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JP4727033B2 - チトクロームcオキシダーゼ酵素複合体 - Google Patents

チトクロームcオキシダーゼ酵素複合体 Download PDF

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JP4727033B2 JP2000351502A JP2000351502A JP4727033B2 JP 4727033 B2 JP4727033 B2 JP 4727033B2 JP 2000351502 A JP2000351502 A JP 2000351502A JP 2000351502 A JP2000351502 A JP 2000351502A JP 4727033 B2 JP4727033 B2 JP 4727033B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2-ケト-L-グロン酸の組換え的製造およびその有用な生物材料に関する。
【0002】
チトクロームcオキシダーゼ(チトクロームaa3;EC 1.9.3.1)は、ミトコンドリアおよび多くの細菌の好気性呼吸電子伝達系における末端オキシダーゼ酵素である。本酵素は細胞質膜貫通複合体であり、末端電子放出;ペリプラスム表面でのフェロチトクロームc(電子供与体)の再酸化/細胞質表面での分子酸素(電子受容体)の水への還元を触媒する。反応は膜を通過するプロトンの排出にカップリングしており、このカップリングは基質酸化からの生物エネルギー保存にとって必須である。
【0003】
【従来の技術】
様々なタイプのチトクローム複合体、例えば、aa3、a1、caa3、o、bo、co、bd-型が、機能的な末端オキシダーゼとして同定されている;いくつかの末端オキシダーゼの精製および特徴付けが報告されている。松下(Matsushita)らは、アセトバクター・アセチ(Acetobacter aceti)IFO 3283が2つの末端オキシダーゼ、すなわちチトクロームa1およびoを含むことを報告し、チトクロームa1を精製して特徴を調べた(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:9863、1990;J. Bacteriol. 174:122、1992)。松下(Matsushita)らはまた、グルコノバクター(Gluconobacter)からのチトクロームoの精製を報告した(Biochem. Biophys. Acta. 894:304、1987)。田山(Tayama)らは、A. アセチ(A. aceti)の末端オキシダーゼ(チトクロームa1)遺伝子を開示した(日本国特許第93-317054号);彼らは、72、34、21および13 kDaという4つのサブユニットからなりヘムaおよびヘムbを含むオキシダーゼ酵素を精製した。アセトバクターおよびグルコノバクターのオキシダーゼは、キノールオキシダーゼに属する。チトクロームaa3(チトクロームcオキシダーゼ)は、ウシ心臓、酵母、ならびにパラコッカス・デニトリフィカンス(Paracoccous denitrificans)(ソリオツ(Solioz)ら、J. Biol. Chem., 257:1579〜1582、1982)およびロードバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)(ホスラー(Hosler)ら、J. Biol. Chem. 267:24264〜24272、1992)を含む多くの細菌から精製されている。
【0004】
哺乳類(ミトコンドリア)チトクロームcオキシダーゼ(aa3型)複合体は、異なる13個のサブユニットを含む;3つのコアサブユニットI、II、およびIII(CO I、IIおよびIII)はミトコンドリアDNAによってコードされるが、残りの10個は核に由来する。細菌のaa3-型チトクロームcオキシダーゼも同様に、3つのコアサブユニットを含み、これはミトコンドリアコアサブユニットと相同である。しかし、CO IIIは、精製の際に容易に失われ、その結果CO IおよびCO IIのみで構成される調節物が得られる(ルドウィッヒ(Ludwig)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:196〜200、1980)。2つのサブユニット(CO IおよびII)からなるチトクロームcオキシダーゼ複合体は、電子化学プロトン勾配を生成する酸化還元活性を示した。P. デニトリフィカンス(ハルチア(Haltia)ら、The EMBO Journal, 10:2015〜2021、1991)およびR. スフェロイデス(カオ(Cao)ら、Gene, 101:133〜137、1991)の場合、2つのサブユニット型(CO I/II)および3つのサブユニット型(CO I/II/III)の複合体はいずれも異なる精製法によって単離された。遺伝学上、CO IIおよびIIIに対する遺伝子は一つのオペロン中に存在するが、CO Iに対する遺伝子は独立して存在する(ライチオ(Raitio)ら、The EMBO Journal, 9:2825〜2833、1987、シャプレイ(Shapleigh)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4786〜4790、1992)。
【0005】
上記の末端オキシダーゼは分子酸素の還元を完了させるために、好気性条件での増殖に重要な役割を果たしている。酸化発酵では、末端オキシダーゼを含む呼吸鎖は、基質の酸化を行って酸化された産物を生じるように作用する。この意味において、効率のよい酸化発酵を行うために、呼吸鎖の効率を改善することが非常に重要である。
【0006】
G. オキシダンスDSM4025は、L-ソルボースからL-ソルボソンを経由してL-アスコルビン酸を生産するプロセスにおける重要な中間体である2-ケト-L-グロン酸(以降:2KGA)を生じる(星野(T. Hoshino)ら、EP 0 366 922 A)。基質であるL-ソルボースの2KGAへの酸化は、呼吸電子伝達鎖によって行われると考えられた。酸素への最終電子放出を触媒する末端オキシダーゼは、他の酸化還元成分と共に、2KGA生産系における速度論的律速段階の一つである可能性がある。L-ソルボースからの2KGA形成に関与する初発脱水素酵素は単離されており(星野(T. Hoshino)ら、EP606621 A)、遺伝子がクローニングされてシークエンシングされている;4つのアイソザイムが認められ(星野(T. Hoshino)ら、EP832974 A)、その直接の電子受容体であるチトクロームc551は、精製されてその遺伝子はクローニングされた(星野(T. Hoshino)ら、EP0869175 A)。しかし、末端オキシダーゼは単離されておらず、その遺伝子はクローニングされなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、新規チトクロームcオキシダーゼ遺伝子を利用して、チトクロームcオキシダーゼの量および質を改善し、そしてチトクロームcオキシダーゼによって行われる酸化発酵を改善するための材料を提供することを目的とする。寄託番号DSM 4025のグルコノバクター・オキシダンスとして寄託された微生物は、本発明の新規チトクロームcオキシダーゼおよびその遺伝子材料の提供源の好ましい例である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、天然源から単離される、または遺伝子操作によって調製される新規チトクロームcオキシダーゼ酵素複合体を提供する。チトクロームcオキシダーゼ活性を有するそのような酵素複合体は、G. オキシダンスDSM 4025として同定される微生物、またはG. オキシダンスDSM 4025の明確な特徴を有する微生物の生物学的および/もしくは分類学的に同種の培養物に由来する生物材料または遺伝子材料から得ることができる、もしくは得られる。このように、本発明は、呼吸鎖における電子伝達を媒介する本質的な成分として有用な新規チトクロームcオキシダーゼ複合体を提供する。
【0009】
本明細書において例示されるチトクロームcオキシダーゼ複合体は、以下の物理化学特性を示す複合体である:(i)COIの見かけの分子量がSDS-PAGE分析によって約43±10 kDaであり、COIIの見かけの分子量がSDS-PAGE分析によって約36±10 kDaである、I(COI)およびII(COII)という少なくとも2つのコアサブユニットの存在を示す、ならびに(ii)aa3型チトクロームcオキシダーゼを示す吸収スペクトルが、還元型から酸化型を差し引いたスペクトルの差が605±1 nmで最大である。そのようなチトクロームcオキシダーゼ複合体は、G. オキシダンスDSM 4025として同定される微生物の培養、またはG. オキシダンスDSM 4025の明確な特徴を有する微生物の生物学的および/もしくは分類学的に同種の培養物に由来する実質的に同種の単離体として提供することができる。
【0010】
本発明の新規チトクロームcオキシダーゼ複合体はまた、組換え型ポリペプチドが配列番号:2に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、およびその配列と85%またはそれ以上の同一性を有し且つ複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができるポリペプチドからなる群より選択することができる、コアサブユニットI(COI)として組換え型ポリペプチドを含んでもよい、組換え型酵素の形として提供することができる。さらに、他のコアサブユニットII(COII)およびIII(COIII)は、配列番号:4、6および/または8によって示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、およびそのアミノ酸配列と85%またはそれ以上の同一性を有し且つ複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができるポリペプチドからなる群より選択される組換え型ポリペプチドでありうる。
【0011】
本発明のもう一つの局面として、それぞれのコアサブユニット、すなわちCOI、COII、およびCOIIIは、本発明の新規チトクロームcオキシダーゼ複合体の成分にとって有用な組換え型ポリペプチドとして提供される。
【0012】
本明細書におけるCOIの一例は、チトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれる組換え型ポリペプチドであって、配列番号:2に示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有し且つ複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。組換え型COIは、以下の(a)および(b)からなる群より選択されるDNA配列を含む組換え型DNA断片によってコードされる、チトクロームcオキシダーゼ活性を本発明の複合体に提供することができるポリペプチドであってもよい:
(a)配列番号:1によって示されるDNA配列;および
(b)配列番号:2によって示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列。
【0013】
同様に、本明細書におけるCOIIの一例は、本発明のチトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれる組換え型ポリペプチドであって、配列番号:4に示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有し且つ複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。組換え型COIIは、以下の(a)および(b)からなる群より選択されるDNA配列を含む組換え型DNA断片によってコードされる、本発明の複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができるポリペプチドであってもよい:
(a)配列番号:3によって示されるDNA配列;および
(b)配列番号:4によって示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列。
【0014】
さらに、本明細書におけるCOIIIの一例も同様に、本発明のチトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれる組換え型ポリペプチドである。そのような組換え型ポリペプチドは、それぞれ配列番号:6および8のいずれか、または双方によって示されるアミノ酸配列、または配列番号:6および8のそれぞれのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有し且つ上記複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができるアミノ酸配列をいずれか、または双方を含む。組換え型COIIIは、以下の(a)〜(d)からなる群より選択されるDNA配列を1つまたは複数含む組換え型DNA断片によってコードされる、チトクロームcオキシダーゼ活性を本発明の複合体に提供することができる組換え型ポリペプチドであってもよい:
(a)配列番号:5によって示されるDNA配列;
(b)配列番号:7によって示されるDNA配列;
(c)配列番号:6によって示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列;および
(d)配列番号:8によって示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列。
【0015】
本発明のさらなる局面において、遺伝子操作によってそれぞれのコアサブユニット、すなわちCOI、COII、およびCOIIIを調製するために有用な組換え型DNA断片を提供する。そのような組換え型ポリペプチドは、本発明の新規チトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれる成分にとって有用である。先に説明したように、これらのポリペプチドは本発明のチトクロームcオキシダーゼ複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができるものでなければならない。
【0016】
本明細書におけるCOIの組換え型DNA断片の一例は、チトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれるポリペプチドをコードし且つ以下の(a)および(b)からなる群より選択されるDNA配列を含むDNA断片である:
(a)配列番号:1によって示されるDNA配列;および
(b)配列番号:2によって示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列。
【0017】
同様に、本明細書におけるCOIIの組換え型DNA断片の一例は、チトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれるポリペプチドをコードし且つ以下の(a)および(b)からなる群より選択されるDNA配列を含むDNA断片である:
(a)配列番号:3によって示されるDNA配列;および
(b)配列番号:4によって示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列。
【0018】
その上、同様に本明細書におけるCOIIIの組換え型DNA断片の一例は、チトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれるポリペプチドをコードし且つ以下の(a)〜(d)からなる群より選択されるDNA配列を1つまたは複数含むDNA断片である:
(a)配列番号:5によって示されるDNA配列;
(b)配列番号:7によって示されるDNA配列;
(c)配列番号:6によって示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列;および
(d)配列番号:8によって示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列。
【0019】
その上、本発明のもう一つの局面において、上記の組換え型DNA断片を1つまたは複数含む発現ベクターであって、生物体内、原核宿主細胞または真核宿主細胞内における発現に適しているベクターを提供する。
【0020】
さらに、本発明のもう一つの局面は、上記の発現ベクターを導入した組換え型生物を提供することである。本発明のそのような組換え型生物は、本発明の組換え型チトクロームcオキシダーゼ複合体の遺伝学的調製にとって有用であり、同様に適当な培養培地においてL-ソルボースまたはD-ソルビトールから2KGAを製造する方法に適用可能である。本発明の組換え型生物の宿主細胞は、真核生物起源、好ましくは哺乳類もしくは植物細胞起源であり、または原核生物起源であってもよい。それらの宿主細胞は特に、細菌から得てもよく、好ましくは、G. オキシダンスDSM 4025から、ならびにグルコノバクター・オキシダンスDSM 4025の明確な特徴を有する微生物の生物学的および/または分類学的に同種の培養物から得てもよい。
【0021】
本発明はまた、上記の本発明の組換え型生物を培養する段階、特に本明細書において例示した好ましいDNA配列を含む組換え型生物を適当な培養培地で培養する段階、および培養培地からチトクロームcオキシダーゼを回収する段階を含む、チトクロームcオキシダーゼの製造方法も目的とする。
【0022】
さらに、本発明はまた、上記の本発明の組換え型生物を適当な培養培地で培養する段階、および培養物から2KGAを回収する段階を含む、L-ソルボースまたはD-ソルビトールから2KGAを製造する方法も目的とする。
【0023】
本発明に係る、オキシダーゼ複合体においては、(1)グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)DSM 4025として同定された微生物、またはグルコノバクター・オキシダンスDSM 4025の明確な特徴を有する微生物の生物学的および/または分類学的に同種の培養物に由来する生物材料または遺伝子材料から得ることができる、または得られたチトクロームcオキシダーゼ活性を有するチトクロームcオキシダーゼ複合体であることを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係るオキシダーゼ複合体においては、(2)以下の物理化学特性を示す、上記(1)記載のチトクロームcオキシダーゼ複合体であることを特徴とする:
(i)COIの見かけの分子量がSDS-PAGE分析によって約43±10 kDaであり;且つCOIIの見かけの分子量がSDS-PAGE分析によって約36±10 kDaである、I(COI)およびII(COII)の少なくとも2つのコアサブユニットの存在を示す;ならびに
(ii)aa3型のチトクロームcオキシダーゼを示す吸収スペクトルが還元型から酸化型を差し引いたスペクトルの差が605±1 nmで最大である。
【0025】
また、本発明に係るオキシダーゼ複合体においては、(3)グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)DSM 4025として同定された微生物の培養物、またはグルコノバクター・オキシダンスDSM 4025の明確な特徴を有する微生物の生物学的および/または分類学的に同種の培養物に由来する実質的に同種の単離体である、上記(1)または(2)に記載のチトクロームcオキシダーゼ複合体であることを特徴とする。
【0026】
また、本発明に係るオキシダーゼ複合体においては、(4)組換え型酵素である、上記(1)〜(3)のいずれか一項記載のチトクロームcオキシダーゼ複合体であることを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係るオキシダーゼ複合体においては、(5)配列番号:2に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、およびその配列と85%またはそれ以上の同一性を有し且つ複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができるアミノ酸配列を有するポリペプチドからなる群より選択される組換え型ポリペプチドを含む、上記(4)記載のチトクロームcオキシダーゼ複合体であることを特徴とする。
【0028】
また、本発明に係るオキシダーゼ複合体においては、(6)配列番号:4、6および/または8に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、およびそれらのアミノ酸配列のいずれか1つと85%またはそれ以上の同一性を有し且つ複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができるアミノ酸配列を含むポリペプチドからなる群より選択される組換え型ポリペプチドを少なくとも1つ含む、上記(4)または(5)記載のチトクロームcオキシダーゼ複合体であることを特徴とする。
【0029】
また、本発明に係るポリペプチドにおいては、(7)配列番号:2に示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有し且つ複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができるアミノ酸配列を含む、上記(1)〜(6)のいずれか一項記載のチトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれる組換え型ポリペプチドであることを特徴とする。
【0030】
また、本発明に係るポリペプチドにおいては、(8)以下の(a)および(b)からなる群より選択されるDNA配列を含む組換え型DNA断片によってコードされる、上記(1)〜(6)のいずれか一項記載の複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができる、上記(7)記載の組換え型ポリペプチドであることを特徴とする:
(a)配列番号:1に示されるDNA配列;および
(b)配列番号:2に示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列。
【0031】
また、本発明に係るポリペプチドにおいては、(9)配列番号:4に示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有し且つ複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができるアミノ酸配列を含む、上記(1)〜(6)のいずれか一項記載のチトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれる組換え型ポリペプチドであることを特徴とする。
【0032】
また、本発明に係るポリペプチドにおいては、(10)以下の(a)および(b)からなる群より選択されるDNA配列を含む組換え型DNA断片によってコードされる、上記(1)〜(6)のいずれか一項記載の複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができる、上記(9)記載の組換え型ポリペプチドであることを特徴とする:
(a)配列番号:3に示されるDNA配列;および
(b)配列番号:4に示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列。
【0033】
また、本発明に係るポリペプチドにおいては、(11)配列番号:6もしくは8に示されるアミノ酸配列、または配列番号:6および8のアミノ酸配列のいずれかと85%もしくはそれ以上の同一性を有し且つ複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができるアミノ酸配列を含む、上記(1)〜(6)のいずれか一項記載のチトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれる組換え型ポリペプチドであることを特徴とする。
【0034】
また、本発明に係るポリペプチドにおいては、(12)以下の(a)〜(d)からなる群より選択されるDNA配列を含む組換え型DNA断片によってコードされる、上記(1)〜(6)のいずれか一項記載の複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができる、上記(11)記載の組換え型ポリペプチドであることを特徴とする:
(a)配列番号:5によって示されるDNA配列;
(b)配列番号:7によって示されるDNA配列;
(c)配列番号:6によって示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列;および
(d)配列番号:8によって示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列。
【0035】
また、本発明に係るDNA断片においては、(13)上記(8)記載のDNA配列を含み、上記(1)〜(6)のいずれか一項記載の複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができるポリペプチドのアミノ酸配列をコードする組換え型DNA断片であって、該DNA配列が以下の(a)および(b)からなる群より選択される断片であることを特徴とする:
(a)配列番号:1に示されるDNA配列;および
(b)配列番号:2に示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列。
【0036】
また、本発明に係るDNA断片においては、(14)上記(10)記載のDNA配列を含み、上記(1)〜(6)のいずれか一項記載の複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができるポリペプチドに含まれるアミノ酸配列をコードする組換え型DNA断片であって、該DNA配列が以下の(a)および(b)からなる群より選択される断片であることを特徴とする:
(a)配列番号:3に示されるDNA配列;および
(b)配列番号:4に示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列。
【0037】
また、本発明に係るDNA断片においては、(15)上記(12)記載のDNA配列を含み、上記(1)〜(6)のいずれか一項記載の複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができるポリペプチドに含まれるアミノ酸配列をコードする組換え型DNA断片であって、該DNA配列が以下の(a)〜(d)からなる群より選択される断片であることを特徴とする:
(a)配列番号:5によって示されるDNA配列;
(b)配列番号:7によって示されるDNA配列;
(c)配列番号:6によって示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列;および
(d)配列番号:8によって示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列。
【0038】
また、本発明に係るベクターにおいては、(16)上記(13)、(14)、および(15)のいずれか一項記載の断片から選択される組換え型DNA断片を1つまたは複数含む発現ベクターであって、生物体内での発現に適しているベクターであることを特徴とする。
【0039】
また、本発明に係るベクターにおいては、(17)生物が、大腸菌、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)、アセトバクター・パスツーリアヌス(Acetobacter pasteurianus)、アセトバクター・アセチ(Acetobacter aceti)、アセトバクター・ハンゼニイ(Acetobacter hansenii)、およびグルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)のような細菌からなる群より選択される微生物である、上記(16)記載の発現ベクターであることを特徴とする。
【0040】
また、本発明に係るベクターにおいては、(18)生物が、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)DSM 4025として同定された微生物、またはグルコノバクター・オキシダンスDSM 4025の明確な特徴を有する微生物の生物学的および/もしくは分類学的に同種の培養物である、上記(16)記載の発現ベクターであることを特徴とする。
【0041】
また、本発明に係る生物においては、(19)上記(16)〜(18)のいずれか一項記載の発現ベクターによって導入される組換え型生物であることを特徴とする。
【0042】
また、本発明に係る生物においては、(20)組換え型生物が、上記(13)、(14)、および(15)記載の断片から選択される一つまたは複数のDNA断片をゲノム中に組み込まれて有する、上記(18)記載の組換え型生物であることを特徴とする。
【0043】
また、本発明に係る生物においては、(21)宿主生物が、大腸菌、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)、アセトバクター・パスツーリアヌス(Acetobacter pasteurianus)、アセトバクター・アセチ(Acetobacter aceti)、アセトバクター・ハンゼニイ(Acetobacter hansenii)、およびグルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)のような細菌からなる群より選択される微生物である、上記(19)または(20)記載の組換え型生物であることを特徴とする。
【0044】
また、本発明に係る生物においては、(22)宿主生物が、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)DSM 4025として同定された微生物、またはグルコノバクター・オキシダンスDSM 4025の明確な特徴を有する微生物の生物学的および/もしくは分類学的に同種の培養物である、上記(19)または(20)記載の組換え型生物であることを特徴とする。
【0045】
また、本発明に係る方法においては、(23)上記(19)〜(22)のいずれか一項記載の組換え型生物を適当な培養培地で培養する段階、および培養物からチトクロームcオキシダーゼを回収する段階を含む、チトクロームcオキシダーゼ複合体を製造する方法であることを特徴とする。
【0046】
また、本発明に係る方法においては、(24)宿主生物が、大腸菌、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)、アセトバクター・パスツーリアヌス(Acetobacter pasteurianus)、アセトバクター・アセチ(Acetobacter aceti)、アセトバクター・ハンゼニイ(Acetobacter hansenii)、およびグルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)のような細菌からなる群より選択される微生物である、上記(23)記載の方法であることを特徴とする。
【0047】
また、本発明に係る方法においては、(25)宿主生物が、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)DSM 4025として同定された微生物、またはグルコノバクター・オキシダンスDSM 4025の明確な特徴を有する微生物の生物学的および/もしくは分類学的に同種の培養物である、上記(23)記載の方法であることを特徴とする。
【0048】
また、本発明に係る方法においては、(26)上記(19)〜(22)のいずれか一項記載の組換え型生物を適当な培養培地で培養する段階、および培養物から2-ケト-L-グロン酸を回収する段階を含む、L-ソルボースまたはD-ソルビトールから2-ケト-L-グロン酸を製造する方法であることを特徴とする。
【0049】
また、本発明に係る方法においては、(27)宿主生物が、大腸菌、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)、アセトバクター・パスツーリアヌス(Acetobacter pasteurianus)、アセトバクター・アセチ(Acetobacter aceti)、アセトバクター・ハンゼニイ(Acetobacter hansenii)、およびグルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)のような細菌からなる群より選択される微生物である、上記(26)記載の方法であることを特徴とする。
【0050】
また、本発明に係る方法においては、(28)宿主生物が、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)DSM 4025として同定された微生物、またはグルコノバクター・オキシダンスDSM 4025の明確な特徴を有する微生物の生物学的および/もしくは分類学的に同種の培養物である、上記(26)記載の方法であることを特徴とする。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下の詳細な説明と共に、本発明をさらに説明するために図面が含められる。
【0052】
本発明は、末端オキシダーゼとして機能する蛋白質のファミリーに属する新規チトクロームcオキシダーゼ複合体およびその遺伝子に関する。より詳しく述べると、本発明の新規チトクロームcオキシダーゼは、アルコールおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼ(AADH)のようなデヒドロゲナーゼの電子受容体であるチトクロームcを酸化する末端オキシダーゼとして有用であり、したがって、呼吸鎖における電子伝達を媒介する必須成分として有用である。本発明のチトクロームcオキシダーゼ複合体は、天然物から単離してもよく、または遺伝子操作によって調製してもよい。チトクロームcオキシダーゼ活性を有するそのような酵素複合体は、G. オキシダンス(G. oxydans)DSM 4025として同定される微生物に由来する、またはG. オキシダンスDSM 4025の明確な特徴を有する微生物の生物学的および/もしくは分類学的に同種の培養物に由来する生物材料から得ることができる。本発明のチトクロームcオキシダーゼ複合体は、以下の物理化学特性を示す:複合体は、aa3型チトクロームcオキシダーゼの吸収スペクトルが、還元型から酸化型スペクトルを差し引いた差が605±1 nmで最大である吸収を示す;チトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれる2つのポリペプチドの見かけの分子量は、SDS-PAGE分析によると約43±10 kDa、および36±10 kDaである。
【0053】
本明細書において用いられるように、「G. オキシダンスDSM 4025の明確な特徴を有する微生物の生物学的および/または分類学的に同種の培養物」という句は、G. オキシダンスDSM4025の以下の特徴14個中少なくとも12個を有する微生物であって、培養培地中にL-ソルボースから2-KGAを、HPLCによって測定したところ2-KGAを少なくとも0.01 g/Lのレベルで生産する微生物を意味する:
(a)L-ソルボースから2-KGAを生産する;
(b)エタノールを酸化して酢酸にする;
(c)D-グルコースを酸化してD-グルコン酸および2-ケト-D-グルコン酸にする;
(d)多価アルコールのケトン体生成を示す;
(e)pH 4および5において、マンニトールブロス中で薄膜および環状増殖を示し(24時間培養)、pH 4.5においてグルコースブロス中で薄膜増殖を示す。
(f)グリセロールをジヒドロキシアセトンへと実質的に酸化しない;
(g)ソルビトールから2-ケト-D-グルカル酸を生産するが、グルコース、果糖、グルコン酸、マンニトールまたは2-ケト-D-グルコン酸からはグルカル酸を生産しない;
(h)多形性で外観的に鞭毛を認めない;
(i)果糖から褐色色素を生成する;
(j)B. メガテリウム(B. megaterium)、またはその細胞抽出物の存在下で共培養すると、良好な増殖を示す;
(k)ストレプトマイシン感受性である;
(l)先の丸い桿状である;
(m)細胞の平均直径が約0.3〜0.6 μmである;
(n)細胞の平均の長さが約1〜1.5 μmである。
これに加えて、「G. オキシダンスDSM 4025の明確な特徴を有する微生物の生物学的および/または分類学的に同種の培養物」という句は、当業者であれば、そのような微生物がアミノ酸配列の相同性に基づいて同定できることが明らかであるように、配列番号:2、4、6および8からなる群より選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列と、高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を含む微生物を包含するものと理解すべきである。
【0054】
本発明の新規組換え型酵素複合体は遺伝子材料、すなわちG. オキシダンス(G. oxydans)DSM4025として同定される微生物に由来する、またはG. オキシダンスDSM 4025の明確な特徴を有する微生物の生物学的および/もしくは分類学的に同種の培養物に由来する組換え型DNA断片によって調製することができる。そのような新規チトクロームcオキシダーゼ複合体は、コアサブユニットの一つとして組換え型ポリペプチドを少なくとも1つ含んでもよい。上記複合体のコアサブユニットIとしての組換え型ポリペプチドは、配列番号:2に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、およびその配列と85%またはそれ以上の同一性を有し且つ複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができるアミノ酸配列を有するポリペプチドからなる群より選択することができる。同様に、他のコアサブユニットII(COII)およびIII(COIII)のいずれかまたは双方も組換え型ポリペプチドとなりうる。COIIは、配列番号:4に示される部分的アミノ酸配列を含む組換え型ポリペプチド、およびそのような組換え型ポリペプチドが複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができる限り、そのアミノ酸配列と85%またはそれ以上の同一性を有する部分的アミノ酸配列を含む組換え型ポリペプチドからなる群より選択してもよい。COIIIは、配列番号:6および8に示される部分的アミノ酸配列を含む組換え型ポリペプチド、およびそのような組換え型ポリペプチドが複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができる限り、それぞれのアミノ酸配列と85%またはそれ以上の同一性を有する部分的アミノ酸配列を含む組換え型ポリペプチドからなる群より選択してもよい。
【0055】
「同一性」という用語は、好ましくはそれぞれの位置に存在するアミノ酸が、それらの特性に関して類似であるのみならず、実際に同一であることを意味する。好ましい態様において、アミノ酸配列の整列は最善となるように行われる。
【0056】
本発明はまた、上記のチトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれるポリペプチドも目的とする。上記チトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれるポリペプチドならびに配列番号:2、4、6および8に記載のアミノ酸配列は、他のチトクロームオキシダーゼに含まれるポリペプチドまたは対応する部分的アミノ酸配列と、最大で50〜82%の相同性を示した。例えば、本発明のCOIポリペプチド(配列番号:2)は、P. デニトリフィカンスのCO Iα(寄託番号P08305)およびCO Iβ(寄託番号P98002)、ならびにR. スフェロイデスのCO I(寄託番号P33517)に対してそれぞれ、77%、81%、および79%相同性を示した。本発明の部分的CO IIポリペプチド(配列番号:4)は、P. デニトリフィカンスおよびR. スフェロイデスのCO IIポリペプチドに対してそれぞれ73%および68%の相同性を示した。本発明の部分的CO IIIポリペプチド(配列番号:6)は、P. デニトリフィカンスのCO IIIポリペプチドに対して54%の相同性を示し、もう一つのポリペプチド(配列番号:8)はP. デニトリフィカンスおよびR. スフェロイデスのCO IIIポリペプチドに対してそれぞれ、71%および63%の相同性を示した。これらの相同性検索は、ジェネティクス-SV/RCバージョン3.2.0(ジェネティクス・ソフトウェア開発株式会社、東京、日本)の「サーチ・ホモロジー」のようなコンピュータープログラムによって行うことができる。
【0057】
このように、それぞれのコアサブユニット、すなわちCOI、COII、およびCOIIIは本発明の新規チトクロームcオキシダーゼ複合体の成分に有用である組換え型ポリペプチドとして提供してもよい。
【0058】
複合体のサブユニットCOIは、本発明のチトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれる組換え型ポリペプチドであって、上記のように、配列番号:2によって示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有し且つ複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができるアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。組換え型COIはまた、以下の(a)および(b)からなる群より選択されるDNA配列を含む組換え型DNA断片によってコードされる、本発明の複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができるポリペプチドであってもよい:
(a)配列番号:1によって示されるDNA配列;および
(b)配列番号:2によって示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列。
【0059】
同様に、サブユニットCOIIは、本発明のチトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれる組換え型ポリペプチドであって、上記のように、配列番号:4によって示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有し且つ上記複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができるアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。組換え型COIIはまた、以下の(a)および(b)からなる群より選択されるDNA配列を含む組換え型DNA断片によってコードされる、本発明の複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができるポリペプチドであってもよい:
(a)配列番号:3によって示されるDNA配列;および
(b)配列番号:4によって示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列。
【0060】
さらに、サブユニットCOIIIは、本発明のチトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれる組換え型ポリペプチドであって、上記のように、それぞれ配列番号:6および8のいずれか、または双方によって示されるアミノ酸配列、またはそのような組換え型ポリペプチドが上記複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができる限り、配列番号:6および8のそれぞれのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列のいずれかまたは双方を含むポリペプチドであってもよい。組換え型COIIIはまた、以下の(a)〜(d)からなる群より選択されるDNA配列を1つまたは複数含む組換え型DNA断片によってコードされる、本発明の複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができる組換え型ポリペプチドであってもよい:
(a)配列番号:5によって示されるDNA配列;
(b)配列番号:7によって示されるDNA配列;
(c)配列番号:6によって示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列;および
(d)配列番号:8によって示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列。
【0061】
さらに、本発明は、上記の組換え型ポリペプチドの機能的誘導体を含む。そのような機能的誘導体は、本発明のアミノ酸配列の一つまたは複数のアミノ酸残基が付加、挿入、欠失、および/または置換された該配列に基づくものとして定義されるが、この場合そのような誘導体を含むチトクロームcオキシダーゼ複合体は、当技術分野で公知のアッセイ法または本明細書に具体的に記述したアッセイ法によって測定されるチトクロームcオキシダーゼ活性を依然として有する。そのような機能的誘導体は、当技術分野で既知の方法および例えばサムブルック(Sambrook)ら(上記)(「分子クローニング(Molecular Cloning)」、第二版、コールドスプリングハーバー研究所出版、1989、ニューヨーク)に開示されている方法によって、本明細書に開示のDNA配列に基づいて組換え手段によって、当技術分野で公知の蛋白質の化学的ペプチド合成または化学修飾のいずれかによって製造することができる。そのような分子の活性を一般的に変化させない蛋白質およびペプチドにおけるアミノ酸の交換は、当技術分野では公知であり、例えば、ニューラス&ヒル(H. Neurath and R. L. Hill)「蛋白質(The Proteins)」(アカデミックプレス、ニューヨーク、1979、特に14頁の図6を参照のこと)によって記述されている。最も一般的に生じる交換は:アラニン/セリン、バリン/イソロイシン、アスパラギン酸/グルタミン酸、トレオニン/セリン、アラニン/グリシン、アラニン/トレオニン、セリン/アスパラギン、アラニン/バリン、セリン/グリシン、チロシン/フェニルアラニン、アラニン/プロリン、リジン/アルギニン、アスパラギン酸/アスパラギン、ロイシン/イソロイシン、ロイシン/バリン、アラニン/グルタミン酸、アスパラギン酸/グリシン、ならびにこれらの逆である。
【0062】
本発明は、呼吸鎖における電子伝達を媒介する必須成分の一つである、上記チトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれる上記組換え型ポリペプチドをコードする組換え型DNA断片を目的とする。
【0063】
遺伝子操作によって、それぞれのコアサブユニット、すなわちCOI、COII、およびCOIIIを調製するために有用な組換え型DNA断片を提供する。そのような組換え型ポリペプチドは、本発明の新規チトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれる成分に有用である。
【0064】
COIの組換え型DNA断片は、チトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれるポリペプチドをコードし、且つ以下の(a)および(b)からなる群より選択されるDNA配列を含むDNA断片であってもよい:
(a)配列番号:1によって示されるDNA配列;および
(b)配列番号:2によって示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列。
【0065】
COIIの組換え型DNA断片は、チトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれるポリペプチドをコードし、且つ以下の(a)および(b)からなる群より選択されるDNA配列を含むDNA断片であってもよい:
(a)配列番号:3によって示されるDNA配列;および
(b)配列番号:4によって示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列。
【0066】
その上、COIIIの組換え型DNA断片は、チトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれるポリペプチドをコードし、且つ以下の(a)〜(d)からなる群より選択されるDNA配列を1つまたは複数含むDNA断片であってもよい:
(a)配列番号:5によって示されるDNA配列;
(b)配列番号:7によって示されるDNA配列;
(c)配列番号:6によって示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列;および
(d)配列番号:8によって示されるアミノ酸配列、またはそのアミノ酸配列と85%もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列。
【0067】
本発明の組換え型DNA断片はまた、下記により詳細に説明する標準的なストリンジェンシー条件下で配列番号:1、3、5または7とハイブリダイズすることができるDNA配列を含んでいてもよい。
【0068】
ハイブリダイゼーションに関する「標準的な条件」とは、特異的ハイブリダイゼーションシグナルを検出するために当業者によって一般的に用いられる条件、例えばサムブルック(Sambrook)ら(上記)に記載された条件を意味し、または好ましくはいわゆるストリンジェントなハイブリダイゼーションと非ストリンジェントな洗浄条件、より好ましくはいわゆる中等度にストリンジェントなハイブリダイゼーション、またはより一層好ましくはいわゆるストリンジェントなハイブリダイゼーションとストリンジェントな洗浄条件を意味し、これらは当業者に周知であり、例えば、サムブルック(Sambrook)ら(上記)に記載されている。
【0069】
本発明はまた、上記の組換え型DNA断片を1つまたは複数含む発現ベクターであって、生物体内、原核宿主細胞、または真核宿主細胞内における発現に適しているベクターを提供する。そのような発現ベクターは、当技術分野で周知であるように、上記の組換え型DNA断片の1つまたは複数を、発現制御エレメントを有していてもよい適したベクターに挿入することによって構築することができる。
【0070】
さらに、本発明の組換え型生物は、適当な宿主細胞に上記の発現ベクターを導入することによって調製してもよい。本発明のそのような組換え型生物は、本発明の組換え型チトクロームcオキシダーゼ複合体の遺伝子調製にとって有用であり、同様に適当な培養培地中でL-ソルボースまたはD-ソルビトールから2KGAを製造する方法に適用可能である。本発明の組換え型生物の宿主細胞は、真核生物起源であってもよく、好ましくは哺乳類もしくは植物細胞であり、または原核生物起源であってもよい。これらの宿主細胞は、特に細菌から得てもよく、好ましくはG. オキシダンスDSM 4025から、およびG. オキシダンスDSM 4025の明確な特徴を有する微生物の生物学的および/または分類学的に同種の培養物から得てもよい。同様に、宿主細胞は大腸菌、シュードモナス・プチダ、アセトバクター・キシリナム、アセトバクター・パスツーリアヌス、アセトバクター・アセチ、アセトバクター・ハンゼニイ、およびG. オキシダンスのような細菌からなる群より選択してもよい。
【0071】
さらに、本発明の目的は、上記のような組換え型宿主細胞を適当な培養培地中で培養する段階、および培養物からチトクロームcオキシダーゼを回収する段階を含む、チトクロームcオキシダーゼの製造方法を提供することである。
【0072】
本発明のチトクロームcオキシダーゼ複合体はまた、L-ソルボースまたはD-ソルビトールからの2KGA生産、さらにインビボおよびインビトロでアルコールおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼの存在下で対応する基質からのアルデヒド、カルボン酸、およびケトンの生産を改善するために適用可能である。
【0073】
化合物2KGAは、周知のライヒシュタイン(Reichstein)法に従って、これを変換することができるL-アスコルビン酸生産のための重要な中間体である。発酵によってL-ソルボースまたはD-ソルビトールから2KGAを生産することは公知である[星野(T. Hoshino)ら、EP88116156 A]。グルコノバクター株は、星野(T. Hoshino)ら[Agric. Biol. Chem. 54(5)、1211〜1218(1990)]およびEP606621 A[星野(T. Hoshino)ら]に開示されているように、ソルボースおよびソルボソンデヒドロゲナーゼによって触媒される反応を通じて2KGAを生産することが知られている。L-ソルボースまたはD-ソルビトールからの2KGA形成に関与する初発脱水素酵素の遺伝子が得られている[星野(T. Hoshino)ら、EP832974 A]。さらに、初発脱水素酵素からの電子受容体として機能するチトクロームcおよびその遺伝子も同様に単離されている[星野(T. Hoshino)ら、EP869175 A]。これらのデヒドロゲナーゼおよびチトクロームcはインビトロで2KGAを生産するために用いられている。その遺伝子は、L-ソルボースおよびD-ソルビトールから2KGAを生産する組換え型生物を構築するために用いられている;例えば、チトクロームcと共にアルコール/アルデヒドデヒドロゲナーゼ(AADH)の遺伝子を有するシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)は、L-ソルボースから2KGAを生産することができる。
【0074】
したがって、本発明のチトクロームcオキシダーゼを2KGAの製造に使用することも、本発明の目的である。
【0075】
本チトクロームcオキシダーゼ複合体の末端オキシダーゼ活性は、TMPD(N,N,N',N'-テトラメチル-p-フェニレンジアミン二塩酸)を人工基質(電子供与体)として用いて分光光度法によって測定した。反応混合液は例えば、2.5 mM TMPD、0.05%ツイーン-20、および0.1 M 3[N-モルホリノ]プロパンスルホン酸ナトリウム(Na-MOPS)(pH 6.5)からなる。TMPDオキシダーゼ活性は、520 nmでの吸光度の増加によって測定することができ、TMPDのモル係数は6.1 /mM/cmとする。酵素活性1単位は、室温で1分間あたりのTMPDの1マイクロモル酸化として定義する。
【0076】
a型ヘムの分光光度法による同定および定量は、還元型のスペクトルから酸化型のスペクトルを差し引くことによって、605 nm付近に特徴的な正のピークを検出することによって実施した。それぞれの試料の還元はごく少量の亜ジチオン酸ナトリウムを加えることによって行い、酸化は過硫酸アンモニウムを加えることによって行った。a型ヘムのピーク(605 nm〜630 nm)のモル係数は11.7 /mM/cmとした。
【0077】
本発明をより詳細に説明する前に、G. オキシダンス(G. oxydans)DSM 4025から得ることができるサブユニットCOIおよびCOIIからなる、精製されたチトクロームcオキシダーゼの物理化学特性を以下に示す。
【0078】
(1)吸収スペクトル
還元型から酸化型を差し引いたスペクトルにおけるチトクロームcオキシダーゼ複合体の吸収プロフィールを図1に示す。
【0079】
(2)分子量
図2に示すように、SDS-PAGE分析によって、チトクロームcオキシダーゼCO IおよびCO IIサブユニットに関してそれぞれ、見かけの分子量が約43±10および36±10 kDaであることが示された。
【0080】
(3)CO IおよびCO IIのアミノ酸配列
精製されたチトクロームcオキシダーゼ複合体は、調製用ディスクSDS-PAGE(NA-1800、日本エイドー社)によってCO IおよびCO IIサブユニットに解離する。N-末端αアミノ酸残基はいずれも、未同定の修飾によってブロックされていた。次に、部分消化したペプチド断片(分子量15〜45 kDa)を、リシル・エンドペプチダーゼ処理によって得て、15%SDS-PAGEシートからのバンド抽出によって単離し、15%メタノールおよび0.1%SDSを含むセントリコン-10(アミコン社)で洗浄して、シークエンサーに供した。COIおよびCOIIについてそれぞれ、「KDIGLLYLVAAGVVGF」(配列番号:11)および「KASQFTHNTPLEIVWTIVPV」(配列番号:14)配列を得た。
【0081】
本発明のチトクロームcオキシダーゼのポリペプチドおよび遺伝子を単離するために用いられる好ましい株は、1987年3月17日に、DSM 4025としてゲッティンゲンのドイツ微生物コレクションにブダペスト条約の条項に基づき寄託されているG. オキシダンス(G. oxydans)株である。さらに、ブダペスト条約の条項に基づき、株の継代培養物を日本の通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所にも、寄託番号:グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)FERM BP-3812として(寄託日:1992年3月30日)寄託している。さらに、欧州特許第278 447号にこの株の特徴を開示している。上記微生物の機能的同等物、継代培養物、変異体および変種を本発明において用いることができる。株DSM 4025の明確な特徴を有する微生物の生物学的または分類学的に同種の培養物も同様に、上記チトクロームcオキシダーゼのポリペプチドおよび遺伝子の供給源として用いることができる。
【0082】
本発明によって提供されるチトクロームcオキシダーゼは、適当な生物を培養し、細胞を破壊して、破壊した細胞の無細胞抽出物から、好ましくは生物の可溶性分画からこれを単離および精製することによって調製することができる。
【0083】
生物は、適当な栄養素を加えた水性培地において好気性条件で培養してもよい。培養は約4.0〜9.0までのpH、好ましくは約6.0〜8.0のpHで実施できる。培養期間はpH、温度、および用いる栄養培地に応じて変化するが、通常、2〜6日が都合のよい結果を生じると思われる。培養を行うために好ましい温度範囲は約13〜36℃であり、好ましくは約18〜33℃である。
【0084】
培養培地は、同化できる炭素源、消化可能な窒素源および無機基質、ビタミン、微量元素ならびに他の増殖促進因子のような栄養物を含むことが通常必要である。同化可能な炭素源として、グリセロール、D-グルコース、D-マンニトール、D-フルクトース、D-アラビトール、L-ソルボース、D-ソルビトール等を用いることができる。
【0085】
酵母抽出物、肉抽出物、ペプトン、カゼイン、コーンスティープリカー、尿素、アミノ酸、硝酸塩、アンモニウム塩等のような様々な有機または無機基質も窒素源として用いることができる。無機物として、硫酸マグネシウム、燐酸カリウム、塩化第一鉄および第二鉄、炭酸カルシウム等を用いてもよい。
【0086】
以下に、培養後の生物からのチトクロームcオキシダーゼの単離および精製、ならびに遺伝子/DNA配列のそのクローニングに関する態様を記述する。
(1)遠心または濾過によって発酵培地から細胞を回収する。
(2)細胞を緩衝液に懸濁して、ホモジナイザー、超音波装置、またはライソザイムによる処理等によって破壊して、破壊された細胞液を生じる。
(3)硫酸アンモニウム沈殿、透析、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、およびアフィニティクロマトグラフィーのような通常の蛋白質精製法を用いて、チトクロームcオキシダーゼを、破壊された細胞の無細胞抽出物から、好ましくは生物の可溶性分画から単離および精製する。
【0087】
本発明によって提供されるチトクロームcオキシダーゼは、アルコールおよびアルデヒドからアルデヒド、カルボン酸、およびケトンを生産するため、特にL-ソルボースまたはD-ソルビトールからL-ソルボソンを経て2KGAを生産するために、デヒドロゲナーゼに属する酵素からの電子受容体であるチトクロームcを酸化する末端オキシダーゼとして有用である。
【0088】
簡単に説明すると、本発明において使用されるチトクロームcオキシダーゼ遺伝子、DNA配列、組換え型発現ベクターおよび形質転換された宿主細胞とも呼ばれる組換え型生物は、以下の段階によって得ることができる:
(1)本発明のチトクロームcオキシダーゼを提供することができる生物から染色体DNAを単離して、大腸菌において染色体DNAを含む遺伝子ライブラリを構築する段階。
(2)コロニーハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイゼーション、またはサザンハイブリダイゼーション、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)クローニング、ウェスタンブロット解析等によって、チトクロームcオキシダーゼ遺伝子を染色体DNAからクローニングする段階。
(3)上記チトクロームcオキシダーゼ遺伝子を含む組換え型DNA断片を選択するために、上記のようにして得られたチトクロームcオキシダーゼ遺伝子のヌクレオチド配列を通常の方法によって決定して、チトクロームcオキシダーゼ遺伝子を効率よく発現することができる発現ベクターを構築する段階。
(4)形質転換、形質導入、トランス接合、およびエレクトロポレーションによってチトクロームcオキシダーゼ遺伝子を有する組換え型微生物を構築する段階。
【0089】
本発明の上記の局面において用いられる材料および技術を、以下に詳細に説明する:
【0090】
総染色体DNAは、当技術分野で周知の方法によって精製することができる。チトクロームcオキシダーゼをコードする遺伝子を、以下の方法によって総染色体DNAからプラスミドまたはファージベクターのいずれかにクローニングする:
(i)SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動後のゲルから得られた総蛋白質またはペプチダーゼ処理によって得られたペプチド断片を単離して、それらをアプライドバイオシステムズ自動ガス相シークエンサー470A(Perkin Elmer corp.、ノーウォーク、コネチカット州、アメリカ)のような蛋白質シークエンサーに供することによって、精製されたチトクロームcオキシダーゼサブユニットから部分的アミノ酸配列を決定する、上記のようにして得られたアミノ酸配列に従って、アプライドバイオシステムズ自動DNAシークエンサー381A(パーキンエルマー社)のようなDNAシンセサイザーによってオリゴヌクレオチドプローブを合成する、サザンハイブリダイゼーション、コロニーハイブリダイゼーション、もしくはプラークハイブリダイゼーションによって、オリゴヌクレオチドプローブを用いて目的の遺伝子を有する株の遺伝子ライブラリから目的の遺伝子を有するクローンを単離する;(ii)チトクロームcオキシダーゼのサブユニットに対する抗体を用いた免疫学的方法によって、遺伝子ライブラリからチトクロームcオキシダーゼサブユニットを発現するクローンを選択する;または(iii)上記のように決定したアミノ酸配列に従って合成された2つのオリゴヌクレオチドの組を用いたPCR法によって総染色体DNAからDNAを増幅して、上記のように得られたPCR産物をプローブとしてサザンハイブリダイゼーション、コロニーハイブリダイゼーション、もしくはプラークハイブリダイゼーションによって、大腸菌において構築された遺伝子ライブラリから、チトクロームcオキシダーゼサブユニットの全ての遺伝子を有するクローンを単離する。チトクロームcオキシダーゼのサブユニットに対して反応する上記の抗体は、Methods in Enzymology、第73巻、46頁、1981に記載の方法によってチトクロームcオキシダーゼサブユニットの精製された蛋白質またはそのペプチド断片によって調製することができる。
【0091】
チトクロームcオキシダーゼ遺伝子のヌクレオチド配列は、M13ファージによるジデオキシチェーン・ターミネーション法のような周知の方法によって決定することができる(サンガー(Sanger F.)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 74:5463〜5467、1977)。
【0092】
チトクロームcオキシダーゼ複合体サブユニットの遺伝子を発現するために様々なプロモーターを用いることができる;例えば、チトクロームcオキシダーゼサブユニットの上記遺伝子の上流に存在する自身のプロモーター、Tn5のカナマイシン耐性遺伝子(ベルグ&ベルグ(Berg, D. E and C. M. Berg)、1983、Bio/Technology 1:417〜435)、pBR322のアンピシリン耐性遺伝子のような抗生物質耐性遺伝子のプロモーター、および大腸菌(lac)のβ-ガラクトシダーゼ、trp-、tac-、trc-プロモーター、λファージのプロモーター、ならびに大腸菌、P.プチダ(P. putida)、A.キシリナム(A. xylinum)、A.パスツーリアヌス(A. pasteutianus)、A. アセチ(A. aceti)、A. ハンゼニイ(A. hansenii)およびG. オキシダンス(G. oxydans)、特にG. オキシダンスDSM 4025のような細菌、哺乳類細胞および植物細胞を含む生物からなる宿主において機能的となりうる任意のプロモーター。
【0093】
上記の目的に関して、シャイン・ダルガルノ(SD)配列(例えば、宿主細胞において機能的な天然および合成配列を含むAGGAGG等)およびその中にコード配列が導入されて、上記のプロモーターと共に用いられる宿主細胞において機能的である転写ターミネーター(宿主細胞において機能的な任意の天然配列および合成配列を含む逆反復構造)のような他の調節エレメントを用いることができる。
【0094】
二本鎖DNAをクローニングする場合には、多様な宿主/クローニングベクターの組合せを用いてもよい。クローニングベクターは一般的に、複製起点、調節エレメント、多クローニング部位を含むクローニング部位、およびアンピシリン、テトラサイクリン、カナマイシン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、スペクチノマイシン等に対する耐性遺伝子を含む抗生物質耐性遺伝子のような選択マーカーを含むプラスミドまたはファージである。
【0095】
大腸菌において目的の遺伝子を発現するための好ましいベクターは、pUC18およびpBluescript II、pACYC177およびpACYC184[J. Bacteriol. 134:1141〜1156、1978]ならびにそれらの誘導体を含むpBR322またはその誘導体のような、大腸菌において通常用いられる任意のベクター、ならびにRK2およびRSF1010のような広宿主範囲のプラスミドに由来するベクターから選択される。G. オキシダンス(G. oxydans)DSM 4025およびP. putidaを含むグルコノバクターにおいて目的の遺伝子を発現するための好ましいベクターは、グルコノバクターおよび/またはP. プチダにおいてのみならず、大腸菌のような好ましいクローニング生物において複製することができるベクターから選択される。好ましいベクターは、pVK102のようなコスミドベクターおよびその誘導体ならびにRSF1010およびその誘導体のような宿主範囲の広いベクター、ならびにグルコノバクターにおいて機能的な複製起点および大腸菌において機能的なもう一つの起点を含むベクターである。ベクターのコピー数および安定性は、クローニングされた遺伝子の安定かつ効率的な発現のため、およびクローニングされた遺伝子を有する宿主細胞の効率的な培養のためにも、注意深く検討しなければならない。Tn5のような転位エレメントを含むDNA配列はまた、好ましい宿主中、特に染色体上に目的とする遺伝子を導入するためのベクターとして用いることができる。好ましい宿主から単離された何らかのDNAを目的遺伝子と共に含むDNA配列はまた、好ましい宿主中、特に染色体上に所望のDNA配列を導入するために有用である。そのようなDNA配列は、形質転換、形質導入、トランス接合、またはエレクトロポレーションによって好ましい宿主に輸送することができる。
【0096】
有用な宿主は原核、または真核生物起源であり、生物、哺乳類細胞および植物細胞が含まれうる。好ましい生物として、大腸菌、P. プチダ(P. putida)、A.キシリナム(A. xylinum)、A.パスツーリアヌス(A. pasteutianus)、A. アセチ(A. aceti)、A. ハンゼニイ(A. hansenii)、G. オキシダンス(G. oxydans)、および組換え型チトクロームcオキシダーゼを生産することができるグラム陰性菌のような細菌が挙げられる。上記生物の機能的同等体、継代培養物、変異体および変種も同様に、本発明において用いることができる。好ましい株は、大腸菌K12およびその誘導体、P. プチダまたはG. オキシダンスDSM 4025、および株DSM 4025の明確な特徴を有する微生物の生物学的または分類学的に同種の培養物である。
【0097】
本発明のチトクロームcオキシダーゼをコードするDNA配列は、発現ベクターを生じるために当技術分野で周知の方法によって、上記の宿主細胞において機能的な、プロモーター、リボソーム結合部位、および転写ターミネーターのような調節領域を含む適したベクターにライゲーションされる。
【0098】
発現ベクターを有する宿主細胞を構築するために、形質転換、形質導入、接合交配(「一般分子細菌学の方法(Methods for general and molecular bacteriology)」、フィリップ・ゲルハルド(Philipp Gerhardt)ら編、アメリカ微生物学会、1994)、およびエレクトロポレーションを含む様々なDNA導入法を用いることができる。形質転換された宿主細胞を構築する方法は、分子生物学の分野で周知の方法から選択してもよい。通常の形質転換システムは、大腸菌、シュードモナス(Pseudomonas)およびアセトバクター(Acetobacter)に関して用いることができる。形質導入系もまた、大腸菌に用いることができる。接合交配系は、大腸菌、P.プチダ(P. putida)およびG. オキシダンス(G. oxydans)を含むグラム陽性菌およびグラム陰性菌において広く用いることができる。好ましい接合交配法は、基本的に国際公開公報第89/06688号に開示された。接合は液体培地中または固相表面で行うことができる。チトクロームcオキシダーゼ製造のために好ましいレシピエントは、大腸菌、P. プチダおよびG. オキシダンスから選択される。2KGA製造のために好ましいレシピエントは、適した組換え型発現ベクターによって活性なAADHおよびチトクロームcを生じることができる大腸菌、P. プチダおよびG. オキシダンスから選択される。2KGA製造のための好ましいレシピエントはG. オキシダンスDSM 4025である。接合交配を行うレシピエントには、選択マーカーが通常加えられる;例えばナリジキシン酸またはリファンピシンに対する耐性が通常選択される。
【0099】
【実施例】
下記の実施例は、本発明をさらに説明するために提供されるものであり、いずれにせよ本発明を制限するものではない。
【0100】
実施例1
G. オキシダンス(G. oxydans)DSM 4025のチトクロームcオキシダーゼの同定および精製
末端オキシダーゼ活性は、TMPD(N,N,N',N'-テトラメチル-p-フェニレンジアミン二塩酸)を人工基質(電子供与体)として用いて分光光度法によって測定した。反応混合液は、2.5 mM TMPD、0.05%ツイーン-20、および0.1 M 3[N-モルホリノ]プロパンスルホン酸ナトリウム(Na-MOPS)(pH 6.5)から構成された。TMPDオキシダーゼ活性は、520 nmでの吸光度の増加によって測定し、TMPDのモル係数は6.1 /mM/cmとした。酵素活性1単位は、室温で1分間あたりTMPDの1マイクロモル酸化として定義した。a型ヘムの分光光度法による同定および定量は、還元型のスペクトルから酸化型のスペクトルを差し引いた差を分析して、605 nm付近に特徴的な正のピークを検出することによって実施した。それぞれの試料は、亜ジチオン酸ナトリウムによって還元し、過硫酸アンモニウムによって酸化した。a型ヘムのピーク(605 nm〜630 nm)のモル係数は11.7 /mM/cmとした。
【0101】
G. オキシダンス(G. oxydans)DSM 4025を、10%L-ソルボース(個別滅菌)、0.05%グリセロール、1.6%尿素(個別滅菌)、0.25% MgSO4・7H2O、6.25%パン酵母細胞、1.5%CaCO3(製造等級、ナカライテスク、京都、日本)、および3.0%コーンスティープリカー、pH 7.5(滅菌前)からなるFYC培地5リットルによって30℃で27時間好気的に培養した。培養後、CaCO3および酵母細胞のような固体材料を低速遠心(1,000 rpm、5分)によって沈殿させて、除去した。培養上清に残っているG. オキシダンスDSM 4025細胞を8,000 rpmで20分遠心することによって回収して、0.25 M NaClおよび2 mM MgCl2を含む25 mM N-[2-ヒドロキシエチル]ピペラジン-N'-[4-ブタンスルホン酸ナトリウム](Na-HEPES)(pH 7.5)で1回洗浄した。
【0102】
得られた細胞(湿重量約35 g)を、0.5 mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、0.5 mMエチレングリコール-ビス-β-アミノエチルエーテル(EGTA)、0.5 mMフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)、1μg/mlペプスタチンA、1μg/mlロイペプチン、10μg/ml DNアーゼIおよび10μg/ml RNアーゼAを含む25 mM Na-HEPES(pH 7.5)約200 mlに懸濁した。細胞懸濁液をフレンチプレスホモジナイザーによって1500 kg/cm2で2回処理した。得られた懸濁液を10,000 rpmで10分間遠心して、細胞片を除去し、上清を無細胞抽出物(蛋白質424.0 mg)として回収した。無細胞抽出物に55000 rpmで1時間の超遠心を行い、沈殿物を粗膜分画として回収した。粗膜分画を、1.2%ツイーン20、0.25 M NaCl、2 mM MgCl2、0.5 mM PMSF、1μg/mlペプスタチンA、1μg/mlロイペプチンを含む25 mM Na-HEPES(pH 7.5)50 mlに再懸濁して、膜を洗浄するために1時間インキュベートした。分画に再度55,000 rpmで1時間の超遠心を行って、洗浄した膜分画として沈殿物を回収した。洗浄した膜分画を、1.5%モノラウリン酸スクロース(DOJINラボラトリーズ、熊本、日本)、2 mM EDTA、および5%グリセロールを含む25 mM Na-HEPES(pH 7.5)50 mlと共に1時間インキュベートし、膜結合蛋白質を可溶化して、得られた懸濁液に55,000 rpmで1時間の超遠心を行い、上清(50 ml)を可溶性膜分画として得た。可溶性膜分画の還元型から酸化型を差し引いたスペクトルの差は、605 nm付近で特徴的な正のピークを示した;ピークは、含有量として粗蛋白質1 mg当たりa型ヘム0.41 nmolに対応する。次に、可溶性の膜分画における膜結合型蛋白質を、0.5%モノラウリン酸スクロースおよび5%グリセロールを含む25 mM Na-HEPESで平衡化したDEAE-トヨパール650M(TOSOH、東京、日本)カラム(ID 2.2×5 cm)にローディングした。分画は、同じ緩衝液中での0〜0.35 M NaClの直線勾配によって実施した。a型ヘムのスペクトル(還元型から酸化型を差し引いたスペクトルにおいて約605 nm付近で正のピーク)およびTMPDオキシダーゼ活性を示す分画を、約0.28 M濃度のNaClで溶出した。これらの分画を回収して(64 ml)、45 mM NaCl、5%グリセロール、および0.5%モノラウリン酸スクロースを含む45 mM燐酸カリウム緩衝液[KPB](pH 7.6)に対して透析し、同じ緩衝液で平衡化したヒドロキシルアパタイト(TONEN、東京、日本)カラム(ID 1.5×6 cm)に酵素溶液をローディングした。カラムを同じ緩衝液で洗浄して、次に500 mM NaCl、5%グリセロール、および0.5%モノラウリン酸スクロースを含む500 mM KPB(pH 7.6)で洗浄して、900 mM NaCl、5%グリセロールおよび0.5%ラウリン酸スクロースを含む900 mM KPB(pH 7.6)によって活性分画を溶出し回収した。ヒドロキシルアパタイトカラムからの分画(蛋白質8.6 mg)を、0.5%モノラウリン酸スクロース、および5%グリセロールを含む25 mM Na-HEPES(pH 7.5)に対して透析して、YM-30膜(Amicon Inc.、マサチューセッツ州、アメリカ)を用いた限外濾過によって濃縮して、精製蛋白質として−30℃で保存した。
【0103】
精製された蛋白質に、0.5%モノラウリン酸スクロースの存在下で未変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(未変性PAGE分析)を行った;蛋白質は緑がかった色(蛋白質の染色なし)を有する可視バンドを示し、これは単一の蛋白質バンド(タンパク質の染色あり)に対応した。精製された蛋白質はTMPDオキシダーゼ活性2.6単位/mgを示し、aa3型のチトクロームcオキシダーゼの典型的な吸収スペクトルパターンを示した(図1)。a型ヘムの含有量は、精製蛋白質1 mgあたり19.2 nmolであると推定された。洗浄した膜からのa型ヘムの含有量に関して精製倍率は約100倍で回収率はほぼ90%であった。これらの結果から、精製された蛋白質が、G. オキシダンス(G. oxydans)DSM 4025において、呼吸系の末端オキシダーゼとして機能することができるTMPDオキシダーゼ活性を有する主な成分であることが示された。SDS-PAGE分析では、精製された蛋白質は2つの蛋白質成分に解離した:1つは見かけの分子量が約43,000である広いバンドを示し(CO Iと呼ぶ)、もう一つは見かけの分子量が約36,000である細いバンドを示した(CO IIと呼ぶ)(図2)。
【0104】
実施例2
G. オキシダンス(G. oxydans)DSM 4025のチトクロームcオキシダーゼのアミノ酸配列および他のチトクロームcオキシダーゼ複合体との相同性
G. オキシダンス(G. oxydans)DSM 4025の精製されたチトクロームcオキシダーゼの2つの成分(CO IおよびCO II)を、調製用SDS-PAGEによって解離させた。どちらの成分からも、未変性のN末端アミノ酸配列は得られなかった。内部アミノ酸配列を得るために、それぞれの成分をリシル・エンドペプチダーゼによって消化して、得られた断片を調製用SDS-PAGEによって単離して、アミノ酸シークエンサー(アプライドバイオシステムズモデル470A、Perkin Elmer Corp.、コネチカット州、アメリカ)によるアミノ酸シークエンシングを行った。その結果、部分的アミノ酸配列が得られた;KDIGLLYLVAAGVVGF[配列番号:11]はCO I断片から得て(最初のものよりわずかに分子量が小さい)およびKASQFTHNTPLEIVWTIVPV[配列番号:14]はCO II断片から得た(最初のものより分子量が約10000分の1)。CO IおよびCO IIはSDS-PAGEおよび分光光度特徴においてP. デニトリフィカンス(P. denitrificans)のチトクロームcオキシダーゼのアミノ酸配列と類似であったため(ルドウィッヒ&シャッツ(B. Ludwig and G. Schatz)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77, 196〜200、1980)、CO IおよびCO IIサブユニットの部分的アミノ酸配列を、P. デニトリフィカンスおよびR. スフェロイデス(R. sphaeroides)およびウシミトコンドリアのチトクロームcオキシダーゼ複合体の全アミノ酸配列と、配列を整列させて比較した(図3および4)。3つのチトクロームcオキシダーゼ複合体におけるアミノ酸配列の全体的な相同性はこれまでに報告されている(C. Jianliら、J. Biol. Chem. 267、24273〜24278、1992)。図3および4に示すように、G. オキシダンス(G. oxydans)DSM 4025チトクロームcオキシダーゼCO IおよびCO IIのアミノ酸配列を他のチトクロームCオキシダーゼ3つの相同的アラインメントに部分的に割付した。2つの細菌(P. デニトリフィカンスおよびR. スフェロイデス)の配列について特に有意な相同性が認められた。
【0105】
実施例3
G. オキシダンス(G. oxydans)DSM 4025のチトクロームcオキシダーゼ遺伝子のクローニング
(1)PCR法による部分的チトクロームcオキシダーゼ遺伝子の増幅
精製したCO IおよびCO IIポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号:11および14)と共に、P. デニトリフィカンス(P. denitrificans)、R. スフェロイデス(R. sphaeroides)およびウシミトコンドリアの総アミノ酸配列のアラインメントに従って、CO IおよびCO II遺伝子の部分的DNA配列を増幅するためのPCRプライマーに関して、以下のアミノ酸配列を選択した;CO I遺伝子に関して配列番号:9および配列番号:10;ならびにCO II遺伝子に関して配列番号:15および配列番号:16。チトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれることが報告されている、第3の成分(CO III)は、G. オキシダンスDSM 4025から精製した調製物には存在しなかった;存在しない理由は精製の際の解離によると思われた。もし存在するならば、G. オキシダンスDSM 4025について推定されるCO III遺伝子をコードする部分的DNA配列を確認および増幅するために、P. デニトリフィカンス、R. スフェロイデス、およびウシミトコンドリアの3つのCO III遺伝子によってコードされるポリペプチドにおいて保存された2つのアミノ酸配列を選択した(図5):CO III遺伝子に関して配列番号:17および配列番号:18。それぞれのプライマー対をCO I、CO IIまたはCO IIIについてデザインした(図6)。GeneAmpTM DNA増幅試薬キット(宝酒造、京都、日本)を用いて、製造元の推奨に従ってパーキンエルマーシータスインストルメンツ(Perkin-Elmer Cetus Instruments)のサーマルサイクラー(Thermal Cycler)によってPCR反応を実施した。反応は以下を30サイクルで行った:1)94℃で1分間の変性段階;2)42または50℃で2分間のアニーリング段階;および3)72℃で3分間の合成段階。反応混合液(100μl)には、供給された緩衝液中に200μM dNTP、2.9μM(縮重度32)または5.8μM(縮重度64)の各プライマー、G. オキシダンスDSM 4025の染色体DNA 2.2 ng、およびTaqポリメラーゼ2.5単位が含まれた。PCR産物は、エチジウムブロマイド染色によるアガロースゲル電気泳動[AGE]によって検出した。その結果、予想される長さを有するDNA断片(CO Iに関して約180 bp、CO IIに関して約180 bp、およびCO IIIに関して約300 bp)が増幅された。
【0106】
(2)PCRによって増幅されたDNA断片のクローニングおよびヌクレオチドシークエンシング
PCRによって増幅されたDNA断片をアガロースゲルから精製して、pCRTMIIベクター(Invitrogen Corporation、アメリカ)に直接クローニングし、製造元の説明書に従ってDNA配列を決定した。PCR産物のヌクレオチド配列から推定されたアミノ酸配列は、整列させると標的位置の配列とかなりの相同性を示した(図3〜5)。CO I、CO IIおよびCO IIIの部分的アミノ酸配列をコードするPCR産物をそれぞれ32Pによって標識して、プローブPco1、Pco2、およびPco3を得た。完全なCO I、CO II、およびCO III遺伝子を検出するために、プローブをサザンハイブリダイゼーションまたはコロニーハイブリダイゼーションのために用いた。
【0107】
(3)PCR産物をプローブとして用いるG. オキシダンスDSM 4025染色体DNAのサザンブロット解析
様々な制限エンドヌクレアーゼで消化したG. オキシダンスDSM 4025の染色体DNAに、プローブを用いてサザンハイブリダイゼーションを行った。プローブPco1はPst I断片(8.0 kb)とハイブリダイズし、プローブPco2およびPco3はEcoRI断片(9.3 kb)とハイブリダイズした。
【0108】
(4)8.0 kb PstI断片(CO I)および9.3 kb EcoRI断片(CO IIおよびCO III)における完全なチトクロームcオキシダーゼ遺伝子のクローニング
G. オキシダンスDSM 4025の染色体DNAをPstIまたはEcoRIによって完全に消化して、得られた断片にアガロースゲル電気泳動を行った。大きさが約9.3 kb(7〜12 kb)のEcoRI消化物および約8 kb(6〜10 kb)のPstI消化物を切り出して、ゲルから溶出させた。回収したDNA断片をPstIまたはEcoRI消化したpUC19ベクターにライゲーションして、大腸菌JM109を形質転換した。形質転換体約1,000個をPstIまたはEcoRIライブラリとして得た。PstIライブラリに関してはプローブPco1を用いて、EcoRIライブラリに関してはプライマーPco2およびPco3を用いて、コロニーハイブリダイゼーションを実施した。それぞれのライブラリから、幾つかの陽性コロニーが得られた。プラスミドDNAをコロニーから抽出して、PstIまたはEcoRIによって消化した;8.0 kb PstI断片はプローブPco1によって強いシグナルを示し、9.3 kb EcoRI断片はプローブPco2およびPco3の双方によって強いシグナルを示した。8.0 kb PstI断片を含むプラスミドをpUCO01と命名し、9.3 kb EcoRI断片を含むプラスミドをpUCO23と命名した。
【0109】
(5)8.0 kb PstIおよび9.3 kb EcoRI断片の物理的マップ
8.0 kb PstIおよび9.3 kb EcoRI断片の物理的マップを、様々な制限エンドヌクレアーゼによって消化した断片の、プローブPco1、Pco2およびPco3を用いたサザンハイブリダイゼーション解析によって構築した。9.3kb EcoRI断片上でコードされたCO IIおよびCO III遺伝子の方向および距離を、部分的ヌクレオチド配列に由来するプライマーを用いたPCR法によって決定した(図7)。
【0110】
(6)完全なCO I遺伝子のヌクレオチドシークエンシング
pUCO01上のCOI遺伝子のヌクレオチド配列は、ジデオキシチェーンターミネーション法によって決定した。図7に示すように、HindIII部位から上流の2.9 kb断片をシークエンシングして、断片中に一つのオープンリーディングフレーム(配列番号:1に示す配列に存在する1,674 bpのCDS)を認めた。このORFはアミノ酸558個(配列表の配列番号:2)の蛋白質をコードしており、精製したCO Iに由来するペプチド断片のアミノ酸配列(配列番号:11)およびCO Iに関する約180 bpのPCR産物のDNA配列(配列番号:12)から推定したアミノ酸配列(配列番号:13)と一致する伸長鎖を含む[3-(1)を参照のこと]。G. オキシダンスDSM 4025のCO Iアミノ酸配列はそれぞれ、R. スフェロイデス(R. sphaeroides)、P. デニトリフィカンス(P. denitrificans)、およびウシミトコンドリアのアミノ酸配列と78.7、76.0および53.3%の相同性を示した(図8)。
【0111】
(7)CO I、CO II、およびCO III遺伝子を全てコードする発現プラスミドの構築完全なHind IIIおよび部分的EcoRI消化によって、pUCO01上の8.0 kb PstI断片からCO I遺伝子を3.5kb断片として単離した(図7)。pUCO23上の9.3 kb EcoRI断片の物理的マップに従って、CO IIおよびCO III遺伝子を完全なKpnIおよび部分的PstI消化によって単離して、縦列型の6.0 kb断片を作製した(図7)。それぞれの断片を一度pBluescript II SK+ベクターにサブクローニングして、CO I遺伝子を含む3. 5kb断片を有するプラスミドpBCO01、ならびにCO IIおよびCO III遺伝子を含む6.0 kb断片を有するpBCO23を得た。
【0112】
図9に示すように、CO I遺伝子を含む3.5 kb断片ならびにCO IIおよびCO III遺伝子を含む6.0 kb断片を、チトクロームcオキシダーゼ複合体(CO I、CO II、およびCO III)の遺伝子が機能的に発現されるように、1つの発現ベクターに統合した。第一に、pBCO23からのCO IIおよびCO III遺伝子を含む6.0 kb XbaI-KpnI断片をプラスミドベクターpVK101のEcoRI部位に、平滑末端ライゲーションによって挿入した。次に、pBCO01からのCO I遺伝子を含む3.5 kb XbaI-HindIII断片を、6.0 kb XbaI-KpnI断片を有するpVK101のBglII部位に挿入した。得られたプラスミドベクターをpVKcoxesと命名した。
【0113】
実施例4
G. オキシダンスDSM 4025誘導体におけるチトクロームcオキシダーゼ遺伝子の過剰発現
pVK101におけるチトクロームcオキシダーゼ遺伝子を有するプラスミド、すなわちpVKcoxesを、3つの親の接合交配法によって、G. オキシダンスDSM 4025のリファンピシン耐性誘導体、GOS2RPM[GOS2Rからの単一コロニー単離体;星野(Hoshino)ら、欧州特許第832974 A2号]に導入した。GOS2RPMの細胞を3%トリプチカーゼ大豆ブロス(Becton Dickinson、コッキースビル、メリーランド州、アメリカ)および100μg/mlリファンピシンを加えた0.3%酵母抽出物(Difco Laboratories、デトロイト、ミシガン州)からなるT培地(TR培地)10 ml中で30℃で培養した。pVKcoxes(Tcr、Kmr)またはpVK102(Tcr、Kmr)を有するドナー株の大腸菌HB、およびpRK2013(Kmr)を有するヘルパー株の大腸菌HB101を、適当な抗生物質を含むルリア・ベルタニ(Luria Bertani)培地で37℃で一晩増殖させた。これらの終夜培養物(GOS2RPM培養液10 mlおよび大腸菌培養液2 ml)を個別に遠心して、細胞ペレットを個別にT培地2 mlに懸濁した。細胞懸濁液100μlを混合して、混合した細胞懸濁液50μlを、5.0 %D-マンニトール、0.25%MgSO4・7H2O、1.75%コーンスティープリカー、5%パン酵母(Oriental Yeast Co.、東京、日本)、0.5%CaCO3、0.5%尿素(個別滅菌)、および2.0%寒天pH 7.0(滅菌前)からなるNS2寒天培地の表面に置いたニトロセルロース濾紙上にスポットした。プレートを27℃で一晩インキュベートした。得られた細胞を、リファンピシン100μg/mlおよび3μg/mlテトラサイクリンを含むT寒天培地(TRT寒天プレート)に播種した。このようにして得られた接合伝達体は、TRT寒天プレート上に線状に接種し大腸菌の細胞およびプラスミドを含まないGOS2RPMを除去することによって精製した。
【0114】
得られた接合伝達体、GOS2RPM(pVKcoxes)およびGOS2R(pVK102)を培養して、双方の接合伝達体の細胞を実施例1に記載の方法に従って調製した。GOS2RPM(pVKcoxes)におけるチトクロームcオキシダーゼレベルはGOS2RPM(pVK102)のレベルと比較する以下の実験によって決定した。双方の株から、可溶化した膜分画を実施例1に記載の方法によって調製した。第一に、a型ヘム含有量は、還元型から酸化型のスペクトルを差し引く方法(実施例1)によって、GOS2RPM(pVKcoxes)およびGOS2R(pVK102)に関してそれぞれ、細胞蛋白質1 mgあたり0.031および0.022 nmolであることが決定された。第二に、チトクロームc(シグマ社(Sigma)から購入、ウマ心臓VI型)の特異的酸化速度を測定した。還元型チトクロームcは還元剤として亜ジチオン酸ナトリウムによって調製し、過剰量の還元剤はPD-10カラム(Pharmacia)で2回処理することによって除去した。反応混合液は33 mM還元型チトクロームc、25 mM Na-HEPES(pH 7.2)、2%モノラウリン酸スクロース、および0.5 mM EDTAで構成された。還元型チトクロームcの酸化速度は550 nmでの吸光度の減少によって測定し、モル係数は21.1/mM/cmとした。還元型チトクロームcの特異的酸化速度は、GOS2RPM(pVK102)およびGOS2R(pVKcoxes)についてそれぞれ、1.58および2.00 nmol/mg細胞蛋白質/分であることが決定された。第三に、CO IおよびCO II成分の含有量は、成分CO IまたはCO IIに対する抗体を用いたウェスタンブロット解析によって比較した。より強いバンド強度(CCDカメラを用いて、CO Iに関して60%、CO IIに関して41%の増加)が、GOS2RPM(pVKcoxes)上で認められた。これらの結果から、pVKcoxesの導入によって2KGA生産するG. オキシダンスDSM 4025誘導体におけるチトクロームcオキシダーゼ複合体レベルの機能的増幅が起こったことが示唆された。
【0115】
【発明の効果】
本発明により、新規チトクロームcオキシダーゼ複合体、チトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれる組換え型ポリペプチド、組換え型DNA断片、発現ベクター、組換え型生物等のような、上記複合体の調製に有用な遺伝子材料が提供された。また本発明により、上記新規組換え型チトクロームcオキシダーゼ複合体の調製法および2-ケト-L-グロン酸(2KGA)の製造方法も提供された。
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】 G. オキシダンス(G. oxydans)DSM 4025のaa3型チトクロームcオキシダーゼの吸収スペクトルパターンを示す。スペクトルは、0.5%モノラウリン酸スクロースおよび5%グリセロールを含む25 mM Na-HEPES(pH 7.5)中に蛋白質濃度0.08 mg/mlにおいて室温で記録した。[A]は酸化型のスペクトルを示す。[B]は還元型のスペクトルを示す。[C]は還元型から酸化型を差し引いたスペクトルの差を示す。
【図2】 G. オキシダンス(G. oxydans)DSM 4025の精製したチトクロームcオキシダーゼaa3のSDS-PAGE分析を示す。精製した酵素(蛋白質濃度0.5 mg/ml)を2%SDS、50 mMジチオエリスリトール、62.5 mMトリス塩酸(pH 6.8)および10%グリセロールと共に37℃で5時間インキュベートして変性させた。電気泳動は、ラムリ(Laemmli、Nature, 227:680〜685、1970)の方法に従って、25 mMトリス、0.192 Mグリシンおよび0.1%SDSを含む緩衝液を用いて、12.5%アクリルアミド濃度で実施した。AおよびBはそれぞれ、精製酵素6および3μgであった。Cは低分子量用染色済みSDS-PAGE標準物質であった(Bio-Rad Laboratories、カリフォルニア州、アメリカ)。
【図3】 G. オキシダンスDSM 4025からのCO Iの部分的アミノ酸配列と他の生物からのCO Iの部分的アミノ酸配列のアラインメントを示す。図中の略語はそれぞれ以下の意味を示す:
G. O.:G. オキシダンス(G. oxydans)DSM 4025;
P. D.:パラコッカス・デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans);
R. S.:ロードバクター・スフェロイデス(Rhodobacter spaheroids);
B. M.:ウシ(ミトコンドリア)
>>>>>>>>>> <<<<<<<<<<:PCRプライマーのアミノ酸配列(図6)G. O./ペプチド:精製された酵素からのアミノ酸配列
G. O./PCR:PCRによって増幅したDNAから推定したアミノ酸配列(PCR/DNA)。
【図4】 G. オキシダンスDSM 4025からのCO IIの部分的アミノ酸配列と他の生物からのCO IIの部分的アミノ酸配列のアラインメントを示す。図中の略語は上記(図3)に示したものと同一である。
【図5】 G. オキシダンスDSM 4025からのCO IIIの部分的アミノ酸配列と他の生物からのCO IIIの部分的アミノ酸配列のアラインメントを示す。図中の略語は上記(図3)に示したものと同一である。
【図6】 G. オキシダンスDSM 4025からのチトクロームcオキシダーゼ複合体の部分的CO I、IIおよびIII遺伝子をPCR増幅するためのプライマーを示す。この図6において、NはA、T、G、またはCを表し、*はコンセンサス配列に基づき、**はペプチド配列に基づくことを意味する。
【図7】 「CO I」および「CO IIとCO III」の遺伝子をそれぞれ含む8.0 kb PstIおよび9.3 kb EcoRI断片の物理的マップを示す。
【図8】 上図は、G. オキシダンスDSM 4025からのCO Iサブユニットの完全なアミノ酸配列と他の生物からのCO Iサブユニットの完全なアミノ酸配列のアラインメントを示しており、下図は、aa3型チトクロームcオキシダーゼのCO Iサブユニットのアミノ酸配列における相同性を表す表である。図8において略語はそれぞれ下記の意味を表す:
G. O.:G. オキシダンス(G. oxydans)DSM 4025;
P. D.:パラコッカス・デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans);
R. S.:ロードバクター・スフェロイデス(Rhodobacter spaheroids);
B. M.:ウシ(ミトコンドリア)。
【図9】 G. オキシダンスDSM 4025のチトクロームcオキシダーゼ複合体の遺伝子を発現させるために用いられるpVKcoxesの遺伝子マップを示す。

Claims (8)

  1. グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)DSM 4025として同定された微生物に由来する生物材料または遺伝子材料から得ることができる、チトクロームcオキシダーゼ活性を有するaa3型のチトクロームcオキシダーゼ複合体であって、
    以下によって定義される、チトクロームcオキシダーゼ複合体:
    (i)COIの見かけの分子量がSDS-PAGE分析によって43±10 kDaであり;且つCOIIの見かけの分子量がSDS-PAGE分析によって36±10 kDaである、I(COI)およびII(COII)の少なくとも2つのコアサブユニットの存在を示す;
    (ii)aa3型のチトクロームcオキシダーゼを示す吸収スペクトルが還元型から酸化型を差し引いたスペクトルの差が605±1 nmで最大である;ならびに
    (iii)COIは、配列番号:2によって示されるアミノ酸配列、又はそのアミノ酸配列と85%若しくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、COIIは、配列番号:4によって示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、COIIIは、配列番号:6または8によって示されるアミノ酸配列を含んでいてもよいポリペプチドであり、COI、COII及びCOIIIは前記チトクロームcオキシダーゼ複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができるポリペプチドである。
  2. 配列番号:2に示されるアミノ酸配列、またはそれらの配列と85%またはそれ以上の同一性を有し且つ複合体にチトクロームcオキシダーゼ活性を提供することができるアミノ酸配列を含む組換え型ポリペプチドを含む、請求項1記載のチトクロームcオキシダーゼ複合体。
  3. 配列番号:1に示されるDNA配列又は配列番号:2に示されるポリペプチドをコードするDNA配列を含む組換え型DNA断片によってコードされる、請求項1または2記載のチトクロームcオキシダーゼ複合体に含まれる組換え型ポリペプチド。
  4. 請求項3記載のポリペプチドをコードする組換え型DNA断片。
  5. 請求項4記載の組換え型DNAを有する組換え型微生物。
  6. 請求項5記載の組換え型微生物を適当な培養培地で培養する段階、および培養物からチトクロームcオキシダーゼを回収する段階を含む、請求項1記載のチトクロームcオキシダーゼ複合体を製造する方法。
  7. 請求項5記載の組換え型微生物を適当な培養培地で培養する段階、および培養物から2-ケト-L-グロン酸を回収する段階を含む、L-ソルボースまたはD-ソルビトールから2-ケト-L-グロン酸を製造する方法。
  8. 前記2-ケト-L-グロン酸が更にL−アスコルビン酸に変換される、請求項7記載の方法。
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