JP4674931B2 - 塗料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属、ガラス、磁器タイル、コンクリート、サイディングボード、押出成形板、プラスチック等の各種素材の表面仕上げに使用される塗料組成物に係るものである。
【0002】
【従来技術】
従来より、建築物、土木構築物等の躯体の保護、意匠性の付与および、美観性の向上のため塗装仕上げが行われており、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤を媒体とする強溶剤形塗料が多く用いられている。これに対し、近年、環境や健康に対する意識が高まっており、人体に対する毒性や、作業上の安全性等の点、さらには大気汚染に及ぼす影響を考慮し、このような芳香族炭化水素系溶剤の使用を抑える動きが強まっている。
【0003】
このような動きに対応するため、塗料としては、脂肪族炭化水素系溶剤を用いる弱溶剤形塗料への転換が要望されるようになってきた。このような弱溶剤形塗料は、強溶剤形塗料に比べ、低毒性であり、作業上の安全性が高く、さらには大気汚染に対する影響も小さいという長所をもつため、環境対応型の塗料として好ましいものである。
【0004】
また、塗装方法としては、従来頻繁に用いられてきたスプレー塗装に代わり、ローラー塗装や刷毛塗装等が注目されている。スプレー塗装では、被塗物に塗着せずに飛散する塗料の割合が高く、大気中に放出される溶剤量も多くなるのに対し、ローラー塗装や刷毛塗装では、被塗物に直に塗装を行うため、材料を無駄なく使用することができ、周辺に及ぼす影響も小さい。但し、このような塗装方法を用いる場合は特に、たれを発生せず、レベリング性が良好で、仕上り性に優れることが要求される。
【0005】
さらに、形成された塗膜に対しては、耐汚染性、耐候性に優れるものが望まれている。このような耐汚染性、耐候性に優れる塗料を使用すれば、長期にわたって美観性を保つことができ、さらに塗膜寿命が長くなることから、塗り替え周期を延長できるようになる。反対に、形成された塗膜が早期に汚れたり、劣化してしまったりすると、頻繁に塗装を施さなければならず、その度に溶剤を放出することとなり、結果的に溶剤放出量が増加してしまう。
【0006】
一方、近年、熟練作業者の減少が社会問題化しており、当業界においても懸念されている。これに対し、経験の浅い作業者、あるいは一般消費者が塗装を行っても使いやすく、仕上り性が良好であること、また、塗装後は長期にわたり美観性、躯体保護性を維持し、メンテナンスフリーであることが望まれている。このような面からも、溶剤の臭気、毒性が低減され、作業性、仕上り性が良好で、耐汚染性、耐候性に優れた材料の必要性が高まっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
汚染防止形高耐久性塗料としては、WO94/06870号公報で、塗料中に特定のオルガノシリケートおよび/又はその縮合物を配合することが提案されている。これは、特定のオルガノシリケートを配合することにより、塗膜表面を親水性にし、油性の汚染物質を付着しにくくし、付着した場合でも降雨等の水滴とともに洗い流してしまうという技術である。
【0008】
しかし、このような汚染防止形高耐久性塗料は、一般的には、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤を媒体とする強溶剤形塗料がほとんどである。脂肪族炭化水素系溶剤を媒体とする弱溶剤形塗料へ該公報の技術を適用しても、樹脂フィルムが白濁したり、短期間の屋外暴露で汚れが発生したりしてしまうため、満足できるものは得られない。弱溶剤系塗料では、単に一般のアルキルシリケートを添加するだけでは実用性の高い塗料を得ることはできないのが実状である。
【0009】
また、弱溶剤形塗料は、環境対応型の塗料として好ましいものであるが、一般に、強溶剤形塗料に比べ乾燥性が劣るという問題がある。これは、弱溶剤形塗料に用いる脂肪族炭化水素系溶剤が、芳香族炭化水素系溶剤に比べ高沸点で揮発性が低いことに起因しているものであり、弱溶剤形塗料に共通の問題である。特に、温度、湿度等の条件によっては、強溶剤形塗料に比べ、塗膜の乾燥・硬化に著しく時間を要する場合がある。このような場合は、所望の塗膜物性が発現されるのにも時間を要することとなり、乾燥・硬化の過程で付着する汚れに対しても、十分な抵抗性は発揮されないことがある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような問題を解決するため、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、分散型樹脂を含有し、かつ、官能基としてアミノ基を特定量含有する樹脂を結合剤として用い、この樹脂に、特定の構造を有するテトラアルコキシシラン低縮合物を配合することにより、低臭、低毒性で、大気汚染への影響が小さく、作業においてはたれを生じ難く、比較的厚膜で塗装でき、レベリング性が良好で美観性に優れ、塗装後の乾燥性・硬化性が良好で、長期耐候性に優れ、塗装直後から低汚染性を発現し、汚れの染み込み抵抗性に優れる塗料が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は下記の塗料組成物に係るものである。
1.塗料中の全溶剤のうち、50重量%以上が脂肪族炭化水素である塗料組成物であって、(A)非水分散形樹脂を含み、アミン価が0.05〜5KOHmg/gである有機系樹脂、(B)テトラアルコキシシランの平均縮合度4〜10の縮合物であり、該縮合物中のアルキル基が炭素数1〜3と炭素数4〜12のものが混在しているものとし、その混在比率が炭素数4〜12のアルキル基が該縮合物中の全アルキル基の5〜50%である化合物、を含有し、(A)の樹脂固形分100重量部に対して、(B)をSiO2換算で1.0〜50.0重量部含有することを特徴とする塗料組成物。
2.(A)成分が、アミン価0.05〜5KOHmg/g、水酸基価15〜100KOHmg/gであるポリオール化合物を含み、さらに、(C)イソシアネート化合物を(A)の樹脂固形分100重量部に対して、NCO/OH比率で0.7〜2.0となるように含有することを特徴とする1.記載の塗料組成物。
3.さらに、(D)繰り返し単位の数が2〜40のポリアルキレンオキサイド鎖を含有する、重量平均分子量150〜3500のアルコキシシラン化合物を、(A)の樹脂固形分100重量部に対して、固形分で0.1〜20重量部含有することを特徴とする1.または2.に記載の塗料組成物。
4.全樹脂固形分のうち、30重量%以上が非水分散形樹脂であることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の塗料組成物。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態に基づき詳細に説明する。
【0013】
本発明組成物は、溶剤として主に脂肪族炭化水素を用い、(A)分散形樹脂を含み、官能基としてアミノ基を特定量含有する有機系樹脂と、(B)特定構造のテトラアルコキシシラン縮合物を含有するものである。
本発明では、その作用機構は明らかではないが、アミノ基が特定量存在する樹脂と、特定構造のテトラアルコキシシラン縮合物を組み合わせることにより、両者の内部エネルギーの相違によりシラン化合物の表面配向性が高まり、迅速に塗膜表面に無機層を形成できるとともに、塗膜全体の乾燥性・硬化性も向上し、長期耐候性に優れ、塗装直後から低汚染性を発現し、汚れの染み込み抵抗性に優れる塗膜が得られる。また、分散型樹脂を含むことにより、適度なチキソ性が付与され、たれが生じ難く、比較的厚膜で塗付でき、かつレベリング性に優れた塗料とすることができる。
【0014】
[溶剤]
本発明の塗料組成物は、溶剤として非水系溶剤を用いるもので、全溶剤のうち、50重量%以上が脂肪族炭化水素である所謂弱溶剤形の塗料組成物である。このような脂肪族炭化水素系溶剤は、芳香族炭化水素系溶剤に比べ、低毒性であり、作業上の安全性が高く、さらには大気汚染に対する影響も小さいという特徴をもつものである。脂肪族炭化水素系溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、n−ペンタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカンのほか、テルピン油やミネラルスピリットなどが例示できる。
このような脂肪族炭化水素系溶剤の他には、通常塗料に用いられる非水系溶剤を使用することも可能であるが、その比率は50重量%未満とする。このような非水系溶剤としては、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが例示できる。
本発明では、この様な非水系溶剤のうち、50重量%以上が脂肪族炭化水素となるように1種又は2種以上を組み合わせて使用する。脂肪族炭化水素が50重量%より少ない場合は、臭気が強くなり作業安全性が低下したり、既存塗膜上に塗装を行った際にリフティングを発生したりするおそれがある。
【0015】
[(A)有機系樹脂]
本発明では、分散形樹脂を含み、アミン価が0.05〜5KOHmg/gである有機系樹脂を使用する。
【0016】
(A)成分は、アミン価が0.05〜5KOHmg/g、好ましくは0.1〜3KOHmg/gのものである。即ち、全樹脂中のアミン価がこのような範囲内となるように、樹脂骨格中にアミノ基を有するものである。アミン価がこのような範囲内であることにより、塗膜表面での無機層の形成、塗膜全体の乾燥性・硬化性向上に寄与し、塗装直後から汚れの染み込み抵抗性、さらには長期耐候性に優れる塗膜が得られる。
【0017】
アミノ基を付与するための化合物としては、具体的には、第1級アミノ基含有モノマー、第2級アミノ基含有モノマー、第3級アミノ基含有モノマーがあげられ、これらモノマーから選ばれる1種または2種以上を使用することができる。
【0018】
第1級アミノ基含有モノマーとしては、例えば、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノブチル(メタ)アクリレート、p−アミノスチレン、アリルアミンなどが挙げられる。
【0019】
第2級アミノ基含有モノマーとしては、例えば、モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド,N−メチロールアクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタアクリルアミドなどがあげられる。
【0020】
第3級アミノ基含有モノマーとしては、例えば、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸またはメタアクリル酸の
エステル;ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジヘキシルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド化合物;ジメチルアミノエチルスチレン、ジエチルアミノエチルスチレン、ジプロピルアミノエチルスチレン、ジオクチルアミノエチルスチレンなどのスチレン誘導体;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、5−メチル−2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジンなどのピリジル基含有ビニル化合物があげられる。
【0021】
(A)成分は、非水系溶剤中に分散しているもの(分散形樹脂)を含むものである。分散形樹脂は、非水系溶剤中に樹脂粒子として分散しているものであり、非水系溶剤に溶解可能な樹脂部分と溶解しない樹脂部分の両方を合わせ持っているものである。非水系溶剤に溶解可能な樹脂部分とは、非水系溶剤への溶解度が99.0重量%以上のものである。これは、非水系溶剤の種類によるが、最終的に分散させる非水系溶剤へ溶解するものであればよい。逆に、非水系溶剤に溶解しない樹脂部分とは、非水系溶剤へ全く溶解しないか、又は極少量(例えば、溶解度が1.0重量%未満)のものである。これも、非水系溶剤の種類によるが、最終的に分散させる非水系溶剤にほとんど溶解しないものを用いればよい。
(A)成分においては、全樹脂固形分中に分散形樹脂を30重量%以上含むことが望ましい。これにより、粘性挙動として適度なチキソ性が付与され、たれが生じ難く、比較的厚膜で塗付でき、かつレベリング性が良好で、仕上り性に優れた塗料とすることができる。なお、(A)成分としては、分散形樹脂と、非水系溶剤に溶解しているタイプの溶解形樹脂を併用することもできる。
【0022】
(A)成分のSPは、通常、6.5〜9.5のものを使用するが、このようなSPのものを使用することにより、弱溶剤とよばれる溶解力の弱い溶剤類にも溶解および/又は分散可能となり、弱溶剤形の塗料とすることができる。
【0023】
このような本発明の(A)成分は、重量平均分子量が5000〜200000のものが使用できる。特に、分散形樹脂においては、50000〜200000、さらには70000〜150000のものを使用することが好ましい。重量平均分子量が5000より小さい場合は、塗料として適度な粘性が得られず、各塗膜物性に劣り、逆に200000より大きい場合は、塗膜の鮮映性や光沢の低下が見られるので好ましくない。
【0024】
(A)成分のガラス転移点は−10℃〜150℃、さらには10℃〜100℃であることが好ましい。−10℃より低い時は汚染除去性、汚染回復性が劣り、150℃より高い時は可撓性、耐久性が劣ることになる。
【0025】
(A)成分の樹脂の種類としては、アミノ基を含有する共重合体であれば、特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂等、あるいはアルキド変性アクリル樹脂、ポリエステル変性アクリル樹脂等の変性樹脂等、各種樹脂の1種または2種以上が使用可能である。本発明では、架橋反応によって耐久性を向上できる点等から、官能基として水酸基を含有する化合物、即ちポリオール化合物が好ましく使用される。
【0026】
(ポリオール化合物)
ポリオール化合物は、アミノ基及び水酸基を併有するアミノ基含有ポリオール化合物を含み、全体のアミン価が0.05〜5KOHmg/g(好ましくは0.1〜3KOHmg/g)、水酸基価が15〜100KOHmg/gである化合物である。アミノ基としては、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基から選ばれる1種以上のアミノ基が使用できるが、特に窒素原子に3個の炭素が結合した第3級アミノ基を含有するポリオールを最も好適に使用することができる。これは、第1級アミノ基、第2級アミノ基に存在するNH基が、イソシアネート化合物のNCO基と反応しやすく、ウレタン結合生成よりも速く反応して尿素結合を形成し、塗膜の性質に多少影響を及ぼすためである。ただし、たとえNH基が存在していたとしても、全体の含有量を適宜調整すれば、NHを有するアミノ基を使用しても実用上は問題ない。
【0027】
アミノ基含有ポリオールは、ポリウレタン技術分野、特にポリウレタン樹脂塗料の技術分野において一般的に使用されるポリオールの骨格中にアミノ基を組み込むことによって得られる。また、アミノ基含有ポリオールと他のポリオールを混合して用いることもできる。
【0028】
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール等があげられる。以下に各ポリオールを例示する。
▲1▼ポリエーテルポリオール
ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グルコース、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコールの1種又は2種以上にプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等の1種又は2種以上を付加して得られるポリオール類、および、前記多価アルコールにテトラヒドロフランを開環重合により付加して得られるポリオキシテトラメチレンポリオール類が例示できる。
【0029】
▲2▼ポリエステルポリオール
ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールあるいはその他の低分子量多価アルコールの1種又は2種以上とグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸あるいはその他の低分子ジカルボン酸やオリゴマー酸の1種又は2種以上との縮合重合体、プロピオラクトン、カプロラクトン、バレロラクトン等の開環エステル類の開環重合体等のポリオール類が例示できる。
【0030】
▲3▼アクリルポリオール
アクリル共重合体において、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸β−ヒドロキシブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸β−ヒドロキシペンチル等のアクリル酸のヒドロキシアルキルエステル又はメタクリル酸の同様なヒドロキシアルキルエステル、さらにグリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールのアクリル酸モノエステル又はこれらと同様なメタクリル酸モノエステル、N−メチロールアクリルアミド又はN−メチロールメタクリルアミド等の水酸基を有するモノエチレン性不飽和モノマーを共重合モノマー等の1分子中に2以上の水酸基を有するアクリルポリールが使用できる。
【0031】
▲4▼その他のポリオール
その他、フェノールレジンポリオール、エポキシポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリエステル−ポリエーテルポリオール、アクリロニトリルやスチレン等の重合体をビニル付加ないし分散せしめたポリマーポリオール、ウレア分散ポリオール、カーボネートポリオール等が本発明のポリオールとして使用することが可能である。
【0032】
このようなポリオールのうち、特に、本発明の組成物から形成される塗膜の耐候性を考慮した場合には、アクリルポリオールを使用することが望ましい。
【0033】
ポリオールを用いる場合、(A)成分は、水酸基価15〜100KOHmg/gのものが使用できる。水酸基価が15KOHmg/gより小さい場合には、架橋密度が低いため、各種塗膜物性、耐汚染性が劣り、逆に、100KOHmg/gより大きい場合は、架橋密度が高くなり(B)テトラアルコキシシラン低縮合物の表面配向性が阻害されるため好ましくない。
【0034】
(A)成分においては、フッ素を含有するポリオールを使用することにより、長期の耐候性、汚染防止効果をさらに改善することができる。このようなポリオールは、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等のパーフルオロオレフィン類、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのフルオロオレフィンを共重合することによって得ることができる。
【0035】
[(B)テトラアルコキシシラン低縮合物]
本発明では、特定構造のテトラアルコキシシラン低縮合物(以下、「(B)成分」という)を配合する。
この(B)成分は、テトラアルコキシシランの平均縮合度4〜10の縮合物であり、該縮合物中のアルキル基が炭素数1〜3と炭素数4〜12のものが混在しているものとし、その混在比率が炭素数4〜12のアルキル基が該縮合物中の全アルキル基の5〜50%の化合物である。
【0036】
(B)成分は、テトラアルコキシシランの低縮合物であるが、高縮合度(平均縮合度が10より大きいもの)、高分子量のものは、製造が難しく、粘度上昇等により取り扱いが不便であるため好ましくない。逆に、平均縮合度が3以下で、低分子量のものは、揮発性が高くなりやはり取り扱いが不便であるため好ましくない。
【0037】
また、(B)成分中のアルキル基が、炭素数1〜3と炭素数4〜12のものが混在していることにより、(A)成分との相溶性が飛躍的に向上し、表面配向性に優れ、塗膜物性の優れた塗膜が形成できるものである。
アルキル基の部分が炭素数が1〜3のアルキル基のみの場合、(A)成分との相溶性が悪く、表面配向性が悪いので好ましくない。また、炭素数が4〜12のアルキル基のみの場合は、耐汚染性が著しく悪くなり好ましくない。炭素数13以上のアルキル基が存在する場合も、耐汚染性が悪くなるので好ましくない。また、アルキル基の炭素数が大きくなればなるほど、前述した加水分解反応は起こりにくくなる傾向にあるので、炭素数が大きいアルキル基ばかりが存在することは好ましくない。
(B)成分は、該低縮合物の全体のアルキル基のうち、約5〜50%が炭素数4〜12のアルキル基となるようにしたものが(A)成分との相溶性、塗膜の耐汚染性に優れるため好ましいものとなる。
【0038】
本発明の(B)成分は以下のような方法により製造することが可能であるが、これに限定されるものではない。
▲1▼一般式
【化1】
(式中、R1〜R4は炭素数1〜3のアルキル基と炭素数4〜12のアルキル基が混在しているものとする)で表されるテトラアルコキシシランを平均縮合度4〜10、重量平均分子量が500〜2500となるように縮合させる。縮合方法は、公知の方法による。
【0039】
式中、R1〜R4のアルキル基の部分が、炭素数1〜3のものと炭素数4〜12のものが混在していることにより、(A)成分との相溶性が飛躍的に向上し、表面配向性に優れ、塗膜物性の優れた塗膜が形成できるものである。
このようなテトラアルコキシシランを縮合して、低縮合物とした際に、全体のアルキル基のうち、約5〜50%が炭素数4〜12のアルキル基となるようにしたものが(A)成分との相溶性、塗膜の耐汚染性に優れるため好ましいものとなるが、炭素数4〜12のアルキル基が全体の約5〜50%となるようにするために、縮合の際に、他のアルキルシリケート(アルキル基の炭素数は1〜3であるもの)を混合して縮合するのは有効な手段である。
【0040】
具体例としては、モノブトキシトリメトキシシラン、モノペントキシトリメトキシシラン、モノヘトキシトリメトキシシラン、ジブトキシジエトキシシラン等の低縮合物があげられるが、これに限定されるものではない。
【0041】
▲2▼(a)一般式
【化2】
(式中、R5は炭素数1〜3のアルキル基とし、nは4〜10の整数とする)で表されるアルキルシリケート低縮合物(以下、「(a)成分」という)を、
(b)一般式
【化3】
(式中、R6は炭素数4〜12のアルキル基とする)で表されるアルコール(以下、「(b)成分」という)を用いて、(a)成分のアルキル基部分の約5〜50%をエステル交換する。
【0042】
(a)成分としては、具体的にはテトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、テトラ−n−プロピルシリケート、テトラ−i−プロピルシリケートなどの低縮合物があげられる。特に、テトラメチルシリケートやテトラエチルシリケートが一般的である。
平均縮合度は4〜10が好ましく、平均縮合度が大きくても小さくても、取り扱いが不便になるので好ましくない。
(b)成分としては、具体的にはn−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−ノニルアルコール、n−デシルアルコール、n−ウンデシルアルコール、n−ドデシルアルコールが例示できる。
【0043】
(a)成分を(b)成分によりエステル交換する際には、(a)成分の全てのアルキル基(R5)を(b)成分のアルキル基(R6)にエステル交換してしまうのではなく、(a)成分のアルキル基のうち全体の約5〜50%をエステル交換したものを使用する。
その交換比率は、(a)成分1モルに対して、(b)成分を1〜12モル用いて、エステル交換させるとよい。この交換比率は、(a)成分の平均縮合度によって適宜調整するが(a)成分のアルキル基のうち全体の約5〜50%をエステル交換することにより、(A)成分との相溶性や、塗膜の耐汚染性が優れたものとすることができる。このエステル交換率が低くなると、相溶性が悪くなり、表面配向性が十分でなくなる。また、エステル交換率が高くなると、加水分解反応を起こしにくくなり、塗膜が親水性になりにくく、耐汚染性が悪くなる傾向にある。
【0044】
このようにして製造した(B)成分は、(A)成分の樹脂固形分100重量部に対して、SiO2換算で1.0〜50.0重量部、好適には2.0〜30.0重量部配合することができる。
これは、1.0重量部未満では塗膜の親水性が十分でないため耐汚染性に劣り、50.0重量部を越えると、硬化塗膜の外観が悪化したり、クラックが発生するといった問題が出てくるためである。
【0045】
ここでSiO2換算とは、アルコキシシランやシリケートなどのSi−O結合をもつ化合物を、完全に加水分解した後に、900℃で焼成した際にシリカ(SiO2)となって残る重量分にて表したものである。
一般に、アルコキシシランやシリケートは、水と反応して加水分解反応が起こりシラノールとなり、さらにシラノール同士やシラノールとアルコキシにより縮合反応を起こす性質を持っている。この反応を究極まで行うと、シリカ(SiO2)となる。これらの反応は
【化4】
という反応式で表されるが、この反応式をもとに残るシリカ成分の量を換算したものである。
実際の計算は、
【数1】
の式により行った。
【0046】
[(C)イソシアネート]
(A)成分にポリオールを含有する場合は、イソシアネート(以下「(C)成分」という)を配合して架橋硬化させて塗膜を形成する。
このような硬化剤としては、バーノックDN−990、同DN−991、同DN−992(共に大日本インキ化学工業株式会社製)、デュラネートTSA(旭化成工業株式会社製)、タケネートD−177N(武田薬品工業株式会社製)、デスモデュールZ−4270(住友バイエルウレタン株式会社製)などが例示できる。これらの硬化剤は、溶解力の弱い溶剤へも溶解するので、好適に使用できる。
その他、トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(pure−MDI)、ポリメリックMDI、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添XDI、水添MDI等のイソシアネートモノマーをアロハネート、ビウレット、2量化(ウレチジオン)、3量化(イソシアヌレート)、アダクト化、カルボジイミド反応等により、誘導体化したもの、及びそれらの混合物などを溶解力の強い溶剤に溶解して使用することも可能である。
【0047】
さらに、これらの(C)成分は、アルコール類、フェノール類、ε−カプロラクタム、オキシム類、活性メチレン化合物類などのブロック剤を用いたブロックイソシアネートの形態でも使用できる。これらも、溶剤による溶液として使用することが好ましい。
【0048】
これらの(C)成分と(A)成分との混合は、NCO/OH比率で0.7〜2.0、好ましくは0.8〜1.5となるような比率で行う。このときNCO/OH比率が0.7より小さいと、塗膜の架橋率が低くなり、硬化性、耐久性が劣るほか、汚染物質が塗膜の密度の粗い分子内へ潜り込むため、塗膜の洗浄を行っても汚染物質が除去しにくく、汚染回復性に劣ることになる。逆に、2.0よりも大きいと、未反応のイソシアネートが残存し、初期の乾燥性を悪化させるため、タックと呼ばれる表面のべたつきが発生し、汚染物質が物理的に付着してしまうため、かえって初期汚染性に劣ることになる。
【0049】
[(D)ポリアルキレンオキサイド鎖含有アルコキシシラン化合物]
次に本発明では、(D)ポリアルキレンオキサイド鎖を含有するアルコキシシラン化合物(以下「(D)成分」という)をさらに加えることにより、塗膜表面をさらに初期より親水性にすることが可能になり、初期より優れた耐汚染性を得ることが可能である。
(D)成分は、アルキレンオキサイドの繰り返し単位と、少なくとも1個以上のアルコキシシリル基を有する化合物である。かかる(D)成分のポリアルキレンオキサイド繰り返し単位は、そのアルキレン部分の炭素数は2〜4であり、繰り返し単位の数は2〜40、好ましくは2〜20である。
【0050】
このような(D)成分は、そのポリアルキレンオキサイド鎖の両末端がアルコキシシリル基であってもよく、一端がアルコキシシリル基であって、他端がその他の官能基であってもよい。このような片末端に有することのできる官能基としては、例えば、ビニル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、メルカプト基等が挙げられる。特にヒドロキシル基(水酸基)であるものの使用が好ましい。また、該官能基は、アルコキシシリル基との間にウレタン結合、尿素結合、シロキサン結合、アミド結合、エーテル結合等を介して結合されたものであっても良い。
【0051】
これらの(D)成分は、例えば、ポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物と、アルコキシシリル基含有化合物(以下カップリング剤という。)を反応させて合成したものが使用できる。
【0052】
前記ポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物は、重量平均分子量が150〜3500が好ましく、200〜1500がさらに好ましい。重量平均分子量が150未満の場合、最終的に得られる硬化塗膜の親水性に劣り、降雨による汚染物質の洗浄効果が得られず、重量平均分子量が3500を越える場合、硬化物の耐水性や硬度が低下する。
【0053】
このようなポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリエチレン−プロピレングリコール、ポリエチレン−テトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリオキシエチレンジグリコール酸、ポリエチレングリコールビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテルなどが挙げられる。また、該ポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物は、1種もしくは2種以上の組み合わせから選択することができる。2種以上のモノマーを使用する場合は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であっても構わない。
【0054】
一方、カップリング剤は、例えば、一分子中に、少なくとも1個以上のアルコキシシリル基とそのほかの置換基を有する化合物である。カップリング剤としては具体的には、例えば、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、イソシアネート官能性シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0055】
(D)成分の合成は、特に限定されないが、ポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物とカップリング剤とを別々に用意し、例えば重合性二重結合を有する各化合物についてはラジカル重合開始剤を用いて共重合させる他、アミノ基/エポキシ基、イソシアネート基/水酸基またはイソシアネート基/アミノ基等の付加反応など公知の方法によって合成することができる。
また、第1級、第2級アミノ基等の活性水素基を有するアルコキシシリル化合物にエチレンオキサイドを開環付加せしめる方法によっても合成可能である。
【0056】
ラジカル重合開始剤を用いて共重合させる場合は、重合性二重結合を有するポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物の少なくとも1種以上と、カップリング剤の少なくとも1種以上を非反応性の適当な溶媒中で反応させて得ることができる。この際、使用されるラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロルベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジ(パーオキシベンゾエート)ヘキシン−3,1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーベンゾエートなどのパーエステル化合物、アゾビスイソブチロニトリルおよびジメチルアゾブチレートなどのアゾ化合物、および有機過酸化物などが挙げられる。
【0057】
重合性二重結合を有するポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールビニルエーテルを用いることができ、カップリング剤には、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランおよびγ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどを単独もしくは2種以上の組み合わせで使用できる。
【0058】
イソシアネート/ポリオールの付加反応により合成する場合、例えばポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物には、ポリエチレングリコールなどの末端にヒドロキシル基を有する化合物と、カップリング剤にはイソシアネート含有カップリング剤などのイソシアネート基を有する化合物を混合し合成させる。この合成方法においては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレートまたはジオクチルスズジマレートなどの、ポリウレタン合成の分野において周知の有機金属系反応触媒を使用することも可能である。
【0059】
上述の反応によって合成される(D)成分としては、ポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物の両末端又は片末端にカップリング剤を付加したものが得られるが、これらは、それぞれ単独で使用してもよく、また混合物として使用してもよい。
【0060】
これら(D)成分の中で、アルキレンオキサイド鎖がエチレンオキサイド鎖であり片末端が水酸基であるものが、本発明の汚染防止効果、すなわち耐汚染性ならびに染み込み抵抗性等が高いため最も好ましい。
【0061】
(D)成分の配合割合は、(A)成分の樹脂固形分100重量部に対し、固形分で0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部である。0.1重量部未満では効果が見られず、20重量部を越えると、樹脂との相溶性、硬化物の耐水性などが劣る結果となる。
【0062】
[その他]
本発明の塗料組成物では(A)、(B)成分および(C)成分(さらに、(D)成分を添加しても良い)による透明(クリヤー)塗膜の他、着色顔料を配合して、着色(エナメル)塗膜としてもよい、このような着色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化第二鉄(ベンガラ)、クロム酸鉛(モリブデートオレンジ)、黄鉛、黄色酸化鉄、オーカー、群青、コバルトグリーン等の無機系顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機顔料が使用できる。
【0063】
また、重質炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、ホワイトカーボン、珪藻土等の体質顔料を使用することも可能である。特に、艶消し塗膜を形成する場合には、塗膜表面における耐汚染効果を損なうことの最も少ないホワイトカーボン、珪藻土を使用することが最適である。なお、これらの無機物質を塗料に添加する際に、粉体表面をカップリング剤で処理したり、塗料にカップリング剤を添加することは好ましい手段である。
【0064】
本発明の塗料組成物には、通常塗料に配合することが可能な各種添加剤を本発明の効果に影響しない程度に配合することが可能である。このような添加剤としては、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、消泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤等があげられる。
【0065】
[適用面・塗装方法]
本発明の塗料組成物は、金属、ガラス、磁器タイル、コンクリート、サイディングボード、押出成形板、プラスチック等の各種素材の表面仕上げに使用することができ、主に建築物、土木構築物等の躯体の保護に使用するものである。このとき、本発明の塗料組成物は最終の仕上面に施されているものであり、基材に直接塗装することもできるし、何らかの表面処理(下地処理等)を施した上に塗装することも可能であるが特に限定されるものではない。
【0066】
また、本発明の塗料組成物は、各種添加剤類を加えて塗料化した後、通常、脂肪族炭化水素系溶剤で希釈して塗装を行う。塗装方法としては、例えば、刷毛塗装、ローラー塗装、スプレー塗装、ロールコーター、フローコーター等、種々の方法を用いることができる。特に、本発明組成物は、たれを生じ難く、厚膜で塗装でき、レベリング性も良好であることから、刷毛塗装、ローラー塗装での適性が高い。
【0067】
本発明組成物は、全体の50重量%以上が脂肪族炭化水素であるので、改修工事にも好適に用いることができる。これは、溶解力の強い溶剤を使用した塗料を再塗装すると、リフティングと呼ばれる旧塗膜のちぢみ現象が発生するが、脂肪族炭化水素が50%重量以上含有されている場合は、このようなリフティング現象が発生しないためである。
【0068】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0069】
(合成例1)アルコキシシラン化合物1合成例
重量平均分子量500、平均縮合度約4、不揮発分100%のメチルシリケート(以下、「メチルシリケートA」という)100重量部に対して、n−ブチルアルコール44.4重量部と、触媒としてジブチルスズジラウレート0.03重量部を添加し、混合後、75℃で8時間脱メタノール反応を行い、アルコキシシラン化合物1を合成した。
このアルコキシシラン化合物1のエステル交換率は約30%であり、900℃にて焼成して得られたシリカ残量比率40.7重量%であった。
【0070】
(合成例2)アルコキシシラン化合物2合成例
重量平均分子量1000、平均縮合度約8、不揮発分100%のメチルシリケート(以下、「メチルシリケートB」とい)100重量部に対して、n−ヘプチルアルコール58.0重量部、ジブチルスズジラウレート0.03重量部を混合し、合成例1と同様にしてアルコキシシラン化合物2を合成した。
このアルコキシシラン化合物2のエステル交換率は約27%であり、シリカ残量比率は39.4重量%であった。
【0071】
(合成例3)ポリアルキレンオキサイド鎖含有アルコキシシラン化合物合成例
加熱装置、撹拌器、還流装置、脱水装置、温度計を備えた反応槽に、ポリエチレングリコール200(平均分子量200;和光純薬株式会社製)20重量部と、イソシアネート含有シランであるY−9030(日本ユニカー株式会社製)54.3重量部と、ジブチルスズジラウレート0.05重量部とを仕込み、50℃にて8時間反応させ、淡黄色のポリエチレンオキサイド鎖含有アルコキシシラン化合物を得た。このポリエチレンオキサイド鎖含有アルコキシシラン化合物の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下GPCという)のポリスチレン換算により測定した結果800であった。
【0072】
(塗料作製)
表1に示すような樹脂、表2に示すような原料を用いて、表3に示す配合にて塗料を作製した。作製した塗料を用いて、以下に示す各試験を行った。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
(試験方法)
1.作業性・仕上り性
900×1800×6mmのスレート板に、SK#1000プライマー(エポキシ樹脂系下塗材、エスケー化研製)を乾燥膜厚30μmとなるようにスプレー塗装し、標準状態(気温20℃、湿度65%)で16時間乾燥を行った。次に、作製した塗料組成物を塗付量120g/m2でローラー塗装した。このときのたれ発生の有無、レベリングの状態を目視によって確認した。たれが発生せず、レベリング性も良好なものを○、たれが発生したものまたはレベリング性が劣るものを×として評価を行った。
【0077】
2.汚れの染み込み抵抗性
150×75×0.8mmのアルミ板に、SK#1000プライマーを乾燥膜厚30μmとなるようにスプレー塗装し、標準状態で16時間乾燥を行った。
次に、作製した塗料組成物を乾燥膜厚が40μmとなるようにスプレー塗装し試験体を作製した。作製した試験体を、標準状態で24〜168時間乾燥養生した後、JISK5400 8.10 耐汚染性試験に準じ、塗膜面に15重量%カーボンブラック水分散ペースト液を、直径20mm、高さ5mmとなるように滴下し、標準状態で12時間放置した。その後流水中にて洗浄し、塗膜表面の汚染の程度を目視により評価した。評価は以下の通り。
○:痕跡なし
△:痕跡有り
×:著しい痕跡有り
【0078】
3.耐候性
2と同様にして試験体を作製した。これらについて、促進耐候性試験機としてスーパーUVテスター(岩崎電気株式会社製)を用い、光照射6時間・結露2時間(計8時間)を1サイクルとして30サイクルまで試験を行った。評価は30サイクル後の光沢保持率を測定することによって行った。
○:光沢保持率80%以上
△:光沢保持率70〜80%
×:光沢保持率70%未満
【0079】
【表4】
【0080】
(結果)
各試験の結果を表4に示す。本発明組成物である実施例1〜5では、いずれの試験においても優れた結果となった。一方、アミノ基を含有しない樹脂を用いた比較例1では、初期の汚れの染み込み抵抗性が十分ではなかった。アミン価が過剰な樹脂を用いた比較例2では、汚れの染み込み抵抗性に劣った。溶解形樹脂のみを用いた比較例3では、作業性・仕上り性に劣り、また、初期の汚れの染み込み抵抗性が十分ではなかった。アルコキシシラン化合物としてメチルシリケートを使用した比較例4、5では、汚れの染み込み抵抗性に劣り、耐候性も十分ではなかった。
【0081】
【発明の効果】
本発明によれば、低臭、低毒性で、大気汚染への影響が小さく、作業においてはたれを生じ難く、比較的厚膜で塗装でき、レベリング性が良好で美観性に優れ、塗装後の乾燥性・硬化性が良好で、塗装直後から汚れの染み込み抵抗性、さらには長期耐候性、耐汚染性に優れる弱溶剤形の塗料が得られる。さらに、ポリアルキレンオキサイド鎖含有アルコキシシラン化合物を加えることにより、一段と塗膜表面を親水化し、耐汚染性に優れる塗料とすることができる。また、本発明組成物は、既存塗膜上に塗装を行ってもリフティングの問題がほとんどなく、特に改修工事に好適に用いることができる。
Claims (4)
- 塗料中の全溶剤のうち、50重量%以上が脂肪族炭化水素である塗料組成物であって、(A)非水分散形樹脂を含み、アミン価が0.05〜5KOHmg/gである有機系樹脂、
(B)テトラアルコキシシランの平均縮合度4〜10の縮合物であり、該縮合物中のアルキル基が炭素数1〜3と炭素数4〜12のものが混在しているものとし、その混在比率が炭素数4〜12のアルキル基が該縮合物中の全アルキル基の5〜50%である化合物、を含有し、(A)の樹脂固形分100重量部に対して、(B)をSiO2換算で1.0〜50.0重量部含有することを特徴とする塗料組成物。 - (A)成分が、アミン価0.05〜5KOHmg/g、水酸基価15〜100KOHmg/gであるポリオール化合物を含み、さらに、(C)イソシアネート化合物を(A)の樹脂固形分100重量部に対して、NCO/OH比率で0.7〜2.0となるように含有することを特徴とする請求項1記載の塗料組成物。
- さらに、(D)繰り返し単位の数が2〜40のポリアルキレンオキサイド鎖を含有する、重量平均分子量150〜3500のアルコキシシラン化合物を、(A)の樹脂固形分100重量部に対して、固形分で0.1〜20重量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載の塗料組成物。
- 全樹脂固形分のうち、30重量%以上が非水分散形樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塗料組成物。
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