JP4735357B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents
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Description
また、エンジン制御の過渡応答性向上の要求に応えるべく、負荷の指標として、スロットル弁通過空気量に代えて筒内に実際に吸入される空気の量(以下「シリンダ吸入空気量」という。)を採用し、これを直接の検出対象とする試みが行われている。すなわち、エアフローメータの出力から吸気マニホールドに流入する空気の量を算出するとともに、このマニホールド部流入空気量と、吸気マニホールドから筒内に吸入された空気の量との収支計算により、吸気マニホールド内の空気の量を算出して、シリンダ吸入空気量を算出するのである(特許文献1)。
図1は、本発明の一実施形態に係る火花点火エンジン(以下、単に「エンジン」という。)1の構成を示している。
エンジン1の吸気通路101には、スロットル弁102が設置されている。このスロットル弁102により吸気通路101に導入される空気の量を制御し、吸入空気量を制御することも可能であるが、本実施形態では、吸入空気量の制御を主に、後述する吸気弁104の作動特性の変更によることとし、スロットル弁102は、この作動特性の変更による制御の前提となる吸気圧力Pmの制御に採用する。また、吸気通路101には、燃料供給用のインジェクタ103が設置されている。このインジェクタ103により、制御された吸入空気量のもとで所定の当量比を達成するのに必要な量の燃料が噴射される。吸気通路101のポート部101aには、ポペット型の吸気弁104が設置されている。この吸気弁104は、その上方に配置された動弁装置(以下「吸気動弁装置」という。)105により駆動され、この吸気弁104の弁開期間に、吸入空気及び燃料の混合気が筒内に導入される。本実施形態では、吸気動弁装置105により、吸気弁104の作動角(以下「吸気作動角」という。)及びリフト量、ならびに吸気作動角の中心位相(以下「作動中心角」という。)を連続的に変更することができる。
燃焼後、発生した排気は、排気通路107に送り出される。排気通路107のポート部107aには、ポペット型の排気弁108が設置されている。この排気弁108は、その上方に配置された他の動弁装置109により駆動され、この排気弁108の弁開期間に、排気の送出が行われる。なお、本実施形態では、吸気弁104とは異なり、排気弁108の作動角、リフト量及び作動角の中心位相を一定のものとしているが、吸気動弁装置105と同様な構成のもの又は他の公知の可変動弁装置を採用して、作動角等を変更可能に構成してもよい。
この吸気動弁装置105は、作動角変更機構Aと中心角変更機構Bとを含んで構成される。
吸気弁104の上方に駆動軸151が気筒列方向に延在させて設置されており、この駆動軸151に揺動カム152が相対回転可能に取り付けられている。この揺動カム152は、吸気弁104のリフタ141と当接し、このリフタ141を介して吸気弁104を上下に駆動する。作動角変更機構Aは、駆動軸151と揺動カム152とを繋ぐ後述するリンクの姿勢を変化させて、吸気作動角を変更するものである。他方、中心角変更機構Bは、駆動軸151のクランクシャフト(図示せず。)に対する位相を変化させることで、作動中心角を変更するものである。
作動角変更機構Aは、駆動軸151に固定された円形の偏心駆動カム153と、この偏心駆動カム153に相対回転可能に外嵌するリング状リンク154と、駆動軸151と平行に配置された制御軸155と、この制御軸155に固定された円形の偏心制御カム156と、この偏心制御カム156に相対回転可能に外嵌し、一端でリング状リンク154と連結するロッカーアーム157と、このロッカーアーム157を揺動カム152と連結するロッド状リンク158とを含んで構成される。制御軸155は、電磁アクチュエータ161がギア列162を駆動することにより回転する。
ECU201が行う制御は、簡単には次のようである。ECU201は、アクセル操作量APO及びエンジン回転数NE等の運転条件に基づいてエンジン1が発生すべき目標トルクtTeを演算及び設定するとともに、この目標トルクtTeに基づいて吸気動弁装置105及びスロットル弁102を作動させる。すなわち、ECU201は、目標トルクtTeを達成するのに必要なシリンダ吸入空気量として目標新気量tQcylを算出するとともに、この目標新気量tQcylに基づいて目標吸気作動角tθeventを設定し、吸気動弁装置105を作動させる。また、ECU201は、実際のシリンダ吸入空気量Qcylを測定し、測定したQcylの目標新気量tQcylに対する偏差(=tQcyl−Qcyl)に応じ、これを減少させる位置にスロットル弁102を作動させ、吸気圧力Pmを調整する。本実施形態では、特に、シリンダ吸入空気量Qcylの測定のため、筒内への空気の吸入が開始される時期としての実効上死点TDCRを算出する。
X=√{(2κ/(κ―1))×((P0/Pm)2/κ−(P0/Pm)(κ+1)/κ)} ・・・(1b)
QMAX=(Pm/(Ra・Tm))×(VIVC−VTDCR) ・・・(2)
本実施形態では、筒内圧力P0として断熱膨張下での圧力Pctrを採用した関係上、エンジン1の運転領域全体で吸入空気の流れが理論的にチョークし、吸入空気が音速で筒内に流入することとなり、(1b)式の圧力比P0/Pmは、常に臨界圧力比(=(2/(κ+1))κ/(κ―1)=const)を示すこととなる。このため、この基準シリンダ吸入空気量QDを、特に「仮想ソニック吸入空気量」と呼ぶこととする。
Qcyl=ΣAiv×(Δθ/(6・NE))×(Pm/√(Ra・Tm))×√{(2κ/(κ−1))×(RP2/κ−RP(κ+1)/κ)} ・・・(3)
本実施形態では、シリンダ吸入空気量Qcylの特性を、吸入空気の流れがチョークするものとした第1の領域と、これ以外の第2の領域とに分けて定義する。第1の領域において、この特性は、下式(4)により与えられる。これは、(3)式の圧力比RPが臨界圧力比(=const)であることから明らかであり、(4)式は、シリンダ吸入空気量Qcylが吸気圧力Pmに比例し、吸気温度Tmの平方根の逆数に比例することを示している。他方、第2の領域において、この特性は、筒内の状態変化が準静的に進行するものとして、下式(5)により与えられる。これは、吸気弁閉時期IVCに筒内が吸気通路101内の密度及び温度で充填されたものとした場合の気体の状態方程式から明らかであり、(5)式は、シリンダ吸入空気量Qcylが吸気脈動分を加味した実際の吸気圧力Pm(=Pmave+ΔPmivc)に比例し、実際の吸気温度Tm(=Tmave+ΔTmivc)の逆数に比例することを示している。なお、(5)式において、Pmave,Tmaveは、平均又は代表の吸気圧力、吸気温度を示し、ΔPmivc,ΔTmivcは、吸気弁閉時期IVCにおける吸気圧力Pmivc及び吸気温度Tmivcの平均吸気圧力Pmave、平均吸気温度Tmaveに対する変化量を示している。また、本実施形態に関し、記号∝は、左辺の値が右辺の値に比例することを示すものとする。
Qcyl∝Pm×(Tm)−1/2 ・・・(4)
b)DQcyl≒0:
Qcyl∝Pcylivc×(Tcylivc)−1
=Pmivc×(Tmivc)−1
=(Pmave+ΔPmivc)×(Tmave+ΔTmivc)−1 ・・・(5)
これらの2式(4)、(5)により表される特性を内包するものとして、第1及び第2の領域を含む運転領域全体に亘る、最も確からしい1つの特性を近似により設定する。本実施形態では、流れの状態に応じて変化させ得る2つの係数をK1,K2として、この1つの特性を次式(6)により定義する。なお、係数K1,K2は、いずれも0以上、かつ1以下の値をとり、シリンダ吸入空気量Qcylと理論最大吸入空気量QMAXとの比(=Qcyl/QMAX)に応じ、これが大きいときほど大きな値に設定される(図4のブロックB104a,B105a)。
吸気脈動分を加味した実際のシリンダ吸入空気量Qcylは、(6)式の特性をもとに、吸気脈動分ΔPmivc,ΔTmivcを加味した場合のものと、この吸気脈動分を0とした場合のものとの比をRpulとして、次式(7)及び(8)により与えられる。
Rpul={(Pmave+K1・ΔPmivc)/Pmave}×{(Tmave+K1・ΔTmivc)/Tmave}−1/(2−K2) ・・・(8)
この(8)式から圧力補正項及び温度補正項を抽出し、夫々シリンダ吸入空気量の圧力補正係数PRATE、温度補正係数TRATEとして設定する。
TRATE={(Tmave+K1・ΔTmivc)/Tmave}−1/(2−K2) ・・・(10)
ECU201は、テーブルの検索により算出した基本吸入空気量Qcyl0にこの圧力補正係数PRATE及び温度補正係数TRATEを乗算し、シリンダ吸入空気量Qcylを算出する。
図4は、ECU201のうちシリンダ吸入空気量Qcylの測定に関する部分の構成を示している。なお、この図4に示すシリンダ吸入空気量測定部全体により本実施形態に係る「制御手段」としての機能が実現され、シリンダ吸入空気量測定部のうち、後述する圧力補正係数算出部B104、温度補正係数算出部B105及び脈動変化量算出部により本実施形態に係る「補正手段」としての機能が実現される。
基本吸入空気量算出部B103は、算出した仮想ソニック吸入空気量QD及び理論最大吸入空気量QMAXに基づいて基本吸入空気量Qcyl0を算出する。すなわち、第1の比RQ1(=QD/QMAX)を算出するとともに、算出したRQ1によりテーブルを検索して、対応する第2の比RQ2を算出し、算出したRQ2に理論最大吸入空気量QMAXを乗算することで、基本吸入空気量Qcyl0を算出する。
温度補正係数算出部B105は、脈動変化量算出部により算出された脈動温度変化量ΔTmivcをもとに、(10)式により温度補正係数TRATEを算出する。係数K2も、係数K1と同様に0以上、かつ1以下の範囲内で、比Qcyl/QMAXが大きくなるのに従い2次的に増大する。
ΔTmivc=ΔTmivc0×Pm/Patm ・・・(12)
ECU201は、以上のように算出した基本吸入空気量Qcyl0をもとに、下式(13)によりシリンダ吸入空気量Qcylを算出する。なお、(13)式において、オーバーラップ期間に筒内から吸気通路101内へ吹き返す排気の量(すなわち、吹返ガス量)をQIFBとする。この吹返ガス量QIFBは、後述する吹返ガス量算出部(図11)により算出され、実際の制御に際してこのシリンダ吸入空気量測定部に読み込まれる。
図9は、実効上死点算出部の構成を示している。この実効上死点算出部により本実施形態に係る「第1の特性線算出手段」、「第2の特性線算出手段」、「実効上死点算出手段」及び「筒内圧力算出手段」としての機能が実現される。
本実施形態では、オーバーラップ期間の後半における排気弁通過ガス量(ここでは、単位クランク角当たりの流量として扱う。)DQexhの特性を近似的に表す第1の関数fqelを算出するとともに、オーバーラップ期間全体に亘る筒内ガス量変化分DLTMの特性を近似的に表す第2の関数fdmを算出し、算出したfqel,fdmにより表される各近似特性線の交点を特定し、この交点の時期を実効上死点TDCRとして算出する。これは、実効上死点TDCRが筒内への空気の吸入が実際に開始される時期であり、筒内と吸気通路101内との間におけるガスの出入りが停止する時期としての意義を持つことから、筒内ガス量変化分DLTMの全てが筒内と排気通路107内との間におけるガスの出入りによるものであるという物理的な事実に基づくものである。本実施形態では、特に、吸気弁開時期IVOが幾何上死点TDC前の所定の時期(「第1の時期」に相当する。)mBTDCX以前にあるか、これよりも後にあるかで、第2の関数fdmの算出方法を変更する。
実効上死点算出部は、ブロックB502において、第1の関数fqelの算出のため、オーバーラップ期間の後半における2つの点A,Bを設定し、点A,Bにおける排気弁通過ガス量DQexha,DQexhbを算出する。本実施形態では、点A,Bとして、排気弁閉時期EVCの点Aと、オーバーラップ期間の後半における所定の時期CA1の点Bとを採用する。一方の点Aに排気弁閉時期EVCの点を採用するのは、排気弁閉時期EVCにおける排気弁通過ガス量DQexh(=DQexha)が0であり、演算を簡素化し得るからである。他方の点Bは、排気弁通過ガス量DQexhの変化にクランク角CAに対する線形性が認められる範囲で任意の点を実験又はシミュレーションにより評価して決定する。本実施形態では、点Bとして、エンジン1の運転条件によらずこの線形性が充分な確からしさで認められる点(たとえば、IVOからEVCまでの横軸上の線分を1つの辺として、この辺を3:1に内分する点)を採用する。なお、排気弁通過ガス量DQexhは、排気ポート107aの開口面積が小さい場合にこの開口面積に比例する特性を示すことから、実験等による方法に代え、排気弁通過ガス量DQexhの線形性の評価に排気弁108の作動特性を採用することができる。排気弁108のリフト量VLIFTeがクランク角CAに対して直線的に減少する領域を特定し、この領域における排気弁閉時期EVC以外の時期の点を、点Bに設定するのである。点Bにおける排気弁通過ガス量DQexhbは、この時期CA1に排気ポート107aに形成される開口面積をAevとして、下式(14)により算出する。なお、(14)式において、排気温度Teは、計算により推定することもできるが、本実施形態では、排気温度センサ216により直接的に検出している。また、排気のガス定数Re及び比熱比κeは、いずれも目標当量比に基づいて算出することができる。点A,Bを通る直線(「第1の近似特性線」に相当する。)L1の関数を、第1の関数fqelとして算出する。
他方、実効上死点算出部は、ブロックB503a,B503bにおいて、第2の関数fdmの算出のため、オーバーラップ期間中の2つの点C,Dを設定し、下式(15)により点C,Dにおける筒内ガス量変化分DLTMc,DLTMdを算出する。この(15)式は、オーバーラップ期間に亘り筒内温度Tcylが一定であると近似して、気体の状態方程式を時間tにより微分して得られたものである。本実施形態では、選択部B510により、吸気弁開時期IVOに応じて点C,Dを切り換えることとする。吸気弁開時期IVOが所定の時期mBTDCX以前にある場合、すなわち、エンジン1が比較的に高負荷側の領域にある場合は、ブロックB503aにおいて、点C,Dとして、幾何上死点TDC及び吸気弁開時期IVOの各点を採用する。他方、吸気弁開時期IVOが時期mBTDCXよりも後にあり、かつ幾何上死点TDC以前にある場合、すなわち、エンジン1が前記領域よりも低負荷側の中負荷域にある場合は、ブロックB503bにおいて、点C,Dとして、幾何上死点TDCよりも後の所定の時期(「第2の時期」に相当する。)ATDCα、及び吸気弁開時期IVOの各点を採用する。いずれの場合も、筒内温度Tcylを排気温度Teにより近似する。ガス定数には、排気のガス定数Reを採用するが、これは、本実施形態で採用する点C,Dがいずれも実効上死点TDCR前の時期であり、そのような時期において、筒内への空気の吸入が開始されておらず、筒内が排気で占められていると考えられることによるものである。筒内圧力Pcylは、前述した筒内圧力Pcylの近似式から得ることができ、筒内容積Vcylは、エンジン1に固有のものとして幾何学的に算出することができる。また、これらの変数Pcyl,Vcylの時間当たりの変化率dPcyl,dVcylは、クランク角当たりの変化率に、エンジン回転数NEに応じた係数を乗算することにより得られる。実効上死点算出部は、以上のように領域毎に定められる点C,Dをもとに、これらの点を通る直線(「第2の近似特性線」に相当する。)L2の関数を、第2の関数fdmとして算出する。なお、本実施形態では、吸気弁開時期IVOが幾何上死点TDCよりも後にあるときは、吸気通路101内への排気の吹き返しが生じないものとする。すなわち、吸気弁104の開弁に伴い筒内への空気の吸入が開始するものとして、実効上死点TDCRを吸気弁開時期IVOとするのである。
実効上死点算出部は、ブロックB504において、以上のように算出した第1及び第2の関数fqel,fdmにより表される直線L1,L2の交点Eを特定し、この交点Eの時期を実効上死点TDCRとして算出する。
本実施形態では、オーバーラップ期間の前半における吸気弁通過ガス量DQintの特性を近似的に表す第3の関数fqiを算出するとともに、オーバーラップ期間の前半における排気弁通過ガス量DQexhの特性を近似的に表す第4の関数fqefを算出し、算出したfqefと、実効上死点算出部により算出された第1の関数fqelとにより表される各近似特性線の交点を特定し、この交点の時期に吸気弁通過ガス量DQintの変化の正負が切り換わるものとして、第3の関数fqiに基づいて吹返ガス量QIFBを算出する。この交点は、排気弁通過ガス量DQexhが第4の特性fqefから第1の特性fqelに移行する点としての性質を持つものであり、この交点を基準として筒内と排気通路107内との間におけるガスの出入りが収束に向かい、筒内圧力Pcylが急速に減少するものと考えられるからである。
吹返ガス量算出部は、ブロックB601において、第3の関数fqiの算出のため、オーバーラップ期間の前半における2つの点F,Gを設定し、点F,Gにおける吸気弁通過ガス量DQintf,DQintgを算出する。本実施形態では、点F,Gとして、吸気弁通過ガス量DQint(=DQintf)が0となる吸気弁開時期IVOの点Fと、オーバーラップ期間の前半における所定の時期CA2の点Gとを採用する。点Gは、吸気弁通過ガス量DQintのクランク角CAに対する線形性がエンジン1の運転条件によらず認められる範囲で任意の点を実験等により評価して決定してもよいが、本実施形態では、この線形性の評価に吸気弁104の作動特性を採用し、吸気弁通過ガス量DQintと吸気弁104の作動特性との相似的な関係から、点Gを決定する。すなわち、オーバーラップ期間の前半では、吸気ポート101aの開口面積が小さく、吸気弁通過ガス量DQintがこの前半の期間における開口面積に比例するものと近似し得ることから、吸気弁104のリフト量VLIFTiがクランク角CAに対して直線的に増加する領域を特定し、この領域における吸気弁開時期IVO以外の時期の点を、点Gに設定するのである。本実施形態では、吸気弁開時期IVOが所定の時期mBTDCX以前にある高負荷域において、点Gとして、吸気弁開時期IVOから排気弁閉時期EVCまでの横軸上の線分を1つの辺として、この辺を1:1に内分する点を採用する。点Gにおける吸気弁通過ガス量DQintgは、この時期に吸気ポート101aに形成される開口面積をAivとして、下式(16)により算出する。点F,Gを通る直線L3の関数を、第3の関数fqiとして算出する。本実施形態では、吸気弁開時期IVOが時期mBTDCXよりも後にある中負荷域において、直線L3の傾きとして、高負荷域にあるときに算出した第3の関数fqiの傾きを採用する。
また、吹返ガス量算出部は、ブロックB602において、第3の関数fqiにより表される直線F3と、実効上死点算出部により算出された第2の特性fdmにより表される直線L2との交点Hを特定する。この交点Hは、筒内ガス量変化分DLTMの全てが筒内と吸気通路101内との間におけるガスの出入りによるものであることを示すことから、これを排気弁通過ガス量DQexhが0となる点Iを与えるものとして採用し、吸気弁開時期IVOの点Dと、この点Iとを通る直線L4の関数を、第4の関数fqefとして算出する。なお、吸気弁開時期IVOでは、吸気弁通過ガス量DQintが0であり、排気弁通過ガス量DQexhと筒内ガス量変化分DLTMとが等しくなる。
図13は、オーバーラップ期間における実際の吸気弁通過ガス量DQint、排気弁通過ガス量DQexh及び筒内ガス量変化分DLTMと、第1〜第4の関数fqel,fdm,fqi,fqefにより表される近似特性線L1〜L4との関係を示している。吹返ガス量QIFBは、(17)式により斜線で示す部分の面積として算出される。なお、本実施形態に関し、排気弁通過ガス量DQexhの特性が第4の関数fqefにより表される特性(クランク角に対して増加する傾向を示す。)から第1の関数fqelにより表される特性(クランク角に対して減少する傾向を示す。)に移行する点Jの時期CA3を基準として、これよりも前の期間PRDFがオーバーラップ期間の前半に、それ以後の期間PRDLがオーバーラップ期間の後半に相当する。
すなわち、本実施形態では、オーバーラップ期間の後半における排気弁通過ガス量DQexhに関する第1の近似特性線L1、及びオーバーラップ期間における筒内ガス量変化分DLTMに関する第2の近似特性線L2を算出するとともに、算出した各近似特性線L1,L2の交点Eを特定し、この交点Eの時期を実効上死点TDCRとして算出することとした。実効上死点TDCRは、筒内への空気の吸入開始時期としての意義を持ち、この時期における筒内ガス量変化分DLTMの全てが筒内と排気通路107内との間におけるガスの出入りによるものであることから、実際の物理現象に即した的確なモデルにより実効上死点TDCRを算出することができる。本実施形態では、算出したTDCRをシリンダ吸入空気量Qcylの算出に反映させたことで、シリンダ吸入空気量を正確に算出し、エンジン1の目標トルクを高い精度で実現することができる。
また、以上では、測定したシリンダ吸入空気量Qcylを吸入空気量の制御における吸気圧力Pmの補正に採用することとしたが、これを燃料噴射量の設定に採用することもできる。
Claims (11)
- 吸気弁及び排気弁の弁開期間が互いに重なり合う運転条件が設定されたエンジンの制御装置であって、
前記弁開期間が重なり合うオーバーラップ期間の後半における複数の時期、ならびにこれらの時期における、排気ポートの開口面積、ならびに排気通路内及び筒内の各圧力に基づき算出される排気弁通過ガス量に基づいて、前記後半の期間における排気弁通過ガス量に関する第1の近似特性線を算出する第1の特性線算出手段と、
前記オーバーラップ期間中の複数の時期及びこれらの時期における、筒内の容積及び圧力に基づき算出される筒内ガス量変化分に基づいて、前記オーバーラップ期間における筒内ガス量変化分に関する第2の近似特性線を算出する手段であって、筒内容積が最も小さくなる時期として幾何学的に定められる上死点を幾何上死点として、吸気弁開時期がこの幾何上死点よりも早い時期として予め定められた第1の時期後にあるときに、この幾何上死点よりも遅い時期として予め定められた、前記複数の時期としての第2の時期における前記筒内ガス量変化分を0として、前記第2の近似特性線を算出する第2の特性線算出手段と、
前記第1及び第2の特性線算出手段により算出された各近似特性線の交点を特定して、この交点の時期を実効上死点として算出する実効上死点算出手段と、
前記実効上死点算出手段により算出された実効上死点に基づいて、エンジン制御に関する所定の演算を実行する制御手段と、を含んで構成されるエンジンの制御装置。 - 前記第2の特性線算出手段は、吸気弁開時期が前記第1の時期から幾何上死点までの期間にあるときに、前記第2の時期における前記筒内ガス量変化分を0として、前記第2の近似特性線を算出する請求項1に記載のエンジンの制御装置。
- 前記第2の時期は、排気弁閉時期よりも早い時期である請求項1又は2に記載のエンジンの制御装置。
- 前記第1の近似特性線の算出に関する前記複数の時期に排気弁閉時期が含まれる請求項1〜3のいずれかに記載のエンジンの制御装置。
- 前記吸気弁開時期が前記第1の時期後にある条件に関し、前記第2の近似特性線の算出に関する前記複数の時期に、前記第2の時期以外に吸気弁開時期が含まれる請求項1〜4のいずれかに記載のエンジンの制御装置。
- 前記吸気弁開時期が前記第1の時期よりも前にある条件に関し、前記第2の近似特性線の算出に関する前記複数の時期に、幾何上死点及び吸気弁開時期のうち少なくとも一方が含まれる請求項1〜5のいずれかに記載のエンジンの制御装置。
- 前記オーバーラップ期間における筒内圧力の変化を直線により近似して、この期間における筒内圧力を算出する筒内圧力算出手段を更に含んで構成される請求項5又は6に記載のエンジンの制御装置。
- 筒内に吸入される空気の量が吸気弁の作動特性を変更して制御されるエンジンに適用される請求項1〜7のいずれかに記載のエンジンの制御装置。
- 前記制御手段は、前記実効上死点に基づいて、筒内に吸入される空気の量であるシリンダ吸入空気量を算出する請求項8に記載のエンジンの制御装置。
- 前記制御手段は、吸気弁の作動特性に応じた吸気ポートの開口面積でソニック流として吸入した場合に得られるシリンダ吸入空気量を仮想ソニック吸入空気量QDとし、かつ吸気の開始から終了までのピストンの行程容積を吸気弁上流における吸入空気の密度及び温度で充填した場合に得られるシリンダ吸入空気量を理論最大吸入空気量QMAXとして、実際のシリンダ吸入空気量Qcylに関して第1の比QD/QMAX、及び第2の比Qcyl/QMAXの間の一義的な関係が設定され、実際の運転時において、前記第1の比を算出するとともに、算出した第1の比に基づいて前記関係により前記実際のシリンダ吸入空気量を算出するものであり、前記仮想ソニック吸入空気量及び前記理論最大吸入空気量の算出期間の始期を前記実効上死点として、前記第1の比を算出する請求項9に記載のエンジンの制御装置。
- 前記制御手段は、前記関係により算出した基本吸入空気量に対し、吸気通路内における気柱振動に起因するシリンダ吸入空気量の変動分に応じた補正を施す補正手段を含んで構成され、
前記補正手段は、筒内へ向かう吸入空気の流れがチョークする第1の領域と、この第1の領域以外の第2の領域とが定められ、前記第1及び第2の領域の間で異なる特性により前記補正を行う請求項10に記載のエンジンの制御装置。
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