JP4654502B2 - プリプレグ及びこれを用いた積層板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に電気機器、電子機器、通信機器等に使用されるプリント回路基板用として好適なプリプレグ及びこのプリプレグを用いた積層板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリント回路基板用エポキシ樹脂積層板は一般的にエポキシ樹脂を繊維基材に塗布・乾燥させて得たプリプレグを1枚以上重ね、その上面に金属箔を重ね合わせて加熱加圧成形して得られている。また、多層プリント回路基板の製造方法は、両面または片面に回路加工及び黒化処理を施した内層回路基板にエポキシ樹脂を繊維基材に塗布・乾燥させたプリプレグを1枚以上重ね、その上面に金属箔を重ね合わせて、加熱加圧成形して得られる。一般的に加熱加圧成形はこれら組み合わせたプリント回路基板材料を金属鏡面板を使って交互に重ね、その最外部にクラフト紙等のクッション材を配し、加熱冷却が可能な高圧プレスを使って実施する。
【0003】
プリプレグに使用される繊維基材はガラス織布を代表例とする織布である。織布は繊維のモノフィラメントを集束したヤーンを織ったものであり、そのまま直接硬化性樹脂ワニスを浸せきあるいは塗布等により含浸すると、モノフィラメント間の隙間に多くの空気を含んだプリプレグが得られる。更に加熱等により硬化性樹脂ワニスが繊維基材に浸透しても、幾らかの空気がモノフィラメント間の隙間に残存し、加熱加圧成形した後も空気が残存して製品として吸湿半田耐熱性の低下や長期絶縁信頼性の低下等不具合を多く発生するものとなる。
【0004】
近年、基板成形後の板厚精度の高度化によるインピータンスコントロールが可能な樹脂の開発が行われている。基板の板厚精度は信号遅延と1倍の相関があり、一方、基板材料の低誘電率化については、誘電率はその平方根と信号遅延が相関するため、基板の板厚精度の高度化の方が有効な手段である基板の板厚精度向上のためには、成形中に発生する樹脂の金型外への流出(以下、フローアウトという)を減少させることが重要である。
例えば成形時の樹脂の最低溶融粘度を高くし、フローアウトを減少させることによってフローアウトのコントロールが行われてきた。具体的にはプリプレグに含浸する樹脂にフィラーや高分子量樹脂等を添加することにより樹脂の粘度を上げる手法であるが、樹脂の粘度を高くする手法ではガラス繊維基材への含浸性が低下することから、含浸時に繊維内ボイドの増加をまねき、基板成形時に成形不良が生じるおそれがある。
【0005】
成形後の板厚精度にはプリプレグの厚みのバラツキ等のプリプレグ固有の問題があり、さらには成形時におけるプレス内での樹脂の流れ、成形圧力や温度のバラツキの影響がある。例えば成形時、樹脂の流れ方はプリプレグの中央や端において一様に流れるわけではなく、一般にプレスの鏡面板の中心部分よりも周辺部分の方が樹脂の流れが大きく、その結果周辺部分が中心部分よりも薄いことは良く知られている。成形時のこのようなバラツキによってもフローアウトの違いを生じ、プリプレグの厚みのバラツキとともに板厚精度を低下させる要因となっており、前述のようなフィラーや高分子量樹脂の添加による高粘度化だけでは効果が不十分である。
【0006】
プリント回路基板用エポキシ樹脂積層板及び多層プリント回路基板の成形において、加熱加圧工程あるいはその前の重ね合わせ工程等において、プリプレグ切断部より発生した樹脂粉末や取り扱い時にプリプレグが折れ曲がる等により発生した樹脂粉末が金属鏡面板と金属箔の間に入り込み、そのまま成形すると、回路基板成形後回路パターン作製のためのエッチング工程において、この樹脂粉末がエッチングレジストと同じ作用をし、回路パターン不良の原因となっている。
このような問題を解決すべく、プリプレグの樹脂粉末の発生しやすい部分、あるいは樹脂粉末が付着している部分の樹脂粉末を再溶融してプリプレグからの樹脂粉末の発生、飛散を防止する等の対策が以前からなされている。しかしながら、このような方法では溶融方法によるエポキシ樹脂の性能変化の問題、あるいは設備投資や処理工数を必要とする。
以上のことから、樹脂粉末の発生が少なく、かつ基板の板厚精度の高度化と優れた成形性を併せ持つプリプレグが望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、プリプレグに関して樹脂粉末発生の低減および成形後の基板の板厚精度および成形性の両立という問題を解決すべく、プリプレグの製造方法を鋭意検討を進めた結果、本発明を完成するに至った。本発明は、プリプレグのモノフィラメント間の隙間に残存するボイドを低減させ、プリプレグの構成を変えることにより、樹脂粉末の発生が少なく、かつ良好な成形性を維持しつつ、成形後の基板の板厚精度を向上することができる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)N,N−ジメチルホルムアミドをガラス繊維基材に含浸する工程、続いて、(2)熱硬化性樹脂ワニスをガラス繊維基材に含浸し、140〜170℃乾燥硬化する工程、次いで(3)この片側もしくは両側に熱硬化性樹脂ワニスを塗布し乾燥する工程を有することを特徴とするプリプレグの製造方法に関するものである。
工程(1)において、有機溶剤をガラス繊維基材に含浸する時間は30〜420秒が好ましい。
工程(2)において、熱硬化性樹脂の付着量がガラス繊維基材100重量部に対し40〜100重量部であることが好ましい。
工程(3)において、熱硬化性樹脂の付着量が、工程(2)における熱硬化性樹脂の付着量100重量部に対して、5〜250重量部であることが好ましい。
さらに、本発明は、このようにして得られたプリプレグの1枚又は2枚以上を加熱成形することを特徴とする積層板の製造方法に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において、有機溶剤をガラス繊維基材に含浸する工程(1)は、ガラスクロス内の空隙を溶剤に置き換えるために実施されるものである。有機溶剤は特に限定されないが、蒸気圧の高い溶剤は、次の工程(2)である熱硬化性樹脂の含浸までに蒸発し、モノフィラメント間の隙間が発生し、いわゆるストランドボイドの原因となり、有機溶剤をガラス繊維基材に含浸する意味が小さくなるので、蒸気圧が温度20〜50℃の範囲において、250mmHg以下であることが好ましい。生産において安定した製品を得るために、蒸気圧が低いN,N−ジメチルホルムアミド等を使用することがより好ましい。
溶剤の含浸は、溶剤が基材の繊維間に十分に浸透するために、30〜420秒間、溶剤槽に浸漬するかもしくは溶剤を塗布することにより基材が濡れた状態にする。30秒未満では基材細部への含浸が不十分となり、ボイドの発生原因となる。また、420秒を越えても含浸向上のそれ以上の効果はみられず、生産性低下となる。より好ましくは、基材細部への含浸と効率を考慮して150〜300秒である。含浸を効率的に行い含浸時間を短縮するため、超音波、高圧シャワー等を使用してもよい。また、ガラス繊維基材を開繊処理することも有効な手段である。溶剤の付着量は、基材のモノフィラメント間を完全に満たす量であればよく、次の工程において前記溶剤が熱硬化性樹脂ワニスに持ち込まれることによるワニス粘度の低下(これは樹脂含浸量のばらつきを生じ、プリプレグ及び積層板の品質のバラツキにつながる)を防止するために、工程(1)の後に、絞りロール等で余剰の溶剤を除去することが好ましい。
【0010】
熱硬化性樹脂ワニスをガラス繊維基材に含浸し乾燥硬化する工程(2)において、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の1種または2種以上から選ばれるものであり、必要に応じて硬化剤、硬化触媒、充填剤、界面活性剤、シランカップリング剤等の添加剤を加えることができる。通常、この熱硬化性樹脂は溶剤に溶解したワニスの形で使用するが、用いられる溶剤は樹脂に対して良好な溶解性を示すことが望ましい。また、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用してもかまわない。また樹脂が粉砕等により微粉化が可能な場合、粉体で塗布することも可能である。
この工程で付着させる樹脂量は空隙を発生させない樹脂量が必要であり、ガラス繊維基材100重量部に対し、40〜100重量部であることが好ましい。40重量部より少ないと、ガラス繊維基材のモノフィラメント間の間隙を十分に埋めるだけの樹脂絶対量が不足し、100重量部より大きいと樹脂量が多すぎて成形が容易でなく得られた積層板の種々の特性が低下するようになる。
【0011】
工程(2)の乾燥条件は工程(1)で使用する溶剤及び工程(2)で使用する樹脂を溶解する溶剤の沸点によって決められるが、本発明において使用される溶剤においては100〜200℃が適当である。100℃未満では溶剤の蒸発に多くの時間を要するか、溶剤の残存が生じることがあり、200℃を越える温度では溶剤の突沸により空隙が生じるおそれがある。沸点よりある温度以上低い温度で乾燥すると多くの溶剤が残存し、プリプレグ及び積層板の信頼性を大きく低下させることになり、ある温度以上高い温度で乾燥すると溶剤が突沸し空隙が生じるようになる。 例えば、N,N−ジメチルホルムアミドを使用した場合、その沸点は153℃であることから、乾燥温度は140〜170℃が最適である。また、熱風による乾燥を行った場合、その風速によって突沸が生じなければ生産性向上のため、温度をより高くすることができる。
【0012】
本発明は、樹脂粉末の発生を低減し、厚み精度に優れかつ成形性に優れるプリプレグ及び積層板を得ることを目的とするが、このために、上記で得られた熱硬化性樹脂含浸基材の樹脂層(以下、a層という)とこれに次ぐ工程(3)でこのa層の外側に形成される樹脂層(以下、b層という)との樹脂量及び硬化度を検討して、各層にそれぞれ異なる機能を発揮させるように設計した。すなわち、a層は成形時にフローアウトが生じないように、かつ樹脂粉末が発生しないように硬化を進めることで、板厚精度を良好にする機能を有し、b層は銅箔等との接着や内層回路間への埋め込みを行う機能を有する。a層の厚み精度は塗布時の厚み精度、即ち数%以内の精度に制御可能であり、樹脂硬化度は二次含浸時後の乾燥条件(乾燥温度、乾燥時間)によって制御可能である。樹脂硬化がCステージ化もしくはそれに近い状態にすることによって、プレス等による成形の際にもフローアウトせず、成形後の厚み精度が良好に維持される。また、 プリプレグの切断等においてa層からの樹脂粉末の発生が防止される。
従来のプリプレグは、本発明のプリプレグが有するa層に相当する層が無く、樹脂すべてが同程度の硬化度であり、かつ含浸や回路への埋め込みを板厚精度より優先させる結果、加熱時には樹脂が低粘度化するものであった。このため、成形時にフローアウトが生じ、板厚精度が低下する要因となっていた。このため、板厚精度をよくする目的で充填材や高分子成分の添加により樹脂分を高粘度化することが行われていたが、高粘度化により、繊維内ボイドの残存等を生じ成形性の悪化を導いた。
【0013】
次に、工程(3)においては、前記熱硬化性樹脂含浸基材の片側もしくは両側に熱硬化性樹脂ワニスを塗布し乾燥する。即ち、a層の外側にb層を形成する。b層は主に回路間への埋め込みや他の層との接着を目的とする。a層は樹脂の硬化が進んでいるため、流動性が小さく、接着性も小さいからである。
b層は、a層と異なり、プレスやロールによる成形時に樹脂が一部フローアウトするため、基板の板厚精度に大きな影響を及ぼす。ここで板厚精度が良好に保つa層と板厚精度の悪いb層との割合が重要となる。a層の割合が多ければ板厚精度は良くなるが、回路の埋め込みや接着性が悪くなる。逆にb層の割合が多ければ成形後の板厚精度が悪くなる。また、b層はプリプレグ切断等において樹脂粉末の発生にも大きな影響を及ぼす。ここで樹脂粉末の発生が極めて少ないa層の樹脂量と樹脂粉末の発生し易いb層の樹脂量との割合が重要となる。a層の樹脂量の割合が多ければ、樹脂粉末の発生は少なくなるが、回路間の埋め込みや接着性が悪くなる。逆にb層の樹脂量の割合が多ければ、樹脂粉末の発生が多くなる。b層は、プレスやロールにより回路間への埋め込みが必要であるため、樹脂の硬化がBステージ状態でなければならない。
しかしながら、本発明のプリプレグはa層があるため、フローアウトが起こる樹脂分はb層しかなく、流動する樹脂の絶対量が従来のプリプレグよりも少なく、樹脂粉末の発生も少ない。そのため、b層が低粘度の樹脂であってもプリプレグ全体のフローアウトは従来のものよりも小さくなる。更に流動する樹脂の絶対量が少ないことにより、成形時の圧力や温度のバラツキが樹脂の流動性に与える影響も小さくなることから、本発明によるプリプレグは板厚精度と成形性の両方に優れ、かつ樹脂粉末の発生も低減される。
【0014】
本発明者による検討の結果、b層/a層の樹脂の割合は、0.05〜2.5の範囲内であれば、板厚精度と回路への埋め込みが良くなることを見出した。b層/a層の割合が2.5よりも多ければ成形後の板厚精度が従来と同じ程度で、樹脂粉末の発生量も従来と変わらず、改善の効果が不十分である。0.05よりも少なければ、樹脂の流れが不十分で、成形時プリプレグ相互及び銅箔との接着が不十分となりやすく、多層成形の場合回路間に完全に埋め込まれず、ボイドの残存や吸湿半田試験でのミズリングやフクレの発生が認められるようになる。
b層で使用できる熱硬化性樹脂としては、a層と同様にエポキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂であり、2種以上を混合して使用することもできる。樹脂粉末の発生を更に少なくするためには、b層の樹脂はエポキシ当量で900〜4000程度の末端2官能直鎖状エポキシ樹脂のような高分子の樹脂を含んでいるものが好ましい。必要に応じて硬化剤、硬化触媒、充填剤、界面活性剤、シランカップリング剤等の添加剤を加えることができる。また、a層と同じ組成の樹脂であっても、異なる組成の樹脂であってもよい。通常、溶剤に溶解したワニスの形で使用するが、用いられる溶剤は樹脂に対して良好な溶解性を示すことが望ましい。また、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用することもできる。また樹脂が粉砕等により微粉化が可能な場合、粉体としてa層に塗布することも可能である。
【0015】
本発明で得られるプリプレグは適当な長さに切断し、金属箔や内層回路板と重ね合わせて加熱加圧成形することにより、回路基板あるいは多層回路基板を得ることができる。また、プリプレグを長尺のまま巻き取り、銅箔、アルミニウム箔やニッケル箔等の金属箔や内層回路板に連続的にラミネートを行うことにより回路基板あるいは多層回路基板とすることができる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により説明する。
【0017】
実施例1
<エポキシ樹脂ワニスの調製>
エポキシ当量約450のビスフェノールA型エポキシ樹脂70重量部とエポキシ当量約190のフェノールノボラック型エポキシ樹脂30重量をメチルエチルケトン50重量部に溶解した。この溶液に、ジシアンジアミド3重量部と2−フェニル−4−メチルイミダゾール0.15重量部をジメチルホルムアミド20重量部に溶解した溶液を加え、攪拌混合した。この様にしてエポキシ樹脂ワニスを調製した。
【0018】
<プリプレグの作成>
ガラスクロス(厚さ0.10mm)をN,N−ジメチルホルムアミドに200秒間浸漬し、絞りロールで余剰の溶剤を除去した。続いて、このガラスクロスを上記のように調製したエポキシ樹脂ワニスに樹脂固形分がガラスクロス100重量部に対して65重量部になるように含浸し、170℃の乾燥炉中で3分間乾燥し、 a層が形成されたエポキシ樹脂含浸カラスクロスを作成した。次にこのエポキシ樹脂含浸ガラスクロスに、前記エポキシ樹脂ワニスを樹脂固形分がガラスクロス100重量部に対して45重量部になるよう塗布を行い、170℃の乾燥炉中で1.5分間乾燥し、b層を作成した。 a層とb層の樹脂の割合は、b層/a層で約0.7である。このようにしてa層とb層からなるプリプレグを作成した。
【0019】
参考例1
ガラスクロス(厚さ0.10mm)をメチルエチルケトンに200秒浸漬し、絞りロールで余剰の溶剤を除去した。続いて、上記のように調製したエポキシ樹脂ワニスを樹脂固形分がガラスクロス100重量部に対して65重量部になるように含浸し、110℃の乾燥炉中で30分間乾燥し、a層が形成されたエポキシ樹脂含浸ガラスクロスを作成した。以下、実施例1と同様にしてa層とb層からなるプリプレグを作成した。
【0020】
比較例1
実施例1と同様にしてエポキシ樹脂ワニスを調整した後、ガラスクロス(厚さ0.10mm)に1回のみ含浸を行って、樹脂固形分がガラスクロス100重量部に対して110量部になるようにした。次いで170℃1.5分間乾燥させ、プリプレグを作成した。
【0021】
比較例2
ガラスクロスにN,N−ジメチルホルムアミドを含浸する工程を省略したことを除いて、実施例1の方法を実施し、 a層とb層からなるプリプレグを作成した。
【0022】
比較例3
ガラスクロスにメチルエチルケトンを含浸する工程を省略したことを除いて、参考例1の方法を実施し、a層とb層からなるプリプレグを作成した。
【0023】
以上のようにして得られたプリプレグを用いて、以下に示す方法にて両面銅張積層板及び4層回路基板を作成し、その特性を評価した。
<プリプレグの樹脂粉末発生量評価>
プリプレグをカッターで100mm×100mmにカットし、10枚重ね合わせ、一定の高さから数回落下させて、樹脂粉末の発生量を測定した。
<積層板の成形>
前記プリプレグ1枚の上下に厚さ18μmの銅箔を重ねた。次いで圧力40kgf/cm2 、温度170℃で60分間加熱加圧成形を行い、絶縁層厚さ0.1mmの両面銅張積層板を得た。
<積層板の評価>
板厚精度と成形性は、サイズ500mm×500mmの両面銅張積層板をエッチングにより銅箔を除去したものについて測定した。
板厚精度は碁盤目状に測定点を36点設定し、厚みを測定した。この平均値と範囲を求め、板厚精度とした。
成形性は、サイズ500mm×500mmの基板について空隙ボイドの有無、その他異常は見られないか目視および光学顕微鏡により確認を行った。
18μm銅箔ピール強度は、JIS C 6481に準じて行った。
半田耐熱性の測定は、片面のみをエッチングし、50mm×50mmのサイズに切断後、121℃、2.0気圧のプレッシャークッカー条件で1時間および2時間の吸湿処理を行った。続いて、260℃半田槽に120秒浸漬した後、フクレ、ミーズリングの評価を目視および光学顕微鏡により確認を行った。
【0024】
<4層回路基板の作成>
内層板として厚さ0.8mmの両面銅張積層板の銅箔(厚さ35μm)の表面に酸化処理(黒化処理)を施し、その上下に前記プリプレグを各1枚重ね、更にその上下に18μmの銅箔を重ね、圧力40kgf/cm2 、温度170℃で120分間加熱加圧成形して4層回路基板を作成した。
<4層回路基板の評価>
板厚精度は、サイズ500mm×500mmの基板について碁盤目状に測定点を36点設定し、厚みを測定た。この平均値と範囲を求め、板厚精度とした。
成形性は、サイズ500mm×500mmの基板について空隙ボイドの有無、その他異常は見られないか目視および光学顕微鏡により確認を行った。
内層ピール強度は、この基板の内層黒化処理銅箔とプリプレグの界面におけるピール強度をJIS C 6481に準じて測定した。
半田耐熱性の測定は、片面のみをエッチングし、50mm×50mmのサイズに切断後、121℃、2.0気圧のプレッシャークッカー条件で1時間および2時間の吸湿処理を行った。続いて、260℃半田槽に2分浸漬した後、フクレ、ミーズリングの評価を目視および光学顕微鏡により確認を行った。
【0025】
【0026】
実施例1により得られたプリプレグは樹脂粉末の発生が少なく、板厚精度に優れ、かつ成形性良好である。比較例1は従来方法で作成されたプリプレグの例であり、樹脂粉末の発生が実施例の場合よりも多く、板厚精度が悪い。比較例2及び3は、初めに有機溶剤を含浸する工程がないため、成形性が悪く、積層板にはボイドが発生しており半田耐熱性も低下している。
【0027】
【発明の効果】
以上の結果からも明らかなように、本発明の方法により得られたプリプレグは、切断等において樹脂粉末の発生が少なく、かつ良好な成形性を維持しつつ、成形後の基板の板厚精度を向上することができる。
Claims (6)
- (1)N,N−ジメチルホルムアミドをガラス繊維基材に含浸する工程、続いて、(2)熱硬化性樹脂をガラス繊維基材に含浸し、140〜170℃で乾燥硬化する工程、次いで(3)この片側もしくは両側に熱硬化性樹脂を塗布し乾燥する工程を有することを特徴とするプリプレグの製造方法。
- 工程(1)において、その含浸時間が30〜420秒である請求項1記載のプリプレグの製造方法。
- 工程(2)において、熱硬化性樹脂の付着量がガラス繊維基材100重量部に対し40〜100重量部である請求項1、または2記載のプリプレグの製造方法。
- 工程(3)における熱硬化性樹脂の付着量が、工程(2)における熱硬化性樹脂の付着量100重量部に対して、5〜250重量部である請求項1乃至3のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
- ガラス繊維基材が開繊処理されている請求項1乃至4のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載のプリプレグを1枚又は2枚以上加熱成形することを特徴とする積層板の製造方法。
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