図1は、本発明の第1実施形態における補助パッドの正面図である。図2は、本発明の第1実施形態における補助パッドの裏面図である。図3は、図1のA−A方向における断面図である。図4(A)は、図1のB−B方向における断面図である。図4(B)は、図1のC−C方向における断面図である。図4(C)は、図1のD−D方向における断面図である。図5は、第1実施形態に係る帯状部材の正面図である。図6(A)、(B)は、第1実施形態に係る帯状部材の他の形態を示す図である。図7(A)は、図6の部分拡大図である。図7(B)は、帯状部材の他の形態を示す図である。図8は、本発明の第1実施形態における補助パッドの包装形態における正面図である。図9は、本発明の第1実施形態におけるベース用ナプキンの正面図である。図10は、本発明の第1実施形態におけるベース用ナプキンの裏面図である。図11は、図9のB’−B’方向における断面図である。図12は、図9のA’−A’方向における断面図である。図13は、本発明の第1実施形態における補助パッド及びベース用ナプキンの使用状態における斜視図である。図14は、本発明の第1実施形態における補助パッド及びベース用ナプキンの使用状態における斜視図である。図15は、本発明の第1実施形態における補助パッド及びベース用ナプキンの使用状態における斜視図である。図16(A)、(B)、(C)は、前記第1実施形態に係る補助パッド付き生理用ナプキンの装着状態を示す図である。
図17は、本発明の第2実施形態における補助パッドの中央断面図である。図18は、(A)は、図17のE―E断面図である。図18(B)は、図17のF―F断面図である。図18(C)は、図17のG―G断面図である。図19は、前記第2実施形態に係る補助パッドの変形例を示す中央断面図である。図20は、本発明の第3実施形態における補助パッドの中央断面図である。図21は、本発明の第4実施形態における補助パッドの裏面図である。図22(A)は、図21のL―L断面図である。図22(B)は、図21のL―L断面図の変形例である。図23(A)は、本発明の第5実施形態における補助パッドの裏面図である。図23(B)は、図23(A)のM−M断面図である。図24(A)及び(B)は、本発明の第6実施形態における補助パッドの正面図である。図25(A)は、本発明の第7実施形態における補助パッドの正面図である。図25(B)は、本発明の第7実施形態における補助パッドの正面図である。図26(A)は、本発明の第8実施形態における補助パッドの正面図である。図26(B)は、本発明の第8実施形態における補助パッドの正面図である。図27は、本発明の第9実施形態における補助パッドの裏面図である。図28は、本発明の第10実施形態における補助パッドの裏面図である。図29は、図28のN―N断面図である。図30は、本発明の第11実施形態における補助パッドの正面図である。図31は、本発明の第11実施形態における補助パッドの裏面図である。図32は、図30のP−P断面図である。図33(A)は、図30のQ−Q断面図である。図33(B)は、図30のR−R断面図である。図33(C)は、図30のS−S断面図である。図34は、第12実施形態に係る帯状部材の正面図である。図35は、第13実施形態に係る帯状部材の他の形態を示す図である。図36は、第14実施形態における補助パッドの正面図である。図37は、本発明の第15実施形態における補助パッドの正面図である。図38は、本発明の第15実施形態における帯状部材の正面図である。図39(A)は、前記第15実施形態に係る帯状部材の斜視図である。図39(B)は、前記第15実施形態に係る帯状部材の変形状態を示す斜視図である。図39(C)は、図39(B)のY−Y断面図である。図39(D)は、図39(B)のZ−Z断面図である。図40(A)は、本発明の第16実施形態に係る補助パッドの裏面図である。図40(B)は、本発明の第16実施形態に係る補助パッドが伸張した状態を示す裏面図である。図41は、本発明の第1実施形態における係止部の係止材の一例の断面図である。
[1]補助パッド付き生理用ナプキンの全体構造
図1から図13に示される本発明の第1実施形態における本発明の補助パッド3及び補助パッド付き生理用ナプキン1における全体構造について説明する。
[1.1]全般
図1から図13に示すように、本実施形態における補助パッド付き吸収性物品である補助パッド付き生理用ナプキン1は、補助パッド3とベース吸収性物品であるベース用ナプキン2とで構成される。
第1実施形態に係る補助パッド付き生理用ナプキン1は、補助パッド3とベース吸収性物品であるベース用ナプキン2とを備える。また、補助パッド3は、パッド側吸収層であるパッド側吸収部30と、帯状部材10とを備える。具体的には、図1から図7に示すように、補助パッド3は、着用者の肌当接面側に設けられる液透過性の表面シート33と、着用者の非肌当接面側に設けられる液透過性の裏面シート34と、表面シート33と裏面シート34との間に配置され、吸収層を構成する液保持性のパッド側吸収体35と、を有するパッド側吸収部30と、裏面シート34の非肌当接面側に設けられ、吸収性物品本体の厚さ方向における他方側に、吸収性物品本体の長手方向に沿うように配置される液透過性の帯状部材10と、を備える。
パッド側吸収部30と帯状部材10とは、長手方向における一端側に設けられた接合部8において接合されている。具体的には、帯状部材10は、接合部8において、接合材により裏面シート34と接合されている。すなわち、帯状部材10は、パッド側吸収部30の前方領域Fの所定の位置において、帯状部材10の一端側を裏面シート34と接合される。そして、帯状部材10の他端側は接合部8を基点として後方領域Rにパッド側吸収部30の長手方向に沿って伸長する自由端10rとなる。ここで、前方領域Fとは、該補助パッド付き生理用ナプキン1を着用した場合における着用者の膣口から腹部側に接する領域をいい、後述する後方領域Rとは、該補助パッド付き生理用ナプキン1を着用した場合における着用者の膣口から臀部側に接する領域をいう。また、中央領域とは、補助パッド付き生理用ナプキン1を着用した場合における着用者の膣口を含む排泄部付近に接する領域をいうものとする。
なお、本実施形態においては、接合部8は接合材によりパッド側吸収部30と帯状部材10とを接合したが、圧着等により接合させてもよい。
帯状部材10の自由端10r側は、長手方向におけるパッド側吸収部30端部の外縁から延出しており、この延出部分には、把持部40rが設けられている。自由端10r側の非肌当接面側、及び接合部8における帯状部材10の非肌当接面側には、被係止体である下着55やベース用ナプキン2等と係止するパッド側係止部37f、37rがそれぞれ設けられている。
[1.2]パッド側吸収部
図1から図3に示すように、パッド側吸収部30は、略縦長状に形成されている。パッド側吸収部30の形状は、例えば、長方形、楕円型、瓢箪型等を例示できる。なお、本発明においては、着用者の身体及び下着55の形状に適合する形状であればよい。パッド側吸収部30の長手方向における長さは、例えば、100mmから300mmが好ましく、さらに好ましくは、150mmから250mmを例示できる。また、幅方向における長さは、例えば、30mmから150mmが好ましく、さらに好ましくは、40mmから100mmを例示できる。
パッド側吸収部30は、パッド側吸収体35を備える。排泄部から排泄される経血等の排泄物は、表面シート33を透過して、パッド側吸収体35で吸収される。非肌当接面側に配置される裏面シート34は液透過性の不織布で形成されることが好ましい。液透過性であることにより、パッド側吸収体35が経血等の排泄物を吸収しきれない場合に、後述するベース用ナプキン2に該経血等の排泄物を移行させてベース用ナプキン2に吸収させることが可能となる。
ここで、表面シート33とパッド側吸収体35とは、それぞれがホットメルト接着剤により貼り合わされるようにして接合される。また、表面シート33と裏面シート34とでパッド側吸収体35を包み込み、該パッド側吸収部30の長手方向に沿ってその両側部を、ホットメルト接着剤及び加熱圧着等により形成される不図示の接合部により貼り合わされるようにして接合することも可能である。全体的には、ホットメルト接着剤により各シートにおける面と面とを接着し、各シートにおける端部を加熱圧着処理により形成される不図示の接合部により接合している。
ホットメルト接着の塗工パターンは、例えば、スパイラル塗工、コントロールシーム塗工、コーター塗工、カーテンコーター塗工、サミットガン塗工等が挙げられる。ホットメルト接着における接着剤の目付量は、1g/m2から30g/m2が好ましく、さらには3g/m2から10g/m2であることが好ましい。また、接着剤が線状に塗工されているパターンの場合には、その線径は30μmから300μmであることが好ましい。
[1.3]帯状部材
図2から図7に示すように、帯状部材10は、略縦長状に形成されている。図3又は図4に示すように、帯状部材10は、糸状に形成された複数の弾性材12を一対の帯状の基材シート11、13で挟み込み、基材シート11、13のそれぞれを接着することにより形成される。具体的には、まず、弾性材12の長手方向に所定の張力をかけることにより、弾性材12を所定の長さに延伸させ、延伸させた状態の弾性材12を基材シート11、13で挟み込むことにより形成される。
基材シート11、13としては、例えば、ポリプロピレン(PP)を主体としたスパンボンド不織布を用いることができる。この場合、目付が15g/m2から25g/m2であることが好ましい。また、繊度としては、1.5dtexから2.5dtexであることが好ましい。弾性材12は、例えば、ウレタン系の弾性糸を用いることができる。弾性糸の繊度としては、350dtexから450dtexであることが好ましい。弾性糸は、例えば、7本から9本を用いることができる(図5)。
次に、このように延伸させた状態の弾性材12を基材シート11、13で挟み込んで弾性材12と基材シート11、13をそれぞれ接着した後、あらかじめ弾性材12にかけられていた張力を解除して弾性材12の延伸を解除する。延伸の解除により弾性材12は収縮するが、基材シート11、13は弾性材12が延伸した分の長さをもって形成されているので、基材シート11、13に所定の延びしろが形成される。これにより、帯状部材10は、伸張可能となる。ここで、延びしろとは、弾性材12の弾性力が解除された場合に基材シート11、13に生じるたるみや弛みを含む。帯状部材10は、このたるみ等を有する分だけ伸縮可能となる。そして、帯状部材10は、弾性材12を非伸縮材である基材シート11、13で挟む構成とするため、例えば、弾性部材等を延伸させたときに、略中央部が幅狭になる、いわゆるネックインを防止することが可能になる。
伸張可能とする他の伸張加工としては、例えば、部分的にスリット加工を施すことが例示できるが、好ましくは、波状のエンボス加工を施してもよい。波状のエンボス加工は、例えば、波状のエンボスロール同士で基材シート11、13を噛み込ませることにより波状を形成することで延伸性を付与できるため、比較的容易に帯状部材10を形成し得るためである。また、帯状部材10は、波状のエンボス加工を施した場合においては、弾性材12を延伸させた状態で基材シート11、13に挟み込ませて形成してもよく、延伸していない状態で挟み込ませて形成してもよい。
図6及び図7(A)は、波状のエンボス加工を施した具体的な例である。図6及び図7(A)に示すように、波状のエンボス加工は、幅方向へ連続して長手方向への繰り返し凹凸を有する波型パターンであり、凸部同士のピッチは、例えば、0.5mmから5.0mmが例示できる。また、凸部の高さは、例えば、0.5mmから5.0mmを例示できる。噛み込んだ状態においての凸部側面同士のクリアランスは、0mmから3.0mmを例示できる。
上記により形成された帯状部材10は、伸張範囲を容易に設定することが可能になる。例えば、伸張範囲が130%である場合、着用者が帯状部材10を130%伸張した状態で引っ張った時点で、それ以上は過剰な力を必要とするため、帯状部材10は、引っ張りにくくなる。これにより、着用者は、伸張範囲を容易に認識可能になる。このように、伸張範囲を設定することで着用者を選ばず、誰でも安定した範囲において装着することができる。
例えば、伸張範囲の設定としては、図5においては、伸張範囲を130%とした状態で基材シート11、13と接合すればよく、図6においては、波状エンボスの凹凸形状により伸張範囲を設計してもよい。
また、図5や図7(A)で示した延びしろの形成方法では、延びしろが不規則に形成されてしまうため、規則性を持たせる方法として図7(B)に示すように、基材シート11、13の長手方向における繰り返し凹凸を有する波状パターンに幅方向へ部分的にヌキ101(凹凸が無い部分)があるエンボスパターンでエンボス加工を施すことが例示できる。具体的には、図5で示したエンボスパターンに追加して、幅方向へ5mmから40mmピッチで0.5から3.0mm幅のヌキ101が設けられたものが例示できる。また、他の例として、基材にホットメルトを幅方向へ連続して長手方向へ繰り返し塗工、非塗工を繰り返す塗工パターンで塗工してもよい。これにより、規則的なしわを防止することが可能になる。
なお、本実施形態においては、基材シート11、13として非延伸材を用いたが、本発明においてはこれに限らず、例えば、延伸材料、伸縮材料を用いてもよい。また、本実施形態においては、基材シート11、13と弾性材12とにより帯状部材10を構成したが、本発明においてはこれに限らず、伸縮性を有する基材シートのみによるものであってもよい。例えば、熱可塑性エラストマー樹脂を使用した繊維状シートを用いてもよい。具体的には、ウレタン繊維と合成繊維とを混綿した不織布やエラストマー樹脂をメルトブローンで成形した層を含む不織布、若しくはフィルムシート等を例示できる。
弾性材12は、基材シート11、13の全ての領域において設ける必要はなく、少なくとも一部に設ける構成としてもよい。例えば、下着55やベース用ナプキン2等との係止部となる係止材を設ける箇所においては基材シート11、13のみで形成し、他の領域において弾性材12を狭持する構成としてもよい。また、後述する把持部40rを構成する領域においても、弾性材12を狭持する必要はなく、基材シート11、13のみによる構成としてもよい。
帯状部材10は、少なくとも長手方向における一部において、伸縮可能な領域を有すればよく、好ましくは、装着時において、パッド側吸収部30が排泄部と密着する位置において伸縮可能な状態であればよい。さらに好ましくは、パッド側吸収部30が膣口部と密着する位置において伸縮可能な状態であればよい。すなわち、装着時において、長手方向の一部に非伸縮領域を有する構成であってもよい。例えば、裏面シート34と帯状部材10とを接合する領域、及びパッド側吸収部30又は帯状部材10と、下着55やベース用ナプキン2等とを係止する領域においては伸縮性を有さず、それ以外の領域において伸縮性を有するものとしてもよい。裏面シート34と帯状部材10とを接合する接合部8、及びパッド側吸収部30又は帯状部材10と下着55又はベース用ナプキン2とを係止するパッド側係止部37f、37rにおいては、伸縮性を有しない構成であった方が好ましい。これは、裏面シート34と帯状部材10とを接合する接合材、及び帯状部材10と下着55やベース用ナプキン2等とを係止する係止材による接合又は係止が外れにくくなるためである。
非伸縮領域としては、例えば、弾性材12を伸長させない状態で、弾性材12と基材シート11、13とを接合することにより形成してもよい。また、伸長した状態の弾性材12を切断することにより所定の弾性力を解除し形成してもよい。さらには、エンボス加工等により生じた伸長可能領域同士を接合することにより形成してもよい。なお、基材シート11、13に波状のエンボス加工を施す等の伸縮領域の作成加工を施さず、基材シート11、13そのものを非伸縮性のシートとしてもよい。
帯状部材10の幅方向における長さは、例えば、パッド側吸収部30の幅方向における長さの30%から150%の範囲が好ましく、さらに好ましくは、60%から130%の範囲が例示できる。パッド側吸収部30の幅方向における長さの30%より小さいと、例えば、パッド側吸収部30の全体を十分に引っ張り上げることができず、パッド側吸収部30の全体を身体側へ密着させることができないためである。また、150%よりも大きいと、着用者の大腿部と接触する面積が過剰になり、大腿部と擦れて肌トラブル等を発症させるおそれがあるためである。
また、帯状部材10の長手方向における長さは、例えば、パッド側吸収部30の長手方向における長さの30%から300%の範囲が好ましく、さらに好ましくは、70%から150%の範囲が例示できる。パッド側吸収部30の長手方向における長さの30%より小さいと、例えば、帯状部材10が延伸してもパッド側吸収部30を十分に身体側へ密着させることができないためである。また、150%よりも大きいと、着用者の大腿部と接触する面積が過剰になり、大腿部と擦れて肌トラブル等を発症させるおそれがあるためである。また、例えば、帯状部材10を延伸させた状態で下着55やベース用ナプキン2等に装着させることができなくなり、排泄部に密着させることができなくなるおそれがあるためである。
また、帯状部材10の延伸可能範囲は、例えば、弾性材12の非延伸状態を100%とすると、105%から300%の範囲が好ましく、さらに好ましくは、110%から180%の範囲を例示できる。延伸状態が105%よりも小さいとパッド側吸収部30を身体側へ押し上げる応力が弱くなり、排泄部に十分に密着させることができない場合があるからである。また、300%よりも大きいと、必要以上に身体側への押し上げ力が発生し、着用者に対して不快感を与えるおそれがあるためである。さらには、延伸状態が105%から300%の伸長倍率における弾性材12の応力は、例えば、5cN/25mmから500cN/25mmの範囲であることが好ましく、さらには、20cN/25mmから100cN/25mmの範囲であることが好ましい。
帯状部材10は、長手方向において、パッド側吸収部30と接合される一端部側とは反対の他端部側である自由端10rにおいて、把持部40rを有する。把持部40rは、他端部側において、パッド側吸収部30の外縁から延出するように設けられる。これにより、着用者は、例えば、容易に帯状部材10を認識することが可能になり、着用時における誤着用を防止することが可能になる。把持部40rは、着用者が指等で摘める程度延出していればよい。また、図4(C)に示すように把持部40rは、着用者が摘みやすいように、帯状部材10の把持部40rに該当する位置に所定の強度を有するシート部材14を基材シート11、13の間に狭持させてもよい。なお、把持部40rは、非延伸領域とすることが好ましい。
また、把持部40rには、所定の動作等を示す案内要素を配置することができる。具体的には、案内要素である指示標41rを視認可能な態様で配置することができる。この案内要素である指示標41rは、把持部40rに直接印刷することができ、また、補助パッド3と色相の異なる色のSMS不織布で把持部40rを構成してもよい。
指示標41rの態様としては、例えば、把持部40rをつまんで長手方向における所定方向へ引っ張ることを促すような表示であればよい。例えば、把持部40rを長手方向へ引っ張ることを示唆するような、長手方向における外側を向いた矢印や、つまむ箇所を示す点や、所定の色彩の組み合わせであってよい。指示標41rの形態は任意に選択可能である。
[1.4]パッド側吸収部と帯状部材との接合位置
パッド側吸収部30と帯状部材10とは、接合部8において接合される。パッド側吸収部30に対する帯状部材10の接合位置としては、補助パッド3を装着する場合において、着用者の膣口よりも前方領域Fに配置されることが好ましい。例えば、着用者の排泄部近傍にある隆起部に設けられることが好ましい。具体的には、膣口の近傍にある恥骨に該当する位置であることが好ましい。恥骨に該当する位置は、その周辺箇所よりも硬く若干隆起しているため、下着55又はベース用ナプキン2から受ける圧力が高くなり、パッド側吸収部30が身体からずれにくくなるためである。これにより、例えば、装着時において帯状部材10を引っ張って延伸させても、その応力により装着時及び着用中にパッド側吸収部30のずれが生じなくなる。また、接合部8においては、帯状部材10は、各基材シート11、13の間にシート部材14が狭持されている。これにより、接合部8における帯状部材10は、所定の強度を有する。
[1.5]補助パッドの包装形態
図8に示すように、補助パッド3は、略長方形状のシートである包装シート50により包装される。そして、包装シート50の一面側における長手方向の一方の端部であって、幅方向略中央の一面側に係止テープ51が配置される。
包装シート50は、例えば、SMS不織布で形成することを例示できる。SMS不織布で形成することにより、後述する補助パッド3のパッド側係止部37f、37rがフック材で形成されていた場合に該パッド側係止部37f、37rを包装シート50に係止して、包装する補助パッド3を固定することができる。また、例えば包装シート50の所定の場所にループ材を配置し、補助パッド3のパッド側係止部37f、37rを係止させて固定することが可能である。補助パッド3は、包装シート50の他面側に配置される。
また、パッド側係止部37f、37rが粘着材で形成されている場合には、包装シート50における補助パッド3を配置する面は、離型処理されていることが好ましい。若しくは、包装シート50における補助パッド3を配置する面の一部に離型処理されたシート部材を所定の位置に配置する。そして該離型処理されたシート部材の離型面とパッド側係止部37f、37rの粘着材とを対向させて剥離可能に貼付することができる。
包装シート50に補助パッド3を固定した後、図8に示すように一折P、二折Qの順に、補助パッド3と共に包装シート50を補助パッド3側へ折り曲げ、折り曲げた状態のまま、係止テープ51で係止する。さらに、折り曲げた状態における側縁部を、例えば、圧着により封止する。
[1.6]ベース用ナプキン
以下にベース用ナプキンの実施例を記載するが、ベース用ナプキンは以下のように特に限定されるものでは無い。補助パッド3と併用するベース用ナプキンは、公知の生理用ナプキンや任意のベース用ナプキンを使用することが可能である。例えば、図8に示すように、個包装されている補助パッド3を公知の生理用ナプキンに係止して使用することができる。
図9から図12に示すようにベース用ナプキン2は、例えば、液不透過性シート29と、液不透過性シート29の一方の面側に配置されるベース吸収層であって補助パッド3が配置される中央部20と、中央部20のベース用ナプキン2における長手方向の両側に配置され、ベース用ナプキン2における厚さ方向における厚さが中央部20よりも厚い側部21A、21Bと、幅方向の両側に形成されるウイング23A、23Bと、を少なくとも備える。
また、図10に示すように、他方の面である裏面側に、幅方向の略中央に形成されるズレ止め部27と、幅方向の両側に形成されるウイングに配置されるウイング側ズレ止め部26A、26Bと、を備える。上述の通り、ベース吸収層は、中央部20及び側部21A、21Bを少なくとも備える。
中央部20は、ベース用ナプキン2の幅方向における略中央に長手方向に沿って配置される肉薄の領域である。中央部20の幅方向の両側には、さらに該中央部20よりも厚い側部21A、21Bが形成され、該中央部20と、側部21A、21Bとの間に長手方向に沿って溝部が形成される。
補助パッド3は、身体に当接して所定の液体を主に吸収するが、加えてベース用ナプキン2も、補助パッド3で吸収しきれなかった所定の液体や、補助パッド3の表面を伝った所定の液体を吸収する機能を備えることができる。すなわち、中央部20は、図11、図12に示すように所定厚さの吸収体200を備えることが好ましい。そして、ベース用ナプキン2の表面に配置される液透過性の表面シート28を必要に応じてさらに配置することができる。液透過性の表面シート28をベース用ナプキン2の表面に配置することにより、ベース用ナプキン2に身体が触れた場合の肌触りをよくすることが可能である。
また、ベース用ナプキン2における補助パッド3が配置される側の反対の面には、液不透過性シート29を配置することができる。液不透過性シート29を配置することで、ベース用ナプキン2や側部21A、21Bでも吸収しきれなかった所定の液体が下着へ付着することを防止することが可能である。
ウイング23A、23Bは、液不透過性シート29がベース用ナプキン2の幅方向における外方向に延出するようにして形成される。図9から図11に示すように、ウイング23A、23Bにおける下着側の面にウイング側ズレ止め部26A、26Bを有する。そして、ウイング23A、23Bを下着側に折り返し、ウイング側ズレ止め部26A、26Bを下着に貼付することにより、ベース用ナプキン2全体を下着に固定することが可能である。
ここで、ウイング23A、23Bの長手方向における中心線と、ベース用ナプキン2の長手方向における中心線が交差する箇所が、身体排泄口部位がベース用ナプキン2に当接することが想定される箇所である身体排泄口部位当接想定部Zである。該身体排泄口部位当接想定部Zから長手方向における前方側の縁部である前方縁220までの距離は、例えば、110mmを例示できる。また、同様に後方縁230までの距離は、220mmを例示できる。
側部21A、21Bは、中央部20の幅方向における両側に、ベース用ナプキン2の長手方向に沿って配置される。側部21A、21Bは、例えば、略長方形における長手方向の一辺が固定されるように長手方向に配置される。
側部21A、21Bは、中央部20両側に長手方向に沿うように配置されるが、本実施形態において中央部20とは実質的に離間した状態で配置される。本実施形態における側部21A、21Bは、ベース用ナプキン2に固定されている。側部21A、21Bの幅方向における外側の端部は、ベース用ナプキン2には固定されていない自由端であってよい。例えば、側部21A、21Bの幅方向における外側の端部のうち、幅方向の外側にウイング23A、23Bが形成されている領域における端部のみが自由端で、他の領域はベース用ナプキン2に固定されていてもよい。
図9及び図11に示すように、側部21A、21Bは、側部吸収層を覆うように配置される液透過性の側部表面シート212A、212Bと、側部表面シート212A、212Bの一方の面に配置され、側部吸収層を構成する側部吸収体213A、213Bと、側部21A、21Bにおける長手方向に沿うように配置される弾性部材214A、214Bとを少なくとも備える。
側部21A、21Bは、側部吸収体213A、213Bを有するので、該側部21A、21Bも液体を吸収することが可能である。また、側部21A、21Bは、弾性部材214A、214Bを備えることにより、この弾性部材214A、214Bの収縮によって、側部21A、21Bにおける自由端側がベース用ナプキン2の厚さ方向に立ち上がるように形成される。側部21A、21Bにおける自由端がベース用ナプキン2における厚さ方向に立ち上がる場合における高さは、ベース用ナプキン2を装着した場合における身体排泄口付近となる箇所を頂点として、長手方向に沿ってなだらかに低くなるように形成される(図13)。
また、図13に示すように、ベース用ナプキン2がなだらかな曲線状に変形した場合に、弾性部材214A、214Bが収縮して、側部21A、21Bにおける自由端側が立ち上がるように変形する。この弾性部材214A、214Bとして、例えば、糸状ゴムを例示できる。この弾性部材214A、214Bは、例えば、HMA(ホットメルト接着剤)で固定されることが好ましい。
上述の通り、側部21A、21Bは、中央部20の厚さより厚く形成されており、装着時には、側部21A、21Bにおける自由端側が身体側に立ち上がるように変形し、補助パッド3と共に身体に当接し、経血等の所定の液体を吸収する。なお、側部21A、21Bは備えなくてもよい。側部21A、21Bを備えない場合には、中央部20の長手方向に沿って立ち上がる様に配置されるギャザーを配置することが好ましい。
図11に示すように、ベース用ナプキン2は、中央部20と側部21A、21Bとの間に液不透過性の内側縁部シート210A、210Bを備えることができる。中央部20と側部21A、21Bそれぞれとの間に内側縁部シート210A、210Bそれぞれが配置されることで、中央部20で吸収しきれなかった所定の液体や、補助パッド3の表面を伝った所定の液体をせき止めて、漏れを防止することが可能である。
さらに、側部21A、21Bにおける内側縁部シート210A、210Bが配置された側とは逆の側にも外側縁部シート211A、211Bを配置してもよい。側部21A、21Bそれぞれとの幅方向における外側に外側縁部シート211A、211Bを配置することで、側部21A、21Bで吸収しきれなかった所定の液体や、身体を伝って流れる液体が流れて、下着に付着することを抑制できる。
内側縁部シート210A、210B及び外側縁部シート211A、211Bは、厚さ方向に立ち上がるように配置されるが、例えば、その中央部20側の面を、SMS不織布で、反対側の面をフィルムで構成し、これらをHMA(ホットメルト接着剤)で貼り合わせたシートを用いることができる。
また、内側縁部シート210A、210B及び外側縁部シート211A、211Bは、ベース用ナプキン2に固定されていない自由縁側である厚さ方向の外側に配置される縁部やその近傍に弾性部材を配置してもよい。弾性部材として使用できる部材としては、例えば、糸状ゴムを例示できる。そして、図13に示すように、該弾性部材による収縮で内側縁部シート210A、210B及び外側縁部シート211A、211Bの自由縁部側が立ち上がるように形成される。
[1.7]係止手段
ベース用ナプキン2や下着55等と補助パッド3とを係止する係止手段は、本実施形態においては、例えば補助パッド3に配置される補助パッド側の係止部であるパッド側係止部37f、37rと、ベース用ナプキン2の中央部20における前方縁220側近傍及び後方縁230側近傍に配置されるベース側被係止部25f、25rとを備える。
[1.7.1]係止部
パッド側係止部37f、37rは、本実施形態においては例えば、補助パッド3におけるベース用ナプキン2当接面側に配置される。具体的には、第1係止手段であるパッド側係止部37fは、前方領域Fにおいてベース用ナプキン2と係止し、第2係止手段であるパッド側係止部37rは、後方領域Rにおいて下着55やベース用ナプキン2等と係止する。
ここで、パッド側係止部37fは、例えば、パッド側吸収部30と帯状部材10とが接合される接合部8と対向する位置に設けられることが好ましい。パッド側吸収部30と帯状部材10との接合部8においては、帯状部材10の自由端10rに対する起点であり、帯状部材10の張力がパッド側吸収部30側へ最も加わる箇所となり、当該箇所においてはパッド側吸収部30が下着55とずれにくくなるためである。パッド側係止部37f、37rについては後述する。
パッド側係止部37rは、例えば、帯状部材10における長手方向の後方領域R側に設けられ、さらには、後方領域R側の最後端よりも若干前方側にあることが好ましい。身体は、膣口から後方に向かって大きく湾曲していることが多いため、後方側にあることによって、帯状部材10の伸縮範囲が拡大するためである。また、身体の湾曲に沿って帯状部材10が伸長することで、帯状部材10による応力が排泄部近傍に位置するパッド側吸収部30へ伝わりやすくなるためである。さらに、帯状部材10の後端部における最後端よりも若干前方側に設けることにより、着用者が把持部40を把持するときに指等に係止材が付くことを防止できるためである。
なお、着用中に帯状部材10が下着等から外れないようにするためには、伸縮性を有する帯状部材の場合、帯状部材10の収縮力より係止材による係止力の方が大きい必要がある。よって、係止力つまりせん断応力は、5cN/25mmから500cN/25mmの範囲である収縮力より大きくなるように設定することが好ましい。
パッド側係止部37f、37rに使用される係止材としては、例えば、ホットメルト接着剤、フック材、粘着材等を例示できる。後方領域Rに設けられるパッド側係止部37rに使用される係止材は、下着55との係止材であってもよく、ベース用ナプキン2との係止材であってもよく、着用者の身体との係止材であってもよい。すなわち、係止部は、下着55又はベース用ナプキン2等に係止されるものでもあってもよく、着用者の身体に係止されるものであってよい。
具体的には、パッド側係止部37f、37rが粘着材で形成されている場合は、ホットメルト接着剤等の公知の粘着材を使用することができる。また、パッド側係止部37f、37rがフック材で形成される場合には、例えば2種類のフック材を使用することができる。具体的には、キノコ型形状の複数のピンが配列されているフック材や、一方向に引っ張る際に滑りやすく他方向には滑りにくくなるように所定の角度に傾いた複数のピンが配列された方向性を有するフック材を例示できる。
キノコ型形状の複数のピンが配列されているフック材としては、詳細には、フックを形成する複数のピンのそれぞれの先端が該ピンを中心に開いた傘状のキャップを有した形状となっており、該複数のピンの形状が全体的にキノコ型となるように形成されているフック材を例示できる。
キノコ型形状の複数のピンを有するフック材を使用する場合は、被係止体として使用することが好ましい部材としては該キノコ型形状のピンが絡まることができるような繊維を備える部材を例示できる。具体的には不織布、ループ材や伸縮性を有する不織布を例示できる。キノコ型形状の複数のピンを有するフック材は繊維に多方向に絡みやすいので、繊維に絡んだ複数のピンを解除しづらくなり、パッド側係止部37f、37rの位置の微調整が難しくなる場合や係止を解除する際に被係止体を傷めてしまう場合もある。
方向性を有するフック材としては、一方向に引っ張る際に滑りやすく他方向には滑りにくい方向性を有するフック材を例示できる。詳細には、該フック材は、平面から所定の角度に傾いて固定された略針状のピンが複数配列されているフック材である。さらに詳細には、図41に示すように、フック材を形成するピン372の先端部371は前述のような傘状のキャップがなく、先端が細くなるように形成された略針状となっており、複数のピン372は、フック材の基部となるベースシート373から垂直方向に対して所定の角度に傾くように形成される。さらに詳細には、複数のピン372は、平面から所定の角度αをなすように配置される。
したがって、図41に示す方向性を有するフック材は、複数のピン372が傾いている方向とは逆の方向への力には複数のピン372が繊維に引っ掛かることにより抵抗が生じて係止される。逆に複数のピン372が傾いている方向への力にはピン372の先端部371が該方向への力により曲げられて繊維に引っ掛かりにくくなる。
方向性を有するフック材をパッド側係止部37f、37rに使用した場合、複数のピン372が傾いている方向を前方領域Fに向け、また、複数のピン372が傾いている方向とは逆の方向を後方領域Rに向けて該フック材をパッド側係止部37rとして配置することができる。また、パッド側係止部37fに配置されるフック材は、複数のピン372が前述とは逆の方向に向くように配置される。
このように配置した場合には、該補助パッド付き生理用ナプキン1の装着時において、補助パッド3を例えばパッド側係止部37rが後方領域R側になるように配置した場合に、該補助パッド3の把持部40rが把持されてR方向(図15)に引っ張り上げられる際に、複数のピン372が傾いている方向とは逆の方向にフック材をずらすことになるので該係止を解除しやすくなる。
一方、補助パッド3を調整した位置に固定する場合には、パッド側係止部37fにより該補助パッド3がベース用ナプキン2の前方縁220側に引っ張られることになる。すると、複数のピン372が傾いている方向に該フック材をずらすことになるので係止される。
[1.7.2]被係止部
ベース用ナプキン2を平坦にした場合において、ベース用ナプキン2の中央部20における、補助パッド3の係止部37が当接する領域であるベース側被係止部25f、25rには、パッド側係止部37f、37rで使用される係止材に適した被係止材を配置することができる。具体的には、離型フィルム、ループ材や不織布を例示できる。ベース側被係止部25f、25rを配置することにより、補助パッド3を配置する初期の位置において、パッド側係止部37f、37rに使用される係止材がベース用ナプキン2の表面シート28を傷めてしまうことを防止することが可能となる。
該ベース側被係止部25fが配置される位置は、例えば、ベース用ナプキン2の長手方向における、身体排泄口部位当接想定部Zから40mm前方縁220側の位置を例示できる。また、ベース側被係止部25f、25rは、着色することができる。着色されていることにより、使用者は、補助パッド3の初期の配置位置を視認することができる。
また、中央部20における後方縁230側の補助パッド3のパッド側係止部37f、37rが当接する箇所にも、ベース側被係止部25rを配置することができる。後方縁230側のベース側被係止部25rは、例えば、ベース用ナプキン2の長手方向における身体排泄口部位当接想定部Zから130mm後方縁230側の位置を例示できる。
ベース側被係止部25f、25rを着色するだけでなく、ベース用ナプキン2の中央部20においても、補助パッド3が当接する領域を着色してもよい。該領域を着色することにより、補助パッド3が外された場合であっても、使用者は補助パッド3を配置する位置を視認することが可能である。また、領域を着色する以外にも、補助パッド3を配置する位置であることが把握できる印であればよい。例えば、丸印や星印等を例示できる。少なくともベース側被係止部25fについて、例えば着色して補助パッド3を配置させる目印とすることができる。
ベース側被係止部25f、25rとして使用できる部材としては、パッド側係止部37f、37rを形成する部材との組み合わせにより任意に選択可能である。
例えば、パッド側係止部37f、37rが粘着材で形成されている場合には、ベース側被係止部25f、25rとして使用できる部材としては例えば、離型フィルムを使用することができる。
また、例えばパッド側係止部37f、37rが前述のフック材で形成される場合には、不織布やループ材を例示できる。さらに、ベース側被係止部25f、25rとなる不織布やループ材には、伸縮性を有するように、例えば糸状ゴム等の弾性部材を挟み込んで形成してもよい。
尚、パッド側係止部37f、37rがフック材で構成されている場合において、ベース用ナプキン2の中央部20の表面に不織布やループ材が配置されている場合には、ベース側被係止部25f、25rは無くてもよい。中央部20の任意の場所に係止可能である。
また、パッド側係止部37f、37rは、ベース用ナプキン2の使用前において、仮止め部としても使用することができる。すなわち、パッド側係止部37f、37rによって、補助パッド3は動きを規制される。
[1.8]使用態様
図14から図16により、本発明の第1実施形態における補助パッド付き生理用ナプキン1の使用態様について説明する。本発明の第1実施形態における補助パッド付き生理用ナプキン1は、第1の使用態様及び第2の使用態様を備える。
本実施形態に係る補助パッド付き生理用ナプキン1の使用態様例として、補助パッド付き生理用ナプキン1の装着過程における、被係止体である下着55又はベース用ナプキン2に補助パッド付き生理用ナプキン1を取り付ける装着手順における第1及び第2の使用態様について説明する。
まず、第1及び第2の使用態様において、図14に示すように、補助パッド付き生理用ナプキン1を下着55の所定の位置に配置する。そして、通常の生理用ナプキンと同様に、配置された箇所の下着を包み込むようにウイング23A、23Bを折り返す。すると、ズレ止め部27及びウイング23A、23Bの裏面に配置されたウイング側ズレ止め部26A、26Bにより、ベース用ナプキン2が下着に固定される。このとき、補助パッド3は、すでにベース用ナプキン2のベース側被係止部25f、25rに係止されていてもよいし、始めにベース用ナプキン2のみを固定してその後に補助パッド3を配置するようにしてもよい。
すると、ズレ止め部27及びウイング23A、23Bによって下着に固定されているベース用ナプキン2の長手方向における前方領域の側部21A、21Bは、ベース用ナプキン2全体がなだらかにU字状となるに従って、弾性部材214A、214Bが収縮して厚み方向に立ち上がるように形成される。ここまでの使用態様は第1及び第2の使用態様に共通である。
第1の使用態様としては、図15、図16に示すように、補助パッド3をベース用ナプキン2の所定の位置に配置し、補助パッド付き生理用ナプキン1の非肌当接面側における前方領域F側のパッド側係止部37fに配置される係止材をベース用ナプキン2に係止させる。具体的には、係止材をベース側被係止部25f、25rに貼り付ける。なお、下着55の所定の位置とは、例えば、補助パッド付き生理用ナプキン1における中央部20を着用者の排泄部に当接可能な予測位置を含む。
そして、帯状部材10の自由端10r側に設けられた把持部40rを方向R側に引っ張る。例えば、50mm程度引っ張る。これにより、帯状部材10が延伸する。後述するカバー部材15が設けられている場合においては、ここで帯状部材10の非肌当接面側にパッド側係止部37rが現れる。そして、パッド側係止部37rに配置された係止材を下着55又はベース用ナプキン2の所定の位置であって、パッド側吸収部30が着用者の排泄部に該当するように下着55又はベース用ナプキン2に係止する。このとき、帯状部材10をできるだけ延伸させた状態で、下着55又はベース用ナプキン2に係止することが好ましい。
補助パッド付き生理用ナプキン1の装着完了後、この状態で下着55を着用することにより、帯状部材10とパッド側吸収部30がなだらかな湾曲形状に変形し、帯状部材10からパッド側吸収部30へ着用者の身体方向へ応力を伝える。このとき、帯状部材10は、パッド側吸収部30を吊り上げるように、身体側へと押し上げる。これにより、着用者の排泄部や排泄部付近の溝と補助パッド3とが密着させることが可能になる(図16参照)。
第2の使用態様としては、図15に示すように、第1の使用態様と同様の位置に補助パッド3を配置し、ベース用ナプキン2に固定する。具体的には、補助パッド3をベース用ナプキン2の所定の位置に配置し、補助パッド3の非肌当接面側における前方領域F側のパッド側係止部37fに配置される係止材をベース側被係止部25f又はベース用ナプキンの所定の位置に係止させる。この状態で着用者は、下着55を着用する。次いで、着用者は、下着55の内面における後方領域にある帯状部材10の把持部40rを把持し、身体の湾曲に沿うように、長手方向に引っ張り、下着55の所定の位置に係止させる。例えば、50mm程度引っ張る。ここで、例えば、後述するカバー部材15が設けられている場合においては、把持部40rを引っ張ると帯状部材10の非肌当接面側に設けられたパッド側係止部37rが現れるので、同様に下着55又はベース用ナプキン2に係止させる。なお、例えば、パッド側係止部37rが粘着材によって形成されている場合において、該パッド側係止部37rに剥離シートが設けられている場合においては、あらかじめ剥離シートを剥がしておくか、長手方向に引っ張った後若しくは前に剥がしておくとよい。
また、パッド側係止部37rが粘着材によって形成されている場合には、パッド側係止部37rを身体側に折り返して身体に貼り付けるようにしてもよい。また、パッド側係止部37rを補助パッド3におけるベース用ナプキン2当接面とは逆の面に配置している場合には、前述のようにパッド側係止部37rを折り返すことなくそのまま身体に貼り付けることができる。
このように、把持部40rを摘んで帯状部材10を後方領域に引っ張り、下着55に固定するため、帯状部材10に長手方向への張力が働き、この帯状部材10を身体側に持っていくことにより、帯状部材10とパッド側吸収部30がなだらかな湾曲形状に変形し、帯状部材10からパッド側吸収部30へ着用者の身体方向へ応力を伝える。このとき、帯状部材10は、パッド側吸収部30を吊り上げるように、身体側へと押し上げる。これにより、着用者の排泄部や排泄部付近の溝と補助パッド3とを密着させることが可能になる(図16(B)、(C)参照)。
[1.9]その他
補助パッド3及びベース用ナプキン2は、例えば、以下のような手順を含むようにして製造することができる。まず、ベース用ナプキン2の液不透過性シート29の一方の面側に中央部20、側部21A、21Bを構成する吸収体や液透過性シートを配置すると共に、ホットメルト接着剤等により貼り合わせるようにして接合させる。
そして、ベース用ナプキン2の中央部20の所定の位置に、ベース側被係止部25f、25rとなるループ材を配置し、例えば、ホットメルト接着剤等により接合させる。
また、細長状のパッド側吸収体35を表面シート33及び裏面シート34により包むように配置し、その幅方向における両端を長手方向に沿ってエンボス処理等により表面シート33及び裏面シート34を貼り合わせるようにして接合させ、パッド側吸収部30を形成する。
さらに、弾性材12を延伸した状態で基材シート11、13と積層し、貼り合わせて帯状部材10を形成する。そして、帯状部材10の前方領域F側及び後方領域R側のそれぞれの端部にパッド側係止部37f、37rを配置する。そして接合部8により該帯状部材10とパッド側吸収部30とを接合させる。
そして、補助パッド3のパッド側係止部37f、37rをベース用ナプキン2のベース側被係止部25f、25rに係止する。
[2]他の実施形態
図17から図40により、第2実施形態から第15実施形態について説明する。第2実施形態は、帯状部材10に関する他の実施形態を示す。第3実施形態から第5実施形態は、カバー部材15が設けられた他の実施形態を示す。第6実施形態は、帯状部材10の伸縮する方向が異なる他の実施形態を示す。第7実施形態は、帯状部材10のパッド側係止部37rが設けられていない他の実施形態を示す。第8実施形態は、指示標41に関する他の実施形態を示す。第9実施形態及び第10実施形態は、帯状部材10の配置に関する他の実施形態を示す。第11実施形態から第13実施形態は帯状部材10の配置及び態様に関する他の実施形態を示す。第14実施形態は、パッド側吸収部30に関する他の態様を示す。第15実施形態は、帯状部材10の配置に関する他の実施形態を示す。第16実施形態は、帯状部材の態様に関する他の実施形態を示す。
なお、以下の実施形態において、特に説明しない部分は、第1実施形態と同様であり、図に付した番号も第1実施形態と同様である場合は、同じ番号を付している。
[2.1]第2実施形態
図17から図19に示すように、第2実施形態における補助パッド3Aは、帯状部材10Aにおいて第1実施形態と異なる。
第2実施形態における補助パッド3Aは、帯状部材10Aとして、非伸縮性のシートが用いられる。具体的には、図17及び図18に示すように、補助パッド3Aは、パッド側吸収部30と一枚の非伸縮性シートからなる帯状部材10Aが非肌当接面側の接合部8において接合されている。非伸縮性のシートとしては、例えば、不織布、フィルムシート等が例示できるが、帯状部材10Aを吊り上げる際に加わる応力に耐え得る強度を有する部材であればよい。また、形状は、帯状、紐状等が例示できるが、帯状であることが好ましい。このように、補助パッド3Aは、帯状部材10Aに非伸縮性の材料を用いることができる。また、強度の異なる複数枚の基材シートを用いてもよい。
また、図19に示すように、第2実施形態における帯状部材10Aは、所定量の折り返し部17が設けられていてもよい。このように、所定量の折り返し部17が設けられることにより、帯状部材10Aにおける所定の長さを有することが可能になる。また、帯状部材10Aを折り返して配置することにより、例えば、所定の長さを有すると共に、帯状部材10Aをコンパクトに収めることが可能になる。
ここで、所定の長さとは、例えば、パッド側吸収部30の長手方向における長さの30%から300%の範囲が好ましく、さらに好ましくは、70%から150%の範囲が例示できる。また、折り返し部17における所定量とは、上記帯状部材10Aの所定の長さを維持し得るために折り返し可能な長さを含む。
[2.2]第3実施形態から第5実施形態
図20から図23に示すように、本発明の第3実施形態から第5実施形態における補助パッド3B、3C、3Dは、カバー部材15が設けられていることにおいて、第1実施形態と異なる。
具体的には、第3実施形態における補助パッド3Bは、図20に示すように、パッド側吸収部30Bの非肌当接面側に帯状部材10Bの少なくとも一部を包むように被覆するカバー部材15Bを備える。さらに具体的には、カバー部材15Bは、帯状部材10Bの長手方向における少なくとも一部と、幅方向における全部を被包する。帯状部材10Bは、パッド側吸収部30Bとカバー部材15Bとの間を摺動可能に設けられる。
第3実施形態においては、カバー部材15Bとパッド側吸収部30Bとは、補助パッド3Bの両側部及び前方領域Fにおける前端部において非肌当接面側で接合される。具体的には、裏面シート34の両側部及び前方領域Fにおける前端部において接合される。
カバー部材15Bの長手方向における長さは、例えば、パッド側吸収部30Bの長手方向の長さの10%から100%の範囲が好ましく、さらに好ましくは、50%から90%の範囲が例示できる。10%より小さいと、例えば、パッド側吸収部30Bと帯状部材10Bとの自由度が大きすぎてしまい、着用中にずれる危険性があるためである。また、100%より大きいと、例えば、帯状部材10Bを延伸させて下着55に係止させる際に邪魔になるためである。
カバー部材15Bの幅方向における長さは、例えば、パッド側吸収部30Bの幅方向の長さの30%から150%の範囲が好ましく、さらに好ましくは、50%から110%の範囲が例示できる。30%より小さいと、例えば、パッド側吸収部30Bを十分に身体へ密着させることができなくなる場合がある。また、150%より大きいと、例えば、大腿部と接触する面積が過剰となり、擦れ等による肌トラブルを発症させる危険性がある。
また、カバー部材15Bの幅方向における長さは、例えば、帯状部材10Aの幅方向の長さの100%から200%の範囲が好ましく、さらに好ましくは、105%から150%の範囲が例示できる。100%より小さいと、例えば、帯状部材10Bを延伸させる際にスムーズに伸ばすことができない場合がある。また、200%より大きいと、例えば、帯状部材10Bの幅方向における自由度が大きすぎるためパッド側吸収部30Bの中心軸と帯状部材10Bの中心軸とがずれてしまうおそれがある。
カバー部材15Bは、パッド側吸収部30Bにおける各構成材料と異なる材料により構成してもよく、パッド側吸収部30Bにおける各構成材料のいずれか同様の材料を用いてもよい。この場合、各材料を延長するように連続して形成するものであってもよい。例えば、表面シート33を連続して用いてもよく、裏面シート34を連続して用いるものであってもよい。表面シート33又は裏面シート34を連続して用いた場合、連続して設けた各シートを非肌当接面側において重ねて接合してもよい。具体的には、パッド側吸収部30Bの非肌当接面側の幅方向における略中央部においてパッド側吸収部30Bの幅方向における長さの50%以上を連続し、それぞれの延長したシート同士を折り返し、積層して接合してもよい。
そして、係止部37fは、補助パッド3Bにおける最外面となるカバー部材15Bにおける図示しないベース用ナプキン2当接面側に配置される。
第4実施形態における補助パッド3Cは、図21に示すように、カバー部材15Cをパッド側吸収部30Cの後方領域Rに配置してもよい。また、図22(A)に示すように、カバー部材15Cの両側部をパッド側吸収部30Cの内側に折り込んで裏面シート34と接合されてもよい。このように設けることで、裏面シート34とカバー部材15Cとの間口を広くとることが可能になり、帯状部材10の伸縮を容易に行うことが可能になる。
また、図22(B)に示すように、パッド側吸収部30Cの幅方向における両側部のカバー部材15Cを折り返した部分のそれぞれに弾性材16Cを配置してもよい。このように配置することで、例えば、パッド側吸収部30C又は帯状部材10が捩れようとしても弾性材16Cの弾性力により、捩れを元に戻す力が働き、パッド側吸収部30C又は帯状部材10の捩れを防止することができる。弾性材16Cは、例えば糸状ゴムで形成される。
第5実施形態における補助パッド3Dは、図23に示すように、カバー部材15Dが帯状部材10のパッド側係止部37rを覆うように配置されてもよい。この場合、帯状部材10が非伸縮状態にあるときは、帯状部材10の把持部40rがパッド側吸収部30Dの長手方向における後方領域Rの外縁から延出し、パッド側係止部37rは、カバー部材15Dにより被覆されている。このように、パッド側係止部37rがカバー部材15Dに被覆されることにより、例えば、帯状部材10を延伸させるまで、意図しない他の箇所にパッド側係止部37rが張り付くことを防止することができる。また、把持部40rが延出することにより、例えば、着用者が容易に把持部40rを摘むことが可能になるため、操作性が向上する。
さらに、カバー部材15Dの表面側にシリコン樹脂等をコーティングしてもよい。シリコン樹脂等をコーティングすることにより、パッド側係止部37rがカバー部材15Dに張り付くことを防止することが可能になるため好ましい。また、パッド側係止部37rの表面を剥離シート等によって、被覆するものであってもよい。
カバー部材15Dは、複数設けてもよいが、少なくともパッド側吸収部30Dの後方領域Rの近傍に配置されることが好ましい。パッド側吸収部30Dの後方領域Rの近傍に配置されることにより、着用中に帯状部材10がパッド側吸収部30Dからずれることを防止することができるためである。
また、図23(B)に示すように、パッド側吸収部30Dの幅方向における両側部のカバー部材15Dを折り返した部分のそれぞれに弾性材16Dを配置してもよい。また、弾性材16Dを形成する部材は、糸状ゴムを例示できる。
[2.3]第6実施形態
図24を用いて、本発明の第6実施形態における補助パッド3Eを説明する。図24に示すように、本発明の第6実施形態は、帯状部材10が伸縮する方向において、第1実施形態と異なる。具体的には、第6実施形態における補助パッド3Eは、帯状部材10が前方領域Fに伸縮するものであってもよい。
この場合の使用態様としては、以下が挙げられる。例えば、下着55を着用者の膝付近まで下ろした後、ベース用ナプキン2を下着55に取り付け、さらに補助パッド3Eの後方領域Rのパッド側係止部37rEにおける係止材をベース用ナプキン2又は下着55に係止させ、固定する。次いで、パッド側係止部37rEを一方の手で押さえ、他方の手で把持部40fEを把持し、帯状部材10を前方領域Fに延伸させ、パッド側係止部37fEの係止材を下着55又はベース用ナプキン2の所定の位置に係止させて固定する。その後下着55を胴体側に引き上げる。
また、例えば、下着55を着用者の膝付近まで下ろした後、ベース用ナプキン2を下着55に取り付け、さらに補助パッド3Eの後方領域Rのパッド側係止部37rEにおける係止材を下着55又はベース用ナプキン2に係止させ、固定する。この状態で下着55を胴体側に引き上げて着用する。次いで、前方領域Fから下着55と身体の間に手を入れ、把持部40fEを把持して帯状部材10を前方領域Fへ引っ張り、パッド側係止部37fEの係止材を下着55又はベース用ナプキン2と固定させる。
また、図24に示すように、カバー部材15Eの略中央部の幅方向における両側において、下着55との係止部91R、91Lをそれぞれ設けてもよい。係止部91R、91Lを両側部に配置することにより、帯状部材10の張力によって、ベース用ナプキン2、ひいては下着55をも身体側へ吊り上げることが可能になり、例えば、補助パッド3Eとベース用ナプキン2や下着55とがずれることを防止できる。
係止部91R、91Lは、図24に示すように、カバー部材15Eの略中央部の幅方向における両側に、複数本、例えば、2つ設けてもよいが、カバー部材15Eの略中央部の幅方向の全部に設けてもよい。また、略中央部から、カバー部材15Eの後方領域まで設けてもよい。さらには、カバー部材15Eの全体に設けてもよい。
[2.4]第7実施形態
図25を用いて、本発明の第7実施形態における補助パッド3Fを説明する。図25に示すように、本発明の第7実施形態における補助パッド3Fは、後方領域Rにおける帯状部材10Fに下着55と係止するパッド側係止部37rが設けられていないことにおいて、第1実施形態と異なる。具体的には、第7実施形態における補助パッド3Fは、後方領域Rにおいて、ベース用ナプキン2又は下着55と係止するパッド側係止部37rを備えなくてもよい。
この場合の使用態様としては、以下が挙げられる。例えば、下着55を着用者の膝付近まで下ろした後、下着55にベース用ナプキン2を貼り付け、補助パッド3Fの前方領域F及び両側部において、パッド側係止部37f、91R、91Lのそれぞれをベース用ナプキン2に固定すると共に下着55を胴体側へ引き上げて着用する。次いで、身体の背面側から下着55と身体との間に手を入れ、把持部40rを把持して帯状部材10Fを身体の湾曲に沿って後方領域Rへ引っ張り、排泄部近傍の溝、具体的には、臀部近傍の溝に挟み込む。
[2.5]第8実施形態
図26を用いて、本発明の第8実施形態における補助パッド3Gを説明する。図26に示すように、第8実施形態における補助パッド3Gは、案内要素である指示標41Gの態様において第1実施形態と異なる。
第8実施形態として、図26に示すように、把持部40rGにパッド側係止部37rの位置を示唆する案内要素である指示標41rGを設けてもよい。例えば、図26(B)は、パッド側係止部37rにおいて下着55又はベース用ナプキン2との係止材が配置されている表面側に着色されたシートを配置する補助パッド3Gを例示する。パッド側係止部37rの位置を示唆する案内要素としては、着色されたシートを例示できる。また、案内要素として、エンボス、印刷、着色したホットメルト接着剤等を例示できる。さらに、帯状部材10の基材シート11、13を透明性の高いシートで構成し、裏面シート34側に設けられたパッド側係止部37rを視認可能としてもよい。
[2.6]第9実施形態及び第10実施形態
図27から図29を用いて、本発明の第9実施形態及び第10実施形態における補助パッド3H、3Jを説明する。図27から図29に示すように、本発明の第9実施形態及び第10実施形態における補助パッド3H、3Jは、帯状部材10の配置の仕方において第1実施形態と異なる。具体的には、第9実施形態における補助パッド3Hは、図27に示すようにパッド側吸収部30Hの幅方向において、長手方向に延びる一対の帯状部材10aH、10bHを設けてもよい。また、帯状部材10aH、10bHは複数本設けてもよい。
このように、一対の帯状部材10a、10bをパッド側吸収部30Hの非肌当接面側に配置し、パッド側吸収部30Hの前方領域F、具体的には各帯状部材10aH、10bHの幅方向略中央部に配置された接合部8a、8bにおいて、裏面シート34と接合させることにより、例えば、各帯状部材10Hが歩行時に独立して動く臀部に追従しやすくなる。
また、第10実施形態として、図28及び図29に示すように、厚さ方向において、2本の帯状部材10、110のそれぞれを積層させるように設けてもよい。この場合、図29に示すように、帯状部材110は、パッド側吸収部30Jの裏面シート34と略中央部の接合部8cにおいて接合されており、後方領域R側の端部にはパッド側係止部137rが配置されている。帯状部材110のパッド側係止部137rにより、帯状部材10の把持部40rに仮止めするようにしてもよい。帯状部材110は、例えば、パッド側吸収部30Jの50%程度の長さを有している。
また、帯状部材10は、パッド側吸収部30Jの裏面シート34と前方領域における接合部8fにおいて接合されている。帯状部材10、110は、裏面シート34において、カバー部材15Fに被包されている。帯状部材10、110は、パッド側吸収部30Jの後方領域における端部側において、係止材により係止されている。なお、帯状部材10は、例えば、パッド側吸収部30Jの95%程度の長さを有している。
このように、帯状部材10、110を重ねて設けることにより、例えば、排泄部から後方領域Rにおける肛門にかけての応力がより高くなり、密接性を向上することができる。
[2.7]第11実施形態から第13実施形態
図30から図35により、本発明の第11実施形態から第13実施形態について説明する。図30から図35において示すように、帯状部材10Kが補助パッド3Kにおける長手方向の略中央に配置された接合部8Kによりパッド側吸収部30Kと接合され、パッド側吸収部30Kの長手方向における両端から延伸している点において第1実施形態と異なる。
図30から図33に示すように、第11実施形態における補助パッド3Kの帯状部材10Kは、長手方向における前方領域F、及び後方領域Rのそれぞれにおいて、把持部40fK、40rを備える。把持部40fK、40rは、帯状部材10Kの両端部のそれぞれにおいて、パッド側吸収部30Kの外縁から延出するように設けられる。これにより、着用者は、例えば、容易に把持部40fK、40rを認識することが可能になり、装着時における誤装着を防止することが可能になる。把持部40fK、40rは、着用者が指等で摘める程度延出していればよい。また、把持部40fK、40rは、着用者が摘みやすいように、帯状部材10Kの把持部40fK、40rに該当する位置に所定の強度を有するシート部材14を基材シート11、13の間に狭持させてもよい。なお、把持部40fK、40rは、非延伸領域とすることが好ましい。
パッド側吸収部30Kと帯状部材10Kとは、接合部8Kにおいて接合される。パッド側吸収部30Kに対する帯状部材10Kの接合位置としては、帯状部材10Kの伸縮性が発揮されなくても影響が少ない箇所に配置されることが好ましい。例えば、着用者の排泄部近傍、さらに具体的には、着用者の膣口近傍において固定されることが好ましい。
例えば、パッド側吸収部30Kと帯状部材10Kとの接合範囲は、長手方向においては、着用者の各排泄部に該当する範囲であることが好ましい。具体的には、着用者の膣口と接するパッド側吸収部30Kの身体排泄口部位当接想定部Zを中心に、長手方向における前後方向にそれぞれ20mm以内(全体としては、長手方向に40mm)であることが好ましい。さらに好ましくは、着用者の膣口と接する身体排泄口部位当接想定部Zを中心に、長手方向における前後方向にそれぞれ1.0mm(全体としては、長手方向に2.0mm)から10mm(全体としては、長手方向に20mm)の範囲を例示できる。長手方向における前後方向のそれぞれに20mmより大きいと、帯状部材10Kの伸縮性が発揮されない領域が大きすぎてしまい、身体の体勢変化によってパッド側吸収部30Kが排泄部から容易に離れてしまう可能性があるためである。また、幅方向においては、パッド側吸収部30Kの幅方向における10%から100%の範囲が例示できる。好ましくは、60%から100%の範囲にあることが例示できる。幅方向においては、連続的に固定されるもの、間欠的に固定されるもののどちらを用いてもよい。
接合材としては、例えば、ホットメルト接着剤、エンボス加工、ソニック加工等が例示できる。尚、接合部8Kは、パッド側係止部37fK、37rが配置されている場合には、設けられなくともよい。すなわち、パッド側吸収部30Kと帯状部材10Kとは分離された状態となる。そして、パッド側吸収部30Kを帯状部材10Kに配置し、パッド側係止部37fK、37rを下着55、ベース用ナプキン2又は身体に係止することにより、帯状部材10Kがパッド側吸収部30Kを身体側に押さえつけて固定するようにしてもよい。
また、図34に示すように、第12実施形態においては、パッド側吸収部30L自体が、帯状部材10の伸長に合わせて伸長性を有するようにしてもよい。具体的には、パッド側吸収部30Lの略中央部に伸長領域Sを設ける。また、長手方向における伸長領域Sの両端にそれぞれ離間した複数の図示しない接合部を配置することができる。具体的には、伸長領域Sの長手方向の両端に2つの接合部を配置することができる。複数の接合部の間に伸長領域Sを設けることにより、パッド側吸収部30Lは伸長可能になる。したがって、帯状部材10の伸長に合わせてパッド側吸収部30Lも伸長可能になり、当該領域においても、帯状部材10は、伸長可能となる。
ここで、伸長性を備えたパッド側吸収部30Lについて説明する。伸長性を備えたパッド側吸収部30Lとしては、例えば、エラスティック系の素材により構成されたものが例示できる。また、熱収縮繊維等のコイル状繊維を用いてもよい。エラスティック系の素材や熱収縮繊維等のコイル状繊維を用いることにより、パッド側吸収部30Lは、伸長性を備えることが可能になる。
図35に示すように、第13実施形態においては、パッド側吸収部30Mの所定の場所に設けられた伸長領域Sに、パッド側吸収部30Mの幅方向に所定の切れ込みを有する複数のスリット90を設けることにより、パッド側吸収部30Mに伸長性を持たせてもよい。図35(B)に示すように、スリット90は、パッド側吸収部30Mが長手方向における前方及び後方領域F、Rのそれぞれに所定の応力が生じた場合、スリット90の幅方向に入った切れ込みが長手方向に引っ張られることにより開口する。これにより、パッド側吸収部30Mは、スリット90の長手方向に対する開口量の伸長が可能となる。
[2.8]第14実施形態
図36を用いて、本発明の第14実施形態における補助パッド3Nを説明する。図36に示すように、本発明の第14実施形態における補助パッド3Nは、帯状部材10の配置において第1実施形態と異なる。
図36に示すように、第14実施形態に係る補助パッド3Nは、パッド側吸収部30Nの長手方向において、前方及び後方領域F、Rのそれぞれに伸びる一対の帯状部材10fN、10rNを設けてもよい。この場合、各帯状部材10fN、10rNの間は、第12,13実施形態における伸長領域Sとすることが好ましい。また、例えば、後方領域Rに伸びる帯状部材10Nrを第11実施形態に示すような複数の帯状部材10、110を用いる構成としてもよい。すなわち、帯状部材10fN、10rNの一方若しくは両方に複数の帯状部材を用いる構成としてもよい。
[2.9]第15実施形態
[2.9.1]全体構成
図37から図40により本発明の第15実施形態について説明する。図37から図40に示すように、補助パッド3Pの帯状部材10P及び帯状部材10Pとパッド側吸収部30Pとの接合態様において第1実施形態と異なる。
パッド側吸収部30Pと帯状部材10Pとは、長手方向における略中央部の所定の箇所に設けられた一対の接合部8LP、8RPにおいて接合される。具体的には、接合部8LP、8RPは、補助パッド3Pの長手方向における略中央の両側部のそれぞれに、幅方向における中心をはさんで所定の間隔をもって互いに離間して設けられる。帯状部材10Pは、この接合部8LP、8RPにおいてパッド側吸収部30Pと接合され、接合部8LP、8RPを起点として、長手方向における前後方向にパッド側吸収部30Pに沿って伸びるように配置される。
帯状部材10Pの長手方向における両端部は、長手方向におけるパッド側吸収部30Pの両端部の外縁から延出しており、この延出部分のそれぞれには、把持部40fP、40rが設けられている。各把持部40fP、40rにおける非肌当接面側には、被係止体である下着55又はベース用ナプキン2と係止するパッド側係止部37fP、37rがそれぞれ設けられている。具体的には、パッド側係止部37fP、37rは、帯状部材10Pの端部よりも若干、帯状部材10Pの長手方向の略中央部側に設けられている。
[2.9.2]帯状部材
帯状部材10Pは、略縦長状に形成されている。帯状部材10Pの幅方向における長さは、例えば、パッド側吸収部30Pの幅方向における長さの30%から150%の範囲が好ましく、さらに好ましくは、60%から130%の範囲が例示できる。パッド側吸収部30Pの幅方向における長さの30%より小さいと、例えば、パッド側吸収部30Pの全体を十分に吊り上げることができず、パッド側吸収部30Pの全体を身体側へ密着させることができないためである。また、150%よりも大きいと、着用者の大腿部と接触する面積が過剰になり、大腿部と擦れて肌トラブル等を発症させるおそれがあるためである。
また、帯状部材10Pの長手方向における長さは、例えば、パッド側吸収部30Pの長手方向における長さの30%から300%の範囲が好ましく、さらに好ましくは、70%から150%の範囲が例示できる。パッド側吸収部30Pの長手方向における長さの30%より小さいと、例えば、帯状部材10Pが延伸してもパッド側吸収部30Pを十分に身体側へ密着させることができないためである。また、150%よりも大きいと、着用者の大腿部と接触する面積が過剰になり、大腿部と擦れて肌トラブル等を発症させるおそれがあるためである。また、例えば、帯状部材10Pを延伸させた状態で下着55又はベース用ナプキン2に装着させることができなくなり、排泄部に密着させることができなくなるおそれがあるためである。
また、帯状部材10Pの延伸可能範囲は、非延伸状態を100%とすると、105%から300%の範囲が好ましく、さらに好ましくは、110%から180%の範囲を例示できる。延伸状態が105%よりも小さいとパッド側吸収部30Pを身体側へ押し上げる応力が弱くなり、パッド側吸収部30Pを吊り上げるような構造になりにくいためである。また、300%よりも大きいと、必要以上に身体側への押し上げ力が発生し、着用者に対して不快感を与えるおそれがあるためである。さらに、延伸状態が105%から300%の伸長倍率における帯状部材10の応力は、例えば、5cN/25mmから500cN/25mmの範囲であることが好ましく、さらには、20cN/25mmから100cN/25mmの範囲であることが好ましい。
帯状部材10Pは、長手方向に延伸可能であり、幅方向に変形可能に形成されたシート部材が用いられる。なお、帯状部材10Pは、長手方向へ伸長した際に、幅方向へ幅狭になるいわゆるネックイン(以下、ネックインという。)するものであればよい。ネックインの範囲としては、例えば、パッド側吸収部30Pと接合された非伸縮状態を100%とすると、20%から95%の範囲を例示できる。好ましくは、50%から80%の範囲を例示できる。帯状部材10Pとしては、例えば、熱可塑性エラストマー樹脂を使用した繊維状シートを用いてもよい。具体的には、ウレタン繊維と合成繊維とを混綿した不織布やエラストマー樹脂をメルトブローンで成形した層を含む不織布、若しくはフィルムシート等が例示できる。特に、繊維集合体を用いた場合、繊維配向が幅方向へ主体的に向いていることで、長手方向へ伸長されたときに容易に繊維形状が変形でき、低加重でネックインすることが可能になる。
帯状部材10Pは、長手方向における前方領域F、及び後方領域Rのそれぞれにおいて、把持部40fP、40rを備える。把持部40fP、40rは、帯状部材10Pの両端部のそれぞれにおいて、パッド側吸収部30Pの外縁から延出するように設けられる。これにより、着用者は、例えば、容易に把持部40fP、40rを認識することが可能になり、装着時における誤装着を防止することが可能になる。把持部40fP、40rは、着用者が指等で摘める程度延出していればよい。なお、把持部40fP、40rは、非延伸領域とすることが好ましい。
[2.9.3]パッド側吸収部と帯状部材との接合位置
パッド側吸収部30Pと帯状部材10Pとは、補助パッド3Pのパッド側吸収部30P略中央部の両側部のそれぞれに、幅方向における中心を挟んで、所定間隔をもって互いに離間した接合部8RP、8LPにおいて接合される。長手方向におけるパッド側吸収部30Pの略中央部は、帯状部材10Pを伸縮させた場合に最もネックインする場所であるため、補助パッド3Pの長手方向における略中央部においてパッド側吸収部30Pと帯状部材10Pとは、接合されることが好ましい。
例えば、接合部8RP、8LPの幅方向におけるそれぞれの離間距離は、5mmから200mmの範囲が例示できる。好ましくは、30mmから80mmの範囲が例示できる。5mmよりも小さいと、帯状部材10Pがネックインした際にパッド側吸収部30Pが十分に隆起することができないためである。また、200mmより大きいと、パッド側吸収部30Pが隆起しすぎ、着用者に異物感を与えてしまうおそれがあるためである。
また、パッド側吸収部30Pの幅方向における長さに対する接合部8RP、8LPの幅方向におけるそれぞれの離間距離としては、5%から95%の範囲が例示できる。好ましくは、30%から80%の範囲が例示できる。5%よりも小さいと、帯状部材10Pがネックインした際にパッド側吸収部30Pが十分に隆起することができないためである。また、95%より大きいと、パッド側吸収部30Pが隆起しすぎ、着用者に異物感を与えてしまうおそれがあるためである。
長手方向における帯状部材10Pのパッド側吸収部30Pとの接合位置は、帯状部材10Pの伸長性を犠牲にしないように接合する必要がある。例えば、長手方向に互いに離間した2箇所でパッド側吸収部30Pと帯状部材10Pとを接合してしまうと、接合部間の帯状部材10Pは、パッド側吸収部30Pが伸長しないため、伸長性が生じなくなる。また、接合部8RP、8LPが長手方向に長く配置されていると、パッド側吸収部30Pが伸長しないため、その領域においても帯状部材10Pに伸長性は生じなくなる。したがって、接合位置は、例えば、帯状部材の伸長性が発揮されていなくても影響が少ない箇所に配置されていることが好ましい。例えば、着用者の排泄部近傍、具体的には、着用者の膣口近傍において接合されることが好ましい。パッド側吸収部30Pは、長手方向における排泄部近傍においては、あまり変形せず略直線状を維持するが、排泄部の前後端部からは、身体の湾曲に追随して湾曲し始める。このように、排泄部付近では帯状部材10Pの伸長性が直接働かなくても、前後の帯状部材10が延伸してパッド側吸収部30を係止可能となる。これにより、パッド側吸収部30Pを身体側へ密着させる方向に力が働くためである。
例えば、パッド側吸収部30Pと帯状部材10Pとの接合範囲、すなわち長手方向における接合部の長さは、着用者の排泄部が収まる位置であることが好ましい。具体的には、膣口近傍であることが好ましく、より好ましくは、膣口と接するパッド側吸収部30Pの略中央部を中心に、前方及び後方領域F、Rのそれぞれへ20mm以内の範囲内にあることが好ましく、さらに好ましくは、前方及び後方領域F、Rのそれぞれへ1mmから10mm以内の範囲内が例示できる。前方又は後方領域F、Rのそれぞれへ20mm以上大きいと、帯状部材10Pの伸縮性が発揮されない領域が大きすぎてしまい、着用者の体勢の変化によっては、パッド側吸収部30Pが身体から容易に離れてしまうおそれがあるためである。
また、幅方向においては、パッド側吸収部30Pの幅方向における10%から100%の範囲が例示できる。好ましくは、60%から100%の範囲にあることが例示できる。幅方向においては、連続的で固定されるもの、間欠で固定されるもののどちらを用いてもよい。固定材としては、ホットメルト接着剤、エンボス加工、ソニック加工等が例示できる。
[2.9.4]使用態様
図39により、本発明の第15実施形態における補助パッド3Pの使用態様について説明する。
本実施形態に係る補助パッド3Pの使用態様例として、補助パッド3Pの装着過程における、被係止体である下着55に補助パッド3Pを取り付ける装着手順の使用態様について説明する。
装着手順の使用態様としては、下着55所定の位置にベース用ナプキン2を配置し、さらに補助パッド3Pを配置する。この状態で、下着55を胴体方向へ引き上げて着用する。次いで、前方及び後方領域F、Rのそれぞれにおいて、下着55と身体の間に手を入れ、帯状部材10Pに設けられた把持部40fP、40rを把持し、身体の湾曲に沿うように前方及び後方領域F、Rのそれぞれに引っ張る。ここで、例えば、カバー部材15が設けられている場合においては、把持部40fP、40rを引っ張ると帯状部材10Pの非肌当接面側に設けられたパッド側係止部37fP、37rが現れる。そして、下着55又はベース用ナプキン2の所定の位置に係止させる。
また、パッド側吸収部30Pは、帯状部材10Pを引っ張ることにより、凸状に変形する。具体的には、図39(B)に示すように、帯状部材10Pを引っ張ると、帯状部材10Pが長手方向における略中心部において、両端部よりも幅狭になる(図39(C)、(D)参照)、いわゆるネックインを生じさせるため、帯状部材10Pとパッド側吸収部30Pとの接合部8LP、8RPのそれぞれが、幅方向に近づくことになる。このように、接合部8LP、8RPのそれぞれが、幅方向に近づくことにより、帯状部材10Pと接合されたパッド側吸収部30Pが一方側に隆起するように突出変形する(図39(C)参照)。したがって、帯状部材10Pの伸張量を調節することにより、パッド側吸収部30Pの変形量が調節可能となる。
なお、本実施形態における使用態様は、他の使用態様として、帯状部材10Pを使用しない状態で用いることができる。この場合、下着55の着用後に改めて帯状部材10Pを使用することも可能になる。
また、本実施形態においては、補助パッド3Pにおける帯状部材10Pが前方領域F側及び後方領域R側の両端から延出した態様となっているが、いずれか一方のみが延出しており、他方においては、パッド側吸収部30Pの図示しない裏面シート34に接合されていてもよい。
[2.10]第16実施形態
図40を用いて、本発明の第16実施形態における補助パッド3Qを説明する。図40に示すように、本発明の第16実施形態における補助パッド3Qは、パッド側吸収部30Qと帯状部材10Qとの接合状態において、第1実施形態と異なる。
具体的には、図40(A)に示すように、第16実施形態における補助パッド3Qは、パッド側吸収部30Qと帯状部材10Qとの接合部8RQ、8LQにおいて、このそれぞれの接合部8RQ、8LQを連結させる連結帯80Qを備える。帯状部材10Qは、一端側において連結帯80Qと接合される。図40(B)に示すように、帯状部材10Qの他端側が長手方向に引っ張られることにより、連結帯80Qが変形し、パッド側吸収部30Qにおける連結帯80Qとの接合部8RQ、8LQのそれぞれが幅方向に近づき、パッド側吸収部30Qの幅方向における距離が狭くなる。これにより、パッド側吸収部30Qは、肌当接面側に突出変形する。
なお、連結帯80Qと帯状部材10Qとは、同様の部材で形成してもよく、異なる部材で形成してもよい。すなわち、連結帯80Qと帯状部材10Qとは、一体に成形してもよい。
上記以外の他の実施形態としては、本件の補助パッドから別の生理用ナプキン等のベース吸収体へ経血移行がしやすいように、本件の補助パッドは全て液透過性材料で構成したり、若しくは液不透過性材料を使用しても部分的に通液孔があってもよい。補助パッドから経血等が漏れ出したとしても併用するパッド側吸収部30において吸収可能であるためである。また、本件の帯状部材は、吸収性物品本体から延出しており、さらには係止材が設けられている場合はより一層、後処理用の帯状テープとしても活用できる。
[3]各構成物
以下に、各構成物について詳述する。
補助パッド3の表面シート33及び裏面シート34は、多数の液透過孔が形成された樹脂フィルム、多数の網目を有するネット状シート部、液透過性の不織布、又は織布などで形成される。前記樹脂フィルムやネット状シート部は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などで形成されたものを使用できる。また不織布としては、レーヨンなどのセルロース繊維、合成樹脂繊維などから形成されたスパンレース不織布、前記合成樹脂繊維で形成されたエアースルー不織布などを用いることができる。また、素材として、ポリ乳酸、キトサン、ポリアルギン酸などの生分解性が可能な天然物を用いることもできる。また、多数の液透過孔を形成すると共に、シリコン系やフッ素系の撥水性油剤を塗布して、その外面に体液が付着しにくいものとしてもよい。なお、第1実施形態における側部表面シート212A、212Bや、中央部20の表面に液透過性シートを配置する場合も、同様のシートを用いることができる。
また、表面シート33の目付は、15から80g/m2が好ましく、20から40g/m2が特に好ましいが、特に限定されない。目付が15g/m2以下だと表面強度が十分に得られず、使用中に破けるおそれがある。また80g/m2以上の場合、過度のごわつきが発現し、使用中に違和感を生じる。さらには、長時間使用の場合には、80g/m2を超えてしまうと、液体を表面シート33で保持してしまいベタベタした状態で維持され続け、不快に感じるようになってしまう。また、密度は0.2g/cm3以下で液透過性であれば特には限定されない。密度がこれ以上の場合、表面シート33の繊維間をスムーズに透過することが難しい。経血の場合、尿などにくらべ粘性が高いので密度が低いものが好ましい。
また、表面シート33には、開口処理が設けられていることが好ましい。開孔径は0.5mm以上10mm以下の範囲内、ピッチは、1mm以上15mm以下の範囲内、開孔面積率は、2%以上20%以下の範囲内であることが好ましい。製法としては、あらかじめ開孔条件を変化させたパターンドラムにフィルムを通紙し、サクション吸引することで開孔するいわゆるPFW法や、均一な開孔条件を有するPFW法で得られた表面シート33の折り目線を跨ぐ領域に、ピンエンボス加工によって開孔をさらに付加する方法などが挙げられる。開孔の配列は千鳥状、格子状、波状など特に限定されない。また、開孔の形状としては、丸型、楕円型、四角型などが挙げられる。また、開孔部の周縁に弁が備えられていてもよい。表面シート33として、好ましくは有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスティックシート部を用いることができる。
また、補助パッド3におけるベース用ナプキン2側とは反対側である肌側に配置される表面シート33として、例えば、複数の点で肌に接触するように形成されたシートを使用することができる。表面シート33として複数の点で肌に接触するシートを使用した場合に、例えば、全面が肌に接触した場合に生じやすい空気循環の悪化により生じる場合がある肌のかぶれを抑制できる可能性がある。
この複数の点で肌に接触するシートとしては、例えば、表面が凹凸状に形成されたシートや複数の開口が形成されたシート等を例示できる。さらに、表面が凹凸状に形成されたシートとして、例えば、凸部をポーラスに形成したシートを例示できる。
また、表面シート33の好適な例として、熱融着繊維をエアースルー等の手段で結合した2層構造の融着シートを用いることができる。該シートは、構成繊維の繊維径が4デニール以下の親水性繊維、撥水性繊維で構成されている。詳しくは、表面繊維層がポリエチレン/ポリエステルの2成分複合繊維で、裏面繊維層がポリエチレン/ポリエステル、ポリエチレン/ポリプロピレンの2成分複合繊維で構成されている。また、該シートの目付は、15から80g/m2である。この目付が80g/m2を超えてしまうと、液体を表面シート33で保持してしまいベタベタした状態で維持され続け、不快に感じるようになってしまう。
裏面シート34の好適な例として、目付が18g/m2のSMS不織布を例示することができる。極細繊維によるメルトブローン層によって、少量の経血であればその耐水圧により補助パッド3のみで吸収を完結でき、また耐水圧以上の圧力が加わればベース用ナプキン2へ移行させることができる。液透過性のシートであることが好ましいが、液不透過性のシートを用いてもよい。液透過性のシートであることにより、補助パッド3において吸収しきれなかった所定の液体をベース用ナプキン2に移行することができる。
ベース用ナプキン2における液不透過性シート29は、パッド側吸収部30や中央部20、側部21A、21Bに吸収された排泄物が外へ漏れ出すのを防止できる材料が使用される。また、透湿性素材とすることにより、装着時のムレを低減させることができ、装着時における不快感を低減させることが可能となる。このような材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等を主体とした液不透過性フィルム、通気性フィルム、スパンボンドなどの不織布の片面に液不透過性フィルムをラミネートした複合シート部などが挙げられる。好ましくは、疎水性の不織布、不透水性のプラスティックフィルム、不織布と不透水性プラスティックフィルムとのラミネートシート部等を用いることができる。また、耐水性の高いメルトブローン不織布や強度の強いスパンボンド不織布で挟んだSMS不織布でも良い。例えば、第1実施形態における液不透過性シート29は、目付が25g/m2のPEフィルムが例示される。
補助パッド3の特にパッド側吸収部30の幅方向における長さは、全体的に等幅であることが好ましいが、等幅でなくてもよい。具体的には例えば、補助パッド3の長手方向に沿って、ベース用ナプキン2の後方縁230側に向かって徐々に幅が狭くなるように形成することができる。また、液体の漏れを防止することを目的とするならば、パッド側吸収部30の幅方向における幅は、ベース用ナプキン2の後方縁230側に向かって徐々に幅が広くなるように形成することができる。
また、ウイング23A、23Bを除くベース用ナプキン2の幅寸法は、例えば、70mmから120mm、好ましくは80mmから110mmが望ましい。そして第1実施形態においては、例えば、105mmを例示できる。また、中央部20の幅寸法は、例えば、15mmから60mm、好ましくは25mmから50mmが望ましい。そして第1実施形態においては、例えば、40mmであることが例示される。さらに、側部21A、21Bの幅寸法は、例えば、5mmから30mm、好ましくは7.5mmから25mmが望ましい。そして第1実施形態においては、例えば、20mmであることが例示される。
パッド側吸収部30のパッド側吸収体35、ベース用ナプキン2の側部吸収体213A、213B、及び中央部20に吸収体を配置する場合の吸収体200における吸収体材料は、経血等の液体を吸収して保持する機能を有するもので、嵩高であり、型崩れし難く、化学的刺激が少ないものであることが好ましい。例えば、フラッフ状パルプ若しくはエアレイド不織布と高吸収ポリマーとからなる吸収体材料を例示できる。フラッフ状パルプとしては、例えば、化学パルプ、セルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維を例示できる。エアレイド不織布としては、例えば、パルプと合成繊維とを熱融着させ又はバインダーで固着させた不織布を例示できる。高吸収ポリマーとしては、例えば、デンプン系、アクリル酸系、アミノ酸系の粒子状又は繊維状のポリマーを例示できる。また、不織布としては、例えば、スパンレース、スパンボンド、サーマルボンド、メルトブローン、ニードルパンチ、エアースルー等の不織布が用いられる。不織布を構成する素材繊維としてはポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を例示できる。クッションとしては、例えば、液透過性の紙やセルロースシート部が使用される。クッションと吸収体材料とが組み合わされた吸収体の一例として、パルプは目付200g/m2、ポリマーは目付4g/m2(ポリマーは全体に分散している)で、パルプとポリマーが全体に均一に分布した混合体を、目付15g/m2のティッシュで包んだものが挙げられる。
上記の吸収体材料として使用される吸収性ポリマーは、各種吸収体として使用される吸収体材料の全体における3%以上含まれていることが好ましい。さらに好ましくは、10%から50%含まれる。さらに、吸収性ポリマーは、各種吸収体において偏在させることが可能である。具体的には例えば、パッド側吸収部30において身体排泄口部位当接想定部Zに相当する領域には相対的に少なく含ませ、後方縁230側の領域に相対的に多く含ませることができる。
パッド側係止部37f、37rに使用される粘着体は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤などの粘着剤の他、肌に密着して接着力を発揮するセルロース系、ポリビニルアルコール系、ゼラチン、ポリグルタミン酸、ポリリジンなどのポリアミノ酸ゲルを用いることもできる。
表面シート33及びパッド側吸収体35は、それぞれがホットメルト接着剤により貼り合わされるようにして接合される。また、表面シート33と裏面シート34は、ホットメルト接着剤及び加熱圧着等により形成される接合部により貼り合わされるようにして接合される。全体的には、ホットメルト接着剤により各シートにおける面と面とを接着し、各シートにおける端部を加熱圧着処理により形成される接合部により接合している。なお、接合は、上記ホットメルト接着に限られず、例えば、ヒートエンボス加工、超音波等を単独又は組み合わせて使用してもよい。
ホットメルト接着により接合した場合における塗工パターンは、例えば、スパイラル塗工、コントロールシーム塗工、コーター塗工、カーテンコーター塗工、サミットガン塗工等が挙げられる。ホットメルト接着における接着剤の目付量は、1g/m2から30g/m2が好ましく、さらには3g/m2から10g/m2であることが好ましい。また、接着剤が線状に塗工されているパターンの場合には、その線径は30μmから300μmであることが好ましい。
基材シート11、13と弾性材12との接合、又は基材シート11と基材シート13との接合における接合材としては、例えば、ヒートエンボス加工、超音波、ホットメルト型接着剤等を単独、若しくはこれらを組み合わせたものを使用することができる。例えば、基材シート11にホットメルト型接着剤をスパイラル塗工、コーター塗工、カーテンコーター塗工、サミットガン塗工などの塗工方法で塗工し、その上に弾性材12を重ね、さらにその上に基材シート13を重ね合わせて接合する。弾性材12が基材シート11、13から外れにくくするために、あらかじめ弾性材12にスリット塗工、コントロールシーム塗工などの塗工方法で塗工しておいてもよい。
ホットメルト型接着剤としては、例えば、SEBS、SBS、SIS等のゴム系や直鎖状低密度ポリエチレン等のオレフィン系を主体とした感圧型接着剤や感熱型接着剤、水溶性高分子からなるポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース、ゼラチン等、又は、水膨潤性高分子からなるポリビニルアセテートやポリアクリル酸ナトリウム等の感水性接着剤が例示できる。好ましくは、例えば、上記接着剤が滲み出してしまったとしても、その時点ではタック性を有さない感熱型接着剤を用いることが好ましい。具体的な例としては、SEBSを5%から25%、脂環族飽和炭化水素を40%から60%、芳香族変性テルペンを1%から10%、添加剤を15%から35%の範囲で溶融混合したものを例示できる。
補助パッド3と下着55又はベース用ナプキン2とを係止するパッド側係止部37f、37rにおける係止材としては、例えば、ホットメルト型接着剤を用いることができる。ホットメルト型接着剤としては、常温時にタック性を有していることが好ましく、例えば、感圧型接着剤を例示できる。この接着剤の主成分は、上記の接合材として例示したものと同様であり、具体的には、SEBSを15%から25%、可塑剤を15%から35%、粘着付与剤を40%から70%の範囲で溶融混合したものを例示できる。また、酸化防止剤、蛍光防止剤などを0.1%から1.0%の範囲で添加してもよい。目付は、10gsmから200gsmでコーター塗工、ビード塗工などによって、均一、スジ状、ドット状のパターンで塗工される。また、アクリル系の接着剤を使用してもよい。さらに、各テープ状部の表面に起立する複数のフック部を用いて係止させるものとしてもよい。
具体的には、テープ状部は、ポリプロピレン等の熱可塑性合成樹脂を押出成形し、テープ部と一体に成形したリブ構造部分に切断・切除等の処理を施し、そのテープ状部の表面上にフック部が形成される。また、テープ状部表面に設けた熱可塑性合成樹脂からなるモノフィラメントのループを側方からカットしてフック部を形成してもよい。さらには、万が一肌を傷つけてしまう危険性を低減するために、フック部の端面が丸みを帯びていてもよい。具体的には、金型の形状によってフックの頭頂部に丸味を持たせることを例示できる。なお、フック部の断面形状は特に限定せず、先細り型、T字型などを例示できる。
一方、帯状部材10の肌当接面側にパッド側係止部37を設けることで、下着55とは固定せず、着用者の身体側に固定するパッド側係止部37としては、水溶性高分子、架橋剤、可塑剤、水分からなるゲル粘着剤等を例示できる。具体的には、水溶性高分子の例としては、ゼラチン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース等が例示できる。架橋剤の例としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウムのような水溶性金属塩が、可塑剤の例として、グリセリン、ワックス、パラフィン等が例示できる。
なお、感圧型接着剤やパッド側係止部37に対しては、タック性を有する部分を一般的に得られる剥離紙である薄葉紙にシリコン樹脂をコートしたシート又はフィルムにシリコン樹脂をコートしたシートで被覆するのが好ましい。これにより、保管時における粘着部の汚損や剥離を防止することができるためである。