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JP4660958B2 - 有機塩素化合物で汚染された土壌、水およびガスの浄化方法 - Google Patents

有機塩素化合物で汚染された土壌、水およびガスの浄化方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機塩素化合物分解用鉄粉および該有機塩素化合物で汚染された土壌、水、ガスの浄化方法に関し、より詳しくは、高純度の鉄粉を用いて、汚染された土壌、水、ガス中のシス−1,2−ジクロロエチレンなどの難分解性有機塩素化合物を分解し、無害化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体工場、金属加工工場等において、脱脂溶剤として以前から多量に使用され、使用後、排出され、投棄されてきたトリクロロエチレン(TCE)等の有機塩素化合物等による土壌や地下水の汚染が、大きな社会問題となっている。
従来、これらの汚染を処理する方法として、汚染地下水については、汚染地下水を土壌外に抽出して無害化処埋する真空抽出法や揚水曝気法等が知られている。また、汚染土壌については、汚染土壌を掘削し、加熱処理して無害化する熱脱着法や熱分解法が知られている。また、土壌中または地下水中の汚染物質を分解して無害化する方法として、微生物を利用したバイオレメディエーション法による浄化法が知られている。
【0003】
しかしながら、汚染物質を含む土壌、地下水や土壌ガスを地中より抽出・揚水した後、汚染物質を除去したり、分解したりする真空抽出、揚水曝気等の方法では、汚染物質の除去、分解のために、活性炭や分解剤を使用するにあたり、地上に設備を設け、抽出・揚水した後に、汚染物質に無害化処埋を施す等、高コストな別途処理を必要としている。
また、掘削土壌を高温で熱分解する方法では、土壌を加熱処理する大がかりな設備が必要であり、かつ、土壌粒子自体が熱により変質し、例えば、構造物を支持する、生物を生息させるといった土壌本来の機能が著しく損なわれるため、処理後の土壌の再利用が難しい。
バイオレメディエーション法では、各々の土壌の持つ特性の違いから、すべての土壌に適応できるものではなく、また、適応した場合でも、微生物の作用によるため反応が遅く、長期の処理期間を必要とし、実用性が乏しい。
【0004】
上記のような従来の土壌や地下水の汚染対策の問題点を克服するべく、汚染原因の含ハロゲン有機物質を鉄と反応させて、還元的に脱ハロゲン化し、無害化する方法が種々提案されており、注目されつつある。
例えば、特表平5−501520号公報には、地下水の流路に溝を掘り、粒状、切片状、繊維状等の形状の鉄を充填し、汚染原因の含ハロゲン有機物質と接触させることで、還元的に脱ハロゲン化し、無害化する方法が記載されている。ここで用いられる鉄は、特別に調整する必要はなく、金属切断過程で生じる廃棄物や、鉄鋳造過程で出てくるような純度の低い鉄粉である。
また、特表平6−506631号公報には、原理的には特表平5−501520号公報の方法と同様であるが、金属鉄に活性炭を混合したものを用いる方法が記載されている。
上記はいずれも、地下水中の汚染物質を無害化する方法である。
【0005】
また、特開平11−235577号公報には、地下水面より上方の土壌や、掘削後の土壌に含まれる有機塩素化合物を、鉄粉による還元で無害化する方法が提案されている。この方法においては、C含有量0. 1%以上、比表面積0.05m2/g以上で、50重量%以上が150μmの篩目を通過する粒度の鉄粉を用いる必要があり、海綿状の鉄鉱石還元鉄粉が推奨されている。
特開2000−5740号公報には、有機塩素化合物で汚染された土壌や地下水に、Cu含有鉄粉を添加混合することにより、有機塩素化合物を分解し、土壌や地下水を速やかに浄化する方法が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記のような汚染物質である有機塩素化合物を鉄と反応させて、還元的に脱塩素化して無害化する方法はいずれも、コスト的に優れており、従来からの汚染土壌、汚染地下水対策と一線を画するものである。しかしながら、前記の方法に使用される鉄は、必ずしもその目的、用途のために最適化されたものではないために、例えば、シス−1,2−ジクロロエチレンのような難分解性有機塩素化合物を、必ずしも十分な速度で分解できないという問題があった。
また、特開2000−5740号公報に記載された方法の場合は、使用されるCu含有鉄粉のCu自体が有害元素であり、二次汚染を引き起こす危険性があり、環境、使用条件が制限されることがあった。
【0007】
鉄粉による有機塩素化合物の分解メカニズムに関しては、数多くの研究がなされ、例えば、出発物質をテトラクロロエチレン(PCE)とした場合には、図1に示す反応経路で分解が進むものと、Campbell T.J. などにより提案されている。それによると、まずPCEのβ脱離による還元的分解に始まる経路(a)と、PCEの水素化分解による還元的分解に始まる経路(b)の競争の可能性があるが、実際には、経路(a)が優先すると考えられている。なお、経路(b)に従った場合には、図1に示されるように、中間にシス−1,2−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、1,1−ジクロロエチレン等のジクロロエチレン(DCE)が生成する。
【0008】
ところで、DCEの鉄による分解速度は、PCEやトリクロロエチレン(TCE)の鉄による分解速度より遅いことが、例えば、Sivavec T.M.等により報告されている。このため、仮に経路(b)に従った分解が起こった場合には、未反応のDCEが少なくとも一時的に蓄積、残留することになる。中でも、シス−1,2−ジクロロエチレンはPCEやTCEに比べてより汚染性が高く、かつ分解速度が極めて遅いので、これが土壌や地下水に蓄積、残留すると、PCEの鉄による分解を開始する前より、むしろ汚染具合が悪化する場合がある。
しかし、実際には、前記したように、経路(a)が優先するために、シス−1,2−ジクロロエチレンによる汚染がないので、PCEやTCEによる汚染対策に、鉄を使用しても問題ないものと信じられてきた。
【0009】
ところが、最近、工場等から排出されたTCE等が、土壌中の微生物の関与により、脱塩素、分解され、より汚染性が強く、分解しにくいDCEに変態して、土壌に蓄積、残留することが指摘されている。そして、難分解性のシス−1,2−ジクロロエチレンが蓄積、残留している土壌、地下水に対して、有機塩素化合物分解用として従来提案されている低純度の鉄粉を使用しても、シス−1,2−ジクロロエチレンの分解が困難なばかりか、新たな汚染物質の蓄積、残留という深厚な問題を引き起こすことが明らかになり、DCE、特に難分解性のシス−1,2−ジクロロエチレンの除去、分解が新たな汚染問題となっている。
【0010】
したがって、本発明は、特にシス−1,2−ジクロロエチレン等の難分解性で、汚染性が強い有機塩素化合物で汚染された土壌、地下水等の水、ガス中の有機塩素化合物の鉄粉による還元的分解の速度を速め、該土壌、地下水等の水、ガスを低コストで浄化する方法、および該浄化方法における還元的分解に好適な鉄粉を提供することが目的である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、鉄粉中のC、Si、Mn、P、SおよびOが、下記範囲にあることを特徴とする有機塩素化合物分解用鉄粉である。
C :0.1質量%未満、
Si:0.25質量%未満、
Mn:0.60質量%未満、
P :0.03質量%未満、
S :0.03質量%未満、
O :0.5質量%未満。
【0012】
また、本発明は、土壌、水およびガス中の少なくとも一つに含有される有機塩素化合物と鉄粉を接触させて、該有機塩素化合物を分解して、該有機塩素化合物で汚染された土壌、水およびガスを浄化する方法において、鉄粉中のC、Si、Mn、P、SおよびOの含有量が、下記範囲にある鉄粉を用いることを特徴とする汚染された土壌、水およびガスの浄化方法である。
C :0.1質量%未満、
Si:0.25質量%未満、
Mn:0.60質量%未満、
P :0.03質量%未満、
S :0.03質量%未満、
O :0.5質量%未満。
【0013】
本発明は、前記有機塩素化合物が炭化水素、特に脂肪族炭化水素の水素原子を塩素原子で置換したものに有効であり、具体的には、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、メチルクロロホルム、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン(TCE)、テトラクロロエチレン(PCE)、1,3−ジクロロプロパンおよび1,3−ジクロロプロペンからなる群から選ばれる少なくとも一種の有機塩素化合物により有効であり、シス−1,2−ジクロロエチレンに特に有効である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の有機塩素化合物分解用鉄粉について、詳細に説明する。
本発明に使用される鉄粉は、有機塩素化合物分解用として従来提案されている鉄粉に比べ、高純度で、純鉄粉に近い純度であることに特徴がある。本発明の高純度鉄粉は、圧縮性、成形性に優れ、品質のばらつきが少ないので、従来、自動車を主体とする粉末冶金、カイロ、溶接棒、脱酸素剤等の一段と高い性能、高性能の長期安定性などを要求される高級用途、製品に使用可能なものであり、有機塩素化合物の分解剤としての使用は知られていない。
【0015】
それは、高純度鉄粉を、難分解性の有機塩素化合物で汚染された土壌、地下水に添加しても、添加直後には該化合物の分解が進まないことに一因があるものと推測される。
【0016】
しかるに、本発明者は、高純度鉄粉を、汚染された該土壌、該地下水に添加後、一定期間(鉄粉の使用条件により異なるが、後述する発明例1では約3日)が経過すると、難分解性の有機塩素化合物の分解が開始されることを見出し、本発明に到達したのである。
その理由は明らかではないが、本発明者は、まず、高純度の鉄粉の活性溶解が起こり、引き続き、鉄粉表面に腐食生成物が形成され、これが難分解性の有機塩素化合物の分解を開始し、促進するものと推定している。
【0017】
本発明の高純度鉄粉は、鉄以外の成分のC、Si、Mn、P、SおよびOの含有量が、下記範囲にあるものである。
C :0.1質量%未満、 Si:0.25質量%未満、
Mn:0.60質量%未満、 P :0.03質量%未満、
S :0.03質量%未満、 O :0.5質量%未満。
【0018】
好ましいのは、鉄以外の成分のC、Si、Mn、P、SおよびOの含有量が、下記範囲にあるものである。
C :0.02質量%未満、 Si:0.15質量%未満、
Mn:0.40質量%未満、 P :0.02質量%未満、
S :0.020質量%未満、 O :0.20質量%未満。
【0019】
より好ましいのは、鉄以外の成分のC、Si、Mn、P、SおよびOの含有量が、下記範囲にあるものである。
C :0.01質量%未満、 Si:0.02質量%未満、
Mn:0.10質量%未満、 P :0.015質量%未満、
S :0.01質量%未満、 O :0.18質量%未満。
【0020】
本発明の高純度鉄粉の純度が上記範囲を逸脱すると、一定期間経過後にも、有機塩素化合物の分解が開始されないので、上記範囲の高純度鉄粉の使用が極めて重要である。
本発明の高純度鉄粉の粒度、粒度分布は、特に限定されないが、鉄粉を添加する土壌や地下水の状態に応じて適宜決定することができる。土壌に添加する場合には、例えば、60質量%以上が、106μmの篩目を通過する程度の粒度のものが好ましい。また、地下水に添加して、一定の透水係数を確保する必要がある場合には、例えば、80質量%以上が、250μmの篩目を通過しない程度の粒度のものが好ましい。
【0021】
本発明の高純度鉄粉は、例えば、ミルスケールや鉄鉱石をコークスで粗還元して得た還元鉄粉を粉砕して粒度を調整し、さらに、これを水素気流中で仕上還元して、所定の純度に調整して製造する方法や、水アトマイズ法で製造された鉄粉を水素気流中で仕上還元して製造する方法によるものが好ましい。酸化物還元法、水アトマイズ法、カルボニル法などで製造された鉄粉で、上記純度に調整したものも使用できる。また、鉄屑粉等を酸洗したり、水素気流中で還元して、上記純度に調整したものも使用できる。
本発明の高純度鉄粉は、土壌等との混合の容易性等の点で、形状がほぼ球形であるのが好ましいが、球形に拘らない。
なお、本発明の高純度鉄粉として、市販の粉末冶金用純鉄粉を表面処理することなく、使用することができる。
【0022】
本発明の高純度鉄粉を、有機塩素化合物を含有する土壌、地下水等の水、ガス等に含有される有機塩素化合物と接触させる方法は、特に制限されず、従来提案されている方法を状況に応じて選択すればよい。有機塩素化合物の濃度が高い場所、例えば、有機塩素化合物が漏洩し、激しく汚染されている土壌、地下水などの水、ガス等や、有機塩素化合物が蓄積、滞留している土壌、地下水などの水、ガス等を選択するのが効率的である。
【0023】
具体的には、下記の(a)〜(e)を例示できる。
(a)有機塩素化合物で汚染された地下水の水脈中に、高純度鉄粉を戴置する方法、
(b)有機塩素化合物で汚染された地下水をくみ上げ、高純度鉄粉に接触させる方法、
(c)有機塩素化合物で汚染された土壌中に、高純度鉄粉を添加する方法、
(d)有機塩素化合物で汚染された土壌を掘削し、掘削された土壌と高純度鉄粉を混合する方法。
(e)有機塩素化合物で汚染された土壌および/または地下水から吸引して得られたガスと高純度鉄粉とを接触させる方法。
【0024】
本発明の高純度鉄粉が適用される環境は、土壌の場合には、含水率が5質量%以上であるのが好ましく、雰囲気は好気性、嫌気性のいずれでも差支えない。土壌のpHは1〜10であればよい。地下水の場合にも、溶存酸素の濃度に係わらず広い範囲で適用できる。
【0025】
有機塩素化合物は、高純度鉄粉により還元されて、図1に示す経路(a)、(b)を経て、非塩素化合物のような汚染性がない化合物とハロゲン化水素等に変わる。そのため、浄化された土壌、水およびガスは、再利用したり、放置したり、廃棄することができる。
【0026】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(発明例1〜4、比較例1〜2)
[1]鉄粉の調製方法1〜3の調製
調製方法1: ミルスケールをコークスで粗還元して海綿鉄粉を製造し、粉砕し、その後、水素気流中(露点30°)850℃で1時間の仕上還元を行い、表1に示す微量成分の含有量の高純度鉄粉を得た。この際、焼結した鉄粉を再粉砕して、篩分級により、所定の粒度(60質量%が75μmの篩目を通過)に調整した。(発明例1、4)
【0027】
調製方法2: 所定の成分に調整した1700℃の溶鋼から、水アトマイズ法により、アトマイズ生粉を製造し、その後、水素気流中(露点30°)850℃で1時間の仕上還元を行い、表1に示す微量成分の含有量の高純度鉄粉を得た。この際、焼結した鉄粉を再粉砕して、篩分級により、所定の粒度(50質量%が75μmの篩目を通過)に調整した。(発明例2、3)
【0028】
調製方法3: 高純度鉄粉2の調製において、仕上還元を省略する以外は、該調製方法と同様な方法で表1に示す微量成分の含有量の鉄粉を得た。粒度は50質量%が75μmの篩目を通過する程度である。(比較例1、2)
【0029】
表1に各鉄粉の微量成分の含有量を示した。鉄粉の微量成分の含有量は下記により測定した。
C :JIS G1211、 Si:JIS G1258、
Mn:JIS G1257、 P :JIS G1258、
S :JIS G1215、 O :JIS Z2613。
【0030】
[2]土壌中のシス−1,2−ジクロロエチレンの分解試験
あらかじめ40℃のオーブンで2日間乾燥させて、絶乾状態にした平均粒径176μmの砂質土壌を、鉄粉と混合し、総質量40g、鉄粉混合率1質量%の試料を調製した。
この試料を、容量100mLのガラスバイアル瓶に入れて、フッ素樹脂製ライナー付きブチルゴム栓をアルミキャップで締めつけて、封入した。
【0031】
シス−1,2−ジクロロエチレン(関東化学株式会社製;試薬特級)を蒸留水に溶解し、濃度0.1モルの水溶液を調製した。これをマイクロシリンジを用いて、前記試料を封入したバイアル瓶に4.5mL添加し、試料の含水率を10質量%に調整した。試料中のシス−1,2−ジクロロエチレン濃度は43.6mg/40gである。
得られた試料を25℃の恒温室中に入れ、所定時間おきに、ヘッドスペース部のガスを、ガスタイトシリンジで50μLずつ採取し、GC/FID装置でシス−1,2−ジクロロエチレンの濃度を分析し、濃度変化を図2に示した。
【0032】
[3]地下水中のシス−1,2−ジクロロエチレンの分解試験
脱イオン水にCaCO3 (関東化学株式会社製:試薬特級)を溶解し、濃度0.4ミリモルの水溶液を調製し、これを模擬地下水とした。模擬地下水を、容量50mLのガラスバイアル瓶の口許まで入れて、グローブボックス内で窒素ガスを吹き込み、完全に脱気してから、鉄粉5gを添加し、フッ素樹脂製ライナー付きブチルゴム栓をアルミキャップで締めつけて、ヘッドスペースがない状態で封入した。なお、この時の総液量はあらかじめ、各瓶について調査済である。
【0033】
つぎに、水質分析用シス−1,2−ジクロロエチレン標準原液(1mg/mL−メタノール;関東化学株式会社製)を、マイクロシリンジで適量ずつ該瓶に添加して、シス−1,2−ジクロロエチレン濃度を5mg/Lに調整した。得られた試料を23℃の恒温室で、回転式振盪器を用いて、60rpmで振盪し、1日、2日、4日、8日後にサンプリングした。
【0034】
別途、GC/MS分析用の容量25mLのバイアス瓶に、脱イオン水を用いて調整した300g/L塩化ナトリウム水溶液9.8mLを入れて用意する。
一定期間振盪した該試料をマイクロシリンジを用いて200μL 採取し、該塩化ナトリウム水溶液に添加して、総液量を10mLとし、直ちにフッ素樹脂製ライナー付きセプタムにて封入した。得られた試料を、JIS K0125の用水・排水中の揮発性有機化合物試験法に準拠して、ヘッドスペースGC/MS法によって、シス−1,2−ジクロロエチレンの濃度を分析した。
【0035】
上記土壌試験の結果の1例を示す図2の横軸は、シス−1,2−ジクロロエチレンと鉄粉との反応時間、縦軸は、初期濃度に対する時間経過後の濃度の比を取って、無次元化した値の対数である。図2から、仕上還元していない鉄粉を用いた比較例1では、シス−1,2−ジクロロエチレンの濃度が全く減少していないのに対し、本発明の高純度鉄粉を用いた発明例1の場合には、約3日経過後に、シス−1,2−ジクロロエチレンの濃度が急激に減少し始めることが分かる。
また、図2の本発明例1の直線部から、擬一次の反応速度定数を求めることができる。その結果は表1に示した。発明例2、3についても同様の傾向が認められたので、直線部から擬一次の反応速度定数を求めた。
【0036】
模擬地下水を用いた発明例4と比較例2の対比から、ほぼ同様の現象、傾向が模擬地下水の場合にも認められた。同様に直線部から擬一次の反応速度定数を求めた。
【0037】
【表1】
Figure 0004660958
【0038】
【発明の効果】
本発明の高純度鉄粉を用いた場合には、難分解性の有機塩素化合物の分解速度が速いので、汚染された有機塩素化合物を含有する土壌、地下水等の水、ガスの無害化、特に難分解性の有機塩素化合物が蓄積、残留する土壌、地下水等の水、ガスの浄化に好適である。しかも、本発明の高純度鉄粉は入手が容易であり、従来の無害化方法がそのまま適用することができるので、極めて実用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 テトラクロロエチレンの分解経路を示す説明図である。(EnVironmental Toxicology and Chemistry Vol.16, No.4, p.625-630から転記。)
【図2】 シス−1,2−ジクロロエチレンの分解試験の結果の分解速度を示すグラフである。
【符号の説明】
(a)・・・PCEのβ脱離による還元的分解に始まる経路
(b)・・・PCEの水素化分解による還元的分解に始まる経路
(c)・・・アルキンからアルケンへの還元経路
(d)・・・アルキンからアルカンへの還元経路

Claims (2)

  1. 土壌、水およびガス中の少なくとも一つに含有される有機塩素化合物と鉄粉を接触させて、該有機塩素化合物を分解して、該有機塩素化合物で汚染された土壌、水およびガスを浄化する方法において、鉄粉中のC、Si、Mn、P、SおよびOの含有量が、下記範囲にある鉄粉を用いることを特徴とする汚染された土壌、水およびガスの浄化方法。
    C:0.1質量%未満、Si:0.25質量%未満、Mn:0.60質量%未満、P:0.03質量%未満、S:0.03質量%未満、O:0.5質量%未満。
  2. 前記有機塩素化合物がシス−1,2−ジクロロエチレンであることを特徴とする請求項に記載の汚染された土壌、水およびガスの浄化方法。
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