[実施形態1]
本発明の実施形態について、以下に説明する。
絶縁表面を有する基板100の上に下地膜101として、プラズマCVD法により酸化窒化珪素膜101b10〜200nm(好ましくは50〜100nm)を形成し、酸化窒化珪素膜101aを50〜200nm(好ましくは100〜150nm)積層する。基板100としてはガラス基板、石英基板やシリコン基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いて良い。また、本実施形態の処理温度に耐えうる耐熱性が有するプラスチック基板を用いてもよいし、可撓性基板を用いても良い。また、下地膜として2層構造を用いてもよいし、前記下地(絶縁)膜の単層膜又は2層以上積層させた構造を用いてもよい。
次いで、下地膜上に半導体膜を形成する。半導体膜は25〜200nm(好ましくは30〜150nm)の厚さで公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により成膜すればよい。半導体膜の材料に限定はないが、好ましくはシリコン又はシリコンゲルマニウム(SiGe)合金などで形成すると良い。
半導体膜は、アモルファス半導体(代表的には水素化アモルファスシリコン)、結晶性半導体(代表的にはポリシリコン)を素材として用いている。ポリシリコンには、800℃以上のプロセス温度を経て形成される多結晶シリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成される多結晶シリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを添加し結晶化させた結晶シリコンなどを含んでいる。
また、他の物質として、セミアモルファス半導体又は半導体膜の一部に結晶相を含む半導体を用いることもできる。セミアモルファス半導体とは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造の半導体であり、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質なものである。典型的にはシリコンを主成分として含み、格子歪みを伴って、ラマンスペクトルが520cm-1よりも低波数側にシフトしている半導体膜である。また、未結合手(ダングリングボンド)の中和剤として水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。ここでは、このような半導体をセミアモルファス半導体(以下「SAS」と呼ぶ。)と呼ぶ。このSASは所謂微結晶(マイクロクリスタル)半導体(代表的には微結晶シリコン)とも呼ばれている。
このSASは珪化物気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的な珪化物気体としては、SiH4であり、その他にもSi2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることができる。この珪化物気体を水素、若しくは水素とヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種又は複数種の希ガス元素で希釈して用いることでSASの形成を容易なものとすることができる。珪化物気体に対する水素の希釈率は、例えば流量比で5倍〜1000倍とすることが好ましい。勿論、グロー放電分解によるSASの形成は、減圧下で行うことが好ましいが、大気圧における放電を利用しても形成することができる。代表的には、0.1Pa〜133Paの圧力範囲で行えば良い。グロー放電を形成するための電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzである。高周波電力は適宜設定すれば良い。基板加熱温度は300℃以下が好ましく、100〜200℃の基板加熱温度でも形成可能である。ここで、主に成膜時に取り込まれる不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分に由来する不純物は1×1020cm-3以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019cm-3以下、好ましくは1×1019cm-3以下となるようにすることが好ましい。また、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで安定性が増し良好なSASが得られる。
半導体膜に、結晶性半導体膜を用いる場合、その結晶性半導体膜の作製方法は、公知の方法(レーザー結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を助長する元素を用いた熱結晶化法等)を用いれば良い。結晶化を助長する元素を導入しない場合は、非晶質珪素膜にレーザ光を照射する前に、窒素雰囲気下500℃で1時間加熱することによって非晶質珪素膜の含有水素濃度を1×1020atoms/cm3以下にまで放出させる。これは水素を多く含んだ非晶質珪素膜にレーザ光を照射すると膜が破壊されてしまうからである。
非晶質半導体膜への金属元素の導入の仕方としては、当該金属元素を非晶質半導体膜の表面又はその内部に存在させ得る手法であれば特に限定はなく、例えばスパッタ法、CVD法、プラズマ処理法(プラズマCVD法も含む)、吸着法、金属塩の溶液を塗布する方法を使用することができる。このうち溶液を用いる方法は簡便であり、金属元素の濃度調整が容易であるという点で有用である。また、このとき非晶質半導体膜の表面の濡れ性を改善し、非晶質半導体膜の表面全体に水溶液を行き渡らせるため、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を成膜することが望ましい。
また、非晶質半導体膜の結晶化は、熱処理とレーザ光照射による結晶化を組み合わせてもよく、熱処理やレーザ光照射を単独で、複数回行っても良い。熱処理とレーザ光照射の2段階で結晶化を行う場合、金属元素導入後に、500〜550℃で4〜20時間かけて熱処理を行い、非晶質半導体膜を結晶化する(以下、第1の結晶性半導体膜という。)。
次に第1の結晶性珪素膜にレーザ光を照射し結晶化を助長し、第2の結晶性半導体膜を得る。レーザ結晶化法は、レーザ光を半導体膜に照射する。用いるレーザは、パルス発振または連続発振の固体レーザ、気体レーザ、もしくは金属レーザが望ましい。なお、前記固体レーザとしてはYAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイアレーザ等があり、前記気体レーザとしてはエキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザ等があり、前記金属レーザとしてはヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザが挙げられる。レーザビームは非線形光学素子により高調波に変換されていてもよい。前記非線形光学素子に使われる結晶は、例えばLBOやBBOやKDP、KTPやKB5、CLBOと呼ばれるものを使うと変換効率の点で優れている。これらの非線形光学素子をレーザの共振器の中に入れることで、変換効率を大幅に上げることができる。前記高調波のレーザには、一般にNd、Yb、Crなどがドープされており、これが励起しレーザが発振する。ドーパントの種類は適宜実施者が選択すればよい。
このようにして得られた結晶性半導体膜に対して、TFTのしきい値電圧を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行う。
第1のフォトマスクを作製し、フォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理により、半導体層102を形成する。
半導体層102を覆うゲート絶縁膜105を形成する。ゲート絶縁膜105はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。勿論、ゲート絶縁膜は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
次いで、ゲート絶縁膜105上にゲート電極として用いる膜厚20〜100nmの第1の導電膜と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜とを積層して形成する。第1の導電膜及び第2の導電膜はTa、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、第1の導電膜及び第2の導電膜としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、2層構造に限定されず、例えば、膜厚50nmのタングステン膜、膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、第1の導電膜のタングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、第2の導電膜のアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、第3の導電膜の窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。また、単層構造であってもよい。
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなる第2のフォトマスクを形成し、電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行う。ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することにより、第1の導電膜及び第2の導電膜を所望のテーパー形状にエッチングすることができる。なお、エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガス又はO2を適宜用いることができる。
第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層(第1の導電層と第2の導電層)を形成する。
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う。ここでは、W膜を選択的にエッチングする。この時、第2のエッチング処理により第2の導電層を形成する。一方、第1の導電層は、ほとんどエッチングされず、第2の形状の導電層を形成する。よって導電膜106、導電膜107が形成される。本実施形態では、導電層の形成をドライエッチングで行うがウェットエッチングでもよい。
次いで、レジストマスクを除去した後、第3のフォトマスクを用いてレジストマスクを新たに形成し、ここでは図示しないnチャネル型TFTを形成するため、半導体にn型を付与する不純物元素(代表的にはリン(P)、またはAs)を低濃度にドープするための第1のドーピング工程を行う。レジストマスクは、pチャネル型TFTとなる領域と、導電層の近傍とを覆う。この第1のドーピング工程によって絶縁膜を介してスルードープを行い、低濃度不純物領域を形成する。一つの発光素子は、複数のTFTを用いて駆動させるが、pチャネル型TFTのみで駆動させる場合には、上記ドーピング工程は特に必要ない。
次いで、レジストマスクを除去した後、第4のフォトマスクを用いてレジストマスクを新たに形成し、半導体にp型を付与する不純物元素(代表的にはボロン(B))を高濃度にドープするための第2のドーピング工程を行う。この第2のドーピング工程によって105を介してスルードープを行い、p型の高濃度不純物領域103、104を形成する。
次いで、第5のフォトマスクを用いてレジストマスクを新たに形成し、ここでは図示しないnチャネル型TFTを形成するため、半導体にn型を付与する不純物元素(代表的にはリン、またはAs)を高濃度にドープするための第3のドーピング工程を行う。第3のドーピング工程におけるイオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜5×1015/cm2とし、加速電圧を60〜100keVとして行う。レジストマスクは、pチャネル型TFTとなる領域と、導電層の近傍とを覆う。この第3のドーピング工程によって絶縁膜105を介してスルードープを行い、n型の高濃度不純物領域を形成する。
以上までの工程で、それぞれの半導体層に不純物領域が形成される。
次いで、レジストからなるマスクを除去してパッシベーション膜として水素を含む絶縁膜108を形成する。この絶縁膜108としては、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを100〜200nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。絶縁膜108は窒化珪素膜に限定されるものでなく、プラズマCVDを用いた窒化酸化珪素(SiNO)膜でもよく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
さらに、窒素雰囲気中で、300〜550℃で1〜12時間の熱処理を行い、半導体層を水素化する工程を行う。好ましくは、400〜500℃で行う。この工程は絶縁膜108に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。
絶縁膜108は窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素(SiON)、窒化酸化珪素(SiNO)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CN)を含む物質から選ばれた材料で形成する。また、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料、もしくは置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料を用いてもよい。
不純物元素を活性化するために加熱処理、強光の照射、又はレーザ光の照射を行ってもよい。活性化と同時にゲート絶縁膜へのプラズマダメージやゲート絶縁膜と半導体層との界面へのプラズマダメージを回復することができる。
次いで、層間絶縁膜となる耐熱性平坦化膜109を形成する。耐熱性平坦化膜109としては、塗布法によって得られるシリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される絶縁膜を用いる。
ここで、耐熱性平坦化膜109の形成手順を詳細に説明する。
まず、被処理基板の純水洗浄を行う。メガソニック洗浄を行ってもよい。次いで140℃のデハイドロベークを110秒行った後、水冷プレートによって120秒クーリングして基板温度の一定化を行う。次いで、スピン式の塗布装置に搬送して基板をセットする。
スピン式の塗布装置は、ノズル及び塗布カップを有している。塗布材料液が基板に滴下される機構となっており、塗布カップ内に基板が水平に収納され、塗布カップごと全体が回転する機構となっている。また、塗布カップ内の雰囲気は圧力制御することができる機構となっている。
次いで、濡れ性を向上させるためにシンナー(芳香族炭化水素(トルエンなど)、アルコール類、酢酸エステル類などを配合した揮発性の混合溶剤)などの有機溶剤によるプ
リウェット塗布を行う。シンナーを70ml滴下しながら基板をスピン(回転数100rpm)させてシンナーを遠心力で万遍なく広げた後、高速度でスピン(回転数450rpm)させてシンナーを振り切る。
次いで、シロキサン系ポリマーを溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテル)に溶解させた液状原料に用いた塗布材料液をノズルから滴下しながら徐々にスピン(回転数0rpm→1000rpm)させて塗布材料液を遠心力で万遍なく広げる。シロキサンの構造により、例えば、シリカガラス、アルキルシロキサンポリマー、アルキルシルセスキオキサンポリマー、水素化シルセスキオキサンポリマー、水素化アルキルシルセスキオキサンポリマーなどに分類することができる。シロキサン系ポリマーの一例としては、東レ製塗布絶縁膜材料であるPSB−K1、PSB−K31や触媒化成製塗布絶縁膜材料であるZRS-5PHが挙げられる。次いで、約30秒保持した後、再び徐々にスピン(回転数0rpm→1400rpm)させて塗布膜をレべリングする。
次いで、排気して塗布カップ内を減圧にし、減圧乾燥を1分以内で行う。
次いで、スピン式の塗布装置に備えられたエッジリムーバーによって、エッジ除去処理を行う。エッジリムーバーは、基板の周辺に沿って平行移動する駆動手段を備えている。また、エッジリムーバーには、シンナー吐出ノズルが基板の一辺を挟むように併設されており、シンナーによって塗布膜の外周部を溶かし、液体およびガスを排出して基板端面周辺部の塗布膜を除去する。
その後、110℃のベークを170秒行ってプリベークを行う。
次いで、スピン式の塗布装置から基板を搬出して冷却した後、さらに270℃、1時間の焼成を行う。こうして膜厚0.8μmの耐熱性平坦化膜16を形成する。得られた耐熱性平坦化膜16の平滑性をAFM(原子間力顕微鏡)測定したところ、10μm×10μmの範囲においてP−V値(Peak to Valley、高さの最大値と最小値の差分)は約5nm程度、Ra(表面平均粗さ)の値が0.3nm程度であった。
また、耐熱性平坦化膜109の焼成温度を変化させることによって透過率を変化させることができる。焼成温度条件(270℃、410℃)を振って膜厚0.8μmの耐熱性平坦化膜(アルキル基を含むSiOx膜)における透過率、屈折率をを測定すると、270℃に比べて焼成温度を410℃とした場合、透過率が向上する。また、焼成温度を410℃とすると屈折率が低下する。
こうして耐熱性平坦化膜109を形成する。
また、液滴吐出法(インクジェット法)により耐熱性平坦化膜109を形成してもよい。液滴吐出法(インクジェット法)を用いた場合には材料液を節約することができる。
耐熱性平坦化膜109は、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される絶縁膜の他に、耐熱性が高く、平坦化性がよいものであれば、無機材料(酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素など)、感光性または非感光性の有機材料(有機樹脂材料)(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト、ベンゾシクロブテンなど)、低誘電率であるLow k材料などの一種、もしくは複数種からなる膜、またはこれらの膜の積層などを用いることができる。
次いで、パッシベーション膜として絶縁膜111を形成する(図1(A)参照。)。この絶縁膜111としては、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを100〜200nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。この絶縁膜111は、後の工程で配線(ドレイン電極、またはソース電極とも用いられる。)116をパターニングする際、層間絶縁膜である耐熱性平坦化膜109を保護するためのエッチングストッパー膜として設けるものである。
勿論、絶縁膜111は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。本実施形態では、スパッタ法によって形成した窒化珪素膜を用いたが、プラズマCVD法によって形成した窒化酸化珪素(SiNO)膜を用いてもよい。本実施形態では膜中のArは、濃度5×1018〜5×1020atoms/cm3程度である。
絶縁膜111は窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素(SiON)、窒化酸化珪素(SiNO)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CN)を含む物質から選ばれた材料で形成する。また、本実施形態のようにシリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料、もしくは置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料を用いてもよい。
次いで、レジストからなるマスクを用いて耐熱性平坦化膜109にコンタクトホール(開口部)130を形成すると同時に周縁部の耐熱性平坦化膜を除去する。絶縁膜と選択比が取れる条件でエッチング(ウェットエッチングまたはドライエッチング)を行う。用いるエッチング用ガスに不活性気体を添加してもよい。添加する不活性元素としては、He、Ne、Ar、Kr、Xeから選ばれた一種または複数種の元素を用いることができる。中でも比較的原子半径が大きく、且つ、安価なアルゴンを用いることが好ましい。本実施形態では、CF4、O2、He、Arとを用いる。ドライエッチングを行う際のエッチング条件は、CF4の流量を380sccm、O2の流量を290sccm、Heの流量を500sccm、Arの流量を500sccm、RFパワーを3000W、圧力を25Paとする。上記条件によりエッチング残渣を低減することができる。
なお、ゲート絶縁膜105上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させ、オーバーエッチングすると良い。1回のエッチングでテーパー形状としてもよいし、複数のエッチングによってテーパー形状にしてもよい。さらにCF4、O2、Heを用いて、CF4の流量を550sccm、O2の流量を450sccm、Heの流量を350sccm、RFパワーを3000W、圧力を25Paとし、2回目のドライエッチングを行ってテーパー形状としてもよい。また耐熱性平坦化膜109の端部におけるテーパー角θは、30度を越え75度未満とすることが望ましい。
また、耐熱性平坦化膜109の端部に周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素のドーピング処理を行い、耐熱性平坦化膜のテーパー部に高密度化した部分を形成してもよい。ドーピング処理はイオンドープ法、プラズマドープ法もしくはイオン注入法で行えば良い。周期律14族もしくは18族の元素として、He、Ne、Ar、Kr、Xe、C、Si、Ge、Sn、Pbの元素を用いることができ、典型的にはアルゴン(Ar)を用いる。。比較的原子半径の大きい不活性元素を添加することによって歪みを与え、表面(側壁を含む)を改質、または高密度化して水分や酸素の侵入を防止する。また、ドーピング処理自体のベーク効果により、水分を処理時に放出できる。高密度化した部分に含まれる周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素は、1×1018〜5×1021/cm3、代表的には2×1019〜2×1021/cm3の濃度範囲とする。なお、端部をテーパー形状とすると、耐熱性平坦化膜の側面にドーピングしやすくなる。
耐熱性平坦化膜109に周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素をドーピングする場合、耐熱性平坦化膜はそのドーピング処理により、透過率、反射率が低下し着色する。この着色により、上面出射型の表示装置において、TFTの特性保護などの効果がある遮光膜として用いることができる。また、両面出射型、下方出射型の表示装置であっても、本実施形態の様に耐熱性平坦化膜109の上にパッシベーション膜111が形成されていると、周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素による着色はパッシベーション膜では生じない。そのため、コンタクトホールの耐熱性平坦化膜109が露出している箇所だけが着色し、高密度化される。よって、両面出射型、下方出射型の表示装置であっても、光の透過を妨げず、十分に光を取り出すことができる。コンタクトホール部分の高密度化された部分は、水分を遮断する効果があるため、コンタクトホール部分を通過して進入する水分等の汚染物質を防ぎ、表示素子を劣化するのを防止する効果をさらに高める。
ゲート絶縁膜105をエッチングし、ソース領域、ドレイン領域に達する開口部を形成する。開口部は、耐熱性平坦化膜109をエッチングした後、再度マスクを形成するか、エッチングされた耐熱性平坦化膜109をマスクとして、絶縁膜108及びゲート絶縁膜105をエッチングし、開口部を形成すればよい。エッチング用ガスにCHF3とArを用いて絶縁膜105のエッチング処理を行う。上記条件のエッチングにより、エッチング残渣を低減し、凹凸の少ない平坦性の高いコンタクトホールを形成することができる。なお、より半導体層上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。以上の工程で、コンタクトホール130が形成される(図1(B)参照。)。
金属膜を形成し、金属膜をエッチングして各不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線112を形成する。配線112はソース電極、ドレイン電極としても機能する。金属膜は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)もしくはシリコン(Si)の元素からなる膜又はこれらの元素を用いた合金膜を用いればよい。なお本実施形態では、TiN/Al/TiNをそれぞれ100/350/100nmに積層したのち、所望の形状にパターニングして、配線を形成する(図1(C)参照。)。なお、TiNは、耐熱性平坦化膜との密着性が良好な材料の一つである。耐熱性平坦化膜に、アルキル基を含む酸化珪素(SiOx)を用い、配線としてTiを積層すると、その界面でSi−O−Tiという結合が生じ、O−Tiという結合aが生じる。一方、配線としてTiNを積層すると、その界面でSi−N−Tiという結合が生じ、Si−Nという結合b、N−Tiという結合cが生じる。結合aであるO−Ti結合力は弱いため、密着性が悪い。しかし、Si−Nの結合b、及びN−Tiの結合cの結合力は強いため、密着性がよく、ピーリングなどの膜はがれが生じにくい。加えて、TFTのソース領域またはドレイン領域とコンタクトを取るためにTiNのN含有量は44atomic%より少なくすることが好ましい。なおより望ましくはTiNのN含有量は7atomic%より多く、44atomic%より少なくするとよい。また、導電膜をTiN/Alの2層構造にして工程を簡略化してもよい。
エッチングは、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法により、BCl3とCl2を用いて、エッチング条件は、コイル型の電極に印加される電力量450W、基板側の電極に印加される電力量100W、圧力1.9Paで行う。このとき、先に形成した絶縁膜111が、エッチングストッパーとなる。配線112と絶縁膜111は高い選択比を有するものを選択することによって、配線エッチング後も絶縁膜111表面に残渣が無く、平坦性のよい状態にすることができる。絶縁膜111の平坦性がよいと、絶縁膜111の上に画素電極として第1の電極を形成しても電極の断線やショート等を防ぐことができ、表示装置の信頼性が向上する。
以上のような工程により、TFTを備えたアクティブマトリクス基板が完成する。本実施形態では画素領域にはpチャネル型TFTしか図示していないが、nチャネル型TFTを有していてもよく、またnチャネル型TFTはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でも、二つ形成されるダブルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。また、駆動回路部のTFTも、シングルゲート構造、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
なお、本実施形態で示したTFTの作製方法に限らず、トップゲート型(プレーナー型)、ボトムゲート型(逆スタガ型)、あるいはチャネル領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極を有する、デュアルゲート型やその他の構造においても適用できる。
次に、配線112と接するように、第1の電極(画素電極ともいう。)113を形成する。第1の電極は陽極、または陰極として機能し、Ti、TiN、TiSiXNY、Ni、W、WSiX、WNX、WSiXNY、NbN、Cr、Pt、Zn、Sn、In、またはMoから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料を主成分とする膜またはそれらの積層膜を総膜厚100nm〜800nmの範囲で用いればよい。
本実施形態では、表示素子として発光素子を用い、発光素子からの光を第1の電極側から取り出す構造のため、第1の電極が透光性を有する。第1の電極として、透明導電膜を形成し、所望の形状にエッチングすることで第1の電極113を形成する。第1の電極113として、ITO、IZO、ITSOの他、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜を用いることができる。第1の電極118として上記透明導電膜の他に、窒化チタン膜またはチタン膜を用いても良い。この場合、透明導電膜を成膜した後に、窒化チタン膜またはチタン膜を、光が透過する程度の膜厚(好ましくは、5nm〜30nm程度)で成膜する。本実施形態では、第1の電極113としてITSOを用いている。ITSOは、ベークを行ってもITOのように結晶化せず、アモルファス状態のままである。従って、ITSOは、ITOよりも平坦性が高く、有機化合物を含む層が薄くとも陰極とのショートが生じにくい。第1の電極113は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコール系の多孔質体で拭浄し、研磨しても良い。またCMP法を用いた研磨後に、第1の電極113の表面に紫外線照射、酸素プラズマ処理などを行ってもよい。
次に、第1の電極113の端部、配線112を覆う絶縁物(絶縁層)114(バンク、隔壁、障壁、土手などと呼ばれる)を形成する。絶縁物114としては、塗布法により得られるSOG膜(例えば、アルキル基を含むSiOx膜)を膜厚0.8μm〜1μmの範囲で用いる。エッチングには、ドライエッチングとウェットエッチングのどちらかを用いることができるが、ここではCF4とO2とHeの混合ガスを用いたドライエッチングにより絶縁物114を形成する(図1(D)参照。)。圧力は5Pa、1500Wで、CF425sccm、O225sccm、He50sccmでドライエッチングを行う。このドライエッチングにおいて、アルキル基を含むSiOx膜のエッチングレートは500〜600nm/min、一方、ITSO膜のエッチングレートは10nm/min以下であり十分選択比が取れる。また、配線112は、アルキル基を含むSiOx膜からなる絶縁物114に覆われるため、密着性のよいTiN膜が最表面となっている。絶縁物114は、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される絶縁膜の他に、耐熱性が高く、平坦化性がよいものであれば、無機材料(酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素など)、感光性または非感光性の有機材料(有機樹脂材料)(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト、ベンゾシクロブテンなど)、低誘電率であるLow k材料などの一種、もしくは複数種からなる膜、またはこれらの膜の積層などを用いることができる。
本発明では、耐熱性平坦化膜109の端部、第1の電極117及び絶縁物114に周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素のドーピング処理を行う。周期律14族もしくは18族の元素として、He、Ne、Ar、Kr、Xe、C、Si、Ge、Sn、Pbの元素を用いることができ、典型的にはアルゴン(Ar)を用いる。。ドーピング処理はイオンドープ法、プラズマドープ法もしくはイオン注入法で行えば良い。本実施形態では、不活性元素であるArを有するガス125をドーピングし、添加領域116、117、118を形成する(図2(E)参照。)。本発明によって耐熱性平坦化膜及び絶縁物の添加領域116、117は高密度化した部分となる。また、第1の電極の添加領域117においては、抵抗値などの物性を制御することもできる。比較的原子半径の大きい不活性元素を添加することによって歪みを与え、表面(側壁を含む)を改質、または高密度化して水分や酸素の侵入を防止する。また、ドーピング処理自体のベーク効果により、水分を処理時に放出できる。添加領域に含まれる周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素は、1×1018〜5×1021/cm3、代表的には2×1019〜2×1021/cm3の濃度範囲とする。なお、端部をテーパー形状とすると、耐熱性平坦化膜の側面にドーピングしやすくなる。ドーピングは、1kV〜150kVのエネルギー、好ましくは50kV〜80kVのエネルギーで、ドーズ量1×1014/cm2以上、好ましくは1×1015〜1×1016/cm2で行うとよい。
本発明による周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素のドーピング処理によって、隔壁となる絶縁物(絶縁層)114の添加領域118は、黒く着色する。よって、この絶縁層(隔壁)をブラックマトリクスとしても用いることができる。よって、本発明により、絶縁層(隔壁)は、高密度化された汚染物質遮断物としての機能と、低透過率及び低反射率を有する光学特性的に良好なブラックマトリクスとしての機能を兼ね備えることができる。従って、低コストで歩留まりよく信頼性の高い表示装置を提供することができる。
信頼性を向上させるため、発光層(有機化合物を含む層)119の形成前に真空加熱を行って脱気を行うことが好ましい。例えば、有機化合物材料の蒸着を行う前に、基板に含まれるガスを除去するために減圧雰囲気や不活性雰囲気で200℃〜300℃の加熱処理を行うことが望ましい。ここでは、層間絶縁膜と絶縁層(隔壁)とを高耐熱性を有するSiOx膜で形成しているため、高い加熱処理を加えても問題ない。従って、加熱処理による信頼性向上のための工程を十分行うことができる。
第1の電極113(添加領域117)の上には発光層119が形成される。なお、図2では一画素しか図示していないが、本実施例ではR(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を作り分けている。また、それぞれの発光は、全て一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)であっても、全て三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)でもよいし、一色が蛍光(又はリン光)あとの2色がリン光(又は蛍光)というように組み合わせでも良い。Rのみをリン光を用いて、G、Bを蛍光を用いてもよい。具体的には、正孔注入層として20nm厚の銅フタロシアニン(CuPc)膜を設け、その上に発光層として70nm厚のトリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq3)膜を設けた積層構造としてもよい。Alq3にキナクリドン、ペリレンもしくはDCM1といった蛍光色素を添加することで発光色を制御することができる。
但し、以上の例は発光層として用いることのできる有機発光材料の一例であって、これに限定する必要はまったくない。発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせて発光層(発光及びそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良い。例えば、本実施形態では低分子系有機発光材料を発光層として用いる例を示したが、中分子系有機発光材料や高分子系有機発光材料を用いても良い。なお、本明細書中において、昇華性を有さず、かつ、分子数が20以下または連鎖する分子の長さが10μm以下の有機発光材料を中分子系有機発光材料とする。また、高分子系有機発光材料を用いる例として、正孔注入層として20nmのポリチオフェン(PEDOT)膜をスピン塗布法により設け、その上に発光層として100nm程度のパラフェニレンビニレン(PPV)膜を設けた積層構造としても良い。なお、PPVのπ共役系高分子を用いると、赤色から青色まで発光波長を選択できる。また、電荷輸送層や電荷注入層として炭化珪素等の無機材料を用いることも可能である。これらの有機発光材料や無機材料は公知の材料を用いることができる。
次に、発光層119の上には導電膜からなる第2の電極120が設けられる。本実施形態では、第1の電極を陽極として、第2の電極を陰極として機能させるので、電極120としては、仕事関数の小さい材料(Al、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金MgAg、MgIn、AlLi、CaF2、またはCaN)を用いればよい。本実施形態は、第2の電極120は陰極として機能し、陽極として機能する第1の電極113側から光を取り出す構造のため、第2の電極120はAl、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金MgAg、MgIn、AlLiからなる金属膜(膜厚50nm〜200nm)を用いることが好ましい。しかし、本発明は、この構成に限定されず、画素部のTFTをnチャネル型TFTとし、第1の電極113を陰極とし、第2の電極120を陽極とすることもできる。
第2の電極120を覆うようにしてパッシベーション膜121を設けることは有効である。パッシベーション膜としては、窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素(SiON)、窒化酸化珪素(SiNO)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CN)を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層を用いることができる。また、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料、もしくは置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料を用いてもよい。
この際、カバレッジの良い膜をパッシベーション膜として用いることが好ましく、炭素膜、特にDLC膜を用いることは有効である。DLC膜は室温から100℃以下の温度範囲で成膜可能であるため、耐熱性の低い発光層119の上方にも容易に成膜することができる。DLC膜は、プラズマCVD法(代表的には、RFプラズマCVD法、マイクロ波CVD法、電子サイクロトロン共鳴(ECR)CVD法、熱フィラメントCVD法など)、燃焼炎法、スパッタ法、イオンビーム蒸着法、レーザー蒸着法などで形成することができる。成膜に用いる反応ガスは、水素ガスと、炭化水素系のガス(例えばCH4、C2H2、C6H6など)とを用い、グロー放電によりイオン化し、負の自己バイアスがかかったカソードにイオンを加速衝突させて成膜する。また、CN膜は反応ガスとしてC2H4ガスとN2ガスとを用いて形成すればよい。DLC膜は酸素に対するブロッキング効果が高く、発光層115の酸化を抑制することが可能である。そのため、この後に続く封止工程を行う間に発光層119が酸化するといった問題を防止できる。
次いで、封止基板123をシール材で貼り合わせて発光素子を封止する。シール材が耐熱性平坦化膜109(添加領域116)の端部を覆うように貼りあわせる。断面からの水分の侵入がシール材によって遮断されるので、発光素子の劣化が防止でき、表示装置の信頼性が向上する。なお、シール材で囲まれた領域には充填材122を充填する(図2(F)参照。)。本実施形態では、第1の電極113側から光を取り出す構造なため、充填材122は透光性を有する必要はないが、充填材122を透過して光を取り出す構造の場合は、透光性を有する必要がある。代表的には可視光硬化、紫外線硬化または熱硬化のエポキシ樹脂を用いればよい。ここでは屈折率1.50、粘度500cps、ショアD硬度90、テンシル強度3000psi、Tg点150℃、体積抵抗1×1015Ω・cm、耐電圧450V/milである高耐熱のUVエポキシ樹脂(エレクトロライト社製:2500Clear)を用いる。また、充填材122を一対の基板間に充填することによって、全体の透過率を向上させることができる。
こうして作製された表示装置は、耐熱性平坦化膜109、代表的にはシリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成されるTFTの層間絶縁膜(後に発光素子の下地膜となる膜)、絶縁物(隔壁)114において、端部または開口部をテーパー形状とし、さらに、比較的原子半径の大きい周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を添加することによって歪みを与え、表面(側壁を含む)を改質、または高密度化して水分や酸素の侵入を防止する構造として、表示装置の信頼性を向上させている。また、第1の電極113にも周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を添加することによって、抵抗値などの物性を制御することもできる。
[実施形態2]
本実施形態を図3乃至5を用いて詳細に説明する。
本実施形態では、耐熱性平坦化膜、第1の電極、絶縁層(隔壁)に対してそれぞれ形成後に周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素のドーピング処理を行う。
実施形態1で説明したように、基板300上に下地膜301a、301bを形成し、不純物領域303及び304を有する半導体層302を形成する。半導体層302上にゲート絶縁膜305を介してゲート電極である導電層306及び307を形成し、パッシベーション膜として絶縁膜308を形成する。そして、層間膜として、耐熱性平坦化膜309を形成する(図3(A)参照。)。ここまでの工程についての詳細(材料、形成条件等)は実施形態1を参照すればよい。本実施形態においては、耐熱性平坦化膜309にシリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される絶縁膜を用いる。
本実施形態においては、レジストからなるマスクを用いて耐熱性平坦化膜109にコンタクトホール(開口部)130を形成すると同時に周縁部の耐熱性平坦化膜を除去した後に、周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を有するガス315を耐熱性平坦化膜309にドーピングし、添加領域316を形成する(図3(B)参照。)。
ドーピング処理はイオンドープ法、プラズマドープ法もしくはイオン注入法で行えば良い。周期律14族もしくは18族の元素として、He、Ne、Ar、Kr、Xe、C、Si、Ge、Sn、Pbの元素を用いることができ、典型的にはアルゴン(Ar)を用いる。。比較的原子半径の大きい不活性元素を添加することによって歪みを与え、表面(側壁を含む)を改質、または高密度化して水分や酸素の侵入を防止する。また、ドーピング処理自体のベーク効果により、水分を処理時に放出できる。高密度化した部分(添加領域316)に含まれる周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素は、1×1018〜5×1021/cm3、代表的には2×1019〜2×1021/cm3の濃度範囲とする。なお、端部をテーパー形状とすると、耐熱性平坦化膜の側面にドーピングしやすくなる。
次に配線312を形成し、配線312と接するように第1の電極313を形成する(図3(C)参照。)。本実施形態では、TiN/Al/TiNをそれぞれ100/350/100nmに積層したのち、所望の形状にパターニングして、配線312を形成する。なお、TiNは、耐熱性平坦化膜との密着性が良好な材料の一つである。
本実施形態では、表示素子として発光素子を用い、発光素子からの光を第1の電極側から取り出す構造のため、第1の電極が透光性を有する。第1の電極として、透明導電膜を形成し、所望の形状にエッチングすることで第1の電極313を形成する。第1の電極313として、ITO、IZO、ITSOの他、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜を用いることができる。本実施形態では、第1の電極313としてITSOを用いている。ITSOは、ベークを行ってもITOのように結晶化せず、アモルファス状態のままである。従って、ITSOは、ITOよりも平坦性が高く、有機化合物を含む層が薄くとも陰極とのショートが生じにくい。第1の電極313は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコール系の多孔質体で拭浄し、研磨しても良い。またCMP法を用いた研磨後に、第1の電極313の表面に紫外線照射、酸素プラズマ処理などを行ってもよい。
本実施形態では、第1の電極313形成後、第1の電極313及び耐熱性平坦化膜309の一部に周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を有するガス325のドーピング処理を行う。周期律14族もしくは18族の元素として、He、Ne、Ar、Kr、Xe、C、Si、Ge、Sn、Pbの元素を用いることができ、典型的にはアルゴン(Ar)を用いる。。ドーピング処理はイオンドープ法、プラズマドープ法もしくはイオン注入法で行えば良い。本実施形態では、不活性元素であるArガス325をドーピングし、添加領域317を形成する(図3(D)参照。)。本発明によって第1の電極の添加領域117においては、抵抗値などの物性を制御することもできる。
次に、第1の電極313の端部、配線312を覆う絶縁物314(バンク、隔壁、障壁、土手などと呼ばれる)を形成する。絶縁物314としては、塗布法により得られるSOG膜(例えば、アルキル基を含むSiOx膜)を膜厚0.8μm〜1μmの範囲で用いる。エッチングには、ドライエッチングとウェットエッチングのどちらかを用いることができるが、ここではCF4とO2とHeの混合ガスを用いたドライエッチングにより絶縁物314を形成する。圧力は5Pa、1500Wで、CF425sccm、O225sccm、He50sccmでドライエッチングを行う。このドライエッチングにおいて、アルキル基を含むSiOx膜のエッチングレートは500〜600nm/min、一方、ITSO膜のエッチングレートは10nm/min以下であり十分選択比が取れる。また、配線312は、アルキル基を含むSiOx膜からなる絶縁物314に覆われるため、密着性のよいTiN膜が最表面となっている。絶縁物314は、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される絶縁膜の他に、耐熱性が高く、平坦化性がよいものであれば、無機材料(酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素など)、感光性または非感光性の有機樹材料(有機樹脂材料)(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト、ベンゾシクロブテンなど)、低誘電率であるLow k材料などの一種、もしくは複数種からなる膜、またはこれらの膜の積層などを用いることができる。
絶縁物314の形成後、絶縁物314に周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素のドーピング処理を行う。周期律14族もしくは18族の元素として、He、Ne、Ar、Kr、Xe、C、Si、Ge、Sn、Pbの元素を用いることができ、典型的にはアルゴン(Ar)を用いる。。ドーピング処理はイオンドープ法、プラズマドープ法もしくはイオン注入法で行えば良い。本実施形態では、不活性元素であるArを有するガス335をドーピングし、添加領域318を形成する(図4(E)参照。)。本発明によって耐熱性平坦化膜及び絶縁物の添加領域318は高密度化した部分となる。比較的原子半径の大きい周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を添加することによって歪みを与え、表面(側壁を含む)を改質、または高密度化して水分や酸素の侵入を防止する。また、ドーピング処理自体のベーク効果により、水分を処理時に放出できる。添加領域に含まれる周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素は、1×1018〜5×1021/cm3、代表的には2×1019〜2×1021/cm3の濃度範囲とする。なお、端部をテーパー形状とすると、耐熱性平坦化膜の側面にドーピングしやすくなる。
本発明による周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素のドーピング処理によって、隔壁となる絶縁物114の添加領域118は、黒く着色する。よって、この隔壁をブラックマトリクスとしても用いることができる。よって、本発明により、隔壁は、高密度化された汚染物質遮断物としての機能と、低透過率及び低反射率を有する光学特性的に良好なブラックマトリクスとしての機能を兼ね備えることができる。従って、低コストで歩留まりよく信頼性の高い表示装置を提供することができる。
本実施形態では、隔壁となる絶縁物を形成し、パターニングを行った後、第1の電極及び隔壁に周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素をドーピングしている例を示した。しかし、隔壁となる絶縁膜を形成後に全面にわたって周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素をドーピングし、着色した後、パターニングを行っても良い。この場合、このドーピング工程では、第1の電極には不活性元素が添加されないので、添加濃度、添加領域の箇所などが自由に決定でき、設計の幅が広がる。
なお、信頼性を向上させるため、有機化合物を含む層319の形成前に真空加熱を行って脱気を行うことが好ましい。例えば、有機化合物材料の蒸着を行う前に、基板に含まれるガスを除去するために減圧雰囲気や不活性雰囲気で200℃〜300℃の加熱処理を行うことが望ましい。ここでは、層間絶縁膜と隔壁とを高耐熱性を有するSiOx膜で形成しているため、高い加熱処理を加えても問題ない。従って、加熱処理による信頼性向上のための工程を十分行うことができる。
第1の電極313(添加領域317)の上には発光層319が形成される。具体的には、正孔注入層として20nm厚の銅フタロシアニン(CuPc)膜を設け、その上に発光層として70nm厚のトリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq3)膜を設けた積層構造としてもよい。Alq3にキナクリドン、ペリレンもしくはDCM1といった蛍光色素を添加することで発光色を制御することができる。
但し、以上の例は発光層として用いることのできる有機発光材料の一例であって、これに限定する必要はまったくない。発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせて発光層(発光及びそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良い。
次に、発光層319の上には導電膜からなる第2の電極320が設けられる。本実施形態では、第1の電極を陽極として、第2の電極を陰極として機能させるので、電極320としては、仕事関数の小さい材料(Al、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金MgAg、MgIn、AlLi、CaF2、またはCaN)を用いればよい。本実施形態は、第2の電極320は陰極として機能し、陽極として機能する第1の電極313側から光を取り出す構造のため、第2の電極320はAl、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金MgAg、MgIn、AlLiからなる金属膜(膜厚50nm〜200nm)を用いることが好ましい。しかし、本発明は、この構成に限定されず、画素部のTFTをnチャネル型TFTとし、第1の電極313を陰極とし、第2の電極320を陽極とすることもできる。
第2の電極320を覆うようにしてパッシベーション膜321を設けることは有効である。パッシベーション膜としては、窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素(SiON)、窒化酸化珪素(SiNO)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CN)を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層を用いることができる。また、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料、もしくは置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料を用いてもよい。
次いで、封止基板323をシール材で貼り合わせて発光素子を封止する。シール材が耐熱性平坦化膜309(添加領域316)の端部を覆うように貼りあわせる。断面からの水分の侵入がシール材によって遮断されるので、発光素子の劣化が防止でき、表示装置の信頼性が向上する。なお、シール材で囲まれた領域には充填材322を充填する(図4(F)参照。)。本実施形態では、第1の電極313側から光を取り出す構造なため、充填材322は透光性を有する必要はないが、充填材322を透過して光を取り出す構造の場合は、透光性を有する必要がある。ここでは屈折率1.50、粘度500cps、ショアD硬度90、テンシル強度3000psi、Tg点150℃、体積抵抗1×1015Ω・cm、耐電圧450V/milである高耐熱のUVエポキシ樹脂(エレクトロライト社製:2500Clear)を用いる。また、充填材322を一対の基板間に充填することによって、全体の透過率を向上させることができる。
こうして作製された表示装置は、耐熱性平坦化膜309、代表的にはシリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成されるTFTの層間絶縁膜(後に発光素子の下地膜となる膜)、絶縁物(隔壁)314において、端部または開口部をテーパー形状とし、さらに、比較的原子半径の大きい周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を添加することによって歪みを与え、表面(側壁を含む)を改質、または高密度化して水分や酸素の侵入を防止する構造として、表示装置の信頼性を向上させている。また、第1の電極313にも周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を添加することによって、抵抗値などの物性を制御することもできる。
また、絶縁物(隔壁)314を形成後、周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素のドーピング処理を行わなかった場合を図5に示す。この場合は、隔壁である絶縁物314は添加領域318を有さない。しかし耐熱性平坦化膜309が高密度化された添加領域316を有しており、水分等に対する遮断効果がある。よって、信頼性の高い表示装置とすることができる。
[実施形態3]
本実施形態を図6及び図7を用いて詳細に説明する。
本実施形態では、耐熱性平坦化膜の一部分、及び第1の電極に対して、第1の電極形成後に周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素のドーピング処理を行う。
実施形態1で説明したように、基板600上に下地膜601a、601bを形成し、不純物領域603及び604を有する半導体層602を形成する。半導体層602上にゲート絶縁膜605を介してゲート電極である導電層606及び607を形成し、パッシベーション膜として絶縁膜608を形成する。そして、層間膜として、耐熱性平坦化膜609を形成する(図6(A)参照。)。本実施形態においては、耐熱性平坦化膜609にシリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される絶縁膜を用いる。
レジストからなるマスクを用いて耐熱性平坦化膜609にコンタクトホール(開口部)630を形成すると同時に周縁部の耐熱性平坦化膜を除去する(図6(B)参照。)。
次に配線612を形成し、配線612と接するように第1の電極613を形成する(図6(C)参照。)。本実施形態では、TiN/Al/TiNをそれぞれ100/350/100nmに積層したのち、所望の形状にパターニングして、配線612を形成する。なお、TiNは、耐熱性平坦化膜との密着性が良好な材料の一つである。
本実施形態では、表示素子として発光素子を用い、発光素子からの光を第1の電極側から取り出す構造のため、第1の電極が透光性を有する。第1の電極として、透明導電膜を形成し、所望の形状にエッチングすることで第1の電極613を形成する。第1の電極613として、ITO、IZO、ITSOの他、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜を用いることができる。本実施形態では、第1の電極313としてITSOを用いている。ITSOは、ベークを行ってもITOのように結晶化せず、アモルファス状態のままである。従って、ITSOは、ITOよりも平坦性が高く、有機化合物を含む層が薄くとも陰極とのショートが生じにくい。第1の電極613は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコール系の多孔質体で拭浄し、研磨しても良い。またCMP法を用いた研磨後に、第1の電極613の表面に紫外線照射、酸素プラズマ処理などを行ってもよい。ここまでの工程についての詳細(材料、形成条件等)は実施形態1を参照すればよい。
本実施形態では、第1の電極613形成後、第1の電極613及び耐熱性平坦化膜609の一部に周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を有するガス625のドーピング処理を行う。周期律14族もしくは18族の元素として、He、Ne、Ar、Kr、Xe、C、Si、Ge、Sn、Pbの元素を用いることができ、典型的にはアルゴン(Ar)を用いる。。ドーピング処理はイオンドープ法、プラズマドープ法もしくはイオン注入法で行えば良い。本実施形態では、不活性元素であるArガス625をドーピングし、添加領域617を形成する(図6(D)参照。)。また、耐熱性平坦化膜616も第1の電極で覆われていない部分は、周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素が添加され、高密化する。よって、水分や脱ガスなどを遮断し、表示素子の汚染を防ぐので表示装置の信頼性を向上させることができる。本発明によって第1の電極の添加領域617においては、抵抗値などの物性を制御することもできる。
次に、第1の電極613の端部、配線612を覆う絶縁物614(バンク、隔壁、障壁、土手などと呼ばれる)を形成する。絶縁物614としては、塗布法により得られるSOG膜(例えば、アルキル基を含むSiOx膜)を膜厚0.8μm〜1μmの範囲で用いる。エッチングには、ドライエッチングとウェットエッチングのどちらかを用いることができるが、ここではCF4とO2とHeの混合ガスを用いたドライエッチングにより絶縁物314を形成する。圧力は5Pa、1500Wで、CF425sccm、O225sccm、He50sccmでドライエッチングを行う。このドライエッチングにおいて、アルキル基を含むSiOx膜のエッチングレートは500〜600nm/min、一方、ITSO膜のエッチングレートは10nm/min以下であり十分選択比が取れる。また、配線612は、アルキル基を含むSiOx膜からなる絶縁物614に覆われるため、密着性のよいTiN膜が最表面となっている。絶縁物314は、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される絶縁膜の他に、耐熱性が高く、平坦化性がよいものであれば、無機材料(酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素など)、感光性または非感光性の有機樹材料(有機樹脂材料)(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト、ベンゾシクロブテンなど)、低誘電率であるLow k材料などの一種、もしくは複数種からなる膜、またはこれらの膜の積層などを用いることができる。
本実施形態では行わない場合を示すが、絶縁物614の形成後、絶縁物614に周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素のドーピング処理を行ってもよい。周期律14族もしくは18族の元素として、He、Ne、Ar、Kr、Xe、C、Si、Ge、Sn、Pbの元素を用いることができ、典型的にはアルゴン(Ar)を用いる。。ドーピング処理はイオンドープ法、プラズマドープ法もしくはイオン注入法で行えば良い。なお、端部をテーパー形状とすると、ドーピングしやすくなる。
本発明による周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素のドーピング処理によって、隔壁となる絶縁物614の添加領域618は、黒く着色する。よって、この隔壁をブラックマトリクスとしても用いることができる。よって、本発明により、隔壁は、高密度化された汚染物質遮断物としての機能と、低透過率及び低反射率を有する光学特性的に良好なブラックマトリクスとしての機能を兼ね備えることができる。従って、低コストで歩留まりよく信頼性の高い表示装置を提供することができる。
本実施形態では、隔壁となる絶縁物を形成し、パターニングを行った後、第1の電極及び隔壁に周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素をドーピングしている例を示した。しかし、隔壁となる絶縁膜を形成後に全面にわたって周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素をドーピングし、着色した後、パターニングを行っても良い。この場合、このドーピング工程では、第1の電極には周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素が添加されないので、添加濃度、添加領域の箇所などが自由に決定でき、設計の幅が広がる。
なお、信頼性を向上させるため、有機化合物を含む層619の形成前に真空加熱を行って脱気を行うことが好ましい。例えば、有機化合物材料の蒸着を行う前に、基板に含まれるガスを除去するために減圧雰囲気や不活性雰囲気で200℃〜300℃の加熱処理を行うことが望ましい。ここでは、層間絶縁膜と隔壁とを高耐熱性を有するSiOx膜で形成しているため、高い加熱処理を加えても問題ない。従って、加熱処理による信頼性向上のための工程を十分行うことができる。
第1の電極613(添加領域617)の上には発光層619が形成される。具体的には、正孔注入層として20nm厚の銅フタロシアニン(CuPc)膜を設け、その上に発光層として70nm厚のトリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq3)膜を設けた積層構造としてもよい。Alq3にキナクリドン、ペリレンもしくはDCM1といった蛍光色素を添加することで発光色を制御することができる。
但し、以上の例は発光層として用いることのできる有機発光材料の一例であって、これに限定する必要はまったくない。発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせて発光層(発光及びそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良い。
次に、発光層619の上には導電膜からなる第2の電極620が設けられる。本実施形態では、第1の電極を陽極として、第2の電極を陰極として機能させるので、電極620としては、仕事関数の小さい材料(Al、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金MgAg、MgIn、AlLi、CaF2、またはCaN)を用いればよい。本実施形態は、第2の電極620は陰極として機能し、陽極として機能する第1の電極613側から光を取り出す構造のため、第2の電極620はAl、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金MgAg、MgIn、AlLiからなる金属膜(膜厚50nm〜200nm)を用いることが好ましい。しかし、本発明は、この構成に限定されず、画素部のTFTをnチャネル型TFTとし、第1の電極613を陰極とし、第2の電極620を陽極とすることもできる。
第2の電極620を覆うようにしてパッシベーション膜621を設けることは有効である。パッシベーション膜としては、窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素(SiON)、窒化酸化珪素(SiNO)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CN)を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層を用いることができる。また、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料、もしくは置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料を用いてもよい。
次いで、封止基板623をシール材624で貼り合わせて発光素子を封止する(図7参照。)。シール材624が耐熱性平坦化膜609(添加領域616)の端部を覆うように貼りあわせる。断面からの水分の侵入がシール材624によって遮断されるので、発光素子の劣化が防止でき、表示装置の信頼性が向上する。なお、シール材で囲まれた領域には充填材622を充填する。本実施形態では、第1の電極613側から光を取り出す構造なため、充填材622は透光性を有する必要はないが、充填材622を透過して光を取り出す構造の場合は、透光性を有する必要がある。ここでは屈折率1.50、粘度500cps、ショアD硬度90、テンシル強度3000psi、Tg点150℃、体積抵抗1×1015Ω・cm、耐電圧450V/milである高耐熱のUVエポキシ樹脂(エレクトロライト社製:2500Clear)を用いる。また、充填材622を一対の基板間に充填することによって、全体の透過率を向上させることができる。
こうして作製された表示装置は、耐熱性平坦化膜609、代表的にはシリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成されるTFTの層間絶縁膜(後に発光素子の下地膜となる膜)端部または開口部をテーパー形状とし、さらに、比較的原子半径の大きい周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を添加することによって歪みを与え、表面(側壁を含む)を改質、または高密度化して水分や酸素の侵入を防止する構造として、表示装置の信頼性を向上させている。また、第1の電極613にも周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を添加することによって、抵抗値などの物性を制御することもできる。
[実施形態4]
本実施形態を図9及び図10を用いて詳細に説明する。
本実施形態では、耐熱性平坦化膜、及び隔壁(絶縁物)に対して、耐熱性平坦化膜、隔壁形成後にそれぞれ周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素のドーピング処理を行う。
実施形態1で説明したように、基板900上に下地膜901a、901bを形成し、不純物領域903及び904を有する半導体層902を形成する。半導体層902上にゲート絶縁膜905を介してゲート電極である導電層906及び907を形成し、パッシベーション膜として絶縁膜908を形成する。そして、層間膜として、耐熱性平坦化膜909を形成する(図9(A)参照。)。本実施形態においては、耐熱性平坦化膜909にシリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される絶縁膜を用いる。
本実施形態においては、レジストからなるマスクを用いて耐熱性平坦化膜909にコンタクトホール(開口部)930を形成すると同時に周縁部の耐熱性平坦化膜を除去した後に、周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を有するガス915を耐熱性平坦化膜909にドーピングし、添加領域916を形成する(図9(B)参照。)。
ドーピング処理はイオンドープ法、プラズマドープ法もしくはイオン注入法で行えば良い。周期律14族もしくは18族の元素として、He、Ne、Ar、Kr、Xe、C、Si、Ge、Sn、Pbの元素を用いることができ、典型的にはアルゴン(Ar)を用いる。。比較的原子半径の大きい周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を添加することによって歪みを与え、表面(側壁を含む)を改質、または高密度化して水分や酸素の侵入を防止する。また、ドーピング処理自体のベーク効果により、水分を処理時に放出できる。高密度化した部分(添加領域916)に含まれる周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素は、1×1018〜5×1021/cm3、代表的には2×1019〜2×1021/cm3の濃度範囲とする。なお、端部をテーパー形状とすると、耐熱性平坦化膜の側面にドーピングしやすくなる。
次に配線912を形成し、配線912と接するように第1の電極913を形成する(図9(C)参照。)。本実施形態では、TiN/Al/TiNをそれぞれ100/350/100nmに積層したのち、所望の形状にパターニングして、配線912を形成する。なお、TiNは、耐熱性平坦化膜との密着性が良好な材料の一つである。
本実施形態では、表示素子として発光素子を用い、発光素子からの光を第1の電極側から取り出す構造のため、第1の電極が透光性を有する。第1の電極として、透明導電膜を形成し、所望の形状にエッチングすることで第1の電極913を形成する。第1の電極913として、ITO、IZO、ITSOの他、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜を用いることができる。本実施形態では、第1の電極913としてITSOを用いている。ITSOは、ベークを行ってもITOのように結晶化せず、アモルファス状態のままである。従って、ITSOは、ITOよりも平坦性が高く、有機化合物を含む層が薄くとも陰極とのショートが生じにくい。第1の電極913は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコール系の多孔質体で拭浄し、研磨しても良い。またCMP法を用いた研磨後に、第1の電極913の表面に紫外線照射、酸素プラズマ処理などを行ってもよい。ここまでの工程についての詳細(材料、形成条件等)は実施形態1及び実施形態2を参照すればよい。
次に、第1の電極913の端部、配線912を覆う絶縁物914(バンク、隔壁、障壁、土手などと呼ばれる)を形成する(図9(D)参照。)。絶縁物914としては、塗布法により得られるSOG膜(例えば、アルキル基を含むSiOx膜)を膜厚0.8μm〜1μmの範囲で用いる。エッチングには、ドライエッチングとウェットエッチングのどちらかを用いることができるが、ここではCF4とO2とHeの混合ガスを用いたドライエッチングにより絶縁物314を形成する。圧力は5Pa、1500Wで、CF425sccm、O225sccm、He50sccmでドライエッチングを行う。このドライエッチングにおいて、アルキル基を含むSiOx膜のエッチングレートは500〜600nm/min、一方、ITSO膜のエッチングレートは10nm/min以下であり十分選択比が取れる。また、配線912は、アルキル基を含むSiOx膜からなる絶縁物914に覆われるため、密着性のよいTiN膜が最表面となっている。絶縁物914は、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される絶縁膜の他に、耐熱性が高く、平坦化性がよいものであれば、無機材料(酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素など)、感光性または非感光性の有機樹材料(有機樹脂材料)(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト、ベンゾシクロブテンなど)、低誘電率であるLow k材料などの一種、もしくは複数種からなる膜、またはこれらの膜の積層などを用いることができる。
絶縁物914の形成後、第1の電極913及び絶縁物914に周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素のドーピング処理を行う。周期律14族もしくは18族の元素として、He、Ne、Ar、Kr、Xe、C、Si、Ge、Sn、Pbの元素を用いることができ、典型的にはアルゴン(Ar)を用いる。。ドーピング処理はイオンドープ法、プラズマドープ法もしくはイオン注入法で行えば良い。本実施形態では、不活性元素であるArを有するガス935をドーピングし、添加領域917及び918を形成する(図10(E)参照。)。本発明によって耐熱性平坦化膜及び絶縁物の添加領域918は高密度化した部分となる。比較的原子半径の大きい周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を添加することによって歪みを与え、表面(側壁を含む)を改質、または高密度化して水分や酸素の侵入を防止する。また、ドーピング処理自体のベーク効果により、水分を処理時に放出できる。添加領域に含まれる周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素は、1×1018〜5×1021/cm3、代表的には2×1019〜2×1021/cm3の濃度範囲とする。なお、端部をテーパー形状とすると、側面にドーピングしやすくなる。また、第1の電極913にも周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を添加することによって、抵抗値などの物性を制御することもできる。
本発明による周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素のドーピング処理によって、隔壁となる絶縁物914の添加領域918は、黒く着色する。よって、この隔壁をブラックマトリクスとしても用いることができる。よって、本発明により、隔壁は、高密度化された汚染物質遮断物としての機能と、低透過率及び低反射率を有する光学特性的に良好なブラックマトリクスとしての機能を兼ね備えることができる。従って、低コストで歩留まりよく信頼性の高い表示装置を提供することができる。
本実施形態では、隔壁となる絶縁物を形成し、パターニングを行った後、第1の電極及び隔壁に周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素をドーピングしている例を示した。しかし、隔壁となる絶縁膜を形成後に全面にわたって周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素をドーピングし、着色した後、パターニングを行っても良い。この場合、このドーピング工程では、第1の電極には周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素が添加されないので、添加濃度、添加領域の箇所などが自由に決定でき、設計の幅が広がる。
なお、信頼性を向上させるため、発光層(有機化合物を含む層)919の形成前に真空加熱を行って脱気を行うことが好ましい。例えば、有機化合物材料の蒸着を行う前に、基板に含まれるガスを除去するために減圧雰囲気や不活性雰囲気で200℃〜300℃の加熱処理を行うことが望ましい。ここでは、層間絶縁膜と隔壁とを高耐熱性を有するSiOx膜で形成しているため、高い加熱処理を加えても問題ない。従って、加熱処理による信頼性向上のための工程を十分行うことができる。
第1の電極913(添加領域917)の上には発光層919が形成される。具体的には、正孔注入層として20nm厚の銅フタロシアニン(CuPc)膜を設け、その上に発光層として70nm厚のトリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq3)膜を設けた積層構造としてもよい。Alq3にキナクリドン、ペリレンもしくはDCM1といった蛍光色素を添加することで発光色を制御することができる。
但し、以上の例は発光層として用いることのできる有機発光材料の一例であって、これに限定する必要はまったくない。発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせて発光層(発光及びそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良い。
次に、発光層919の上には導電膜からなる第2の電極920が設けられる。本実施形態では、第1の電極を陽極として、第2の電極を陰極として機能させるので、電極920としては、仕事関数の小さい材料(Al、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金MgAg、MgIn、AlLi、CaF2、またはCaN)を用いればよい。本実施形態は、第2の電極920は陰極として機能し、陽極として機能する第1の電極913側から光を取り出す構造のため、第2の電極920はAl、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金MgAg、MgIn、AlLiからなる金属膜(膜厚50nm〜200nm)を用いることが好ましい。しかし、本発明は、この構成に限定されず、画素部のTFTをnチャネル型TFTとし、第1の電極913を陰極とし、第2の電極920を陽極とすることもできる。
第2の電極920を覆うようにしてパッシベーション膜921を設けることは有効である。パッシベーション膜としては、窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素(SiON)、窒化酸化珪素(SiNO)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CN)を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層を用いることができる。また、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料、もしくは置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料を用いてもよい。
次いで、封止基板923をシール材で貼り合わせて発光素子を封止する。シール材が耐熱性平坦化膜909(添加領域916)の端部を覆うように貼りあわせる。断面からの水分の侵入がシール材によって遮断されるので、発光素子の劣化が防止でき、表示装置の信頼性が向上する。なお、シール材で囲まれた領域には充填材922を充填する(図10(F)参照。)。本実施形態では、第1の電極913側から光を取り出す構造なため、充填材922は透光性を有する必要はないが、充填材922を透過して光を取り出す構造の場合は、透光性を有する必要がある。ここでは屈折率1.50、粘度500cps、ショアD硬度90、テンシル強度3000psi、Tg点150℃、体積抵抗1×1015Ω・cm、耐電圧450V/milである高耐熱のUVエポキシ樹脂(エレクトロライト社製:2500Clear)を用いる。また、充填材922を一対の基板間に充填することによって、全体の透過率を向上させることができる。
こうして作製された表示装置は、耐熱性平坦化膜909、代表的にはシリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成されるTFTの層間絶縁膜(後に発光素子の下地膜となる膜)、絶縁物(隔壁)914において、端部または開口部をテーパー形状とし、さらに、比較的原子半径の大きい周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を添加することによって歪みを与え、表面(側壁を含む)を改質、または高密度化して水分や酸素の侵入を防止する構造として、表示装置の信頼性を向上させている。また、第1の電極913にも周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を添加することによって、抵抗値などの物性を制御することもできる。
[実施形態5]
本実施形態では、第1の電極と配線との接続構造が異なる本発明の表示装置の例を図11及び図12を用いて説明する。
実施形態1で説明したように、基板1100上に下地膜1101a、1101bを形成し、不純物領域1103及び1104を有する半導体層1102を形成する。半導体層1102上にゲート絶縁膜1105を介してゲート電極である導電層1106及び1107を形成し、パッシベーション膜として絶縁膜1108を形成する。そして、層間膜として、耐熱性平坦化膜1109を形成する(図11(A)参照。)。ここまでの工程についての詳細(材料、形成条件等)は実施形態1を参照すればよい。本実施形態においては、耐熱性平坦化膜1109にシリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される絶縁膜を用いる。
レジストからなるマスクを用いて耐熱性平坦化膜1109にコンタクトホール(開口部)1130を形成すると同時に周縁部の耐熱性平坦化膜を除去する(図11(B)参照。)。また周縁部は図11のようにテーパー形状にエッチングしてもよい。
次に、耐熱性平坦化膜1109上に選択的に第1の電極1113を形成する。本実施形態では、表示素子として発光素子を用い、発光素子からの光を第1の電極側から取り出す構造のため、第1の電極が透光性を有する。透明導電膜を形成し、所望の形状にエッチングすることで第1の電極1113を形成する。第1の電極1113として、ITO、IZO、ITSOの他、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜を用いることができる。本実施形態では、第1の電極1113としてITSOを用いている。ITSOは、ベークを行ってもITOのように結晶化せず、アモルファス状態のままである。従って、ITSOは、ITOよりも平坦性が高く、有機化合物を含む層が薄くとも陰極とのショートが生じにくい。第1の電極1113は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコール系の多孔質体で拭浄し、研磨しても良い。本実施形態の第1の電極は、平坦性を有する耐熱性平坦化膜1109上に形成されるので、平坦性よく形成でき、かつ研磨処理などの表面処理も簡易に、十分に行うことができる。
第1の電極1113の形成後、第1の電極1113及び耐熱性平坦化膜1109の端部に周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素のドーピング処理を行う。周期律14族もしくは18族の元素として、He、Ne、Ar、Kr、Xe、C、Si、Ge、Sn、Pbの元素を用いることができ、典型的にはアルゴン(Ar)を用いる。。ドーピング処理はイオンドープ法、プラズマドープ法もしくはイオン注入法で行えば良い。本実施形態では、不活性元素であるArを有するガス1115をドーピングし、添加領域1116及び1117を形成する(図11(D)参照。)。本発明によって耐熱性平坦化膜端部及びコンタクトホール周辺の添加領域1116は高密度化した部分となる。比較的原子半径の大きい周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を添加することによって歪みを与え、表面(側壁を含む)を改質、または高密度化して水分などの汚染物質の侵入を防止する。また、添加領域に含まれる周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素は、1×1018〜5×1021/cm3、代表的には2×1019〜2×1021/cm3の濃度範囲とする。なお、端部をテーパー形状とすると、側面にドーピングしやすくなる。また、第1の電極1113に周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を添加することによって、抵抗値などの電気物性を制御することができる。
次に配線1112を、第1の電極1113と接するように形成する(図12(E)参照。)。本実施形態では、TiN/Al/TiNをそれぞれ100/350/100nmに積層したのち、所望の形状にパターニングして、配線1112を形成する。なお、TiNは、耐熱性平坦化膜との密着性が良好な材料の一つである。また、本実施形態においては、配線1112のエッチング時のストッパーとして、先に形成する第1の電極1113を用いることができるので、別途エッチングストッパー膜を形成する必要がなく、工程数を簡略化できる。
次に、第1の電極1113の端部、配線1112を覆う絶縁物1114(バンク、隔壁、障壁、土手などと呼ばれる)を形成する。絶縁物1114としては、塗布法により得られるSOG膜(例えば、アルキル基を含むSiOx膜)を膜厚0.8μm〜1μmの範囲で用いる。エッチングには、ドライエッチングとウェットエッチングのどちらかを用いることができるが、ここではCF4とO2とHeの混合ガスを用いたドライエッチングにより絶縁物1114を形成する。圧力は5Pa、1500Wで、CF425sccm、O225sccm、He50sccmでドライエッチングを行う。このドライエッチングにおいて、アルキル基を含むSiOx膜のエッチングレートは500〜600nm/min、一方、ITSO膜のエッチングレートは10nm/min以下であり十分選択比が取れる。また、配線1112は、アルキル基を含むSiOx膜からなる絶縁物1114に覆われるため、密着性のよいTiN膜が最表面となっている。絶縁物1114は、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される絶縁膜の他に、耐熱性が高く、平坦化性がよいものであれば、無機材料(酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素など)、感光性または非感光性の有機樹材料(有機樹脂材料)(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト、ベンゾシクロブテンなど)、低誘電率であるLow k材料などの一種、もしくは複数種からなる膜、またはこれらの膜の積層などを用いることができる。
絶縁物1114の形成後、第1の電極1113及び絶縁物1114に周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素のドーピング処理を行ってもよい。周期律14族もしくは18族の元素として、He、Ne、Ar、Kr、Xe、C、Si、Ge、Sn、Pbの元素を用いることができ、典型的にはアルゴン(Ar)を用いる。。ドーピング処理はイオンドープ法、プラズマドープ法もしくはイオン注入法で行えば良い。ドーピング処理を行うと、隔壁1114の添加領域は高密度化し、表面(側壁を含む)を改質して水分などの汚染物質の侵入を防止できる。
また、周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素のドーピング処理によって、隔壁となる絶縁物1114の添加領域は、黒く着色する。よって、この隔壁をブラックマトリクスとしても用いることができる。よって、本発明により、隔壁は、高密度化された汚染物質遮断物としての機能と、低透過率及び低反射率を有する光学特性的に良好なブラックマトリクスとしての機能を兼ね備えることができる。従って、低コストで歩留まりよく信頼性の高い表示装置を提供することができる。
隔壁となる絶縁物を形成し、パターニングを行った後、第1の電極及び隔壁に周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素をドーピングしてもよいし、隔壁となる絶縁膜を形成後に全面にわたって周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素をドーピングし、着色した後、パターニングを行っても良い。この場合、このドーピング工程では、第1の電極には周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素が添加されないので、添加濃度、添加領域の箇所などが自由に決定でき、設計の幅が広がる。
なお、信頼性を向上させるため、発光層(有機化合物を含む層)1119の形成前に真空加熱を行って脱気を行うことが好ましい。例えば、有機化合物材料の蒸着を行う前に、基板に含まれるガスを除去するために減圧雰囲気や不活性雰囲気で200℃〜300℃の加熱処理を行うことが望ましい。ここでは、層間絶縁膜と隔壁とを高耐熱性を有するSiOx膜で形成しているため、高い加熱処理を加えても問題ない。従って、加熱処理による信頼性向上のための工程を十分行うことができる。
第1の電極1113(添加領域1117)の上には発光層1119が形成される。具体的には、正孔注入層として20nm厚の銅フタロシアニン(CuPc)膜を設け、その上に発光層として70nm厚のトリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq3)膜を設けた積層構造としてもよい。Alq3にキナクリドン、ペリレンもしくはDCM1といった蛍光色素を添加することで発光色を制御することができる。
但し、以上の例は発光層として用いることのできる有機発光材料の一例であって、これに限定する必要はまったくない。発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせて発光層(発光及びそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良い。
次に、発光層1119の上には導電膜からなる第2の電極1120が設けられる。本実施形態では、第1の電極を陽極として、第2の電極を陰極として機能させるので、第2の電極1120としては、仕事関数の小さい材料(Al、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金MgAg、MgIn、AlLi、CaF2、またはCaN)を用いればよい。本実施形態は、第2の電極1120は陰極として機能し、陽極として機能する第1の電極1113側から光を取り出す構造のため、第2の電極1120はAl、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金MgAg、MgIn、AlLiからなる金属膜(膜厚50nm〜200nm)を用いることが好ましい。しかし、本発明は、この構成に限定されず、画素部のTFTをnチャネル型TFTとし、第1の電極1113を陰極とし、第2の電極1120を陽極とすることもできる。
第2の電極1120を覆うようにしてパッシベーション膜1121を設けることは有効である。パッシベーション膜としては、窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素(SiON)、窒化酸化珪素(SiNO)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CN)を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層を用いることができる。また、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料、もしくは置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料を用いてもよい。
次いで、封止基板1123をシール材で貼り合わせて発光素子を封止する。シール材が耐熱性平坦化膜1109(添加領域1116)の端部を覆うように貼りあわせる(図12(F)参照。)。断面からの水分の侵入がシール材によって遮断されるので、発光素子の劣化が防止でき、表示装置の信頼性が向上する。なお、シール材で囲まれた領域には充填材1122を充填する。本実施形態では、第1の電極1113側から光を取り出す構造なため、充填材1122は透光性を有する必要はないが、充填材1122を透過して光を取り出す構造の場合は、透光性を有する必要がある。ここでは屈折率1.50、粘度500cps、ショアD硬度90、テンシル強度3000psi、Tg点150℃、体積抵抗1×1015Ω・cm、耐電圧450V/milである高耐熱のUVエポキシ樹脂(エレクトロライト社製:2500Clear)を用いる。また、充填材1122を一対の基板間に充填することによって、全体の透過率を向上させることができる。
こうして作製された表示装置は、耐熱性平坦化膜1109、代表的にはシリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成されるTFTの層間絶縁膜(後に発光素子の下地膜となる膜)において、端部または開口部をテーパー形状とし、さらに、比較的原子半径の大きい周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を添加することによって歪みを与え、表面(側壁を含む)を改質、または高密度化して水分や酸素の侵入を防止する構造として、表示装置の信頼性を向上させている。また、ドーピング処理自体のベーク効果により、水分を処理時に放出できる。第1の電極1113に周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を添加することによって、抵抗値などの電気物性を制御し、発光効率や輝度などを向上させることもできる。
本実施例では、発明を実施するための最良の形態で説明した表示装置の作製工程について、図1、図2、図8を用いて説明する。
ガラス基板100の上に下地膜101として、プラズマCVD法により酸化窒化珪素膜を50nm、酸化窒化珪素膜を100nm形成する。
次いで、下地膜上に半導体膜を形成する。本実施例では半導体膜として、プラズマCVD法により非晶質珪素膜を54nm形成した。本実施例ではこの非晶質珪素膜にレーザ結晶化法を行い、結晶化半導体層を形成する。非晶質珪素膜にレーザ光を照射する前に、窒素雰囲気下500℃で1時間加熱することによって非晶質珪素膜の含有水素濃度を1×1020atoms/cm3以下にまで放出させる。
レーザ結晶化法は、レーザ光を半導体膜に照射する。用いるレーザは、パルス発振または連続発振の固体レーザ、気体レーザ、もしくは金属レーザが望ましい。なお、前記固体レーザとしてはYAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイアレーザ等があり、前記気体レーザとしてはエキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザ等があり、前記金属レーザとしてはヘリウムカドミウムレーザ、が挙げられる。
このようにして得られた結晶性半導体膜に対して、TFTのしきい値電圧を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行う。
第1のフォトマスクを作製し、フォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理により、半導体層102を形成する。
半導体層102を覆うゲート絶縁膜105を形成する。本実施例では、プラズマCVD法により115nmの厚さで酸化窒化珪素膜を形成する。
次いで、ゲート絶縁膜105上にゲート電極として用いる膜厚20〜100nmの第1の導電膜と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜とを積層して形成する。本実例では、ゲート絶縁膜105上に第1の導電膜として膜厚30nmの窒化タンタル膜、第2の導電膜として膜厚370nmのタングステン膜を順次積層して形成する。
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなる第2のフォトマスクを形成し、電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行う。ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することにより、第1の導電膜及び第2の導電膜を所望のテーパー形状にエッチングすることができる。なお、エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガス又はO2を適宜用いることができる。
第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層(第1の導電層と第2の導電層)を形成する。
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う。ここでは、W膜を選択的にエッチングする。この時、第2のエッチング処理により第2の導電層を形成する。一方、第1の導電層は、ほとんどエッチングされず、第2の形状の導電層を形成する。よって導電膜106、導電膜107が形成される。本実施例では、導電層の形成をドライエッチングで行う。
次いで、レジストマスクを除去した後、第3のフォトマスクを用いてレジストマスクを新たに形成し、ここでは図示しないnチャネル型TFTを形成するため、半導体にn型を付与する不純物元素(代表的にはリン(P)、または砒素(As))を低濃度にドープするための第1のドーピング工程を行う。レジストマスクは、pチャネル型TFTとなる領域と、導電層の近傍とを覆う。この第1のドーピング工程によって絶縁膜を介してスルードープを行い、低濃度不純物領域を形成する。一つの発光素子は、複数のTFTを用いて駆動させるが、pチャネル型TFTのみで駆動させる場合には、上記ドーピング工程は特に必要ない。
次いで、レジストマスクを除去した後、第4のフォトマスクを用いてレジストマスクを新たに形成し、半導体にp型を付与する不純物元素(代表的にはボロン(B))を高濃度にドープするための第2のドーピング工程を行う。この第2のドーピング工程によって105を介してスルードープを行い、p型の高濃度不純物領域103、104を形成する。
次いで、第5のフォトマスクを用いてレジストマスクを新たに形成し、ここでは図示しないnチャネル型TFTを形成するため、半導体にn型を付与する不純物元素(代表的にはリン、またはAs)を高濃度にドープするための第3のドーピング工程を行う。第3のドーピング工程におけるイオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜5×1015/cm2とし、加速電圧を60〜100keVとして行う。レジストマスクは、pチャネル型TFTとなる領域と、導電層の近傍とを覆う。この第3のドーピング工程によって絶縁膜105を介してスルードープを行い、n型の高濃度不純物領域を形成する。
以上までの工程で、それぞれの半導体層に不純物領域が形成される。
次いで、レジストからなるマスクを除去してパッシベーション膜として水素を含む絶縁膜108を形成する。本実施例では、スパッタリング法によって形成した窒化珪素を形成する。膜中にArを含んでもよく、本実施例では膜中のArは、濃度5×1018〜5×1020atoms/cm3程度である。
さらに、半導体層の水素化を行う。本実施例では、窒素雰囲気中で410℃で1時間熱処理を行い、半導体層を水素化する。
次いで、層間絶縁膜となる耐熱性平坦化膜109を形成する。耐熱性平坦化膜109としては、塗布法によって得られるシリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構
成される絶縁膜を用いる。
ここで、耐熱性平坦化膜109の形成手順は発明を実施するための最良の形態における実施形態1で説明したのでここでは省略する。
こうして耐熱性平坦化膜109を形成する。
パッシベーション膜として絶縁膜111を形成する(図1(A)参照。)。本実施例では、プラズマCVD法によって窒化酸化珪素(SiNO)膜を膜厚100nmで形成する。この絶縁膜111は、後の工程で配線(ドレイン電極、またはソース電極とも用いられる。)112をパターニングする際、層間絶縁膜である耐熱性平坦化膜109を保護するためのエッチングストッパー膜として用いることができる。
次いで、レジストからなるマスクを用いて耐熱性平坦化膜109にコンタクトホール(開口部)130を形成すると同時に周縁部の耐熱性平坦化膜を除去する。本実施例では、まず、ゲート絶縁膜105と選択比が取れる条件でエッチング(ウェットエッチングまたはドライエッチング)を行う。本実施例では、CF4、O2、He、Arとを用いる。ドライエッチングを行う際のエッチング条件は、CF4の流量を380sccm、O2の流量を290sccm、Heの流量を500sccm、Arの流量を500sccm、RFパワーを3000W、圧力を25Paとする。
なお、ゲート絶縁膜306上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させ、オーバーエッチングすると良い。さらにCF4、O2、Heを用いて、CF4の流量を550sccm、O2の流量を450sccm、Heの流量を350sccm、RFパワーを3000W、圧力を25Paとし、2回目のドライエッチングを行ってテーパー形状とすることもできる。耐熱性平坦化膜の端部におけるテーパー角θは、30度を越え75度未満とすることが望ましい。
ゲート絶縁膜105をエッチングし、ソース領域、ドレイン領域に達する開口部を形成する。本実施例では、開口部は、耐熱性平坦化膜109をエッチングした後、エッチングされた耐熱性平坦化膜109をマスクとして、ゲート絶縁膜105をエッチングし、開口部を形成する。エッチング用ガスにCHF3とArを用いて絶縁膜105のエッチング処理を行う。なお、半導体層上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。以上の工程で、コンタクトホール130が形成される(図1(B)。)。
金属膜を形成し、金属膜をエッチングして各不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線112を形成する(図1(C)参照。)。本実施例では、TiN/Al/TiNをそれぞれ100/350/100nmに積層したのち、所望の形状にパターニングして、配線を形成する。なお、TiNは、耐熱性平坦化膜との密着性が良好な材料の一つである。加えて、TFTのソース領域またはドレイン領域とコンタクトを取るためにTiNのN含有量は44%より少なくすることが好ましい。
エッチングは、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法により、BCl3とCl2を用いて、エッチング条件は、コイル型の電極に印加される電力量450W、基板側の電極に印加される電力量100W、圧力1.9Paで行う。
以上のような工程により、TFTを備えたアクティブマトリクス基板が完成する。
次に、配線116と接するように、第1の電極(画素電極ともいう。)113を形成する。
本実施例では、表示素子として発光素子を用い、発光素子からの光を第1の電極側から取り出す構造のため、第1の電極113が透光性を有する。本実施例では、第1の電極113としてITSOを用いる。ITSOは、ITOに酸化珪素が2〜10重量%含まれたターゲットを用いてスパッタリング法で形成する。第1の電極113は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコール系の多孔質体で拭浄し、研磨しても良い。
次に、第1の電極113の端部、配線112を覆う絶縁物114(バンク、隔壁、障壁、土手などと呼ばれる)を形成する(図1(D)参照。)。絶縁物114としては、塗布法により得られるSOG膜(例えば、アルキル基を含むSiOx膜)を膜厚0.8μm〜1μmの範囲で用いる。エッチングには、CF4とO2とHeの混合ガスを用いたドライエッチングにより絶縁物119を形成する。圧力は5Pa、1500Wで、CF425sccm、O225sccm、He50sccmでドライエッチングを行う。また、配線112は、アルキル基を含むSiOx膜からなる絶縁物113に覆われるため、密着性のよいTiN膜が最表面となっている。
本発明では、耐熱性平坦化膜109の端部、第1の電極113及び絶縁物114に周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素125のドーピング処理を行う。不活性元素として、典型的にはアルゴン(Ar)を用いる。ドーピング処理はイオンドープ法、プラズマドープ法もしくはイオン注入法で行えば良い。本実施例では、不活性元素であるArガス125をドーピングし、添加領域116、117、118を形成する(図2(E)参照。)。ドーピングは、1kV〜150kVのエネルギー、好ましくは50kV〜80kVのエネルギーで、ドーズ量1×1014/cm2以上、好ましくは1×1015〜1×1016/cm2で行う。本実施例では、ドーズ量1×1016/cm2で行う。
耐熱性平坦化膜及び隔壁に用いるアルキル基を含む酸化珪素(SiOx)膜中の水の量を測定した。測定は昇温脱離ガス分光法(Thermal Desorption Spectroscopy:TDS)を用いた。TDSとは、測定対象の試料を加熱して温度毎に試料から放出されるガス分子を測定する分光法である。試料は、アルキル基を含む酸化珪素(SiOx)膜を形成し、レジストによるパターニングを行い、剥離液によってレジストを剥離した試料に本発明を適用した膜と、比較例として適用しなかった膜を用いた。剥離液として、2−アミノエタノールHOC2H4NH2(30wt%)、グライコールエーテルR−(OCH2)2OH(70wt%)を成分とする剥離液を用いた。本発明を適用した膜には、形成後、不活性元素としてArをドーズ量1×1016/cm2でドーピングした。
測定結果を図27に示す。本発明を適用した試料を黒丸のドットで、比較例として適用しなかった試料を白丸のドットで示している。水分量は電流値の増減となって表れ80〜100℃付近で検出される水分は、膜中に含まれていた、また膜表面に付着していた水分が蒸発したものであり、250℃付近で検出される水分は膜が熱分解されることによって膜中から発生したものと考えられる。図27で示す通り、本発明を適用しなかった比較例が、80〜100℃付近、及び250℃付近に高い水分値を検出しているのに対し、本発明を適用した膜においては検出される水分量が激減している。
本発明による膜の高密度化の効果を確認する他の方法として、膜中の水分量を二次イオン質量分析法(SIMS)によって測定した。試料として、アルキル基を含む酸化珪素(SiOx)膜を形成し、270℃で一時間焼成した後、65℃の重水に一時間浸した。本発明を適用した膜と、適用しない比較例と2種類の試料を測定した。本発明を適用した膜には焼成後、Arをドーズ量1×1016/cm2でドーピングした。
測定結果を図28に示す。横軸は試料表面からの深さであり、紙面向かって左から試料である膜、基板となっており、深さ約630nm付近の点線が試料である膜と基板の境界である。なお基板はガラス基板を用いた。本発明を適用した試料を黒丸のドットで、比較例として適用しなかった試料を白丸のドットでそれぞれ示している。本発明を適用しない比較例の膜では、深さ700nm付近の基板領域に重水素のピークが検出されている。比較例の膜は、重水を透過させ、界面まで重水が達してしまっている。しかし、本発明を適用した試料においては界面で重水素が検出されない。本発明を適用した膜が重水を透過していないことが分かる。
以上の結果より、本発明を適用した膜はArのドーピング処理によって、膜が高密度化、緻密化され、膜質が向上した事が確認できた。本発明を適用した膜は、透水性が低く、水分などの進入を防止することができるため、本発明を用いると、表示素子の劣化を防ぎ、より信頼性の高い表示装置を提供することができる。
本発明によって耐熱性平坦化膜及び絶縁物の添加領域116、118は高密度化した部分となる。また、第1の電極の添加領域117においては、抵抗値などの物性を制御することもできる。比較的原子半径の大きい周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を添加することによって歪みを与え、表面(側壁を含む)を改質、または高密度化して水分や酸素の侵入を防止する。また、ドーピング処理自体のベーク効果により、水分を処理時に放出できる。添加領域に含まれる周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素は、1×1018〜5×1021/cm3、代表的には2×1019〜2×1021/cm3の濃度範囲とする。なお、端部をテーパー形状とすると、側面にドーピングしやすくなる。
本実施例では、信頼性を向上させるため、有機化合物を含む発光層119の形成前に真空加熱を行って脱気を行う。有機化合物材料の蒸着を行う前に、基板に含まれるガスを除去するために減圧雰囲気や不活性雰囲気で200℃〜300℃の加熱処理を行う。本実施例では、層間絶縁膜と隔壁とを高耐熱性を有する酸化珪素(SiOx)膜で形成しているため、高い加熱処理を加えても問題ない。従って、加熱処理による信頼性向上のための工程を十分行うことができる。
第1の電極113(添加領域117)の上には発光層119が形成される。本実施例では、第1の電極113を陽極として機能させるので、その上に、正孔注入層として20nm厚の銅フタロシアニン(CuPc)膜を設け、その上に発光層として70nm厚のトリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq3)膜を設けた積層構造とする。Alq3にキナクリドン、ペリレンもしくはDCM1といった蛍光色素を添加することで発光色を制御することができる。
次に、発光層119の上には導電膜からなる第2の電極120が設けられる。本実施例では、第1の電極を陽極として、第2の電極を陰極として機能させるので、第2の電極120としては、仕事関数の小さい材料(Al、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金MgAg、MgIn、AlLi、CaF2、またはCaN)を用いればよい。本実施例は、第2の電極120は陰極として機能し、陽極として機能する第1の電極113側から光を取り出す構造のため、第2の電極120はAl、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金MgAg、MgIn、AlLiからなる金属膜(膜厚50nm〜200nm)を用いることが好ましい。
本実施例では、第2の電極120を覆うようにしてパッシベーション膜121を設ける。本実施例では、珪素からなる円盤状のターゲットを用い、成膜室雰囲気を窒素雰囲気または窒素とアルゴンを含む雰囲気とすることによって窒化珪素膜を形成する。
次いで、封止基板123をシール材で貼り合わせて発光素子を封止する。シール材が耐熱性平坦化膜109(添加され高密度化した領域116である)の端部を覆うように貼りあわせる。断面からの水分の侵入がシール材によって遮断されるので、発光素子の劣化が防止でき、表示装置の信頼性が向上する。なお、シール材で囲まれた領域には充填材122を充填する(図2(F)参照。)。本実施例では、第1の電極113側から光を取り出す構造なため、充填材122は透光性を有する必要はないが、充填材122を透過して光を取り出す構造の場合は、透光性を有する必要がある。代表的には可視光硬化、紫外線硬化または熱硬化のエポキシ樹脂を用いればよい。ここでは屈折率1.50、粘度500cps、ショアD硬度90、テンシル強度3000psi、Tg点150℃、体積抵抗1×1015Ω・cm、耐電圧450V/milである高耐熱のUVエポキシ樹脂(エレクトロライト社製:2500Clear)を用いる。また、充填材122を一対の基板間に充填することによって、全体の透過率を向上させることができる。
ここで、図8に、表示装置周縁部端部を非透水性の保護膜で覆った例を示す。周縁部以外の部分は、先述した本実施例の図2(F)と同一であるのでここでは詳細な説明は省略する。
図8において、800はTFT、817は周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素の添加された第1の電極817、819は発光層、820は第2の電極、821はパッシベーション膜、822は充填剤、823は封止基板、824はシール材である。周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素をドーピングされ高密度化された耐熱性平坦化膜116の外周を覆って非透水性の保護膜830を形成する。本実施例においては、非透水性の保護膜830は金属層を用いる。非透水性の保護膜830は、ソース電極またはドレイン電極と同時形成してもよいし、別途パターン形成してもよい。
ただし、金属層を用いる場合、端子電極に接続する引き回し配線の部分は、金属層830で覆わないものとする。そのときは、引き回し配線を用いて、端部を覆う様にするとよい。
非透水性の保護膜は導電性薄膜、絶縁性薄膜から選ばれた一種、または複数種からなる膜を用いてもよい。導電性薄膜としてはAl、Ti、Mo、WもしくはSiの元素から選ばれた一種、または複数種からなる膜を用いてもよい。絶縁性薄膜としては窒化珪素、酸化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CN)から選ばれた一種、または複数種からなる膜を用いてもよい。
また、耐熱性平坦化膜において、段差のある端部の側面を非透水性の保護膜830で覆っているが、テーパー形状としているため、カバレッジが良好である。さらに高耐熱性平坦化膜の表面には周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素が添加されており、高密度化した部分716が形成されているため、金属層との密着性も良好である。
本実施例は、周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素が添加され、且つ、テーパー形状とした端部の側面を非透水性の保護膜で覆うことによって、さらに水分などの侵入を防止することができる。
また、図8の実施例は最良の形態と自由に組み合わせることができる。
本実施例で作製される表示装置を図17及び図20を用いて、より詳細に説明する。
図20に本発明の表示装置の概略上面図を示す。1500は素子基板、1501はソース線駆動回路、1502、1503はゲート線駆動回路、1504は封止基板、1505はシール材、1506は画素部、1507は走査線、1508は信号線、1509はFPC、1510、1511、1512は配線、1520は保護回路である。また図20において、線B―B‘による断面図を図17に示す。1700は素子基板、1701、1702、1703はTFT、1704は第1の電極、1705は発光層、1706は第2の電極、1707はパッシベーション膜、1708は充填材、1709はシール材、1710は耐熱性平坦化膜、1711は隔壁、1712は封止基板、1720は絶縁膜、1730は配線、1740、1741は端子電極、1742は異方性導電膜、1743はFPCである。
前述の端子部に接続する引き回し配線の部分を示す断面図を図18に示す。1800は素子基板、1803はTFT、1804は第1の電極、1805は発光層、1806は第2の電極、1807はパッシベーション膜、1808は充填材、1809はシール材、1810は耐熱性平坦化膜、1811は隔壁、1812は封止基板、1820は絶縁膜、1830は引き回し配線、1840、1841は端子電極、1842は異方性導電膜、1843はFPCである。本実施例の表示装置は、周縁部及び端子部において配線が、高密度化された端部をさらに覆うように形成されているので、外部からの水の進入を遮断し、表示素子の劣化を防ぐ効果があり、より信頼性が高い。
本実施例では、上記のような回路で形成するが、本発明はこれに限定されず、パッシブマトリクス回路でもアクティブマトリクス回路であってもよく、周辺駆動回路としてICチップを前記COG方式やTAB方式によって実装したものでも、一体形成したものでもよい。また、ゲート線駆動回路、ソース線駆動回路は複数であっても単数であっても良い。
保護回路1520の拡大図を図20に示す。本実施例の保護回路は、配線を矩形にして、配線間で容量を形成し、静電気をブロックして静電破壊などの表示装置への不良を防止することができる。保護回路は、本実施例に限定されず、TFTや容量、ダイオードなどを適宜組み合わせて用いればよい。保護回路により、表示装置の信頼性はさらに向上する。
また、本実施例は、表示素子として発光素子を用いたが、表示素子として液晶を用いた液晶表示素子を用いても良い。液晶表示素子であっても、本発明により膜質が改良され高密度化された層間膜や隔壁(スペーサー)によって水等の汚染物質が遮断されるので、表示装置外部から進入する汚染物質はもちろん、層間膜や隔壁内部にある水分やガスが放出するのを防ぐことができる。よって、水分等から引き起こされる液晶表示素子の劣化、配線等の劣化などの表示装置の劣化を防ぐことができる。なお、添加によって着色された層間膜または隔壁は、発光表示装置同様、良好なブラックマトリクスとして用いることができる。また、画素電極に周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を添加することにより、電極の電気特性を制御し、発光効率や輝度を向上することができる。
こうして作製された表示装置は、耐熱性平坦化膜109、代表的にはシリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成されるTFTの層間絶縁膜(後に発光素子の下地膜となる膜)、絶縁物(隔壁)114において、端部または開口部をテーパー形状とし、さらに、比較的原子半径の大きい周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を添加することによって歪みを与え、表面(側壁を含む)を改質、または高密度化して水分や酸素の侵入を防止する構造として、表示装置の信頼性を向上させている。また、第1の電極113にも周期律14族、18族(不活性元素)、OまたはNから選ばれた元素のうち少なくとも一種の元素を添加することによって、抵抗値などの物性を制御することもできる。