JP4696355B2 - 有機el素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、正孔と電子の再結合により光を発する有機材料を用いた有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、占有面積の減少への観点からフラットパネルディスプレイへの要求が高まっており、軽量でバックライトを必要としないエレクトロルミネッセンス素子(以下、EL素子と略す)を用いたデバイスが注目されている。EL素子には有機EL素子と無機EL素子がある。このうちの有機EL素子は無機EL素子と異なり、20V程度の低電圧で駆動することができるという利点を有している。
【0003】
有機EL素子の構造としては正孔注入電極と電子注入電極の間に、正孔注入輸送層と有機発光層兼電子注入輸送層とを有する2層構造や、あるいは、有機発光層兼正孔注入輸送層と電子注入輸送層とを有する2層靖造のもの等がある。
【0004】
また、2層以上の構造としては正孔注入輸送層、有機発光層、電子注入輸送層を有するものがある。あるいは発光層と正孔注入輸送層と電子注入輸送層とを1つの層にまとめて有する単層構造も知られている。
【0005】
これら有機EL素子において、実用的な電力において実用的な輝度を得るために、上記した構造のように、正孔、電子を効率よく有機発光層に注入輸送するための注入層が必要になる。
【0006】
効率の高い有機EL素子を作製するためにこれまで公開されている技術としては、例えば以下に示すものがある。
【0007】
特開平6−5369号公報では正孔注入電極ITOに接してITOよりも仕事関数が大きな金属を積層して、有機層への注入障壁を低くすることで効率の良い有機EL素子を作製する方法が公開されている。しかし、ITOよりも仕事関数が大きな金属としてここで示されているPt、Au等は有機層との接合性が悪い為に金属膜と有機膜界面で膜剥離が起こりやすく、素子の電流リークや寿命等の信頼性が極めて低くなることが問題として挙げられる。
【0008】
また、特開平9−63771号公報では陽極と有機化合物の間に仕事関数が大きい金属酸化物薄膜を挿入し、有機化合物とのエネルギーギャップを小さくして駆動電圧を下げる試みが示されている。金属酸化物を用いることで、前記接合性の低下という問題は回避できる。しかし、この方法では金属酸化物薄膜が導電性である為、素子の電流リークを阻止できないという問題点があり、やはり信頼性が低下してしまう。
【0009】
ITOに接する正孔注入輸送層は、通常有機材料で構成されているが、有機EL素子に用いられる有機材料は比較的高価であり、製造コストの面で問題がある。このため、素子のリークを抑制する目的もあり、正孔注入輸送層を安価でリーク耐性が高い、無機絶縁層あるいは無機高抵抗層等の無機材料で置き換える試みもなされている。
【0010】
例えば、特開平8−288069号公報では、陽極及び陰極と有機化合物の間に絶縁性薄膜層を挿入することで有機EL素子のリークやショートを抑制する方法が報告されている。この方法では、素子寿命に対して効果が有るものの、一方で絶縁層は正孔注入機能が低い為、駆動電圧の上昇が起こり、低電圧駆動であるという有機EL素子の利点を生かすことができず、消費電力も増加してしまう。
【0011】
同様に、リークの問題を解決する為に、特開平11−162646号公報では、誘電体薄膜層を挿入する手法が試みられている。この公報の実施例では駆動電圧の低下が示されているが、この公報の構造では誘電体薄膜層は正孔注入層側、電子注入層側の双方に必須であり、この公報で比較例として述べられている通り正孔注入層側のみに誘電体薄膜層を配した場合では、駆動電圧の上昇が起こっている。即ち実効的に、正孔注入層に対して電圧低下の効果はなく、電子注入層側にアルカリ金属を配したことによる電圧降下の結果であると考えられる。
【0012】
また、特開2000−100575号公報では、無機絶縁性正孔注入層を配して、この正孔注入層にCu、Fe、Ni、Ru、Sn、Auを含有して無機絶縁性正孔注入層の注入性を高めることが開示されている。しかし、絶縁層に導電体を含有することは、含有量が多いと低抵抗膜となり、リーク抑制に悪影響が起こり、含有量が少ないと特開平8−288069号公報と同様に正孔注入性が低下し、駆動電圧が上昇するというトレードオフの関係となり、両者を同時に成立させることは困難である。さらに、これらの金属ではITOの仕事関数よりも高いものも低いものも存在するため、仕事関数を合わせる考えかたは存在していない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、絶縁層あるいは抵抗層を正孔注入層に用いたときに得られる素子リーク抑制等の素子信頼性を有し、さらに、その短所である駆動電圧の上昇を防ぎ、信頼性が高く駆動電圧が低い有機EL素子を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
陽極と有機層との間に高仕事関数を有する金属層を配し、かつその金属と有機層との間に絶縁層を有する構造にする。高仕事関数金属の作用により有機層への注入性が向上し駆動電圧が低下し、かつ絶縁層を配することでリーク抑制が行われる。
【0015】
すなわち、上記目的は以下の本発明の構成により達成される。
(1)正孔注入電極と電子注入電極からなる一対の電極間に、前記正孔注入電極側から前記電子注入電極にかけて、前記正孔注入電極よりも仕事関数が大きな金属元素を含有する金属層、無機正孔注入層、発光層を含む有機層をこの順で有し、前記発光層を含む有機層は、前記無機正孔注入層と前記発光層との間に、有機化合物からなる正孔注入輸送層を有し、前記無機正孔注入層は、スパッタリング法により前記金属層上に形成されたGeO2及びIn2O3からなる層であることを特徴とする有機EL素子。
(2)前記金属層はPt、Au、Pd、Ni、Re、Co、Se、およびIrから選択される1種または2種以上の元素を含有する上記(1)の有機EL素子。
(3)前記金属層の膜厚は0.1〜2nmである上記(1)又は(2)の有機EL素子。
(4)前記金属層は白金から形成され、かつその膜厚は略0.5nmであって、前記GeO2及びIn2O3からなる無機正孔注入層の膜厚は1〜3nmである上記(3)の有機EL素子。
(5)前記正孔注入電極、金属層、および絶縁層または抵抗層の光透過率が80%以上である上記(1)〜(4)のいずれかの有機EL素子。
【0016】
ここで絶縁層とは、比抵抗が108 Ω・cm以上である材料を含有する層であり、抵抗層とは、比抵抗が108 ・cm〜10-2 ・cmの範囲の材料を有する層である。絶縁層の定義は、例えばS.M.ジィーの著書、“半導体デバイス”、産業図書株式会社、1987年、に記載されている。抵抗層における比抵抗の範囲は、絶縁層以下の比抵抗を有し、有機EL素子に用いられる有機材料以上の比抵抗を有することが好ましく、上記範囲が好ましい。
【0017】
本発明における有機EL素子での絶縁層を構成する材料としては、例えば特開平8−288069号公報に記載されているものを用いることができる。具体的には、AIN、BN、GaN、Li3N、Si3N4 、TaN、TiN等の窒化物、Al203 、BaO、CaO、Fe203 、GeO、GeO2 、MgO、NiO、SiO、SiO2 、TiO、TiO2 、Ti203 、Y203 等の酸化物、CuS、EuS、GeS、SnS、SrS、ZnS等の硫化物、SiC、TiC等の炭化物、AIF、BaF2 、FeF3 、LiF、MgF2 等のフッ化物、更にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド等の高分子材料を使用することができる。
【0018】
絶縁層は、良好な絶縁膜として知られている酸化シリコンが好ましい。また酸化ゲルマニウムや窒化シリコンであってもかまわない。絶縁層は有機層よりも高抵抗値であることが好ましいが、絶縁体である酸化ゲルマニウムに導電体である酸化インジウムを添加したような抵抗体であってもかまわない。
【0019】
絶縁層の成膜方法はスパッタ法、真空蒸着法、EB蒸着法、CVD法等が考えられるが、膜質のコントロールが容易であること、装置の維持が容易である点からスパッタ法が好ましい。
【0020】
絶縁層をスパッタ法で形成する場合、絶縁層に金属酸化物を用いるときは、窒素やArなど不活性雰囲気でも可能であるが、雰囲気に酸素を添加して、酸素を補う方がより絶縁膜としての緻密性が向上する。
【0021】
また、抵抗層としては下記式、
(Si1-xGex)Oy
〔ただし、0≦x≦1、1.7≦y≦2.2〕
で示される主成分に、Cu、Fe、Ni、Ru、Sn、Au、あるいはIn等の導電体を含有するものが挙げられる。本発明では、上記絶縁層より抵抗層が好ましい。
【0022】
抵抗層の主成分は、
(Si1-xGex)Oyにおいて
0≦x≦1、
1.7≦y≦2.2、好ましくは1.85≦y≦2.1
である。抵抗層は、酸化ケイ素でも酸化ゲルマニウムでもよく、それらの混合薄膜でもよい。yがこれより大きく、ケイ素またはゲルマニウムの空位が少なくても、yがこれより小さく、酸素空位が多くても正孔注入機能は低下してくる。抵抗層の組成は例えばラザフォード後方散乱、化学分析で調べればよい。
【0023】
抵抗層は、副成分としてCu、Fe、Ni、Ru、SnおよびAuのいずれか1種以上を含有する。中でも、Sn、Ni、Cu、特にNiを含有することが好ましい。これらの元素の含有量は、総計10at%以下、さらに好ましくは0.05〜10at%、さらに好ましくは0.1〜10at%、特に0.5〜5at%である。含有量がこれを超えると正孔注入機能が低下してくる。
【0024】
抵抗層には、他に、不純物として、Hやスパッタガスに用いるNe、Ar、Kr、Xe等を合計5at%以下含有していてもよい。
【0025】
なお、抵抗層全体の平均値としてこのような組成であれば、均一でなくてもよく、膜厚方向に濃度勾配を有する構造としてもよい。
【0026】
抵抗層は、通常、非晶質状態である。
【0027】
抵抗層の膜厚としては、特に制限はないが、0.1〜10nm、特に1〜10nm程度が好ましい。高抵抗層がこれより薄くても厚くても、正孔注入を十分には行えなくなってくる。
【0028】
上記の抵抗層の製造方法としては、スパッタ法、EB蒸着法などの各種の物理的または化学的な薄膜形成方法などが考えられるが、スパッタ法が好ましい。
【0029】
抵抗層をスパッタ法で形成する場合、スパッタ時のスパッタガスの圧力は、0.1〜1Paの範囲が好ましい。スパッタガスは、通常のスパッタ装置に使用される不活性ガス、例えばAr,Ne,Xe,Kr等が使用できる。また、必要によりN2 を用いてもよい。スパッタ時の雰囲気としては、上記スパッタガスに加えO2 を1〜99%程度混合して反応性スパッタを行ってもよい。ターゲットとしては上記酸化物を用い、1元または多元スパッタとすればよい。
【0030】
スパッタ法としてはRF電源を用いた高周波スパッタ法や、DCスパッタ法等が使用できるが、特にRFスパッタが好ましい。スパッタ装置の電力としては、好ましくはRFスパッタで0.1〜10W/cm2 の範囲が好ましく、成膜レートは0.5〜10nm/min 、特に1〜5nm/min の範囲が好ましい。
【0031】
成膜時の基板温度としては、室温(25℃)〜150℃程度である。
【0032】
本発明では、正孔注入電極と上記絶縁層、または抵抗層との間に正孔注入電極よりも高い仕事関数を有する金属の金属層を有する。正孔注入電極と絶縁層/抵抗層との間に正孔注入電極よりも高仕事関数の金属層を設けることで、絶縁層/抵抗層に伴う駆動電圧の上昇を防止することが可能となる。さらに、絶縁層/抵抗層を有することにより、リークやダークスポットの発生も少なくなる。
【0033】
このとき、正孔注入電極をITO膜(仕事関数4.6eV)とすると、金属層はITO膜よりも仕事関数が高い金属元素を含有することが好ましい。正孔注入電極よりも仕事関数の高い材料により構成することで、正孔注入効率を高めることができ、絶縁層、抵抗層での電圧降下を抑制することができる。また、正孔注入電極と金属層とは導体同士であるため、金属層の仕事関数が正孔注入電極よりも高くなっていてもオーミック接続となり問題はない。
【0034】
金属層を構成する材料としては、具体的には、Ir(4.7eV)、Se(4.72eV)、Co(4.97eV)、Re(5.0eV)、Ni(5.15eV)、Pd(5.17eV)、Au(5.2eV)、およびPt(5.43eV)から選択される1種または2種以上の元素を含有することが好ましい。これらの元素を2種以上用いるときの混合比は任意である。これらの金属元素は、材料、製造工程等から混入される不可避成分を除いて、実質的に金属層を構成する元素となっていることが望ましい。
【0035】
本発明の用途をディスプレイと考え、ITO側から光を取り出すとすると、金属層は透明であることが望ましく、透過率で80%以上が好ましい。例えばPtの場合、その膜厚は1nmで透過率82%であり、膜厚は1nm以下、特に0.1〜1nmが好ましい。膜厚が0.1nmよりも薄くなると高仕事関数の金属層を設けた効果が得られ難くなってくる。
【0036】
金属層の成膜方法は真空蒸着法、EB蒸着法、スパッタ法等が考えられるが、ITOと金属層との密着性を高くすることができるスパッタ法が好ましい。
【0037】
また、金属層と絶縁層/抵抗層の積層順序は、正孔注入電極側から、絶縁層/抵抗層、金属層、有機層とすると、金属層と有機層との密着性が問題となり、リークの発生が生じる等素子特性は悪くなる。従って、金属層と絶縁層/抵抗層の積層順序は、正孔注入電極側から、金属層、絶縁層/抵抗層、有機層の順であり、有機層と金属層が直接接しない構造とするのがよい。
【0038】
正孔注入電極材料は、正孔注入層等へ正孔を効率よく注入することのできるものが好ましく、仕事関数4.5eV〜5.5eVの物質が好ましい。具体的には、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、酸化インジウム(In2O3 )、酸化スズ(SnO2 )および酸化亜鉛(ZnO)のいずれかを主組成としたものが好ましい。これらの酸化物はその化学量論組成から多少偏倚していてもよい。In2 O3 に対するSnO2 の混合比は、1〜20wt%、さらには5〜12wt%が好ましい。また、IZOでのIn2 O3 に対するZnOの混合比は、通常、12〜32wt%程度である。
【0039】
光を取り出す側の電極は、発光波長帯域、通常400〜700nmの波長の光に対する光透過率が50%以上、さらには80%以上、特に90%以上であることが好ましい。透過率が低くなりすぎると、発光層からの発光自体が減衰され、発光素子として必要な輝度を得難くなってくる。
【0040】
電極の厚さは、50〜500nm、特に50〜300nmの範囲が好ましい。また、その上限は特に制限はないが、あまり厚いと透過率の低下や剥離などの心配が生じる。厚さが薄すぎると、十分な効果が得られず、製造時の膜強度等の点でも問題がある。
【0041】
無機電子注入輸送層は、有機の電子注入輸送層等との組み合わせにおいては電子注入性を有するものとして必要に応じて下記のものを用いることができる。例えば、K、Li、Na、Mg、La、Ce、Ca、Sr、Ba、Sn、Zn、Zr等の金属元素単体、または安定性を向上させるためにそれらを含む2成分、3成分の合金系、例えばAg・Mg(Ag:0.1〜50at%)、Al・Li(Li:0.01〜14at%)、In・Mg(Mg:50〜80at%)、Al・Ca(Ca:0.01〜20at%)等が挙げられる。
【0042】
無機電子注入輸送層の厚さは、電子注入を十分行える一定以上の厚さとすれば良く、0.1nm以上、好ましくは0.5nm以上、特に1nm以上とすればよい。また、その上限値には特に制限はないが、通常膜厚は1〜500nm程度とすればよい。
【0043】
無機電子注入輸送層としては、Si,Ge等の半導体元素を主成分とする無機物層でもよいし、特開平9−17574号公報に開示されているフッ化リチウム等のアルカリ金属塩を1nm程度成膜してもよい。
【0044】
電子注入電極は、無機電子注入輸送層との組み合わせでは、低仕事関数で電子注入性を有している必要がないため、特に限定される必要はなく、通常の金属を用いることができる。なかでも、導電率や扱い易さの点で、Al,Ag,In,Ti,Cu,Au,Mo,W,Pt,PdおよびNi、特にAl,Agから選択される1種または2種等の金属元素が好ましい。
【0045】
これら電子注入電極の厚さは、電子を無機電子注入輸送層に与えることのできる一定以上の厚さとすれば良く、50nm以上、好ましくは100nm以上とすればよい。また、その上限値には特に制限はないが、通常膜厚は50〜500nm程度とすればよい。
【0046】
さらに、有機EL素子を大気中の水分などから保護するため、保護層を設けると、素子中に発生する暗点(ダークスポットと呼ぶ)の発生に伴う劣化を抑制することができる。保護膜は、SiN、SiON、SiO2 、Al2O3 等水分阻止能が高い膜が好ましい。
【0047】
保護膜の形成方法としては、蒸着法、スパッタ法、CVD法等が考えられるが、低温で形成可能で、段差被覆性が良好であるプラズマCVD法が好ましい。
【0048】
また、有機EL素子を作製した後、素子を大気中に曝すことなく保護膜を形成することが好ましい。保護膜の厚さとしては特に制限されるものではないが、100〜5000nmとするとよい。保護膜の厚さがこれより薄いと水分阻止能が低下し、これより厚いと保護膜の応力による膜剥離や有機EL素子の特性に影響を与えるようになってくる。
【0049】
電子注入電極と保護層とを併せた全体の厚さとしては、特に制限はないが、通常50〜500nm程度とすればよい。
【0050】
次に、有機EL素子の有機物層について詳述する。
【0051】
本発明にかかる有機EL素子は、少なくとも一方が透明な2つの電極の間に、少なくとも一層の有機発光層を備え、有機発光層は、少なくとも発光機能に関与する1種または2種の化合物を含んでいる。
【0052】
本発明にかかる有機EL素子において、少なくとも一層の有機発光層から発せられる光の波長はとくに限定されるものではないが、好ましくは、少なくとも一層の有機発光層が、少なくとも380ないし780nmの連続した発光スペクトルを有する白色発光を発するように構成されている。
【0053】
本発明において、少なくとも一層の有機発光層が、430nmないし650nm以下の連続した発光スペクトルを有する白色発光を発するように構成されていると、とくに好ましい。
【0054】
本発明において、有機発光層は、正孔輸送性化合物もしくは電子輸送性化合物またはこれらの混合物であるホスト物質を含み、正孔および電子の注入機能、正孔および電子の輸送機能ならびに正孔および電子の再結合により、励起子を生成させる機能を有しており、電子的に比較的ニュートラルな化合物を含んでいることが好ましい。
【0055】
有機発光層のホスト物質として用いられる正孔輸送性化合物としては、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ビラゾリン誘導体、ビラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体が挙げられ、さらに、トリフェニルジアミン誘導体が好ましく使用できる。
【0056】
トリフェニルジアミン誘導体の例としては、テトラアリールペンジシン化合物(トリアリールジアミンないしトリフェニルジアミン:TPD)がとくに好ましい。
【0057】
テトラアリールべンジシン化合物(TDP)の好ましい具体例は、以下のとお
りである。
【0058】
【化1】
【0059】
【化2】
【0060】
【化3】
【0061】
有機発光層のホスト物質として用いられる電子輸送性化合物としては、キノリン誘導体が好ましく使用することができ、さらには、8−キノリノールないしその誘導体を配位子とする金属錯体、とくに、下式の構造を有するトリス(8−キノリナト)アルミニウム(Alq3)が好ましく使用される。また、フェニルアントラセン誘導体やテトラアリールエテン誘導体も、電子輸送性化合物として使用することができる。
【0062】
【化4】
【0063】
本発明において、有機発光層は、正孔輸送性化合物もしくは電子輸送性化合物またはこれらの混合物であるホスト物質に、蛍光物質であるドーバントがドープされた構造を有していることが好ましい。
【0064】
また、本発明にかかる有機EL素子は、好ましくは、互いに積層された2層の有機発光層を備えている。2層の有機発光層を形成する場合には、それぞれに、異なった発光波長を有する蛍光物質をドーピングすることによって、広い発光波長帯域を確保し、また、発光色の色彩の自由度を向上させることができる。
【0065】
本発明において、ドーバントとして含有させる蛍光物質としては、たとえば、特開昭63−264692号公報に開示された化合物、具体的には、ルブレン系化合物、クマリン系化合物、キナクリドン系化合物、ジシアノメチルビラン系化合物などの化合物よりなる群から選ばれる1種以上の化合物が好ましく使用できる。
【0066】
本発明に好ましく使用できる蛍光物質の例を挙げると、以下のとおりである。
【0067】
【化5】
【0068】
【化6】
【0069】
【化7】
【0070】
【化8】
【0071】
さらに、本発明においては、特開2000−26334号公報および特開2000−26337号公報に記載されているナフタセン系化合物も、ドーバントとして含有させる蛍光物質として、好ましく使用することができ、ルブレン系化合物、クマリン系化合物、キナクリドン系化合物、ジシアノメチルピラン系化合物などと併用することによって、有機EL素子の寿命を飛澤的に向上させることができる。
【0072】
本発明において、ドーバントとして含有させる蛍光物質として、好ましく使用することのできるナフタセン系化合物は、式(I)で示される基本骨格を有している。
【0073】
【化9】
式(I)において、R1 〜R4 はそれぞれ非置換、または置換基を有するアルキル基、アリール基、アミノ基、複素環基およびアルケニル基のいずれかを表す。また、好ましくはアリール基、アミノ基、複素環基およびアルケニル基のいずれかである。
【0074】
R1 〜R4 で表されるアリール基としては、単環もしくは多環のものであってよく、縮合環や環集合も含まれる。総炭素数は、6〜30のものが好ましく、置換基を有していても良い。
【0075】
R1 〜R4 で表されるアリール基としては、好ましくはフェニル基、(o−,m−,p−)トリル基、ピレニル基、ペリレニル基、コロネニル基、(1−、および2−)ナフチル基、アントリル基、(o−,m−,p−)ビフェニリル基、ターフェニル基、フェナントリル基等である。
【0076】
R1 〜R4 で表されるアミノ基としては、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基等いずれでも良い。これらは、総炭素数1〜6の脂肪族、および/または1〜4環の芳香族炭素環を有することが好ましい。具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ビスジフェニリルアミノ基、ビスナフチルアミノ基等が挙げられる。
【0077】
R1 〜R4 で表される複素環基としては、ヘテロ原子としてO,N,Sを含有する5員または6員環の芳香族複素環基、および炭素数2〜20の縮合多環芳香複素環基等が挙げられる。
【0078】
R1 〜R4 で表されるアルケニル基としては、少なくとも置換基の1つにフェニル基を有する(1−、および2−)フェニルアルケニル基、(1,2−、および2,2−)ジフェニルアルケニル基、(1,2,2−)トリフェニルアルケニル基等が好ましいが、非置換のものであってもよい。
【0079】
芳香族複素環基および縮合多環芳香複素環基としては、例えばチエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基、キノキサリル基等が挙げられる。
【0080】
R1 〜R4 が置換基を有する場合、これらの置換基のうちの少なくとも2つがアリール基、アミノ基、複素環基、アルケニル基およびアリーロキシ基のいずれかであることが好ましい。アリール基、アミノ基、複素環基およびアルケニル基については上記R1 〜R4 と同様である。
【0081】
R1 〜R4 の置換基となるアリーロキシ基としては、総炭素数6〜18のアリール基を有するものが好ましく、具体的には(o−,m−,p−)フェノキシ基等である。
【0082】
これら置換基の2種以上が縮合環を形成していてもよい。また、さらに置換されていても良く、その場合の好ましい置換基としては上記と同様である。
【0083】
R1 〜R4 が置換基を有する場合、少なくともその2種以上が上記置換基を有することが好ましい。その置換位置としては特に限定されるものではなく、メタ、パラ、オルト位のいずれでも良い。また、R1 とR4 、R2 とR3 はそれぞれ同じものであることが好ましいが異なっていてもよい。
【0084】
また、R1 〜R8 のうちの少なくとも5種以上、より好ましくは6種以上が非置換または置換基を有するアルキル基、アリール基、アミノ基、アルケニル基または複素環基である。
【0085】
R5 ,R6 ,R7 およびR8 は、それぞれ水素または置換基を有していても良いアルキル基、アリール基、アミノ基およびアルケニル基のいずれかを表す。
【0086】
R5 ,R6 ,R7 およびR8 で表されるアルキル基としては、炭素数が1〜6のものが好ましく、直鎖状であっても分岐を有していても良い。アルキル基の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、(n,i)プロピル基、(n,i,sec,tert)−ブチル基、(n,i,neo,tert)−ペンチル基等が挙げられる。
【0087】
R5 ,R6 ,R7 およびR8 で表されるアリール基、アミノ基、アルケニル基としては、上記R1 〜R4 の場合と同様である。また、R5 とR6 、R7 とR8 は、それぞれ同じものであることが好ましいが、異なっていても良い。
【0088】
本発明において、ドーバントとして含有させる蛍光物質として、好ましく使用することのできる化合物には、たとえば、次のものが挙げられる。
【0089】
【化10】
【0090】
【化11】
【0091】
二層の有機発光層を設ける場合、各有機発光層が、2種以上のこれらの蛍光物質を含み、2種以上の蛍光物質が、異なった発光波長を有していることが好ましい。
【0092】
本発明において、有機発光層におけるドーバントの含有量は、0.01〜20重量%であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜15重量%である。
【0093】
本発明において、有機発光層の厚さはとくに限定されるものではなく、その好ましい厚さは、形成方法によっても異なるが、通常、5〜500nm、さらに好ましくは、10〜300nmである。
【0094】
本発明において、二層以上の有機発光層を形成する場合、各有機発光層の厚さは、分子層一層分に相当する厚さから、有機発光層全体の厚さ未満の範囲にあり、具体的には、1〜85nm、好ましくは5〜60nm、さらに好ましくは5〜50nmである。
【0095】
本発明において、好ましくは、有機発光層は蒸着によって形成される。
【0096】
本発明において、有機発光層を、蒸着によって形成する条件は、とくに限定されるものではないが、1×10-4パスカル以下で、蒸音速度を0.01〜1nm/秒程度とすることが好ましい。
【0097】
本発明において、好ましくは、有機発光層は、正孔輸送性化合物と電子注入輸送性化合物の混合物を含んでいる。
【0098】
有機発光層が、正孔輸送性化合物と電子注入輸送性化合物の混合物を含んでいる場合には,キャリアのホッピング伝導パスが形成されるため、各キャリアは極性的に優勢な物質中を移動し、逆の極性のキャリア注入が起こり難くなり、したがって、有機発光層に含まれた化合物がダメージを受けることが防止されるので、素子の寿命を向上させることができるという利点がある。
【0099】
さらに、蛍光物質からなるドーバントを、正孔輸送性化合物および電子注入輸送性化合物の混合物を含んだ有機発光層に含有させることによって、有機発光層自体が有する発光波長特性を変化させることができ、発光波長を長波長側に移行させるとともに、発光強度を向上させ、さらには、有機EL素子の安定性を向上させることが可能になる。
【0100】
有機発光層が、正孔輸送性化合物および電子注入輸送性化合物の混合物を含んでいる場合、正孔輸送性化合物と電子注入輸送性化合物の混合比は、それぞれのキャリア移動度とキャリア濃度にしたがって決定されるが、一般的には、重量比で、1/99〜99/1、好ましくは、10/90〜90/10、さらに好ましくは、20/80〜80/20、最も好ましくは、40/60〜60/40が選ばれる。
【0101】
正孔輸送性化合物および電子注入輸送性化合物の混合物を含む有機発光層を形成する場合には、正孔輸送性化合物と電子注入輸送性化合物を、異なる蒸着源に入れて、蒸発させ、共蒸著することが好ましいが、正孔輸送性化合物と電子注入輸送性化合物の蒸気圧が同程度あるいは非常に近い場合には、あらかじめ同じ蒸着源内で混合させておき、蒸著することもできる。
【0102】
正孔輸送性化合物および電子注入輸送性化合物の混合物を含む有機発光層を形成する場合、有機発光層内で、正孔輸送性化合物と電子注入輸送性化合物とが均一に混合していることが好ましいが、均一に混合していることは必ずしも必要でない。
【0103】
本発明において、有機物層は、好ましくは、少なくとも一層の有機発光層に加えて、正孔を安定的に輸送する機能を有する正孔輸送層、ならびに、電子を安定的に輸送する機能を有する電子輸送層を備えている。これらの層を備えることによって、有機発光層に注入される正孔や電子を増大させるとともに、有機発光層内に閉じ込めさせ、再結合領域を最適化させ、発光効率を向上させることが可能になる。
【0104】
本発明において、正孔輸送層に、好ましく使用することができる化合物としては、例えば、テトラアリールベンジシン化合物(トリアリールジアミンないしトリフェニルジアミン:TPD)、芳香族三級アミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体」イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、ポリチオフェンなどを挙げることができる。これらのうち、テトラアリールべンジシン化合扮(トリアリールジアミンないしトリフェニルジアミン:TPD)、WO/98/30071号に記載されているトリアリールアミン多量体(ATP)が、とくに好ましく使用することができる。
【0105】
トリアリールアミン多量体(ATP)の好ましい具体例は、以下のとおりである。
【0106】
【化12】
【0107】
【化13】
【0108】
【化14】
【0109】
本発明において、さらには、特開昭63−295695号公報、特開平2−191694号一公報、特開平3−792号一公報、特開平5−234681号公報、特開平5−239455号公報、特開平5−299174号公報、特開平7−126225号公報、特開平7−126226号一公報、特開平8−100172号公報、EPO650955Alなどに記載されている各種有機化合物も、正孔注入輸送層、正孔注入層および正孔輸送層に使用することができる。
【0110】
本発明において、2種以上のこれらの化合物を併用してもよく、2種以上のこれらの化合物を併用する場合には、一層中に混合しても、また、2以上の層として、積層してもよい。
【0111】
本発明において、正孔輸送層は、前記化合物を蒸着することによって形成することができる。蒸着によって、素子化する場合には、均一で、ピンホールのない1〜10nm程度の薄膜を形成することができるため、正孔注入層にイオン化ポテンシャルが小さく、可視波長の光を吸収する化合物を用いても、発光色の色調変化や再吸収による発光効率の低下を防止することができる。
【0112】
本発明において、電子輸送層に、好ましく使用することができる化合物としては、たとえば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)などの8−キノリノールないしその誘導体を配位子とする有機金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導俸、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体などを挙げることができる。
【0113】
本発明において、電子輸送層は、前記化合物を蒸着することによって形成することができる。
【0114】
本発明において、有機発光層、正孔注入輸送層あるいは正孔注入層および正孔輸送層、ならびに、電子注入輸送層あるいは電子注入層および電子輸送層の各層を、蒸着によって形成する条件はとくに限定されるものではないが、1×10-4パスカル以下で、蒸着速度を0.01〜1nm/秒程度とすることが好ましい。各層は、1×10-4パスカル以下の減圧下で、連続して、形成されることが好ましい。1×10-4パスカル以下の減圧下で、連続して、各層を形成することによって、各層の界面に不純物が吸着されることを防止することができるから、高特性の有機EL素子を得ることが可能になるとともに、有機EL素子の駆動電圧を低下させ、ダークスポットが発生し、成長することを抑制することができる。
【0115】
本発明において、有機発光層、正孔輸送層、電子輸送層に、2種以上の化合物を含有させる場合には、化合物を入れた各ボートを個別に温度制御して、共蒸着によって、有機発光層、正孔輸送層、電子注入輸送層、電子注入層あるいは電子輸送層を形成することが好ましい。
【0116】
本発明において、前記電子輸送層に代えて、あるいは、加えて、電子の導通パスを備え、正孔をブロックする機能を有する高抵抗の無機電子注入輸送層を設けることもできる。
【0117】
このように、電子の導通パスを備え、正孔をブロックする機能を有する高抵抗の無機電子注入輸送層を、有機発光層と電子注入電極との問に、設けることによって、有機発光層に電子を効率よく注入することができ、発光効率を向上させることが可能となるとともに、駆動電圧を低下させることが可能になる。さらには、電子の導通パスを備え、正孔をブロックする機能を有する高抵抗の無機電子注入輸送層を設けることによって、有機ELディスプレイパネルおよび有機EL素子の厚さを減少させることができ、蒸着によって、カラーフィルター層ないしカラーフィルターを形成することによって薄層化された有機ELディスプレイパネルおよび有機EL素子をより一層薄層化することが可能となる。
【0118】
高抵抗の無機電子注入輸送層は、好ましくは第1成分として仕事関数4eV以下、より好ましくは1〜4eVであって、
好ましくはLi,Na,K,Rb,CsおよびFrから選択される1種以上のアルカリ金属元素、または、
好ましくはMg,CaおよびSrから選択される1種以上のアルカリ土類金属元素、または、
好ましくはLaおよびCeから選択される1種以上のランタノイド系元素のいずれかの酸化物を含有する。これらのなかでも、特に酸化リチウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化セリウムが好ましい。これらを混合して用いる場合の混合比は任意である。また、これらの混合物中には酸化リチウムがLi2O換算で、50 mol%以上含有されていることが好ましい。
【0119】
無機電子注入層は、さらに第2成分としてZn,Sn,V,Ru,SmおよびInから選択される1種以上の元素を含有する。この場合の第2成分の含有量は、好ましくは0.2〜40 mol%、より好ましくは1〜20 mol%である。この含有量が少ないと電子注入機能が低下し、含有量が多くなると正孔ブロック機能が低下してくる。2種以上を併用する場合、合計の含有量は上記の範囲にすることが好ましい。第2成分は金属元素の状態でも、酸化物の状態であってもよい。
【0120】
このように、高抵抗である第1成分中に、第2成分として、Zn、Sn、V、Ru、SmおよびInよりなる群から選ばれる1種以上の元素を、0.2〜40 mol%含有させて、導電パスを形成することにより、電子注入電極から有機発光層に、効率よく、電子を注入することができる。これは、第一成分中に、第二成分を含有させることによって、絶縁物質中に、導電物質が島状に存在することになり、電子注入のためのホッピングパスが形成されるためと考えられる。
【0121】
第1成分中に、第2成分を、0.2〜40 mol%含有させることにより、さらに、有機発光層から電子注入電極への正孔の移動を抑制することが可能になり、有機発光層において、正孔と電子とを効率よく再結合させることができ
る。
【0122】
高抵抗の無機電子注入輸送層を設ける場合には、従来の有機の電子注入輸送層や、有機の電子注入層、有機の電子輸送層を有する有機EL素子に比して、同等か、それ以上の輝度を得ることができ、しかも、耐熱性、耐侯性が高いので、寿命が長く、無機材料である電子注入電極との接続性も良好になり、そのため、リークやダークスポットの発生も少ないという利点がある。さらには、比較的高価な有機物質とは異なり、無機電子注入輸送層を形成するための無機物質は、安価で、入手がしやすく、無機電子注入輸送層の形成も容易であるので、有機EL素子ないし有機ELディスプレイパネルの製造コストを低減させることができる。
【0123】
高抵抗の無機電子注入輸送層の抵抗率は、1×10-2Ω・cm〜1×10-8Ω・cmであることが好ましい。無機電子注入輸送層の抵抗率をかかる範囲に設定することによって、高い正孔ブロック性を維持しつつ、電子注入効率を飛躍的に向上させることが可能になる。
【0124】
第1成分の酸化物は、通常、化学量論組成(stoichiometric composition)であるが、これから、多少偏倚して、非化学量論組成(non−stoichiometry)となっていてもよい。第2成分の酸化物も同様である。
【0125】
高抵抗の無機電子注入輸送層は、さらに、不純物として、Hや、スパッタガスとして用いるNe、Ar、Kr、Xeなどを、合計5at%以下含有していてもよい。
【0126】
高低抗の無機電子注入輸送層は、通常、非晶質状態である。
【0127】
高抵抗の無機電子注入輸送層は、0.2〜30nmの膜厚を有していることが好ましく、0.2〜20の膜厚を有していると、とくに好ましい。高抵抗の無機電子注入輸送層の膜厚が、0.2nm未満でも、30nmを超えていても、電子注入の機能が十分に発揮されなくなる。
【0128】
高抵抗の無機電子注入輸送層は、スパッタリング、蒸着など、各種の物理的あるいは化学的な薄膜形成方法によって、形成することができるが、スパッタリング法によって形成することが好ましい。とくに、第1成分と第2成分を、ターゲットとして、別個にスパックリングする多元スパックリング法によって、無機電子注入輸送層を形成することが好ましい。多元スパッタリング法によれば、それぞれのターゲットに適した条件で、スパッタリングすることができる。また、第1成分と第2成分の混合ターゲットを用いて、一元スパックリング法によって、無機電子注入輸送層を形成することもできる。
【0129】
無機電子注入輸送層をスパックリング法によって形成する場合、スパッタガスの圧力は、0.1〜1パスカルの範囲に設定することが好ましい。スパッタガスとしては、スパッタリング法に、通常、用いられる不活性ガス、たとえば、Ar、Ne、Xe、Krなどを使用することができ、必要に応じて、窒素ガスを用いることもできる。スパッタリング時において、これらのスパッタガスに加えて、1〜99%の酸素ガスを混合するようにしてもよい。
【0130】
スパッタリング法としては、RF電源を用いた高周波スパッタリング法や、DCスパッタリング法を使用することができ、RF電源を用いた高周波スパッタリングの電力は0.1〜10W/平方センチメートルの範囲が好ましく、成膜速度は0.5〜10nm/分、とくに、1〜5nmの範囲が好ましい。
【0131】
成膜時の基板温度は、25〜150℃程度である。
【0132】
本発明において、有機EL構造体を形成する基板としては、非晶質基板たとえばガラス、石英など、結晶基板たとえば、Si、GaAs、ZnSe、ZnS、GaP、InPなどがあげられ、またこれらの結晶基板に結晶質、非晶質あるいは金属のバッファ層を形成した基板も用いることができる。また金属基板としては、Mo、Al、Pt、Ir、Au、Pdなどを用いることができる。さらに、プラスチック等の樹脂材料、可撓性を有する材料を用いることもできる。基板材料は、好ましくはガラス基板、樹脂材料である。基板は、光取り出し側となる場合、上記電極と同様な光透過性を有することが好ましい。
【0133】
ガラス材として、コストの面からアルカリガラスが好ましいが、この他、ソーダ石灰ガラス、鉛アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、シリカガラス等のガラス組成のものも好ましい。特に、ソーダガラスで、表面処理の無いガラス材が安価に使用できる。
【0134】
さらに、素子の有機層や電極の酸化を防ぐために、素子上を封止板等により封止することが好ましい。封止板は、湿気の侵入を防ぐために、接着性樹脂層を用いて、封止板を接着し密封する。封止ガスは、Ar、He、N2 等の不活性ガス等が好ましい。また、この封止ガスの水分含有量は、100ppm 以下、より好ましくは10ppm 以下、特には1ppm 以下であることが好ましい。この水分含有量に下限値は特にないが、通常0.1ppm 程度である。
【0135】
封止板の材料としては、上記基板と異なる材料を用いることも可能であるが、好ましくは基板材料と同様のもの、あるいは同等の熱膨張係数、機械強度を有するものである。
【0136】
封止板は、スペーサーを用いて高さを調整し、所望の高さに保持してもよい。スペーサーの材料としては、樹脂ビーズ、シリカビーズ、ガラスビーズ、ガラスファイバー等が挙げられ、特にガラスビーズ等が好ましい。なお、封止板に凹部を形成した場合には、スペーサーは使用しても、使用しなくてもよい。
【0137】
スペーサーは、予め封止用接着剤中に混入されていても、接着時に混入してもよい。封止用接着剤中におけるスペーサーの含有量は、好ましくは0.01〜30wt%、より好ましくは0.1〜5wt%である。
【0138】
接着剤としては、安定した接着強度が保て、気密性が良好なものであれば特に限定されるものではないが、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を用いることが好ましい。
【0139】
基板に色フィルター膜や蛍光性物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜を用いて発光色をコントロールしてもよい。
【0140】
色フィルター膜には、液晶ディスプレイ等で用いられているカラーフィルターを用いれば良いが、有機EL素子の発光する光に合わせてカラーフィルターの特性を調整し、取り出し効率・色純度を最適化すればよい。
【0141】
また、EL素子材料や蛍光変換層が光吸収するような短波長の外光をカットできるカラーフィルターを用いれば、素子の耐光性・表示のコントラストも向上する。
【0142】
また、誘電体多層膜のような光学薄膜を用いてカラーフィルターの代わりにしても良い。
【0143】
蛍光変換フィルター膜は、EL発光の光を吸収し、蛍光変換膜中の蛍光体から光を放出させることで、発光色の色変換を行うものであるが、組成としては、バインダー、蛍光材料、光吸収材料の三つから形成される。
【0144】
蛍光材料は、基本的には蛍光量子収率が高いものを用いれば良く、EL発光波長域に吸収が強いことが望ましい。実際には、レーザー色素などが適しており、ローダミン系化合物・ペリレン系化合物・シアニン系化合物・フタロシアニン系化合物(サブフタロシアニン等も含む)ナフタロイミド系化合物・縮合環炭化水素系化合物・縮合複素環系化合物・スチリル系化合物・クマリン系化合物等を用いればよい。
【0145】
バインダーは、基本的に蛍光を消光しないような材料を選べば良く、フォトリソグラフィー・印刷等で微細なパターニングが出来るようなものが好ましい。また、基板上に正孔注入電極と接する状態で形成される場合、正孔注入電極(ITO、IZO等)の成膜時にダメージを受けないような材料が好ましい。
【0146】
光吸収材料は、蛍光材料の光吸収が足りない場合に用いるが、必要のない場合は用いなくても良い。また、光吸収材料は、蛍光性材料の蛍光を消光しないような材料を選べば良い。
【0147】
本発明の有機EL素子は、例えば、図1に示すように基板1/正孔注入電極2/金属層3/絶縁層または抵抗層4/正孔注入輸送層5a、発光層5b、電子注入輸送層5cを含む有機層/無機電子注入輸送層6/電子注入電極7とが順次積層された構成である。また、基板1側に電子注入電極7が形成されている逆積層としてもよい。積層構成は、要求される性能や仕様などにより最適な積層構成とすればよい。有機層は、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等が積層された複数層構成としてもよいし、発光層に電子注入輸送機能、正孔輸送機能などを持たせた単層構成としてもよい。
【0148】
有機EL素子は、直流駆動やパルス駆動され、また交流駆動も可能である。印加電圧は、通常、2〜30V 程度である。
【0149】
【実施例】
[参考例1]
本参考例で述べる有機EL素子は、図2に示すように、ガラス基板1上に、正孔注入電極2である透明導電膜ITO:100nmと、正孔注入金属層3であるPt:0.5nmとGeO2 :In2O3 (スパッタターゲット組成、85:15 mol%)1nmで構成される無機正孔注入層4と、下記の化15で示されるジスチリルアリーレン誘導体に同じく下記の化16で示されるジスチリルアリーレンアミン誘導体が3体積%添加された膜厚が100nmの有機発光層5と、フッ化リチウム:0.3nmの無機電子注入層6と、マグネシウムに銀が2体積%添加された膜厚が200nmである電子注入電極7とが順々に積層された構造を有する。
【0150】
【化15】
【0151】
【化16】
【0152】
この有機EL素子の製造方法を具体的に説明する。
【0153】
まず、上記の正孔注入電極2が形成されたガラス基板1を10分間超音波洗浄した後、純水でリンスした。その後オーブンにて110℃で8時間以上ベークを行った。このITO付基板にUV/O3 洗浄を行った後、真空装置に導入し槽内を1×104 Pa以下まで減圧した。
【0154】
次いで、正孔注入金属層3として、PtをEB蒸着で、蒸着速度を0.01nm/sec で0.5nm成膜した。このときの条件は、電圧4.6keV 、電流値200mAとした。
【0155】
減圧状態を保ったまま、ターゲットにGeO2 :In203 (85:15 mol%)を用い、無機高抵抗層を膜厚1nm成膜し、正孔注入層を合計膜厚1.5nmに形成した。この時の条件は、スパッタガスに10%O2/Arを用い、圧力:0.15Pa、投入電力:0.8W/cm2 、成膜レート:0.05nm/sec であった。
【0156】
さらに減圧を保ったまま、上記化15の化合物に化16の化合物を3体積%添加して、蒸着速度:0.1nm/sec として有機発光層5を抵抗加熱法により膜厚100nmの厚さに蒸着した。
【0157】
次いで、フッ化リチウムを抵抗加熱法で蒸着速度0.01nm/sec として電子注入層6を膜厚0.3nmの厚さに蒸着した。
【0158】
さらに、マグネシウムに銀を2体積%添加して、蒸着速度0.1nm/sec として電子注入電極7を膜厚200nmの厚さに蒸者した。
以上の上程で有機EL素子を作製した。
【0159】
〔参考例2〕
無機高抵抗層を3nmとしPt層0.5nmと合わせて3.5nmの正孔注入層とした以外は参考例1と同様の構造とした。
【0160】
〔参考例3〕
有機発光層4をトリス(8一キノリノール)アルミニウム(以下、Alq3と略す)を膜厚100nmで構成した以外は参考例2と同様の構造とした。
【0161】
〔実施例1〕
図3に示すように、有機正孔注入層5aとして、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフエニル)−1、1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPDと略す)膜厚20nmを、無機正孔注入層4と有機発光層5bの間に挿入した以外は参考例3と同様の構造とした。
【0162】
〔参考例4〕
無機絶縁層をSiO2 :3nmとし、Pt層:0.5nmと合わせて3.5nmの正孔注入層とした以外は実施例1と同様の構造とした。
【0163】
〔比較例1〕
無機正孔注入層を無機高抵抗層GeO2 :In203 :1nmのみとし、Pt金属層を設けない以外は参考例1と同様の構造とした。
【0164】
〔比較例2〕
無機正孔注入層を無機高抵抗層GeO2 :In203 :3nmのみとし、Pt金属層を設けない以外は参考例2と同様の構造とした。
【0165】
〔比較例3〕
無機正孔注入層を無機高抵抗層GeO2 :In203 :3nmのみとし、Pt金属層を設けない以外は参考例3と同様の構造とした。
【0166】
〔比較例4〕
無機正孔注入層を無機高抵抗層GeO2 :In203 :3nmのみとし、Pt金属層を設けない以外は実施例1と同様の構造とした。
【0167】
〔比較例5〕
無機正孔注入層を無機絶縁層SiO2 :3nmのみとし、Pt金属層を設けない以外は参考例4と同様の構造とした。
【0168】
〔比較例6〕
無機正孔注入層として、Ptの代わりにMgを0.5nm成膜し、次に無機高抵抗層GeO2 :In203 を3nm成膜し、合わせて3.5nmとした以外は参考例2と同様の構造とした。
【0169】
〔比較例7〕
ITO上にGeO2 :In203 正孔注入層を先に成膜し、その後Pt層を形成した以外は参考例1と同様にして素子を作製した。
【0170】
この素子は、金属層上に有機層を形成する際に、有機層がはじかれてしまい、有機薄膜を均一に形成することができなかった。
【0171】
上記参考例1〜4、実施例1および比較例1〜7の各有機EL素子に、ITO電極側をプラス、電子注入電極側をマイナスとして所定の電圧を印加し、電流密度10mA/cm2 となるときの電圧と、輝度100cd/m2 となるときの電圧を測定した。
【0172】
結果を下記表1に示す。
【0173】
【表1】
【0174】
また、上記実施例、参考例で使用した絶縁層、高抵抗層の抵抗率の実測値を以下に示す。測定は、サンプルを所定面積となるようにマスキングしたものを、ITO透明電極とAl電極で挟み込み、印加電圧と電流から求めた。なお、測定値は環境の湿度や、ノイズレベルの影響を受けやすく、誤差を含んだ値であると考えられる。
【0175】
【表2】
【0176】
上記結果から、参考例1〜4と比較例1〜5と実施例1について、それぞれ対応するサンプル、例えば、参考例1(駆動電圧6.6V、10mA/cm2 時)と比較例1(駆動電圧12.6V、10mA/cm2 時)とを比較すると、本発明サンプルは駆動電圧の低下が顕著であることがわかる。なお、比較例3では輝度100cd/m2 となるときの電圧を測定使用としたところ、測定する前に素子が破壊してしまった。
【0177】
一方、仕事関数がITO(仕事関数4.6eV)よりも低いマグネシウム(仕事関数3.6eV)をPt(仕事関数5.4eV)の代わりに挿入しても、比較例6の結果から、駆動電圧の低下は見られなかった。
【0178】
比較例7では輝度が得られず、輝度100cd/m2 となるときの電圧駆動電圧は測定できなかった。これは、おそらく最初にリーク部が焼き切れるため、その後駆動電圧が異常に上昇したものと考えられる。また、発光部での輝度ムラもひどく、輝点が観測された。
【0179】
以上の結果から、正孔注入電極よりも高い仕事関数を有する金属を挿入することによって、駆動電圧が低下することが明かとなった。
【0180】
〔参考例5〕
参考例1と比較例1の素子について、アルゴン雰囲気にて電流密度100mA/cm2 の定電流により連続発光させ、各有機EL素子の寿命を測定した。結果を図4に示す。
【0181】
上記結果より、参考例1における有機EL素子の発光輝度低下の進行は、比較例1よりも格段に遅い事が分かった。これは高抵抗層の挿入によるリーク抑制と、金属層挿入による駆動電圧の低下に伴う発熱量の減少によるものであると考えられる。
【0182】
以上説明したとおり、本発明によれば、高い仕事関数を有する金属層と絶縁層あるいは高抵抗層を無機正孔注入層として用いることにより、リークの抑制と、それに加えて絶縁層と有機層とのエネルギー障壁を小さくすることで、素子の駆動電圧を低く、かつ素子の長寿命化が達成できる。よって本発明は有機EL素子の各種表示デバイスへの応用が可能となり、その効果は大きい。
【0183】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、絶縁層あるいは抵抗層を正孔注入層に用いたときに得られる素子リーク抑制等の素子信頼性を有し、さらに、その短所である駆動電圧の上昇を防ぎ、信頼性が高く駆動電圧が低い有機EL素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL素子の基本構成を示す概略断面図である。
【図2】参考例1の有機EL素子の基本構成を示す概略断面図である。
【図3】実施例1の有機EL素子の基本構成を示す概略断面図である。
【図4】参考例5の寿命特性の測定結果を示したグラフである。
【符号の説明】
1 基板
2 正孔注入電極
3 金属層
4 絶縁層/抵抗層
5 有機層
5a 正孔注入輸送層
5b 発光層
5c 電子注入輸送層
6 無機電子注入層
7 電子注入電極
Claims (5)
- 正孔注入電極と電子注入電極からなる一対の電極間に、前記正孔注入電極側から前記電子注入電極にかけて、前記正孔注入電極よりも仕事関数が大きな金属元素を含有する金属層、無機正孔注入層、発光層を含む有機層をこの順で有し、
前記発光層を含む有機層は、前記無機正孔注入層と前記発光層との間に、有機化合物からなる正孔注入輸送層を有し、
前記無機正孔注入層は、スパッタリング法により前記金属層上に形成されたGeO2及びIn2O3からなる層であることを特徴とする有機EL素子。 - 前記金属層はPt、Au、Pd、Ni、Re、Co、Se、およびIrから選択される1種または2種以上の元素を含有することを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
- 前記金属層の膜厚は0.1〜2nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL素子。
- 前記金属層は白金から形成され、かつその膜厚は略0.5nmであって、前記GeO2及びIn2O3からなる無機正孔注入層の膜厚は1〜3nmであることを特徴とする請求項3に記載の有機EL素子。
- 前記正孔注入電極、金属層、および絶縁層または抵抗層の光透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の有機EL素子。
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