この発明の一の局面による画像形成装置は、印刷時に用紙とともに搬送されるインクシートと、搬送されるインクシートと当接する印字部を有し、用紙に画像を印刷可能な印字ヘッドと、印字ヘッドよりもインクシートの搬送方向の上流側に位置し、インクシートを印字ヘッドへ案内する第1ガイド部と、印字ヘッドの印字部と第1ガイド部との間に位置し、インクシートと当接する第2ガイド部とを備え、第1ガイド部は、印字ヘッドの印字部側の表面に当接して印字ヘッドを支持する支持部を含む。
この一の局面による画像形成装置では、上記のように、印字ヘッドよりもインクシートの搬送方向の上流側に位置し、インクシートを印字ヘッドへ案内する第1ガイド部と、印字ヘッドの印字部と第1ガイド部との間に位置し、インクシートと当接する第2ガイド部とを備えるように構成することによって、印刷時にインクシートの搬送に伴って印字ヘッドの印字部と第1ガイド部との間に生じる振動を、インクシートと第2ガイド部とが当接することにより抑制することができる。これにより、インクシートの振動が抑制されるため、インクシートの振動に起因するインクシートの皺の発生を抑制することができる。
また、上記一の局面による画像形成装置において、好ましくは、第2ガイド部は、インクシートの搬送方向と交差する方向の略全幅に渡ってインクシートと当接するように構成されている。このように構成すれば、搬送されるインクシートの略全幅に渡って第2ガイド部が当接するので、インクシートの略全幅に渡って振動を抑制することができるので、インクシートの略全幅で皺の発生を抑制することができる。
また、上記一の局面による画像形成装置において、好ましくは、第2ガイド部は、印字ヘッドの印字部の近傍でインクシートと当接するとともに印字ヘッドからインクシートに向かって突出するように設けられている。このように構成すれば、第2ガイド部が印字部の近傍で当接することにより、インクシートを、振動が取り除かれた状態のまま直ちに印字部へ送り込むことができる。
また、上記一の局面による画像形成装置において、好ましくは、第2ガイド部のインクシートとの当接面は、インクシートの搬送方向に沿った丸みを帯びた断面形状を有する曲面状に形成されている。このように構成すれば、インクシートは、第2ガイド部と搬送方向に沿った丸みを帯びた曲面状の当接面で当接することができるので、インクシート搬送時の摺動によりインクシートの表面に傷が付くのを抑制することができる。
また、上記一の局面による画像形成装置において、好ましくは、印字ヘッドからインクシートに向かって突出する突出部と、突出部よりも低い摩擦係数を有する材料により形成された表面層とを含む。このように構成すれば、第2ガイド部とインクシートとの当接面を構成する表面層を突出部よりも低い摩擦係数を有する材料によって形成することにより、インクシート搬送時のインクシートと第2ガイド部の表面層との摺動によって、インクシートの表面に傷が付くのをより抑制することができる。
また、上記一の局面による画像形成装置において、好ましくは、印字ヘッドよりもインクシートの搬送方向の下流側に位置し、印字ヘッドの近傍でインクシートと当接するとともにインクシートを案内する第3ガイド部をさらに備える。このように構成すれば、インクシートと第3ガイド部とが印字部の下流側で当接することにより、印字される前の上流側だけでなく、印字された後の下流側のインクシートの搬送状態を安定させることができる。これにより、搬送方向下流側のインクシートの搬送状態の乱れによる影響が印刷を行う印字部の近傍に及ぶのを抑制することができるので、印画品質を向上させることができる。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態による昇華型プリンタの全体構成を示した分解斜視図である。図2は、図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの斜視図である。図3は、図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの外観を示した斜視図である。図4〜図14は、図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの詳細を説明するための図である。まず、図1〜図14を参照して、本発明の一実施形態による昇華型プリンタ100の構造について説明する。なお、本実施形態では、画像形成装置の一例である昇華型プリンタに本発明を適用した場合について説明する。
本発明の一実施形態による昇華型プリンタ100の装置本体90は、図1に示すように、金属製のシャーシ1と、印字を行うための印字ヘッド2と、印字ヘッド2に対向するように配置されたプラテンローラ3(図4参照)と、金属製の送りローラ4(図4参照)と、所定の押圧力で送りローラ4を押圧する金属製の押さえローラ5(図4参照)と、金属製の支持棒6と、印字ヘッド2の上部を所定の押圧力で押圧するためのヘッド部押圧部材7および8と、樹脂製の駆動ギア9とを備えている。また、昇華型プリンタ100の装置本体90は、さらに、送りローラギア10(図6参照)と、樹脂製の下部用紙ガイド11aと、樹脂製の上部用紙ガイド11b(図4参照)と、ゴム製の給紙ローラ12と、給紙ローラギア13(図2参照)と、ゴム製の排紙ローラ14と、排紙ローラギア15(図2参照)と、巻取リール16(図2参照)と、モータブラケット17(図2参照)と、用紙60を搬送するためのステッピングモータ18(図2参照)と、印字ヘッド2を回動させる際の駆動源となるステッピングモータ19(図2参照)と、揺動可能な揺動ギア20(図5参照)と、複数の中間ギア21〜24(図5参照)と、インクシート51が収納されたインクシートカートリッジ50を支持するカートリッジ支持部25とを備えている。また、装置本体90は、図3に示すように、樹脂製の筐体26の内部に配置されるように構成されている。また、本実施形態による昇華型プリンタ100は、図3に示すように、インクシートカートリッジ50と、装置本体90に供給する用紙60を収納するための給紙カセット70とが装置本体90に着脱可能に装着されている。
また、図1に示すように、シャーシ1は、互いに対向するように配置された一方側面1aと、他方側面1bと、底面1cとを有している。また、シャーシ1の一方側面1aには、上記したモータブラケット17(図2参照)が取り付けられている。また、シャーシ1の一方側面1aに対向する他方側面1bには、インクシートカートリッジ50を挿入するためのカートリッジ挿入孔1dが設けられている。また、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bには、図1に示すように、それぞれ、ヘッド部押圧部材7および8が取り付けられた支持棒6を回動可能に支持する支持孔1eが設けられている。また、シャーシ1の底面1cには、図4に示すように、印刷時に用紙60の前端部60aおよび後端部60bを検出するための用紙センサ27aおよび27bが設けられている。
また、2つのプラテンローラ軸受3aは、図1に示すように、それぞれ、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bに取り付けられているとともに、その2つのプラテンローラ軸受3aにプラテンローラ3(図4参照)が回動可能に支持されるように構成されている。また、送りローラ4は、図5に示すように、送りローラギア10に挿入される送りローラギア挿入部4aを有している。また、送りローラ4は、シャーシ1に取り付けられた図示しない送りローラ軸受に回動可能に支持されるように構成されている。また、押さえローラ5(図4参照)は、図示しない押さえローラ軸受に回動可能に支持されるように構成されている。また、送りローラ4および押さえローラ5は、図4に示すように、用紙60を間に挟んだ状態で回動することにより、用紙60を給紙方向(矢印T1方向)または排紙方向(矢印U1方向)に搬送する機能を有している。また、給紙ローラ12は、図3に示すように、給紙カセット70(図1参照)に収納された用紙60をシャーシ1の内部に搬送する機能を有している。また、排紙ローラ14は、図3に示すように、印刷終了後の用紙60をシャーシ1の外部に搬送する機能を有している。
また、支持棒6の一方および他方の端部には、図2に示すように、それぞれ、支持部6aが設けられている。そして、支持棒6の一方および他方の支持部6aは、図2に示すように、それぞれ、シャーシ1の一方側面1aの支持孔1e、および、他方側面1bの支持孔1eに回動可能に挿入されるように構成されている。また、支持棒6の一方および他方の端部の内側には、図2に示すように、それぞれ、ヘッド部押圧部材7および8が、支持棒6に対して空回りすることなく取り付けられている。
また、図1に示すように、ヘッド部押圧部材7には、押圧部7aと、ギア部7bとが一体的に形成されている。また、図2に示すように、ヘッド部押圧部材8には、押圧部8aと、支持棒6が延びる方向に突出する突起部8bとが一体的に形成されている。
また、ヘッド部押圧部材7および8には、それぞれ、挿入孔が形成されているとともに、支持棒6の両端部近傍に挿入孔が嵌め込まれている。これにより、ヘッド部押圧部材7の回動に伴って、支持棒6およびヘッド部押圧部材8を回動させることが可能なように構成されている。また、図1および図2に示すように、ヘッド部押圧部材7および8は、それぞれ、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1b側に配置されている。
また、印字ヘッド2は、図1および図4に示すように、支持軸2aと、プラテンローラ3(図4参照)に対向するように配置されたヘッド部2bと、支持軸2aとヘッド部2bとを連結する一対のアーム部2cと、印刷時にヘッド部2bの熱を放熱するためのアルミニウム製の放熱部2dと、ヘッド部2bの下面に設けられた印字部2eとを含んでいる。また、印字ヘッド2の印字部2eの近傍で、印字ヘッド2のヘッド部2bからインクシート51に向かって突出するようにインクシートガイド部2iが設けられている。なお、インクシートガイド部2iは、本発明の「第2ガイド部」の一例である。
ここで、印字ヘッド2には、図8に示すように、ヘッド部2bに下方から樹脂製の用紙ガイド部材28が別部材として取り付けられている。また、用紙ガイド部材28は、図4に示すように、印刷開始時に印字ヘッド2とともに矢印P1方向に回動され、所定の位置で静止されることによって、装置本体90に矢印T1方向に搬送される用紙60の前端部60aが、印字ヘッド2とプラテンローラ3との間を通過した後の搬送方向を規制する役割を有している。具体的には、図4に示すように、用紙60の前端部60aが、印字ヘッド2とプラテンローラ3との間を略水平方向に通過した後、用紙ガイド部材28の用紙ガイド部28aの下面に当接しながら斜め下方向に案内されることによって、用紙60の前端部60aが、後述するインクシートカートリッジ50の供給ボビン収納部54aの内部に入り込むことを抑制することが可能とされている。
また、樹脂製の用紙ガイド部材28は、図8に示すように、用紙ガイド部28aの前端部に設けられ、印字ヘッド2のヘッド部2bの下面を支持するリブ28bと、用紙ガイド部28aの後端部に設けられ、上方に延びる垂直壁28cと、垂直壁28cからさらに斜め上方向に延びるとともに用紙ガイド部材28を印字ヘッド2の放熱部材2dに取り付けるために複数のフック部28e(本実施形態では3箇所)を有する取付部28dとが一体的に形成されている。なお、用紙ガイド部材28は、図8に示すように、フック部28eが印字ヘッド2の放熱部2dに設けられた切欠部2f(2箇所)および2g(1箇所)に係合することによって放熱部2dに取り付けられるように構成されている。
また、本実施形態では、図8に示すように、用紙ガイド部28aと垂直壁28cとが接続される用紙ガイド部28aの後端部(垂直壁28cの下端部)に、インクシートガイド部28fが用紙ガイド部28aの幅方向(図10の矢印X方向)に設けられている。このインクシートガイド部28fは、図10に示すように、インクシート51の幅W2よりも大きい幅W1を有するので、印刷開始時に印字ヘッド2がインクシート51に対して上方から矢印Y方向に当接する際、インクシート51の全幅で当接するように構成されている。なお、インクシートガイド部28fは、本発明の「第1ガイド部」の一例である。
また、本実施形態では、図11に示すように、用紙ガイド部28aの後端部に設けられたインクシートガイド部28fは、印字ヘッド2よりも搬送方向(矢印A方向)の上流側に位置し、当接部28gでインクシート51と当接するように構成されている。このインクシートガイド28fの当接部28gは、印刷動作とともに搬送されるインクシート51が滑らかに当接することが可能なように、インクシート51の搬送方向(図中の矢印A方向)に沿った形状が丸形形状を有するように形成されている。したがって、図11に示すように、印刷時のインクシート51は、供給ボビン52(図4参照)から送出された直後に、搬送方向(矢印A方向)の上流側で、用紙ガイド部材28のインクシートガイド部28fによって、搬送方向(矢印A方向)を斜め下方向から略水平方向に変化させて印字ヘッド2の印字部2eに向かって案内されるように構成されている。
また、用紙ガイド部材28は、図8に示すように、用紙ガイド部28aと垂直壁28cとの接合強度を確保するためのリブ28h(本実施形態では3箇所)が、用紙ガイド部28aの後端部の内側に設けられている。また、用紙ガイド部材28は、図8に示すように、印字ヘッド2に取り付けられた際に、幅方向(矢印X方向)の位置決めおよび固定を行うための固定部28iおよび28jが左右にそれぞれ設けられている。
また、図6に示すように、ヘッド部2bの印字部2eには、ヘッド部2bの幅方向(図中の矢印X方向)に沿って複数の発熱体29(外形を破線で示す)が設けられている。また、図10に示すように、この発熱体29が設けられた印字部2e(図10の一点鎖線参照)は、インクシート51の幅W1よりも大きい幅W2を有し、インクシート51の全幅に渡って当接できるように設けられている。また、印字ヘッド2は、図4に示すように、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bの内面側にそれぞれ取り付けられた一対の支持軸2aを中心として、上下方向(矢印P1方向および矢印Q1方向)に回動可能となるように配置されている。
また、本実施形態では、図11に示すように、ヘッド部2bの印字部2eは、発熱体29と、発熱体29を固定するセラミック製の発熱体固定部材2mと、発熱体29と電気的に接続される配線パターンを有する樹脂製の基板2nとからなる。発熱体29と基板2nの配線パターンとは発熱体固定部材2mの表面上に設けられた配線により接続されている。そして、この配線を覆うように、絶縁性を有する樹脂材料からなるとともに、配線の保護膜として機能する突出部2kが設けられている。
また、本実施形態では、この樹脂材料により形成される突出部2kは、図11に示すように、ヘッド部2bの下方に向かって突出するように形成されている。この突出部2kの表面(図中では突出部2kの下面)には、突出部2kの全面を覆うように表面層2lが設けられており、この突出部2kと、表面層2lとにより、インクシートガイド部2iが構成されている。つまり、インクシートガイド部2iの突出部2kは、発熱体29と基板2nとを接続する配線の保護膜としての機能と、インクシート51と当接するインクシートガイド部2iの一部を構成する機能との両方の機能を有している。
また、本実施形態では、インクシートガイド部2iの当接部2jを構成する表面層2lは、図11に示すように、インクシート51の搬送方向(矢印A方向)に沿った丸みを帯びた断面形状を有する曲面状に形成されるとともに、印刷時にインクシート51と当接するように形成されている。これにより、インクシート51はインクシートガイド部2iと搬送方向に沿った丸みを帯びた曲面状の表面層2lで当接することができるので、インクシート51の搬送時の摺動によりインクシート51の表面に傷が付くのを抑制することが可能なように構成されている。
ここで、本実施形態では、インクシートガイド部2iは、印字ヘッド2の印字部2eとインクシートガイド部28fとの間に設けられている。このインクシートガイド部2iの当接部2jと印字部2eの発熱体29との間の距離L1は、インクシートガイド部28fの当接部28gとインクシートガイド部2iとの間の距離L2よりも小さい距離を有する。すなわち、インクシートガイド部2iは、印字ヘッド2の印字部2eの近傍でインクシート51と当接するように構成されている。また、このインクシートガイド部2iは、ヘッド部2bの幅方向(図9の矢印X方向)に沿って延びるように、発熱体29の近傍に設けられている。ここで、図10に示すように、インクシートガイド部2i(図10の破線参照)の幅W1は、インクシート51の幅W2よりも大きい幅を有するように構成されている。これにより、印刷時にヘッド2がインクシート51に対して上方から矢印Y方向に当接する際、インクシートガイド2iの当接部2jが、インクシート51の搬送方向と交差する方向(矢印X方向)の全幅に渡って当接するように構成されている。
また、本実施形態では、このインクシートガイド部2iは、図11に示すように、印字部2eの発熱体29よりも下方に突出するように形成されている。このため、印刷時には、インクシート51が供給ボビン52(図4参照)から送出された直後に用紙ガイド部材28のインクシートガイド部28fによって、搬送方向(巻取方向(矢印A方向))を斜め下方向から略水平方向に変化させて印字ヘッド2の印字部2eに向かって案内される。そして、インクシート51は、インクシートガイド部2iの当接部2jと当接しながら印字部2eの発熱体29まで案内されるように構成されている。この際、インクシート51の搬送に伴い、インクシートガイド部28fと発熱体29との間で発生する振動を、インクシートガイド部2iが発熱体29の近傍でインクシート51と当接することにより抑制する。これにより、インクシート51と発熱体29およびプラテンローラ3との当接部分でインクシート51に皺が発生するのを抑制するように構成されている。
ここで、本実施形態では、図11に示すように、インクシートガイド部2iの突出部2kの全面を覆う表面層2lは、耐熱性を有するとともに突出部2kよりも低い摩擦係数を有するポリイミド樹脂により形成されている。したがって、表面層2lは突出部2kよりも低い摩擦係数を有するので、インクシート51が、搬送時にインクシートガイド部2iの当接面を構成する表面層2lと当接する際に、インクシート51と表面層2lとの摺動によりインクシート51の表面に傷が付くのを抑制できるように構成されている。また、本実施形態では、表面層2lが耐熱性を有するので、印刷時に発熱体29の周辺が高温になる場合にも、インクシートガイド部2iの溶融や変形を防止することが可能となる。
また、本実施形態では、図8に示すように、印字ヘッド2の放熱部2dの上面には、板金製の係合部材30がネジ31によって取り付けられている。また、図8に示すように、係合部材30には、切欠部30aとヘッド部押圧部材8(図4参照)の突起部8b(図4参照)とが係合することにより印字ヘッド2(図4参照)を上下動させるための係合部30bと、放熱部2dのうちヘッド部2bに対応する部分の上面に固定される固定部30cと、印字ヘッド2の前面部2h側に固定部30cから実質的に垂直方向下向きに折り曲げられて延びる連結部30dと、連結部30dから印字ヘッド2の幅方向(図中の矢印X方向)に沿って延びるように配置されたインクシートガイド部30eとが一体的に設けられている。なお、インクシートガイド部30eは、本発明の「第3ガイド部」の一例である。
また、インクシートガイド部30eは、平面的に見て、図9に示すように、印字ヘッド2の幅方向(矢印X方向)に設けられている。このインクシートガイド部30eは、図9に示すように、インクシート51の幅W2(図10参照)よりも大きい幅W1を有し、印刷時に、当接部30fがインクシート51の全幅で当接するように構成されている。また、図11に示すように、インクシートガイド部30eは、印字ヘッド2よりもインクシート51の搬送方向(矢印A方向)の下流側に配置されている。インクシートガイド部30eの当接部30fと印字部2eの発熱体29との間の距離L3は、インクシートガイド部2iの当接部2jと発熱体29との間の距離L1と実質的に同じ程度の長さを有するように構成されている。これにより、インクシートガイド部30eの当接部30fは、印字ヘッド2の近傍でインクシート51と当接するように構成されている。
また、本実施形態では、図11に示すように、印刷時にインクシート51に対して上方から当接するインクシートガイド部30eの当接部30fは、板金部材を実質的に180度折り返すことによって形成されるとともに、インクシート51が滑らかに当接することが可能なように、インクシート51の搬送方向(図中の矢印A方向)に沿った当接部30fの形状がU字形状を有するように形成されている。したがって、図11に示すように、印刷時のインクシート51は、供給ボビン52(図4参照)から供給され、印字ヘッド2の印字部2eを矢印A方向に通過した直後に、インクシートガイド部30eの当接部30fによって、搬送方向(巻取方向)を略水平方向から斜め上方向に変化させて巻取ボビン53(図4参照)に巻き取られるように構成されている。これにより、インクシートガイド部30eは、図11に示すように、印字ヘッド2の印字部2eで転写された直後に、インクシート51の搬送方向(矢印A方向)の下流側の印字ヘッド2の近傍で、インクシート51とインクシートガイド部30eの当接部30fとが当接することにより、インクシート51の搬送状態を安定させるとともに、巻取ボビン53(図4参照)に向かってインクシート51を案内することが可能なように形成されている。
また、係合部材30のヘッド部2bの上方に位置する領域には、図8に示すように、第1バネ固定部30gおよび第2バネ固定部30hが一体的に設けられている。そして、第1バネ固定部30gおよび第2バネ固定部30hには、ヘッド部2bをプラテンローラ3(図11参照)側に付勢するための第1ねじりコイルバネ32および第2ねじりコイルバネ33が、それぞれ、ヘッド部押圧部材7および8(図7参照)に対応する領域に配置されている。そして、図8に示すように、第1ねじりコイルバネ32および第2ねじりコイルバネ33は、それぞれ、係合部材30の第1バネ固定部30gおよび第2バネ固定部30hに固定されている。また、係合部材30の第1バネ固定部30gには、図8に示すように、係止部30iおよび突出部30jがそれぞれ設けられている。また、係合部材30の第2バネ固定部30hには、図8に示すように、係止部30kおよび突出部30lがそれぞれ設けられている。
また、図8に示すように、第1ねじりコイルバネ32は、ヘッド部押圧部材7(図7参照)が下方に回動したときに、ヘッド部押圧部材7(図7参照)の押圧部7a(図1参照)に押圧される一方端部32aと、その一方端部32aが押圧されることにより発生した付勢力を固定部30cを介してヘッド部2bの上面(上部)に伝達する他方端部32bとを有している。また、図7および図8に示すように、第2ねじりコイルバネ33は、ヘッド部押圧部材8(図7参照)が下方に回動したときに、ヘッド部押圧部材8(図7参照)の押圧部8b(図7参照)に押圧される一方端部33aと、その一方端部33aが押圧されることにより発生した付勢力を固定部30cを介してヘッド部2bの上面(上部)に伝達する他方端部33bとを有している。したがって、図6および図7に示すように、ヘッド部2bの上面(上部)に伝達された第1ねじりコイルバネ32および第2ねじりコイルバネ33の付勢力により、ヘッド部2bの印字部2eがプラテンローラ3側に所定の押圧力で押圧されることが可能なように構成されている。
なお、図7および図8に示すように、第1ねじりコイルバネ32の一方端部32aは、係合部材30の係止部30iに係止されているとともに、他方端部32bは、係合部材30の突出部30jに固定されている。また、図7および図8に示すように、第2ねじりコイルバネ33の一方端部33aは、係合部材30の係止部30kに係止されているとともに、他方端部33bは、係合部材30の突出部30lに固定されている。
また、図4に示すように、ヘッド部押圧部材8が上方(矢印Q2方向)に回動する際は、ヘッド部押圧部材8の突起部8bと係合部30bの切欠部30aとが係合することによってヘッド部2bも上方(矢印P2方向)に回動されるように構成されている。その結果、図4に示すように、ヘッド部押圧部材8が上方(矢印Q2方向)に回動する際は、プラテンローラ3に押圧されたヘッド部2bがプラテンローラ3から上方に離間されるように構成されている。
また、図6および図7に示すように、駆動ギア9および中間ギア34(図7参照)は、ステッピングモータ19(図2参照)の駆動力をヘッド部押圧部材7および8に伝達して、ヘッド部押圧部材7および8を回動させるために設けられている。この駆動ギア9は、シャーシ1の一方側面1aの内側に取り付けられている。また、中間ギア34およびステッピングモータ19は、図7に示すように、モータブラケット17を介してシャーシ1の一方側面1a側の外側に取り付けられている。また、駆動ギア9の小径ギア部9aは、図7に示すように、ヘッド部押圧部材7のギア部7bに噛合されているとともに、駆動ギア9の大径ギア部9bは、中間ギア34の小径ギア34aに噛合されている。また、中間ギア34の大径ギア34bは、図7に示すように、ステッピングモータ19のモータギア35に噛合されている。これにより、ステッピングモータ19の駆動力が、中間ギア34および駆動ギア9を介してヘッド部押圧部材7および8に伝達されることが可能とされている。
また、図5に示すように、モータブラケット17に取り付けられたステッピングモータ18の軸部には、モータギア36が取り付けられている。また、ステッピングモータ18は、巻取リール16のギア部16aと、給紙ローラギア13と、排紙ローラギア15と、送りローラギア10とを駆動させるための駆動源としての機能を有している。
また、巻取リール16は、図4および図5に示すように、後述するインクシートカートリッジ50(図4参照)の巻取ボビン収納部54b(図4参照)の内部に配置された巻取ボビン53(図4参照)に係合することによって、巻取ボビン53に巻き付けられたインクシート51(図4参照)を巻き取るように構成されている。また、図5に示すように、巻取リール16のギア部16aは、揺動ギア20が揺動することによって噛合するように配置されている。
また、図4に示すように、下部用紙ガイド11aは、送りローラ4および押さえローラ5の近傍に設置されている。また、上部用紙ガイド11bは、下部用紙ガイド11aの上部に取り付けられている。この上部用紙ガイド11bは、給紙時には、用紙60が下面側を通過するようにして印刷部への給紙経路に案内するとともに、排紙時には、用紙60が上面側を通過するようにして排紙経路に案内することが可能なように構成されている。
また、筐体26は、図3に示すように、蓋部材26aおよび26bと、押しボタンスイッチ26cとを含んでいる。また、蓋部材26aおよび26bは、図3に示すように、下端部を中心として筐体26の外部側に回動可能に設けられている。また、筐体26の蓋部材26aは、図3に示すように、給紙カセット70を装置本体90に装着するために開閉可能に設けられている。なお、給紙カセット70が取り外された状態においては、蓋部材26aを閉じることにより、装置本体90の内部に埃などが侵入するのが抑制されるように構成されている。また、筐体26の蓋部材26bは、図3に示すように、インクシートカートリッジ50を装置本体90に装着するために開閉可能に設けられている。なお、インクシートカートリッジ50の着脱時以外は、蓋部材26bを閉じることにより、装置本体90の内部に埃などが侵入するのが抑制されるように構成されている。また、筐体26の押しボタンスイッチ26cは、図3に示すように、ユーザが印刷を開始する際の操作ボタンとして設けられている。
また、図1に示すように、インクシートカートリッジ50は、インクシート51を供給するための供給ボビン52と、供給されたインクシート51を矢印A方向に巻き取るための巻取ボビン53とを備えている。また、インクシートカートリッジ50を構成するカートリッジケース54は、図1に示すように、供給ボビン52を回動可能に収納する供給ボビン収納部54aと、巻取ボビン53を回動可能に収納する巻取ボビン収納部54bと、供給ボビン収納部54aおよび巻取ボビン収納部54bを所定の距離を隔てて連結する一対の連結部54cおよび54dとから構成されている。これにより、図1および図4に示すように、供給ボビン収納部54aおよび巻取ボビン収納部54bに、それぞれ、供給ボビン52および巻取ボビン53が収納されると、供給ボビン52および巻取ボビン53に巻き付けられたインクシート51は、供給ボビン収納部54aと巻取ボビン収納部54bとの所定の距離の間で、外部に露出された状態となる。また、インクシート51は、Y色(イエロー色)インクシート、M色(マゼンダ)インクシートおよびC色(シアン色)インクシートの3色のインクシートが順に繋げられて構成されている。また、インクシートカートリッジ50の供給ボビン収納部54aおよび巻取ボビン収納部54bの内部には、それぞれ、図示しない圧縮コイルバネが設けられている。この圧縮コイルバネにより、インクシートカートリッジ50は、装置本体90に装着された状態で、インクシートカートリッジ50の取り出し方向(図1の矢印B方向)に常に付勢されている。
図12〜図14は、図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための図である。次に、図3〜図7および図11〜図14を参照して、本実施形態による昇華型プリンタ100の印刷動作について説明する。
まず、印刷開始前の状態では、図12に示すように、印字ヘッド2のヘッド部2bが、プラテンローラ3に対して上方に離間された位置に保持されている。また、この場合、ヘッド部2bは、ヘッド部押圧部材8の突起部8bがヘッド部2bの上部に設けられた係合部材30の係合部30b(厳密には切欠部30aを示す)と係合していることにより、ヘッド部2bは矢印P1方向への回動が抑制されている。
そして、ユーザが押しボタンスイッチ26c(図3参照)を押圧することによって印刷動作が開始されると、図13に示すように、ステッピングモータ19(図6参照)が駆動して、ステッピングモータ19(図6参照)の駆動力が中間ギア34(図7参照)の大径ギア34b(図7参照)、小径ギア34a(図7参照)および駆動ギア9(図7参照)を介してヘッド部押圧部材7(図7参照)のギア部7b(図7参照)に伝達されることにより、ヘッド部押圧部材7(図7参照)が支持棒6を支点として矢印Q1方向に回動される。この際、ヘッド部押圧部材7および8(図7参照)が支持棒6に対して空回りすることがないので、ヘッド部押圧部材8もヘッド部押圧部材7(図7参照)と共に矢印Q1方向に回動される。そして、ヘッド部押圧部材8の突起部8bが矢印Q1方向に回動することにより、突起部8bにより矢印P1方向への回動が抑制されていたヘッド部2bが矢印P1方向に回動する。これにより、図12に示した状態から、図4に示すように、ヘッド部2bがプラテンローラ3に対して上方に離間された位置から徐々に降下し始め、プラテンローラ3側(押圧側)に移動を開始される。
また、印字ヘッド2の矢印P1方向への回動に伴って、図12に示した状態から、用紙60が印刷開始位置に向かって矢印T1方向に搬送(給紙)されるとともに、用紙60の前端部60aおよび後端部60bを検出するための用紙センサ27aおよび27bによって、図13に示すように、用紙60の頭出しが行われる。
ここで、図4に示すように、用紙60の前端部60aが、印字ヘッド2とプラテンローラ3との間を略水平方向に通過した後、用紙ガイド部材28の用紙ガイド部28aの下面に当接しながら斜め下方向に案内されることによって、用紙60の前端部60aが、インクシートカートリッジ50の供給ボビン収納部54aの内部に入り込むことが抑制されながら、用紙センサ27bの上部を矢印T1方向に通過する。
なお、給紙時には、図5に示すように、ステッピングモータ18が駆動するのに伴って、ステッピングモータ18に取り付けられたモータギア36が矢印C3方向に回動し、中間ギア21および22を介して、送りローラギア10が矢印C1方向に回動する。これにより、送りローラ4が、矢印C1方向に回動する。さらに、中間ギア23および24を介して、給紙ローラギア13および給紙ローラ12が、矢印C4方向に回動する。これにより、用紙60(図4参照)が給紙方向(図4の矢印T1方向)に搬送される。このとき、揺動可能な揺動ギア20(図5参照)は、巻取リール16(図5参照)のギア16a(図5参照)に噛合しておらず、巻取リール16(図5参照)のギア16a(図5参照)は回動しない。これにより、給紙時には、供給ボビン52(図4参照)に巻き付けられたインクシート51は、巻取ボビン53によって巻き取られない。
そして、図13に示すように、用紙60の頭出し完了後に、印字ヘッド2がインクシート51および用紙60を押圧する位置に移動された状態で、さらにヘッド部押圧部材7および8が矢印Q1方向に回動される。これにより、図7に示すように、ヘッド部押圧部材7の押圧部7aによって、係合部材30の第1バネ固定部30gに取り付けられた第1ねじりコイルバネ32の一方端部32aが押圧される。また、ヘッド部押圧部材8の押圧部8aによって、係合部材30の第2バネ固定部30hに取り付けられた第2ねじりコイルバネ33の一方端部33aが押圧される。この際、第1ねじりコイルバネ32および33に付勢力が発生するとともに、その付勢力が第1ねじりコイルバネ32および第2ねじりコイルバネ33の各々の他方端部32bおよび33bを介してヘッド部2bの上部に伝達される。これにより、図13に示すように、ヘッド部2bの印字部2eが、インクシート51(Y色インクシート)および用紙60を介して、プラテンローラ3に押圧される。
ここで、本実施形態では、図11に示すように、印字ヘッド2のヘッド部2bが回動して、インクシート51に対して上方から矢印Y方向に当接する際、インクシートガイド部28fが、インクシート51に対して、インクシート51の搬送方向(矢印A方向)の上流側で当接を開始される。そして、インクシート51は、図11に示すように、供給ボビン52(図13参照)から送出された直後に、用紙ガイド部材28のインクシートガイド部28fによって、斜め下方向に引っ張られるとともに、インクシートガイド部28fの表面に沿って搬送方向(巻取方向)を斜め下方向から略水平方向に変化させて搬送される。そして、インクシートガイド部28fを通過したインクシート51は、図11に示すように、印字ヘッド2の印字部2eに設けられた発熱体29の近傍に配置されたインクシートガイド部2iと当接する。このインクシートガイド部2iは、図11に示すように、印字部2eの発熱体29よりも下方に突出して形成されているので、インクシートガイド部28fとインクシートガイド部2iとの間で略水平方向に搬送されていたインクシート51は、インクシートガイド部2iの表面に沿って印字部2eの発熱体29に向かって搬送される。また、この際、インクシート51の搬送に伴って、印字部2eの発熱体29とインクシートガイド部28fとの間においてインクシート51に上下方向の振動が生じるのを、印字部2eの近傍に配置されたインクシートガイド部2iとインクシート51とが当接することにより抑制する。このため、インクシート51は、インクシートガイド部2iと発熱体29との間では、振動を抑制された状態で発熱体29に案内される。
そして、図11に示すように、印字部2eの発熱体29が発熱することによって、インクシート51(Y色インクシート)のインクが溶融・昇華して、用紙60にインクが転写される。
また、図5に示すように、ステッピングモータ18が駆動するのに伴って、ステッピングモータ18に取り付けられたモータギア36が矢印D3方向に回動し、中間ギア21および22を介して、送りローラギア10が矢印D1方向に回動する。これにより、送りローラ4は、図13に示すように、送りローラギア10(図5参照)の回動に伴って、図5の矢印D1方向に回動されているので、用紙60は、排紙方向(矢印U1方向)に搬送される。また、揺動可能な揺動ギア20は、図5に示すように、巻取リール16のギア部16aに噛合する方向(矢印D2方向)に揺動されて、巻取リール16のギア部16aと噛合される。これにより、巻取リール16のギア部16aが矢印D4方向に回動されるので、供給ボビン52(図13参照)に巻き付けられたインクシート51が巻取ボビン53に巻き取られる。このようにして、図13に示すように、用紙60およびインクシート51は、ともに排紙方向(矢印U1方向)に搬送されながら、インクシート51(Y色インクシート)のインクが連続して用紙60に転写される。
また、本実施形態では、図11に示すように、インクが用紙60に転写された直後のインクシート51が矢印A方向に搬送される際、インクシート51は、印字ヘッド2の近傍に設けられたインクシートガイド部30eの当接部30fにより搬送方向を略水平方向から斜め上方向に変化させるともに、巻取ボビン53(図13参照)によって巻き取られていく。この際、インクシート51とインクシートガイド部30eとが全幅(図9参照)に渡って当接することにより、発熱体29の搬送方向(矢印A方向)の下流側において、インクシート51を巻取ボビン53(図13参照)に巻き取るための引張り力の変化や熱によるインクシート51の伸びによってインクシート51の搬送状態が変化するのを抑制する。
次に、Y色(イエロー色)インクシートの印刷が終了されると、ステッピングモータ19(図5参照)が駆動され、ステッピングモータ19の駆動力が、中間ギア34(図7参照)および駆動ギア9(図7参照)を介してヘッド部押圧部材7のギア部7b(図7参照)に伝達される。そして、ヘッド部押圧部材7(図7参照)が、図14に示すように、支持棒6を中心として矢印Q2方向に回動される。このとき、ヘッド部押圧部材7および8(図7参照)が支持棒6に対して空回りすることがないので、ヘッド部押圧部材8も矢印Q2方向に回動される。そして、ヘッド部押圧部材8の突起部8bが矢印Q2方向に回動されることにより、ヘッド部押圧部材8の突起部8bにより突起部8bと係合する印字ヘッド2の係合部材30の係合部30b(厳密には切欠部30aを示す)が上方に持ち上げられるとともに、印字ヘッド2のヘッド部2bが矢印P2方向に回動される。これにより、印字ヘッド2のヘッド部2bがプラテンローラ3に対して離間された位置に移動される。
そして、図5に示すように、ステッピングモータ18が駆動するのに伴って、ステッピングモータ18に取り付けられたモータギア36が矢印C3方向に回動されるとともに、中間ギア21および22を介して、送りローラギア10が矢印C1方向に回動される。これにより、送りローラ4は、図14に示すように、送りローラギア10(図5参照)の回動に伴って、矢印C1方向に回動されているので、用紙60は給紙方向(矢印T1方向)に再び搬送され、用紙センサ27aおよび27bによって、用紙60の頭出しが行われる。また、揺動可能な揺動ギア20(図5参照)は、巻取リール16(図5参照)のギア部16aと離間する方向(図5の矢印C2方向)に揺動される。これにより、供給ボビン52に巻き付けられたインクシート51が巻取ボビン53に巻き取られることなく、用紙60のみが給紙方向に搬送される。
その後、M色(マゼンタ色)インクシートおよびC色(シアン色)インクシートについて、図12〜図14に示した上記のY色(イエロー色)インクシートを印刷する際の印刷動作と同様の動作が繰り返し行われる。
また、本実施形態では、インクシート51(図13参照)のM色(マゼンタ色)インクシートおよびC色(シアン色)インクシートが、それぞれ、巻取ボビン53(図13参照)によって巻き取られながら用紙60(図13参照)に印刷が繰り返される際も、図11に示すように、インクシート51がインクシートガイド部28fおよびインクシートガイド部2iと当接しながら搬送されることにより、搬送時に生じる振動を抑制するとともに印字部2eの発熱体29に案内される。そして、印字部2eの発熱体29が発熱することによって、インクシート51(M色インクシートおよびC色インクシート)のインクが溶融・昇華して、用紙60にインクが転写される。
そして、本実施形態では、図11に示すように、Y色インクが用紙60に転写された時と同様に、インクシート51のM色インクおよびC色インクがそれぞれ用紙60に転写されながらが矢印A方向に搬送される際も、インクシート51は、印字ヘッド2の前面部2hの近傍に設けられたインクシートガイド部30eの当接部30fと当接することにより、搬送方向を略水平方向から斜め上方向に変化させるとともに印字部2eの下流側におけるインクシート51の搬送状態を安定させながら巻取ボビン53(図14参照)によって巻き取られていく。
そして、全ての色のインクシート51の印刷が終了されると、用紙60が排紙方向(図14の矢印U1方向)に搬送され、装置本体90の外部に排出される。そして、印字ヘッド2のヘッド部2bが、図12に示すように、プラテンローラ3に対して上方に離間された位置まで矢印P2方向に回動され、用紙60への印刷動作が終了される。
本実施形態では、上記のように、印字ヘッド2よりもインクシート51の搬送方向(図11の矢印A方向)の上流側に位置し、インクシート51を印字ヘッド2へ案内するインクシートガイド部28fと、印字ヘッド2の印字部2eとインクシートガイド部28fとの間に位置し、インクシート51と当接するインクシートガイド部2iとを備えるように構成することによって、印刷時にインクシート51の搬送に伴って印字ヘッド2の印字部2eとインクシートガイド部28fとの間に生じる振動を、インクシート51とインクシートガイド部2iとが当接することにより抑制することができる。これにより、インクシート51の振動が抑制されるため、インクシート51の振動に起因するインクシート51の皺の発生を抑制することができる。
また、本実施形態では、インクシートガイド部2iは、インクシート51の搬送方向(図11の矢印A方向)と交差する方向の略全幅に渡ってインクシート51と当接するように構成することによって、搬送されるインクシート51の略全幅に渡ってインクシートガイド部2iが当接するので、インクシート51の略全幅に渡って振動を抑制することができるので、インクシート51の略全幅で皺の発生を抑制することができる。
また、本実施形態では、インクシートガイド部2iは、印字ヘッド2の印字部2eの近傍でインクシート51と当接するとともに印字ヘッド2からインクシート51に向かって突出するように設けることによって、インクシートガイド部2iが印字部2eの近傍で当接することにより、インクシート51を、振動が取り除かれた状態のまま直ちに印字部2eへ送り込むことができる。
また、本実施形態では、インクシートガイド部2iのインクシート51との当接面は、インクシート51の搬送方向(矢印A方向、図11参照)に沿った丸みを帯びた断面形状を有する曲面状に形成することによって、インクシート51は、インクシートガイド部2iと搬送方向(図11の矢印A方向)に沿った丸みを帯びた曲面状の当接面で当接することができるので、インクシート51の搬送時の摺動によりインクシート51の表面に傷が付くのを抑制することができる。
また、本実施形態では、インクシートガイド部2iは、印字ヘッド2からインクシート51に向かって突出する突出部2kと、突出部2kよりも低い摩擦係数を有する材料により形成された表面層2lとを含むように構成することによって、インクシートガイド部2iとインクシート51との当接面を構成する表面層2lを突出部2kよりも低い摩擦係数を有する材料によって形成することにより、インクシート51の搬送時のインクシート51とインクシートガイド部2iの表面層2lとの摺動によって、インクシート51の表面に傷が付くのをより抑制することができる。
また、本実施形態では、印字ヘッド2よりもインクシート51の搬送方向(図11の矢印A方向)の下流側に位置し、印字ヘッド2の近傍でインクシート51と当接するとともにインクシート51を案内するインクシートガイド部30eをさらに備えるように構成することによって、インクシート51とインクシートガイド部30eとが印字部2eの下流側で当接することにより、印字される前の上流側だけでなく、印字された後の下流側のインクシート51の搬送状態を安定させることができる。これにより、搬送方向下流側のインクシート51の搬送状態の乱れによる影響が、印刷を行う印字部2eの近傍に及ぶのを抑制することができるので、印画品質を向上させることができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、画像形成装置の一例としての昇華型プリンタに本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、インクシートに当接する印字部を含み、用紙に画像が印刷可能な印字ヘッドを備えた画像形成装置であれば、昇華型プリンタ以外の他の画像形成装置にも適用可能である。
また、上記実施形態では、インクシートガイド部2iを、インクヘッド2のヘッド部2bから突出するように設けられる例を示したが、本発明はこれに限らず、インクシートガイド部をヘッド部から突出して設けなくともよい。たとえば、回動可能なローラで構成されるインクシートガイド部を、印字ヘッドの印字部の近傍に別途設けることにより、インクシートガイド部が、印字部の発熱体の近傍でインクシートと当接するように構成されていてもよい。
また、上記実施形態では、インクシートガイド部2iを構成する突出部2kを、発熱体29の配線を覆う絶縁性の保護膜としての機能を兼ねるように設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、インクシートガイド部の突出部は、絶縁性を有する必要はない。また、配線の保護膜としての機能を兼ねる必要もない。この場合、発熱体と接続される配線には別途絶縁性を有する部材により絶縁すればよい。
また、上記実施形態では、インクシートガイド部2iの表面層2lは、耐熱性と突出部2kよりも低い摩擦係数とを有するポリイミド樹脂により形成されている例を示したが、本発明はこれに限らず、表面層は、ポリイミド樹脂以外の樹脂材料や金属材料により形成されていてもよい。表面層は、突出部よりも低い摩擦係数を有する材料により、インクシートが搬送時の摺動によってインクシート51の表面に傷が付くのを抑制できるように形成されていればよい。