本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明において、各図面間で共通する同等部位においては、同じ符号を付けて示すこととし、重複する説明については省略する。また、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解されるものであり、以下に示す態様に限定して解釈されるものでない。
図1は本発明に係るEL表示パネルの構成を示す上面図であり、絶縁表面を有する基板100上に画素102をマトリクス上に配列させた画素部101、走査線側入力端子103、信号線側入力端子104が形成されている。画素数は種々の規格に従って設ければ良く、XGAであれば1024×768×3(RGB)、UXGAであれば1600×1200×3(RGB)、フルスペックハイビジョンに対応させるのであれば1920×1080×3(RGB)とすれば良い。
画素102は、走査線側入力端子103から延在する走査線と、信号線側入力端子104から延在する信号線とが交差することで、マトリクス状に配設される。画素102のそれぞれには、信号線との接続状態を制御する薄膜トランジスタ(以下「スイッチング用薄膜トランジスタ」又は「スイッチング用TFT」ともいう。)と、発光素子へ流れる電流を制御する薄膜トランジスタ(以下「駆動用薄膜トランジスタ」又は「駆動用TFT」ともいう。)とが備えられ、駆動用薄膜トランジスタが発光素子と直列に接続されている。
TFTは、その主要な構成要素として、半導体層、ゲート絶縁層及びゲート電極層が挙げられ、半導体層に形成されるソース及びドレイン領域に接続する配線層がそれに付随する。構造的には基板側から半導体層、ゲート絶縁層及びゲート電極層を配設したトップゲート型と、基板側からゲート電極層、ゲート絶縁層及び半導体層を配設したボトムゲート型などが代表的に知られているが、本発明においてはそれらの構造のどのようなものを用いても良い。
半導体層を形成する材料は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製されるアモルファス半導体(以下「AS」ともいう。)、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、或いはセミアモルファス(微結晶若しくはマイクロクリスタルとも呼ばれる。以下「SAS」ともいう。)半導体などを用いることができる。
SASは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいる。少なくとも膜中の一部の領域には、0.5〜20nmの結晶領域を観測することが出来、珪素を主成分とする場合にはラマンスペクトルが520cm-1よりも低波数側にシフトしている。X線回折では珪素結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。未結合手(ダングリングボンド)の中和剤として水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。SASは、珪化物気体をグロー放電分解(プラズマCVD)して形成する。珪化物気体としては、SiH4、その他にもSi2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることが可能である。またGeF4を混合させても良い。この珪化物気体をH2、又は、H2とHe、Ar、Kr、Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈しても良い。希釈率は2〜1000倍の範囲。圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲、電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHz。基板加熱温度は300℃以下でよい。膜中の不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分の不純物は1×1020atoms/cm3以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019atoms/cm3以下、好ましくは1×1019atoms/cm3以下とする。
図1は、走査線及び信号線へ入力する信号を、外付けの駆動回路により制御するEL表示パネルの構成を示しているが、図2に示すように、COG(Chip on Glass)によりドライバIC105及び106を基板100上に実装しても良い。ドライバICは単結晶半導体基板に形成されたものでも良いし、ガラス基板上にTFTで回路を形成したものであっても良い。
また、画素に設けるTFTをSASで形成する場合には、図3に示すように走査線側駆動回路107を基板100上に形成し一体化することも出来る。108は、保護ダイオードである。
パターンの形成に用いる液滴吐出装置の一態様は図25に示されている。液滴吐出手段1403の個々のヘッド1405は制御手段1407に接続され、それがコンピュータ1410で制御することにより予めプログラミングされたパターンを描画することができる。描画するタイミングは、例えば、基板1400上に形成されたマーカー1411を基準に行えば良い。或いは、基板1400の縁を基準にして基準点を確定させても良い。これをCCDなどの撮像手段1404で検出し、画像処理手段1409にてデジタル信号に変換したものをコンピュータ1410で認識して制御信号を発生させて制御手段1407に送る。勿論、基板1400上に形成されるべきパターンの情報は記憶媒体1408に格納されたものであり、この情報を基にして制御手段1407に制御信号を送り、液滴吐出手段1403の個々のヘッド1405を個別に制御することができる。現状、ELのように一つのインクジェットヘッドでRGBをそれぞれ吐出するように、一つのヘッドでメタル、有機、無機を別々に吐出できるような装置を検討している。そこで、層間絶縁膜を広範囲に吐出する場合、スループットを向上のため、同じ材料を使って細い線を多重に引いても良い。これは、図25では、液滴吐出手段1403の個々のヘッド1405の並んだ距離が基板の幅と一致しているが、液滴吐出手段1403の個々のヘッド1405の並んだ距離より大きな幅を持つ大型基板にも繰り返し走査することでパターンの形成可能な液滴吐出装置である。
次に、このような液滴吐出装置を用いたEL表示パネルの作製工程について、以下に説明する。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態として、チャネル保護型のTFTの作製方法について説明する。
図4(A)は、基板100上にゲート電極層と、ゲート電極層と接続するゲート配線層を液滴吐出法で形成する工程を示している。なお、図4(A)は縦断面構造を模式的に示し、A−B及びC−D及びE−Fに対応する平面構造を図8に示すので同時に参照することが出来る。
基板100は、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス若しくはアルミノシリケートガラスなど、フュージョン法やフロート法で作製される無アルカリガラス基板、セラミック基板の他、本作製工程の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板等の絶縁性を有した基板を用いることができる。また、単結晶シリコンなどの半導体基板、ステンレスなどの金属基板の表面に絶縁層を設けた基板を適用しても良い。
基板100上には、スパッタリング法や蒸着法、液滴吐出法などの方法により、Ti(チタン)、W(タングステン)、Cr(クロム)、Ta(タンタル)、Ni(ニッケル)、Mo(モリブデン)などの金属材料若しくはその酸化物、あるいは光触媒などで形成される下地層201を形成することが好ましい。下地層201は0.01〜10nmの厚さで形成すれば良いが、極薄く形成すれば良いので、必ずしも層構造を持っていなくても良い。なお、この下地層201は、ゲート電極層を密着性良く形成するために設けるものであり、十分な密着性が得られるのであれば、これを省略して基板100上にゲート電極層を液滴吐出法により直接形成しても良い。その他、大気圧プラズマ処理などを行っても良い。また、この工程に限らず、有機層、無機層、メタル層などの層上に、液滴吐出法により導電性層を形成する場合若しくは液滴吐出法により形成された導電性層上に有機層、無機層、メタル層などを形成する場合には、導電性層との密着性向上のために同様の処理を行うと良い。
下地層201上に、導電性材料を含む組成物を液滴吐出法により吐出して、ゲート配線層202、ゲート電極層203、ゲート電極層204を形成する。これらの層を形成する導電性材料としては、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅))、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用いることができる。その他、AgをコーティングしたCu粒子若しくはそのバッファ層にNi(ニッケル)あるいはNiB(ニッケルボロン)を用いた粒子を主成分とした組成物でも良い。特に、ゲート配線層は、低抵抗化することが好ましのいで、比抵抗値を考慮して、金、銀、銅のいずれかの材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いることが好適であり、より好適には、低抵抗な銀、銅を用いるとよい。若しくは、銀と銅の積層でも良い。また、銀は高価であるので、極めて細く吐出した銀を銅メッキで太くしても良い。吐出した銀の表面はざらざらしているのでメッキ加工がし易く、メッキの方法としては、メッキ液層に浸けるあるいはメッキ液を流しかけるなどが考えられる。但し、銀、銅を用いる場合には、不純物対策のため、合わせてバリア層を設けるとよい。バリア層として窒化珪素膜だけでなく、NiB(ニッケルボロン)も使える。ニッケルボロンによって表面の滑らかにすることもできる。溶媒は、酢酸ブチル等のエステル類、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン等の有機溶剤等に相当する。表面張力と粘度は、溶媒の濃度を調整したり、界面活性剤等を加えたりして適宜調整する。
液滴吐出法において用いるノズルの径は、0.02〜100μm(好適には30μm以下)に設定し、該ノズルから吐出される組成物の吐出量は0.001pl〜100pl(好適には10pl以下)に設定することが好ましい。液滴吐出法には、オンデマンド型とコンティニュアス型の2つの方式があるが、どちらの方式を用いてもよい。さらに液滴吐出法において用いるノズルには、圧電体の電圧印加により変形する性質を利用した圧電方式、ノズル内に設けられたヒータにより組成物を沸騰させ該組成物を吐出する加熱方式があるが、そのどちらの方式を用いてもよい。被処理物とノズルの吐出口との距離は、所望の箇所に滴下するために、出来る限り近づけておくことが好ましく、好適には0.1〜3mm(好適には1mm以下)程度に設定する。ノズルと被処理物は、その相対的な距離を保ちながら、ノズル及び被処理物の一方が移動して、所望のパターンを描画する。また、組成物を吐出する前に、被処理物の表面にプラズマ処理を施してもよい。これは、プラズマ処理を施すと、被処理物の表面が親水性になったり、疎液性になったりすることを活用するためである。例えば、純水に対しては親水性になり、アルコールを溶媒したペーストに対しては疎液性になる。
組成物を吐出する工程は、減圧下で行っても良い。これは、組成物を吐出して被処理物に着弾するまでの間に、該組成物の溶媒が揮発し、後の乾燥と焼成の工程を省略又は短くすることができるためである。組成物の吐出後は、常圧下又は減圧下で、レーザ光の照射や瞬間熱アニール、加熱炉等により、乾燥と焼成の一方又は両方の工程を行う。乾燥と焼成の工程は、両工程とも加熱処理の工程であるが、例えば、乾燥は100度で3分間、焼成は200〜350度で15分間〜120分間で行うもので、その目的、温度と時間が異なるものである。乾燥と焼成の工程を良好に行うためには、基板を加熱しておいてもよく、そのときの温度は、基板等の材質に依存するが、100〜800度(好ましくは200〜350度)とする。本工程により、組成物中の溶媒の揮発又は化学的に分散剤を除去し、周囲の樹脂が硬化収縮することで、融合と融着を加速する。雰囲気は、酸素雰囲気、窒素雰囲気又は空気で行う。但し、金属元素を分解又は分散している溶媒が除去されやすい酸素雰囲気下で行うことが好適である。
レーザ光の照射は、連続発振またはパルス発振の気体レーザ又は固体レーザを用いれば良い。前者の気体レーザの例としては、エキシマレーザが挙げられ、後者の固体レーザの例としては、Cr、Nd等がドーピングされたYAG、YVO4等の結晶を使ったレーザ等が挙げられる。なお、レーザ光の吸収率の関係から、連続発振のレーザを用いることが好ましい。また、パルス発振と連続発振を組み合わせた所謂ハイブリッドのレーザ照射方法を用いてもよい。但し、基板の耐熱性に依っては、レーザ光の照射による加熱処理は、数マイクロ秒から数十秒の間で瞬間に行うとよい。瞬間熱アニール(RTA)は、不活性ガスの雰囲気下で、紫外光乃至赤外光を照射する赤外ランプやハロゲンランプなどを用いて、急激に温度を上昇させ、数マイクロ秒から数分の間で瞬間的に熱を加えて行う。この処理は瞬間的に行うために、実質的に最表面の薄膜のみを加熱することができ、下層の膜には影響を与えないという利点がある。
ゲート配線層202、ゲート電極層203、ゲート電極層204を形成した後、表面に露出している下地層201の処理として、下記の2つの工程のうちどちらかの工程を行うことが望ましい。
第一の方法としては、ゲート配線層202、ゲート電極層203、ゲート電極層204と重ならない下地層201を絶縁化して、絶縁体層205を形成する工程である(図4(B)参照。)。つまり、ゲート配線層202、ゲート電極層203、ゲート電極層204と重ならない下地層201を酸化して絶縁化する。このように、下地層201を酸化して絶縁化する場合には、当該下地層201を0.01〜10nmの厚さで形成しておくことが好適であり、そうすると容易に酸化させることができる。なお、酸化する方法としては、酸素雰囲気下に晒す方法を用いてもよいし、熱処理を行う方法を用いてもよい。
第2の方法としては、ゲート配線層202、ゲート電極層203、ゲート電極層204をマスクとして、下地層201をエッチングして除去する工程である。この工程を用いる場合には下地層201の厚さに制約はない。
次に、プラズマCVD法やスパッタリング法を用いて、ゲート絶縁層206を単層又は積層構造で形成する(図4(C)参照。)。特に好ましい形態としては、窒化珪素からなる絶縁体層207、酸化珪素からなる絶縁体層208、窒化珪素からなる絶縁体層209の3層の積層体をゲート絶縁層として構成させる。なお、低い成膜温度でゲートリーク電流に少ない緻密な絶縁層を形成するには、アルゴンなどの希ガス元素を反応ガスに含ませ、形成される絶縁層中に混入させると良い。ゲート配線層202、ゲート電極層203、ゲート電極層204に接する第1の層を窒化珪素若しくは窒化酸化珪素で形成することで、酸化による劣化を防止することができる。また、ゲート配線層202、ゲート電極層203、ゲート電極層204に接する第1の層にNiB(ニッケルボロン)を用いることで表面を滑らかにすることもできる。
次に、半導体層210を形成する。半導体層210は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製されるAS、或いはSASで形成する。気相成長法としては、プラズマCVD法や熱CVD法を用いることができる。
プラズマCVD法を用いる場合、ASは半導体材料ガスであるSiH4若しくはSiH4とH2の混合気体を用いて形成する。SASは、SiH4をH2で3倍〜1000倍に希釈して混合気体、若しくはSi2H6とGeF4のガス流量比をSi2H6対GeF4を20〜40対0.9で希釈すると、Siの組成比が80%以上であるSASを得ることができる。特に、後者の場合は下地との界面から結晶性を半導体層210に持たせることが出来るため好ましい。
半導体層210上には、ゲート電極層203及び204と相対する位置に、組成物を選択的に吐出して、マスク層211を形成する。マスク層211は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フレア、透過性を有するポリイミドなどの有機材料、シロキサン系ポリマー等の重合によってできた化合物材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いて液滴吐出法で形成する。或いは、感光剤を含む市販のレジスト材料を用いてもよく、例えば、代表的なポジ型レジストである、ノボラック樹脂と感光剤であるナフトキノンジアジド化合物、ネガ型レジストであるベース樹脂、ジフェニルシランジオール及び酸発生剤などを用いてもよい。いずれの材料を用いるとしても、その表面張力と粘度は、溶媒の濃度を調整したり、界面活性剤等を加えたりして適宜調整する。
マスク層211を利用して、ゲート絶縁層206、半導体層210をエッチングする(図5(A)参照。)。
その結果、半導体層の端は、島状のゲート絶縁層の端を越えないように設けられることになる。また半導体層の端は、島状のゲート絶縁層の端と一致するように設けられていると表記することもできる。エッチング加工はプラズマエッチング又はウエットエッチングのどちらを採用しても良いが、大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF4、NF3、Cl2、BCl3、などのフッ素系又は塩素系のガスを用い、HeやArなどを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能である。続いて、マスク層211を除去して、半導体層210上に、保護層212を液滴吐出法で形成する。保護層212は絶縁層であり、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウムなどの無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン系材料を出発材料として形成された珪素、酸素、水素からなる化合物のうちSi−O−Si結合を含む無機シロキサン、珪素上の水素がメチルやフェニルのような有機基によって置換された有機シロキサン系の絶縁材料で形成することができる。アクリル、ポリイミド等の感光性の材料を用いて形成すると、その側面は曲率半径が連続的に変化する形状となり、上層の薄膜が段切れせずに形成されるため好ましい。この保護層は、界面の清浄性を確保して、有機物や金属物、水蒸気などの不純物で半導体層210が汚染されることを防ぐ効果がある。また、層間層としての役割もある。
次のような方法で保護層212を形成してもよい。まず、半導体層210上に酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素などの絶縁層をプラズマCVD法などで形成する。
続いて、保護層212を液滴吐出法で形成し、前記保護層212をマスクとして利用し、エッチング加工を行う。これにより、保護層212の下には絶縁層が存在することになり、シロキサン系材料などと絶縁層とが積層された保護層を形成することができる。
次に、n型の半導体層213を形成する。n型の半導体層213は、シランガスとフォスフィンガスを用いて形成すれば良く、AS若しくはSASで形成することができる。続いて、導電性材料を含む組成物を選択的に吐出して、ソース及びドレイン配線層214を液滴吐出法で形成する(図5(A)参照。)。この配線層を形成する導電性材料としては、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用いることができる。銀と銅の積層などでも良い。また、透光性を有するインジウム錫酸化物(ITO)、インジウム錫酸化物と酸化珪素からなるITSO、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、窒化チタンなどを組み合わせても良い。
次に、ソースまたはドレイン配線層214をマスクとして、n型の半導体層213をエッチングして、ソースまたはドレイン領域を形成するn型の半導体層215、216を形成する(図5(B)参照。)。エッチング加工はプラズマエッチング又はウエットエッチングのどちらを採用しても良いが、大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF4、NF3、Cl2、BCl3、などのフッ素系又は塩素系のガスを用い、HeやArなどを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能である。その後、全面に窒化珪素若しくは窒化酸化珪素のパッシべーション層217を形成する。
次に、液滴吐出法によりソースまたはドレイン配線層214と電気的に接続する部分を除く全領域に層間層218を形成する(図6(A)参照。)。他の方法として、液滴吐出法によりソースまたはドレイン配線層214と電気的に接続する部分を除く配線部分のみに層間層218を形成しても良い。この層間層は絶縁層であり、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン系材料を出発材料として形成された珪素、酸素、水素からなる化合物のうちSi−O−Si結合を含む無機シロキサン、珪素上の水素がメチルやフェニルのような有機基によって置換された有機シロキサン系の絶縁材料で形成することができる。アクリル、ポリイミド等の感光性、非感光性の材料を用いて形成すると、その側面は曲率半径が連続的に変化する形状となり、上層の薄膜が段切れせずに形成されるため好ましい。
次いで、層間層218をマスクとして、エッチング加工によりパッシべーション層217の一部に貫通孔219を形成して、その下層側に配置されているソース及びドレイン配線層214一部を露出させる。エッチング加工はプラズマエッチング又はウエットエッチングのどちらを採用しても良いが、大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF4、NF3、Cl2、BCl3、などのフッ素系又は塩素系のガスを用い、HeやArなどを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層が必要にはならない。
ここで、もう一つの方法として、層間層218をスピンコート法やディップ法により基板全面に形成し、その後、エッチング加工等により貫通孔219を形成する。また、この貫通孔219を形成する方法として、次のような工程を用いても良い。まず、層間層218を形成する前に基板全面にフルオロアルキルシラン等のフッ素系カップリング剤、CHF3等のフッ素を含む有機材料等の撥液処理剤をコーティングし撥液処理を行う。続いて貫通孔を形成したい場所にマスク材料を塗布し、O2アッシング等の処理を行うことにより、マスクを形成した場所以外の撥液剤を除去する。次に、マスクを除去し、層間層218をスピンコート法やディップ法、若しくは液滴吐出法によって基板全面に塗布する。撥液処理がされている部分には、層間層218が形成されないため、そのまま形成された層間層218をマスクとして貫通孔219を形成する。なお、撥液処理剤をコーティングする際に、液滴吐出装置を使用して貫通孔部分のみに選択的に撥液処理剤を塗布すれば、上記マスク形成、撥液剤除去、及びマスク除去の工程は不要となる。
次に、ソース及びドレイン配線層214と電気的に接続するように、第1電極220を形成する。第1電極220は、スパッタリング法によりインジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)などで形成する。好ましくは、ITOに酸化珪素が2〜10重量%含まれたターゲットを用いてスパッタリング法で酸化珪素を含む酸化インジウムスズを用いる。この他、酸化珪素を含み酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合した酸化物導電性材料を用いても良い。
第1電極220上に、組成物を選択的に吐出して、マスク層221を形成する。マスク層221は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フレア、透過性を有するポリイミドなどの有機材料、シロキサン系ポリマー等の重合によってできた化合物材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いて液滴吐出法で形成する。或いは、感光剤を含む市販のレジスト材料を用いてもよく、例えば、代表的なポジ型レジストである、ノボラック樹脂と感光剤であるナフトキノンジアジド化合物、ネガ型レジストであるベース樹脂、ジフェニルシランジオール及び酸発生剤などを用いてもよい。いずれの材料を用いるとしても、その表面張力と粘度は、溶媒の濃度を調整したり、界面活性剤等を加えたりして適宜調整する。
マスク層221を利用して、第1電極220をエッチング加工し、その後、マスク層221を除去する(図6(D)参照。)。エッチング加工はプラズマエッチング又はウエットエッチングのどちらを採用しても良いが、大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF4、NF3、Cl2、BCl3、などのフッ素系又は塩素系のガスを用い、HeやArなどを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能である。
この第1電極220は、液滴吐出法を用いて、ソース及びドレイン配線層214と電気的に接続するように、導電性材料を含む組成物を選択的に吐出して、画素電極に相当する第1電極220を形成しても良い。第1電極220は、透過型のEL表示パネルを作製する場合には、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)などを含む組成物により所定のパターンを形成し、焼成によって画素電極を形成しても良い。また、発光した光を基板100側とは反対側に放射させる構造とする場合には、反射型のEL表示パネルを作製する場合には、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅))、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用いることができる。
次に、エッチングされた第1電極の端を覆うように、液滴吐出法で絶縁層222を形成する。この絶縁層222は、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン系材料を出発材料として形成された珪素、酸素、水素からなる化合物のうちSi−O−Si結合を含む無機シロキサン、珪素上の水素がメチルやフェニルのような有機基によって置換された有機シロキサン系の絶縁材料で形成することができる。アクリル、ポリイミド等の感光性、非感光性の材料を用いて形成すると、その側面は曲率半径が連続的に変化する形状となり、上層の薄膜が段切れせずに形成されるため好ましい。また、絶縁体層222は、スピンコート法やディップ法により全面に絶縁層を形成した後、エッチング加工によってパターンをを形成することも可能である。
以上の工程により、基板100上にボトムゲート型(逆スタガ型ともいう。)のTFTと第1電極層が接続されたEL表示パネル用のTFT基板が完成する。
EL層223を形成する前に、大気圧中で200℃の熱処理を行い絶縁層222中若しくはその表面に吸着している水分を除去する。また、減圧下で200〜400℃、好ましくは250〜350℃に熱処理を行い、そのまま大気に晒さずにEL層223を真空蒸着法や、減圧下の液滴吐出法で形成することが好ましい。
第1電極220の表面を酸素プラズマに晒したり、紫外線光を照射して、表面処理を加えても良い。次に、スパッタリング法や液滴吐出法などにより第2電極224をEL層223上に形成して発光素子が形成される。この発光素子は駆動用TFT10000と接続された構造となる。
続いて、シール材を形成し、封止基板を用いて封止する。その後、ゲート配線層にフレキシブル配線基板を接続しても良い。これは、信号配線層も同様である。
以上示したように、本実施の形態では、フォトマスクを利用した光露光工程を用いないことにより、工程を省略することができる。また、液滴吐出法を用いて基板上に直接的に各種のパターンを形成することにより、1辺が1000mmを超える第5世代以降のガラス基板を用いても、容易にEL表示パネルを製造することができる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態として、チャネルエッチ型のTFTの作製方法について説明する。
基板100上に、下地層201を形成し、下地層201上に、導電性材料を含む組成物を液滴吐出法にいより吐出して、ゲート配線層202、ゲート電極層203、ゲート電極層204を形成する。次に、ゲート配線層202、ゲート電極層203、ゲート電極層204を形成した後、表面に露出している下地層201の処理を行い、絶縁化して、絶縁体層205を形成する若しくはゲート配線層202、ゲート電極層203、ゲート電極層204をマスクとして、下地層201をエッチングして除去する。次に、プラズマCVD法やスパッタリング法を用いて、ゲート絶縁層206を単層又は積層構造で形成する。特に好ましい形態としては、窒化珪素からなる絶縁体層207、酸化珪素からなる絶縁体層208、窒化珪素からなる絶縁体層209の3層の積層体がゲート絶縁層に相当する。さらに、活性層として機能する半導体層210を形成する。次に、半導体層210上には、ゲート電極層203及び204と相対する位置に、組成物を選択的に吐出して、マスク層211を形成し、そのマスク層211を利用して、ゲート絶縁層206、半導体層210をエッチングする。その後、マスク層211を除去する。以上の工程は第1の実施の形態と同様である。
半導体層210上に、n型の半導体層301を形成する。続いて、半導体層301上に、導電性材料を含む組成物を選択的に吐出して、ソース及びドレイン配線層302を液滴吐出法で形成する。次に、ソース及びドレイン配線層302をマスクとして、n型の半導体層301をエッチングして、ソース及びドレイン領域を形成するn型の半導体層を形成する(図7参照。)。エッチング加工はプラズマエッチング又はウエットエッチングのどちらを採用しても良いが、大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF4、NF3、Cl2、BCl3、などのフッ素系又は塩素系のガスを用い、HeやArなどを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能である。
以降の工程は第1の実施の形態と同様である。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態として、下地層上に第1の電極を形成するチャネル保護型のTFTの作製方法について説明する。
図9(A)は、基板100上に第1電極を形成する工程を示している。図9(B)は、ゲート電極層と、ゲート電極層と接続するゲート配線層を液滴吐出法で形成する工程を示している。なお、図9(A)は縦断面構造を模式的に示し、A−B及びC−D及びE−Fに対応する平面構造を図13に示すので同時に参照することが出来る。
基板100は、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス若しくはアルミノシリケートガラスなど、フュージョン法やフロート法で作製される無アルカリガラス基板、セラミック基板の他、本作製工程の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板等の絶縁表面を有する基板を用いることができる。また、単結晶シリコンなどの半導体基板、ステンレスなどの金属基板の表面に絶縁層を設けた基板を適用しても良い。
基板100上には、スパッタリング法や蒸着法、液滴吐出法などの方法により、Ti(チタン)、W(タングステン)、Cr(クロム)、Ta(タンタル)、Ni(ニッケル)、Mo(モリブデン)などの金属材料若しくはその酸化物、あるいは光触媒などで形成される下地層401を形成することが好ましい。下地層401は0.01〜10nmの厚さで形成すれば良いが、極薄く形成すれば良いので、必ずしも層構造を持っていなくても良い。なお、この下地層401は、電極層を密着性良く形成するために設けるものであり、十分な密着性が得られるのであれば、これを省略して基板100上に電極層を液滴吐出法により直接形成しても良い。その他、大気圧プラズマ処理などを行っても良い。また、この工程に限らず、有機層、無機層、メタル層などの層上に、液滴吐出法により導電性層を形成する場合若しくは液滴吐出法により形成された導電性層上に有機層、無機層、メタル層などを形成する場合には、導電性層との密着性向上のために同様の処理を行うと良い。
下地層401上に、第1電極402を形成する。第1電極402は、スパッタリング法によりインジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)などで形成する。好ましくは、ITOに酸化珪素が2〜10重量%含まれたターゲットを用いてスパッタリング法で酸化珪素を含む酸化インジウムスズを用いる。この他、酸化珪素を含み酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合した酸化物導電性材料を用いても良い。
第1電極402上に、組成物を選択的に吐出して、マスク層403を形成する。マスク層403は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フレア、透過性を有するポリイミドなどの有機材料、シロキサン系ポリマー等の重合によってできた化合物材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いて液滴吐出法で形成する。或いは、感光剤を含む市販のレジスト材料を用いてもよく、例えば、代表的なポジ型レジストである、ノボラック樹脂と感光剤であるナフトキノンジアジド化合物、ネガ型レジストであるベース樹脂、ジフェニルシランジオール及び酸発生剤などを用いてもよい。いずれの材料を用いるとしても、その表面張力と粘度は、溶媒の濃度を調整したり、界面活性剤等を加えたりして適宜調整する。
マスク層403を利用して、第1電極402をエッチング加工し、その後、マスク層403を除去する(図9(A)参照。)。エッチング加工はプラズマエッチング又はウエットエッチングのどちらを採用しても良いが、大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF4、NF3、Cl2、BCl3、などのフッ素系又は塩素系のガスを用い、HeやArなどを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能である。
この第1電極402は、液滴吐出法を用いて、導電性材料を含む組成物を選択的に吐出して形成しても良い。第1電極402は、透過型のEL表示パネルを作製する場合には、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)などを含む組成物により所定のパターンを形成し、焼成によって画素電極を形成しても良い。また、発光した光を基板100側とは反対側に放射させる構造とする場合には、反射型のEL表示パネルを作製する場合には、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅))、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用いることができる。
次に、導電性材料を含む組成物を液滴吐出法により吐出して、ゲート配線層404、ゲート電極層405、ゲート電極層406、ゲート配線層407を形成する。これらの層を形成する導電性材料としては、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅))、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用いることができる。特に、ゲート配線層は、低抵抗化することが好ましいので、比抵抗値を考慮して、金、銀、銅のいずれかの材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いることが好適であり、より好適には、低抵抗な銀、銅を用いるとよい。若しくは、銀と銅の積層でも良い。また、銀は高価であるので、極めて細く吐出した銀を銅メッキで太くしても良い。吐出した銀の表面はざらざらしているのでメッキ加工がし易い。メッキの方法としては、メッキ液層に浸けるあるいはメッキ液を流しかけるなどが考えられる。但し、銀、銅を用いる場合には、不純物対策のため、合わせてバリア層を設けるとよい。バリア層として窒化珪素膜だけでなく、NiB(ニッケルボロン)も使える。ニッケルボロンによって表面の滑らかにすることもできる。溶媒は、酢酸ブチル等のエステル類、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン等の有機溶剤等に相当する。表面張力と粘度は、溶媒の濃度を調整したり、界面活性剤等を加えたりして適宜調整する。
液滴吐出法において用いるノズルの径は、0.02〜100μm(好適には30μm以下)に設定し、該ノズルから吐出される組成物の吐出量は0.001pl〜100pl(好適には10pl以下)に設定することが好ましい。液滴吐出法には、オンデマンド型とコンティニュアス型の2つの方式があるが、どちらの方式を用いてもよい。さらに液滴吐出法において用いるノズルには、圧電体の電圧印加により変形する性質を利用した圧電方式、ノズル内に設けられたヒータにより組成物を沸騰させ該組成物を吐出する加熱方式があるが、そのどちらの方式を用いてもよい。被処理物とノズルの吐出口との距離は、所望の箇所に滴下するために、出来る限り近づけておくことが好ましく、好適には0.1〜3mm(好適には1mm以下)程度に設定する。ノズルと被処理物は、その相対的な距離を保ちながら、ノズル及び被処理物の一方が移動して、所望のパターンを描画する。また、組成物を吐出する前に、被処理物の表面にプラズマ処理を施してもよい。これは、プラズマ処理を施すと、被処理物の表面が親水性になったり、疎液性になったりすることを活用するためである。例えば、純水に対しては親水性になり、アルコールを溶媒したペーストに対しては疎液性になる。
組成物を吐出する工程は、減圧下で行っても良い。これは、組成物を吐出して被処理物に着弾するまでの間に、該組成物の溶媒が揮発し、後の乾燥と焼成の工程を省略又は短くすることができるためである。組成物の吐出後は、常圧下又は減圧下で、レーザ光の照射や瞬間熱アニール、加熱炉等により、乾燥と焼成の一方又は両方の工程を行う。乾燥と焼成の工程は、両工程とも加熱処理の工程であるが、例えば、乾燥は100度で3分間、焼成は200〜350度で15分間〜120分間で行うもので、その目的、温度と時間が異なるものである。乾燥と焼成の工程を良好に行うためには、基板を加熱しておいてもよく、そのときの温度は、基板等の材質に依存するが、100〜800度(好ましくは200〜350度)とする。本工程により、組成物中の溶媒の揮発又は化学的に分散剤を除去し、周囲の樹脂が硬化収縮することで、融合と融着を加速する。雰囲気は、酸素雰囲気、窒素雰囲気又は空気で行う。但し、金属元素を分解又は分散している溶媒が除去されやすい酸素雰囲気下で行うことが好適である。
レーザ光の照射は、連続発振またはパルス発振の気体レーザ又は固体レーザを用いれば良い。前者の気体レーザの例としては、エキシマレーザ、が挙げられ、後者の固体レーザの例としては、Cr、Nd等がドーピングされたYAG、YVO4等の結晶を使ったレーザ等が挙げられる。なお、レーザ光の吸収率の関係から、連続発振のレーザを用いることが好ましい。また、パルス発振と連続発振を組み合わせた所謂ハイブリッドのレーザ照射方法を用いてもよい。但し、基板の耐熱性に依っては、レーザ光の照射による加熱処理は、数マイクロ秒から数十秒の間で瞬間に行うとよい。瞬間熱アニール(RTA)は、不活性ガスの雰囲気下で、紫外光乃至赤外光を照射する赤外ランプやハロゲンランプなどを用いて、急激に温度を上昇させ、数マイクロ秒から数分の間で瞬間的に熱を加えて行う。この処理は瞬間的に行うために、実質的に最表面の薄膜のみを加熱することができ、下層の膜には影響を与えないという利点がある。
ゲート配線層404、ゲート電極層405、ゲート電極層406、ゲート配線層407、408を形成した後、表面に露出している下地層401の処理として、下記の2つの工程のうちどちらかの工程を行うことが望ましい。
第一の方法としては、ゲート配線層404、ゲート電極層405、ゲート電極層406、ゲート配線層407と重ならない下地層401を絶縁化して、絶縁体層408を形成する工程である(図9(B)参照。)。つまり、ゲート配線層404、ゲート電極層405、ゲート電極層406と重ならない下地層401を酸化して絶縁化する。このように、下地層401を酸化して絶縁化する場合には、当該下地層401を0.01〜10nmの厚さで形成しておくことが好適であり、そうすると容易に酸化させることができる。なお、酸化する方法としては、酸素雰囲気下に晒す方法を用いてもよいし、熱処理を行う方法を用いてもよい。
第2の方法としては、ゲート配線層404、ゲート電極層405、ゲート電極層406、ゲート配線層407をマスクとして、下地層401をエッチングして除去する工程である。この工程を用いる場合には下地層401の厚さに制約はない。
次に、プラズマCVD法やスパッタリング法を用いて、ゲート絶縁層409を単層又は積層構造で形成する(図9(C)参照。)。特に好ましい形態としては、窒化珪素からなる絶縁体層410、酸化珪素からなる絶縁体層411、窒化珪素からなる絶縁体層412の3層の積層体をゲート絶縁層として構成させる。なお、低い成膜温度でゲートリーク電流に少ない緻密な絶縁層を形成するには、アルゴンなどの希ガス元素を反応ガスに含ませ、形成される絶縁層中に混入させると良い。ゲート配線層404、ゲート電極層405、ゲート電極層406、ゲート配線層407に接する第1の層を窒化珪素若しくは窒化酸化珪素で形成することで、酸化による劣化を防止することができる。また、ゲート配線層404、407、ゲート電極層405、ゲート電極層406に接する第1の層にNiB(ニッケルボロン)を用いることで表面を滑らかにすることもできる。
次に、半導体層413を形成する。半導体層413は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製されるAS、或いはSASで形成する。気相成長法としては、プラズマCVD法や熱CVD法を用いることができる。
プラズマCVD法を用いる場合、ASは半導体材料ガスであるSiH4若しくはSiH4とH2の混合気体を用いて形成する。SASは、SiH4をH2で3倍〜1000倍に希釈して混合気体、若しくはSi2H6とGeF4のガス流量比をSi2H6対GeF4を20〜40対0.9で希釈すると、Siの組成比が80%以上であるSASを得ることができる。特に、後者の場合は下地との界面から結晶性を半導体層413に持たせることが出来るため好ましい。
半導体層413上には、ゲート電極層405及び406と相対する位置に、組成物を選択的に吐出して、マスク層414を形成する。マスク層414は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フレア、透過性を有するポリイミドなどの有機材料、シロキサン系ポリマー等の重合によってできた化合物材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いて液滴吐出法で形成する。或いは、感光剤を含む市販のレジスト材料を用いてもよく、例えば、代表的なポジ型レジストである、ノボラック樹脂と感光剤であるナフトキノンジアジド化合物、ネガ型レジストであるベース樹脂、ジフェニルシランジオール及び酸発生剤などを用いてもよい。いずれの材料を用いるとしても、その表面張力と粘度は、溶媒の濃度を調整したり、界面活性剤等を加えたりして適宜調整する。
マスク層414を利用して、ゲート絶縁層409、半導体層413をエッチングする(図9(D)参照。)。エッチング加工はプラズマエッチング又はウエットエッチングのどちらを採用しても良いが、大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF4、NF3、Cl2、BCl3、などのフッ素系又は塩素系のガスを用い、HeやArなどを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能である。続いて、マスク層414を除去して、半導体層413上に、保護層415を液滴吐出法で形成する。この保護層は、界面の清浄性を確保して、有機物や金属物、水蒸気などの不純物で半導体層413が汚染されることを防ぐ効果がある。また、層間層としての役割もある。
次に、n型の半導体層416を形成する。n型の半導体層416は、シランガスとフォスフィンガスを用いて形成すれば良く、AS若しくはSASで形成することができる。続いて、導電性材料を含む組成物を選択的に吐出して、ソース及びドレイン配線層417を液滴吐出法で形成する(図10(B)参照。)。この配線層を形成する導電性材料としては、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用いることができる。銀と銅の積層などでも良い。また、透光性を有するインジウム錫酸化物(ITO)、インジウム錫酸化物と酸化珪素からなるITSO、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、窒化チタンなどを組み合わせても良い。
次に、ソース及びドレイン配線層417をマスクとして、n型の半導体層416をエッチングして、ソース及びドレイン領域を形成するn型の半導体層418、419を形成する(図10(C)参照。)。その後、全面に窒化珪素若しくは窒化酸化珪素のパッシべーション層420を形成する。
次に、液滴吐出法により発光領域を除く全領域に層間層421を形成する(図11(A)参照。)。この層間層は絶縁層であり、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン系材料を出発材料として形成された珪素、酸素、水素からなる化合物のうちSi−O−Si結合を含む無機シロキサン、珪素上の水素がメチルやフェニルのような有機基によって置換された有機シロキサン系の絶縁材料で形成することができる。アクリル、ポリイミド等の感光性の材料を用いて形成すると、その側面は曲率半径が連続的に変化する形状となり、上層の薄膜が段切れせずに形成されるため好ましい。
次いで、層間層421をマスクとして、発光領域のパッシべーション層420をエッチングする。エッチング加工はプラズマエッチング又はウエットエッチングのどちらを採用しても良いが、大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF4、NF3、Cl2、BCl3、などのフッ素系又は塩素系のガスを用い、HeやArなどを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層が必要にはならない。
以上の工程により、基板100上にボトムゲート型(逆スタガ型ともいう。)のTFTと第1電極層が接続されたEL表示パネル用のTFT基板が完成する。
EL層422を形成する前に、大気圧中で200℃の熱処理を行い絶縁層421中若しくはその表面に吸着している水分を除去する。また、減圧下で200〜400℃、好ましくは250〜350℃に熱処理を行い、そのまま大気に晒さずにEL層422を真空蒸着法や、減圧下の液滴吐出法で形成することが好ましい。
第1電極402の表面を酸素プラズマに晒したり、紫外線光を照射して、表面処理を加えても良い。次に、スパッタリング法や液滴吐出法などにより第2電極423をEL層422上に形成して発光素子が形成される。この発光素子は駆動用TFT20000と接続された構造となる(図11(B)参照。)。
続いて、シール材を形成し、封止基板を用いて封止する。その後、ゲート配線層にフレキシブル配線基板を接続しても良い。これは、信号配線層も同様である。
以上示したように、本実施の形態では、フォトマスクを利用した光露光工程を用いないことにより、工程を省略することができる。また、液滴吐出法を用いて基板上に直接的に各種のパターンを形成することにより、1辺が1000mmを超える第5世代以降のガラス基板を用いても、容易にEL表示パネルを製造することができる。
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態として、下地層上に第1の電極を形成するチャネルエッチ型のTFTの作製方法について説明する。
基板100上に、下地層401を形成し、下地層401上に、第1電極402を形成する。続いて、第1電極402上に、組成物を選択的に吐出して、マスク層403を形成する。マスク層403を利用して、第1電極402をエッチング加工し、その後、マスク層403を除去する。次に、導電性材料を含む組成物を液滴吐出法により吐出して、ゲート配線層404、ゲート電極層405、ゲート電極層406、ゲート配線層407を形成する。その後、表面に露出している下地層401の処理を行い、絶縁化して、絶縁体層408を形成する若しくはゲート配線層404、ゲート電極層405、ゲート電極層406、ゲート配線層407をマスクとして、下地層401をエッチングして除去する。次に、プラズマCVD法やスパッタリング法を用いて、ゲート絶縁層409を単層又は積層構造で形成する。特に好ましい形態としては、窒化珪素からなる絶縁体層410、酸化珪素からなる絶縁体層411、窒化珪素からなる絶縁体層412の3層の積層体がゲート絶縁層に相当する。さらに、活性層として機能する半導体層413を形成する。次に、半導体層413上には、ゲート電極層405及び406と相対する位置に、組成物を選択的に吐出して、マスク層414を形成し、そのマスク層414を利用して、ゲート絶縁層409、半導体層413をエッチングする。その後、マスク層414を除去する。以上の工程は第3の実施の形態と同様である。
半導体層413上に、n型の半導体層501を形成する。続いて、半導体層501上に、導電性材料を含む組成物を選択的に吐出して、ソース及びドレイン配線層502を液滴吐出法で形成する。次に、ソース及びドレイン配線層502をマスクとして、n型の半導体層501をエッチングして、ソース及びドレイン領域を形成するn型の半導体層を形成する(図12参照。)。