JP4633312B2 - 改良された充填剤を有する喫煙物品ラッパー - Google Patents

Description

【０００１】
発 明 の 分 野
本発明は喫煙物品ラッパー(wrapper)に関する。特に、本発明は喫煙物品の使用中に生成される煙から低分子量アルデヒドの如きガス成分の含有量を選択的に減らすのに有効である喫煙物品のための巻紙における新規な充填剤として使用されるアンモニウム含有化合物に関する。
【０００２】
発 明 の 背 景
喫煙物品のための巻紙は米国特許Ｎｏ．２６７３５６５；２８０１６３６；３７４４４９６；３９３１８２４；４１２９１３４；４２２５６３６；４２３１３７７；４４２０００２；４４３３６９７；４４５０８４７；４６２２９８３；４８０５６４４；４８８１５５７；４９１１１８４；４９１５１１８；４９２４８８８；４９４１４８５；４９４１４８６；４９８４５８９；４９９８５４２；４９９８５４３；５０６０６７４；５０９２３０６；５１０５８３７；５１０３８４４；５１２１７５９；５１３１４１６；５２２０９３０；５２２８４６３；５４５０８６２；及び５５４０２４２に開示されており、それらの開示はここに参考として組み入れられる。
【０００３】
上記特許のうち‘６７４特許は燃焼改質剤としてシガレット用巻紙に燐酸一アンモニウムを添加することを開示し、‘５４３特許は内側紙上の凝縮後の膨れ上がりによる外側紙の筋形成を減らすためにシガレット用巻紙に燐酸一アンモニウムを添加することを開示し、‘８３７特許は燃焼抑制剤としてシガレット用巻紙に塩化アンモニウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸一アンモニウム及び燐酸二ナトリウムなどのハロゲン化物塩、硫酸塩及び燐酸塩を添加することを開示し、‘２４２特許は副流煙を減らすためにフィルム形成添加剤としてシガレット用巻紙にアルギン酸アンモニウムを含むアルギン酸塩を添加することを開示する。
【０００４】
米国特許Ｎｏ．２８１５７６０はフィルター中でアルデヒドの如きカルボニル化合物と化学反応し保持するイオン交換材料を有するタバコ煙フィルターを開示する。米国特許Ｎｏ．３６８５０７０はタバコ煙中の細胞に有害な物質を減らすために脂質溶解性酸化防止剤Ｎ，Ｎ′−ジフェニル−ｐ−フェニレンジアミン（ＤＤＰＤ）を含有するタバコ煙フィルターを開示する。米国特許Ｎｏ．３７１６０６３は揮発性アルデヒドを選択的に除去するタバコ煙フィルターを開示し、そこではフィルターが緩衝されたポリ（アルキレンイミン）で含浸されたアルミナの如き多孔質粒状材料である。米国特許Ｎｏ．３８７８８５３はタバコ煙から繊毛に有害な化合物の除去のためにカチオン成分及び高分子量ポリアミン成分を含有するシガレットフィルターを開示する。
【０００５】
主流煙からアルデヒドを除去するためにシガレットフィルターに対する改良について従来技術では提案されているが、かかる提案はタバコ喫煙物品のラッパーが主流煙中のガス成分の含有量を減らすのに有効である本発明とは程遠い。
【０００６】
発 明 の 概 要
本発明はタバコがラッパーによって収容される喫煙物品のためのラッパーであって、ラッパーがセルロースウェブ材料及びその中に少なくとも一つの充填剤を含み、充填剤が喫煙物品の燃焼／熱分解で生成される煙中のガス成分の含有量を選択的に減らすのに有効であるラッパーを提供する。好ましい例によれば、ラッパーは喫煙物品の燃焼／熱分解で生成される煙中のアルデヒド含有量を減少するのに有効な量でアンモニウム含有化合物を有するシガレット用巻紙を含む。アンモニウム含有化合物充填剤はマグネシウムアンモニウム燐酸塩の如き低溶解性の無機アンモニウム金属塩であることが好ましい。喫煙物品のためのラッパーの作成において充填剤として使用されるとき、最終ラッパー重量の約１０％〜約６０％、好ましくはラッパーの全重量に基づいて約２０％〜約５０％に等しい量が使用されるべきである。
【０００７】
本発明の喫煙物品ラッパーではアンモニウム含有化合物は単一の充填剤として使用されてもよくあるいは公知の他の充填剤と混合されてもよい。充填剤は二つ以上の異なるアンモニウム含有化合物を含むことができる。ラッパーは約１５ｇ／ｍ^２〜約７５ｇ／ｍ^２の坪量、好ましくは約２０ｇ／ｍ^２〜約５０ｇ／ｍ^２の坪量、及び約２コレスタ単位〜約２００コレスタ単位、好ましくは約１０コレスタ単位〜約１１０コレスタ単位の多孔度を有することができる。ラッパーはラッパーの全重量に基づいて約２重量％〜約１５重量％の燃焼添加剤を含むことができる。さらに、本発明のラッパーは従来の一つのラッパー構成、マルチラップ構成又は多層単一ラップ構成であってもよい。マルチラップ構成又は多層構成は異なるレベルのアンモニウム含有充填剤を有してもよい。もし望むなら、ラッパーはせん孔されるか及び／又はフィルム形成剤を含む。好ましい例では、アンモニウム含有化合物充填剤を含むラッパーは燃焼／熱分解すると煙中の低分子量アルデヒドの量の減少に導く喫煙物品内にタバコを収容するために使用される。
【０００８】
図面の簡単な記述
図１は本発明によるマグネシウムアンモニウム燐酸塩含有シガレット用巻紙におけるアンモニアに対するアルデヒド減少量のグラフである。
図２は本発明による単一ラッパーを有する伝統的なシガレットの透視図である。
図３は本発明による一以上のラッパーを有するあまり伝統的でないシガレットの透視図である。
【０００９】
好ましい例の詳細な記述
本発明によれば、ラッパーの充填剤が喫煙物品の燃焼／熱分解によって生成される煙中のガス成分の含有量を減らすのに有効である喫煙物品のラッパーが提供される。ラッパーは巻紙中の充填剤が喫煙物品の燃焼／熱分解中の主流タバコ煙のアルデヒドの含有量を減らすのに有効である巻紙であることが好ましい。
【００１０】
本発明によるラッパーは従来の抄紙プロセスによって製造されることができ、そこでは煙中のガス成分の含有量を減らすのに有効である低溶解性の充填剤が単独で又は他の充填剤材料との混合物として水性スラリー含有セルロース材料に添加される。
【００１１】
本発明の第一側面によれば、充填剤はタバコ及びタバコ含有製品がラッパーによって収容される喫煙物品のラッパーのために提案される。ここで使用されるものとしてタバコという用語はシガレット中に通常見られる刻みタバコ葉充填剤だけでなく、膨張したタバコ(expanded tobacco)、成形タバコ(extruded tobacco)、再構成タバコ、タバコ茎、タバコ代替物、及び合成タバコ、及びそれらのブレンドを含む。タバコロッドはいかなる実質的に円柱形のタバコ含有喫煙物品、例えばシガレットを含む。
【００１２】
本発明の第一例によれば、喫煙物品ラッパーを製造するために使用される充填剤材料の物理及び化学特性は喫煙物品の燃焼／熱分解中に生成される煙のアルデヒド含有量を減らすように選択及び利用される。好ましい例によれば、紙充填剤はタバコ煙中のアルデヒドと化学反応するか及び／又は燃焼／熱分解反応を改質するアンモニアを加熱時に発生するアンモニア含有化合物を含み、それによってアルデヒドの初期形成を減らしてかかるアルデヒドの喫煙者への送出を減少する。
【００１３】
好ましいアンモニア含有化合物はＭｇＮＨ_４ＰＯ_４・ｘＨ_２Ｏ（式中、ｘは１〜６の範囲である）の如きアンモニウム−アルカリ土類金属塩のような無機アンモニウム金属塩である。アンモニウム含有化合物は従来の抄紙プロセスで適合するように低い水溶解性を有することが好ましい。例えば充填剤は亜麻などの如き紙の成分を含有する水分散液に実質的に不溶解性であることが好ましい。即ち、アンモニウム含有化合物は最終紙製品において充填剤としてそのまま残るように抄紙プロセスにおいて十分に安定させるべきである。これは抄紙プロセスにおいて乾燥工程を残すために十分な熱安定性を含む。マグネシウムアンモニウム燐酸塩及びその水和物は従来の抄紙プロセスに良く適しており、煙中のある低分子量アルデヒドの含有量を大きく減少する方法で喫煙プロセス中にアンモニアを放出する。マグネシウムカリウム燐酸塩はマグネシウムアンモニウム燐酸塩と同型構造であり、それと固溶体を形成することができる。かかる固溶体は煙中のアルデヒド含有量を減らすために有効である。但し、本発明の最良の例はかかる固溶体のカリウム含有量を最小にする。
【００１４】
アンモニウム含有化合物充填剤は次の鉱物相の一種以上を含むことができる：ジットマライト(dittmarite)、ストラバイト(struvite) 、ハナヤイト(hannayite)、スケルテライト(schertelite)、ムンドラビライト(mundrabillaite)及びスワクノイト(swaknoite)。
【００１５】
充填剤材料として有用であると考えられるアンモニウム含有化合物はある範囲の表面積、ある範囲の粒子サイズ（ほとんどミクロンの範囲）を有し、適当な不透明度を持ち、（抄紙のために要求される）低い水溶解性を有し、シガレット用巻紙のための充填剤において望ましいと考えられる他の特性を持つ。シガレット紙のための充填剤の目的のために、充填剤は好ましくは２５μｍ以下、より好ましくは１０μｍ以下の粒子サイズを有する。
【００１６】
喫煙物品のためのラッパーの作成において充填剤として使用されるとき、アンモニウム含有化合物充填剤の好ましい量は最終ラッパーの約１０重量％〜約６０重量％、より好ましくは約２０重量％〜約５０重量％に等しい。この百分率は充填剤装填量として言及される。アンモニウム含有化合物は単一の充填剤であることができ又はそれは紙中の一以上の他の充填剤と混合されることができる。混合物の場合には充填剤装填量の一部、例えば６０重量％以下は一以上の無機炭酸塩、無機水酸化物、無機酸化物、又は無機燐酸塩を含むことができる。かかる充填剤の例は例えば炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、及び二酸化チタン並びに公知の他の充填剤を含む。
【００１７】
本発明の充填剤を含有するラッパーは約１５ｇ／ｍ^２〜約７５ｇ／ｍ^２の坪量を有することができ、コレスタ法によって測定されると約２〜約２００ｃｍ^３／分／ｃｍ^２の多孔度（“コレスタ単位”）を有することができる。最も好ましい坪量は約２０〜約５０ｇ／ｍ^２であり、最も好ましい多孔度は約１０〜約１１０コレスタ単位である。
【００１８】
カルボン酸又は燐酸のアルカリ金属塩の如き燃焼添加剤は生成した喫煙物品の燃焼速度を調整又は制御するためにラッパーに適用されることができる。例えば、燃焼添加剤はラッパーの約２重量％〜約１５重量％の量で適用されることができる。燃焼添加剤の例はフマル酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、コハク酸カリウム、燐酸一水素カリウム、及び燐酸二水素カリウムを含む。
【００１９】
本発明の充填剤を含有するラッパーを作るために、炭酸カルシウムの如き従来のシガレット用巻紙充填剤と組み合わせて又はその代わりに本発明によるアンモニウム含有化合物充填剤を含めて従来のシガレット用巻紙製造手順が使用される。巻紙は亜麻、木材パルプ、又は他の植物繊維から作られてもよい。さらに巻紙は従来の単一ラッパー構成、マルチラップ構成又は多層単一ラップ構成であってもよい。
【００２０】
本発明の実施及び有益な結果を示すために、幾つかのシガレット用巻紙組成物が異なる充填剤で紙の平方メートルあたりの全充填剤重量を変えて作られた。紙の平方メートルあたりの全充填剤重量は紙の坪量（厚さ）及び／又は充填剤装填量を調整することによって制御される。手すき紙及び抄紙機製造紙並びに手で作られたシガレット及び機械製造シガレットの例が含まれる。使用されるシガレット構成は図３に示されたあまり伝統的でないデザインのものであり、そこではシガレットは米国特許Ｎｏ．５６９２５２５（その全内容はここに参考として組み入れられる）に記載された電子喫煙装置で使用可能である。シガレットの外部巻紙（７１）として本発明の巻紙を使用して作られたシガレットの主流煙におけるホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドレベルは喫煙方法全体を使用して分析され、２８ｇ／ｍ^２の坪量及び４６コレスタの多孔度で約３５重量％の炭酸カルシウムを含有する外部巻紙を使用する同じ構成の対照シガレットと同じ喫煙条件を使用して比較された。表１は充填剤、充填剤レベル、坪量、多孔度及び紙の平方センチメートルあたりに利用可能なアンモニアの量、及び各シガレットの対照シガレットに対する主流煙中のホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドの含有量の百分率減少率を含む巻紙の記載とともに様々なシガレット試料を掲載する。表１に示されているように、シガレット用巻紙の充填剤としてのアンモニウム含有化合物マグネシウムアンモニウム燐酸塩の使用は驚くべきことにかつ予期せぬことに９１％までの主流煙中のホルムアルデヒドの含有量の減少率を生み出した。
【００２１】
【表１】

＊各試料について掲載された値は匹敵しうるエネルギーを使用する電子喫煙
装置で喫煙された三つのシガレットの平均である。
【００２２】
図１は本発明によるマグネシウムアンモニウム燐酸塩を含有するシガレット用巻紙における利用可能なアンモニア（紙のμｍｏｌ／ｃｍ^２）に対するホルムアルデヒド及びアセトアルデヒド減少率のグラフである。図１に示されているように、主流煙中のホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドの含有量の百分率減少率は紙の単位面積あたりの（マグネシウムアンモニウム燐酸塩紙充填剤の加熱から生じる）利用可能なアンモニアの増加とともに増加する。驚くべきことに、マグネシウムアンモニウム燐酸塩充填剤（利用可能なアンモニア）のレベルの増加によってホルムアルデヒドレベルはアセトアルデヒドレベルより速い割合で減少する。熱重量分析／質量分光データに基づくと、アンモニア及び水だけが紙の燃焼／熱分解中マグネシウムアンモニウム燐酸塩から放出されること及び煙中のアルデヒド含有量を減少するために化学及び熱力学が役割を担っていることが考えられる。放出されたアンモニアは多数のメカニズムによって発生した煙のアルデヒド含有量に影響を与えることができ、それらのメカニズムは独立して又は同時に操作できる。理論に拘束されることを好まないが、我々はアルデヒド含有量を減らすために役割を担っているメカニズムにはアンモニアとアルデヒドガスの間の化学反応があり、それらの反応生成物はあまり揮発せず、シガレットの灰、ロッド、及び／又はフィルターに凝縮／捕捉されるかもしれないと考える。別の可能性は燃焼／熱分解環境におけるアンモニアの存在及び／又は燃焼／熱分解の温度変化が喫煙プロセス中に生成されるアルデヒドの初期形成に究極的に影響するかもしれないことである。
【００２３】
本発明によるシガレットラッパーはアルデヒドの含有量を減らすのに有効な充填剤を含むタバコ及び／又は紙の如き繊維の一以上の層及び／又はいかなる所望の構成を持つことができる。例えば、シガレット用巻紙２は図２の部分断面図に示されているように、タバコロッド６を包囲する単一層４であることができる。あまり伝統的でないシガレット用巻紙が図３に示され、そこではシガレットは米国特許Ｎｏ．５６９２５２５に記載の電子喫煙装置で使用可能である。図３は電子喫煙装置で使用可能なシガレット１００の構成の一タイプを示す。示されているように、シガレット１００はチッピング紙６４によって接合されているフィルター部６２及びタバコロッド６０を含む。フィルター部６２は管状自由流フィルター要素１０２及びマウスピースフィルタープラグ１０４を含有することが好ましい。自由流フィルター要素１０２及びマウスピースフィルタープラグ１０４はプラグラップ１１２で結合されたプラグ１１０として一緒に接合されてもよい。タバコロッド６０は次の一以上のアイテムを含む様々な形態を持つことができる：オーバーラップ７１、もう一つの管状自由流フィルター要素７４、好ましくはプラグラップ８４で包まれた円柱形タバコプラグ８０、ベースウェブ６８及びタバコ７０を含むタバコウェブ又はマット６６、及び空隙スペース９１。自由流フィルター要素７４はタバコロッド６０の吸口端７２において構造的規定及び支持を与える。タバコロッド６０の自由端７８において、タバコウェブ６６はオーバーラップ７１とともに円柱形タバコプラグ８０のまわりに包まれる。タバコロッドはタバコ、タバコブレンド、タバコ代替物などを含むことができる。本発明による充填剤は層７１，８４，６８，７０又は６６の一以上に含めることができる。
【００２４】
本発明を好ましい例を参照して記載したが、当業者に明らかな変形及び修正を行ってもよいことが理解されるべきである。かかる変形及び修正はここに添付した特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内で考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明によるマグネシウムアンモニウム燐酸塩含有シガレット用巻紙におけるアンモニアに対するアルデヒド減少量のグラフである。
【図２】 本発明による単一ラッパーを有する伝統的なシガレットの透視図である。
【図３】 本発明による一以上のラッパーを有するあまり伝統的でないシガレットの透視図である。

Claims (5)

1. タバコがラッパー（２）（６６）（６８）（７０）（７１）（８４）によって収容される喫煙物品のためのラッパーであって、ラッパーがセルロースウェブ材料及びその中に少なくとも一つの充填剤を含み、該充填剤がラッパー（２）（６６）（６８）（７０）（７１）（８４）の全重量の１０重量％〜６０重量％だけ存在しており、かつマグネシウムアンモニウム燐酸塩又はその水和物の一つを含んでおり、該充填剤が喫煙物品の燃焼／熱分解で生成される煙中のガス成分の含有量を減らすのに有効であることを特徴とするラッパー。
2. １５ｇ／ｍ²〜７５ｇ／ｍ²の坪量、及び２コレスタ単位〜２００コレスタ単位の多孔度を有する請求項１に記載のラッパー（２）（６６）（６８）（７０）（７１）（８４）。
3. ラッパー（２）（６６）（６８）（７０）（７１）（８４）が２重量％〜１５重量％の燃焼添加剤を含む請求項１または２のいずれかに記載のラッパー。
4. タバコシガレットのロッド（６）（６０）の周囲にある請求項１ないし３のいずれか１項に記載のラッパー（２）（６６）（６８）（７０）（７１）（８４）を有するシガレット（１００）。
5. 前記タバコロッドを包囲するタバコウェブ（６６）及び該タバコウェブ（６６）を包囲する請求項１ないし３のいずれか１項に記載のぺーパーラッパー（７１）（８４）とを有する請求項４に記載に記載のシガレット（１００）。

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