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JP4646768B2 - 軟磁性材料、圧粉磁心、および軟磁性材料の製造方法 - Google Patents

軟磁性材料、圧粉磁心、および軟磁性材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、軟磁性材料、圧粉磁心、および軟磁性材料の製造方法に関し、より特定的には、鉄損を低下することができる軟磁性材料、圧粉磁心、および軟磁性材料の製造方法に関する。
一般に、電磁弁、モータ、または電源回路などを有する電気機器には、電磁鋼板が軟磁性部品として使用されている。軟磁性部品には、小さな磁場の印加で大きな磁束密度を得ることができ、外部からの磁界変化に対して敏感に反応できる磁気的特性が求められる。
この軟磁性部品を交流磁場で使用した場合、鉄損と呼ばれるエネルギー損失が生じる。この鉄損は、ヒステリシス損と渦電流損との和で表わされる。ヒステリシス損とは、軟磁性部品の磁束密度を変化させるために必要なエネルギーに相当するものである。ヒステリシス損は作動周波数に比例するので、主に、1kHz以下の低周波領域において支配的になる。また、ここで言う渦電流損とは、主として軟磁性部品内を流れる渦電流によって生じるエネルギー損失をいう。渦電流損は作動周波数の2乗に比例するので、主に、1kHz以上の高周波領域において支配的になる。
軟磁性部品には、この鉄損の発生を小さくする磁気的特性が求められる。これを実現するためには、軟磁性部品の透磁率μ、飽和磁束密度Bsおよび電気抵抗率ρを大きくし、軟磁性部品の保磁力Hを小さくすることが必要となる。
近年、機器の高出力化、高効率化に向けて、作動周波数の高周波化が進んでいる為に、電磁鋼板に比べて渦電流損が小さい圧粉磁心が注目されている。この圧粉磁心は、複数の複合磁性粒子よりなっており、複合磁性粒子は金属磁性粒子と、その表面を被覆するガラス状の絶縁被膜とを有している。金属磁性粒子は、Fe、Fe−Si系合金、Fe−Al(アルミニウム)系合金、Fe−N(窒素)系合金、Fe−Ni(ニッケル)系合金、Fe−C(炭素)系合金、Fe−B(ホウ素)系合金、Fe−Co(コバルト)系合金、Fe−P系合金、Fe−Ni−Co系合金、Fe−Cr(クロム)系合金あるいはFe−Al−Si系合金などから形成されている。
圧粉磁心の鉄損のうち、ヒステリシス損を低下させるためには、金属磁性粒子内の歪や転位を除去して磁壁の移動を容易にすることで、圧粉磁心の保磁力Hcを小さくすればよい。金属磁性粒子内の歪や転位を十分に除去するためには、成形した圧粉磁心を400℃以上の高温、好ましくは550℃以上の高温、さらに好ましくは650℃以上の高温で熱処理する必要がある。
ところが、絶縁被膜は、成形時の粉末変形への耐性が求められる理由からたとえばリン酸鉄化合物などの非晶質化合物よりなっており、十分な高温安定性が得られていない。すなわち、圧粉磁心を400℃以上の高温で熱処理しようとすると、金属磁性粒子の構成金属元素が非晶質中へ拡散侵入するなどにより絶縁性が失われてしまう。このため、高温熱処理によってヒステリシス損を低下させようとすると、圧粉磁心の電気抵抗率ρが低下し、渦電流損が大きくなってしまうという問題があった。特に、電気機器の小型化、効率化、および大出力化が近年要求されており、これらの要求を満たすためには、電気機器をより高周波領域で使用することが必要である。高周波領域での渦電流損が大きくなれば、電気機器の小型化、効率化、および大出力化の妨げになってしまう。
そこで、絶縁被膜の高温安定性を向上し得る技術が、たとえば特開2003−272911号公報(特許文献1)や特開2003−303711号公報(特許文献2)に開示されている。上記特許文献1には、高温安定性の高いリン酸アルミニウム系の絶縁被膜を有する複合磁性粒子よりなる軟磁性材料が開示されている。上記特許文献1では、以下の方法により軟磁性材料が製造されている。まず、アルミニウムを含むリン酸塩と、たとえばカリウム等を含む重クロム塩とを含む絶縁被覆水溶液が鉄粉に噴射される。次に、絶縁被覆水溶液が噴射された鉄粉が300℃で30分間保持され、100℃で60分間保持される。これにより、鉄粉に形成された絶縁被膜が乾燥される。次に、絶縁被膜が形成された鉄粉が加圧成形され、加圧成形後に熱処理され、軟磁性材料が完成する。
また、上記特許文献2には、鉄を主成分とする粉末の表面がシリコーン樹脂および顔料を含有する被膜で被覆されている鉄基粉末であって、シリコーン樹脂および顔料を含有する被膜の下層として、リン化合物を含む被膜を有する鉄基粉末が開示されている。
特開2003−272911号公報 特開2003−303711号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術においては、リン酸アルミニウムと金属磁性粒子との密着性が不十分であり、リン酸アルミニウム系絶縁被膜の可撓性が低いという欠点がある。このため、リン酸アルミニウム系絶縁被膜が形成された鉄粉を加圧成形すると、絶縁被膜が圧力を受けて破損し、軟磁性材料の電気抵抗率ρが低下していた。その結果、渦電流損が増大するという問題があった。また、上記特許文献2に開示された技術においても、耐熱性および可撓性の両方を改善することはできず、鉄損を十分に低下することはできなかった。
したがって、本発明の目的は、鉄損を低下することができる軟磁性材料、圧粉磁心、および軟磁性材料の製造方法を提供することである。
本発明の軟磁性材料は、Fe(鉄)を主成分とする金属磁性粒子と、金属磁性粒子を被覆する絶縁被膜とを有する複合磁性粒子を含む軟磁性材料であって、絶縁被膜はリン酸と、Feと、Al、Si(珪素)、Ti(チタン)、およびZr(ジルコニウム)よりなる群から選ばれる1種以上の原子とを含んでいる。金属磁性粒子と接触する絶縁被膜の接触面に含まれるFeの原子比は、絶縁被膜の表面に含まれるFeの原子比よりも大きい。金属磁性粒子と接触する絶縁被膜の接触面に含まれる上記1種以上の原子の原子比は、絶縁被膜の表面に含まれる上記1種以上の原子の原子比よりも小さい。
本発明の軟磁性材料によれば、金属磁性粒子と接触する絶縁被膜の接触面は、リン酸とFeとを多く含む層で形成される。リン酸とFeとを多く含む層は、Feに対して高い密着性を有するので、金属磁性粒子と絶縁被膜との密着性を向上できる。したがって、加圧成形の際に絶縁被膜が破損しにくくなり、渦電流損の増大を抑止することができる。また、絶縁被膜の表面は、リン酸と、Al、Si、Ti、およびZrよりなる群から選ばれる1種以上の原子とを多く含む層で形成される。リン酸と、Al、Si、Ti、およびZrよりなる群から選ばれる1種以上の原子とを多く含む層は、リン酸とFeとを多く含む層に比べて高温安定性を有するので、軟磁性材料を高温で熱処理しても破損しない。また、金属磁性粒子と接触する絶縁被膜の接触面に形成された層の分解を防ぐ役割も果たす。したがって、絶縁被膜の耐熱性を向上することができ、この軟磁性材料を加圧成形した圧粉磁心のヒステリシス損を、渦電流損を悪化させることなく低下することができる。以上により、圧粉磁心の鉄損を低下することができる。
本発明の軟磁性材料におい、絶縁被膜は、金属磁性粒子を被覆する第1絶縁被膜と、第1絶縁被膜を被覆する第2絶縁被膜とを有している。第1絶縁被膜はリン酸とFeからなり、第2絶縁被膜はリン酸と前記1種以上の原子とを含んでいる。
これにより、絶縁被膜は、金属磁性粒子との密着性が良好である第1絶縁被膜と、第1絶縁被膜よりも高温安定性を有し、第1絶縁被膜を被覆する第2絶縁被膜との2層構造となる。第1絶縁被膜により金属磁性粒子と絶縁被膜との密着性を向上することができ、第2絶縁被膜により絶縁被膜の耐熱性を向上することができる。
本発明の軟磁性材料において好ましくは、複合磁性粒子は、絶縁被膜の表面を被覆する絶縁性を示すSiを含む被膜をさらに有している。これにより、金属磁性粒子同士の絶縁がSiを含む被膜により確保されるので、この軟磁性材料を加圧成形した圧粉磁心の渦電流損増大をさらに抑止することができる。
本発明の圧粉磁心は、上記軟磁性材料を加圧成形することにより作製される。
本発明の一の局面に従う軟磁性材料の製造方法は、Feを主成分とする金属磁性粒子と、金属磁性粒子を被覆する絶縁被膜とを有する複合磁性粒子を含む軟磁性材料の製造方法であって、金属磁性粒子を被覆する絶縁被膜を形成する工程を備えている。絶縁被膜を形成する工程は、Feイオンとリン酸イオンとを含む化合物または溶液を金属磁性粒子に被覆処理することにより、第1絶縁被膜を形成する第1被覆工程と、第1被覆工程後、Alイオン、Siイオン、Mnイオン、Tiイオン、Zrイオン、およびZnイオンよりなる群から選ばれる1種以上のイオンと、リン酸イオンとを含む化合物または溶液を第1絶縁被膜上に被覆処理することにより、第2絶縁被膜を形成する第2被覆工程とを含んでいる。
本発明の他の局面に従う軟磁性材料の製造方法は、Feを主成分とする金属磁性粒子と、金属磁性粒子を被覆する絶縁被膜とを有する複合磁性粒子を含む軟磁性材料の製造方法であって、金属磁性粒子を被覆する前記絶縁被膜を形成する工程を備えている。絶縁被膜を形成する工程は、軟磁性粒子粉末を有機溶剤に分散した懸濁液中にリン酸溶液を加え、混合・攪拌することにより、第1絶縁被膜を形成する第1被覆工程と、第1被覆工程後、リン酸と、Al、Si、Ti、およびZよりなる群から選ばれる1種以上の原子を含有する金属アルコキシドの溶液を懸濁液中に加え、混合・攪拌することにより、第2絶縁被膜を形成する第2被覆工程とを含んでいる。
本発明の軟磁性材料の製造方法によれば、金属磁性粒子と接触する絶縁被膜の接触面は、リン酸とFeとを含む第1絶縁被膜で形成される。リン酸とFeとを多く含む層は、Feに対して高い密着性を有するので、金属磁性粒子と絶縁被膜との密着性を向上できる。したがって、加圧成形の際に絶縁被膜が破損しにくくなり、この軟磁性材料を加圧成形した圧粉磁心の渦電流損増大を抑止することができる。また、絶縁被膜の表面は、リン酸と、Al、Si、Ti、およびZrよりなる群から選ばれる1種以上の原子とを含む第2絶縁被膜で形成される。リン酸と、Al、Si、Ti、およびZrよりなる群から選ばれる1種以上の原子とを多く含む層は、リン酸とFeとを含む第1絶縁被膜と比較して高温安定性を有するので、軟磁性材料を高温で熱処理しても絶縁性が劣化しない。また、第2絶縁被膜は第1絶縁被膜の分解を防ぐ役割も果たす。したがって、絶縁被膜の耐熱性を向上することができ、この軟磁性材料を加圧成形した圧粉磁心のヒステリシス損を低減することができる。以上により、圧粉磁心の鉄損を低下することができる。
なお、本明細書中における「Feを主成分とする」とは、Feの割合が50質量%以上であることを意味している。
本発明の軟磁性材料、圧粉磁心、および軟磁性材料の製造方法によれば、加圧成形の際に絶縁被膜が破損しにくくなり、圧粉磁心の渦電流損増大を抑止することができる。また、絶縁被膜の耐熱性を向上することができ、ヒステリシス損を低下することができる。したがって、圧粉磁心の鉄損を低下することができる。
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における軟磁性材料を用いて作製された圧粉磁心を拡大して示した模式図である。図1に示すように、本実施の形態における軟磁性材料を用いて作製された圧粉磁心は、金属磁性粒子10と、金属磁性粒子10の表面を被覆する絶縁被膜20とを有する複数の複合磁性粒子30を含んでいる。複数の複合磁性粒子30の各々は、たとえば図示しない有機物や、複合磁性粒子30が有する凹凸の噛み合わせなどによって接合されている。
金属磁性粒子10は、たとえばFe、Fe−Si系合金、Fe−Al系合金、Fe−N(窒素)系合金、Fe−Ni(ニッケル)系合金、Fe−C(炭素)系合金、Fe−B(ホウ素)系合金、Fe−Co(コバルト)系合金、Fe−P系合金、Fe−Ni−Co系合金、Fe−Cr(クロム)系合金あるいはFe−Al−Si系合金などから形成されている。金属磁性粒子10はFeを主成分としていればよく、金属単体でも合金でもよい。
金属磁性粒子10の平均粒径は、5μm以上300μm以下であることが好ましい。金属磁性粒子10の平均粒径が5μm以上である場合、金属が酸化されにくくなるため、軟磁性材料の磁気的特性の低下を抑止できる。また、金属磁性粒子10の平均粒径が300μm以下である場合、後に続く成形工程時において混合粉末の圧縮性が低下することを抑止できる。これにより、成形工程によって得られた成形体の密度が低下せず、取り扱いが困難になることを防ぐことができる。
なお、平均粒径とは、ふるい法によって測定した粒径のヒストグラム中、粒径の小さいほうからの質量の和が総質量の50%に達する粒子の粒径、つまり50%粒径Dをいう。
絶縁被膜20は、たとえばリン酸鉄化合物よりなる絶縁被膜20aと、たとえばリン酸アルミニウム化合物よりなる絶縁被膜20bとを有している。金属磁性粒子10を絶縁被膜20aが被覆しており、絶縁被膜20aを絶縁被膜20bが被覆している。つまり、金属磁性粒子10は2層構造の絶縁被膜20により覆われている。絶縁被膜20は、金属磁性粒子10間の絶縁層として機能する。金属磁性粒子10を絶縁被膜20で覆うことによって、この軟磁性材料を加圧成形して得られる圧粉磁心の電気抵抗率ρを大きくすることができる。これにより、金属磁性粒子10間に渦電流が流れるのを抑制して、圧粉磁心の渦電流損を低減させることができる。なお、本実施の形態においては、絶縁被膜20bがリン酸アルミニウム化合物よりなる場合について示したが、本発明はこのような場合の他、絶縁被膜20bがリン酸マンガン化合物や、リン酸亜鉛化合物よりなっていてもよい。
絶縁被膜20の厚みは、0.005μm以上20μm以下であることが好ましい。絶縁被膜20の厚みを0.005μm以上とすることによって、渦電流によるエネルギー損失を効果的に抑制することができる。また、絶縁被膜20の厚みを20μm以下とすることによって、軟磁性材料に占める絶縁被膜20の割合が大きくなりすぎない。このため、この軟磁性材料を加圧成形して得られる圧粉磁心の磁束密度が著しく低下することを防止できる。
図2(a)は、図1における1個の複合磁性粒子を示す拡大図である。図2(b)は、図2(a)の絶縁被膜におけるII−II線に沿ったFeの原子比およびAlの原子比の変化を示す図である。
図2(a),(b)を参照して、絶縁被膜20aにはFeが一定量含まれており、Alは含まれていない。そして、絶縁被膜20aと絶縁被膜20bとの境界面においてFeの原子比およびAlの原子比が不連続的に変化しており、絶縁被膜20bにはFeが含まれておらず、Alは一定量含まれている。つまり、金属磁性粒子10と接触する絶縁被膜20の接触面に含まれるFeの原子比は、絶縁被膜20の表面に含まれるFeの原子比よりも大きい。また、金属磁性粒子10と接触する絶縁被膜20の接触面に含まれるAlの原子比は、絶縁被膜20の表面に含まれるAlの原子比よりも小さい。
続いて、図1に示す圧粉磁心を製造する方法について説明する。
図3は、本発明の実施の形態1における圧粉磁心の製造方法を工程順に示す図である。図3を参照して、Feを主成分としており、たとえば純鉄や、Fe、Fe−Si系合金、またはFe−Co系合金などよりなる金属磁性粒子10を準備し、金属磁性粒子10を温度400℃以上900℃未満で熱処理する(ステップS1)。熱処理の温度は、700℃以上900℃未満であることがさらに好ましい。熱処理前の金属磁性粒子10の内部には、多数の歪み(転位、欠陥)が存在している。金属磁性粒子10に熱処理を実施することによって、この歪みを低減させることができる。なお、この熱処理は省略されてもよい。
次に、たとえば湿式処理法により絶縁被膜20aを形成する(ステップS2)。この工程について詳細に説明する。まず、金属磁性粒子10を水溶液中に浸漬することにより、金属磁性粒子10に水溶液が塗布される。本実施の形態で用いられる水溶液として、FeイオンとPO4(リン酸)イオンとを含む水溶液(第1溶液)が用いられる。また、水溶液のpHは、たとえばNaOHを用いて調整されている。なお、金属磁性粒子10の浸漬時間はたとえば10分であり、浸漬中には金属磁性粒子10が底に沈殿しないように水溶液が攪拌され続ける。金属磁性粒子10に水溶液が塗布されることにより、リン酸鉄化合物よりなる絶縁被膜20aで金属磁性粒子10が被覆される。その後、絶縁被膜20aで被覆された金属磁性粒子10は、水およびアセトンを用いて洗浄される。
次に、絶縁被膜20aで被覆された金属磁性粒子10が乾燥される(ステップS3)。乾燥は150℃以下の温度で行なわれ、好ましくは100℃以下の温度で行なわれる。また、乾燥はたとえば120分間行なわれる。
次に、たとえば湿式処理法によりリン酸アルミニウム化合物よりなる絶縁被膜20bを形成する(ステップS4)。具体的には、絶縁被膜20aが形成された金属磁性粒子10を水溶液中に浸漬することにより、絶縁被膜20aに水溶液(第2溶液)が塗布される。本実施の形態で用いられる水溶液として、AlイオンとPO4イオンとを含む水溶液が用いられる。なお、これ以外の詳細な条件は絶縁被膜20aを形成する場合の条件とほぼ同じであるので、その説明を省略する。
また、本実施の形態ではリン酸アルミニウム化合物よりなる絶縁被膜20bが形成される場合について示したが、AlイオンとPO4イオンとを含む水溶液の代わりに、MnイオンとPO4イオンとを含む水溶液を用いてリン酸マンガン化合物よりなる絶縁被膜20bを形成してもよい。または、ZnイオンとPO4イオンとを含む水溶液を用いてリン酸亜鉛化合物よりなる絶縁被膜20bを形成してもよい。
次に、絶縁被膜20bで被覆された金属磁性粒子10が乾燥される(ステップS5)。乾燥は150℃以下の温度で行なわれ、好ましくは100℃以下の温度で行なわれる。また、乾燥はたとえば120分間行なわれる。
以上の工程により、本実施の形態の軟磁性材料が完成する。なお、圧粉磁心を作製する場合には、さらに以下の工程を行なう。
次に、得られた軟磁性材料の粉末を金型に入れ、たとえば390(MPa)から1500(MPa)までの圧力で加圧成形する(ステップS6)。これにより、金属磁性粒子10の粉末が圧縮された圧粉成形体が得られる。なお、加圧成形する雰囲気は、不活性ガス雰囲気または減圧雰囲気とすることが好ましい。この場合、大気中の酸素によって混合粉末が酸化されるのを抑制することができる。
次に、加圧成形によって得られた圧粉成形体を温度400℃以上900℃以下で熱処理する(ステップS7)。加圧成形の工程を経た圧粉成形体の内部には歪や転位が多数発生しているので、熱処理により、このような歪や転位を取り除くことができる。以上に説明した工程により、図1に示す圧粉磁心が完成する。
本実施の形態の軟磁性材料は、Feを主成分とする金属磁性粒子10と、金属磁性粒子10を被覆する絶縁被膜20とを有する複合磁性粒子30を含む軟磁性材料であって、絶縁被膜20はリン酸鉄化合物と、リン酸アルミニウム化合物とを含んでいる。金属磁性粒子10と接触する絶縁被膜20の接触面に含まれるFeの原子比は、絶縁被膜20の表面に含まれるFeの原子比よりも大きい。金属磁性粒子10と接触する絶縁被膜20の接触面に含まれるAlの原子比は、絶縁被膜20の表面に含まれるAlの原子比よりも小さい。
本実施の形態の軟磁性材料によれば、金属磁性粒子10と接触する絶縁被膜20の接触面は、リン酸鉄化合物で形成される。Feとリン酸鉄化合物との密着性は、Feとリン酸アルミニウム化合物との密着性や、Feと珪リン酸化合物との密着性や、Feとリン酸マンガン化合物との密着性や、Feとリン酸亜鉛化合物との密着性などよりも優れているので、金属磁性粒子10と絶縁被膜20との密着性を向上できる。したがって、加圧成形の際に絶縁被膜20が破損しにくくなり、この軟磁性材料を加圧成形して得られる圧粉磁心の渦電流損増大を抑止することができる。また、絶縁被膜20の表面は、リン酸アルミニウム化合物で形成される。リン酸アルミニウム化合物は、リン酸鉄化合物に比べて高温安定性を有するので、軟磁性材料を高温で熱処理しても絶縁被膜20bは絶縁性が劣化しない。また、絶縁被膜20aの分解を防ぐ役割も果たす。したがって、絶縁被膜20の耐熱性を向上することができ、この軟磁性材料を加圧成形して得られる圧粉磁心のヒステリシス損を低減することができる。以上により、圧粉磁心の鉄損を低減することができる。
本実施の形態の軟磁性材料において、絶縁被膜20は、金属磁性粒子10を被覆する絶縁被膜20aと、絶縁被膜20aを被覆する絶縁被膜20bとを有している。絶縁被膜20aはリン酸鉄化合物よりなっており、絶縁被膜20bはリン酸アルミニウム化合物よりなっている。
これにより、絶縁被膜20は、金属磁性粒子10との密着性が良好である絶縁被膜20aと、絶縁被膜20aより良好な高温安定性を有し、絶縁被膜20aを被覆する絶縁被膜20bとの2層構造となる。絶縁被膜20aにより金属磁性粒子10と絶縁被膜20との密着性を向上することができ、絶縁被膜20bにより絶縁被膜20の耐熱性を向上することができる。
本実施の形態の軟磁性材料の製造方法は、Feを主成分とする金属磁性粒子10と、金属磁性粒子10を被覆する絶縁被膜20とを有する複合磁性粒子30を含む軟磁性材料の製造方法であって、金属磁性粒子10を被覆する絶縁被膜20を形成する工程を備えている。絶縁被膜20を形成する工程は、以下の工程を含んでいる。Feイオンとリン酸イオンとを含む化合物または溶液を金属磁性粒子10に被覆処理することにより、絶縁被膜20aを形成する。絶縁被膜20aを形成後、Alイオンとリン酸イオンとを含む化合物または溶液を絶縁被膜20aに被覆処理することにより、絶縁被膜20bを形成する。
本実施の形態の軟磁性材料の製造方法によれば、金属磁性粒子10と接触する絶縁被膜20の接触面は、リン酸鉄化合物を含む絶縁被膜20aで形成される。Feとリン酸鉄化合物とは高い密着性を有するので、金属磁性粒子10と絶縁被膜20との密着性を向上できる。したがって、加圧成形の際に絶縁被膜20が破損しにくくなり、この軟磁性材料を加圧成形して得られる圧粉磁心の渦電流損増大を抑止することができる。また、絶縁被膜20の表面は、リン酸アルミニウム化合物を含む絶縁被膜20bで形成される。リン酸アルミニウム化合物はリン酸鉄化合物を含む絶縁被膜20aより良好な高温安定性を有するので、この軟磁性材料を加圧成形して得られる圧粉磁心を高温で熱処理しても絶縁性の劣化が小さい。また、絶縁被膜20bは絶縁被膜20aの分解を防ぐ役割も果たす。したがって、絶縁被膜20の耐熱性を向上することができ、圧粉磁心のヒステリシス損を低下することができる。以上により、圧粉磁心の鉄損を低下することができる。
なお、実施の形態1においては湿式塗布処理により絶縁被膜20を形成する場合について示したが、本発明はこのような場合に限定されるものではなく、湿式塗布処理の代わりに、絶縁被膜20の成分の固形粉末状化合物と金属磁性粒子10を機械混合し成膜するメカニカルアロイング法や、スパッタ法などにより絶縁被膜20を形成してもよい。
また、本実施の形態においては、絶縁被膜20aがリン酸鉄化合物よりなり、絶縁被膜20bがリン酸アルミニウム化合物よりなっている場合について示したが、本発明はこのような場合に限定されるものではなく、絶縁被膜20aがリン酸とFeとを含んでおり、絶縁被膜20bがリン酸と、Al、Si、Mn、Ti、Zr、およびZnよりなる群から選ばれる1種以上の原子とを含んでいればよい。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における軟磁性材料を用いて作製された圧粉磁心を拡大して示した模式図である。図4に示すように、本実施の形態における軟磁性材料を用いて作製された圧粉磁心は、金属磁性粒子10と、金属磁性粒子10の表面を被覆する絶縁被膜20とを有する複数の複合磁性粒子30を含んでいる。絶縁被膜20は、リン酸鉄化合物よりなる絶縁被膜20aと、リン酸鉄化合物およびリン酸アルミニウム化合物よりなる絶縁被膜20bと、リン酸アルミニウム化合物よりなる絶縁被膜20cとを有している。金属磁性粒子10を絶縁被膜20aが被覆しており、絶縁被膜20aを絶縁被膜20bが被覆しており、絶縁被膜20bを絶縁被膜20cが被覆している。つまり、金属磁性粒子10は3層構造の絶縁被膜20により覆われている。
図5(a)は、図4における1個の複合磁性粒子を示す拡大図である。図5(b)は、図5(a)の絶縁被膜におけるV−V線に沿ったFeの原子比およびAlの原子比の変化を示す図である。
図5(a),(b)を参照して、絶縁被膜20aにはFeが一定量含まれており、Alは含まれていない。そして、絶縁被膜20aと絶縁被膜20bとの境界面においてFeの原子比およびAlの原子比が不連続的に変化しており、絶縁被膜20bには、Feが絶縁被膜20aよりも少ない量で含まれており、Alも一定量含まれている。そして、絶縁被膜20bと絶縁被膜20cとの境界面においてFeの原子比およびAlの原子比が不連続的に変化しており、絶縁被膜20cには、Feが含まれておらず、Alが絶縁被膜20bよりも多い量で含まれている。金属磁性粒子10と接触する絶縁被膜20の接触面に含まれるFeの原子比は、絶縁被膜20の表面に含まれるFeの原子比よりも大きい。また、金属磁性粒子10と接触する絶縁被膜20の接触面に含まれるAlの原子比は、絶縁被膜20の表面に含まれるAlの原子比よりも小さい。
続いて、図4に示す圧粉磁心を製造する方法について説明する。
図6は、本発明の実施の形態2における圧粉磁心の製造方法を工程順に示す図である。図6を参照して、本実施の形態の製造方法は、絶縁被膜20bの形成の際に用いる水溶液が実施の形態1と異なっている。また、絶縁被膜20bの乾燥(ステップS5)後、絶縁被膜20cを形成し(ステップS5a)、絶縁被膜20cを乾燥する(ステップS5b)点で、実施の形態1と異なっている。
具体的には、絶縁被膜20bを形成する(ステップS4)際、AlイオンとPO4イオンとを含む水溶液の代わりに、FeイオンとAlイオンとPO4イオンとを含む水溶液を用いる。この水溶液に含まれるFeイオンの濃度は、絶縁被膜20aを形成する際に用いられた水溶液に含まれるFeイオンの濃度よりも小さい。このような水溶液を用いることによって、リン酸鉄化合物とリン酸アルミニウム化合物とよりなり、かつFeが絶縁被膜20aよりも少ない量で含まれている絶縁被膜20bを形成することができる。
次に、絶縁被膜20bで被覆された金属磁性粒子10が乾燥される(ステップS5)。続いて、たとえばボンデ法によりリン酸アルミニウム化合物よりなる絶縁被膜20cを形成する(ステップS5a)。具体的には、絶縁被膜20bが形成された金属磁性粒子10を水溶液中に浸漬することにより、絶縁被膜20bに水溶液が塗布される。本実施の形態で用いられる水溶液として、AlイオンとPO4イオンとを含む水溶液が用いられる。その後、絶縁被膜20cで被覆された金属磁性粒子10が乾燥される(ステップS5b)。
なお、これ以外の圧粉磁心の構造およびその製造方法は、実施の形態1に示す圧粉磁心の構造およびその製造方法とほぼ同様であるので、その説明を省略する。
本実施の形態のように、絶縁被膜20が3層の絶縁被膜20a〜20cよりなっていても、金属磁性粒子10と接触する絶縁被膜20の接触面に含まれるFeの原子比が絶縁被膜の表面に含まれるFeの原子比よりも大きく、金属磁性粒子10と接触する絶縁被膜20の接触面に含まれるアルミニウムの原子比が絶縁被膜20の表面に含まれるアルミニウムの原子比よりも小さい限り、本発明の効果を得ることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態における軟磁性材料を用いた圧粉磁心は、絶縁被膜20a〜20cに含まれるFeおよびAlの原子比が実施の形態2の場合と異なっている。すなわち、絶縁被膜20は、リン酸鉄化合物およびリン酸アルミニウム化合物よりなる絶縁被膜20aと、リン酸鉄化合物よりなる絶縁被膜20bと、リン酸アルミニウム化合物よりなる絶縁被膜20cとを有している。
図7は、本発明の実施の形態3の絶縁被膜における図5(a)のV−V線に沿ったFeの原子比およびAlの原子比の変化を示す図である。図7を参照して、絶縁被膜20aにはFeおよびAlが一定量含まれている。そして、絶縁被膜20aと絶縁被膜20bとの境界面においてFeの原子比およびAlの原子比が不連続的に変化しており、絶縁被膜20bには、Feが絶縁被膜20aよりも多い量で含まれており、Alは含まれていない。そして、絶縁被膜20bと絶縁被膜20cとの境界面においてFeの原子比およびAlの原子比が不連続的に変化しており、絶縁被膜20cには、Feが含まれておらず、Alが絶縁被膜20aよりも多い量で含まれている。金属磁性粒子10と接触する絶縁被膜20の接触面に含まれるFeの原子比は、絶縁被膜20の表面に含まれるFeの原子比よりも大きい。また、金属磁性粒子10と接触する絶縁被膜20の接触面に含まれるAlの原子比は、絶縁被膜20の表面に含まれるAlの原子比よりも小さい。
本実施の形態における軟磁性材料の製造方法は、絶縁被膜20aおよび20bの形成の際に用いる水溶液が実施の形態2と異なっている。具体的には、絶縁被膜20aを形成する(ステップS2)際、FeイオンとPO4イオンとを含む水溶液の代わりに、FeイオンとAlイオンとPO4イオンとを含む水溶液を用いる。この水溶液に含まれるAlイオンの濃度は、絶縁被膜20cを形成する際に用いられる水溶液に含まれるAlイオンの濃度よりも小さい。このような水溶液を用いることによって、リン酸鉄化合物とリン酸アルミニウム化合物とよりなる絶縁被膜20aを形成することができる。また、絶縁被膜20bを形成する(ステップS4)際、FeイオンとAlイオンとPO4イオンとを含む水溶液の代わりに、FeイオンとPO4イオンとを含む水溶液を用いる。このような水溶液を用いることによって、リン酸鉄化合物よりなる絶縁被膜20bを形成することができる。
なお、これ以外の圧粉磁心の構造およびその製造方法は、実施の形態2に示す圧粉磁心の構造およびその製造方法とほぼ同様であるので、その説明を省略する。
本実施の形態のように、絶縁被膜20が3層の絶縁被膜20a〜20cよりなっており、絶縁被膜20aに含まれるFeの原子比よりも絶縁被膜20bに含まれるFeの原子比の方が多く、絶縁被膜20aに含まれるAlの原子比よりも絶縁被膜20bに含まれるAlの原子比の方が少なくても、金属磁性粒子10と接触する絶縁被膜20の接触面に含まれるFeの原子比が絶縁被膜の表面に含まれるFeの原子比よりも大きく、金属磁性粒子10と接触する絶縁被膜20の接触面に含まれるアルミニウムの原子比が絶縁被膜20の表面に含まれるアルミニウムの原子比よりも小さい限り、本発明の効果を得ることができる。
(実施の形態4)
図8は、本発明の実施の形態4における軟磁性材料を用いて作製された圧粉磁心を拡大して示した模式図である。図8に示すように、本実施の形態における軟磁性材料を用いて作製された圧粉磁心は、金属磁性粒子10と、金属磁性粒子10の表面を被覆する絶縁被膜20とを有する複数の複合磁性粒子30を含んでいる。絶縁被膜20は、リン酸鉄化合物およびリン酸アルミニウム化合物よりなる単一の絶縁被膜である。
図9(a)は、図8における1個の複合磁性粒子を示す拡大図である。図9(b)は、図9(a)の絶縁被膜におけるIX−IX線に沿ったFeの原子比およびAlの原子比の変化を示す図である。
図9(a),(b)を参照して、Feの原子比は、金属磁性粒子10と接触する接触面から絶縁被膜20の表面へ向かって単調減少している。また、Alの原子比は、金属磁性粒子10と接触する接触面から絶縁被膜20の表面へ向かって単調増加している。つまり、金属磁性粒子10と接触する絶縁被膜20の接触面に含まれるFeの原子比は、絶縁被膜20の表面に含まれるFeの原子比よりも大きい。また、金属磁性粒子10と接触する絶縁被膜20の接触面に含まれるAlの原子比は、絶縁被膜20の表面に含まれるAlの原子比よりも小さい。
続いて、軟磁性材料から図8に示す圧粉磁心を製造する方法について説明する。
図10は、本発明の実施の形態4における圧粉磁心の製造方法を工程順に示す図である。図10を参照して、本実施の形態の製造方法は、絶縁被膜20bの乾燥(ステップS5)後、絶縁被膜20aおよび20bを熱処理する(ステップS5c)点で実施の形態1と異なっている。
具体的には、絶縁被膜20bで被覆された金属磁性粒子10が乾燥され(ステップS5)た後、たとえば250℃の温度で5時間、絶縁被膜20aおよび20bが熱処理される(ステップS5c)。これにより、絶縁被膜20a中のFe原子が絶縁被膜20b中へ拡散し、絶縁被膜20b中のAl原子が絶縁被膜20a中へ拡散する。その結果、絶縁被膜20aと絶縁被膜20bとの境界がなくなり単一の絶縁被膜20が形成される。
なお、これ以外の圧粉磁心の構造およびその製造方法は、実施の形態1に示す圧粉磁心の構造およびその製造方法とほぼ同様であるので、その説明を省略する。
本実施の形態のように、絶縁被膜20が単一の層の絶縁被膜20よりなっていても、金属磁性粒子10と接触する絶縁被膜20の接触面に含まれるFeの原子比が絶縁被膜の表面に含まれるFeの原子比よりも大きく、金属磁性粒子10と接触する絶縁被膜20の接触面に含まれるアルミニウムの原子比が絶縁被膜20の表面に含まれるアルミニウムの原子比よりも小さい限り、本発明の効果を得ることができる。
(実施の形態5)
図11は、本発明の実施の形態5における軟磁性材料を用いて作製された圧粉磁心を拡大して示した模式図である。図11に示すように、本実施の形態における軟磁性材料を用いて作製された圧粉磁心は、金属磁性粒子10と、金属磁性粒子10の表面を被覆する絶縁被膜20と、絶縁被膜20を被覆するシリコーン樹脂よりなる被膜25とを有する複数の複合磁性粒子30を含んでいる。
続いて、図11に示す圧粉磁心を製造する方法について説明する。
図12は、本発明の実施の形態5における圧粉磁心の製造方法を工程順に示す図である。図12を参照して、本実施の形態の製造方法は、絶縁被膜20bの乾燥(ステップS5)後、シリコーン樹脂よりなる被膜25を形成する(ステップS5d)点で、実施の形態1と異なっている。
具体的には、絶縁被膜20bで被覆された金属磁性粒子10を乾燥した(ステップS5)後、絶縁被膜20bで被覆された金属磁性粒子10と、シリコーン樹脂および顔料を含有する塗料とを混合する。あるいは、絶縁被膜20bで被覆された金属磁性粒子10に、シリコーン樹脂および顔料を含有する塗料を噴霧する。その後、塗料を乾燥させ、溶媒を除去する。これにより、シリコ−ン樹脂よりなる被膜25が形成される。
なお、これ以外の圧粉磁心の構造およびその製造方法は、実施の形態1に示す圧粉磁心の構造およびその製造方法とほぼ同様であるので、その説明を省略する。
本実施の形態の軟磁性材料において、複合磁性粒子30は、絶縁被膜20の表面を被覆するシリコーン樹脂よりなる被膜25をさらに有している。これにより、金属磁性粒子10同士の絶縁が被膜25により確保されるので、この軟磁性材料を加圧成形して得られる圧粉磁心の渦電流損増大をさらに抑止することができる。
なお、本実施の形態においては、シリコーン樹脂よりなる被膜25が形成される場合について示したが、本発明はこのような場合に限定されるものではなく、Siを含む被膜が形成されればよい。
なお、実施の形態1〜5においては、絶縁被膜20がリン酸アルミニウム化合物を含んでいる場合について示したが、絶縁被膜20がリン酸アルミニウム化合物を含んでいる代わりに、リン酸マンガン化合物や、リン酸亜鉛化合物を含んでいても本発明の効果を得ることができる。これらの化合物を含む絶縁被膜20は、AlイオンとPO4イオンとを含む水溶液の代わりに、SiイオンとPO4イオンとを含む水溶液や、MnイオンとPO4イオンとを含む水溶液や、TiイオンとPO4イオンとを含む水溶液や、ZrイオンとPO4イオンとを含む水溶液や、ZnイオンとPO4イオンとを含む水溶液を用いることで形成できる。
(実施の形態6)
図13(a)は、本発明の実施の形態6における1個の複合磁性粒子を示す拡大図である。図13(b)は、図13(a)の絶縁被膜におけるXIII−XIII線に沿ったFeの原子比およびAlの原子比の変化を示す図である。図13を参照して、本実施の形態における軟磁性材料を用いた圧粉磁心は、絶縁被膜20aおよび20bに含まれるFeおよびAlの原子比が実施の形態1の場合と異なっている。すなわち、絶縁被膜20は、金属磁性粒子10の表面に存在する鉄とリン酸とが反応して形成された絶縁被膜20aと、リン酸およびアルミニウム化合物よりなる絶縁被膜20bとを有している。
絶縁被膜20aにはFeが一定量含まれており、Alは含まれていない。そして、絶縁被膜20aと絶縁被膜20bの境界領域20dにおいてFeの原子比が減少し、Alの原子比が増加している。そして、絶縁被膜20bには、Feが絶縁被膜20aよりも少ない量で含まれており、Alも一定量含まれている。金属磁性粒子10と接触する絶縁被膜20の接触面に含まれるFeの原子比は、絶縁被膜20の表面に含まれるFeの原子比よりも大きい。また、金属磁性粒子10と接触する絶縁被膜20の接触面に含まれるAlの原子比は、絶縁被膜20の表面に含まれるAlの原子比よりも小さい。
続いて、図13に示す圧粉磁心を製造する方法について説明する。
図14は、本発明の実施の形態6における圧粉磁心の製造方法を工程順に示す図である。図14を参照して、本実施の形態の製造方法は、絶縁被膜20の形成方法およびその後の処理が実施の形態1と異なっている。
本実施の形態では、金属磁性粒子10を熱処理した(ステップS1)後で、金属磁性粒子10を有機溶剤に分散した懸濁液中にリン酸溶液を加え、混合・攪拌する。これにより、金属磁性粉末10の表面に存在する鉄と、リン酸とが反応して、金属磁性粒子10の表面に絶縁被膜20aが形成される(ステップS12)。続いて、絶縁被膜20aの形成の際に用いた懸濁液に、リン酸と、Al、Si、Ti、およびZrよりなる群から選ばれる原子を含有する1種以上の金属アルコキシドの溶液を加え、混合・攪拌する。このとき、金属アルコキシドは水と反応して加水分解し、金属酸化物または金属含水酸化物が生成する。これにより、金属磁性粒子10の表面にリン酸と金属化合物とよりなる絶縁被膜20bが形成される(ステップS13)。そして、絶縁被膜20で被覆された金属磁性粒子10が乾燥される(ステップS14)。具体的には、室温のドラフト中で3〜24時間乾燥させた後、60〜120℃の温度範囲で乾燥させるか、もしくは減圧雰囲気で30〜80℃の温度範囲で乾燥させる。また、空気中またはN2ガスなどの不活性ガス雰囲気下のいずれでも乾燥させることができるが、金属磁性粒子の酸化防止の観点から、N2ガスなどの不活性ガス雰囲気下で乾燥させることが好ましい。これにより、本実施の形態の軟磁性材料が得られる。
なお、本実施の形態に用いられる有機溶剤は、一般的に用いられる有機溶剤であればよく、水溶性の有機溶剤が好ましい。具体的には、エチルアルコール、プロピルアルコールまたはブチルアルコールなどのアルコール系溶剤、アセトンまたはメチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブまたはブチルセロソルブなどのグリコールエーテル系溶剤、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、またはトリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのオキシエチレン、オキシプロピレン付加重合体、エチレングリコール、プロピレングリコール又は1,2,6−ヘキサントリオールなどのアルキレングリコール、グリセリン、2−ピロリドンなどである。特に、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤が好ましい。
本実施の形態に用いられるリン酸は、五酸化二リンが水和してできる酸であればよい。具体的には、メタリン酸、ピロリン酸、オルトリン酸、三リン酸、四リン酸などである。特にオルトリン酸が好ましい。
本実施の形態に用いる金属アルコキシドは、Al、Si、Ti、およびZrよりなる群から選ばれる原子を含有するアルコキシドである。アルコキシドとしては、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、オキシイソプロポキシド、ブトキシドなどを用いることができる。またアルコキシドとして、テトラエトキシシランまたはテトラメトキシシランを部分的に加水分解・縮合することにより得られるエチルシリケートまたはメチルシリケートを用いることができる。処理の均一性及び処理効果を考慮すれば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルシリケート、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトライソプロポキシドなどがアルコキシドとして用いられることが特に好ましい。
金属磁性粒子粉末とリン酸溶液および金属アルコキシド溶液とを混合するための機器としては、たとえば高速アジテート型ミキサーが使用され、具体的にはヘンシェルミキサー、スピードミキサー、ボールカッター、パワーミキサー、ハイブリッドミキサー、コーンブレンダーなどが使用される。
金属磁性粒子粉末とリン酸溶液及び金属アルコキシド溶液との混合・攪拌は、室温以上であって用いる有機溶剤の沸点以下の温度で行なうことが好ましい。また、金属磁性粒子粉末の酸化防止の観点から、N2ガスなどの不活性ガス雰囲気下で反応を行なうことが好ましい。
なお、これ以外の圧粉磁心の製造方法は、実施の形態1に示す圧粉磁心の構造およびその製造方法とほぼ同様であるので、その説明を省略する。
本実施の形態の軟磁性材料によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。本実施例では、本発明の軟磁性材料を加圧成形して得られた圧粉磁心における鉄損の低減および耐熱性の向上の効果を調べた。始めに、軟磁性材料である試料1〜6を以下の方法により作製した。
試料1(発明例):実施の形態1の製造方法に従って作製した。具体的には、鉄の純度が99.8%以上であるヘガネスAB社製のABC100.30を金属磁性粒子10として準備し、これをリン酸鉄水溶液に浸漬することにより、リン酸鉄化合物よりなる絶縁被膜20aを平均厚さ50nmで金属磁性粒子10の表面に形成した。次に、リン酸アルミニウム水溶液に浸漬することにより、リン酸アルミニウム化合物よりなる絶縁被膜20bを平均厚さ50nmで絶縁被膜20aの表面に形成し、試料1となる軟磁性材料を得た。
試料2(発明例):実施の形態5の製造方法に従って作製した。具体的には、試料1の製造方法と同様の方法で得られた軟磁性材料を準備し、エチルアルコールにシリコーン樹脂を溶解および分散させた溶液にこの軟磁性材料を浸漬した。これにより平均厚さ100nmのシリコーン樹脂よりなる被膜25を絶縁被膜20の表面に形成し、試料2となる軟磁性材料を得た。
試料3(比較例):リン酸鉄化合物よりなる絶縁被膜のみを形成した。具体的には、ヘガネスAB社製のABC100.30を金属磁性粒子として準備し、これをリン酸鉄水溶液に浸漬することにより、リン酸鉄化合物よりなる絶縁被膜を平均厚さ100nmで金属磁性粒子の表面に形成し、試料3となる軟磁性材料を得た。
試料4(比較例):リン酸アルミニウム化合物よりなる絶縁被膜のみを形成した。具体的には、ヘガネスAB社製のABC100.30を金属磁性粒子として準備し、これをリン酸アルミニウム水溶液に浸漬することにより、リン酸アルミニウム化合物よりなる絶縁被膜を平均厚さ100nmで金属磁性粒子10の表面に形成し、試料4となる軟磁性材料を得た。
試料5(発明例):鉄の純度が99.8%以上であるヘガネスAB社製のABC100.30をアセトンに懸濁させた懸濁液に、リン酸水溶液(リン酸含有量85重量%)を滴下し、N2気流下、反応温度45℃において、20分間攪拌・混合を行った。次いで、前記混合溶液中に、アルミニウムイソプロポキシドを分散させたアセトン溶液を加えた後、テトラエトキシシランを加え、20分間攪拌・混合を行った。得られた混合溶液を45℃において減圧乾燥を行ない、試料5となる軟磁性材料を得た。
試料6(発明例):試料5の絶縁被膜の表面にシリコーンよりなる絶縁被膜を形成した。具体的には、平均厚さ100nmのシリコーン樹脂よりなる被膜を試料5の絶縁被膜の表面に形成し、試料6となる軟磁性材料を得た。
次に、作製した試料1〜6に関し、「X線光電子分析装置 ESCA3500」(島津製作所(株))を用い、高速Arイオンエッチングによりエッチング処理を行ないながら深さ方向の各原子の存在比の測定を行なった。また、FIB(Focused Ion Beam)により切断加工し、絶縁被膜20の断面についてEDX(Energy-Dispersive X-ray diffraction)を用いて組成分析を行なった。組成の評価に関しては、P、Fe、Al各元素のKαスペクトルのピーク面積を計測し、Feピーク面積とPピーク面積との比およびAlピーク面積とPピーク面積との比(Fe/P原子存在比、Al/P原子存在比)を指標として用いた。
軟磁性材料の耐熱性は、下記の方法により求めた。まず、試料粉末0.5gを量りとり、KBr錠剤成形器(株式会社島津製作所)を用いて、13.72MPaの圧力で加圧成形を行ない、円柱状の被測定試料を作製した。次いで、被測定試料を温度25℃、相対湿度60%の環境下に12時間以上暴露した後、この被測定試料をステンレス電極の間にセットし、電気抵抗測定装置(model 4329A 横河北辰電気株式会社製)で15Vの電圧を印加して抵抗値R(mΩ)を測定した。
次いで、被測定(円柱状)試料の上面の面積A(cm2)と厚みt0(cm)を測定し、下記式1にそれぞれの測定値を挿入して、体積固有抵抗値(mΩ・cm)を求めた。
体積固有抵抗値(mΩ・cm)=R×(A/t0) ・・・(1)
上記被測定用試料を電気炉に入れ、電気炉の温度を種々変化させて各温度において1時間加熱処理を行ない、各温度における加熱前後での体積固有抵抗値を測定し、下記式2に加熱前後の体積固有抵抗値を挿入して、体積固有抵抗値の変化率を求め、片対数グラフを用いて横軸に加熱温度を、縦軸に体積固有抵抗値の変化率をプロットし、体積固有抵抗値の変化率がちょうど10%となるときの温度を軟磁性材料の耐熱温度とした。
加熱前後の体積固有抵抗値の変化率(%)={体積固有抵抗値(加熱前)−体積固有抵抗値(加熱後)}/体積固有抵抗値(加熱前)×100 ・・・(2)
続いて、試料1〜6を1275MPaの圧力で加圧成形し、リング形状の圧粉磁心を作製した。次に、窒素雰囲気で550℃の温度で1時間熱処理を行なった。そして、試料1〜6について周波数を変化させて励起磁束密度1.0(T)における鉄損を測定することにより、渦電流損係数bを評価した。試料1〜6についての、リン酸鉄化合物の平均厚さ、リン酸アルミニウム化合物の平均厚さ、シリコーン樹脂の平均厚さ、および渦電流損係数bを表1に示す。なお、渦電流損係数bとは、鉄損Wを
W=a×f+b×f2 (f:周波数、a,b:定数)
と表わした場合の定数bである。
Figure 0004646768
表1に示すように、渦電流損係数bに関して、試料1の渦電流損係数bは0.025(×10-3W・s2/kg)であり、試料2の渦電流損係数bは0.021(×10-3W・s2/kg)であった。一方、試料3の渦電流損係数bは0.022(×10-3W・s2/kg)であり、試料4の渦電流損係数bは0.048(×10-3W・s2/kg)であった。試料5の渦電流損係数bは0.024(×10-3W・s2/kg)であり、試料6の渦電流損係数bは0.016(×10-3W・s2/kg)であった。また、試料1、2、5、および6の耐熱性は試料3の耐熱性よりも優れており、試料の耐熱性と同等であった。
このように、試料1、2、5、および6は、試料3よりも耐熱温度におけるヒステリシス損係数aが小さく、かつ試料3と同等の渦電流損係数bを示していることから、試料1、2、5、および6は試料3よりも鉄損が小さいことが分かる。また、試料1、2、5、および6は、試料4と耐熱温度におけるヒステリシス損係数aの値が近く、かつ試料4よりも渦電流損係数bの値が小さいことから、試料1、2、5、および6は試料4よりも鉄損が小さいことが分かる。すなわち、リン酸鉄化合物よりなる絶縁被膜20aおよびリン酸アルミニウム化合物よりなる絶縁被膜20bを形成することにより鉄損を低減できることが分かる。また、試料2および6の各々の耐熱性が試料1および5の各々の耐熱性よりもそれぞれ上昇しているので、シリコーン樹脂よりなる被膜25を形成することにより、ヒステリシス損が一層低下することが分かる。さらに、試料2および6の各々の渦電流損係数bが試料1および5の各々の渦電流損係数bよりもそれぞれ小さくなっているので、シリコーン樹脂よりなる被膜25を形成することにより、渦電流損が一層低下することが分かる。以上より、シリコーン樹脂よりなる被膜25を形成することにより、より一層鉄損を低減できることが分かる。
なお、試料5および6に関しては、平均粒子径が100μmであり、絶縁被膜の膜厚は、第1絶縁被膜である絶縁被膜20aが50nmであり、第2絶縁被膜である絶縁被膜20bが50nmであった。X線光電子分析装置を用いて評価した金属磁性粒子10と絶縁被膜20との接触面におけるFe/P原子存在比は12.9または13.6であり、絶縁被膜の表面におけるFe/P原子存在比は3.3または3.0であった。このことから、金属磁性粒子10と絶縁被膜20との接触面におけるFe/P原子存在比の方が、絶縁被膜の表面におけるFe/P原子存在比よりも大きい。また、金属磁性粒子10と絶縁被膜20との接触面におけるAl/P原子存在比は、0.7または0.8であり、絶縁被膜の表面におけるAl/P原子存在比は2.2または2.0であることから、金属磁性粒子10と絶縁被膜20との接触面におけるAl/P原子存在比の方が、絶縁被膜の表面におけるAl/P原子存在比よりも小さい。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施の形態1における軟磁性材料を用いて作製された圧粉磁心を拡大して示した模式図である。 (a)は、図1における1個の複合磁性粒子を示す拡大図である。(b)は、(a)の絶縁被膜におけるII−II線に沿ったFeの原子比およびAlの原子比の変化を示す図である。 本発明の実施の形態1における圧粉磁心の製造方法を工程順に示す図である。 本発明の実施の形態2における軟磁性材料を用いて作製された圧粉磁心を拡大して示した模式図である。 (a)は、図4における1個の複合磁性粒子を示す拡大図である。(b)は、(a)の絶縁被膜におけるV−V線に沿ったFeの原子比およびAlの原子比の変化を示す図である。 本発明の実施の形態2における圧粉磁心の製造方法を工程順に示す図である。 本発明の実施の形態3の絶縁被膜における図5(a)のV−V線に沿ったFeの原子比およびAlの原子比の変化を示す図である。 本発明の実施の形態4における軟磁性材料を用いて作製された圧粉磁心を拡大して示した模式図である。 (a)は、図8における1個の複合磁性粒子を示す拡大図である。(b)は、(a)の絶縁被膜におけるIX−IX線に沿ったFeの原子比およびAlの原子比の変化を示す図である。 本発明の実施の形態4における圧粉磁心の製造方法を工程順に示す図である。 本発明の実施の形態5における軟磁性材料を用いて作製された圧粉磁心を拡大して示した模式図である。 本発明の実施の形態5における圧粉磁心の製造方法を工程順に示す図である。 (a)本発明の実施の形態6における1個の複合磁性粒子を示す拡大図である。(b)(a)の絶縁被膜におけるXIII−XIII線に沿ったFeの原子比およびAlの原子比の変化を示す図である。 本発明の実施の形態6における圧粉磁心の製造方法を工程順に示す図である。
符号の説明
10 金属磁性粒子、20,20a〜20c 絶縁被膜、20d 境界領域、25 被膜、30 複合磁性粒子。

Claims (5)

  1. Feを主成分とする金属磁性粒子と、前記金属磁性粒子を被覆する絶縁被膜とを有する複合磁性粒子を含む軟磁性材料であって、
    前記絶縁被膜はリン酸と、Feと、Al、Si、Ti、およびZrよりなる群から選ばれる1種以上の原子とを含み、
    前記金属磁性粒子と接触する前記絶縁被膜の接触面に含まれるFeの原子比は、前記絶縁被膜の表面に含まれるFeの原子比よりも大きく、
    前記金属磁性粒子と接触する前記絶縁被膜の接触面に含まれる前記1種以上の原子の原子比は、前記絶縁被膜の表面に含まれる前記1種以上の原子の原子比よりも小さ
    前記絶縁被膜は、前記金属磁性粒子を被覆する第1絶縁被膜と、前記第1絶縁被膜を被覆する第2絶縁被膜とを有し、
    前記第1絶縁被膜はリン酸とFeからなり、前記第2絶縁被膜はリン酸と前記1種以上の原子とを含む、軟磁性材料。
  2. 前記複合磁性粒子は、前記絶縁被膜の表面を被覆するSiを含む被膜をさらに有する、請求項に記載の軟磁性材料。
  3. 請求項1または2に記載の軟磁性材料を加圧成形することにより作製された圧粉磁心。
  4. Feを主成分とする金属磁性粒子と、前記金属磁性粒子を被覆する絶縁被膜とを有する複合磁性粒子を含む軟磁性材料の製造方法であって、
    前記金属磁性粒子を被覆する前記絶縁被膜を形成する工程を備え、
    前記絶縁被膜を形成する工程は、
    Feイオンとリン酸イオンとを含む化合物または溶液を前記金属磁性粒子に被覆処理することにより、第1絶縁被膜を形成する第1被覆工程と、
    前記第1被覆工程後、Alイオン、Siイオン、Mnイオン、Tiイオン、Zrイオン、およびZnイオンよりなる群から選ばれる1種以上のイオンと、リン酸イオンとを含む化合物または溶液を前記第1絶縁被膜上に被覆処理することにより、第2絶縁被膜を形成する第2被覆工程とを含む、軟磁性材料の製造方法。
  5. Feを主成分とする金属磁性粒子と、前記金属磁性粒子を被覆する絶縁被膜とを有する複合磁性粒子を含む軟磁性材料の製造方法であって、
    前記金属磁性粒子を被覆する前記絶縁被膜を形成する工程を備え、
    前記絶縁被膜を形成する工程は、
    軟磁性粒子粉末を有機溶剤に分散した懸濁液中にリン酸溶液を加え、混合・攪拌することにより、第1絶縁被膜を形成する第1被覆工程と、
    前記第1被覆工程後、リン酸と、Al、Si、Ti、およびZrよりなる群から選ばれる1種以上の原子を含有する金属アルコキシドの溶液を前記懸濁液中に加え、混合・攪拌することにより、第2絶縁被膜を形成する第2被覆工程とを含む、軟磁性材料の製造方法。
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