JP4678104B2 - 中空状カーボンファイバー及びその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、中空状カーボンファイバーの製造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノチューブに代表される中空状カーボンファイバーは、直径数nm〜数百nm、長さ数nm〜数十μmからなり、その壁は数〜数十のグラファイト層を丸めた円筒形状からなる。
【0003】
中空状カーボンファイバーは、機械的強度、水素貯蔵特性、電界放出特性等の特異な特性が注目され、その応用研究が進められている。従来の製法によれば、不活性ガス雰囲気中でアーク放電によりカーボンを蒸発させた後、凝集させる(特許第2845675号公報)や、−C≡C−および/または−C=C−を含む炭素材料に対し、X線、マイクロ波および超音波の少なくとも1種を照射する(特開2000−109310号公報)、あるいは炭素蒸気と非磁性遷移金属とを接触させてカーボンナノチューブを成長させる(特開2000−95509号公報)等がある。
【0004】
しかし、いずれの製法においても、目的とするカーボンナノチューブの生成割合が低く、カーボンブラック状炭素質やアモルファスカーボン等が副生することが避けられなかった。また、金属触媒を使用する場合、反応生成物を精製する必要があり、また精製しても金属触媒が完全に除去できず、前記の水素貯蔵特性や電界放出特性を低下させる等の影響が避けられなかった。
【0005】
さらに、前記製法ではカーボンナノチューブを代表とする中空状カーボンチューブの壁層数、直径、長さの制御が実質的に不可能であり、均一な形状及び特性を得ることは非常に困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記公知の製法及びこれから得られるカーボンナノチューブに代表される中空状カーボンファイバーの問題点を解決するものである。
【0007】
すなわち本発明は、カーボンナノチューブを代表とする中空状カーボンファイバーの壁層数、直径、長さの制御が可能であり、均一な形状及び特性を得ることが出来る中空状カーボンファイバーの製造法を提供するものである。また本発明は、金属触媒を使用しないためその精製除去が不要で、量産が比較的容易である中空状カーボンファイバー及びその製造法を提供するものである。
【0008】
[課題を解決するための手段]本発明は、次の各発明に関する。
(1)熱分解消失性ポリマーを用いて形成された中空と、炭素前駆体ポリマーを用いて形成された殻を有し、前記の中空と殻は、前記の熱分解消失性ポリマーを構成するラジカル重合性基を有するモノマーと前記の炭素前駆体ポリマーを構成するラジカル重合性基を有するモノマーとのシード重合によって作製されるマイクロカプセルを紡糸して焼成することによって形成されたことを特徴とする中空状カーボンファイバー。
(2)前記(1)に記載の中空状カーボンファイバーにおいて、前記の中空と殻は、前記のマイクロカプセルを、該マイクロカプセルの作製に使用される熱分解性消失性ポリマーと同じ、又は異なる種類の熱分解消失性ポリマーと混合した後に、紡糸して焼成することによって形成されたことを特徴とする中空状カーボンファイバー。
【0009】
(3)前記(1)又は(2)に記載の中空状カーボンファイバーにおいて、前記の熱分解性消失性ポリマーとして残炭率が10重量%以下、前記の炭素前駆体ポリマーとして残炭率が15重量%以上のポリマーを用いることを特徴とする中空状カーボンナノファイバー。
(4)前記(1)〜(3)の何れかに記載の中空カーボンファイバーにおいて、前記のマイクロカプセルをシード重合によって作製する際に、前記の熱分解消失性ポリマーを構成するラジカル重合性基を有するモノマー(A)と前記の炭素前駆体ポリマーを構成するラジカル重合性基を有するモノマー(B)のモル組成比が、[A] モル >[B] モル の関係を満たすことを特徴とする中空状カーボンファイバー。
【0010】
(5)熱分解消失性ポリマーを構成するラジカル重合性基を有するモノマーと炭素前駆体ポリマーを構成するラジカル重合性基を有するモノマーとのシード重合によってマイクロカプセルを製作し、該マイクロカプセルを溶融紡糸した後、焼成して作製することを特徴とする中空状カーボンファイバーの製造方法。
(6)前記のマイクロカプセルは、該マイクロカプセルの作製に使用される熱分解性消失性ポリマーと同じ、又は異なる種類の熱分解消失性ポリマーと混合された後に、溶融紡糸して焼成することを特徴とする前記(5)に記載の中空状カーボンファイバーの製造方法。
【0011】
(7)前記の熱分解性消失性ポリマーとして残炭率が10重量%以下、前記の炭素前駆体ポリマーとして残炭率が15重量%以上のポリマーを用いることを特徴とする前記(5)又は(6)に記載の中空状カーボンナノファイバーの製造方法。
(8)前記炭素前駆体ポリマーが、アクリロニトリルの単量体から形成されるユニットをポリマー中に35モル%以上含むことを特徴とする前記(5)〜(7)の何れかに記載の中空状カーボンファイバーの製造方法。
【0012】
(9)前記のマイクロカプセルをシード重合によって作製する際に、前記の熱分解消失性ポリマーを構成するラジカル重合性基を有するモノマー(A)と前記の炭素前駆体ポリマーを構成するラジカル重合性基を有するモノマー(B)のモル組成比が、[A] モル >[B] モル の関係を満たすことを特徴とする前記(5)〜(8)の何れかに記載の中空状カーボンファイバーの製造方法。
(10)前記の熱分解性消失性ポリマー及び炭素前駆体ポリマーが、それぞれのラジカル重合性基を有するモノマーから重合によって形成される時に、その重合開始剤として、炭素、水素、酸素、窒素、りん、硫黄、フッ素、塩素、臭素およびよう素の中から選ばれた元素のみで構成される化合物を用いることを特徴とする前記(5)〜(9)の何れかに記載の中空状カーボンナノファイバーの製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、焼成の際に熱分解消失するポリマーを用いて形成された中空と、焼成によってカーボンとなる炭素前駆体ポリマーを用いて形成された外殻を有してなる中空状カーボンファイバーであり、これは熱分解消失性ポリマーと炭素前駆体ポリマーとを組合せて作製される。
【0014】
その具体的な手段としては、熱分解消失性ポリマーと炭素前駆体ポリマーとからマイクロカプセルを製作し、マイクロカプセルを溶融紡糸した後、焼成して作製する製造法が好ましい方法としてあげられる。
【0015】
熱分解消失性ポリマーと炭素前駆体ポリマーからなるマイクロカプセルを調製し、これを紡糸した後、焼成することで、各工程における反応制御が容易となる。また、本発明は、前述した公知の製法に比べ、カーボンナノチューブを代表とする中空状カーボンファイバーの形状制御が容易となり、且つ高収率での製造が可能となる。
【0016】
本発明におけるマイクロカプセルの調製では、熱分解消失性樹脂として残炭率が10重量%以下、炭素前駆体ポリマーとして残炭率が15重量%以上のポリマーを用いることが好ましい。熱分解消失性樹脂として残炭率が10重量%以下の樹脂を用いることで、中空状カーボンファイバーの細孔径が比較的容易に制御されると共に、壁を形成するグラファイト層の構造制御が容易となる。熱分解消失性樹脂として残炭率が15重量%より高い樹脂を用いた場合、細孔径の制御が困難となり、壁を形成するグラファイト層の構造制御が困難となり、結果的に任意形状への制御が著しく困難となる。
【0017】
本発明におけるマイクロカプセルの原料としては、前記条件を満たすものであれば特に制限はないが、紡糸工程での作業性を考慮すると、熱可塑性樹脂が好ましい。具体的に列挙すると、熱分解消失性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリブタジエン等のジエン系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のメタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル系樹脂等が挙げられる。なかでも、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のメタクリル樹脂などが好ましいものとして挙げられる。
【0018】
一方、炭素前駆体ポリマーとしては、ポリアクリロニトリル系樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ジビニルベンゼン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。
【0019】
また、シード重合でマイクロカプセルを合成する場合には、ラジカル重合性を持つモノマーから合成することが好ましいので、アクリロニトリルを単量体に用いたポリアクリロニトリル系樹脂が好ましく、アクリロニトリルによって形成される単量体ユニットをポリマー中に35モル%以上含むポリアクリロニトリル系樹脂が好ましい。
【0020】
本発明におけるマイクロカプセルの製造法には特に制限がないが、作業性を考慮すると、直径0.001μm〜100μmの熱分解性消失性樹脂粒子をシードとしたシード重合、コアセルべーション法、界面縮合法、スプレー乾燥法、ハイブリダイザーを用いた湿式混合法などが好ましい。直径0.001μm〜1μm熱分解性消失性樹脂粒子を用いる場合はシード重合が好ましい。
【0021】
直径0.001μm〜100μmの熱分解性消失性樹脂粒子の製造法には特に制限がなく、熱分解性消失性樹脂を粉砕し必要により篩い分けする方法、逆相乳化重合、乳化重合、ソープフリー乳化重合、非水分散重合、シード重合、懸濁重合などの重合により直接粒子を得る方法があげられるが、作業性を考慮すると、逆相乳化重合、乳化重合、ソープフリー乳化重合、非水分散重合、シード重合、懸濁重合などの重合により直接粒子を得る方法が好ましく、直径0.001μm〜1μm熱分解性消失性樹脂粒子を得る場合には、乳化重合、ソープフリー乳化重合が好ましい。
【0022】
マイクロカプセルを製造する際に用いられる重合開始剤に特に制限はないが、最終的に製造した中空状カーボンファイバーの純度が高いのが望ましい場合には、炭素化工程で炭素以外の元素が残らない化合物、すなわち、炭素、水素、酸素、窒素、りん、硫黄、フッ素、塩素、臭素及びよう素の中から選ばれた元素のみで構成される化合物が好ましい。これらの化合物としては、アゾビスイソブチロ二トリル、アゾビス(2−アミノプロパン)二塩酸塩、アゾビス−4−シアノペンタン酸、アゾビスジメチルバレロニトリル等のジアゾ化合物、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、過硫酸アンモニウム等の過酸化物塩が挙げられる。
【0023】
得られたマイクロカプセルは、ついで紡糸に供される。本発明における紡糸の手段は特に制限されるものではなく、公知のいずれの方法を用いても良い。たとえば、マイクロカプセルを、溶融した際にマトリクスとなる樹脂(たとえば、前記マイクロカプセルのシードとして使用したものと同じ又は異なる熱分解性消失性樹脂)とともに原料として銅製のるつぼに入れ、リボンヒーターで100℃〜300℃に加熱して原料を溶融させた後、るつぼ底部に空けた孔、たとえばφ1mmの孔から溶融した原料樹脂をモーターで巻き取る方式を採用することができる。この場合、マイクロカプセルの量とマトリクスとなる樹脂の量の重量比は特に制限はないが、前者1に対して、後者0.3〜1.5とすることが好ましい。原料溶融時の加熱温度及びるつぼ底部に空けた孔径、巻き取りモーターの回転数及び巻き取り部の周速、形状を適当に変えることで、本発明で得られる中空状カーボンファイバーの形状を制御することが可能である。
【0024】
ついで炭素化して中空状カーボンファイバーとすることができる。炭素化は500℃〜3200℃の温度範囲で行うことが好ましく、600℃〜3000℃の温度で行うことがより好ましい。炭素化温度が500℃未満の場合、グラファイト層の形成が十分ではなく、機械的強度、水素貯蔵特性、電界放出特性等の諸特性が低下する。また、炭素化を3200℃より高い温度で行った場合、グラファイト層を形成する炭素原子の一部またはほとんどが昇華し、グラファイト層に欠陥が生じる傾向にある。
【0025】
以上のようにして得られる中空状カーボンファイバーは、金属触媒を使用しないためその精製除去が不要で、量産が比較的容易であり、種々の用途に使用することができる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。
実施例1
(1) 熱分解消失性樹脂の合成
1000mlフラスコにメタクリル酸メチル35ml、イオン交換水350ml、過硫酸アンモニウム29mgを入れ、窒素をバブリングしながら超音波を30分間照射した。フラスコに攪拌羽根を装着し、300rpmの攪拌速度、70℃で5時間、引続き80℃で30分間反応して、熱分解消失性ポリマー乳化液を得た。
【0027】
(2) 熱分解消失性ポリマーと炭素前駆体ポリマーとからマイクロカプセルの製造
(1)で作製した熱分解消失性ポリマー乳化液90ml、アクリロニトリル4ml、イオン交換水270ml、過硫酸アンモニウム5mgを1000mlフラスコに入れ、30分間窒素をバブリングした。フラスコに攪拌羽根を装着し300rpmの攪拌速度、70℃で5時間、引続き80℃で30分間反応させ、マイクロカプセル乳化液を得た。乳化液から凍結乾燥に水を除去することで、マイクロカプセルを得た。
【0028】
(3) マイクロカプセルの紡糸及び炭素化
(2)で作製したマイクロカプセルと(1)で作製した熱分解消失性樹脂の粉砕粉とを、乳鉢内で1:1の重量比で軽く混合した後、窒素雰囲気下、120℃で加熱しながら混練し、樹脂塊を得た。次いでこの樹脂隗を直径30mm、長さ100mm、下部に直径1mmの孔を有する銅製ルツボに入れた。窒素雰囲気下でリボンヒーターを用いて銅製ルツボを170℃で加熱し、ルツボの下部の孔から溶融した樹脂を、周速50mで回転させたモーターに巻付け、樹脂隗の紡糸を行った。紡糸して得られた繊維を30ml/分の空気気流中で不融化処理を行った。次いで、窒素気流下、焼成炉にて昇温10℃/時間で1000℃まで焼成を行い、次いでタンマン炉にて昇温30℃/時間で3000℃まで黒鉛化処理を行った。
得られたカーボンファイバーは細孔径1〜3nm、直径3〜12nm、壁を構成するグラファイト層が3〜数十層からなる中空状カーボンファイバーであった。
【0029】
【発明の効果】
本発明を用いてカーボンナノチューブに代表される中空状カーボンファイバーを調整することで、ファイバー径、ファイバー長、細孔径及び壁を形成するグラファイト層の厚さ、結晶性などを任意に制御することが可能である。また、金属触媒を使用しないため精製が不要で、目的とする形状の中空状カーボンファイバーを高収率で得ることができる。
Claims (10)
- 熱分解消失性ポリマーを用いて形成された中空と、炭素前駆体ポリマーを用いて形成された殻を有し、前記の中空と殻は、前記の熱分解消失性ポリマーを構成するラジカル重合性基を有するモノマーと前記の炭素前駆体ポリマーを構成するラジカル重合性基を有するモノマーとのシード重合によって作製されるマイクロカプセルを紡糸して焼成することによって形成されたことを特徴とする中空状カーボンファイバー。
- 請求項1に記載の中空状カーボンファイバーにおいて、前記の中空と殻は、前記のマイクロカプセルを、該マイクロカプセルの作製に使用される熱分解性消失性ポリマーと同じ、又は異なる種類の熱分解消失性ポリマーと混合した後に、紡糸して焼成することによって形成されたことを特徴とする中空状カーボンファイバー。
- 請求項1又は2に記載の中空状カーボンファイバーにおいて、前記の熱分解性消失性ポリマーとして残炭率が10重量%以下、前記の炭素前駆体ポリマーとして残炭率が15重量%以上のポリマーを用いることを特徴とする中空状カーボンナノファイバー。
- 請求項1〜3の何れかに記載の中空カーボンファイバーにおいて、前記のマイクロカプセルをシード重合によって作製する際に、前記の熱分解消失性ポリマーを構成するラジカル重合性基を有するモノマー(A)と前記の炭素前駆体ポリマーを構成するラジカル重合性基を有するモノマー(B)のモル組成比が、[A] モル >[B] モル の関係を満たすことを特徴とする中空状カーボンファイバー。
- 熱分解消失性ポリマーを構成するラジカル重合性基を有するモノマーと炭素前駆体ポリマーを構成するラジカル重合性基を有するモノマーとのシード重合によってマイクロカプセルを製作し、該マイクロカプセルを溶融紡糸した後、焼成して作製することを特徴とする中空状カーボンファイバーの製造方法。
- 前記のマイクロカプセルは、該マイクロカプセルの作製に使用される熱分解性消失性ポリマーと同じ、又は異なる種類の熱分解消失性ポリマーと混合された後に、溶融紡糸して焼成することを特徴とする請求項5に記載の中空状カーボンファイバーの製造方法。
- 前記の熱分解性消失性ポリマーとして残炭率が10重量%以下、前記の炭素前駆体ポリマーとして残炭率が15重量%以上のポリマーを用いることを特徴とする請求項5又は6に記載の中空状カーボンナノファイバーの製造方法。
- 前記炭素前駆体ポリマーが、アクリロニトリルの単量体から形成されるユニットをポリマー中に35モル%以上含むことを特徴とする請求項5〜7の何れかに記載の中空状カーボンファイバーの製造方法。
- 前記のマイクロカプセルをシード重合によって作製する際に、前記の熱分解消失性ポリマーを構成するラジカル重合性基を有するモノマー(A)と前記の炭素前駆体ポリマーを構成するラジカル重合性基を有するモノマー(B)のモル組成比が、[A] モル >[B] モル の関係を満たすことを特徴とする請求項5〜8の何れかに記載の中空状カーボンファイバーの製造方法。
- 前記の熱分解性消失性ポリマー及び炭素前駆体ポリマーが、それぞれのラジカル重合性基を有するモノマーから重合によって形成される時に、その重合開始剤として、炭素、水素、酸素、窒素、りん、硫黄、フッ素、塩素、臭素およびよう素の中から選ばれた元素のみで構成される化合物を用いることを特徴とする請求項5〜9の何れかに記載の中空状カーボンナノファイバーの製造方法。
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