以下、本発明に係る内燃機関の動弁装置の各実施形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
(第1実施形態)
まず、図1〜図10を参照して、本発明に係る内燃機関の動弁装置の第1実施形態について説明する。
図1は本発明に係る内燃機関の動弁装置の第1実施形態が適用された内燃機関の一部切欠断面図、図2は図1のW−W線矢視断面図、図3はヘッドカバーを外した状態のシリンダヘッドを上方から見た一部切欠断面図、図4は図1に示す動弁装置の説明図であり、(a)は一部のプレートを外した状態のリンク機構の図、(b)は(a)のX−X線矢視断面図、図5は図2に示すカラーの説明図であり、(a)はカラー付近の拡大平面図、(b)は(a)のY−Y線矢視断面図、図6は最小バルブ作動特性が得られる状態の動弁装置の説明図であり、(a)は動弁カム揺動前のリンク機構の図、(b)は動弁カム揺動時のリンク機構の図、図7は最大バルブ作動特性が得られる状態の動弁装置の説明図であり、(a)は動弁カム揺動前のリンク機構の図、(b)は動弁カム揺動時のリンク機構の図、図8はヘッドカバーの一部を破断した状態のシリンダヘッドを上方から見た図、図9は図8のZ−Z線斜視断面図、図10は第1実施形態の変形例の説明図であり、(a)は動弁カム揺動前のリンク機構の図、(b)は動弁カム揺動時のリンク機構の図である。
本実施形態の内燃機関Eは、自動二輪車に搭載されるものであって、図1及び図2に示すように、空冷式単気筒4ストローク内燃機関であり、クランク軸を回転可能に支持するクランクケースに結合されるシリンダ1と、シリンダ1の上端部に結合されるシリンダヘッド2と、シリンダヘッド2の上端部に結合されるヘッドカバー3と、を備える。
なお、以下の説明において、上下方向は、シリンダ軸線方向とし、軸方向、径方向、及び周方向は、それぞれカム軸20の軸方向、径方向、及び周方向とする。
シリンダ1には、クランク軸に連結されるピストン4が往復運動可能に嵌合される。シリンダヘッド2には、シリンダ軸線方向でピストン4に対向する燃焼室5と、燃焼室5に開口する吸気ポート6及び排気ポート7と、が形成され、燃焼室5に臨む一対の点火プラグ8が取り付けられる。さらに、シリンダヘッド2には、弁バネ9により閉弁方向に常時付勢される機関弁である吸気弁10及び排気弁11が、それぞれシリンダヘッド2に圧入される弁ガイド13,13に摺動可能に支持される。
この内燃機関Eでは、吸気装置から吸気ポート6に供給される燃料と吸入空気の混合気は、吸気弁10の開弁時に燃焼室5に流入し、ピストン4で圧縮された後、点火プラグ8により燃焼されて、その排気ガスは、排気弁11の開弁時に排気ポート7に流出し、排気ポート7に接続される排気装置を通じて外部に排出される。
そして、本実施形態の内燃機関Eでは、吸気弁10及び排気弁11は、シリンダヘッド2内に設けられる動弁装置である可変動弁装置Vにより所定のタイミング及びリフト量でそれぞれ開閉される。この可変動弁装置Vは、図1〜図3に示すように、シリンダヘッド2及びヘッドカバー3により形成される動弁室15内に配置され、シリンダヘッド2に回転可能に支持されるカム軸20と、カム軸20に設けられ、カム軸20と一体に回転する駆動カム21,21と、カム軸20に揺動可能に支持される動弁カム22,22と、動弁カム22,22により揺動され、吸気弁10及び排気弁11を開閉するメインロッカアーム23,23と、カム軸20を中心に揺動可能に支持され、駆動カム21の弁駆動力を動弁カム22に伝達し、動弁カム22を揺動させるリンク機構である可変リンク機構30,30と、可変リンク機構30,30を揺動させる制御機構60と、制御機構60を駆動させる駆動機構80と、を備える。
カム軸20は、シリンダヘッド2及びカム軸ホルダ12に取り付けられる一対の軸受14に回転可能に支持され、その一端部(図2の左端部)に固定されるカムスプロケット16に巻き掛けられるタイミングチェーン17を介してクランク軸の駆動力が伝達され、クランク軸の1/2の回転数で回転駆動する。なお、本実施形態では、カム軸20は、図1において時計回転方向に回転するものとする。
軸受14,14は、シリンダヘッド2に一体成形される軸受保持部2a及びカム軸ホルダ12に一体成形される軸受保持部12aにそれぞれ保持される。また、カム軸ホルダ12は、シリンダヘッド2にボルトにより一体的に結合される。
駆動カム21は、カム軸20に圧入により固定されており、カム軸20と一体に回転する。また、駆動カム21は、カム軸20の弁駆動力を可変リンク機構30を介して動弁カム22に伝達して、動弁カム22を揺動させる。
動弁カム22は、ニードル軸受24を介してカム軸20に揺動可能に支持される揺動カムであり、その外周面には、排気弁11(吸気弁10)を閉弁状態に維持するベース円部22aと、排気弁11(吸気弁10)を押し下げて開弁させるカム山部22bと、が形成される。
メインロッカアーム23は、カム軸ホルダ12に設けられるロッカ軸25に揺動可能に支持されており、一端部には、動弁カム22と接触するローラ23aが回転可能に取り付けられ、他端部には、排気弁11(吸気弁10)の上端部と当接するアジャストスクリュー23bが取り付けられる。
可変リンク機構30は、図2〜図4に示すように、吸気弁10及び排気弁11のバルブ作動特性(開閉時期及びリフト量など)を変更するものであり、カム軸20を中心に揺動可能に支持されるホルダ31と、ホルダ31に揺動可能に支持されるサブロッカアーム32と、サブロッカアーム32と動弁カム22とを揺動可能に連結する連結リンク33と、ホルダ31の先端部を下方に常時付勢する押圧スプリング34と、サブロッカアーム32を駆動カム21に常時付勢する制御スプリング35と、動弁カム22を排気弁11(吸気弁10)が閉まる方向に常時付勢するリターンスプリング36と、を備える。なお、図4では、吸気側の可変リンク機構30のみを示す。
ホルダ31は、図4及び図5に示すように、カム軸20を中心に揺動可能にそれぞれ支持され、軸方向に所定の間隔を存して配置される第1,第2プレート41,42と、第1,第2プレート41,42を軸方向に一体的に結合し、押圧スプリング34及び制御スプリング35の付勢力を受ける結合部材43と、第2プレート42の内側に固定され、リターンスプリング36の付勢力を受けるスプリング受け部材44と、を備える。なお、本実施形態では、第1プレート41はカム軸20の軸方向内側に配置され、第2プレート42はカム軸20の軸方向外側に配置される。
第1,第2プレート41,42は、その基端部に円筒状の嵌合部41a,42aがそれぞれ形成されており、この嵌合部41a,42aを、シリンダヘッド2に一体的に固定されるカラー45と、シリンダヘッド2の軸受保持部2a及びカム軸ホルダ12の軸受保持部12aと、にそれぞれ嵌合させることによって、シリンダヘッド2、カム軸ホルダ12、及びカラー45に揺動可能に支持される。これにより、ホルダ31、即ち、可変リンク機構30は、シリンダヘッド2、カム軸ホルダ12、及びカラー45に揺動可能に支持されて、カム軸20を中心に揺動可能に支持される。
また、第1プレート41の嵌合部41aには、カム軸20を貫通させるための貫通孔41bが形成されており、この貫通孔41bとカム軸20との間には所定の隙間が設けられ、互いに接触することはない。そして、第1プレート41は、その基端部がカラー45に当接すると共に、基端部の外周面に突出形成される係合部41cがシリンダヘッド2に一体形成される規制部2bに当接することにより、軸方向の移動が規制される。また、嵌合部41aがカラー45に嵌合されることにより、径方向の移動が規制される。
また、第2プレート42の嵌合部42aには、カム軸20を貫通させるための貫通孔42bが形成されており、この貫通孔42bとカム軸20のスペーサ20aとの間には所定の隙間が設けられ、互いに接触することはない。また、スペーサ20aは、動弁カム22と軸受14との軸方向の間隔を規定するためにカム軸20に一体回転可能に挿入される円筒状部材である。そして、第2プレート42は、その基端部が軸受保持部2a,12aに当接すると共に、基端部がシリンダヘッド2に一体形成される規制部2cに当接することにより、軸方向の移動が規制される。また、嵌合部42aが軸受保持部2a,12aに嵌合されることにより、径方向の移動が規制される。
カラー45は、図5に示すように、第1プレート41の嵌合部41aを嵌合させるための嵌合孔45bが形成されるカラー本体45aと、カラー本体45aの外周面から径方向外方に延び、カラー45をシリンダヘッド2に一体的に固定するための一対の取付部45cと、を備える。そして、カラー45は、一対の取付部45cをシリンダヘッド2の取付座2dにネジにより結合することにより、シリンダヘッド2に一体的に固定される。
サブロッカアーム32は、図4に示すように、第1,第2プレート41,42間に駆動カム21及び動弁カム22と共に配置されており、力点である中間部には、駆動カム21と接触するローラ32aが回転可能に取り付けられる。また、支点部である一端部は、第1,第2プレート41,42間に軸方向に架設されるリベット46に揺動可能に支持され、支点部とは軸方向でずれた位置にある作用部である他端部は、連結リンク33を介して動弁カム22に揺動可能に連結される。また、サブロッカアーム32、連結リンク33、及び動弁カム22は、ピン33a,33bにより揺動可能に連結される。これにより、サブロッカアーム32は、回転した駆動カム21にローラ32aが押圧されることにより、リベット46を中心として揺動する。
押圧スプリング34は、一端部がカム軸ホルダ12に下方に向かって突設される保持部12bに保持され、他端部がホルダ31の結合部材43に上方に向かって突設される保持部43aに保持される。これにより、押圧スプリング34は、その付勢力でホルダ31の先端部を下方に常時付勢して、可変リンク機構30を図1の反時計回転方向に押圧する。
制御スプリング35は、一端部がホルダ31の結合部材43にカム軸20方向に向かって突設される保持部43bに保持され、他端部がサブロッカアーム32にカム軸20から離間する方向に向かって突設される保持部32bに保持される。これにより、制御スプリング35は、その付勢力でサブロッカアーム32を駆動カム21に常時付勢して、サブロッカアーム32のローラ32aを駆動カム21に押圧し、接触させる。
リターンスプリング36は、一端部がホルダ31のスプリング受け部材44に設けられるホルダ側スプリング保持部51に回転可能に保持され、他端部が動弁カム22に設けられるカム側スプリング保持部52に回転可能に保持される。これにより、リターンプリング36は、その付勢力で動弁カム22を排気弁11(吸気弁10)が閉まる方向に常時付勢して、動弁カム22を図1の反時計回転方向に押圧する。また、リターンスプリング36は、その両端部がホルダ側スプリング保持部51及びカム側スプリング保持部52にそれぞれ回転可能に保持されるため、動弁カム22が揺動する際に、円弧状に湾曲することはなく、直動運動で伸縮する。
ホルダ側スプリング保持部51は、スプリング受け部材44に下方に向かって突設されるステー部53と、ステー部53にピン53aを介して回転可能に支持されるスプリング支持部材54と、を備える。また、スプリング支持部材54には、カム側スプリング保持部52に貫通され、リターンスプリング36の伸縮を案内するロッド(スプリングガイドロッド)54aと、リターンスプリング36の一端部と当接する当接面54bと、が形成される。さらに、ロッド54aの先端部には、動弁カム22の揺動時にロッド54aが他の部材と接触しないように、テーパ状の逃げ部54cが形成される。
カム側スプリング保持部52は、動弁カム22に下方に向かって突設されるスプリングシート支持部材55と、スプリングシート支持部材55と嵌合すると共に、スプリングシート支持部材55上を摺動するスプリングシート部材56と、を備える。そして、スプリングシート支持部材55には、ホルダ側スプリング保持部51に向かって突出する凸円弧形状の凸嵌合部55aが形成され、スプリングシート部材56には、この凸嵌合部55aと嵌合、摺動する凹円弧形状の凹嵌合部56aが形成される。
また、スプリングシート支持部材55には、ホルダ側スプリング保持部51のロッド54aを貫通させるためのスリット55bと、ロッド54aの脱落を防止するためのピン55cと、が設けられる。
また、スプリングシート部材56には、ホルダ側スプリング保持部51のロッド54aを貫通させ、ロッド54aの軸方向の摺動を案内するための貫通孔56bと、リターンスプリング36の他端部と当接する当接面56cと、が形成される。
このように構成された可変リンク機構30では、制御機構60によりホルダ31が揺動されることにより、ホルダ31と共にサブロッカアーム32及び動弁カム22がカム軸20を中心に揺動する。これにより、動弁カム22は、カム軸20に対して周方向に位置が変位されて、駆動カム21に対する周方向の位相、ここでは、角度位置又は周方向位置が変更される。
制御機構60は、可変リンク機構30のホルダ31に揺動可能に連結されて、可変リンク機構30を揺動させるものである。この制御機構60は、図1及び図2に示すように、カム軸ホルダ12の上端面にボルトにより結合される略円筒状の支持体61と、支持体61の内周面に固定される一対の軸受62と、一対の軸受62を介して支持体61に回転可能に支持される略円筒状の第1制御軸71と、第1制御軸71の内周面に、送りネジ機構63を介して、第1制御軸71の回転中心線に沿って進退可能に支持される略円筒状の第2制御軸72と、第2制御軸72と可変リンク機構30,30のホルダ31,31とをそれぞれ揺動可能に連結する揺動リンク73,73と、を備える。
送りネジ機構63は、第1制御軸71の内周面に形成される雌ネジ部63aと、第2制御軸72の外周面に形成され、雌ネジ部63aに螺合される雄ネジ部63bと、を備え、第1制御軸71が駆動機構80により回転駆動されることによって、第2制御軸72を第1制御軸71の回転中心線に沿って進退させる。
また、第1制御軸71は、その外周面に駆動機構80の回転駆動力が入力される入力歯車71aが一体に設けられる。
また、第2制御軸72は、第1制御軸71の回転中心線に沿って進退する際に、送りネジ機構63により往復直線運動されるが、その往復直線運動は、第1制御軸71の上端部に固定され、第2制御軸72の内周面に摺動可能に嵌合される案内軸64と、カム軸ホルダ12の貫通孔12cに支持され、第2制御軸72の外周面に摺動可能に嵌合される案内筒65と、によって案内される。
揺動リンク73は、その一端部がピン74aを介して第2制御軸72の先端部と揺動可能に連結され、他端部がピン74bを介してホルダ31の第1プレート41の上面と揺動可能に連結される。そして、揺動リンク73は、第2制御軸72が進退することにより駆動されて、可変リンク機構30を揺動させる。
このように構成された制御機構60では、第1制御軸71の回転により第2制御軸72が後退される場合は、揺動リンク73がホルダ31を引き上げて、可変リンク機構30及び動弁カム22が図1の時計回転方向に揺動される。また、第1制御軸71の回転により第2制御軸72が進行される場合は、揺動リンク73及び押圧スプリング34がホルダ31を押し下げて、可変リンク機構30及び動弁カム22が図1の反時計回転方向に揺動される。
駆動機構80は、図2及び図8に示すように、ヘッドカバー3にボルトにより結合され、動弁室15の外部に配置される正逆回転可能な電動モータ81と、電動モータ81の回転駆動力を制御機構60に伝達させる減速歯車82と、電動モータ81を内燃機関Eの運転状態に応じて制御する電子制御ユニット83と、を備える。
電動モータ81は、シリンダ軸線と平行に動弁室15内に延びる出力軸81aを備え、この出力軸81aの先端部には、減速歯車82と噛合する駆動歯車81bが形成される。
減速歯車82は、ヘッドカバー3及びヘッドカバー3の上部開口を閉塞するカバー3aに取り付けられる一対の軸受84に回転可能に支持されており、電動モータ81の駆動歯車81bと噛合する大歯車82aと、制御機構60の第1制御軸71の入力歯車71aと噛合する小歯車82bと、を備える。
電子制御ユニット83には、図2に示すように、制御機構60の第1制御軸71の回転量を検出することにより、動弁カム22及び可変リンク機構30の揺動量を検出するポテンショメータ85と、内燃機関Eの機関負荷を検出する負荷検出手段や機関回転速度を検出する機関回転速度検出手段などから構成されて内燃機関Eの運転状態を検出する運転状態検出手段86と、が電気的に接続される。そして、電子制御ユニット83は、ポテンショメータ85及び運転状態検出手段86から入力される各検出値に基づいて電動モータ81を制御する。
ポテンショメータ85は、図8及び図9に示すように、ヘッドカバー3にボルトにより結合されており、制御機構60の第1制御軸71の入力歯車71aの回転量を、センサ用駆動機構90を介して検出する。
センサ用駆動機構90は、第1制御軸71の入力歯車71aと噛合して、入力歯車71aの回転量を取り出す取出用駆動歯車91と、ポテンショメータ85の入力軸85aに軸継手92及び捩りコイルバネ93を介して連結されるセンサ軸94と、取出用駆動歯車91の回転をセンサ軸94に伝達するウォームギヤ機構95と、を備える。
ウォームギヤ機構95は、カム軸ホルダ12及びヘッドカバー3に回転可能に支持される取出用駆動歯車91の軸上に形成されるウォーム95aと、ヘッドカバー3に回転可能に支持されるセンサ軸94の軸上に形成され、ウォーム95aと噛合するウォームホイール95bと、を備える。また、ウォームホイール95bは、捩りコイルバネ93によりウォーム95aに押し付けられる。これにより、ウォーム95aとウォームホイール95bとの間のバックラッシが防止され、ポテンショメータ85の検出精度が向上する。
そして、電子制御ユニット83は、電動モータ81の回転量などの作動状態と内燃機関Eの運転状態との関係が予め設定された制御マップに基づいて電動モータ81を制御し、これにより運転状態に最適なバルブ作動特性が設定される。そして、電動モータ81の実際の作動は、ポテンショメータ85により検出され、ポテンショメータ85の検出値が電子制御ユニット83にフィードバックされる。
次に、図6及び図7を参照して、可変動弁装置Vのバルブ作動特性の制御について説明する。
まず、内燃機関Eが低速回転域又は低負荷域の場合は、図6(a)に示すように、駆動機構80により制御機構60の第2制御軸72が第1位置(カム軸20に向かって最も進出した位置)まで進出されて、動弁カム22は、動弁カム22のカム山22bがメインロッカアーム23のローラ23aから最も離れた位置を占める。これにより、排気弁11(吸気弁10)の開時期が最遅角位置、閉時期が最進角位置にそれぞれなり、開弁期間及びリフト量がいずれも最小になる最小バルブ作動特性が得られる。
そして、この第1位置の状態でカム軸20が回転されると、図6(b)に示すように、駆動カム21のカム山部によりサブロッカアーム32がリベット46を中心に揺動(図6の時計回転方向)され、サブロッカアーム32に連結された連結リンク33により動弁カム22がカム軸20を中心に揺動(図6の時計回転方向)され、動弁カム22のカム山部22bによりメインロッカアーム23がロッカ軸25を中心に揺動(図6の時計回転方向)されて、排気弁11(吸気弁10)が最小開弁期間及び最小リフト量で開弁する。また、動弁カム22の揺動に伴って、スプリング支持部材54がホルダ31に対して回転すると共に、スプリングシート部材56がスプリングシート支持部材55上を摺動するので、リターンスプリング36の伸縮が直動運動に維持される(図6のa線及びb線参照)。
次に、内燃機関Eが高速回転域又は高負荷域に移行する場合は、図7(a)に示すように、駆動機構80により制御機構60の第2制御軸72が第1位置から第2位置(カム軸20から最も後退した位置)に後退されて、動弁カム22は、動弁カム22のカム山22bがメインロッカアーム23のローラ23aに最も近い位置を占める。これにより、排気弁11(吸気弁10)の開時期が最進角位置、閉時期が最遅角位置にそれぞれなり、開弁期間及びリフト量がいずれも最大になる最大バルブ作動特性が得られる。
そして、この第2位置の状態でカム軸20が回転されると、図7(b)に示すように、駆動カム21のカム山部によりサブロッカアーム32がリベット46を中心に揺動(図7の時計回転方向)され、サブロッカアーム32に連結された連結リンク33により動弁カム22がカム軸20を中心に揺動(図7の時計回転方向)され、動弁カム22のカム山部22bによりメインロッカアーム23がロッカ軸25を中心に揺動(図7の時計回転方向)されて、排気弁11(吸気弁10)が最大開弁期間及び最大リフト量で開弁する。
また、制御機構60の第2制御軸72が第1位置と第2位置との間の任意の中間位置にある場合は、この中間位置に応じた最小バルブ作動特性と最大バルブ作動特性との間の任意の中間バルブ作動特性が得られる。また、駆動機構80の電動モータ81を逆回転することにより、第2制御軸72が再度進行して、第2位置から第1位置に移行可能である。
以上説明したように、本実施形態の内燃機関Eの可変動弁装置Vによれば、可変リンク機構30は、カム軸20を中心に揺動可能に支持されるホルダ31と、ホルダ31と動弁カム22との間に設けられ、動弁カム22を排気弁11(吸気弁10)が閉まる位置へ常時付勢するリターンスプリング36と、ホルダ31に設けられ、リターンスプリング36の一端部を保持するホルダ側スプリング保持部51と、動弁カム22に設けられ、リターンスプリング36の他端部を保持するカム側スプリング保持部52と、を有し、ホルダ側スプリング保持部51及びカム側スプリング保持部52の両方がリターンスプリング36の両端部を回転可能に保持するため、動弁カム22の揺動に伴って、ホルダ側スプリング保持部51及びカム側スプリング保持部52がホルダ31及び動弁カム22に対して回転することにより、スプリング支持部材54の当接面54b及びスプリングシート部材56の当接面56cが常時平行に維持され、リターンスプリング36の伸縮を直動運動に維持することができるので、リターンスプリング36に働く応力を緩和することができる。これにより、リターンスプリング36を小さくすることができるので、可変動弁装置Vを小型化することができる。
また、本実施形態の内燃機関Eの可変動弁装置Vによれば、ホルダ側スプリング保持部51のスプリング支持部材54に、カム側スプリング保持部52を貫通するロッド54aを設けると共に、カム側スプリング保持部52のスプリングシート部材56に、ロッド54aを貫通させ、その軸方向の摺動を案内する貫通孔56bを設けるため、リターンスプリング36が54aロッドにより案内されるので、リターンスプリング36の直動運動を容易に維持することができる。
なお、本実施形態の変形例として、図10に示すように、ホルダ側スプリング保持部51に、スプリングシート支持部材55及びスプリングシート部材56を設け、カム側スプリング保持部52に、ステー部53及びスプリング支持部材54を設けるようにしてもよい。この場合、揺動する動弁カム22のフリクションを低減することができる。
(第2実施形態)
次に、図11を参照して、本発明に係る内燃機関の動弁装置の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
図11は本発明に係る内燃機関の動弁装置の第2実施形態の説明図であり、(a)は動弁カム揺動前のリンク機構の図、(b)は動弁カム揺動時のリンク機構の図である。
本実施形態の可変リンク機構30では、図11に示すように、リターンスプリング36は、一端部がホルダ31のスプリング受け部材44に設けられるホルダ側スプリング保持部101に回転可能に保持され、他端部が動弁カム22に設けられるカム側スプリング保持部102に回転可能に保持される。
ホルダ側スプリング保持部101は、スプリング受け部材44に下方に向かって突設されるスプリングシート支持部材103と、スプリングシート支持部材103と嵌合すると共に、スプリングシート支持部材103上を摺動するスプリングシート部材104と、を備える。そして、スプリングシート支持部材103には、カム側スプリング保持部102に向かって突出する凸円弧形状の凸嵌合部103aが形成され、スプリングシート部材104には、この凸嵌合部103aと嵌合、摺動する凹円弧形状の凹嵌合部104aが形成される。また、スプリングシート部材104には、リターンスプリング36の一端部と当接する当接面104bが形成される。
カム側スプリング保持部102は、動弁カム22に下方に向かって突設されるスプリングシート支持部材105と、スプリングシート支持部材105と嵌合すると共に、スプリングシート支持部材105上を摺動するスプリングシート部材106と、を備える。そして、スプリングシート支持部材105には、ホルダ側スプリング保持部101に向かって突出する凸円弧形状の凸嵌合部105aが形成され、スプリングシート部材106には、この凸嵌合部105aと嵌合、摺動する凹円弧形状の凹嵌合部106aが形成される。また、スプリングシート部材106には、リターンスプリング36の他端部と当接する当接面106bが形成される。
以上説明したように、本実施形態の内燃機関Eの可変動弁装置Vによれば、ホルダ側スプリング保持部101は、ホルダ31に設けられるスプリングシート支持部材103と、スプリングシート支持部材103と嵌合すると共に、スプリングシート支持部材103上を摺動し、リターンスプリング36との当接面104bが設けられるスプリングシート部材104と、を有し、カム側スプリング保持部102は、動弁カム22に設けられるスプリングシート支持部材105と、スプリングシート支持部材105と嵌合すると共に、スプリングシート支持部材105上を摺動し、リターンスプリング36との当接面106bが設けられるスプリングシート部材106と、を有し、スプリングシート支持部材103,105に凸円弧形状の凸嵌合部103a,105aをそれぞれ形成し、スプリングシート部材104,106に凹円弧形状の凹嵌合部104a,106aをそれぞれ形成するため、動弁カム22の揺動に伴って、スプリングシート部材104がスプリングシート支持部材103上を摺動すると共に、スプリングシート部材106がスプリングシート支持部材105上を摺動することにより、スプリングシート部材104の当接面104b及びスプリングシート部材106の当接面106bが常時平行に維持され、リターンスプリング36の伸縮を直動運動に維持することができるので、リターンスプリング36に働く応力を緩和することができる。これにより、リターンスプリング36を小さくすることができるので、可変動弁装置Vを小型化することができる。
また、本実施形態の内燃機関Eの可変動弁装置Vによれば、ホルダ側スプリング保持部101は、ホルダ31に設けられるスプリングシート支持部材103と、スプリングシート支持部材103と嵌合、摺動するスプリングシート部材104と、を有し、カム側スプリング保持部102は、動弁カム22に設けられるスプリングシート支持部材105と、スプリングシート支持部材105と嵌合、摺動するスプリングシート部材106と、を有するため、可変リンク機構30の構造を簡素化して、軽量化することができるので、可変動弁装置Vの駆動性能を向上することができる。
その他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
次に、図12を参照して、本発明に係る内燃機関の動弁装置の第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
図12は本発明に係る内燃機関の動弁装置の第3実施形態の説明図であり、(a)は動弁カム揺動前のリンク機構の図、(b)は動弁カム揺動時のリンク機構の図である。
本実施形態の可変リンク機構30では、図12に示すように、リターンスプリング36は、一端部がホルダ31のスプリング受け部材44に設けられるホルダ側スプリング保持部111に回転可能に保持され、他端部が動弁カム22に設けられるカム側スプリング保持部112に回転可能に保持される。
ホルダ側スプリング保持部111は、スプリング受け部材44に下方に向かって突設されるスプリングシート支持部材113と、スプリングシート支持部材113と嵌合すると共に、スプリングシート支持部材113上を摺動するスプリングシート部材114と、を備える。そして、スプリングシート支持部材113には、カム側スプリング保持部112から離間する方向に凹陥する凹円弧形状の凹嵌合部113aが形成され、スプリングシート部材114には、この凹嵌合部113aと嵌合、摺動する凸円弧形状の凸嵌合部114aが形成される。また、スプリングシート部材114には、リターンスプリング36の一端部と当接する当接面114bが形成される。
カム側スプリング保持部112は、動弁カム22に下方に向かって突設されるスプリングシート支持部材115と、スプリングシート支持部材115と嵌合すると共に、スプリングシート支持部材115上を摺動するスプリングシート部材116と、を備える。そして、スプリングシート支持部材115には、ホルダ側スプリング保持部111から離間する方向に凹陥する凹円弧形状の凹嵌合部115aが形成され、スプリングシート部材116には、この凹嵌合部115aと嵌合、摺動する凸円弧形状の凸嵌合部116aが形成される。また、スプリングシート部材116には、リターンスプリング36の他端部と当接する当接面116bが形成される。
以上説明したように、本実施形態の内燃機関Eの可変動弁装置Vによれば、ホルダ側スプリング保持部111は、ホルダ31に設けられるスプリングシート支持部材113と、スプリングシート支持部材113と嵌合すると共に、スプリングシート支持部材113上を摺動し、リターンスプリング36との当接面114bが設けられるスプリングシート部材114と、を有し、カム側スプリング保持部112は、動弁カム22に設けられるスプリングシート支持部材115と、スプリングシート支持部材115と嵌合すると共に、スプリングシート支持部材115上を摺動し、リターンスプリング36との当接面116bが設けられるスプリングシート部材116と、を有し、スプリングシート支持部材113,115に凹円弧形状の凹嵌合部113a,115aをそれぞれ形成し、スプリングシート部材114,116に凸円弧形状の凸嵌合部114a,116aをそれぞれ形成するため、動弁カム22の揺動に伴って、スプリングシート部材114がスプリングシート支持部材113上を摺動すると共に、スプリングシート部材116がスプリングシート支持部材115上を摺動することにより、スプリングシート部材114の当接面114b及びスプリングシート部材116の当接面116bが常時平行に維持され、リターンスプリング36の伸縮を直動運動に維持することができるので、リターンスプリング36に働く応力を緩和することができる。これにより、リターンスプリング36を小さくすることができるので、可変動弁装置Vを小型化することができる。
また、本実施形態の内燃機関Eの可変動弁装置Vによれば、ホルダ側スプリング保持部111は、ホルダ31に設けられるスプリングシート支持部材113と、スプリングシート支持部材113と嵌合、摺動するスプリングシート部材114と、を有し、カム側スプリング保持部112は、動弁カム22に設けられるスプリングシート支持部材115と、スプリングシート支持部材115と嵌合、摺動するスプリングシート部材116と、を有するため、可変リンク機構30の構造を簡素化して、軽量化することができるので、可変動弁装置Vの駆動性能を向上することができる。
その他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と同様である。
(第4実施形態)
次に、図13を参照して、本発明に係る内燃機関の動弁装置の第4実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
図13は本発明に係る内燃機関の動弁装置の第4実施形態の説明図であり、(a)は動弁カム揺動前のリンク機構の図、(b)は動弁カム揺動時のリンク機構の図である。
本実施形態の可変リンク機構30では、図13に示すように、リターンスプリング36は、一端部がホルダ31のスプリング受け部材44に設けられるホルダ側スプリング保持部121に回転可能に保持され、他端部が動弁カム22に設けられるカム側スプリング保持部122に回転可能に保持される。
ホルダ側スプリング保持部121は、スプリング受け部材44に下方に向かって突設されるステー部123と、ステー部123にピン123aを介して回転可能に支持されるスプリング支持部材124と、を備える。また、スプリング支持部材124には、リターンスプリング36の一端部と当接する当接面124aが形成される。
カム側スプリング保持部122は、動弁カム22に下方に向かって突設されるステー部125と、ステー部125にピン125aを介して回転可能に支持されるスプリング支持部材126と、を備える。また、スプリング支持部材126には、リターンスプリング36の他端部と当接する当接面126aが形成される。
以上説明したように、本実施形態の内燃機関Eの可変動弁装置Vによれば、ホルダ側スプリング保持部121は、ホルダ31にピン123aを介して回転可能に支持され、リターンスプリング36との当接面124aが設けられるスプリング支持部材124を有し、カム側スプリング保持部122は、動弁カム22にピン125aを介して回転可能に支持され、リターンスプリング36との当接面126aが設けられるスプリング支持部材126を有するため、動弁カム22の揺動に伴って、スプリング支持部材124がホルダ31に対して回転すると共に、スプリング支持部材126が動弁カム22に対して回転することにより、スプリング支持部材124の当接面124a及びスプリング支持部材126の当接面126aが常時平行に維持され、リターンスプリング36の伸縮を直動運動に維持することができるので、リターンスプリング36に働く応力を緩和することができる。これにより、リターンスプリング36を小さくすることができるので、可変動弁装置Vを小型化することができる。
また、本実施形態の内燃機関Eの可変動弁装置Vによれば、ホルダ側スプリング保持部121は、ホルダ31にピン123aを介して回転可能に支持されるスプリング支持部材124を有し、カム側スプリング保持部122は、動弁カム22にピン125aを介して回転可能に支持されるスプリング支持部材126を有するため、可変リンク機構30に生じる摩擦抵抗を低減することができるので、可変動弁装置Vの駆動性能を向上することができる。
その他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と同様である。
(第5実施形態)
次に、図14を参照して、本発明に係る内燃機関の動弁装置の第5実施形態について説明する。なお、第1実施形態、第2実施形態、及び第4実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
図14は本発明に係る内燃機関の動弁装置の第5実施形態の説明図であり、(a)は動弁カム揺動前のリンク機構の図、(b)は動弁カム揺動時のリンク機構の図である。
本実施形態の可変リンク機構30では、図14に示すように、リターンスプリング36は、一端部がホルダ31のスプリング受け部材44に設けられるホルダ側スプリング保持部121に回転可能に保持され、他端部が動弁カム22に設けられるカム側スプリング保持部102に回転可能に保持される。
以上説明したように、本実施形態の内燃機関Eの可変動弁装置Vによれば、ホルダ側スプリング保持部121は、ホルダ31にピン123aを介して回転可能に支持され、リターンスプリング36との当接面124aが設けられるスプリング支持部材124を有し、カム側スプリング保持部102は、動弁カム22に設けられるスプリングシート支持部材105と、スプリングシート支持部材105と嵌合すると共に、スプリングシート支持部材105上を摺動し、リターンスプリング36との当接面106bが設けられるスプリングシート部材106と、を有し、スプリングシート支持部材105に凸円弧形状の凸嵌合部105aを形成し、スプリングシート部材106に凹円弧形状の凹嵌合部106aを形成するため、動弁カム22の揺動に伴って、スプリング支持部材124がホルダ31に対して回転すると共に、スプリングシート部材106がスプリングシート支持部材105上を摺動することにより、スプリング支持部材124の当接面124a及びスプリングシート部材106の当接面106bが常時平行に維持され、リターンスプリング36の伸縮を直動運動に維持することができるので、リターンスプリング36に働く応力を緩和することができる。これにより、リターンスプリング36を小さくすることができるので、可変動弁装置Vを小型化することができる。
また、本実施形態の内燃機関Eの可変動弁装置Vによれば、ホルダ側スプリング保持部121は、ホルダ31にピン123aを介して回転可能に支持されるスプリング支持部材124を有し、カム側スプリング保持部102は、動弁カム22に設けられるスプリングシート支持部材105と、スプリングシート支持部材105と嵌合、摺動するスプリングシート部材106と、を有するため、動弁カム22側の構造を簡素化して、軽量化することができると共に、ホルダ31側に生じる摩擦抵抗を低減することができるので、可変動弁装置Vの駆動性能を向上することができる。
その他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と同様である。
(第6実施形態)
次に、図15を参照して、本発明に係る内燃機関の動弁装置の第6実施形態について説明する。なお、第1実施形態、第3実施形態、及び第4実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
図15は本発明に係る内燃機関の動弁装置の第6実施形態の説明図であり、(a)は動弁カム揺動前のリンク機構の図、(b)は動弁カム揺動時のリンク機構の図である。
本実施形態の可変リンク機構30では、図15に示すように、リターンスプリング36は、一端部がホルダ31のスプリング受け部材44に設けられるホルダ側スプリング保持部121に回転可能に保持され、他端部が動弁カム22に設けられるカム側スプリング保持部112に回転可能に保持される。
以上説明したように、本実施形態の内燃機関Eの可変動弁装置Vによれば、ホルダ側スプリング保持部121は、ホルダ31にピン123aを介して回転可能に支持され、リターンスプリング36との当接面124aが設けられるスプリング支持部材124を有し、カム側スプリング保持部112は、動弁カム22に設けられるスプリングシート支持部材115と、スプリングシート支持部材115と嵌合すると共に、スプリングシート支持部材115上を摺動し、リターンスプリング36との当接面116bが設けられるスプリングシート部材116と、を有し、スプリングシート支持部材115に凹円弧形状の凹嵌合部115aを形成し、スプリングシート部材116に凸円弧形状の凸嵌合部116aを形成するため、動弁カム22の揺動に伴って、スプリング支持部材124がホルダ31に対して回転すると共に、スプリングシート部材116がスプリングシート支持部材115上を摺動することにより、スプリング支持部材124の当接面124a及びスプリングシート部材116の当接面116bが常時平行に維持され、リターンスプリング36の伸縮を直動運動に維持することができるので、リターンスプリング36に働く応力を緩和することができる。これにより、リターンスプリング36を小さくすることができるので、可変動弁装置Vを小型化することができる。
また、本実施形態の内燃機関Eの可変動弁装置Vによれば、ホルダ側スプリング保持部121は、ホルダ31にピン123aを介して回転可能に支持されるスプリング支持部材124を有し、カム側スプリング保持部112は、動弁カム22に設けられるスプリングシート支持部材115と、スプリングシート支持部材115と嵌合、摺動するスプリングシート部材116と、を有するため、動弁カム22側の構造を簡素化して、軽量化することができると共に、ホルダ31側に生じる摩擦抵抗を低減することができるので、可変動弁装置Vの駆動性能を向上することができる。
その他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と同様である。
(第7実施形態)
次に、図16を参照して、本発明に係る内燃機関の動弁装置の第7実施形態について説明する。なお、第1実施形態、第2実施形態、及び第4実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
図16は本発明に係る内燃機関の動弁装置の第7実施形態の説明図であり、(a)は動弁カム揺動前のリンク機構の図、(b)は動弁カム揺動時のリンク機構の図である。
本実施形態の可変リンク機構30では、図16に示すように、リターンスプリング36は、一端部がホルダ31のスプリング受け部材44に設けられるホルダ側スプリング保持部101に回転可能に保持され、他端部が動弁カム22に設けられるカム側スプリング保持部122に回転可能に保持される。
以上説明したように、本実施形態の内燃機関Eの可変動弁装置Vによれば、ホルダ側スプリング保持部101は、ホルダ31に設けられるスプリングシート支持部材103と、スプリングシート支持部材103と嵌合すると共に、スプリングシート支持部材103上を摺動し、リターンスプリング36との当接面104bが設けられるスプリングシート部材104と、を有し、スプリングシート支持部材103に凸円弧形状の凸嵌合部103aを形成し、スプリングシート部材104に凹円弧形状の凹嵌合部104aを形成して、カム側スプリング保持部122は、動弁カム22にピン125aを介して回転可能に支持され、リターンスプリング36との当接面126aが設けられるスプリング支持部材126を有するため、動弁カム22の揺動に伴って、スプリングシート部材104がスプリングシート支持部材103上を摺動すると共に、スプリング支持部材126が動弁カム22に対して回転することにより、スプリングシート部材104の当接面104b及びスプリング支持部材126の当接面126aが常時平行に維持され、リターンスプリング36の伸縮を直動運動に維持することができるので、リターンスプリング36に働く応力を緩和することができる。これにより、リターンスプリング36を小さくすることができるので、可変動弁装置Vを小型化することができる。
また、本実施形態の内燃機関Eの可変動弁装置Vによれば、ホルダ側スプリング保持部101は、ホルダ31に設けられるスプリングシート支持部材103と、スプリングシート支持部材103と嵌合、摺動するスプリングシート部材104と、を有し、カム側スプリング保持部122は、動弁カム22にピン125aを介して回転可能に支持されるスプリング支持部材126を有するため、ホルダ31側の構造を簡素化して、軽量化することができると共に、動弁カム22が揺動する際に生じる摩擦抵抗を低減することができるので、可変動弁装置Vの駆動性能を向上することができる。
その他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と同様である。
(第8実施形態)
次に、図17を参照して、本発明に係る内燃機関の動弁装置の第8実施形態について説明する。なお、第1実施形態、第3実施形態、及び第4実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
図17は本発明に係る内燃機関の動弁装置の第8実施形態の説明図であり、(a)は動弁カム揺動前のリンク機構の図、(b)は動弁カム揺動時のリンク機構の図である。
本実施形態の可変リンク機構30では、図17に示すように、リターンスプリング36は、一端部がホルダ31のスプリング受け部材44に設けられるホルダ側スプリング保持部111に回転可能に保持され、他端部が動弁カム22に設けられるカム側スプリング保持部122に回転可能に保持される。
以上説明したように、本実施形態の内燃機関Eの可変動弁装置Vによれば、ホルダ側スプリング保持部111は、ホルダ31に設けられるスプリングシート支持部材113と、スプリングシート支持部材113と嵌合すると共に、スプリングシート支持部材113上を摺動し、リターンスプリング36との当接面114bが設けられるスプリングシート部材114と、を有し、スプリングシート支持部材113に凹円弧形状の凹嵌合部113aを形成し、スプリングシート部材114に凸円弧形状の凸嵌合部114aを形成して、カム側スプリング保持部122は、動弁カム22にピン125aを介して回転可能に支持され、リターンスプリング36との当接面126aが設けられるスプリング支持部材126を有するため、動弁カム22の揺動に伴って、スプリングシート部材114がスプリングシート支持部材113上を摺動すると共に、スプリング支持部材126が動弁カム22に対して回転することにより、スプリングシート部材114の当接面114b及びスプリング支持部材126の当接面126aが常時平行に維持され、リターンスプリング36の伸縮を直動運動に維持することができるので、リターンスプリング36に働く応力を緩和することができる。これにより、リターンスプリング36を小さくすることができるので、可変動弁装置Vを小型化することができる。
また、本実施形態の内燃機関Eの可変動弁装置Vによれば、ホルダ側スプリング保持部111は、ホルダ31に設けられるスプリングシート支持部材113と、スプリングシート支持部材113と嵌合、摺動するスプリングシート部材114と、を有し、カム側スプリング保持部122は、動弁カム22にピン125aを介して回転可能に支持されるスプリング支持部材126を有するため、ホルダ31側の構造を簡素化して、軽量化することができると共に、動弁カム22が揺動する際に生じる摩擦抵抗を低減することができるので、可変動弁装置Vの駆動性能を向上することができる。
その他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と同様である。
なお、本発明は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、ホルダ側スプリング保持部及びカム側スプリング保持部の両方がリターンスプリングの端部を回転可能に保持する場合を例示したが、ホルダ側スプリング保持部及びカム側スプリング保持部のどちらか一方がリターンスプリングの端部を回転可能に保持するようにしてもよい。この場合、動弁カムの揺動に伴うリターンスプリングの湾曲を小さくすることができるので、リターンスプリングに働く応力を緩和することができる。