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JP4648068B2 - 自動車ドア用インナパネル - Google Patents

自動車ドア用インナパネル Download PDF

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JP4648068B2
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Description

本発明は、側面衝突に対応できる、軽量で組み立てが容易な自動車ドア用アルミニウム合金インナパネルに関するものである。
近年、排気ガス等による地球環境問題に対して、自動車などの輸送機の車体の軽量化による燃費の向上が追求されている。このため、特に、自動車の車体に対し、従来から使用されている鋼材に代わって、圧延板や押出形材など、より軽量なアルミニウム合金材の適用が増加しつつある。
この内、自動車ドアなどのパネル構造体のアウタパネル (外板) やインナパネル (内板) にも、Al-Mg-Si系のAA乃至JIS 6000系 (以下、単に6000系と言う) やAl-Mg 系のAA乃至JIS 5000系 (以下、単に5000系と言う) などのアルミニウム合金板の使用が検討されている。
従来、軽量化のために、自動車のドアにアルミニウム合金板を適用した例としては、自動車のサイドドア構造として、前部が車体にヒンジを介して開閉可能に枢着されたフロントドアと、後部が車体にヒンジを介して開閉可能に枢着されたリヤドアの、インナパネルとアウタパネルとをアルミニウム合金板とした例がある(例えば、特許文献1参照)。
また、超軽量化されたオールアルミドアとして、自動車のサイドドア全体の枠体をアルミニウム合金管製のスペースフレームとし、これに、アルミニウム合金製の薄板(1mm以下) のインナパネルとアウタパネルとを貼りつけた例もある(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−122874号公報 (図1 、段落0014) 特開2004−504215号公報 (図1 、段落0009、0027)
しかし、これらインナパネルとアウタパネルとをアルミニウム合金板とした例では、軽量化のために、例えば1mm 以下に板厚を薄くしている。このため、近年、基準が厳しくなっている側面衝突に対応するためには、ドアの剛性や強度を確保するために、多くの補強材を必要とする。
図9、10に、これらインナパネルとアウタパネルとをアルミニウム合金板としたドアの例を示す。図9は従来の、アルミニウム合金製のドアインナパネルの正面図、図9は図10のインナパネルとアルミニウム合金製アウタパネルとを接合したドアの断面図である。
図9の例は、ドア窓部の枠体123やドア下部構造124を含めて、アルミニウム合金板を一体成形したドアインナパネルである。この場合、アルミニウム合金板自体が薄板であるので、ドアの剛性や強度を確保するために、また、衝突安全性確保のために、前記した通り、多くの補強材を必要とする。
この図9の例では、ドア下部構造124の両側部には、車体上下方向や車体前後方向に延在するアルミニウム合金板を成形した板リインフォース127、128が設置されている。ドア下部構造124の上部には、車体の前後方向の衝突安全性確保のために、車体前後方向に延在する、押出中空形材製や中空パネル製のリインフォースアッパ126が設置されている。更に、ドア本体部124の下部には、側突安全性確保のために、車体前後方向に延在する押出中空形材製のドアビーム125が設置されている。
このため、このような補強材の設置に伴う、溶接、セルフピアシングリベットなどの接合箇所は膨大となり、その接合のための手間も多くなる。また、補強材の設置に伴う重量増加も、アルミニウム合金使用の軽量化の利点を損なう。
また、アルミニウム合金板は、特に、形状が複雑で、成形深さ(高さ)が高いインナパネルへはプレス成形が困難となる。特に、近年では、前記した側面衝突に対応するため、インナパネルの成形深さ(ドア厚み)が130mm程度にまで増大している。したがって、このような成形深さ(高さ)が高いインナパネルへのアルミニウム合金板のプレス成形は益々困難となる。
したがって、本発明の目的は、側面衝突に対応する必要強度や剛性を満たし、軽量で、かつ成形や組み立てが容易な、自動車ドア用アルミニウム合金インナパネルを提供しようとするものである。
この目的を達成するために、本発明の自動車ドア用インナパネルの要旨は、自動車ドアの下部構造を構成するインナパネルであって、アルミニウム合金薄板成形パネルを2枚重ね合わせて、インナパネル中央部に閉断面空間を形成した構成からなり、車室側に配置されるアルミニウム合金薄板成形パネル周縁部と、アウタパネル側に配置されるアルミニウム合金薄板成形パネル周縁部とで、これらを重ね合わせたインナパネル周縁部に、更にこれら互いの周縁部のうち左右および下方の周縁部に有する外方へ張り出された段付きフランジ部同士が互いに接合された閉断面空間を形成したことである。
本発明は、オールアルミドアを含め、アウタパネルなどをアルミニウム合金とした自動車ドアに適用できる。また、鋼板製アウタパネルとのハイブリッド構造とした自動車ドアにも適用できる。そして、自動車のサイドドア、バックドアなどのインナパネルに適用できる。
本発明では、アルミニウム合金薄板成形パネルを2枚重ね合わせて、インナパネル中央部に閉断面空間を形成した構成とするとともに、更に、インナパネル周縁部にも閉断面空間を形成する。
これによって、アルミニウム合金薄板成形パネルを2枚重ね合わせる際に、インナパネル周縁部を2枚のアルミニウム合金薄板成形パネルが単に重なりあった平板状とするよりも、インナパネル周縁部の強度、剛性を格段に向上させることができる。このため、従来のように、多くの補強材を必要とせずに、近年、基準が厳しくなっている側面衝突に対応できる、ドアの必要剛性や強度を確保することができる。
また、本発明では、1枚毎のアルミニウム合金薄板成形パネルの成形深さ(高さ)が例え小さくても、これら成形パネルを2枚重ね合わることによって、インナパネルに必要な、大きな成形深さを確保することができる。このため、鋼板に比してプレス成形しにくい素材アルミニウム合金薄板の問題を解消して、前記した側面衝突に対応できるインナパネルの成形深さ(ドア厚み)を有するアルミニウム合金インナパネルを製作することができる。
この結果、インナパネルの中央部に、側面衝突に対応できる深い(ドア厚みを確保した)閉断面空間を形成できる。したがって、ドアの下部構造を、このインナパネルの中央部の閉断面空間と、インナパネルの前記周縁部の閉断面空間とを組み合わせた箱型構造体(中空構造体)とでき、側面衝突による荷重が負荷された際にも、インナパネルやドアとしての必要剛性や必要強度を確保することができる。
更に、本発明では、ドア用インナパネルとしての必要な強度や剛性を低下させない範囲で、各アルミニウム合金薄板成形パネル中央部に、略矩形状などの種々の形状の中抜き部(空間部)を設けて、ドア用インナパネルの軽量化を図ることができる。この中抜き部は、アウタパネルとインナパネルとの空間に、ドア駆動用モータ、ドアラッチ機構等を収容するための作業スペースも提供する。
本発明では、好ましい態様として、アウタパネル側に配置されるアルミニウム合金薄板成形パネルの方に、ドアビーム取り付け用のブラケットを、このパネルの幅方向に延在する形で、このパネルの成形時に一体に成形することも可能である。これによって、ドアビーム取り付け用のブラケットを、別途インナパネルに接合することも不要となる。
本発明の実施の形態について、図を用いて、以下に詳細に説明する。先ず、本発明インナパネルの実施態様を、図1の斜視図を用いて説明する。なお、図1の態様では、自動車ドア用インナパネルの内、主として、サイドドア用インナパネルを示す。
図1において、インナパネル20は、アルミニウム合金薄板成形パネル1と10とを2枚重ね合わせた構成からなる。1は車室側(図の左側)に配置されるアルミニウム合金薄板成形パネル、10はアウタパネル側(図の右側)に配置されるアルミニウム合金薄板成形パネルである。これらのアルミニウム合金薄板成形パネル1、10は、アルミニウム合金薄板をプレス成形(絞り成形)することによって、深さを有する立体的なパネル設計形状に各々製作されている。
本発明では、このように、インナパネル20を、アルミニウム合金薄板成形パネル1と10とを2枚重ね合わせて接合した構成としている。このため、上記した通り、これら各成形パネル1と10の成形深さ(高さ)が例え小さくても、これら成形パネル1と10とを2枚重ね合わることによって、インナパネル20に必要な、大きな成形深さを確保することができる。このため、鋼板に比してプレス成形しにくい素材アルミニウム合金薄板を、通常のプレス成形条件にて、楽に成形でき、前記した側面衝突に対応できるインナパネルの成形深さ(ドア厚み)を有するアルミニウム合金インナパネル20を製作することができる。
この結果、インナパネル20の中央部に、後述する図2に示すような、側面衝突に対応できる深い(ドア厚みを確保した)閉断面空間21を形成できる。
(車室側アルミニウム合金薄板成形パネル)
車室側アルミニウム合金薄板成形パネル1(以下、単に成形パネル1とも言う)は、通常の単板からなるインナパネルにおける車室側の底板(面)の役割を果たす。このため、成形パネル1は、軽量化のための略矩形状の中抜き部(空間部)6a、6bを設けることによって仕切られた、成形深さにおける平板状(平坦な)底部である、左側辺部2a、下辺部2b、右側辺部2c、上辺部2dを各々有する。
成形パネル1における、この平板状底部の左右の周縁部には、後述するインナパネル周縁部の閉断面空間を形成するために外方へ張り出された段付き(階段状)フランジ部7a、7cを有する。また、この左右のフランジ部7a、7cは、平板状底部の下方の周縁部において外方へ張り出された段付き(階段状)フランジ部7bとともに、後述するインナパネル中央部の閉断面空間21を形成する。また、これらのフランジ部は、後述するアウタパネル側アルミニウム合金薄板成形パネル10とのフランジ部との接合部となる。
成形パネル1の左右のフランジ部7a、7cおよび下方のフランジ部7bは、前記した各辺部である左側辺部2a、下辺部2b、右側辺部2cから各々側方に張り出す各縦壁3a、3b、3c、これらに各々連続する各平坦部4a、4b、4c、これらに各々連続する縦壁5a、5b、5cによって、各々互いに連続する前記した段付き(階段状)フランジ部を形成している。
一方、平板状底部の上部側は、ドアの開口部となるために、平板状の上辺部2dが周縁部となって、上記した段付きフランジ部は設けられない。これらのパネル1の構造は、成形素材であるアルミニウム合金薄板をプレス成形することによって、一体に形成されている。
(アウタパネル側アルミニウム合金薄板成形パネル)
前記車室側成形パネル1が、通常の単板からなるインナパネルの車室側の底板の役割を果たす一方で、このアウタパネル側成形パネル10は、後述するインナパネル中央部の閉断面空間21と、インナパネル周縁部の閉断面空間30とを形成するための謂わば枠体の役割を果たす。また、好ましい態様としては、ドアビーム取り付け用のブラケットを形成するための枠体の役割も果たす。
このため、アルミニウム合金薄板成形パネル10(以下、単に成形パネル10とも言う)は、軽量化のために、平板状底部に相当する領域全体に亙って、大きな略矩形状の中抜き部(空間部)18a、18bを設け、平板状底部は有していない。なお、この成形パネル10の軽量化を阻害しない範囲で、平板状底部を有しても勿論良い。
この成形パネル10における枠体としての周縁部には、後述するインナパネル周縁部の閉断面空間を形成するために外方へ張り出された段付き(階段状)フランジ部17a、17cを有する。また、成形パネル10の左右のフランジ部17a、17cは、下方の周縁部において外方へ張り出された段付き(階段状)フランジ部17bとともに、前記アウタパネル側成形パネル1のフランジ部、および後述するアウタパネルの周縁部との接合部となる。
これら左右のフランジ部17a、17cおよび下方のフランジ部17bは、成形パネル10の各辺部である左側辺部11a、下辺部11b、右側辺部11cから各々側方に張り出す縦壁12a、12b、12c、これらに各々連続する各平坦部13a、13b、13c、これらに各々連続する縦壁14a、14b、14c、およびこれらに各々連続する外縁フランジ15a、15b、15cによって、各々互いに連続する前記した段付き(階段状)フランジ部を形成している。
なお、19a、19c、19dは、中抜き部(空間部)18a、18bから上方に立ち上がる、内縁の縦壁(フランジ)であり、選択的に設けられる。
(ドアビーム取り付け用のブラケット)
この他、アウタパネル側成形パネル10には、ドアビーム60取り付け用のブラケット(フランジ)16が、このパネルの幅方向に延在する形で、一体に成形されている。
ドアビーム60は、車体の側面衝突による荷重を受けて、車内の乗員保護のためのエネルギ吸収を行なう。このためには、ドアビーム60が車体の側方側により突出して延在し、側面衝突荷重をより早く受ける必要がある。このために、ドアビーム60取り付け用のブラケット(フランジ)16は、車体側方(図の右方向)に張り出されて設けられている。なお、ドアビーム60は、成形パネル10の取り付け用ブラケット16に予め取り付けられても良い。
これらの成形パネル10の構造、形状は、ドアビーム60取り付け用のブラケット(フランジ)16を含めて、前記パネル1の構造、形状と同様に、成形素材であるアルミニウム合金薄板をプレス成形することによって、一体に形成されている。
(インナパネルの閉断面空間)
図2を用いて、以上説明したインナパネル20に設けられる閉断面空間を説明する。図2は、成形パネル1と10とを2枚重ね合わせて接合した構成からなる図1のインナパネル20のX−Xにおける断面図である。なお、成形パネル1と10との接合の態様は、図5から図8において後述する。
図2において、インナパネル20の中央部には、前記した通り、成形パネル1と10とによって、側面衝突に対応したドア厚みを確保するための閉断面空間21が設けられている。この閉断面空間21は、その断面形状が、アウタパネル側成形パネル1の平板状(平坦な)底部である左側辺部2a、右側辺部2c(あるいは図示しない下辺部2b、上辺部2d)などや、車室側成形パネル10の内縁の縦壁19a、19c(あるいは図示しない19b、19d)などによって形成されている。
この中央部の閉断面空間21は、ドアガラスの昇降機構であるウインドレギュレータ等を保持するためのレギュレータ基盤や、ドア駆動用モータ、ドアラッチ機構等を一体にセットされた状態で収容する空間ともなる。
(インナパネル周縁部の閉断面空間)
また、インナパネル20の左右の周縁部には、閉断面空間30が各々設けられている。図示はしないが、この閉断面空間30は、インナパネル20の下部にも設けられており、インナパネル20の上部を除く周縁部に亙って連続して設けられている。
図2に示すように、成形パネル1の左側のフランジ部7aと、成形パネル10の左側のフランジ部17aとの、上記した各縦壁や平坦部によって、インナパネル20の左側の周縁部における閉断面空間30が形成されている。また、成形パネル1の右側のフランジ部7cと、成形パネル10の右側のフランジ部17cとの、上記した各縦壁や平坦部によって、インナパネル20の右側の周縁部における閉断面空間30が形成されている。
また、図2に図示はしないが、図4(b)の説明で後述する通り、成形パネル1の下方のフランジ部7bと、成形パネル10の下方のフランジ部17bとの、上記した各縦壁や平坦部によって、インナパネル20の下方の周縁部における閉断面空間30が同様に形成されている。
そして、これら閉断面空間30は互いに連続して、インナパネル20の上部を除く周縁部に亙って、箱型の閉断面空間を形成している。ただ、本実施態様では、更に、図4(b)の説明で後述する通り、インナパネル20の上部にも、アウタパネル側成形パネル10の上方のフランジ部17dと、アウタパネル40の内側とによって、ドア下部構造における上部に、言い換えると、インナパネルの上部の周縁部にも閉断面空間31が形成されている。これによって、上記したインナパネルの左右および下部の各閉断面空間30と合わせて、インナパネルの周縁部に、閉断面空間が形成されていることなる。
(閉断面空間の作用)
本発明では、このようにインナパネル20の周縁部に閉断面空間30を形成している。また、インナパネル20の上部の周縁部にも閉断面空間31を形成している。このため、成形パネルを2枚重ね合わせ、単に、インナパネル周縁部を2枚の成形パネルが重なりあった平板状とするよりも、インナパネル20周縁部の強度、剛性を格段に向上させることができる。この結果、ドアの下部構造を、インナパネル20の前記中央部の閉断面空間21と、この閉断面空間30とを組み合わせた箱型構造体(中空構造体)とできる。したがって、矢印方向で示す車体側方からの側面衝突による荷重が負荷された際にも、インナパネル20やドアとしての必要剛性や必要強度を確保することができる。したがって、従来のアルミインナパネルのように、多くの補強材を必要としない。
このように、閉断面空間30は、車室側に配置される成形パネル1周縁部と、アウタパネル側に配置される成形パネル10周縁部とを重ね合わせることによって形成される。ただ、この閉断面空間30の大きさや形状などの設け方は、前記中央部の閉断面空間21とともに、図2の例だけに限定されるものではない。即ち、ドアの設計条件と、それに伴うインナパネル20の設計条件、更にはインナパネル20(成形パネル1や10)の材料強度、側面衝突条件による、インナパネル20やドアとしての必要剛性や強度などに応じて、適宜選択される。
(ドア下部構造)
次ぎに、図1、2で説明したインナパネル20を自動車サイドドアの下部構造に組み立てる態様を、図3、4を用いて説明する。図3は自動車サイドドアの下部構造の一実施態様を示す斜視図、図4(a)は、図3のX−Xにおける断面図である。図4(b)は、図3のY−Yにおける断面図である。
これら図3、4では、インナパネル20を、アウタパネル40と重ね合わせて接合し、自動車サイドドアの下部構造50とした態様を示している。図3、4において、自動車サイドドアの下部構造50は、インナパネル20中央部の閉断面空間21と、インナパネル20の上部を除く周縁部の閉断面空間30とを組み合わせて有する箱型中空構造体を形成している。これによって、図4の矢印方向で示す車体側方からの側面衝突による荷重が負荷された際にも、サイドドアインナパネル20やドアとしての必要剛性や必要強度を確保することができる。
アウタパネル40は、鋼板製であっても良く、ドア軽量化のために、アルミニウム合金板をプレス成形したパネル (成形アルミニウム合金板からなるパネル) であっても良い。なお41はドアの把手の取り付け用穴である。
前記した通り、ドアガラスの昇降機構であるウインドレギュレータ等を保持するためのレギュレータ基盤12は、予め、ドア駆動用モータ、ドアラッチ機構等を一体にセットした状態で、前記インナパネル20中央部の閉断面空間21内に収容される。前記した車室側成形パネル1の中抜き部6a、6bは、この際の作業穴 (作業空間) ともなる。
これらのドア下部構造50に、図示はしないが、前記図9のようなドア上部の窓部を構成する枠体123が、その先端部を、例えば成形パネル10の左右のフランジ部17a、17c部分に溶接あるいは機械的接合により接合されて一体化される。枠体123も鋼板製であっても良く、ドア軽量化のために、アルミニウム合金製(ハイドロフォームによりアルミニウム合金の管や中空形材を成形するか、アルミニウム合金板を成形したもの)であっても良い。
また、図4(b)に示すように、車室側成形パネル1の下側のフランジ部7bと、アウタパネル側成形パネル10の下側のフランジ部17bとの、上記した各縦壁や平坦部によって、インナパネル下部周縁部における閉断面空間30が形成されている。
(アウタパネル側成形パネルとアウタパネル上部内側とで形成する閉断面空間) また、図4(b)に示すように、アウタパネル側成形パネル10は、その上方のフランジ部17dと、アウタパネル40の内側とによって、ドア下部構造における上部に、言い換えると、インナパネルの上部の周縁部にも閉断面空間31が形成されている。これによって、前記した通り、インナパネルの左右および下部の各閉断面空間30と合わせて、インナパネルの周縁部に、閉断面空間が形成されていることなる。
より具体的に、上記フランジ部17dは、アウタパネル40の上部内側とで閉断面空間31を形成するために設けられている。即ち、成形パネル10の各辺部である上辺部11dから各々側方(上方)に張り出す縦壁12d、これに連続する外縁フランジ15d、そして、内縁側の縦壁(フランジ)19dによって、連続する段付き(階段状)フランジ部として形成されている。そして、このフランジ部17dとアウタパネル40の内側とによって、上記した通り、ドア下部構造における上部に(インナパネルの上部の周縁部にも)閉断面空間31が形成されている。
このように、本発明では、インナパネルの上部周縁部にも閉断面空間31が形成されている。このため、ドア下部構造の上部アウタ側補強材である、前記図9、10に示すアウタリインフォースアッパ129を設けなくとも、ドアの強度や剛性が保証され、このアウタリインフォースアッパ129が不要となる。なお、図4(b)において、41は、ドア下部構造の上部インナ側補強材であるインナリインフォースアッパであり、前記図9、10に示すリインフォースアッパ126に相当する。
(ドアビーム)
補強用のドアビーム60は、前記した、アウタパネル側成形パネル10に設けたドアビーム取り付け用のブラケット16に、その長手方向に亙って取り付けられている。このドアビーム60の取り付けは選択的であるが、前記側面衝突に対応するドアの強度、剛性を確保するためには、あった方が好ましい。
このドアビーム60は、鋼製でも良いが、ドア軽量化のためには、アルミニウム合金製であることが好ましい。この点、ドアビーム60が、略矩形断面のアルミニウム合金押出中空形材であれば、前記側面衝突時のドアビーム断面方向のエネルギ吸収能が高い点からも好ましい。
本発明では、以上説明した態様に、更に、衝突安全性確保のためのリインフォースを設けることを許容する。例えば、車体の前後方向の衝突安全性確保のために、前記した図9、10のような、車体前後方向に延在する押出中空形材製のリインフォース126を設置して、パネル(ドア)上部の車体前後方向を補強してもよい。
ただ、本発明ドアインナパネルにおいては、前記した通り、ドアインナパネルとして必要な強度や剛性は確保できている。したがって、このような衝突安全性確保のためのリインフォースを除き、ドアインナパネル自体の全体剛性や強度を上げるためのリインフォースは不要である。ただ、ドアとして、前記図4(b)における、ドア下部構造の上部インナ側補強材であるインナリインフォースアッパ41など、ドア開閉用のヒンジなどのドア部品の補強用に取り付けられるリインフォース設置は必要に応じて許容される。
このため、本発明ドアインナパネルにおいては、このような補強材の設置に伴う、溶接、セルフピアシングリベットなどの接合箇所は比較的少なくて済み、その接合のための手間も少なくなる。また、補強材の設置に伴う重量増加も、アルミニウム合金使用の軽量化の利点を損なわない。
(接合)
次ぎに、本発明ドアインナパネルにおける成形パネル1と10との接合や、成形パネル10とアウタパネル40との接合、およびドアビーム60と取り付け用のブラケット16との接合、などの態様を、図5から図8を用いて説明する。
図5では、ドアインナパネルにおける成形パネル1と10との接合を、成形パネル1のフランジ部(7a、7cなどにおける各段付き部)と、成形パネル10のフランジ部(17a、17cなどにおける各段付き部)とにおける、SPR(セルフピアシングリベット)により行なっている。そして、ドアビーム60と取り付け用のブラケット16との接合を、両方の端部同士をボルト結合して行なっている(通常のボルト、ナット方式でも、スタッドボルトなどの方式でも可)。更に、成形パネル10とアウタパネル40との接合は、成形パネル10の外縁フランジ(15a、15cなど)を、アウタパネル40の端部41、42をヘム加工して、このヘム部に挟み込む形で行なっている。
図6の接合は、ドアインナパネルにおける成形パネル1と10との接合を、スポット溶接により行なっている以外は、図5と同じである。
図7の接合は、ドアインナパネルにおける成形パネル1と10との接合を、メカニカルクリンチングにより行なっている以外は、図5と同じである。
図8の接合は、ドアインナパネルにおける成形パネル1と10との接合を、スポットによる摩擦攪拌溶接(FSW)溶接により行なっている以外は、図5と同じである。
これら例示した接合手段は、適用を例示した部位に各々組み合わせて、また、適用を例示した部位以外の他の接合箇所にも、適宜組み合わせるなどして適用することができる。更に、接着剤による接着を、上記SPR(セルフピアシングリベット)やボルト結合などと併用しても、また、適用を例示した部位以外の他の接合箇所に適宜用いても良い。
(素材アルミニウム合金薄板)
ドアインナパネル素材としてのアルミニウム合金薄板の板厚は0.5〜4.0mm程度から適宜選択される。本発明では、アルミニウム合金薄板の板厚を限定するものではない。ただ、アルミニウム合金板の板厚が薄過ぎると、ドア用インナパネルとして必要な強度や剛性が満たせない。また、インナパネルへのプレス成形性も低下する。一方、アルミニウム合金厚板の厚みが厚過ぎると、重量が重くなり、従来の薄鋼板素材に比べた軽量化の利点が無くなり、また、曲げ性などの成形性も逆に低下する。
また、ドアインナパネルの強度を確保するためには、素材アルミニウム合金板の0.2%耐力が180MPa以上の高強度であることが好ましい。これら強度やプレス成形性などの特性を満足するアルミニウム合金としては、通常、この種構造部材用途に汎用される 5000 系、6000系等の汎用合金であって、必要により調質したアルミニウム合金が適宜選択される。ただ、優れた時効硬化能や合金元素量が比較的少なくスクラップのリサイクル性にも優れている、6000系アルミニウム合金板を用いることが好ましい。
本発明によれば、側面衝突に対応できる必要強度や剛性を満たした、軽量で組み立てが容易な自動車ドア用アルミニウム合金製インナパネルを提供することができる。したがって、本発明は、オールアルミドアを含め、アウタパネルなどをアルミニウム合金とした自動車ドアのインナパネルや、アウタパネルを鋼板製とした自動車ドアのインナパネルに適用できる。そして、自動車のサイドドア、バックドアなどのインナパネルに適用できる。
本発明インナパネルの一実施態様を示す斜視図である。 図1の断面図である。 本発明ドアインナパネルを用いた自動車サイドドアを示す斜視図である。 図3の断面図である。 ドアインナパネル乃至ドアの接合の一態様を示す断面図である。 ドアインナパネル乃至ドアの接合の一態様を示す断面図である。 ドアインナパネル乃至ドアの接合の一態様を示す断面図である。 ドアインナパネル乃至ドアの接合の一態様を示す断面図である。 従来のアルミニウム合金製ドアの正面図である。 従来のアルミニウム合金製インナパネルとアウタパネルとを接合したドアの断面図である。
符号の説明
1:車室側インナパネル、7:段付きフランジ、
10:アウタパネル側インナパネル、16:ブラケット、
17:段付きフランジ、20:インナパネル、30:閉断面空間、
40:アウタパネル、50:ドア下部構造、60:ドアビーム

Claims (4)

  1. 自動車ドアの下部構造を構成するインナパネルであって、アルミニウム合金薄板成形パネルを2枚重ね合わせて、インナパネル中央部に閉断面空間を形成した構成からなり、車室側に配置されるアルミニウム合金薄板成形パネル周縁部と、アウタパネル側に配置されるアルミニウム合金薄板成形パネル周縁部とで、これらを重ね合わせたインナパネル周縁部に、更にこれら互いの周縁部のうち左右および下方の周縁部に有する外方へ張り出された段付きフランジ部同士が互いに接合された閉断面空間を形成したことを特徴とする自動車ドア用インナパネル。
  2. 前記アウタパネル側に配置されるアルミニウム合金薄板成形パネルの上方の周縁部に、この周縁部とアウタパネルの上部内側とで閉断面空間を形成すべく、フランジ部が形成されている請求項1に記載の自動車ドア用インナパネル。
  3. 前記アウタパネル側に配置されるアルミニウム合金薄板成形パネルに、ドアビーム取り付け用のブラケットが、このパネルの幅方向に延在する形で、このパネルの成形時に一体に成形されている請求項1または2に記載の自動車ドア用インナパネル。
  4. 前記インナパネル用のアルミニウム合金薄板が6000系アルミニウム合金からなる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動車ドア用インナパネル。
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