JP4709474B2 - ポリイミド金属積層体およびその製造方法 - Google Patents
ポリイミド金属積層体およびその製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードディスクドライブに用いられるヘッドを支えるワイアレスサスペンション等に広く使用されている、ポリイミド金属積層体およびその製造方法に関するものである。
詳しくは、ポリイミドのウェットエッチング特性が良好で、かつ反りの少ないハードディスク用サスペンションに好適に使用されるポリイミド金属積層体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、ハードディスクドライブの高密度化・高速化に伴い、ハードディスクドライブ用サスペンションには、主として銅配線がサスペンション上に直接形成された、いわゆるワイヤレスサスペンションが用いられている。このワイヤレスサスペンションの材料として、銅合金/ポリイミド/SUS304からなるポリイミド金属積層体が広く使用されている。
【0003】
このようなポリイミド金属積層体を用いて、ハードディスク用サスペンションを製造する方法として、銅合金層及びSUS304層に所定のパターンを施した後、ポリイミド層をプラズマエッチングにより除去しサスペンションを加工する製造方法が提案されている(特許文献1参照)。このようなプラズマエッチングを用いる方法で有れば、微細な形状を有するポリイミドエッチングが容易であり、且つフライングリードの形成が容易であるため、サスペンションの設計に自由度を持たせられるという利点を持つ。
【0004】
しかしながら、プラズマエッチングはポリイミドのエッチング速度が金属等のエッチング速度に比べ極めて遅く、また、枚葉式でのエッチングとなるため、生産性が非常に悪く、また、プラズマエッチング装置が高価であり、プロセスコストも嵩むという欠点があった。そのため、安価なウェットエッチング可能なポリイミドを用いるポリイミド積層体の開発が望まれている。
【0005】
一方、アウトガスの発生、ポリイミド樹脂層と金属回路層の接着力が小さいという問題点を解決するため、第1層が所定の厚みのステンレス箔、第2層が所定の厚みの熱融着性ポリイミドの単一層、第3層が所定の厚みの金属箔からなるポリイミド金属積層体を用いたサスペンションが開示されている(特許文献2参照)。この方法では、ポリイミド樹脂層が単一層からなるため、ポリイミド層の外形加工をエッチング処理で行なうことができるうえ、さらに接着剤層を介さないので製造工程を簡略化することができ、高密度への対応が可能となる。
【0006】
しかし、この特許文献2には、エッチング特性については、ポリイミドの厚みが20μmを超えるとエッチング時間が長くなり生産性が低くなると記されているのみであった。また、熱融着ポリイミドの単一層に使用可能なポリイミドが具体的に開示されており、これらはケミカルエッチング、プラズマエッチングが可能である旨記載されているが、実際はエッチング速度が極端に遅い化学構造のものも含まれ、それを用いた場合、生産性が悪くなる、微細な加工ができない等の問題点があった。更に熱融着性ポリイミドは金属層に比べ熱膨張係数が大きく、熱融着性ポリイミドの厚みを金属層の厚み以上に厚くした場合、基材に反りが発生し、寸法精度を厳しく要求されるハードディスク用サスペンションとして適していないものであった。
【0007】
【特許文献1】
特開平9‐293222号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平11‐154314号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の問題に鑑み、ウェットエッチング速度が向上し、ポリイミドの微細加工を可能とし、且つ生産性を向上させることが可能なポリイミド金属積層体、およびそれから製造されるハードディスク用サスペンションを提供することにある。また、ステンレス、金属箔及びポリイミドのウェットエッチング加工が可能であり、加工後の反りが少なく、ハードディスク用サスペンションに好適に使用されるポリイミド金属積層体及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、熱可塑性ポリイミドを介してステンレス箔と金属箔が接合されたポリイミド金属積層体であって、該熱可塑性ポリイミドが単一層からなり、該熱可塑性ポリイミドが、特定ジアミンと酸二無水物を含むものであるものを使用することによりウェットエッチングによる微細加工が可能となることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
即ち、本発明は、以下に関するものである。
(1)熱可塑性ポリイミドを介してステンレス箔と金属箔が接合されたポリイミド金属積層体であって、該熱可塑性ポリイミドが単一層からなり、且つ該熱可塑性ポリイミドが、ジアミン成分として、少なくとも1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル及び1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼンから選ばれる一種を含み、酸二無水物成分として、ピロメリット酸二無水物を使用する全酸二無水物の50%以上含むものであることを特徴とするポリイミド金属積層体。
【0012】
(2)熱可塑性ポリイミドの厚みが1μm〜10μmである(1)記載のポリイミド金属積層体。
【0013】
(3)ステンレス箔及び/又は金属箔の厚みが7μm〜110μmであり、且つステンレス箔と金属箔の厚みの合計が20μm〜220μmである(1)記載のポリイミド金属積層体。
【0014】
(4)該熱可塑性ポリイミドの単一層からなるフィルムを介してステンレス箔と金属箔を熱圧着する(1)記載のポリイミド金属積層体の製造方法。
【0015】
(5)(1)記載のポリイミド金属積層体から製造されるハードディスク用サスペンション。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のポリイミド金属積層板およびその製造方法を詳細に説明する。
本発明のポリイミド金属積層板は、熱可塑性ポリイミドを介してステンレス箔と銅箔が接合されたものである。ここで、熱可塑性ポリイミドは、単一層からなっている必要がある。単一層とは、単一の熱可塑性ポリイミドからなるフィルムであることを意味し、単一のポリイミド前駆体溶液、またはポリイミド溶液から製造され、フィルム中に如何なる界面も有しないものをいう。
【0017】
該熱可塑性ポリイミドは、ガラス転移点に特に制限はないが、50℃〜400℃のガラス転移点を有するものが好適に使用される。ステンレス箔および金属箔との熱圧着が容易となるからである。さらに好適には150℃〜250℃のガラス転移点のものが使用される。
【0018】
また、80℃、50wt%の水酸化カリウム水溶液によるエッチング速度の平均値が1.0μm/min以上であることが好ましい。より好ましくは1.5μm/min以上である。
エッチング速度は大きいほど、ポリイミド系樹脂の加工形状が良いことから好ましいが、エッチング速度が5.0μm/min未満の方が、加工形状のコントロールが容易であるため好ましい。ここで、エッチング速度の平均値とは、熱可塑性ポリイミドを全てエッチング除去するために必要とした時間を測定し、熱可塑性ポリイミドの厚みを当該時間で割った値をエッチング速度とし、この測定を少なくとも5回行ない、エッチング速度の平均値を算出した値のことである。本発明に用いる特定ジアミンと酸二無水物からなる熱可塑性ポリイミドを使用することにより、80℃、50wt%の水酸化カリウム水溶液によるエッチング速度の平均値が1.0μm/min以上にすることが可能である。
【0019】
本発明の熱可塑性ポリイミドは、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られる。使用するジアミンとしては、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル及び、1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼンから選ばれた少なくとも一種のジアミンを用いることが好ましい。これらは、二種以上混合して使用することも可能である。より好ましいジアミンは、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼンである。該ジアミンを用いることにより、熱可塑性ポリイミドとステンレス箔及び金属箔との熱圧着による接着強度を確保することができる。また、熱可塑性ポリイミドの特性を損なわない範囲内で任意のジアミンを添加することもできる。これらジアミンをこれら以外の任意のジアミンと混合する場合、これら特定ジアミンを70モル%以上混合することが好ましい。より好ましくは、80モル%以上である。
【0020】
任意のジアミンの例としては、特に限定はないが、例として3,3’−ジアミノベンゾフェノン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェニキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、
【0021】
4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2−メチルベンゼン、1,3−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)−4−メチルベンゼン、1,3−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2−エチルベンゼン、1,3−ビス(3−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)−5−sec−ブチルベンゼン、1,3−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2,5−ジメチルベンゼン、
【0022】
1,3−ビス(4−(2−アミノ−6−メチルフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(2−アミノ−6−エチルフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)−4−メチルフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(4−アミノフェノキシ)−4−tert−ブチルフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2,5−ジ−tert−ブチルベンゼン、1,4−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2,3−ジメチルベンゼン、1,4−ビス(3−(2−アミノ−3−プロピルフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−4−メチルベンゼン、1,2−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)−3−n−ブチルベンゼン、1,2−ビス(3−(2−アミノ−3−プロピルフェノキシ)フェノキシ)ベンゼンビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(10−アミノデカメチレン)テトラメチルジシロキサン、ビス(3−アミノフェノキシメチル)テトラメチルジシロキサン等が挙げられる。これらジアミンを全ジアミンの30モル%未満の割合で混合することができる。好ましくは、20モル%未満である。
【0023】
使用するテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物が用いる全酸二無水物の50モル%以上であることが必要である。ピロメリット酸二無水物を使用することにより、ポリイミドのアルカリ溶液によるエッチング速度が向上するからである。これにより、エッチング工程での生産性向上と、ポリイミドのエッチングによる微細加工性の向上が図れる。また、熱可塑性ポリイミドの特性を損なわない範囲内で任意の酸二無水物を添加することもできる。これら酸二無水物をピロメリット酸二無水物と混合する場合、ピロメリット酸二無水物を50モル%以上混合することが好ましい。より好ましくは、60モル%以上である。さらに好ましくは、80モル%以上である。
【0024】
任意の酸二無水物としては、特に制限はないが、例えば3−フルオロピロメリット酸二無水物、3,6−ジフルオロピロメリット酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’’,4,4’’−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’’’ ,4,4’’’−クァテルフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’’’’ ,4,4’’’’−キンクフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、メチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1−エチニリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−トリメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−へキサフルオロプロパン二無水物、ジフルオロメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2−テトラフルオロ−1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1,3−トリメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロ−1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロ−1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、チオ−4,4’−ジフタル酸二無水物、スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルシロキサン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,3−ビス〔2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン二無水物、
【0025】
ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕メタン二無水物、ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕メタンニ無水物、2,2−ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、2,2−ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジメチルシラン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、カルボニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、メチレン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,1−エチニリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、オキシ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、チオ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、スルホニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、2,2’−ジフルオロ−3,3’ ,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
【0026】
2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、
【0027】
3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、9−フェニル−9−(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ〔2,2,2〕オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシ)フェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシ)フェニル〕フルオレン二無水物等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して、使用することができる。
【0028】
上記の熱可塑性ポリイミドを合成する場合、公知の方法により可能である。例えば、N-メチルピロリドン(NMP)、メチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルフォキサイド(DMSO)、硫酸ジメチル、スルフォラン、ブチロラクトン、クレゾール、フェノール、ハロゲン化フェノール、シクロヘキサン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライムなどの溶媒中において、上記テトラカルボン酸二無水物と上記ジアミンを所定の割合で混合し、反応温度0〜100℃の範囲内で反応させることにより、ポリイミド系樹脂の前駆体溶液が得られ、さらに、この溶液を200℃〜500℃の高温雰囲気で熱処理して、イミド化する方法がある。
【0029】
前述の熱可塑性ポリイミドを製造する場合、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物の反応モル比は、0.75〜1.25の範囲が、反応の制御が容易であること、および、合成される熱可塑性ポリイミドの加熱流動性が良好であることから、好ましく、更に好ましくは、0.90〜1.10である。
【0030】
本発明に用いる熱可塑性ポリイミドの厚みは、1〜10μmであることが好ましい。熱可塑性ポリイミドの熱膨張係数は、ステンレス箔及び金属箔の熱膨張係数に比べ、2倍以上大きいため、熱可塑性ポリイミドとステンレス箔及び金属箔と接合した場合、反りが発生する。かかる反りを抑えるためには、熱可塑性ポリイミドの厚みは薄いほうが好ましく、5μm以下がより好ましい。さらに好ましくは、4μm以下である。
【0031】
しかし、反りに対しては、熱可塑性ポリイミドの厚みは薄いほうが好ましいが、熱可塑性ポリイミドとステンレス箔及び金属箔との接合力を確保するためには、熱可塑性ポリイミドの厚みは厚い方が好ましい。熱可塑性ポリイミドを厚くすることにより、ステンレス箔及び金属箔の表面に存在する凹凸に、熱可塑性ポリイミドが侵入し、接合力が向上するからである。好ましくは、2μm以上、より好ましくは、3μm以上である。
【0032】
上記の理由より、熱可塑性ポリイミドの厚みは、2μm以上、5μm以下が好ましく、3μm以上4μm以下がさらに好ましい。
【0033】
本発明に用いるステンレス箔は、種類は問わないが、ハードディスクのサスペンション材料として広く用いられているSS304H-TA(テンションアニール処理材)が好適に使用される。
【0034】
本発明に用いる金属箔は、銅箔、銅合金箔、Al箔、Ni箔、ステンレス箔、チタン箔、鉄箔等があげられる。金属箔はエッチング加工されて、電子回路となるため、導電率の高い金属が好ましい。また、サスペンション材料として用いることから、弾性を有する金属が好ましい。かかる観点より銅合金箔及びステンレス箔が好適に使用される。
【0035】
前記のステンレス箔及び/又は金属箔の厚みとしては、それぞれ7μm〜110μmであることが好ましい。熱可塑性ポリイミドと接合した際の反りを低減するため、厚い方が好ましく、20μm〜110μmがより好ましい。ステンレス箔及び金属箔の厚みが7μm以上の方が、熱可塑性ポリイミドと接合した際の反りが小さくなり、ステンレス箔及び金属箔に弾性があり、ハンドリングが良く、熱可塑性ポリイミドと接合する際の生産性が低下しないため、好ましい。また、110μm以下のほうが、剛性が大きくなりすぎることがなく、サスペンション材料として有用であり、更にステンレス箔及び金属箔の重量が大きくなりハンドリングが困難になるということがなく、好ましい。
【0036】
また、ステンレス箔と金属箔の厚みの合計は、熱可塑性ポリイミドの厚みに対して2倍以上の厚みがある方が好ましい。すなわち、本発明にて用いられる熱可塑性ポリイミドの最大厚みである10μmの2倍以上である20μm以上の厚みがステンレス箔と金属箔の厚みの合計としてある方が好ましい。熱可塑性ポリイミドとステンレス箔及び金属箔を接合した際の反りを低減するためには、熱可塑性ポリイミドの厚みの2倍以上の厚みがある方がよい。
【0037】
本発明のポリイミド積層体に使用する熱可塑性ポリイミドフィルムの製造方法の一例を示すと非熱可塑性ポリイミドフィルムの上に、熱可塑性ポリイミドのワニスを塗布した後、乾燥し、その後、非熱可塑性ポリイミドフィルムを剥離することにより、熱可塑性ポリイミドの単一層からなるフィルムを製造することができる。ここで、熱可塑性ポリイミドのワニスとは、熱可塑性ポリイミドの溶液、または、該熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液のことをいう。ワニスは、前記の特定のジアミンとテトラカルボン酸二無水物を溶媒中で重合して得られた溶液である。
【0038】
非熱可塑性ポリイミドフィルムとしては、市販のポリイミドフィルムを使用することができ、宇部興産株式会社製:商品名ユーピレックスS(登録商標)、鐘淵化学株式会社製:商品名アピカルNPI、アピカルHP、アピカルAH(登録商標)、東レ・デュポン株式会社製:商品名KaptonV、KaptonEN(登録商標)等が好ましく用いられる。非熱可塑性ポリイミドと熱可塑性ポリイミドとの剥離性を確保するために、非熱可塑性ポリイミドフィルムの表面にプラズマ処理等の高接着処理を施さないものがより好ましく用いられる。
【0039】
非熱可塑性ポリイミド上に直接塗布する方法としては、ダイコーター、コンマコーター、ロールコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、スプレーコーター等の公知の方法が採用できる。塗布する厚み、ワニスの粘度等に応じて適宜利用できる。
【0040】
塗布したワニスを乾燥・キュアする方法は、通常の加熱乾燥炉が利用できる。乾燥炉の雰囲気としては、空気、イナートガス(窒素、アルゴン)等が利用できる。乾燥の温度としては、溶媒の沸点により適宜選択するが、60〜600℃の温度範囲が好適に利用される。乾燥の時間は、厚み、濃度、溶媒の種類により適宜選択するが0.05〜500分程度で行なうのが望ましい。
【0041】
ワニスをキュアし得られる熱可塑性ポリイミドは、キュアを完了した後、非熱可塑性ポリイミドフィルムから剥離することにより、単一層の熱可塑性ポリイミドフィルムとなる。剥離方法に制限は無いが、スクラップワインダー等の公知の技術を用いることにより剥離することができる。
【0042】
本発明のポリイミド金属積層板は、前記の熱可塑性ポリイミドフィルムと金属箔とを加熱圧着することにより製造することができる。熱可塑性ポリイミドフィルムと金属箔とを加熱圧着する方法について述べる。加熱圧着する方法について制限はないが、例えば、代表的方法として、加熱プレス法及び/又は熱ラミネート法が挙げられる。加熱プレス法としては、例えば、ポリイミド系樹脂と金属箔をプレス機の所定のサイズに切りだし、重ね合わせを行ない加熱プレスにより加熱圧着することにより製造できる。加熱温度としては、150〜600℃の温度範囲が望ましい。加圧力としては、制限は無いが、好ましくは0.1〜500kg/cm2で製造できる。加圧時間としては、特に制限はない。
【0043】
熱ラミネート方法としては、特に制限は無いが、ロールとロール間に挟み込み、張り合わせを行なう方法が好ましい。ロールは金属ロール、ゴムロール等が利用できる。材質に制限はないが、金属ロールとしては、鋼材やステンレス材料が使用される。表面にクロムメッキ等が処理されたロールを使用することが好ましい。ゴムロールとしては、金属ロールの表面に耐熱性のあるシリコンゴム、フッ素系のゴムを使用することが好ましい。ラミネート温度としては、100〜300℃の温度範囲が好ましい。加熱方式は、伝導加熱方式の他、遠赤外等の輻射加熱方式、誘導加熱方式等も利用できる。
【0044】
熱ラミネート後、加熱アニールすることも好ましい。加熱装置として、通常の加熱炉、オートクレーブ等が利用できる。加熱雰囲気として、空気、イナートガス(窒素、アルゴン)等が利用できる。加熱方法としては、フィルムを連続的に加熱する方法またはフィルムをコアに巻いた状態で加熱炉に放置する方法のどちらの方法も好ましい。加熱方式としては、伝導加熱方式、輻射加熱方式、及び、これらの併用方式等が好ましい。加熱温度は、200〜600℃の温度範囲が好ましい。加熱時間は、0.05〜5000分の時間範囲が好ましい。
【0045】
本発明によれば、ポリイミドエッチング性に優れ、且つ反りのない、ポリイミド金属積層体が得られる。そのため、本発明のポリイミド金属積層板は、特にハードディスク用サスペンションとして好適に使用される。
【0046】
ハードディスク用サスペンションの作成方法としては、一般的に以下の方法により行なうことができる。
【0047】
まず、回路を形成する本発明の金属積層板の金属表面に感光性樹脂を塗布または、張り合せにより形成する。そこに、所望のパターンの像が描かれたマスクを密着させ、感光性樹脂が感度を持つ波長の電磁波を照射する。所定の現像液にて未露光部を溶出させ、所望の回路の像を金属上に形成する。その状態のものを塩化第二鉄等の金属を溶解することができる溶液に浸漬または、溶液を基板上に噴霧することにより露出している金属を溶解させた後に、所定の剥離液で感光性樹脂を剥離し、回路とする。
【0048】
次いで、該金属表面に形成した回路上に同様にして所望のパターン像が描かれたマスクを密着させウェットエッチングプロセスにて熱可塑性ポリイミド層をパターニングする。
【0049】
熱可塑性ポリイミドをエッチング加工する場合、エッチング液は、アルカリ水溶液であればよく、上記80℃、50wt%の水酸化カリウム水溶液に限定されるものではない。エッチング液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムを用いることができる。アルカリ水溶液にポリイミドとの親和性を向上させ、エッチングを促進させるために、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ヒドラジン1水和物、エチレンジアミン、ジメチルアミンを含有させることも好ましい。
【0050】
パターニングを行なった後、レーザー溶接等により、ロードビームと呼ばれるステンレス加工品と接合することにより、サスペンションが作成できる。
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例における各種特性の評価は以下の方法による。
【0051】
[エッチング速度の測定]
金属箔上にポリイミド系樹脂を形成し、ポリイミド系樹脂の厚みを測定し、金属箔を残したままの状態で、80℃の50%水酸化カリウム水溶液に浸漬し、ポリイミド系樹脂が全てなくなる時間を測定した。初期のポリイミド系樹脂の厚みを、ポリイミド系樹脂が全て無くなく時間で割った値をエッチング速度とした。
[反りの評価]
ポリイミド金属積層板から、直径75mmの円盤を切りだし、評価用サンプルとした。室温23℃、相対湿度50%の環境下に24時間評価用サンプルを放置し、定盤の上に評価用サンプルを、反りが発生している面を上となるように置き、反り量を測定した。
[ピール強度の評価]
長さ100mm、幅3.2mmの試料について、JIS C-6471に規定される方法に従い、短辺の端から金属箔と熱可塑性ポリイミド層を剥離し、その応力を測定した。剥離角度を90゜、剥離速度を50mm/minとした。
【0052】
また、実施例等に用いた溶剤、酸二無水物、ジアミンの略称は以下の通りである。
DMAc:N,N’−ジメチルアセトアミド
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
ODA:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
m−BP:4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル
APB:1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン
APB5:1,3―ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン
DABP:3,3’−ジアミノベンゾフェノン
BTDA:3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
a−BPDA:2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
TPE−R:1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
【0053】
合成例1
<熱可塑性ポリイミド前駆体の合成>
表1に記載したテトラカルボン酸二無水物及びジアミンを秤量し、1000mlのセパラブルフラスコの中でDMAc630gに窒素気流下にて溶解させた。溶解後、6時間攪拌を続けて重合反応を行ない、熱可塑性ポリイミド前駆体ワニスA〜Dを得た。
【0054】
【表1】
【0055】
合成例2
<熱可塑性ポリイミド前駆体の合成>
表2に記載したテトラカルボン酸二無水物及びジアミンを秤量し、1000mlのセパラブルフラスコの中でDMAc630gに窒素気流下にて溶解させた。溶解後、6時間攪拌を続けて重合反応を行ない、熱可塑性ポリイミド前駆体ワニスE〜Iを得た。
【0056】
【表2】
【0057】
実施例1
<熱可塑性ポリイミドフィルムの製造>
市販の非熱可塑性ポリイミドフィルム(宇部興産株式会社製、商品名:ユーピレックスS、厚み:75μm)上に、熱可塑性ポリイミド層として、合成例1のA〜Dのポリアミック酸ワニスを塗布し、乾燥を行った後、非熱可塑性ポリイミドフィルムから熱可塑性ポリイミドを剥離し、熱可塑性ポリイミドフィルムを作製した。ポリアミック酸ワニスの塗布には、リバースロールコーターを使用し、塗布・乾燥後の熱可塑性ポリイミド層の厚みは9μmであった。尚、乾燥条件は100℃、150℃、200℃、250℃、300℃で各5分間段階的に熱処理を行なった。
【0058】
<熱プレスの実施>
金属箔として、銅合金箔(日本オーリンブラス株式会社製、商品名:C7025(特注銘柄)、厚み:18μm)とステンレス箔(新日本製鐵株式会社製,商品名:SUS304H−TA、厚み:20μm)を使用した。上記方法により製造した熱可塑性ポリイミドフィルムにC7025とSUS304H−TA箔を各々重ね合わせたものをクッション材(金陽社製、商品名:キンヨーボードF200)ではさみ、加熱プレス機で250℃、70kg/cm2の条件下で、60分間加熱圧着して、SUS304H−TA/熱可塑性ポリイミド/C7025の3層からなるポリイミド金属積層体を作製した。
【0059】
<ポリイミド金属積層体の評価>
得られたポリイミド金属積層体を用いて、エッチング速度、反り、ピール強度を前記のように測定した。結果を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
実施例2
<ポリイミド金属積層体の製造>
金属箔として市販のステンレス箔(新日本製鐵株式会社製、商品名:SS304H-TA、厚み:63.5μm)を用いた以外、実施例1と同様の方法にてポリイミド金属積層体を製造した。
【0062】
<ポリイミド金属積層体の評価>
得られたポリイミド金属積層体を用いて、エッチング速度、反り、ピール強度を前述のように測定した。結果を表4に示す。
【0063】
【表4】
【0064】
比較例3
<ポリイミド金属積層体の製造及び評価>
熱可塑性ポリイミドとして合成例2のE〜Iの熱可塑性ポリイミド前駆体を用いた以外、実施例1と同様の方法で、ポリイミド金属積層板を製造し、評価を行なった。結果を表5に示す。
【0065】
【表5】
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、アルカリ溶液によるエッチング性が良く、反りの小さく、また高ピール強度も備えたポリイミド金属積層体が得られる。従って、本発明の積層体を用いることにより、ポリイミドのエッチングによる微細加工が可能な、加工の際のハンドリングの良いポリイミド金属積層板を提供することができる。
即ち、本発明の積層体を用いることにより、アルカリ溶液によるポリイミドのエッチング速度が速いポリイミド金属積層体が得られるので、エッチングにおける生産性を上げることができ、また、反りの少ないポリイミド金属積層体が得られるので、エッチング加工後の加工精度を向上することができる。よって、特に、ハードディスクドライブのサスペンション材料として好適に使用される。
Claims (5)
- 熱可塑性ポリイミドを介してステンレス箔と金属箔が接合されたポリイミド金属積層体であって、
該熱可塑性ポリイミドが3μm以上の厚さの単一層からなり、前記金属箔と直接接合され、且つ
該熱可塑性ポリイミドが、ジアミン成分として、少なくとも1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル及び1,3-ビス(3-(3-アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼンから選ばれる一種を含み、酸二無水物成分として、ピロメリット酸二無水物を使用する全酸二無水物の100モル%とすることを特徴とするポリイミド金属積層体。 - 熱可塑性ポリイミドの厚みが10μm以下である請求項1記載のポリイミド金属積層体。
- ステンレス箔及び/又は金属箔の厚みが7μm〜110μmであり、且つステンレス箔と金属箔の厚みの合計が20μm〜220μmである請求項1記載のポリイミド金属積層体。
- 該熱可塑性ポリイミドの単一層からなるフィルムを介してステンレス箔と金属箔を熱圧着する請求項1記載のポリイミド金属積層体の製造方法。
- 請求項1記載のポリイミド金属積層体から製造されるハードディスク用サスペンション。
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JP2003071101A JP4709474B2 (ja) | 2003-03-17 | 2003-03-17 | ポリイミド金属積層体およびその製造方法 |
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