウントを概略的なモデル図として示す説明図。
符号の説明
10:自動車用エンジンマウント,12:第一の取付金具,14:第二の取付金具,16:本体ゴム弾性体,36:ダイヤフラム,42:仕切部材,66:収容領域,68:可動ゴム板,70:受圧室,72:平衡室,78:第一のオリフィス通路,86:主流路,93:分岐流路,94:第二のオリフィス通路,96:空気圧式アクチュエータ

Claims (3)

  1. 第一の取付部材を筒状部を備えた第二の取付部材の一方の開口部側に離隔配置せしめて、それら第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結せしめると共に、該第二の取付部材で仕切部材を支持せしめて、該仕切部材を挟んだ一方の側に壁部の一部が該本体ゴム弾性体で構成された受圧室を形成すると共に、該仕切部材を挟んだ他方の側に壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入し、更に、それら受圧室と平衡室を相互に連通する第一のオリフィス通路と、該第一のオリフィス通路よりも高周波数域にチューニングされた第二のオリフィス通路を設ける一方、該可撓性膜を挟んで該平衡室と反対側にアクチュエータを配設し、該アクチュエータを利用して該第二のオリフィス通路を連通状態と遮断状態に切換可能とした流体封入式防振装置において、
    前記仕切部材における前記平衡室側の端面の中央部分に凹所を形成して、
    該凹所の内周面から該仕切部材の外周側に向かって延びる連通孔と該連通孔から該仕切部材の厚さ方向に延びて該仕切部材の前記受圧室側の端面に開口する連通路とによって該受圧室と平衡室を相互に連通する主流路を形成すると共に、該主流路における該連通路の中間部分で分岐して該受圧室に連通する分岐流路を形成して、該主流路と該分岐流路を含んで前記第二のオリフィス通路を構成する一方
    該分岐流路の流路上に微小変位可能とされた可動部材を配設し、該可動部材の一方の面に該分岐流路を通じて該受圧室内の圧力が作用せしめられるようにすると共に、他方の面に該主流路と該分岐流路を通じて該平衡室内の圧力が作用せしめられるようにし、更に、
    前記仕切部材の前記凹所の開口部分に対して、前記可撓性膜を前記アクチュエータにより押圧することにより前記第二のオリフィス通路を構成する前記主流路と前記分割流路とが同時に遮断されるようにしたことを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記主流路を通じて前記受圧室と前記平衡室の間を流動せしめられる流体に及ぼされる流通抵抗が、前記分岐流路を通じて該受圧室と該平衡室の間を流動せしめられる流体に及ぼされる流通抵抗よりも大きい請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 前記可動部材がゴム弾性体で形成された可動ゴム板とされており、該可動ゴム板が前記分岐流路の流路方向に直交して広がるように配設されて該分岐流路の流路方向での微小変位を許容されている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
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