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JP4653393B2 - 光制御素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光制御素子に関する。
従来、光スイッチなどの光制御素子の構成に関しては、光の経路変換器の機構及び光の経路変換器に用いられる材料の点で様々な構成が提案されている。例えば、光が伝わる光チャネルに整合した屈折率を有する作動流体内に、その作動流体の屈折率とは異なる屈折率を有する光路変更液体を移動させることで、光チャネルの中を伝わる光の経路を変更する方法が開示されている(例えば、特開2002−221680号公報(特許文献1参照。)。また、永久磁石片からなる可動ミラーを、二つの電磁石の間に配置し、電磁石を作動させることで、可動ミラーを光導波路に出入りさせ、光導波路を通過する光の経路を変更する方法もまた開示されている(例えば、特開2002−122798号公報(特許文献2参照。)。また、基幹系の光伝送システムにおいては、Micro Electro−Mechanical System(MEMS)のようなマイクロマシン技術によって、ミクロンサイズのミラー又はシャッターを挿入して光の経路を変える方法が採用されている。これらの方法によれば、光スイッチを、簡単な装置又は素子を用いて形成することができると共に、光スイッチの消光比を大きくすることができるという利点がある。しかしながら、特開2002−221680号公報(特許文献1に開示される方法では、光路変更液体を移動させるために、熱式圧力発生装置を使用し、特開2002−122798号公報(特許文献2に開示される方法では、可動ミラーを移動させるために電磁石を使用している。このように、熱式圧力発生装置又は電磁石による機械的な物体の移動を用いているため、光スイッチのスイッチング速度を高めることは、困難である。
また、高速な応答を示す光制御素子として、ニオブ酸リチウムで形成された方向性結合器型の光制御素子又はマッハツェンダー型の光制御素子が、一般に製造されている。しかしながら、これらの光制御素子の素子長は、大きく、数cm程度である。よって、これらの光制御素子は、比較的大きい装置で構成してもよい基幹系又はメトロ系の光伝送システムには適用できるが、機器内のボード間における光伝送のような小型化が要求される光伝送に用いることは困難である。また、これらの光制御素子における光導波路には、ニオブ酸リチウムにチタンを拡散させて得られる、1%以下の小さい屈折率差を有する低屈折率差導波路を用いているために、シングルモードであっても導波路光の伝播領域が広くなる。このため、光制御素子に電界を印加する電極間距離が大きくなり、光制御素子を小型化すると共に光制御素子に印加する電圧を小さくすることが困難である。
上記の従来技術に対して、フォトニック結晶と呼ばれる、誘電率が光の波長程度で周期的に大きく変化する結晶を用いると、その誘電体周期構造によって光子の禁制帯であるフォトニックバンドギャップを形成し、また、その強い分散性によって特異な効果を示すため、光制御素子を小型化することができる。すなわち、フォトニック結晶を使用することで、例えば光経路変更機能を有する光スイッチ及び光強度変調器としての、極めて微小な光制御素子を形成することができる可能性がある。
フォトニック結晶を用いた光制御素子としては、スーパプリズム効果(例えば、PRL B,vol.58,p.10096,1998(非特許文献1参照。)を利用した光制御素子(例えば、特開2002−303836号公報(特許文献3参照。)が開示されている。このスーパプリズム効果は、フォトニック結晶の強い分散性であり、光のわずかな波長差で光の屈折角が大きく変化する現象である。図1は、特開2002−303836号公報(特許文献3に開示されるスーパプリズム効果を利用した光スイッチを示す。この光スイッチにおいては、光が、導波路を通じてフォトニック結晶の固有軸に対して斜めに入射すると、光は、電流注入前には、フォトニック結晶の分散性によってチャネル(CH)1の導波路へ出力されるが、電流注入によりフォトニック結晶を構成する媒質の屈折率を変化させると、光は、スーパプリズム効果によって光の偏向角が大きく変わり、チャネル(CH)2の導波路へ出力される。このような光制御素子は、フォトニック結晶を利用することで、非常に小型化することが可能である。なお、図1に示すフォトニック結晶には、線欠陥導波路は導入されていないが、上述のような光の波長に大きく依存した光の制御は、フォトニック結晶内に設けた線欠陥導波路においても実現することができる。
しかしながら、フォトニック結晶のスーパプリズム効果は、光の入射角度及び光の波長に極めて敏感であり、光の波長が、少しでも変化すると、光の偏向角が大きく変化してしまい、実際には、光の偏向角を高い精度で制御することが困難である。また、フォトニック結晶を射出する光のビームの広がりは、入射した光のビームよりも大きくなるので、フォトニック結晶で制御した光のビームの利用は、制限されてしまう。また、フォトニック結晶内に設けた線欠陥導波路においても同様に、利用するレーザの波長が、温度等で変動すると、フォトニック結晶内の線欠陥導波路に光を伝播させることができない場合もある。
また、ニオブ酸リチウム及びニオブ酸タンタルのような光学結晶は、他の材料と比較して大きい非線形光学定数を有し、広い波長範囲で透明性を有することため、これらの結晶は、波長変換素子、光変調素子、及び光演算素子のような導波路型又はバルク型の光制御素子に利用されている。しかしながら、これら光学結晶の非線形光学定数の絶対値は、小さいため、光の波長変換の効率を高めるためには、数cm程度の光学結晶の長さが必要になる。よって、これら光学結晶を用いて形成した光制御素子の大きさが、大きくなってしまう。また、光の波長の変動に対するこれら光学結晶の許容量も小さく、光の波長変動を抑制するためには、温度の調節が必要である。さらに、入射光の光軸に対するこれら光学結晶の位置の調整に関する許容値も小さい。よって、これら光学結晶を用いて形成した光制御素子は、非常に高価になってしまう。
特開2002−221680号公報 特開2002−122798号公報 特開2002−303836号公報 PRL B,vol.58,p.10096,1998
本発明は、光制御素子を提供することを目的とする。
本発明の第一の態様は、線欠陥導波路を有するフォトニック結晶及び発光素子を備えた光制御素子において、前記フォトニック結晶の少なくとも一部は、前記発光素子から発せられた光の波長を変換する非線形光学効果を有する材料で形成されると共に、前記発光素子から発せられた光の波長及び前記非線型光学効果によって変換された光の波長は、前記フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップに含まれる前記線欠陥導波路の伝播モードの波長であると共に、前記線欠陥導波路は、前記発光素子から発せられた光の波長を共振させると共に、前記非線型光学効果によって変換された光は、前記線欠陥導波路を伝播することを特徴とする光制御素子である。
本発明の第二の態様は、線欠陥導波路を有するフォトニック結晶及び発光素子を備えた光制御素子において、前記フォトニック結晶の少なくとも一部は、前記発光素子から発せられた光の波長を変換する非線形光学効果を有する材料で形成されると共に、前記発光素子から発せられた光の波長は、前記フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップに含まれる前記線欠陥導波路の伝播モードの波長であると共に、前記線欠陥導波路は、前記発光素子から発せられた光の波長を共振させると共に、前記非線型光学効果によって変換された光の波長は、前記フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップに含まれる前記線欠陥導波路の伝播モードの波長に含まれない波長であると共に、前記非線型光学効果によって変換された光は、前記線欠陥導波路の方向と異なる方向へ射出されることを特徴とする光制御素子である。
本発明の第三の態様は、線欠陥導波路を有するフォトニック結晶及び発光素子を備えた光制御素子において、前記フォトニック結晶の少なくとも一部は、前記発光素子から発せられた光の波長を変換する非線形光学効果を有する材料で形成されると共に、前記発光素子から発せられた光の波長は、前記フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップに含まれる前記線欠陥導波路の伝播モードの波長であると共に、前記線欠陥導波路は、前記発光素子から発せられた光の波長を共振させると共に、前記フォトニック結晶は、前記線欠陥導波路と異なる線欠陥導波路をさらに有し、前記非線型光学効果によって変換された光の波長は、前記フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップに含まれる前記線欠陥導波路と異なる線欠陥導波路の伝播モードの波長であると共に、前記線欠陥導波路と異なる線欠陥導波路は、前記非線型光学効果によって変換された光の波長を共振させることを特徴とする光制御素子である。
本発明の第一の態様、本発明の第二の態様、又は本発明の第三の態様によれば、光制御素子を提供することができる。
次に、本発明による光制御素子の実施の形態を図面と共に説明する。
まず、本発明の第一の実施形態による光制御素子を図2及び図3と共に説明する。本発明の第一の実施形態による光制御素子は、線欠陥導波路を有するフォトニック結晶及び発光素子を備え、前記線欠陥導波路は、前記発光素子から発せられた光の波長を共振させる光制御素子である。図2は、本発明の第一の実施形態による光制御素子を示す。図2に示す光制御素子は、発光素子としての端面型半導体レーザ10及び基板20に設けられたフォトニック結晶30を有し、フォトニック結晶30は、スラブ型フォトニック結晶であり、その内部に線欠陥導波路40を有する。端面型半導体レーザ10は、フォトニック結晶30の基板20と同じ基板に設けてもよく、フォトニック結晶30の基板20と異なる基板に設けてもよい。また、端面型半導体レーザ10などの発光素子から射出された光をフォトニック結晶30の線欠陥導波路40に結合させる光結合手段を設けてもよい。一方、端面型半導体レーザ10などの発光素子は、フォトニック結晶30の線欠陥導波路30の線欠陥導波路40に埋め込んでもよい。また、端面型半導体レーザ10のような面発光レーザの発光素子の部分をエッチングにより切り出して、発光素子の部分を線欠陥導波路に埋め込んでもよい。
フォトニック結晶30は、空孔又は柱のような周期構造50を三角配列に配置させている。フォトニック結晶30における空孔及び柱のような周期構造50を調整することで、光子の禁制体であるフォトニックバンドギャップを形成することができる。フォトニック結晶30の特性は、フォトニック結晶30の基材の誘電率と空孔及び柱のような周期構造50の誘電率との差、基材における周期構造50の配置、光の波長と周期構造50の大きさとの関係、隣接する周期構造の間の距離などによって決定される。よって、これらの要素のいずれかを変化させることでフォトニック結晶30の特性を変化させることができ、所望のフォトニックバンドギャプを有するフォトニック結晶30を提供することができる。なお、フォトニック結晶30及び線欠陥導波路40は、複数のフォトニックバンドギャップを形成して、レーザの波長を固定する部分と光を伝播させる部分とを分離するように設計してもよい。
また、図3(a)、(b)、及び(c)に示すように、空孔及び柱のような周期構造50のない部分を直線(列)状に設けることで、線欠陥導波路40を形成することができる。図3(a)は、空孔又は柱のような周期構造50の間に一列の欠陥を有するフォトニック結晶30を示す。図3(b)は、空孔又は柱のような周期構造50の間に設けられた一列の欠陥の幅を変化させた(減少させた)フォトニック結晶30を示す。図3(c)は、空孔及び柱のような第一の周期構造51に加えて、第一の周期構造51と異なる第二の周期構造52を設けたフォトニック結晶30を示す。このように、空孔及び柱のような周期構造50の形態を変ること、及び/又は、複数の異なる形態の空孔又は柱のような周期構造50を設けることにより、フォトニック結晶30の線欠陥導波路40を形成することができる。線欠陥導波路40が、フォトニック結晶30における欠陥の存在しない部分によって形成されたフォトニックバンドギャップに含まれる(波長などの)伝播モードを有するように、これらの線欠陥導波路40を形成することができる。
このようにして形成されたフォトニック結晶30の線欠陥導波路40は、そのQ値(=光の周波数×共振器に蓄えられた場のエネルギー/共振器から散逸するパワー)が非常に高いため、端面型半導体レーザ10からのレーザ光の波長をモードロックすることができる共振器となり得る。ここで、フォトニック結晶30の線欠陥導波路40における光の群速度の遅延及び光の異常分散等を利用するためには、線欠陥導波路40を伝播する光の波長を固定することが好ましく、フォトニック結晶30の線欠陥導波路40は、光の波長を容易に固定することができる。すなわち、線欠陥導波路40は、端面型半導体レーザ10からのレーザ光の波長を、線欠陥導波路40を伝播する光の波長に自己整合的に固定することができる。特に、端面型半導体レーザ10のような発光素子が、フォトニック結晶30の外部に設けられるときには、フォトニック結晶30の線欠陥導波路40は、発光素子の外部共振器となり、フォトニック結晶から射出される光の波長を固定することができる。よって、端面型半導体レーザ10からのレーザ光を、フォトニック結晶30の線欠陥導波路40に高い効率で結合させると共に伝播させることができる。また、フォトニック結晶30の線欠陥構造40は、光を線欠陥構造40の微小空間に閉じ込めるので、その光を共振させる効率を大きく向上させることができる。
本発明の第一の実施形態による光制御素子は、フォトニック結晶30の線欠陥導波路40を伝播する光の波長を安定化させると共にフォトニック結晶30の線欠陥導波路40を伝播する光の透過率を向上させることができる。
光制御素子におけるフォトニック結晶30は、例えば、リソグラフィー及びエッチングの技術を使用して、光の波長程度の厚さを有する屈折率3の半導体薄膜に二次元の円形の空気孔を形成することで、製造することができる。この空気孔は、必ずしも円形である必要はなく、方形及び多角形の空気孔であってもよい。具体的には、このフォトニック結晶30は、量子井戸又は歪量子井戸が形成されたInP基板又はGaAs基板の薄膜の一部を選択エッチングにより空気に露出させることによって、形成することができる。また、フォトニック結晶30は、屈折率1.45のSiO上に形成された波長程度の厚さのSi薄膜であるSOI(Silicon On Insulator)基板を用いても形成することができる。SOI基板は、電子回路用に開発されたため、結晶の品質及びコストの点できわめて利用価値が高い。薄膜の厚さ方向では、半導体と半導体に形成された空気孔との界面における全反射によって光が閉じ込められるが、薄膜の面に沿った方向では、半導体に形成された空気孔の周期構造に依存した二次元フォトニック結晶の特性を利用することができる。このようなスラブ型二次元フォトニック結晶30に、光導波路を接続することで、本発明の第一の実施形態による光制御素子を形成することができる。
また、このようなフォトニック結晶30は、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸チタン、及びKTP(リン酸チタニルカリウム)のような無機結晶若しくはPZT及びPZLTのようなセラミックスで形成された薄膜を、低屈折率の媒質上に、又は空気を境界とするエアーブリッジ構造に形成することによっても、製造することができる。さらに、ネマチック構造若しくはスメクチック構造を有する液晶、又はアゾ色素、スチルベンゼン色素、及びダストのような有機分子若しくは有機結晶の薄膜を、低誘電体層上に形成することによってもフォトニック結晶30を形成することができる。
フォトニック結晶30は、三次元フォトニック結晶であってもよい。例えば、ストライプ状の半導体に有機材料を導入して屈折率の周期構造を形成したものを積層することで、三次元フォトニック結晶を製造することができる。
次に、本発明の第二の実施形態による光制御素子を説明する。本発明の第二の実施形態による光制御素子は、線欠陥導波路を有するフォトニック結晶及び発光素子を備え、線欠陥導波路は、発光素子から発せられた光の波長を共振させ、フォトニック結晶の少なくとも一部は、電気光学効果を有する材料で形成される光制御素子である。
フォトニックバンドギャップを有するフォトニック結晶において、フォトニック結晶の基材の屈折率及び/又は空孔及び柱のような周期構造の屈折率を変化させると、フォトニック結晶のフォトニックバンドを変化させることができる。このように、フォトニック結晶の材料の屈折率を変化させると、フォトニック結晶の線欠陥導波路における光の透過率が変化する。例えば、ある一定の波長を有する光に対して、フォトニック結晶の材料の屈折率を変化させる前には、その光は、フォトニック結晶の線欠陥導波路を伝播するが、フォトニック結晶の材料の屈折率を変化させた後には、その光は、フォトニック結晶の線欠陥導波路を伝播しない。また、フォトニック結晶の材料の屈折率を変化させると、フォトニック結晶の線欠陥導波路を伝播する光の位相を変調することができ、よって、フォトニック結晶の線欠陥導波路を伝播する光の強度を変調することができる。
ここで、フォトニック結晶の材料の屈折率を、電気光学効果、熱光学効果、半導体薄膜のキャリアプラズマ効果、及び光カー効果などを用いて変化させることができる。すなわち、フォトニック結晶の少なくとも一部の材料を、電気光学効果、熱光学効果、半導体薄膜のキャリアプラズマ効果、及び光カー効果などを有する材料で形成すれば、フォトニック結晶の材料の屈折率を変化させることができる。本発明の第二の実施形態による光制御素子においては、フォトニック結晶の少なくとも一部を、電気光学効果を有する材料で形成している。
フォトニック結晶の線欠陥導波路を、電気光学効果を有する材料で形成するときには、フォトニック結晶の線欠陥導波路のような光が閉じこめられる微小空間に、微小電極を配置することになるため、微小電極の間隔を減少させることができる。その結果、屈折率変調器を有する、より小型の光制御素子を提供することができる。
また、線欠陥導波路の周囲に配置された微小電極の間隔が小さいため、線欠陥導波路に沿った単位長さ当たりの屈折率を、より低電圧で変化させることができ、その結果、光制御素子の消費電力を低下させることができる。
さらに、フォトニック結晶の少なくとも一部の材料が、電気光学効果を有する材料であるため、フォトニック結晶の材料の屈折率を高速に変化させることができる。これにより、光制御素子を高速で駆動させることができる。
このようなフォトニック結晶の少なくとも一部を、電気光学効果を有する材料で形成した光制御素子において、フォトニック結晶の材料の屈折率を変化させた場合におけるフォトニックバンドギャップの変化について、フォトニックバンド解析に基づくシミュレーションを行った。図4は、フォトニック結晶の材料の屈折率を変化させた場合におけるフォトニックバンドギャップの変化について、フォトニックバンド解析の手法一つである平面波展開法による計算結果を示す。
ここで、シミュレーションに用いた光制御素子のモデルのフォトニック結晶は、屈折率3.5の基材、及び基材中に三角格子に配列した円孔を有し、その円孔の内部には屈折率1.4又は1.6の媒質が埋め込まれている。実際に、このようなフォトニック結晶を、半導体の基材に設けた円孔に液晶を充填することによって形成することができる。なお、隣接する円孔間の距離ピッチa及び円孔の半径rは、r=0.90aの関係を有する。また、線欠陥導波路の部分は、省略した。シミュレーションは、フォトニック結晶の二次元解析として行われ、基材の面内に電界が存在する電気的横波(Transverse Electric)(TE)モードの光に関するフォトニックバンドを計算した。シミュレーションの結果を図4に示す。図4(a)は、円孔に屈折率1.4の媒質を埋め込んだフォトニック結晶のバンド図であり、図4(b)は、円孔に屈折率1.6の媒質を埋め込んだフォトニック結晶のバンド図である。図4(a)及び図4(b)において、横軸は、Γ−X−J−Γ方向における波数であり、縦軸は、光の規格化周波数である。
図4(a)及び図4(b)におけるバンド図の斜線で表した部分が、フォトニックバンドギャップであり、二次元面内のあらゆる方向の波数に対して、光の伝播が禁止されている光の規格化周波数の領域である。図4(b)に示す円孔に屈折率1.6の媒質を埋め込んだフォトニック結晶のフォトニックバンドギャップの規格化周波数は、図4(a)に示す円孔に屈折率1.4の媒質を埋め込んだフォトニック結晶のフォトニックバンドギャップの規格化周波数よりも低い周波数へシフトしている。図4(a)及び図4(b)より、規格化周波数0.35の光は、円孔に屈折率1.4の媒質を埋め込んだフォトニック結晶のフォトニックバンドギャップに含まれるため、フォトニック結晶(の線欠陥導波路以外の部分)を伝播しないが、円孔に屈折率1.6の媒質を埋め込んだフォトニック結晶のフォトニックバンドギャップには含まれないため、フォトニック結晶(の線欠陥導波路以外の部分)を伝播する。このように、フォトニック結晶に形成された周期構造の屈折率を変化させることによって、フォトニック結晶内の光の伝播を制御することができる。
フォトニック結晶に形成された周期構造の屈折率が変化させることで、フォトニック結晶内の光の伝播、すなわち透過を制御することができることを、時間領域差分法(Finite Difference Time Domain Method)(FDTD) を用いたシミュレーションによって確認した。上述したフォトニック結晶のモデルにおいて、光の波長を1.3μm、円孔のピッチaを0.44μm、円孔の半径rを0.198μm(2r=0.9a)に設定した。また、フォトニック結晶における周期構造を有する部分を10層とし、このフォトニック結晶は、厚さ4μmの極めて薄い層を有する。ここで、Γ−X方向に平面波の光を入射させた場合に、フォトニック結晶の入射側におけるパワーとフォトニック結晶の射出側における光のパワーとの比から算出した、フォトニック結晶に対する光の透過率を図5に示す。図5に示すように、波長1.3μmの光を上述したフォトニック結晶に入射させた場合に、フォトニック結晶の周期構造の屈折率を変化させることによって、フォトニック結晶の透過率の変化は、35dB以上になる。この結果は、フォトニック結晶に対する光の透過の制御に関して十分な消光比を与え、30dB以上の消光比が、50nmの広い波長の範囲で得られる。十分な消光比が得られる波長の範囲が広いと、端面型半導体レーザ10のような発光素子の発熱などに起因する発振波長の変動を高精度に制御する必要がないという利点がある。
次に、本発明の第三の実施形態による光制御素子を図6と共に説明する。本発明の第三の実施形態による光制御素子は、線欠陥導波路を有するフォトニック結晶及び発光素子を備え、線欠陥導波路は、発光素子から発せられた光の波長を共振させ、フォトニック結晶の少なくとも一部が、発光素子から発せられた光の波長を変換する非線形光学効果を有する材料で形成された光制御素子である。図6は、本発明の第三の実施形態による光制御素子を示す。図6に示すように、発光素子としての端面型半導体レーザ10及び基板20に設けられたスラブ型のフォトニック結晶30を有し、フォトニック結晶30は、その内部に線欠陥導波路40を有し、フォトニック結晶30の少なくとも一部が、発光素子から発せられた光の波長を変換する非線形光学効果を有する材料で形成されている。
従来、非線形光学材料の非線形光学効果を効率良く利用するときには、非線形光学効果の波長依存性が高いため、非線形光学材料の温度を調節すると同時に非線形光学材料に入射する光の波長を制御すること、及びその入射角を厳密に調整することが必要であった。しかしながら、本発明の第三の実施形態による光制御素子においては、フォトニック結晶30の少なくとも一部に非線形光学材料を用いている。フォトニック結晶30の線欠陥導波路40は、外部共振器として作用して、フォトニック結晶30の線欠陥導波路40で共振する光の波長を自己整合的に固定し、その波長の光が、フォトニック結晶30の線欠陥導波路40を伝播する。このため、フォトニック結晶30の線欠陥導波路40で共振する光の波長が、フォトニック結晶30に含まれる非線形光学材料の非線形光学効果に最適な波長であるように、フォトニック結晶30を設計すれば、光の波長を固定する特殊な制御なしに、発光素子から発せられた光の波長を、非線形光学効果に最適な波長に自己整合的に固定させることができる。従って、本発明の第三の実施形態による光制御素子においては、非線形光学材料の非線形光学効果を安定して効率良く利用できるようになる。
また、本発明の第三の実施形態による光制御素子においては、フォトニック結晶30の線欠陥導波路40に入射する光を利用することにより、外部共振器としてのフォトニック結晶30のQ値を大きくすることができるので、高い効率及び低いしきい値でレーザ光を発振させ、高出力のレーザ光を得ることができ、非線形光学効果を高い効率で利用することができる。
さらに、フォトニック結晶30の線欠陥導波40が非常に狭いので、フォトニック結晶30の線欠陥導波40を伝播する光を微小空間に閉じこめ、その光の電界密度を大きくすることができ、非線形光学効果を高めることができる。また、波長変換器を有する、より小型の光制御素子を提供することができる。
加えて、線欠陥導波路40は、線欠陥導波路40を伝播する光の群速度を遅延させる(規格化周波数の変化が小さくする)ことができるので、実効的な非線形光学定数を大きくすることができ、非線形光学効果をさらに高い効率で利用することができる。
このように、本発明の第三の実施形態による光制御素子においては、端面型半導体レーザ10から発せられた光の波長を、非線形光学効果により変換し、非線形光学効果により変換された波長の光を、共振器としてのフォトニック結晶30の線欠陥導波路40に伝播させて、エネルギー密度の高い波長変換された光を得ることができる。
なお、非線形光学材料の非線形光学効果は、図6に示す第二高調波発生(SHG)、第3高調波発生、第4高調波発生、及び4光波混合効果等を含む。よって、本発明の第三の実施形態による光制御素子を、上記の非線形光学効果を用いた、光強度変調器、光路変換器、及び光位相変調器として利用することができ、光スイッチのみならず、効率の高い小型のDUMUX及び光ルーティング素子を実現できる。
上述した第二の実施形態及び/又は第三の実施形態における光制御素子は、例えば半導体基板及び液晶を用いて製造することができる。すなわち、GaAs又はSi基板にフォトリソグラフィー及びエッチングによって1μm以下の微小円孔を製作し、製作された円孔部分に液晶を注入することで、フォトニック結晶を形成することができる。ここで、ネマチック液晶に代表される液晶の多くは、電界の印加によって変化する屈折率異方性を示し、その屈折率の変化は、0.2程度である。また、スラブ型フォトニック結晶においては、フォトニック結晶の線欠陥導波路を挟む方向に光を閉じ込めることができる。このような薄膜のスラブ型フォトニック結晶は、SOI基板を用いて形成することができる。スラブ型フォトニック結晶の線欠陥導波路の厚さは、好ましくは、1μm以下であり、より好ましくは、線欠陥導波路を光が単一のモードで伝搬するような厚さである。このようにして、微小円孔内の屈折率を変化させることが可能なフォトニック結晶を形成することができる。
一方、SOI基板上にSiの円柱を形成して、Siの円柱の周囲を液晶で埋めて、光導波路を有機材料で形成してもよい。このとき、高誘電率材料であるSiの円柱が、低誘電率の液晶で囲まれるが、設計値を最適化することで、フォトニック結晶に電気光学効果及び非線形光学効果を与えることができる。このようにして、屈折率の低い光導波路を形成することができるため、フォトニック結晶の線欠陥導波路に光ファイバなどの光結合手段を比較的容易に結合させることができる。
また、上述した第二の実施形態及び/又は第三の実施形態における光制御素子は、以下のように製造することもできる。ニオブ酸リチウム(LN)のZ軸カット結晶で形成された基板の表面を、メタルマスクを介してCF系ガスでドライエッチングする。このドライエッチングにより、1μmの深さの微細孔を表面に有する基板が得られる。次に、熱酸化シリコン膜付きシリコン基板と上述の表面に微細孔を有するLN基板とを張り合わせて、両方の酸化物の膜を接合させる。次に、LN基板の裏面を、機械研磨、CMP研磨、又はイオン研磨して、LN基板の厚さを1μmまで減少させ、微細孔を貫通させる。なお、微細孔に予めシリコン酸化物、シリコン窒化膜、又は高分子膜を充填しておくことで、研磨による微細孔の破損を減少させることができる。次に、レジストマスクを用いてシリコン酸化膜及び微細孔の充填物質をウエットエッチングにより部分的に除去して、エアギャップ・スラブ型LNフォトニック結晶を製造することができる。
なお、LN基板の微細孔又は微細孔付近の上下部分に電極を予め設けておくと、微小空間に強電界を印加することができる。また、シリコン基板上に電気駆動素子を設けて、エレクトロフォレシスによりLN基板上の電極とシリコン基板上の電気駆動素子とを電気的に接続し、複合基板による電気駆動素子一体型の光制御素子を製造することもできる。ニオブ酸リチウムの代わりに、ニオブ酸チタン、KTP、SBN(SrBaNb複合酸化物)、及びチタン酸バリウム等の無機結晶、高い屈折率の有機材料、又はPZT、PZLT、及びチタン酸バリウムのような無機セラミックスの基板に、ドライエッチングによって、同様に微細孔を製造してもよい。また、シリコン基板の代わりに、LN基板、MgOドープLN基板、GaAs基板、又はその他の基板を用いてもよい。
さらに、これらのLN基板から製造したフォトニック結晶の一部に、プロトン拡散又はチタン拡散によって導波路を形成してもよく、ダイシング又はドライエッチングによるリッジ型又は埋め込み型の導波路を設けてもよい。さらに、複数のフォトニック結晶の層を積層させて、多層のスラブ型導波路又は三次元導波路を形成してもよい。
なお、LN若しくはPZTの薄膜、又はフォトニック結晶の薄膜の材料は、結晶に限定されず、ゾルゲル法を用いた前駆体及びその前駆体をドライエッチングして得られるものであってもよい。また、シリコン基板上にドライエッチングにより形成した微細孔に液晶を充填してもよい。フォトニック結晶は、液晶の配向を基板に対して垂直な方向とし、横方向の電界を印加するように製造した液晶フォトニック結晶であってもよい。さらに、LN基板のような電気光学効果を有する基板に液晶を部分的に充填して、非線形光学効果に加えて電気光学効果を有するフォトニック結晶を形成してもよい。
次に、本発明の第四の実施形態による光制御素子を図7と共に説明する。本発明の第四の実施形態による光制御素子は、線欠陥導波路を有するフォトニック結晶及び発光素子を備え、線欠陥導波路は、発光素子から発せられた光の波長を共振させ、フォトニック結晶30の少なくとも一部が、発光素子から発せられた光の波長を変換する非線形光学効果を有する材料で形成されており、発光素子から発せられた光の波長及び非線型光学効果によって変換された光の波長は、フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップに含まれる光制御素子である。図7は、本発明の第四の実施形態による光制御素子を示す。図7に示すように、発光素子としての端面型半導体レーザ10及び基板20に設けられたスラブ型のフォトニック結晶30を有し、フォトニック結晶30は、端面型半導体レーザ10から射出された光の波長に対して最適化された非線形光学材料で形成されている。また、フォトニック結晶30は、第一の周期構造(空孔又は柱)51及び第二の周期構造(空孔又は柱)52によって形成された線欠陥導波路40を有する。
本発明の第四の実施形態による光制御素子におけるフォトニック結晶30は、複数の高次の伝播モードを含むフォトニックバンドギャップを有する。その結果、フォトニック結晶30の線欠陥導波路40を伝播することができる光の波長帯域を拡大することができる。このため、フォトニック結晶30の上部からシグナル光を線欠陥導波路40に入射することにより、光波を混合して、線欠陥導波路40を伝播する光の波長を、10%以内で変換させることができるが、非線形光学効果によって波長変換される前の光と、非線形光学効果によって波長変換された光とが、フォトニック結晶30のフォトニックバンドギャップ内の伝播モードに含まれるように、フォトニック結晶30を構成することができる。すなわち、フォトニック結晶30の第一の周期構造(空孔又は柱)51によって、端面型半導体レーザ10から発せられた非線形光学効果によって波長変換される前の光を閉じ込め、フォトニック結晶30の第二の周期構造(空孔又は柱)52によって、非線形光学効果によって波長変換された光を閉じ込めることができる。このようにして、非線形光学効果によって波長変換された光もまた非常に高密度に得ることができる。なお、シグナル光のフォトニック結晶への入射は、フォトニック結晶の上部からの入射に限定されない。フォトニック結晶30に形成された周期構造は、上記の第一の周期構造51と第二の周期構造52との組み合わせに限定されず、単純な線欠陥導波路であってもよく、複数の径の異なる空孔又は柱又はその他の周期構造であってもよい。また、フォトニック結晶30に第一の線欠陥導波路に交差した第二の線欠陥導波路を設けて、その第二の線欠陥導波路からシグナル光を入射させてもよく、第一の線欠陥導波路に近接配置した第二の線欠陥導波路を設けて、第一の線欠陥導波路を伝播する光と第二の線欠陥導波路を伝播する光を共振させてもよい。
このように、本発明の第四の実施形態による光制御素子によれば、非線型光学効果によって波長変換される前の光の波長及び非線型光学効果によって波長変換された後の光の波長を含む、異なる複数の波長の伝播モードが、フォトニック結晶30のフォトニックバンドギャップに含まれるので、非線型光学効果によって波長変換された光を、線欠陥導波路に沿って効率良く伝播させることができる。すなわち、発光素子から発せられた光の波長を効率良く変換することができると同時に、波長変換された光の進行方向を線欠陥導波路に沿った方向に制御することができる。
次に、本発明の第五の実施形態による光制御素子を説明する。本発明の第五の実施形態による光制御素子は、線欠陥導波路を有するフォトニック結晶及び発光素子を備え、線欠陥導波路は、発光素子から発せられた光の波長を共振させ、フォトニック結晶の少なくとも一部が、発光素子から発せられた光の波長を変換する非線形光学効果を有する材料で形成されており、フォトニックバンドギャップは、複数のフォトニックバンドギャップを有し、非線形光学効果によって変換された後の光の波長が含まれるフォトニックバンドギャップと非線形光学効果によって変換される前の光の波長が含まれるフォトニックバンドギャップとは異なる、光制御素子である。
具体的には、発光素子としての端面型半導体レーザ及び基板に設けられたスラブ型のフォトニック結晶を有し、フォトニック結晶は、端面型半導体レーザから射出された光の波長に対して最適化された非線形光学材料で形成されている。また、フォトニック結晶は、第一の周期構造(空孔又は柱)及び第二の周期構造(空孔又は柱)によって形成された線欠陥導波路を有する。これにより、フォトニック結晶は、複数のフォトニックバンドギャップを有し、非線形光学効果によって変換された後の光の波長が含まれるフォトニックバンドギャップと非線形光学効果によって変換される前の光の波長が含まれるフォトニックバンドギャップとは異なっている。すなわち、非線形光学効果によって変換された後の光の波長が含まれるフォトニックバンドギャップと非線形光学効果によって変換される前の光の波長を含む、複数の異なる波長の伝播モードが、それぞれ、異なるフォトニックバンドギャップに属すると共に、同一の線欠陥導波路を形成する。これらのフォトニックバンドギャップが、それぞれ、少なくとも一つの伝播モードを含むように、フォトニック結晶を構成し、これらの複数の伝播モードを用いて、複数の波長の光を、同一の線欠陥導波路を介して伝播させることができる。
例えば、発光素子から発せられた光の波長を、SHGにより二分の一の波長に変換した場合には、元の波長、及び二分の一の波長を両方とも同一のフォトニックバンドギャップ内に包含する、広いフォトニックバンドギャップを得るように、フォトニック結晶を構成することは、非常に困難である。しかしながら、本発明の第五の実施形態による光制御素子においては、非常に異なる二つの波長の光を、同一の線欠陥導波路構造に同時に伝播することができる。このように、発明の第五の実施形態による光制御素子によれば、発光素子から発せられた光の波長と非線型光学効果によって波長変換された光の波長とが大きく異なる場合でも、非線型光学効果によって波長変換された光を、線欠陥導波路に沿った方向に効率良く伝播させることが可能な光制御素子を低コストで簡単に提供することができる。
次に、本発明の第六の実施形態による光制御素子を説明する。本発明の第六の実施形態による光制御素子は、線欠陥導波路を有するフォトニック結晶及び発光素子を備え、線欠陥導波路は、発光素子から発せられた光の波長を共振させ、フォトニック結晶の少なくとも一部が、発光素子から発せられた光の波長を変換する非線形光学効果を有する材料で形成されており、非線型光学効果によって変換された光は、線欠陥導波路の方向と異なる方向へ射出される光制御素子である。
図8は、本発明の第六の実施形態による光制御素子を示す。図8に示すように、本発明の第六の実施形態による光制御素子は、発光素子としての端面型半導体レーザ10及び基板20に設けられたスラブ型のフォトニック結晶30を有し、フォトニック結晶30は、その内部に線欠陥導波路40を有し、端面型半導体レーザ10から射出された光の波長に対して最適化された非線形光学材料で形成され、非線型光学効果によって変換された光が、線欠陥導波路40の方向と異なる方向へ射出されるように形成されている。
図8に示す光制御装置においては、端面型半導体レーザ10から射出された光は、フォトニック結晶30の線欠陥導波路40に閉じ込められるが、高調波発生のような非線型光学効果によって波長変換された光は、フォトニック結晶30の線欠陥導波路40に閉じ込められない。この波長変換された光は、指向性を有し、フォトニック結晶30の線欠陥導波路40以外の部分を伝播する。このように、波長変換された光の透過率は、フォトニック結晶30の特定方向で高くなっている。つまり、フォトニック結晶30は、波長変換された光の光軸が特定方向に方向付けられるように、最適化されている。
よって、本発明による第六の実施形態の光制御素子によれば、非線型光学効果によって波長変換された光を、線欠陥導波路の方向と異なる方向に効率良く伝播させることができる。また、本発明による第六の実施形態の光制御素子においては、波長変換した光の進行方向を効率良く制御することができ、光制御素子の製造方法をより簡単にして、製造コストを下げることができる。
次に、本発明の第七の実施形態による光制御素子を説明する。本発明の第七の実施形態による光制御素子は、線欠陥導波路を有するフォトニック結晶及び発光素子を備え、線欠陥導波路は、発光素子から発せられた光の波長を共振させ、フォトニック結晶は、線欠陥導波路と異なる線欠陥導波路をさらに有し、フォトニック結晶の少なくとも一部は、発光素子から発せられた光の波長を変換する非線形光学効果を有する材料で形成され、線欠陥導波路と異なる線欠陥導波路は、非線型光学効果によって変換された光の波長を共振させる光制御素子である。図9は、本発明による光制御素子の第七の実施形態を示す。
図9に示すように、発光素子としての端面型半導体レーザ10及び基板20に設けられたスラブ型のフォトニック結晶30を有し、フォトニック結晶30は、端面型半導体レーザ10から射出された光の波長に対して最適化された非線形光学材料で形成され、その基材に第一の周期構造51及び第二の周期構造52を有し、第一の線欠陥導波路41及び第二の線欠陥導波路42を有している。このようなフォトニック結晶30においては、第一の線欠陥導波路41は、端面型半導体レーザ10から射出された光を伝播させ、第二の線欠陥導波路42は、非線形光学材料の非線形光学効果によって変換された光を伝播させる。これにより、端面型半導体レーザ10から射出された光と、非線形光学材料の非線形光学効果によって変換された光とを、それぞれ、第一の線欠陥導波路41及び第二の線欠陥導波路42に高密度に閉じ込めて、高い効率でそれらの光を結合させるか、又は分離することができる。好ましくは、フォトニック結晶30が、二つの線欠陥導波路41、42を有する場合には、これら二つの線欠陥導波路41、42は、平行である。さらに、フォトニック結晶30に一つ以上の線欠陥導波路及び/又は点欠陥導波路を追加して、線欠陥導波路41、42と共振させることによって、平行シフト位置を変動させてもよい。なお、第二の線欠陥導波路42の代わりに、点欠陥導波路を設けて、非線形光学効果によって変換された光を、点欠陥導波路へ強制的に共振させて、この点欠陥導波路から波長変換された光を取り出すこともできる。
このような光制御素子は、異なる複数の線欠陥導波路を伝播する光の複数の伝播モードを用いているので、発光素子から発せられた光及び非線形光学効果によって波長変換された光を効率良く制御することができ、発光素子から発せられた光の波長と非線型光学効果によって波長変換された光の波長のクロストークを低減させることができ、光制御素子を低コストで簡単に製造することができる。
次に、本発明の第八の実施形態による光制御素子を説明する。本発明の第八の実施形態による光制御素子は、線欠陥導波路を有するフォトニック結晶及び発光素子を備え、線欠陥導波路は、発光素子から発せられた光の波長を共振させ、フォトニック結晶は、線欠陥導波路と異なる線欠陥導波路をさらに有し、フォトニック結晶の少なくとも一部は、発光素子から発せられた光の波長を変換する非線形光学効果を有する材料で形成され、フォトニック結晶は、発光素子から発せられた光の位相と非線型光学効果によって変換された光の位相とを整合させる擬似位相整合構造を有する光制御素子である。
図10(a)は、本発明による光制御素子の第八の実施形態を示す。図10(a)に示すように、発光素子としての端面型半導体レーザ10及び基板20に設けられたスラブ型のフォトニック結晶30を有し、フォトニック結晶30は、端面型半導体レーザ10から射出された光の波長に対して最適化された非線形光学材料で形成され、フォトニック結晶30は、発光素子としての端面型半導体レーザ10から発せられた光の位相と非線型光学効果によって変換された光の位相とを整合させる擬似位相整合構造60を有する。この擬似位相整合構造60は、図10(b)に示すように強電解のパルス印加によって微細な結晶軸の分極反転処理を施す(矢印は、擬似位相整合構造60を構成する結晶軸の分極を表す。)ことによって得られた導波路であり、フォトニック結晶30の線欠陥導波路40又はそれに隣接する部分に設けられている。擬似位相整合構造60によれば、発光素子としての端面型半導体レーザ10から発せられた光の波長と非線形光学効果により変換された光の波長との位相屈折率分散による光の位相の不整合を解消することがきる。よって、非線形光学効果による光の波長を、より高い効率で、短い距離で変換することができる。このような擬似位相整合構造60としては、分極反転構造であってもよく、分極構造が周期的に存在しない擬似分極反転構造であってもよい。また、線欠陥導波路40を伝播する光の波長以下の長さに対応する周期の反結合分極反転構造であっても同様に非線形効果を高めることができる。より具体的には、LN基板、LT基板、又はKTP基板に対して分極反転処理を施して得られた擬似位相整合構造60を設けて、この擬似位相整合構造60と、屈折率変調部分及び/又は非線形光学効果と組み合わせることもできる。また、線欠陥導波路40により、光の群速度を低下させて、実効的な非線形光学定数を大きくすることができる。
擬似位相整合構造60によれば、非線形光学効果による特定のSHG光、4光波混合光、又は元の入力光のみを、微小領域において選択的に反射又は透過させ、光の経路を変更することができる。擬似位相整合構造60は、反結合擬似位相整合を利用するものであってもよい。また、フォトニック結晶30の構造を調整して非線形励起構造にすることによって、擬似位相整合構造60を必要とせず、端面型半導体レーザ10から発せられた光の位相速度と非線形光学効果により変換された光の位相速度を一致又は変化させてもよい。また、フォトニック結晶30の構造は、線欠陥導波路40を伝播する光に位相速度の変化を与える擬似位相整合構造にしてもよい。
また、上述したように、フォトニック結晶30の空孔若しくは柱構造又は基板に垂直に形成された構造によって提供される空隙を有する構造によって、電極間の電圧印加部分又はイオン拡散による分極反転処理部分が分離されるので、微細なピッチの擬似位相整合構造60を設けることができる。さらに、フォトニック結晶30の空孔若しくは柱構造又は基板に垂直に形成された構造に溝を設け、空孔及び柱などの構造に設けた電極に電圧を印加することで、互いに分離されたこれらの構造を得ることもできる。
このように、本発明の第八の実施形態による光制御素子は、発光素子から発せられた光の波長を、非線型光学効果によって、線欠陥導波路におけるより短い間隔で効率良く変換することが可能な光制御素子を提供することができる。また、フォトニック結晶の線欠陥導波路に擬似位相整合構造を設けているので、線欠陥導波路を伝播する光の位相整合が可能となり、利用波長制限を広げることができる。
次に、本発明の第九の実施形態による光制御素子を説明する。本発明の第九の実施形態による光制御素子は、線欠陥導波路を有するフォトニック結晶及び発光素子を備え、線欠陥導波路は、発光素子から発せられた光の波長を共振させ、フォトニック結晶は、線欠陥導波路と異なる線欠陥導波路をさらに有し、フォトニック結晶の少なくとも一部は、発光素子から発せられた光の波長を変換する非線形光学効果を有する材料で形成され、発光素子から発せられた光の位相速度は、非線型光学効果によって変換された光の位相速度と一致する光制御素子である。
図11(a)は、本発明の第九の実施形態による光制御素子を示す。図11(a)に示すように、発光素子としての端面型半導体レーザ10及び基板20に設けられたスラブ型のフォトニック結晶30を有し、フォトニック結晶30は、端面型半導体レーザ10から射出された光の波長に対して最適化された非線形光学材料で形成され、フォトニック結晶30は、発光素子としての端面型半導体レーザ10から発せられた光の位相速度と、非線型光学効果によって変換された光の位相速度とが一致するように構成されている。このため、光制御素子は、フォトニック結晶30の線欠陥導波路40に擬似位相整合構造60を用いないで、非常に高い効率で非線形効果を生じさせることができる。例えば、図11(b)に示すように、発光素子としての端面型半導体レーザ10から発せられた光の位相速度と、第二高調波発生による光の位相速度との一致を示し、発光素子からの光の波の節と第二高調波の節との一致を示す。なお、フォトニック結晶30の微細構造を調整することにより、フォトニック結晶30の線欠陥導波路40を伝播する光を制御することが可能である。すなわち、フォトニック結晶30の微細構造を有する材料の波長に対する分散を選択することによって、又は、異なる分散を有する複数の材料を組み合わせることによって、その特定の波長に対して色消処理をして、光の位相速度を一致させることができる。
このように、本発明の第九の実施形態による光制御素子は、フォトニック結晶の構成及び材料を調整することによって、二つ以上の異なる波長の光の位相速度を一致させることができるので、発光素子から発せられた光の波長を、非線型光学効果によって、線欠陥導波路におけるより短い間隔で効率良く変換することが可能である。また、フォトニック結晶に分極周期構造を形成する工程が不要であるので、より小型で、より低コストな光制御素子を容易に製造することができる。
次に、本発明の第十の実施形態による光制御素子を説明する。本発明の第十の実施形態による光制御素子は、上記第一の実施形態から上記第九の実施形態までの光制御素子であり、ただし、上記発光素子は、複数の発光素子であり、上記線欠陥導波路は、これら複数の発光素子に対応して設けられた複数の線欠陥導波路である。
図12(a)及び(b)は、本発明の第十の実施形態による光制御素子を示す。図12(a)に示す光制御素子は、図6に示した光制御素子に、複数の発光素子としての端面型半導体レーザ10を設け、それぞれの端面型半導体レーザ10に対応した線欠陥導波路40が、フォトニック結晶30にアレイ状に配列された光制御素子である。また、図12(b)に示す光制御素子は、図8に示した光制御素子に、複数の発光素子としての端面型半導体レーザ10を設け、それぞれの端面型半導体レーザ10に対応した線欠陥導波路40がフォトニック結晶30にアレイ状に配列された光制御素子である。なお、図12(b)に示す光制御素子においては、端面型半導体レーザ10から発せられた光を集光レンズ15によって対応する線欠陥導波路40に入射させる。すなわち、図12(a)及び(b)に示す光制御素子において、発光素子としての端面型半導体レーザ10から発する光が、フォトニック結晶30に設けられたそれぞれの線欠陥導波路40に光結合される。また、複数の発光素子の少なくとも一つが、他の発光素子と異なる波長の光を射出してもよい。この場合には、他の光の波長と異なる波長の光が入射する線欠陥導波路40が、その異なる波長の光(又は非線型光学効果によって変換された光)を伝播するように、フォトニック結晶30の周期構造が形成される。
ここで、複数の発光素子30は、互いに隣接して配置され、複数の線欠陥導波路40もまた互いに隣接して配置される。また、フォトニック結晶30の個々の線欠陥導波路40は、光を閉じ込めることができるため、線欠陥導波路40の間のピッチを、従来の導波路よりも小さくすることができる。よって、図12(a)及び図12(b)に示す光制御素子においてフォトニック結晶の材料の一部が非線型光学効果を有する材料である場合に、非線型光学効果によって変換された光を、空間的に非常に小さい断面積から高い出力で射出させることができる。逆に、高出力の非線型光学効果によって変換された光を得ることができるので、個々の線欠陥導波路40から出力される光を低減できる。その結果、フォトニック結晶30の光学損傷を低下させ、光制御素子の信頼性を向上させることもできる。また、これら複数の線欠陥導波路40を互いに共振させて、シングルモードの光が伝播する一つの幅広い線欠陥導波路として、幅広いビーム光を射出することもできる。
このように、本発明の第十の実施形態による光制御素子によれば、光を空間的により小さい面積から効率良く射出し、複数の線欠陥導波路の光学損傷を低下させて、光制御素子の信頼性を向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態(例)を具体的に説明してきたが、本発明は、これらの実施の形態(例)に限定されるものではなく、これら本発明の実施の形態(例)を、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく、変更又は変形することができる。
例えば、図2乃至図13に示す光制御素子は、それぞれのフォトニック結晶が発光素子の外部共振器として使用される場合に限定されず、内部共振器又は外部共振器を有する発光素子からの発せられる光を、電気光学効果を有する材料又は非線形光学効果を有する材料を含むフォトニック結晶に入射させる場合にも用いることができる。
[付記]
付記(1):線欠陥導波路を有するフォトニック結晶及び発光素子を備えた光制御素子において、前記線欠陥導波路は、前記発光素子から発せられた光の波長を共振させることを特徴とする光制御素子。
付記(2):前記フォトニック結晶の少なくとも一部は、電気光学効果を有する材料で形成されることを特徴とする付記(1)に記載の光制御素子。
付記(3):前記フォトニック結晶の少なくとも一部は、前記光の波長を変換する非線形光学効果を有する材料で形成されることを特徴とする付記(1)又は(2)に記載の光制御素子。
付記(4):前記光の波長及び前記非線型光学効果によって変換された光の波長は、前記フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップに含まれ、前記非線型光学効果によって変換された光は、前記線欠陥導波路を伝播することを特徴とする付記(3)に記載の光制御素子。
付記(5):前記フォトニックバンドギャップは、複数のフォトニックバンドギャップを有し、前記変換された光の波長が含まれるフォトニックバンドギャップと前記光の波長が含まれるフォトニックバンドギャップとは、異なることを特徴とする付記(4)に記載の光制御素子。
付記(6):前記非線型光学効果によって変換された光は、前記線欠陥導波路の方向と異なる方向へ射出されることを特徴とする付記(3)乃至(5)のいずれか一つに記載の光制御素子。
付記(7):前記フォトニック結晶は、前記線欠陥導波路と異なる線欠陥導波路をさらに有し、前記線欠陥導波路と異なる線欠陥導波路は、前記非線型光学効果によって変換された光の波長を共振させることを特徴とする付記(3)又は(6)に記載の光制御素子。
付記(8):前記フォトニック結晶は、前記光の位相と前記非線型光学効果によって変換された光の位相とを整合させる擬似位相整合構造を有することを特徴とする付記(3)乃至(7)のいずれか一つに記載の光制御素子。
付記(9):前記光の位相速度は、前記非線型光学効果によって変換された光の位相速度と一致することを特徴とする付記(3)乃至(7)のいずれか一つに記載の光制御素子。
付記(10):前記発光素子は、複数の発光素子であり、前記線欠陥導波路は、前記複数の発光素子に対応して設けられた複数の線欠陥導波路であることを特徴とする付記(1)乃至(9)のいずれか一つに記載の光制御素子。
本発明の実施形態の少なくとも一つは、線欠陥導波路を有するフォトニック結晶及び発光素子を備えた光制御素子に関する。
本発明の実施形態の少なくとも一つは、フォトニック結晶の線欠陥導波路を伝播する光の波長を安定化させると共にフォトニック結晶の線欠陥導波路を伝播する光の透過率を向上させる光制御素子を提供することを目的とする。
付記(1)に記載の発明は、線欠陥導波路を有するフォトニック結晶及び発光素子を備えた光制御素子において、前記線欠陥導波路は、前記発光素子から発せられた光の波長を共振させることを特徴とする。
付記(1)に記載の発明によれば、前記線欠陥導波路は、前記発光素子から発せられた光の波長を共振させるので、フォトニック結晶の線欠陥導波路を伝播する光の波長を安定化させると共にフォトニック結晶の線欠陥導波路を伝播する光の透過率を向上させる光制御素子を提供することができる。
付記(2)に記載の発明は、付記(1)に記載の光制御素子において、前記フォトニック結晶の少なくとも一部は、電気光学効果を有する材料で形成されることを特徴とする。
付記(2)に記載の発明によれば、前記フォトニック結晶の少なくとも一部は、電気光学効果を有する材料で形成されるので、屈折率変調器を有する、より小型の光制御素子を提供することができる。
付記(3)に記載の発明は、付記(1)又は(2)に記載の光制御素子において、前記フォトニック結晶の少なくとも一部は、前記光の波長を変換する非線形光学効果を有する材料で形成されることを特徴とする。
付記(3)に記載の発明によれば、前記フォトニック結晶の少なくとも一部は、前記光の波長を変換する非線形光学効果を有する材料で形成されるので、波長変換器を有する、より小型の光制御素子を提供することができる。
付記(4)に記載の発明は、付記(3)に記載の光制御素子において、前記光の波長及び前記非線型光学効果によって変換された光の波長は、前記フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップに含まれることを特徴とする。
付記(4)に記載の発明によれば、前記光の波長及び前記非線型光学効果によって変換された光の波長は、前記フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップに含まれるので、非線型光学効果によって波長変換された光を、線欠陥導波路に沿って効率良く伝播させることが可能な光制御素子を提供することができる。
付記(5)に記載の発明は、付記(4)に記載の光制御素子において、前記フォトニックバンドギャップは、複数のフォトニックバンドギャップを有し、前記変換された光の波長が含まれるフォトニックバンドギャップと前記光の波長が含まれるフォトニックバンドギャップとは、異なることを特徴とする。
付記(5)に記載の発明によれば、前記フォトニックバンドギャップは、複数のフォトニックバンドギャップを有し、前記変換された光の波長が含まれるフォトニックバンドギャップと前記光の波長が含まれるフォトニックバンドギャップとは、異なるので、発光素子から発せられた光の波長と非線型光学効果によって波長変換された光の波長とが大きく異なる場合でも、非線型光学効果によって波長変換された光を、線欠陥導波路に沿って効率良く伝播させることが可能な光制御素子を低コストで簡単に提供することができる。
付記(6)に記載の発明は、付記(3)乃至(5)のいずれか一つに記載の光制御素子において、前記非線型光学効果によって変換された光は、前記線欠陥導波路の方向と異なる方向へ射出されることを特徴とする。
付記(6)に記載の発明によれば、前記非線型光学効果によって変換された光は、前記線欠陥導波路の方向と異なる方向へ射出されるので、非線型光学効果によって波長変換された光を、線欠陥導波路の方向と異なる方向に効率良く伝播させることが可能な光制御素子を提供することができる。
付記(7)に記載の発明は、付記(3)又は(6)に記載の光制御素子において、前記フォトニック結晶は、前記線欠陥導波路と異なる線欠陥導波路をさらに有し、前記線欠陥導波路と異なる線欠陥導波路は、前記非線型光学効果によって変換された光の波長を共振させることを特徴とする。
付記(7)に記載の発明によれば、前記フォトニック結晶は、前記線欠陥導波路と異なる線欠陥導波路をさらに有し、前記線欠陥導波路と異なる線欠陥導波路は、前記非線型光学効果によって変換された光の波長を共振させるので、発光素子から発せられた光の波長と非線型光学効果によって波長変換された光の波長のクロストークを低減させることが可能な光制御素子を低コストで簡単に提供することができる。
付記(8)に記載の発明は、付記(3)乃至(7)のいずれか一つに記載の光制御素子において、前記フォトニック結晶は、前記光の位相と前記非線型光学効果によって変換された光の位相とを整合させる擬似位相整合構造を有することを特徴とする。
付記(8)に記載の発明によれば、前記フォトニック結晶は、前記光の位相と前記非線型光学効果によって変換された光の位相とを整合させる擬似位相整合構造を有するので、発光素子から発せられた光の波長を、非線型光学効果によって、線欠陥導波路におけるより短い間隔で効率良く変換することが可能な光制御素子を提供することができる。
付記(9)に記載の発明は、付記(3)乃至(7)のいずれか一つに記載の光制御素子において、前記光の位相速度は、前記非線型光学効果によって変換された光の位相速度と一致することを特徴とする。
付記(9)に記載の発明によれば、前記光の位相速度は、前記非線型光学効果によって変換された光の位相速度と一致するので、発光素子から発せられた光の波長を、非線型光学効果によって、線欠陥導波路におけるより短い間隔で効率良く変換することが可能であり、より小型で、より低コストな光制御素子を提供することができる。
付記(10)に記載の発明は、付記(1)乃至(9)のいずれか一つに記載の光制御素子において、前記発光素子は、複数の発光素子であり、前記線欠陥導波路は、前記複数の発光素子に対応して設けられた複数の線欠陥導波路であることを特徴とする。
付記(10)に記載の発明によれば、前記発光素子は、複数の発光素子であり、前記線欠陥導波路は、前記複数の発光素子に対応して設けられた複数の線欠陥導波路であるので、空間的により小さい面積で光を効率良く射出し、複数の線欠陥導波路の光学損傷を低下させて、光制御素子の信頼性を向上させることができる。
本発明の実施形態の少なくとも一つによれば、フォトニック結晶の線欠陥導波路を伝播する光の波長を安定化させると共にフォトニック結晶の線欠陥導波路を伝播する光の透過率を向上させる光制御素子を提供することができる。
本発明の実施形態の少なくとも一つは、フォトニック結晶の線欠陥導波路を伝播する光の波長を安定化させると共にフォトニック結晶の線欠陥導波路を伝播する光の透過率を向上させる光制御素子に適用することができる。
本発明を光制御素子に利用することができる可能性がある。
図1は、従来のフォトニック結晶のスーパプリズム効果を利用した光スイッチを示す図である。 図2は、本発明の第一の実施形態による光制御素子を説明する図である。 図3は、本発明の光制御素子に使用される様々なフォトニック結晶を示す図であり、図3(a)は、空孔又は柱の間に一列の欠陥を有するフォトニック結晶を示し、図3(b)は、空孔又は柱の間に設けられた一列の欠陥の幅を変化させたフォトニック結晶を示し、図3(c)は、第一の周期構造と第二の周期構造を設けたフォトニック結晶を示す。 図4は、フォトニック結晶の材料の屈折率に応じたフォトニックバンドギャップの変化を説明する図であり、図4(a)は、基材に屈折率1.4の円形媒質が設けられたフォトニック結晶のバンド図であり、図4(b)は、基材に屈折率1.6の円形媒質が設けられたフォトニック結晶のバンド図である。 図5は、フォトニック結晶の材料の屈折率に応じたフォトニック結晶に対する光の透過率の変化を説明する図である。 図6は、本発明の第三の実施形態による光制御素子を説明する図である。 図7は、本発明の第四の実施形態による光制御素子を説明する図である。 図8は、本発明の第六の実施形態による光制御素子を説明する図である。 図9は、本発明の第七の実施形態による光制御素子を説明する図である。 図10は、本発明の第八の実施形態による光制御素子を説明する図であり、図10(a)は、光制御素子の概略の構造を説明する図であり、図10(b)は、光制御素子に使用される擬似位相整合構造を示す図である。 図11は、本発明の第九の実施形態による光制御素子を説明する図であり、図11(a)は、光制御素子の概略の構造を説明する図であり、図11(b)は、非線型光学効果による波長変換前後における光の位相速度の一致を説明する図である。 図12は、本発明の第十の実施形態による光制御素子を説明する図であり、図12(a)は、図6に示す光制御素子の変形例であり、図12(b)は、図8に示す光制御素子の変形例である。
10 端面型半導体レーザ
15 集光レンズ
20 基板
30 スラブ型フォトニック結晶
40、41、42 線欠陥導波路
50、51、52 空孔又は柱
60 擬似位相整合構造

Claims (5)

  1. 線欠陥導波路を有するフォトニック結晶及び発光素子を備えた光制御素子において、
    前記フォトニック結晶の少なくとも一部は、前記発光素子から発せられた光の波長を変換する非線形光学効果を有する材料で形成されると共に、
    前記発光素子から発せられた光の波長及び前記非線型光学効果によって変換された光の波長は、前記フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップに含まれる前記線欠陥導波路の伝播モードの波長であると共に、
    前記線欠陥導波路は、前記発光素子から発せられた光の波長を共振させると共に、
    前記非線型光学効果によって変換された光は、前記線欠陥導波路を伝播することを特徴とする光制御素子。
  2. 前記フォトニックバンドギャップは、複数のフォトニックバンドギャップを有し、
    前記非線型光学効果によって変換された光の波長が含まれるフォトニックバンドギャップと前記発光素子から発せられた光の波長が含まれるフォトニックバンドギャップとは、異なることを特徴とする請求項1に記載の光制御素子。
  3. 線欠陥導波路を有するフォトニック結晶及び発光素子を備えた光制御素子において、
    前記フォトニック結晶の少なくとも一部は、前記発光素子から発せられた光の波長を変換する非線形光学効果を有する材料で形成されると共に、
    前記発光素子から発せられた光の波長は、前記フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップに含まれる前記線欠陥導波路の伝播モードの波長であると共に、
    前記線欠陥導波路は、前記発光素子から発せられた光の波長を共振させると共に、
    前記非線型光学効果によって変換された光の波長は、前記フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップに含まれる前記線欠陥導波路の伝播モードの波長に含まれない波長であると共に、
    前記非線型光学効果によって変換された光は、前記線欠陥導波路の方向と異なる方向へ射出されることを特徴とする光制御素子。
  4. 線欠陥導波路を有するフォトニック結晶及び発光素子を備えた光制御素子において、
    前記フォトニック結晶の少なくとも一部は、前記発光素子から発せられた光の波長を変換する非線形光学効果を有する材料で形成されると共に、
    前記発光素子から発せられた光の波長は、前記フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップに含まれる前記線欠陥導波路の伝播モードの波長であると共に、
    前記線欠陥導波路は、前記発光素子から発せられた光の波長を共振させると共に、
    前記フォトニック結晶は、前記線欠陥導波路と異なる線欠陥導波路をさらに有し、
    前記非線型光学効果によって変換された光の波長は、前記フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップに含まれる前記線欠陥導波路と異なる線欠陥導波路の伝播モードの波長であると共に、
    前記線欠陥導波路と異なる線欠陥導波路は、前記非線型光学効果によって変換された光の波長を共振させることを特徴とする光制御素子。
  5. 前記発光素子は、複数の発光素子であり、
    前記線欠陥導波路は、前記複数の発光素子に対応して設けられた複数の線欠陥導波路であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光制御素子。
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